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1962-04-28 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十八日(土曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 草野一郎平君 理事 宮澤 胤勇君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君    理事 山内  広君       安藤  覺君    上村千一郎君       内海 安吉君    小笠 公韶君       大森 玉木君    金子 一平君       佐々木義武君    島村 一郎君       藤原 節夫君    細田 吉藏君       保科善四郎君    田口 誠治君       受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 迫水 久常君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 忠雄君         調達庁長官   林  一夫君         調達庁次長   眞子 傳次君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         総理府事務官         (調達庁総務部         会計課長)   大浜 用正君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      小里  玲君         郵政事務官         (大臣官房長) 金澤 平藏君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君         郵政事務官         (経理局長)  佐方 信博君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房文書         課長)     溝呂木 繁君         郵政事務官         (大臣官房郵政         参事官)    西谷  馨君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     長田 裕二君         郵政事務官         (大臣官房人事         部審議官)   土生 滋久君         郵政事務官         (郵務局次長) 曽山 克巳君         郵政事務官         (電波監理局次         長)      石川 忠夫君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 四月二十八日  委員倉成正君及び辻寛一君辞任につき、その補  欠として細田吉藏君及び佐々木義武君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員佐々木義武君及び細田吉藏君辞  任につき、その補欠として辻寛一君  及び倉成正君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵政省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四八号)防衛庁設置法等の  一部を改正する法律案内閣提出第八七号)       ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  3. 山内広

    山内委員 雨が降りましても、どんなときでも、郵便の配達されない日はないのでありまして、私ども郵政の皆さんには常日ごろ非常に御厄介になっておるのでありますけれども、あまりなれっこになりまして、とかくありがたみを忘れている傾向があるわけであります。特に昨年の年末年始にかけての問題のときは、国民郵政公共性というものがいかに自分たちの生活と身近なものかというので、ああいう問題が出ますと非常にあわてて、何とかあの問題が解決されるようにということで非常に国民の世論も強かったわけであります。当局と組合側との意見の調整がなかなか困難になりまして、ほとんどぎりぎりの線までいった。しかし大臣の非常な努力であの危機が未然に防止され、私どもに新年早々賀状が届いた。そういうことで、いろいろ問題も多少はあったようではありますけれども、大局的に見ると、国民的に非常な拍子かっさいが送られたと私は思っておるわけです。でありますから、あの問題が終わりましてから、大臣は当然組合感謝状というのも変かもしれませんが、表彰状なりを、あそこまでこぎつけた努力に対して具体的に与えるものと思っておったところが、事がうまくいったにもかかわらず、三名の首切りを含む処分が出た。そういうことで、何かしら私どもには割り切れない感情が残るわけであります。確かに労働争議でありますから、派生した問題も全国的には起こって参ります。そういうことで、きょう質問に当たるにあたりまして、逓信委員会の二月の二十二日ですか、この記録と、それから社会労働委員会の二回にわたる速記を実は一通りちょっと見せてもらいました。ところが、これで大体大臣答弁から大臣立場もよくわかったわけです。しかし、この大臣答弁を聞いておりますと、やは労働行政に対して私ども考え方と非常な距離のあることを私ども考えさせられます。以下順に少し申し上げてみたいと思います。  今度の御提案の問題は、もちろん人事部人事局にするということが一つの大きな柱であります。それで、今申し上げましたようないろいろな労働行政上のトラブルもあったり、いろいろなことから、局を作って強力な労働行政を行ないたいという気持はわからぬわけでもない。これはあとでもう少し意見として申し上げたいと思うのですけれども、そこで、そこを中心とした質問をまず先に具体的なところからやって、それから大きな問題に触れてみたい。  これはちょっと私勉強が足りないので、法規を見ればわかることなんですけれども説明の中に、政令で定めて、今度の人事局でもって取り扱わない人事大臣官房にゆだねられておるわけですが、これはどういう職種で、どういう人たちがあるのか、それを読んでいただきたい。
  4. 金澤平藏

    金澤政府委員 何と申しますか、高級職員人事大臣官房でいたすわけであります。たとえて申しますと、本省課長級以上というふうに限りたいと思っております。本省局長及び相当職、これは官房長とか電気通信監理官というものは局長でございませんので、それと部長次長審議官課長及び相当職、それから地方におきましては局長というふうに考えております。
  5. 山内広

    山内委員 総計その人たちは何名ぐらいになるのですか。
  6. 金澤平藏

    金澤政府委員 百三十一名でございます。
  7. 山内広

    山内委員 それからこの人事局にする理由について、最近質量ともに非常に膨大になった、こういうことを訴えられておりますが、この量の点についても御説明をいただきたいと思いますけれども質とは何か、これは私ちょっと見当がつかないのですが、質が膨大になった、このことについての御説明を願いたいと思います。
  8. 金澤平藏

    金澤政府委員 この前も御説明した中に、量のことは、非常に膨大になったということは御説明を申し上げた通りであります。質と申しますのは、たとえば公労法の適用ということから、国家公務員法適用から除外された給与とか、勤務時間その他の労働条件に関するものが協約ということにかわりますと、その協約団体交渉で結ぶということは非常に質的にも大事な仕事だということを申し上げたわけでございます。
  9. 山内広

    山内委員 それからこれはあとで私意見を申し上げてみたいと思いますが、この人事局になりまして、人事部から局になったために、所掌事務でもって変更になったのはどういうものか、ちょっと法規の面では出てこないようですが……。
  10. 溝呂木繁

    溝呂木説明員 設置法でもって先ほど先生が御質問になりました点で、第六条の方の「一般職職員給与に関する法律適用を受ける職員のうち政令で定めるものの職階、任免、給与、懲戒、服務その他人事及び教養に関すること。」が、一応人事局から官房に残ることになっております。その内容は、今官房長から申し上げました百三十一人、これだけが結局人事部から人事局になるに従って変わった点でございます。
  11. 山内広

    山内委員 当然局になりまして官房と分けたんですから、これは内容の変わったことでなくて、形式を整えたというこにすぎないわけです。この十条の三にずっと人事局の分掌が載っておるわけですが、そうしますと、この中では一つ変更になったことはないと考えていいわけですね。
  12. 溝呂木繁

    溝呂木説明員 変更はございません。法文の整備は少しいたしましたが、内容的には変わりません。
  13. 山内広

    山内委員 そうしますと、この人事部定員はおそらくそのままになるわけでしょうが、今度局になることによってその上に幾ら上置きになるのか。
  14. 金澤平藏

    金澤政府委員 増はござません。
  15. 山内広

    山内委員 そうしますと、局長が一人昇格されたということで、極端に言えば、実質的には一人の増員もないのだ、こう理解してよろしいわけですか。
  16. 金澤平藏

    金澤政府委員 その通りでございます。
  17. 山内広

    山内委員 この人事局については、あとでまた意見を交えながら再度お尋ねしたいと思いますが、事務的にはその程度にとどめておきます。  次は電波監理局関係なんですが、今度次長制を廃止して、三人の部長ができるわけであります。この次長を廃止するということは、実質的にも次長制度が必要でなくなったなどとは私は実は考えないのです。ただ、行管が今とっている方針に沿って、部の設置をなかなか認めてくれない、それで次長を犠牲にして三部を作られた、そういうふうに理解するわけですが、この点についてはいかがですか。
  18. 金澤平藏

    金澤政府委員 私たちはこういうふうに考えております。現在の電波科学技術進歩が非常に急速でありまして、非常に量的にも、あるいは質的にも仕事がふえて参ったわけでございます。電波監理局長一人のところで最終的に全部それを処理していくということになりますと、非常に電波監理局長仕事というものがオーバーになってくるということを考えまして、もちろん次長はその補助役でございますけれども、あくまでも次長でございまして、むしろ部長に切りかえて、そして部長の責任と申しますか、その仕事を明確にいたしまして、そして局長仕事の負担を軽くするというふうに考えております。いわば分任制をとりまして、そしてもっと能率的に仕事を運びたい、こういうふうに考えて提出した次第でございます。
  19. 山内広

    山内委員 これは行管議論することだと思いますけれども局長ばかりでなく、各職種次長を置いているところと置いてないところがあります。分任制ということは大事なことなのでありますけれども部長を置くことがはたしていいのか、それとも、次長制をしくことが必要なのか、部長があっても、場合によっては次長を置く必要も私はあると思うのです。そういう意味で、今は行管との折衝の必要上、やむを得ず次長は減らしたけれども、将来またこの次長制というものが復活するのではないか、私はそう考えておりますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  20. 迫水久常

    迫水国務大臣 将来のことはまだ研究の問題でございますが、電波監理局と、現在電気通信監理官という職制がございますが、そこで、所掌いたしております問題等を合体して、電気通信全体に関して一つ官庁機構というものを考えなければならぬ時期があると私は今考えております。従いまして、そういうような問題とも関連をして、今の電波監理局次長の問題を考えるわけでありますが、現在の次長制をよく見てみますと、どうも中二階の感じで、非常に効用を発揮する上には、むしろ現在の段階では、電波監理局だけいじるとすれば、部長制をしく方がよろしい、こういう結論でございまして、従って、現在の電波監理局をそのままの職制で残している場合には、将来次長というものがさらに出てくるということは、ちょっと考えないでいいのではないかと今は思っております。
  21. 山内広

    山内委員 これもあまり議論すると何ですから、次に、これはほんとうの事務的な質問になりますが、この改正の第十条の二を見ますと、前は第十四号というのが一本になっておったやつを、十四と十四の二というのに分けまして、そして「研究及び調査部外研究機関に委託すること。」ということを項目を分けて分離しておりますが、これを一本にしぼらぬで二つに分けた理由はどういうことなんですか。
  22. 溝呂木繁

    溝呂木説明員 十条の二には、結局電波監理局所掌事務をあげたわけでありますが、あとで部の方に分けますのに、それぞれ放送部無線通信部、そういうところでもって分けざるを得なくなりますので、一応両方分けておいて、あとでそれを受けて立てるような条文整理をしたわけであります。
  23. 山内広

    山内委員 これは、三部になったためにこう分けたということなんでございますか。——わかりました。  それから今回の一部改正案で、臨時放送関係法制調査会というものの設置提案をされております。この調査会の任務と申しますか、構想、それから委員が何名くらいでどういう構成になるのか、それから事務局はどれくらいの規模で置くものか、こういうことをちょっとお聞きいたします。
  24. 金澤平藏

    金澤政府委員 現在の放送法というのは昭和二十五年に制定されまして、それ以来十二年の年月を経ておりますが、御承知のように民間放送とかテレビが目ざましい進歩をいたしましたので、その実情に沿わないというふうになって参りました。そして放送に関するいろいろな問題は公共の福祉に非常に関係がございますので、このような問題を郵政部内だけで論議するのも適当でないということで、この際広く部外の方の御意見を承る必要があるということで、この調査会を設けたい、こう考えております。  大体ここでは、ただいま申し上げました放送関係法制はいかにあるべきかというようなことを審議していただきまして、自由に検討していただくというふうに考えております。そして委員は、十五人以内の委員をもって構成いたしまして、また特に専門事項調査審議というために、ただいまのところは十名の専門員考えております。それから事務局は、これは単に放送関係と申しましても、そのほかに電波法とか、あるいは有線放送に関する諸問題というふうに、問題が関連して触れて参りますので、官房の中に事務局を置いてやりたいと考えております。
  25. 山内広

    山内委員 私は、この放送の問題には興味はありますけれども、ずぶのしろうとでありまして、どういうふうな機構になってどうなっておるのか、詳しくわかりませんけれども、この臨時放送関係法制調査会という名称考えたときに、非常に不思議な調査会だという感じ方を受けたのです。法制といいますと、書いた条文法規文章面整備とか、そういうような考え方が先に出てきて、実際にどういうふうに放送があるべきか。今の官房長お話では、放送法そのものがどうも時世に適合しないという前段のお話があり、あとでまた関係の問題もちょっと出しておりますけれども法制整備とか競合ということであれば、法制局もあることだし、何もそういう事務的なことは要らぬ。やはりこれはほんとうの実質的なものではないか。そうしますと、今問題になっておりますFM免許をどうするか、そういうふうな問題に関連しての調査会ではないか、そういうものとの関連はどういうことになるか、あなたの方の電波の許可、認可といったような問題も、これとの関連性を生んでくるのではないか、こういうふうに考えられるのですが、この点はどうですか。
  26. 西崎太郎

    西崎政府委員 今先生がおっしゃいましたように、当然ここでは、日本の今後の放送というものがどうあったらいいかということをもう一回再検討してみる、その上に立って、現行の法制の改めなければならない点はこういう点だという議論に当然なってくる、こういうふうに考えております。
  27. 山内広

    山内委員 そうしますと、この調査会は私どもとしては非常な関心を寄せざるを得ないのです。これが単なる放送法とか、その他の関連法規整備ということであれは——まだたくさん電波の問題でも問題をかかえて、将来どうなるかという機構のあり方がまず先に決定されなければ、その法制という問題はまだ起こってこないわけなんです。先ばしってそういうものをやってみたって、実態にそぐわない、まだ根本のあなた方の方針が確立しないうちにこういうことをやっても意味がないわけです。ところが、そういうほんとう実態に触れるものであれば、法制調査会という名称そのものも、これはちょっとおかしいと私は思うのです。そうでなく、ほんとう電波は将来どうあるべきか、ほんとう国民電波にしていくために、大臣も非常に心配されて、この間も新聞記者発表をしておりますけれども混信の問題をどう解決するとか、いろいろな問題があるわけです。そういう問題を解決する調査会であるとすばれ、これはまた性格名称も全部変わってこなければならない。もう少しここは疑義のないような、もっと実態に近い名前の方がいいように、これはしろうと考えではなはだすみませんけれども考えられるわけです。この点についてのお考え方を承りたい。
  28. 迫水久常

    迫水国務大臣 非常にごもっともな御質問だと思います。私もその面からこの問題を考えておることは実はございません。今の御質問によって、なるほどと非常に深い関心を持った次第でございます。この調査会を計画いたしましたときには、いろいろなことをこういうふうにしたらよかろう、ああいうふうにしたらよかろうと放送等の問題に関する政策の話をしますと、それは現在法律上こうなっているから、そこのところはどうもそれではまずいのだというような話が役所の中で出てくるわけであります。そこで、そういうような場合には法律をどう直せばいいのかというような話も出まして、そこから、それじゃそういうことはただ役人だけが考えているのでなしに、広くいろいろな人たちを選んで、来てもらって、知恵をかりながらやった方がよかろうというので、この調査会ということで研究したものですから、その名前法制というところにきたのですけれども実態的には放送政策といいますか、そういうものを当然審議するわけですが、放送政策審議会という名前を今度はかりに出したとしますと、これはまた逆の感覚が出て参りまして、一体政府放送法に関しては全般にどういうような問題を考えているのかといういろいろな問題が出ますので、ちょっとこれはわれわれがこのことを提案いたしますいきさつからいいますと、省内で議論をしておるいきさつからいいますと、いろいろな問題が放送政策の面からいうと現在の法律に抵触する。それじゃ法律をどう直せばいいか、この法律をこう直すと、今度はこっちにこういう弊害が起こってくるという両方の相関関係の問題でありますので、それをむしろ法制の上に重点を置きつつ見てもらう。同じようなことですけれども、ややその点の置き方が違う。非常にごもっともな御質問で、先生の言われるような点も確かにありますけれども、私の気持を申し上げれば、相関関係があって、それを法制の方の側から見ていく、こういうふうに考えておる次第でございます。
  29. 山内広

    山内委員 大体私の意見大臣もおわかりになったと思うのですけれども、私は相関関係があるといっても、この電波の問題を法的な立場からながめるという考え方はおかしいと思うのですよ。ほんとう放送というものが国民に均霑して、技術的にも混信などのないようにするにはどうしたらいいかというほんとう政策なり実態が出て、それに合わせるために現在の法律をどう改正していくかということなら、これは事務的なものですよ。これは何もこういう調査会を設けてそういうものを調べる必要はないのです。たとえばきのうかおとといでありましたか、大臣FM免許方針をお示しになりました。私は、FMというのはどういうものか、初歩の概念より知りませんけれども、この発表でも今ずいぶん問題が起きてきております。新聞社はどうするんだ、通信社はどうなるんだ、あなたはNHKとか民放を優先するんだということで、そういういろいろなFMという一つの方式をとりたい人たちが騒ぎ出した。これをどうやることが正しいかということで、民間意見をお聞きになるためにこの調査会を設けたというならば、私は率直になるほどなとわかります。しかし、これは新聞内容を見ますと、部内で何回か会議を開かれて、結論大臣発表しただけだ、こういうことなんで、どうもわざわざせっかく調査会——こういうものは御承知通り行管はなかなか許可しないんですよ。その中にあって、この調査会という新たな機構を設けるのに、法制整備だけを目的として、しかも、実態がまだ研究過程であり、どうなるかという根本政策がわからぬうちに、法規に手をつけたってどうにもならぬじゃないですか。法規というものは人の作るものですから、どうにでも変えられるのですけれども実態政策は、ほんうに国民に公平に、特に日本の将来を見通して衆知を集めなければならない。ですから、大臣のお考えになっていることとこの調査会が行なおうとすることは全然別なんです。その辺、もう一ぺん……。
  30. 迫水久常

    迫水国務大臣 たとえばFMをどういうふうに将来使うかという問題は、私はこの審議会では審議をしないと思います。たとえばここでやりますのは、現在電波免許というのは、事業免許ではございません。従って、三年に一ぺんずつ再免許を与える制度になっておるわけですけれども、これなんかも実を言うとおかしな話で、相当大きな何億という資本金を投下したものが、三年たったらどういう立場になるのかということが、法律上は何ら保障はないのです。つまり、事業免許ではない。こういうようなことからいって、こういうことを事業免許にするのが経済の実態にふさわしいのか。しかし、同時に事業免許にしてしまったら、それに関連して、国民電波を特定の人が使うのですから、一種の使用料のようなものでもとったらどうかというような議論が次に出てくるというようなことが重点といいますか、そういうところから入ってきて、この放送法というものをどう見たらいいかというふうに議論をしていった。その結果出てきたものでありまして、FMをどう使うかというようなことはこれにはかけない。従って、放送政策審議会という名前を打ったら、それは少し広過ぎるし、部分的にはその範囲が重なる部分も、そうでない部分もある。先生の言われるように、ただ単純に法制の字句の整理だけという部分もありますが、一般放送政策だけで、今のFMのような問題はちょっとこれにはかけられまい。重なるところが出る。そこで、私が先ほどから言うのは、両方見れるが、議論過程法制の問題から入ったから、法制と書いた、こういうことでございます。
  31. 山内広

    山内委員 私にはまだこの調査会性格がよくわからぬし、これぐらいの理由でよく川島さんが納得したなと思う。これは郵政大臣の力でもって押しつけたような格好のように思います。今行管はこういう調査会設置なんかやかましく言っているときなんで、ごまかされたのではないかと思いますけれども、これはこれくらいにして、前に進みたいと思います。   〔委員長退席草野委員長代理着席〕  次に、もう少し最初に戻りまして、人事局について再度お聞きしておきたい。今度の百一名の増員は純然たる定員増考えますが、いかがですか。
  32. 溝呂木繁

    溝呂木説明員 百一名の増員の内訳を申し上げます。一般会計所属の者で非常勤の定員化が九十人、それから増員が七名、それからそのほかに、特別会計所属で、いわゆる政令定員からこの法律定員に組みかえる者が四名、以上百一名でございます。
  33. 山内広

    山内委員 定員職員の九十名を定員化したといいますが、あとどのくらい定員化できない職員がおりますか。
  34. 金澤平藏

    金澤政府委員 ございません。
  35. 山内広

    山内委員 人事局は、これは法規に見えていませんから、おそらく部は置かないことになるわけでしょう。そうすると、課以下だと思いますけれども、どういう機構になるのですか。
  36. 金澤平藏

    金澤政府委員 申し上げますと、管理課、人事課、要員訓練課、給与課、厚生課、保健課、これだけでございます。
  37. 山内広

    山内委員 そうすると、労働関係はどの課が担当するのですか。
  38. 金澤平藏

    金澤政府委員 管理課でございます。
  39. 山内広

    山内委員 これは定員何名ですか。
  40. 金澤平藏

    金澤政府委員 三十人でございます。
  41. 山内広

    山内委員 これからちょっと私の意見を申し上げる上に必要な数字なんですが、はなはだ勉強が足りないで申しわけありませんが、郵政の総予算とこれの人件費、そして予算の中に占める人件費は何%くらいになるかをちょっと……。
  42. 佐方信博

    ○佐方政府委員 郵政省の場合には、御承知通り四つ会計がございます。一般会計と郵政事務特別会計と郵便貯金特別会計と、簡易保険特別会計と、四つございます。それで、郵政事業特別会計というのが現実の郵便貯金、保険の運用をやっておる会計でございますので、これを申し上げますと、昭和三十七年度の予算におきましては、歳入、歳出とも二千五百四十二億円でございます。この中に、収入印紙を売りさばくとか、そういうような業務外の経費がございますので、それを除いていわゆる業務的な経費だけを考えますと、千八百二十億でございます。この千八百二十億の中で人件費は七八%ぐらいを占めております。それから貯金会計、保険会計、これは全くの整理会計でございまして、運営に要する経費は郵政会計に入れて出しておりますものですから、人件費はございません。それから一般会計が郵政省の場合には二十六億、これは概数で申しわけございませんけれも、二十八億の中で人件費は約十六億ということになっております。
  43. 山内広

    山内委員 この予算の中に人件費が七八%というのは、いろいろ計算の仕方もあるかもしれませんけれども、やはりちょっと多いと思います。これではなかなか経営が容易でないということは、だれの目にもわかるような気がいたします。  先ほどの御答弁の中で、今度人事部人事局に昇格はするけれども、別に一名の増員もない、現員のままでやるのだ、部長局長という名前に変わると言われました。最近いろいろ人事関係の業務が質、量ともに膨大になっておるので、そこでこういう人事局というものを御提案になったわけですが、これでは実質的に解決にならないと思うのですけれども、どうしても部長局長にしなければならぬ理由はどこにあるのですか。
  44. 金澤平藏

    金澤政府委員 仕事がふえて参りましたのは急な格好ではございませんで、徐々にふえて参ったわけであります。たとえば公労法の適用を見ますと、二十八年からであります。その仕事に見合う人間をおくればせながらも徐々にふやして参っておるわけでございます。現在もうすでに二百名をこしております。そうしますと、実質的には局の体裁を整えたのでございますので、看板を変えていただいて、人事部人事局に変えたい、こういうことでございます。
  45. 山内広

    山内委員 そうしますと、ここにも行管の川島さんをごまかした一つ理由があると思うのです。実質上必要だから、看板を塗りかえて部長局長にしなければならぬ、だんだんふえてきてもうそこへきたから局長にする、こういうことでは通らぬと思うのです。何かもっと別な理由を言わなければ納得ができない。今まで何回もここに来てもらって、行管の川島さんの意見も私ども聞いております。方針も聞いておりますが、局の設置には極力反対しております。最小限度、やむを得ないもの以外は認めておりません。今回もこれほどたんさんあっても、特に郵政だけ認める理由は、今の御説明の中では納得いかない。どういうことですか、もう少し内容をお知らせ願いたい。
  46. 金澤平藏

    金澤政府委員 私の説明が足りなくて申しわけありません。今申し上げましたのは、実質上もう局の体裁を整えておる、人間からいっても、この中でやっておる仕事の量からいっても、こういうように申し上げたのであります。実は非常に卑近な例を申し上げて、かえって誤解を招くのではないかと思いますが、部長局長と比べてみますと、やはり局長の方が上でございます。そうして、部長というものはどちらかといいますと若い者がなっていく。ところがその仕事実態は、各局の取りまとめで、経理局にもわたりますし、あるいは郵務局、貯金局、保険局というような各局の取りまとめをするわけであります。そういうような関係から、部長という立場でものを運ぶよりも、むしろ局長という立場でものを運ぶという方がその間スムーズにいく、非常に卑近な例を申し上げて、私の言葉が誤解されたら恐縮ですが、そういうように御了承願いたいと思います。
  47. 山内広

    山内委員 今のお話でも私は納得いきません。行管関係大臣の政治力で認められたかもしれませんけれども、なるほど、部長よりも局長は格も上でしょう。これだけの膨大な予算と人員を持っているあなたのところで人事局を設けられるということは、このこと自体は、別にあとで申し上げる反対する理由はありますけれども、これは当然の要求だと思いますが、どうも今の御説明だけでは、かえって現在のままでいいのではないかと思います。おそらく言葉の中には出ておりませんけれども、あなた方が行管の長官を説得した第一の理由は、ここでは説明がないけれども労働行政の強化にあるのではないかと思う。そういう意味で、あなた方が労働行政をうまくやりたいのだ。部長ではやれなくて、局長でなければうまくないという理由で説得するならば、私が劈頭に申し上げた、逓信委員会あるいは社会労働委員会でいろいろ出された問題の解決をここに一つ方針として求められた考え方だというなら、私は反対ですが、若干わかります。その点はいかがですか。
  48. 金澤平藏

    金澤政府委員 先ほど申し上げましたように、人事部仕事が質、量ともに実質上局の仕事になっておる。それを、先ほど申し上げましたような理由から、スムーズにやりたいということで御提案いたしたのであります。労働行政という言葉はいろいろございますが、たとえば、労働行政の強化というようなことは毛頭考えておりません。
  49. 迫水久常

    迫水国務大臣 今、先生のおっしゃるように、労働行政の強化と言うから、私の方でもこだわるので、労働行政を能率化して、進行をよくして、労使間の意思の疎通をよくする、それには、中二階の人事部で、官房長を通して次官を通してというよりも、相当の独立の権限を持っておる局長を置いた方が意思の疎通もよろしいし、能率もいい、そういうことは私十分あると思います。それが人事局設置する一つ意味でもあると思いますけれども、それをことさら私たちのきらういやな言葉、強化々々と言われるから私どもの方でも抵抗するわけです。決してこちらから一方的に圧力を加える意味でなしに、向こうも便利じゃないかと思います。
  50. 山内広

    山内委員 確かに私、労働強化という言葉を使いました。一般には労働強化というと、下から反撃を受けるのは当然です。ただ、私のこの強化という言葉がまずければ訂正いたしますけれども、強力な機構を作って、そして従業員のために予算もとってやりたい、厚生施設も拡充してやりたいんだと、こういう前向きの姿勢でなされるならば、やはりこれは局にした方がいいと思います。そしてやはり公共事業である郵政の万全を期していきたいというなら、これはわかる。ところが、これはまた迫水さんきらいかもしれませんが、あえて私申し上げますけれども、現在なされておる労働行政は、非常に転機に立っていると思うのです。実はきのう社会労働委員会をちょっと傍聴しまして、国鉄当局が呼ばれて、そして三月三十一日のストの問題についていろいろ質疑応答をやっておりました。あれを聞いて、私は、今度郵政省も局にしたいというお考えを持っておるけれども、さっき申しました前向きの姿勢の場合の局はいいけれども、こういう国鉄のような局であるならばかえって将来に大なきガンを残す、紛争の種をまくということを私きのう感じて、あえてこれは御忠告申し上げておきたいと思うのです。あれは、内容はお聞きかもしれませんけれども、向こうは職員局長と呼んでおります。そうしてあの三月三十一日のストライキを避けるために、官房長官もみずから出て、干渉はしたくないけれども、何とかあのストを避けたいということで、いろいろ政府が報労物資をやったらいいじゃないか、それで妥結するならばやれと、そういうことで社会党も中に入り、政府も中に入り、そうしていろいろ遠慮しながらも勇気づけてやれと、こういうことを示唆したのです。ところが局長は、逆に、今になって政府の圧力で報労物資とか、そういうもので解決するなら、私は絶対にそういうものは引き受けません、やるんなら私を首にしてからやって下さいと言って、辞表をふところにして横に寝た。そのために、今度はとうとうこれを首にすることもできない、やめさせるわけにもいかない、横に寝られると仕方がなくて、交渉が延びていって、スト解除の指令がおくれてストに突入したという実態がはっきりされておるのであります。あなたの方の人事部長であれば、これは大臣のお声がかりで、こういう政府方針だからこれをのめともおっしゃるだろうけれども、一局長という一つの大きな権力を持ったものが横にごろっと寝ると、あなたの政策は行なわれませんよ。しかも最近の逓信委員会とか、この速記録を見ると、非常に原始的なというと失礼ですが、超時代的なおくれた争議が今はやっております。私、実に残念だと思ったのは、ここにトラック部隊という問題が出ておる。トラック部隊というと、前に共産党が非合法のときに使った手段で問題になったことを記憶しておりますから、そうかなと思って読んでみたら、そうでないのであります。これを善意に表現すると、年末滞貨がだんだん争議で一ぱいになっていった。それを何とか一月元旦に間に合わしたいということで、問題が解決したために、言葉をきれいに言えば督励班だったのですね。何とか早くやって、社会に御迷惑をかけないようにやろう、これは非常に善意なんです。私は大臣のおっしゃることはその通り受け取っておるのです。ところが現地の下へ行くと、そうではない。それが何か一種のけっからたたいて業務を強化して、どんどんやる督戦部隊と解釈されておる。ですから、これはいろいろ争議の雰囲気の中で、お互いにそういう解釈をしたと思いますけれども、こういう争議が非常に行なわれておる、さきにも壁頭に申し上げた通り国民が、大臣よく解決した、組合もよくのんだといって拍手をしておるにもかかわらず、首を切ってそれに報いるというようなことが出てくるものですから、ますます強化していって、そうして今もって争議のあとを引いておるわけです。こういうときに、部長なら解決すべきものが、局長ということになると、国鉄の例が示すように、今のようなあり方であれば将来これはかえって労働行政のガンになります。これは私はかたくそう思っておる。これはなかなか大臣の言うことを聞きませんよ。国鉄総裁はあの御老体をひっさげて非常に苦労しておるのです。けれども局長が横に寝ているために、局長にものを言えない。私をやめさしてからやって下さいと言ってごろっと横に寝ると、手がつけられない。自分では何とか政府方針に沿うて、あるいは社会党の幹部が中に入ってやったその方針に沿って円満に妥結したいと思っても、局長のためにやれない。この部長局長にすれば問題の解決にはならない、私はそういうふうに考えております。大臣はどうお考えですか。
  51. 迫水久常

    迫水国務大臣 私の方の省の人事局長が寝るということを私は前提としてものは考えたくないのですけれども、万一寝ることがあるとすれば、人事部長でも寝るのではないかと思います。人事部長が寝たらどうにもならぬことは、局長についても同じことでして、それは寝るかもしれないから局長にするのはまずいぞと言われるのは、私はどうも議論としては成り立たないのではないかと思います。私は省の全体の方針を、局長が寝ないように責任を持っていたしたいと思います。従って局長にしたら寝る可能性がふえるかというと、私は寝ないことを前提として一つ考えを願いたいと思います。
  52. 山内広

    山内委員 いや、それはわかりますけどね。部長が寝たら起こせないとか言うが、それならば、一組合員が一生懸命働いていても首にするでしょう。それはそう大臣はおっしゃるけれども、あなたのところの労務管理を見ますと、たとえば三名のほかあと何十人か何百人か処分した。処分をしてみてから、あとで調べてみたら、新婚旅行に行っておって、その争議に加わらないということがわかったために、あやまってその首切りを取り消したなんという記事がこの中に出ておるじゃありませんか。そういう過誤を起こすような気負い立った労務管理をやってはいかぬ、こういうことなのです。ですから、かっぱらいをやったとか、現金輸送したものを盗んだというのを首にするならば、それはどんなことでもしなければいけない。けれども事は労働争議であって、しかも円満に解決したものを、あのとき何月何日どこでどういうことを指導したとか計画したということの理由によって首まで切っておるような、おくれた労働行政をやっているときに、そのために部長局長にするということは危険だ、こういうことを私は申し上げているのです。
  53. 迫水久常

    迫水国務大臣 うちの労働行政がおくれている、おくれていると言われるのですけれども、私は非常に前向きで考えているつもりです。それで、争議行為である以上は、どういう違法な、つまり処分に該当するよらな行為があっても話がついたあとは処分してはいけないということは私はないと思うし、逆に考えて、そういうことをしたら、ほんとうにまじめに、当然あるべき合法的な範囲内でやっておった人と、そうでない、それを逸脱して飛び上がってしまった人との間に区別をつけないということは、私はかえっていけないのではないかと思うのであります。決して人事部が飛び上がった処分をしたのではなしに、私が決裁をしておりますから、その責任は一切私にある次第でございまして、今後、労働問題というものは私は前向きに考えていくつもりでおります。
  54. 山内広

    山内委員 今、ここで立ち入った労務管理の議論をしようとは思いません。ただ、出されたこの法案に関連して、それだけのことは一応私申し上げておく必要を感じたわけです。いずれこの法案は通るらしいですから、そのときはうまくやっていただきたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  55. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 石山權作君。
  56. 石山權作

    ○石山委員 最近、年末等になりますと郵便物が非常にたまる、こういわれておるのですが、これにもいろいろな原因があるだろうと思っております。昔だと、これは汽車もそうのようですが、日本の郵便事業というものは非常に正確迅速だ、こういうふうに規定づけられていたそうですが、最近どうも郵便物が一番おくれるものの代名詞に使われているようでございます。残念でございます。その理由は一体何だろうか、皆さんの方でお考えになっている理由というのはどういうことでございましょう。
  57. 曽山克巳

    ○曽山説明員 年末に限らず、郵便がおくれます非常に大きな原因は、やはり郵便物が一時にかなり出るという場合と、それから働く方の、つまり、従業員の意識の問題と二つあろうかと思います。  前者につきましては、郵便物が、たとえばある郵便局で二万の処理能力しかない、そこに市内特別とかダイレクト・メールとかのようなものが五万というような工合に、二倍半も能力をこえて殺到いたしますと、もちろん、私どもは公衆に迷惑をかけないように非常勤を採用したり、あるいは超勤をしてもらったりしまして処理をいたしますけれども、どうしても処理がおくれるわけでございます。そういう場合に、やはり郵便がおくれるということになろうかと思います。また、郵便局舎も、それに対応しましてのキャパシティがない場合がございますので、そういう場合に、どうも滞貨しがちであるということが言えると思います。  第二の問題でございますが、これは私ども、先ほど来いろいろ議論がござしたい中で、働く職員が何かの問題について不満を持ちまして、たとえばその不満のゆえに超過勤務協定をやらない、超過勤務協定をやらないだけではなくて、勤務時間内におきまして能率が下がるというようなことがございますと、どうしても郵便がたまりがちになるということになろうかと思います。ただ、これに対応しまして、大きく分けまして、私どもそういう場合に、前者の郵便がふえますものにつきましては施設の拡充をはかり、あるいは要員をふやすということをやるわけでございますし、また差し出す国民の方にも、一時にたくさん持ってこないように協力をお願いするということをしなければならぬわけであります。なお働く職員の勤労意欲の向上のためには十分な給与、さらに職場環境というものを整備いたしまして、また被服その他働きやすい条件を作っていくということが必要かと思います。
  58. 石山權作

    ○石山委員 あなたの御答弁の中に機械という言葉が一つも入っておらぬ。郵便物というものは機械で処理されないというふうな観念を持っているのじゃないかと思うのです。私はそういうことが郵便物の遅配の一番の原因をなしているものだと思うのです。残念ですよ。御答弁に立ったあなたから機械という言葉が出ないのは非常に残念だ。それからPRの仕方でも、いろいろあるだろうと思うのですが、機械を使うためには、郵便物の規格というものがやや一定化されないと機械の使用が不可能だ。小包なんかもそういうふうになるだろうと思います。そういう点が非常に欠けているじゃありませんか。ですから、僕らも知っております。局舎が狭いとか労務管理が何とかということもあるのですが、民間が非常に取り入れている問題をもう少し研究していただかないと、やはり能率が上がらぬのではないか、私はこう思うのです。それで大臣、今のようなものの考え方であれば、人手をふやすことが郵便物の遅配解消の第一になっているようです、今のままでは。これが、どうも行管の査察等を見ますると、人員に対する基礎算定が非常に古いと指摘されていますよ。客観情勢が変わったのにもかかわらず、それに即応した算定基礎数字を持っていないというふうに指摘されています。そして古いままの基礎数字で算定して、大体一万人がよかろうなんて言っているから客観情勢に合わないのだな。これはやはり上層部の方々から考えていただかないと、大ていこうなんですよ。下から上がってくる人数要求に対して大体七掛ぐらいでやるとか、八掛でやる。予算でもみなそうですが、そういうやり方をおおむねとるわけですし、皆さんの方を調べて見ますと、そうではない、非常に危険な、客観情勢に即応した基礎数字になっていないというふうに指摘されている。だから基礎数字で立案されてくるもの自体が非常に不足でしょう。そこへきて上層部の皆さんの方から七掛とか八掛というふうに規制されているのでは、なおなお人員が不足だ。機械力もない、局舎が狭い、搬入の条件がもとと同じであるというふうになればおくれざるを得ないのではないか。  その一例として、私が痛切に感じていることは、東京にいて郷土の秋田の新聞を見るのに、昔は次の日に見られたわけです。ですから遠い地方版には前の日の、きょう二十五日で発行すれば、新聞社は二十六日の日付をして送ったものです。そうすると二十六日に着くのだから、その日の新聞だというような印象で郷土の新聞が読めたものです。それが最近どうなっているか知っていますか。たとえば秋田の場合は、七時ぐらいの夜行の急行に積めば、翌日都内の配達になったのですが、今はどういう格好になっているか、御答弁のできる方は御答弁していただきたい。
  59. 曽山克巳

    ○曽山説明員 一番最後のお尋ねでございますが、新聞の送達日数の問題を先にお答えします。これは先生方御承知のように、昨年の六月一日に郵便法が改正になりまして、私ども第三種と言っておりますが、つまり低料の扱いを受けますところの新聞でございます。それが原価的に言いまして、ほんとうは約八円ぐらいかかるのでございますが、実際の収入をあげましても二円ぐらいしか収入がないということで、これが非常に大きな事業収支のガンになっております。もちろん安いから虐待をするということではございませんけれども、最近非常に印刷物がふえて参っておりますので、そういった低料の扱いをしますものについては、従来は全く書状、はがきと同じような扱いをいたしまして、先生の御指摘になりましたような細密な区分をいたしております。しかし六月一日からは、普通の印刷物と同じような区分になりましたために、御指摘がございますように翌日は着かないで翌々日になっている。つまり二日かかるものが四日かかっていることになっていることは承知しております。  それからついでにお答えさしていただきますが、逆の方から申し上げますと、第二の定員算定の問題でございますが、これは外勤、内勤、つまり配達をする者、郵便局の中で仕事をする者と二つに分けまして、中で仕事をします者につきましては、非常に新しい基準ができ上がっておりまして、問題はございません。行政管理庁で指摘がございましたものは、外部で働く者の算定の基準であろうと思います。これにつきましては、私ども今年度の予算で十分そういった、たとえば最近非常に問題になっております交通規制の問題等を取り入れまして、新しい算定基準の補正をするつもりでおります。  それから第一の機械の問題でございますが、先ほど私、答弁がまずくて、御指摘の通りでございます。機械につきましても、積極的に取り入れていく必要があると思います。局内におきましても、すでに計画を十分立てまして、相当な資金をもちまして機械化を進めております。たとえば小包の区分機、あるいは最近は書状の自動区分機というところまで進みまして、思い切った機械化等をいたしておりますので、御了承願いたいと思います。  それからなお、機械の一部でございます自動車でございますが、御承知のように赤いスクターや、あるいは三輪車というものも相当取り入れまして、従業員の労務軽減に資しておりますので、御了承願います。
  60. 石山權作

    ○石山委員 新聞も普通の宣伝物も同じような取り扱いになっておるとすれば、これは新聞社で何か別な措置を講じなければ、ニュース価値が全然ないようなのが郷土新聞の今の現状のようです。これはやはりどこかで工夫してもらって、新聞のような場合は別個のものを何か考えなければならぬと思うのです。  それはきょうの課題ではないので、私は申し上げませんが、そのほかに遅配になる原因として私たち考えていることは、あなたは遠慮深く、おっしゃらぬでいるようですが、指摘される面としては、概括的にいえば労務対策がうまくいっていないというふうなことです。その労務対策ということは、私は何も下の方だけ言っているのじゃないのですよ、全般のことを言っているのです。特に地方の現業に行った場合、課長代理とか係長とかの級の素質が悪いということを指摘してよろしいと思う。この級がいわゆる統率力がない、信頼を得ていない、それを忘れちゃいかぬですよ。大臣官房長も今まで人事を扱っていられこのですから、この点は忘れてはいかぬですよ。そうでないと現場の人は動きません。そのことを一つ私は指摘申し上げたいと思う。  それからどう考えても、さっきも基礎算定の基準のお話を申し上げましたが、最近われわれが受け取るPR用のいろいろなものがまことに多い、膨大と言ってもいいほどPR用のものがどっと来るわけですね。ですから、人員がそれに追いつかぬということです。簡単にいえば、人員の不足だと言い得るけれども、その急激にふえた事務に対する考え方が、皆さんの場合には平均化された人員という見方をしているのです。それでは集中的に来る大都市のものは、必要量の人員と実際の物量というものの差がますます大きくなってきたというのが、私はやはり遅配を大きくした一つの要素をなしていると見ているのです。  それから責任の度合いの問題ですが、非常勤が多いと私は申し上げたい。臨時雇ですよ。しかも、皆さんのところを聞いてみますと、よそのお役所の非常勤、臨時雇よりも安いのです。それで、私は自分のことでいえば一番早くわかる。年末にこういうことがあったのですよ。僕は、うちへ帰れば小さい町の町内会長をやっているのですが、郵便局長さんから親切な依頼状が来たわけです。年末に、年始状が膨大なものだから、その日配達する郵便袋ですか、これを預かってくれ、こういう依頼状が来た。そうしたら次の日、でっかいやつを若い学生さんが持ってきて、何ともいわないでどんとほうって行った。それっきりですよ。非常勤、臨時雇というものはこういうものだ。これは年始の状だからどうということはないでしょうけれども、これだってやはり信書です。なくなったら大へんな問題でしょう。ですから、抜き取り事件がある、為替がなくなると云々といろいろなこともあるようでございますが、これは皆さんのところに大へんな責任があるように思っているのです。年始の状を一例に引いたわけですが、預かってくれでもないし、あるいはもっと厳格にいえば、大切なものだったら判取り帳みたいなものを持ってきて、受け取りましたというような判こをもらって帰るぐらいの、何かそこら辺の処置があってもよろしいんじゃないかと思ったのです。それは、持ってきた人間を信用できないということです。お早ようでもなければ頼みますでもない、どんと置いて帰っていくというような臨時雇がいるわけなんですね。ですから、こういう点も考えていただかなければ事故も防げないのではないか。私の申し上げたい点は、遅配とか事故の問題というものは、私が今あげたようなことからもかなりにあるだろうということを申し上げたいのです。それはなぜかというと、皆さんの場合は、事故や遅配が起きますと、すぐ労働組合だというふうに結びつけるでしょう。そういうのを私たちは責任の転嫁と言っているのですよ。責任の転換だ。皆さんの労務対策を見てみると、おおむねそういう傾向が免かれない。これは大臣民間じゃそんなばかげたことをしませんよ。たとえばせっかく自分のところで十年ぐらい使って能力もできた人を、何か事故があったからといってばっさり首切るなんて、そんなばかげたことは絶対しない。だけれども、あなたのように公務員法だとかなんとかいうやつを無理に使って、さっきも私の方の山内委員が言ったように、結婚式に行った者まて処罰しなければいかぬというようなやり方をしている。民間ではそんなことはしませんよ。民間ではよほどのことがない限り、企業が成り立たぬというときでなければ首を切りません。なぜかというと、あなた、金をかけてせっかく熟練工に仕立てた者の首を切るなんて、そんな非能率的なことをしない。事故を起こすこと、郵便を遅配することは、さきにもあげたように皆さんの責任にあるようなことが大へんあるわけなんですね。あげてみても、中級幹部が非常にだめだということ、非常に急激にふえていく事業量に対して人員の採用が不足だということ、責任の度合いのない非常勤を数多く低賃金で雇っていること、これは労務者の責任じゃないですよ。大臣、あなたの責任なんです。そういう責任を果たさないで、言うところの遅配事故が起こると、それはどうも労働者の責任だというふうな格好で、これまでばっさりやってきた。だけれども民間じゃそういうことをやらぬということを私は申し上げたい。十年、十五年と使った人をもっと大事にして下さい。処分の仕方というのはいろいろあるだろうと思うのです。その処分の仕方が、まことに人情のないやり方で処分をしていると私は思うのです。それは感情論ですよ。感情論でなければ、官僚の悪い、いわゆる権力を背景にして圧迫して団体を規制していくという古いやり方です。ですから、これはこの人事局などができる前提として、非常にやはり私は考えていただかなければならぬと思うのです。それからこの法案を見てみますと、やはり労務対策だということは歴然としているのです。この条文に触れていることを見ましても、人事局の事務、第十条の三をこう見てくると、変わっているのは八と九だけだ。あとは前の人事部と何も内容は変わってないのですよ。八と九は何を言っているかというと、「八 職員の結成する労働組合その他の団体との交渉に関すること。九 公共企業体等労働委員会に対する調停及び仲裁の請求に関すること。」というふうに、これは性格からしてあたりまえのことなんですよ。性格からしてあたりまえのことなんだけれども、部を改めて局にするのに、たったこの二つぐらいしかふえていないようなことでは情ないと思う。だから労働組合の諸君は、これは労働強化をさせるだろう、労働組合運動を弾圧するだろう、こういうふうにいっているんだ。なるほど見てみたら、そんなふうにも思われる節もございます。私は大臣にお聞きしたい点は、勘どころというか、人事局を作るほんとう意味というか、それのよさというふうなものですね、そういうものは一体何だろう、こう思っておるのです。  それからもう一つは、私が二、三申し上げた事項に対しては、至急やっていただけるかどうか。至急という言葉はこの際適切かどうか知らぬけれども、やはりそれは改善の必要ありと認める、たとえば中級幹部といいますか、この中級幹部がほんとうに現場において働く人たちの民心を把握する統率力を持つ、こういうふうなことをやらなければいかぬということ。それから事故を防ぐためには、身分をきちんとし、相当な賃金を与えている人でなければ事故はなかなか防げないということ。急速にふえた郵便物の物量に対しては、これに即応したような人員をば充当するということ。それから基礎算定、行管から指摘されております算定基準が少し古いから、この算定基準を改めるということ。五つばかりあげてみましたが、一つ一つお答えにならぬでもいいのでございますけれども、いずれにしてもそれらの事項に対してはやっていただけるという御答弁をいただきたいと思います。
  61. 迫水久常

    迫水国務大臣 人事部を局にするというほんとうのねらいというのは、先ほど来申し上げておりますように、官房の中の一部ということでなしに、独立の局を設けて労使間の関係の正常化、これは全逓と私の方で年末にもそういう文書を交換しておりますが、両方の行き過ぎがないように、相互に反省して労使間の関係を正常化することに努めるということをいっておりますが、そのために一そう役立たせるということも一つの重要なねらいであります。それを私さっきも山内さんに申し上げたのですけれども、弾圧するとか処罰を強くやるために局にするというふうに考えておられたら、それは大間違いであって、全然そういうことはない。疎通をよくするためにその方がよいと思います。  それから幾つかの点をおあげになりまして、その点についていろいろ御指摘もいただきましたが、私も研究しまして、全体が反省してその方向に今向っておるのです。ことしの予算をごらんになれば、また年末においてどのくらい臨時雇の給料を払ったかということを御研究下されば、その方向に向かっていることは石山さんも御認識下さるだろう。前は丙だったのだろうけれども、このごろは乙くらいまでには成績が上がってきたのに、学校の教師が依然として丙の時代の話ばかりで、お前はだめだ、だめだと言われたら元気がなくなります。ちっとはこのごろはよくなっていますから、甲の成績をとるように一そうがんばれ、こういうのなら私も大いにがんばろうという気がするのでございますけれども、少し乙の、上にはならぬにしても、相当のところまでいろいろ先生方に御注意を受けて気をつけて直してきているというふうに私は思います。従って、ちっとは成績はよくなったけれども、これはもう一段だぞ、こう言っていただくと元気は出ますが、昔悪かったからと、一年前の話をそのままいわれたのじゃ——私はうちの子供を教育するのに、結局そういうふうに学問を勉強させたいと思いますから、どうぞそういう意味でお見捨てなく御指導のほどお願いいたします。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 金澤平藏

    金澤政府委員 御指摘の中の中級幹部といいますか、課長代理というような者が部下の教育と申しますか、それの把握が足りない、労務管理が悪いという点は、そういうあれもあることも私よくわかるわけでございます。そういう点は、大臣お話になりましたように、労使の正常化というものが進んで参りますと、今までの単に感情的な感じ、あるいは無関心な態度、何と申しますか、仕事と部下に対して愛情を持たないということが大きな原因じゃないかと思いますが、こういう点は、私どもでいろいろそういうこともございましたので、去年幹部級と申しますか、そういうような中堅の管理者を含めまして十分訓練もいたしております。先ほど大臣も仰せられましたように、これも右から左というふうには直って参らぬと存じますが、徐々によい方向に向かっていくんじゃないだろうか、こう思っております。  それから物数と定員の増加の問題でございますが、これはちょっと御披露いたしますと、昭和三十二年には約二千人の増加でございましたのが、昭和三十三年には二千六百人、三十四年には三千八百人、三十五年には四千六百人、三十六年には九千人、三十七年に至りましては予算要求で一万五千をこえておるわけでございます。これも相手のあることでございますので、なかなか私たち考え通りいくわけにはいかないのでございますが、正しい論拠に立つものについてはあくまでもがんばって、大蔵省から必要な人員はもらってくるというふうに前向きでやっておりますので、この点も御了承願いたいと思っております。  それから基礎算定につきましては、先ほど専門の曽山次長行管の御指摘の問題に関連して御答弁いたしましたことで御了承願いたいと思います。  単価の問題は、これも大臣も触れられましたけれども、丙の時代においては確かに御指摘のような点があったと思うのでございますが、昨年の暮れ、これは悪口を言われれば苦しまぎれにやったのではないかということもおっしゃられるかもしれませんが、私たちといたしましては、予算を差し繰りいたしまして、十分にとは申せませんが、魅力のある単価に近い単価を決定いたしまして昨年の暮れやったわけでございますので、この点も御了承願いたいと思います。
  63. 石山權作

    ○石山委員 現場において緊急の場合のお金の使い方が非常にルーズだ、言葉は適当でないかもしれませんけれども上手でない、こういうふうに私は行管の報告書を見ておるのですよ。あなた方の方にも達しているだろうと思いますが、こういう点はやはり一定の基準を設けて、このくらいの場合はこういうふうにしなさいというふうなことがないと、今言ったような適当でないような使い方をなさる地方の局長さんもいられるのではないか、こう思っているのです。これは私がいいかげんなことを言っているのではなくて、行管で出している資料からそういうふうに拾って申し上げているのですから、これは間違いないところと思います。今度の人事局というのは、何と申しましても、一般のいう労務対策という言葉で要約してよろしいと思います。それで労務対策をよくするということだと思うのです。労使双方がよくなるための一つ努力の現われた形として人事局を作ったらよろしかろう、こういうのだと思います。その前に、皆さんのところには苦情処理の制度がありますね。この苦情処理制度は非常に活用されておらないといっているのです。これは、私、民間の例をときどき引くのでありますが、民間ではこの苦情処理制度というものを非常に動かしておる。これは普通にいう業務上の指揮、指令の問題、こういうので、労働権処罰に対する反対、賃上げ、こういうものは労働組合においてやる、企業に直結した事務的な問題等は労働組合に努めて取り扱わせないで、自分の職場の立場からいろいろな苦情を言わせてそれを処理する、こういうものの考え方は合理的でしょう。能率が上がるわけでしょうが、あなたの方でそれをおやりになっていないというふうに行管は指摘しているのです。それが全部労働組合に持っていかれると、事務的に処理される問題でも、労働組合の中に入ると労働組合仕事が大きくなります。労働組合は、何と申しましても皆さんの方では労使対立という言葉を使っているわけでしょう。それは世間でもそう言っているのだ。対立のところへそういう事務的な問題を持っていくと、これは感情化されるわけですからね。普通だったら簡単にできることでも、なかなかそこでは簡単にできないということがある。ここにも事務が渋滞して、民間よりもおくらせる要素があるのではないかという意見です。この意見は、私は第三者の意見として十分採用してもらわなければ困ると思う。ある制度をなぜ活用させなかったかという理由を今聞いたって始まらぬ。これを活用するということ、事務的な問題、職場における事務能率の問題はそこで解決するように工夫をこらすということがこの際大切だと思う。これは大いにやってもらいたい。ここで近代的な労務管理というふうな言葉になるだろうと思うのですが、近代的な労務管理ということは一体何だろう。僕らもよく使っている。あそこの経営者は何だ、依然として古い労務管理をやっている、もう少し近代化されればあんなにならぬじゃないか、こう言うのですね。おそらく人事局をお作りになったら大いに近代的労務管理をなさろうとするだろうが、その中心になる課題はどういうものなのか。人事部のときもそういうことはお考えになって、近代化されておらなければならなかった。よく言うんですよ。生産の合理化、近代化、生産性向上といっているのだが、経営者の中にそういう感覚をより以上私たちは求めたいものだと思っている。特に官僚機構の場合には求めなければならぬ。民間の場合は経済という必死のものがあるから、勉強しなければその重役は落ちぶれていく、経営者としての資格がなくなる。そうでしょう。もうけなければ株の配当もできなくなるし、次の株主総会では、あの経営者は取りかえろということになりますよ。だからその意味では自然の形で努力をする。官僚の場合は、あなたも、ここに並んでいる人はおおむね官僚だな。上級官僚になるとそういう近代化を行なわない。これは残念です。ですから、私の言う近代的な労務管理ということは、皆さんの場合にはどういうことを意図しているだろう。人事局をお作りになった場合には、まず何を第一、第二、第三というふうにお始めになるだろう。これをちょっと聞かしてもらわないと、弾圧だということになりますよ。これは弾圧するために、処分を便利ならしめるために人事局を作るのだというふうな、組合の諸君が考えているようなことになりそうなんですね。そういうふうな画一的なものの見方になりそうなんです。そうじゃないのだというふうに皆さんの方では理屈をつけているのですから、この内容をちょっとお聞かせ下さい。
  64. 金澤平藏

    金澤政府委員 非常にむずかしい問題でありまして、近代的労務管理というようなお話がございましたけれども、問題は、先ほど大臣からもお話がございましたように、労使間の正常化、相互信頼ということに前向きに進んでいくということではないかと思っております。そのほかいろいろございますけれども、その辺は私たちも大いに反省いたしまして、そういうことについて努力していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  65. 石山權作

    ○石山委員 労働者と経営者というものは、いろいろ数字などで項目を出し合っても、あなたが言ったようなことになりそうです。なりそうだけれども、初めからそれでは、あなた、味もそっけもないじゃないですか。だから、実際からいえば問題が起きるんだよ。そうじゃないんだな。いろいろなことを順序立てて、一、二、三、四、五、六、七、八と並べておいて、それをこなしながら対決するとか、問題が相いれないという形になるのですよ。ですから、良識ある不信のない労務管理を行なうということは、項目が出てこなければそれは実際うそだと思う。だけれども、労働者と経営者の対立というのは、ある点までいけば全く心と心みたいになるわけだから、あなたの言うことは、その面では終着駅へ着いた話なんだ。それはわかる。わかるけれども、それではちょっと労務管理としてはさびしい。だから、端的にいえば官房長は、自分には手に余るから、新しい局長さんにそのことはゆだねたいということでしょうね、あまりに仕事が多過ぎるから。こういうことでも私は理由は成り立つと思う。しかし、やはりそれだけでは私はいけないのではないかと思います。近代的な新しい労務管理というものになりますと、そういう格好でなくして、あなたのようなことを言っていると、たとえば相互信頼ということは、ちょっとはずれるともう感情の問題になる。精神だけでは相互信頼はくずれてしまう。くずれることをささえるのは何だというのです。くずれることをささえるのは、私が先ほど申しました、高い金をかけて長い間育てた優秀な技術者を大切にするという一つの項目、こういう項目はやはり持っていなければならぬと思うのです。そうでないと、やはり何か事あるとばっさり何十人も首を切るということにつながっていくだろうと思う。人事局はそれを大いに理論づける役割を果たすということになるんじゃ困ると思うのです。ですから、労使というものは非常に冷静で、科学的で、数字をあげながら進んでいくようでありながらも、最終的になると対立感情によって、感情的に物事を処理するという格好になる。その呼吸を皆さんはお忘れになっていると思うのですよ。高い地位にいて、そうして見おろしたような立場で労務管理をなさる。しかし民間の場合には、高いところに立っているようですが、労働組合員一人々々の分子をば、これはおれのところの企業でもうけてくれる有能な働きぶりをするとかなんとかいうと語弊があるけれども、有能なもうけてくれるところの一人々々であるというふうに見ておる。だから、対立しても違うのですね、その対立感情というものは。皆さんの場合はそうじゃないんだ。あなたは精神面を強調しているだけで、精神というのは権力につながるということですよ。形式につながるということですから、何も実のないところでけんかをおっ始めるんだ。今回の国鉄の争議もそうでしたろう。大多数の組合あとにして、従来の慣行を破って少数の人と先に協約を結んだ。何も実のないことなんだ。しかし片一方としては大へんだ、大きな、四分の三のウエートを占めるような組合が無視されたというので、労働者が怒るのはあたりまえだ。そうしたら、これはけしからぬというわけで三十何人も首を切る、全く何ということだということになりそうなんです。民間なら、そんなばかなことは絶対できやしないし、やりもしないでしょう。そういうことを大ざっぱにやっておる。これは私国鉄を例に引いたが、皆さんの方だって何回か繰り返したことです。人事局を作ればそういうことはやめる、こういうことかもしれません。それであれば大へんによろしいことだと思います。しかし、私たちが今まで皆さんのおやりになっているところを見てみますと、その必要性があるだろうという前提はわかるけれども、だからといって不信感はぬぐい切れないということも、われわれ社会党としては事実だろうと思う。なぜかというと、あなた方の実績というものは、私に言わせればいい実績が残っていない、先ほど申し上げたような、いわゆる権力と形式につながって、感情的に物事を処分するという一つの形式をとっているのですから、私が申し上げたいいことはない。これから積み上げるのかもしれませんが、全然ない。これは十分に注意しなければならぬ問題だと思います。私は、あなた方の気持はわかるけれども、不信感の上に積み立てられた今回の発想に対しては、やはりまだ賛成というところまで残念ながらいきません。まあ皆さんがこれからおやりになることを見て、よかったなということになるでしょう。  それで、最後に二つばかりお聞きしておきたいのですが、私など労働組合関係を多く知っているわけです。私は小さな労働金庫を創設した経験を持っているのですが、そこで、最近少しく計算などが機械化しております。資本金三億か四億くらいの労金でもそうです。皆さんの場合でも、貯金や保険のああいうふうな計算なども、まだその点では非常に考えられるところがあるのではないか、こういうふうに思っております。  それからもう一つ申し上げたい点は、これはほんとうの最後ですよ。電波の問題ですが、日本放送協会に関することと、一般放送事業相互間の関係、分担等について、法律が分断されているというふうに指摘されているのです。それからもう一つは、電波の物理的規制に重点が置かれて、放送に関する免許、監督についても、技術的な面だけが非常にはっきりしておるが、放送事業の社会的機能に対する配慮は必ずしも十分でないというふうに指摘されているわけです。今度調査会などをお作りになっていろいろ準備をしているようですが、現実は、この指摘された通り一つの間断があるわけですか。
  66. 西崎太郎

    西崎政府委員 第一のNHKと一般放送事業というのが分断されておるんじゃないかという御質問でありますが、御承知のように、現在の放送法におきましては、大半の規定がNHKに関する規定でありまして、その他の一般放送事業に関する規定というものが非常に不備でございます。これは、御承知のように十二年前にできた法律でありますので、当時の情勢としてはやむを得なかったんじゃないか。そういう意味で、最近のように一般放送事業というものが非常に全国にわたって普及して参りますと、こういったものについての法規というもの、条文というものも、やはりもう少し整備する必要があるのじゃないかということで、今回の臨時放送関係法制調査会というものもお認め願いたいという、これが一つ理由になっておるわけでございます。  それから行管から指摘されたといいます、従来放送関係等の免許にあたりまして、技術面だけが強調されて、社会的、経済的面があまり配慮されていなかったんじゃないかという点でございますが、もちろんわれわれとしましては、放送事業の社会的あるいは経済的な影響力と申しますか、重要性という点から、こういった面も現行法の中では最大限に配慮して参ったわけであります。ただ、先ほども大臣答弁されましたように、従来放送局の免許というものは局の免許、ちょうどほかの無線局と同じような考え方になっておったわけでありまして、いわゆるその事業としての免許という点についての配慮が足りなかった。これは現在の放送関係法制というものがそういうふうになっておりましたので、おのずからそこに限界があったわけであります。今回はそういった事業免許といったようなこともこの際十分考えまして、先生御指摘の放送の社会的あるいは経済的な問題につきましても、十分今後免許等の場合に考えていくことができるようにしたい、こう考えておるわけです。
  67. 金澤平藏

    金澤政府委員 御指摘のございましたもう一つの問題へ貯金、保険の機械化であります。これは従来もやっておったわけでございますが、最近特にその必要性を感じまして、官房の中に機械化準備室というものを設けまして、貯金、保険のみに限らず、全般的に計算事務というものを、これは給与の面につきましても各郵政局にそういう機械を入れまして、いろいろ実験ないし実習をしておったわけでありますが、さらに全面的にそれから生ずるいろいろな問題等も、どの方面にどういうふうに向けていったらいいかということを総合的に研究する必要がございますので、そういう準備室を設けましてやっております。
  68. 石山權作

    ○石山委員 これは大臣にお聞きするのですが、例の公益事業という問題と労働組合のストライキとかなんとかいうこととからんで、どうも大臣たちの言うことは、いつでも公益事業の場合、ストライキをやることは非常にけしからぬというふうなことをどの大臣もおっしゃるのですけれども、御自分たちのいけないことはちっともおっしゃらない。たとえばせんだっての民放の場合、大臣は、あれは公益事業だから何とか規制せねばならぬと、ストライキをやってはいかぬというような法律をお作りにでもなるのか、政令みたいなもので何かやるのかわからないけれども新聞を見るとおどかしをつけている。経営者の方には一言もおっしゃっていただかない。これは一体何でしょう。民放の経営者は、あるいはしこたまふところに金をもうけて、それを配分しないのかもしれませんものね。こっちは物価が上がったというので困っておるのだから、四千円くれとか五千円くれとか言ってもくれない。何ぼ話してもくれないものだから、これはストライキでもやらなければ出ぬだろうというのでやった。そうすると、労働組合はけしからぬ、ストをやると何か作って処罰をするというようなことになりそうだが、今後そういうふうなお考えで民放等の争議を指導なさるような考えでございましょうか、あるいは法律とか何とかで規制するつもりでございましょうか、はなはだ私は得心がいかぬのですが、この際一つお知らせ願いたい。
  69. 迫水久常

    迫水国務大臣 民放のストライキについて、私が発言しましたことが新聞に載っておりました。新聞の報道を石山さんもよくごらん下さいますれば、そういう御質問は出なかったただろうと私は思うのです。皆さん方がわれわれというものを、いかに労働者の方を圧迫するかということばかり考えているという、そういう先入観をもってすべてのものをごらんになるから、そういう御質問が出ると思うのですが、あの場合は、私は経営者に対して警告を発するのが主たる考え方です。つまり、経営をしているときに、労働問題というものを念頭に持たないでぼんやりしているからこういうことになるのだ。従って、今後における放送というものは非常に公益事業であるから、特に経営者というものは、その波がとまらないようにすることに常に配意していなければならぬのに、少しぼんりやしているのじゃないかと、経営者に対して警告を発するのが主でありました。同時にまたストライキをやる連中も、公共事業であるから、一般の私企業といいますか、つまり他の産業とはおのずから違うという限界は十分心得てもらわなければいけないので、当時西日本テレビでは、それはあとで取り消したのですけれども、当初組合が張り出しましたビラ、送信所に張ったのですが、それには、本送信所の業務はわれわれの手で行なう、つまり業務管理をするぞということを宣言したわけです。そういうことは行き過ぎじゃないか。ところがそれはあとで墨で消しまして、そこの部分は消したわけですけれども、そういうようなことで、あの際私が発言しましたのは、むしろ私の重点は経営者にあった。経営者はちゃんとそのことをよく心得て、私の話した重点が経営者に向かっておったということは、十分それを考えておるようです。しかし、今石山さんからの御質問は、どうも先入主を持って言われる。もう少し常識——私もずいぶん常識を持っているはずですから、その意味一つ今後ごらんを願いたいと思います。
  70. 石山權作

    ○石山委員 これで終わりますが、郵便事業は公益事業の最たるものだということには相違ございません。また、争議を起こすことは、国民から見れば確かにある種の迷惑でございます。だからといって、労働者側だけに問題の中心があるのではないということだろうと思う。私は先ほど四つ、五つあげてみても、皆さんいわゆる使用者側、管理者側と目される方々でも、経営上たくさんの改良を行なわなければならぬという事態はお認めのようであります。この事態の中で、仕事と人があるわけなんですね。ですから、何か問題が起きても、あまりにも形式主義的な、官僚主義的なものの考え方でものを見るということは、労働争議というものをば正確につかむゆえんではないということをこの際特に力説したい。これで三回申し上げるのですが、何年もかかって優秀な技術者を育てたいわゆる資本を投資して育てた人物をたくさん抱えておるわけなんですから、その人を何なら経済的考慮を払わないでいろいろな処分をばっさり行なうという、この習慣だけは避けるように工夫しなければ、労使紛争というものはますます階級的な性格化をされていく懸念があるだろう。行管の中では、企業の発達のためには部外の経営者の経験を生かせというふうに指摘されておりますが、労務管理も私はそういうふうに見てもらいたいものだと思う。そうでないと、非常に無情な、非情な、過酷な形で組合員が処罰されていくというこの現実は、どう考えても私たちから見れば片手落ちで、あまりにも官僚主義的なものではないだろうか。ですから、能率も上がらぬではないかというふうに、まあそういうふうなところへ私たちは持っていってものを見ているわけですが、この点も一つ、今回この人事局というものを皆さんが作り、これは多数党で押されてできるのですから、この点を十分考えて活用していただかないと、ほんとうにこれが弾圧の局、弾圧するための資料調製の局だ、こういうふうになるわけですから、そういうことのないように、ほんとうの労務管理、労働者と経営に役に立つ近代的な労務管理を行なう局としてわれわれはこの局を提案しているんだ、こういうふうにおっしゃっておるのですから、それを生かしてもらわなければ困る、こう申し上げまして、私の質問を終わります。
  71. 中島茂喜

    中島委員長 これにて質疑は終了いたしました。   ─────────────
  72. 中島茂喜

    中島委員長 本案に対し、草野一郎平君外四名より修正案が提出されております。   ─────────────
  73. 中島茂喜

    中島委員長 この際、本修正案について、提出者より趣旨説明を求めます。草野一郎平君。
  74. 草野一郎平

    ○草野委員 ただいま議題となっております郵政省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略さしていただき、修正案の要旨を申し上げますと、原案では施行期日が本年四月一日となっておりますが、すでにその日は経過しておりますので、これを公布の日と改め、定員改正規定については、四月一日より適用することにいたした次第であります。  何とぞ御賛同あらんことをお願いいたします。
  75. 中島茂喜

    中島委員長 本修正案について御質疑はありませんか。——も御質疑もないようでありますので、これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  76. 山内広

    山内委員 ただいま議題になっております郵政省設置法の一部を改正する法律案に対して、日本社会党を代表いたしまして、反対の趣旨を申し上げたいと思います。  まずその第一は、今回の改正点の第一点は、人事部人事局に昇格することが提案されておるわけであります。質疑応答の過程を通じて明らかになったことは、部を局に昇格するということは、単なる名前だけの問題、権威づけるというだけでありまして、その実態は一人の定員の増加もなく、実質的に今のままを局に直すということであります。そのねらいは、いろいろ理由はあげられておるようでありますけれども、労務対策に重点を置いた考え方であることはいなめない事実であります。しかし現在の置かれておる労使間の関係から申しまして、単に権威をつけるために部長より局長がいいという考え方は、私ども考え方からすれば、将来の労使関係に運用が悪ければかえって刺激を与え、両者間のみぞを深め、民主的な話し合いでもって正しい労使慣行を作りたいというこの努力に、かえってマイナス面が生じてくるということを私どもは非常に心配しておるものであります。そういう意味において、この改正の第一点については、私どもは遺憾ながら賛意を表しがたいのであります。  次に、今回、臨時放送関係法制調査会設置を企図されております。しかしこの内容を承りますと、その性格は必ずしも明確ではございません。今政府は、こういう調査会とか審議会の新たな設置というものは非常に規制を加えまして、前回の国会において設けられました臨時行政調査会というものが、この結論を出して、必要なものは承認を与えるという方針から申しますと、この調査会は、必ずしもそういう方針を押し切ってまで設立しなければならないという必要性は、私は認めがたいのであります。これが反対の第二の理由であります。  次に第三点は、労務管理は、最近郵政省も、その公共性にかんがみ、労使とも非常な努力を払われて、業績は着々と改善されておりますけれども、いまだ遅配というものは解消されておりません。その原因はいろいろあるようでありますけれども、いまだ定員が足りないということは、これは当局も認めておる点であります。従って、機構の改革に出るよりも先に、どうしたらこの定員増の困難な時代において定員を増加し、そうして遅配を解消して、この公共性を持つ郵便事業を完全に伸ばしていくか、こういうことに努力が払わるべきだと私ども考えるわけであります。そういう意味において、遺憾ながらこの設置法改正には私ども賛成しがたいのであります。
  77. 中島茂喜

    中島委員長 これにて討論は終了いたしました。  これより採決に入ります。  郵政省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  78. 中島茂喜

    中島委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  79. 中島茂喜

    中島委員長 起立多数、よって、修正の部分を除いては原案の通り可決いたしました。  これにて郵政省設置法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長の御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  81. 中島茂喜

    中島委員長 次に、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を継続いたします。  質疑を許します。石橋政嗣君
  82. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 昨日直接防衛問題についていろいろお尋ねをしたわけですが、その中でも納得のできない問題がたくさんございます。特に、あれほど世間を騒がし、国会におきましても大問題になりましたロッキードF104の性能について、当時責任ある説明がなされたものと、実際にでき上ったものとの間に、性能の開きがあるということが明らかになりました点などは、非常に大きな問題だと思うのであります。しかも、それが、国会審議過程において私たちが指摘したものが、そのまま事実として裏づけられてきておるというだけに、何としても納得がいかないわけであります。事は一千億円になんなんとする国税を使っての買いものです。そういったものを今から買おうとするときには大騒動したけれども、実物ができ上がってしまったらまことに無関心。要求性能と合っておるかどうかということすら、皆さん方確認をしておらないということは、全く権威の失墜を物語っておるものと思います。昨日は、戦闘機の一番要求されております上昇機能の点で、要求性能と実際の性能との間に食い違いがあることがはっきりしましたが、その後、安全性をはかる意味で一番大切な沈下速度において、これまた食い違いがあることがはっきりいたしておるわけであります。   〔委員長退席草野委員長代理着席〕 当時、源田空幕長も、F104の一番の欠陥は安全性に欠けるところだ、こういう説明をしました。私たちもその点を非常に心配したのでありますが、これは実際乗ってみたところ大丈夫だという結論になったというふうな御説明であったのですけれども、きのうの答弁によりますと、どうもそういう言葉の裏づけがなされておるとは思えません。当時われわれに説明されました沈下速度は一分間当たり千三百メートルということであったわけです。エンジンが止まったときに一分間に千三百メートル沈下するという御説明があったのでありますが、今度でき上がりました飛行機は、沈下速度が千五百五十メートルだという説明であります。これなども大へんな問題です。しかし、時間が非常に限られておりますので、この重大問題については今後もさらに追及するということだけ申し上げて、きょうのところは直接法案に関連する防衛施設庁の設置の問題についてのみ質問をいたしたいと思います。  まず第一に、一体、なぜ防衛施設庁という構想が出てきたかということです。この提案理由説明の中にも一応書いてあるわけでございますけれども、これでは十分な説明になっておりませんので、この点からお伺いをして参りたいと思います。
  83. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 今回の防衛庁設置法等改正のおもなる点は、防衛施設庁を作るということでございます。この防衛施設庁につきましては、御承知のように、現在の調達庁が米軍の基地等の行政をやり、自衛隊の基地その他につきましては防衛本庁がやっておるわけでございますが、最近の基地の状態、すなわち、一方において米軍の基地が減少し、一方自衛隊の基地が整備されておる、あるいはそれらの基地が一時使用あるいは共同使用が多くなっておるという点、さらには、従来は基地の獲得あるいは整備ということに重点が置かれておりましたが、最近の状態からいきまして、いわゆる基地周辺の環境の整備というようなことが非常に重大になって参ったわけでございます。従いまして、こうした点をあわせまして、基地行政を能率的に、効果的にやるためには、米軍の基地といわず、自衛隊の基地といわず、これを一括いたしまして統一ある行政をやる方が妥当であるというふうな考え方を持ちましたわけでございます。
  84. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 従来調達庁と防衛庁の主として建本でございますが、これがそれぞれやっておった行政を一元化するのだということでございますが、すべての基地対策というか、そういうものは今後防衛施設庁でやる、こういうことになるわけですか。
  85. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 防衛施設庁がもちろん第一線と申しますか、窓口となってやるわけでございます。しかし、これらの問題は、広く防衛庁全体として考えなければならぬ問題もございますから、もちろん、内局でもその大きな方針その他につきましては携わるわけでございます。
  86. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その場合、本庁においては経理局がやるわけですか。
  87. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 さようでございます。
  88. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは、今度新しい形で防衛施設庁というものができたときに、この防衛施設庁の人事権は一体どうなるのか。特に本庁の人事局との関連を含めて御説明を願いたいと思います。
  89. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 法案によりますと、防衛施設庁長官を除きましての職員の任命権、これは防衛施設庁長官に認められておるわけでございます。ただ、防衛庁の職員となりますもので、お互いの人事の交流その他等で考えなければいけません。そこで、今度は法律上明らかに人事に関する基準を長官が定めるという一条を入れました。この基準に基づきまして、防衛庁全般、防衛施設庁を含めましての人事を管理していきたい、こういう考えでございます。
  90. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、一応人事権は防衛施設庁長官に属するというけれども、その基準は防衛庁本庁できめるということになりますと、実際上は防衛庁人事が行なわれるということになると理解していいわけですか。
  91. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 長官がおきめいただくことに予定しております基準は、大体人事院の人事に関する基準を参考といたしまして考えておるわけでございます。でありますから、その基準に基づきまして、それぞれ防衛施設庁長官が実際上防衛施設庁の職員人事を行なうということになるわけでございます。大本はあくまでも防衛庁長官にあるとお考えいただいてけっこうだと思います。
  92. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 防衛庁長官が定める基準というのは、あくまで防衛庁長官が独自にきめるものであって、人事院の主として一般職に対する基準というものは、参考程度というふうに理解していいわけですか。
  93. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 もちろん、人事院規則その他の人事に関する規則は、一般職適用されるだけでございますので、特別職になりました自衛隊の隊員にはそのままは適用されませんが、現在予定をいたしておりますものは、参考と申しますか、それを基準にいたしまして制定する所存でございます。
  94. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その点はあとでまた詳しくお伺いいたしますが、次に、防衛施設庁の中には自衛官と非自衛官とが一緒に勤めるということになるわけです。そこで、この自衛官の取り扱いですけれども、防衛施設庁の中でも、相当役付の官職につく自衛官がある、そういうことになりますか。
  95. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 本来、建設本部におきましても、現在自衛官が百四十人ほど勤務したしております。これはもともとは建設本部の行ないます仕事と各幕僚幹部との連絡を緊密にするという必要から生じておるのでございますが、現状といたしましては、特別の技術者につきましては建設本部の方で人を得がたいということもありまして、その方の専門家の自衛官も入っております。通信工事課長はたしか自衛官であったと思います。この通信工事関係について申しますと、こういう関係職員は、もし他に適当な人を得れば別でございますが、やはり足りませんければ自衛官をもって充てていくということにならざるを得ないと思います。
  96. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 現在調達庁に働いております職員気持の中に、事は防衛庁だから、自衛官と同じ職場に働くということになると、結局自衛官の方が、こういう人事の面にわたってもすべてにわたって優先権を持つんじゃないか、そういう不安のあることも事実なんです。そこで、私はお伺いするわけですけれども、自衛官優先の人事が行なわれるというようなことはないのかということであります。
  97. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 今回できます防衛施設庁の自衛官は、これは建本におけると同様、主たる任務はこうした仕事と、各幕僚幹部との連絡調整が主でございます。ただ、官房長がお答え申しましたように、特に特殊な技術について、せびろではなかなかそういう人が得られないという特殊な場合にそういうことをやるのでございまして、ただいま御指摘のような、防衛施設庁になりましても、自衛官優先の人事というようなことは、いたさない所存でございます。
  98. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それは将来にわたってもそういう扱いをするつもりだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  99. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 よろしゅうございます。
  100. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 次に、防衛施設庁の予算について、どういうふうになるのか、お答えを願いたいと思います。
  101. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 防衛施設庁の予算につきましては、従来対米軍関係の予算で調達庁についておりました部分につきましては、防衛施設庁へそのまま移ることになります。それから従来自衛隊関係の予算で防衛本庁についておりました分につきましては、原則としてそのまま防衛本庁に残るということに相なります。
  102. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、一つ機構の中で予算が実質的には分離されるということになるわけです。駐留軍関係は防衛施設庁、自衛隊関係は防衛本庁ということで、実際上不合理が起きませんか。特に会計法上は問題ないわけですか。
  103. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは財政当局とも打ち合わせまして、財政法上あるいは会計法上特に問題はないということになっております。
  104. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、防衛施設庁に関する庁費予算あるいは予算定員といったようなものの大蔵省に対する要求あるいは折衝というものは、どっちでやるのですか。
  105. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 実際上の事務の問題といたしまして、予算の積算等は防衛施設庁で行ないまして、これを内局を通じて大蔵省に要求することに相なります。
  106. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 次に、調達庁から防衛庁に職員がかわるわけでございますが、切りかえにあたっては特に新しく辞令でも出されるということになるわけですか。
  107. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 これは法律の附則の第6項に、「防衛施設庁の設置に係る規定の施行の際現に調達庁の附属機関である機関で防衛施設庁の相当の附属機関となるものの委員である者は、防衛施設庁の相当の附属機関の委員となるものとし、防衛施設庁の設置に係る規定の施行の際現に調達庁又は建設本部の職員である者は、別段の辞令を発せられない限り、防衛施設庁の職員となるものとする。」こういう規定がございます。
  108. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その点はわかりました。調達庁の職員が防衛施設庁の職員となりますと、一部を残してほとんど全部が特別職になります。調停官と労務に置かれた職員が従前通り一般職になる、こういうことになるわけですが、これがまた非常に大きな問題になっておることは、御承知通りであります。かりに防衛施設庁というものができて、そこに職員が働くようになるとしても、従来の身分をそのまま持ち越していくべきだ、一般職という性格を変える何らの理由もないではないか、やっておる仕事自体変化がないのであるから、特別に特別職に変える必要はないということをわれわれもかねてから再三申し上げてきたわけでございますが、なぜ特別職でなくてはならないのか、この点について一つ納得のいくように御説明を願いたい。
  109. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほど申しましたように、基地行政を一元化する、すなわち、現在調達庁に勤務しておる職員でも、この防衛施設庁ができますならば、これらの職員は、米軍の基地ばかりでなくて、自衛隊の基地についての仕事もいたすことになるわけでございます。従いまして、自衛隊の運営について不可分な関係にございますので、そういう意味におきまして、特別職にいたしたわけでございます。全然自衛隊の運営に関係のない労務部の職員あるいは調停官につきましては、従って一般職にとどめたわけでございます。
  110. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 何も特別職にしなければ仕事に支障を来たすというようなことはないと思う。新たにできる防衛施設庁の業務というものは、全部シビルであったっていいわけです。工合が悪ければ、従来特別職であった部分一般職に直すということでも私はカバーできると思う。現に人事院においては、組合側人事院事務総長とが二月二日に会見を持ったときに、はっきり明言しておるそうでありますが、防衛施設庁の職員一般職が相当であるという見解を述べておる事実も知っておるはずであります。この一般職にしようということについて、今まで調達庁自身が一体どれだけの努力をしてきたかということを、これは調達庁の長官に経過報告の形でお伺いしたいと思う。
  111. 林一夫

    ○林(一)政府委員 機構を一本にしまして防衛施設庁を作るという考え方につきましては、今回この法案を国会に提出するまでにおいて十分協議したのであります。御承知のように、この防衛施設庁を設置するという目的の一つとしまして、やはり調達庁職員の身分を安定するということが、私どもの数年来の念願であったのであります。どうしても規模を一本にして事務能率の増進をはかるとともに、調達庁職員の身分の安定をはかるということが、われわれの強い念願であったのであります。そのような意味におきまして、従来調達庁でも十分に協議して参ったのでございます。調達庁におきましても、組合員の意向は、やはり一緒にするのはいいが、できるなら一般職のまま入りたいという強い希望を持っておったのでございます。そのような希望ももちろん十分反映しまして協議をしてきたのでございますが、先ほど御説明があったように、この基地行政を一本化するということになりますると、調達庁の職員のうち、基地行政に関与している職員というものは、結局自衛隊の施設その他これに関連する業務に従事するということになるのであります。そうしますと、やはり他の職員との関係からいきまして、やはり特別職という一本にする方が適当であるという結論に達しまして、そのような方針が決定したわけであります。
  112. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 職員の身分と労働条件の安定をはかるという気持はわかりますけれども、これは一次的にはやはり職員自身の団結の力によって確保するというのが、民主国家の原則なんです。日本の憲法においても、かるがゆえに二十八条において団結権を保障しておると私たちは思う。それを不必要な部分についてまで、便宜的な考え方から特別職にしていこうという今の防衛庁のやり方には、私は問題があると思う。なるべく支障のない限り一般職にしていくという逆の方向を私は打ち出していくべきだというふうに考えております。職員諸君が本法案に強硬に反対する一番大きな理由もここにある。特別職となり自衛隊法の適用を受ける、従って、職員団体が解散しなくちゃならない状態になる、非常に不安を覚える、これが強硬な反対意見となって今現われてきておるわけです。これはもう当然のことでございまして、何としても一般職だけは考えてやろうという熱意が調達庁側にも受け入れ側にもなくちゃならぬと思うのですが、私はそれが十分であったとは思えません。今の御説明を聞いても、一生懸命努力してみたいという証拠には私はならないような印象を受けます。ところで、身分は特別職であっても、職員団体が結成されておる例もあるわけでございますが、防衛庁に関しては、自衛隊法の適用を受けるために、この職員団体がどうしても結成できない。一体どうしても自衛隊法の適用を受けなければ工合が悪い点があるのですか。
  113. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 防衛施設庁に勤務する職員につきまして、その身分をどうするかということについては、各方面いろいろな御意見がございまして、私どもも十分これらを比較検討をいたしたのでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、自衛隊関係の基地についての仕事をするということになりますると、これはどうしても自衛隊の任務遂行に直接関連をすることに相なるわけでございます。そういう面から特別職にすることが妥当であるというふうな結論になったわけでございます。ただ、何か便宜主義ではないかというお話でございますが、それらの点も十分考えまして、あるいは人事管理上は多少問題がありまするけれども、全然自衛隊の任務遂行に関係のない労務部の職員等につきましては、一般職にとどめるというような処置もとったわけでございまして、それらの点は十分比較検討をいたして、結論を出したものと私は考えております。
  114. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 この点は、長い間お互いに討論をしてきた問題でもあるわけです。先ほど申し上げたように、人事院としても一つ考え方を持っておるようであります。私は、今後の問題としても、防衛庁といえども、非自衛官はなるべく一般職という形に切りかえていくべきだという考え方を持っておることを申し上げておきたいと思います。今、調停官と労務部の職員一般職にとどめたとおっしゃいました。そういたしますと、当然これらの人たちは、職員団体を結成する権利を持つと思うのでございますが、ただ、組合を結成いたしました場合に、人事院に登録する必要がある。これには大臣の認可が要る、こういうことになっておると思うのでございますけれども、自発的にこれらの一般職職員職員団体を結成しようとするときに、大臣がこれを阻止するというようなことはございませんか。
  115. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 御指摘のように、一般職職員については、職員団体を結成する権利がございます。従いまして、これはあくまでも職員諸君の自主的判断にまかすべきものでありまして、私どもがこれにとやかく申すことは全然いたしません。
  116. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 先ほども申し上げましたように、今まで機構が縮小され、人員整理が相次いできた中で、調達庁の職員は、職員団体というものに大きな希望を託してきたわけです。その肝心なものが解散されるということになると、幾多の不安を持ってくるわけです。私は、その職員の不安の一つ一つを今から取り上げて、こういう懸念がないものか、こういう問題についてはどういうふうに措置しようと考えておるのか、そういった角度で一つ答弁を願いたいと思うわけです。  その第一は、頼みの綱の職員団体が解散された、そのまま防衛庁の機構の中に入り込んでいった、防衛庁とか自衛隊とかいうものの性格からいって、そういう機構の中に完全に入っていくと、命令一本の非民主的な職場となって、特に下級職員の声などがなかなか上部に伝えられないのではないか、そういう不安を持っておると思うのです。組合があれば、組合の代表が堂々と上層部と折衝を持つ機会もあり得たのでございますが、そういった機会がなくなるということになると、一体どうして下の声を上へ達するか、どういう方法を考えているのか、これは当然の疑問であります。これについて、まずお答えを願いたいと思います。
  117. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 実は、現在の自衛隊でも、陸上自衛隊については苦情処理に関する規定を設けまして、それによってやっております。それそのものがよろしいかどうかなお検討をいたしたいとは存じますが、そうした制度を設けまして、十分に職員諸君の意見を尊重するような方法を考えて参りたいと思います。  なお、全般的に申し上げられることでございますが、なるほど特別職になり、職員団体がなくなるということについて、現在の調達庁の職員諸君が非常な危惧を持っていることはわかるのでございますが、私どもは、どこまでも人事の公正を期しまして、そうした不安のないように全力をあげて努めて参りたいと考えます。
  118. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 従来も苦情処理を取り扱うものがあるというお話でございますが、どういう機構を設けてそれをくみ上げることをはかっているわけですか。
  119. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 現在、防衛庁でやっておりまするその一つは、陸上自衛隊で中央監察隊というのがございます。この中央監察隊の系統のものに対しまして、「隊員が隊務に関し不当若しくは不法な取扱いを受け、又は著しく不便若しくは不利な状態にあると思料するとき」苦情の申し立てができる。苦情の申し立てがありました場合には、それに対して適当な処理をする。苦情の申し立てをしたことを理由として、不利な取り扱いをしてはならない。また、その苦情の申し立ては、良識に従って行ない、いやしくも悪口もしくは中傷にわたるものまたは虚偽のものであってはならない。こういうことを骨子にいたしまして、ある程度は運営をいたしておるのでありますが、やはりこれは陸上自衛隊のみならず、防衛庁職員全般にわたりましても考えなければいけないことではないかというふうに私どもも思っておるわけでございます。ただいま大臣のおっしゃいました通り研究いたす所存であります。
  120. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今のところ、陸上自衛隊にだけそういうものが設けられているようでございますが、どの程度の実績を持っておりますか。現実に申し立てをした件数がどの程度あるのか、受理されたものがどの程度あるのか、その判定の際に、申し立てが通ったというような例がどの程度あるのか、代表的な例を一、二件あわせて御説明願いたいと思います。
  121. 麻生茂

    ○麻生政府委員 お答えいたします。  昭和三十五年度と三十六年度の第三・四半期までの分しかございませんが、昭和三十五年度におきましては、これは直接監察官のところに出て参りました苦情の申し立てでございますが、これが十件ございます。それから三十六年度が、第四・四半期を除きまして五件ばかりございます。これ以外に、それぞれの所在の部隊の長に出ている苦情の申し立てがあるわけでありますが、これは中央の方ではその数字を残念ながら把握しておりません。
  122. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 こういう実績では、苦情の申し立てをくみ取る機関があるということにはなりませんですね。陸上自衛隊に何万人おりますか。その中で、一年間に苦情が十件とか五件とかというものが上がってきたからといって、これは全然実績になりませんですよ。形の上でそういうものを作っておったにしても、あるいは申し立てをしたことによって不利な取り扱いはしないというようなことが書いてあろうとも、雰囲気としてそういうことができないというものを防衛庁自身持っておるということを示しております。だから、大臣が今誇らしげに、陸上自衛隊にもある、それを全防衛庁に広げようと思っておりますなんて言うけれども、あるということは、下の苦情がそのまま上に上がってきておるという証明にならないじゃありませんか。これは逆に、いかに言いにくいかということを示している実績です。こういうものであっては、幾ら形の上で作ってみたところで、役に立たないわけなんです。もう少し、形があるから言ってこぬやつが悪いんだということじゃなしに、形を作ると同時に、ほんとうに苦情を上層に伝えられるようなそういう機構考えていただきたいと思う。特に非自衛官の場合、この職員の場合、このことが中心です。だから、私はだめだと言う。自衛官はとにかくとして、せめてシビリアンの分については、一般職にして職員団体を作らせて、どんどん声を聞いたらいいじゃありませんか。それをおそれる必要はないと思う。今の実績ではとても、少なくとも職員団体にかわるだけの働きを、苦情処理という部分だけでも果たしておるというふうには考えられません。もっと積極的に名実ともにくみ取れるような機関を作るということを言明していただけますか。
  123. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 ただいまの数は中央の監察官にまで上がってきたものでありまして、その他部隊限りで改善されたものも相当あるわけでございます。しかしながら、ただいまお話のように、制度があっても十分活用されないということではこれはなりませんので、十分制度とともにその運営について研究をいたし、そうして職員の声が十分に中央にも反映するような運営の方法も考えて参りたいと考えております。
  124. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 現在の防衛庁には公平審査会というものはないのですか。
  125. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 ございます。
  126. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それはどういうクラスの人がメンバーとして入っておるのか。それからこの点についても、申し立て件数、受理件数、代表的な処理案件があれば、あわせてお答えを願いたいと思います。
  127. 麻生茂

    ○麻生政府委員 ただいま防衛庁の公正審査会は九人の委員で成っております。内局、付属機関で三人、それから各幕僚監部の委員がそれぞれ二人、合計九人で構成されております。その役員の役づきを申しますと、一人は参事官がなっております。現在私がその任に当たっております。それから内局では課長クラスの書記官でございます。現在考査官が当たっておりますが、書記官でございます。付属機関におきましては課長が当たっておるわけであります。各幕僚監部におきましては課長あるいは副部長クラスの、いわゆる一佐クラスの自衛官がこれに任命されておるわけでございます。  次に、今まで、これは警察予備隊時代からでございますが、審査請求がありました件数は合計百十件でございます。このうち、審査請求の期間があるわけでありますが、その期間を経過したために、手続上の瑕疵で審査請求を受理できないということで却下した件数が二十八件ございます。それから審査請求はしましたが、思い直して取り下げたという件数が十六件ございます。現在審査請求の取り下げは、公正審査会の承認を得て取り下げるということにしております。その趣旨とするところは、本人の意思でなく、ほかからの圧力で取り下げるということがありましては、十分職員の保護ということになりませんので、公正審査会の承認を得て取り下げるということにさしておるわけでございますが、自発的に取り下げた人がおるわけでございます。これが十六件でございます。従いまして、実質的に審議をいたしました件数は六十六件になるわけであります。このうち、原処分を承認しましたのが五十三件、原処分を取り消しましたのが六件、それから原処分の変更を加えましたのが三件でございます。
  128. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 この公正審査会の委員ですが、ほんとうに公平にやってもらうためには、一般職の場合に行なわれておりますように、申立人の忌避という制度が生かされるべきだと思うのですけれども、これは防衛庁の場合はできますか。
  129. 麻生茂

    ○麻生政府委員 自衛隊法の施行令の第七十条に委員の忌避の制度があるわけでございます。それから利害関係がありました委員は、当該事案につきましては除斥をされるということであります。あくまで公正な立場において審議をするという建前をとっております。
  130. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それじゃ次に、防衛施設庁職員共済組合運営審議会というものができるということになるわけですね。これの委員の選任方法を具体的にお示し願いたいと思います。
  131. 小野裕

    ○小野政府委員 ただいままでの防衛庁におきましては、制服、私服各方面から十名出しておるわけでありますが、階級別的には、佐官級の者とまた曹の階級と、自衛官については半々になっております。
  132. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それは従来の防衛庁の職員共済組合、今度の防衛施設庁の場合は一緒になるわけですか。それとも、防衛施設庁単独で共済組合を作るということになるわけですか。
  133. 小野裕

    ○小野政府委員 防衛施設庁につきましては、別途の共済組合として運営することになっております。
  134. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それで、私は委員の選任方法をお尋ねしているわけなんです。構想として、職員の自治的に選んだ人たちがこの運営審議会委員になれるのかどうか、ほんとうに下級職員の意向をくんで発言のできる人たちをこの中に加えていこうという意図があるのかどうかということを聞いているわけです。
  135. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この委員には職員各層を十分に代表するような人を選びたいと存じます。従いまして、ただいま御指摘のような一般の職員の議君の意向を反映するような人も選んで参りたいと考えております。
  136. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 防衛施設庁につきましては、従来の防衛庁の共済組合と別個の独立したものを作るということでございますから、従って、調達庁共済組合が持っておりますところの既得の諸給付はそのまま確保できるというように考えてようございますか。
  137. 大石孝章

    ○大石政府委員 ただいま先生の御見解の通りでございまして、特に今回の法案策定にあたりましては、従来の調達庁の共済組合関係を尊重いたしまして、独立の共済組合制度を作るという点と、それから既存の今までの給付その他の関係につきましては、これはどこまでも尊重して持続して参りたいとうう考えでございます。  それから、ただいま大臣からお答えございましたように、委員の選任にあたりましても、法律にきまっております十名以内の委員の選定の場合は、各層から選んで職員の声をなまで反映したいという構想を持っておる次第でございます。
  138. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 次に、労働条件についていろいろと不安があるわけですが、たとえば等級別定数というものは、従来人事院が示しておったと思うのですけれども、今後は防衛庁自体がこれを作るということになるわけですか。
  139. 小野裕

    ○小野政府委員 特別職の給与関係につきましては、防衛庁の長官と大蔵大臣が協議をして定数を定めることになっております。従いまして、防衛施設庁長官がもとより防衛庁長官の御了解を得た上ではありましょうが、施設庁長官が大蔵省と協議して定めることになると思います。
  140. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、防衛施設庁に移りまして特別職となっても、従来より等級の格づけを低く押えられるとか、昇給昇格が窮屈になるとか、その他いろいろ給与条件が低下するというようなことはないと考えてようございますか。
  141. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 調達庁の職員から防衛施設庁の職員に切りかわるわけでございますが、その者について不利な取り扱いを受けるようなことはございません。
  142. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 服務規律の面におきましても、従来よりも非常に厳格になって、勤務が過重になるというようなこともありませんか。
  143. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この自衛隊の隊員の服務等につきましては、現在の一般職適用される人事院の服務よりも、その性格上、形式的には厳格になっております。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、現実には特別職になるという以外に、現在の服務の状態が特に厳格になるということはございません。
  144. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 ところで、どうしても自分は特別職になるのはいやだ、あくまで一般職のところで働きたい、ほかの省庁でもよろしい、できれば労務部にでもやってくれぬかというふうな申し出があった場合に、一応考慮していただけるものですか。
  145. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 そういう人たちの人数その他にもよろうかと思いますが、もちろん、本人の希望等につきましては十分考えて参りたいと思います。
  146. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 防衛施設庁の職員となりますと、自衛隊法の適用を受けることになります。そうしますと、自衛隊法の五十三条で、服務の宣誓をしなくてはならぬということになるのじゃないかと思うのですが、それは間違いありませんか。もしこの宣誓を拒否するというような事態になりますと、どういうことになりますか。
  147. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 服務の宣誓につきましては、今お話のごとく、第五十三条の宣誓をしなければいけないことになると思います。宣誓をしない場合におきましては、法律上規定しておることをやらないということになるわけでございますから、懲戒処分等の原因になると思います。
  148. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、職員がその分限懲戒の不利益処分を受けたとして、防衛庁長官に審査を請求することもできるわけですが、それはできますか。
  149. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 これは隊員になりました後の処分でございますから、私は公正審査会に訴えることはできると思います。
  150. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 いま一つ、防衛庁においては、非自衛官のいわゆる職員を新規採用する場合等において、思想調査を身元調査という形の中で行なっておるというふうに聞いておるわけでございますけれども、今度調達庁の職員が防衛施設庁に移行する場合に、同様な調査を行なうつもりでございますか。
  151. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほどお答えいたしたかと存じますが、調達庁の職員は、当然法律の附則によりまして、防衛施設庁の職員になります。従いまして、そういう調査などをすることはございません。
  152. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 次に、今度の移管に伴って二百名の整理、人員削減が出ておるわけです。当初いろいろと長官が職員団体の代表と交渉しておる際に、定員減はやらないと再三言明したように私ども聞いておるわけですが、なぜ二百名の整理が必要になってきたのかということをお尋ねしたい。
  153. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 これは三年間にわたって二百名の減員をやるわけでございます。申し上げるまでもなく、防衛施設庁は、大部分は調達庁と防衛庁の建設本部が合併するようなものでございます。従いまして、そういう意味においてのいわゆる管理部門の重複ができてくるわけでございます。従いまして、そうしたものは、これは当然管理部門としては一本化されたために減る部分があるわけでございます。  なお、これは将来の問題でございます三年にわたる期間を考えますと、いわゆる駐留米軍に対する業務、あるいはその他現在調達庁で行なっておる業務のうちで、減少が見込まれるのでございまして、それらを勘案いたしまして、この二百名を三年にわたって減員するということにいたしたわけでございます。
  154. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、三年間にわたって二百名の整理を行なうのであるから、実出血はないというふうな自信をお持ちのわけですか。
  155. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 いわゆる実出血とおっしゃるのは、おそらくその意に反してやめさせるようなものがないかということだと思いますが、そういうものはなしにやり得るものと、従来の調達庁の職員関係その他を考えまして考えております。
  156. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 この三カ年のうちに二百名という線が、本法案には規定されておるわけでございますが、その三カ年のうちに、あらためてまた法改正定員削減をふやしてくるというようなことは絶対にございませんか。
  157. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 そういうことはございません。
  158. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、今度の三カ年を経過した後、二百名の定員削減が行なわれた後、四年目からということになりますが、また引き続いて定数削減をやるという意思はないわけですか。
  159. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 現在の段階において考えられる自衛隊並びに米軍の業務その他を考慮いたしまして、この二百名というものを割り出したのでございますので、将来を見通して割り出したのでございまして、四年目からまた減員をするというようなことは考えておりません。
  160. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、二百名を削減すると、その後の組織、業務、定員は一応安定するということになるかと思うのでありますが、その点御確認を願いたいということと、いま一つは、特に地方支分部局において、やはり同様に今後とも完全に維持されるというふうに理解していいものかどうか、この点もあわせてお答えを願いたいと思います。
  161. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この二百名の減員は三カ年にわたってやるわけでありますが、その後におきましては、職員は身分の安定した形で勤務できるように相なるものと考えております。地方におきましてもその点は同様と存じます。
  162. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今後防衛施設庁に移管されましてから、あるいはそのとき退職を希望するというような者があった場合に、その条件として、一つ就職のお世話を願えませんかというような形で申し入れられたならば、従来同様に扱って世話していただけるものと考えてよろしゅうございますか。
  163. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 希望によって退職される方が、就職のあっせん等を申し出られました場合には、十分努力をいたしまして就職のあっせん等をいたしたいと存じます。
  164. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 統合に伴いまして、強制的に他省庁への転出や、あるいは局間の異動が行なわれるということは絶対にない、特に本人の意思に反して部隊職員等に強制配置転換を行なうようなことはないと理解してよろしゅうございますか。
  165. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 その通りでございます。
  166. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 防衛庁においては、従来、女子職員が二十五才以上になり、男子職員が五十五才以上になりますと、退職を勧奨する、そうして実際には勧奨というけれども、余儀なくやめざるを得ないような状態に追い込まれるということが、再三訴えられておるわけでございますが、この統合の後において、今申し上げたような退職勧奨をする意思は絶対にないか、この点もあわせてお答えを願いたいと思います。
  167. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この統合にあたって、女子職員の二十五才以上、あるいは男子職員の五十五才以上に退職を勧奨するというようなことは考えておりません。
  168. 小野裕

    ○小野政府委員 ただいま防衛庁では、女子職員二十五才、男子職員五十五才で強制的にやめさせるというようなことがあったとおっしゃいましたが、そういうことはございません。個人々々につきまして、あるいは体力、能力その他の点から、個人的にはそういう例があったかもしれませんが、そういう制度方針として一律に考えたというようなことは全然ございませんので、念のために申し上げておきたいと思います。
  169. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 もう一つ、五十五才以上になると、これは一つは年金受給資格を持つということになるわけですが、調達庁の場合は、終戦後業務が開始された特殊の役所でもあるために、年金受給資格を持たない者が非常に多いわけです。そこで、特に考慮する、しかし、年金受給資格を取得したら、そのあとは逐次やめてもらう、こういうふうなことを、折衝の段階において防衛庁と調達庁の間で約束が行なわれておるということが、盛んに流布されておるのでございますが、そういうことはございませんか。
  170. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 そのようなことはございません。
  171. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 防衛施設庁の職員は、自衛隊法の適用を受けることになるわけでございますが、これに関連いたしまして、自衛隊の防衛出動、治安出動の際、一体こういう職員はどのような役割を課されることになるのか、これもあらためてお伺いしておきたいと思います。
  172. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 防衛庁にも現在非制服の職員が数万人おるのでございますが、この方と同じような仕事の面に使われると思います。たとえば防衛出動、治安出動とおっしゃいましたが、そのような場合において、あるいは飛行場の応急建設あるいは後方の通信施設等の場合が、今考えられます仕事でございます。
  173. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 特に防衛庁の職員であるがゆえに、一般職職員と異なるような特別な任務を与えられるようなことはないと考えていいわけですね。
  174. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 その通りでございまして、法律に規定してありまする職務と権限を行使していただくということになります。
  175. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 時間がありませんから、私は大体この程度で質問は終わりたいと思います。  ただ、最後に申し上げておきたいことは、この法案が国会に提出されましてから、あるいはその前において、職員団体とほんとうに話し合うという態度で、従来の経過を説明するとか、今後の方針を話すとかいうような努力をしたかどうかということです。私どもが聞いております限りにおいては、どうもそういう態度に欠けておったのじゃないか。職制を通じて強圧的に押しつけるというふうなきらいがあったのではないか、こういう印象を受けております。事例も幾多ここに出てきております。参考のために読み上げてもけっこうですが、たとえば横浜の調達局においては、職権を利用して、あくまで本案に賛成するよう、期限付で回答を求めたといわれております。札幌の局におきましては、職権を利用して、賛成しなければ退職することになるかもしれませんぞという、脅迫的な言動をとった役づき職員がおったともいわれております。しかも、それを局長部長は容認しておるような形が現われておるというわけであります。また、同じ札幌でありますが、組合の内部分裂を意図しまして、防衛施設庁に賛成する一部職員を利用し、分裂行為を示唆したようなこともあるという訴えが出てきております。これも札幌でありますが、五時以降の勤務時間外において、業務上という表面的な理由によって職員を残し、実際には業務とは何の関係もない、防衛施設庁に反対する職員に賛成の署名をしろということをしいた事実もあるというふうにもいわれておるわけです。東京の局においても、組合が自主的に取りつけを行なった防衛施設庁反対の署名活動にあたり、職権を利用して、反対署名簿を破棄または押収する等の行為を行なった事実があるといわれております。一体こういう態度をとっていいものかどうか。なぜもっと卒直に話し合いをして納得をしてもらうという形で進めなかったのか、非常に私は不満を持っております。こういうことをやればやるほど、一そう移管後の自分たちの身分、労働条件に不安を感ずるのは当然だと思うのです。こういった幾多の事例についても十分に調査をされまして、正すべきは正していただきたい。そうすることが、かりに防衛施設庁ができましたときにも、職員が安んじて気持よく働けることにもなろうかと思いますので、御注意を申し上げておきたいと思うのです。  もちろん、私どもは本法案に賛成いたしかねるわけでありまして、いろいろ成立後の疑問点につきましてお伺いをしたわけでございますが、一応これで私の質問は終わりたいと思います。
  176. 中島茂喜

    中島委員長 これにて質疑は終了いたしました。   ─────────────
  177. 中島茂喜

    中島委員長 これより防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。田口誠治君。
  178. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは、日本社会党を代表いたしまして、本案に対して反対の討論をいたしたいと思います。  本案につきましては、十一項目にわたっておりまするが、すべてこの内容を見ますると、第二次防衛力整備計画の強化推進であるわけでございます。従って、この内容をつぶさに見まして、また、今日までの自衛隊が、二十五年六月の警察予備隊から保安隊になり、自衛隊になった経過、あるいは部隊の編成、兵器の保有状況を見ますると、憲法違反という点がますます濃くなってきておるという点で、まず反対をいたしたいと思います。  なお、防衛計画の年次予算を見ますると、百九十五億円から二百十五億円の範囲内での超過額の予算を見績もっております。これを二百億円と推定いたしましても、五カ年間で総額一兆一千六百億円ということになるわけでございますが、先日来の質疑応答でも明らかになりましたように、五カ年計画の初年度である本年、早くも物価の上昇によって予算の手直し、あるいは計画の変更というようなことも余儀なくされておるのが実態でございますので、こういう点から考えてみますると、今国民が要望しておるところの社会保障の確立、あるいは教育予算の問題こういう面が大きく防衛予算の犠牲になるということが考えられますので、この点を強く申し上げて反対をいたしたいと思います。特に防衛五カ年計画については、民生安定の項を国防会議ではうたっておりまするけれども、予算の面ではあまりにも少な過ぎる、こういう点を指摘いたしておきたいと思います。  それから、第三番目には、これは質疑応答でもございましたように、昨年の防衛二法の成立に伴いまして、統合幕僚会議議長の権限が非常に強化されまして、政治優先、文民優位という原則というものがくずれて参りまして、結局制服に対する統制が非常に欠けてきておるように考えられる。こういうことを戦前と考え合わせていきますと、日本の政治の行き方によっては、あの五・一五事件、二・二六事件、それから韓国、ラオスのクーデター、こういうものが絶対起こらないというようなことは断言できないと思いますので、こういう点につきましても指摘をいたしておきたいと思います。  それから、ことしの秋になりますと、ナイキの訓練に渡米しております三百三十九名の隊員が帰って参りまして、必要な基地に配属されるわけでございます。ところが今日になりましても、まだどこへ配属するかということが決定になっておりませんし、もし配属したといたしましても、科学兵器が発展しております今日、日本の国防の用をなさないということは、昨日の石橋委員質疑応答のように、たまの速度より飛行機の速度が速いという現状においては、非常にこれは無意味ではないか。こういうことに多額の国費を使うということは、これは考えなくてはならないので、私はそういう意味におきましても反対をしなければならないと思うわけでございます。  それからなお、日本の国の防衛ということを時折口にされておるのでございまするが、しかし日本の国の防衛ということは、日本の国と米国が対等の立場であった場合にはそういうこともあり得るけれども、今日の政治状態をながめてみますると、日本の国は非常に劣っておるわけでございます。従って、共同防衛という名のもとに核兵器を持ち込むことを強要されるというようなこともあり得ると思います。この点につきましては、ガリオア・エロアの問題を一つとらえてみましても考えられるわけでございますので、こういう点に対しましても非常に大きな疑義がございますので、反対をしなければならないと思うわけでございます。従いまして、ミサイル兵器を配置をして、相手方を抑制するという恐怖的な均衡論というものは、今日はもうだめでございます。  それからもう一つは、日本の自衛ということを申しておりますけれども、先ほど申しましたように、自主性のない自衛は真の国民の自衛ということにはならないわけでございまして、日本の国がもう少し米国と対等の力を持ち、共同防衛という形が進められることになれば別でございましょうけれども、今日の場合には非常に危険性が多いわけでございます。  まだ幾つかございますけれども、本議事に協力するという意味で、以上を申し上げて反対の討論にかえさせていただく次第でございます。(拍手)
  179. 中島茂喜

    中島委員長 藤原節夫君。
  180. 藤原節夫

    ○藤原(節)委員 私は自由民主党を代表して、本案に賛成の意を表明せんとするものであります。  今日の自衛隊は、発足後日なお浅く、ようやくその骨格的な防衛力の整備を終えんとする段階でありまして、科学技術進歩に即応した装備の近代化等、なお今後幾多の充実を必要とする面が多いのであります。政府が昨年第二次防衛計画を樹立いたしまして、本年度から実施しようとするゆえんもここにあると考えるものでございます。また防衛力の維持のために基地の確保と管理がきわめて重要でありますが、他面基地から生ずるいろいろの問題を、一部の関係住民の上にのみしわ寄せをするということは、できるだけ避けるべきであると考えるのであります。基地周辺の環境整備等につきましては、積極的にかつ総合的な施策が講ぜらるべきであると思うのであります。  今回、政府が防衛庁の建設本部と調達庁とを統合いたしまして、防衛施設庁を新設する措置をとりましたことは、この意味におきまして、基地問題を有効適切に処理する上からもきわめて時宜を得たものと考えるのであります。  その他この法案につきましては、要するにわが国土と国民の安全を守るために、ひいては国際平和のために自衛隊の充実と効率的使用を意図するものでありまして、現下の内外の情勢下において、まことに適切な措置であるということを確信いたしまして、賛成の意を表明する次第であります。
  181. 中島茂喜

    中島委員長 受田新吉君。
  182. 受田新吉

    ○受田委員 私は民主社会党を代表して、ただいま議題となっておりますこの法案に対して、遺憾ながら反対せざるを得ない理由を申し上げたいと思います。  大体、防衛庁、自衛隊という機関がおい立って以来、日はあまり経過していないのでありますけれども、その充実ぶりは目をみはるものがある。この点は、憲法第九条に規定してある戦争放棄の条項に照らし合わせてみても、われわれの認識から、国民の良識から見ても非常に大きく逸脱しておる方向に飛躍的に前進しておるという結論を見出さざるを得ないということです。従って、この法案の内容に盛られておる第二次長期防衛力整備計画の裏づけとしての定員の増、あるいはその他の施設の増強というものが、現在の時点における国民の良識からみて、これをさらに強化することは適当でない。自衛隊の装備等が近代化しているこの際、人間をふやすということよりは、むしろ人間を減らして、その装備を生かす方に自民党の立場をもってしても考慮さるべきではなかったかと考えるのであります。陸上自衛隊の大幅な定員を満たすことのできない現状等にかんがみまして、定員をふやす法案は厳に慎しむべきではなかったかということを強く考えざるを得ない。  いま一つ改正案重点である防衛施設庁の問題は、一応機構上の問題としては、防衛本庁の建設本部と調達庁を統合して、駐留軍のみならず、日本の自衛隊の施設の取得とか管理とか、これに伴うそういう事務等を一本化しようという気持はよくわかります。そして同時に、調達庁の職員の将来について、首切りをなるべく防止しようという対策のために考えられていることも一応われわれには理解できるのであります。しかしながら、一般職と特別職という関係考え職員の既得権という立場考えたならば、人事院のいろいろな機関と十分御連絡を願って、既得権を侵さない限りにおいてこの問題の解決をはかるという努力をいま一そうさるべきではなかったか。これは郵政省におきましても、公労法の適用を受ける職員一般職法律適用を受ける職員とが両立しておるのでございますから、お役所の統制をはかられながらも、一方で既得権を生かす道が別になかったかと考えざるを得ません。そういうところに対する配慮等を特に強くなさらなかった結果が、強権をもって既得権剥奪というような方途に出たというそしりを免れないと思うのでございます。自衛隊の内容を充実するという政府与党の立場からお考えになられて、一方でそこに包含される職員の身分を確保し、人事管理面の、あるいは職務権限面の既得権を生かしながらも、どうしてこれを一本化していくかという配慮は、これは重大な問題であったと思うのでありますが、この点はなはだ遺憾な結果になったことを指摘せざるを得ません。  その他、自衛隊法の一部改正を包含する一括した防衛庁設置法改正案に対しまして、ここに私たちは党をあげて、一応——一応ですね、この一括した立場で反対という態度を表明する次第でございます。
  183. 中島茂喜

    中島委員長 これにて討論は終了いたしました。  これより採決に入ります。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  184. 中島茂喜

    中島委員長 起立多数。よって、本案は可決いたしました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二分散会      ————◇—————