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石橋(政)
委員 その結論を得ましたので、私は
質問をいたしました後、この予定されております工場が、はたして五条件に反するかどうかということを主として検討したわけであります。結論は、私なりの検討の結果、反しないという結論を得ました。
その立論の第一は、大阪鋼管が新しい工場に置くことを予定しております電縫管製造機械のメーカー、
アメリカのオハイオ州のアベ・エトナ会社というのだそうですが、この会社が自信を持って裏づけておるということ。副社長から書簡が来ておるわけでございますが、これは専門的な分野が非常に多うございますから、私は朗読を差し控えます。とにかくそのような障害を発生することはない旨をワシントン当局者とも懇談してもよいと付言して、自信のほどを示しておる。そういう資料を入手したということが
一つ。
それからもう
一つは、これは私独自の立場で、専門家の友人を中心に数氏集まってもらって、いろいろな角度から検討してもらったわけです。今後皆様方が御検討なされる場合にも役に立つことがあろうと思いますから、私はその結論をここで申し上げてみたいと思います。
まず第一に、電波障害の防止については現在きわめて進歩をしており、あらゆる場合、その
一つ一つのケースについて、発信側にも受信側にも防止装置またはその対策が施されている。ということであります。たとえば、発信側には雑音発生防止装置、モーターや螢光灯にさえも必ず規定によってこれがつけてある。それから受信側にもフィルターを入れる等の障害除去
方法が極度に発達しておる。こういうことが述べられております。それから法的にも措置が講じられる。
〔
草野委員長代理退席、
委員長着席〕
電気工事施行規則や電波法等、その他によってその規制が行なわれているので、かりに
一般の通信施設、通信機能が電波障害によって支障を来たしても、直ちにその除去の
方法はあり、これが施行されている以上、固定的、永続的な障害はあり得ない、こういうふうな結論が出されております。
第二に、NHKその他各放送
関係、
警察、自衛隊、海上保安庁、電信局等の通信施設を初めとして、国内にある膨大な数の通信施設は、おのおのそのそばに工場があるとか、電車の電線が通っているとか、各家庭の螢光灯の不良なものから自動車のエンジンによるものまで入れれば、膨大な障害となる要因は一応存在するのであるが、おのおのすべてその防止が行なわれ、すべての通信施設がその機能を円滑に遂行していることを思えば、崎辺だけ工場による電磁障害が
米軍の通信施設の機能を妨げるとは絶対考えられないということであります。
第三は、
米軍が主張する溶接のスパークのごときものがその障害になるというのであれば、溶接は百八十サイクルであり、普通の電球六十サイクルの三倍にすぎず、きわめて小さく、また工場の場合、それらは建物に吸収されるので、障害はあり得ない。各家庭の切れかかった蛍光灯の方がもっと障害は大きい。道路通行の自動車もしかりである。また、障害が考えられる場合は、大工場より、かえって設備の粗悪な町工場の方がその
可能性は考えられる。こういうことであります。
第四番目は、ただ
一つ、アンテナのすぐ隣に、これが隠れるような高い建物を建てたときには障害が発生するが、これは法規により規制されている。千メートルも離れた崎辺の
米軍施設に防止し得ない電波障害があることは絶対に考えられない。
佐世保においても、各官庁の通信所の付近にはこれ以上の工場その他の条件が存在し、また、NHK
佐世保支局のすぐ下にSSKのような膨大な工場施設があるが、おのおのその障害はなく、また除去され、防止され、その機能は完全に遂行されている。こういうことであります。
第五番目は、崎辺の
米軍施設が特殊なもの、特に重要なものという弁明も当たらないようである。なぜならば、この施設は、外見もきわめて小さい施設であり、軍事的価値も大したことはないと見えて、
米軍人は一人も見当たらず、海上自衛隊の隊員が若干いる
程度であるのを見ても想像できる。こういうことであります。
第六番目は、なお、
米軍側五条件の一項目に当たる三十メガサイクル以下とは、テレビ、レーダー、超短波等の特殊なもの以外すべての電波はこれに入るので、限定された特別な意味はなく、平たく言えば、すべてのものというにひとしい。また、一メートルにつき二十マイクロ・ボルトをこえるような重大な障害をもたらすもの云々とあるが、同様の規制は国内電波
関係法規でも
一般に行なわれており、
米軍独特のものではなく、要するに、障害がなければ問題ないものと思われる。こういう結論であります。
そうしてこのほかに、崎辺地区にある
米軍の通信施設というものが一体どんなものか、それを想定してみまして、方向探知機、ローラン、ビーコン、
一般の
連絡用送受信機等、いろいろ想定して検討してみたが、いかなる軍事上の施設であっても、発する電波は理論上の各サイクル別の電波に変わりないのであって、その施設のいかんを問題にする必要はないという結論である。また、
米軍の五条件なるものは、文書にある純粋の電波上の問題だけを考慮すれば足りることは明白となった。
最後に、要するに、前述したような崎辺の
米軍ゴルフ場の端にポツンと置き去られたように建っている小屋
程度の、
米軍人が一人もいない通信施設に対して、千メートルも離れて現にある二十一空廠跡の建物を利用する大阪鋼管が、電波障害を与えるというような主張はなかなか信じがたいものである。こういう分析の結果が私のところにもたらされました。
こういうものをいろいろ検討してみた結果、考えられることは、問題は、防衛庁さえ遠慮してくれれば、問題は解決するのではないかということです。防衛庁の教育隊の敷地にほしいという
気持、これを受けて、
アメリカの方で少し無理してややこしいことを言っているのではないか、 こういう印象を非常に強く持ったわけであります。
そこで、私がお伺いしたいことはただ
一つ、先日も申し上げましたように、自衛隊の教育隊の敷地はほかにあるわけです。私があげただけでも、相浦、
針尾、
佐世保の旧海兵団跡、そういうものが厳然としてあるわけですから、いま一度こういうところでどうだろうかという再検討をしていただきたいということなんです。
先日、
佐世保市で旧軍港市議会協議会というものが開かれました。その際においても、満場一致で、この崎辺地区を
一つぜひ大阪鋼管の敷地として払い下げてもらう運動を歩調をそろえてやりましょうという決議をしておりますが、その際明らかになったのでございますけれ
ども、旧軍用財産の返還
状況を見ますときに、
佐世保が一番少ないのです。横須賀は四八%が返還されておる。舞鶴に至っては八五%、呉が八〇%、これに対しては
佐世保市はわずか二五%しか返還されていないということも明らかになっております。協力すべき点はいかに
佐世保市が協力しておるからということが、この数字をもっても明らかなんです。そこで、両方立てるためにも、ぜひ防衛庁の方で再検討していただきたい。私はこの間の
質問以後、数度にわたって防衛庁長官にも、
調達庁長官にも、この点についてはお願いしてきたわけでございますが、いま一度本
委員会において、正式に再検討方の要請をいたしまして、私の
質問を終わりたいと思うのですが、この点についてのお答えを願いたいと思います。