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1962-03-16 第40回国会 衆議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十六日(金曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 山中 貞則君 理事 足鹿  覺君    理事 石田 宥全君       飯塚 定輔君    金子 岩三君       仮谷 忠男君    倉成  正君       小枝 一雄君    坂田 英一君       田邉 國男君    綱島 正興君       寺島隆太郎君    中山 榮一君       福永 一臣君    藤田 義光君       松浦 東介君    米山 恒治君       角屋堅次郎君    栗林 三郎君       東海林 稔君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    西宮  弘君       安井 吉典君    山田 長司君       湯山  勇君    玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         調達庁次長   眞子 博次君         外務政務次官  川村善八郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         農林事務官         (畜産局長)  森  茂雄君         食糧庁長官   大澤  融君         水産庁長官   伊東 正義君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁総務部         補償課長)   森  道夫君         外務事務官         (アメリカ局北         米課長)    西堀 正弘君         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         農林事務官         (畜産局参事         官)      保坂 信男君         農林事務官         (畜産局競馬監         督課長)    佐藤松寿郎君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中西 一郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      林田悠紀夫君     ————————————— 三月十六日  委員中澤茂一君、山田長司君、湯山勇君及び片  山哲君辞任につき、その補欠として淡谷悠藏君、  加藤清二君、和田博雄君及び玉置一徳君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員淡谷悠藏君、加藤清二君及び和田博雄君辞  任につき、その補欠として中澤茂一君、山田長  司君及び湯山勇君が議長指名委員に選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  競馬法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇四号)  農林水産業振興に関する件(木更津等におけ  るのり被害問題、大豆なたね交付金問題等)  米海軍との契約に基づく油槽船の座礁による千  葉県下におけるのり等の被害の対策に関する件      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  競馬法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。東海林稔君。
  3. 東海林稔

    東海林委員 競馬法の一部を改正する法律案に関係いたしまして、大臣に一、二の点をお伺いいたしたいと思います。私は一昨日と昨日の二日間、事務当局に対しましていろいろと質問いたしまして、懇切なるお答えをいただいたのでありますが、しかし、重要な点につきましては、やはり責任者であります所管大臣の御見解を伺わなければならぬというふうに感ずる点がございますので、特にそういう点についてのみ大臣にお伺いしたいと思います。  まず第一点でありますが、現段階における競馬施行目的意義というものを一体どういうふうに考えておられるか、こういう点でございます。この点につきましては、私のみならず、ほかの質問者もほとんど一様に触れておる点でございます。事務当局の御答弁の大要は、一つには、国なり地方団体の財政に寄与させるという点もあるが、主たる目的は、一般大衆娯楽という点にあるというふうなお答えのように私は拝聴いたしたのでありますけれども、そういたしました場合に、戦後新たに行なわれるようになった競輪なりオートレース等との区別は、一体どこにあるのかというような点が疑問として出てきたのであります。こういうような点についての事務当局答弁は、大体において、競馬の歴史的な関係がほかの競技とは違う点が一つ、それからもう一つは、世界的に施行の状態を見ても、競馬とその他の競技とは違うというふうなお答えであったように拝聴したのでありまするが、そういたしましても、一体競馬を現段階において実施するという実質的な意義といいましょうか、あるいは社会的な意義といいましょうか、そういうような点についての、他の競輪等との区別がどうもはっきり理解できないのでございまして、そういう点について、所管大臣としてのはっきりした御見解を承りたいと思うわけでございます。  なお、あわせて、現在の競馬法には、競馬施行目的というものが明示されていないわけでございますが、こういう法改正をやるとするならば、そういう点についてはっきり法律にこれを明示したらばどうか、こういう疑問も出るわけであります。その点もあわせてお伺いいたしたいと思います。
  4. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通りに、競馬わが国におきましても、その歴史は相当古いものと考えます。戦前におきましては馬事思想普及畜産振興徹底というような意味、あわせて軍馬補充意味を持っておったと考えます。戦後、これがただいま申し上げました点のうち、軍馬補充の点は全然その必要性を失っております。しかし、健全に発達して参りました競馬というものは、事務局も御説明申し上げましたように、少なくとも国民の健全なる娯楽という点については、どなたも御異論のないところだと思うのであります。かたがた畜産思想普及徹底という点に、私は相当寄与するものがあるのではなかろうかと思うのでございます。そういう点から申しまして、これによって国家に納付せられる益金畜産振興に充てて、そこに有無相通ずる点を見出して参るというような点において、かたがた現食生活において、急激に動物蛋白を要望いたしておるわが国におきまして、畜産振興に大いに力を入れなければならぬ。その財源としてこの道を選ぶということについても、私は相当の価値あるものと考えるのであります。ただ要は、逆にこのことによって社会悪を助長するというようなことにつきましては、取り締まりもしくは施策等について、深く留意しなければならぬことがあると存じまして、今回の改正におきましても、そういう点については特に格段の注意を払っていきたい。戦後唐突に全国普及いたした競馬を、そういう施策制度取り締まり等によって十分留意して、これによって、いやしくも社会悪を助長するようなことのないように注意して参るところに、重点を置いて考えていかなければならぬのじゃなかろうか、こう思うのであります。  最後に、目的になぜ書かなかったかという点でございますが、これは相当長期にわたって、わが国の歴史的な事実の上に立って施行いたしておるものでございますので、その点に触れなかったのではなかろうかと思うのであります。
  5. 東海林稔

    東海林委員 歴史的に考えまして、競馬競輪その他の競技と非常に違いがあるということはわかるのであります。しかし、戦前競馬やり方と現在のやり方を比べてみると、だいぶ違った点があると思います。たとえば、戦前におきましては、御承知のように投機心をそそることを抑制するというような意味におきまして、配当につきましても十倍というような制限があったように記憶しておりますし、また、現在勝馬投票券の主たる地位を占めている連勝式というようなものもなかった。また、競馬競輪を比較してみました場合に、競馬は実際に出場する馬の当日の状況を見て、そして勝馬を予想するというところに、一つの非常な特徴があると思うのですが、そういうような点を無視して、現在では場外投票場というようなものが、競馬においても相当多数になっている。しかもその売上高は、資料によって見ますと、約四〇%にもなっている。こういう点で、競馬が他の競輪その他の競技と大体同じじゃないかというような考え方が一般に持たれるようになり、一様にギャンブル社会悪の対象として非難を受けておるという点があるのじゃないかと思うわけであります。従って、ただいまのように、ほんとう競馬というものを健全なる娯楽として、また一面畜産奨励財源として考えるというような立場をはっきりと堅持するとすれば、もう少しそういうやり方についても考うべきではないか、歴史的に違うのだという点を主張されるとすれば、そういう点について慎重に考慮すべきじゃないかと思うのです。一部今回の改正においては、多少射幸心の過熱を防ぐという点は配慮されておるのでありますが、今申し上げましたような点については、そういう点が欠けておるように思うのであります。そういう点についての御見解を承りたい。
  6. 河野一郎

    河野国務大臣 私も全く同感でございます。ただ遺憾なことに、と言うと言葉が過ぎるかもしれませんが、御承知通り競輪その他の競技がなかなか盛んに行なわれております。従って、ただいまの御指摘連勝式の問題についても、これをにわかに廃止することによって馬券売り上げが急激に減るだろう、開催が困難になるだろうというような御意見も相当にあるわけでございます。従いまして、私といたしましては、競輪等にもなるべく連勝式をやめるようにということの交渉もだんだんいたしたのでございますが、なかなか歩調がそろっていきにくうございます。しかし、目標とするところは、ただいま御指摘になりました点を目途として、そして順次改善をして、その可能な方向にいきたい。場外馬券等につきましても全く同感でございます。必要な限度売り上げでよろしいのでありまして、それをいたずらに売り上げをふやすということに専念するという道はとりたくないと私は考えております。
  7. 東海林稔

    東海林委員 では次の質問に移りたいと思いますが、今度の改正の中の重要な一つとして、地方競馬につきまして中央全国協会を設けて、ここで一方においては騎手調教師等の免許の問題、あるいは養成等の仕事をすると同時に、一面、馬の改良増殖、その他畜産振興をはかる、こういうことになっておりまして、従って、各地方競馬益金の中から一号、二号というふうにして、特に一号につきましては六千万円以上の売り上げをやった競馬場からその収益の一部を中央に吸い上げて畜産奨励に充てる、こういう規定になっているようでございます。  そこで私が伺いたいのは、この畜産奨励を今度の全国協会にやらせる場合に、国の一般畜産行政との調整といいますか、その調和といいますか、これをいかにしてやるのかという点でございます。別に法律案として出ております畜産事業団畜産奨励をやる、こういうような点も出ておるように思うのでありますが、私がちょっと感じますのは、何か国の畜産行政についての責任が非常に分散しまして、せっかく今の農業構造改善の中において選択的拡大の中の中心に取り上げられておる畜産行政について国の責任というものがはっきりしなくなるのではないか、こういう心配を持つものでございます。そういう点について、この全国協会畜産奨励は国との関連においてどのようにやられるのか、またどういう点に重点を置いてやられようとしておられるのか、その点をお伺いいたしたいと思うわけであります。
  8. 河野一郎

    河野国務大臣 私はむしろこの点に重点を置いて今度の改正考えておるのでございます。と申しますのは、明年度予算におきましても、畜産技術員設置というようなことを考えております。ところが、これは三分の二を国庫補助によりまして、各畜産組合技術員設置することにいたしております。ところが、御承知のように、今日の畜産組合におきまして三分の一を負担するということはなかなか困難でございます。従いまして、この資金を各府県に分けてやる、そして組合負担分に充てる。三分の二は国庫補助金ということで、まず組合整備強化技術員設置等重点を置いて、そして畜産振興に寄与いたしたいということを考えておりますので、奨励法その他が国との間に混淆を来たすとか、もしくは、事業団との間に混淆を来たすとかいうようなことは、これは十分政府において指導監督をして、間違いのないようにいたしますが、いずれにいたしましても、ただいま申し上げますように、この資金競馬のない地方に分配いたしまして、そうして県の連合会もしくは下部団体等にも順次及ぼしまして、技術員設置資金組合経営費等に充てるようにしていきたい、こう考えております。具体的なものはまだ持っておりませんが、いずれにしても私としては、そういう方向で各組合意見も承って、そうしてどういうふうにしたら一番有効に、よた適切にいけるかということを十分研究して参りたい、こう考えております。
  9. 東海林稔

    東海林委員 この資金使途関連しまして、私は、事務当局答弁の中に非常に疑点とした点が一点あります。それは、ただいまの大臣の御答弁のように、原則としては協会から助成するのは畜産団体、しかし場合によっては都道府県に対しても補助することがあり得る、こういうような御答弁があったのでございます。私は、都道府県に対してこの種の法人からの助成を出すということについては、その出した助成目的が完全にその通り実施されるかどうかについての監督指導というようなことが、一体この法人として都道府県に対してできるのかどうか、こういう点を非常に疑問に思ったわけです。むしろ都道府県に対する助成というようなものはあくまで国が責任を持つべきであって、協会都道府県に対して例外的というような御答弁であったようであるが、しかし、そういう形は、行政との関連において考えた場合に非常に筋違いじゃないかという感じがするのでございますが、この点、所管大臣として明確な御答弁をいただきたい。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 それは事務的に慎重にそういう答弁をしたかもしれませんが、私としては、そういうことのないように——万々一組合のない県をどうするかというようなことが出て参りますと、そこでやり場がないというようなことになるといけないということをおそれて御答弁申し上げたのじゃないかと思いますが、そういうことがないように、各府県畜産組合を十分整備いたしまして、その組合を通じて畜産振興に寄与するという方法をとって参るつもりであります。
  11. 東海林稔

    東海林委員 もう一点だけ伺いたいと思いますが、ただいまの点と関連する問題でございます。今回の改正ではないのでありますが、日本中央競馬会法の第三十六条におきまして、第二十七条で国庫に納付された中央競馬益金使途が明示されているわけでございます。しかしこれが実際には一般会計に入ってきて、そうして他の財源と一緒にこれがなるものでありますから、はたしてその部分が、中央競馬益金畜産奨励のどの部面に充当されているかということが実際には明確になっておらぬ。確かに現在の畜産奨励全体に対する国の支出は競馬益金を上回っておることは事実でございますが、しかし、三十六条の趣旨は、これこれの用途に使えということを明示してある。そういう点が明確になっておらぬということは、この条文を制定した趣旨からいって私は若干の疑問を持つわけでありますが、そういう点を明確にするということについて何らか大臣としてお考えがあるかどうか。言いかえれば、この三十六条の趣旨を尊重するという立場に立ってどのような配慮がなされているか、この点について大臣からお伺いしたいと思うわけであります。
  12. 河野一郎

    河野国務大臣 私も、その点につきましては、かねてそういう点を十分主張いたしたいという意味農林大臣に就任いたしたのでありますが、御承知通り大蔵当局がなかなか頑強でございまして、畜産局予算というものは競馬益金を上回っているじゃないか、あの中に入っているじゃないかということで対抗するわけでございます。そこで、内輪を申しますと、今回、事業団の出資をまず口あけといたしまして、順次価格安定等に資する資金はこれでいこう、そうしてさらに事業団を通じて、各種の畜産振興に寄与する民間の補助等も毎年事業団に繰り入れすると同時に、事業団の方を通じてこれを毎年使っていくというようなことで順次その実をあげていこう、こういうことで、むろんわずか十億でございますけれども、明年度予算にはその口あけをしたということで、全く同感でございますので、今後は御趣旨のようにやって参りたいと私は考えておるわけでございます。
  13. 東海林稔

    東海林委員 この点につきましては、昨日、念のために大蔵省担当主計官にも来ていただきまして質問したのでありますが、大蔵省の当委員会における答弁としては、十分三十六条を尊重して、積極的に畜産奨励に協力するというような趣旨答弁があったわけでございます。事務当局も聞いておったと思いますが、そういう点もお含みの上、ただいま御答弁のように、さらに今後一段と御努力をお願いしたい。このことを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  14. 野原正勝

  15. 中澤茂一

    中澤委員 きのう、実は競馬厩舎制度の問題で局長競馬会にお聞きをしたのですが、厩舎制度の問題というのを抜本的に手を加えないと競馬明朗性というものはないと思うのです。そこで、今のような賞金制度だけで騎手以下調教師馬丁全部まかなう、こういう制度というものをいま一度再検討する必要があるのじゃないか。それで明朗な競馬というならやはり公営化の線を、それらの縁の下の力持ちで動いておる人たちまでに公営制度というものをもっと徹底しなければいかぬじゃないか。賞金制度であるために、結局厩舎もあまり著名でない、それから馬もあまりいいものを持っていないというところの馬丁収入生活権というものを全然脅かされておる。そこに去年のようなストライキ一日休場というような問題も出てくるのだから、この際公営制度というものを賞金制度以外にもう少し検討すべきではないか。これに対して局長さんもあまりよくはっきりした御答弁もないものですから、一つ実力者大臣、これをもう少し明朗化する縁の下の力持ち態勢というものの公営化考えるべきである、こう思っておるのですが、その点についての大臣見解をお伺いしたい。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 この問題につきましては、実は簡単のようでなかなかむずかしゅうございます。私も多年中津さんと同じ考えを持ちまして、何とか改善ができぬだろうかということでしておりますが、いわゆる賞金を歩合のような格好でやっておりますあの制度も非常に欠点が多い。そのために、ときに興奮剤の問題もどことはなしに起こってくるような危険もある。何とかこれを根本的に、外国のようにいかないものだろうかということで考えました結果、私はできるならば競馬場厩舎とを切り離す。競馬場周囲厩舎を置いて、そして今のように 一体になって興奮するという格好は避けなければいかぬじゃないか。あくまでも馬丁は、遠隔といいましても、そう離れるわけには参りませんが、こういうすべての設備の整っておるときでございますから、少なくとも一里や二里は離れた場所でけっこうだ。そこから外国流に当日走る馬だけが競馬場へ来ればよろしいのであって、他は別のところでもって育成、調教するというような姿にして、競馬そのもの馬丁とを切り離す。そして馬丁はどこまでも馬の育成をしていくということにすべきでなかろうか。従って、これは馬が勝った負けた、そういうことによって非常に収入がふえるとか減るというようなことは避けた方がいいのじゃないか。多少のものを出すのはよろしゅうございますけれども、今のように制度的に、たとえばダービーで勝った馬を世話しておれば、そのことだけで馬丁収入が二十万も三十万もぽこんと入るというようなことは、はたして適当であるかどうであろうかということも考えなければいかぬという意味で、何とか競馬会厩舎を分散するとか、もしくは他の方に調教馬場を作ってその周囲厩舎を建てさせるというようなこと、さらにまた、騎手制度につきましても、外国流に順次厩舎専属騎手から競馬場のいわゆるジョッキー・クラブによって、そして騎手独立性を保持するようにして参るとかということにしていきませんと、一応制度の上では調教師騎手というものがあるが、そこにギャンブル性は薄いというようなことを言いますけれども、今のように一つ厩舎でボス化されているところにあったのではなかなかいきにくいというふうに考えますので、できるだけ早く——これについては各方面の世論がすべてそうでございます。従って、これにこたえて改善をすることが急務であるということは深く私も同感でございますので、できるだけ各方面意見を伺った上で改善さすように指導して参りたいと考えております。
  17. 中澤茂一

    中澤委員 私の言うのは、そういう大臣の言うような方法一つ方法ですが、私はむしろ調教師とか騎手とか馬丁というものを、やはり公営化の線の中で貫いてこれは国がめんどうを見るべきである、要するに中央競馬会そのものが、あれだけの益金も出し納付もするのだから見るべきである。そういうふうにむしろ今の現制度の中でのあれではなくして、国が身分保障をしてやるというそこまで公営化を持っていかなければ、これは明朗化にならぬと思うのです。それで、かつて稲富さんが中心で、昭和三十年でしたか、騎手馬丁労働組合を作るからということで、発会式に私も行ったことがあるのです。その前から何回か陳情を受けておったのですが、われわれの身分が非常に不安定で困る、もらう者はどかんともらうし、もらわぬ者は食うに困る、こういう制度では困るから一つ何とかしてくれないか、こういうことで、それなら君ら自体一つ団結をしてそういう待避改善の問題というものを具体的に中央競馬会と交渉すればいいじゃないか、そのときいろいろなあの内部の事情というものを伺ったのですよ。だから、さっき大臣の言うように、ダービーに勝てば二十万、三十万の金が入る。ところが悪い厩舎にいて馬の——悪い厩舎にはあまりいい馬も、大臣初め預けないわけだ、やはり勝率の多いような厩舎へどうしても持ってくる。そうなるとやはり悪い厩舎馬丁というものも調教師もなかなか生活が困難だ、つい馬券に手を出して馬券で勝負をするというようなことも出てくるのですから、むしろ私は国が一つ身分保障をしてやる、最低限度身分保障中央競馬会がやるのだ、そこまで踏み切らなければほんとうに因襲の深い封建制度の今の厩舎制度というものはメスが入らぬじゃないか、そう私は考えておるのです。だからそこまで大臣一つメスを入れる御意思があるかどうか。なかなかこれはむずかしい問題ですが、そうしないと表面ははなやかで、裏で舞台回しをやっている人は生活権さえ脅かされているというような形では、私はよくないと思う。やはりある程度、調教師あるいは馬丁に対しては国が、中央競馬会そのものが見る、そこまで生活権は確保してやらなければ、私はおそらく今のままほっておいたら、この前一日休場ストライキをやったものが、もっと激化してくるのではないか、あるいは一週間なら一週間というものはできないような形にもなるのではないかということを危惧しておるのです。だからそこまで一つ大臣大臣の言ったそういう方法も確かに一つの漸進的な改善方法であるけれども、いま二歩踏み込んだ一つ改善方法考えなければいかぬ、そう考えるのですが……。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 中津さんの今おっしゃった点で、一つ御検討をお願いいたしたいと思いますことは、馬主の側から申しますと、相当多額の投資をいたしておるわけでございます。ところが、多額の投資をいたしております馬主も、馬丁のよしあしが馬の勝敗を決する一番大きな要因である、従って馬丁の悪いものに当たったら馬は走らぬというくらいでございますので、これを競馬会の要員にして、そうして馬丁の割当を馬主は甘んじて受けるはずがないのでございます。監獄制度のようなわけにはなかなかいきにくいということと私は思います。私自身もそういうふうな感覚を持ちます。現に農林省のやっておりまする北海道の牧場でも、馬はなかなかりっぱな馬ができる、しかしあそこは組合ができて、そうして世話の仕方が——組合ができてということは少し語弊があるかもしれませんが、時間制度で馬の世話をされるということのために、競走馬としてはどうもいい成績を上げないというようなことで、一応こちらへ参りましてから馬と馬丁さんとが一体になって、それこそ労働時間からいけばどういう時間になるのかしれませんが、とにかく常に自分の馬というような気持でかわいがってこれをりっぱなものに育て上げるということでなければ、競走馬としての能力の発揮は困難だと思うのであります。従って大井その他地方競馬の方におきましても、優秀な馬丁が馬を育てるというようなことはしばしばいわれますので、公営競馬におきましても、そういう点、人馬の関係がどうなるかということが、非常に強く取り上げられなければならぬ問題でございますので、そこに馬主の側からも要望もございます。そこをある程度、今中澤さんのおっしゃるように、現に競馬会が介在して団体交渉等の始末はしておるわけでありますから、最低保障を競馬会がするとか、その上のプラスアルファを馬主もしくは調教師がするとか、何らかの普通の雇用事情と違いましたものを、何か一つ適切なものを見出さなければいかぬのじゃないかと思うのでございまして、なおよく十分検討いたしまして善処して参りたいと考えます。
  19. 中澤茂一

    中澤委員 それは大臣が善処するというからよろしいとして、わが党としては競馬というもの自体が、当初から議論を聞いていてだいぶ第一条が議論になったのですが、これは完全な一つの賭博である。特に昨日議論になった場外馬券などというものは、もう完全な賭博である。私も実は競馬は好きです。めったにお顔は合わせませんが、大レースくらいは、一年に二、三回ぐらいは、吸い上げられるファンの一人で、搾取される一人で、行っておるのですが、競馬というものは絶対にもうからないのです。それはもうからない理屈になっている。私も一時自分で学生時代にやって、目黒に競馬場のあったころから夢中でやってみたのですが、もうからない。というのは、それははっきり一億の売り上げに対して二千五百万も要するに手数料をピンはねされてしまう。そうすると相当競馬にこった経験者で、遊びに行く程度で、一日買うくら数というものは興が乗ったときでも三くら、まあ二くらくらいでやめてしまう。そうすると、しろうとの夢中になっている連中は大体十一くら全部買わなければおもしろくないのです。頭にきているときは。だからふうふう言いながら次から次へあの人込みの中をわけて買っているわけですが、平均しますと私は五くらぐらいになると思う。そうすると、実際の金というものは、一億の五分の一の二千万円の金というものしか実際は動いてないのです。売り上げの一億に対して二千一五百万、一億に対する二割五分のピンはねの手数料をとるんだから、二千五百万とってしまうんだから、もうからない仕組みなんですよ。だから競馬はもうからないんだ、なるべくおやめなさい、こういうふうに一つ政府の方で大いにPRをしてもらって、こういうことを頭にきてやるのはやめろ、そういうことが私は正しいと思うのです。私個人とすれば、ファンで興味がありますけれども、わが党としては、こういう賭博行為はもうやめるべきである。特に私は、一番悲惨に感じたことが一回あるのです。私はそれから非常に冷静になったのですが、中山競馬の帰りに電車に乗っておったところが、私の二、三人横にいた人が、ちょうどあれは春の競馬でした、暖かいころでしたが、窓をあけて鉄橋の上から飛びおりようとしたのです。競馬の帰り客が。それで幸いにしてみなが引きとめましたけれども、鉄橋のところへこすってここが半分大けがをしたという現場に私は居合わしたのです。私は表面へは出ないが競馬という賭博、競輪という賭博で破産、破滅したそういう事例が、きのう局長はそんな事例はないと言うが、私は相当あると思うのです。ただ表面へ出ないだけでわれわれはこういう賭博行為というものは国がやるべきではない。だから、こういうものはやめるべきであるというのが私は正しい行き方ではないか、われわれはそう判断しておるのですが、大臣はどういうふうにお考えになっているか。これはやはり適当なレクリエーションだからやった方がいいとお考えか、できればこういう賭博行為というものはやめた方がいいというお考えか、そのお考えを聞かしていただきたい。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほども申し上げたところでございますが、私は、国民の娯楽の中で比較的健全性のあるものである、またそういうふうにわれわれとしては十分心がけて指導して参らなければならない。その政府の指導よろしきを得ますならば健全な誤楽としてこれを助長して参っていいんじゃないか。反面、畜産振興畜産思想の普及等に役立たせるという意味におきまして、国としてこれを続けていくことが適当じゃないか、こう私は考えております。ただし、ただいま中津さんのおっしゃったように、場外馬券その他理由なしにギャンブル性を持ったものについては、極力これを避けるように順次改善をしていく必要があるということは同感であります。なるべくそういう点を除去して、そして所期の目的を達成するように鋭意努力する必要があると考えております。
  21. 中澤茂一

    中澤委員 最後に一点だけお伺いしておきます。私もたまたま大レースなどへ行くのですが、これは河好さんの馬だということをよく聞くのです。だけど馬主を見ると河野一郎と書いてないのです。ただ河野さんの馬だといううわさを聞くだけです。あれはどういうわけなんですか、はっきりと河好一郎と書いておやりになったらいかがですか。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 私、大臣をいたしておりませんときは河野一郎ということでやっております。しかし、大臣に就任いたしますと同時に、自分の名前にしておくことはいろいろ調教師その他競馬においでになる方々に対しても混淆して適当ではないという考えのもとに、自分の家内の名前に名義を変更して競馬に参加するということにいたしております。これのよしあしは人によっていろいろ判断はあろうと思いますが、私はそういうふうな考えのもとに名義の変更をいたすことが適当であろうと考えて、名義の変更をいたしております。
  23. 野原正勝

    野原委員長 他に御質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
  24. 野原正勝

    野原委員長 これより本案を討論に付します。  討論の申し出もないようでありますので、これより直ちに採決に入ります。競馬法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  25. 野原正勝

    野原委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
  26. 野原正勝

    野原委員長 この際玉置一億君外一名より、自由民主党及び民主社会党共同提案にかかる本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨弁明を許します。玉置一徳君。
  27. 玉置一徳

    玉置委員 私は、自由民主党並びに民主社会党、両党を代表いたしまして、競馬法の一部を改正する法律案に附帯決議を付するの動議を提出いたします。  案文を朗読いたします。    競馬法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、左記各項の実現にいかんなきを期すべきである。     記  一、成長部門としての畜産振興のため、政府は積極的な予算措置を講ずべきであるが、さらに中央競馬会法第三十六条に規定する国庫納付金の畜産振興費への充当額は、これが上積みという趣旨で措置すること。  二、都道府県が行なう地方競馬益金については、中央競馬会国庫納付金の使途にならい、これを主として畜産振興のための経費に充当するよう指導すること。  三、地方競馬全国協会の行なう畜産振興のための助成事業については、国及び都道府県の行なう畜産行政と十分な調整を図ること。  四、地方競馬全国協会の運営が適正に行なわれるよう十分な指導と監督を行なうこと。  五、勝馬投票方法については、射倖心の過熱を抑制し、かつ、紛争の発生を防止するよう措置すること。  六、競馬場の環境については、競馬場が国民の健全な娯楽の場となるよう、その施設の改善及び場内秩序の保持等を強力に行なうこと。 なお、施設の改善のための資金に充てるため、日本中央競馬会法第二十七条に規定する剰余金の国庫納付については、これを改善する措置を検討すること。  七、場外馬券発売所については、競馬のと博性を抑制するため、漸次施設の縮少をはかり、将来はこれが廃止の方向において検討すること。  八、厩舎制度の近代化をはかるとともに、調教師騎手及び馬丁並びに競馬場従業員等の身分の安定、福祉の向上等をはかること。   右決議する。    昭和三十七年三月十六日  内容は、過半の質疑並びに答弁によりまして明らかでございますので、これを省略いたします。  何とぞ満場の御賛成をお願い申し上げたいと思います。
  28. 野原正勝

    野原委員長 採決いたします。  玉置君の動議に賛成の諸君の御起立を願います。   〔賛成者起立〕
  29. 野原正勝

    野原委員長 起立多数。よって、玉置君の動議の通り本案に附帯決議を付するに決しました。  この際、政府当局の所見を求めます。河野農林大臣
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま御決議になりました点は、いずれもごもっともでございまして、われわれといたしましてもこの趣旨を十分体しまして競馬改善に努力いたしたいと考えるのでございます。よろしく御協力をいただきたいと思います。     —————————————
  31. 野原正勝

    野原委員長 なお、本案議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  33. 野原正勝

    野原委員長 次に、農林水産業振興に関する件について調査を行ないます。  木更津等におけるノリの被害の問題及び大豆、菜種の交付金の問題等について質疑の通告があります。これを許します。角屋堅次郎君。
  34. 角屋堅次郎

    ○角屋委員長 過般、千葉県下における米国の油送船イーグル・クリーエ号の座礁に伴う多量の油の流出によって被害を生じた面につきましては、本委員会においても、皆様方の御理解を得てこれを取り上げたわけであります。それから若干時日も経過しておりますし、同時にこの問題は、被害額においても一沿岸漁民の関係者の数においても、きわめて深刻な問題でありまして、たしか、きょう参議院の農林水産委員会においては現地調査を行なうという運びになっておるように承っております。本委員会においても、もちろん現地調査等を行なうべきでありますが、国会の審議その他の関係でいまだその時期に至っておりませんけれども、この機会に、過般私が本問題を取り上げて、農林省、外務省、調達庁等に善処を要望しましたその後の経過について、まず承りたいと思うわけです。何と申しましても、これは過般の委員会でも明らかになりましたように、対アメリカの関係という問題が一つあるわけであります。その点につきましては、外務省、農林省等で、特にアメリカ大使館を通じて、話し合いによってこの問題の対アメリカ関係の損害の賠償については処理をするという方向で進んで参っておるわけでありますが、まずこの点の経過について、現在どういうことになっておるか、お答えを願いたいと思う。
  35. 西堀正弘

    ○西堀説明員 本件につきましては、この前も本委員会において御説明申し上げましたように、外務省が水産庁から御連絡を受けまして、さっそく検討いたしました点は、本件が在日米軍の地位に関する協定、これによってカバーされるものではないかという点でありました。ところが本件は航海用船という条件で米軍が油を運んできて、それを荷おろしいたしましたあとで起きた問題ということがわかったわけであります。この航海用船の条件によりますと、荷おろしをいたしましたあとは、もうその船舶の運営者には責任はないということになるわけでありまして、そういたしますと、在日米軍の地位に関する協定の第十八条によりますアメリカ側に全責任がありといたしますれば、七五%をアメリカが負担し、残りの二五%を日本が負担する、こういう条項は適用がないということが判明いたしたわけであります。従いまして、そうなりますと、結局これは実際に被害を受けられましたところの漁民の方々、それから船舶の所有者との間の純粋の民事事件として考えなければならないということが判明したわけであります。しかしながら、何分にも関係しているところの漁民の方々の窮状が非常なものでございますし、それにまた、これに関係しておられます漁民の数というのが非常に多いわけでございます。これを放置いたしますと、いたずらに反米感情というものが起きるのじゃないか、われわれこう考えましたものでございますから、さっそくアメリカ大使館に連絡をいたしまして、関係の書記官を呼び寄せまして、私から、これを何とか示談で円満に解決をはかるように御尽力願いたいということを申し入れたのでございます。それに対しまして、当初は担当の書記官も、これは完全な民事事件であるから、政府が介入することは厳格に申すと困難ではないかということでありましたけれども、   〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代席〕 こちらからるる説明いたしましたのに対しまして、アメリカ側も本件をできる限り法廷ざたとすることなく、示談でできるだけ早く解決をして、関係の漁民の方々の窮状を一日も早く救いたいということに賛意を表しまして、さっそくアメリカ大使館の方から本国政府すなわち国務省の方にも連絡したようでございます。その後アメリカ大使館の方から連絡して参りまして、新たに判明いたしました事実がございます。それは、本件船舶の所有者と漁民の方々との間の交渉になるわけでございますが、幸いと申しますか、この船舶は保険がかかっておりまして、その保険会社はプロテクション・アンド・インデムニティ・クラブス、これは主としてトランパーが加入している相互保険団体のようでございますが、この保険会社にもうすでに連絡済みでございます。そうしてこの保険会社の言いますのには、本件の損害についてもその保険が十分カバーしている、こういうことでございます。従いまして、今後は面接的には本件関係の漁民の方々とこの船舶の保険をかけておるところのプロテクション・アンド・インデムニティ・クラブスとの間の事件として解決がはかられるということがわかった次第でございます。
  36. 伊東正義

    ○伊東政府委員 ただいま外務省の方から御説明いたしました通りでありまして、それに基づきまして私ども県から報告を受けておるのでございますが、先方の代理人と、被害を受けました漁業者の代理人、これは弁護さんでございますが、両方で今話し合いに入ったという報告を実は受けております。また、その際に控えの鑑定人としまして水産大学の殖田教授でありますとか、あるいは千葉県の内湾水産試験場長というような人に控え鑑定を頼んだらどうかというようなことで、交渉もしておるというような話でございまして、連絡がございまして、従来のこの種事件に比較しますと、割合誠意を持って話し合いに応ずるのじゃなかろうかというような感じを実は私ども持っております。  もう一つ、県の方からの報告でございますが、先般漁業者の報告で参りますと、大体六億七千万円くらいの被害じゃないかということを漁業者は言っておったのでございますけれども、県が報告を一応持ってきておりまして、これは若干今後異同あるべきというような注釈がついておりますが、三億六千万円くらいの被害ではなかろうか。ただし今後若干の異同はあるというようなことで被害の報告を持って参っております。そのほかに県としましては、県でやること、あるいは国でやることというような希望を出しております。国に対しましては、資材で全然再使用ができなくなったというものを購入する場合に、国が三分の一の補助をしてくれぬかというようなことを言っております。県としましては、毎年毎年更新するというものであれば、こういうものの利子補給、金融に対する利子補給でありますとか、あるいは早く収入が入りますように、貝の解禁日を早める、早くとるということで三月から解禁日を検討いたしております。そういうことによりまして、少し貝をよけいとるというようなことになりますので、今後の貝類の種苗の購入費について県が補助しようというような案を持ってきております。漁場の清掃等につきましては、まだ県としてもどうするか対策が立たぬので、これはいろいろ相談に参るというようなことが今県から報告されております。でありますので、従来の油の被害よりは若干先方も誠意を持って話に応じようというような態度が、従来の例とは違うのではないかというように私は考えております。
  37. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の外務省、水産庁の御答弁で、従来の経過というものについてはある程度明らかになってきたわけですが、ただここで一つお聞きしたいのは、この前、私と湯山さんが取り上げたときにも、やはりこれは沿岸漁民の、米国の油送船に伴うところの被害の問題であって、国民の生活を守るという政府の立場から見て、当然これは政府の責任において、あくまでも対アメリカの関係、あるいは国内問題とか、こういうものは処理すべきものであろう、こういうことを言ったのに対して、そういう考え方で今後臨んでいきたいのだ、こういうことを申されたわけでございます。そこで、今外務省、水産庁の方からの御答弁をお伺いしておりますると、いわゆるアメリカ側の問題については、船主あるいはそれがかかっている保険会社、そうして千葉県の関係漁民、こういう関係もこれから代理人を通じて話し合いになっていくのだ、こういうお話でございましたが、こういうアメリカの関係の船主あるいは保険会社の関係のみならず、法的に在日米軍の地位に関する協定の解釈の問題でいろいろありまするけれども、問題の起こってきたこの米国油送船というものは、やはり米軍と雇用関係の中で、帰路ではありまするけれどもこういう問題が生じてきた。従って、対米軍の関係については、法的な問題はいろいろむずかしい点もありまするけれども、道義的な面から見ても、やはりこれを最初から放棄してしまうという形じゃなしに、政府のルートを通じて対米軍の関係についても道義的な立場からの保険損害に対する補償ということについては努力をすべき性格の問題ではないのか、こういうふうに思うわけですが、その点はいかがですか。
  38. 西堀正弘

    ○西堀説明員 ただいまの点でございますが、これは米軍の雇用関係に入っているのではないかという仰せでございますけれども、法的に申しますればあくまでやはり航海用船というものが、条件がそうなっております以上、その点を法律的にわれわれとして強く先方に言うわけには参らなかった次第でございます。しかしながら、やはり航海用船の条件がそうはなっていても、元をただせばその用船があったために、こちらへ来てそれを荷おろしして帰るとたんになったわけでありますから、仰せの通り道義的には十分に向こうにその責任感を強める意味で、実際に私担当の書記官を呼びましたときにもその点は仰せの通りのラインでいったのでございます。それも一つの要素となっているかと思いますが、本件に関しましては水産庁長官も言われました通り、従来になくアメリカ側の立場も非常に協力的、協調的でございまして、国務省に対しても非常に強く電報を出したと、それでその電報の返答はとりあえずは事実関係の保険会社の関係でございますけれども、おっつけそれに対する回答もくるかと思います。そのときにはまた御報告申し上げたいと思いますけれども、われわれといたしましても十分に、米軍が、元をただせばそのために来たんだというような点は十分に強調いたしたような次第でございます。
  39. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほどの、いわゆるアメリカ側の船主あるいは保険関係の代理人とこちら側の関係漁民の代理をする者との話し合いを始める段、取りになっている、こういうお話でございますが、きょうは千葉県の現地側からも富津の関係あるいは木更津の関係双方ともに来ておりますけれども、お話を承りますと、富津の関係についてはそういう関係で段取りを進めるというふうに承りましたが、木更津の関係ではそういう段階までいっていない、こういうような話のように承っておるわけですが、それらの問題については十分実態を御承知なんですか。
  40. 伊東正義

    ○伊東政府委員 木更津地区と富津地区の問題でございますが、考え方はまだ県の中で統一がとれていない点が若干あるのじゃないかという気がいたしますのは、これは訴訟というような問題でいくか、そうじゃなくて、まず国が全部見ろというような主張をするかということで、県内の漁民の間でもニュアンスが違ってきたということを私聞いております。先生おっしゃいますように、最初から訴訟でやるべきだということを主張しておりますのは富津地区でございます。その地区につきまして先ほどのような手はずが進んでおるということを聞いております。
  41. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは双方の代理人間の話し合いということが今後かりにおぜん立てができて進められる場合にも、本問題の性格から見て当然私が冒頭に主張しましたように、あくまでも政府の責任において、外交ルートの問題については外務省、あるいは被害その他の実態の問題については水産庁、こういうところが十分中に入り、あるいは対アメリカの関係の折衝の責任立場に立ってこの問題を進めていく、こういうことでなければならぬと思うのですが、今後のかりに代理人対代理人の話し合いが進んでいくという場合においても、やはり対アメリカの関係においては日本の政府が責任を持って双方の話し合いの最終結着までめんどうを見ていくのだ、こういう点はどうなのです。
  42. 伊東正義

    ○伊東政府委員 水産庁としましてはおのおのの代理人同士の話し合いで事が終わってしまって、一切あとは協力せぬということは決して考えておりません。これは県とも連絡しているのでございますが、逐一話し合いの状況等は報告をしてもらいまして、私どもはまた出る場面があれば出て応援をしようというような考えを持ちまして、県にはそういう連絡をしております。私の方としましては、それがまた外務省を通して外交の問題で何か交渉していただくというようなことがあれば、当然水産庁としましては外務省にお願いするというようなことになってこようかと思います。
  43. 西堀正弘

    ○西堀説明員 ただいま水産庁、長官が申されましたように、外務省といたしましては水産庁からの御依頼を待つまでもなく、本件につきましては、もう十分承知いたしておりますので、最終結着を見るまでアメリカ政府とできる限りの介入、といいますと語弊がありますけれども、インフリュエンスをお互いに政府として働かす、円満に解決できるように最善の努力をいたしたいと存じます。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 政府の方でそこまでまだ調べておられるかどうか知りませんが、今話に出ました船主側の保険関係の問題、これで今後話し合いをしていく場合に、大体被害額のどの程度までアメリカの保険関係でカバーできるというふうに判断をしておられるかどうか。これは全然そういう方面の実態を精査せずにやるわけにも参りませんし、政府があくまでも責任を持ってやっていくという場合には、向こうの保険関係においてはどういう内容になっておいて、大体どこまでカバーできるのかという、実態についても、十分やはり精査をしておかねばならぬかと思う。同時にその問題と関連をして、先ほど外務省の方でお答えになりましたように、もともとこれは米軍のいわば要請による任務で動いておった船であるからして、従って、米軍の道義的責任という問題で補償の問題をどうカバーしていくか、あるいはどう処理をするかという問題をも全体的ににらみ合わせなければならぬ重要な問題の一つだと思うのですが、その点については実態をどういうふうに把握をしておられますか。
  45. 伊東正義

    ○伊東政府委員 保険関係につきましてまだ幾らというふうに承知しておりませんが、今までの経緯では実はこういうことがございます。漁民が被害額と言いますのは約七億六千ということを言ったことがございます。向こう側といたしましては七億六千をどうしても主張されるのであれば、これは民事訴訟なり裁判でやるほかないのじゃなかろうか、両方で話し合いをしていくということであれば、絶対七億六千ということで固執せずに話し合いをしていくということであれば、話し合いで解決していく方がいいんじゃないかということを先方が言っておることは、それは知っておりますが、先ほど申し上げました保険関係は幾らかということまではまだ私存じておりません。
  46. 西堀正弘

    ○西堀説明員 その点は先方にも調査方を依頼してありますけれども、今までのところ何らの情報も得ておりません。
  47. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほど来水産庁長官の言われておる被害額の問題の算定でありますが、これはやはり今後いわゆる両代理人間で話し合う場合も、この油送船によるところの被害額が総額幾らであるかということが話の出発点になるわけですね。その問題について地元側では約七億円に上る被害額に達しておる、こういうふうに言っておりますし、また水産庁の長官が御答弁になられましたように、県側では数字の異同はあるけれども大体三億六千万程度になるんじゃないか、こういうふうに言っておるわけですね。問題は、あの被害の出た時点における今後のノリの生産見込みというものが何割まだ残っておるのか、こういう問題のいわゆる判断というものが一つやはり問題になる。一体それはあと年産生産額の三割まだ期待できると見るのか、あるいは四割期待できると見るのか、そういうこれからの生産見込みという問題が一つやはり被害算定のポイントになるわけですね。それらの問題も含めて、十分こちら側の綿密な調査というものを、国際関係の問題でありますから、やはり水産庁としては県とも連絡をとり、時期を失しない段階までにぴしっとした資料を整備すべきだと思うのですが、その点の段取りはどう処理されるつもりか。
  48. 伊東正義

    ○伊東政府委員 県の報告は大体六割くらいの収穫が今までにあった。今後の収穫はおそらくあまり伸びないのじゃないかというような前提に立った報告でございます。先ほど申し上げましたように、被害の鑑定につきましては、非常にむずかしい問題がございますので、大学の教授なりあるいは試験場長という人に、名前まであげまして中に立ってもらって調査するというようなことでやった方がいいんじゃなかろうかということを県も言っておりますし、私どもも、そういう方法でやることが、第三者的といいますか、公正な数字が出るのじゃなかろうかと思いまして、その鑑定を待って、その額をもって被害としていくというふうなことにしたらいいんじゃなかろうかと今は考えております。先ほど申し上げましたように、漁民が被害分と言う数字と、県の数字と食い違いがございますが、最後はそういう鑑定人の被害の算定というものが、私はその場合のものを考える基礎となるというふうに考えていったらいいのじゃなかろうかと思いまして、県とも連絡をいたしておるわけであります。
  49. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の被害の鑑定の水産大学の教授あるいは内水面の千葉の試験場長の関係というのは、対アメリカの関係を話し合う前提に立って、水産庁が県側と話し合って取りきめた問題ですか。
  50. 伊東正義

    ○伊東政府委員 これは私ども県の方から報告を聞きまして、それでいいじゃないかということを言ったので、事の起こりは県でございますが、県の話によりますと、日本側の代表者、アメリカ側の代表者両方が、こういう人を選んでやったらいいじゃないかということで大体話し合いがついて、御本人に交渉しようというような段階になっているそうでございます。でございますので、そのイニシアチブをとってやっておりますのは県でございますが、私どもは相談はもちろん受けております。
  51. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 対アメリカの関係では、被害の問題に対して一体何ぼの被害額に評価をするかという問題については、対アメリカの関係の交渉は政府の責任においてやるべきだという私どもの立場から見ても、やはり水産庁が中心になって、今度の座礁によるところの被害が何ぼになるか——もちろん直接的には、県なり地元関係なりが中心になって調査なりをやらなければならぬけれども、権威あるものにするには、やはり水産庁が中心になってこの問題の数字を取りまとめる、こういう気持でやるべきじゃないかと思うが、どうですか。
  52. 伊東正義

    ○伊東政府委員 私の方が直接乗り出しまして、被害がどうという判定をいたしますよりは、私はやはり第三者が入りまして算定したものを両方がとっていくというやり方の方が、両方が納得しやすいのじゃないかというふうに実は思いまして、県がそういう人を選ぼうということについて賛意を表したわけでございます。もちろん私どもは児と一体になりまして、いろいろな交渉に応援をしていくということには変わりございません。
  53. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは対アメリカの問題について、一体今後の見通しとして、いつごろまでに話し合いが妥結するであろうかということは、やはり現地側としては見通しを持ちたいというところであろうと思う。私どもとしても、この問題についてははっきりした数字的な基礎の上に立って、とにかく四月と言わず、五月と言わず、なるべく早い機会に処理をする、こういうことでなければならぬかと思うのですが、今日アメリカの関係の話し合いを進めてみて、早期解決ということでいき得る見通しになっておるかどうか、この辺の判断はどういうふうに見ておられますか。
  54. 伊東正義

    ○伊東政府委員 確かに時期の関係で、国がどういう施策をとるか、県がどういう施策をとるかということが違ってくると思います。それで、私どもとしましても、今先生がおっしゃいましたように、なるべく早く解決しますことが、あとで県なり国なりがやります措置との関係で好ましいことは、その通りでございますので、私どもとしましても、なるべく早く解決することには努力いたしますけれども、今ここで大体どのくらいという時期を申し上げるような段階には至っておりませんが、なるべく早く解決するような努力はいたします。
  55. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 結局、当面災害の生じた現地においては生計の道を断たれたわけですから、従って当面の生活資金の問題、あるいは立ち上がり資金の問題、あるいはまた資材の手当の問題、あるいは清掃の問題、さらには所得の大幅な減少に伴うところの税の負担に対しての減免の問題、各般の問題が当然出て参っておるわけであります。これは災害の場合に罹災民に対していろいろ措置を講ずるごとく、今回の総被害額が幾らになるかという問題については、いろいろこれからの問題で数字を煮詰めるということはありますけれども、一件で五億といい、あるいは六億といい、七億という被害というものは、自然災害の場合でも非常に深刻な被害額ということに相なろうと思う。従ってこういう資金面なりあるいはまた税の減免の問題なりということについては、それぞれ関係方面があるわけですけれども、これはやはり直接的には水産庁が責任を持って各般の問題についていろいろ折衝もし、また県あるいは関係市町村、沿岸漁民、こういうものの要望等も十分判断をしながらやっていかなければならぬ緊急の問題だと思うのですが、これらの問題について今日どういうふうに進めていくのか、その点を一つさらに明らかにしていただきたいと思います。
  56. 伊東正義

    ○伊東政府委員 この前も申し上げましたように、一体被害は幾らになり、どういう対策を国としてやり、県としてやったらいいかという仕分けをして、県から持ってきてほしいということを言っておりまして、出てきましたのが実は今週でございます。それを見ましても、先ほど申し上げましたように、貝類の購入資金は県によるとか、国では全損した資材の購入資金とか、いろいろ仕分けがなされておるわけでございます。これは原因がはっきりしておりますので、原因を起こした人にどの程度持たせるか、あるいは国なり県なりがどの程度応援をするかということにつきましては、もう少し時間をかしていただきたい。県はさしあたりの若干の見舞金を出していくというようなことになっておりますが、私どもは県から仕分けしたものを受けまして大蔵省に報告だけしておりまして、まだ要求という段階に至っておりませんが、この中で考えられるものは国としてなるべく早く要求をしたいというふうに思っております。
  57. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 さらに時をかしてもらいたいという長官のお話でありますが、水産庁としてこれとこれはぜひ一つやりたいというふうに考えておる内容は、どういうことですか。
  58. 伊東正義

    ○伊東政府委員 先ほどから申し上げておりますように、実は片方に幾らで示談になるかというようなことも進んでおるわけでございます。それとの関連もありますので、実は今ここではっきり国としてこうだということを申し上げかねるのでございますが、過去においてやりました事例等は、たとえば種苗の購入に補助金を出したとか、あるいは漁場清掃という意味で出したというような例はございます。例はございますが、今ここですぐに国としてこれとこれは必ずやりますというふうに申し上げるには、もう少し時をかしていただきたい。これは県とよく相談をし、大蔵省ともよく相談して、また御返事を申し上げたいと思います。
  59. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 当面の生活資金あるいは立ち上がり資金というふうな問題については、これは対アメリカの関係の話し合いの示談がまとまるまでというふうにゆうちょうにかまえるべき問題でない、緊急の問題の一つだと思います。この点はどうなんですか。
  60. 伊東正義

    ○伊東政府委員 これは組合組合で清掃資金も借りるという計画があるということは私も聞いております。生活資金につきまして、実は御承知のように自作農資金的なものも水産庁にはございません。また自作農資金的なものも、これは大体天災の場合に出しておるというようなことでございますので、天災融資法等もまたしかりでございまして、国がそこまで今すぐめんどうを見るということはできませんで、実は県がその日の生計費になるというふうなことを早くしようということで、貝類の解禁日を早めて貝類の漁獲を早めるというようなことをやっておるような次第でございます。
  61. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 災害の場合は、御承知のようにノリの災害等が生ずると、これは被害額の三万円以上という一つ限度がございますけれども、それ以上のものについての資材復旧については、これははっきり伊勢湾以来助成の道を開いてきておるわけです。こういう問題等とも関連をして、やはり水産庁としては今回の問題は、これは人為的な災害であるけれども、しかし気持として関係漁民に対する今後の再建の問題を水産庁としてどう考えていくかというその対策の基本方針としては、やはり天然災害と同じような気持で、罹災民のこれからの立ち上がりについても十分万全の措置を講じてやるということでなければならぬのじゃないか。県側の仕分けをしたものを待つ、あるいはいろいろ折衝部面があるから、さらに時をかして下さい、実際の事務的な問題として私は答弁の内容は十分わかります。しかしやはりもう二月十四日に被害発生の原因がありましてから相当に期間もたっておる。今のような状況でいきますと、やはり直接災害を受けた沿岸漁民の立場というものを考えますと、なかなかじんぜん放置できない現状だというふうに思うわけです。こういう問題については先ほど来もいろいろ指摘をしました点等について、水産庁は対アメリカの関係の問題は対アメリカの関係の問題としてすみやかにやっていくけれども、同町並行的に水産庁としてやらなければならぬ諸般の問題については適時適切に措置を講じていくということで誠意を持ってやってもらわなくちゃならぬのじゃないか。資金の問題もありましょう。あるいは税の減免の問題もありましょう。その他各般の今後のノリ生産に対する態勢整備の問題もありましょう。こういういろいろな各般の問題について、現地側の暗い気持になっておる沿岸漁民の方々が十分明るい見通しと展望の中で今後の仕事に励んでいくという態勢をやはりすみやかに作らなければならぬのじゃないかと思うのですが、そういう点どうです。
  62. 伊東正義

    ○伊東政府委員 おっしゃることごもっともでございまして、私どもとしましてもたとえば系統金融で幾らくらい借りたいというようなものが具体的に出てくれば中金に話すとか、そういうようなことはいたしたいと思っております。ただ、まだ県からまとめてこうというような金額について報告がございませんので、水産庁自身としてそこまでやっておりませんが、私どもとしては先生のおっしゃるようなことはよくわかりますので、具体的な金額その他が出てきました場合に、今の法律なり行政なりで許された範囲のことは私は最大のことをいたそうと思っております。ただ先ほど申し上げましたように、片方でいろいろ損害額を算定しまして幾らということをやり、それが一体どの部分に充てられるだろうかということの話が進んでおります際でありますから、国としてどこまで進んで、おれの方はこれとこれをやるんだということをちょっときめかねる問題がございますので、まだ大蔵省等に具体的な金額をはじいて要求はしておらないのでございますが、県からも今週になって数字が出て参りましたので、なるべく早く数字をまとめまして大蔵省とは話し合いをいたします。
  63. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本問題については過般の委員会でも取り上げましたし、さらに最近の情勢について水産庁、外務省等から経過並びに今後の考え方について承りまして、先ほど来申し上げておりますように、対アメリカの関係についてやはり米軍の道義的責任という問題も考えながら、単に船主それに伴うところの保険会社との双方の話し合いということにとどめることなく、対アメリカの関係についての相対としての法的・道義的責任の問題についてやはり十分責任を果たしてもらうということが、単にこの限定された問題だけではなしに、日米間の長期にわたる友好関係という問題からも非常に重要なことだというふうに思いますので、特にこの点については、外務省の方で責任を持って米軍の関係についても、あるいは大使館を通じてのアメリカ側の船主、あるいは保険会社の関係についても、問題の処理に当たっていくように努力を願いたい。同時に水産庁の関係については、対アメリカ関係のインタロゲーション・マークというものがありますけれども、しかし問題はそういうところまで時日を待っておるわけにいかない非常に深刻な問題でありまするから、県あるいは関係市町村、関係漁業協同組合、沿岸漁民、こういう関係の、実態の上に立って適時適切に、打たなければならぬ問題については、その問題の手を打っていく。最終的なそれぞれの出した金額その他についての処理をどうするかという問題があとに残っても、しかし当面打たなければならぬ問題については次々手を打ちながら、その手を打つ場合の双方の了解事項というものについては、場合によってはこういうことで最終的には処理をするのだということがあり得ましても、手はおくれてはならないというふうに思うわけであります。その点について、さらに水産庁の今後国内問題としてのこの問題に対する対策に遺憾のないようにしてもらいたいというふうに希望いたしまして、私の質問を終わります。     —————————————
  64. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 米海軍との契約に基づく油槽船の座礁による千葉県下におけるのり等の被害の対策に関する件に関し、角屋堅次郎君から発言を求められております。これを許します。角屋堅次郎君。
  65. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいま委員長からお示しの、米海軍との契約に基づく油槽船の座礁による千葉県下におけるのり等の被害の対策に関する件について、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党の三党を代表いたしまして、決議案を上程いたしたいと思います。  まず案文を朗読いたします。    米海軍との契約に基づく油槽船の座礁による千葉県下におけるのり等の被害の対策に関する件   本年二月十四日午後九時四十分頃千葉県富津町沖合で座礁したアメリカ海軍との契約に基づく油槽船イーグル・コーリヤ号の流した油による千葉県下関係沿岸地域におけるのり等の被害額は、満額にのぼり関係漁民の窮状は放置出来ない現状にある。   よって、政府は、左記事項について適切なる措置を講じ関係漁民の生活と今後の再建に万全を期すべきである。    記  一、アメリカ側に対する損害の賠償交渉は被害の実態に則して速かに解決するよう努力すること。  二、関係漁民の当面の生活資金、立上り資金、漁場の清掃、資材対策、税の減免等については天災に準じて適切なる措置を講ずることも   右決議する。  以上でありますが、本決議案については、先般の本委員会においてもこの問題を取り上げましたし、本日さらに委員会のお許しを得てこの問題を取り上げたわけでありまして、実態については各委員承知通りであります。特に第一項の対アメリカの交渉の問題については、すでに御承知通り、日本の外務省、農林省等がアメリカ大使館を通じてアメリカ側に、単に今回の被害に対する賠償、補償ということだけではなしに、長期にわたる日米の友好関係、こういうことも十分配慮して、すみやかに善処するよう交渉が進んでおるわけでありまして、これらの問題については今後とも政府が中心になられまして対アメリカの関係については、被害を受けた沿岸漁民の要請に十分こたえる立場で解決するように努力を願わなければならぬ、かように考えるわけでございます。  第二項の問題は、対アメリカの関係の問題については半期に解決する方向で努力をされるわけでありますが、若干時間的な間合いがあるということを理由にして、当面の緊急対策を怠ってはならないと思うわけでありまして、この点については、農林省の水産庁が特に中心になりまして、県関係、市町村関係、漁業協同組合、特に直接被害を受けた沿岸漁民の諸種の要望の点、つまりここに書いてありますように、当面の生活資金、立ち上がり資金あるいは漁場の清掃、資材対策、税の減免等の各般の問題につきまして、これは人為的な災害でありますけれども、天災の場合にはいろいろあたたかい各般の措置を講ずるということに相なるわけですが、この問題の処理にあたっては、やはり天災に準じた気持をもって、誠意をもって適切な措置を講ぜられるように強く要望いたしたいと思うわけであります。  本問題は千葉県下の関係漁民としては深刻かつ緊急な対策を急がれておる問題でありますので、何とぞ委員各位の御同意を得て満場一致御可決ありますように希望いたしまして、提案の理由の説明を終わります。(拍手)
  66. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 お諮りいたします。  ただいま角屋君から提案されました決議案を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました。決議の関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、ただいまの決議に対する政府の所見を求めます。政務次官。
  69. 川村善八郎

    ○川村(善)政府委員 油の流出によってノリの被害を受けた漁民に対しましては、まことにお気の毒にたえません。政府といたしましては、できるだけの努力を払いまして皆さんのこの決議に沿い、善処いたしたいと思います。      ————◇—————
  70. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 足鹿覺君。
  71. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、三つばかりの問題について、当面する緊急問題をお尋ねいたしたいと思うのですが、一つは大豆の輸入自由化に伴う国産大豆、菜種の保護対策であります。第二の問題は、ビールの需要増加に伴う国産ビール麦の増産対策と、業界が最近要請していると伝えられる麦芽の輸入問題であります。第三は、本年度予算に計上されております三十億の麦転換奨励金をめぐる問題であります。これに関連いたしまして国内産の麦についてお尋ねいたすつもりでありますが、時間の都合もあるようでありますから、最初に麦芽の輸入問題に関連をいたしまして、経済局長並びに関係当局にお尋ねをいたします。  最近ビールの需要が著しく増大をいたし、国内のビール麦の増産がこれに伴わないようであります。この原因については後ほどいろいろ申し上げたいと思うのでありますが、当面伝えられるところによりますと、業界筋において約六万五千トンの麦芽輸入の計画を立て、非公式に当局と折衝を開始しつつあると伝えられておりますが、六万五千トンと申しますと、トン二十五俵に換算をいたした場合、約百四十万俵に当たる膨大な数量に上るものでありまして、これは国産麦の問題としましてもきわめて重大な関係を生ずると思うのであります。そういう見地から、そのような業界の要望は当局としては受けておられますかどうか。この際関係局長からその内容等について明らかにしていただきたいと思います。
  72. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 ビール用の麦芽の輸入問題につきましては、先ほども御指摘でございますが、麦芽の輸入の問題は私のところが窓口になりまして、貿易関係の仕事をやっておるわけでございますが、私ども何らそういう話は聞いておりません。
  73. 足鹿覺

    足鹿委員 正式の申請はないとの旨でありますが、非公式にも全く話をしておられないのでありますか。伝えられるところによりますと、六万五千トンは少し多過ぎる、三万トン程度というような話も出ておるように灰聞いたしておるのでありますが、そういうことはないのでありますか。また、それに関連をしまして、今後そういう申請が出てきた場合に、当局としてはどのように対処される御所存でありますか、それもあわせて伺っておきたいと思います。
  74. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 あるいは貿易輸入の外割申請というような問題でございまするから、ビール会社、ビール協会等から係の方に、いろいろそういうような陳情とかなんとかいうようなことがあるかもわかりませんが、それは普通の仕事のことでございまして、モルト等の輸入という問題につきましては、昨年以来ビール会社等も年々設備を拡充いたしまして、そして国内産麦を使う、こういう方針で参っておるのでございまして、この点については、私どももそういうビール会社の考え方についても確認をいたしておるわけでございます。そういう事情からいたしまして、まだ具体的にどれだけ足りないかとか、あるいはどれだけ輸入したらいいじゃないかというような話があるということは、私も部内でも一つも聞いておりません。
  75. 足鹿覺

    足鹿委員 三十六年度に三万五千トンの麦芽を輸入しております。その際に、来年からは輸入しないでいこう、そういう考え方に立って大規模の施設の増強、ビールの需要に備えて施設の増強が非常に進んできていることは、先ほどの局長の御答弁でもうかがえますが、増強はしても国産麦を中心にやるのだ、こういう約束が行なわれて今日に至っていると聞いております。しかるに、六万五千トンという膨大な数量を、非公式にもあれ、出してくるということについて、これは振興川の所管の国内麦の対策の面からも重大な関係が出てくると思いますが、昨年麦芽輸入の際に話し合った線を堅持して、国内のビール麦対策、また小麦対策等を中心に、この際積極的な増産態勢を整える、増産するために必要な諸条件をこの際解決していくべきではないかと考えられるのでありますが、両局長から、これに対する所見を伺いたい。
  76. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 御趣旨通り、できる限り麦の転換という点もございますので、国内産で、ヒールの原料はまかなう、こういう方針で原則的に考えております。仰せの考え方は私もその通り考えております。
  77. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいま経済局長から御答弁がありましたように、三十七年度においては、できるだけ自給するという前提で施設の増設につきまして指導をいたしますほかに、国内産麦についても、ビール用麦の増産をはかるべきである、こういうことで各県にも指導いたしまして、今お話になりましたようなことで努力いたしているわけでございます。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 経済局長は急いでおられるようでありますので、少し質問がつじつまが合わず前後になると思うのですが、あなたの所管を先にお尋ねをしておきます。  ビール麦問題の解決のために、従来から当委員会は相当の時間を費やして努力してきているのでありますが、御存じのように系統共販が始まって、一方麦耕運を中心とする従来からの契約取引があって、これをめぐって幾多の紛争が続けられ、今日まで指導費の系統共一版に対する未払いの問題等もいまだに解決されないままになっていることは御存じの通りであります。そういう中にあって、最近麦耕運の主要なる幹部の人々が、たとえば栃木の会長のごときが、寿屋商店のビール会社創設について重役に就任をするとか、あるいは栃木県の芳賀郡の水橋農協の組合長が、これまた前同様のその創設に参画し、役職につくというような事態が発生しまして、過般ビール麦生産者代表から質問書を提出して今日に至っておるのであります。申し上げるまでもなく、農協法四十二条の二に基づきまして、競合役員の禁止条、項があるわけであります。一方においては麦耕運の会長またはその要職にあって、ビール会社と契約栽培の当事者でありながら、また一方においてはビール会社の役職につくということは、四十二条の二によってこれを禁止しておることは御案内の通りであります。これらの点についてこのまま放任しておかれる所存でありますかどうか、この点を伺っておきたいのであります。
  79. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 御指摘の問題でございますが、麦耕運といいますのは、御承知通り農業協同組合法の協同組合じゃございません。ですから、麦耕運の関係の者が別の加工の会社とどういう関係になりましても、これは別の問題でございまして——あるいは御質問の誤りでありまして、農協中央会とか経済連とかそういうようなところの役員も兼ねておる、こういう問題じゃないかと思いますが、そういう事実が、一、二全国的に見ますとございますので、こういう問題がはたして協同組合の今後の姿としていいのかどうか、これは十分検討しなければいかぬ問題だと思っております。しかしながら、ある状況を見まして画一的にこれを、やるのがいいかどうかという点についても、いろいろ問題がありますので、私どもといたしましては実態を十分一つ調査しまして、そして、ものによって非常に弊害のあるようなもの、あるいはほんとうに違法であるというようなものにつきましてはきちんとした措置をとりたい、こういう工合に考えております。
  80. 足鹿覺

    足鹿委員 先刻私の言葉が足りなかったのでありますが、麦耕運の栃木の会長は栃木県農協界の重鎮といわれ、中央会、経済連等の会長も兼務しておられるやに聞いておるのであります。特に経済連なり中央会の会長という立場は非常に重要な立場でありまして、それが一方においては系統共販を進めつつある中にあって、みずから麦耕連の会長をやり、しかも中央会は農協運動の中枢神経の立場に立って、農協運動の健全な発達振興をはからなければならない重要な役職であるわけであります。ただ単なる簡単な役職ならばともかくも、ビール会社創設の重要な役割を果たし、しかも役についておるということは、画一的であろうと個別的であろうと、農協法の禁止規定に触れることは明白といわなければなりません。いわんや今までこの委員会でたびたびビール麦問題について論議がされ、参考人等もしばしば出席を求めて検討されてそして全中対ビール協会長の間に正式な解決のための契約が行なわれても、それがいまだに実行されておらないというような紛争のさなかにあるわけであります。従ってほかにも例はあるのでありましょうが、そういう経緯から見て、この問題を今の局長の御答弁のように放任されるということについては、私は納得がいかないのであります。画一的という言葉でありますが、画一的であってもなくても現実にそういう重大な立場の人が法にもとる行為をしておるということについては、早急に適切な措置を講ずべきであると思うのでありますが、講ずるための御用意があるかどうかということをこの際明らかにしていただきたい。すでに質問書も以前に出ておるわけですから。
  81. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 放任するつもりはございません。ただ実態をよく十分調査いたしまして、それに応じまして適切な措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。  お言葉でございますけれども、たとえば協同組合が自分の系統販売の一つの終末といたしまして、場合によったら系統販売をやったものについての加工設備につきまして別の会社を作る、その場合には別の会社に重役に入るというような場合も例によってはあります。いろいろそういう問題もあり戻すので、これはほかの会社の重役になったからといって、はっきり違法だといってきめつけるのがいいかどうかというような問題もありますので、実態を十分調査いたしまして系統運動として適当でない、こういうふうに考えました場合には、一つ十分適切な措置をとりたいというふうに考えております。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 私が申し上げておるのは農産物を加工する企業あるいは事業を興す場合に、相互がよく話し合いをして健全な農業の振興に寄与する、そういう見地から行なうものについて言っておるのではありません。現に系統共販を敵視しておるビール協会——いずれまた新しく創設される企業もこの協会に加盟所属されることは明らかであろうと思うのでありますが、友好関係の上に立って相互が契約栽培のほんとう目的を達成していくということでありますならば、私があえてこれをここで取り上げる必要もなかろうと思う。しかし先ほどから申し上げておりますように、話し合いをしても公取から注意を受けても契約を結んでも一つも誠意を示さずに今日まできておる今のビール企業の団体側の問題のある企業に協力をしていく、そしてその役職に就任するということは常識的に言っても——そのこと自体をあなたに追及しておるのではなくて、政府は調査するまでもなくそれはよく知っておられるはずなんです。これらには相当の措置を加えて、そして反省せしめていかなければならない。政府には農協運動の健全な発展のために責任があるのではないかと私は申し上げておるのでありまして、調査をしてからだというようなことでは納得ができません。その点に限って少し御答弁を願いたいと思います。
  83. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 いろいろ今後にも影響する問題でもございます。実態を慎重に調査いたしましてやるなら適切な措置を講ずる必要があろうと思いますので、先生のおっしゃる前の実態につきまして、たとえば栃木の例で申し上げますと、麦耕運の会長と中央連の会長とを兼務しておるのがはたして違法であるかという問題が前にございました。そういう問題につきましては実態の調査をし、いろいろ法律論も検討いたしたのでございますけれども、なかなかこれについてそう簡単に踏み切って違法だとか違法でないとかいうのがはたして適当であるかどうかという点について疑問がございましたので、そのままになっておったわけでございますけれども、最近のそういう新しい会社を作ってそれに重役として入るというような問題につきましては、新しい事態でもございますので、前の問題とも関連をいたしまして、一つ十分慎重な態度を考えたいと思っておるわけでございます。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 それではその程度でしまいましょう。よく調査をして適当なときにまたその結果に基づく当局の態度をこの委員会あるいはその他の場合において伺うことにいたしまして、あなたはもうよろしい。  これに関連をいたしまして振興局長にお尋ねをいたしますが、先ほどの答弁では、増配態勢を十分整えて善処するということなんですが、その内容は言われてないと思うのです。ビール麦というものはなかなか作りにくい、反収もそう上がらない。四百円足らずの加算金では企業体の要求に基づて増産態勢は私は困難だと思う。いわんや、先年来ビール麦紛争の際にビール協会所属の会社が穂麦を適期に配給をしないというような容易ならぬ非合法の態度をとったことは御案内の通りであります。種麦なるものは、御存じのようにA地からB地に一等麦を移して、それを種麦として配付しておるにすぎない。何も採種圃を設けて厳重な肥培管理によってできた、精選された種子を穂麦としてビール麦に使っておるのではない。普通にビール会社が栽培したものの中から、A地からB地に移す、B地からC地に移すというにすぎないのであります。結局ビール会社のきめた、しかも普通に栽培したものを種麦として配給しておるにすぎない。これでは国内の増産態勢というものには非常に遺憾な点が今後出てくると思うのであります。その倒伏性の問題あるいは連作をきらう性質の問題等、もっとその品種の改良と改良された品種に基づく採種事業等について国が積極的な対策をとらない限りなかなか増産は思うように進まない。従って年々膨大な麦芽量を輸入しなければならなくなる。施設はすでにできております。従って国産麦に依存するよりもむしろ外麦に依存を一するという結果になってきまして、裸、一般大麦等は減産はしておりますが、小麦、ビール麦等はやや増反の傾向をたどっておる今日、あなた方はもっと重点的に対策を講ずる必要が今まであったのではなかろうか。それは今さら返らぬことでありますが、その事案にかんがみて今後どういうふうな対策を講じようとしておられるのか、その点をこの際はっきりしていただきたいと思うのであります。
  85. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 従来ビール原料用としての麦芽並びに原料麦の生産量も、全体の大麦の中からいいますと比較的割合が少なかったわけでございます。そういうような経緯もありまして、ビール会社が種子については原々種を用い、さらにそこからできたものを農家に契約栽培を通じて流しておるというような事情にあったことは御指摘通りであると思うのであります。しかしながら、最近におきまするようにビールの需要量がきわめて急速に伸びて参り、またそれに必要な原麦も相当量に上がってくるような事態になりまして、その結果輸入量に待つというようなことは、これは国内において生産が十分できるわけでございますから、われわれとしてはそういう方向で今後やっていかなければならない、こう考えて、方針としてはそういう措置をとっておるわけでございます。そこでだんだんに国内におきまするビルー原麦の増産が必要になって参りますし、また麦自身についてもいろいろ問題があるわけでございますので、農林省といたしましても従来の会社の種子配給にまかすという方法から、この際政府としても農林省としてももっと強力に出るべきではないか、こういう考え方を持ってはおるわけでございます。そこで三十六年度予算におきましても、栃木県の試験場あるいは鳥取県の試験場におきましては、特に東と西を代表いたしましてビール用麦の指定試験を行なうということにいたしたわけでございます。今後におきましても、やはり種子の面におきましては各県の試験場もあるわけでございますから、そういうところで原植樹くらいは作り、また採種組織につきましても、一応麦についての採種組織の助成もいたしておるわけでありますから、問題はそれに合うような指導体制をだんだんに作り上げていくということが一番必要であろう、かように考えておるわけでございます。またそれに相呼応いたしましてビールの需要量の測定というものもなかなかむずかしいことでございますけれども、前広に、生産の目標というものも農家の方に来年度の作付前において示して、どのくらいの所要量があるのだろうというようなことも指導して参る必要があろうということで、せっかく今振興局の中におきましても対策を検討いたしておる次第でございます。
  86. 足鹿覺

    足鹿委員 一方においては、麦の減反問題が起きまして、食糧庁長官あるいは振興局長名をもって事実上半強制的とも思われるような減反が指導されてきた。三十六年度予算には三十億の予算を計上し、転換については反当二千五百円の転換奨励金を支出するということがきめられておりまして、たまたま麦特別措置法が流れたことを理由にして、その転換奨励金が宙に浮いた姿になって年度末になってもそのまま放任されておる。従来政府が指導してきたその内容を見ますと、麦の転換奨励金を出す、もし遺憾な点があると転換奨励金は戻させるかもしれないというような意味の通牒を法律制定以前からあなた方は出しておる。その資料はたくさんありますけれども繁雑でありますから避けますが、たまたまその法律が流れた、こういう事情にある。法律が流れたから転換奨励金は出さぬのだ、あるいは渋っておる、こういう事情のようであります。大蔵省当局もおいでになっておるようでありますが、従来の政府の指導方針というものは、転換奨励金を出すという前提に立って次官通牒、食糧庁長官振興局長通牒等がずっと出てきておるのです。ですから法律が流れたからということは理由にならぬと思うのです。農家はそれを信じて減反をし、そして小麦、ビール麦、その他の作物に転換をしておるのであります。ですからもしこれを打ち切るということになりますと、重大な背信行為であり、そのことは農民の政治に対する不信感にもつながり、今いかように振興局長が申されましても、必要なものの増産態勢を進めていく上においてもなかなか支障になろうかと思います。この点は機械的に考えるのではなくして、ほんとうに農民の気持もよくくみ、取って善処すべきものだと私は思うのであります。この点について大蔵省の担当者としての相沢主計官等の考え方もこの際明らかにしておきたいと思う。  麦の措置法が流れましたのは、あれは食管法の規定に基づくところの無制限買い上げを制限をしたり、あるいは価格決定についてもその規定を打ち消すような面がありましたので、これは当委員会としては、皆さんが通過せしめ得ざるものとして流れたものでありまして、それは国会の意思であります。それは麦の転換奨励金を出すなという立場でこれが審議未了になったものではないと心得ます。にもかかわらず、現在のままではまことに困ります。のみならず、国産大豆、菜種の保護措置としても、あとで伺いますが、法律によらないときから——三十五有産の大豆、あるいは二十六年産菜種等についても、法律によらざるところの行政措置によって交付金等が支払われておる実績もあるのであります。にもかかわらず国産麦を奨励し、必要な小麦、ビール麦等の増配をはかっていかなければならないこの段階において、法律が流れたから奨励金を打ち切るということは、いかような立場から考えましても農民は納得いたしませんし、一般国民も納得がつかないと思います。なるほど国の財政をあずかる立場大蔵省とされましては、法律によるんだという一応の建前をとられるということも、その立場においてはあり得ると思いますが、従来の経過から見て私はそれは妥当でない、かように思うのでありまして、現在、三月ももうすでに半ばを過ぎんとする今日、この問題をどう処理されようとしておりますか、食糧庁長官なり大蔵省当局の見解を明らかにしていただきたいと思います。
  87. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 足鹿先生のおっしゃることよくわかりますけれども、先般私からもお答え申し上げたと思いますが、あの麦の法律は食糧管理法で言っております無制限買い入れあるいは価格のきめ方というような点をも含めて麦の転換奨励金を出す場合の一つの体系としてああいう法律の御審議を願ったわけでありまして、それだけを切り離して転換奨励金を出すというようなことは、法律が流れました現在はとりにくいと思います。またああいう措置が一貫してとられないで転換奨励金だけ出すというようなことであれば、むしろ転換奨励金によってその効果が確保されるというようなことにも問題がありますし、事態が今おっしゃったような経過でございますけれども、法律が通らないということで三十億の予算がせっかく組んでありますけれども、私どもとしましては最初考えたような使い方をすることはできないというふうに考えております。
  88. 相沢英之

    ○相沢説明員 大蔵省としてもただいま長官から御説明になりましたのと同じ考えでございます。
  89. 足鹿覺

    足鹿委員 昭和三十五年十月の食糧庁長官名及び三十六年八月の農林次官名による通達また振興局長名による通達等について考えてみますと、行政指導でもってすでに麦の減反をあなた方はおやりになった。その背後には反当二千五百円の麦奨励金を交付するということをあわせてこれらの通達は出されておるのであります。従って、三十六年八月には閣議においても了解をされております。そういう前提に立ってやっておきながら、麦措置法が流れた、それを理由として、昭和三十九年において二十六万町歩を減反をするという目途のものが、すでに三十七年度では完全にあなた方の目的を達成する減反実績が上がりつつある。見方によっては三十六年度まきつけのものでももうすでに目的を達成しておるという実績が上がっておるではありませんか。あなた方がいかように考えられましても、あの麦の暫定措置法には決して転換奨励金をこの法律に基づいて交付するのであるということはうたっておりません。どこにそういうことが書いてありますか。あの法律目的とするところは、先ほども私が申し上げ、長官からも御説明のありました食管法四条に基づくものを打ち消すための主たる目的がそこにあった。法律々々と言われますけれども、どこにも書いてないじゃありませんか。あなた方は行政措置によってすでにスタートをし、その指導をしておられるではありませんか。常識的に考えられて、今両者から御答弁になったことは、この委員会を通じて全国の農民は聞いておりますが、そういうわずか三十億の金をそういう理由にならない理由をもってこれを返還あるいは打ち切るというようなことは、口に麦の増産態勢を一方において作ると言いながら、農民を欺くものといわれても弁明の余地は私はないと思います。これはさらにあなた方の御答弁を求めますが、重要な問題でありますので、農林大臣あるいは大蔵大臣の御出席を求めて私はこの問題を明らかにしていきたいと思う。法律のどこにもそういう条文はございません。にもかかわらず法律が流れたから、こういうことは私は理由にならぬと思います。法律を作る前からあなた方は行政措置でちゃんと通牒にもうたって、その取り扱いの上においても、もし間違ったことをやった場合には奨励金の返還を求める場合もあり得るというような事項を記載して、そして各都道府県当局に対し、あるいは農業団体に対して転換の協力を求めておられる事実がある。どう考えてみてもこれは立場の相違ではなくして、あなた方のとっておられる措置が正しくないと私は思います。私は決して無理な追及をしておるとは思いません。御一考になって、この問題に対して事務担当者として善処される御意思があるかないか、重ねてお尋ねを申し上げておきたいと思います。
  90. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 重ねてのお尋ねでございますけれども、私ども現段階としては、先ほどお答え申し上げたようなことに尽きると思います。
  91. 相沢英之

    ○相沢説明員 同じ考え方であります。
  92. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほども申し上げますように、この問題は重要な問題でありますので、次の機会に農林大臣と大蔵大臣の御出席を求めまして、国務大臣としての責任を私は追及いたしたいと思いますから、さような機会をお作りいただきますようにお願いを申し上げておきまして、事務当局に対する問題に対する質疑をこの際打ち切っておきますが、大臣質問として留保しておきます。  いろいろ申し上げたいと思いますが、もう一つだけ麦の問題についてお尋ねをして、次に国産大豆、菜種の保護対策について伺って私の質疑を終わります。  先ほど麦転換奨励金の問題に入りましたので、質問が前後いたしますが、ビール麦の場合——これは振興局長のみならず、食糧庁長官にもよくお聞き取り願って御答弁願いたいのでありますが、ただ単に種子対策についてのみ私は御質問申し上げておるのではありません。取引条件の問題、価格の問題等は、これに関連してきわめて増産上必要な条件だと思います。ところが、先ほども申し上げますように、ビール麦の加算額というものはきわめて少ない。三等建値で一斗四百円程度であります。平均反収は五・六俵という程度でありまして、農家としても採算の合う作物とはお義理にも言えたものではありません。しかし従来からの慣例に基づきまして、契約栽培ということになっておりまして、そこに安定した取引が行なわれるために、農家もこれに応じて今日にきておるのであります。この価格問題につきましても、昭和三十七年産のビール麦加算につきましても従前通りと伝えられておりますが、そのようなことではたして増産が可能であるかどうか。先ほども増産ができないという理由によって麦芽の輸入を一方において申請をする。これで圧力をかけながら価格は現行で押えていく、こういう協会が話し合いをして、この物価高のときにこれを低価格で押えて、そうして足らぬ足らぬといって麦芽を入れる、こういうことが循環をしてきた場合に、問題は増産に影響しないでは済まぬのであります。この点について食糧庁当局なりまた振興局は、中心の所管局としてどのように考えておいでになりますか。この点が一点であります。  これに関連をしまして取引の問題でありますが、契約栽培という特殊の形をとっております。麦耕運を中心にする契約栽培と、先年から出発いたしました系統農協の共販というものと、二本建になっているようであります。これは農協内部の問題ともいえますが、麦耕運の会長が経済連の会長をしたり、みな重複しておるようで、全くこれは農協内部の問題でもあることは事実でございますけれども、農林省の指導方針とされまして、ビール会社なりあるいは系統農協なりというものに対して、契約栽培を今後やはり続けていくものだといたしますならば、どのような契約条件を適当とするかということについては、行政指導の面からももっと注意を払い、著しく不当な現状でありますので、ある程度は行政干渉というと言葉が過ぎますが、積極的に適正な契約条件が結ばれるような御努力なり責任があるのではないかと私は思うのであります。従来からのことをしばしば申し上げて重複をいたしますが、指導費の問題をめぐってもいまだに解決がしておらない。これはもうほんの一端であります。こういうことではなかなか、種子の対策ができたにいたしましても、価格、取引条件の問題が適正に解決をされない限り、国内産麦の、特にビール麦の増産態勢というものは進まないと断ぜざるを得ないのであります。この点について長官なり局長のお考え、また当局としてとらんとする対策がありますならば伺っておきたい。
  93. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 二点御質問になりましたあとの方からお答えいたしたいと思います。  原料麦の取り扱い団体が御指摘のように二つの団体で、経済局で扱っております。その間にいろいろトラブルがあることは御承知通りでありますが、今お話の中にもありましたように、われわれといたしましては、いずれも農業団体でありますので、できるだけ両者において円満な解決ができるようにということで一貫して、経済局で指導して参ったわけでございます。われわれといたしましても、今後量がふえますから、従って量がふえるに応じまして、だんだんとその問題は解決していくだろうと思っておりますけれども、何しろ農業団体間の問題で、末端は単協が一つになって、それが二つに分かれておるわけでありますから、その間において一日も早く円満に調整ができるようにということを願っておるわけであります。昨年度におきましてもこの間におけるトラブルを、私の方においても間に立ちまして、輸入量の調整と相関連いたしまして、全販連の希望数量というものと系統団体の扱い数量につきましては、一応両者並びに会社間におきまして円満なる解決を前提として輸入の調整をするというような措置をとりまして、三十六年度におきましてはそういう方法で大体問題なく推移したわけであります。今後におきましてこれを一元的にやるかどうかということにつきましては、できれば一元的にやることが望ましいというふうに考えておりますけれども、団体間の問題でもありますし、また会社との関係もあるようでございますので、十分経済局とも相談いたしまして、円満にいくように努力いたしたいと考えております。  それから契約条項についての干渉ということにつきましては、これはやはり団体と会社との関係でございますので、その間に非常なトラブルでもあるとか、行政上指導すべき点があるというようなことがありますれば、昨年度のようなこともございますので、積極的にこういう条件でなければならぬとかなんとかいうことまではなかなかいたしかねると思いますけれども、その間においていろいろ問題がございまして、行政庁が介入すべきものもあるというような場合におきましては、われわれも十分慎重に配慮いたして参りたい、かように思うわけでございます。  それから、同様な問題に関連いたしまして、今奨励金の問題について御指摘になったわけであります。これも従来は会社と契約農民との間におきまして、当事者間にまかせられておったわけでございます。今後量がふえる、またそういう方向で増産を指導して参るということになりまして、なかなかビール麦の生産につきましてはいや地があり、技術的にもいろいろ制約があったり、そういうことで従来とも契約栽培という形をとっておったと思うのでありますが、それが一つの、要素としては、価格問題、奨励金問題というものも大きな要素になろうと思いますけれども、いろいろ技術的な面もありますので、原則は、やはり当事者間におきまして合理的な価格、奨励金をきめてもらうというように原則はあるのじゃなかろうかと思いますけれども、なおその点につきましても検討いたしてみたいと思っております。
  94. 足鹿覺

    足鹿委員 これは相沢主計官に伺うのは筋違いかもしれませんが、たしか主税局の所管だろうと思うのですけれども、麦芽輸入については、大蔵省は積極的な態度で、全量輸入によって確保すべきだという態度だと伝え聞いておるのです。それはたくさん作ればたくさんビールの税金がとれる、こういう見地から考えておられるということを聞いておりますが、あるいは筋違いで御迷惑かもしれませんけれども、いかがでしょうか。
  95. 相沢英之

    ○相沢説明員 私、ビールの方のあれはちょっと所管外でございまして、また麦芽の輸入問題に関して従来からの話をよく聞いておりませんので、ちょっと答弁は差し控えたいと思います。
  96. 足鹿覺

    足鹿委員 ちょっと筋違いでありますので、これは主税局長にこの次の機会に御出席を願ってお尋ねをいたします。  最後に、大豆の輸入自由化に伴う国産大豆、菜種の保護対策であります。これはしばしば当委員会なり予算の分科会等において論議がされ、政府においてもいろいろと検討されておるやに聞いておるのでありますが、三月八日を一つの転機として、三十五年産大豆、三十六年産菜種については交付金を交付する、こういうことに農林省の態度がきまり、具体的な措置が講じられたと伝え聞いております。しかるところ、いまだに交付される気配がない。その原因は一体どこにあるのでありますか。その原因があるならば、遅滞なく排除して、まず三十五、六年大豆、菜種の問題だけにしぼってでも始末する、これを促進する責任があろうかと思いますが、その後どうなっておりますか。
  97. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 三十五年産大豆あるいは三十六年産菜種の交付金がまだ処置がついてないということは、私どももまことに残念だと思っております。大体の考え方といたしましては、農業団体あるいは政府部内でもまとまりつつありますが、なお多少技術的な問題が残っております。一両日中には詰め上げたい、こういうふうに考えておりますが、何せ最初のことでもありますので、農業団体側にいたしましてもいろいろ問題がございます。たとえば、販売数量がどのくらい、集荷数量がどのくらいであるというような数字についてもなかなか集計がむずかしいというような問題もございますし、なおもう少し技術的な問題を詰めて、一両日中に解決をはかりたい、そこまできております。ほんとうに今まで延びていることは私も非常に残念だと思っておりますけれども、最初のことでもあり、またいろいろなお今後も続く問題でありますので、問題を詰めて、きちんとした形で実行をしていきたい、こう思っております。
  98. 足鹿覺

    足鹿委員 一両日中に解決したいというお話でありますので、けっこうでありますが、その解決される内容はどういうものでありますか。
  99. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 内容はどういうものかということですが、どういう点についてのお尋ねかと思いますが、先般きめましたような、たとえば三十五年産の大豆については、農家の手取り平均が三千二百円になるようにということで固めておるわけであります。
  100. 足鹿覺

    足鹿委員 手取り平均と申しますと——手取り平均とおっしゃったようですが……。
  101. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 農家が出荷いたしましたものの手取り平均額が三千二百円になるように処置をするわけでございます。
  102. 足鹿覺

    足鹿委員 等級、銘柄の基準に基づくものが三千二百円というのではないのですか。全農家が販売したものの総平均ですか。
  103. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 さようでございます。
  104. 足鹿覺

    足鹿委員 それはどうも私ども納得がいかない点があるのですが、その問題と関連して、まず相沢主計官にお尋ねをいたしたいのでありますが、大蔵省も、今の食糧庁長官の御答弁についてよく打ち合わせをされて、同意をなさって、一両日中に片をつける、こういう態度と理解してよろしいのでありますか。
  105. 相沢英之

    ○相沢説明員 今長官の言われました農家の手取り一俵三千二百円になるようにという、そういうはっきりした形では別に打ち合わせておりません。
  106. 足鹿覺

    足鹿委員 われわれの伝え聞いておるところによりますと、どうもその間に話がついておらない、むしろ大蔵省は反対の立場をとっておられるように聞いておる。それは支持価格的な性格を持つものではない、こういう趣旨が含まれておるやに聞いておりますが、その解釈は別として、すでに通牒も出て、今日まで遷延されておるわけであります。三十五年産大豆、三十六年産の菜種がいまだに片がつかぬということは、これは大きな政府の責任問題だと思うのです。食糧庁長官は、今相沢さんが言われたような御答弁でも、ここで御言明になった、一両日中に始末をつけるという確信のほどをお示しになったわけでありますが、大丈夫ですか。
  107. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 今日まで延びておることでもございますので、一両日中に解決をつけたい、こういうふうに思っております。
  108. 足鹿覺

    足鹿委員 それではその点はそれといたしまして、大蔵省がちゅうちょされておる、まあ言いかえれば、反対をしておられると伝えられておるのでありますが、その理由はどういうことなんですか。
  109. 相沢英之

    ○相沢説明員 三十五年産の大豆に対する交付金の決定がおくれまして、関係方面に御迷惑をかけていることは遺憾に存じておりますが、何分大豆、菜種の交付金法案ができまして、最初の交付金の事例になるわけであります。それで、いろいろと技術的な問題についても、この際、できるだけ的確に詰めておきませんと、今後問題になるかと思いまして、そういった点の調整を食糧庁との間にやっておるわけであります。それから、なお、全販が大豆を売り切りましたのは昨年の八月で、一応の計算がまとまりましたのは十二月、それからことしに入りまして、まあ食糧庁との間に折衝があったわけでありますが、これは全販の事務的な能力という点も問題があるのかとも思いますが、実際に支出した経費の実績、そういうものが実はまだつい最近に至りましても全販から提出がない、きょうその正確な数字を持ってくるというようなことになっておりまして、そういった面も交付金の決定がおくれている理由になっております。  そこで、食糧庁との間の意見の相違は、結局、その一俵三千二百円というのが、規格で言いますと、その二俵かその二一俵かという点、その他若干こまかい点もございますが、大体そういったようなことでございます。
  110. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、全く事務的な点で検討しておるというふうに私は聞きましたが、その通りですね。
  111. 相沢英之

    ○相沢説明員 そうでございます。
  112. 足鹿覺

    足鹿委員 私ども聞くところによりますと、昨日申請書と言うか何と言うか、書類は出ておるそうですね。出したというのです。食糧庁、受け取っておるのですか。
  113. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 私、確認をしておりませんけれども、着いておるのだと思います。
  114. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、相沢さん、手続は済んでおるのじゃないですか。さっさと始末をおつけになってよろしいのじゃないですか。
  115. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 相沢主計官が言われたように、その中の数字が技術的に問題にしなければならぬ、こういう意味だと思います。
  116. 相沢英之

    ○相沢説明員 申請書が届いたとおっしゃるのは、全販から食糧庁の方に書類が出たのだと思いますが、それがきょう着いておるはずなんであります。
  117. 足鹿覺

    足鹿委員 まあとにかく手続は終わっておる。だから、早急に御解決なさる御意思のようでありますから、きょうはもう時間もありませんし、この程度で打ち切りたいと思いますが、次の機会に私は、大蔵、農林両大臣に、この問題に関連をいたしまして、法解釈、特に価格関係を伴う七つないし八つの——たばこ専売法に定められた葉たばこの収納価格等の問題を含めますと、七つないし八つあるのです。この問題についてとくと伺っておきたいことがございますので、ただいまの食糧庁長官なり相沢さんの御答弁では納得のいたしがたい基本的な問題があるということを申し上げておきます。決してこれで納得をするものでないということを申し上げておきまして、次の機会にさらに十分——これは選択的拡大の問題とも関連をし、他産業と農業との格差解消の問題にもつながる所得確保の問題、それは価格問題に結局その中心があるわけでありまして、これらの一連の問題につきましては、国務大臣立場においてその所信を求め、法律に対するところの態度等もただしたいと思っておりますので、きょうはこの程度で質疑を打ち切っておきます。
  118. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 次回は来たる三月二十日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時三十七分散会      ————◇—————