○東海林
委員 私は昭和三十七
年度の農林
施策並びに予算に関する先般の
大臣の御説明に対しまして、主として
農地行政を中心として
お尋ねいたしたいと思うのでありますが、
農地問題に入る前に、
一つだけ基本的な問題について
お尋ねいたしたいと思います。
それは、
河野大臣が
日本の
農政の基本はこうなければならないと御自身で
考えられておる
方向と、昨年の六月に成立しました
政府の
農業幕本法との間に、私が以下述べますような諸事例からして、私は
相当な広きがあるのじゃないかという疑念を持っておりますので、その点を明らかにしていただきたい、こう思います。
まず第一点でございますが、昨年の十一月と記憶しますが、三十九臨時国会の直後、農相が記者団と会われて
お話しされた談話の記事が新聞に出ておったのでありますが、その中に、基本法
関連法案、
農地法とか農協法という重要なものが不成立になったのは、自分の熱意が足らなかったことによるというような趣旨のことが出ておったように、私は拝見したのであります。担当
大臣が自分で出した法案に熱意を持たないということは、きわめて奇異の感を私は持たせられたのでありますが、私が
考えたのは、
一つは
大臣が就任後まだ日が浅いから、それらの検討が不十分だということじゃないかとも一応
考えてみましたのですが、しかし
農政について、長い間の経験と確信を持っておられる
河野さんが、基本法なりその
関連法案について一定の御
見解をお持ちでないということもどうも不可解でございますので、あるいはこれは基本法についての
考え方について必ずしも農相自身が満幅の賛意を表していないんじゃないかという疑念を
一つ持ったわけでございます。
それから第二の点は、食管法の改正に関する
河野構想の打ち出し方の問題でございます。
農業基本法の審議の際に、たまたま参考資料として
政府から出されました
経済企画庁の
所得倍増十カ年
計画の中に、米については直接統制から漸次間接統制に移行するということが書いてあるということが問題になりまして、池田首相の出席を求めてその
見解をただしたところ、池田首相は、この記述は間違っておる、自分としては食管法を改正する意向はない、こういうことを明確に御表明になったわけでございます。そこで前臨時国会におきましても、
河野構想に
関連して再び池田首相の
見解をただしたところ、自分は、
河野構想は現行食糧管理法を根本的に改正するものではないと
考えておるから、自分の前の言明とは食い違いはないと思う、ただし
国民の多数が、いやそうじゃない、これは根本的な改正に触れるもので食い違うという御判断であるならば、
河野さんの構想は取りやめてもらわなければならないと
考えておる、このように首相は
答弁されておるわけであります。私は今ここでいわゆる食管法に対する
河野構想についての論争をしようというわけではないのでありますが、ただこのように各
方面に非常に大きい
論議を巻き起こし、
農民に対しても非常な不安を起こしたような
農政上のきわめて重要な問題が、
農政の基本路線であるという
農業基本法の内容の一環であるということでなしに、
河野農相自身の構想という形で出された、こういう点が非常に私は問題であるという点をここで
指摘したい、こう思うわけであります。
それから第三の点でありますが、これは
農業構造改善に関する内容の問題でございます。
農業基本法第四章に書いてある
農業構造改善、このことはすでに何回も本
委員会でも
お話がありましたように、家族
経営を中心とする自立
農家の育成あわせて一部協業を
考える、こういうことになっておるわけでありまして、十カ年
計画におきましても、二町五反程度の自立
経営農家を百万戸育成するいうことが、その基本的な内容になっておるという説明があったわけでございます。ところがこの三十七
年度の予算案の中に、
農業構造改善という項で出されておる具体的な内容を拝見いたしますと、これは主産地形成を軸とする各町村の自主的な新
農村計画、こういうふうな形で出ておりまして、両者の間に非常な差があるんじゃないかというふうに私には感じられるわけであります。
なお、さらに先般の本
会議において、グリーン・レポート並びにグリーン・プランに対するわが党の
足鹿議員の質問に対して、農相は、
構造改善というのは従来の主として
農地に依存しておるような
経営から脱却して、投資額をふやし、そうして基盤を整備するとともに畜産や果樹を導入し、あるいは農産加工というようなことをそこに取り入れて、そうして収益の上がる
農業経営にしていくことだ、こういうふうに御
答弁になったように私は拝聴いたしたのでありますが、
河野さんのその
考え方を一口で言えば、これは生産
構造の
改善ということになるんじゃないか、こういうふうに、
農業基本法の第四章に書かれておる
農業構造改善と非常に違うように私は
考えられるわけでございます。
こういう点からいたしまして、私は当初申しましたように、
河野農相の基本路線と基本法の路線というものは矛盾するとか、あるいは相反するということをあえて申すわけじゃないのでございますが、その間に
相当開きがあるのじゃないかという感じをぬぐい切れないわけでありますので、まずその点からお伺いしたいと思います。