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1962-03-02 第40回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田中長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 山中 貞則君 理事 足鹿  覺君    理事 石田 宥全君       飯塚 定輔君    大野 市郎君       金子 岩三君    仮谷 忠男君       草野一郎平君    小枝 一雄君       坂田 英一君    田邊 國男君       谷垣 専一君    綱島 正興君       内藤  隆君    中山 榮一君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    米山 恒治君       角屋堅次郎君    東海林 稔君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       西宮  弘君    安井 吉典君       山田 長司君    湯山  勇君       玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         食糧庁長官   大澤  融君         林野庁長官   吉村 清英君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中西 一郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      松下久米男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第三号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四号)  森林法の一部を改正する法律案内閣提出第八  九号)  農林水産業振興に関する件(てん菜の価格問  題)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  森林法の一部を改正する法律案を議題とし、補足説明を聴取いたします。吉村林野庁長官
  3. 吉村清英

    吉村政府委員 森林法の一部を改正する法律案内容につきまして、補足して御説明申し上げます。  提案理由の御説明にもありました通り、今回の改正案の主たる内容は、森林計画制度伐採許可制度に関する改正及び保安施設制度に関する改正の二点でありますが、このほか、森林審議会に関しましても若干の改正を行ない、さらに、以上の改正に伴って必要となる規定整備を行ない、必要な経過措置を講じ、関係法律規定につき必要な整備を行なうこと等にいたしております。  まず、主要改正事項の第一点であります森林計画制度伐採許可制度に関する改正について御説明申し上げます。これは第四条から第二十条までの改正であります。  現行森林法第二章の内容をなしております森林計画制度と、その大きな柱であります伐採許可制度は、昭和二十六年、戦中戦後の乱伐による森林資源の危機に対処するために定められ、その後、この法律施行の実績と林産物需給動向にかんがみて、広葉樹の伐採規制緩和を中心とする改正が加えられて、今日に至ったのであります。しかしながら近年の林業動向及び森林資源状況を考慮いたしますと、この制度につきましては抜本的に改正を行なう必要が生じておりますので、積極的かつ弾力的な諸施策推進のための体制を整備することとして、所要改正を行なうことにいたしたのであります。  まず、伐採許可制度についての改正から御説明申し上げます。従来の制度は、一般森林針葉樹の若齢林及び保安林等制限林立木伐採するには、都道府県知事許可を受けることを要することといたしておりましたのでございますが、今回の改正はこれを緩和して、一般森林針葉齢林につきましては、許可を要しないことにいたすこととしておるのであります。  次に、森林計画制度改善であります。従来農林大臣は、全国を二百五十一に分けた基本計画ごとに、五年を一期として森林基本計画を定め、これに基づいて都道府県知事は、森林ごとに、五年を一期とした森林施業計画と、一年ごと森林実施計画を定めておりましたが、これらの計画を廃止いたすこととし、かわりに農林大臣は、重要な林産物需要及び供給並びに森林資源状況に関する長期の見通しを立てるとともに、これに即し、全国森林について、五年ごとに、十年を一期とする全国森林計画を立てることにし、また都道府県知事は、ほぼ現在の基本計画区と同じ森林計画区別に、全国森林計画に即し、五年を一期とする地域森林計画を立てることにいたしました。  森林所有者等は、この地域森林計画に従って施業することを旨としなければならないのでありますが、もし地域森林計画を順守しない場合は、都道府県知事は、必要な勧告ができることといたしております。  また、農林大臣及び都道府県知事は、全国森林計画及び地域森林計画の達成をはかるため、森林施業を行なう者等に対し、助言、指導、資金の融通のあっせんその他必要な援助を行なうよう努めなければならないものといたしております。  なお、地域森林計画につきましては、その重要性にかんがみ、意見がある者に意見を申し立てる道を開いております。また、森林施業に関する指導を行なう必要上、森林所有者等は、立木伐採する場合には、あらかじめ伐採届出書提出しなければならないことにいたしております。  次に、保安施設制度に関する改正につきまして、御説明申し上げます。第二十九条から第四十七条までの改正がこれであり、伐採許可制度の廃止との関係等から、保安施設制度の役割が一そう重要となってきました二とに伴う改正でございます。  まず、従来の制度では、森林施設計画及び森林実施計画内容の一部をなしておりました保安林及び保安施設地区についての施業要件を、あらかじめ、保安林及び保安施設地区指定の際に、指定施業要件として森林所有者に明示することにいたすこととしました。指定施業要件には、立木伐採方法限度及び立木伐採した後に伐採跡地について行なう必要のある植栽方法期間樹種を示すのでありますが、指定施業要件は、後に御説明申し上げますように、伐採許可の基準となり、植栽義務内容を決定いたすものでありますので、保安林所有者等に課することとなる制限必要最小限度のものとなるように定めなければならないものといたしております。第二十九条及び第三十二条を改正し、第三十三条の二及び第三十三条の三を追加いたすこととしておりますのは、以上のような趣旨でございます。  次に、保安林における制限に関する改正であります。現在、保安林における制限のうち、立木伐採制限については第十六条において一般森林伐採許可とあわせて規定し、土石の採掘等その他の制限は第三十四条に規定しておりますが、今回、一般森林についての伐採許可制度を廃止することに伴いまして、立木伐採許可に関する規定も第三十四条において整備するとともに、立木伐採制限以外の制限についても若干の整備をいたしました。右に述べましたように、指定施業要件保安林等指定の際明示する仕組みに改めた関係から、保安林立木伐採について都道府県知事許可を行なう場合は、その指定施業要件に定めるところによってこれを行なうこととし、また、保安林において制限されている行為を都道府県知事許可する場合は、必要な条件を付することができることとし、これに必要な規定整備をいたしております。なお、保安施設地区における制限は、保安林に準じて行なうこととし、その規定の準用をいたしております。  次は、保安林における植栽義務及び監督処分についての改正であります。  従来は森林計画制度の一環として森林一般についての植栽義務規定していたのでありますが、保安林重要性にかんがみ、特に保安林における植栽義務を明確にいたすこととし、森林所有者等保安林立木伐採した場合には、その保安林所有者は、すでに指定の際に明示されている指定施業要件に従って伐採跡地について植栽しなければならないことといたすとともに、森林所有者植栽をしない場合は、都道府県知事は、指定施業要件に従って植栽すべき旨を命ずることができることにいたしました。  なお、これとあわせて、保安林についての造林または復旧の命令等監督処分に関する規定について、若干の整備を行なうことといたしております。以上が第三十四条の二を追加し、第三十八条を改正いたす趣旨でございます。  次は、保安林及び保安施設地区標識及び台帳に関する改正でありますが、これは従来、保安林等標識設置は、政令で委任する場合を除き、すべて農林大臣がこれを行なうことになっておりましたのを、民有林保安林等については都道府県知事設置するように改め、また、新たに、都道府県知事は、保安林台帳及び保安施設地区台帳を調製、保管しなければならないことといたしたのであります。このため、第三十九条を改正し、第三十九条の二及び第四十六条の二を追加することといたしているのであります。  次に、第三十九条の三を追加し、保安林の適正な管理についての規定を設けましたのでありますが、これは、保安林の果たすべき任務がますます重大となってきたことにかんがみ、設けることといたしたものであります。  すなわち、農林大臣及び都道府県知事は、保安林制度の負う使命にかんがみ、保安林に関し、この法律及びこれに基づく政令規定によりその権限に属させられた事務を適正に遂行するほか、保安林にかかる制度の順守及び義務の履行につき有効な指導及び援助を行ない、その他保安林保全のため必要な措置を講じて、保安林が常にその指定目的に即して機能することを確保するように努めなければならないことといたしておるのであります。  以上が、改正主要事項である森林計画制度伐採許可制度に関する改正及び保安施設に関する制度内容概要でありますが、そのほか森林審議会につきましても、改正を行なうことといたしております。すなわち森林ないし林業に関する問題は、近年ますます重要かつ複雑なものとなってきておりますので、森林に関する重要事項を調査審議する機関として農林省に置かれております中央森林審議会に、特別の事項を調査審議するため必要があるときは、臨時委員十人以内を置くことができることといたしたのであります。  第六十九条、第七十一条及び第七十二条を改正いたすこととしておりますのは、このためであります。  さらに、以上のほか、若干の規定につき軽易な改正を加え、また、以上の改正に伴って必要となる罰則その他の規定整備を行なうこととしております。  また、附則におきましては、この法律施行期日につき定めるとともに、以上のような森林計画制度及び伐採許可制度に関する改正並びに保安施設制度に関する改正に伴い必要となる経過措置を講じ、農林省設置法を初めとする関係法律規定につき、所要整備を行なうこととしております。  以上でございます。
  4. 野原正勝

    野原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告があります。順次これを許します。玉置一徳君。
  5. 玉置一徳

    玉置委員 森林法の一部改正法律案提案をいただいておるわけでありますが、政府は、従来幼齢樹その他のなにを許可伐採にしておったのを、施業計画を主にしてそういうものを思い切って自由にした。御承知通り治山治水という見地から見まして、日本の森林行政国土保全という非常な重要さを持っておるわけでありますが、これを思い切ってそういった改正に踏み切られました理由と、それで大丈夫だと思われる理由をお聞かせいただきたいと思います。
  6. 吉村清英

    吉村政府委員 お言葉のように、今回の森林法改正の最もおもな事項一つでありまするのは、幼齢林と申しますか、若齢林伐採許可制度を廃止いたしまして、あらかじめ届出をさせる届出制度に変えたわけであります。その理由といたしましては、この伐採許可制度と申しますのは、昭和二十六年の森林法改正当時は、戦中戦後の乱伐が非常にひどかったそのあとの時期でございまして、将来森林生産の保続がはたしてできるかどうかということについて非常に憂慮された時期でございます。従いまして、こういった情勢の中におきまして、適正伐期齢級に至らない若い森林伐採をほうっておくことは非常に心配があるということで、この伐採規制をすることになったわけでございます。しかしながら、その後社会情勢も変化して参りまして、森林所有者造林意欲というものも非常に上がって参りました。一方また木材価格上昇等もありまして、森林経営に対する所有者意欲というものも非常に上がって参ったのでございます。この許可制度がどのように行なわれてきたかということでありますが、提出いたしました資料をごらんいただきますと、八ページのところに過去四カ年間の民有林普通林伐採許可状況を書いてございます。これをごらんいただきましてもわかりますように、大体千五、六百万立方メートルの許容限度、この許容限度と申しますのは、大体その森林区におきます成長量を主体にきめておるのでございますが、これに対しまして、全国的に見ますと申請の数量もそれに及んでおらないのでございます。その中で森林区によりましてはある程度許容限度を越えておるところもありますために、許可数量というのはそれをまた下回っているのでございますが、現実にはたして許可を受けて伐採をしているかどうかということを照査した結果は、またさらに下回って六百万立方メートル余りになっておるのでございます。かような状況も一面にはございまして、こういう情勢伐採の方は経営に対する所有者の関心が非常に深まってきた関係で、若齢林伐採というものはそれほど行なわないというような情勢も認められますので、この際こういった面に、一面にはいろいろな経費を使い、また一面には今後自主的な経営による林業振興をはかって参りますためにも、一律な伐採許可制度というようなもので縛りますよりは、指導あるいは普及事業によって真に個々の森林経営をしていくということを所有者自体に自覚をして経営をしてもらうということが好ましいのではないかということで実は許可制度を廃止しました。それで伐採にあたりましては、あらかじめ届出をとりまして、その期間に必要に応じまして地域森林計画が順守できますように施業勧告をして参るというように改めたわけでございます。  第二段の国土保全上の心配はどうかということでございますが、この国土保全上の問題につきましては、先ほど補足説明でも申し上げましたように、制限緩和をはかりますとともに、やはり心配されますものはその面でございますので、特に保安林につきましては十分な管理が行き届くようにこの規定改正して参ることになったわけでございます。
  7. 玉置一徳

    玉置委員 そこで国土保全対策では  一番問題は保安林の問題だと思いますが、保安林はこの際そうゆるめられないで、ますます国土保全治山治水目的に沿うようにやっていただくわけでありますが、これの買い入れ措置でございます。御承知通り国土保全見地とはいえ一つ所有権に痛い制限を受けるわけでありまして、伐採はもちろんのこと売買等につきましても非常な不利をこうむるわけでありますので、これには補償措置が講じられておりますが、実際問題としてここ数年どういうような工合補償措置が講じられたかを概要説明いただきたい。
  8. 吉村清英

    吉村政府委員 保安林伐採制限に対します補償措置でございますが、補償を始めましたのは三十四年からでございます。三十四年度から始めまして大体経費は一千万から一千五百万、最初二百万、それから、五百万、千五百万、来年度は二千万、こういう計画でおります。この補償の対象は禁伐保安林立木、禁伐に指定されました立木、それから単木の択伐を指定されました立木、これに対しまして通常生ずべき損害と申しますか、それの金利相当額補償するということで実施をいたしている次第でございます。この点につきましては私どもも年々措置を強めているわけでございますが、さらに努力して参りたいと存じております。
  9. 玉置一徳

    玉置委員 金利相当額のあれでございますので、禁伐の分の借り入れをさせて、あげて、その金利相当額を補助する、けっこうなことでありますが、買い入れを求められたような場合にどういうようにされているか、しかもそれは大体買い入れ希望について十分応じることができているかどうか、こういうことにつきまして伺いたい。
  10. 吉村清英

    吉村政府委員 国の保安林買い入れでございますが、これは保安林整備臨時措置法に基づきまして、二十九年度から行なわれているのでございますが、その保安林買い入れ目標は五十九万ヘクタールという目標を持っておりまして、現在までには十六万ヘクタールが実行済みでございます。この制度昭和三十九年の四月末で失効いたしますので、さらにこの恒久的な施策を講じますために検討を続けているところでございますが、この保安林買い入れにつきましては、この失効後につきましてもさらに実施をして参るという考えでおるわけでございます。保安林買い入れの申し入れと申しますが、要求に対しましては、極力応じて買い入れを進めている次第でございます。
  11. 玉置一徳

    玉置委員 そこで、失効いたしました場合は、さらに新たな検討を加えてこれを続けていただくように立法措置をしていただきたいと思うのですが、別に治山治水だけの、林野の仕事だけにとどまりませず、河川の問題にいたしましても、近年の打ち続く災害の様子を見ておりますとますますこれを強化していく方向に持っていっていただかなければならない。従って私たち災害特別委員会のときにも申しておるのでありますが、建設省の河川局の方の費用も必ずしも十カ年計画が十分じゃなくて、さらに新しく根本的に考え直していただきたということをしばしば申し上げておりますが、計画先食いをしていくということでその点かなりの進捗状況を呈しておいでになるのでありますけれども林野庁治山事業の十カ年計画も同様に、あるいはそれよりもまして先に必要じゃないか、こういうように思われますが、林野庁のお考え一つ伺いたい。
  12. 吉村清英

    吉村政府委員 仰せの通りでございまして、すでに十カ年計画の前期五カ年計画の第三年目に入るわけでございますが、御指摘のように五カ年計画の一年分では十分にその目的を達成することができかねますもので、これを五カ年計画の繰り上げ実施をはかりまして計画を遂行しておるのでございます。ただいま検討中でございますが、今後さらにこの十カ年計画の再検討という点につきましても十分慎重に検討をいたしまして、必要があればこの改定をいたしまして治山事業に禍根を残さないように対処をいたしたいと考えておる次第でございます。
  13. 玉置一徳

    玉置委員 そういう意味で十分おやりいただいておるとは思いますが、国土保全対策としての治山事業の十カ年計画の再検討、あるいは先ほど申し上げましたように国による保安林買い入れあるいは保安林の配置というようなものをさらに検討いただきまして、国土保全に遺憾のないようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、話が変わりまして、木材価格変動が非常に著しくて、それに対して緊急、伐採その他でもって措置をしていただいたのであります。これは現在、御承知通り森林組合によりますそういって価格調整というものと、森林組合の育成あるいは組合員の利益のためにおやりいただいておりますのですが、現在それはどのくらいの歩合と申しますか、森林組合がやっております木材市場の搬出の一割ぐらいにしかならないのじゃないかという感じが、するのですが、どの程度ぐらい切っておりまして、今後どういうように伸ばしておゆきになるお見込みであるか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  14. 吉村清英

    吉村政府委員 木材市場の数だけ今わかっておるのですが、大体単位森林組合が六市場、それから県の森林組合連合会が二十八市場ございます。それで木材取り扱い方としてはそれほど大したことではないと考えております。  それで森林組合に対してこういう仕事をやらせるべきかどうかという問題それから将来どうするかという問題でございますが、私どもとしては、危険のない状態でございましたら、この仕事は大いに伸ばしまして、森林組合強化使命を果たさせたいと思っております。ただ、この木材の市況というのは、先ほど御指摘もございましたようになかなかむずかしいものでございまして、そういう変動を十分に観測のできる専門家を養成しながらやはりこの仕事は進めて参らなければならない。御指摘のように私どもとしては今後森林組合森林所有者の団体がこういうことにまで入っていくということは、森林所有者あるいは従業者の所得の向上のためにも非常に好ましいことだと思いますので、その点で確実な安全な方法で進めて参りたい、かように考えております。
  15. 玉置一徳

    玉置委員 そこで非常にむずかしい問題でありますが、木材価格適正化という点は先般の例を見ましても非常にむずかしいものでありまして、木材市場改善も要るでしょうし、流通機構改善も要るでしょうし、あるいは運搬、貯木といったいろいろなことも要ると思いますが、計画的な伐採計画的な貯木計画的な出荷といういわゆる木材価格適正化につきまして、特に御留意いただいております問題はどういう問題でございますか。
  16. 吉村清英

    吉村政府委員 木材価格適正化は非常にむずかしいのでございますが、私ども考え方といたしましては、木材価格一般的にどの線が適正だということのきめ方は実はまだ持ち合わせておりません。従いまして検討中でありますが、需要供給のバランスがとれることによって木材価格は当然あるべきところに落ちつくという考えに立ちまして、木材需給調整をはかるということを主眼にして考えておるのでございます。その過程におきまして、先生の御指摘のような計画的な生産計画的な貯材計画的な流通ということがまず必要になるわけでございますが、この根本になります計画的な生産は、この森林計画制度によりまして実行をして参りたいということでございます。この森林計画制度が十分に実行されますと計画生産ができるようになって参ります。そういたしますと、これをどういうようにして流通をさせていくかということでございます。これが先年の基本問題調査会の答申にもございますように、この流通問題についても十分検討をすべきである、これは所管がはたして通産省になりますかこちらになりますかという問題はあると思いますが、少なくとも木材の行く先を十分に見きわめ指導をするという意味で、私どもとしてその流通過程の問題につきましてもさらに流通が円滑に行なわれるように、それから貯材の面につきましては御指摘のように十分なランニングストックを持ちましてこれで調整ができるようにいたしたいわけでございます。ところが現在の情勢ではなかなかランニングストックが十分にいっておらないのでございます。現在大体年度を越しますようなランニングストック需要量の一七、八%はあるかと思います。これが貯材をされまして需給の調節に充てられておるわけでございますが、この点につきましては、ストックも、やはりもっと余っているというような状態でなしに計画的に置かれるという状態でなければならないのじゃないかということを考え検討を進めておるところでございます。
  17. 玉置一徳

    玉置委員 市場価格を圧迫するようなことでは工合が悪いですけれども、この自由市場におきまして、こういうことはなかなかむずかしいと思います。国有林を切ったり、あるいは森林組合出荷の系統を強めていくというようなところから、特に御配慮をいただきたい、かように思います。  最後に、治山治水と全然うらはらの要素になりますが、農業経営という見地から見ましての林業振興の問題であります。  これもなかなかむずかしいと思いますが、計画指導を主にしてやっていくというお考えで踏み切られた以上、今日までのいろいろな融資制度その他の制度では、なおまだ十分じゃない点もあるのではないか。こういうような思い切った踏み切り方をせられる以上、おどかしじゃなしに、やはり相当思い切った指導と助成と申しますか、金融措置と申しますか、そういうことをさらに強化をしていただくような、きめのこまかい御指導をいただきましたら、習慣をつけていく上に非常にいいのじゃないかと思いますが、一つ考えを……。
  18. 吉村清英

    吉村政府委員 経営計画的な遂行と申しますか、林業振興の上に計画を立てて、ただ単純に指導をするというだけでなしに、具体的な援助方法を確立していくという御意見に対しましては、私どもまことにその通りだと思います。私どもといたしましては、あの計画制度に沿いまして、別途に森林所有者の個別の経営計画を立てさせる指導を、モデル地区を選びまして、この二年間に実施をいたしたい、こう思います。このモデルの森林計画を、全国に一万五千部落分くらいを二年間に実施いたしまして、それにならいまして、それぞれの所有者が理想的な森林計画を作るようにして参りたい。そういった計画に沿って経営をして参ります所有者に対しましては、ことしから林業経営維持改善資金という制度ができたのでございますが、来年度は二十三億二千万円金融公庫から融資をすることにいたしております。これは二十ヘクタール以下くらいの小森林所有者経営を合理化していくために作りました融資の制度でございます。そういう融資の制度による助成、あるいは造林、林道等の助成、こういうものはやはりそういった方面にいたして、できるだけ経営が合理化できる方向で実施して参りたいと考えておるのでございます。特に、私ども一番問題と考えておりますのは、全国森林面積の中で、まだ三分の一は未開発なんです。そういった関係からも、林道の実施面についてはさらに力を入れまして、制度も確立しなければならぬというように考えておる次第であります。
  19. 玉置一徳

    玉置委員 一番むずかしいのは、民家の周辺の、しかも所有反別の非常に少ないものが、一般の農業と同じで非常にむずかしいのじゃないか、こう思いますが、この指導につきましても十分御注意をいただきまして、十分な成果を上げられますようお願い申し上げたいと思います。  以上で終わります。      ————◇—————
  20. 野原正勝

    野原委員長 この際、開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。  この際お諮りいたします。  両案について質疑を終局するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認めます。よって、両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  22. 野原正勝

    野原委員長 この際両案を一括して討論に付します。  別に討論の申し出もないようでありますので、これより直ちに採決に入ります。  まず開拓融資保証法の一部を改正する法偉業について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  23. 野原正勝

    野原委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  24. 野原正勝

    野原委員長 この際安井吉典君外二名より、各派共同提案にかかる、本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨説明を求めます。安井吉典君。
  25. 安井吉典

    ○安井委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表いたしまして、開拓融資保証法の一部を改正する法律案に関し、附帯決議を付するの動議を提出いたします。  初めに案文を朗読いたします。    開拓融資保証法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   開拓農家は、その大部分のものが経営不振に陥っている現状にかんがみ、政府は、開拓営農振興審議会の答申を尊重し、同答申の示す諸事項につき、速やかに具体的施策を確立すべきものと思料せられるが、とりあえず、本法の施行に当っては、左記各項の実現に努むべきである。     記  一、開拓農家の本制度に対する利用率が極めて低い実情にかんがみ、これが改善に資するため、指導体制の強化、手続の簡素化等をはかること。  二、農林中金の延滞金の取扱いについては、実情に沿わないので緩和すること。    右決議する。  以上の案文につきまして、その提案趣旨につきまして若干申し上げたいと思います。  今回の本法の改正にあたりまして、この法律を見直す段階におきまして、幾つかの問題点を私どもは見るわけでありますが、その中でも特に二点を取り上げることにいたしたいのであります。  第一の点は、調査の結果は、現在全開拓農家のおよそ四割程度しか利用が進んでいないというふうな現状を発見することができるわけでありまして、意外なこの低率利用の実情にかんがみまして、ほんとうにこのような低利な資金を利用したい人に完全に行き渡るという、そういう方向を推し進めなくてはならないと思うわけであります。そのためには機構的にも組織的にもいろいろ改善を要する問題点があるように思うわけでありますが、当面指導体制を強化する、手続の簡素化、その他十分な検討の後改善措置を講ずべきだと考えるのであります。  第二点は、現在農林中金の延滞金の代弁引き落としにつきましては、おおむね一五%から二〇%にもならないというような結果が見受けられるわけであります。これでは本来の目的を達成することはむずかしいと思います。従いまして、この際その取り扱いとして今の比率を一そう高めていくという措置政府は努力すべきであると考えるのであります。  そのほか、中小家畜の導入資金につきましても、近代化資金と同程度の扱いとするようというふうな希望もずいぶん出ておるようであります。これは本来は、筋としては政府資金で扱うという方向に持っていくべきであると考えるのでありますが、しかしながらそういったような措置が確立するまでの当面の対策といたしましては、この制度内部におきましても、できる限りの改善を行なうべきだと考えるわけでございますし、さらにまたこの融資法の改善によりまして、開拓制度も若干の前進を見るというふうには考えられますけれども、しかし本来の開拓制度を真によりよきものにしていくという道はなお遠いと思います。その際、昨年秋、開拓営農振興審議会が答申をいたしておるわけでありますが、その答申の内容につきましても全く問題がないというわけではございませんけれども、今日日本の開拓制度改善していくための最も強い手がかりだ、かように考えられる。そのような立場からその答申を政府が尊重いたしまして、この答申の中に開拓制度改善や、開拓農家の営農あるいは生活環境を改善するという諸方策が盛られておりますが、そこに答申されておる基本方向を確実につかみ、すみやかに具体的施策を立て、改善の方向を推し進めるという努力を特に進めるべきであると考えるわけであります。  かような意味におきまして、この決議案を提出いたした次第であります。
  26. 野原正勝

    野原委員長 採決いたします。  安井君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  27. 野原正勝

    野原委員長 起立総員。よって、安井君の動議の通り本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、中編農林政務次官より発言を求められております。これを許します。中馬農林政務次官
  28. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 ただいまの各派共同の附帯決議につきましては、政府におきましても慎重に検討をいたし、十分にこれが実現し得るように努力をいたしたいと考えます。     —————————————
  29. 野原正勝

    野原委員長 なお、本案議決に伴う報告書の作成等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  この際、暫時休憩いたします。    午前十一時三十九分休憩      ————◇—————    午前十一時四十一分開議
  31. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  32. 野原正勝

    野原委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  33. 野原正勝

    野原委員長 この際、角屋堅次郎君名二名より、各派共同提案にかかる本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨説明を求めます。角屋堅次郎
  34. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、自由民主党、日本社会党、並びに民主社会党を代表いたしまして、ただいま可決されました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に附帯決議を付するの動議を提出いたしたいと思います。  まず、案文を朗読いたします。    農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  一、農林漁業の近代化を強力に推進する上において、金融の果たす役割はきわめて重要である。しかして、最近制度金融及び系統金融を中心とする各種金融制度はようやく充実してきたが、真に農林漁業の近代化を図るためには、現状をもってしては未だ十分とはいいがたい。    よって、政府は、すみやかに農林漁業金融全般にわたり総合的な検討を加え、もって、新事態に即応ずる農林漁業金融体制の確立を図るべきである。  二、今回新設される漁業経営安定資金融通制度実施に当っては、今後沿岸漁業構造改善対策事業地域を対象とするのみならず、広く沿岸漁業者に及ぼし、もって、真に恒久的制度として運用されるよう努めること。    なお、これが資金の利用を円滑ならしめるため、漁業協同組合の転貸方式のみならず、組合員に直接貸しの途を講ずる等これが貸付方法について検討すること。    右決議する。 以上であります。  この際、若干趣旨説明を申し上げたいと思います。  本案の審議の過程でわが党の西宮委員、私、さらに自由民主党を代表いたしまして田口委員の方からもいろいろ質疑がなされたことは御承知通りでありますが、まず第一項の農林漁業金融全般の問題については、御承知通り、最近の農林水産業の実態あるいは今後の発展方向から見て、現在の制度金融あるいは系統金融を含めまして、全体的な総合検討をこの際加えて、そして新事態に即応するような農林漁業金融体制の確立は、農林漁業者の今日強く要望しておるところであろうかと存じます。従いまして、この際、政府といたしましても、今日制度金融あるいは系統金融等の問題については、徐々に改善の方途が出て参っておるわけでありますが、これをもってしてはまだ新事態に即応するには不十分でありますので、今後この決議の趣旨によって、積極的な総合検討を加えられまして、新事態に即応する農林漁業金融体制の確立に努力をしてもらいたいというふうに考えるわけであります。  第二項の問題は、御承知通り、今回の法改正によりまして新しく漁業経営安定資金制度ができたわけでありますけれども、これも本委員会の質疑でも明らかなように、今回新設される沿岸漁業安定資金の問題につきましては、当面沿岸漁業構造改善対策事業を推進する地域の沿岸漁業者で、一定の条件を持った者に貸付が行なわれるということに相なっておるわけであります。しかし、私どもといたしましては、農業の場合における自創資金のごとく、あるいは林業の場合における林業経営安定資金のごとく、本沿岸漁業経営安定資金についても、単に沿岸漁業構造改善対策事業の地域のみならず、広く沿岸漁業者に及ぼす。同時に沿岸漁業の構造改善事業は、今後十年間ということで、考えられておりますので、何か法的には恒久的な性格を持っておるようでありますが、反面運営の問題では暫定的な性格が予見をされるわけでありまして、そういうことではなくして、真に恒久法として今後沿岸漁業の発展のために大きく貢献するような制度に将来持っていってもらいたい、こういうことでこの要望を出しておるわけであります。  なお、沿岸漁業経営安定資金を貸し付ける場合の問題でありまするけれども、これは今日の漁業協同組合の経営の実態からいたしますと、漁業協同組合自身が不振の漁協である、あるいは転貸の場合の十分なる能力も持たない、こういうふうなことから、そういう不振漁協下の沿岸漁業者がこういう資金を今後借りたいということであっても、信用度保証度というふうな問題から、なかなかその要望を実現することが至難であります。従いまして、農林漁業基本問題調査会の漁業答申の中でも、単に漁業協同組合の転貸方式のみならず、組合員に直接貸しの道を講ずるような方途を考究すべきである、こういうことをいっておるわけであります。この機会に、やはり沿岸漁業の場合は、信用度、保証度が十分でない問題等も直貸しの場合には検討の素材になるわけであります。これがためには県、市町村等の債務保証の問題とかその他各般の問題を並行しながら、組合員への直接貸しの方途を今後講ずることが必要であろうかと思うのであります。いずれにいたしましても、今日すべり出しの際には、沿岸漁業経営安定資金は特定の地域の特定の沿岸漁業者ということになっておりますが、先ほど来申しておりますように、これを全般的に及ぼすと同時に、今後の資金の利用の問題についても、十分沿岸漁業者の要望にこたえるような方途を積極的に検討され、その道を提示されるようにお願いをいたしまして、附帯決議の説明を終わりたいと思います。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  35. 野原正勝

    野原委員長 採決いたします。  角屋君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 野原正勝

    野原委員長 起立総員。よって、角屋君の動議の通り本案に附帯決議を付するに決しました。  この際、中馬農林政務次官より発言を求められております。これを許します。中馬農林政務次官
  37. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 ただいまの各派共同附帯決議につきましては、先般来農林大臣も、農林漁業金融については根本的な検討を加えたいという強い意思表示をいたしておりますし、当面最も必要なことであると思いますので、ただいまの附帯決議の趣旨については十分に検討をいたし、尊重して実現に努めるように努力をいたしたいと存じます。     —————————————
  38. 野原正勝

    野原委員長 なお、ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 野原正勝

    野原委員長 御異議ないものと認めます。よって、さように取り計らいます。      ————◇—————
  40. 野原正勝

    野原委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  安井吉典君より、てん菜の価格問題について発言を求められております。これを許します。安井吉典君。
  41. 安井吉典

    ○安井委員 てん菜糖の問題につきましているいろ取り上げたい事項が多いわけでございますが、別に法案の提出もございますので、一般的な問題はその際に譲りまして、本日は、当面大へん大切だと考えられますてん菜最低生産価格の問題につきまして、政府の御見解をただしたいと思います。    〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕  てん菜生産振興臨時措置法第五条のてん菜最低生産価格は、昭和二十九年にトン当たり五千二百五十円と決定されまして以来昨年まで、告示価格は、諸物価の値上がりだとか、パリティ指数の上昇にもかかわらず、八年にわたり据置になってきております。この不合理にたえかねた血産者側の突き上げにより、農林省は昨年ようやく腰を上げまして、三十五年産のものについて、精糖会社と原料生産農民の間に立ち、トン二百円の奨励金を上置きすることでとりあえずの措置をされておるようであります。しかし告示価格そのものは相変わらず五千二百五十円のままであったのであります。このような経過を経まして、いよいよ三十七年度新年度の価格の決定に政府は迫られているという段階に今あると思うのでありますが、昭和三十七年産てん菜の最低生産価格について、政府における検討は今どういうふうに進んでいるか、いつごろ告示をするおつもりか、その点からまずお勢ねをしたいと思います。
  42. 中西一郎

    ○中西説明員 お話のてん菜生産振興臨時措置法第五条に基づきます最低生産価格の決定でございますが、三十六年産の生産事情がよくなかったという点も勘案いたしまして、できるだけ早くきめたいということで作業を急いでおります。御承知のように例年は四月に決定しておりまして、できればそれより早く決定していいのではないかということで作業を進めておるような次第でございます。
  43. 安井吉典

    ○安井委員 例年よりも早目というふうなお話でありますが、それは三月中という意味ですか。
  44. 中西一郎

    ○中西説明員 できるだけそうしたいと思っております。
  45. 安井吉典

    ○安井委員 今の段階で、価格検討がいろいろ進んでいると思うのでありますが、どのくらいの価格が適当だというふうな、何か一つの目安を得ている段階まできておりますか。
  46. 中西一郎

    ○中西説明員 生産者団体の方からは、トン当たり六千七百円という御要望書が参っております。いろいろ検討しておりますが、それと別に、北海道庁の方から、それと違った数字が一つの案として出て参るのではないかと思っておりますが、それはまだいただいておりません。全体としまして、先ほど先生のお話にありましたように、二十九年に五千二百五十円ときめまして、昨年までそのままやって参りましたが、昨年ヘクタール当たり二千七百五十円、トン当たり百円、両方合わせておおむねトン当たり二百円でありますが、そういう奨励金の上積みを会社の負担によってやったという経緯もございます。そういう点を考慮いたしまして、妥当なところを見出して参りたいと考えておるような次第であります。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 道庁の数字はいつごろ出てくるというふうなお見込みでおりますか。
  48. 中西一郎

    ○中西説明員 私の方としてはちょっと予測がつきかねるのですが、来週にでもなればいただけるのではないかと思っております。
  49. 安井吉典

    ○安井委員 具体的な問題に入る前に今日の情勢の問題でありますけれども、最近、北海道のビート耕作の状況に非常に大きな変化が起きつつあるように私は見るわけであります。二十八年にてん菜生産振興臨時措置法が制定されましてから、北海道のビート耕作は作付面積も反収も総収量もともに急激な伸長ぶりを見せて、たとえば総収量では二十八年に三十二万トン程度でありましたが、三十四年には百十万トンといったような、三倍に近いような伸びがありました。ところが、三十五年を境にいたしまして、全く生産は停滞状況に入り、三十六年の作付面積は三十五年よりも七百五十ヘクタールも減少を見せております。三十五年から、いわゆる長期八カ年計画に入っているわけでありますが、その第二年度、三十六年度の計画では四万七千五百十ヘクタールに対して、四万三千十七ヘクタールの実績しかありません。四千五百ヘクタール近くの不足を生じております。まさに工場一つ分くらいの原料生産計画より足りないというような姿が現われているわけです。この原因の一つは全部の原因だとは言いませんけれども、原料買上価格の絶対的な低さ、あるいは相対的な低さ、そういうところに原因があると考えるわけでありますが、その点は政府もはっきり認めているわけですね。
  50. 中西一郎

    ○中西説明員 北海道庁がお立てになりました計画より、面積が、三十六年度で四千ヘクタールばかり少なかったということは、そういうようにわれわれも了解しております。  その原因でございますが、いろいろあろうかと思います。先生もおっしゃったように、絶対水準といいますか、収益性のバランスなり、粗収入の問題なり、いろいろあっての上だと思いますが、将来の問題として、われわれ事務的に根本的な問題だと思っておりますのは、イタリアのピート糖を例にとりますと、これはトン当たり五千二百五十円ということでずっとやってきております。たまたま昨年度までの告示価格と似たようなことでイタリアはやっております。そのイタリアのビートの事情は、EEC諸国などで見ますと、生産性の低い方で値段は高いと、考えております。砂糖の国際価格その他いろいろ勘案する必要がございますけれども、将来のビート工業の自立を目途にした場合、どの辺が妥当な線であるかということは一がいにはなかなかむずかしゅうございますが、そう高いものではないと思っております。  そこで、根本的な問題としましては、北海道の農業経営の中でほどほどのビート価格でも、経営全体としてみれば収益性の向上ということがあるためにビートを作付するのだ。そういう農業経営のあり方に最も改善すべき点があるのではないか、そちらの方に力を注ぐというのがオーソドックスな考え方ではないかというふうに考えております。といいまして価格の点を全く無視するわけにも参らない、その両方をかね合わせまして、適当な水準を見出して参りたい。こう考えておるわけでございます。
  51. 安井吉典

    ○安井委員 今、中西さんからイタリア・ビートの例、あるいはまたEEC諸国の全体的な傾向等についてのお話があったわけでありますが、今日当面しておりますビート価格の問題は、もちろんそういったような国際的な連帯性という、言い方が悪いかもしれませんけれども、とにかくそういうような面から考えなくてはならない面がもちろんあると思うわけでありますけれども、さらに日本の場合にはもっと変わった面があると思います。    〔田口(長)委員長代理退席、長着席〕 他のどの作物も、今言いましたように国際的な作物とのバランスだけで国内価格がきめられているというのであれば、これは問題は別でありますけれども、たとえば米にしても麦にしても、単にそれだけが一つの目安できめられているのではないはずです。これはもう明らかであります。そういうような特殊性からも問題を見るという態度がなくてはならないと思うわけでありますが、この趨勢を見ましても、長期計画では三十五年までのその伸び率のカーブをそのまま四十二年まで延長していこうというふうな考えでありますけれども、現在のような作付状況でありますと、この計画のカーブと今の実際作付のカーブとは一年々々シェーレを大きくしていくというようなことになっていくのではないかということが考えられるわけであります。政府は、ビートはいわゆる選択的な拡大の作物だとか成長作物だというふうに言われているようでありますが、それだけに価格問題をこのままにしておいたら、もう大へんだと思うわけであります。三十七年度はことに既存の七工場の上に、政府は二工場の新設をすでに認めております。つまり九工場分の原料をまかなわなくてはならないという段階であります。しかも三十九年を目途に農林大臣はさらに四工場増設の考えを明らかにしております。そういたしますともう十三工場ということになるわけです。今のような状態で一体どうして原料をまかなうことができるか、これはもう予供の算術でも明らかであります。すでに先ほど申し上げましたように、三十六年の生産だけでも計画から一工場分減っているというような実情にあるわけです。ですから迫ってきた三十七年の原料生産価格の決定については思い切った引き上げ措置がとられなくては、将来に悔いを残す大へんなことになるというふうな気がするわけでありますが、その点についての御見解を一つ伺います。
  52. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 大へんおくれまして申しわけございませんでした。ただいまのお話、ビートの価格を引き上げないとなかなか生産がふえないじゃないかというお説だと思いますけれども、私ども価格もさることながら、その他の生産条件の整備をするとかあるいはさらに構造改善というようなことも頭に入れてビートの増産をはかるというような方向で考えませんと、単に短期的に価格の大幅な引き上げというふうなことは、即効的な効果はあると思いますけれども、それだけにたよるというようなことであってはならないのじゃないかというふうに考えております。ことしの価格につきましては、お話があったかと思いますけれども、私ども検討をいたしまして、早くきめたいということで作業をしております。
  53. 安井吉典

    ○安井委員 私ども考えておる現在の北海道におけるビート耕作についての事態の認識と、今政府がお考えになっているのとはだいぶ違うように思うわけでありますが、私は作付面積の伸び悩みというのは、もちろん価格問題にすべての、原因を押しつけるわけにはいくまいと思います。ずいぶん問題がたくさんあります。たとえばビートが入りやすいところにはもうすでに入ってしまって、これからの反別拡大は泥炭とか、火山灰とか、車粘土というような、そういったような特殊土壌地帯に伸びなければならないけれども、そういったような生産基盤の整備措置がきわめておくれているというようなこと、あるいはまたビートは間引や収穫等にずいぶん労力が必要なわけでありますが、その問題を解決する各般の手当がまだ十分でないというような、そういった問題はきわめて多いと思います。  そこでそのゆえに生産農民は振興法の中に今後の振興対策を十分に織り込んで画期的な改善が行なわれることを期待をしていたと思うのです。ところが政府は、今度は単純に振興法の期限を一年延長するという、そういう法案を提出しただけで、とにかく一年間ほおかむりで行こうとされている。ですから振興対策についてのそういう側面からの大きな農民の期待というものは、将来はまだわかりませんけれども、当面は全く失われてしまったという、そういう姿に今あるわけです。従って今目前にあるのは価格の問題だというふうな形でビート耕作農民は理解をしているわけであります。それはもう当然に政府振興対策をあとに延ばされたということで、当面は価格以外に何も目標がない、そういうところに今きているわけであります。ですから今のこの段階まできた態勢では、価格がどうきまるかということだけが、農民の新年度の作付意欲を高揚するかどうかというポイントになってきているというふうな事態であると思うわけです。一般的な振興対策もあるだろうと思うのですが。しかし今の目標は、価格にしぼられてきているその焦点がそこにある、こういうようにわれわれは理解せざるを得ないわけであります。  そこで生産農民の側では原料価格トン当たり六千七百円なければ納得しないのだということで強い態度を示しており、昨日もこの委員会で私どもも陳情を受けたわけでありますが、これを実現しようという御意見政府はお持ちにならないのかどうか、重ねて伺います。
  54. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 御承知のようにてん菜の大根の価格を、数年据置のままにきておるわけでありまして、あの法律と法令によりますと、パリティというようなことではじいた値段を基準にして生産費あるいは経済事情その他のことを考え価格をきめるということでありますので、当時とはパリティも変化しております。そういうような事情も織り込んで本年産の価格をきめて参りたいということで検討いたしております。
  55. 安井吉典

    ○安井委員 その検討の方向は、それはわかります。しかし当面の農民的な考え方の焦点がそこにあるという今の姿の中で、この時点に立って農民側の要求が六千七百円と出ているという事実を全く無視しようというお考えですか、その点を一つ伺うわけです。
  56. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 私どもも、六千七百円がいいんだという農民側あるいは農業団体の御意見を採聴しております。そういうふうなことももちろん参考にして今後の価格検討をいたしたい、こういうふうに考えております。
  57. 安井吉典

    ○安井委員 やはりそういうふうなお気持を持って、とにかくこれに幾らかでも近づけるというふうな御努力がなければ、農民は納得しないと思うのです。  ちょっとお聞きいたしますが、去年の奨励金追加払いの基盤になった原料価格は幾らだったわけですか。
  58. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 原料価格の基礎になりましたというのは、どういう意味か、理解しにくい点があるのですが、五千二百五十円のことをおっしゃっておられるのですか。
  59. 安井吉典

    ○安井委員 その上に去年追加払いされましたね、あのときにいろいろ作業されているはずです。が、その額を参考までに承りたい。
  60. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 当時まで一ヘクタール当たり二千七百五十円だったのですが、奨励金が出ているということで、これをトン当たりにいたしますと、大体百円くらいになります。さらに、そのほかに百円くらいの奨励金を払ったということとで処置をしたように聞いております。
  61. 安井吉典

    ○安井委員 では具体的に昨年はどういう価格が適当であるかということについて、価格の上から物事を判断されなかったというわけですか。そういう基礎なしにおやりになったということですね。
  62. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 御承知のように価格は改定をいたしませんで、従来会社側から出ております奨励金のほかに何か出さないかということで、生産者団体と会社との間でいろいろ話し合いがありまして、それを役所も取り上げて話し合いをつけて、さらに百円プラスしたという経過だったように聞いております。
  63. 安井吉典

    ○安井委員 去年は去年としてのやり方もあったかと思うのですが、しかしそういうやり方でいつもおやりになるものですから、結局、一体これでほんとうに自分の生産費を補償されているのかどうかというようなことについて農民は納得しないわけです。例の伴睦式か何かのように、適当にプラスしたりマイナスしたり、あるいは足して二で割ったり、そういうようなことであっては、納得する余地はないわけです。やはり、しっかりした基礎に立って問題点を探し出して、それに対する解決を見つけていく、そういうことでなければならないと私は思うわけです。現在価格を算定する作業がいろいろと進んでいるはずでありますが、今  一番問題にしている点、あるいはまた困っている点といいますか、そういう点はどういう点ですか。
  64. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 むずかしい御質問なんですが、私ども検討をしております過程でいろいろむずかしい問題がございます。たとえば、あまりに引き上げれば生産費を償う、あるいは農民の所得ということについては大いに効果がありましょう。しかしながら、そういうことは単に、長い目で見たならば、そういうようなことで生産性が上がらないままに生産費がふえるということは問題だと思います。あるいはまた工場の採算価格というようなことにも響いて参りますので、単に価格を大いに上げるということは、一方からいえば望ましいことではありますけれども、他面マイナスの大きな効果があるというようなことで、総合的にいろいろな立場から考えて、最も適正な価格を探し出すということ、一番むずかしい点でありましてそういうことを検討いたしております。
  65. 安井吉典

    ○安井委員 大蔵省と試案をもって話し合うという段階までいっているわけですか。
  66. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 まだ話し合いをしておりません。
  67. 安井吉典

    ○安井委員 精糖業者側と具体的な折衝をしているというところまでいっているわけですか。
  68. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 いろいろの機会に陳情等を受けていることはございますけれども、もちろん、これは生産者側から陳情等を受けていることもございますけれども、具体的にどういう価格でどうというような交渉は持っておりません。
  69. 安井吉典

    ○安井委員 念のためお聞きするわけでありますけれども、最終の段階までいきまして、精糖業者の納得がなければ政府は原料価格告示をしないというふうなおつもりでしょうか。つまり、ある場合においてはこれはもう利害関係が反する場合も出てくるわけであります。そのような場合に、生産者である農民と精糖業者側とどちらにウェートを置いたような姿で、この原料価格問題を処理されようというおつもりか、その点をお伺いいたします。
  70. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 生産者の立場も、あるいは精糖業者のお立場もそれぞれ非常に大事だと思います。そこで、すべての方に十分な納得をしていただくということが最も望ましいと思いますけれども、私ども、そういう意味で最も適正な価格をはじいて告示をしたい、こう思っております。
  71. 安井吉典

    ○安井委員 どちらも考えなければいけないのは、これはもう当然そういうふうになっていると思うのでありますけれども、最終段階でどちら側にウエートを置いた考え方で結論を出そうという考えか、そういうふうなことを繰り返してお尋ねしたいと思います。
  72. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 農業政策という立場からも、糖業甘味資源総合対策という立場からも、総合された形で物事の判断をしなければいけないと思いますので、どこをどういうふうにというようなことではやりにくいのではないか、こういうふうに思います。
  73. 安井吉典

    ○安井委員 通産省という役所も別にあるわけですから、その点農林省という名前の役所としての立場をしっかりと持って問題を解決していただかないと——初めのうちはいいと思いますが、今のように検討価格というようなことでいろいろそろばんはじきをしている段階ではいいと思うのですが、これがだんだん問題が者一詰まってくれば、おそらく、どちらをどうするかというところまで問題は進んでいくと思います。そういうことを考慮に入れながら、私はそういうふうに申し上げるわけであります。きのう北海道の農業団体から陳情のありましたこの資料をながめてみますと、農林省統計調査部の三十五年のてん菜生産費調べと、それから農民側の要望との間に非常に大きな隔たりがあるわけでありますが、その一つはパリティの上昇の問題、それからもう一つは家族労力に対する評価の問題、特に後者の問題が大きいように思います。パリティの方は基礎数字がはじかれてくるわけでありますけれども、やはり自家労力というものの見方が、これは最後まで非常に問題になってくるのではないかと思います。特にビート耕作では、時期的に多大の労力が必要になるわけです。たとえば間引作業では麦作や大豆作の全所要労力の六五%くらいが必要になるし、あるいはまた収穫作業でも同じく大豆や麦などの全労力の七〇%ないし七五%くらいの労働をその収穫作業につぎ込まなくてはならないといわれておるくらいです。それだけに、ほかの作物との競合からして、ビート価格の構成の中における労働に対する評価のいかんによって、ビートの耕作意欲というものが非常に大きく左右されてくるということが言えるわけです。つまり、そんな手間のかかる作物なら、そうしてまたその手間を十分に見てくれないような価格なら、ビートをやめてほかの作物へ移ろう、そういうふうなことになりがちです。従いまして、この労賃の見方というものに農民も非常に注目をしているのではないか、そういうふうに思うわけでありますが、この点どういうふうにお考えになっていますか。
  74. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 御承知のように、てん菜作は労力を非常に食う現状でございます。そういう意味でほかの作物に比べれば、家族労働報酬といいますか、それが割合少ないというような現状も考えられますけれども、てん菜の価格をきめます場合には、御承知のように法律で、パリティ価格ではじいたものを基準にしていろいろ考えるわけであります。ただいま申された生産費、しかもその生産費の中で、調査部のやっております生産費計算では、家族労賃を農村日雇い賃金で評価をしておりますけれども、その評価を評価がえしてやるというような考え方もございましょうけれども生産費も一つの参考になってパリティではじいたものを基準にしてきめるということになりますので、おっしゃるように生産費そのものだけを考えてやるのでありませんので、家族労働報酬の問題も込めてやっておりますような問題はないのじゃないか、こういうふうに思います。
  75. 安井吉典

    ○安井委員 私は理論的な立場から申し上げている。そういう側面がありますのと、私が今申し上げた他の側面は、つまり労力がかかるようなビートをとても作る気はない、それよりももっとほかの作物へ移りたい、そういうふうな農民に対する心理的な影響そういうような面から、この家族労賃の問題が総価格の中に占める役割を十分に考えてあげなくてはいけない、そういうふうな意味で私は申し上げているわけであります。特にこの点は、これからの価格算定の段階におきまして十分考慮さるべき点だと思うわけであります。が、どうでしょう。
  76. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 もちろん考えられなければならないことだと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、価格だけで今後のてん菜の増産、生産増強をはかっていくというようなことではなくて、むしろ機械化する、あるいは大視模化するというような、いわば構造改善をして、労力のかからないようなてん菜の作り方をしていくというようなことも並行して考えていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えます。
  77. 安井吉典

    ○安井委員 それはわかります。その点はわかりますが、しかし、そういうふうな措置はもう新年度の予算ですでにきまっていることだし、それからまた、そういうふうな措置を講ずる基礎になる法律においても、もっと今までよりも拡大された措置がとられるというふうに農民は期待していた。ところがそれは何もされないで、単に延長の法律しか出ていない。だから、すでに政府が発表されましたそういったような振興対策を基礎にして、今六千七百円という数字が農民側の要求として出ているわけです。今の長官のお話では、そういうようなものも入れれば六千七百円を値切れるかもしれないというふうにお考えかもしれませんけれども、実は農民の側では、そういうふうなものの外に六千七百円を要求しているというようなことになっているわけです。結局、政府側の今までの措置がなまぬるかったし、これからもどれくらいやってくれるのか、あまり多くの期待をしていないというところにも原因があると思います。そこで、原料が六千七百円というようなことになりますと、標準糖価にどのように響くとお考えですか。
  78. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 ロスとか歩どまりのとり方にもよりましょうけれども、なかなか的確な数字はありませんが、大ざっぱに考えて、十円くらい響くのじゃないかというような感じがいたします。
  79. 安井吉典

    ○安井委員 原料の最低生産価格の引き上げの問題も、その処置いかんによっては、政府買い上げのてん菜糖価格の問題にまで影響が出てくるという場合もないわけではないと思います。現在影響させるようなところまで考えるべきだとか、あるいは影響させないところで考えるべきだとか、そういうふうな御検討もあると思うわけでありますが、その点はいかがですか。
  80. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 そういうことも一つの考慮にはなりましょうけれども、むしろ先ほど申し上げたような、法令を基礎にして、最も適正なところでてん菜の値段をきめていくというふうな態度で検討いたしております。
  81. 安井吉典

    ○安井委員 しかしそれにしても、結果的にそういうような場合もないわけではないと思うわけであります。ということは、今の長官の答弁から考えられますことは、それじゃもうそんなようなところまで考える方向にはいかないで、まあ適当なところでお茶を濁しておけ、生産対策をやってやるのだから、それでがまんしろ、そういうようなお考えがその裏にあるような気がするわけでありますが、その点はいかがですか。
  82. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 お茶を濁すというようなことでおっしゃいましたけれども、そのような気持はございません。農民、生産者側での合理化ということも大事でありますし、さらに工場側での合理化というようなことを考え合わせて物事の処理をしていかなければならない、こういうふうに考えます。
  83. 安井吉典

    ○安井委員 私は、砂糖消費者価格にまでしわを寄せるというふうなことはいかなる場合でもないようにしてもらいたいというふうに考えるわけであります。輸入糖の値下がりといったような問題もあるし、特にそういう点に対する考慮は必要だと思うわけでありますが、その点はいかがですか。
  84. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 当然そういう考慮を払わなければいけないと思っております。
  85. 安井吉典

    ○安井委員 そこでビート糖の場合は国内甘味資源自給度の向上だとか、あるいはまた農業政策としてのビート耕作の安定だとか、そういうような見地から消費者価格にしわ寄せをするというようなことじゃなしに、国の財政資金で問題を解決していく、こういうふうな方向で処理すべきで、これはもうさっき第二部長も言われましたけれども、ヨーロッパのどこの国だって財政資金の相当多額な放出がやられているわけであります。いずれにいたしましても、この問題の解決のためには財政措置で最後的に問題を解決するのだ、そういうような気がまえで進んでいかなくてはならないと思うわけでありますが、その点はどうですか。
  86. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 たとえば、私ども聞いておりますイタリアなんかの場合は、合理的な生産をやって、財政であとしりぬぐいをするというようなことはないようでありますけれども、私ども財政負担というようなことは少なくて済めば少なくて済むほどいいと思いますので、そういう方向で合理化を進め適正な価格生産は進むのだというような考え方でやって参りたい、こう思っております。
  87. 安井吉典

    ○安井委員 イタリアだけが例ではなしに、ヨーロッパはずいぶん生産国があるはずでありますが、相当財政資金を出している国もあるはずです。そこで砂糖の消費者価格の構成の中から砂糖消費税を引き出して、これを一つの有力な財源としてビート価格、原料価格の問題も考えるべきだという意見もあるわけでありますが、それについてはどうお考えですか。
  88. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 十分に検討に値する御意見だと思います。
  89. 安井吉典

    ○安井委員 じゃ、その面も今検討しているわけですか。
  90. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 それのみならず、広く甘味総合対策の一環としていろいろなことを検討いたしたい、こう思っております。
  91. 安井吉典

    ○安井委員 もう時間もだいぶ過ぎて参りましたので先を急ぎたいと思いますが、過去八年の間の価格据置を初めとし、政府のビート対策が非常におくれておるということに対する不平や不満は年ごとに高まってきているというふうな気がいたします。その無言のレジスタンスが、結局、面積の伸び悩みというふうな姿に現われてきているとしか思えないわけであります。これは価格だけだと私は言いません。そういったような政策的なおくれが、結局こういうふうな姿にいってしまっているのではないかと思うわけです。しかし最近は無言ではなしに、昨年などは網走地区を中心に各地に農民大会が開かれるなど、盛んな盛り上がりが出てきておりますし、それによって政府も黙っておけなくて、最後的に奨励金方式を考えざるを得なかったというようなことになっているわけであります。ところがそれが本年に入りますと、特に最近では、集荷地域の決定の問題についても非常な不満が高まってきているようであります。私どもが今聞いております範囲内におきましても、網走地区あるいは十勝地区等において、農林省はすでにお認めになっているようでありますけれども、道庁の案に対して猛烈な反撃が起きて、耕作しないといったような、不耕作同盟といったような姿も起きつつあるように思います。きょうはそれには触れないわけでありますけれども、とにかく素朴な農民的な意思として、今のような作付拒否運動というようなところまで問題は進んできているということです。その中に、やはり価格問題の決定が非常におくれているということ、しかもその内容が非常に不満な内容しか示していないというところに問題があると思うわけです。現在私どもが聞いておるところでは、これは今申し上げた地区だけじゃなく、全道的に今春耕期を前にして、価格が六千七百円と要求通りにきまらなければ肥料も受け取らない。会社がいろいろ説得工作をやっているようでありますが、それも阻止する、その他一切の生産の契約的な措置は拒否している、こういうような事情に今あるようであります。そういうようなことで現地の北海道庁あるいはまたその出先機関等も全く手をあげているというような現状を私ども今聞くわけです。今、全道の農民の代表なんかもずいぶん東京に来て、問題解決のために努力をするというふうな姿になっております。これはもう意外に強硬な態度で、これまで押えてきたうっぷんが一ペんに爆発したというような印象を私ども受けるわけであります。政府はこれらの動きをたかをくくって見ているのではないか、過小評価をして適当な措置さえすれば何とかおさまるのではないか、そういうような見方をしているのではないかと思うわけでありますが、こういう認識の程度を私ども実は今夜での御答弁の中から疑わざるを得ないわけであります。その点いかでしょう。
  92. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 御事情をよく承りました。私どもも農民団体その他からそういうようなお話を伺わないこともないのでありますけれども、決してたかをくくっているといういうようなことではありませんで、一生懸命価格を早くきめるということで検討をいたしているわけであります。
  93. 安井吉典

    ○安井委員 今の状況からいいますと、耕作反別の伸びというものはおそらく期待できないというふうな気がするわけです。反別が伸びなかったら一体どうするのです。工場はことし二工場プラスされるわけですね。九工場になるわけです。しかも生産はふえないというふうなことになったら、この秋にはそれこそ重大な事態が起きるかもしれないと思います。どうでしょう。すみやかに農民の要求を聞いて、早急な決定で一日も早く春の耕作にかかれるというふうな措置を講ずべきじゃないでしょうか。  最後に私特つけ加えて申し上げたいのはもちろん一般的な振興対策というものも価格対策に並んできわめて重要だということは言えます。しかし工場の建設がどう進もうと、集荷区域がどうきまろうが、今作付を目前にして、ことしは北海道が雪が少なくて作付時期も相当早まる見込みです。そういうような段階において、農民がビートに対する生産意欲を持ち、畑にともかく種をまくということでなければ、これは何にもならないと思うわけです。いかに生産対策があとでこうしてやるのだとかなんとか言いましても、畑に種をおろさなければ、ことしの事態は何とも解決できないし、これは将来まで大きな禍根を残すことになると思うわけです。ですからこの際は、生産反別をいかにしても確保していくということ、そこに一番の焦点が今の段階ではきたのですよ。きょうここまできた段階におきまして、それが一番大切なことだ、そういうふうに思うわけでありますが、政府の問題解決に対する御決意を重ねて伺います。
  94. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 ただいまのお話があったようなことをよく頭に置いて、先ほど来申し上げておるようなことをやりたい、こう思っております。
  95. 安井吉典

    ○安井委員 どうも何か、今進んでおります事態が、いつものような簡単な措置で済むんだというお考え方が、やはり農林省の皆さんの腹の中にあるような気がするわけです。ことしの場合はそうじゃないということですね。そういうようなことを一つ十分に考えていただかなくてはいかぬわけでありますが、政務次官もおられますが、どうでしょう、今のこの問題に対する政府としての十分な御決意を伺っておかなくてはいけないと思うわけです。
  96. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 先ほど来御質問があったように、北海道のビートは昭和三十六年度面積の減少あり、また他の作物との競合関係もあるし、ことしの値段のきめ方というものは、政府におきましてもよほど慎重に考えなければ、面積の維持あるいは拡大ということは容易でないという事態にあることは、私どもも十分承知をいたしております。従って、大臣におかれても、新しい工場の許可等についても、この点はよほど御心配になってお考えになった結果おきめになったことと思いますので、なるべく早い機会に農林省としての態度を決定して御報告申し上げたいと考えております。
  97. 安井吉典

    ○安井委員 問題はまだありますけれども、きょうのところはこれだけにしておきます。      ————◇—————
  98. 野原正勝

  99. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 来週から森林法の一部を改正する法律案の審議に入るわけでありますので、この際、審議の参考に供するために、資料を少しばかり私から要請をしておきたいと思うのであります。  まず第一は、今回の森林法改正の中で、従来の森林基本計画森林施業計画、あるいは森林実施計画、こういう三段階制を改めて、全国森林計画地域森林計画という二段階制に切りかえるわけです。そこでこの問題の論議のために、森林法施行以来の森林基本計画の資料を、全部にわたるだけのあれがあるかどうか、すぐできるかどうかわかりませんけれども森林基本計画あるいは森林施業計画、できれば実施計画、主として森林基本計画の資料をぜひ一つ御提示願いたいと思います。  それからきょ伐調資金の資料が出されたわけでありますが、この伐調資金の貸付を受けておる諸君の金の使途が一体どういうふうな実態にあるかということについて、林野庁の一方で調べられる範囲内において資料を提示願いたいと思います。  さらに、農林漁業基本問題調査会林業答申でもいっておるわけでありますし、今後また重要な問題の一つになります国有林民有林等の山林労働者の実態の問題でありますが、これは賃金、雇用状況、その他の労働条件等も含んで、国有林の場合には雇用区分その他の問題も具体的に明示をしながら、国有林民有林を含めての林業労働者の諸般の条件が現在どういうふうになっておるか、できるだけ具体的な資料を御提示願いたいというふうに思います。  なお、山林の所有形態の中で、やはり検討しなければならぬ問題特にパルプ資本等の進出の問題があるわけでありまして、この際、パルプ資本のそれぞれの資本別の山林所有の形態、あるいは分収林等にも相当出てきておるわけでありますから、そういう関係の実態、さらに、これは単にパルプ資本のみに限らず、いわゆる会社等の社有の形での山林の保有、あるいは分収林への進出の状況、こういうデータ等もありますれば、これもあわせて具体的に資料を提示願いたいと思います。  また、国有林野の林産物の売買状況でありますが、いわゆる契約の実態あるいは売買の実績、こういうような問題についても具体的な資料を御提示願いたいというふうに思います。  以上、とりあえず、来週以降の審議の参考に供したいと思いますので、できる限り資料を整備して来週の火曜日にお出し願いたいと思います。
  100. 野原正勝

    野原委員長 次会は来たる六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会      ————◇—————