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1962-03-14 第40回国会 衆議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十四日(水曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 小山 長規君 理事 丹羽 兵助君    理事 山中 貞則君 理事 足鹿  覺君    理事 石田 宥全君 理事 片島  港君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       大野 市郎君    金子 岩三君       仮谷 忠男君    草野一郎平君       倉成  正君    小枝 一雄君       坂田 英一君    綱島 正興君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       中山 榮一君    福永 一臣君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    米山 恒治君       角屋堅次郎君    川俣 清音君       東海林 稔君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    西宮  弘君       安井 吉典君    山田 長司君       湯山  勇君    稲富 稜人君       玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (畜産局長)  森  茂雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         農林事務官         (畜産局参事         官)      保坂 信男君         農林事務官         (畜産局競馬監         督課長)    佐藤松寿郎君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   酒井 忠正君         参  考  人         (日本中央競馬         会常務理事)  石川 武平君         参  考  人         (日本中央競馬         会常務理事)  古木 隆蔵君     ————————————— 三月十四日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として川  俣清音君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として栗  林三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  競馬法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇四号)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。  競馬法の一部を改正する法律案の審査に資するため、本日、日本中央競馬会理事長酒井忠正君、同じく常務理事石川武平君、同じく古木隆蔵君、以上の方々より参考人として御意見並びに実情等を承ることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野原正勝

    野原委員長 御異議ないものと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  4. 野原正勝

    野原委員長 競馬法の一部を改正する法律案を議題とし、政府当局並びに参考人に対する質疑を続行いたします。東海林稔
  5. 東海林稔

    東海林委員 それではまず参考人の方にお伺いいたしたいと思うのです。昨日政府事務当局見解をただしたところでありますが、まず、現在の段階において競馬施行する意義というものを実際中央競馬の執行の衝に当たっておられる中央競馬会幹部としてはどのようにお考えになっておられるか、このことをお伺いしたいと思います。  御承知のように競馬歴史は非常に古いのでございまして、わが国においても戦前は主として軍馬の育成というようなことからしまして、馬匹改良、特に種牡能力検定というようなことのために競馬が非常に重要視されてきました。また一方軍馬以外におきましても、農耕馬あるいは輓用としての馬の重要性というような点からしても、競馬必要性というものがよく理解されると思うのですが、現在におきましてはそういう情勢が非常に変わってきております。公営競技調査会等答申の中においても、競馬競輪あるいは競艇オートレース等を区別せずに一様に議論した答申が出ているようでございます。昨日農林省事務当局としては、競馬競輪その他とは違う、こういうような御見解の披露があったわけでございますが、実際の衝に当たっている中央会幹部としてはどのような心がまえ競馬というものを認識されているか、この点をまずお伺いしたいと思うわけです。
  6. 酒井忠正

    酒井参考人 お答えいたします。  ただいまお述べになりました通り戦前におきましては競馬軍馬改良ということがおもな看板であったのはおっしゃる通り。戦後軍馬がなくなった今日におきましては、競馬というものを通じて、御承知のようにただいま政府納付金というものができております。これを通じて畜産振興という方に向けておるのでありますから、畜産振興が主たる目的であるということになると思います。なおそればかりでなく、今日の競馬状態は、一般大衆娯楽という点が非常にふえて参ったのでございまして、年々ファンが増加いたすということから見ましても、今日は相当なファンの増加を見て、関心が深まっているということは申すことができると思います。  なお、競輪その他との関係はどうかということでありましたが、競馬と申すものは、日本ばかりではなく、御承知のようにヨーロッパ、アメリカ、いかなる国でもいたしておる競技でございます。ことにイギリスフランスあたりは、これはずいぶん昔からあるもので、キング・オブ・スポーツというようなことを言われるぐらいに、競馬というものは国民生活のうちに重大な地位を占めているくらいに行なわれておる。競馬というものは国際的の競技であるということを私たちは考えておるのでございます。そういう点が競輪その他とは違うということ、また競馬はともかく馬を走らせる。この間もそういう例がありまして、サラブレッドというものは死ねまで走るのだというようなことが言われておりますが、目の前に実例を見まして、昨年などは東京レースで、ゴールに入ったとたんに心臓麻痺で馬が倒れてしまった。それくらいに、サラブレッドというものは死ぬまで走るというような性能を持っております。従って機械を使いますものとこういう馬を使うものと、その間に非常な差があるということが考えられます。従って競馬においては不正レースというようなことを故意に馬を使ってするということは、非常な困難なことだと思います。そうそう点が両者の間に違うところじゃないか、こういうふうに考えております。
  7. 東海林稔

    東海林委員 確かに機械と動物という点で違うということはわかるのです。畜産奨励競馬でやっておりますが、競輪においても自転車工業発展というようなふうに、関連産業発展をはかる意味では同じだ。それから一般大衆スポーツといいますか、レクリエーションといいますか、そういう点においても同じじゃないか。ただ世界各国競馬はやっておるが、競輪等はやっておらぬ、確かにそういう点はあると思いますが、しかし戦前わが国においてもそうであったように、ほかの国の競馬等においては、いわゆるギャンブルというふうな批判を受けるような点については、相当これを戒めて、そうして健全娯楽という意味でのやり方を実際の施行面においても相当留意しておると思うのです。ところが最近における日本競馬やり方は、競輪競艇やり方とほとんど違わないのじゃないか。そういう意味で、競馬歴史が違う、各国でやっておる、あるいはやっておらぬというようなことでもって競輪と区別するというだけでは、ちょっと変じゃないか、こう思うのですが、やはり現在のやり方自体に、そこら辺に差がないと、その違うのだということは言えないのじゃないか。ところがこういう調査会答申等を見ても、大体競馬も各競技も同じようなやり方をやるようにという趣旨答申が出ておるわけです。そういう点が私は非常に不審なんですが、そういう点もう少し会長さんなり、ほかの方で御意見ございましたら、説明をいただきたい、こう思うわけです。
  8. 酒井忠正

    酒井参考人 ギャンブルということが戦後は非常にゆるく考えられて、戦前においては非常にきびしく考えられたということが社会情勢ではないかと考えます。また、ギャンブルに対する外国の考え方日本考え方もよほど違うと思います。イギリスあたりでも非常にギャンブルなれがしておりますから、国民全体としてギャンブルに対する考え方日本考え方とはよほど違っておる。また日本におきましても、戦前と戦後とはよほどそこら辺の考え方が変わっているのじゃないかと思います。従ってどちらも同じではないかということでありますが、先日の公営競技調査会答申に対して、競馬会におきましては、できるだけこの趣旨を体しまして、いわゆるギャンブル過熱を避けるということに力を入れて、ごく謙虚な気持で、答申に沿うようになるべくやっていきたいという考えでおったのであります。これが、ほかの団体がどういうふうにこの答申考えるか、そこに差があるのじゃないかというふうな気もいたします。
  9. 東海林稔

    東海林委員 今の問題と関連して一つ伺いたいのは、場外投票場の問題でございますが、確かに私も、しいて競輪競馬と比べて差があるというのを考えてみますと、競輪競馬に共通するものは過去の実績というようなことがあるわけですけれども、ただ一つ競馬は、その当日の馬の条件といいますか、確かにこれは競輪あるいはオートレース等でもそうでしょうが、人間の顔を見ただけでは、きょうはコンディションがいいとかどうとかいうことはわからない、しかし馬は正直でございまして、やはりその日の状態によって仕上がりがいいとか、まだ太目だとかいうようないろいろな問題が出てきまして、そして下見場なりあるいは馬場に出た馬の状態を見てその日のコンディションを判断し、勝つか負けるかということを見きわめる、この点が私は競輪とは相当違うのじゃないかと思うわけです。そういう点が私も一つの違いだというふうには考えるのですが、そうであるとするならば、場外投票場競馬に認めるということは、競馬を冒涜するものじゃないか、私はこういう感じがするわけです。ほんとう競馬からなるたけギャンブル的な要素をなくしていくのだということになれば、馬も見ずに、その日のコンディショもわからずに、ともかくただ投票をするというふうなことは、どうも私はほんとう意味競馬あり方から見ると非常に邪道じゃないかという気がするのでございまして、終戦後のように、要するにこういう競技をやるのは収益を上げるのが目的だ、売らんかな、もうからんかな、こういう建前だけであるとすれば、これもまた考えられますけれども、そうでなしに、現在のようにある程度自粛していくのだという立場に立つ以上は、場外投票については考え直さなければならぬ段階じゃないかと私は思うのですが、これらについての御見解はいかがでしょう。
  10. 石川武平

    石川参考人 ただいまのお話のような問題点がいろいろあると思いますが、実は戦後競馬の復興をいたしました際におきましては、何と申しましても競馬の馬につき、あるいはその経済的な背景と申しますか、そういう点についてまだ脆弱であったという点から、場外馬券を始めたというふうに思うのでありますが、競馬というものは目の前で馬のコンディションを見て、この馬はきょうはどうかということで馬券を買うのだということが本筋であることはお話通りだと思います。ただ、そういうような経過をとって今日まで場外馬券というものがきた。必ずしも馬券を買う買い方としてはお話通り本筋ではないと思いますが、ただ現在、先ほども理事長から申し上げましたが、場外馬券に対する一般国民考え方といいますか、感じ方というものが相当私は変わってきていると思います。従って従来のような考え方だけで場外の問題を考えるということもいかがかと思うのであります。ともかく競輪その他に比べまして馬の経済とかあるいは厩舎関係等非常にたくさんのものを経済的にしょってやっておる競馬競技におきましては、そういう点について相当財政的にしっかりしたものを持たないと機構が完全にいかないということもありまして、現在まで場外馬券の発売を続けておるわけでありますが、ただ私どもといたしましても、これがお話通り当然なことであり、りっぱなことであるとは考えておりませんけれども、ただ従来の関係もこれあり、できるだけ場外あり方といいますか、設備その他について世の非難を受けないようなりっぱな施設でもって馬券一般大衆娯楽として提供していったらどうかというふうに考えて、現在のところといたしましては、これをふやすとかなんとかという気持は毛頭ありませんし、むしろ施設その他においてできるだけよいものをしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 東海林稔

    東海林委員 昨日これも畜産局長見解をちょっとただしたのですが、日本中央競馬会法の第一条を見ますと、「この法律は、競馬の健全な発展を図って」云々と、競馬の健全というここで副詞的な条件がついておりますけれども、やはり発展をはかるということが書いてありますね。ところが今度の公営競技調査会答申では、これ以上この種のギャンブル的なものは奨励しないという消極的な立場に立つということになっておるようです。それで畜産局長見解としても、農林省としてもそれと大体同じ考え方だ、そういうことなんですが、そうすると競馬会法の第一条のこの冒頭に書いてあることは少しこれは訂正しなければならないのじゃないかというふうにも考えるわけですけれども、そういうような点並びに現在こういう−従来も競馬の健全な発展をはかるというつもりで皆さんおやりになってきたのだろうと思います。法律にそう書いてあるのだから。しかし今のそういう段階になった場合に、これをどういうふうに一体その心がまえとして持っておられるか、これをお尋ねしたいと思います。
  12. 酒井忠正

    酒井参考人 健全な発展をはかるということは、現在において競馬会がモットーとしてやっておることでございます。と申しますのは、競馬において不正なレースがあるというそういうようなことがあったらそれはまことに申しわけない、この点は厳密なる監督のもとにいたしておりますし、そういう面でもって明るい正しい競馬をやって参って、そうして大いに一般の要望にこたえていくようなりっぱな競馬を盛んにしていきたいという意味だと心得ております。
  13. 東海林稔

    東海林委員 今の点ですね。従来はそれでいいだろうと思うのですが、私は、この競馬のますます健全を期し公正を期する、こういうことであれば、現段階でもけっこうだと思います。しかし発展ということはこれはやはり積極的な面だと思うんです。競馬発展ということですからね。健全なというのは、ここではこれは文法でいえば副詞になるのでしょうが、そしてやはり競馬発展ということが書いてあるわけですね。ところがこの答申では、もうこれ以上奨励しないという立場だ、こういうことなんですが、そこらは矛盾をお感じになりませんでしょうか。実際皆さん施行の責任にある者としてどういうことでございましょうか。突然の質問で恐縮なんですけれどもお伺いしたいのであります。
  14. 石川武平

    石川参考人 競馬の健全なる発達ということにつきましては、私どもは端的に申し上げますならば、馬券は売れれば売れた方がいい、たくさん売りたい、それが馬券の売り上げが悪いと競馬発展しないというふうには毛頭考えておりませんし、それはただいま申し上げましたようなりっぱなレース国民大衆競馬を楽しんでいただく、そういうような競馬をやりたい、それで競馬の質と申しますか品位と申しますか、そういうものの向上を目ざしていくべきであって、たくさん売ればいい競馬だとは必ずしも考えておらないのであります。むしろ安定した形において、品位の高いほんとうスポーツとしても楽しめるようなレースを展開していく、そうしてそれを一般大衆に楽しんでいただくということが競馬の健全な発展である、かように考えております。
  15. 東海林稔

    東海林委員 もう一つお伺いしたいのですが、それは賞金配分の問題です。最近の傾向を見ておりますと重質レースというものが何か非常に重んぜられてきたといいますか、多くなってきているような気がします。この資料によってみますと、現在中央競馬には千六百何十頭かの登録頭数があるようでございますが、重賞レースで優勝できるという馬は、年間を通じて何頭かに限られておると思うのです。そういう何頭かの馬のために非常に多額賞金をやる。多数の馬は、勝ってもまあ比較的少額の賞金だ。なかなか勝てないという馬も多いと思うのです。こうなりますと、これは一体どういうふうに考えていいのかということがだいぶ問題じゃないかと思うのです。何かこのごろ宝くじでも五百万円なんというのが出てきまして、やはり何かそれでもってギャンブル的な傾向がさらに強くなってくるような感じがするのですが、競馬においてもそういう形が最近顕著になってきているのではないかということを私は感ずるわけですけれども、こういう点についての御見解はいかがでございましょうか。
  16. 石川武平

    石川参考人 お答えいたします。  競馬賞金配分につきましては、お話通り非常にむずかしい点があると思うのでございます。これは本賞金一着、二着、三着と優勝したものだけに非常に多額の金額を与えて、そうしてあとのものは負けたものであるから償金をもらわない。大体賞金組み方本筋というものはそうだったと思いますが、しかしお話のように全体の競馬競走馬程度を高めていくということになりますと、ある程度、何と申しますか馬の層を厚くしていくということも非常な問題だろうと思いますし、また層が厚くならないといい馬も出てこない、選抜されないということもありますので、木賞金をふやしていくということでなしに、着外賞でありますとか、あるいはある一定の程度においては、総花式といっては申しわけありませんが、ある程度の経済的な裏づけをしてやるというような組み方を実はいたしておるわけであります。ただそれを勝っても負けてももらうんだということになりますと、これはレースそのものがおかしくなって参りますので、そこらの工合を勘案いたしまして、よいレースができるように、しかも馬の質が全体として向上できるような格好に持っていくという非常にデリケートな問題でもあろうと思いますが、現在のところはそれは木賞金一本やりというようなことでどんどん本賞金だけ上げていくというような考え方でやっておるわけではございません。
  17. 東海林稔

    東海林委員 この賞金出走手当というような関係も、今御指摘の通りだと思うのですが、この重賞レース平場レースと申しますか、やはり賞金配分ですね、そこにも私は相当問題があるのではないか、こう思うんですがね。まあ中央競馬の場合は比較的少ないと思いますが、特に地方競馬であまり売れ行きのよくないような競馬場において、なかなか馬主が、そういうような意味で多数の馬主賞金をもらう機会が少ないということが一つの不公平なレースといいますか、馬主の作戦的なレースを生ずる原因にもなっていると思うんですがね。そういう意味において、この賞金手当というものと同時に重賞レース一般レースとの賞金配分、こういう点も、何か最近少し刺激的にあるところに集中してそれでわあっと人気をあおるというような形が強くなってきているのじゃないか。こういうことはやはり一つの正しい競馬あり方としては問題じゃないか、こんなふうに思ってお尋ねしたわけです。そういうふうな点も一つさらに御検討願いたいと思うのです。  それでは、昨日に引き続きまして政府当局に対して、大体この条文の順序で聞いていきたいと思います。まずお伺いしたのは、馬主服色登録の問題でございます。従来の規定は、法の二十二条の読みかえで地方競馬においても馬主の服地の登録規定があったように理解しておるわけですが、今度の改正点ではこの読みかえが削除されております。それで、どうしてこの地方競馬馬主服色登録を削除されたのか、この点について改正条文説明には何ら載っておりませんので、まず第一点としてそれをお伺いしたいと思います。  それから、この資料を見ますと、地方競馬でも三十六年の服色登録が八十五件ばかりあるわけですが、この従来登録してあったものが今後どういうふうに処置されるかという点が第二点であります。  それから第三点。普通こういうふうな処置をする場合には法律経過規定を設けるのが普通のやり方だと思うのですが、これらについて何らの経過規定がないようでありますが、その理由。この三点についてまずお答え願いたいと思います。
  18. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 服色登録の問題ですが、地方によりましてはその日だけ走るとか、あるいは馬主農耕馬を使って出してくるとか、いろいろな発達過程における状況でもありますので、これを全国的に統一して馬主の標識としての服色登録ということをあえて積極的に中央団体として中央機関登録するということにいたさなかったわけであります。  経過的な問題につきましては、その施行団体におきまして適宜こういうことをやられて、競走馬専門の馬かつ馬主が相当固定してきた場合において地方的にこれを登録するということが適当だと考えた次第であります。
  19. 東海林稔

    東海林委員 そうすると今の答えでは、従来の既登録者については各主催者で適宜処置せよ、そういうことでございますか。それで従来法的にそういう規定があったものを、ただ法規定がなくなった場合にそれを法的に経過処置をきめずに主催者で適当にやれというようなのは非常に不親切だし、法の形としてもおかしいと思うのですが、その点いかがでしょう。
  20. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 地方競馬におきます服色登録は、従来とも非常に実績が少ないし、かつその日限りとか、あるいは馬主関係する服色の問題でございますが、非常に一瞬的なものというようなことでもありまして、登録してやっていくという意味が非常に少ない、実績が少ない、こういう意味で、特にこれを全国協会で統一して取り上げないということにいたしたわけであります。施行上、施行団体がこういう処置を適宜に自主的にやっていくということでありまして、別に従来からあった権利を失ったとか、失われるとかいう問題がないものでございますので、附則規定に置かなかったわけであります。
  21. 東海林稔

    東海林委員 次に調教師の問題でありますが、これも十六条にあるわけですけれども、二十二条の読みかえでは、地方競馬には調教師規定がないわけで、騎手一本になっているようですが、しかし現実は、たとえば大井とか川崎等に行って参りますと、調教師専門の方がずいぶんあるわけです。もうこういう段階にき、さらに競馬の公正な施行というような点からいけば、地方競馬についてもやはり調教師という規定をもう設ける段階にきているのではないかと思うのですが、その点についての御見解はいかがですか。
  22. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お説の通り東京地方大井、浦和、川崎船橋等では実質的にすでに機能が分化いたしまして、お話通り、実質的には調教師的な役割を果たしておるという状況でございますが、全国的な地方競馬状況を見ますると、調教師騎手兼、さらにもっと分化していない場合には馬主自身調教師かつ騎手であるというような状況でもございますので、もう少し地方競馬の今後の動向等も見まして調教師制度というものを確立して、そうしてその分化の状況を採用してやっていくという制度に踏み切るのに時期尚早と考えたわけであります。
  23. 東海林稔

    東海林委員 今の御答弁の中でも、将来望ましい方向としては地方競馬においても調教師というものをはっきりさした方がいいのではないかという御見解のように承ったのでありますが、そういう指導的な考え方を持っておるとすれば、規定としてこれをこの際設けて、そうして漸次そういう制度を確立する方に積極的に進めていくという態度が私は正しいのではないか、このように思いますが、全般的にまだその段階にいっていないから規定は設けないのだという御答弁じゃちょっと納得しかねるのですが、いかがでしょうか。
  24. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 方法論といたしましては、非常に分化してない地域における地方競馬と、それから東京、名古屋、大阪地方等におきます相当分化しておる地方とを区別するということもございますが、画一的にそういう制度を設けるということまでには、いろいろそういう制度を作りまして、現在の地方競馬経過的な事態において、かつ、そういう制度まで設けて、どこの範囲まで、どこの地方までそういうことを——この県では調教師制度を設けるとか、設けないとかいうようなことと、今回の現状以上に開催回数をふやさないというような観点から、どの程度でそういう制度を個々別々にも経過的にもとるべしという考え方もございます。が、そこまで踏み切るに至らなかったわけであります。地方競馬が過去の歴史から、あるいは馬匹組合あるいは馬匹組合連合会が開催していた過去の歴史からだんだん遊離してきている現在におきまして、特にまた各地方状況によっては人口の多いところだけで競馬が行なわれるという状況になりますると、これは今度は大きな問題の考え方が出てくるわけであります。すなわち中央競馬と、発達した主要都市における地方競馬とを区別して考えていくべきかどうかという問題も大きく出てくると思います。われわれといたしましては、公営競技調査会等に流れている考え方からいいますると、相当現在いなかの地方といいますか、田園地方におきましては馬主騎手あるいは調教師的な役割をしているものが同一人である場合も考えまして、一括して地方競馬ということをながむれば、現在の状況では一つ制度として確立することがいいかどうか、確立する場合には地方競馬中央競馬関係をどう考えるかという問題等の大きな問題もございまして差し控えた次第でございます。
  25. 東海林稔

    東海林委員 今の点は若干見解が違うようですが御検討願いたいのです。ただいまの答弁の中で中央競馬地方競馬の関連の問題がございましたが、それについて考える点があるわけですけれども、馬の登録について現在中央競馬地方競馬登録の間にどのような交流、馬の交流といいますかそういうことについてどういうような指導的な態度でおられるわけですか。地方競馬から中央競馬にいく、あるいは中央競馬から地方競馬に下がってくる、こういうことについてどういう指導的な態度でおられるわけですか、その点を伺いたいと思います。
  26. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 現在のやり方といたしましては、中央から地方に下がったものは再び中央競馬には上がってこられない。それから地方から上がったものは、一ぺん地方競馬に帰れますが、再び中央競馬には帰れないというようなことで、相半能力のあるものが中央競馬にきて技を競うという制度は認められておるわけであります。また中央競馬において地方競馬にいった方がいいという馬などについては一ぺんはやりますが、雑然と交流はいたしておらない次第であります。
  27. 東海林稔

    東海林委員 昨日の御答弁の中に、新潟、宮崎の中央競馬が現在休んでいるが、将来はでき得ればまた再びやりたい、こういうような趣旨の御答弁がありました。ただその場合に、やはり出場の馬の数が問題だというようなこともあったようですが、しかし地方競馬中央競馬の交流の問題が今の状態では、おそらく近い将来に新潟や宮崎が中央競馬を開催するようにはならないのじゃないかと私は思うわけです。昨日はなるべく近くやりたいという御方針のように承ったのですが、その問題と何か関連して御検討されたことがあるのでしょうか。
  28. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 現在まではそう言っちゃなんですが、地方競馬の問題は特別の事情のない限りは都道府県知事に監督をおまかせいたしましてやっておったわけであります。いろいろ今回の答申等の点から考えまして、全国の協会までも作って公正な運営をはかるほか、さらに馬匹の向上をねらっておるわけであります。で、地方競馬まで直接われわれとしても重大な関心を持って資質、運営の向上をはかろうというわけでありますので、そういうようなことで相当馬主、騎主あるいは馬等の資質の向上になりますれば、今お尋ねの交流等の問題につきましても、厳格なるルールでありますが相当幅も広げて発展される問題だと思います。  新潟、宮崎等の問題につきましては、地元の意見等も考え、かつ一気に収益があるという点もございませんので、競馬会等の経緯等とも見合わせて、もし置くことを地元で要望する場合にはできるだけ努力して参りたいと思う次第であります。
  29. 東海林稔

    東海林委員 次に十八条関係のことであります。現在中央競馬じゃこの特別登録料を徴収して特別なレースをやっておるわけでありますが、地方競馬にこういう規定が今までないように思うわけです。しかし、たとえば東京周辺の大井その他の地方競馬の実際の状況からいえば、ステークスといいますか、こういう制度地方競馬にも取り入れられてもいいような段階にきているんじゃないかというような気もするわけですが、そういう点について御検討されたことがあるか、あるいは御見解はどうかという点をお尋ねしたいと思います。
  30. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 特別登録料は、馬主相互が登録をして勝負をかけるという意味もありますので、現在からいいますると資質なり運営なりが中央競馬よりもっとレベルが下であるものについてそういうことを採用するということは今回は差し控えておるわけであります。
  31. 東海林稔

    東海林委員 この規定は全部一律にやらなきゃならぬというのでなしに、「できる」という規定でありますから、地方競馬全部のレベルが上がるということが問題でなしに現にそういう条件の備わっておる地方競馬もあるように思うのでありますがこの点は考えられないかという御質問をしたつもりですが、その点もう一度。
  32. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私どもといたしましては、特別登録料は、簡単に言いますと馬主相互のかけという意味も含んでおりますので、そういう意味合いで、現在の地方競馬には、今回は改正してそれを採用するということをいたさなかったわけであります。
  33. 東海林稔

    東海林委員 今の答弁を聞きますと、何かあまり好ましくないことだとして地方競馬にはやらないんだというふうに聞こえるのですが、もしそうであるならば、中央競馬のこの制度もやめたらいいじゃないかという議論もできると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  34. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 現在の中央競馬における状況地方競馬における状況考えますれば、大井川崎東京地方でやっております。あるいは関西等で相当発達したところでも、先ほどの騎手登録と同様に非常にクラスといいますか、階級といいますか、規律化されているといいますか、ルール化されまして、非常に分類的に分かれておる状況でございまするけれども一般的に全般的に百三十五市町村、三十八都道府県をながめた場合におきまして、馬主相互間の馬のレベルも千差万別で類型化されない状況でありますので、そういう分類が全体的に見て標準化されておらないという状況でありますので、特に法律制度としてこれを取り上げなかったわけであります。
  35. 東海林稔

    東海林委員 どうもちょっと変ですね。この規定を読むとわかるように、主催者は「徴収することができる。」というのであって、全部せいということじゃないのですから、全体の地方競馬のレベルが低いから全般的に適用できないのでやらないんだということでは答弁にならないと思います。従ってレベルの進んだところのことについて私はお尋ねしておるのですから、全般のレベルが低いからそういうふうには考えないんだという答弁では答弁にならないと思いますが、もう一度その点はっきりしてもらいたいと思います。規定がそうじゃないのです。
  36. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私どもといたしましては、やはり特別登録料は馬主相互間のかげの意味もあるという考え方であります。そこで、現在馬の資質等について全国的に地方競馬をながめますれば、馬の能力等について、急に出てきたり、あるいは一年一回、馬主であり、騎主であり、農馬である場合等もありますので、できるという規定を置きますと、施行団体がそういうことができるということに話が出れば、むしろ逆に義務としてできるのだからやるべしということで、そういう意味の特別登録料はややかけ的な意味も含んであるのであるから、こういう意味なのであります。
  37. 東海林稔

    東海林委員 そういう点は、皆さんの方で地方競馬を常に監督しているのですから、無理なところは監督上やらせないこともできるのだし、どうも答弁はあまり納得できませんが、大した問題ではありませんからこれでやめます。  次に、今度の改正の重要な点の一つであります地方競馬全国協会のことについてお伺いしたいと思います。二十三条の二から三十までの関係でありますが、まず第一にお伺いしたいことは二十三条の二の交付金、これが一号と二号になっておるわけです。今度の一号というのが特に特徴的だと思うわけですが、別表で六千万円以上の売り上げのものについて、ある率で納付させる、こういうことになっておるようです。まずここでお伺いしたことは、その別表の基礎をどういうところに求められたかということが第一点でございます。それから現段階において、この別表によって算定すると何カ所ぐらいの地方競馬がこれに該当することになるかという点が第二点。それから第三点として、現在の地方競馬馬券の売り上げからいうと、年間どの程度の収入になるか。この点は一号と二号に両方に分けて、どの程度の金額になるか、お尋ねいたしたいと思います。
  38. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 ただいまお話しの二十三条の二の規定でおりますが、第一号は、お話のように別表の欄に掲げる額に応じて率によってとるということでありまして、これは補足説明で申し上げましたいわゆる畜産振興費に充てる分でございます。この分につきましての、どういうことで算出したかということでございますが、これは私どもといたしましては、現在都道府県等で収益を上げておるのが売上高の約一割ないし八分程度でありますので、それら等を勘案いたしまして、その一割程度は中央に吸い上げまして、主として競馬をやっていない都道府県に配っても、そう都道府県内の収益に著しく影響がないだろう。最近におきます状況としましては、売上高が毎年二割、三割上がっておる状況でございますので、地方の財政が病まない程度でいただいて、そして増加分全部ではございませんが、悪くてもその増加分程度ということで売得金の額の総額を算定したわけであります。その額は、現在の表によりますと、かりに本年度の収益は地方競馬全体で一あれは年度で区切っております関係上、推定ではございますが、四百三十六億円売り上げを上げるわけであります。そして収益はその約一割程度になりますので、全国的に見ますと、本年度では四十三億——地方競馬の払い戻ししたものと経費を引いた残りが四十三億程度になるわけであります。四十三億の約一割を想定して、売り上げの多い県と売り上げの少ない県、結果的にいいますと、収益の少ない主催者と収益の多い主催者との関係がございますので、収益の少ないところにはパーセントを低くして、収益の多いところにはパーセントを高くして、この表にあります千分の四から千分の十一までの階段にいたしたわけでおります。ここに、交付する額の千分の四の下に、「ただし」として複雑な文句が書いてございますが、これは六千万円から八千万円という境界線にきた場合に、なだらかに公平にとれるよって計算した関係でございまして、おわかりにくいかと思いますが、そういう意味でやっておるわけであります。  それから第二号の点は、これは地方競馬全国協会の事業そのものの経費でございます。これは施行者の全部に関係する問題でございますので、スライディングといいますか、階段制でなく、全国の施行団体から一律にとっていく。現状といたしましては、発足当時といたしましては千分の二・五の徴収を予定いたしております。千分の四を一度にとらずに、千分の二を予定いたしております。その金額は約一億になる予定でございます。
  39. 東海林稔

    東海林委員 一号は何ぼになるのですか。
  40. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 約三億三千万円であります。
  41. 東海林稔

    東海林委員 県にすると何カ所ですか。
  42. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 県にいたしますと、確実にこの欄で納める県は東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、兵庫等の、人口、財政の多い主要な県でございまして、このレベルも、一回売得金額六千万円ということで、下のレベルは非常に高くいたしまして、今回吸い上げるのでも市町村並びに都道府県で一回売得金額の非常に少ないところ、簡単にいいますといなかの地方ですね、大都市ではなくて、小都市の地方からは交付金をいただかない、こういうことになるわけであります。
  43. 東海林稔

    東海林委員 この二号の交付金は問題ないと思いますが、一号の問題についてちょっと伺いたいのであります。昨日も倉成委員からも御質問があったのでありますが、今度は全国の競馬協会でも畜産奨励をやるという場合に、国の行政との関連の問題です。また今度新たに出ておる畜産物価格安定法の改正法を見ましても、畜産振興事業団も畜産奨励をやる、あれは流通過程の合理化というような点に限定されるのだろうと思いますけれども、この競馬の場合の畜産奨励というのは、畜産全体についてのように一応条文では解釈されるわけですが、その点がどうかということと、国の畜産奨励との関連において、どうも国の責任のがれのような感じもせぬでもないのですが、そういう点についてのお考えはどうでございましょうか。
  44. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 またあとで御審議願います価格安定法の交付金にいたしましても、それから今回の地方競馬畜産振興に対する交付金にいたしましても、私どもといたしましては、国の畜産振興費につきましては国の予算を全部原則にいたしまして、畜産振興費の充実強化をはかって参りたいと思うわけです。そもそも地方競馬から吸い上げていくという考え方になったゆえんのものは、都道府県におきましても市町村におきましても、やっておる市町村だけがその収益を、強い言葉でいいますと独占していく。こういう関係になりますので、都道府県内においても、ほかのやっていない、市町村にも配れるように、あるいは都道府県におきましても、やっておらない都道府県、都会等に馬が走って、馬が農村に生まれ、農村に育ち、そうして農民の手によって育てられた馬、こういうことがわれわれとしては長い歴史の悲願でございましたので、そういう面をいなかに還元していくという意味でございまして、この使い方等につきましては、都道府県知事の意見を十分聞きまして、われわれは都道府県の予算、国の予算等を中心として畜産振興費に充てていきますが、私的団体でも、国の予算の手の届かないような方面にこの畜産振興費を都道府県知事の意見を聞いて分けていきたい、こういうふうに考えております。
  45. 東海林稔

    東海林委員 収益が非常に多いところから吸い上げて少ないところに還元するという考え方は一応納得できるような気もするのですが、しかし中央競馬の場合には国庫納付金という形で国に吸い上げて、国で責任を持ち、一括してこれを畜産奨励に充てる、こういう形をとっておるわけです。地方競馬の分も中央競馬と同じように国にこれを吸い上げて、そうして国の責任において一括した統一ある指導、奨勤をする、こういう考え方は成り立たないのでございましょうか。
  46. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 東海林さんのおっしゃる意見は成り立つと思います。成り立つと思いますが、現在における地方競馬歴史、これは国でない都道府県が戦後馬匹組合あるいは馬匹組合連合会等の施設を吸収しまして、そうしてこれを都道府県にほとんど無償で取り上げまして、そうして都道府県が施行して参ったということであります。そういう意味で、都道府県の馬匹組合連合会から無償で取り上げた吸収権利みたいになっておるわけであります。そういう意味において、対地方公共団体等の関係で、地方公共団体施行しておるその収益を国がもう一ぺん国庫に納付させていくという、自治法等、あるいは国の財政等の関係から、この地方競馬を一挙に中央競馬等の組織にしてしまえば、これはそういうことが言えると思いますが、現在の段階においては、著しいいろいろな問題が出てきますものですから、十分御意見はわかりますけれども、検討させていただきたいと思います。
  47. 東海林稔

    東海林委員 昨日倉成委員の質問に対する御答弁の中にあったのですが、全国競馬協会が畜産奨励のために助成する場合には、畜産団体だけでなしに、都道府県の意見、希望等によっては、県にも補助することがあり得る、こういうような御趣旨答弁があったと思いますが、県にも全国協会が助成するというような場合には、やはり無条件で助成するわけではなしに、一定の条件とかそういうものがつくだろうと思うのです。そういう場合の条件通りにそれが適確に使われるものかどうかというようなことを監督し指導するというような責任を、この全国協会が県に対して持つというのは、今の地方自治と、全国協会、これは法人でありますけれども、その立場から見るとちょっと問題があるように思うのですが、そういう点は国が全国協会にかわって指導監督するとかいうことになるのか、それとも全国協会みずからやることになるのでありますか、その点についてお伺いしたい。
  48. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 国は全国協会の事業計画等につきましてほとんど勧奨する程度で、国で都道府県の意見を聞いてそれでいきたいと思います。現在、倉成委員の質問等に関連いたしまして、東海林さんからもお話がありましたが、これを都道府県にやる場合があるかということでございますが、私どもとしては直接都道府県にやるという考えはないのでございますけれども、都道府県が自分の方の畜産振興上の関係から、あわせて交付したいという場合に、技術的な面で、もし都道府県から強い要望があって、そしてやる場合には、必ずしもこれを排除しないという考え方でありまして、これは原則として都道府県に補助するのだということではございません。
  49. 東海林稔

    東海林委員 いや、私もその点は原則としてはこの畜産団体にやるというふうに昨日お聞きしたのですが、しかしただいまお話のように、場合によっては県にやることも、原則としては考えないけれども、あり得る、こういうようなお話ですが、その場合の実際の交付の条件通りに適確に使用されているかどうかということの監督指導というのはだれが当たるか、例外的な場合であるかと思いますけれども、これは非常に微妙な問題ですから伺いたいと思います。
  50. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 この交付金の問題につきましては、農林省全国協会の監督権のもとに指揮をいたしまして、そしてそういう渡し方等については、十分にこの畜産振興目的が達成されるように、いろいろ交付要項といいますか、条件等を付して万遺憾なきを期したいと考えております。
  51. 東海林稔

    東海林委員 そこで今度は中央競馬の国庫納付金の使い方が現実的にどうなっているか、実際にどうなっているかという点を伺いたいのです。中央競馬会法の二十七条に納付金の規定があり、三十六条にその使い方が定めてあるわけですが、資料によりますと、三十六年度が四十二億三千万円というような多額になっているわけですけれども、実際にこれは内訳的にどのような方面にどのくらいずつ使われているか、概略の数字でよろしゅうございますが、お示し願いたい。
  52. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 中央競馬会法の三十六条に、国庫納付金は四分の三は畜産振興にという規定がございまして、そういうことで、それは予算の定むるところによってやるのだということになっておりますが、それでは畜産局の畜産振興費は幾らかということになりますと、予算科目を立てる場合に、その程度の科目を、予算編成していくというのが実情であります。従いまして、納付金の四分の三以上はもちろん畜産局で予算の編成はされておりますが、この額がどの程度どこへどれだけいったかということが前々から非常に御議論になっているところであります。簡単にいいますと、空文化していると考えても差しつかえないと思います。実質的にいいまして、そういう意味でわれわれといたしましては、これは議員等の修正で入りましたけれども、せっかく法律がありましても空文化しているという議論の方が正しいと考えまして、私どもといたしましては、これがどこの科目にどう入っているか、畜産局の役人だけ競馬の益金で雇われているのかどうかということになると、そういうことではないと思います。畜産局関係畜産振興費につきましても、状況によっては振興局に組まれる、あるいは経済局の近代化資金等も組まれるというようなことになっておりますので、相当の額が畜産振興費で実質的に動いていると思いますけれども、この法文そのものは、一ぺん国庫に納付されて、そしてそれでは四分の一の社会事業費がどうなっているかという問題と同様に、実質的に空文化されているという御議論の方が妥当ではないかと私としては考えております。
  53. 東海林稔

    東海林委員 今、案外率直に御答弁があったので、ちょっと私もあぜんとしたような点があるのですが、しかし三十六条の規定は「必要な経費に充てなければならない。」とこういうふうに書いてあるわけです。従ってそういうように率直な御答弁は私は買いたいのですが、しかしこれはこの国会における答弁としては非常に困ると思うのです。法律にちゃんとこういうふうに「充てなければならない。」と書いてあるのですから、これは非常に困ると思うので、この点は今度大臣が来たときに質問を保留させていただきまして、次に進みたいと思います。  この中央競馬会の経理の監督についてでありますが、私がちょっと気がかりなのは、この公営競技調査会答申の一番終わりの附記に、「日本中央競馬会については、その経理を円滑にするため、徹底的に検討する。」と書いてあるのですね。ちょっとこれを読みますと、何か不信感を持って書いたように感じられるわけです。これは私の誤解であれば幸いなんですが、そういう感じをここに受けるわけです。そこで御質問申したいのは、現在日本中央競馬会の経理については、どのような監督を具体的にやっておられるかという点をお伺いしたいと思います。
  54. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 先ほどの点でございますが、畜産振興費はその予算の定むるところにおいて組んでないと言っておるわけではございません。三十六年度においても、歳入予定額二十九億のうち、畜産振興に充てて組んだ額は、社会福祉事業とあわせて、有畜農家創設補助、酪農補助、伝貧研究費等を含みまして、畜産振興の予算額としては四十五億、三十六年度で組んでおるわけであります。そういうふうに予算で整理はいたしておりますが、いろいろ御議論がありまして、そういうことで議論の方を私が強調した関係上、非常に誤解された面もありますので、その点は言葉が悪かったら訂正させていただきます。予算の定むるところによって畜産振興費の予算額は四十五億組んでおる次第でありまして、歳入予算額以上に組んでおる次第であります。  それから競馬会等の経理につきましては、われわれといたしましては、人件費等につきましては一般の公団の例にならいまして編成いたしておりますし、競走費等については、一定の歩合をもって算出いたしまして、その範囲内で賞金を出して馬主あるいは調教師等が仕事がやっていけるということで、基準を設けてやっておる次第であります。
  55. 東海林稔

    東海林委員 最後に、この競馬を公正なものにする、また環境等を改善して、明るい大衆の娯楽的なものにするというような観点から、若干の点をお伺いしたいのと思います。先ほど参考人の方に場外投票場の件についてお伺いしたのですが、この点について当局としてどのようなお考えを持っておるか、先ほど私が質問したような点、お聞きになっておったと思うのですが、当局の御見解を伺いたいと思うのです。要点は、しいて競馬との競輪との差を求むれば、競馬は、その当日の馬の状態を見て勝馬投票券を買うというようなところに、非常に特徴的なものがある、またそれが競馬の非常にいいところじゃないか、こう私は思うわけです。そうすると、そういう馬の現状を見ずに場外で買うというようなことは、ただ売らんかなという場合にはそれも一つの方法ですけれども、現在のようにある程度自粛していこう、こういうような立場に立った場合は、もはや廃止すべき段階にきているのじゃないかと私は考えるのですが、その点についての御見解を伺いたい。
  56. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 根本的な考え方としてはそうであります。ただ経過的に現在の状況では混乱をしないように、なるべく屋内で混乱にならないように現在あるものについては順次整理をしていく、そうしてやる場合におきましても、施設を充実して参りたい、こういうふうに考えております。東海林委員お話のように、やはり田園風景のもとにスポーツを楽しむということでいくべきものだと考えます。
  57. 東海林稔

    東海林委員 どうも、考え方は同じようだけれども、なかなか廃止する勇気がないというようなことのようでありますが、そういうふうになってきますと、やはり競輪競馬を区別するというような考え方が、非常に弱くなってくるのじゃないか、こういうような気がするわけです。この点は一つ十分御検討願いたいと思うわけです。  それから、環境を明るくするという問題に関連して、競馬場におけるいわゆる競馬予想屋についての考えを伺いたいと思うのです。現在中央競馬地方競馬においては、これに対する取り締まりのやり方が違っておるように私思うのです。たしか中央競馬では構内には予想屋は入れないというようなふうにしておられるが、地方競馬においては、主催者において適当に何か資格を吟味してでしょうが、許可してやっておる、こういう点があるように思いますが、この予想星に対する考え方中央競馬地方競馬で区別がある点も、ちょっと私は疑問なんですが、その考え方はどうかという点をお伺いしたい。
  58. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私どもとしてはできるだけ公正な運営をやっていく面から、地方競馬の現状は適当でないと考えております。施行者等とも十分協議いたしまして、競馬の公正な運営をはかるように努力いたしたいと考えます。
  59. 東海林稔

    東海林委員 そうすると、予想屋というようなものについては、現在の中央競馬のような方向に漸次進めていきたい、こういう考え方だと理解していいわけですか。
  60. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私としてはその通り考えております。
  61. 東海林稔

    東海林委員 その考えはけっこうなんですが、特にさしあたってぜひやっていただかなければならないのは、地方競馬に行きますと、所によっていわゆる公認の予想屋のほかに、もぐりといいましょうか、一定の場所におらずに、お客さんの間をぐるぐる回りながらやっておるのが現在でも相当あるようです。これは競馬場によって相違があると思いますが、相当あるようです。しかも、これらは大体において地方の暴力団等との関連があって、競馬場における騒擾等が起きる場合の一番火つけ役になっておるようなふうにも見受けられる点があるのです。少なくともそのようなものだけは取り締まらなければいけないのじゃないか、これはやはり公正な競馬の運営とも非常に関係があると思うのです。まあ局長は競馬場に行っておられるかどうか知りませんが、行ってごらんになれば、東京付近の競馬場に行っても、場所によって違いますが、現在も相当そういうのがあるようです。一般観客に相当不愉快な感情を与えるとともに、競馬の公正を害しておると思いますので、少なくともそういうものだけは早急に取り締まっていかなければいけないのじゃないか、このように思います。  それから次にお伺いしたいことは、全国協会との資金の使い方とも関連するのでありますが、地方競馬の中で比較的売り上げが少なくて、一口に不振地方競馬と言われるような競馬場について、公正な競馬をやらせる上においては、一つは設備の充実を期するという点と、もう一つはやはり出場する馬に対する手当とか賞金の額をふやすことが必要じゃないかと思うわけです。私もかつて地方競馬の執行をやった経験があるわけですが、賞金は出したいが、実際に売り上げが少ないから出せない。賞金が少ないし、手当が悪いからまた売り上げが伸びないというジレンマがあるわけですが、せっかく今度全国協会ができて畜産奨励をやるということになったわけですから、その中の解釈の一つとして、不振な地方競馬の経営をやっておるものに対して、全国協会からその競馬場の設備の完備と、さらには出場馬に対する手当あるいは賞金についてこれを助成して、そしてかりに売り上げの額がそう大きくなくても、公正なりっぱな競馬ができるような方法を講じていくことが必要じゃないかと思うのですが、そういうふうな点に対する御見解はいかがでしょうか。
  62. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私どもといたしましては、今回の制度といたしましては、全国協会がその県から取り上げたものをその他の県の競馬施設の充実にまで充てるという制度ではございませんけれども、今回の地方競馬の改正にあたりまして、競馬の公正あるいは環境対策等を考えまして、各県の関係者の自主的な関係によりまして、競馬場もよくなっていかなければ全体がよくなっていかないという問題もございますので、自主的な関係で御趣旨に沿うようにやっていきたいと存じます。
  63. 東海林稔

    東海林委員 今の点、一般畜産奨励にまで金を出すのですから、一番自分たちに身近な仲間の財政的に苦しんでおるところに出すということは、必ずしも私は悪いことでないように思うわけですが、こういう例があるわけです。御承知だと思うのですけれども地方に行きますと、出馬頭数が少ないものですから、わずか六日間のレースに同じ馬が三回も四回も出る。これは馬主立場からいえば、せめて出馬手当でももらって幾らか金をとりたい、騎手にしてもなるべく乗って騎乗料をもらいたい、こういう点があります。しかし主催者の側からいうと、そういう点をあまりやかましくいうと、出馬頭数が少なくて番組が五頭以下になってしまうという点があるものですから、やむを得ずそれを認める。そうなりますと同じ馬が六日間に四回も出た場合に全力疾走なんということは当然期待されないわけです。そういう点でいわゆる不振競馬場における公正なレースというようなことを期待しても実際上行なわれない。経営者の立場でもそれを黙認せざるを得ないというような条件があるわけです。そういう点をやはり改善しなければ、競馬全体としての品位の向上ということにはならないのじゃないかと私は思う。また馬主からいっても、毎日走らせておったのでは馬がつぶれる。また賞金額が少ないから、賞金だけではなかなか馬の養いができないから、きのうはビリを走ったものがきょうはトップにくる。こういうようなことで賞金をかせがなければならぬ、こういうことになると思うのです。そういうことは売り上げの少ない競馬場の常識になっておると思うのです。そういう点を黙認しておくということは競馬全体の運営から非常に問題であるし、また競馬に対する非難の大きい一つの理由にもなっておると思うのですが、これはせっかく全国競馬協会ができて畜産奨励をやる。なるほどこれは畜産奨励というのですから一般畜産奨励という趣旨かもしれませんけれども、しかし考え方によってはそういうものからまずよくしていくということも考え方一つでなければならぬ。この点はぜひ考え直してもらいたいと思うのですが、もう一度その点の御見解を承りたい。
  64. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 馬の登録等も全国協会で統一いたしまして、馬のそういうことから始まって特殊機関等の活動とも相待って、馬の配分等も十分交流といいますか、各県の個々の登録でなく一本の登録になるものですから、交流も割合に容易にいくということでございます。今回の機会を逸せず、われわれとしては関係者の方向づけといいますか、向き方をきめまして、十分、施設の悪いところを引きずって上げていくということに全関係者の協力を仰いで指導していきたいと存じます。
  65. 東海林稔

    東海林委員 今、登録は一本になるからという話でありましたが、登録が一本になりましても各競馬場に出馬させるかどうかということは馬主の自由だと思うのです。従ってやはり売り上げの多いような、お客さんのたくさん来る、また賞金の多いところには、馬主としては相当出馬を希望するだろうと思うのですが、むしろ私は一本になればなるほどかえって今までの売り上げの少ない、賞金の悪いところは出馬する馬が少なくなるのではないかという気がせぬでもないわけです。この資料によって見ますと、中央競馬は九カ所で年三十二回やって、三十六年末の登録頭数が千六百七十五頭に対して、地方競馬競馬場の数で三十七カ所、三百五十回やりまして、登録頭数が昨年末で八千四百十一です。そうすると地方競馬中央競馬に比べて回数は十倍以上になっておりますが、馬の数は約五倍、こういうことです。しかもこれが各地方競馬競馬場によって、たくさん出る競馬場と少ない競馬場ということになると、これだけ見てもそういう傾向が非常に出ておると思うのです。そういう点はただ指導するといいましても、これは主として金に関連する点から出ているわけですから、先ほどの私の意見のような点を金についても一つ真剣に御検討願いたいと思います。  次の問題ですが、これも倉成委員から質問がありました問題ですけれども騎手や馬丁の生活の安定、老後の保障等についての問題でございます。昨日の御答弁によりますと、中央競馬会では、これについて相当いろいろと施策を講じておられるようでありますが、地方競馬についてはまだ不十分であるという趣旨のお答えがあったように拝聴したわけであります。私は騎手、馬丁、いわゆる労働者の生活の安定というような問題ばかりでなしに、この点もまた競馬の公正な施行という点に非常に大きい関係があると思うのです。中央競馬や、あるいは大井等においてはこういう例は少ないと思いますが、やはり地方の不振競馬に参りますと、騎手や馬丁はその競馬場馬券は買ってはいけないというが、騎手の家族が買ったり馬丁が買ったりというようなことが常識になっております。これはやはり生活の安定という点に不十分な点があるために幾らかでもそういう点で収入を補いたい、そういうことだと思うのです。自分が馬券を買うというようなことになりますと、騎手でいえば馬の騎乗のやり方、馬丁でいえば馬の手入れ等についてどうしてもそこに作為的なものが出てきて公正な競馬は行なわれないということはだれが考えてもわかることだと思います。そういう点から見てもやはりこの点はきわめて重要だと思うわけです。  そこで私がお願いしたいことは、これを法律の中に、日本中央競馬会なり、あるいは地方競馬については全国協会がこういうことについての対策を講じなければいけないというような規定を設けるか、あるいはそういうようなことに関して農林大臣が適当な指示をすることができるというような何らかの法律的な規定を今回の改正の際に設けるべきじゃなかったか、こういうふうに感ずるわけでありますが、そういう点についての御意見はどうでございましょう。
  66. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 中央競馬会におきましては、馬丁は調教師の使用人になっておるわけでありますが、中央競馬会等でも十分助成をいたしまして、生活の安定をはかっておるわけであります。地方競馬におきましては、各市町村が多数ございますけれども、関東地方発達した地方では一部管理組合等を作りまして、施行関係につきまして重大な関心を持って相当待遇も進んでおるようであります。お話のような点につきましては、そういう規定を置かなくとも監督規定によりましてやはり公正な競馬をやらせるという意味におきまして指示命令ができるわけでございますので、われわれとしては、そういう点は今回の改正の暁には特に各方面につきまして相当の強い指導を加えまして、そういう点について安定した生活ができ、不正が行なわれないように、それが非常に大きな柱でございますので、こまかい指導をして参りたいと考えております。
  67. 東海林稔

    東海林委員 私がお伺いしたいことは、そういう重要な柱でございますので、これを法律の中に何らか明示する必要がないか、こういう点についての御見解を伺っておるわけです。
  68. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 農林省としましては、知事さんに具体的な要綱等も作りまして、知事が施行するにあたり、あるいは市町村が施行するについて知事が指揮をするにあたってもっときめのこまかい具体的な指示をいたしたいということでございまして、そういう監督条文がある以上、そういうこまかいことにつきましては私ども十分万遺憾なきを期して参りたいと考えております。
  69. 東海林稔

    東海林委員 昨日からきょうにわたりまして畜産局長から非常に懇切な御答弁をいただいたわけでありますが、ただ私は二点ばかりきわめて重要な事項につきまして、これはぜひ責任ある大臣の見解をただしたいという希望を持っておるわけです。一つは、やはり現在の段階において競馬目的をどういうふうに理解したらいいのか、理解しておるのかという点です。もう一つは、やはり今回の地方競馬全国協会畜産奨励と国の畜産行政との関連について、きわめて重要な事項でありますので、本案の審議の適当な段階に大臣に御出席願って、この二点について大臣に質問することを一つ留保させていただいて、一応事務当局に対する質問を終わらしていただきます。
  70. 野原正勝

  71. 稲富稜人

    ○稲富委員 政府にお尋ねしたいのですが、最近競馬競輪というものが一緒になりまして、中には競馬競輪廃止論というような問題さえ起こっておる。こういう中に競馬法の改正を今回政府は提案されたわけでございますが、この競馬法の改正を機会に一つ政府にお聞きしたいと思いますことは、競輪競馬一般にいわれておる中に、競馬というものの特殊性、こういう点をどのように政府は考えておるかということ。さらにまた、私、先日からのこの提案理由の説明等を聞いておりましても、どうも競馬法改正に対して、将来の競馬施行に対する政府の自信があまりにもなさ過ぎるのじゃないかというような感じさえしますので、そういう意味から、まず将来の競馬というものに対してどういうような考え方を持っておられるかということをお尋ねしたいと思います。
  72. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私ども競馬の存在理由は強く感じておるわけであります。これは競馬の特質、馬の特質から出て、馬は農村に生まれ、農村に育って、農民に飼育されて、農業に使用されてきた特質があるわけでありまして、現在でも、農業生産力について重要な役割を務めておるわけであります。また運搬施設としても広く社会一般に貢献したわけであります。そこでそういう優秀な系統能力の生産技術あるいは飼育の獣医的育成上の技術は、その他の家畜の改良の面について大きな貢献をし、また将来も貢献すると考えております。いなかの方は祭典競馬等も生まれまして、愛馬心から家畜愛も生まれて、生産上におきまして農民、あるいは一般運搬機関としても広く社会一般に、強く、深く生みつけられた現在の愛着心だと考えております。人の生活と切っても切れないきずなが植えつけられた結果であると思います。そういう意味におきまして、馬を愛し、動物を愛する。あるいは生産技術的にも——そういう面で、いなかに育った馬が都会で走る、これが一つのレクリェーションとして発達しておるという現況であります。そういう意味におきまして、本能的にも温順な馬の特質として正直に走るなど、われわれの過去の生活、現在の生活と切っても切れない関係があるわけでございます。競馬は今やレクリエーション的に強く発展いたしておりますけれども、そういう意味におきまして、競馬は馬のスポーツとして明るく運営されることをわれわれといたしましても望んでおるわけであります。従いまして地方競馬等の施設が、環境がまだ十分でないということは非常に痛感しておるわけでありまして、今後地方競馬等の運営につきましては、経費をできるだけ見て、まず競馬場施設をよくしてから、そうして公正な競馬運営をしてから、収益はほかの方へ充当するということで、畜産振興をはかり、その他の方へ充当するということで、明るい競馬場を作って、国民とともに、国民娯楽として指導して参りたいと存ずるわけであります。   〔委員長退席、小山委員長代理着席〕
  73. 稲富稜人

    ○稲富委員 過去におけるそういう馬とのつながり等は、それは局長の言われる通りでございましょうが、私がお尋ねしたいと思いますことは、将来の競馬執行にあたりまして、ほんとうに確信を持って競馬というものをやっていこうというお考えがあるのかどうかということなんです。これは昨日も質問に出ておったのでありますが、たとえば今回の競馬法改正の目的がどういうことであるかということに対して、局長は、ただ競馬を開催することが目的であるというような答弁であった。私は、競馬を開催することが目的でなくして、その競馬を開催するということはどういう目的であるかということをまず示さなくてはいけないと思う。その点を示されないということは、非常に競馬の将来に対する確信がないのじゃないかと私は思う。その点を私はお聞きしておるわけなんで、こういうために競馬というものはやるんだ、この点の確たる信念というものが提案者になければならないと思う。そういう信念に基づいて競馬法の改正というものは行なわれなければならないのじゃないか、こういう点から私はお聞きしておるわけです。この法案を見ますと、遠慮がちな提案でありますので、その点をお聞きしたいと思っておるのです。
  74. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 競馬を開催する恩義は、馬の特質あるいは人間生活、あるいは農村関係から発展してきた関係等で、現在都会等で発達しておりますけれども、これを畜産振興馬匹改良、家畜改良に充てまして、やはりそういうきずなを十分レクリエーションのうちにも植えつけてやっていく、こういう意味において競馬開催を考えておるわけであります。
  75. 稲富稜人

    ○稲富委員 基本的な問題は局長では無理かと思うのでございますが、今の答弁の中にも、いろいろわれわれのしっくりしない点があるのでございます。かつての競馬というものは、やはり今おっしゃったような馬匹改良というものが大きな主眼であった。あるいは軍馬であるとか輓馬であるとか——そういうような競馬目的というものが発揮されておった。ところが終戦後競馬法が改正になりまして、あまりそういうことを大きく言うことは、やはり戦争政策に影響するんじゃないかという遠慮から、終戦後におきまする競馬法というものが目的を発揮せぬで、ただ地方競馬においては戦災都市の復興競馬をやるんだというような、こういう方面にこれをそらしたという形ではなかったかと私は思うのです。ところが、戦災都市復興の競馬というものは、すでに今日においては沿わないわけである。それでここに競馬法の改正が行なわれたと思うのでございますが、その点から、われわれは、将来の競馬というものは、あるいは畜産振興に対して役割を果たさせるような競馬をやるのだとか、やはりそういう的確な一つの方向というものがなければならないと思う。ところが今日、一方にはギャンブルの弊害を言われる。そうすると提案者の方にも、競馬というものは、ギャンブルだということで一般から非難されるんじゃないかという点から、遠慮がちに、どっちにもつかぬような、ほんとう目的通り有効に使っているかどうか、こういうことに確信がないことになってくるんじゃないかと思う。それで私は、提案者たるものはやはり競馬目的というものに対するはっきりした確信があって、その確信の上に立って法の改正を行なう、将来の競馬を執行するんだ——これがなければできないと思うがゆえに、そういう点をお聞きしているわけです。たとえばこの競馬法の改正に対しては、公営競技調査会答申が出ておりますが、この答申書も、私たちが見ますと、おそらく競馬というものを主体として考えたのじゃなくして、ただ公営競技としてのこれに対する答申だと思う。競馬法の今度の改正も、これを主体にして考えられておるようでございますが、その点いかがであるか、お伺いしたいと思います。
  76. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 公営競技という面で抽象的にひっくるめられた観がありますけれども公営競技調査会の審議の過程等も拝聴いたしまして、競馬は全然性質が違うということで、むしろ論議はその他の競技に集中された観もあるわけであります。われわれといたしましては、先生のおっしゃる通り、あくまでも——今まで地方競馬について、そういう畜産振興という面が大部分没却されていた面がありましたので、強くそういう面を打ち出したわけであります。いろいろ説明が、口下手なものでございますので、先生の意向に沿わないような点もございますので、申しわけないのでございますが、われわれとしては今回初めて特に金額まで取り上げて、そうして畜産振興をはかるということで強い考え方を持っておるわけであります。
  77. 稲富稜人

    ○稲富委員 それから基本的問題としていま一つお尋ねしたいと思いますことは、今日、競馬競輪その他の競技が、一つギャンブルだということで往々にして片づけられるような観があるのですが、ギャンブルといいましても、もちろん、いろいろあると思うのでありますけれども、その中において競馬競輪、オートレースあるいはボートレース、この中において競馬がどういう点に違いがあるんだということを、提案者としては御認識になっているか、その点を承りたい。
  78. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 皆さんからいろいろお話がある通り、その際に申し上げましたが、やはり沿革から、歴史からいって、強く農業生産等にも結びついて発展してきたわけであります。各国等におきましても同様なことで、農業共進会等で相当開催しておるわけであります。戦前等におきましても、馬匹組合連合会等で開催してきたわけであります。そのきずなが終戦ということで切られてしまって、そして戦敗という大きな問題がございましたので、とかくそちらの方に流れてしまったという関係があるわけでございます。私どもといたしましては、沿革から、歴史から、また農業生産関係の問題からいって、畜振産興と切っても切れない関係があるわけであります。今後の高度の畜産振興につきましても、高度の技術を要求されておる際におきまして、現在、馬の獣医技術も最高であると考えるわけであります。これら等も通じまして、私どもといたしましては競馬関係につきまして、それなの発展的効果、いろいろ技術的な効果等も考えておるわけであります。
  79. 稲富稜人

    ○稲富委員 同じギャンブルといいましても、いろいろ種類があると思うのです。品のいい、ギャンブルもあるし、品の悪い、ギャンブルもあると私は思う。ただここにある競技とか何とかいいますと、競馬には草競馬あり部落競馬がありましょう。自転車だって車券をかけない自転車競争なんというものもあるわけであります。あるいはボートレースだって、金をかけないボートレースもあるので、そういう競技と同じようだから、競馬地方において娯楽として合っているからわれわれは特殊性を認めるのだということになれば、そういうこともあるかもしれませんが、それよりも競馬というものが他の競技と違うということは、やはり勝負の雰囲気において、あるいはボートレースとかそういうものは機械と人であるが、これは馬という特殊性がある。そういう点から、あるいは競争においても明朗な競争が行なわれるとか、そういうような特殊性というものがどの程度認められているかということを私はお尋ねしておるわけなんです。
  80. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 特に特殊性としては、優秀な能力の馬を育てることから、それを訓練することから始まりまして、そういうことで馬の能力を争うということが一極のスポーツということになるわけでありますが、観衆の面から言えば、一つ娯楽になっておるわけであります。そういう面におきまして、育てることから、優秀な馬を作ることから訓練することから、いろいろそういう関係等も考えますれば、非常に能力のいい馬が勝つのだ、こういうことでその競技というものは普通のオリンピックの競技のように公正厳正に行なわれるということであるわけであります。ただ運営が非常に適当でないというような関係から、とかく弊害が多い点もございますので、本来の競馬という精神に返すという意味で今後指導して参りたいと存じます。
  81. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではもう繰り返して聞いてもなんでございますので先へ進みますが、今回の競馬法改正にあたりましては、すでに公営競技調査会から諮問に対する答申がなされておりますので、その答申に基づいて、競馬法改正の重要な参考とし、これを尊重されて、競馬法改正をやられたという意味であるのか、この点伺いたい。
  82. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 投票方法、環境の問題等々につきましては、われわれとしても答申の文面に流れておりまする線は重要な点でございますので、そういう点を特に考えたわけであります。ただ競馬競馬自体の特質もございますので、投票方法等については、われわれといたしましては、ギャンブル的なものを避けるという意味におきまして、ほかの競技がついてくるならば引っぱっていくというようなことで、まずわれわれといたしましては独自な見解投票方法等も考えるということでおるわけであります。統一的というのは、ほかの方が合わせてくる場合のことであると考えるわけであります。私どもといたしましては、この答申の内容等につきまして、十分検討いたしまして、競馬の特殊性を生かしてそうして特に関連産業に限らずほかの社会事業に充てるという規定等につきましては、競馬自身の特質から畜産振興費は特にそれを引っぱり出してきて、そうしてやっていない県までも配るということなど、競馬法競馬法なりにわれわれとしては改正案を提出したわけであります。
  83. 稲富稜人

    ○稲富委員 この競技調査会答申を見ましても、この答申の中には、競馬の実態というものを十分御存じなくてこういう答申をされておるのではないかと思われる点もあると思うのでございます。そういう点が、今局長は、この競馬の特殊性というものを十分に認めて参考にしたのだとおっしゃいますが、どうもこの内容を見ますと、はたして競馬の特殊性というものをどれほど認識されておるか、こういう点もあるようでございます。その点は一つ将来の政令、省令等においても十分考えなければいけない問題があると思います。後ほどこの問題は質問いたしますけれども、そういう点で考慮すべき点があるのではないかと考えております。さらにまたこの答申の中に、付記として、「日本中央競馬会については、その経理を円滑にするため、徹底的に検討する。」ということがありますが、これはどういう意味でございますか。この点検討されておりますか、その点一つ伺いたい。
  84. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 中央競馬施設も充実して参っておるわけであります。しかしながらまだ十分ではない点もございますので、まず公正な競馬を行なっていくという意味におきましても、冗費は避けて施設等に十分充当していくということ等につきまして、現在中央競馬会の機構あるいは施設等について十分な検討を加えておる最中でございます。
  85. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、「経理を円滑にするため、」ということは、今までは円滑でなかったということなんでございますか、それとも将来さらに何か施設等をやるという意味でございますか。今の局長の御答弁を聞きますと、将来設備その他そういうことに対して、競馬会の機構等も改正していかなければいけないということを言っておられますが、この答申書の附記はそういう意味に解釈されない。「その経理を円滑にするため、徹底的に検討する。」ということは、従来の日本中央競馬会の経理というものが円滑に行なわれておらないのだ、こういうような解釈ではないかと思うのですが、この点はあなたの方で検討されたのでございますか。
  86. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 経理制度といたしましては、国営から中央競馬会の設立になりましたが、現在の競馬会の資本金制度の問題、施設をやった場合におきまするそれの資本金の額を変えてこれを繰り入れるか、いろいろな経理制度の問題か国営から中央競馬会に移ったときに、さて運営してみるといろいろやりにくい点があるというようなお話もありますので、そういう点は公営競技調査会等答申をも参酌いたしまして某大学教授に目下経理制度としてどういう方法がいいか検討させておる最中でございます。
  87. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題はいずれ大臣が見えたときにお尋ねするとしまして、さらにお尋ねしたいと思いますことは、幸いに中央競馬会から参考人としてお見えになっておりますので、中央競馬会のどなたかにお聞きしたいと思いますが、このただいま申し上げました競技調査会からの答申に対しまして、中央競馬会からの回答書が畜産局長あてに参っているのでございます。この回答書を一々申し上げますと非常に長くなりますので、ただ要点だけ申し上げるのでございますが、この回答書を見ますと、競馬開催に対する競馬会の意思が実に弱いと思うのです。こういうことではたして——あるいは将来の馬券の問題、あるいは連勝式の問題等、非常にこの実施に対して弱いような感じがするのでございますが、こういうことで将来やはり中央競馬は採算上成り立つものであるという御解釈をなさっておるのであるか、一つ承っておきたいと思うのでございます。
  88. 酒井忠正

    酒井参考人 私からお答え申し上げます。  農林省に対しまして答申をいたしたのは、公営競技調査会答申、その方向に即しましてできるだけ射幸心を過熱しないようにというような意思に沿って答申をいたしたのでございます。ただしそれには各種の競技が全部これに同調していくならばという一項がついておるわけです。みながそういうふうにしていくならば、私の方はこの程度のことならやってみましょうという答申であります。その上さらにいろいろ今後の投票のいたし方等につきしては、さらに農林省と協議の上善処していきたい、そういうふうにただいまま考えております。
  89. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうしますと、ただいま競馬競輪廃止の問題が起こっておりますが、何でも同調すればいいという考え方を持っておりますと、競輪が廃止された場合は競馬も廃止されて同調する、そういう意味ですか、こういうふうに解釈される。やはり先刻から申し上げておりますように、競馬は多くの公営競技の中においては一つの特殊的な存在である、この確信が私は競馬をやるものにはなければいかぬじゃないかと思う。ほかの競技が廃れ止さることはあっても競馬は依然としてやるべきだ、その点の確信が政府にもなさ過ぎるのではないか、また競馬をやられておるあなた方にもその確信がなさ過ぎるのではないか。強く言っては、ギャンブルと非難されるのではないか、こういう点があり過ぎるのではないかと私は思う。その点私たちは将来の競馬法改正についてどれほどの確信があるかということを疑う。あまりにこの回答が弱いと思う。はたしてあなた方がこういうことで競馬というものの特殊性というものにどれだけ自信を持っておるか、こういう点を考える場合に、私が今申上げましたように、ほうしかのものと同調するだけだ、こういうことでは弱いのではないか、こう思わけです。
  90. 石川武平

    石川参考人 ただいま酒井理事長から申し上げた通りでございますが、繰り返すようでありますけれども、営公競技調査会の取り上げ方というものは、私どもが理解しておるところによりますれば、競馬ファンはもちろんのこと、競馬ファンでない一般国民の大衆というようなものもひっくるめた意味において、ギャンブルスポーツというものばいかにあるべきかということについての答申というふうに考えておるわけであります。ギャンブルを伴う競馬あるいは競輪において一般社会的な意味において許される限度というものがどれであるかという線を出したというふうに考えられるのでありまして、そういう調査会答申に対しましては、競馬会としてはまことに謙虚な態度をもって一般社会の批判にたえるような格好で競馬というものを全健な形で発達させていきたいということを念願しておるわけであります。先ほど申し上げました競輪競艇等にならうのだということでは毛頭ございませんので、統一したルール、やり方というものにつきましては、一つ同じ線でもってやっていきたい。先ほどの御喪間にありましたような、この投票方法いかんによりましては中央競馬として財政の基礎をゆるがすような事態も考えられる重大な問題であります。従ってただ中央競馬だけがひとり合点に独善と申しますか、いたずらに遠慮しておって、その財政の基礎を脅かされるということを危惧いたしている、従ってそこには統一的なルールにおいてやるのだというようなことを申し上げたのであります。  競輪競馬をどういうふうに違うかということにつきましては、お話通り、これはこれこれこういうかくかくの理由に基づいてということもさることながら、国民一般大衆の感覚と申しますか、そういうものによってささえられている、一つのそういう理解の仕方からすれば、これはちょっと違っているという、ぱっとした感覚があるということだと私は率直に言うと思うのであります。そういうことで私ども競輪が廃止されたからそれに同調するとかいう考え方はごうまつもありません。中央競馬をただ社会的にも非難の少ないようなりっぱなものにしていきたいという念願であったのであります。
  91. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは本論に入ります。競馬法改正につきまして、まず地方競馬の方の問題と中央競馬の問題とあるのでありますが、私は、中央競馬会関係の方が見えておりますので、中央競馬関係からまずお尋ねしたいと思うのでございます。これは前々国会のときに私は競馬法の改正でお尋ねをしたのであります。ただいま東海林委員もお尋ねした問題でございますが、日本中央競馬会法の第三十六条に、先刻局長も答弁になったのでありますが、「政府は、第二十七条の規定による国庫納付金の額に相当する金額を、酪農振興法第二十四条の四第一項の国の補助のための経費、馬の伝染性貧血症の試験研究施設に要する経費その他畜産業の振興のために必要な経費及び民間の社会福祉事業の振興のために必要な経費に充てなければならない。」とこういうことがはっきりうたってあります。これはさっき東海林委員の質問に対しまして、これは空文化しているのだという率直なあなたの答弁があった。私も前々回かの委員会のときに、これは空文じゃないか、こういう点は改正をすべきじゃないかということを強く要望しております。この際競馬法の改正をやられるならば、なぜこの空文化したものの改正をやらなかったかということです。現に一般会計に持っていきましたら、この畜産振興にどれだけ使われているかということは、金にしるしがないからわからない、ここに空文化した問題があるわけであります。地方競馬会の方は今度協会を作られて、それから捻出しようというのでありますが、なぜ中央競馬会法の空文化している法文の改正をおやりにならなかったかということをお尋ねしたい。
  92. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 先ほど空文化という言葉でいろいろお話がありましたが、私どもとしましては、制度としてはっきり国庫納付金三十億なら三十億というようなことで、それを重点的に畜産振興に特別な予算、一般的な予算要求とは別に特に力を入れて、国庫納付金をその方に充当したい、こういう考え方から、今回の予算措置におきましても、気持としては、意義としては、全く特別にその国庫納付金の、かりに三十六年度予算額としては二十九億を組み、実質としては四十数億入る国庫納付金につきましては、重大な関心を持っていろいろ工作したわけでございます。結論といたしましては、今回別途提出に相なっております畜産物価格安定法の改正による交付金十億は、基本的な考え方としては、国庫納付金三十億の半分の十五億、そのうちの五億は畜産振興事業団への出資金、十億は交付金ということで、これを交付金制度として機動的に使っていく、問題は、空文化されているという意味合いにおいて、実質的に、これを一般畜産振興費以外に、毎年度予算折衝のルールとして確立していきたい、こういう意味で特に交付金制度を置いたわけであります。そういう意味におきまして実質的に確保しなければならぬ。空文化されている、その空の裏は実でありますので、実質的に確保していかなければならぬ、こういう意味で交付金制度を設けたわけであります。今後の問題といたしましては、われわれ毎年国庫納付金額をねらいまして、少なくともその半額は事業団等の資金充実に充てまして、その金を機動的に使っていく、こういう意味で三十六条は予算の定むるところによりということで書いてあります。はっきり申し上げていいと思いますが、そういう趣旨で予算編成が行なわれておるわけであります。
  93. 稲富稜人

    ○稲富委員 局長は非常に苦しい答弁をなさっておるのですが、あなたが率直に言われるように、これは実際空文化しているのです。畜産振興事業に対しては、当然国は支出しなければいけない。われわれは、競馬の国庫納付金てからに法律で定めて出さなくてはいけないということは、当然政府が出さなくてはいけないのに、プラス・アルファして出すのだという意味がなくてはいけないと思うのです。ここに私は競馬の益金を使うのだという意義があると思うのです。それがやられていないということなんです。これは空文化しているのだとあなたは率直に言われると私は思う。それを生かすような法の改正をなぜおやりにならなかったのか。おやりになろうという意思があったのか、意思はあったけれども、やらなかったのか、初めからやらないで、空文でやむを得ないのだ、こういう考えであったのか、この点をお聞きしておるわけなんです。
  94. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 はっきり申し上げますと、畜産振興事業団への交付金は、今申し上げた意味では、国威納付金の予算額の五割ということを明文に置きますれば、なお明確になると思います。私どもといたしましては、そういう明文を置かないでも、予算交渉の経緯からいいまして、少なくとも毎年国庫納付金の半額は別途に予算化していく、こういうことで行政官庁として責任を持ってやっていきたいと存じます。
  95. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうなりますと、畜産事業団の資金構成なんかも、どこから捻出されておるかということで、検討されなければならない問題が出てくるわけです。そういう繁雑な手をやるよりも、この際競馬法改正を行なわれるのだから——この際改正をやっておきませんとなかなか改正はできないのです。それで私たちは、今回の競馬法の改正を機会に、こういう点も当然改正されるものだというように期待をしておった。ところで、一番肝心の中央競馬会法においてはこの点が十分改正されていないから、われわれその点に対して不満なんです。なぜおやりにならないのか、この際修正しておやりになる意思はないのか、この点ぜひお聞きしたいと思うのです。
  96. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 三十六条では、国庫納付金は予算の定むるところによって少なくとも四分の三畜産振興費に充てると書いてあるわけであります。従いまして、われわれとしては、国庫納付金の予算額——本年度組まれましたのは約三十億だと思いますが、三十億の半額について確保したわけであります。実質的に毎年確保して参りたい、こういう考えであります。
  97. 稲富稜人

    ○稲富委員 そのくらいのことは、競馬の納付金がいかなくても、当然国は出すべきである。それを、これがあるために確保したいというような、そういうような、あなた方自体が満足されておっては、大蔵省が出すはずはありませんよ。あなた方が、大蔵省に対して、こういうような三十六条があるから、これに対してプラス・アルファはどれだけするか、当然これだけ出すべきじゃないかというような要求をされたかどうか、この点が一番肝心な点です。ただ、十五億出されておるから——これは現在農業某本法から申し上げても、畜産というものは非常に成長部門といわれておる。そのくらいのことをやるのはあたりまえだ。あなた方がそれで満足されておるのでは、大蔵省は出すはずがございませんよ。こんなことでは大蔵省が出さないから、競馬法改正に際して、十分われわれは的確なる理由をつけて、三十六条の問題も踏み切るのだ、これほどのあなた方が確信を持って当たるべきでなかったかと思う。この点の経緯を聞いておるわけなんです。これはあなたでいけなかったら、大臣に聞かなければいけないが、どういうことなんですか。
  98. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私どもといたしましては、稲富さんの言うような、その通り気持で、特に交付金を確保したわけであります。
  99. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは水かけ論になりまして、あなたと何時間話しておっても同じことになると思いますから、いずれまた関係の大臣等に来てもらいまして、その上でお尋ねしたいと思います。  さらに、中央競馬会は、先刻から、明朗な競馬をやるためには、設備その他に対して十分なものをやらなければいけないということは、競馬会も認められておるし、局長の答弁にもあるのでございます。ところが現在、中央競馬会法の二十七条によりまして、第二納付金というものを納められておる。しかも莫大な金が納められておるが、この点一体局長はいいと思っておりますか、この点も改正の必要があると思いますので、お尋ねしたいと思うわけです。
  100. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 現在の第二納付金制度につきましては、施設の充実上非常に不便な点があるという点につきましては、中央競馬会の方からもいろいろ意見を伺ったわけであります。しかしながら、全体の資本金の立て方、経理制度等につきましても別に並行して、先ほど申し上げました通りに、専門家が検討中でありますので、今回の改正には問に合わなかったわけでございます。われわれとしても十分検討いたしたいと思います。
  101. 稲富稜人

    ○稲富委員 中央競馬会にお尋ねしたいのですが、第二納付金は、三十五年度は三億四千八百万円、三十六年度は五億三千六百万円を納められておるのでございますが、それは事実でありますか。
  102. 古木隆蔵

    古木参考人 仰せの通りでございます。
  103. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、後にまた聞きたいと思っておりますが、中央競馬会の設備等に対しましては、あるいは騎手あるいは馬丁、こういう人たちの待遇の問題等から設備の問題、あるいは環境衛生を叫ばれております。先刻から問題になっております場外馬券等の問題、こういう設備等に対しては、まだやらなければならぬ点が相当あると思う。こういう場合に、第二納付金として、三十六年には五億三千六百万円、三十五年には三億四千八百万円という莫大なものを納めることを義務づけられておるということは、将来一方には設備を完全なものにするんだ、明朗な経理を行なわなければいけないということをいいながらも、非常に支障を来たすのではないかと思うのでありますが、この点はどうでありましょうか。
  104. 古木隆蔵

    古木参考人 仰せの通りでございますが、われわれといたしましては、十分経費の節約をやりまして、許される範囲においてやっていくという覚悟であります。ただ、今のような問題が多少でもこちらに有利になりますと、その速度が早くなるということは申し上げるわけであります。
  105. 稲富稜人

    ○稲富委員 中央競馬会の収支決算書を見ますと、第二納付金というのはどの品目で出されておるのですか。
  106. 古木隆蔵

    古木参考人 それは予算に計上してございません。普通年度の収支予算におきましては、今までのやり方としましては収入を支出に充てるということでやっておりまして、その第二納付金は手持ちの現金で払っております。手持ちの現金というのはどういうことかというと、会計のこまかな技術でございますので申し上げにくいのでございますが、ただ第一国庫納付金なんかは競馬を開催いたしましてから一カ月間これは政府に納めなくてよろしゅうございます。そういう金がたまっておる、そういうものを払うのでございますから、一種の借金でお払いしているという形になっておるわけであります。しかし今後この金額が大きくなるということになりますると、そういうふうな操作もできなくなるのじゃないかというふうに思いますので、今度は予算にある程度相当額を計上しておかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。
  107. 稲富稜人

    ○稲富委員 毎年三億あるいは五億内外の納付金を納める、これだけの金額を予算にも見積もってないで、最後のトータルによってそのうちから二分の一を支払う、こういうところに経理面の非常に不明朗じゃないかといわれる原因があるのじゃないかと思うのですが、この点の見解はいかがでございますか。
  108. 古木隆蔵

    古木参考人 それは普通の会社のやり方といたしまして、別段、これが出たからといって不明朗ということは全然ございませんです。ただ、経費を普通利益剰余金、いわゆる利益金でございますが、これが収入、いわゆる収益でございます。収益とそれから支出、その支出の中でも月給だとか競走費とか、そういうようないわゆる経費的支出、その差額がさっきお話がございました施設の経費となるのでございますが、施設は、ほんとうは会計学上は経費ではございませんので、これだけが財産の増加になっておるわけであります。競馬会といたしましては、その施設をやるために自分の経費、一般のさっき言った旅費とか人件費とか、そういうふうな消えてなくなるところの経費、これを極力節約いたしまして設備に投資いたしておるわけであります。設備に投資いたしますると、それだけ財産の増加になる。財産の増加はいわゆる貸借対照表ではこれは利益になるわけでございまして、利益剰余金の増加ということになるわけでございます。それでその半分が今度は現金はなくても払わなければならぬということになるわけでございます。今までは、幸いにちょっと申し上げました、ほかにまだいろいろ規定がございます。準備金を設けるとかそういうことがございますので、いわゆる資金繰りは何とかやって参ったのでございます。しかしながら、このように第二納付金の金額が大きくなってくるというと、いわゆる資金繰り的な操作ではやりにくいというふうな状況になってくるから、予算にも上げておいてはっきりさせないと、資金繰りが非常に帯しくなるのじゃないかということでございます。いわゆる御心配のようなことは全然ございませんです。
  109. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうしますと、競馬会の場合は、いろいろだ競馬会としての設備をされる、設備の費用というものはその剰余金と見なして、二十七条によります剰余金の二分の一に相当する額を納付する、こういうような結果になっておるわけでございますか。
  110. 古木隆蔵

    古木参考人 仰せの通りでございます。
  111. 稲富稜人

    ○稲富委員 局長にお尋ねしたいと思いますが、先刻から局長もおっしゃったように、いろいろな設備というものは相当やらなくちゃいけないと私は思う。今日やはり競馬というものがもっと明朗な競馬を行なうために、こういう問題に対してはいろいろ設備その他必要であったと思うのです。そういうような設備その他の問題までも剰余金としてこれを見て、それに対する二分の一の金額を国庫に納付させるということは、これは非常に妥当を欠くように思うのですが、局長はどうお考えになりますか。
  112. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 先刻からお話の点につきまして、たとえば締めてみて五億の剰余金があるという結果になった場合におきまして、二分の一国庫納付するということになりますと、二億五千万円しか一カ年に施設ができない。そうじゃないと、その施設を財源に当てにしまして、そうして借入金で国庫納付しなければならないということになるわけであります。従いまして検討の中途の過程では、その点につきましてはこれを資本金に立てていく、資本金にはっきり組み入れていく、あるいは施設の分は経費として見るということでありますれば、剰余金を逆に全部国庫に納付しても、経費として差し引いてしまえば借金しなくてもいいという方法も考えられるわけであります。私どもとしては検討の途中でございますので、現在の制度は今後の問題として検討して参りたいと存じます。
  113. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは非常に矛盾があるように思うのです。これはやはり三十六条とともに、そういうような矛盾があるものを競馬法改正のときになぜ改正されなかったかという問題なんです。ただあなたの方では今研究されておるからとおっしゃいますけれども、それでは競馬法を今度改正して、こういうような重大な問題はまた改正する時期があるのですか、なかなか実際上改正する時期がこないと私は思うのです。そうするとこの際こういう問題をあるいは法を修正するとかなんとかやはり手を打つべきじゃないかと私は思うのです。こういうような矛盾を置いておくということは、後にまたお尋ねしたいと思いますが、競馬場の設備その他に大きな影響を来たしてくると私は思うんですよ。この点一つ局長の率直な腹を承っておきたいと思うのです。
  114. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 数年前御可決をいただきまして、国庫納付金を免除して約十四億の特別な免除額をいただきまして、そうして中央競馬会は各地のスタンドを充実したわけであります。三十五年度、三十六年度にようやく剰余金が出て参りまして、だんだんと施設が相当充実されたわけでございますが、現在の状況といたしましてはなるべく運営費の方を節約して、そうしてそちらの節約の分で施設の充実をはかって参る。剰余金が相当額出ますれば、現在の制度ではその半分程度施設に向くわけでございますので、現状といたしましては十分ではないがもっとほかの制度等も検討いたしまして、改正の機会は将来あると思います。
  115. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは念を押しておきますが、ただいまの二十七条、三十六条に対しましては、できるだけ近き将来において改正をしたい、こういう御意思が政府側にあるかどうかということをはっきり聞きたい。
  116. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私が申し上げておりますのは、中央競馬会におきます経理制度につきましては目下検討中でございますので、法を改正する必要があるという結論が——そういう制度上のいろいろ今御指摘の通りの問題もございますので、結論が出ますれば、そういう点は改正して参りたいと思います。
  117. 稲富稜人

    ○稲富委員 次にお尋ねしたいと思いますのは、今日まで競馬というものが非常に封建的な存在だと言われている。競馬が封建的だと言われますのは、従来騎手制度、馬丁制度に大きな影響があると私は思う。御承知通り馬丁というものはこれは調教師にくっついている。それでもしも調教師と馬丁との間に待遇改善その他の問題で争いができる、馬丁がそのために競馬ストライキでもやろう、こういう問題になりますと、競馬は開催されないことになってくる。競馬開催者は競馬会である、そういうようなことがすでに存在した事実もあるのでございますが、こういう制度というのはやはり基本的に考え直さなければいけないんじゃないか、もっと近代的な制度を作るべきじゃないか、こう思うのですが、これに対してどういうような考え方を政府は持っておられますか。
  118. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 馬丁の待遇改善の問題についてはお話通りでございます。形式的には調教師に雇用されるものでありまして、直接競馬会には関係ない部面もあるわけであります。ただいろいろ調教師によっては、あるいは馬丁によっては——それから馬丁の賞金等とも関連して、非常にいい人はいいが、非常に悪い人は悪い場合もあるわけであります。今回私どもといたしましては、中央競馬会に特にその点に専念していただけるポストも充実いたしまして、そしてその衝に当たっていただこうということで、そういう点では一つの機構改革として、特に労務面につきまして専門的にその面に当たってもらって、そして合理的な制度を打ち立てて不安定な馬丁の問題等を解決して参りたいと存じております。
  119. 稲富稜人

    ○稲富委員 将来馬丁の問題は解決することに努力したい、こういうふうにおっしゃっていますが、ではどういう点を改正するかという問題はいろいろ上がってくると思うのでございますけれども、まず考えなければいけないのは、やはり今日の馬丁のいわゆる厩舎制、宿舎、こういうものはやはり近代的な設備ある宿舎を作る必要があるのじゃないかと思うのです。厩舎の中に馬と一緒に寝て、馬の小便のかかるところで仕事をやっているというようなことでは、これはとても生活はできないと思うのです。こういうことに対しては当然競馬会等において、馬丁の宿舎の設備等も当然行なわなければならないと思うのでございますが、そういう場合が起こってくるのは第二十七条によります第二項の納付金の関係においてこれがやはり出てくると私は思う。こういう点から申し上げましても、第二十七条の弊害といいますか障害というものが出てくる、こういうことなんでございますが、こういうような設備等に対しては、中央競馬会におきましてはどういう考え方をなされておるか。これは地方競馬にも影響してくるわけでありますが、どういう考えを持っておるか、政府並びに当事者である中央競馬会の方にもこの際意見を承っておきたいと思います。
  120. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 競馬場関係施設の充実と同様なウエートをもって馬丁の宿舎その他生活保障等についてなお合理的な制度を確立したいと存ずるわけであります。現在独立していろいろ馬丁の宿舎等につきまして、おもなるところには独立して二百五十世帯分も充実して参っておりますが、なお一そうの充実をはからせたいと存じます。   〔小山委員長代理退席、委員長着席〕
  121. 古木隆蔵

    古木参考人 今仰せになりましたことにつきましては、競馬会も非常に努力いたしておりまして、給与の方面につきましても・相当こちらの方から、直接ではございませんけれども馬主その他を通じまして、馬丁の給与の引き上げに努力をいたしております。設備その他につきましては、今まで完全とは申しませんけれども、できますことはみなやっておりまして、たとえば馬丁会館と申しまして、その人たちが集まって談笑する場所、それから食堂も作っております。さらに宿舎の設備につきましては、今局長からお話ございましたような工合で全部ではございませんが、まあ妻帯者に対しては極力宿舎を作るようにしまして、大体今のところ半分くらいは充足しておるのじゃないかと思っておりますが、今後は土地の選定その他いろいろ困難をきわめておりますけれども、その方面を優先的にやろうというふうにしております。なおこれも一種の厚生施設といたしまして、各競馬場に共同浴場を作りまして、家族の者も入れるというふうに現在いたしております。それから競馬場の中にあまり馬丁の子供なんかが遊んでおりますとけがをしてはいかぬということで、託児所と申しましょうか。そういうものもまた別の方に作ってやっていきたい。最近結婚者が非常にふえて参りましたので、子供も相当競馬場内におるようなことでございまして、そういうことも考慮しながら、今進めておるわけであります。可及的すみやかに実施していきたいというふうに存じております。
  122. 稲富稜人

    ○稲富委員 騎手、馬丁の待遇の問題は、そういうような施設その他によって待遇を改善するということが一つの方法であると同時に、やはり給与の問題も大事であります。先刻東海林委員もお尋ねしておったのでありますが、元来、馬丁及び騎手の給与というものは、その勝馬が賞金をもらったときに、賞金のどれだけを馬丁にやる、どれだけを騎手がもらう、どれだけを調教師がもらうというようになっていると思うのですが、この点の調査はできておりますか、承りたいと思います。
  123. 古木隆蔵

    古木参考人 大体今年は全部の競馬会の収入が六十億くらいでございますが、そのうちでいわゆる競争費、厩舎関係馬主関係賞金その他で約二十四億くらい計上いたしてございます。そのうち十八、九億がほんとう賞金という形で支出されるわけでございますが、その賞金のうちの約五%でございますが、これは馬丁の進上金という形で馬丁の勝つ人も、もらわない人もおりますけれども、それだけがいっておる。これは今までの通りでございます。それからあとはその馬丁の方のいろいろな社会保障、健康保険とかその他のいろいろな助成、そういう方面で大体一億七千万円くらい馬丁の方に支出いたしております。それはさっき申し上げました厚生施設、そういうものを除いております。純粋に金として出ますのが約一億七千万円くらいということになっております。
  124. 稲富稜人

    ○稲富委員 局長にお尋ねしたいのでありますが、ただいまも説明がありましたごとく、馬丁とか騎手手当というものは賞金の中から幾分か分けてもらうというのが慣行なんです。ところがなかなか調教師がこれを払わないのですよ、自分が握ってしまって。ここに大きな問題がある。こういうものをやはり改正の機会に法で規制する必要があるのではないかと思う。この点をなぜおやりにならなかったか、この点を十分聞きたいと思う。
  125. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 馬丁の生活改善等の問題につきましては、競馬会といたしましては非常な努力をいたしておるわけであります。三十六年におきまして基本ベース等も相当引き上げまして、一頭持ちは基本ベースだけで一万八千円、二頭を持っている場合は三万円、関西では二頭を持っている場合は二万六千円ということで相当ベース・アップをして参っておるわけであります。ただいまお話の進上金といいますか、収入の五分を馬丁に回すということでございますので、その点では当たる馬丁と申しますか、とる馬丁は相当いただけるという非常に慣習的なところもありますし、賞金が上がればそれだけまたパーセンテージも上がっていくという点は、私どもは慣習とはいえあまりに偏した問題だと思います。調教師が馬丁に払わないという問題につきましては、これは特に馬丁の進上金の規定できまっておることでありますので、法律に書かなくても当然実行されるべき問題だと思っております。
  126. 稲富稜人

    ○稲富委員 待遇改善の問題は、やはり賞金を増すことなんです。賞金を増すということは、馬券がたくさん売れなくちゃいけないということなんです。それで競馬をやる以上は馬券を売らなくちゃいけないでしょうが、その点から申し上げまして、今度の答申書に基づきますと、連勝複式ということをやるということでございますし、ことに中央競馬会の回答を見ますと、連勝式は一口に七回くらいしょう、こういうような意向のようでございますが、こういうことではたして十分賞金の払いができるような、そういうような競馬が成り立つかということなんです。ことに地方競馬等に対しましては、よほどの賞金を渡しませんと、先刻東海林委員から御質問のありましたような弊害が生じてくる。地方競馬の弊害というものは、同じ競走に——東京近郊はそうじゃございませんけれども地方にいきますと、きょうも出て、あしたも出るということになって、同じ馬が出る。乗る人が非常に酷使される。その中において、それではきょう走らぬと言って、三日目くらいの弱い馬ばかりのときに出そうということになってきて不明朗な競馬が行なわれる。そういうことがないようにするためには、やはり一頭の馬はもう同一競馬には二回出ないようにする。そういうことのためにはやはり賞金というものを増さなければいけない、賞金を増さなければいけないということになりますと、馬券が売れなくちゃ採算が合わないということになる。この点が答申なんかによって、いかにも弊害のないような競馬だということばかり考えておると、結局成り立たぬような競馬ということになってくるのじゃないかと思うのですが、この点をどういうふうにお考えになっておるのか、承りたいと思います。
  127. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 確率が非常に少なくて、非常に大穴が出るということばかりが射幸心とか、いろいろ競馬場の環境対策としてよろしくないということでもないと思います。そこで、それは偶然性の上の偶然性ということもございますので、そういう事態も起こり得ることで、これはどんなレースを組んだ場合でも起こり得ると思うのであります。従いまして、一般的に確率を上げていく、的中率を高めていくという考え方ではございますが、投票方法だけでこの公正競馬の問題というものは片づかない。いろいろな面で、環境整備とか待遇改善とか、お話しのような点が、そちらの方が、ある考え方としては先行していっていい問題かと思います。そこでわれわれといたしましては、地方競馬の経費を組む場合につきましても、そういう環境対策等に重点を置きまして、投票方法についてはそれぞれ専門家の御意見等もございますので、十分検討いたしまして、投票方法だけが射幸心をそそる——かけでございますので、過熱という問題等につきましては、やはり入場料を相当とって環境整備をやっていく。それから場内取り締まり等も、いわゆる八百長が行なわれないように厳重にやっていきたい。そういう面で投票方法を非常に、何というのですか、的中率をめちゃくちゃに高くしてしまう。射幸心を全然なくしてしまうということだけでも、やはり娯楽と関連してデリケートな問題でございますので、われわれといたしましては、収益等も見計らって、目標としてはやはり国民の良識が相当発達していくということでなければならぬと存ずるわけでございますので、各国投票方法等もいろいろ研究はいたしておりますが、現在こういう方法で投票方法をやるという結論には至っておりません。
  128. 稲富稜人

    ○稲富委員 やはり投票券を売る以上、売れなくちゃいけないのですよ。やはり買う人は興味で買うのですよ。それを興味を持たせないような売り方をするということは、これはもう商法としては成り立たない商法なんです。ところが、この答申などを見ますと、非常に弊害というのだけを考えて、興味がなくなるというようなことに持っていかれるのじゃないかと思うのです。先刻私が中央競馬会理事長にお尋ねしたのもそういうわけで、一日に七回くらい連勝式でやっていくのだというようなことで、はたして競馬の採算が合うかどうか。そうなりますというと、結局設備も悪くなってくる、あるいは賞金も悪くなってくる。そうしますと、競馬そのものが明朗な競馬が行なわれないわけです。設備も悪ければ、陰惨な競馬が行なわれる、こうなってくる。それで、われわれは、その点はやはりいろいろな環境をよくするということを考えながら、一方には競馬の利益をたくさん上げるということも当然考えていかなければならない問題じゃないかと思いますので、この点は将来政令でおきめになるようでございますから、よほど考えなければいけない問題じゃないかと私は思います。  それから一、二聞きたいのですが、大きな問題で、いずれ大臣が来ましたら、またお尋ねしたいと思いますが、今回の競馬法改正によりまして、馬券を、単位を十円とされておりますが、現在馬券を売っているのは百円券から千円券を売っているのだから、なぜ十円というのを抜かれないのか。局長はこの間の答弁では、これは円以下切り捨てがあるから、そういう端数になるから十円で売っているのだというお言葉がありましたけれども、そんな今日通用しないことはこの競馬法改正のときにおやめになって、そういう端数切り捨ての問題、端数の問題を、単位を上げる、こういうふうにもつと時宜に沿うたような改正をなぜおやりにならなかったか、この点も一つ修正する御意思はないかどうか、承りたいと思います。
  129. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 十枚をもって一枚とするということで、百円以下の単位は売らせない規定にしてしまったわけでございますが、やはりこの問題は稲富さんの言われるように、私も立法の途中でいろいろ検討した結果、現在の国庫端数計算法の関係から、この競馬法だけについて十円以下を切り捨てる、一枚をもって百円とし、十円以下は切り捨てる——これは払い戻し等でいろいろ計算上厄介でございますので、混雑をいたしますので切り捨てる。競馬法だけで十円以下を切り捨てるという規定が置けないものですから、苦しまぎれにそういう十枚をもって一枚とする規定にしたのでありまして、そこのところは、おっしゃる通りのことで取り扱って参りたいということでそういう規定を置いたので、よろしく御容赦を願いたいと思います。
  130. 稲富稜人

    ○稲富委員 その十円以下を切り捨てるとしても、投票券を百円としても差しつかえないじゃないですか。十円以下を切り捨てるから投票券も単位を十円にしておかなければいけないということにとらわれる必要はないと私は思う。現に競馬場へ行ってごらんなさい。十円券と書いておりません。それならば看板には十円券と書かなければいけないわけですが、十円券とは一つも書いてないのです。そういうような矛盾したことを法にうたう必要がどこにあるか。この際改正するときに、金の単位も価値も非常に変わっているのだから、やはり看板に書いてあるように、はっきり百円券とお書きになったらどうか。法の改正もそれに沿うたらどうかと思うのです。何を苦しんで十円券というようなことをわざわざこの改正にあたってなされたかということがふに落ちない。その点をあなたは修正される御意思はないですか。
  131. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 投票券は一枚百円単位とすると書きまして、十円券十枚をもって一枚とするという、実質的に同じ書き方にはなっているわけですが、その書き方の差によりまして、今度は払い戻しのときに十円以下を切り捨ててしまいますと、一般的な法律できまっておりまする銭以下は切り捨ての法律がございまして、競馬法だけで十円以下を切り捨てるということを法定することは無理だということで、やむを得ずそういう表現方法を使ったのでございまして、実質的には同じでございます。
  132. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうも局長はっきりしないのですがね。おそらく馬券を買っている人が、百円券を買って十円券の十枚分だと思っている人はないと思うのですよ。百円券でありましても、十円以下を切り捨てても、これに対して文句を言う人はいないと私は思う。法に十円以下を切り捨てると書いてあるならばそれでいいじゃありませんか。額面は百円券と書いてあったら百円券だ、額面通り法律にすることがいいのじゃないかと私は思う。何を帯しんで実質はそうだと言うのか。実質がそうであるならば、なぜ法にそれをうたわないか。実質がそうでありながらも、実質と変わった法律の文をうたうことに非常に矛盾があると私は考えるのですが、局長はそうお考えにならないのですか。
  133. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 稲富さんと同じことで、私は立法のときに考えていたわけです。券面金額を百円としますと、払い戻し金の計算にあたって、国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律によって、十円未満の端数金まで支払わなければならぬ、こういうことになりますが、多数の的中者に対して短時間にこのような処理を行なうことは、小額貨幣準備がきわめて困難であり、その支払いに間違いが起こりやすく、ひいては競馬場の秩序維持の上からも適当でないと思われますので、十円を券面金額として計算の基礎に置いて、そうして一円未満は切り捨てて実際上は十枚券百円券、百枚券千円券を発売して参るということによって、おっしゃる通りのことをいたしたい、こういうふうに思うわけであります。
  134. 稲富稜人

    ○稲富委員 それならば百円券を売る場合には、売るところにも十枚券と書いておかなければいかぬですよ。売るところには百円券と書いてあるのです。そういうような苦しい解釈を法的にしなくちゃいけないのであるか、その点やはり、よほどこれは考えて、私はこの際法の改正を行なう場合には、修正ででもそういう実際に合ったようにすべきではないかと思う。  それから時間もありませんし、早くやめろということでありますので、一つだけ聞いておきたいのですが、将来この競馬法が改正になりますと、地方競馬全国協会が一切の競馬場の設備、そういうようなものはやるようになるのでございますか。ちょっとその点を伺いたい。いろんな、先刻申し上げました地方競馬の場合におきましてもあるいは厩舎の設備であるとか、騎手の厚生施設であるとか、馬丁の厚生施設であるとかいうようなものは、全国協会がやるのであるか、そういう点はどうなんです。
  135. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 騎手の免許等いろいろ競馬施行上のことを全国的に統一いたしますが、そうして特に特殊機関を作るのでございますので、従来と変わって、また評議員等も選ばれてそれに参画していきますので、従来と変わっていろいろ資質の向上、公正運営等について当然その評議員会で論議が行なわれると思います。われわれといたしましては、中央における一つのその特殊機関のかたまりが特に今度は充実するわけでございますので、そういう面までも付帯的なことまで議論になると思います。そういうことで、施設はやはり施行団体がやる。そこまで地方競馬全国協会がやるということではございませんが、特殊機関ができますれば、そういう施設の充実、レベル・アップ、公正競馬等のことが一つのかたまりになって、順次そういう方面が改正されるべきであるし、われわれとしても、これらの機関等も使って公正な競馬運営に資しようというわけであります。
  136. 稲富稜人

    ○稲富委員 それから答申の全国公営競馬主催者協議会の会長の東電太郎さんの回答の中に、第五の場外馬券の問題について、「場外売場については答申趣旨にそうよう努力する。」と書いてあります。これは地方競馬では場外馬券を売ってないと思うのですが、これから見ますとやはり地方競馬でも場外馬券を売っておるところがあるのでありますが、この点一つ承りたい。
  137. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 地方競馬場外馬券を発売しているところは札幌の白山公国、それから新潟県の三条、栃木県の足利、横浜市内中区、名古屋の中村区の六カ所であります。
  138. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは地方競馬中央競馬を通じての問題でありますが、ことにこの場外馬券売場の設備というものは非常に不完全きわまるものがある。これに対してはやはりもっと設備、環境をよくするということが必要じゃないかと私は思う。できるならばテレビでもつけて、やはり場外馬券売場においても、競馬をテレビを通じて見られるようなこういう設備の進んだ場外馬券売場の設備が必要じゃないか。ところが現在の場外馬券売場におきましてはどこにいきましても、何か裏長屋みたいなところにあって、臭気ふんぷんたるところで行なわれておるということは、環境衛生上から申しましても悪いと思いますし、現に馬を見ないだけでも悪いので、そういう考え方から場外馬券売場というものは徹底的に設備を完全にする必要があると思いますが、これに対してはあなたの方の考え方と、中央競馬会考え方を承りたい。
  139. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 いろいろ過去の経緯なり事情があるといたしましても、置くなら非常に快く楽しめる場所、そうしてそういう施設ができないならやめてしまうということで努力いたします。
  140. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではいろいろありますけれども、大臣が来まして次の機会にすることにいたしまして、今回はこれをもって私の質問を終わります。
  141. 野原正勝

    野原委員長 午後二時から再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ————◇—————    午後二時十四分開議
  142. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  競馬法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。川俣清音君。
  143. 川俣清音

    川俣委員 私はこの際、競馬法の改正にあたりまして、数点をあげてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、一つは、今後のいわゆる成長産業といわれておりまする畜産との関係、もう一つは、やはり今後さらに需要が増してくるであろうところの木材資源の供給地としての林分との競合の問題を主としてお尋ねいたしたいのであります。  その前に、参考人もおいでになっておりまするから、参考人の方を先にお尋ねをいたしたいと思うのでございます。  そこで、午前中に稲富委員から競馬場施設等の拡充について質問がありましたのに対しまして、施設を十分拡充いたしたいのであるけれども、これらは売上金のうちの剰余金として吸い上げられてしまうものであるからして、なかなか施設の拡充に向けるわけにはいかないというよう、なお話であったわけでございます。しかしながら、何といいましてもこれだけの利潤、利益を上げるからには、当然その利益の対象となりまする施設に対して、相当な改善を加える義務のあることは、これは明らかでございましょう。従来のものを引き継いだだけで、ただで利益を上げていくのだというならば、これは道楽むすこに財産を預けたような結果になりまするから、そのままであってはならないということは十分お考えになっておると思います。  そこで、さっきの答弁がどうも了解しにくいのです。と申しまするのは、ここに償却引当金というのが出ております。当然、これが設備の拡充に向けらるべき資金源でもあるわけです。実は競馬会の減価償却が相当大きいわけであります。今日まで約三十五億七千六百万円くらいの建物の償却資金を持っております。現在でも十二億一千九百万円ばかりの建物の償却引当金を持っておられるわけですね。それから構築物などについては、実際支出される面の六億三千万ばかりに対して三億の減価償却引当金を持っておられるわけです。ことに、備品などについてもやはり三分の一の償却引当金を持っておられるのですから、経理内容からいきますれば、これを見ますると、いろいろな設備をするに不自由をしているのだという説明にはならないと思うのです。このくらい裕福な、余裕のある償却資金を持っているのは珍しいと言っていいくらいではないかと思うのです。合わせて十六億六千万円ばかり持っておられる。この引当金を持っていながら設備に十分なことができないのだというような答弁はいかようなものかと思いまするから、これを一つ説明願いたい。  これに対する畜産局の御意見もあわせてお尋ねしたいと思います。一体畜産局はほんとうに資金内容を検討しているかどうかということがこれでわかってきますから、御答弁願いたいと思う。
  144. 古木隆蔵

    古木参考人 償却引当金は御承知通り、ございますが、毎年二億円平均でございまして、とうていそんな金額になっておらぬと思っております。その総額は今ちょっと控えが見当たりませんですが、競馬会のできましたのが二十九年でございますので、二十九年から計算しましてもまだ十何億円ということではないかと思っております。  なお、これは資金として積み立てておるのではございませんので、毎年々々——こちらとしましては、これは償却引当金というか、何といいますか、いろいろな現金になっているわけではございませんです。会社の会計なんかも……。(川俣委員「これ資産です」と呼ぶ)資産になっております。それは毎年々々営繕費の一部分でございます。これはことしの予算でも十億円くらい営繕費を計上しております。そのうちの一部分のような工合になるわけでございまして、これ自体を積み立てておって現金にしておるわけでもございません。全部の今までの営繕は、当時から見ましておそらく五十五億幾らでございましたが、現在は七十何億の財産で、三十何億は設備増加になっております。ですから、償却引き当てだけでやったってとても金額は少のうございまして、それだけの金が不足であるということは十分申し上げられると思います。償却引当金だけではとうてい間に合いませんでございます。
  145. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 償却引当金の件からお話を延ばしましての競馬場施設の充実の問題であります。結論的に申し上げますと、私どもといたしましては、借入金なしに施設を充実していくということになりますと、午前中申し上げました通り施設の充実に不足を来たすということではございますが、元来競馬会には当時の評価施設としても、国から約四十七億程度ですか、それからその後国庫納付金の免除等によりまして十四億の施設を充実したわけであります。そういう意味におきまして、現在特価で評価しましても担当の額の資産を有しておるわけであります。内容の検討によって、必要な施設等につきましての拡充は私ども認めて参りたいと存じております。
  146. 川俣清音

    川俣委員 私がお尋ねをしたのは、三分の一とか二分の一の償却をするということは、非常に健全な運営であるということが一つ言えると思います。もう一つは、二割五分とか三割で償却できるといたしますれば、今新しく施設を講じましても、四年か、あるいは三年半で償却できるという資産の上げ方であるから、設備をしてもそんなに苦労する必要はないのではないか、要するにこういうことなんですよ。資金がないとかいいますけれども、融通の面は別にいたしましても、四年か五年で償却ができるというような施設でありますならば、何を好んで非常に困難な中で施設をしなければならないというのか、説明にはならないでしょう、こういうことなんです。これだけの償却を上げることができるといえば、これはりっぱな成績なんです。よ過ぎる成績です。これだけ償却しているならば、設備をするのにそんなに苦は要らないじゃないか。私が行ってごらんなさい。あなた方に頼まれなくても、もっとりっぱにやってみますよ。あなた方有能な人がいてやれない仕事ではないですよ。われわれしろうとがやったってもっとやれる仕事です。そういう意味で申し上げているのです。もう一度御答弁願います。
  147. 古木隆蔵

    古木参考人 私ども、償却は木造家屋その他についてはたしか十五年償却でございます。それから石造のものにつきましてはたしか四十年くらい。これは大体税法に認められたものを基準といたしまして、こちらの方でいわゆる償却規定というものを作っているのであります。二割充分とかなんとかという償却はいたしておりません。これにつきましては、政府の認可を受けまして償却規定というものを別途に作っておりまして、それに基づいてやっておるのでございますから、資産価格は、ここに貸借対照表では八十九億幾ら、この中に流動資産の分も相当金額ございますが、土地の分を除いて四十億くらいかと思いますけれども、そういうものにつきましての償却が年に二億しかできないということを申し上げているわけでございます。大体税法の精神にのっとって規定を作っておるようなわけでございます。
  148. 川俣清音

    川俣委員 償却についは、国税の基準に基づいて償却を見るのが普通になっております。しかしこの三十六年度の日本中央競馬会貸借対照表を見ますと、十二月三十一日現在で建物が四十七億九千五百万円、その原価償却引当金が十二億一千九百万円、構築物が六億三千六百万円で、その償却が約半分の三億になっておる。さらに備品は四億一千七百万円で、減価償却引当金は一億三千万円となっておるわけです。馬匹の償却まで見ておられるわけですが、こういうふうに見て参りますと、減価償却について十分な引当金を見ておるのであるから、こういう見積もり方ができるとするならば、設備をするに何も困難を要しないではないか。償却ができないような状態では、設備を拡充していくということはなかなか困難だということはわかります。償却もできなような資産状態であるならば、容易に新しい施設をすることは困難だということは言える。しかしこの資産状態から見て、施設をすることに困難だというような状態は見えません。こういうことです。  もう一つ、つけ加えておきますが、もちろん土地は減価償却すべきものではございませんが、評価が割合に安くできておるようでございます。わずか三十七億二千六百万円ですか、この土地の評価も割合に安くできておると思うのです。今競馬場でも相当な住宅地域になるようなところでございますから、坪幾らというような価格ですから、これはおそらく帳簿価格に幾らか毛のはえた程度にしておられると思うのです。これも資産からいえば健全にしておるわけですから、悪いとは言えませんけれども、そういう点から見まして、内部に相当含み資産を持っておるのであるから、設備をするのにそうくよくよされる必要はないし、ここで御説明のあったように剰余金、純益金が吸い上げていかれるために設備ができないのだという抗弁は成り立たないということだけを申し上げて、これは競馬会に対する私の意見であると同時に、監督官庁であります畜産局も大いにこれは検討しなければいかぬのではないか。従来の惰性だけで監督しておったのではだめじゃないか。森さん、どうですか。
  149. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お話の、言われている点はよくわかります。
  150. 川俣清音

    川俣委員 次に、もう一つお尋ねしたいと思います。石川さんのおられるときに一つお尋ねをしておきたいのですが、日本の馬産というのは、牧野の改良とともに行なわれてきたと思うのです。従って、日本の畜産計画を見ますと、牧野と畜産とは密接な関係で進行してきたと思うのです。ところが最近は馬の増殖がだんだん衰微して参りまして、特殊馬の生産には努力を払っておれらますが、いわゆる馬産の大衆馬と申しますか、農用馬についてはだんだん衰微してくるような傾向にある。こういう傾向を見ると同時に、一方におきましては、従来馬産の基盤でありました牧野が、最近はいわゆる乳牛あるいは和牛等の基盤に変わりつつある。これも畜産全体から見れば当然なことでありますが、馬産をなぜ奨励をしなければならないのかということについて、石川さんはどのように考えておられるかということが一つと、あなたの前におられた林野庁は、牧野はむしろ林地分として活用することが経済的に必要なんだ、または農家のためにもこれを林地に利用させることがむしろ適当なんだという考え方をしておるようであります。全部とは言いませんが。今度は林野庁から競馬会に入られたのですが、どういうふうな感想を持っておられますか。この点を一つお聞きしたいと思います。
  151. 石川武平

    石川参考人 農用馬が漸次減少していくという傾向につきましては、お話通りだと思います。馬産の全体の問題として、当競馬会として考えられますことは、競走馬としてのりっぱなものを作り上げるということが、さしずめの問題だと思っております。従いまして、その限度において私どもでは考えておるのでありまして、一つの土地を林野として活用すべきか、あるいは牧野として改良すべきかということについては、一般論としてやはり馬が使わなければいけないのだというふうに実は考えております。  馬のあり方についても、御承知通り、だんだんと変化をいたしております。ですからそういう変化の情勢あるいは馬の生産の経済的な面というようなものも考慮いたしまして、馬の経済というものがうまく優秀な競走馬を作るようにして発展していくように、極力考えて参りたい、さような施策をとって参りたい、かように考えております。
  152. 川俣清音

    川俣委員 これは石川さんには少し無理かもしれませんので、畜産局にお尋ねしたいと思うのです。優良な競馬馬を産出したい、こういうお話、それはもっともだと思うのです。しかしこれは一匹が優良馬になるのではない。多数の馬から選ばれた一頭が競走馬として優秀だということになるのでありまして、たった一匹を生産するわけにはいかない。多数飼育の中から比較的優秀なものというものが産出されるということになると思うのです。ですから、少数の馬の改良をやっただけでは、優秀な競走馬を産ませるというわけにはいかないと思うのですが、これは石川さんにはちょっと無理だと思うので、畜産局長一つ答弁願いたいと思うのです。
  153. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お話のように確かに馬は、馬に限りませんが、特に馬は草食が基本でございますので、お話のような牧野で育成されるということであります。そういう意味におきまして、わが国で現在概算せられまする百四十万ヘクタールのうち相当部分が北海道あるいは九州、東北等で放牧地として利用されておるものであります。馬に限りませんが、放牧地として利用されておるものは、百四十万ヘクタールのうち約八十万ヘクタールであります。これらの牧草等の育成につきましては、今後全般の家畜改良あるいは育成という意味から、特に今後の乳牛等の生産地、こういう意味において重要視していかなければならぬと考えるわけであります。
  154. 川俣清音

    川俣委員 補足説明の中に馬の改良及び増殖その他畜産の振興をはかるために地方競馬全国協会への交付金制度を設けるのだ、こういう説明になっておる。馬の増殖ということなんですね。だんだん衰微して参ります傾向の中におきましては、優秀な競馬馬を産出することも非常に困難になるのではないか、こういう趨勢にあるのではないかと思う。主として外国から輸入しなければならないことになるのではないかという危険性があるのじゃないか、こう心配されるわけです。ですから、ある程度の馬の増殖ということを考えなければ、競馬というものは立ち行かなくなるのではないか。その意味におきまして、今の間に畜産についての十分な努力を払っていかなければ、舞台でありまする競馬自体がだめになっていくのじゃないか。そういう意味からも馬の改良はもちろんのことでありますが、増殖についても力を入れなければならぬ。増殖に力を入れるということになると、いわゆる放牧地なり牧野なりの手入れ、整備というものにもう一段と力を入れていかなければならないのではないか。馬自体の価格が非常に下がってきておりまして、特殊に何頭か作ったうちの一頭だけが競馬馬となるというのでは、この生産自体が非常に冒険的な生産ということになる。冒険でありますればいつ破綻を来たすかわからぬわけです。そういう意味で健全な馬の生産というものに力を入れていく、その健全な中から優秀なものが産出される、こういうことにならないと健全な馬産奨励にはならないのではないか。しかしながら、従来と馬の飼養状態が違ってきておりますから、従来のような大規模な馬の増産計画などはとうてい不可能だと思いますけれども、今にしてやはり増殖ということに相当力を入れていかなければならない時代じゃないかと思うので、もう一度この点についてだけ御答弁願いたいと思うのです。そういう意味で、競馬会も今あなた方がおられる時代はいいですよ。これから一体馬の生産がだんだん不可能になってきたならば、競馬会があったって、競馬場があったって、何の役に立つのです。そういう意味で、今から将来の馬の生産についてよほど努力を払う義務があると私は思うけれども競馬会としてどういう考え方をしておるか、この点を一つあとで御答弁願いたい。
  155. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 馬の飼養頭数は非常に減少して参りまして約六十万頭余になっておるわけであります。現在といたしましては、東北、北海道、九州地方でも相当大きな農耕上の役割を果たしておるわけであります。一方においてまた競馬馬の生産等についても各地において農民の収益になっておるわけであります。競馬が存続される限り、やはり農民の手でこれが育てられるということを考えますと、お説の通りであります。外から高い外貨で入れていくというのは、これは優秀な種を植えつけていくという意味で極力優良なものをごく少なく入れていく、こういう意味で全く先生のおっしゃる通りだと思います。入れるべきものは入れるが、これは少量入れていい馬をわが国で作っていって、そうして競馬でいえば国際レース等でも日本改良技術というものを、スポーツとしても世界に冠たるものにしたいと私は思っておりますので、特に牧野の改良の点につきましては、これは私私個人としても、いろいろ複雑な問題があったにしても、制度的にあるいは入会権的に、こういう国有林野を通じてもう早急にある制度をもって打ち立てて邁進しなければ、全体の畜産のえさの輸入等の将来を考えれば重大問題であるわけであります。先生の御意向をくみまして、早急にこの開発等について進んでいきたいと思います。
  156. 石川武平

    石川参考人 だんだんと先生の御意見、重々まことにごもっともであります。私どもといたしましても、端的に申し上げますと、為替の自由化というような問題も時間の問題であるということでありまして、競馬馬の生産ということは量的な増産もさることながら、質的にも、また生産費におきましても合理的な経営によって生産される、そして外国産馬等の輸入によってがたんとこないようなしっかりした生産態勢というものを作る、そのためには取引の改善でありますとか、生産そのものを合理化して、もっと科学的に検討を加えていくというような面で逐次そういう方向へ持っていきたいという観点から、関係団体等を指導いたしまして、協力を得て早急に今だんだんとお話の線に沿って努力をいたしておる次第でございます。
  157. 川俣清音

    川俣委員 そこで畜産局長にお尋ねをいたしたいのですが、午前中からの質問を聞きますと、日本中央競馬法の三十六条がほとんど空文化しておるようだ。これは必ずしも私は悪いという意味ではないのですけれども、結局この三十六条を空文化しているのは行政的に空文化しているのであろうと思うのです。これはどういう意味なんですか。実効を上げていないという意味が空文化ともいわれておるようですけれども、今私がだんだん申し上げましたように、今後さらに畜産に大きな努力を払う予算上の処置を望んでおるのでございまして、そういう意味で三十六条をもう一度お尋ねしたいのです。稲富委員あるいは東海林委員の質問の際も、この点の説明が何か十分でなく、誤解を受けるような答弁であったと思うのですが、三十六条が空文化されておるというのは行政的に短文化されておるという意味なのかどうかお尋ねしたいと思うのです。しかしこれは私はあなたをとっちめる意味で言うのではないので、大蔵大臣は、三十七年度予算編成方針に臨んで、法律によって予算をつけなければならないものから順次つけていって、新規需要にまで拡大していくのだ、従って法律のあるものについては優先的に予算配分を終わったのだ、こういう説明をしております。従って法律のないものはあと回しだ、法律のあるものは先に予算の裏づけをしていかなければならないのだという説明をしておるのですから、法律のあるこの三十六条に基づいて当然予算要求の基礎になると思っておるのですが、何かあなたは空文化してというような説明をなされておるわけでありますけれども、誤解を受けるといけませんので、あらためて一つお尋ねしておきたいと思います。
  158. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 全く誤解を受けるといけませんので申し上げますが、日本中央競馬会法の改正の際に、三十六条の問題は相当論議されたわけであります。その論議の趣旨に沿って、畜産局は毎年畜産振興費の拡充について努力して参っておるわけであります。予算の各項目にわたって畜産振興費として掲げられておるものは、この三十六条の規定によって編成されておるわけであります。特に三十六条がない場合とある場合とでは相当——あるからこそ、畜産振興の点にも、三十六条は非常な意義ある効果を発揮しておるわけであります。私どもといたしましても、中央競馬会の国庫納付金の予算額が幾らであるか、大蔵省におきましても予算額は幾らであるかということも十分見計らいまして、予算の編成をいたしておる次第であります。ただ、いろいろ空文化という問題につきましては、日本中央競馬会法を論議されておる際の速記録に相当強い御意見も出ておるわけであります。そういう意味におきまして、御意見に沿って行政官庁におきましては、毎年畜産振興費の充実につきまして努力して参っております。毎年々々増加いたしておることは御承知通りであります。
  159. 川俣清音

    川俣委員 いずれの委員も不十分だという意味であなたにお尋ねをしておった。これは当然畜産振興として国の一般会計で見るべきものであるにもかかわらず、それにさらにプラスをしてはどうか、大いに力をつけ加えてやろう、こういう趣旨日本中央競馬会法ができておると思うのです。これがなければあのとき法律が通らなかったような傾向にあった。これは会議録によってすでに御承知だと思うわけでございますが、ただ今後も競馬法の一部を改正いたしましても畜産振興に向けるのだ、こういう趣旨でございますけれども地方の現在の財政からいたしまして、相当地方財政が窮屈でありますから、入ってきただけの範囲で畜産奨励をやろうというようなことに従来あったものばたな上げしまして、新しく入ってきたものだけで予算操作をしようということになりかねないのではないかという不安があるわけであります。私どもは、日本中央競馬会法につきましては、作ったときも、プラス・アルファというか、アルファどころではなく、今まであった上にさらにこれらの予算をつぎ込んで、倍にも三倍にも畜産奨励に役立たせようという考え方であったのが、その目的が達成されないでおるうらみがあるわけです。その点から見ますると、せっかく競馬法畜産奨励のためにこれらの資金を回すのだということにいたしましても、地方財政の上からいって、今までのは別な方面に使って、これから上がってくるものだけで間に合わせようとするならば、この趣旨は生きてこないと思う。法律があるためにかえって従来よりも貧弱になるという結果が出てくるのではないかという心配さえ出てくるわけであります。一歩も進歩しないのではないか。まさか小さくなることはあるまい、こう一応考えましても、それじゃプラスになってもっと積極的になってくるかということになりますと、森さんだってあまり自信がないのではないかという気がするのです。自分がやってみてどうも自信がないという気がするのではないかという気がしますが、この点いかがですか。
  160. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お話しの点はよく拝聴いたしたわけでございますが、私どもといたしましては、国庫納付金の額は常に注視いたしておりまして、畜産局予算以外におきましても、もちろん国庫納付金の分につきましては、畜産振興費として予算化しております。それ以上に、後の畜産等の動向をながめますれば、振興局予算におきましても、農林経済局の予算におきましても、各面におきましても、畜産振興については十分配慮を払っておるわけであります。先生方の御激励によりまして、近代化資金等におきまして有畜農家創設特例措置法の資金は、三十六年度は倍になって支出されたような次第でございます。そういう意味におきまして、私どもとしては、それはたらふく満足して飽満感があるということではございませんけれども、八分目の腹で一生懸命がんばっておる次第であります。
  161. 川俣清音

    川俣委員 もう一度だけこの問題について申し上げますが、結局地方競馬会の収益でもって畜産の振興をはかるため、地方競馬全国協会に売得金の一定率を交付するという制度を新しく設ける、これは何のために設けるかというと、畜産振興をはかるために設ける。確かにここで一定率のものが畜産奨励のために出て参ります。そうすると、従来出しておった畜産資金が落ちて肩がわりするだけにとどまるのではないかという心配が一つ。もう一つは、都道府県の施行者が競馬の益金、収益金をもって畜産の振興、社会福祉の増進等の事業の財源に充てる、こう明文化してみましても、これもまた従来やっておりましたのにプラスになるのではなくして、従来のままの肩がわりになってしまうのではないか。そうすると、せっかく競馬法を改正いたしまして、いい意図で改正をし、いい意図で実行を迫ろうといたしましても、地方自治体としては財政難の結果、この目的を達成できないのではないか。できないおそれが十分感知されるが、いかに処置されますかということであります。
  162. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私どもといたしましては、畜産振興事業団あるいは今回の地方競馬全国協会の交付金、特に交付金につきましては、競馬が盛んに行なわれて、収益が上げられている県におきましては、これはほとんど大都会でございますが、農産物の出荷あるいは特に牛乳、酪農品等の出荷施設等につきましても、都会的な処理が十分でない点もございますので、そういう大都会におきましても畜産振興に努めてもらい、それがかえって産地の手取りの増加になるという点で、極力都市方面におきましても畜産の流通部面の方に力を入れてもらおう。それから吸い上げたものにつきまして、主として競馬をやっていない県あるいはやっていましても収益が全然上がらない県等につきまして、ほんの補足的な関係になりますけれども、そちらの方の地方畜産振興の充実に充てたい、こういうことで、根本原則といたしましては、国、都道府県はやはり必要なものは、公共的なもの、一般共同施設的なものは、予算のルールとして、考え方として一般に稗益するものにつきましては予算を中心に考えておるわけでありまして、ほんの一部の金額といたしましても三億三千万円程度でございますので、これは都会だけで使うのじゃない、馬は農村で育てられておるわけでございますので、そういう意味で、走った結果というものはやはり産地に戻してもらう、特に競馬の行なわれないような県は、そういう点でなかなか今申し上げました財政不如意の点で、それがもとで元の方が減るということじゃなくて、ほんの一部でございまして、補足的な意味考えております。
  163. 川俣清音

    川俣委員 局長の熱意はよくわかるのです。その方針でやられることはよく理解できるのですが、そのことがどれだけ実行性を持ってくるかというところに私は危惧を持っておるのです。私どもは三十六条を作ったときも大いに熱意を持って作ったのだが、実際はあったのとなかったのとそう違いのないような、わずかな畜産振興対策の予算よりとられていないというところに大きな不満があるわけです。それと同じように、地方競馬で意図することは非常にりっぱであって、私は文句のつけようがないほどりっぱだと思っている。ところが実際これを活用するところの都道府県がどれだけ熱意を持って畜産奨励のためにやってくれるか、地方競馬協会で吸い上げてきたやつは全体的に使われるでしょうから、これは問題ないと思うのです。だけれども、都道府県は地方競馬の収益金をもって畜産の振興、社会福祉増進のための事業の財源に充て、これらの事業の発展に寄与するということを法律に明記して——確かにこれは明記されておるわけであります。これは必要なんです。これには文句はない。せっかく作った法律だけれども、明記しても一体どれだけ実行の面に現われてくるか。国だというと、大蔵省が財源がないということになると、競馬の益金はありがたくちょうだいして、ほかのことに肩がわりしてしまうということをときどきやりかねないのです。相沢さんも今見えておるようですが、ときどきそういうことをやりかねないのです。私どもはそうじゃない。こういうことでわざわざ競馬をやる、それは何の目的でやるかというと、畜産奨励だと一応言わなければならない。そうでなければ競馬なんか必要でない、こうなりますから・それでは、必要だということになりますと、畜産奨励だといわざるを得ないのです。そうでなければ競輪やオートレースと何にも違いはないのですから。歴史的な非常な強味を持っているのは何かというと、やはり畜産奨励という御旗をかついでいるところにおそらく力を持っているのではないですか。ところが、その畜産奨励に役立たせないようでは意味がないのではないか。どんなに法律に明記いたしましても、実行者がどれだけの熱意を持ってやってくれるかということについては、農林省はなかなか手が届かないのではないかという心配をしておるわけであります。ですから、法規を作ったことについては反対じゃない。これをどう実行させるかということについて十分の用意がなければならない、こう思うわけであります。  そこでさらにお聞きしたいのですが、時間もございませんのでおきたいのですが、こういう僥幸心をあおるような、社会環境を悪くするようなおそれの出る競馬でございまするから、いろいろ監督を厳重にするということは、当然のことだと思います。野放図にはできない当然のことだと思います。そこで今度でも罰則規定を強化されるのだそうでございますが、この罰則規定をさらに、役員ばかりでなくて、職員に対しましてもあるいは馬丁に対しましても罰則を強化しているというのでございますが、これは畜産局として聞いてほしいのだけれども、この罰則の規定が、日本にありますいろいろな法律の罰則の規定と比較してみて、懲役の義務を負わしておる罰則を負わしておることは当然だと思います。ところが、懲役と罰金とを併用しているわけではありませんが、懲役または罰金と、こうなっておりますね、その罰金の額です。競馬法によりますと、五年が五十万円、三年が三十万円あるいは三年が二十万円というのがありますけれども、ほかと比較してみましてこれは中庸だといえないこともありません。しかしながら、事財産に関することだといたしますと、罰則規定はさらに懲役または罰金の、その罰金の率は高いと思います。たとえば、大蔵省の相沢さん来ておいでになりますが、所得税法だの法人税では、五年以下の懲役または五百万円の罰金、三年以下の懲役または三百万円の罰金ということになっております。こういうスキャンダルみたいなことの問題についての罰金は、懲役は非常に役立つけれども、三十万、五十万という金額は大した痛痒を感じないという傾きがあるのではないか。そこで所得税法でも法人税法でも、懲役を課することよりも罰金としての金額を高めておかないと、財産上免れるというものがあるといけないということで、罰金を高めておるようです。ただし肥料取り締まりであるとか農薬取り締まりということになりますと、懲役三年で罰金が十万円とかいうことになっておりますが、これは財産土の利益を縛るということが罰則の対象になるものでありますから、もう少し罰金の率を高めておく必要があるのではないかと思うが、この点についての見解を伺いたい。
  164. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 罰金の問題についての御意見ですが、たとえば三十二条の二の調教師が競争に関してわいろを収受した場合、その他偽計を用いて競馬の公正を害すべき行為をした場合、こういうことについての罰金額の問題でありますが、偽計や威力を用いてやった場合とか、それぞれ罪質によって大体刑事局の方では罰金刑のレベルをきめておるわけであります。お話のお気持はわかりますけれども、懲役の限度と罰金とは、大体普通のこの種の犯罪につきましては一年が十万円、あるいはその前後というようなルールになっておるようでございます。
  165. 東海林稔

    東海林委員 関連して。ただいま質問者からお話が出ておるように、日本中央競馬会法の二十七条による国への納付金は三十六条の規定によってその用途が法律的に明示されておるわけです。午前中農林当局からは、この規定趣旨に沿って極力努力をしておるという趣旨のお答えをいただいたわけでありまするが、そこで一方の大蔵当局として実際に予算編成をするにあたっては、この三十六条の規定をどのように考えて実際の予算編成に当たっておるか、この点をお尋ねしたい。
  166. 相沢英之

    ○相沢説明員 この日本中央競馬会法の三十六条の規定は、国庫納付金の額に相当する金額を、酪農振興法その他に基づく経費及びその他の畜産業の振興のために必要な経費、それから民間の社会福祉事業の振興のために必要な経費に充てるという規定になっておりまして、その場合になお社会福祉事業振興のために必要な経費に充てる金額は、その国庫納付金の額のおおむね四分の一に相当する金額、こうなっております。そうしますと、この規定そのままの解釈としましては、国庫納付金の四分の三に相当する金額を畜産振興費に充てればよいというふうに読めるわけです。私はこの法律ができました際の経緯はつまびらかに存じておりませんが、しかし気持は少なくともこの程度の金額は畜産振興費に充てるという考え方であって、それだけ組めば十分であるという意味じゃないと思います。過去におきましても、また現在においても、この国庫納付金の額の四分の三の金額の倍ないしそれ以上の金額を畜産振興費に組んでいるわけでございまして、決してこれだけを組めば十分であるといったような考え方で畜産の振興費を考えているわけでございません。御案内の通り、畜産は農業生産における生長部門の太い柱でありまして、今後もこれは大いに振興しなければならない。もちろん国の予算を増額することのみが畜産振興になるとは存じませんが、少なくとも予算を編成する際の気持としましては、この畜産の経費についてはこういう規定のあるなしにかかわらず、その充実にはできるだけ努力して参りましたし、またそういったような考え方でおるわけであります。
  167. 東海林稔

    東海林委員 大蔵出局もこう三十六条の規定趣旨を十分尊重するつもりで予算編成に当たっておるという点は非常にけっこうだと思うのです。そこでお伺いしたいのは、三十七年度の国庫納付金の予定額が四十二億三千万ということになっております。従ってこの三十六条からいえば、大体この四分の三が少なくとも畜産奨励費に向けられなければならぬ、こういうことになりますが、ただいまのお話によりますと、畜産奨励全体については、必ずしもこの額だけでなしに、さらに他の財源からもできるだけ振り当てて、重要な畜産振興のために寄与する考えなんだ、こういうことでございますが、三十七年度の畜産奨励費全体の中で、この競馬国庫納付金から支出してある割合というものはどの程度になっておるか、それをお伺いしたい。
  168. 相沢英之

    ○相沢説明員 おっしゃる意味は、三十七年度における畜産振興費のうち、国庫納付金の四分の三に相当する金額、つまり三十六条に規定するところの畜産振興費に充当すべき国庫納付金の額が何割程度になるかという御質問かと思います。私、ちょっと今手元に、三十七年度の畜産振興費の総額がどの程度になるか、資料を持って参りませんでしたが、畜産振興費の範囲の取り方でも、相当この金額は変わって参ります。私どもは大体この畜産振興費の中には、この法律規定趣旨からも、その他の畜産振興費を含めておりますものですから、できるだけ広くとってきておりますが、その額で参りますと、三十七年度は六十億にこえているのではないかと思います。ちょっと正確な数字は私覚えておりません。
  169. 東海林稔

    東海林委員 畜産局長、今の数字がわかっておりましたら、お答え願いたいと思います。
  170. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産局の予算で他局に計上されておる分も含めまして五十七億になりますけれども、その他農林経済局等の部面で、家畜導入資金等をも全部合わせますと、これは一々拾って参らないとわかりませんが、局だけで五十七億でございますので、そのほかに構造改善その他家畜導入等約十億足らずの金が組まれておるわけであります。
  171. 東海林稔

    東海林委員 質問は終わりますが、この三十六条の条項が規定された経緯等も一つ主計官ももう一度御検討願いまして、十分この条項が法律通りの機能を発揮できるように、今後の予算編成においても十分一つ御配慮上願いたい、こういうことをお願いしまして終わります。
  172. 川俣清音

    川俣委員 三十六条の問題が、きょう午前中から問題になっておるわけですが、大蔵省はとかく今まで畜産振興のために尽くしてきた一般会計の金を、こういう益金で上がってくるものに肩がわりしてしまおうという傾向が非常に強いのです。これはたびたびそういう傾向があるわけです。前回も非常に問題になったのですが、予算の範囲内において云々というのが原案であった。ところがそういうことをやられるから予算の範囲というものをわざわざとってしまった。まだまだそういう傾向があるとすると、今度のこの競馬法についても修正をいたしまして、大蔵省の関与の余地のないような法律を作らなければならないというところに追い込まれる危険性があると思うのですが、これはあなたは非常に責任が重いと思いますから、一つ答弁願いたいと思います。大蔵省の答弁いかんによっては、制約を受けないような修正をしなければならないところにこっちが追い込まれるのですよ。今後十分考慮しなければならないと思いますが、この際一言聞いておいて、私の修正の態度をきめたいと思いますので、一つ意見を伺いたい。
  173. 相沢英之

    ○相沢説明員 おっしゃる意味は、たとえば国庫納付金がふえた程度にしか畜産振興費をふやさぬ、そういうことで、当然見るべきものを納付金の見合い額で肩がわりするというような考え方はけしからぬじゃないかというお話だと思いますが、そういったような考え方は、私どもとしましては、先ほど申し上げた通り全然持っておりません。これは国庫納付金の額と畜産振興費の額の推移をごらん願いましても、大体納付金の倍程度畜産振興費に加えておるということで、決して肩がわりするというような考え方は持っておりません。
  174. 川俣清音

    川俣委員 畜産局の予算というものは、全体が畜産振興のためにあるのだ、そうも言えます。しかし日本の畜産行政として、当然国として行なわなければならない本来の行政もあると思うのです。やはり特に畜産に力を入れなければならないということでこれらの益金を畜産振興に入れようというのでありますから、その意味を理解して予算上の処置をとっていただくとすれば、無理に法律であなたを縛る必要はないということになる。理解がなければ、どうしても法律で縛らなければならないという結果になる、こういうことになるという意味ですから、十分それを含んでやらなければ、今改正しなければならぬ。よほど決意をしていただかぬと——ですから主計官じゃないのです。大蔵省を代表した意味答弁をしていただかないと、私どもの方の修正はできないことになる。非常に無理かもしれませんけれども、代表をして御答弁を願います。
  175. 相沢英之

    ○相沢説明員 川俣先生がおっしゃるような趣旨において、畜産振興の今後の予算については考えたいと思います。
  176. 川俣清音

    川俣委員 先ほど懲役五年または五十万円というのは一般のルールだと言いましたけれども、こういうルールはどこにありますか。私、きのうからきょうにかけてあらゆるものをみな調べてみましたが、これと同じようなのは一つか二つよりない。ほかはみんな違っております。一番高いのは所得税法及び法人税法。それから一般の罰金などはもっと低い。事財産に関することでありますと、あるいは財産上の利益を受けるというような場合は懲役に対して非常に罰金の率が高い、こういうことになっておるのですよ。ルールだと言いますけれども、そのルールはどこから持ってきたのですか。
  177. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 ルールという言葉はちょっと激しかったと思いますので、この際撤回させていただきます。  刑法に規定される罰条と刑量との関係で、偽計または威力を用いてある犯罪行為をした場合あるいは第三十二条の二「調教師騎手又は馬丁が、その競走に関して賄ろを収受し」た場合等につきましてもそれぞれ罪刑によってあるいは罰金刑、徴役刑にしてあるのを、今度懲役刑だけにしたいということで統一をはかっておるわけであります。たとえば例示のございました税務関係につきましては、懲役刑の年数のほかに著しく高い罰金の金額も定めておるのは、その税務関係の性質によって、刑罰によって指導関係をねらう、こういうことで指導的な意味で相当の脱税をした者等については応報があるということで、それぞれ性質によって刑事局の方で検討しておるものであります。
  178. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、日本中央競馬会法では、同じわいろの場合、三年以下の懲役または二十五万円以下の罰金ですよ。馬丁の場合は新しく三年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金。出所が同じであれば同じでなければならぬ。日本中央競馬会法の三十八条——前条一項に規定するわいろまたは申し込みを予約した場合ですね。あまりルールとかなんとかいうから私はこれを出したのです。日本競馬会法競馬法では同じでなければならぬのではないかと思います。ただ同じ罰金でありましても、懲役でありましても、財産上の利益を得ないような場合は十万円以下の罰金ということでありますからこれは問題ないと思いますけれども、とにかくこういう点はあなたの方の疎漏なんです。  そこでまだ疎漏な点を一つ。第三十条に「これを五年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処する。」三十一条は「これを三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処する。」それから日本中央競馬会法でいきますと、「三年以下の懲役又は」となっている。こっちは「若しくは」となっている。いろいろ法律を調べてみましたが、「若しくは」と使うのはごく異例でございます。「又は」の方が多い。通例は「又は」です。ただ「芳しくは——又は」ということで、「若しくは」「又は」と続く場合は「若しくは」と使ったときもございます。あとに続かないときは「又」で終わっておるのが普通でございますが、これもどこかルール  に従ったと言うのでしょうが、この  ルールはないのです。日本中央競馬会  法では「又は」になっている。
  179. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 もう一ぺん条令を教えていただきたい。
  180. 川俣清音

    川俣委員 競馬法ですよ。罰則を強化するというあなた方の案ですから。  そこで、当然訂正とかいうものも含まれるだろうということでお尋ねするわけですが、現行法第三十条、「左の各号の一に該当する者は、これを五年以下の懲役芳しくは五十万円以下の罰金に処する。」「芳しくは」となっている。三十一条も「左の各号の一に該当する者は、これを、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処する。」とあって、「若しくは」となっておる。普通は「又は」なんです。「若しくは」と「又は」はどういう違いがあるのです。「又は」と使わなかったのは特別な意味があるのかどうか、これが一点。  それから、日本中央競馬会法では「又は」と使っておるけれども、なぜここで特に「若しくは」と異例な言葉を使わなければならなかったのか。
  181. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 現在における立法例は、「又は」が普通であります。残っておる関係では、お話通りそろってないということでうまくないということであります。
  182. 川俣清音

    川俣委員 かなり古いやつをも法制局で調べさしたのですが、「若しくは」と使っている場合は、「若しくは罰金又は」です。その下にもう一ぺん「又は併科する。」というときには、「又は——又はとなるから、「若しくは何十万円の罰金又はこれを併科する。」、こういうふうになる場合には「若しくは」と使った例は今までもあります。ずっと前からある。あとの切れている場合は「又は」で終わっているのが普通のようです。どうしていつまでも「若しくは」にしておかなければならないのか、理由がわからない。理由があればいいのですよ。理由がなしに置いておくのはおかしいじゃないか、こういうわけです。どうせ改正されるならば、改正されたらいいじゃないか、何も固執しなければならない理由は一つもないじゃないかと思うのです。わざわざわかりにくい——これは、実際適用されるときに、相当問題になってくると思うんですよ。判決を下す場合でも、「又は」と「若しくは」とどういう違いがあるんだということになってくる。やはりこういう人に対しての罰則を規定する場合には、わかりやすい、国民に納得のいくような罰則でなければならないと思うのです。
  183. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 さっそく法制局に連絡いたしてお答えしたいと思います。
  184. 川俣清音

    川俣委員 私は、法制局にずいぶん尋ねて歩いたのです。これはおそらく農林省がこう希望したので変える必要もないということでこのままになっておるんだろうという答弁で、「若しくは」「又は」の違いの説明ができないのです。これは提案者から聞いてほしい、だから本家本元に聞くよりほかないのです。
  185. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 同じ法律の中でそろってない使い方は、全部一度に新しい法律を出す場合としては適当ではないのですが、改正にあたりまして、同じ法律の中に、「又は」と使ったり「若しくは」となったのは、改正するときに、もとの条文をそれにそろえなかった、こういう意味で、同じに読んでいただきたいと思います。
  186. 川俣清音

    川俣委員 同じく読んでほしいと言ったって読めないし、「又は」という場合と「若しくは」という場合と意味は違うようにとれるのです。懲役か若しくはというのですから、懲役がいやだったら罰金でもいい、こういうふうにとれるんですよ。法律ですから、そういう誤解を受けるようなあいまいなことは避けたらいいではないか、こういうことなんです。人に処罰を加えるのですからね。あいまいなうちに処罰を加えるということはよろしくないことなんです。法定罰則主義からいいましても、やはりはっきりした言葉でなければならないと思うのです。あえて固執しているんじゃないんです。こういう改正の機会だから、今まであなた方はとかく見落としするから、この際見落とししないで、改正すべきものは改正しておいたらどうか、このことだけです。これに何か文句があるのですか。
  187. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お話のように、二十三年の法律のときにはそういう用語を使っておった慣例のようであります。今度改正の場合、新しい条文に対しての使い方ともとに残っております使い方と合わせて統一する方法もございますが、改正分だけで現行法の使い方を使うということで提案したわけでございます。
  188. 川俣清音

    川俣委員 そう固執しなくていいのじゃないですか。この際はっきりと競馬法を改正しようという意図ですから、やはり今後この罰則を適用しなければならない——必ずしも適用が目的でないにいたしましても、やはり一つのきぜんたるものを見せなければならないということでしょう。罰則を強化するということですから、強化の中にはこういう改正を入れてもいいのじゃないか。あなたの提案の中に強化するという表現があるわけですね。そうすると、この際表現も通例の表現に変えておく方が妥当ではないか。これは法制局と相談されて、変えるのに何も固執される必要はないんじゃないか。あなた方をいじめるとかなんとかいう意味は毛頭ない。「若しくは」と「又は」とあってもいいと言えば、それきりです。私はこれで罰則を受けるとは思いませんから、どっちだっていいのですが、一般から見ますと、やはり一般の通例に従った形で厳守させるということが望ましいんじゃないか。そういう意味で言ったのですから、われわれの方で訂正してもよろしゅうございますし、あなたの方でも訂正するような用意をしておられるなら、このくらいのことはすなおに応ぜられて訂正する方がよろしいんじゃないかと思うのです。  さらに参考に申し上げますが、家畜伝染病予防法は「又は」です。農産種苗法は「又は」で、肥料は「若しくは罰金又は併科する。」こうなっている。それから農薬は「又は」です。農林省関係のやつは、六法に出ておりますのは大てい「又は」です。ただ肥料だけは「若しくは罰金又は併科する。」こうなっておりますから、このときには、「又は——又は」でなくて、「若しくは——又は」の方が適当だろうと思う。農林省の六法全体から見たら、やはりそろえておく必要があるのではないかと思うのです。これだけ勉強したのですよ。あなた方提案者は当然勉強してくるべきものなんです。もう簡単でいいですから、簡単に御答弁願って——やかましく言うつもりはないが、あなたが固執するからやかましくなる。
  189. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 内閣の法制局と連絡いたしましてお答えいたしたいと思います。
  190. 川俣清音

    川俣委員 ではこの程度で終わりたいと思いますが、畜産局で今後——これは畜産物の価格安定のときに質疑をいたしてもよろしいのですが、今後牧野の改良等がかなり脚光を浴びてくるのではないかと思われます。明治の初年ころは、馬産奨励の意味から牧野という形ができ、牧野法というものができております。今後、馬産奨励と畜産奨励とは、ある点で一致する点もありますし、また相背馳する点も出てくると思います。そういう点で、今後の牧野のあり方について検討して参らなければならないと思うわけでございます。日本の牧野制度につきまして、ほんとうは長くお聞きしたいのですけれども、時間がないので、これをやると一時間くらいかかるからきょうはやめて、畜産物価格安定法のときにやりたいと思いますから、牧野の問題について一つ勉強してほしいということを条件にして、私の質問を終わります。
  191. 野原正勝

    野原委員長 参考人各位には長時間当委員会に御協力をいただきまして、まことにありがとうございました。  なお、参考人の各位にはまことに御苦労様ですが、明日も御足労願いたいと存じますので、御了承願いたいと思います。  明日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後三時三十二分散会