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河野国務大臣 民主
政治のもと、大半の人の反対するものをやるということはあり得ません。私は
先ほども申し上げましたが、
農民諸君が食管法についても反対だということをおっしゃいますけれども、断じてそうは
考えていないのであります。しかし、これについては大半というわけにはいかぬ、全部の
農民諸君の御理解がなければいかぬという建前をとって私は主張しておるのであります。
また、肥料につきましては、現在私の
考えております肥料に対する
考え方は、肥料
行政に対して使うだけの国費を他の
農業施策に使った方がより以上の効果をあげるのではなかろうかという立場を第一にとっております。と申しますのは、現に肥料に心要な通滝省関係その他従来の赤字補てん等に所要しておりまする経費、これらをいずれも肥料の対策資金として、あたかも食管法の赤字補てんが
農村対策費であるという
考え方と同じような意味において、それが
農村施策費であるかのごとくに解釈されておる。ところが、現にわが
農村におきましては、数量においては全然心配がない。四割以上のものを海外に輸出するわが国は肥料の
生産国である。従って、数量的に心配がない。第二には価格の問題であります。価格につきましても、すでにたびたび申し上げます
通りに、現在の肥料価格が、
農業経営上他の
農業資材と同様に高いから何とか下げなければならぬというほど切実な声が
農村にあるとは
考えていません。安い方がけっこうでございます。しかし、将来の
見通しにつきましては、肥料
審議会等で、すでに通産当局から示されました
通りに、明瞭になっておる。これについて、通産当局は万全の肥料
振興方策を講じて、肥料の値下がりは期して待つべきものがあるということでありまする以上は、価格についても一応の目安が立っておる、数量についても心配がないということであれば、むしろわが国の肥料政策は、
農村政策としてよりも輸出対策として考慮さるべきであるという意味において、輸出が可能であるということは、価格の引き下げだって、それが国内的にも妥当な、非常にわれわれとして歓迎すべき方向である。ただし、手放しでこれを期待するわけに参りませんから、そういう精神にのっとって、この二つの点が
農村のために完全に保障ができますならば、それで十分であるというような意味合いから、輸出についての通産
大臣、
農林大臣共管のもとに、同意を得て輸出の認可をするということにしておきさえすれば、所期の価格で国内に販売ができないという場合には、輸出について
農林大臣の同意をとれぬということにするならば、輸出が押えられれば国内に肥料がだぶつきます。肥料がだぶつけば肥料の価格が下がります。よって私は、所期の農家の取得する肥料の価格を保障することができるという
考えのもとに、
農林大臣として今後肥料政策としては、輸出肥料について
農林大臣の同意がなければ輸出の許可をいたさぬという点で一本かんぬきを入れておきさえすれば、価格の点でも肥料の点でも農家の諸君に心配をかけることはないという
考えのもとに、むしろ価格、肥料に対する政策は輸出対策、
振興策として通産
大臣にまかして、
行政において十分に
一つそれぞれの業界との間に
振興をはかっていただくことが適当であろう、この点を大方の
農民諸君に御理解願えば反対をされることはなかろう、また私自身としても責任をもって農家のふためにならぬように、自分が
行政の責任は持てるという確信のもとに、私は肥料対策を
考えておるのでございます。しかるに一部の方々が、米の場合と同じように、終戦後の非常に
事情の違った時代に作られた法律の上にみずからの業務を遂行するという安易さを忘れることができなくて、そうして
現状におるべきだ、
現状におるべきだ。
現状と同様の成果、結果が
農林大臣として責任が持てるならば、私は変えることに踏み切って差しつかえないのじゃないか、むしろ国家的見地に立って輸出の
振興を期することが適当ではないか、こう思うのでございます。そういう意味において、せっかく通産
大臣が御検討しておられますので、通雄
大臣の御検討の結果を待って私としての最終的な判断はいたしたい。もしそれ、通産
大臣が、今私が申し上げますような所期の目的を達成することに支障がありますならば、私はこれに同意をいたしません。
現状通りでやって参るということよりほかに仕方がありません。通産
大臣が国家的に、今、申し上げましたようなことについて大いに成果の上がることを期待いたされますならば、私も
農林大臣としてこれに御協力申し上げることが適当であろう、こう
考えておるのであります。