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1962-03-06 第40回国会 衆議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月六日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 山中 貞則君 理事 片島  港君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       大野 市郎君    金子 岩三君       仮谷 忠男君    倉成  正君       小枝 一雄君    坂田 英一君       谷垣 專一君    内藤  隆君       中山 栄一君    福永 一臣君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    米山 恒治君       角屋堅次郎君    栗林 三郎君       東海林 稔君    楢崎弥之助君       西宮  弘君    山田 長司君       湯山  勇君    稲富 稜人君       玉置 一徳君  出席政府委員         林野庁長官   吉村 清英君  委員外出席者         農林事務官         (林野庁林政部         長)      高尾 文知君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      松下久米男君     ――――――――――――― 三月六日  委員稻葉修君辞任につき、その補欠として倉成  正君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月五日  現行食糧管理制度維持継続に関する請願外一  件(草野一郎平紹介)(第一七二〇号)  同(草野一郎平紹介)(第一八五〇号)  同(草野一郎平紹介)(第二〇六〇号)  同外三件(草野一郎平紹介)(第二二七三  号)  酪農窮状打開に関する請願荒舩清十郎君紹  介)(第一七四四号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部改正に関する請願  (池田清志紹介)(第一七四六号)  農業協同組合合併助成法による援助措置のそ及  適用に関する請願小笠公韶君紹介)(第一七  四七号)  造林事業補助単価引上げに関する請願外一件(  池田清志紹介)(第一八四七号)  同(池田清志紹介)(第一九一三号)  同(池田清志紹介)(第二〇五九号)  臨時肥料需給安定法等廃止反対に関する請願  (宇野宗佑紹介)(第一八四八号)  同(草野一郎平紹介)(第一八四九号)  鹿児島県菱刈町前目土地改良区の県営農地保全  事業促進に関する請願池田清志紹介)(第  一九一四号)  トマト加工製品貿易自由化延期等に関する請  願(中垣國男紹介)(第一九一五号)  倉吉市久米ガ原開拓パイロット事業地域指定  に関する請願足鹿覺紹介)(第一九六二  号)  岐阜県高根村の国有林等払下げに関する請願(  前田義雄紹介)(第二〇四五号)  昭和三十七年産てん菜生産者価格に関する請願  (足鹿覺紹介)(第二〇五八号)  日本海区水産研究所利用部の存置に関する請願  (高橋清一郎紹介)(第二〇六一号)  外資及び技術導入による豊年リーバ社のマーガ  リン等生産反対に関する請願首藤新八君紹  介)(第二〇六七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二日  農畜産物の価格安定に関する陳情書  (第四四〇号)  農業改良普及事業整備強化に関する陳情書  (第四四一号)  沿岸漁業振興のための立法化に関する陳情書  (第四四二号)  公共用地のための農地取得に関する陳情書  (第四五一号)  麦作転換奨励金の交付に関する陳情書  (第四六六号)  貿易自由化に伴う蜂蜜輸入対策確立に関する陳  情書  (第四六七号)  畜産振興対策確立に関する陳情書  (  第四六八号)  獣医療法早期制定等に関する陳情書  (第四  六九号)  農業共済制度改善等に関する陳情書  (第四  七〇号)  食糧管理制度の存続に関する陳情書  (第四七一号)  同(  第五八六号)  競馬法の一部改正に関する陳情書  (第五一四号)  同(第五一五  号)  同(第五八  八号)  酪農窮状打開に関する陳情書  (第五一六号)  同  (第五八五号)  農業災害補償法の一部を改正する法律案成立  促進に関する陳情書  (第五一七号)  てん菜生産振興臨時措置法改正に関する陳情  書  (第五一八号)  沿岸漁業振興法案成立促進に関する陳情書  (第五一九号)  農業協同組合合併助成法による援助措置のそ及  適用に関する陳情書(  第五四八号)  農地法の一部を改正する法律案等成立促進に  関する陳情書(第五  四九号)  農業基本法に基づく農業構造改善事業早期完  成に関する陳情書(  第五五〇号)  沿岸漁業振興対策確立に関する陳情書  (第五五一号)  家畜商法の改廃に関する陳情書  (第五五二号)  暖地てん菜糖業等育成に関する陳情書  (第五八四号)  農業協同組合合併助成法による援助措置のそ及  適用に関する陳情書外一件  (第五八七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  森林法の一部を改正する法律案内閣提出第八  九号)      ――――◇―――――
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。  目下商工委員会において審査中の内閣提出にかかる新産業都市建設促進法案及び井手以誠君外十八名提出にかかる産業と雇用の適正配置に関する法律案の同案について、商工委員会連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお連合審査会を開会いたします場合の日時等につきましては、商工委員長協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  4. 野原正勝

    野原委員長 森林法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。角屋堅次郎君。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 森林法の一部を改正する法律案中心にいたしまして、これが提案されて参りまするに至りました経緯等も含め、今後の林業政策基本的な指導方針をどうするかということで重点的にお伺いをいたしたいと思います。  御承知通り農林漁業基本問題調査会ができましてから、第一次産業である農業林業漁業等についてそれぞれ基本問題と基本対策答申をされまして、林業の点につきましても一昨年の十月に、基本問題調査会から、林業基本問題と基本対策という答申が出たわけであります。この林業関係の問題というのは、これは戦後の変遷の中でいろいろ論議の問題を持っておったわけでありまして、これが総括的に、基本問題調査会で論ぜられて、そうして答申が出たわけでありますか、この答申が出て以降林野庁といたしましても、この答申に基づいて具体的に法制的、財政的あるいは行政的に今後の林業政策をどう持っていくかということについては、部内にもそれぞれ所要協議会なり懇談会等を持たれて検討が開始をされる、あるいはまた森林法関連をいたしましては、御承知通り中央森林審議会というのが法制的にあるわけでありますから、それ等にも意見を求められる、こういうことで今日とりあえず森林法の一部改正という姿でこの法案が出て参ったものと判断をいたしております。ただしかし、この林業基本問題と基本対策という中では、林業政策全般にわたっていろいろな問題を提示しておるわけでありまして、しかもその中で、たとえば国有林の問題にいたしましても公有林の問題にいたしましても、あるいは私有林の問題にいたしましても、それぞれの問題ごとにこれからどうすべきであるかということが答申として提示をされておるわけであります。ことに私有林関係におきましても、零細な山林保有のきわめて多い状態というもの、家族的林業というものを今後の林業経営のいわば重要なにない手として構造改善の過程の中で育成強化していかなければならぬ。しかも相当大量の山を持っておる山林地主関係については、従来から財産保有的性格等もあるので、今後の増大する木材需要関係あるいはまた林業政策のこれからの改革の方向というものから、そういう大山林地主の中で、粗放経営ないしは財産保有的性格については、これをあるいは他の方に所有を移転するあるいは利用権を設定して高度利用をはかるというふうな形で、答申内容等もこれから検討しなければならぬきわめて多くの問題を持っております。従いまして、林業基本問題と基本対策答申が出ましてから、特に私有林関係では相当に山を持っておる諸君が、それぞれ従来からあった組織もありますし、またとれを契機にして新しい組織等も作りまして、そういう人々の立場から林業問題に対するところの問題を提示して参っておるという経過もあるわけであります。    〔委員長退席秋山委員長代理着席〕 率直に申しまして農業における答申が出た以降の農業基本法の問題、あるいはこれに関連する法律案の問題、こういうことで昨年来ずいぶん論じて参りましたが、林業の問題については、答申に基づく新しい法的な問題というのは基本的には今度が初めてでありますけれども、私どもの期待した方向というものがこの森林法の一部改正でそのまま百パーセント出たというわけには、率直に言って申し上げるわけには参りません。しかも答申中心にした検討の中では、いわば林野庁内部にも基本問題調査会答申中心にしてものを考えていこうという派と、あるいは中央森林審議会考え方中心に物事を考えていこうという派と二つに相対置して論議がなされ、結局は中央森林審議会派が相当大量に山を持っておる諸君意見等を反映しながら、今日優位に立っておるということも言われておるわけでありまして、また現実に出ておる姿からしますと、そういう観が率直に言ってなくもないわけでありますが、この際林野庁長官から、林業基本問題と基本対策というものが一昨年の十月に提示されまして以降、林野庁の当局として検討して参りました経緯あるいはそれぞれの正式の機関等に諮って参りました経緯、それに基づいて森林法の一部改正を出すに至った今日時点問題等について、まずお伺いをいたしたいと思います。
  6. 吉村清英

    吉村政府委員 基本問題並びに基本対策に関する答申が出まして、これを受けまして先ほど先生の方からお話のございましたような形で進めて参っております。まず基本問題に提示されましたいろいろな林業全般にわたります意見につきまして、それぞれ事項別委員会内部検討部会を作り、それから同時に森林審議会にこの諸問題を諮りまして検討を続けて参っておるのでございますが、御指摘のようにこの基本問題派中央森林審議会派というような考え方の差異によるそういった対立というものは、内部にはないのでございます。これは私どもどこまでも答申中心にいたしまして、それぞれその方向に向かって意見を戦わしておるのでございます。その中で非常に広範にわたります問題が、しかも非常にむずかしい問題が多い関係から、一度に検討を始めたのでございますが、なかなかそれが一斉に結論が出て参らないという関係から、今回この森林法改正によりまして態度をはっきりいたしましたのが、この森林計画制度それから保安林管理に対する強化という問題でございます。このほかに特に生産政策の面で申し上げますと、あるいは造林対策等につきましては財政措置あるいは指導によりまして、直ちに実行のできるものが非常に多いのでございまして、これはそれぞれ検討をいたし、結論の出たものから逐次実行をいたしております。たとえば早成樹種の問題あるいは森林肥培の問題あるいは密植の問題、こういう指摘を受けました事項につきましては予算措置もいたし、また指導強化をして、その線に沿っておるのでございます。この生産政策の中で林道対策の問題でございますが、すでに御案内の通りわが国林道の現状と申しますか、大体ヘクタール当たり延長が二メートル程度でございます。林業先進国でありますドイツあるいは北欧のそれぞれの諸国におきますと、これが非常に大きな延長を持っておるのでございます。そういった事態、特にまだ林道が十分にできないで、開発をされておらない森林部分がまだ三分の一もあるというような状態、しかもこれがなぜそういった開発方向へなかなか進めないかというような状態、そういうような状態をただいま検討をいたしまして、この林道問題につきましては、できる限り早い機会にとの対策を講じまして、私ども政策もはっきりしたいというように考えて準備をいたしておるところでございます。  また木材流通関係の問題でございますが、この木材流通対策の上におきましては、ここにもかなりの大きな問題がございます。と申しますのは、やはり木材加工設備の過剰と申しますか、特に製材設備の過剰というような問題も、これをいかに協業といいますか、共同化して正常に戻していくか。また市場制度等をどういうようにしてこれを円滑に流通ができるように改めていくかという問題、この問題も非常にむずかしい問題でございますが、ただいま検討を進めておるところでございます。  それから輸入対策の問題でございますが、輸入は、現在のわが国森林資源状況需要増大状況から考えまして、ぜひとも増大をして参る必要があるということは申すまでもないかと思うのでございますが、その体制を作るためには、なおさらに輸入のための港湾設備その他の問題にも十分でない点が非常に多々ございますので、そういった面につきましても、これは港湾その他の関係方面と折衝もいたし、逐次進めておるところでございます。  それから木材利用比率高度化の問題でございますが、これは言いかえますと、木材利用合理化の問題になるかと思うのでございます。この点は最近非常に進んで参っております。さらに私どもといたしましても、研究機関等を充実いたしまして、そういう方面の将来の進歩を促して参りたいというように考えておるのでございます。  先ほど御指摘のございました鍛造政策の面でございますが、仰せ通り、この構造と申しますか、特に林野所有階層別の問題、あるいは国有林あるいは公有林あるいは私有林というようなそれぞれの階層に対する、どういうような方向へ進むべきかという問題、この点につきましては、答申におきましても方向の示されたものもございますし、さらに検討を要するというような意見の盛られている点もあるわけでございます。特に公有林野の中の共有林等につきましては、私どもといたしましても、この経営改善をいかにするかという問題につきましては、森林審議会あるいは特別の公有林野に対する検討調査会等に委嘱をいたしまして、検討を進めておったのでございます。この入会権の輻湊しております共有林等におきましては、やはり権利関係をさらに近代化をして、個別私権化をするものはそういうように進める、また協業等によって共同で作業をしていくことが適当だというようなものにつきましては、そういうように進めていく。その意思の決定というものは、やはり地元の関係者人たち意思によってきめていくべきではないかというような考え方を持っておるのでございますが、こういう点につきましても、それぞれそういう所有関係の問題を全体に総合的に結論を出した上で態度をはっきりいたして参りたいというように考えておる次第でございます。    〔秋山委員長代剛退席委員長着席〕  そのほか、構造改善に関する問題といたしましては、特に先ほど御指摘のごさいました小規模の所有者——森林の財産保持的な所有の形というものは、必ずしも大所有者ばかりでなくて、小さい所有者も大体ひとしく同じのような考え方と申しますか、貯金をするというような考え方で持たれておったものが多いかと思うのでございますが、その形をやはり近代的な、科学的な経営計画に沿う経営の形に変えて参る。そのためには、林業を十分に近代化して参りますのにはあまり小規模な形では十分に参らないのじゃないか。そのためには、やはり協業化ということ、共同事業ということも特に考えて参らなければならぬのじゃないか。そのための第一歩の手段といたしましては、この三十七年度には労務の組織を作り、機械化をそれに持たせまして、そういうものを母体といたしまして協業化ができるような基盤を作って参りたいというようなことで着手をいたしておる次第でございます。  そういう現在の状況でございまして、その中におきましてまず結論の出ましたこの森林法の一部改正によります森林計画制度改正と、それに伴いまして保安林管理強化ということを考えたのでございますが、この計画制度につきましては、現在までしからの押しつけの制度だといわれていた計画制度を二段階にいたしまして、さらに森林所有者自体が新しい森林経営ということに自覚を持ちまして、計画的な経営が弾力的にできるような制度に変えたわけでございます。その達成指導といたしましては、別に個別経営計画というものを、個別の森林所有者が自主的に立てることを指導をいたしまして、これによって自主的な、しかも林業が十分に経営として生きて参るように措置と申しますか指導をして参る覚悟でおるわけでございます。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 今、林野長官からいろいろお話がありましたけれども、質問はたくさんあるわけですから、なるべくお互いにポイントを合わせながら、一問だけで全体を言うてもらうつもりはございませんから、そういうつもりで簡潔にお答えを願いたい。  今いろいろお話がございましたが、先ほどお尋ねしましたように、従来でありますと森林法というのはこれは林業における基本法的なものだと、こういう解釈がなされておったと思うのであります。しかし農林漁業基本問題調査会答申以降、農業においても現実農業基本法とそれに関連する法律案という形で今日論議が続けられておるわけでありますし、林業問題についても森林法改正でそういう基本法的なもの全体を網羅するという抜本的な改正方向で考えていくのか、あるいはそういう農業に対してのような形の林業基本法という式のものは別途考えるという形であるのかということが、一つのやはり今後の林業政策推進上の問題であります。これはわれわれの方で党といたしまして林業政策という問題についてかねてからいろいろ検討して参りまして、今日林業政策大綱というふうな草案の段階にまできておりますけれども、これを法制的に裏づけていくためにはやはり林業基本法の問題から各般の問題の法制的整備というものを再編成していかなければならぬという考え方を持っておるわけであります。同時に与党の関係におかれましても御承知通り強く林業基本法というものを基本に置いて従来のある法制的な再編成をやるべきだという意見も出ておるわけであります。先ほど来いろいろお話がございましたけれども、そういう今後の林業政策推進にあたっての法制的な立て方というものは、いろいろこれは今日までの段階では論議がなされたと思います。今日森林法の一部改正というのを見ますと、これでいわゆる今後の林業政策遂行上の基本法的なものを全部網羅して、そしてそれを中心にやっていくのだというふうには判断できません。単に森林法の一部改正という中で見ましても、森林組合の問題が残されておるとかその他幾多問題が残されておるわけでありますし、その辺のところについては林野庁長官の従来のいろいろの座談会その他の記事を見ますと、今日農業方面の問題と関連をして林業の問題を考える場合に、あまり林業が独走してはいけない、だから諸般の情勢をよく見てそれから考えていく、しかも問題もまだ必ずしも煮詰まっておらないというふうな状況のように判断をいたしておるわけであります。そこで端的に言って、今後の林業政策の法制的な立て方として、農業におけるがごとく林業基本法というものをなるべく早い機会に提案をするという形でそれは根本的に検討していく、今日出してきておる森林法の一部改正というのは当面中央森林審議会等中間等申もあり、そして部内論議意見が一致したということで当初は相当大幅なことを考えておったけれども現実に小幅で後退をしたということをいわれておりますが、いずれにいたしましても当面とりあえず森林法の一部改正を出した、こういうふうに考えていいのか、あるいは従来の森林法の中でそれぞれその時点その時点でまとまってきたものを森林法改正という形で済ましていこうというのか、その辺の今日の時点における考え方というものをお伺いをしておきたいと思うのです。
  8. 吉村清英

    吉村政府委員 最初にお話のございましたように、現在の森林法というものも一つ基本的な法律であるということにつきましては、私どももさように考えておるのでございますが、あの森林法の中には、林業という面、林業振興それからあるいは構造改善というような面で触れておらないのでございます。この面につきましては、理屈を申しますと、計画の完全な遂行によって達成をされるということも言い得るわけでございますが、しかしながら政府がこの林業に対する態度をはっきり示すということも、これはまた必要なことであるというように考えますので、私どもといたしましては、林業基本法という——基本法というものの解釈にもいろいろあるかと思いますが、ということの方法になりますか、あるいは林業振興法というようなことになりますか、私どもといたしましてはこの検討をさらに重ねまして、その段階におきまして何らかのそういった方向を出せるようなものを準備をいたしたいというように考えておる次第でございます。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 今の長官の御答弁によりますと、森林法の一部改正というものを出して参りましたのは、これをもってして今後の林業政策全般が、私どもこれでもちろんいくとは思いませんが、別途林業基本法ということに相なりますか、あるいは一部で言われておりますように、あるいは林業振興法ということに考えておるかどうか明確でありませんけれども、そういう新たな法制的準備というものの検討をやらなければならぬ、こういうふうにお伺いをしたのであります。そうであるとするならば、これは今後森林法の一部改正で未解決部分、それから林業基本法等の問題、こういうものは今後の検討経過の中では大体いつごろまでにそういう問題については段取りをするということでやってこられるか。つまり一昨年の十月に林業答申が出ましてから、時間的には相当の時日が経過をしておるわけであります。農業基本法の場合といえども、これは答申が出てから、そう時間的余裕があったわけではございません。しかし、内外の強い要請等もあって、ついにこれが踏み切られる、そうして所要法律案等提出をされてきておる、こういう状況にあるわけですが、やはり農業林業関係、あるいは最近の木材需給関係各般林業に対する強い要請等から判断をすると、じんぜんとして口を送る、あるいは一部そういうものに対するいろいろな勢力が介在をして、結局そういう問題がなかなか口の目を見ないということであってはいけないのであります。率直に言ってそういうふうに思うわけであります。従って、この際、今中されましたような新たな法制的措置検討するのだというお話でありますけれども、これらの問題、あるいは今後森林法に対する未解決部分法改正の問題も含めてどういうふうに持っていくのかお伺いしたいと思う。
  10. 吉村清英

    吉村政府委員 私ども考え方先生仰せのように大体変わりはないのでございますが、この残された諸問題の法制化と申しますか、そういった問題につきましては、できる限り早急に結論を得たいということを考えております。ただ残された問題の中には非常にむずかしい所有関係問題等も含まれておりまして、それがはたして十分な結論が得られるかどうかというところにも問題点はあるかと考えておりますが、私どもといたしましては、できる限り早期にそういった結論を出したいということで鋭意努力をいたしたいと存じております。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 新しい森林法の一部改正の中で、特に第四条に、全国森林計画等と関連をいたしまして、「農林大臣は、政令で定めるところにより、重要な林産物の需要及び供給並びに森林資源の状況に関する長期の見通しをたて、」これに即して全国森林計画を作るという考え方が出ておるわけであります。私どもはこれはそういう意図でないと思いますけれども農業基本法等の場合でも、やはり長期的な展望に基づいて、具体的なそれぞれの時点における施策をどうするかという考え方が出ておるわけです。ここに出ておる第四条の新しく創設をしたところのものは、そういう意味では、森林法の一部改正基本法的なものの新しい情勢下のものを織り込むという考え方であるのか、あるいはこれは条文としてはあるけれども、先ほど来言われておるように、やはりまず第一番に出るべき基本法的な、法制的な問題は、別途の問題が基幹になって、それに基づいて森林法その他の諸法案があるのだ、こういう考え方なのか、この条文の関係等もあって、その辺のところを簡単にお伺いしておきたいと思います。
  12. 吉村清英

    吉村政府委員 この長期の見通しと申しますのは、今まで制度的にはなっておりませんでしたけれども、一応立木の一代というようなその程度の見通しはすべきじゃないか、林業経営していく人たちの将来に対する不安といったようなものを除く意味、あるいは将来に対する希望、期待というようなものもある程度予測ができるという意味からも、また基本問題の答申等でもそういうものがあるわけでありますが、そういった意味から、長期の見通しを立てて、その中で短期の経営計画的に実施をするということがねらいでございまして、特に他意はないのでございます。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 木材の需給の長期的な展望を立てる、これは森林の特性から見ても当然必要なことでありますが、ここで考えておるいわゆる長期展望というものは、私どもが聞いておるところでは、大体四十年くらいというところに基礎を置いてこれを立てていくのだ、そうするとたとえば需要関係においても経済の成長率をどう見るか、当面所得倍増計画の十年の経済成長率というものは一応データとしてある、あるいは今後の相当期閥のものは経済企画庁等のデータを根拠にするとか、いろいろ需要関係等についても、長期の見通しを立てる基本的な数字をどういうふうにつかむか、あるいは供給の関係から見ましても、これは単に国内の生産量の問題ばかりでなしに、外国のいわゆる外材輸入という問題を今後長期の中でどういうふうに期待していくのか、これはソ連の北洋材の問題あるいは南洋材の問題、あるいはアメリカその他の自由諸国から入ってくる今後の見通し等の問題、こういう長期の見通しというものは従来からも林野庁としてはなくはないわけですけれども、その辺のところを明確に立てるということは相当困難な問題である。この際、従来林野庁で考えておる木材の、いわゆる林業関係の長期的な見通しというものはどういうふうな立て方をし、現実にどういうふうになっておるのか、その辺のところをお伺いしたい。
  14. 吉村清英

    吉村政府委員 今回の森林法改正一つ考え方にもなっておるわけでございますが、従来の、将来の見通しというのは、どこまでも森林の資源の保続という問題がやはり生体に流れておったわけでございます。今回の長期の見通しを立てるにあたりましては、この長期の需要あるいはこの資源の中からの供給の見通しというものを、需要の面でもかなり強く見て参らなければならぬというように考えておるのでございます。お説にもございましたように、さしあたりの十年間は、所得倍増計画による伸び率、それからその後は、企画庁において長期の見通しを立てておる伸び率を見まして、需要の動向を見ていく考えでございます。  この輸入関係の問題でございますが、これは森林の生産の保続とにらみ合わせて輸入増大をはからなければならないと考えておるのでございます。これは最近非常に上がって参っておりまして、本年度はおそらく九百九十万立方メートルくらいになるかと思いますが、将来、二十年後には、これが大体倍の二千万立方程度までには持ち上げられるというような構想を持っております。こういった条件を考え合わせまして需給の計画をして参りますと、将来二十年の展望におきましては、この所得倍増計画ないしは長期の計画による需要の上限を大体満たせる、その後は逐次需要がふえる余力ができてくるというような計算をいたしております。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 今林野庁長官は、今後の木材の需給の見通しというものについて、何か今後十年以降ともなれば木材需給は相当緩和されてくるという判断を述べられたわけでありますけれども、これはそういうことになるかどうかという問題は、今後の国内における林業政策の進め方の問題でもありますし、また国外の問題については、やはり新たなる分野、しかも相当国内の木材需要に適した新分野を開拓できるかどうかという問題とも関連をすると思う。これは今委員長席にすわっておる好原さんあたりの提唱でもありますけれども、たとえば北洋材の問題というようなものは、もちろん今日一部入っておりますけれども、これは従来戦前の歴史的な経過もあって、こういう方面に、日本の国内需要に見合った相当大量のものが、双方の努力の結果話が合憲に達すれば、期待できるのではないか。そうしますと、野原さんあたりは、新しい公団を作って、それに見合っての国内における貯木の基地等も作り、そうして国内におけるところの木材需給の緩和ということに大きく貢献をしたらどうだということを提唱されておるわけです。これは一つの貴重な意見として真剣に検討すべき問題だし、同時にやはり木材の長期展望という場合には、北洋材であれ、あるいは南洋材であれ、アメリカその他の他の地域からの問題であれ、そういう問題については新規開拓の部面あるいは従来からのやってきておる問題で今後変更していく条件の問題、たとえばフィリピン等の最近の条件では従来とは変わった条件を持ってきておるとか、さらに南洋等に対する未開発の部面をどんどん伸ばしていけば開拓の可能性があるとか、いろいろな問題等があるわけですが、この機会に特に聞いておきたいのは、そういう外材輸入の問題についての最近の状況あるいは今後どういう方面に重点的に伸ばしていかなければならぬか、あるいは価格関係の問題においてはどういう問題が今日介在をしているのか、そういう点についてさらに具体的にお伺いをいたしたいと思います。
  16. 吉村清英

    吉村政府委員 外材の最近の情勢でございますが、輸入関係の表は御提出してございますが、将来特に未開発の地方における期待はどうかという点について御説明を申し上げておきますと、やはり今一番問題になっておりますのはカリマンタン、ボルネオの地帯だと思うのでございます。これは今インドネシアとこちらとの政府間の交渉を始めるまでには至っておりませんが、調査も二回にわたりましてこちらから参りまして、資源の点では非常に有望であります。これを開発して参りますと、十年ぐらいかかって開発をいたしますと、その十年後くらいには大体五百万立方メートルくらいのラワンが生産をされるのじゃないかというような構想のようでありますが、これは一面、先ほどお話のフィリピンのラワンの輸入状況が必ずしも将来十分に見通しが立たないというような時期におきまして、非常に期待の持てる話だというように考えております。その他今アラスカパルブでやっておりますアラスカの地方も、資源的にはかなり有望だと考えております。しかしながらただ問題はやはりこの取引価格の問題が関係をしてくると思うのでございます。現在のところ南洋材等ではそれほどまだ心配はないのでございますが、米材あるいはソ連材等につきましては、最近の値下がりによりまして、昨年ほどに旺盛な輸入量というものはなかなか期待はできないのじゃないかという気もしておりますが、最近こまかい事情を各方面から聞いておりますと、やはりこの輸入という問題につきましては、商社方面もかなり関心を持って努力をしておりますので、そういった点はかなり克服されて、将来伸びていくのじゃないかというように考えております。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 外材の輸入の問題というのは、これは情勢の推移等もいろいろあるわけでありますが、特に日本の需要に適して新規に開拓をし、さらに拡大をしていかなければならぬというふうな地域はどこかということになれば、やはり有力な対象としては北洋材の問題を当然考えなければならぬ。従ってそういう問題については最近の木材需給関係の昨年におけるような逼迫状況というふうなものと対比して考えるというと、今後そういうふうな事態が周期的に発生をするとか、あるいは情勢が今後ある時点では悪化するとかいうことのないように、従来も長期展望の計画はありましたけれども昨年のような事態も生む。あるいは今後においても単に長期的展望があっても、国内需要関係あるいは外材輸入関係等について適切な方途が講じられていかないと、そういう事態に直面することが予想される。そういう点で木材の需給の長期展望というものを立てるわけでありますけれども、その際には積極的に今後開拓すべき面というふうな点については地について一つ方策を進めてもらいたいというふうに考えるわけであります。  そこで国内問題の関係に入りますけれども、今日日本の国土の六七%の面積を占めておる山林、これをいわゆる国土保全という立場、同時に資源開発という立場を調和させながらどういうふうにやっていくかということは、これは林業政策上きわめて重要な問題であります。最近は木材需要関係等から国土保全的な面よりもむしろ資源開発という面が強調されて参っておるのは当然の推移かと思うのでありますが、しかしその際にまず考えなければならぬことは、今日の林業関係の実態というものは統計的にも正確に出ておるのかどうかということになるとこれは大いに疑問があるわけであります。私どもはかねてから国土というものは国民に与えられたお互いのいわば共通の財産であって、それを最高度に利用していくということを基本的に考えていかなければならぬ。そのためにはまず国土全体の調査というものを大きくやって、そうして土地の利用区分等についても十分実態に合ったように精査をし、山林として将来ともに発展さすべきところ、あるいは今後の成長財といわれる畜産の発展部面として拡大をしなければならぬ面、あるいは農耕地として今後開発をしなければならぬ面、そういう農山都市を通じての土地利用区分というものを総合的に立てて、そうして国土資源の最高度利用ということをはからなければならぬということを言っておるわけでありますが、こういう面で林野関係というものは相当場所によっては耕地以上に予想されるなわ延び等もある。あるいは実態が必ずしも明確でないというふうな状況でありますけれども、この際林野庁としては林野関係における大規模の国土調査といいますか、これは航空撮影その他各般の近代的なものを考えながら進めなければならぬと思いますが、そういうものをやり、そうして林野関係における今後の土地利用区分というふうなものを明確にいたして、その中において長期の林野関係における展望というものにさらに正確な裏づけをしていくということが必要な時期ではないかと思いますが、そういう点はいかがですか。
  18. 吉村清英

    吉村政府委員 御指摘のように、私どももまことに遺憾ながら森林関係の統計というものが十分満足すべきものだということは考えておりませんので、さらにそういった面に努力をいたしていくわけでございますが、林野庁におきましては昭和二十九年度から国有林と民有林につきまして、空中写真によります調査を始めておりまして、現在三十六年までの成果は、国有林におきまして五百七十万町歩、七百五十万町歩の国有林面積のうちの五百七十万町歩の撮影は済んでおりまして、その済みました図化が三百三十七万町歩済んでおります。それから民有林につきましては、まだかなりと申しますか、おくれておりまして、八十四万八千町歩で、その進度は必ずしも十分でないのでございます。この点につきましては、さらに地理調査所ですかと協定をいたしまして、今後全般にわたったむだのない測定をいたしまして、地形あるいは面積あるいは蓄積等にまでも及ぼして精確な資料を得たいというように考えて、せっかく努力をいたしておるところでございます。  また土地利用区分の問題につきましては、農林省内におきましてこの基準というものを技術会議の方で今作っております。われわれ内部的に協議を進めておりまして、それによってこの利用区分を明確化するという方向に進んで参りたいと思っております。
  19. 角屋堅次郎

    角屋委員 この際簡単にお聞きしておきたいのですが、今後二十年とかあるいは四十年とかそういう中で、森林関係を他のたとえば採草放牧の関係なりあるいは畜産の新しい成長にこたえる問題なりあるいは耕地等の問題なり、いろいろな各般の他の目的に使っていくというそういう数字的なものについては、当面どういうふうに予定されているわけですか。
  20. 吉村清英

    吉村政府委員 この土地利用、区分に基づきまして、将来農地あるいは放牧採草地として向いて参る方向になる土地でございますが、こういった点につきましては、私どもとしてはやはり土地の高度利用ということを主体にして考えて参りたいというように考えております。また、現在の制度でも農地に対する所属がえということで実施ができることになっておりまして、そういう点についても現在までの農地に対する所属がえの現状におきましては、必ずしも期待に沿った十分な開墾なり開拓なりというものができておらないところもあるわけでございます。そういうものは森林に戻すと同時に、やはりほんとうに適地で、ほんとうに将来期待の持てるものについては、私どもとしては大いにそういう土地の活用というものは考えて参らなければならないと考えておるのでございます。その将来の数字というものにつきましては、今ちょっと考えておりませんので申し上げられません。
  21. 角屋堅次郎

    角屋委員 将来の数字というものは農林省内において決してなくはないはずでありまして、林野庁においてもやはり長期の需給の関係等を考える場合には当然とれは一つの重要なファクターになるわけですが、細部の数字は別といたしまして、とにかく今後林野関係における林業政策の中では、他に転用すべきものという面については、やはり国土総合利用の面からそれはそれとして積極的に道をあけていくということが必要であろうと思う。この際やはり今後の林業政策遂行するという場合に、林野庁関係の末端も含めての機構の問題をどうするかということがかねてから論議をされておるわけです。従来から国有林あるいは民有林等も含めての林政指導というものが現実林野庁を通じてなされる、特に国有林関係については特別会計で運用する、こういう形をとっておるわけですが、これは今後国有林関係政策をどういうふうに発展をさせていくのか、あるいは民有関係における従来の林野庁の林政指導というものは十分であったのかどうか、あるいは今後十分にやっていかなければならぬという場合には一体どういう機構の形としてなるのかということが、従来からも論議をされて参っておるし、現実にまた今後ともに検討をなされる問題だと思うのですが、かねて一部に、林野庁関係の機構について、国有林野事業というものを公社にしてはどうかという意見が出ておるわけですけれども、この問題は非常に重大な問題でありまして、機構というものは一たんすべり出すともとに返すというわけにはいかない。これは今日公社とか公団とか事業団というものがいろいろな場面で出ておるわけですけれども国有林野事業というものははたして公社という形において運営すべきものかどうか。林業のいわゆる公共的性格と申しますかあるいは国土保全的な性格、そしてまた国内における木材需給の全体的なバランスをとる上における国有林野の持つべき役割、こういう全体的な視野から見て、機構の問題というものは慎重に考えなけれならぬ多くの問題を含んでおると思うわけです。この際、林野庁の今日の時点における機構の問題について、どういうふうな考え方でいこうとしておるのか。今御承知のように農林省設置法の一部改正というものが内閣委員会の方にかかっておりますけれども、これでいきますと、やはり民有林関係については、従来の営林局関係から分離して、いわゆる地方農林局の中に林務課等を作り、あるいは場所によっては将来林務部等に発展をするという構想があるのかどうかわかりませんが、要するにそういう点も芽が出てきたわけですけれども、同時にまた地方農林局の場合には、民有林は別として、機構の関係そのものとしては、いわゆる食糧庁の関係あるいは林野庁関係というものは、その掌握下には機構上は入っていないというふうなことも関連をして、これはやはり今後第二段の構想というものが予定されておるのかどうかという論議もあるわけであります。この際、そういう林野庁の今後の機構をどういうふうに持っていくのか。一部には国有林関係の局あるいは民有林関係の局というふうな形に、国家機構の中で二分をしてはどうかという意見もあるやに聞いておるわけですが、この辺のところを一つ最新の情勢についてお話願いたいと思います。
  22. 吉村清英

    吉村政府委員 行政機構の問題でございますが、確かに御指摘のように、この基本問題の答申の中にも、現在の機構では十分な国有林の合理化また合理的な経営ということも期待をされないのではないか、そういう点について検討が必要だ、また公社等についても検討をする必要があるのではないかというような意味の指摘がなされておるのでございます。なるほど私どもも中におきまして、やはり現在の機構の中は非常に輻湊していると申しますか複雑な形がありまして、これを整理するということは必要ではないかということも考えて参ったのでございます。  私どものこの答申を受けての検討態度といたしましては、はたしてどういう機構が林政あるいは国有林経営上一番理想的であるか、正しいのかということを主体にして考えておるのでございます。御指摘のようにこの国有林を公社にする——少なくとも現存の日本にあります公社の形と思い合わせてみますと、御指摘のように特別な森林の持つ公共的な性格等からいたしまして、またその公共的な性格とまた企業的な性格のバランスをとる尺度の基準の問題からも、非常に困難なと申しますかむずかしい問題があるかと思うのでございます。たとえば鉄道あたりを見ましても、一つの料金というものが規定されて、その料金によって公共的使命あるいは企業的使命のバランスがとれる。ところがこの国有林の場合にはそういうことが非常にむずかしい。そういった問題が十分に解決されなければ、そういうことへ踏み切るということは、森林の将来を考えましてもなかなかむずかしいことではないかというように考えておるのでございます。先ほど御指摘のありました、いろいろな方法を片寄らずに検討して、行政機構をすっきりしたものにしていくということについては、検討をしている段階でございます。
  23. 角屋堅次郎

    角屋委員 林野庁のこれからの林業政策指導上の機構という問題については、今長官からもお話しのように、十分慎重に各般の問題を考える、あるいは林野の持つ特殊性といいますか、そういうものを十分判断しながら、今後の長期におたる林業政策上の遂行に誤りなきを期するということが非常に重要かと思うのであります。  この際さらに問題を分化いたしまして、日本の山林面積の三分の一を占める、あるいは蓄積量の約半分を占めるという国有林野事業というものの今後の推進をどうしていくかということは、やはり林業政策上の重要な問題でありますが、この点については基本的にどういうことで今後いかれようとするのですか。
  24. 吉村清英

    吉村政府委員 国有林経営の将来に対する私ども態度ということでありますが、どこまでも国有林の使命は、やはり木材と申しますか林産物の供給の増大、生産力の向上ということを一つの大きな眼目といたし、同時に国土の保全という問題、それからもう一つ国有林の地元山村に対する施策を十分に実施して参る、あわせて将来——現存もそうでございますが、さらに国民の保健と申しますか、休養、教化と申しますか、そういった面にも努力して参りたいというように考えておる次第でございます。
  25. 角屋堅次郎

    角屋委員 国有林の最近における運営の仕方というものはずいぶん問題が出てきていると思うのです。同時に、日本の山林の所有形態というのは必ずしも合理的になされているのではなくて、いろいろな歴史的な経過があって現実の姿になっているということだと私は思う。これは国有林、民有林を通じてそういうことが言える。民有林の場合だって、正当に歴史的な経過の中でそれがいっているのかどうか。いろいろそういう問題については、それはそれとして問題はあろうと思う。しかしいずれにいたしましても、そういう歴史的な経過で、国有林というものが現住林野面積の三分の一を保有し、蓄積の二分の一を保有するという形になっておるわけです。地域的に考えますと、たとえば北海道、東北等は相当な比重を占める。あるいは西日本に参りますれば、県によってはほとんど国有林の比率が少ないという県もある。国有林公有林私有林を通じて私ども出発点として考える問題は、どういうところを国有林として持つべきものなのか、どういうところが公有林として持たれるべきか、私有林としてはどういう地域が適しているのか、これは一般論でありますが、所有形態との関連で今後どう進めるかという問題にも、そういう出発点があってしかるべきであろうと思う。そうなりますと、そういう問題についての一般論としての考え方がまず基本になって、現状がこういうふうになっておる、そういう中で将来どういうふうに発展さしていくのかということであろうと思うのです。基本問題調査会答申では、それらの問題について、国有林関係についても、公有林関係についても、私有林関係についても、それなりの答申が出てきているわけですけれども、いずれにしても、それを受けて今後基本的な問題を考えていくというような場合には、まず第一点として国土全体の総合的な利用なり、あるいは所有形態の中で、今言ったようなことを十分基本的に論議をして、現状と対比してどう持っていくべきかということが考えらるべきものだと思う。そういう点は一体どういうふうにお考えですか。
  26. 吉村清英

    吉村政府委員 国有林がいかにあるべきかということの出発点でございますが、私の方といたしましては、国土保全上特に必要な個所、特に奥地の保安林等につきましてはやはり国有にしていく方がいいのではないか、また一般の民間資本では開発が困難なようなところは、場合によっては買いまして、国有にしていくこともいいんではないかということも考えて、実は実施をしておる次第でございます。国有林は、御承知のように特別会計の企業体でございますが、そういうところとあわせまして、二種林と申しますか経済林等をあわせた中で経営の成果を上げて参るということに考えなければならないと考えておるのでございます。一部、三種林等につきましては、その利用あるいは売り払い等につきましても、ただいま、なるべく早い機会結論を出したいと思って、検討をしておりますが、そういう点におきましては、従来までの売り払いをいたしました森林なりあるいはその他の土地が、はたして目的通り十分に利用されておるかどうかという問題にも、かなり大きな問題点があるかと思うのでございます。そういったことを十分に見きわめまして態度を快走いたしたいというように思います。
  27. 角屋堅次郎

    角屋委員 国有林野事業特別会計を見ますと、最近剰余金が相当出ておるというふうに言われるわけですね。国有林野事業はそれだけ、剰余金が出るほどもうかっているのかということになるわけですけれども林野関係については、やはり木材の成長量の関係とかいろいろな関係で、現実に現なまがあるわけではなくて、やはり資産評価といいますか、そういう点で、表向きにはそういう数字というものを一定の基準に基づいて出すわけですけれども、はたしてそういうふうにきちっといくのかどうかということがなかなか問題です。いずれにしても国有林関係では最近剰余金というものが出てきておる。そうしてそれは林政への協力というふうな形で一般会計に繰り入れられたり、あるいは農林漁業金融公庫の力に一部回ったりするという形で、いろいろ活用されている姿が出てきている。たとえば新年度の、過般衆議院を通過して参議院で審議している点を見ましても、現金の預金百億八千万円、あるいは長期預金の六十九億五千万円、そうして特別積立金引当資金が百四十五億四千万円、あるいは有価証券として保管をしておるものが百四十九億四千万円、全部合わせますと四百六十五億円に上るいわばゆとり財源といいますか、表向きにそういうふうになっておるわけです。こういう点の中で、たとえば簡単な問題ですけれども、現金預金とか長期預金、あるいは有価証券——特に有価証券等は、一体どこの有価証券をどうしているかという問題もございますが、いずれにしても国有林の剰余金というものがふえて参っておる。それを一般の民有林政協力というような形で使っているが、かつては相当苦しい財政状況でやっておったわけです。これはどこに起点があるのですか。どこに、こういうふうにいわゆる黒字がふえてきたという形の上で出てきている事情があるのですか。
  28. 吉村清英

    吉村政府委員 やはり一番大きい点は価格の上昇だと思います。
  29. 角屋堅次郎

    角屋委員 従って、数字は木を切ってみれば出てきますけれども、奥地林を含めて全体的な林野の蓄積量を、現実木材の価格の関係等で試算をして、そして収支あるいは貸借対照表に表わす、こういう場合に、剰余金がふえたふえたといっても、これは他のものとだいぶ違うわけですね。そこで、それは議論としては、国有林野事業で剰余金が出たという形の中で、これをどこへ使うのかということがいろいろ問題になる。林政協力という問題がある。しかし、国有林野事業でそういうふうに利益が出てきたのであれば、これはやはり国有林野事業の仕事に働いておる人にも当然還元をしていかなければならぬ、あるいは国有林野を持っておる地域にも還元をしていかなければならぬ。これは地方交付金という形が従来からも実施されておる。はたして地方交付金というのは従来のような程度でいいのか、あるいは、もっとやはりそういう地域における土地条件というものを——山におけるさちというものは、やはり山に第一義的には、返していくという形でもっと考えなければならない、あるいは、いわゆる山に関連をしては、素材生産の問題もあるし関連産業の問題もある。そういう問題に対して、従来そういう関係では十分であったのか、あるいは全体的に木材の需給というものを円滑にし、流通関係改善していくためには、第一義的に山林と結びつくそういう素材生産なりあるいは関連産業というものについて、もっとやはり密着した姿で林業政策というものを考える必要があるのではないか、とういうことがいろいろ私は出てくると思う。現実にはこれだけの剰余金があるかどうかということは、理論的に論すれば別として、一応剰余金が出てきておるということであるならば、これを一体どういうところに向けるのが本筋であるのかという点についてはどうお考えですか。
  30. 吉村清英

    吉村政府委員 昨年度特別会計が改正になりましたが、年々の利益金の半分は利益積立金といたしまして国有林町の経営の調整に使って参る、それから半分は特別積立金引当金というのでございますか、といたしまして、林政の協力に使って参るということで、三十七年度には、このうち三十億を一般会計に繰り入れをいたしまして、そのうち十三億は公庫からの造林その他の融資の原資として出資をいたす、予定でございます。他の十三億は水源造林のための原資として使う。その他四億は公共事業その他の原資として使う予定にいたしております。さらに御指摘のようにかなりの剰余金があるわけでございますが、この点につきましては、はたしてどういう方向へ——やはり、もちろん林業関連のある方面へ使って参りたいというように考えておりますが、まだその成案を得ておりませんのでございますが、大いに検討いたしたいと思っております。
  31. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは林業政策の今後の問題というのを考えるには、単に林業基本法を作るとかあるいは振興法を作るとかいうところだけに問題があるのではなくて、これは農業基本法現実にすべり出そうとしているけれども、それが現実農業情勢とタイアップして、期待にこたえたものであったかどうかという論議もあるように、要するに、法律関係だけの問題じゃなくて、今申しました国有林野事業なら林野事業で生み出されてきておるという剰余金、これを一体どういうふうにしていくかということは非常に重要な問題です。そうなると、やはり山のさちは山に返していくということが基本でなければならぬし、また山に関連をして、山の政策上に直接影響を持つそういう関連方面にやはり積極的に使っていかなければならぬ。これがやはり基本だろうと思う。おそらく、この現金預金の百億なり、あるいは長期預金の六十九億というようなものは、これは資金運用部資金という形で、いわゆる財政投融資の全体の中に流れていくということだと思う。そうすると、農林漁業金融公庫を通じて一部参りますけれども、いわば、われわれの表現でいうならば、大産業、大企業方面にも相当これが回っていくということになる。やはり林業関連した関連産業ということの場合、たとえば木材業者なら木材業者を考える場合に、中小企業以下の最も零細な悪条件にあるところの、日の当たらぬところにこういう余剰資金の一部を充当して、積極的にそういう方面近代化をはかっていく、それが流通機構に果たすべき役割をさらに改善していく。今日こういう方面のものはおそらく商工中金等が中心になる、あるいは中小企業金融公庫が柱であろうと思う。林業政策遂行に直接関連のあるこういう面についてはもっと目を向けていいのではないかということも言えると思う。そういう点では、いわゆる国有林等の大量を占めている東北や北海道におけるようなところは、一面では恩恵を受け、一面ではある程度生活の場を制限されているという条件があるのだから、他のところもそういうことは大なり小なり同様に言える。そうなりますと、そういう山のさちをそういう地域における関係方面にも相当向けなければならぬ、従来のような地方交付金というような、ああいう程度でよろしいのかどうかという点ももっと積極的に考えていかなければならぬ、こういうことであろうと思う。同時に、山のさちがはたして山なり関連の方に返っておるかという問題も、従来のことをいろいろ論議すればあるわけでありますけれども、これは今後の問題として、やはり基本的にはそういう方向で取っ組んでいく、またそれを具体的に政策に現わしていくということでなければ、法律的なもの、基本法とか振興法で出てきても、名を与えて実を結ばないのではないかと思う。そういう点については今後ともやはり十分考えてもらわなければいかぬ。  なおまた、過般資料をもらいましたが、例の伐調資金の問題で、従来年々歳々約二十億近く出ているわけでありますけれども林業経営維持改善資金の問題にも関連してくる。さらに今度の森林法の一部改正等を通じて伐採の許可というものがこれははずされていくという問題とも関連して、伐調資金の今後は一体どういうふうになるのか。伐調資金の関係の資料を求めましたが、従来の使途、それから今後これがどういうふうになっていくかという問題についてお尋ねいたします。
  32. 吉村清英

    吉村政府委員 伐調資金の使途は、資料の十六ページにございます。これをちょっと簡単に御説明申し上げますと、三十三、三十四、三十五年度の統計が出ているのでございますが、やはり一番多いのは生計補助でございまして、二六、七%という部分を占めておる。また住宅に関連したものがその次でございまして、二〇%から二二%を占めておる。それから林業関係の資金が一六%ないし一七%になっております。伐調資金は、御指摘のように、伐採の許可制度といいますか、伐採規制によって伐採ができなくなった人のための融資でございまして、従いまして、今回の改正によりまして伐採の許可制が廃止になりますので、普通林におきましては伐調資金というものはなくなるわけでございます。それで、保安林についてのみ、来年度は一億八千万円の予定でございますが、伐調資金を計上いたしておるのでございます。それで、そのかわりということはございませんが、さらに林業振興というような意味から経営維持改善資金を二十三億二千万円計上いたしまして、これによって零細な土地、森林所有者が土地をふやして参るというような資金でありますとか、あるいは病気その他の資金でありますとか、あるいは保育等の資金でありますとか、そういうものを融資できるようにいたしておる次第でございます。
  33. 角屋堅次郎

    角屋委員 国有林野事業の最近の運営方法というのを見ると、いわゆる従来の直営年産というふうな形にかえてどんどん立木処分の問題なりあるいは請負事業の問題なり、そういうものの導入が目立っている。本来国有林野事業の運営というものは、そういうふうな最近の傾向というのが望ましいのか、あるいは国有林野事業は主体としてはやはり国有林野事業としてやっていくという本筋はあくまでも堅持していくべきなのか、これはなかなか問題のところだと思う。そういう点では国有林野事業はやはり財産保有的な、何というか山を持っておる、あるいは育ってきた木を提供していくという問題だけでなしに、国有林野事業としての国土保全と資源の開発ということに果たす役割というものは主体的には国有林野事業そのものでやっていくべきじゃないか。最近の農業でもそうでありますけれども、山間部における青少年の労働力というものはどんどん都市に流れていくというふうな問題とも関連をして、農林漁業基本問題調査会林業答申でも言っておるように、やはり今後の国有林野事業の運営の問題としては直営生産あるいは労働力についてもこれを安定化し、固定化をしていくということを中心に強く労働関係についての近代化も要請されておるわけなんですけれども、そういう問題については何かしら国有林野事業以外からの要請というものに押されて、国有林野事業が本来あるべき事業の姿というものが変わっていくということがあるのではないか。これはやはり基本的にそういう問題についてはどうあるべきかということを筋道を立てて、きちっとする必要がある、こういうふうに思うわけですが、その辺のところはどういうふうに考えておられますか。
  34. 吉村清英

    吉村政府委員 国有林野事業の概念的に母体と申しますか、そういうものはやはり直営事業だと思っております。特に生産関係におきまして。しかし国有林野事業が、一例を申し上げますと、直営生産事業におきまして特に増大をするあるいは特別な離れた個所で行なわなくちゃならぬような場合が起きるというような場合、それからまた直営でやるよりも民間でやる場合が効果が上がりやすいというような場合、そういったような場合に請負事業というものも導入をいたしておるのでございまして、私どもといたしましてはこの直営事業を減らそうとかあるいは請負事業をふやそうとかという意識的な考えはないのでございますが、御指摘のように労働問題と申しますか、労務管理上の観点から立ちましましても、臨時の雇用、特に林業の全般にわたりまして季節的な事業というものが非常に多いわけであります。これはなるべくそういった季節的な事業の解消ということに実は努力しているところであります。そういった条件等もございまして、やはり雇用を安定するという場合にもある限度というものがあるかと思うのでございます。そういった中におきまして国有林の直営事業というのは必ずしも作業員だけがそろってもできない、一つのセットになる事務関係の職員もやはりそろって一つの事業所というものをかまえて事業をやって参るわけでございますが、そういった面のバランス、それからそういった面の全体の労働条件というようなものを十分にバランスのとれた形で運営をして参ることが必要じゃないかというように考えておるのでございます。従いまして現在の私どもの考えといたしましては、特にどういう仕事をふやすとか減らすとかいう一般的な考え方でなしに、その個所あるいは地方地域別に具体的に検討をし、協議をしながら進めていくという態度で進んでおるわけでございます。
  35. 角屋堅次郎

    角屋委員 山林の問題を考える場合にも国有林公有林私有林の筋道をまず立てるということを申しましたが、国有林としてやっていく場合には国有林として主体的にやる仕事、あるいはその仕事のやり方というものを基本的にやって、長期的な運営に支障なからしめるということが荒木だろうと思う。私どもいろいろな資料を見てみますと、国有林の直営生産というようなものが、いろいろな団体から立木処分の問題なり請負導入の問題なりという姿で強く出てくる。しかし、そういう要請は要請として出てくるにいたしましても、本来国有林という長期的な運営の中でどうあるべきなのか、この筋道を乱してはいけないと思う。    〔委員長退席秋山委員長代理着席〕 そういう点では、私は、基本問題調査会答申でも非常に強調しておるように、国有林町事業は、本来直営生産ということに基本を置きながら、同時にそういう前提に立っての労働力についても今後の変動ともからめて十分安定的に確保するということを考えながらやっていくということが非常に重要だろうと思う。最近の木材の需給の関係の中で常に出てくる問題は、国有林の役割から見て、一つ国有林の増伐をやりなさい、こういうことが常に強調されている。じゃ公有林私有林関係についてはどうなのか。そういう点では十分に従来から行なわれておるか、あるいは今後も行なわれようとする態勢にあるかということを言うと、私は卒直に言って問題があると思う。何か木材需給関係の中で国有林が安易に依存される、あるいは安易に、要請を受ける。実際に山の問題は、言うまでもなく長期的なものでありますし、また治山治水上の問題もありまして、単にそういう政治的な要請なりあるいは経済的な要請なりだけで、国有林だからということで安易に応じておると、山林の荒廃という重大な問題がその後において出てくるということであろうと思う。そういう曲でも何か木材需給関係では国有林に依存する、安易にそういうところにくるという傾向が出てきている。その面ではやはり日本の林業全体の中でバランスをとって長期にわたっての需給の要請にこたえるという問題について誤りなきを期することが必要だろうと思う。そうなってくると、あとで論ずる私有林問題の中でいわゆる財産保有的な山林経営の傾向を国民経済の要請に十分こたえる立場からどういうふうに法制的に規制されたり、あるいは行政的に指導されたならば、従来のそういうふうに指摘された点が直っていくのかということが出てくると私は思うのです。その点はどうなのですか。
  36. 吉村清英

    吉村政府委員 特に国有林が安易に増産の対象になると申しますか、依存をされるという点につきましては、あるいは御指摘のような風潮も一般にはあったかと思うのでございます。私どもといたしましては、先生の今御指摘のような国土保全上の問題、将来の需給の問題等を見きわめずにはやっておらないわけでございます。今回の増伐につきましても、将来の見通しにつきましては十分自信を持ってやっておるところでございます。一方、民有林に対する施策は、すでに御承知のように民有林については私ども現在のところでは増伐を期待をするという以上に出ません。それに基づいて指導奨励をしておるのでございますが、今回の改正におきましては、そういった伐期を経過いたしまして、もう十分切っても差しつかえないというようなものにつきましては伐採の勧告ができるというような制度になるわけでございます。この勧告はあるいはなまぬるいじゃないかというような御指摘にもなるかと思いますが、そういった勧告を重ね、また指導の面にもそういった考え方をさらに強める、また同時に、それぞれの森林所有者がほんとうに近代的な林業経営という自覚を持って森林経営できるように、普及活動あるいは指導によって高めて参らなければならないというように考えておる次第でございます。
  37. 角屋堅次郎

    角屋委員 国有林関係の問題については、後ほどまた同僚委員から多く質問の希望も出ておりますから、論ずべき問題は多いわけですけれども、次の公有林の問題に移ります。  これは答申では、公有林関係についてはいわゆる合理的な家族経営林業育成の方にこれをある程度振り向けていくのだという答申等も出ているわけですが、今後の公有林の問題について、答申が出て以降どういうふうに持っていこうという考え方になっておるか、それを一つ伺いしたい。
  38. 吉村清英

    吉村政府委員 基本問題調査会、あるいは先ほどもちょっと触れました部落有林野対策協議会、これは林野庁内部で作ったのでございますが、この協議会、調査会からの意見といたしましては、個別私権化をはかることを原則としまして、それがきわめて困難な場合には公共的管理の方法を講じて、あわせて土地利用の高度化をはかるための諸施策を講ずべきであるというような答申が出ておるのでございます。林野庁といたしましては、これらの答申の趣旨も尊重をいたしまして、部落有林野対策の実施にあたりましては、林業だけにとどまらず、農業的の利用と林業的の利用との調整の問題、それから入会権の対価の算定に関する実態的な問題、あるいは入会権者の範囲の確定等に関する問題、あるいは入会権の解消手続に関する問題、そういった法律技術的な問題を慎重に検討をする必要がある段階に立も至っておりますので、現在そういった問題を根本的に検討をいたしまして、そのしでこの部落有林野の問題をはっきりしたいというように考えております。
  39. 角屋堅次郎

    角屋委員 私有林関係の問題は、これは零細から大規模まで対象が多いわけでありますし、しかもその所在はきわめてばらまかれておる。経営の実態を見ましても、統計的に明らかなように、いわゆる経営規模としてはきわめて零細のものがほとんど八、九割までを占めておるという形でありますが、面積的に見れば、数としてはごく少数のいわゆる大山林地主が相当程度のものを持っておるというように、階層間の段差が非常に激しく山の場合には出ておると思う。これを今後林業政策として、あるいはまた林業振興の面として、どういうふうに構造改善をしていくかということは、なかなかむずかしい問題だと思う。基本問題調査会林業答申では、これから農業における自立農家的なものを林業でも考えて、それが重要なにない手だということを言っておる。それに対して、冒頭に申し上げましたように、いや、林業経営の重要なにない手は企業的林業をやっておるわれわれだというふうなことで、また別なところから意見が出る。山林解放、山林解放ということが言われておりまするけれども、山の問題は、御承知のようにみんな個人に渡してしまえばいいというふうな農業で考えられるような単純な問題ではない。従ってどう合理的に配置をするかということです。そういう点では私有林の問題についても、やはり零細な経営の問題、あるいは中程度、大規模の問題についても、全体的にどうするかということで考えるべきだと思う。そうなってくると、農地改革に類する山林関係のそういう方面の改革の基本はどこに置くのかということで、これはなかなか問題がある。それもなかなか機械的にいかないということだろうと思う。やはり私どもの立場からいえば、大山林所有者林業経営の実態がどうなのか、これを国土総合開発の観点から林業の全体的な経営の中でどういうふうに改めていくべきなのか、こういうことが一つの重要なポイントだと思う。今林業答申の問題なりあるいは林総協その他から出ておる問題の中で、林業経営の民有林関係の柱をどこに置いてやっていこうという立場に立っておられますか。
  40. 吉村清英

    吉村政府委員 大へんむずかしい問題でございますが、私どもといたしましては、民有林につきましては、まず前提といたしまして土地改革的なことは考えておりません。従いまして、現状においてどうするかということでございますが、一面非常に零細な所有の形では十分な合理的な経営ができないのじゃないかという御指摘もその通りだと思います。従いまして、そういう零細な形の所有森林につきましては、極力事業の共同化と申しますか、協業化と申しますか、そういうものをはかって参りたいと思っております。それからその一回り大きい段階、たとえば一ヘクタール以上五ヘクタール未満程度の森林につきましては、これは農業経営との関連におきまして経営をしていく、さらにその上に大きい五町ないし二十町程度の所有の形の森林につきましては、林業を主体とした農業との関連における経営というものを考えて参りたいと思います。さらに御指摘のありました大規模の森林所有者林業経営につきましては、経営の合理化をいたしまして、林業の従事者等の所得水準向上にこたえ得るような経営に変えていくというような方向指導をして参りたいというように考えております。
  41. 角屋堅次郎

    角屋委員 今の林野庁長官の御答弁を伺いますと、基本問題調査会答申について、特に大規模な山林を持っておる者に対する答申部分については、全面的に否定した立場でいかれようということですか、たとえば粗放的な経営をやっておる部分については、やはり利用権の設定なり何なりで他の者が最高度に活用するという道を見つけるべきだ、あるいはそういう点については国有林等への買い上げというものも考えたらどうか、いろいろな答申が、現実の姿の中で、丁寧に見ますと各方面に出てきておるわけであります。それがやはり相当規模の山林を持っておる諸君を刺激して、いわゆる答申に対する痛烈な批判という形でいろいろな意見が出てきておることも御承知通りだと思う。私はそういう点で、今の林野庁長官の答弁を聞いておりますと、調査会の答申を全面的に否定した立場で、そういう点では林業の保有形態についてはおおむね現状に立場を置いて林業政策がやっていけるというふうに考えておられるのですか。
  42. 吉村清英

    吉村政府委員 決して大規模森林所有者に対する対策についての答申を否定しておるわけではございませんので、そういった問題も検討もいたし、またそういう方向に進みますについては、いろいろな段階と申しますか、調査も必要ではないか、こう考えておるのでございます。大所有者が十分にこの要請にこたえていないんじゃないかという指摘に対して、やはり大所有者林業経営というものは、財産保持的な所有形態から脱皮をいたしまして、近代的な経営に一歩進めるということに努力をすべきではないかというように考えておる次第でございます。
  43. 角屋堅次郎

    角屋委員 昨年の木材の需給が悪化をしたときに国有林に対する強い増伐要請というようなものがありますけれども、同時に一般の国民側の批判の中では、相当程度山を持っておる諸君がこういう緊急事態に積極的にこたえようというかまえがないじゃないかという声が強く出ておった。実際に出てきたのは、税制のさらに緩和という形でそれをやっていこう、そういうことは前進であるのか、後退であるのかということについても、また議論がある。いずれにしても閣内においてもいつのときでしたか、安井さんは適齢期以上の森林については、これは財産税的なものをかけたらどうだ、そういうふうにしなければやはり依然として財産保有的性格から脱却できないんじゃないかというふうな強い意見も出したように聞いておりますし、その点は単に閣内のみならず、与党の中においても木材の需給の安定あるいは今後の発展方向という中で、国有林国有林として、公有林公有林私有林私有林としての役割を果たすという前提に立つ場合に、今日の現状の中でどういうふうにすればそれが実現されていくのか、これは法制的にもどう考えるか、あるいは行政指導としてもどう考えるのかということであろうと思う。そういう点では適齢期以上のものに財産税的なものをかけたらどうだという意見等もあるわけでありますけれども、そういう面はどうなんですか。
  44. 吉村清英

    吉村政府委員 適正伐期齢級以上の森林に対しまして税金をかけたらどうかという御意見は確かにございました。私ども内部的にいろいろと検討を進めておる次第でございます。しかしながら一つの問題といたしまして、税制の根本的な問題、それと課税上の技術的な問題、これが非常に困難であるというような専門家の意見も聞いております。それと同時に、私どもが考えます点は、立木に課税をされることによって、伐採後ぜひ実行してもらわなければならない造林事業に対してまで、意欲を失わせるというようなことがあるのではないかということを、非常に心配をするわけでございます。御承知のように森林につきましては、非常に長い生産期間を経ますので、中には大量の場合は相続税というような問題もかかってくるわけでございます。それでその上に所得税がかかります。それから伐採をしないとこの立木税がかかるということになるわけでございますが、そういう点につきましては、一面はこれは適正伐期齢級において大体切るのが一番有利だというような私どもの考えでございますが、所有者によりましては、やはり大径木を生産するという意欲を持った人もあるわけであります。いろいろな観点からも考えてみまして、現在のところ、私どもとしては立木税を課するというような結論には至ってない次第でございます。
  45. 角屋堅次郎

    角屋委員 今度の森林法改正の中で重要な項目であるいわゆる森林計画制度というようなものについて、従来の三段階制を二段階制に改めて、新しく全国森林計画あるいは地域森林計画、あと三段階目の下部の段階の問題については、冒頭に長官からのお話のように、個別経営計画を自主的に作らせるのだ、それがために林野庁としても行政指導としてモデル林家を選んで、そうして個別経営計画を作る指導をやるのだ、こういうように言われたわけです。しかもいわゆる地域森林計画等に沿ってやっていくということを順守のことを明らかにし、あるいはそれに従わない場合には、必要があれば施業に対する勧告をやるのだ、こういうことで、法的には従来よりある意味では上からずっとおりてきたやつを緩和した。問題は、そういう条件の緩和された中で、その個々の林業経営者が自主的にそれに応じていくという態勢になるのかどうかということが、これがやはり今後これを運営していく場合の一つの問題点である。従来でもそういう傾向がなかなか出ておった。今後そういう二段階制の中で、個別経営計画という形でつないで、あるいは勧告あるいは順守というふうな形でいくのだけれども、実際にそういうことで今後の木材の需給の情勢に応じていける態勢ができるのかどうかということが非常に問題だと思うのですが、これはどうなんですか。
  46. 吉村清英

    吉村政府委員 この問題につきましては、仰せ通り、今回の改正によりまして、森林所有者の自主的な経営意欲を盛り上げて、林業振興ないし経営の合理化をはかっていくということにねらいがあるわけでございますが、このかぎと申しますか、成功するかどうかという点は、やはりこの普及事業が、はたして森林所有者に十分納得のできる形で行なわれるかどうかということにかかっておるかと思います。そのためにはやはり林業あるいは森林に関する研究の推進ということも、さらに技術研究の推進ということも必要になってくるかと思うであります。やはり大部分所有者が農家であるということから考えましても、その農家がほんとうに理解をして、ほんとうに納得をするような計画を立てることを普及をして参るということに力を注がなければならないというように考えております。
  47. 角屋堅次郎

    角屋委員 この森林計画の問題を中央森林審議会に諮問をしたときに、林野庁では素案を出されておる。それが論議をされて、中間答申として出てきておる。それを見ますと、第三段階の部面では、いわゆる従来でいうと実施計画というところに当たる部面は、新しく答申では、たしか市町村における経営改善計画というか、それと個別経営計画、この二つをやはりかみ合わせていかなければならないという答申になっておると私は思います。これがやはり今後の林業政策上における構造改善の問題とからんで、その地域における市町村でどういうふうに経営改善していくのか、これは土地の高度利用との問題も関連をしてくるということで、私はこの点は非常に重要な問題を提示しておるというように思ったわけですけれども、それがいわば抹殺されたというか、法制的には何も出てきていないわけです。行政的にはやるのかどうかは別として、とにかく第三段階の部面は、法制的には抹殺をされておる。先ほど来言うような行政指導でいこう、しかも中央森林審議会で、やはり重要な答申の項目をなしておると私は判断をしております市町村の林業経営改善計画というものが、姿を消しておる。これは一体先ほど来の論議経過から見て、何か現状維持的な形の中で林業政策というものが進められるのだという安易な、あるいはそれでなくても、それは乗り越えたいのだけれども、いろいろ障害があって、それがなかなかできないということで踏み切れなかったのかどうか、その辺はどうなんですか。
  48. 吉村清英

    吉村政府委員 この市町村の問題でございますが、こは地域森林計画にうち分けて市町村の計画を立てるようになっております。なぜこの第三段階の地区森林区施業計画をやめて地域森林計画に変えたかということでございますが、結局林業の資源の設計と申しますか、計画と申しますか、こういうものはやはり他の開発計画あるいはその他の計画にマッチした、相当広範囲な計画との関連もあります。それから林業計画というものはそういった小さい地域で窮屈な計画でいくことがはたして合理的なのかどうかという反省もございます。そういった意味で流域別の地域森林計画を立てましてこれによって資源の設計を行ない、同時に町村ごとの計画も織り込みまして、この個別経営計画あるいは林業振興のために資したいという考えでおるわけでございます。
  49. 角屋堅次郎

    角屋委員 森林計画の問題に入りましたから少し重要な問題を聞いておきたいのですが、新しい森林計画では全国森林計画は全国的にということで、いわゆる従来の基本計画区の問題がそういう形では明示されていない。それで地域森林計画の中では、これは法律経過措置を見ますと従来のいわゆる森林区というものを、新しい森林計画区に踏襲をしていくのだ、こういう形で将来ともそれをそのまま踏襲をしていくのか、あるいは今後検討していくか、それは別として、そういうことになっておるわけですが、そうすると三段階にせよ、二段階にせよ、国有林と民有林との全体的な調和というか、それが非常に問題になる。国有林が一定のところにあって他のところに民有林があるという姿でなくて、それがやはり混在してあるわけだから、流域別に見ても、あるいは県、市町村別に見ても、そういう地域森林計画は、従来もそうでしたけれども、民有林についてということになっておるし、全国の森林計画は全国的にですから、国有林、民有林を含んでいるということになるわけですけれども、そういう国有林と民有林の計画、実施上の調和というものを運営上どういうふうにやられようというのか、その点はどうです。
  50. 吉村清英

    吉村政府委員 国有林と民有林の経営計画の調整は全国森林計画において行なう方針でございます。それから実質的な調整におきましては、主として民有林関係で、地方の森林審議会に営林局長あるいは営林局の職員が委員として出席をしてやっていくようなことになっております。また国有林経営計画の編成にあたりましては、それぞれの県の職員あるいはその他民有林関係森林組合その他の関係者が入りまして審議会を行なって作成をして参るというようなことになっておりますので、そういう点でも実質的な調整は現在でもやっておりますが、将来ともさらに続けて参りたいというように考えております。
  51. 角屋堅次郎

    角屋委員 この前資料を要求しましたが、出て参りました山林を所有する会社の保有山林面積並びにパルプ資本の資本階層別の社有林、あるいは分収林の実態、こういうものの資料を要請したわけですが、これは申し上げるまでもなく、最近の林業関係を見ておりますと、いわゆるパルプ資本関係所有面積の増大とかあるいは特に分収造林等に対する進出とかいう形が具体的に出ておりますし、この比率も相当大きな比重を占める実態にあるわけです。この際資料の提示を要請いたしましたこの資料については、(2)の「紙パルプ会社の資本階層別社有林、分収林の面積」というところには、実際は王子がどういう形でどれだけ持っておるか、こういう形まで要請しようと思いましたが、これは伏せてありまして、長官に聞きましたら、それは会社との関係で言わないということになっておるということを少し言っておられましたけれども、この辺の実態を少し明らかにしてもらわなければならぬと思います。
  52. 吉村清英

    吉村政府委員 ちょっと説明が落ちておりまして訂正をさせていただきたいと思いますが(2)の表のところで、会社の数が出ておりません。従ってただいま申し上げますので御了承願いたいと思いますが、資本階層別の一億以上十億未満が十会社ございます。その社有林の面積が六千八百二十九ヘクタール、分収契約の面積が二千二百九十ヘクタール、十五億以上二十億未満が三会社、それから二十億以上五十億未満が十会社、それから五十億以上が三会社でございまして、以上二十六会社の統計で資料になっております。上の(1)の方に述べてございます「五〇〇ヘクタール以上の山林を保有する会社の保有山林面積」は、会社数が百三十八会社に対しまして保有山林面積が六十五万一千三百二十六ヘクタールになっておりますが、この面積と先ほどの(1)の表の合計のところの面積を御比較を願いますと、大体半分をパルプ会社が持っておる。その他は各種各様でございまして、全然林業には関係のなさそうなようなところ等も非常に多いようでございます。
  53. 角屋堅次郎

    角屋委員 一々具体的な会社別のものはお話が出なかったわけですけれども、王子の関係は社有林面積、分収林の契約面積というのはどういうふうになっておるのですか。
  54. 吉村清英

    吉村政府委員 今資料を持っておりませんので、後ほど御報告させていただきたいと思います。
  55. 角屋堅次郎

    角屋委員 バルブ資本の山林保有あるいは分収林契約の進出という問題が出ておりますが、これは同時に国有林関係の事業と結びついてもいろいろ木材処分等に問題も現実にあって、これは林業政策上の重要な問題で、これをどうするかということは、まあ与党は与党として、われわれ野党の方は野党としての見解が出て参るわけであります。私どもとしてはこういうパルプ資本等の所有形態あるいは分収林の増大傾向というものはチェックする必要がある。同時に今後の問題としては、これをいわゆる性格的に変えていく必要がある、こういうことを考えているわけですけれども、これは成り行きまかせでいいというわけですか、指導上どういうふうにやられるつもりですか。
  56. 吉村清英

    吉村政府委員 このパルプ工場関係に対する資材の国有林からの供給でございますが、特に御指摘にありましたような傾向といいますか、比重の大きいのは北海道方面が多いかと思うのでございます。北海道方面におきます販売の経過、開拓時代からの経過等の実績もございまして、そういうような形もあるわけでございます。また一面には一時昭和二十六、七年でございましたか、木材の統制がはずれました時期に一般競争をかなり実施をいたしましたところが、非常な競合が起きまして、ほとんどが異常な価格でパルプへ向いてしまったというようなことから問題が起きまして、またその緩和策といたしましても、このパルプに対する随契も考えていかなくちゃいかぬということで現在に参ったのでございます。しかしながら、この販売方法全体にわたりまして、私どもはかように考えております。  まず、やはりこの販売の建前からいたしまして、制度上からもやはり競争をして、そして特に必要のあるところへ参る、供給されるということが必要であるかと考えるのでございます。その反面に一般競争でありますと、木材関係業者だけの入札ということに制限ができないわけでございます。従いまして私どもといたしましては、将来に向かいまして、現在も努力しておりますが、この広い意味の指名競争入札というものを特に主体にしていかなければならないのではないかというように考えておるわけでございます。
  57. 角屋堅次郎

    角屋委員 これはたしか官行造林の廃止の問題のときにいろいろ論議が出たのでありますが、しかも今後の林業政策上やはり一定の考え方というものが明確になることが望ましい、またならなければならぬというように思う場合に、山林地代の問題があるわけであります。農地の場合であれば、小作料の問題等で一応一定の考え方で方針としては明確になっておる。分収造林の場合に一体地代分はどうか、あるいは農林漁業基本問題調査会答申の中での地代に対するところの答申の見解というのは述べられておる。そういう点では前の山崎長官の時分にもいろいろ数字をあげてお話があったわけでありますけれども、いずれにしても農地の関係林野関係の地代というものについて同じ農林省でありますけれども、私どもが答弁を聞いておりますと、農地の方は一応方針としてははっきりしておる。林野関係についてはまだこれから検討しなければならぬ要素を残しておるということじゃないかと思うのです。そしていわゆる山林地代というものに対する林野庁の従来の見解なりあるいは今後の方針なりというものについて一つ……。
  58. 吉村清英

    吉村政府委員 この地代の問題でございますが、非常にむずかしい問題でございまして、国有林の地代といいます場合には近傍の類似の地代を比較をして考えておるのでございます。またこの分収造林等の地代部分という、あるいはそういう御指摘かと思うのでございますが、その点につきましては、私どもも非常に知識が足りません関係から、専門家に今検討をお願いをしておるのでございます。この分収造林、たとえば国有林でやっております例の部分林あるいはやっておりました官行造林あるいは現在の一般の分収造林、大体今までの成り立ちのころの考え方がかなり加わっておりまして、はたしてああいうものが地代だけであるかという問題については非常に疑問があると思っております。そういう点につきまして、今後専門家の検討をわずらわしまして、はっきりいたしたいと思っておる次第でございます。
  59. 角屋堅次郎

    角屋委員 地代の問題は少しデータを根拠にしてお尋ねしたいと思いましたが、時間の関係を今委員長から言われましたので、たくさん問題を残しておりますが、次に入りたいと思います。  今度の森林法改正の中では、保安林関係の問題について所要の整備を行なったわけですけれども、これからの保安林政策というものを一体どうしていくか、これは保安林整備臨時措置法の関係で、御承知のように民有林等の買い上げ等もやっておるわけですが、これはたしか十年の持限立法ではなかったかと思う。そういう関係で今日までのそういうものの買い上げの実績なり、あるいは今後の時限立法の取い扱いをどうしていくかという問題も含めて、保安林のこれからの制度上の改正関連した行き方について一つ考え方を明らかにしてもらいたい。
  60. 吉村清英

    吉村政府委員 保安林の問題でございますが、ただいま御指摘のように、保安林整備臨時措置法によりまして民有保安林の買い入れを現在実施しておりまして、三十九年四月末まで続くわけでございますが、この間の買い入れ計画といたしましては五十九万ヘクタールの予定でございます。二十九年から三十五年度までの実績が十六万ヘクタールになっております。従いまして問もなく有効期限が切れますことを考えますと同時に、この保安林買い入れ事業というものが今後さらに私どもとしては重要な仕事である、意味のある仕事であるというような考え方から、恒久的な制度準備いたしまして、この措置に遺憾のないようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  61. 角屋堅次郎

    角屋委員 保安林の法制的な改正の問題と関連をして、御承知通り新しく保安林の台帳あるいは保安林施設の地区の台帳の整備というやつが出て参っておるわけですし、また保安林の指定とか解除という問題は従来と同じ方針でいかれるわけですけれども、今後の保安林というものの従来の木材需給における制約的な役割というやつを、まずその条件を緩和して、一定の指定施業要件というふうな範囲内であれば裁断がはかれるという方途も出て参っておるわけですが、従来保安林問題というのは実に十幾つかの保安林の種類がありますし、同時にそういう意味では治山治水上の観点からいけば、日本の山林はすべて保安林的な性格ではないか、一体保安林として特に指定をするという問題と関連をして、今日の保安林の指定状況の実態を見てみると、そういう従来指定した問題についても十分実情に合わして再検討等も必要ではないかという意見も一部に出ておるわけですが、そういう問題はいかがですか。
  62. 吉村清英

    吉村政府委員 御指摘保安林の再検討でございますが、保安林の実は整備計画を立てまして、三十八年度末までに四百十八万ヘクタールを指定をするというような計画を立ててただいま実施をしておるわけでございます。その段階におきまして、御指摘のような反省等は十分にして参りたいというように考えておる次第でございます。
  63. 角屋堅次郎

    角屋委員 最後に治山治水の問題と関連して、御承知の治山治水緊急措置法に基づいての治山事業前期五カ年計画、今年度は新しい年度は第三年になるわけですけれども、予算的に従来からも災害その他のときでも言われておりますように、この計画の繰り上げ実施ということを力点に置いて考えていかなければならぬということで、具体的にいろいろ、数字的な、国有林関係、民有林関係を含めての治山の進め方あるいは予算的な裏づけの問題、こういうものが出て参っているわけでありますが、この実態について一つ……。
  64. 吉村清英

    吉村政府委員 御指摘のように、治山事業十カ年計画は、三十七年度が前期五カ年計画の第三年目に当たるわけでございます。ところが、昨年あたり続発いたしました災害の復旧対策等あるいは最近の賃金、資材等の高騰等のために、経費の増加を必要として参っておるのでございます。こういった増加分につきましては、とりあえず、お話にもございましたように、前期五カ年計画の範囲内で、投資の繰り上げ実施を行なうということで万全を期することといたしておるのでございます。来年度昭和三十七年度の予算は百二十二億という計画にいたしておる次第でございます。
  65. 角屋堅次郎

    角屋委員 森林法の一部改正関連しての今後の林業政策の推進の方向というものをある程度お伺いをしてきたわけですが、やはり生産政策としては造林の問題に対することもありましょうし、また林道関係の問題もありましょうし、いろいろな問題を質問としては残しておるわけであります。特に林道関係等の問題についても、新しい年度の予算では、やはり林道網の実態をまず把握することから今日再出発をしなければならぬということで、これが生産政策にも直結をするわけですけれども、そういう考え方の芽も、予算的には出ておるようでありますけれども、そういう一々の問題について問題点を指摘しながらお尋ねをするということになりますと、相当時間も要することであり、質同内容としては相当予定したことでありますけれども、時間の関係もありますので、一まずこれで終わりたいと思いますが、いろいろお伺いをして参りまして、質問の過程でも申し上げましたように、やはり今後の経済成長の中における林町の果たすべき役割——これは国有林たると民有林たるとを問わず、果たすべき役割というものを考えて参りますと、やはり現状維持的な考え方の中において、いわゆる国民全体の要望にこたえていくのだということは、私はそれはもうできないと思う。従っていかに筋道を立て、いかに合理的に、一方においては治山治水上の資源保護的な要請と、他面においては経済の成長の中で要請される資源開発面の経済的な要請にこたえるという点とを講和しながらやっていくかということは非常に重要な問題であろうと思うのです。そういう点が長官からもお話が出たわけでありますけれども、今回の森林法の一部改正というのは、当面さしあたって小幅の改正を提示したのであって、今後他に森林法の一部改正のうちでも森林組合を含んでのいろいろな問題がまだ検討中の過程で残されておるわけでありますし、先ほど来申しますような林業基本問題と基本対策というう基本的な方向から見れば、ほとんどが将来に残されておるということになるわけであります。従いまして、そういうふうな問題についてはやはり林業政策についての改革的意欲の中で十分真剣に検討されて、そして国民的な視野から新しい法制的措置あるいはまた予算行政的な面の整備というふうなものについて十分努力をされる必要がある、こう思うわけであります。  以上、希望等も申し上げまして、時間の関係上一まず私の質問を終わりたいと思います。
  66. 秋山利恭

    秋山委員長代理 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————    午後二時二十六分開議
  67. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  森林法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。湯山勇君。
  68. 湯山勇

    ○湯山委員 最初にお尋ねいたしたいことは、今度の森林法改正によりまして、全国森林計画あるいは地域森林計画という二段階制がとられる。全体として感じられますことは、従来のような統制の色彩が、今度の場合はかなりゆるめられるという感じを受けます。そうなって参りましたときに、国有林の果たす使命あるいは林野庁の果たす使命、そういうものが、一体これによって大きくなるのか小さくなるのか、考え方によれば、民有林関係がかなりルーズになってくる、そうすれば、計画を実施していくという立場に立てば、国有林の方でそれを相当カバーしていかなくてはならない、そういったようなことも考えられますし、あるいは全体的にゆるんだという意味をもっと別な意味でいえば、経済ベースが重視されるというような印象も受けるわけですが、そうなってくると、これは民有林の方の統制がゆるんだのと同じように、国有林の場合も経済ベースを重視してやっていくというふうにもとれるわけで、その辺が、この法律をずっと見ましても、把握するのに非常に困難な感じを受けますから、その点についてまず伺いたいと思います。
  69. 吉村清英

    吉村政府委員 現行の森林法におきますと、幼齢林の伐採許可制度というようなものがございます。それを中心にして計画制度が運営されてきたというような感じがございまして、今仰せのような統制的な色彩があったと申しますか、調査会等の批判におきましては、上から押えつけた計画じゃないかというような批判があったわけでございます。今回の森林計画制度の性格は、仰せのように二段階になりました。伐採も許可制度を廃止いたしましたというようなことから、そういう意味では若干ルーズになったというような感じを受けるかもしれないのでございます。私ども林業基本的な進め方の態度といたしましては、やはり現状の森林所有者たちと申しますか、林業経営者たちが財産保持的な森林の持ち方をしていたというようなことをさらに一段階進めまして、林業経営という、所有の形と申しますか、あり方に進めて参りたいというようなねらいからの改正でございまして、そのためには所打者自体が自発的に自分の意思によってそれぞれの個別の森林計画を立てて、それによって計画的に林業経営して参るということに努力、指導をいたしたい、力を強めて参りたいというような考え方でございまして、むしろ私どもの使命といたしましては、現行の法律よりもさらに強化をされなければならぬというような考え方をしておる次第でございます。
  70. 湯山勇

    ○湯山委員 そういうふうになりまして、たとえば保安林の場合を例にとってみますと、保安林の伐採許可を受けて伐採する、これは切る場合の方は、今の経済情勢の中では採算に合いますからやっていくと思うのです。ところがあとの植栽の段階になりますと、放置をする。放置された場合にいろいろ指導監督あるいは命令というようなものがなされますけれども、それをやらない場合、そういう場合も私はずいぶんできてくるのじゃないかと思います。そういう場合には、あるいは県にやらせるとか、あるいは林野庁の方で直接やるとか、そうしない限りどうにも手のつけようがないのではないかという不安が、今度の場合一そう大きくなると思うわけですが、それについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  71. 吉村清英

    吉村政府委員 その点につきましては、植栽命令が守られないというような場合には、さらに代執行ができるようになっております。従いまして、どうしても命令に従わないというようなときには、国なり県なりが代執行をする、そうして造林をして参るということになるわけでございます。
  72. 湯山勇

    ○湯山委員 その場合もおそらく県が代執行をやるという場合はあまり考えられないと思うのです。結局国がやらなければならないということになるのではないかと思いますが、それに対する御用意はできておるのでしょうか。
  73. 吉村清英

    吉村政府委員 用意といいますか、今予算を現実に計上しておるわけではないのでございます。必要に応じて予算を計上してやって参りたいと思っております。
  74. 湯山勇

    ○湯山委員 それでは私はちょっと納得できないわけです。代執行をやるのだということがきまっておるし、そういう事態の発生ということが今の経済情勢の中では当然考えられることだと思います。そういう事態が起こったからというので、それから予算を要求すると申しましても、そのためだけに特に予算を組むというわけにも参りますまいし、流用すると申しましても予算の費目の中で、そういうことに使える費目というのは、ないのではないかと思うのです。どうなんでしょうか。
  75. 吉村清英

    吉村政府委員 まあそういう御心配はあられるかと思いますが、従来の私どもの経験からいたしますと、代執行を造林に関連してやったことはないのでございます。まずそれに至りますまでに処理をして参ったのでございますが、将来におきましても決してこれを振りかざすということでなしに、やはり森林所有者自体が十分そういった問題に対して認識をもって協力をしてもらうというように指導をして参りたいと思っております。
  76. 湯山勇

    ○湯山委員 従来そういうことがなかったというのは、最初に私が指摘申し上げましたように、従来のは局長もそういうふうにもとれるとおっしゃったように、かなり統制面が強かったわけです。だから今のような場合にはかなり強力な行政措置ができたと思いますけれども、今度の場合は自主性を尊重する、そういうことになれば、今の状態ではそういう事態がこれからは出てくるということを予想しないと、せっかく今おっしゃったような形で保安林関係法律改正しても、この法律の運営がうまくいかない、こういうことになるのではないか、だから今議論する段階では、過去にこうであったから将来もないであろうという議論は私はできないのではないかと思うので、重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  77. 吉村清英

    吉村政府委員 その点でございますが、保安林につきましては、伐採の許可制度というのは従来と同じでございます。それでそういった面につきましては、私ども従来よりむしろ幾分かは強目になってきていると考えておるわけであります。と申しますのは、許可を受けまして伐採をして、それをその後の一定期間造林が行なわれないような場合でも、手続を経て造林伐採をしたような場合でも、造林に対して命令ができるというようなことに強くなってきているわけでございまして、そういう面では私どもとしては御指摘のようなことまでに至らせないように努力いたしたいと思っております。
  78. 湯山勇

    ○湯山委員 そういうふうな事態に至らないようにさせるという、そういうお気持はそれでわかりますけれども、実際には今民有林にいたしましても、あるいは昨年法律改正の行なわれました公団造林にしても、いずれも大体予定になっておるだけの事業量が実施できていないという実情ではないかと思います。そういたしますと、今の状態では、それは保安林であるから例外であるというわけにはなるまい。そういうようなことを現実の事態から心配しておるわけでございます。そういう現実の事態をふまえて考える場合には、今長官のおっしゃったような楽観的な見方だけではたしてこの法律の運用がうまくいくかどうか、あるいは植栽が一年延びる、二年延びる、そういうことをほうっておくのならばあるいはその段階ではできる場合があるかもしれませんけれども、そういうことではなくて、切ったあとすぐ植えるというこの原則からいえば、私にはなおその不安が解消しないので、もう一度今の点についてお尋ねしたいと思うわけです。
  79. 吉村清英

    吉村政府委員 お配りをいたしました造林の実績の参考資料の十ページの十三表をごらんいただきますと、造林につきましては大体計画量程度実行が上がって参っております。それで私どもといたしましては、最近の木材の価格情勢あるいは林業に対する一般の認識、そういったようなものの盛り上がりからも、こういった造林に対する意欲が盛り上がって参りまして、実績が上がってきているように考えておるのでございます。これは一般の問題でございまして、保安林が取り上げられておらないのでございますが、保安林についてはさらにこういうことを進めて参らなければならぬというように考えておる次第でございます。
  80. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると代執行という制度は、嘱際はあるけれども、名目だけのもので、これは実際に使うものでない、お使いになる意思はない、こういうことなんですか。
  81. 吉村清英

    吉村政府委員 決してそういう考え方を持っておるわけではないのでございますが、しかしああいうものはなるべくやらないで済ませたいという気持でございます。
  82. 湯山勇

    ○湯山委員 代執行という制度はあるけれども、それはなるべくやらないつもりだが、やる場合もある。しかしやるための予算措置その他は全然してない。これは先ほどの保安林の買収が予定通り遊んでおるのか、進んでいないのか、お示しになった資料ではずいぶんおくれているような印象を受けます。それと関連して、何か保安林というものに対する林野庁あるいは国の考え方というものが、私は、どうも少しルーズなんじゃないかというような印象を受けますので、今保安林に関する法律改正機会に、その点はもう少ししっかり承っておきたいと思うので、今のようなことを繰り返しお尋ねしておるわけです。
  83. 吉村清英

    吉村政府委員 ただいまお尋ねの保安林の国の買い入れの進捗状況でございますが、御指摘のように、先ほども御説明を申し上げましたが、必ずしも予定通りいっておりません。五十九万ヘクタールを三十九年度までに予定をしておりますのに対して、現在十六万ヘクタールですから、御指摘のように十分に進捗しておりませんが、これはこの期間を過ぎました暁におきましては、恒久的な措置としてさらに強化をして参る準備検討いたしておるのでございます。この買い入れの進捗状況は、国のそれに対する意欲が足りないというよりも、むしろ所有者との間の問題もございます関係から進まない面もあるのでございます。こういうことは別といたしまして、保安林に対する措置といたしましては、先ほど言い落としましたが、保安林の水源造林等につきましては、補助を設けてむしろ一般の造林よりも高率にいたしまして、造林を進めやすくいたしておりますので、そういったような措置もあわせまして、確実な保安林における造林をはかって参りたい、こういうふうに考えております。  それから代執行のような予見のできない事態に対しましては、予備費を支出するようになるかと考えておりますので、そういう点にも万全を期して参りたいというように考えております。
  84. 湯山勇

    ○湯山委員 それから、全国森林計画というものがまだできていないから何とも言えませんけれども、このいただいた資料の中にその経過の表がありまして、これはこれでわかります。しかしほんとうを言えば、これだけ大きな森林計画の変更というようなことをなさる場合には、大体全国森林計画というのはこういう構想でこういうものだというものをお見せいただくのが順序じゃないか、こういう計画でこうするからよくなるんだということが大体よくわかって、そのためにはこういうふうに法律改正をする——他の法律と違って、森林というようなものは、そういう性格のものではないかと思うのですが、全国森林計画というもののかなり具体的な構想というものはもうできておるのでございますか。まだ全然手をつけてないんでございましょうか。
  85. 吉村清英

    吉村政府委員 全国森林計画の構想といたしましては、きょうお配りをいたしました表の三ページにございまして、その中の全国森林計画の欄にございます林産物の搬出方法を特定する森林の決定準、あるいは造林方法を特定する森林の決定基準でありますとか、保育方法の基準でありますとか、こういった基準を、全国の森林計画上の基準をあげますと同時に、計画事項としまして、保安施設質業あるいは保安林整備計画、あるいは基幹線の林道開設計画、あるいは造林面積、伐採立木材積というようなものを全国的にあげて参るということでございまして、この具体的な計画は、今後、今年の十月までに決定をいたす予定でございます。
  86. 湯山勇

    ○湯山委員 今御説明いただいたのは、法案の内容を表にしてお示しいただいた程度のもので、手続的なものであって、計画の実体ではないわけです。今私が申し上げたのは、じゃ一体、立木竹の伐採に関する事項としてはどういう計画を持っているんだ、どれだけの数量を見ているんだというような見通しがあってしかるべきだと思うのですが、これは今お話しのように、十月まで持たなければならないのであれば、待つしかないと思いますから、そういうことにして、まず伐採計画ですが、その中の伐採計画は、今年度は臨時増伐という形で二千四百万立米でございますかになりましたが、三十七年度以降大体ずっとこれを踏襲する御予定ですか。
  87. 吉村清英

    吉村政府委員 この伐採につきまして、今回の三十六年、三十七年度の緊急増伐計画をはたして将来続けていけるかどうかということでございますが、この点につきましては、すでにその後検認をいたしました結果、現在のと申しますか、この増伐計画によりまして立てました程度の伐採量を続けて参ります上には今後——実は御説明申し上げましたが、造林の新しい技術の取り入れ等を十分に浸透をいたしまして、この将来の保統は心配がないというような結論を書ておりますので、この緊急増伐につきましては、さらに慎重な検討はいたしたいと思っておりますが、この程度は就けて参りたいと考えております。
  88. 湯山勇

    ○湯山委員 この程度の増伐をずっと続けていかれるということになりますと、これに対応する労務が相当大きい問題になってくると思います。先ほど長官の御答弁の中に、特殊な地域とか臨時緊急を要するもの、そういうものについては請負制度を採用しているけれども、大体直営ということが原則であるということをおっしゃいましたが、この計画のままでいくとすれは、次第に請負というようなことが多くなるのではないでしょうか。
  89. 吉村清英

    吉村政府委員 先ほども申し上げたのでございますが、私どもといたしましては、直営生産の例で申し上げますが、その伐採をいたします個所別に、たとえば労務の状況あるいはその他経営上の状況を勘案してきめて参るのでございまして、この直営それから請負ということを特に意識してふやしあるいは減らすというようなことは考えておらないのでございます。それならば請負がふえやせぬかということも、必ずしもそうは言えないのじゃないかと思っております。と申しますのは、やはり国有林野の労務管理近代化と申しますか、そういったような線からこの季節的な労務雇用、言いかえますと比較的不安定な雇用形態を安定したものに変えて参りたい、そういうためにも季節的な事業の配慮それから作業の機械化等もあわせまして、総体的に雇用の安定ということを考えておるのでございますが、そういった中で総合的に解決をして参りたいというように考えておる次第でございます。
  90. 湯山勇

    ○湯山委員 たまたま、長官の方から労務の問題にお触れになりましたので、私もこの問題はあとで十分お聞きしたいと思っておりましたけれども、この機会になおお尋ねいたしたいと思います。  長官の方では労務の近代化をはかっていく、作業自体も機械化近代化、合理化を進めていくのだが、特に労務の問題についても近代化をはかっていかなければならない。その内容としては、季節的な不安定な労務を安定させていくということが一つの条件、それからいま一つは、お触れになりませんでしたけれども、一般に低賃金じゃないでしょうか。この点はどうでしょう。それをまずお聞きして、続いてお尋ねしたいと思います。
  91. 吉村清英

    吉村政府委員 これは基本問題調査会でも指摘を受けておるところでございます。私どももやはりそういった点については否定をするわけにはいかぬかと思っております。
  92. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると長官のおっしゃる労務の近代化という内容は、雇用を安定させるということが一点と、それから労務者の賃金をよくしていくというこの二点、これが大体近代化の内容と、こう解釈してよろしゅうございますか。
  93. 吉村清英

    吉村政府委員 広く労働条件の向上という意味で考えたいと思っております。
  94. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると、今のは、私の申し上げたことと別でしょうか。同じことなんですか、言い直されたのは……。
  95. 吉村清英

    吉村政府委員 その賃金も含めました全体の労働条件の向上、こういうことに考えております。
  96. 湯山勇

    ○湯山委員 その柱になるものは……。特に申し上げたいのは、おそらく国営事業で今の国有林ほど臨時労務者をたくさん使っておるところはないんじゃないかと思います。責任体制から言いましても、たとえば印刷なら印刷も、あれはお金が一枚間違っておっても大へんなんです。雇用関係は非常にはっきりしています。アルコール専売もそうですし、たばこだって、一本だって巻き違いがないように非常に労務管理をきちっとしております。ところが、その同じ国営の事業でありながら、林野に関しては、むしろ季節の労務者、臨時の労務者が非常に多くて、安定した雇用関係にある職員と申しますか、とにかく労務者の方が非常に少ない。こういうことはきわめて非近代的な状態で、たとえば機械化をしていくとか、あるいはその他の面において近代化、合理化をはかっていっても、そのもとになる労務関係が前時代的なと言っても差しつかえないくらいな今のような状態では、これはとてもやっていけないんじゃないかという問題が一つと、いま一つは、やはり賃金が非常に安い。きょういただいた資料で見ましても、大へん安くて、これではとても労務者を固定することは困難じゃないか。前がたこういうことを聞いたことがありますが、これも事実ですかどうですか伺いたいのですが、帯広でしたかで、昨年の八月に三十五名の囚人を、営林署長と刑務所長とで相談をして、造林事業に使用した。手伝ってもらった。そのときの賃金が、営林書の、林野庁の方では大体五百円、法務省で定めている囚人の方は、造林事業では一日六百円ということで、何かなかなか調整がつかなかったとか、あるいは北海道の北見、ここでは、使おうとしたけれども、そんな重労働をそんな安い賃金ではだめだというので拒否されたというようなことも聞いておりますし、それからきょういただいた資料の中にある、三百幾らとか四百幾らとか、そういう日雇い等の賃金というものを——今度失対の日給が変わりました。四百二十何円かにベース・アップしましたが、それらよりも低い、そういう低賃金の状態、この二つの問題を解決しなければ、山林から労務者がどんどん離れていってしまう。先ほど、最初にお尋ねしたように、国有林野の持つ使命は、この森林法改正によって一そう大きくなってくる。そういう使命の達成、それから今後の伐採計画等も今のように、現在の状態をコンスタントにしていきたい、そういうようなこと、いろいろ考え合わせてみて、大へん大きな問題にこの問題が逢着するんじゃないかと思いますので、まずその賃金の問題、これはどういうふうにお考えになっておられますか。それから先ほど申し上げましたような、囚人に手伝ってもらうということは決して悪いことではありません。がしかし、その賃金よりも低い賃金でなければ国有林で働いておる人は雇用関係が成り立たないというようなことが一体あっていいかどうか、これはどうなんでしょうか。
  97. 吉村清英

    吉村政府委員 まず最初にお尋ねの、国営の企業の中で臨時の作業員が一番多いじゃないか、これがこの林業の非近代性の最も問題でありはせぬかという御指摘でございますが、ただ、この林業におきましては、事業の季節性ということが非常に大きく考えられなければならないと思うのでございます。たとえば造林等におきましても、その植付の適期、保有の適期、それからまた伐採におきましてもそれぞれの季節というものが従来ございまして、それによって計画的な作業、事業をして参らなければならないということでございます。そういうような関係から、やはりこの臨時の雇用者というものがふえることになっていっているかと思うのでございます。それでこの作業の季節性という点につきましては造林の植栽等の適期をさらに延長して、限定された、季節性を改善しながら、延長しながら、雇用の安定をはかって参りたいという考え方でおるのでございます。また、この造林なら造林関係ばかりでなしに、その他の作業を組み合わせて、雇用の安定をしていくということも考えなければ相ならぬのではないかと考えて、検討をしておる次第でございます。  国有林の貸金の問題でございますが、すでに御案内の通りでございまして、私から釈迦に説法のようなことを申し上げますのは失礼かと存じますが、団体協約によってそれぞれきめて参っております。三十五年度の平均賃金は各局別に十二ページにあげてございます。この時点におきましては、私といたしましては、他の同質の労働との比較において検討もいたし、交渉もいたしまして妥結を見ました結果でございます。そのほか囚人との比較の問題でございますが、その点につきましては私十分検討をいたしておりませんが、比較をする作業それ自体にもいろいろ関係が出てくるかと思うのでございます。一がいに金額だけの比較ということでは参らぬかと思っております。私も今伺いましたので、検討してみたいと思っております。
  98. 湯山勇

    ○湯山委員 だれか御存じの方いらっしゃいませんか、昨年の八月十日です。法務省の方は造林の作業は六百円だ、それから林野庁の方は五百円だということで、結局作業には従事したそうですが、あとの操作はどういうふうにしておやりになったか存じませんけれども、その百円ばかりの食い違いがあったことだけは事実です。
  99. 吉村清英

    吉村政府委員 ちょっと資料を持ち合わせておりませんので、その比較をここで申し上げますのはいかがと考えますから、後ほど検討した上で御説明を申し上げたいと思います。御了承願いたいと思います。
  100. 湯山勇

    ○湯山委員 それから、従来から働いておる日雇い、月雇いの賃金と、そのときそのときで全くほんとうの臨時で調達して作業に従事する人の賃金は、今どちらが高くなっておりますか。
  101. 吉村清英

    吉村政府委員 常用の方が平均して臨時より高くなっております。
  102. 湯山勇

    ○湯山委員 それから、民有林あるいは公団ですね、そういうところで地元調達してやっておる人の日給と、今の常用の人の日給とは、どうですか。
  103. 吉村清英

    吉村政府委員 非常に地域的にまちまちでございまして、私がここで申し上げますのはいかがと思いますが、この統計を出しました三十五年度の時点では、国有林関係の方が若干上回っていたと思います。
  104. 湯山勇

    ○湯山委員 これは三十五年とかなんとかということじゃなくて現状で、私がラジオでなまで聞いたまま申し上げますと、国有林野の方で、泊まり込みでずっと、日雇いにしても月ぎめにしても、従来から国有林で働いておる人、その人は大体六百三十六円程度じゃないか、食費なんかを引くとうちへは八千円くらいしか送れない、同じ伐採事業ですけれども、上越国境ですが三、四メートル雪があるようなところへ行っておる。これもラジオでなまの放送がありました。あなたたち一日幾らですか、二千円から千五百円だ。これは両方とも自分で言っている言葉です。それで見ますと、今、長官は若干いいというふうにおっしゃったけれども、実態は逆じゃないでしょうか。
  105. 吉村清英

    吉村政府委員 それで私、一般的に非常に申し上げかねるというお断わりをしたわけでございますが、確かに仰せのように地域によって差異がございます。たとえば北海道あたりですと千円から千五百円、東北それから九州あたりにいきますと、必ずしもそれほどにいっていない。民有林におきましてもそういった差があるかと思うのでございます。個々の点につきましては、どちらがということはなかなか言いにくいかと思っております。
  106. 湯山勇

    ○湯山委員 言いにくい——この問題で私はそんなに手間を取るつもりじゃなかったのですけれども、今のような法務省関係との比較、それから実際に現場のなまの声で放送になったものとの比較、それから先ほど幾らかの実態等を申し上げて、もうそういうふうに何とも言えないというのは、私には、そういう場合も非常に多いという肯定の御答弁だと解釈するほかないわけです。場合によれば国有林関係のいい場合もあるでしょうけれども、実際は、先般のグリーン・レポートで見ましても、都市周辺、便利なところの転業者というのは兼業農家の形で残るけれども、山村の不便なところでは一家移っていってしまうという形が非常に多くて、そういうところは労力の不足と、実際には過剰人口、そういうものとがごっちゃになっている。余っているのは老人だ、若い働き手は足りなくなっている。そういった矛盾が現実に出ているということをグリーン・レポートはちゃんと明記しております。そういう事実から見ましても、実際には山林、これは民有林、国有林を問わず、平地の便利なところは別として、大部分が今のような労務者不足で困っている。ことに下刈りなんかする人は非常になくて、民有林の場合でも大きい山持ちの人は、バスに乗せて泊まりがけで招待して、どこかお参りをさせる、そうでなければ下刈り人夫も確保できない、これも事実なんです。そういう事実があるわけですから、今、国有林なりに、雇用形態は不安定でも、ともかくも形の上で定着して働いている人というのは、その地方に適当な他の働き場所がないというようなことや、幾らか持っている自分の土地に執着しているとか、あるいはもっと善意に解釈すれば、山を愛するということからそういうふうな仕事に従事しておるのであって、他の産業に従事しておる者と比較して有利だからというのでやっておる人というのは、いろいろな条件を比べてみてほとんどないんじゃないでしょうか。その点、いかがでしょうか。
  107. 吉村清英

    吉村政府委員 山に働く人自体がどういう気持で山に定着をし、山の仕事をしているかと申しますと、やはり私は、山に対する愛情と申しますか、私自身もやはり山が好きで山を始めたのでございますが、まずそういうことだと思っております。その上に私どもといたしましては、この山に働く人たちの処遇の改善と申しますか、所得の向上と申しますか、そういうことにつきましては今後大いに努力をして、均衡的な向上という面について、経営近代化をはかってやって参らなければならないというように考えておる次第でございます。
  108. 湯山勇

    ○湯山委員 そういうふうに長官もお認めになられて、所得倍増計画というのはさっき申し上げましたが、むしろそういう人こそ早く所得倍増すべきであって、決してこの人たちを取り残さないように一つ御確約を願いたいと思います。これは私ども自身にも責任はあるわけですけれども……。  それからもう一つ大きい問題は、日雇いの人もありますし、月ぎめの人もあるし、期間雇用の人もあるし、いろいろありますけれども、結局こういう区分は、たとえば臨時の月雇いと臨時の日雇いというのでも、日雇いでずっと続いて行っている人も相当たくさんありますし、それから月雇いでも、もう半年あるいはもっと行っておる人もありますし、そういうことを見ていきますと、現在働いている人というものは、大体定着しておるのじゃないでしょうか。先ほど長官のおっしゃったように、ほんとうの臨時、いわゆるこういう名目上の臨時じゃなくて、ほんとうの臨時、そのときにこれだけちょっと要るという者以外は、ほとんど定着した形態をとっているのが実情じゃないでしょうか。
  109. 吉村清英

    吉村政府委員 この点につきましては、組合との協約もございまして、雇用区分がそれぞれ協約にあげられておるわけでございますが、先生の今御指摘のような、事実上は定着をした形で恒常的に雇用をされておるというようなものにつきましては、常用化をされておるはずだと思っております。これを無理にこまかく切りまして、臨時を続けるというようなことがもしありますれば、これは改めていきたいと思っております。
  110. 湯山勇

    ○湯山委員 そうされているはずだということですけれども、実際はされていないのです。よくお調べ願いたいと思います。ほとんど大部分の人が、実際は日雇いという形をとり、あるいは月雇いという形をとりながら、半年なりあるいはそれ以上なりやっているというのが実情です。これはあるいは日本の端から端まで見たわけじゃありませんけれども、少なくとも私の見た範囲、聞いた範囲ではそうなっております。だからこそ、そういう全く臨時の人でも、十年以上勤続したというので表彰を受けた人もあるし、十五年以上そのような身分で働いて表彰を受けた人もあるはずです。これもおかしい話です。それから、臨時の月雇いの人たちも、通算でいって退職金を出すというような措置もあるいはなされていると思います。二カ月更新の人でも、ずっと退職金通算のような形がとられている。そういうことは、その実情に合わしてやられておることで、こういう問題は、今私が申し上げましたような非常に複雑な、しかも差別の大きい雇用区分というものは、これは労働管理の上からいっても前近代的なものだと私は思うのですが、今度の新しい森林法によって近代化していこう、そういう機会に、こういうものを再検討する、そういう御用意はございませんか。
  111. 吉村清英

    吉村政府委員 実際には通年といいますか、継続して雇用していながら、臨時の扱いをしているというものは、あるいは先生の御指摘によりますと、半年なりあるいは七カ月なりを継続しているのを臨時としているじゃないかということになりますと、それは臨時で、雇用区分をしておるのでございます。それから、年々定期的に六カ月以上雇用をするというものは、定期作業員といたしまして雇用をしておるのでございます。年間を通じまして雇用をいたしましてこれが続く者を常用といたすことにいたしておりますので、そういうことで、今私の御説明があるいは先生の御質問にぴったりしておらなかったかとも思うのでございますが、この雇用区分につきましては、すでに申し上げましたように、協約によってきめられておるのでございます。確かに前近代的だというような御指摘を受ける面があるかもしれませんが、一面、先ほど来申し上げましたように、事業の季節性という非常に今抜けられない宿命のようなものがございまして、これに合わせまして事業をして参るという上では、やはり非常に複雑にはなりますが、こういった形をとりませんと、十分な計画的な造林あるいは伐採ということもできないのじゃないかということを考えておるのでございます。
  112. 湯山勇

    ○湯山委員 これは長官は、あるいは私が言うのは失礼ですけれども、実態を御存じないのじゃないかと思うのです。長官の言われるのは雇用の区分、つまり雇用実態に合った区分、それならそれでけっこうなんです。私は、それをどうこう言おうとは思っておりません。しかし実際は今当然雇用形態の区分であるべきものが、実は身分区分になっておるわけです。というのは、ずっと日雇いで来ておった人、それはずいぶん長く来ておる。そういう人がやっと今度は月雇いにしてもらった。月雇いの人が今度は定期作業員にしてもらった。定期作業員の人が今度は常用作業員にしてもらった。全く同じような形態でこうしてもらったといって喜ぶ人がずいぶんあるのですよ。だから、このことは、今のように雇用実態に合わした区分ではなくして、今の国有林関係では、身分の区分になっておるわけです。少なくともそういう色彩を持っておる。これが私は前時代的だ、こう言っておるわけです。それはほんとうにきょう出てあす休む、あるいはこの三日間だけ来てもらうのだ、この五日間だけ来てもらうのだ、この人を月ぎめにせよとか常用にせよ、それは言う筋合いはありません。この月だけ来てもらう、次の月を休む、それからまた秋になって、この一月だけ、こういう人を定期にしろ、こういうことは申しません。そうじゃなくて、ほんとうに実態が月ぎめで来ておる人は月雇いにする、それから、おっしゃるような意味の定期の人は定期にする、常用の人は常用にする、その働いておる実態に合わした区分をしなければ、身分区分になっておるから前近代的だ、こう申し上げておるわけです。
  113. 吉村清英

    吉村政府委員 御指摘通りでございます。私もさように考えております。従いまして、十分この点につきましては営林局、署、調査をいたしまして、さような身分的な取り扱いをしております場合には、直ちに直させたいと思っております。
  114. 湯山勇

    ○湯山委員 長行から大へん明確な御答弁をいただきましたので、これは一つぜひ早急にお願いいたしたいと思います。  それからいま一つ、それに関連してお尋ねいたしたいのは、定期で六カ月行った人は、あと失業保険で三カ月見てもらった、そういう形の定期作業員という雇用形態があるわけです。これも季節的なものだということも言えますけれども、そのため何億か、九億ですか、ずいぶんたくさんの予算も見ておられる。こういう人は、以前にこれと同じようなことで問題になったのは塩田の労務者がありました。これも夏の間だけやって冬なんかできないというのだけれども、もうしかしそれはそうするより仕方がない。そこで失業保険をそんな形でするよりも今のを拡大してその間帰休する、休職ですね、のような形にして身分を安定しないと、そうするとまた新しい年は新しい年で雇用関係を新たにしなければならない。実際はもう九カ月もお世話になっておるわけですから、あと休職か帰休という形にして、そういう人ももうだんだん近代化して熟練を要するような機械を使っていく、それから今の造林事業なんか拡大していくと地元のほんとうの臨時の日雇いを使うことも多くなる、その指導もしていく、そういう人の身分が、実際は十年もそれ以上も働いて、しかも今おっしゃったような形で安定しないというのでは今後の新しい林業経営にはそういう問題がまた支障になる場合もあると思います。そこでせっかくそうやってとにかく国有林の予算の中から失業保険を三カ月も見るわけでありますから、それならいっそ雇用を九カ月として、三カ月は休職給ということにするか、帰休ということにするか、そういう形でそういう人の雇用も安定するということはできないものですか。これは当然私はできてしかるべきだと思うのですが。
  115. 吉村清英

    吉村政府委員 この定期作業員と失業保険とそれから帰休制度の問題でございますが、私どももこの点につきましては過去かなり検討をして参っております。まあ国有林自体といたしましてはやはり事業に応じた雇用という建前から事業に応じて雇用をする。そうしますと、御指摘のように九カ月であと三カ月が雇用から除かれるということになるわけでありますが、その閥失業をしておりますと、失業保険が適用されるのでございます。まあ失業保険を出すよりは帰休制度を設けて、その間その運用をはかって身分を安定をして雇用をつないだらどうか、この点についてもかなり検討をして参っておりますが、必ずしもその期間外に失業をしているということも言えないのでございまして、また同時にこの帰休制度と保険制度とは建前が全然変わっておりますので、そういった関連につきましても、いろいろな議論がございまして、私どもといたしましては、現在のところではこの帰休制度を採用するという結論は持っておらないのでございます。従いまして私どもといたしましては、どこまでもやはり事業を恒常化することを考えて雇用を安定して参るという考えで進んでおるところでございます。
  116. 湯山勇

    ○湯山委員 定期作業員で今のように失業保険を、失業給付ですか、失業給付を三カ月もらって、翌年来ない、つまりそれの離職率はどのくらいになっておるでしょうか。
  117. 吉村清英

    吉村政府委員 今手元に資料を持っておりません。帰って調査をいたしてみますが、すぐにわかりますかどうか、ちょっと今見当がつかないので調査をいたします。
  118. 湯山勇

    ○湯山委員 帰休制度検討していただくのには、今の問題が基本になると思うのです。その資料なくての議論では、先ほど長官の言われたように抽象論になりまして、抽象論だと私は引き下がらざるを得ないのです。しかし実態は大部分の場所においては九〇%以上がやはり再契約していると思います。特殊な場合は別ですけれども……。そうだとすれば、今おっしゃったように失業保険といったような形じゃなくて、もうはっきり九〇%あるいは八〇%以上というものが再契約するということになるし、それが何年も続いておるという事実があれば、それは現在の保険制度の中でそれを処理しようというのじゃなくて、もっとそこは林野庁国有林国有林たるゆえんですから、そういうことができなければ国有林の特別会計も何も要らないわけで、国有林国有林としての使命を果たすためには、特に林業の特殊性からいってこういう人はこういう雇用形態をとらなければならないという、そういうイニシアがなければならないと思うのです。で、これは検討するじゃなくて、私はできる問題だと思いますので、一つぜひやってもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  119. 吉村清英

    吉村政府委員 御指摘がございましたわけでございますが、この帰休制度、特に労務を採供しない期間と申しますか、働かない期間に給与を支給するということにも大きな問題点がございまして、私どもとしては今のところ仰せのようなやり方をいたすまでには至っておらないのでございます。    〔委員長退席秋山委員長代理着席
  120. 湯山勇

    ○湯山委員 今の半年なら半年という人ですね、この人たちが今のような形で失業保険をもらう。結局九カ月閥はある意味で拘束があるわけです。あとの三カ月についてはこれは働かないというような状態だからそれはやむを待ないということですけれども、これを今、さっき長官がおっしゃったようにいろいろなもう少し作業の組み合わせですね、それから適期の繰り延ばし、そういうことをやっていけば六カ月は七カ月にはなり得るし、それから他の作業でなお今のような労務状態ですから、これは臨時の人のかわりならかわりということをやるということにすれば、これはでき得ないことはないと思うわけです。それを持っていって三カ月間の今のそれをつけるということを振りかえていけば、直接仕事してなくてもたとえば小学校などの夏、冬休み、こういうのは直接授業してなくてもやはりその人にとっては必要だ。長い間山の中に入って、そうして全く文化から遮断されたような生活をする。青森県のどこでしたか、宿舎なんかも全く男女一緒に寝なければならないというようなところもまだあるそうです。そんなところで生活する人が半年以上現場で働いて、そのあとの休むというのは必ずしもいわゆる一般の休みじゃなくて、その間に次の働く体力の回復をはかっていくというような解釈もできますし、その間に必要があれば、新しい技術がどんどん入ってくるわけですから、その帰休しておる期間に一カ月何回か集めて新しい技術の指導をする、新しい植林の方法の指導をするとか、機械の使い方の指導をするとか、あるいは新たにこういう仕事を加えて働いてもらおうという者にはそれについての予備知識を与えるとか、こういうようなことをやっていかれれば、今長官が言われたようなしゃくし定木な考え方をしなくてもできるのじゃないでしょうか。
  121. 吉村清英

    吉村政府委員 この前段で先生仰せの作業の組み合わせあるいは適期の延長等で雇用をつないで安定化するということはできるではないかということにつきましては、私どももさように考えまして、そういう方向へ沿って進めております。一例を申し上げますと、苗木の植栽の時期を延ばすというような技術的な研究もかなり進めておるのでございます。そういうようなことをして、実態として雇用の安定をはかるという方に努力をしておるのでございますが、後段の帰休期間に作業の研修等のこと、あるいは休養等も考えたらどうかという問題につきましては、研修等につきましては、むしろ雇用期間内に事業の合間を見て、研修等を実は現在行なっておる次第でございます。  そういった意味合いからも、現在の私どもの事業の進め方から申しますと、雇用以外の時期にそういったことを進めて参る、これは確かにけっこうな一つのお考えだと思いますので、検討をいたしたいと思いますが、国有林自体の経営という立場からいたしまして、ただいまにわかには結論が出ないかと思うのでございますが、林政上全般の問題としてさらに検討を進めて参りたいと思います。
  122. 湯山勇

    ○湯山委員 この問題も、先ほどの雇用形態に即してつけられた名前が、身分区分になりつつあるのと同じような問題ですから、特に林野の場合は、通年で働きたくても働けない、そういう拘束があるために、ほかの仕事にも移っていけない。ずいぶん不利益を受けております。もし、だれかそういう問題を取り上げてやれば、場合によっては訴訟にでもなるような要素を持っておる問題じゃないかと思うくらいに、ずいぶん家庭的にもいろいろな面で犠牲を払って、しかも山を愛して働いておられる人たちのことですから、これは長官が考えてあげなければ、だれも考えてあげる人はないわけです。訪れる人もないようなところでやっておるそういう人の処遇については、今のような形でしゃくし定木のようなことじゃなくて、一つ積極的に御善処願いたいと思います。  それに伴っての定員化の問題ですけれども、先般行管の方とお打ち合わせになり、行管と林野庁とで意見が一致すれば、その数は定員化していいというような約束が、昨年からできておるということを、昨年官行造林のときでしたか何か御答弁いただいたことがあるのですが、本年はその点はどうなっておるのでしょうか。
  123. 吉村清英

    吉村政府委員 定員化の数字は大体決定をいたしております。定員化の数字でございますが、常勤から定員化されます者が四十八名、それから三十七条適用者、常勤的非常勤でございますが、これから定員化されます者が三千二百七十七名、それから一般常用から定員化されます者が五百二十一名、合計で三千八百四十六名となっております。
  124. 湯山勇

    ○湯山委員 これは行管の方とは一致しておりますか。
  125. 吉村清英

    吉村政府委員 はい、一致しております。
  126. 湯山勇

    ○湯山委員 国有林近代化に伴って次第に機械設備というものが導入されてくる、そういうことから起こってくる現象の一つとして、若い人はすぐなれますけれども、四十にも四十以上にもなって機械が入ってくる場合、そういう人は配置がえをされるとか、あるいは不安定な身分のままですから、ほかにかわれというようなことになったり、あるいは賃金の低い業種に移されたり、いろいろ悩みを持っておるようです。それから軌道などもだんだん自動車にかわってくる、そのかわった自動車は、国有林でありながら、国有の自動車ではなくて、請負に出すとか、あるいは民有のものを使っておるというようなことで、近代化自体が働いておる人にずいぶん不安を与えておる事実も見聞いたしますけれども、そういうことに対してはやむを得ないという御態度ですか。もっと積極的に、そういう場合にも、とにかく何らかの形でそういう人が安心して働けるような態勢をとるという方針でしょうか、どうなっておりますか。
  127. 吉村清英

    吉村政府委員 森林鉄道を自動車道にかえ、それから機械化が進められて近代化された装備が行なわれるというようないろいろな問題が起きて、そこに作業員の一部が必要がなくなってくるという問題も、御指摘のようにあります。しかしながら、私どもといたしましては、そのために必要がなくなった人たちをそのまま解雇するというような考え方は持っておりません。ほかに配置転換をいたしまして働いてもらうということで、決して首切りをあえてするというようなことは考えていないのであります。また作業員の人たち自身とされましても、仕事が変わるためのおっくうさということもありましょうが、それについてはやはり努力もしてもらわなければいけない問題のように特に考えておる次第でございます。われわれの役所の仕事というものも、やはり取っつきは非常にめんどうなようでも、なれると、努力によってそういう点は十分克服されると思いますので、一つ大きな立場から、それぞれの職員の人たちも努力をして、そういう配置転換をされた先でも、大いに成果を上げてもらうということを期待して努力しておるわけであります。
  128. 湯山勇

    ○湯山委員 そういういろいろな場合を含めまして、新しい法律によって、ここで一つ新しい林野行政を打ち出していこうという段階では、やはり働いておる人の意思を尊重するということが、近代化の一番大きな要素だと思います。今の配置がえの場合あるいは雇用の場合、十分そういう人たち意見を聞くようにしてやってもらいたいと思います。  先ほどお尋ねした宝貝化の問題ですけれども、行管の方からも意見があって、そして何でも五千名の調査をしておるし、行管の方では、受取勘定の人ですか、それを除けば六千、五百名ぐらいじゃないかということで、それぐらいが対象になっているということを聞いておりますが、今の長官の御答弁では三千八百四十六名、林野庁の方で言ておられたという五千名、それから行管との関係の六千五百名と、大へん違うので、今行管の方とは一致しておりますかということをお尋ねしたわけですけれども、その六千五百、五千、今の三千八百四十六、この関係はどういう関係になっておるのでしょうか。
  129. 吉村清英

    吉村政府委員 その点は、私の想像でございますから、あるいは間違いがあるかもしれませんが、今のお話から拝察いたしますと、この出来高制以外はすべて定員化すべきだというような考えを持っておられるというようにとられるわけでございます。ただ、林業労働の場合には、いろいろな天使等の自然的な条件に支配をされるという、他の公務とは非常に違った特異な性質もございます。そういうような関係もございまして、今回はこのような数字を行管の審査の結果から符まして定員化をいたすことになったわけでございます。
  130. 湯山勇

    ○湯山委員 この五千名とか六千五百名というのは、さらに行管と話し合いを進めて、意見が一致すればそのつど定員化していくということは、これは法の建前からいえばできるわけですね。おやりになるのでしょうか。
  131. 吉村清英

    吉村政府委員 お答え申し上げます。  ことしの一月十九日の閣議決定によりまして、今後定員化は進めないことになっておりますので、一応この段階ではこれでおしまいになるということになるかと思います。
  132. 湯山勇

    ○湯山委員 それははなはだ了解しがたいので、先ほど申し上げましたように、今の雇用実態に立てばなお改善すべき点がたくさんある。近代化をはかっていかなくちゃならない。そういう点からいえば、少なくとも今のままでは、この定員の問題だけでも不合理な点がたくさんあると思います。これをすみやかに改善していただくということが、新しい法律を実施していく上にも非常に重要なことになって参りますし、これについては閣議決定といっても、閣議も必ずしもどうしても必要な筋の通ったものまで押えるんじゃないと思います。ですから、一つ長官の方でぜひ大臣とも御相談になって御努力願いたいと思います。いかがでしょう。
  133. 吉村清英

    吉村政府委員 このような定員化はやらないということで、別途の意味の定員増という問題は別にやりますが、そういうことでは必要に応じてやらなければならぬと思っております。ただ、私考えておりますのは、雇用の安定という面では常用化ということを目標にして、今措置と申しますか、努力をいたしておりますということを申し上げておるのでございます。定員化、すなわち常用化ということとは、私どもは今のところでは考えておらないのでございます。
  134. 湯山勇

    ○湯山委員 それはおかしい。逆じゃないかと思うのです。常用された者は定員に入れる、これが原則じゃございませんか。だから、常用化ということを言われるのは、言いかえれば常用化する、それで安定する、常用化したものは当然定員だ、これが当然なことであって、できていない方がおかしいと思うわけですが、いかがですか。
  135. 吉村清英

    吉村政府委員 ほんの一例をあげますと、たとえば雨天の場合には仕事はできないというような業種もあります。そういうような業種でも常用というものはあるわけでございます。そういうもの、それからあるいは出来高制、歩合制とそれぞれございますが、そういうような形の雇用関係の上に立ちまして、現在のような定員化ということがはたして適当かどうかということも考えて参らなければならぬというように考えておるのでございます。
  136. 湯山勇

    ○湯山委員 今お聞きしているとますます問題があります。第一、国有林で働いている人に請負制というのも問題だと思うのです。働く時間は八時間というのは常識です。ところが受取勘定になればずいぶん無理します。一週一回の休みを休むか休まないかわからないというような形で受取勘定というものが、実際は月ぎめになり今のような中にある。これは大へん問題があると思うのです。  それから今度はそういう形になった場合の今おっしゃったような問題、雨が降ったら働けないというような理由でどうこうされるということも、これまたあまり近代的な考えではない。お天気が自由になるものならけっこうですが、これが不可抗力ですから、そのかわり雨の降りそうなときには無理して働くし、少々の雨のときにはやることもありましょうし、種なんかの場合には、降り出してから夜に行ってどうこうするということもありましょうから、お天気の場合は、プラスの場合もマイナスの場合もありますが、お天気のことが出たり、受取勘定のことが出たり、やはりまだ前時代的な労務関係が残っております。    〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕  それに伴って保険の関係が大へん複雑です。これもお尋ねしたいと思っておりましたが、実はきょうはほかに予定した会がありまして、急にきょう質問するようになりましたので、もしできれば、先ほど資料もお願いしたこともありますから、あすでも機会委員長の方で与えていただければ、なおもうちょっとお聞きすることにして——とにかくまだ民有林の関係保安林関係もありますが、それはどなたかが聞いていただけると思います。  それで雇用の問題に集中しましたが、とにかく国有林野の雇用関係がそういう形であるということは、民有林にも大きな影響を及ぼしている。そこで、新しい森林法で進もうというときに、この際そういう一切の古いきずなを断ち切らなければ、ほんとうの新しい林政は生まれてこないと思いますので、幸いに長官が新しくなられた機会に、しかも長官は非常に科学的な方ですから、一つ冷静に、合理的にぜひ御善処願いたいと思います。  これで質問を終わります。
  137. 野原正勝

    野原委員長 次会は明七口開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会