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1962-02-28 第40回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十八日(水曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 山中 貞則君 理事 足鹿  覺君    理事 石田 宥全君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       稲葉  修君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    仮谷 忠男君       小枝 一雄君    坂田 英一君       田邊 國男君    谷垣 專一君       綱島 正興君    内藤  隆君       中山 榮一君    福永 一臣君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    米山 恒治君       角屋堅次郎君    東海林 稔君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       西宮  弘君    安井 吉典君       山田 長司君    湯山  勇君       玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (大臣官房長) 昌谷  孝君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         林野庁長官   吉村 清英君  委員外出席者         農 林 技 官         (農林経済局金         融課長)    立川  基君         農林事務官         (農地局管理部         長)      丹羽雅次郎君     ————————————— 二月二十八日  委員金子岩三君、楢崎弥之助君及び湯山勇君辞  任につき、その補欠として亀岡高夫君中村英  男君及び島本虎三君が議長指名委員選任  された。 同日  委員亀岡高夫君島本虎三君及び中村英男君辞  任につき、その補欠として金子岩三君、湯山勇  君及び楢崎弥之助君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 二月二十二日  競馬法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第三号)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 ただいま議題となりました開拓融資保証法の一部を改正する法律案につきまして質疑をいたしたいと思います。この法律案内容そのものは簡単でありますが、私はこの法律の目的とする問題の源まで突きとめるというふうな意味で、昨年の開拓営農振興審議会政府に対し行なった答申一つの手がかりにしながら質問を進めたいと思います。  この答申につきまして賛意を表したい点も多々あるわけでありますが、その一方なお疑問な点も少なくないわけです。それはそれといたしまして、この答申にもうかがわれますように、ちょうど政府開拓政策今一つの転機にきかかっているような気がするわけであります。そこで、この場合、政府開拓政策の全体の姿を明らかにしていただくというふうなつもりで御答弁をいただきますことを初めにお願いを申し上げておきます。  審議会その他政府諮問機関答申といいますと——ちょうど今選挙制度調査会答申中心にいたしまして荒れ模様になってきております。一般の審議会とか調査会とかいうものの性格、そしてまたそれに対する政府の態度というようなものが今一つ浮き彫りにされつつあるわけでありますが、あの選挙制度調査会答申は、内容がきわめて具体的であり、たとえばポスターは何枚、あるいはまた連座制がどうのというふうな具体的な問題の出し方をしております。そういうようなものを一つずつ骨を抜いたとか抜かないとかいうことになって問題が起きているわけでありますが、この審議会の方の答申はきわめて抽象的な書かれ方がなされているように思います。たとえば旧債の整理の問題など、私などは金利がどうのといったふうな踏み込み方までしてくれていいのではないかという気がするわけでありますが、そういうものも文章の表現だけにとどめられております。つまり、それだけに政府がこの答申もとにして施策をする場合に弾力性を持たせているというか、政府にやりいいように初めから骨を抜いて、口当たりがいいようにしたような答申の出され方だという気がするのであります。それだけに私はこの答申もとにして施策をする政府責任が非常に重要だと思うわけであります。むしろ微温的に過ぎるような面もあり、特に戦後の緊急開拓あり方あるいはまたそれが現在どういう姿であるかというようなことを考えますとき、もっと大胆率直な対策が私は出てきていいような気がするわけであります。それが先ほど申し上げましたように大へん抽象的な表現になっているわけであります。政府は誠意を持って実行に移さなくてはならないというように、私の今まで申し上げたことから結論的になると思うのでありますが、どういうふうな考え方でこれの処理に当たりたいというおつもりか。政府としての御決意を、きょうは政務次官もおいででございますので、まず伺いたい。さらに、昭和三十七年度の予算も同時に出ているわけでありますが、それにつきましてどういうふうな御措置がとりあえずなされているか、こういうようなことをまず初めに伺いたいと思います。
  4. 中馬辰猪

    中馬政府委員 ただいま申されたように、わが国の開拓行政は、戦後政府においても非常な力を尽くしましたけれども、ただいまある種の転換期にさしあたっていることは事実であります。従って昨年出されました答申につきましては、その内容あるいは将来の方向等につきまして、農林省といたしましてもただいまのような転換期に差しかかっている開拓行政をいかにして進展せしめ、かつ開拓者の方々に対する経済的な進展というものを確保するためにいかにすればよろしいかという具体的な方向等についての答申でございますので、ただいま真剣に考慮をいたし、かつ来年度予算案におきましてもその線に沿って極力作るように努力をいたしている最中であります。
  5. 安井吉典

    安井委員 予算案につきましてはもうすでに提案されているわけでありますが、特にこの答申の線に従って処置したというふうな点はどういうような個所になるわけであるか、それを一つ御説明願いたい。
  6. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ただいま政務次官から御答弁になりましたように、審議会答申の線に沿いまして、これを尊重して極力この推進をはかるという考えでわれわれは対処しているわけでございますが、特に答申は将来の開拓制度の意義及びあり方、それからこれまで入植された方の営農振興という二つの点に大体答申がされているわけでありまして、将来の開拓制度につきましては、ただいま、昨年からやっております開拓パイロット事業を三十七年度においては極力拡大をはかるということで進めております。もちろん開拓事業継続事業の促進ということも、三十七年度予算においては大きく建設工事その他の点で推進しているわけでございます。それから新対策中心といたします入植者営農振興ということにつきましては、答申の線におきまして開拓者実情にマッチした適切な開拓振興対策を立てるという点が特に強く取り上げられておるわけでございます。三十七年度におきましては、従来からの新対策事業を極力推進するということともに新しく開拓者実情に即応するようにということでございまして、三十七年度においてはそれのテスト的な意味ということで開拓者実態調査をやりまして、それに対する適切な営農目標を立てるというその基準作成ということで二百地区を選びまして、二百地区について基準になるようた営農振興目標を立てるということを三十七年度に行ない、それを基準にいたしまして一類、二類、三類といったような開拓君を分類いたします基準を作りまして、さらにその上に適切な振興対策を立てる、こういうような心がまえでおります。
  7. 安井吉典

    安井委員 ただいま政務次官並びに農地局長から一応のお話を伺ったわけでございますが、この答申の線によって今作業を進めつつあるということであります。とにかく急いで問題の解決に努めなくてはならないという段階であると思うわけであります。ただいまいろいろ申されましたようなことで今後の施策を進めようというお考えだと思うのでありますが、もっと具体的にこの答申による施策実行に移すためにどういうプログラムで一体進めようとされておるのか、調査がいつごろまでに済んでいつごろから具体的な実行段階に入るとか、そういう点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  8. 庄野五一郎

    庄野政府委員 新対策といたしましては、御承知の通り三十二年に開拓営農振興臨時措置法が制定されまして、それによりまして不振農家不振開拓者というものに対しましての振興対策をやっておる次第でございますが、それはそれとして来年あたりにおいては拡充していくという予算を組んでおりますが、一方答申の線によりまして、先ほど申しましたように十分開拓者実情を把握しなくちゃならぬということでございますので、三十七年度の措置といたしましては、特に開拓農家実態調査を大体三十七年度半ばごろまでには完了するように十分努力いたしまして、その実態調査の上に立ちまして開拓地営農改善標準設計というものの原案の作成検討をいたしまして、それによって新しく答申の線に沿う開拓者振興対策を立てるということで大体三十七年度は準備をいたしまして、そうして三十八年度からそういうように具体的な振興対策に取りかかれるようにいたしたい、こういうような考えでございまして、そのための予算といたしましては来年度は一千四百万円程度を新しく予定いたしております。
  9. 安井吉典

    安井委員 今も申し上げましたように気長な話ではやはり問題の解決にならないといったような面もあると思うのです。五年間ぐらいで全体の問題の解決に当たりたいというような表現がどこかにあったと思いますけれども、もう五年も持たないといったような農家もあるかと思います。やはり準備のできたところから早期に問題の解決に進んでいく、こういうふうなかまえでなくてはならないと思いますが、具体的に問題を実行に移すためには、たとえば今も言われました振興法その他の開拓関係の法令についても再検討を要するあるいは改正をしなくてはいけない、そういうようなことになるのではないか。その点いかがですか。
  10. 庄野五一郎

    庄野政府委員 実態調査をいたしまして、それによりまして答申の線にござ、いますように近傍既農家の大体中庸程度生活程度と均衡するような所得水準目標にした営農振興をはかる、こういうことになるわけでございますが、すでに近傍既農家のいわゆる中庸農家の線に達しているもののあるいは達し得るもの、それから自然的条件なりあるいは本人の特質的な事情によりましてもうそういう段階に達し得ない状態にあるもの、そういうふうに仕分けするわけでございます。そういう線が出ますればできるだけ早くそういう仕分けをいたしまして、その上に既農家標準になるように具体的な対策を五年計画でやるということになりますが、もちろん調査の済み次第そういうことに進めていきたいと思います。その段階におきまして、従来から臨時措置法によってやっております振興計画がストップしないようにという配慮もいたさなくてはならぬと思うわけでありまして、逐次実情に即して新しい制度に、新しい考え方による振興対策の方に乗り移れるように、そうして早急に営農振興がはかれるように改良しなくてはならない、こういう心がまえでやっております。
  11. 安井吉典

    安井委員 具体的な問題につきましてはあとで触れることにいたしまして、その前に開拓事業の今後のあり方についての問題が答申の第一に取り上げられているわけでありますので、その面から一つお尋ねしたいと思うのでありますが、この答申を受けて立つ政府の今後の開拓進め方についての基本的な考え方についてお聞きいたしたいと思います。
  12. 庄野五一郎

    庄野政府委員 開拓につきましては、戦後の緊急開拓時代というものを経まして今日に及んでおります。その段階におきまして食糧事情が緩和して参っておりますし、また新しい基本法に基づきまして構造改善あるいは成長農産物選択的拡大をやっていく、こういった線も出ているわけでありまして、そういう事情なりあるいは新しい構造改善の線に沿うように開拓制度の将来の進め方もやっていきたい、こういう考え方をもちまして、従来入植重点でやっていた点あるいは牧畜農業重点でやっていた点、そういう点をよく反省いたしまして新しい方法に持っていかなくてはならぬ。そういう意味合いから三十六年度から開拓パイロット制度というものを確立しまして、たしか昨年はテスト的にやりましたが、本年三十七年度からこれの大幅な実施段階に移るということで、開拓パイロット地区の大幅な拡大をはかっていく、そういう方向で今後開拓事業を進めたいと考えております。
  13. 安井吉典

    安井委員 従来もそういうかまえがかまえの中心であったと思いますが、大規模奥地の未開発地開発という問題と、いわゆる新しいパイロット方式とそのどちらにウェートを置こうというお考えですか。
  14. 庄野五一郎

    庄野政府委員 開拓パイロット事業国営県営あるいは団体労というふうに区分して進めるわけでございますが、大規模国営なりあるいは県営なりというものの調査につきましては、従来通り国なり県におきましてその調査を進めていく。その調査の進んだところにおきまして、新しいシステムといたしまして増反中心にしました既農家経営規模拡大ということと、中におきまする営農も、先ほど申しましたように牧畜農業から畜産、果樹といったような成長農産物の方に重点を難いた営農に切りかえていく。それから土地取得関係におきましても、従来未墾地買収でやっておりました点におきましても、新しく未墾地取得というものが非常に困難でございまして、そういう点につきましてはパイロット事業重点に置きまして、権利関係におきましてもその地区内の自主的な調整によって権利取得を円滑にする。その上にパイロット事業を新しい構想で進める、こういうような考え方でございます。国営県営につきましては、国あるいは県でやってそういうところのパイロット事業推進をはかる、そういうような考え方で進めております。
  15. 安井吉典

    安井委員 つまり今の御答弁の中から——この答申の中にも書かれているわけでありますが、大規模奥地の未利用地開発の問題、そういうものに対する国家的な要請もありますし、さらにまた新たな段階におきまして草地の造成といったような面からも未利用地開発というような問題はもっと大きく浮かんでこなければならないと思うのでありますが、こういう面についても国によるところの基礎調査開発計画を提示したり、基礎建設事業を積極的に実施をしたり、そういうような方向はくずさないでいかれるというふうに理解して差しつかえありませんか。
  16. 庄野五一郎

    庄野政府委員 大規模のものにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように調査段階においては国なり県において全面的に調査して、そしてその地元の開発の指針なりあるいは目標を国、県から示す。その上において権利調整等は自主的にやって進める、こういうことに相なるわけであります。なお、用地の関係につきましては奥地の非常に未開発の地帯におきましてそういう権利調整ができるかどうかという点についてまだ多少問題が残っているわけでありまして、未墾地取得制度というものについての運用の仕方の点についても今後なお検討を要すべきものがあろうかと存じますが、大体今のところでは調査県営でやりまして、その上におきますパイロット開拓を新しい考え方でやるということについて進めるという方向考えております。
  17. 安井吉典

    安井委員 例のパイロットファーム方式でありますが、未開発の原野に国家資金を大幅に投入して理想的な酪農郷建設という大きなうたい文句で北海道青森等で始まったわけでありますが、あの方式についてはどういうふうにお考えですか。
  18. 庄野五一郎

    庄野政府委員 未開開墾地パイロットファームというものは、当時におきます一つの新しい入植主体にいたしました未墾地開拓方式としてテスト的に、パイロットとしてやった次第でございますが、その経験を生かしましてその後の開拓制度といたしましては基本営農類型地区ということで進めておる次第でございます。それも三十五年度程度から新規ということではなしに、従来継続のところを進めるということになる次第でございます。今後はやはりああいうものを参考といたしましてパイロット事業を進める、こういうことになるわけであります。あれは大体入植というものを主体に置いたパイロット的なシステムでございますので、今後の問題といたしましては増反中心にする、こういうことに相なろうと思います。増反中心にいたしましてのパイロット地区機械化というような方式は十分取り入れて、人畜力による開墾方式はできるだけ——これは地区の地形にもよりますが、機械力による開墾によりまして一年ないし二年で開墾を完了して営農早期にその上に展開できるような方途を進めていきたい、こういう考えであります。
  19. 安井吉典

    安井委員 どうもこの前のパイロットファーム方式も何か思いつきで終わってしまっているような気がするわけであります。しかも最近におきましてずいぶん問題が起きているようでありますけれども、そういうのもそっちのけにいたしまして今度またさらに新パイロットというようなことでいく。パイロットという言葉が農林省ずいぶんお好きなようでありますが、古いパイロットで、また新パイロット。昔炭坑節というのがはやったことがありますけれども、炭坑節あとには新炭坑節で、また新々炭坑節といったようなことでありますが、あれの場合は歌詞の方は同じで節回しだけはだんだん変わっていっているようですが、どうもこのパイロットの新や新々の方は節回しだけではなしに歌詞の方もどうも後退しているような気が私はするわけであります。単なる思いつきだけで開拓農家を山の上に追い上げてそれでまたとやかくしているうちにパイロットファームといい、また新パイロット方式だといい、そういうようなことでは、日本の開拓の今までの沿革が、そういうような施策が結果するその筋道というものをはっきり示していると思います。思いつきじゃなしに、やはりしっかりした基礎に立った方式でこれをお進め願わなくてはならないのではないかと私は思うわけです。北海道では一応取得はされておりますけれども、未着手である土地がたしか三十万町歩くらいまだあるはずでございます。そういったようなものについてはどういうふうなお考えですか。
  20. 庄野五一郎

    庄野政府委員 機械開墾地区のいわゆるパイロットファームというものは思いつきといったようなものじゃございませんので、やはりあの中でいろいろ経験いたしました開墾方式なりあるいは入植方式といったようなものにつきましては、国営あるいは北海道でありますれば道営といったようなところで十分取り入れて、そういうものの中に新しいパイロット事業として生かされてくる、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。御質問北海道のような未墾地の多くありますところ、そういうところにつきましても、やはり国営パイロット事業あるいは道営パイロット事業、そうして根釧地区経験いたしましたいろいろな経験なりあるいは経営方式なり、あるいは開墾方式なり入植方式なりというものを取り入れて生かしていきたい、こういうふうに考えている次第であります。
  21. 安井吉典

    安井委員 答申に、「諸外国において国が建設工事から営農施設住宅準備までして分譲する方式を採用していることは、充分参考に値すると考えられる。」というふうな表現がありますけれども、これはどうですか。
  22. 庄野五一郎

    庄野政府委員 新しい国営なり県営なりあるいは団体営パイロット、これは規模によって違いますが、最も大きなものにおきましては、建設工事から開墾まで——今まで別々に、建設工事開墾入植してから開墾補助を出すというのを一貫いたしまして、パイロット事業におきましては建設工事から開墾の点まで一貫してやる。そうして総合補助率負担率であるいは国が負担する、こういうような考えでございます。  なお、住宅等につきましては、今後の問題としてやはり増反中心になりますが、北海道のようなところにおきましてはやはり住宅の点というようなものもございますが、この点だけは入植者が入りましてから、やはり入植者に従来通り補助をやる、こういうふうな考えでございます。従来と改めましたのは、やはりパイロット地区機械開墾地区と同じように建設工事から開墾まで一貫した方式で施行する、こういうふうな考えでございます。
  23. 安井吉典

    安井委員 私は、今若干引用いたしましたけれども、この審議会答申の線と今のお答えの線とでは、どうもだいぶニュアンスが違うと思います。この審議会答申では、たとえば新開拓方式一つの適切な方法考えられるといったようなきわめて消極的な表現を一方にしながら、他方には、先ほど援用いたしましたように、国が直接責任を負ったそういう開拓方式を進めるべきところである、そういうところに力点が置かれた表現のされ方がしてあるような気が私はするわけです。つまり、どうも今の政府のお考え方は、こまかな点におきましてはあるいは一致しているところがあるかもしれませんけれども、大筋のニュアンスという点においては答申方向からはるかに後退した方向に現在進みつつある、こういうふうな印象を受けるわけでありますが、その点さらに向いたいと思います。
  24. 庄野五一郎

    庄野政府委員 大規模な未利用地のあるような奥地開発として、ただいまパイロット方式でやっておりますいわゆる国営道県常といったようなものが適切かどうかということについては、審議会においても非常に論議された点でございまして、いわゆる奥地開発については従来通り未墾地として国が主としてやったりどうか、こういうような意見もあったわけでございます。その点については審議会においてもなお検討を要するということに相なっておるわけでございます。われわれといたしましても、今後の未墾地取得制度というものの運営、あり方とともに、その奥地開発方式というものにつきましては、ただいまやっております国営県営パイロット事業というものの進展運用とにらみ合わせまして十分検討いたしまして、奥地開発にできるだけ適する適切な方法をまた考えなくちゃならぬかと検討をいたしておる次第でございます。
  25. 安井吉典

    安井委員 完全に問題点解決された答申のされ方や、今すぐ政府にそれに対する施策を出せといっても、これは無理かと思いますけれども、しかし、今後御検討段階では、やはりはっきりと答申方向が示している、もっと開拓の問題に関心を寄せた政治のあり方でなくてはいけない、こういうふうな方向から後退するようなことがないように、その点はくれぐれもお願いをしておかなくてはいけないと思います。  なお、新しいパイロット方式の場合におきまして、土地買収価格というようなものが、うまく双方の話し合いで折り合わない場合も予想されるわけでありますが、そういうような点についてはどういうふうにお考えか、あるいはまたその場合の資金措置はどういうふうになっておられるか、その点を伺います。
  26. 庄野五一郎

    庄野政府委員 現在におきましては、従来から未墾地買収取得いたしました政府のいわゆる開拓財産としての未墾地が、先ほども御指摘のように十分あるわけでございますが、その上におきまして国営なり県営パイロットを進める、こういうことになりますので、その方の問題はないわけでございます。新しい地区で、買収の進展していない地区国営なり県営なり団体営のパイロット事業をやるということに相なります場合は、地元におきまする県なりあるいは町村なり、そういうもののあっせんによりまして、円満に調整のついたところから国営パイロット事業なり団体営をやるという考え方でおります。  なお土地取得の問題につきましては、未墾地でございますが、これにつきましては、農林漁業金融公庫からそういう取得資金の融資の道を開くということにいたしております。
  27. 安井吉典

    安井委員 資金準備は十分あるというふうにお考えでしょうね。
  28. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ただいまの三十七年度採択いたしまする国営なり県営地区の分につきましては、十分公庫から行なえる、こういうふうに考えております。
  29. 安井吉典

    安井委員 次に既入植者営農振興対策の問題に移りたいと思いますが、この施策の対象を明らかにするという意味で、先ほども触れられましたけれども、農家区分の問題があるわけです。この答申をよく読んでみますと、その区分のあり方につきましては、「本人の希望、営農の現状及び将来の可能性等を勘案し、一定の基準により、学識経験者等も加えた一定の機関の意見に基づいてこれを決定する。」というふうにあるわけです。この答申のような行き方でいくといたしますと、農家区分というようなものが施策を生かすも殺すも一つの大きなけじめになるというふうな気がするわけでありますが、その「一定の基準」あるいはまた「一定の機関」というふうな言い方、これについてのお考えをさらに明らかにしていただきたいと思います。
  30. 庄野五一郎

    庄野政府委員 先ほど御答弁申しましたように、三十七年度におきましては、開拓者の実態をよく調祝いたしまして、さらにその上に標準設計基準というものを作りまして、その基準によりまして振り分けする、こういうことになるわけでございまして、その基準作成段階において、来年度二百地区程度をテスト的によく調べて、その中におきまして実態に即応した基準をきめる。そういう基準を作りまして、さらに、先生から先ほどお話がありましたような、将来の問題としまして、学識経験者等も加えた一定の機関を設けまして、そこでその機関の意見に基づいて基準をきめる、こういうふうに考えております。
  31. 安井吉典

    安井委員 その「一定の機関」というのはどこに置くわけですか、新たに設けるわけですか。
  32. 庄野五一郎

    庄野政府委員 県段階におきまして、県庁の中にこういう諮問機関といいますか、一定の機関を作りたい、こういうように考えております。
  33. 安井吉典

    安井委員 今の「一定の基準」という言葉に当たるわけであろうと思いますが、この答申の中には、近傍における中庸程度の専業農家の生活水準というふうなのが一つ基準基礎になるような表現がなされているわけでありますが、具体的にはどういうものをさすわけですか。
  34. 庄野五一郎

    庄野政府委員 具体的と申しますと、まだ、その開拓地近傍ということで具体的にその開拓地ごとに大体そういうものができるわけでございますが、抽象的にはこういう表現をいたしております。実施段階におきましては、各開拓地近傍の水準、こういうことに相なりますが、大体県段階におきまして、そういうものについて県の内部事情をよく実態的に把握して、近傍中庸専業農家基準というものを打ち出していきたい、こういうふうに考えております。
  35. 安井吉典

    安井委員 それはあとでさらにまた触れることにいたしまして、大体この農家区分はやってみなければわからないわけでありますが、一応農林省でこの三つの分類に全国の開拓農家がどういうふうな割合で振り分けになるだろうというお見通しを持っておられるか。その点を一つ伺います。
  36. 庄野五一郎

    庄野政府委員 実態調査をことし三十七年度においてやりまして基準を作り、それによって三十八年度から逐次実態調査が済んだところから仕分けをしていくということに相なろうと思いますが、今のところどういうふうな見通しになるとかいうことのはっきりしたものをまだ持ち合わしておりませんので、ただいま見通しを申し上げる段階に立ち至っていないわけであります。
  37. 安井吉典

    安井委員 そこで各類に分けられた農家に対する対策の問題をずっと見ながら伺って参りたいと思うのであります。  第一類農家というふうに答申で区分されている人たちに対する政府のお考え方でありますが、ここにはすでに営農が確立しているということが第一類農家のけじめになるようであります。これは調査をしてみなければわからないというふうなことになるかもしれませんけれども、しかし営農が確立ということは、調査ということじゃなしに一定の考え方というものがあると思うわけでありますが、確立しているかしていないかという見方の基準をどういうところに置くというふうなお考えでございますか。
  38. 庄野五一郎

    庄野政府委員 答申にもございますように、近傍の専業農家中庸程度規模の生活水準にひとしい農業所得を得ている、こういったものが基準になるわけでありまして、具体的にはそういう近傍の専業農家の大体中庸の規模というところ以上に達しておれば第一、類というふうに判断し仕分けする、こういうふうに考えております。
  39. 安井吉典

    安井委員 農業基本法のかつての質疑の中に出て参りましたいわゆる自立農家ですか、そういうようなものとこれとはどういうふうに比較してお考えでしょうか。
  40. 庄野五一郎

    庄野政府委員 既入植者営農不振なところは一般の既農家の大体中庸程度の生活水準を維持するような農業所得を得る程度まで持っていくというのがわれわれの今の一番大きな目標でございまして、大体中庸程度に持っていきました上におきまして、初めて農業基本法等によりますいろいろな問題に、一般の農業政策として均構し得る、こういうふうになるわけでありますが、開拓地におきましては、御承知のように非常に不振で、そこまで達していないというのがこれまでの一番の問題でございます。一般の中庸程度まで持ち上げていったら、それからは一般の農家として基本法によりましてさらに営農拡大振興を期していきたい、こういうふうに考えております。
  41. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、一類農家ということで既存農家並みに入れられて、そこで一たんふるいの目を通ったということになるわけでありますが、今度は農業基本法の自立農家でもないとすれば、そこでもう一度農業基本法によるふるいにかけられて、中庸農家であるということでありますれば、おそらくその自立農家というふうなところから遠いのではないかとも思うわけでありますが、そこでまた農業外に転落をさせられる、そういうような新たな農政のふるいの中に乗せられるのではないかと思うわけでありますが、その嫌いかがでしょうか。
  42. 庄野五一郎

    庄野政府委員 自立農家の育成あるいは経営規模拡大というような基本法対象の農政というものにつきましては、一般既農家についてはそういうふるいというものはかけられないわけでございまして、いわゆる既農家全面を対象にいたしまして施策が講ぜられるわけであります。開拓地におきます開拓君につきましては、その段階まで持ち上げていくというのが先決問題で、その段階に達しますれば、一般の農政として、基本法の対象として営農拡大なり振興がなされるということでございまして、そこでさらにふるいにかけられるということはないと私は考えております。
  43. 安井吉典

    安井委員 私は、どうも今の農政の中では既存農家自体にきわめて大きな動揺が起きているという点をまず指摘したいし、そういうような大きな動揺の中に、今まで開拓者としての保護の中にくるまっていた人たちがほうり出されるわけです。そういうふうなことに一つ問題点があるのではないかというふうな気持がするものですから、今のようなお尋ねをいたしたわけです。それから先の問題になりますと、また農業基本法のときの論争に逆戻りしてしまいますから、そちらの方は進めませんが、この第一類農家というような立場に合った人でも、これは開拓者としての負債をまだ背負っているはずです。その点、かつての開拓者としての旧債の処理の問題につきましてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  44. 庄野五一郎

    庄野政府委員 一類、二類というような仕分けの場合におきましても、負債によります問題がやはり非常に大きなウエートを占めると思います。一類農家というとこになれば、やはり中庸規模のいわゆる所得を得るということに相なりますので、そういう段階におきまする一類農家は、負債については相当程度、自力返還できるなりあるいはその負債の重圧がすでになくて、近傍中庸程度既農家と同じ程度のレベルに達しておるというふうにわれわれは考えるわけです。
  45. 安井吉典

    安井委員 私は今の御答弁ではどうも納得できないのです。つまりもう負債も何もなくて完全なる中庸農家とでもいいますか、そういうようなところになっておる人だけが一類農家に入れられるのですか。それとも負債はあるけれども、一応生産水準その他の点からいって、もう既存農家と同じだというふうなことでけじめをつけられるのですか。二類から一類への昇格ですか、そういうような場合において、負債というようなものをその区分の基準にされるわけですか。どういうふうにお考えですか。
  46. 庄野五一郎

    庄野政府委員 一類農家と二類の仕分けにおきましては、やはり負債の年々の償還額が農業収入の余剰の中で返し得るという状態において判断されるわけでございますので、負債が済んでおる者もありましょうし、また負債がありましても農業収入の余剰の中で返し得るという者が一類に入る、そういう意味におきまして、負債の年々の返還額と農業収入がどうなっておるかということが、一類、二類の仕分けの一つのファクターにはなろうかと思います。
  47. 安井吉典

    安井委員 もう一度重ねて伺いたいわけでありますが、一類農家になろうという立場の人を考えてみますときに、その人の生産的な状態からいいますと、これは従来の既存農家と比べて遜色がないといわれる場合におきましても、その開拓農家は大きな負債を持っていたということになりますと、その負債の償還額をオーバーする生産体系の中に彼がなくては、既存農家と太刀打ちできないわけですね。つまり負債を何にも持っていない既存農家と比べた場合には、その人よりもよけい所得水準が高くなくては、その人の場合は経営は成り立っていかないわけです。既存農家と相互していく場合に。その点を一つ重ねて伺いたいと思います。
  48. 庄野五一郎

    庄野政府委員 負債につきましては年々の償還額があるわけでありますが、年々の償還額を償還いたしまして、なお近傍中庸農家と同じ生活程度ができる、こういうように解しておりますので、御心配の点はないかと存じます。
  49. 安井吉典

    安井委員 その点今の御答弁でだいぶ明らかになって参りましたが、そういうふうな行き方が一つと、それからもう一つは負債そのものをたな上げして、それから一類農家というような姿にさせていく行き方と二通りありますけれども、いずれにいたしましても負債というハンディキャップを持って一般農家の中に入っていかなくてはならないというその実情だけは、区分なり今後の施策の中に十分気にとめてやっていただかなくてはならない問題だと思います。そこでそういうふうなハンディキャップを持っているという問題から、既存農家の中に入りましても、すぐには同じレベルで進んでいくというわけにもいかないのではないかということも予想されますので、たとえば農業近代化資金等にも特別なワクを総合農協の中に設けて、これらのいわゆる昇格農家ですか、そういうようなものに配慮するというようなお考えはありませんか。
  50. 庄野五一郎

    庄野政府委員 先ほど申しましたような農業収入の余剰をもって年々償還額が償還できて、さらにかつ近傍の事業の中庸規模農家と同じ生活水準程度であるということに相なりますので、特に近代化資金の中で開拓のワクというものを作る必要はなかろうかと私は考えております。
  51. 安井吉典

    安井委員 その点さらに御検討願いたいと思いますが、なおこの一類農家はその開拓地域におけるおそらく指導的な農家ではないかと思うわけです。それだけにその人が、いわゆるリーダー格の人が——それはまあいろいろケースはあると思いますが、そういうようなリーダー格の人が同じ開拓者のグループの中から抜け出た場合に、その地域がうまくいかないといったようなケースも予想されます。特にその地域に一類農家、二類農家、三類農家——三類農家は別な扱いにされるようでありますけれども、それがまじり合って営農あるいは生活形態がある場合、そういうような場合にそういう点予想されるわけでありますが、その点はお考えになっておりますか。
  52. 庄野五一郎

    庄野政府委員 一類農家になったからと申しまして、どこかへ行ってしまうというわけではございませんので、やはり今までのところで営農継続するわけでございます。ただ振興対策の対象から卒業生として一般の農政の指導の方にまかせる、こういう程度でございまして、その地区から、一般農家へ入れてしまって、開拓者の人的な結集、そういうものから全然抜け出すということは考えられないわけでありまして、従来通り開拓地区におきまする指導的地位——もしその人がその地位にあるとすれば、その点については御指摘のようなことはないと存じております。
  53. 安井吉典

    安井委員 その点、これは開拓農協の経営の問題に関連してくると思うのでありますが、それは後に触れることにいたしまして、次に新営農振興計画の問題であります。これはいわゆる二類農家対策ということに問題点がしぼられるわけでありますが、先ほどもちょっと問題を申し上げましたように、二類農家内容につきまして近傍における中庸程度の専業農家とほぼ同一の生活水準を維持し得る程度所得水準というのが目標とされておりますが、これはたとえば一口に言ってしまえば大へん貧乏な寒村の中に開拓地があった場合、それから比較的富裕な農村の付近にその開拓地があった場合、そういうような場合で、いわゆる中庸農家というような考え方基準が変わってくるような気がするわけです。特に、大体におきまして開拓地は山奥にあることが多く、従って近傍の既存農家も比較的所縁水準の低い農家が多いのではないかと思います。ですからただ単にこういうふうな言い方でありましては、日本農業全体の姿の中から貧農作りをするのが目標だというように見られても仕方がないわけです。ですから私はもっと具体的に内容を解明していただかなくてはならないと思うのです。だからむしろ私は一定の所得水準とかあるいはまたそういうものを一つ目標を立てて、それ以下とかそれ以上とか、そういう基準の立て方でないと、問題の積極的な解決にならないというふうな気がするわけです。その点いかがですか。
  54. 庄野五一郎

    庄野政府委員 三十七年度におきましては、そういう二百地区を選びましてそういう仕分けの基準を作りたい、こう思っておりますが、その段階におきましても御指摘のように近傍類似という近傍をあまり小さく考えると、先生の御指摘のような弊害も出るかと思います。そういう点についてはもう少し弾力的に、県等が中心になりまして、やはり県全体の中庸規模といったような毛のも一つ基準になろうかと思います。またそういうものを参考にして開拓地の大体中庸程度農家の所属はこのくらいあるというような点は考えられると思います。そう小さな地区近傍類似というものを考えようとは思いませんし、またそういう方向でやりたい。特に二百地区で今年やりますテストによりまして、そういう点はもっと実態に即応するように処理いたしたいと考えております。
  55. 安井吉典

    安井委員 その点さらに申し上げたいわけでありますが、私は北海道農家に九州の水準を当てろとかそういうふうな言い方で申し上げているのではなしに、ただ単に近傍農家というふうなあいまいな表現であってはいけないので、むしろ積極的なレベル・アップを、国全体の開拓農家の水準をここまで上げるのだという、そういう意欲的な水準というものを一つがっちりと設定をしていただくということ、それが最も合理的であり、そうならなくてはならないと思うわけです。その点重ねて、これからの作業の過程の中から出てくる問題でありますけれども、−一つ意欲的な御意図というものをお示しいただきたいと思います。
  56. 庄野五一郎

    庄野政府委員 答申の線がございますので、答申の線に沿って十分、三十七年度からのテスト的な調査をやります線に準じて考えていきたいというふうに思っております。
  57. 安井吉典

    安井委員 自分の方に都合のいいときだけ答申を使って、前進する場合には答申の方は骨抜きにして問題を進めようとする。どうもまた選挙制度調査会答申と似たような扱いになるのではないかと思うのですが、いずれにいたしましてももっと積極的に、これだけ引き上げるのだという意欲が、私は施策の中に現われてこなくてはならないのではないかと思うわけです。その点特に要望しておきます。  次に、この答申の書き方といたしますれば、受け入れ体制の整備された地区から実施をしていくというふうに書かれているわけでありますが、農林省のお考えとしては、先ほどプリテストなどをおやりになるというお考えを伺ったわけでありますけれども、大体いつごろまでにこういったような作業をお進めになるおつもりか、その点一つ
  58. 庄野五一郎

    庄野政府委員 プリテスト的にやります二百地区調査なり、あるいは経営の診断等をやりまして基準を作っていくということにつきましては、三十七年度で準備を完了して、三十八年度から受け入れ体制のできたところから五カ年計画で新営農振興計画を立てていく、こういうことに相なろうかと思います。
  59. 安井吉典

    安井委員 私が申し上げたかったのは、少し言葉が足りないわけでありますが、その受け入れ体制が整ったところといういい方によりますと、全体的な作業の中で進むところとおくれるところが出てきやしないか、そういう心配をいたすものですから私申し上げたわけです。その点はいかがですか。
  60. 庄野五一郎

    庄野政府委員 従来の振興臨時措置法によりまして一斉に発足いたしました経験から申しますと、やはり実態を究明して十分実行可能な計画を立てて、それによって着実に実施していくということが答申の線かと思いまして、拙速をとうとぶということだけでなしに、実態に即応した計画を着実に進めるということが大事だと思います。それでプリテストの結果、地区ごとに新営農計画ができましたところから着実に実施していきたい、こういうふうな考え方でございます。
  61. 安井吉典

    安井委員 お考えとしてはそれでけっこうです。しかし作業ができないからいつまでもぶん投げておくということではいけないと思います。つまり現地によって非常なアンバランスができてくるおそれがあると思うわけです。その点、おくれているところはせかすとか、そういうような御努力をされないと、早い者勝ちというふうな印象を受けるものですから、私特にそういうことを申し上げたわけであります。  ここで「個々の農家を指導してゆく開拓者の自主的組織を検討する」という言葉があるわけでありますが、これはどういう意味ですか。
  62. 庄野五一郎

    庄野政府委員 今、開拓者の団体といたしましては、地区ごとに大体開拓農協がございますし、県には県開運、それから中央には全国開拓連というような組織がありまして、経済事業を中心として、その他行政的な事務や融資、そういうことをやっておるわけでありますが、そういう開拓者の自主的な団体についての方針かと存じます。
  63. 安井吉典

    安井委員 つまりこれは、これからあとに出てきます開拓者団体を受けるというか、開拓農協をさしているわけですね。
  64. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ここに書かれましたのは、開拓農協の、いわゆる経済事業なり、あるいは融資をやる団体ももちろんでございますが、なお、審議会におきまして審議されました経過から申しますと、営農促進協議会というようなものもそのワクとして議論された、その経緯から考えますと、そういう点も答申としては一応含まれるのではないか、こういうふうに考えております。今、自主的に営農の促進協議会というようなものをもって、営農の振興その他のことをやっております。そういう点も含まれるかと存じます。
  65. 安井吉典

    安井委員 それを再検討するということですね。
  66. 庄野五一郎

    庄野政府委員 そういうことでございます。
  67. 安井吉典

    安井委員 営農振興計画の樹立にあたりまして、もう少し経営の共同化といったような問題にまで進めていく、たとえば類型の立て方等の場合に、そういうような問題にもう少し積極的に取り組んでいくという御意向はありませんか。
  68. 庄野五一郎

    庄野政府委員 戦後の緊急開拓時代には、共同経営といったような開拓地もずいぶんあったわけでございますが、営農が進みますにつれまして、そういった共同経営から個別経営になった経験もございますけれども、新しい今後の開拓地一つあり方といたしましては、やはり開拓地におきましては既農家等に比べまして経営面積も比較的大きいところが多いわけでございます。今後の経営といたしましては、やはり機械力を入れていくというようなことが、営農の促進なり振興に非常に大きなウエートを占めるのではないか、こう思って、中型のトラクターの補助とか、あるいは小型トラクターの購入補助、そういうことを進めておるわけであります。いわゆる機械導入に伴いまして、作業なりあるいは経営が進みますか、とりあえずは作業共同化を進めていきたい、それを中心にいたしましてさらに高度の経営の共同化ということに進んでいけるものは進めていきたい。さしあたってはやはり機械力中心といたしました共同経営、あるいは畜産を入れました場合の共同飼養というような部分的な共同化からさらに新しく開拓地の振興を進めるべきであるという考えでおります。
  69. 安井吉典

    安井委員 これは開拓農業だけではなしに、日本農業全体にいえることでありますが、構造をより強めていくという上からいいますれば、やはり規模の大きい機械も入れなければならぬし、あるいはまたこれから草地の造成とか、そういったような問題と取り組んでいかなければならないわけでありますが、その場合におきまして、やはり構造を強める方向としては共同化よりほかないと思います。そういうような意味で共同化の問題がもっと検討されなくてはならないわけでありますが、もちろんこれまでも開拓あるいは既存を問わず、共同化の問題には功罪があったと思います。しかしながら、そのよりよい方向をとって、全面的共同化ができるところはそれでいいし、そうでない部分的な行き方ができるところはまたそれでいくというふうなことで、いずれにいたしましても構造をより強めていくというような方向で共同化の問題を営農類型の中に十分示してお進めになるお考えでやっていただきたいということを要望していきたいと思います。  今も触れましたように、開拓の場合に畜産の問題、特に乳牛は現在開拓地におきまして非常に大きな伸びを見せておるようです。全国乳牛の一四%くらいを占めて、その成長ぶりは実に著しいわけでございます。そういうような意味からも、今後やはり開拓方向は草地の改良造成だとかあるいはまた畜産開拓だとか、言うならばそういったような方向に進めるべきだという気がいたすわけであります。その点政府のお考えをお伺いいたします。
  70. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘の通りだと思っております。先ほどから申しますように、新しい開拓地におきましては畜産、果樹を中心にして、従来の主食偏重を改める、こういうような感覚で営農設計をいたしております。なお不振地区対策、既農地入植者対策にいたしましても、今まで臨時措置法でやって参りましたが、これにつきましても畜産あるいは果樹といったような成長農産物中心に置いた振興計画を立ててそういう方向に誘致するということでやっております。今御指摘のありましたように非常に大きな畜産の伸びを示しておりますが、なお九州、四国というところでは果樹の非常な大きな伸びを示しております。御指摘の通りにわれわれとしては今後の計画を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  71. 安井吉典

    安井委員 つまり従来の開拓営農方式がマンネリズムに陥らないで、新しい改善の方向をたどるような方向で十分御検討を願いたいと思うわけであります。  そこでこの答申の中には、「営農振興対策実施するに当っては、国の行なう建設工事営農の基本施設に対する助成及び融資、負債の償還条件の緩和等すべての施策が有機的関連をもって総合的効果を発揮するよう実施されなければならない。」こういう表現がされております。これは今までの開拓行政の、いわばばらばら行政と悪口を言われたような面があったことに対する指摘であり、そういうような反省から新たな施策というものが進められなくてはならないと思うわけであります。あるいはまた特に営農指導と生産装備といいますか、そういうようなものを有機的にかつ計画的に推進することが同時に必要になってくるわけであります。こういうような点につきまして従来の反省から、今後こう進みたいというふうな御意図を明らかにしていただきたいと思います。
  72. 庄野五一郎

    庄野政府委員 戦後の緊急開拓時代におきましては、御指摘のように建設工事がまだ十分進んでいないのに、戦後の引き揚げとかあるいは帰還者とかそういう人の収容を非常に急いだために、まず入植者の方が先に入って基幹工事の方がおくれがちだという弊は御指摘の通りでございます。振興対策を立てる段階におきましてもそういうことのないように、基幹工事なり建設工事なり、あるいは補助によりますいろいろな環境整備の問題なり資金の問題なり、これが有機的に総合効果が現われますように統一的にやろうということで進めておるわけでございます。今後の新しい営農計画を立てます段階におきましては、さらにそういった従来の弊がないように格段の指導と注意を払って参りたい、こういうように考えます。
  73. 安井吉典

    安井委員 北海道でも、継続地区建設工事の残事業費は百三十五億円に及び、かっこの中には戦後緊急開拓に始まって今なお未完成の地区が数多く含まれておるということも聞いております。十五年にもなっていまだに完成ができてないという建設工事進め方は、その地域に住んでいる人だけではなしに、第三者的に見てもこれは少しお話にならないような事態ではないかというふうな気がするわけであります。こういうのが今までの開拓の実態であったと思うのでありますが、現在の全体的な建設工事の進捗状況はどういうようになっておりますか。
  74. 庄野五一郎

    庄野政府委員 建設工事につきましては、新しい地区建設工事と、振興対策としてすでに入植等があっておりまする地区建設工事、こういうふうに大きく分けられておりますが、振興対策建設工一事といたしまして、内地、北海道を合わせまして、継続分でございますが三十七年度の予算を入れまして六八%、大体七割弱程度に達しておると思います。なお残事業の早期進捗につきましては、三十八年度以降特段の努力を払って参りたい、こういうふうに考えております。
  75. 安井吉典

    安井委員 とにかくいろいろ今までの開拓のおくれやあるいはまた問題点の原因というものはたくさんあると思いますが、この建設事業が全体的におくれているということが重大な欠陥であるというふうに考えられます。その点、今やっと六八%程度ということでありますが、新方式もいいわけでありますけれども、今までかかっている地域についても今度再検討が行なわれると思うのですが、まず建設工事を著しく進捗させるということ、こういうことに第一の観点をお置きいただかなくてはならないと思うのです。また従来は振興計画そのものに問題があるし、また振興法予算の制約が多くて必要な工事をやれないという姿にもなっていたわけです。今までの古い計画の中でも、経済情勢の変化でもうすでに要らなくなったような建設工事等もあると思うのです。ですからそういうようなものは除いて、振興法に今まで十分に措置されていなかったような、飲料水の問題だとかあるいは電気だとか道路だとか、そういう新たな問題をも加えて全体的な計画を立てるべきだし、また面積の問題にいたしましても資金の問題にいたしましても、やはり今全体的な再検討が必要な時期だと思うわけであります。そういうようなことでこれからの標準営農類型といったような問題に農林省はかかられるのだと思うわけであります。またそういうような立場でかかっていただかなくてはならないと思うわけです。その場合に私特に申し上げたいのは、生活環境の改善という面に一つ十分意を用いていただきたいということです。ことしのお正月に北海道の下川町という町の開拓者の人たちと話をしたことがありますが、幹線道路から千メートルもその人のうちは引っ込んでいるわけです。それを私道でつないでいる。それをきっちりした道路にすればいいわけでありますけれども、それをつけるお金が十分にないので、畑の中をいまだに歩いている。雨が降ればぐちゃぐちゃになって、お祭りになっても娘たちが晴れ着を着て町に出かけることもできない。酪農をやるなんということは思いもよらないことだというようなことをこぼす人もおりました。あるいはまた水がなくていまだに川の水を飲んでいるという農家もありました。まあわき水を利用して水道を引くというようなことも考えられてもいいけれども、しかしそれだけの十分な金はないし、またある人はいまだに自分のうちには電灯がつかないのだということを言いました。開拓地は六〇%補助でつくわけでありますけれども、北海道は九万円ですか、何としてもそれじゃとてもつかない。つかないということになりますと、四〇%の自己負担の上にさらにまた単価不足の分も本人がかぶらなくてはいけない、そういうようなことではとても今までの大きな負債の上に資金措置はつかない、こういうような話も聞きました。これが戦後十数年たった現在の開拓地の人々の話であるわけです。ですから今後の新しい営農計画の立て方の中にも、生活環境の改善の問題にもっともっと力を入れられてよいのではないかと思うわけです。その点一つ政府のお考えを伺います。
  76. 庄野五一郎

    庄野政府委員 建設工事につきましては、御指摘のようにその後農業事情なりあるいは経済情勢の変化ということもございまして、継続分については十分手はずをして、やはり新しい観点から建設工事を進める、継続地区建設工事を進める、こういうふうな計画で進めております。  なお生活環境の問題でございますが、住宅につきましては、いわゆる三千円住宅の解消ということで昨年から実施して、これをさらにこの計画を進めたいと考えております。また電気施設につきましても、今未点灯の農家計画の立っているものというものから来年は一万五千戸の電気導入をはかる。それから飲料水につきましても、建設工事あるいは付帯工事あるいは小団地工肝あるいは補助工事としての飲料水の工事、そういったものをできるだけ予算措置を講じまして、飲料水の不自由のないように進めていきたい、こういうような考え方で特段の努力を払っておる次第でございます。
  77. 安井吉典

    安井委員 きょうはこまかい問題に触れるつもりはありませんが、ただ、今の無灯家地帯解消の問題であります。これは単価が少な過ぎるという不平を北海道ではずいぶん聞くわけでありますが、対策はございませんか。
  78. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ただいまのところ一戸当たり九万円ということになっておるわけでございますが、三十七年度予算におきましても、この問題について大蔵省と折衝をいたしましたが、なかなかうまくいかない。特に最近はつきやすいところがついて、御指摘のように非常に奥地のところは単価が上がるわけでございまして、またつきにくい、こういう事情がありまして、三十八年度においては何らかそういう点の打開の道を開きたいということで今一生懸命研究しておる段階でございます。
  79. 安井吉典

    安井委員 せっかくある制度がほんとうに困っておるところに活用されないということであっては死んだものにもひとしいわけです。その点、それは地域の特殊性があって一がいには言えないかと思いますけれども、しかしそういうような地域もあるということであれば、そこに適合するような施策を進めるべきだと思います。御努力をされるおつもりというように伺うわけでありますが、一つせっかくお進めいただくようにお願いしたいと思います。  次は第三類農家の問題でありますけれども、これは、どうせこの答申でも一番最後の方になっておりますので、最後に触れたいと思いますが、その前に開拓者団体についてこの答申は相当なページ数をさいて書いておるようであります。ただ内容を読んでみますと、今後の開拓者団体の支柱を開拓農協に置くのか、あるいはまた総合農協に置くのか、その点がちょっと理解できないような書き方になっておるようにも思います。開拓農協の問題につきましては、ここに(イ)(ロ)(ハ)と三つの場合をあげておるようでありますが、現在の開拓農協と総合農協との関係をこの三つの型の中にはめ込むという御意図であるのか、あるいはまたその三つの型は例外的な場合で、本筋は開拓農協でいくというのか、その点読み方でどうにもとれるような気がするのでありますが、あるいはまた私の読み方が悪いのかもしれませんが、一つお話しを願いたいと思います。
  80. 庄野五一郎

    庄野政府委員 開拓者団体につきましては、審議会におきましても非常に論議がありまして、特に小委員会等も作りましていろいろ討議された形でございます。大体この(イ)(ロ)(ハ)の三つの形でいこう、こういう考え方のように承知いたしております。
  81. 安井吉典

    安井委員 私がお聞きしておるのは、(イ)(ロ)(ハ)でわかるわけでありますけれども、本筋はどっちでいくわけです。その点から……。
  82. 庄野五一郎

    庄野政府委員 一本立ちのできるものは当然一本立ちしてもいいじゃないか、それからいわゆる一本立ちのできないような、あるいは経営団体の規模の三十戸未満というような、いわゆる弱小と言われます規模開拓農協が八割程度占める、こういったように非常に大きくございますが、その中でやはりその処理をどうするか、これを合同して一本立ちのできような単位農協に進む場合もありましょうし、またそれぞれの開拓農協が近傍の総合農協に委託をする場合もありましょうし、あるいは吸収されて合併する場合もありましょう。合併する場合におきましても、一般農協の受け入れ態勢が整わなければなかなかこの段階には進まないという受け入れ態勢の問題もございまして、一がいにどれだというわけには参りませんが、今後営農の振興をはかって、個々の開拓者の力がついていきますれば、単位農協につきましてもやはりこれは力がつく、また団体が強くなれば個々の農家の振興も進む、こういう相関関係にあろうかと存じますけれども、今後の問題といたしまして自主的にやはり相当開拓団体の中にも意見がございまして、この点については今後さらによく実情に即して検討していきたいというふうにわれわれは考えております。
  83. 安井吉典

    安井委員 今おっしゃった点でありますが、「開拓農協であって、財務ないし事務執行体制が不備で、経済事業及び金融事業を行なうことが適当でない組合」というここでの答申の中の書き方があるわけでありますが、私お聞きしたいのは、そういうような場合の処理、これを政府の方が積極的に今おっしゃったような方向を上からおとりになるおつもりなのかどうかということです。というのは、ここで不備とかあるいは適当でないとかいう表現がありますけれども、これは客観的に何か判断の基準がありませんと、主観的なものにまかせておいたら、だれも自分の方が不備だとかあるいは不適だとか思わないというようなことにもなるわけです。ですからそういうようなことではなしに、ただこういう書きっぱなしでありますと、やはり末端の組合の方は、一体政府はこういうようなことで本腰を入れて整備統合に乗り出すのかあるいは自主的な姿でまかせるのか、それがはっきりしないもので混乱を起こすというおそれもあります。その点いかがですか。
  84. 庄野五一郎

    庄野政府委員 政府といたしましては、従来単位農協につきましては財務整理が非常に悪いということで、いわゆる経営内容の、特に財務整理の補助金を出してそういう財務整理をやっていく、あるいは弱小で非常に分散しておるといりところには合同事務所を設けていく。それも一昨年から予算をつけておるわけであります。そういった点で補助なり指導はいたしますが、自主的な団体のことでございますので、やはり自主的にどうしようかという意欲と、われわれの方からどういうふうにやったらいいかというものがマッチしなければならぬかと思いまして、その点はよく開拓者団体なり開拓者の意見等も徴しながら、われわれとしてはやっていきたい。上から天下りにおろす、そういったような感覚は持っておりません。これは開拓者あるいは開拓者の団体とよく協議をいたしまして、その妥当なところに持っていきたい、こういうふうな考えを持っております。
  85. 安井吉典

    安井委員 総合農協への事務委託というのを推し進める方向と、それから合同事務所といいますか、そういうふうな方向にいくのと、ウェートをどちらにかけてお進めになる御意向ですか。
  86. 庄野五一郎

    庄野政府委員 そういう点につきましては、審議会においても論議されましたけれども、割り切れておりません。われわれといたしましては、今後開拓者団体の意見等もよく聞きながら、実情に即してやりたいということで、どちらにウェートを置くということを割り切るわけには参らないかと思います。
  87. 安井吉典

    安井委員 その点いろいろと問題があると思いますけれども、しかしこれは十分御検討をいただかなくてはならない問題で、私も従来のいきさつはよく知りませんが、やはり末端ではすでに若干の混乱が起きているようにも聞くわけです。早めに御検討の結果を明らかにすべきではないかというふうに思うわけです。    〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕 開拓農協等の問題につきまして、第三者的に考えてみますと、開拓者の人たちの率直な気持としては、既存農家に対するある種のコンプレックスというものがやはりあると思うのです。そうしてまた同じ開拓という目標に向かって進んでいる開拓者農家は、開拓者農家同士でお互いに親身になって問題を見る組合がほしいという気持もあると思います。総合農協に移ると、自分たちの力が弱いだけにまま子扱いにされはしないか、あるいは組合の事務所なども開拓地から離れた町の中に行ってしまって開拓地は忘れられたようなことになりはしないかという心配があるのも、無理からぬことだと思います。そうかといって四人や五人の組合員しかいないような弱小組合を許すわけにも当然いかないわけだし、また財政力は何としても総合農協の方が強いということは言えるわけです。一方総合農協の立場から言っても、山のような借金をかかえて力のない開拓農家をかかえ込むということをしんから歓迎をするということでもなかろうと思うわけです。そこに問題があるわけです。問題がありながらもなかなかけじめをきめかねているという実際の姿であろうと思うのであります。たとい合併をするというような場合におきましても、総合農協の中に開拓の方を専門に担当する部門を設けるとか、そういうような措置も必要だし、あるいはまたその他独立の場合にも力の弱い開拓農協の方が自立できるような、そういうふうな体制に対する国の援助も必要だろうと思うわけです。その点を一つ伺いたいし、さらにまた一たん整備統合がなされたあと開拓農協の事務処理機構をどうするか。これの場合でありますと(ロ)の場合ですか、その場合におきましても具体的な対策というものがやはり政府になくてはならないと思うわけであります。その場合に政府の方では、まあ何か助成をやるというふうなお気持であるのでしょうか。特に経済事業や金融事業というようなものがなくなった開拓農協の場合には、今までの開拓農協とこれは全く異質のものになってしまうということにもなろうかと思うわけであります。機構が縮小されることで混乱が起きるだろうし、その組合の経済的な基礎がゆらいでしまうというおそれもあるわけです。これらの全体的な方向——合併やあるいは統合というふうな方向でいくにしても、あるいは独立の方向でいくにしても、非常に問題が多いわけです。これらも一つ全体的な処理の方向として、現在のお考え一つ伺いたいと思います。
  88. 庄野五一郎

    庄野政府委員 団体問題としてここに答申の線が出ておるわけでございまして、この線に沿ってわれわれといたしましては至急団体問題の検討をやって実情に即して進めていく、こういう段階でございます。反省してみますと、戦後の緊急開拓時代からの例でございますが、開拓者の問題につきましては、今までの大体の方向というものが市町村と非常に遊離しているというような点も非常に反省されるわけでございまして、やはり市町村が自分の村の中の一つの農政として開拓者のめんどうを見るという体制も、一方においては進めなくちゃならぬ。そういう意味からも、いわゆる新しいパイロット事業というものは、県なり市町村なりが中心になって、いわゆる新しい村作りをやるという意味において開拓を取り上げていくということになるわけでございますが、既入植者の問題につきましても、当然村なり町なりの行政として十分この開拓者のめんどうを見るという方向に持っていきたい、こういうふうに考えるわけでございます。また開拓農協の一般農協との合併の問題、あるいは独立していく問題、それぞれの段階におきまして、合同事務所を設けてやるというようなことで検討いたしておりますが、合併後のとういうような援助をするか、あるいは独立する場合にどういうふうな援助をするかという点については、今後なお十分検討いたしたいと考えております。
  89. 安井吉典

    安井委員 まだ検討段階だそうでございますので、私も整理した形で質問の要点を申し上げなかったわけでありますけれども、先ほど来繰り返しますように今度の新制度への移行といいますか、そういうような場合においてもこの点は非常に重要な問題になってくると思いますので、一つきょうはそのくらいにいたしまして、十分な御検討を特にお願いを申し上げておきたいと思います。  なお開拓農協の連合会に対する必要な助成というふうな表現がございますが、これはどういうことですか。
  90. 庄野五一郎

    庄野政府委員 連合会には、御指摘のように県の連合会と全国の連合会とございます。特に県の連合会等につきまして、今取り扱っておりまするいわゆる購入物資あるいは開拓者の生産物の販売といったような点も全国的に取り扱っておるわけでございますが、そういう点につきまして、品目をしぼるとか、さらに一般農協との関係をどう整理するか、そういった連合会の事務の合理的な運営というような点を、今申しましたような点からよく検討してみよう、こういうふうに私たちは了解しておるわけでございます。そういう点につきましても開拓者の自主的な団体であります開拓の連合会あるいは全国連合会等ともよく討議いたしましてあやまちなきを期したい、こういうふうに考えております。
  91. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ————◇—————    午後一時四十六分開議
  92. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。安井吉典君。
  93. 安井吉典

    安井委員 これから主として旧債の整理の問題やらあるいは開拓金融の一般的な問題等について触れて参りたいと思います。  開拓農家政府の先ほど来の御答弁の中でも区分を行なわれることにこれからなるわけでありますが、その区分のいかんにかかわらず負債の重圧に耐えかねているのが実情だと思います。特に東北だとか北海道はそういうことが言えるわけで、負債の整理の問題に最も真剣でなくてはならないと思うわけです。この答申の中にも思い切った対策を講ずべきだというふうに書かれているのも当然のことだと思います。いわゆる三法の改正が行なわれて、この問題に対してとにかく手が打たれて今日に至ったわけでありますが、それ以前と以後とで開拓農家の負債についてどういうふうな変化が現われておるか、それをまずお伺いいたします。
  94. 庄野五一郎

    庄野政府委員 開拓者の負債の問題につきましてはかねてからいろいろ検討もし措置もして参った次第でございますが、その大要を申しますと、開拓営農振興臨時措置法におきまして今まで天災資金として抱いておりましたものを改善資金として政府が肩がわりをして借りかえをやったわけでございまして、それにつきまして利子補給をするという措置をいたしたわけでありまして、それの借りかえは全部終了いたしております。それからその後開拓富農振興臨時措置法を設定いたしまして、積極的には振興資金開拓融資の特別会計から貸し出すということに相なりました段階におきまして、政府資金開拓者の負債としては額も一番多うございまして、これの整理ということが問題になりまして、これにつきましては条件緩和の法律を出しまして、政府資金につきましてさらに年々の償還額が開拓者の年々の農業所得の中で返さないというものにつきましては、五年の据置を置いて十五年、それからその程度以下のものにつきましては据置期間なしの十五年、さらにそれらを通じまして政府資金の一本化をはかる、そういうような措置を講じた次第でございます。  なお個々の問題といたしましては、公庫の問題等につきましても、個別の農家につきまして、特に公庫と開拓者の話し合いで条件の緩和等も実施されておる、こういうことに相なっております。  以上でございます。
  95. 安井吉典

    安井委員 現在負債総額はどれくらいになっており、一戸当たりは大体どの程度になっておりますか。
  96. 庄野五一郎

    庄野政府委員 今年度末におきまする政府の貸し出し見込みを含めまして、大体の貸付の残高を推定いたしてみますと、ただいまのところ全額で三百八十八億、こういうことに相なっております。全国平均一戸当たりで二十六万、こういうふうに相なっております。
  97. 安井吉典

    安井委員 政府資金につきまして、現在条件緩和法による措置が行なわれているということの御説明が今あったわけでありますが、この答申の中には、さらにこれを再検討し、再条件緩和も必要だというふうな述べ方をしているようであります。いずれにいたしましても、現在の負債総額を償還しながら営農を確立できるということになりますと、これはもうなかなかなことではないかということが考えられます。つまり、言いかえると、償還を織り込みながら新営農計画を立てようといたしましても、なかなかめんどうではないかというふうなことが言えるわけです。今度の新党農計画の中に旧債償還の問題をどういうふうにはめ込んでいくか、どういうふうな指導をされる御意向か、それを一つお伺いします。
  98. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ただいま申し上げました政府資金の条件緩和の措置を大体三十七年の三月末程度までにはできるだけ手続を進めていく、こういうことに和なりますが、新しい営農計画を立てますにつきましても、そういった点を考慮しながら新営農計画を立てるわけでございますし、また新営農計画につきましても、経営の振興のための新規の貸付もやる、そういうことによりまして新規の農業収入もふえるわけでございますから、そういったものを見合いながら新営農計画を立てる、こういうことに相なっております。
  99. 安井吉典

    安井委員 新しい営農計画を立てます場合には、当然新しい資金が必要になってくるわけでありますが、その場合にやはりじゃまになるのは旧債の問題だと思うわけです。そこで今後の対象になる第二類農家の場合については、答申の中でもあるいはまた先ほど来の政府の御答弁の中にもうかがえるわけでありますが、大体五カ年で完了するという目途で進めるというふうな御意向のようでありますけれども、少なくもその振興計画期間内は政府資金は据置にして無利息とするくらいの、一いわゆるたな上げ措置が必要ではないかと思うわけであります。これは既往債についてはもちろんでありますが、これからの新しく資金を導入する場合においても、やはり対策期間中はたな上げにしたというふうな姿でなければ、なかなかうまく振興計画が進まないのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、その点いかがでしょう。
  100. 庄野五一郎

    庄野政府委員 仕分けをいたしまして第二類農家ということに相なりますれば、先ほど申しましたように、実態調査の上実態に即した新営農計画を樹立いたしまして、樹立いたしましたところからたとえば順次実行するということで計画ができて計画実施に移りますれば、そのときから五カ年以内に、その五カ年間を目途として実施する振興対策を進めたいというような考え方であります。既往の政府資金につきましては、先ほど申しました条件緩和法による仕分けによりまして、五年据置十五年、あるいは据置なしの十五年、そういった条件緩和をやる、こういうふうに考えております。また新しい追加資金につきましては、ただいま実施中におきます不振農家に対しまする振興対策資金というものを政府から貸し出しをする、こういうことに相なるのであります。振興対策資金も五年措置ということに今相なっておりますので、それで対処できる、こういうふうに考えております。
  101. 安井吉典

    安井委員 これは負債の全体的な問題になると思います。ただいまも根幹になる政府資金その他についてのお答えでありますけれども、全体的にやはり対策期間中はもう専念それにかかる。過去の負債あるいはまた新しく借りる負債についても、どのような種類のものについても、一応それに対する顧慮なしに漸次新しい営農に進める、こういうふうな体制をぜひ一つお進めをいただかなくてはならないと思うわけです。もっと進んで、答申の中にも指摘しているような災害復旧のための負債だとかその他農家の責めに帰すことのできないような原因で借りた負債というものが相当あるはずでありますが、そういうようなもので償還不能になっているものは、もう完全にたな上げするというくらいの勇気が政府になくては、開拓振興などはおぼつかないと思うのでありますが、そこまで進んだお考えをお持ちになりませんか。
  102. 庄野五一郎

    庄野政府委員 先ほど申しました農家の負債三百八十八億余ございますが、その中でも最も大きなウエートを占めますものは政府から貸し出しております開拓者資金でございまして、開拓者資金につきまして条件緩和の措置を講じますれば、農家経営というものは、非常な負債の重圧というものは軽減される、こういうふうに考えておる次第でございます。なおその余の公庫資金だとか系統資金だとかそういう問題につきましては、答申にもございますように、今後他の金融機関と十分協議して営農振興に資するように政府としては検討いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  103. 安井吉典

    安井委員 私はこの際、徹底的に、今まである負債の内容だとかあるいはまたそれの投資効果だとか、さらに今後の営農計画の上から、計画を立てても、どうしても償還不能になるというふうなものもあるいは出てくるのではないかと思うわけであります。これはもうそれぞれのケースに従って調査を進めれば、あるいは出てくるのではないかと思うわけでありますが、そういうふうにもつと負債の問題について根本的な御検討お願いしたいと思うわけです。私は、これからのすでに開拓者としてある人たちに対する振興の方向は、営農振興計画の樹立が一本と、それからもう一つはやはり負債対策だと思います。この二つが車の両輪というような形で対策が進められなくてはならないと思うわけです。一方だけがつまずいても、これはやはりどちらにしても目的は達せられない。ぜひこの振興計画と負債対策とは車の両輪だという態度で進まなくてはならないというふうに考えるわけでありますが、その点いかがですか。
  104. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘の通りだと思います。
  105. 安井吉典

    安井委員 それで条件緩和法の改正も必要になってくると思いますが、その点はいかがですか。
  106. 庄野五一郎

    庄野政府委員 今後の新営農計画樹立段階において十分検討して参りたい、こう思っております。
  107. 安井吉典

    安井委員 私は先ほどもちょっと触れましたけれども、この条件緩和措置は一類農家にもやはり必要があるのではないかと思います。現在の所得では何とか標準をオーバーはしているわけです。しかし負債を返していくというと、負債の償還を計画の中に持ち込んでいけば、やはり二類農家と大して変わりがないというような例が出てくるのではないかと思うわけでありますが、一方、その人たちを二類農家として置くよりも一類農家というふうな形にしていくことの方がよいというふうに考えられる場合があると思います。そういうような行き方をするためには、やはり一類農家の負債の問題をもっと積極的な条件緩和措置か何かで講じてあげる、こういうような対策が必要ではないか、この考え方についてはいかがですか。
  108. 庄野五一郎

    庄野政府委員 現在ございます条件緩和法も一類農家には通用されるわけでございますので、そういう適用をした上において、近傍の中庸規模程度の専業農家と同じ生活水準ができるということになりますれば、当然現行のものを適用して参る、こういうふうに考えております。
  109. 安井吉典

    安井委員 その点、もっと積極的な方向でお進めをいただかなくてはならないと思います。  そこで先ほどのお話の中でも、公庫資金についても条件緩和の措置をするというふうなことでありますが、そのためには具体的にはどうされるわけでありますか。公庫法の改正も必要なんですか、その点いかがですか。
  110. 庄野五一郎

    庄野政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、開拓者の負債の重圧の大部分というものは、政府資金によるわけでございますので、まず政府資金の条件緩和をやりますれば、経営余裕というものが出てくるわけでございまして、そういう方向から公庫資金その他の系統資金等は返済していく、こういうことになるわけであります。先ほど申しましたように、個別に公庫資金等で非常に問題があるということになりますれば、個別の問題として、業務方針書にも条件の変更ができるわけでございます。それを活用いたしまして、個別の農家について個別に公庫と協議してやっていくということになります。今後の公庫金融なりあるいは系統資金なりそういう問題については、なお今後の問題として、答申にあります線で検討して、金融機関の協力を求める、こういうことに相なります。
  111. 安井吉典

    安井委員 個別に業務方針書で対処されるというお答えでありますけれども、その個別ということになったり、あるいは口では単に協力を要請するというふうな言い方でありますけれども、そういうのはなかなか思うようにいってないというのが過去の例ではないかと思います。やはりもっとこの点、条件緩和の問題は、政府資金にもちろん資金全体のウエートがあるのですから、それへの対策で総体的には済むというようなことが言えるかもしれませんけれども、個々の例に当たりますれば、やはり公庫資金が非常に重い場合もあるし、あるいは系統資金で参っている場合もあるし、そういうような具体的な問題があるのですから、公庫資金の問題についても、やはりもっと積極的なお気持で、単に業務方針書でやるだろうということじゃなしに、積極的な政府のお気持を現わしていかなくてはいけないと思うわけですし、また系統資金についても条件緩和が必要であり、ここではこの答申の中でも、たしか協力を求めるというふうな表現になっているわけでありますが、具体的にはどうされるおつもりでありましょうか。
  112. 庄野五一郎

    庄野政府委員 個別の問題としてただいま対処する考えでございますし、また、そういう問題が新営農計画を立てます段階におきまして非常に問題になりますれば、協力ということについてはどういう方法で協力するか、ただいまは指導として、個別の問題があったときには、十分その営農振興に資するように業務方針書による条件緩和をやってくれ、こういうふうに申して、またあっせんもしておるわけであります。制度的なものを必要とするかどうか、今後なお検討を要すると思います。
  113. 安井吉典

    安井委員 個人借りの例の高利債でありますが、これについて現在までの措置の状況、さらにまた今後のお見通し、それを一つ伺います。
  114. 庄野五一郎

    庄野政府委員 個人債の高利のものにつきましては、自作農資金で借りかえるということで、振興対策の重要な一環として、大体今年度で全部自作農資金に借りかえが済んでおる、こういうふうに思います。
  115. 安井吉典

    安井委員 残っている新たな問題というのはありませんか。
  116. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ただいまのところはもう残ってない、こういうふうに承知いたしております。
  117. 安井吉典

    安井委員 これらの問題につきましては、まだ全体的な政府措置検討中であるわけでありますが、今後の営農計画だけが本体ではなしに、負債対策がもう一方の柱というふうなお気持で一つ検討を十分にお進めをいただかなければならないと思います。  次は開拓農協の関係の債務でありますが、これまで開拓事業主体となってきたわけですし、また開拓行政の末端事務も扱ってきたわけです。ところが、やはりだいぶ負債を負っているようでありますし、それがまた間接的に開拓農家の方にかぶさっているわけであります。固定化負債だとか欠損なども、これは私も具体的な数字はわかりませんけれども、多いのではないかというふうな気がするわけでありますが、その実情はどういうことになっておりますか。
  118. 庄野五一郎

    庄野政府委員 先ほど御説明申し上げました条件緩和法の実施段階におきまして、開拓農協等の負っております負債等は全部個別化する、こういう方向で整理いたしておりますが、なお開拓農協に個別のできないもの、そういったものもあろうかと思います。まだ数字が明確になっておりませんが、実態をつかんだ上で十分検討いたしたい、こういうふうに思います。
  119. 安井吉典

    安井委員 私は、戦後の開拓事業がそう計画的でなかったということをしばしば指摘いたしたわけでありますが、開拓農協によりましては、政府の指導で自家発電をやったり、木工場をやったり、あるいはいろんな加工場をやったり、そういうものを作ってはなげ、なげてはまた作りというような、いわゆる無効投資といいますか、そういうような部分も非常に多いのではないかと思います。そういったようなものが、開拓農協の負債だとかあるいはまた名目上の資産になっていることで、組合の経営内容を悪くしているというような例が、これは相当あるのではないかと思います。その点、まだ政府の方も具体的な調査が進んでいないということでありますが、そういうような実態をやはり十分に把握していただかなくてはならぬと思うわけです。それによって次の新しい対策が生まれてくるわけであり、個々の農家に対する対策だけじゃなしに、このような開拓団体に対する対策も、やはり同時に進めるべきだと思うわけでありますが、そういうふうな結果が出た場合に、その実情がつかまれた場合に、これから新しい出発の段階でありますので、特別立法でも作るか何かして、過去のそういうふうな固定化債務だとか欠損などを全面的にこの際整理する、そういったような措置も必要ではないかと思うわけでありますが、御見解はいかかでしょう。
  120. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘のように、共同発電というような問題等も過去にはあったわけでございまして、すでに今日の段階におきましても、個別に、そういうものの問題については、特にはっきりいたしておる分については、公庫等のあっせん等についてどういうように処理するかという点はいろいろ措置いたしておるわけであります。答申にもございますように、特別の措置が望ましい、こういうことに相なっておりますので、実態を明確にいたしまして、そういう問題の処置については対処いたしたい、こういうふうな考えでございます。
  121. 安井吉典

    安井委員 とにかくまだ実態をおつかみになってない上での問答ですから、きょうここでどうということにはならないかと思うわけでありますけれども、今の段階でそういう実態を十分におつかみになってないということ自体に、私は問題があると思うのです。開拓政策も今始まったわけじゃないのですから、そういうようなのは、政策の柱になる統計資料としていつもおつかみになっていて、いつでもそれに間に合うような態勢をお作りになっているのがやはりほんとうじゃないかと思うわけですが、今はちょうど一つ転換期ですから、この場合におきまして、一つ十分な御検討と、それに間に合う対策を立てていただきたいと思います。  なお、私が今開拓農協というふうな言い方をした場合に、開拓農協の連合会も、この同じ言い方の中に含まれると理解して差しつかえないわけですね。
  122. 庄野五一郎

    庄野政府委員 条件緩和法の適用をいたしまして、開拓者に転貸ししているようなものにつきましての個別化を二年がかりで整理いたしておる段階でございまして、そういう組合に残ります債務というものも、開拓農協のみならず連合会においても明確になっておる、こういうふうに承知いたしております。
  123. 安井吉典

    安井委員 過去の処置についてはたびたび伺いました通りですが、これからの新しい段階において、単位開拓農協と同じような措置が、同じような考え方で、同じような方向で処理されるということでなくては、新しい開拓制度の出発といいますか、そういうようなことにはならないと思うわけです。一つ全体的な問題にあわせて御検討願っておきます。  次は、農営振興計画ができて、これからそれを達成するための開拓金融の考え方の問題でありますが、答申もこの中でいろいろと触れているわけでありますが、今後の開拓金融といいますか、その方向はどうあろうかという基本的な考え方についてお尋ねしたいと思います。
  124. 庄野五一郎

    庄野政府委員 今後の開拓者に対します金融の問題でございますが、われわれといたしまして、政府資金なり公庫資金なり、あるいは系統資金なり、それぞれ活用できるものは十分に活用するように、こういう方向でいっておるわけであります。負債の重圧はやはり政府資金のウエートが大きいわけでございまして、振興資金といったものは政府資金として十分これはめんどうを見ていこう、こういう考えでございます。
  125. 安井吉典

    安井委員 ここでも所要の建設工事の急速な遂行に向けるために適時に、しかも十分に資金の供与がなされなくてはならない、こういうふうな考え方が述べられております。さらにまた「振興施策としての資金融通は、個々の開拓農家営農実情営農改善計画及び償還計画等を基礎とし、資金の種類に応じ、政府、公庫、系統金融機関等から供給されることとなるので、これらが総合的かつ弾力的に運用されることが好ましい。」というふうな打ち出し方のあとに、「金融業務を行なう窓口を一本化することが必要である。」という書き方になっているわけでありますが、この点はどういうふうなお考えですか。
  126. 庄野五一郎

    庄野政府委員 現在金融の窓口は大体開拓農協が行なっているわけになっておりますが、御指摘のように、開拓農協の中には財務整理もうまくいっていないというような面もありますし、また信用力も乏しいという弱小の組合もあるわけでございまして、そういう問題等も考えながら、先ほど団体の問題として御答弁申し上げましたように、団体の今後のあり方とあおせて、こういうものはできるだけ窓口を一本にできるようにという方向検討いたしたい。この金融問題はやはり団体問題と関連いたしますので、両方総合的に考えながら処理いたしたい、こういうふうな考え方でございます。
  127. 安井吉典

    安井委員 これも、一番前提になります開拓団体といいますか機関の問題がまだ結論が出ない段階で論議するのは早いわけでありますが、とにかく今までの開拓金融のあり方が非常に計画でなしに、窓口もばらばらで統制のつかないような方向であったということに、今日までの振興のおくれの一つの原因もあるわけです。そういうような反省からこういったような答申がなされているわけだと私は思うのですが、この点一つ十分な御検討を願っておきたいし、また建設事業の付帯工事だとか改良、工事だとか、あるいはまた電灯施設だとか飲料水だとか、新たな計画が入ってくるわけでありますが、そういうようなものの自己負担分、これも当然新しく融資の道が開かれなくてはならないわけでありますが、それについてはどうお考えですか。
  128. 庄野五一郎

    庄野政府委員 建設工事なりあるいは付帯工事なりあるいは水道電気等の、環境整備の事業なりの補助残の問題でございますが、こういった工事の補助残に対する融資は、資金の性格上から申しましても、公庫で実質的にただいま取り扱っておりますので、今後もそういう方向でそれらの問題は扱っていきたい、こういうふうに考えております。
  129. 安井吉典

    安井委員 こういうような問題についてもう少し振興資金をもって充てるというような新しい考えは出ていきませんか。
  130. 庄野五一郎

    庄野政府委員 そういった意見も審議会の討論の中にあったかと存じますけれども、やはり補助残に対する融資という性格からこれは当然公庫でやるべきものだ、こういうふうにわれわれは考えております。
  131. 安井吉典

    安井委員 問題の理解の仕方は幾通りもあるわけでありますが、窓口の一元化、あるいはまた資金も、あまりあっちにも食いかけたリンゴ、こっちにも食いかけたりリンゴということじゃなしに、この際やはりすっきりと政府資金なら政府資金でほとんどのものはいくというふうな体制でなくちゃいかぬし、特に生活環境施設というふうな問題がおそらくこれからの新しい計画の相当も、要部分になって現われてくるだろうと思うわけです。そういうふうなことから考えましても、あるいは新規の建設業務も相当ふえてくるはずですから、その付帯工事も当然増して参ります。こういうようなことから、単に従来から公庫資金であったからそれでいいのだということじゃなしに、この問題については新しく考え直すというふうなことはいかがですか。
  132. 庄野五一郎

    庄野政府委員 検討はいたしますが、補助残の資金の性格、こういう点からやはり公庫が妥当じゃないか、これにつきましての資金の確保なり融資条件の緩和の問題、そういう点も検討の対象にいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  133. 安井吉典

    安井委員 開拓者にとっては、やはり一番有利なのはいわゆる振興資金になるわけです。そういうようなことで、こちらに対する期待が大きいのは当然であります。そしてまた、今借りたものが将来の重荷にならないためにも、やはり政府資金であるということが望ましいと思います。そういうような意味合いからも、さらに今後の段階で御検討一つ願っておきたいと思うわけです。  なお、いわゆる近代化資金について、開拓ワクといいますか、開拓農家に対して特別な措置をするというふうな御意向はおありですか、どうでしょうか。
  134. 庄野五一郎

    庄野政府委員 近代化資金につきましては、午前にお答え申しましたように、大体一類農家について見ますれば、一般農家と同じように近代化資金の対象になりましょうし、また二類、三類農家になりましても、近代化資金の対象にはなるわけでありますが、二類農家等につきましては、政府資金なりあるいはその他の開拓金融の方が、条件等から申しましても、また信用力の程度等から見ましても借りいいという問題もございまして、近代化資金の中に特に開拓ワクというものを設けるという考えは、私は持っておりません。
  135. 安井吉典

    安井委員 次に開拓融資保証制度の問題でありますが、この問題につきましてもこの答申書は「系統金融機関から融資される農業経営資金については開拓融資保証制度が設けられているが、総合農協からの融資にもこれを適用し、個々の借入農家との間の債務に対する保証の途をひらくことが検討に値する。」と表現しております。これは特別な検討をなされているかどうか、政府の御意向を伺います。
  136. 庄野五一郎

    庄野政府委員 答申を受けましてからまだそう時間的の余裕もございませんので、今後の問題として検討はいたしたい、こう思っておりますが、総合農協をやはり取り入れたらどうかということにつきましては、開拓農協の団体問題ともからんでおりますので、そういう団体問題との関連においてもよく検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  137. 安井吉典

    安井委員 この融資保証法の改正の問題につきましては、かつてこの委員会でも附帯決議をつけているようでありますが、その後これが今度の改正までどういうふうに具体化されているか、それを一つ伺います。
  138. 庄野五一郎

    庄野政府委員 開拓組合が保証を受けまして、そしてあと償還等につきまして代位弁済に入った場合の組合に対する融資がストップしないように、こういうふうに承知いたしておりましたが、いろいろ中央保証協会あるいは中金等とも連絡をいたしまして、そういう代弁に入りました組合におきましても、なお基金の保証を受ける、基金のあるワクの範囲におきまして、営農計画あるいは資金返還計画というものが明確に立ちますもの等につきましては融資の道を開く、そういうふうに改善いたして参っております。
  139. 安井吉典

    安井委員 さらにお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、これは私けさいただいた資料でちょっと見ますと、現在この制度に対する利用度が思ったより低いというふうなことになっているようでありますが、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
  140. 庄野五一郎

    庄野政府委員 保証を受けますものにつきましては、大体開拓者が七割以上ある組合を開拓農協として協会の会員になるわけでございますが、それが出資いたしまして、その出資の分で基金を作りまして、大体有効な基金の六倍、代弁をいたしましたりいたしますと、その分が基金から落ちまして、残りました有効基金の六割、こういうことになるわけでありまして、現在のところ大体四倍程度運用になっておるかと存じます。この点につきましてはかねてから利用度が上がりますよう、こういうふうに考えております。  なお会員に出資いたしましても開拓農家の偶々の考えなりあるいは組合の考え等から保証を利用しないでも、総合農協から売掛等で買う、あるいは商人等から売掛で買う、そういった面もございまして、そういう点利用度が四倍程度になる、こういうことに相なっておるかと存じます。保証制度運用上やはりできるだけ利用できるよう、利用されるようにというふうに、われわれとしては運用上の指導なりあるいは勧告なりをいたしておる次第でございます。
  141. 安井吉典

    安井委員 今そういうお答えでありますけれども、この資料によりますと、制度を利用しておる組合は大体半数くらいしかない。そしてまた完全に利用し得る農家は約六万戸で、全開拓農家の四割くらいというふうな、非常な低率になっているというふうなことのようですね。特に経融資金の大宗を占める飼肥料の導入先は、肥料は総合農協から四六%、開拓農協より二八%、商人より二七%、飼料では総合農協からの分が四六%、商人からが二八%、開拓農協からのものはただの一六%というふうな比率のようです。この制度を利用しないのか、あるいはできないのか、そういうふうな問題点をどういうふうにつかんでおられるか、それを伺います。
  142. 庄野五一郎

    庄野政府委員 いろいろ資料のとり方にも問題があろうかと存じますが、先ほど申しましたように、全部自分の出資の六割、開拓農家で申しますと十五倍の保証を受ける資格があるわけでありますが、代弁に入ったりいたしますとそういう点が落ちてくる、それで利用ができないという面もございましょうし、また出資はいたして利用できる状態にある農家でも、先ほど申しましたように総合農協から買う、あるいは組合としても総合農協から買った方が非常に輸送関係その他で便利がいいというような面もありましてできない面もございましょうし、あるいは自分の方で利用しない、こういう農家もあろうと思います。その内訳、実態は私どもよくつかめておりませんが、そういうような状態であろうと思います。
  143. 安井吉典

    安井委員 一応仕組みはあるわけでありますけれども、資金はあるし、それから保証能力も十分あるし、制度的にも余裕がある。ところが一方開拓者側は資金不足を訴えておるというのが実際の姿であり、ここにはこういうふうにその原因を指摘しておりますが、「災害等による開拓者の負債の累積に伴う受信力の欠除並びに中金の選別融資、延滞金の代弁同様の扱い及び借入手続きの煩雑」こういうようなところに原因があるのではないか。本制度のほんとうの利用希望者が除外されているのではないか、こういうような問題の指摘の仕方をしておりますが、どういうふうに政府は御理解されているわけですか。
  144. 庄野五一郎

    庄野政府委員 中金等の選別融資、こういう問題等もございますし、また信用力の欠除という点も指摘されておるわけでございますが、この融資保証法を作りました根本の原因は、やはり開拓者に信用力がないからということで作ったわけでございますので、そういう点についてはわれわれも中央保証協会なりあるいは中金等ともよく連絡をとって融資促進ということに努力しておる次第でございます。なお中央保証協会の中にも、利用促進の開拓の協議会等も設けてありまして、そこでもこの制度の利用促進の方法というものを考究されつつあります。われわれとしても今後利用促進についてはさらに努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  145. 安井吉典

    安井委員 さらに延滞金の取り扱いの問題につきまして、私の前のいきさつはわかりませんけれども、この委員表でもその問題を取り上げて中金に改善をしてもらったことがあるそうでありますが、延滞金が発生し、三カ月以上償還しないときは代弁に引き落とされる。中金ではこれを代弁と同様に扱って、延滞を生じた組合には新規融資を行なわなかった。そこでこれは開拓の特性を認めないものだということで、その不当性を指摘した結果、延滞金の半分については中央協会が責任を負うという形で延滞金の二分の一の相当額は保証されることとなって幾分改善されて今日に至っておるが、しかし実際のところはどの程度が代弁に落ちるか調査したところ、延滞金から代弁になるものはおよそ五%くらいまでで、二〇%にまで至っていないという結果が出てきている、そういうふうな問題が指摘されております。この点はどういうふうになっておりますか。
  146. 庄野五一郎

    庄野政府委員 代弁をいたします場合には、地方の保証協会が保証いたしました分につきまして、契約によりまして一定のワク内において自動的に中央の保証協会がさらにその保証を再保証する、こういう形になっております。延滞金の引き落としにつきましても地方で代位弁済いたしました分の半分程度は中央で保証するということになりますが、やはり有効積金というものは、その代弁されました範囲において落ちてくるわけでございますが、この延滞から代弁に落ちる、こういう比率について、ここに一八%ないし二〇%と書いてございますが、われわれといたしましてもまだ正確な実数は持ってないわけでございますけれども、そういう問題については今後さらによく検討いたしまして、先ほど申しましたように位弁済に入ってもなお有効基金の保証は残っておるということについての、ストップした分をさらに融資の保証の道を開く、そういった点で解決しておるわけでございます。そういう点についてもいろいろ今後検討して参りたい、こういうふうに考えております。
  147. 安井吉典

    安井委員 委員長お願いいたしますが、中央協会の方で検討委員会を設けて、制度改善の検討をいろいろされているようでありますが、そういう資料がありましたら一つ提出を願いたいと思います。  最後に、過剰入植地の対策の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。この問題もやはり今度の答申の中の一つの重要な問題点一つだと思うわけであります。この問題の出し方は、「各戸の所要経営面積を確保することが根本的な恒久策と考えられるので、一部開拓者の他への転出を図ることに重点を置き、」というふうな言い方をしているわけです。この対策の中の一つ重点という問題の置き方で提起されているわけであります。こういうふうな言い方にも関連があると思うのでありますが、開拓不適地に入植している人の場合なんか、どう考えたってあそこじゃ無理だというふうな場合——過剰入植地でなくてもそういうような場合がありますが、それはこれと同じように扱われるおつもりなのか、別にお考えになっておられるのか、その点を一つ伺います。
  148. 庄野五一郎

    庄野政府委員 過剰入植対策ということで、経営面積が非常に少なくて、そのままの状態においての営農振興が非常に困難だというような場合におきまして、その開拓者地区の中で開拓者同士の方がよく話し合いをされて、残る人、出ていってほかの地区に再入植をするか、あるいはほかの職業に従事するか、そういうことにわたって話し合いがうまくついた、そういうことから過剰入植対策の問題を処理いたしておるわけであります。  なお、自然的条件その他からその地区ではどうしてもできないといったような場合の、全戸移転の問題もやはり過剰入植対策一つとして考えております。三十七年度におきましては、三十六年度と同様千戸を予定しておるわけであります。
  149. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、施策進め方は、不適地入植者の場合も過剰入植対策としての場合も、同じような方向で進めるということですね。
  150. 庄野五一郎

    庄野政府委員 地区実情をよく把握いたしまして、その仕分けはいたしたい、こういうふうに考えております。
  151. 安井吉典

    安井委員 この答申の中でも、死金にせぬよう過剰入植対策を徹底的にやるということがしばしば出てきているようでありますが、ここで過剰という言葉で表現される対象農家は、長い間あらゆる犠牲を忍んで今日に至った人たちで、その開拓地における努力がそのかいもなく、今その自分の土地を離れなくてはならない羽目になるということになろうと思います。現在まであてがわれた土地が小面積で、これは本人が小面積にしてくれと頼んだわけでもないし、そういうところに今日まで無理やり押し込まれた人たちで、当然営農がうまく成り立たないということが明らかなままに、今日までがまんをしてきた人たちであるわけであります。いわば、そういうことからいうと、開拓行政一つの犠牲者だとも言うことができるわけです。ですから、私どもは何か、農業基本法の問題がこの前出されたときに、貧農切り捨てだというふうな指摘の仕方を、一般的な問題として幾度もいたしたわけでありますけれども、あの指摘の仕方とこの問題の出され方とは、問題は別かもしれませんけれども、結果的には同じようなことになっているだろうと思うわけであります。しかし、いずれにいたしましても、今日までのその苦闘の跡をねぎらってあげて、人生の再出発というものを勇気づけてやることがなくてはいけないわけです。だから、そのためには、もしこれをおやりになるにいたしましても、きめのこまかな、人間的な、味のある施策が私は必要ではないかと思うわけです。その人の入植にいたしましても、その人が今の入植地から去るにいたしましても、旧債の問題、古い借金をどうするかといったような問題がやはり最後までつきまとってくる問題であるわけで、従ってそれの減免だとか条件緩和だとかいうものが非常に大切だと思うわけです。現に、借金をそのままにして逃げ出していったという開拓者の人たちもずいぶんあるわけですね。それにもかかわらず、最後まで残った人たちであるわけですから、この際やはり思い切ってその旧債に対する措置を講ずることが必要であると思うわけであります。その点、いわゆる三類農家に対する旧債の処理の問題につきまして、政府のお考えを伺いたいと思います。
  152. 庄野五一郎

    庄野政府委員 三類農家とこう御指摘になりましたが、過剰入植対策といたしましては、それと関係はいたしますが、去る人が三類というわけではございませんので、その開拓者の間で、強制しないで、よく話し合いがつきまして、新しい条件の新しい開拓地に入ります人、あるいは開拓を打ち切って都会に出るといった人、あるいは自分の出身の所に帰って農業をやる人、こういったような場合が多いかと存じます。新しく、新規入植される人については、新しい再入植ということで、新規入植と全然同じ扱いをいたしたいということで処理をしておるわけであります。そういう方については、償還条件緩和法等によりまして、今までの負債の負担の軽減をはかる、こういうことでございまして、都会に出て全然離農するという方につきましては、国の債権等につきまして、この人が返し得る状態におきます償還条件で、特に即決払いをやる、こういうことで処理をいたしております。なお、開拓地を出るにつきましても、土地とその資産が残るわけでございますが、そういうものの評価といったような点についても、十分開拓者の間の話し合いで、負債の引き継ぎをやるとかあるいは土地とか家屋とか、そういう面がいろいろあろうかと思いまして、そういう点については無理のいかないように処理をしたい、こういうことで指導をいたしております。
  153. 安井吉典

    安井委員 まあ強制するわけではないので、みなの話し合いでというふうに言われるわけでありますが、それは一応そういう言い方をされるのもいいかもしれませんけれども、しかし実質的には政府としての——これはまだ政府の方針で出ているわけではありませんけれども、過剰入植対策というふうな政策的な打ち出しなのです。そういう中で新しい離農者なりあるいは他へ新規にまた入り直さなければいけないという人たちが出てくるわけであります。だから、強制はしないのだという言い方がなされるのは私はおかしいと思うのです。あくまでもその責任政府が負うのだ。強制はしないのだから政府責任というものは少し軽いのだ、というふうに身をそらす態度では私はいけないと思うわけです。あくまで、これは今までの開拓行政一つのしわがここに寄ってきて、この人たちは今非常に苦しい立場に追い込まれているのだ、そういう気持を持ってこの問題に向かわなくては、私は誤りになると思うのです。そういうかまえがなければならないと私は思うわけです。それは新しい開拓地に全然新規と同じような姿で入れてもらえるんだからいいじゃないかとおっしゃいますかもしれませんが、しかし人間的な立場から考えれば、十年も十五年も犬と言わなくても牛や馬みたいに山の中にはうり込まれて、そこでとにかく自分の人生を切り開こうということで土地と戦ってきた人たちが、その土地を離れるということは、これはこういうところで私どもは論議をしているわけでありますけれども、われわれの想像を越えたものがその心情においてあると思うわけです。そういう理解の仕方がなくては、私はこの問題のほんとうの解決というものはできないと思います。その点をまず一つしっかりと腹におさめた上で対策が講ぜられなくてはならないと思うわけですが、私は政府心がまえ、メンタル・アティチュードといいますか、そういうものをまず問題にしたいと思うのですが、その点いかがですか。
  154. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘の通りと思います。言葉が足らないで、そういう誤解があってまことに申しわけないことですが、もちろん不振地区の過剰入植対策を進めていく段階におきまして、そういった先生の御指摘のような考え方でわれわれもやっておるわけでございまして、表現も悪かった点もあろうかと思いますが、十分御指摘の点は腹に入れて処理いたしたい、こう思っております。
  155. 安井吉典

    安井委員 負債整理の問題も当然でありますが、同時に離農補助金の問題もあります。これは今この措置ということじゃなしに、今日までやっておられる。これに伴う措置として、一戸当たり三十万というふうに伺うわけでありますが、これも全額国庫でないので、豊かでない県の場合には問題があるというふうなことも聞くわけであります。そういうような面からやはり全額国旗負担にせよという声も私どもよく聞きます。さらにまた、せっかくもらったこの離農といいますかそこから離れるための補助金的なものが借金の返済に向けられてしまって、出るときには何にもなかったというような例も聞きますけれども、やはり全額持って出られる、そういうような仕組みでなくてはならないと思うわけです。ことに、今日炭鉱離職者の対策の問題がようやく政治の日程に上って参りまして、との前の臨時国会から今日の通常国会にかけて、いまだに論議がかわされておるわけでありますが、あの石炭産業が新しい危機に見舞われて、今日までその大部分は大企業であるわけでありますけれども、そういうような中で働いてきた人たちがほうり出されなくてはならない、そういうふうな事態に立って、石炭産業に働く労働者の人たちがそれに対する激しい抵抗をいろいろな角度で示して参りました。そのような中から政府も今度対策を講ずるような仕組みになったわけでありますが、今日までの政治の矛盾というものがあそこに出たのですから、そういうような意味合いからいえば、離職者側に対するいろいろな対策措置等も私どもまだなまぬるいと考えております。それと今度のこの開拓地の場合を考えてみますと、私は石炭離職者よりもこの過剰入植云々といわれるこれらの人たちの方に対する国の責任は重いと思うわけです。向こうの方はあのような措置は講ぜられてはおりますものの、しかし国との立場は間接的なわけであります。しかし、この場合は、これは国がはっきり開拓適格者と認め、開拓適地と認め、これでお前は一人前になれというようなことでそこにほうり込まれた人たちであるわけです。それは、責任の重さは、ずっとこちらの方が国の責任が重いということをはっきり御理解をいただかなくてはならないと思うわけです。で、このためには、私もさきに農業の基本政策の問題についても若干触れたことがありますが、農業内部でこの人たちが再入植というような形で処理できる場合はまだよろしいわけでありますけれども、そうでない場合に農業外におっぽり投げられる、こういうようなことであってはいけないと思うわけです。やはり先々まで見通して更生のための事業資金の特別な融資をするとか、そういうような先々までのめんどうを見てあげるというふうな気持ぐらいはなくてはならないというふうに私は思うわけでありますが、そこまで政府の今の考え方は進んでいるのかどうか、それを一つ伺います。
  156. 庄野五一郎

    庄野政府委員 国から直接就職先の世話ということは、なかなか手も届きかねる次第でございますが、県におきましてそういう点の配慮も十分いたすようにというふうに指導いたしております。
  157. 安井吉典

    安井委員 現在までの段階と、それから、もしこの対策がこの答申の線に従って進められるという段階に入りますと、問題の幅といいますか、さらにまたその深さといいますか、そういうようなものもずっと今よりも違ってくるわけです。それだけに政府施策はもっときめのこまかいものにしなくてはならないと思います。とにかく今よりももっとしあわせな暮らしを約束するんだというふうなお気持で問題を処理さるべきだということを強く要請をいたしておきます。  最後にこの対策が講ぜられたあとの跡地の処理でありますが、そのあとの、つまり残った比較的面積の少ない人にその土地がきちんと渡るというところまで見届けてもらわなくてはならないわけでありますが、土地の買い上げをしっかりと行なって残留者に渡してあげる、そういう措置の問題です。それがうまくいかないと、俗に間引きという言葉も使われておるわけでありますが、その目的を失うようなことにもなってしまうわけであります。土地の移転の問題が目的に沿うように必ずいくというためにどういうふうな方策を——現在もやっておられるわけでありますが、さらにまた将来これがたくさん出てくる段階においてどう処理されるか、その点を一つ伺います。
  158. 庄野五一郎

    庄野政府委員 過剰入植地を離れる開拓者の跡地の処理でございますが、開拓農協が中心になり、あるいは開拓者同士の話し合いにより、そういう経営規模拡大に資するように処理いたしております。なお跡地の承継につきましては、承継資金が要る場合は、全く自己資金のある人もございましょうし、また自作農資金等から融通を受ける人もありましょうが、大体自作農資金を融通して開拓資金を確保する、こういうふうに考えております。
  159. 安井吉典

    安井委員 土地の売り買いについて、売り手は幾らでも高い方に売ろうとするし、そういうわけで、買い手たるべき残留者がそう多額な支出ができそうもないというふうな場合が出てきがちだと思うわけでして、そういうような場合に、結局自作農資金の手当の問題でありますが、そのための手当額といいますか、そういうようなものについてどのくらい予定されておるわけですか。
  160. 庄野五一郎

    庄野政府委員 来年度は大体百九十五億が自創資金の総ワクでございますが、その中におきまして既耕地、開拓地を含めまして大体百六十五億程度が計上されておりますが、土地取得資金に回す、こういうことになっておりますが、これは開拓地既農家も含めましての問題でございまして、開拓地の過剰入植対策として取得資金を必要とする分については、特にめんどうをその中から見るということで配慮いたしたいと考えておるわけであります。
  161. 安井吉典

    安井委員 百六十五億ですか、そのうちいわゆる過剰入植対策として向けられる額は一体どれくらいとして政府は見込まれておられるのか、それを私は伺っているわけです。
  162. 庄野五一郎

    庄野政府委員 過剰入植の対象農家は大体千戸、こう予定いたしておりまして、その中でどの程度要るかということについてはまだはっきりした目算は立っておりませんが、過剰入植対策の対象といたしまして政府から補助金を出す分については、この中で十分まかなえるということで、また特に特定ワクを設けなくてもそういうものについての資金の確保はいたしたい、こういうことで進んで参りたいと思っております。
  163. 安井吉典

    安井委員 千戸と見込まれて、百六十五億で十分間に合うというふうな——これを全部それに充てれば間に合うのはあたりまえでしょうが、そういうふうなお見込みのようでございますけれども、実際、下の町村段階までおりていきますと、自創資金のワクというものは実にわずかしかない。既存の農家の需要にも応じ切れない、そういうような段階のように聞いております。その点これで大丈夫だというふうなおっしゃり方ではなしに、もう少し現実に問題点を掘り下げて御検討願わなくてはならぬと思うのですが、前年は一体どのくらいになっておりますか。その実績はわかりますか。    〔委員長退席、秋山委員長理事席〕
  164. 庄野五一郎

    庄野政府委員 昭和三十六年度の実績はまだわかりませんが、三十五年度から過剰入植対策を開始いたしておるわけでございますが、三十五年度におきましては、過剰入植の対象になりましたものは、予算上は六百戸でございましたが、四百戸ちょっと、四百四戸だったかと記憶しておりますが、その中で自創資金を借り入れました分につきましては、十四県調査いたしたのでございます。まだ過剰入植実施した県が多少落ちておりますが、十四県の調査によりますと、借り入れ戸数は五十二月ということに相なります。借入額は六百七十二万という程度でございます。
  165. 安井吉典

    安井委員 今の御説明ではずいぶん少なくて、自創資金でそうめんどうを見なくてもいいような数字しか出ていないようでありますが、私はこれはよく内容はわかりませんけれども、下部の段階で、自創資金の各町村別におりていく額が非常に少ないのだ。少ない中で振り分けをしているものだから、開拓農家向けの分なんというものはほとんど行かないのだというふうな実態がこういう姿で現われているのであって、希望が少ないからこの額が少ないのではなしに、割当ワクが少ないからそういうふうになっているのではないか、こうい今ふうに考えるわけでありますが、その点一つさらに下部の実情をもっと御検討いただかなくてはならないと思います。むしろ上から一般的な割当をするのじゃなしに、下からの希望額をとって、それを逆に積み上げていくというふうな、そういう作業が必要ではないかと思います。今後そういうような自創資金のワク拡大とでもいいますか、そういうような問題についてのお考えを最後に伺っておきます。
  166. 庄野五一郎

    庄野政府委員 過剰入植対策は、やはり開拓地の中でみな話し合いで、大体残る人、それから新しく新規入植するか、あるいは町に出るか、こういう話し合いがついた段階におきまして、過剰入植地の計画というものができるわけでございます。その計画につきましては、県段階において、補助金の関係もございますので、十分これを調査して承認する、こういう形になりまして、県といたしましてその過剰入植対策計画を承認する段階において、取得資金として現金が要るか、あるいは債権と土地とを相殺する、そういう面もあるわけでございまして、その計画段階において県に上がりました分については、県としては県に配分いたしました自創資金でめんどうを見る、こういうことになろうかと思います。御指摘の点、今後もさらに下からの積み上げた計画に即応して、遺憾のないように指導して参りたい、こう思っております。
  167. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 玉置一徳君。
  168. 玉置一徳

    ○玉置委員 詳しく御説明がございましたので、私は簡単に二、三の点について御質問いたしたいと思います。  政府はこのたび開拓者の必要とする経営資金等の融通を円滑にするために、中央開拓融資保証協会に対する政府からの出資金を三千万円増額する必要があるというので、一部を改正する法律案をお出しになったのでありますが、これの提案理由の説明書を見ますと、「開拓地における営農の伸長に伴いまして、開拓農家資金需要も増大し、現在の基金による融資保証ワクでは十分にその資金の需要を満たすことができません。」こうなっております。今、安井さんからも御質疑がございましたが、きょうお配りいただきました衆議院農林水産委員会調査室の昭和三十七年二月十三日調べでは、ちょっと変わっておるわけですが、融資保証額は基金に対して何倍を予定されておりますか。
  169. 庄野五一郎

    庄野政府委員 側々の開拓農家は、出資いたした分の十五倍ということになっておりますが、地方保証協会におきまする保証ワクというものは、中央保証協会の基金から延滞になりました分を差し引きました有効某金の六倍、こういうことに相なっております。
  170. 玉置一徳

    ○玉置委員 六倍ということになりますと、先ほどの御説明では、調査はいろいろな方法があるがというお話でしたが、同じく農林水産委員会調査室の調査によりますと、書いてありますのは、中央協会の調べ、こうなっておりますが、三十六年十二月末現在における代位弁済額は五千六百万円あるが、中央協会の現在の基金六億四千五百万円余から差し引くと、五億八千九百万円余となり、これの六倍である三十五億三千四百万の保証ワクに対し、二十億円程度の貸し出し実績である、その能力は約六割にすぎないで、まだ四割くらいの保証ワクの能力が残っておる。こういうように書いておるのは、これは一体どうなんでしょうか。
  171. 庄野五一郎

    庄野政府委員 融資の保証をいたします経営資金は、一年未満が大体短期のものになっておりまして、中期のものが三年になっておりますが、特に乳牛等は五年以内、こういうような期限の資金について保証をするということに相なっておるわけであります。短期のものについては逐次償還もされますし、また新しい保証もやる、そういうことに相なるわけでございまして、また県によりましても事情がございまして、債務の返済のいい県あるいは代位弁済を受ている県、そういう点もございまして、平均いたしまして大体先ほど申しましたように四倍程度、こういうことに相なります。これからは春肥の需要に入るわけでありまして、春肥の保証の需要は大体これでまかなう、こういうことに相なっております。
  172. 玉置一徳

    ○玉置委員 調査室の調べは間違いじゃないということはお認めいただけますかどうか、お答えいただきたいと思います。
  173. 庄野五一郎

    庄野政府委員 各県の事情がございますが、全国ベースで平均いたしますと、大体こういうことに和なろうか、こう思っております。
  174. 玉置一徳

    ○玉置委員 調査室の調べが正しいんだという今お答えだと思うのですが、ということになりますと、結局保証能力が十分であり、かつ制度資金も余裕があると、にもかかわらずこういうように増資しなければいかぬということは、とりもなおさずそれは府県によって保証ワクがかなり窮屈になっておるというような事情がおありのために、こういうように増資の提案をされたのかどうかお伺いしたいと思います。
  175. 庄野五一郎

    庄野政府委員 融資保証の仕組みは、地方保証協会が保証いたしました分について中央保証協会と地方保証協会の契約によりまして一定のワクの範囲で自動的に再保証する、こういうことになりまして、その基金の保証する限度というものはそれぞれの基金の六倍と、こういうことに相なります。これまで再々毎年これは中央保証協会に対しまする政府出資というものは増資いたしまして、保証法の改正をお願いして参った次第でございますが、それは地方保証協会の基金が中央のと均衡がとれてないとその六倍というのが動かないわけでございます。地方保証協会の出資が毎年融資の拡充、資金の充実ということでふえて参りますので、来年の三月三十一日まで見込みますと大体地方と中央とのバランスが三千万円程度中央が少なくなる、こういう見通しでございますが、三千万円を中央に出資して地方と中央保証協会の基金のバランスをとる、こういうことで三千万円をこれに出資することにいたした次第でございます。
  176. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで大体わかって参りましたのは、中央保証協会全般としてはまだ若干の余裕がありますけれども、府県によりましては資金需要が非常に多いところがあると、そこの方は出資をやはり増さなければいかぬから、まずそれに相応してこちらも増していかなければならぬ、こういうことになるのだと了解いたします。  そこで問題は、先ほど来いろいろ御質疑がありましたので簡単に済ませたいと思うのですが、受信能力のうちで開拓農協の受信能力が、つまり開拓農協があまり健全じゃないと、しかも延滞金の関係とかあるいは債務の代位弁済を受けたというような関係で非常に個々の方々は借りたくても、窓口であります開拓農協が弱いために借り持ないような人も間々あるのじゃないか、こう思うのですが、状況はどうなのでしょうか。
  177. 庄野五一郎

    庄野政府委員 開拓農協の運営の面等におきましていわゆる債権債務整理、そういったものが非常に悪いところもございますし、またその地区開拓者営農が非常に不振で総体的に開拓農協として受信能力が低いところもございます。そういう運営が悪くて中金としては開拓農協には非常に貸しにくいといったような面もありますので、開拓農協の弱小なところについては、先般来御説明申し上げましたように財務整理の措置を講じまして、そういう運営が軌道に乗るように指導いたしまして、そういう面の支障を排除して参りたいということにいたしております。また地区内の個々の開拓者の非常に経営不振というようなことにつきましては、先ほどから申しました通り側々の農家に対します振興対策というものを進めて、個々の農家営農が振興できますればおのずから受信能力もふえる、こういうことに相なるかと思います。そういう点についてはさらに今後とも万全の措置を講じていきたい、こういうふうに思います。
  178. 玉置一徳

    ○玉置委員 安井さんからも少しお触れになりましたが、総入植戸数十三万八千九百四戸、組合数四百五十七のうち利用しておるのが千九百十二、制度金融を利用しておるのがわずかに千九百十二、九万戸、こうなっておるわけですが、その他の利用してない組合はおそらく受信能力が欠除しておるのではないかと思われるが、一体それはどうなっておるかということと、そういう農家はそういう利用してない組合に入っておって、非常に借りたい人も個々にはあると思う。そういう方々はこの制度金融を受ける方法がないわけですが、これは一体将来どうしたらいいか、この二つについてお答え願いたい。
  179. 庄野五一郎

    庄野政府委員 出資をして加入いたしております組合は二千九百六十九組合、その中で融資保証を利用しておるものが千九百十二、約千組合程度の差があるわけでございますが、その他については、先ほど申し上げましたように、加入はしたが肥料等、地域の関係等で総合農協から買掛で買い取った方が便利だというととろがあって、加入はしておるが、これを利用しない組合もございましょうし、また代弁等がありまして基金による保証のワクがなくなっておる組合もあってなかなか利用ができないという組合もございましょうし、今御指摘になりましたように、組合の運営等の受信能力等が非常に欠除しておる面もあろうかと思います。それで最後の受信能力の欠除という点につきましては、根本はやはり組合員の営農を振興することが根本でございますが、組合の運営が悪くてそういう点の中金ベースに乗ってこないという面につきましては、先ほど申しましたように組合の財務整理の指導員を出して財務整理をやって運営を軌道に乗せる、あるいは合同事務所を作って、そういう面の受け入れ態勢を整える、そういう措置を講じていきたいというふうに考えます。
  180. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで個人の受信能力の問題は、営農不振と、今まで積もり積もったいろいろな旧債の整理の問題があると思うのですが、この問題につきましては答申に基づいて今年一ぱい、三十七年度一ぱいで調査をされて三十八年度から根本的な方策を講じていくという先ほどのお話でございますけれども、総合農協の利用に対して制度上の保証ワクを、保証を利用していくということはそれと別にやっていってもいいと思うのですが、お考えはいかがですか。
  181. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ただいまの制度におきましては七割以上の開拓者の組合員の占める農協を開拓農協といたしまして加入資格が出るわけでございますが、一般の総合農協を組合員としてそれが貸りる融資保証をするかどうか、こういう問題は開拓農協の団体のあり方というものと総合的に検討して参りたいということで、われわれは答申の線に基づいて検討を進める、こういうことにいたしております。
  182. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで最後に、この融資の基金の増額というのは非常にけっこうなのでありますが、先ほど来お話もありました通り営農方針の新しい根本的な改革ということがこれは絶対に必要だと思うのです。これにつきましては、私は十年前からきまったことを今ごろになってそういうようにお考えになっている役所仕事の無責任さということに非常に憤慨するのですが、ちょうど庄野さんが私どもの方の京都の部長をしておいでになりまして、私は府会議員になったところでありまして、一緒に開拓地を回ったようなことがあった。そのときからこういう不毛の地に入植さしておることはまことに人道上の問題だ、早く下の方におろして適当なところを見つけておあげしなければならぬと言っておったことを思い出すのですが、今度お立てになります入植の新規のあれには、ちょうど入植者という方々は在来の農家の方々に比べまして、新しい営農というものを受け入れていただくのに非常にしやすいのじゃないか。社会党の方と同じことを申し上げてはなはだ恐縮でありますが、やはり機械を利用して思い切った営農方式に直さなければ、しかもこれに順応していただきやすいのは入植者が一番やりやすいのじゃないか。それだけの資金もあれも少ないと思いますので、共同した形でものをやっていく、そしてそのほかに余った人手でもって酪農その他をやっていくような共同営農樹立が一番しやすいところだと思います。またそうでなければ、不振の場所は、少々の手当をするようなことではとうていやっていけない、かように思うのですが、御所見を承りたいと思います。
  183. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘の通りだと思います。過去の戦後の緊急開拓時代につきましては、当時の社会情勢その他から非常に計画的に進めたいけれどもなかなか計画的に建設工率がつかない、あるいは十分な調査ができないままに入植した。そういった点の不都合があって非常に不振開拓者がたくさん出ておるわけでありますが、そういう点につきましては、三十二年から開拓営農振興臨時措置法というものを設けまして、追加資金を導入しあるいは追加工事をさらに進める、継続の分もできるだけ完成を早める、こういったことで新対策を進めているわけでございます。御指摘のように農業事情の変更に応じまして、特に開拓は山地の方が多いわけでございまして、畜産に重点を置いて進めて参りたいと思います。なお場所によりましては、先ほど申しましたように過去の沿革ということで、既農家の域を脱する、越えるような営農をやっている人もありましょうし、また近傍既農家の模範になるような新しい経営方式をやっている地区もございます。そういう点を手本にして今後の振興対策も十分進めていきたい、こういうふうに思っております。  なお、地区の情勢その他から機械を導入する方がいいということでございまして、その点については三十四年ごろから大型の営農機械、あるいは小型の営農機械を補助でもって導入する、そして新しい共同方式等も採用するようにしております。何分既開拓地につきましては、新規開墾いたしまして入植させる分と違いまして、すでにある程度の基盤が既定の事実としてできておるわけであります。その上に新しい営農を立てていくわけでありまして、白地に絵をかくのとだいぶん違いますけれども、その地方の実情に応じてそういった御指摘の方向に持っていく、そういう感覚で振興資金の貸付をやっているわけでありまして、そのせいもありまして乳牛等のその後の導入状況も非常に大幅にふえておりますが、またそういう方面からする生産額も相当ふえている、こういうふうに考えます。そういう方向でさらに進めていきたいと思います。
  184. 玉置一徳

    ○玉置委員 最後にお尋ねをしたいのですが、安井さんもお話しになっておりましたように、これは完全に政府責任において営農が先々十分にやっていけるような新しい営農対策を立てていただきたい。現在過剰入植者の離村される方々に対しても、三十万円というようなことを言わずに、ほんとうに政府は安物買いの銭失いのようなことをいつもやっているのではないか、思い切って資金を渡してあげなければ、三十円万では次のところに行ってちょっとした家を見つけて精一ぱいだ、支度金にしかすぎないというようなことになりかねないと思うのです。今までの入植開拓が、各人が一生懸命におやりなさったのに、うまくいかなかったのは、それだけ政府施策が十分でなかったからだという反省の上に立ちまして、旧債整理にいたしましても、新しい緩和法を出すというような中途半端なことではなしに、あっさりモラトリアムで旧債を処理して、その上に立って新しい資金をふんだんに、十分に資金ワクを渡して、今後の営農はりっぱにやっていけるということにせなければ、またまた旧債の整理というところに行き着くのが目に見えているわけです。一般の既存の農家、先祖代々の農家すら、農業経営が非常にむずかしくなってきておる今日であります。普通のやり方ではまたぞろ三年、五年すれば同じことを繰り返さざるを得ないことになると思いますので、この際一つ思い切って施策をお講じいただきますことをお願い申し上げたいと思います。  いろいろ質問をしたいと思っていたのですが、時間がなくなりましたので、これで遠慮したいと思います。
  185. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 明三月一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十七分散会