○角屋委員 私は、自由民主党、日本社会党、並びに民主社会党を代表いたしまして、ただいま可決されました
農林漁業金融公庫法の一部を
改正する
法律案に附帯決議を付するの動議を
提出いたしたいと思います。
まず、案文を朗読いたします。
農林漁業金融公庫法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議(案)
一、農林漁業の近代化を強力に推進する上において、金融の果たす役割はきわめて重要である。しかして、最近
制度金融及び系統金融を中心とする各種金融
制度はようやく充実してきたが、真に農林漁業の近代化を図るためには、現状をもってしては未だ十分とはいいがたい。
よって、
政府は、すみやかに農林漁業金融全般にわたり総合的な
検討を加え、もって、新事態に即応ずる農林漁業金融体制の確立を図るべきである。
二、今回新設される漁業
経営安定資金融通
制度の
実施に当っては、今後沿岸漁業構造
改善対策事業地域を対象とするのみならず、広く沿岸漁業者に及ぼし、もって、真に恒久的
制度として運用されるよう努めること。
なお、これが資金の利用を円滑ならしめるため、漁業協同組合の転貸方式のみならず、
組合員に直接貸しの途を講ずる等これが貸付
方法について
検討すること。
右決議する。
以上であります。
この際、若干
趣旨説明を申し上げたいと思います。
本案の審議の
過程でわが党の西宮委員、私、さらに自由民主党を代表いたしまして田口委員の方からもいろいろ
質疑がなされたことは御
承知の
通りでありますが、まず第一項の農林漁業金融全般の問題については、御
承知の
通り、最近の
農林水産業の実態あるいは今後の発展方向から見て、現在の
制度金融あるいは系統金融を含めまして、全体的な総合
検討をこの際加えて、そして新事態に即応するような農林漁業金融体制の確立は、農林漁業者の今日強く要望しておるところであろうかと存じます。従いまして、この際、
政府といたしましても、今日
制度金融あるいは系統金融等の問題については、徐々に
改善の方途が出て参っておるわけでありますが、これをもってしてはまだ新事態に即応するには不十分でありますので、今後この決議の
趣旨によって、積極的な総合
検討を加えられまして、新事態に即応する農林漁業金融体制の確立に努力をしてもらいたいというふうに
考えるわけであります。
第二項の問題は、御
承知の
通り、今回の法
改正によりまして新しく漁業
経営安定資金
制度ができたわけでありますけれ
ども、これも本委員会の
質疑でも明らかなように、今回新設される沿岸漁業安定資金の問題につきましては、当面沿岸漁業構造
改善対策事業を推進する地域の沿岸漁業者で、一定の条件を持った者に貸付が行なわれるということに相なっておるわけであります。しかし、私
どもといたしましては、農業の場合における自創資金の
ごとく、あるいは
林業の場合における
林業の
経営安定資金の
ごとく、本沿岸漁業
経営安定資金についても、単に沿岸漁業構造
改善対策事業の地域のみならず、広く沿岸漁業者に及ぼす。同時に沿岸漁業の構造
改善事業は、今後十年間ということで、
考えられておりますので、何か法的には恒久的な性格を持っておるようでありますが、反面運営の問題では暫定的な性格が予見をされるわけでありまして、そういうことではなくして、真に恒久法として今後沿岸漁業の発展のために大きく貢献するような
制度に将来持っていってもらいたい、こういうことでこの要望を出しておるわけであります。
なお、沿岸漁業
経営安定資金を貸し付ける場合の問題でありまするけれ
ども、これは今日の漁業協同組合の
経営の実態からいたしますと、漁業協同組合自身が不振の漁協である、あるいは転貸の場合の十分なる能力も持たない、こういうふうなことから、そういう不振漁協下の沿岸漁業者がこういう資金を今後借りたいということであっても、信用度保証度というふうな問題から、なかなかその要望を実現することが至難であります。従いまして、農林漁業
基本問題調査会の漁業答申の中でも、単に漁業協同組合の転貸方式のみならず、
組合員に直接貸しの道を講ずるような方途を考究すべきである、こういうことをいっておるわけであります。この機会に、やはり沿岸漁業の場合は、信用度、保証度が十分でない問題等も直貸しの場合には
検討の素材になるわけであります。これがためには県、市町村等の債務保証の問題とかその他各般の問題を並行しながら、
組合員への直接貸しの方途を今後講ずることが必要であろうかと思うのであります。いずれにいたしましても、今日すべり出しの際には、沿岸漁業
経営安定資金は特定の地域の特定の沿岸漁業者ということになっておりますが、先ほど来申しておりますように、これを全般的に及ぼすと同時に、今後の資金の利用の問題についても、十分沿岸漁業者の要望にこたえるような方途を積極的に
検討され、その道を提示されるようにお願いをいたしまして、附帯決議の
説明を終わりたいと思います。
何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。