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1962-04-13 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十三日(金曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 山内  広君       内海 安吉君    小笠 公韶君       大森 玉木君    加藤常太郎君       金子 一平君    島村 一郎君       高橋  等君    辻  寛一君       藤原 節夫君    保科善四郎君       緒方 孝男君    田口 誠治君       西村 関一君    堀  昌雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵事務官         (大臣官房長) 佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君         大蔵事務官         (関税局長)  稻益  繁君         大蔵事務官         (理財局長)  宮川新一郎君         大蔵事務官         (為替局長)  福田 久男君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    有吉  正君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    佐竹  浩君         大蔵事務官         (理財局証券検         査課長)    中込 達雄君         大蔵事務官         (造幣局長)  竹村 忠一君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 四月十三日  委員柳田秀一辞任につき、その補欠として堀  昌雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員堀昌雄辞任につき、その補欠として柳田  秀一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  大蔵省設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 議題になっております大蔵省設置法の一部改正でございますけれども、との問題を拝見いたしますと、一つ証券部設置の問題、一つ造幣局の内部の問題、一つ大蔵省定員の問題と、主たるものは三つあるようでございます。大臣あとで御用があるようでございますから、先に大まかな問題だけをちょっと大臣にお伺いをいたします。  提案理由説明を拝見いたしますと、要するに、証券の問題が非常に大きな問題になりつつあるので、理財局証券部を設けて、「明確なる責任体制のもとに合理的かつ強力な証券行政運営をはかり、もって広範な投資者層保護徹底証券市場育成の万全を期するものであります。」こういうふうに述べられておるわけでありますけれども、こういうことをおやりになるについては、証券行政全般に対する今後の方針といいますか、何か一つ大蔵省としての基本方針がおありだろうと思いますので、その基本方針についてお伺いをいたします。
  4. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはもうたびたび大蔵委員会お答えしている通りでございますが、証券市場の規模が最近非常に大きくなり、証券界の占める地位が非常に高まって参りましたので、行政としましては、金融について大蔵省銀行局という局があって金融行政をやっておりますし、証券行政理財局でやっておりますが、金融証券との連絡調整というものを密にして、この行政総合統一ということが非常に必要になってきておりますが、機構的に見ましても、そういうときに、理財局の一課が証券行政をやっており、一般金融全体の行政銀行局がやっておるという、この機構上の均衡問題からいきましても、証券行政というものが、法的にも今大蔵省金融行政に比べて劣っておりますので、この証券行政をここで強化して、金融行政との調整というようなことに万全を期するために、ここで機構的な問題の改革が必要だ、こういう結論になったので、この設置法を提案した次第でございます。
  5. 堀昌雄

    堀委員 いや、私が伺ったのは、証券部を置く理由ではなくて、証券行政をおやりになるについて、大蔵省としての何か基本的な将来に対する見通しと申しますか、ここには「合理的かつ強力な証券行政運営」とあるのですね。そこで、私がこういうことをお尋ねいたしますのは、合理的な証券行政運営というのは、あなた方どういうものを具体的に考えているか、さらに、強力な証券行政運営ということになると、これは一体何を物語るものか、これがちょっとよくわかりませんので、そこで、今後の証券行政に対する大蔵省のかまえ方、一定の見通しなり何らかの考え方を持って対処されるだろうと思うものですから、それについて、少し大臣の御所見を承りたい、こういうことでございます。
  6. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは私ども考え方は、証券発行市場育成拡大する、長期資金調達の上から証券市場発行市場育成拡大するという必要がございます。それと同時に、今度は流通市場において証券価格が公正に形成される環境を整備するということが必要でございますので、この二つの基本的な考えのもとに、今いろんな証券行政を行なっているということでございます。この二つの基本的な問題に関して、今後いろいろ行政の強化の必要が、現状においてたくさん出ておることは御承知だと思いますので、私どもはこういう問題に対処するために、今後この行政はやはり強化する必要があると考えております。
  7. 堀昌雄

    堀委員 今のお話で、なるほど、発行市場拡大とか流通市場の安定といいますか、そういうことを目途としておられるということはわかりました。  そこで、大蔵委員会ではございませんから、皆さんにおわかりいただける範囲で伺っておきたいと思いますけれども、そのあとに引き続いて、「投資者層保護徹底」ということがうたわれておりますけれども、今の発行市場拡大とか流通市場の問題というのは、これは証券市場側産業の側の問題でありますが、それと相対するものとして、私はやはり投資者層の問題があると思いますが、ややともすると、私どもは、現在の大蔵省行政が、産業関係、要するに、発行市場拡大とか流通市場の問題の方に比重がかかって、投資者の側の利益なり権利が十分に守られていないような感じがするわけですけれども、今後この問題に対処するお考えは一体どういうことになりましょうか。
  8. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはり第一は、証券業者資産内容営業活動健全化をはかるということが、大衆投資者保護の根本的な問題だろうと思います。この点の十分の監督をすることと、その次は、証券業者投資勧誘の態度の適正化指導の問題でございまして、今でも誇大広告の規制とかいろいろのことをやっておりますが、投資者を勧誘する問題についての業界適正化指導するということと、それから制度自身において、たとえば今度の公社債流動化の問題に見られましたように、制度自身から、いろいろの経済変動が起こる場合を予想して、これが流動化す道を開くというようなことができていませんと、大衆投資家保護できないという問題をも起こしますので、こういう制度的な改正を私どもはしたいというようないろいろな点から、投資者保護行政というものは、もっと今後徹底させなければならぬものだろうと思っております。
  9. 堀昌雄

    堀委員 あと十分くらいしかないので、この問題だけ先に触れておきたいと思います。理財局にお伺いをいたします。  昨日の日本経済新聞にも出ておりますが、実はこの前、投資信託コール運用問題を私は大蔵委員会で取り上げました。ここで、ほかの方にこの問題ちょっと申し上げておきますと、御承知のように、今、投資信託というものが非常な勢いで大きくなって参りました。この投資信託が組み入れております株式とか社債とかのほかに、コールという資金を持っておりまして、本来なら、これが市場に出されて、市場価格でそれをまた同一の証券業者がとるというのなら問題はないわけでございますけれども、この間の質疑で明らかになったところでは、約五千億くらいのコール資金が動いておる。その中で、今日銀の自粛レートと申しますのが日歩二銭四厘になっておりますが、この自粛レートで動いておるのは全体の中の一割しかない。あとの九割はいわゆるやみレートと称される形で動いております。平均は大体幾らくらいになっておるかというと、二銭八厘くらいだというのが二月の話でありました。そういたしますと、今の投資信託から出ていっております金が、二銭八厘で運用されておるならば問題はないと思うのですが、自粛レートで二銭四厘でその過半数が運用をされておるために、投資信託受託をしております投資家は、そのことによって一体どのくらい損失を受けておるかを計算いたしますと、二銭八厘という場合に、その差額月額大体五千六百万円というものが投資家が不利になり、証券会社がそれだけふところに不当利得を入れている。もし三銭ならば九千四百万円一カ月に失うことになる、こういうことになっておるわけです。そこで、この問題を取り上げまして、適正に投資者保護をしてもらいたいということをこの前私申し上げておいたのですが、たまたま昨日の新聞に、「短資業四社はこのほど大蔵省理財局から投資信託運用しているコール金利を近く日歩四厘引き上げる旨の申し入れを受けたが、」こういうふうな新聞報道がありますが、こういう申し入れをされたのかどうか、一つ承りたい。
  10. 有吉正

    有吉説明員 短資業者に対して先ほどお話しの四厘引き上げというようなことを申し入れた事実はございません。
  11. 堀昌雄

    堀委員 事実がなければ、これは新聞報道だけにいたしますが、その後、皆さんの方では、この問題に対しては何らか措置をしておられますか。
  12. 有吉正

    有吉説明員 これは先般二月の初めであったと存じますが、堀委員から先ほどのお話しの点につきまして御質問を受けた次第でございます。その際に私どもお答えいたしましたのは、現在コール市場投資信託受託会社相当量コールを放出いたしておりますし、また、証券会社といたしましても、相当量コールを取り入れておる、こういう形になっておるのでございますが、これはすべてコール市場を通じて出し、あるいは受け取るということになっておりまして、直接の結びつきという形はないわけでございます。しかしながら、相当多量のものが出し、または受けるということになりますと、そこにおのずから結びつき的なものが考えられ得るというようなことにも相なる。また、堀委員の御指摘のように、現在指導レートが二銭四厘ということになっておりまして、私どもといたしましては、これを強力に指導するというようなことではございませんが、しかし、指導レートという以上は、公的な機関としまして、これを順守して参りたいという気持を持っております。現在のところ、その二銭四厘のレート指導を変えていくというようなことにつきまして、私どもとして積極的に考えを変えて参るということには相ならぬと思うのでございます。しかし、当時もお話いたしましたように、証券会社が相当多量商品を買い入れて参りまして、そのために必要とするコールの量も大きくなるということは、証券会社金融ということがそういった短期のものによってのみまかなわれるということは、問題がありますので、できるだけ商品の手持ちの量も減らして参る、あるいはコール運用というものは銀行の借り入れというものにできるならば変えて参るということに指導して参りたいし、私どもとしましては、コール市場を通じてコールの出し入れが行なわれておりますけれども、そういったことに対してひもつき的なものがあってはならぬという気持で、先生の御質問がありました後にさっそく業者を呼びまして、そういった先生の御趣旨を十分に伝えまして、今後さらに検討して参り、今後の改革を期したい、かような気持でおる次第でございます。
  13. 堀昌雄

    堀委員 大臣の時間がありませんから、ちょっと先にこれだけ伺っておきますが、この今の私の申し上げた事実、今さっき伺ったら、まだよく御存じでないようですが、どんなふうな感じでお聞きになったのでしょうか。私どもは、全体の中の一割しか自粛レートが守られていないときに、全体の中の六百七十億という大きな投信からのコールだけが自粛レートで守られておることは、片一方の投資信託から証券業者自分のワクの中であるからストレートに引いて、それだけのさやを証券業者が有利に取ったということは、投資信託に申し込んでおる人たち、この人たちが不利になるわけですから、それの金額、月額で二銭八厘としても五千六百万円、年額にすると六億以上になる。三銭と換算するならば九千万円をこえる。年にして十億の損失一般投資者がしておる。証券業者がそれだけもうけておる。それであなた方の方は、ここに書いておられる「投資者層保護徹底」という問題と、それはどういうふうな格好になるか、ちょっと大臣のお考えを聞きたい。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういう問題があれば、それは是正させなければならぬと思いますし、そうするためには、証券行政の今の力がわれわれは足らないということにもつながってくる問題でありますから、また、そういう問題のためにも、この機構改革をここでやろうと私ども考えておるわけでございまして、こういう点もこれは十分是正したいと私ども考えております。
  15. 堀昌雄

    堀委員 大臣非常にはっきり是正をしたいというお答えでございますから、私、証券部ができましたらこれはおそらく是正をされるものだ、是正をするためにはぜひ証券部を置きたいのだというお話でございますから、証券部ができてしばらく状況を拝見いたしますが、私がちょっと前段で申し上げたように、証券行政全般の問題の中では、とかく証券業者であるとか、産業関係の面が重視をされて、投資者保護が十分でない点が過去においてあるように見受けられる場合が非常に多いわけであります。たまたまこれは非常に具体的な例でありましたから、私この前取り上げて、これは重ねてもう一回伺うということをお約束しておりましたので、今大臣お話で、そのような方向に強力な指導をやっていただくということで了承いたしますが、これは大臣お答えですからけっこうなんですが、この前、銀行局は、自粛レート二銭四厘というのがあるのにちょっと困るというようなことを言っておりましたから、その点は、あなたは大臣の立場でやはり大局的な観点から、銀行局があまり変なあれをしないように一つ考えをいただきたいということを、ちょっと要望いたしておきます。  引き続きでございますので、きょうはこの証券の問題をいま少しやらせていただいて、あと税関職員定員がございますし、それから造幣局問題等ございますので、関係者一つ出席をいただきたいと思います。  今の問題でもちょっと触れておられましたけれども証券行政の中で非常に重要な問題は、公正な価格形成をされるということが、私非常に重要な問題だと考えておりますが、現状でどうでしょう、大蔵省としては、公正な価格がおおむねできていると思われますか。
  16. 宮川新一郎

    宮川政府委員 堀委員の御指摘のように、株価形成が公正に行なわれることが最も肝要と考えられるのでありますが、昨年相当な暴落を示しました株価は、今年一月千四百三十五円にはね上がりまして、その後多小の高低はございますけれども株価が非常に行き過ぎた高さを示すあるいは低さを示すというようなことは、投資者保護並びに産業資金調達の面から見まして、好ましくないことは申すまでもないわけであります。最近の株価の動向を見まするに、おおむね公正に形成されておると観察いたしております。
  17. 堀昌雄

    堀委員 今はいいのかもわかりませんが、皆さんの方では、現在のこの株価形成をされる要素ですね、これが一番指導力を持っておるのはどこにあると考えられますか。
  18. 宮川新一郎

    宮川政府委員 株価は、経済情勢を反映いたしまして、個々の投資者層経済の実勢に対してどういうふうに判断するかということから総合してできておりますので、最も大きな要因としましては、機関投資家判断並びに大衆投資家判断、これが総合されて価格形成されておるものと考えております。
  19. 堀昌雄

    堀委員 今機関投資家と言われましたけれども機関投資家というのは、具体的にはどういうものをさしますか。
  20. 宮川新一郎

    宮川政府委員 主として銀行保険会社等であります。
  21. 堀昌雄

    堀委員 ちょっとそのお答えは不満足なんですがね。銀行保険会社も私は機関投資家だと思いますが、現実に今の——私最近の資料がありませんからちょっとあれですが、少し古い資料で見ますと、証券取引の動きですね、取り扱い高の問題の中で、御承知のように、自分証券会社としての自己売買、それと、今の機関投資家なり一般投資家から委託を受けておる委託売買がございますね。専門的にはディーラー業務ブローカー業務と称しているわけですけれども、これを見ますと、その委託を受けている方よりも自己売買の方が多いわけです。私が持っております資料を、ちょっと古いが、三十一年から三十二年の一年間の決算で見ると、委託売買高、要するによそから頼まれたものを一〇〇として、証券業者自己売買高の方を見ると、比率で申し上げると、四社は委託売買一〇〇に対して一四〇であります。三十三年から三十四年にかけての年は、それが一〇〇に対して一七七。要するに、機関投資家とか一般投資家が頼んで売買するものの七割も、自己売買の方が多いということになると、その価格形成が、あなたのおっしゃったような、機関投資家あるいは一般投資家価格形成されるよりも、それ以外の要素証券業者自分売買の方が、この統計じゃ多いのですが、昨年度の場合、一ぺん四社とその他で出していただきたいのです。三十四年から三十五年の十月までで、委託売買高を一〇〇として、自己売買高有価証券取り扱い高を、一つ四社とその他の会員伺いたいのです。
  22. 有吉正

    有吉説明員 三十六年の九月期におきまして、四社の自己売買委託売買比率を申し上げますと、六三%と三七%、それからその他の会員におきましては三八・五%と六一・五%、非会員におきましては二九・五%と七〇・五%、全体で平均いたしますと、五  一・九%と四八・一%ということになっております。
  23. 堀昌雄

    堀委員 私が今株価が公正に形成されておるかどうかということは、これは私の出し方とちょっと違いますが、四社の場合は自己売買六三、委託売買三七ですから、目の子算で約一〇〇対一八〇くらいのことになるんじゃないか。これは昭和三十三年度とほとんど同じくらいで、はるかに自己売買の方が多いわけで、あなた方の方は、理財局長言われたように、三七%の売買高の方が株価形成比重があって、六七%にあなた方触れないというのは、これはどういうわけですか。今あなたは、機関投資家というのは何かと聞いたら、銀行保険会社であると言われましたね。一番肝心の証券会社になぜ触れないのですか。
  24. 宮川新一郎

    宮川政府委員 それはちょっと言い忘れたのでありまして、御指摘のように、単に銀行保険会社のみならず、証券会社機関投資家として作用をなすことは、これは御指摘通りであります。
  25. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、三七%の中で機関投資家一般投資家を区別できますか。
  26. 有吉正

    有吉説明員 できないと思います。
  27. 堀昌雄

    堀委員 感じとしてはどうですか。詳しくはできないでしょう。感じとしては……。
  28. 有吉正

    有吉説明員 残念ながら、感じとしてもちょっとわかりません。
  29. 堀昌雄

    堀委員 今後証券部ができましたら、強力なる行政指導が行なわれるそうですから、一つ今度は、感じでなくて、正確に証券部設置以来調査をお願いしたい。ということは、私がなぜこういうことを申し上げるかというと、株価形成というものが一般大衆によって行なわれるのであるならば、私は何も申しません。しかし、機関投資家とか証券会社とかいうところが、大きな資力を持って恣意的に何かすると、それによって株価が上がったり下がったりするということになれば、言うなれば、大衆と直接につながりのないところで株が上がったり下がったりする。その人たちは、自然に株が上がるとか下がるとか経済情勢を反映してのことなら、われわれは問題を提起する必要はないのですが、かなりの資金を持っておるものが、恣意的にここで一つ株価を上げようということでもって資金を使う、そうすると、株価が上がってくるということになる。その上がる利益は、それじゃ一体どこが一番受けるかというと、今の操作をした諸君がそれを見越して処理をするんだから、一番有利だ。下がるときも同様に、これを少し下げようというときには、その諸君がどんどん売って、売った結果下がれば、最初に売ったときとあとになって売ったときの差額だけは、最初に売った者がもうけるわけですね。要するに、一般投資家は知らないところでそういう株価が動くということは、私は株価の公正な形成ができておるとは言いがたいと思います。  そこで、一つそれだけを要望いたしますが、今度は四社、御承知のように、野村、日興、山一、大和の四社ですけれども、四社の方が自己売買が多くて、その他の方が逆になっているわけですね。四社は、委託の方が三七で自己売買が六三、その他の中小証券は、委託の方が六一で自己売買が三八、これは私非常に問題があると思うのです。最も資金のある諸君自己売買によって株価を動かすことになって、そうして力のない方は委託業務をやっておる。大きければ大きいほど、こういうところはできるだけもう委託売買に徹するような姿になるべきではないか、私はこういうふうな感じがいたしますが、今後のそういう問題に対する対処の仕方は、大蔵省としてはどういう対処の仕方をされるつもりでしょうか。
  30. 宮川新一郎

    宮川政府委員 御指摘のように、証券会社委託業務並びにいわゆるディーラー業務、それからアンダーライター業務、引き受け業務、三種の業務を行なっておりますことは、必ずしも適切とは申せないのであります。投資者保護、それから投資者利益と、証券会社利益とが相反するような結果になりますので、方向といたしましては、職能を分離していくような方向考えるべきじゃないかと思います。しかし、この点もいろいろ過去の長い伝統もございますし、慣習もございますし、証券業界経営効率の低下あるいはまた取引の円滑さを阻害するおそれもあるということもあわせ考えまして、慎重に職能分化については検討いたして参りたい、かように考えております。
  31. 堀昌雄

    堀委員 職能分化方向は、方向として了承いたします。  そこで、皆さんもおそらく株式市場のいろいろなあれを新聞でごらんになっておると思います。私もやはり毎日見ます。私は株は一つも持っておりません。持っておりませんけれども、なぜ見るか。これは、われわれが今担当しております仕事の性質上、投資家保護するために、重大な関心を払って毎日見ておる。見ておると、大体において、上がるときは、四社が買うときが上がるわけです。だから、それを見て非常に感じますのは、これはどうしても委託売買自己売買が、四社も少なくとも他の証券業者並みになるように強力な指導をすべきではないか。他の証券業者のように、大体六割が委託売買で四割が自己売買というのなら、これはまだいいじゃないかと私は思うのです。ところが、一番資力のある四社が逆だというのは、これはどうも私は納得がいきかねるのですが、方向としては、少しこの自己売買を減らして、委託売買に徹するといいますか、あそこまで大きくなれば、その方向が正しいのじゃないか。大体四社はそういうようなディーラー業務などをやらなくても、アンダーライターの収入もあるし、投信運用手数料等もあって、いろいろな収入がほかにも確保されているわけです。それにもかかわらず、小さい中小証券以上にそういう自己売買をたくさんやるということは、私はどうも問題があると思うのですが、一体ここを今後の方向としてどう考えられますか。
  32. 有吉正

    有吉説明員 四社の自己売買に占める比率が、他の業者自己売買に占める比率よりも多いことは事実でございます。要は、市場における価格形成が適正に行なわれるかいなかという問題にかかわって参ります。と同時に、株価の値動きというものが、特殊な要因によりまして特に顕著に上下するということも、また避けて参らなければならない、かようなことも考えられるのでございます。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕 たとえて申しますと、機関投資家におきまして、大量の売りというものが市場に一時に殺到いたしますと、市場の市況の継続というものが失われるということにも相なるわけでございます。かかる際におきましては、四社がやはり機関投資家に立ち向かうということがあり得るわけでございます。しかし、それがそのまま市場に流れますと、先ほど申しました市況と申しますか、市価の相場の継続性という毛のが失われるということもあり得るのでございます。かかる際におきましては、バイカイをするということも行なわれておるのであります。  そこで、問題は、このバイカイの売り方の適正ということが問題になるわけでございます。先ほど局長からもお答え申しましたように、価格形成わ、一般の投資層の判断に基づいて行なおれる。つまり、市場におきまして、一つ価格形成に対する判断がありまして、それに近い価格におきましてそのバイカイが振られるということでございますならば、それはやはりそのバイカイの価格と申しますのが公正に行なわれるということに相なるわけでございますが、私どもといたしましては、このバイカイの適正ということにつきまして、今後とも努力して参りたい、かように考えているわけでございます。要するに、四社が相当の自己売買比率を占めるということに相なりますのは、機関投資家に対する買い売りということが相当大きな原因になっているのではないか、かように考えるのでございます。
  33. 堀昌雄

    堀委員 株が急激に変動すること自体は望ましくないのですが、さっきのお話の論理と今のお話の論理と、ちょっと違う点が出てくるのです。機関投資家が売るということ、これは諸般の経済情勢判断に応じて売ることで、機関投資家であろうと何であろうと、投資家なんですね。そうすると、株価は本来的に投資家経済状態に反応して売ったり買ったりするのだろうと思います。それを今おっしゃるように、株価をあまり動かさないために、今度は証券会社が買って、株価を下げないようにする、こういうことになると、これは株価自身は、証券業者の恣意的な判断で、今ここへ置きたいというときにはここへ置けるということになる余地が出てくるので、論理的には少しおかしくないですか。現実の問題としてはわかりますよ。しかし、論理的な面ではどうでしょう。
  34. 有吉正

    有吉説明員 株価形成は、経済見通し等によって定まるものでございますが、機関投資家といたしましても、そのときの株価をつかまえ、市場に売りたいという気持を持つものであろうと思います。しかし、何分にも多量のものが殺到して参るということになりますと、もし買い手が少なければ、そこに急激な暴落が起こるということもあり得るわけでございます。これは機関投資家としても予測してないことでございますし、一般的な経済情勢見通しの上に立った株価形成ということにも相ならぬということでございます。まことに技術的な問題でございますけれども、バイカイということでそこに措置がされるということにも相なるわけでございます。そこで問題は、それでは証券会社がバイカイによって価格をくぎづけにするのではないかというような問題がございます。しかし、これは先ほど申しましたように、その際におきますところの価格によってバイカイが行なわれるということによりまして、その弊をためていくということになろうと思います。
  35. 堀昌雄

    堀委員 バイカイが非常に減ってきておるならいいですが、実は少しは減っておるようですが、必ずしも十分に減っておりません。このバイカイの問題は、非常に専門的ですから、ここでは申しませんけれども、ともかく私どもは、投資家価格形成にあずかり得る条件ができてこないと、逆に証券会社が恣意的にいろいろやっぱりそこへやることによって、自然の流れがくずれるということは、そういうのは公正な価格と言いにくいのじゃないか、私はそういう感じがいたしますが、あとは専門的になりますから、本日は触れないでおきます。  そこで、ちょっと伺っておきますが、もう一つ投資家保護ということで、私新聞を見て非常に気になったのですが、そのまま詳しく見なかったのですが、証券検査官の贈収賄がこの間一つ問題になりましたね。証券検査課というのが今あるのだと思うのですが、その証券検査官の贈収賄問題というのは過去にどのくらいありましたですか。
  36. 宮川新一郎

    宮川政府委員 先般の東京財務局管内の証券検査官の収賄事件は、まことに遺憾に思っております。このような事態の起こらないように、常時訓練を施しまして、注意を与えているところでございますが、過去の例といたしましては、三年ほど前に大阪財務局管内で一件ございました。なお、去年の十月に東京財務局でもう一件ございました。
  37. 堀昌雄

    堀委員 三件のようですが、その三件は、何を手心をしてもらうために起きたのか、ちょっとそこの部分を答えていただきたいと思います。
  38. 中込達雄

    ○中込説明員 こまかい点になりますので、私からお答え申し上げます。  三年前の大阪の件は、実は今つまびらかでございませんけれども、去年の十月の関東財務局の検査官は、検査に際しまして、少し工合が悪い点があったのを隠してもらえるかどうかというような点から、どうも贈収賄があったように考えております。それから一番最近の、やはり関東財務局の検査官の事件につきましては、これは検査に際してかどうかは疑問になっておりまして、ただいま、起訴になるかどうか、まだはっきりいたしておりません。ただ、多少あらましを申しますと、この検査官が、個人的な知り合いで、新しく登録をする業者の登録書類などを、何か知恵をかしたということがある、その謝礼をもらったかもらわないかというようなところが争点になっておるというように聞いております。
  39. 堀昌雄

    堀委員 実は証券検査官という制度は、銀行の検査官ほどにまだ発足十分でないと思いますが——銀行局、今見えましたね。銀行の検査官で贈収賄になった例というのは、最近ありますか。
  40. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 お答え申し上げます。  最近、そういう事例はございません。
  41. 堀昌雄

    堀委員 私も、銀行検査官についてはあまり気がつかなかったのでありますが、やはり証券行政としては、証券業者というものは、まだ非常に小さい業者がたくさんあるのです。そこで、こういうことが起こる余地があるのじゃないか。金融機関の方は、一応かなり大きくなっておりますから、あまりそういうようなことをやらないようになっているのじゃないかと思いますが、やはりこの問題は、投資家保護にとって重要な問題になると思うのです。というのは、あなた方が行政監督をするのは、投資家保護の立場が非常にあるのじゃないかと思いますが、それを何とかごまかしてもらおうということは、イコール、やはり投資家に不利を招く可能性があるわけですから、ともかく今後については——証券部ができたからといって、財務局にある検査官とどうなるのか、私よくわかりませんけれども証券検査官の教育というか、これらをもう少し徹底をし、アンタッチャブルというか、買収されざる検査官でやってもらいたい。これは証券部ができますれば、特に要望いたしておきます。  その次に、ちょっと伺っておきたいのですが、証券取引審議会というのがございますね。これは一体どういう構成メンバーでできておるのか、この中に大衆投資家を代表するような委員が入っているのかどうか、ちょっとそれを伺いたいと思います。
  42. 宮川新一郎

    宮川政府委員 直接大衆投資家を代表すると見られるものはございませんが、いわば学識経験者として加入していただいておる方が、一般大衆投資家利益を代表するように運営して参りたい、こういうような配慮から学識経験者を入れてございます。
  43. 堀昌雄

    堀委員 この構成は、今一体どういふうになっておりますか。
  44. 有吉正

    有吉説明員 定員は十三人でございまして、金融界が二人、言論界が二人、業界が二人、それから産業界が二人、学者の方が一人、保険界代表一人、証券金融が一人、それから先ほど金融界二人と申しましたけれども、商工中金の代表を一人加えますと三人、あと一人がどうも……。
  45. 宮川新一郎

    宮川政府委員 資料がございましたので、読み上げます。  会長が経団連の堀越禎三、委員は、日経新聞の円城寺次郎、十条製紙の金子佐一郎、日本興業銀行の中山頭取、東京電力の木川田社長、日本証券業協会連合会会長の小池厚之助、商工組合中央金庫副理事長河野通一、日本銀行理事佐々木直、日本証券金融会社社長の白根清香、東京大学教授鈴木竹雄、大阪証券取引理事議長高橋要、経済評論家高橋亀吉、日本生命保険協会会長藤川博、こういうメンバーになっております。
  46. 堀昌雄

    堀委員 大体わかりました。学識経験者が大衆投資家保護ということはわかると思いますが、どうもこの感じでは、率直にいって、大衆投資家の立場を代表するものとしてはないと私は思う。機関投資家も出ておりますし、それからその他関連のあるところはみな出ておられます。高橋亀吉さんが評論家として出ておられるが、これは必ずしもどうも投資家の立場であるかどうか、ちょっとわかりません。だから、いつ人をかえられるのかわかりませんが、一般投資家の立場を反映するものが、機関投資家以外にこの証券取引審議会の構成の中にどうしても必要ではないかと思いますが、皆さんの方はどうでしょうか。
  47. 宮川新一郎

    宮川政府委員 証券取引審議会の委員の任期は二年になっておりまして、金融界、産業界、学識経験者、いろいろバランスを考えて選んだのでございますが、堀委員指摘のように直接——私が申し上げましたように、大衆投資家利益を代表すると認められる人は、たとえば円城寺さん、元理財局長の河野通一氏あるいは高橋亀吉さんとか、こういうところが一応代表しておると思われるのでありますが、なおもっと的確に大衆投資家利益を擁護すると申しますか、立場に立って御検討願うような人——どういう人を入れたらいいのか、ちょっととっさに見当がつきかねますけれども、将来そういう方向をも加味いたしまして、人選についてはなお一そう工夫をこらして参りたいと思います。
  48. 堀昌雄

    堀委員 証券部の問題について伺おうと思っておりましたことは、当委員会では大体これで終わりたいと思いますが、私は重ねて証券部ができる機会に要望しておきますことは、先ほど申し上げたように、価格形成というものが、やはり証券の問題の一番大きな問題だと私は思います。この問題について、現在皆さんの方は、非常に投資家がふえたというふうにおっしゃっております。私が調べた範囲でも、大体三百万人くらいの一般投資家があるのではないかと推測いたしますが、今後これはやはりふえる方向にいくだろうと思います。そうすると、やはりこの人たちの立場を正しく守っていかなければ、証券行政としては発展はあり得ないんじゃないか、一番の眼目をやはり私は投資家保護というところに一つ徹底をしてもらいたい。その投資家保護の立場に立って、バランスをとりながら行政をやっていくということにならないと、とかくどうも過去の例を見ると、業者の側に比重がかかって、投資家の側の方がややもするとなおざりになりがちなような感じがいたしますので、その点強く要望いたしまして、証券部設置以後の証券行政がこれまでとどう変わるのか、一つ刮目して待っていますから、その点十分にあなた方も大衆投資家の期待にこたえるように一つやっていただきたいと思います。  次に、関税の問題ですが、今回大蔵省設置法定員改正が行なわれておりますが、その中の最も大きなのは、税関職員の定員増加の問題でございます。そこで、ちょっとお伺いをいたしますけれども、過去三年くらいでいいですが、最近の事務取り扱い件数の増加率と定員の増加率はどうなっておりますか。
  49. 稻益繁

    ○稻益政府委員 税関業務の中で、一番定員との関係で重要な問題は、輸出入の申告件数です。それについて申し上げますと、輸出の申告件数が、最近三カ年でございますが、三十四年が百三十六万七千九百八十一件、三十五年が百五十三万九千百八十二件、三十六年が、これは若干推計が入っておりますが、百六十一万六千二百十六件、こういう割合であります。それから輸入の申告件数でありますが、同じく三十四年が五十二万五千百二十八件、三十五年が六十万七千六百三十七件、三十六年は、若干同じく推計が入りまして八十一万四千二百四十八件、かような数字になっております。これに対しまして定員でありますが、同じく三十四、三十五、三十六、この三カ年で見ますと、三十四年が五千九百十六人、三十五年が六千四十六人、三十六年が六千六百三十五人、これは定員であります。こういうことになっております。
  50. 堀昌雄

    堀委員 今おっしゃった輸出と輸入を合わせて、ちょっとそこで伸び率の計算をしてくれませんか。三十四年から三十五年、三十六年の取り扱い件数、輸出入合わせて伸び率で幾ら伸びたのか、逆に定員の方は一体幾ら伸びたのか、今度の改正で三十七年はふえるわけですね。そこまで簡単でいいですから、ほかのことを質問しておりますから、計算していただきたいと思います。
  51. 稻益繁

    ○稻益政府委員 三十四年を一〇〇として……。
  52. 堀昌雄

    堀委員 そうしていただいてけっこうです。私、計算していただくのを前もって御連絡しておけばよかったのですが、おそくなって大へんお気の毒なんですが、どうも件数の増加に比して定員の増加率必ずしも十分でないのではないかという感じがいたします。今度も四百人くらいふえたようですが、関税局として主計局へ当初幾ら要求したのですか。
  53. 稻益繁

    ○稻益政府委員 予算要求の際の定員増の要求は約千九百名でございます。
  54. 堀昌雄

    堀委員 千九百名要求して四百名認められた、こういうことでございますね。——この要求と認められたものの割合、これは主計局が来ていないからわからないかもしれませんが、過去の例で見ると、毎年そういうような要求をして少しずつふえてきていると思うのですが、今度も要求の四分の一くらい認めてもらったのでしょうが、最近の傾向は大体どうですか。
  55. 稻益繁

    ○稻益政府委員 ずっと過去のことは、私ちょっと要求の数字はわかりませんが、大体認められましたのが、昨年以前におきましては、百名ないし多いときで二百名という増員が認められておるわけであります。昨年のときは、大体私どもやはり千九百名ばかりの要求をいたしまして、四百名の増員、今回も大体同じ程度のところまで認められた、こういうことでございます。
  56. 堀昌雄

    堀委員 私がこのことを聞いておりますのは、どうも大蔵省の役人というのは、これは自分のところのものだから、よその方からも定員増加の要求が非常にたくさん出ているけれども、よそを断わるのに、まずみずからのところをしぼって断わらなければならぬという傾向があるような感じがいたしますが、その点で、どうも税関職員でも国税関係の職員でも、こういう現業関係といいますか、大蔵省の現業だと思いますが、こういう関係の職員が、どうも現状で足りないような感じが私はします。あなた方の方は、これは内部のことだろうと思うけれども、今度の四百名の増員で、最近の、ことに本年度は輸出も一七%もふやそうというような見通しですから、件数は、これはふえるのがあたりまえです。輸入は予想件数よりもふえるだろう。経済見通しよりはふえるにきまっていますからふえる。そうすると、年々この調子でいくと、今計算していただいたのでわかると思いますが、税関職員というのは、勤務過重にならざるを得ないようになっているのじゃないかと思いますが、その点、関税局長、どうでしょう。
  57. 稻益繁

    ○稻益政府委員 お説のように、今現場の税関の職員は、こういう扱い件数がふえますと、やはりそれだけ事務量がふえて参るわけであります。ただ、件数がたとえば二割伸びました場合に、人員を同じ比率で二割伸ばさなければならぬかどうか、これはいろいろ仕事のやり方にも関連するわけでございます。それから一面、私どもとしていろいろ現在検討し、事実若干着手しております点は、こういった業務量の増加というのは、堀先生お話しのように、これからは貿易が伸びる一方だと思います。おそらく毎年輸出入の件数がふえて参る。やはり人手をふやすだけでこれを処理するということは、いろいろむずかしい事態が起こるのでありますが、私どもとしましては、極力諸外国の——諸外国でも、非常なこういった貿易量の増加、これに伴う税関の事務量の増加というものがあるわけなんであります。これに対していろいろやり方について工夫をしておるような点も見受けられますので、機会あるごとに私ども諸外国の例なども参考にいたしまして、私どもとして、実際の事務のできるだけ簡素化、重点を置いた仕事のやり方といったようなことで、極力現場の職員のいわゆる仕事の上での負担が過重にならないように、そういった面の配慮をして参りたい。もちろん、手を抜くといいますか、簡素化といいましても、ある限度があるわけなんでありまして、それを踏みはずしますと、税関としての使命がなくなるという点もございます。その限界と申しますか、範囲内で極力簡素化をはかりまして、職員の労働の過重といった面が出ませんように配慮して参りたい。先般来そういう観点からいろいろ実務に当たりまして検討いたしまして、若干簡素化の実行に踏み切っておるというような状況でございます。
  58. 堀昌雄

    堀委員 まあ、合理化、簡素化をしていただくことは、労働量が減るからよろしいと思いますが、ちょっともう一つ伺っておきたいのは、この税関業務は、民間業者を相手にしておりますから、なかなかむずかしいと思いますが、大体月末に非常に仕事が集中をして、月初、月間は比較的ひまだという傾向があるのじゃないかと思います。そこで、税関の場合には、臨時開庁ということで仕事が相当集中してくればやむを得ないと思いますが、時間外勤務の手当その他はどんなふうになっていますか。現状としては、実際に時間外が行なわれただけは全部支払うに足るだけの予算は組まれておりますか。
  59. 稻益繁

    ○稻益政府委員 超過勤務の手当は、私どもの見る限りでは、十分である、実際に超過勤務をした程度のものは超過勤務手当が出ておる、かように見ております。
  60. 堀昌雄

    堀委員 全体平均して、大体どのくらい超過勤務をやっておることになっておりましょうか。大体でいいです。
  61. 稻益繁

    ○稻益政府委員 時間数でちょっとはっきりしたあれが出ておりませんが、まあ、月で三十時間から四十時間程度の超過勤務、その程度の予算を組んでおります。これが現状にちょうどマッチしておる。お説のように、忙しいと申しましても、月の特に下旬、それから若干月の初めにかかりまして、その間でありますので、大体月平均で三十時間から、多い税関で四十時間程度というようなところで、超勤の予算としては十分入っておる、こういうふうに考えております。
  62. 堀昌雄

    堀委員 きょうは突然に伺ったことですから、いろいろその点問題があろうと思いますけれども、やはり今合理化をしてみても、私も過去の累年の経過から見て、各税関は相当事務を合理化をしておると思うんですね。人間が足っているのなら合理化しないでしょうが、著しく足らないんですね。これは実は最近三年間の経緯を伺っただけでは問題があるので、最近非常にふえたのですから、その前で見なければいけないわけです。前と現状で見なければならないのですが、あまり古いことを申してもあれだから、最近で伺ったのですが、最近の三十四年からというのは、非常に高いベースできておりますから問題があるのですが、相当無理をしてきておるから、私は、簡素化はもう相当極点にきているのではないかという感じがいたします。そうすると、その次に今度はしわが寄ってくるところは、やはり定員がふえなければ超過勤務をやらなければならぬというところにしわが寄る、そういうことになってくるのではないかと思うのです。それで、今稻益さんのお話だけを伺うと、その超過勤務予算は十分だということなんです。これはあとから私少し調べさせていただいて、はたして十分なのかどうかを調べてみますが、やはり私は今の税関の業務として見ると、皆さん千九百人要求して四百人しかこないのでしょう。千九百人要求したということは、必要だということです。あなたの方の判断はそうでしょう。必要がないのに主計局に要求するわけはないのだから……。千九百人要求して四百人しかこなければ、千五百人分をとにかく全体の六千人が負担をするということに、道理から見るとなると思う。そうすると、一人当たりとすると、四分の一人分よけいに働かなければならないということになるのではないか。それがおそらく時間外の手当、その超過勤務手当は、最近ずっとそんなにふえてないのではないか。私がマクロで申すならば、要するに、あなた方は千九百人要ると思って要求された、四百人きて、千五百人はこなかった、そうすると、千五百人分だけはやはりどこかでこれは埋め合わせなければならぬのでしょうね。ところが、事務を簡素化するといったって、私は、これはほぼ限度にきているのではないかと思う。そうすると、よけいにどこかで働かす、その分だけがやはり超過勤務で払われているのかどうかというふうに、マクロ的に、論理的にはつながってくるわけですね。そこで、その点、千五百人分の仕事は一体どうなっているとお考えになりますか。
  63. 稻益繁

    ○稻益政府委員 私ども千九百人の定員の増加ということを算定いたしましたときは、何と申しますか、私どもとしまして、非常に自信を持って満足のいく仕事のやり方をしたいという想定に立ちまして、どういう部門に何人の人員が必要であるかということを算定いたしたわけであります。たとえて申し上げますと、いわゆる監視の面で、乗船官吏というので、外国貿易船が入港いたしますと、これに税関吏が乗り込むわけです。もちろん、監視、取り締まり、それから若干の通関手続、こういうものをやるわけなのでありますが、こういうものにつきましても、できますれば私ども一船に一人くらい配置したい。ところが、現状では、大体検船率が一人当たり三倍をこえるような、三ないし四隻といったような状態になっておるわけであります。こういうものを私どもとして理想的にやるとすれば、一船について一人くらい乗り込ましたい、こういう計算を出しておるわけであります。また他面、最近貿易の発展に伴いまして、保税工場の申請が非常に多いわけであります。これも私どもできるだけ、少々地理的に不便なところでも、輸出振興という建前から認めて参りたい、そういう観点から、極力保税工場を認めて参るといたしますると、これも本来ならば、先ほど申し上げました乗船官吏のように、できるだけ一つどもの理想とする監視、取り締まりということをやるためには、一工場かせいぜい二工場程度を一人で受け持つといったような体制をしきたいというのが、実は私どもの希望なんであります。  現実の問題としましては、なかなかそこまでいきませんで、従いまして、結果的には、四百名の増員が認められました際も、検船率が四はい近くまで上がっておりまずのを三ばい程度にとどめる。従いまして、職員の労働の面もございますが、私どもとしての仕事の完璧なやり方という理想の姿からいえば、どうしても手抜きをせざるを得ない、そういった面が出て参っております。保税工場の面におきましても、やはり最近、相当新しい保税工場の申請がたまっておりまして、何とか人員増加をはかりませんと、これをただ許可ばかりして参りましても、私どもとして全然目が届かないというようなことになっても困りますので、新しい定員の増加、これをもって、今現に処理しなければならない保税工場の案件を処理して参りたい。許可をして、その監視、取り締まりの十全を期して参りたい。実はかような実情になっておるわけであります。もちろん、私どもとしてできるだけ完璧な仕事をすることが、当然希望として出て参るわけなんでございますが、現実はそこまでなかなか参りませんので、先ほど申し上げましたような、負担が現場であまり重くならない範囲で極力簡素化をはかっていく。  なお、いろいろな現場の貨物の検査のやり方につきましても、たとえば輸入貨物について、有税品は重点を置いてやって参りたい。無税品につきましては、従来これも一応現物検査ということが税関の建前になっておりますので、すべて見ておったわけでありますが、そういうものにつきましては、大量の貨物で問題が起こることが非常に少ないといったようなものは、思い切って手を抜くというようなことで、かなり簡素化をはかって参っております。
  64. 堀昌雄

    堀委員 今のお話で、こまかい内容のことを伺わないと、一体どこがどれだけ要求されて、何が幾ら認められたかという点がわかりませんから、きょうはこれだけにしておきます。  そこで、ちょっと税関のことで気がついたので、伺いたいのですが、税関には各税関とも分析室というか、化学検査をするところがございますね。ここに勤務しておる従業員は、聞くところによると、これは一般職で処理をされておるようです。この諸君は技術者が入っているのじゃないかと思いますが、これは先にいくとどうなるのですか。若いときはそうやってそこで分析なんかやっているが、終生あそこで分析ばかりやっていられるはずじゃないと思うのですが、こういう技術者の諸君は、税関では先行きは大体どういうコースをとって上に行っているのか、ちょっとそこを伺っておきたいと思います。
  65. 稻益繁

    ○稻益政府委員 税関では、技術系統の職員は、大体監査部というところで働いておるわけであります。今の御指摘の分析関係、これもその監査部の一部門としてあるわけであります。毎年、技術系統の学校出身者をかなり採用いたしております。大体監査でもって商品学の知識を発揮してもらうという考えでやっておるわけであります。従って、監査のそういった系統でだんだんと課長なり——現在では、係長クラスの副監査官、課長クラスの監査官、さらに上には各税関監査部の監査部長、また、その中から適任者があれば税関長までなっておる、こういったのが現状であります。
  66. 堀昌雄

    堀委員 過去に技術者で税関長になっている例はあるでしょうか。
  67. 稻益繁

    ○稻益政府委員 ございます。
  68. 堀昌雄

    堀委員 私は、実はあとでちょっと造幣局の方でも触れたいのですが、一般の国の機関で、どうも技術者というものの方が何か日が当たらないような感じがいたします。しかし、世の中がだんだん科学的になっていくにつれて、実は技術的な専門知識というものが、だんだん高度に要求されるようになってくるのじゃないかと私は思います。そこで、そういう技術者に対するいろいろな待遇というものは相当配慮していかないと、そういうところに人がだんだん来なくなるのじゃないか、やはり産業界の方が将来の見通しもあるしということで、来なくなるのじゃないか、こういうふうな感じがいたしますが、たとえば現在大蔵省の中では、研究職というものが醸造試験場にはあるようですが、税関関係にはないのです。この間、ちょっと横浜税関を拝見すると、分析をやっている諸君は、相当高度の技術と研究開発等をやっている実態があるわけでありますが、これらについて、そういう特定の職にある人たちに研究職としての道を開くような考えはないのかどうか、その点ちょっと伺っておきたいと思います。
  69. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいまの問題でございますが、御指摘のように、醸造関係には今研究職がございますが、実際の待遇はそう違わないわけであります。まあ、税関におきましては、いわゆる純粋の研究ということと、業務の監査といいますか、行政実務というものが、醸造試験場におけるよりももっと密着しているという感じがいたします。そういう意味で、従来やはり行政職ということで処理されたものと思っております。御指摘の点もありますから、今後なお研究させていただきたいと思います。
  70. 堀昌雄

    堀委員 それから、実はあわせて、横浜税関を拝見したときに、三十六年度でしょうが、年間の密輸入の摘発事件が千二百万円ぐらいしか出ていないわけですね。ところが、昨日ですか、密輸業者ら四人逮捕ということで、何か新聞だけで見ると、洋酒とゴルフの道具を横流しして、数億円に上る密輸をしていたということですが、これはこの前から、東京の上野のアメ屋横丁というものを皆さんの方でもだいぶ注意をしてやっておられるようですが、依然としてやはりあのアメ屋横丁というものが成り立っておるようですね。一体これはしょっちゅうこうやって出てくるのですが、これに対する今の税関職員の手が足りませんからといえばそれまででしょうけれども、現実に船でこそこそ密輸をするよりも、私は、やはり一番簡単なのは、このルートが、今の日本の置かれておる客観情勢としては、大きな問題じゃないかというふうに思いますが、これは手が足らないから十分にいかないのか。私はまだまだしょっちゅうこの問題は出てくるのじゃないかと思いますが、これに対して何か根本的な対策は関税局としてありませんか。
  71. 稻益繁

    ○稻益政府委員 お説のように、密輸は税関として当然やるべき職務なのでありますが、取り締まり面で、正直に申し上げまして、人手が不足ということを私ども痛感いたしておるわけであります。ただ、密輸にしからばどれだけの人間を充実すれば大規模なものがやれるかという問題になりますと、これはいろいろ情報の収集、その他そちらの面から相当な手を打ちませんと、根本的なあれはむずかしいと思うのであります。現在では、摘発されます大きなものは、どうしても警察系統であがるという事例が多いようであります。警察の方でも、たとえば御徒町でありますと、これは税関と警察とタイアップいたしまして、実はいろいろ内偵もやっておるわけであります。先ほど堀先生お話にありましたように、たとえば船員が持ち込むものを押えてみるといったようなこまごましたものよりも、実はああいう御徒町のようなところ、また、そこを大もとまでたぐるということによって、大きな密輸があがるということは、私ども当然想定いたしておりまして、各税関で、その点について、たとえば沖縄経由のもの、香港経由のもの、こういったようなものが、駐留軍からの、PXからの横流れ品と一緒に実は御徒町に集まりまして、いわゆる密輸品の卸売市場といった形になっておるものでありますから、昨年来極力警察と一緒に、粛正すると申しますか、取り締まりを徹底させるということでやりまして、現在では、御徒町も、ひところのような、いわゆる密輸品の公然たる卸市場といったような姿はなくなって参った、私どもかように見ておるわけです。最近ちょいちょいあがっておりますような警察方面でのあれは、そういうところに売り込んでおったような、表面に出てこないものを、いろいろな手で情報をさぐっておるといったようなことから、あがっておるようなわけでありまして、今後も、私ども税関として当然の職務でありますので、そういった悪質な大きな事犯の検挙に極力方向を向けたい、かように実は考えております。
  72. 堀昌雄

    堀委員 密輸の問題は、金額の面はなるほどそう大したことはないかと思うのですが、問題は、やはり税の公平の原則という面で、私は、非常にこれは悪影響があるのじゃないかと思うのです。この点は、主計局はいないから、官房長、定員の増加について——税の公平化という意味では、どうしてもそういう密輸というもの、特に駐留軍関係の密輸、これがやはりもうちょっと重視されていいのではないかと思います。さっきのお話で、関税局長は、自信があって満足のいくようにやろうと思ったら千九百人、裏返していうと、四百人では自信を持って満足にはやれないというようなことのように聞こえますが、どうも密輸について、自信を持って満足にやれないのは困りますから、これは税の公平の原則から、来年度予算においては一つ十分配慮して、大蔵省としてやってもらいたい。この定員の増加では少し不十分なものじゃないかと思いますから、労働の強化にならないように、そうして税の公平の原則が守られるように、一つお願い申し上げます。
  73. 稻益繁

    ○稻益政府委員 先ほどの御質問お答えいたします。  輸出入件数を一本にいたしまして、三十四年を一〇〇といたしますと、三十五年が一一四%、三十六年が一二三%ということになります。それに対しまして定員の方は、三十四年を一〇〇といたしまして、三十五年が一〇二%、三十六年は一一二%、こういう数字になります。
  74. 堀昌雄

    堀委員 最近ふえたところだけで見て毛、やはりまだどうも十分でないような気がしますし、その以前の低いときからふえていないわけですから、そういう点を含めて一つ大蔵省として配慮してもらいたい。特に私が申し上げたいことは、よその省のやつをふやさないのに、大蔵省だけふやしてはどうも工合が悪いなどということは、これはちょっと角度が別じゃないかと思いますので、必要があれば、別に大蔵省だって遠慮することはない。だから、必要の範囲においては一つやっていただきたい。  それからちょっとお願いをしておきますが、さっきの超過勤務の問題ですね。これを、実際の勤務状況とその費用の関係をちょっと——過年度の輸出入の比較的少なかったときから、最近ぐうっと急激にふえて参りましたでしょう。その関係を一つ——今の件数や事務量の増加に見合うもの、そうなると、やはりさっきおっしゃるような監視の人間と、業務部というのですかね、ここらは少し分けていただかないと、必ずしも全体で見るわけにいきませんから、そういうことがわかるような資料を一回お願いしておきたいと思います。一体どこの仕事が過重になっておるのか、さっきのお話の千九百人を要求されたのは、監視が何人、業務が何人というふうに、それを内訳をしていただいて、その要求に対しては、一体どれだけ充足をされたのか、そういうことと、今の業務量の増加の状態ですね、これをあわせて資料として準備を願いたいと思います。  さっきの保税工場とか、乗船監視の問題等も、三ばいに一人ということではたしてできるのか。できないということになると、一人に一般ということにやらなければだめなことなら、一人で三船も四船も持つということは、やらないのと大して変わりない、形式的にやったということになるんじゃないかという感じがしますので、そういう点を含めて一つ検討をしておいていただきたいと思います。  次に、ちょっと造幣局の方に伺います。  今度の改正で、皆さんの方は法制から研究所というのをとっぱずしたのですね。なぜこれは研究所がなくなるのか、一体どういうことになるのか、ちょっと伺いたいと思います。
  75. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  形式的には研究所は廃止される形になるわけでございますが、機能の面から申しますと、研究の機能は廃止をしておるわけじゃございません。と申しますのは、従来の研究所の運営の実態を見てみますと、むしろ、基礎的な部面の研究に力が入り過ぎておったというような面がございまして、その反面、作業の実態とのつながりが多少稀薄になったような感じがいたしておったわけでございます。従いまして、今回の改正におきましては、作業の全体を統轄し、管理して参ります作業管理部というものができたわけでございますが、その中にやはり研究官を配置いたしまして、作業の実態と従来よりはより一そう密接な関係を持った研究をしてもらう、かように私ども考えておる次第でございます。
  76. 堀昌雄

    堀委員 何か従来は基礎的な研究であって、今の言い方で伺うと、当面あまり役に立たないから、研究所はやめて、作業管理部ができたからそこへくっつける、こういうようにも聞こえるが、一体これまで何をやっていたのですか、基礎的なことというのは、どういうことをやっていたのですか。
  77. 竹村忠一

    ○竹村説明員 たとえば発行いたしました貨幣が、何年すればどういうふうに摩滅して参りますとか、あるいはまた私どもが貨幣を製造いたします場合に、極印という、種になる金属の製品がございますが、その製品につきまして、どういう種類の金属の合金なれば、自動的に何回使えば大体使えなくなるか、その程度を測定するとか、ないしは貨幣の合金にどういうものが適当であるとかというふうな研究をいたしておったわけでございます。
  78. 堀昌雄

    堀委員 研究所は一体どのくらいの人がいて——これは私もよくわかりませんが、造幣局の大きいのは大阪と東京だろうと思うのですが、これまでこの研究所というのは幾つあって、どのくらいの定員があったのですか。
  79. 竹村忠一

    ○竹村説明員 研究所は大阪の本局だけに今までございました。その構成は、研究所長のほかに研究官三名、それからその下の人員がございまして、合計いたしまして研究所長込めて十四名ということになっておるわけでございます。
  80. 堀昌雄

    堀委員 研究所がなくなると、その研究所長はどうなりますか、今度は。
  81. 竹村忠一

    ○竹村説明員 機能といたしましては、従来の研究所を含めた機能をもちましたものが、作業管理部というのができるわけでございます。具体的な問題といたしましては、そのほかに、製造部というのが今度新設されるわけでございまするから、従いまして、機能といたしましては、作業管理部の部長の指揮を受けて研究を担当する研究官という者が残るわけでございます。そして従来の研究所長は、作業管理部長があるいは製造部長かにかわる、かようなことになるかと考えております。
  82. 堀昌雄

    堀委員 私は何も研究所がなければならぬと言うのではありませんが、ちょっと前段で税関の場合にも触れたんですが、とかくどうもこういう研究とかそういう技術者の問題が、やや比重が軽くなっているときに、これを見ると、提案理由説明には、作業管理部だけ書いてあるけれども、研究所をやめるなんて書いてないですね。法案を読んで見ると、研究所はやめることになっている。研究所はわずか十四人ですけれども、どうも私は、研究所としてあるのがいいのかどうか、これは、問題は行政上の問題で別でありましょうが、作業管理部という格好になってしまえば、さっきあなたが最初に言われたように、基礎的な研究はおそらくできなくなるんじゃないか。そうすると、これは、大阪の造幣局でこの研究は貨幣関係、補助貨幣の問題について主としてやられておるのかもしれませんが、最近千円札のにせものが出ているわけですね。これは非常に精巧にできていて、いまだにつかまらない。だいぶ出ている。これは日をあらためて大蔵委員会で少しやりますが、こういうことが起きるということもやはりわれわれとしては研究していかなければ、模造紙幣がどんどん出たっていいというわけじゃないと思うのです。だから、どうも私どもは、そういう点で研究ということをややないがしろにするような感じが非常にするのですが、今後基礎的な研究、研究所でやったものが引き続き行なわれるという保証がありますか。
  83. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答えいたします。  従来の研究の機能は、研究所長がその研究のテーマを与えるということになっておったわけでございまするが、今度の組織におきまして、作業管理部長は、これはもちろん技術出身の部長でございまするが、その作業管理部長が、基礎的な研究のほか、現場の作業の統制をやっておるわけでございまするから、現場の作業の中から直接生まれてくるような随時の問題、それと合わせまして、研究官に研究のテーマとして与えるということになるわけでございまして、従来の基礎的な研究をないがしろにするというような気持ではございません。むしろ、先ほど御説明申し上げましたように、作業の実態にできるだけ即応した研究部面も取り入れるという形で今後運営して参りたい、かよに存ずる次第でございます。
  84. 堀昌雄

    堀委員 今、研究所、職制としてこういうふうにありますね。設置法にある。これは研究所というのは、やはり運営造幣局長の下にあるのだから、研究所としてあったら、作業管理の面の仕事をやらないとか、研究所というのは独立して、まあともかく好きなことを勝手にやっているとかいうことであっていいとは私思わないのですよ。従来の研究も、当然、必要があれば造幣局の研究所だから作業管理の面のこともやるべきだ。それをやってなかったのか、こういう制度であるとやれないのか。ちょっと私こだわるようですけれども、研究所があるのとないのとでは、研究というものは、私は内容が変わると思う。あなたも言うならば行政の文官の方だろうからわかりませんが、私は出身が医者だから、そういう技術の問題がよくわかるのですが、やはり一般的なそういうところでやる場合と、研究所ということでやる場合とは、そこの中に働く人の心がまえも違うのです。仕事のいろいろな条件も違うわけですね。そうすると、科学が今後進歩していくときに、研究所を作るというなら、私は話がわかると思うのですが、あるものをやめるというこの思想というのは、私は、今の科学技術の発展の方向に逆行しておるのではないかと思うのですが、どうですか、逆行しないというふうに確言できますか。
  85. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  今度の機構改正を全体として見ました場合に、作業管理部という、管理という名前がついておりますものですから、あるいは事務的な面だというふうな印象を多少与えるおそれがあるかもしれませんが、実態は、従来造幣局の本支局を通じての作業の技術的な統制管理、かような面がとかく希薄だと思われる面があったわけでございます。従いまして、その面を担当する技術者をもって構成する作業管理部ができて参ったわけでございます。そうして、その中に従来の研究機能を吸収していこうというわけでございます。従いまして、御疑問になさっていらっしゃるような技術面の研究、かような面につきまして、従来よりおろそかにするというようなおそれはない、むしろ、作業の実態に即応した研究が、基礎的な研究と並行して行なわれて参るのではなかろうか、かように私は考えておる次第でございます。
  86. 堀昌雄

    堀委員 どうもそこでよくわからないのですが、これは官房長、作業管理部ができたら、造幣局定員がふえるのですか。
  87. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 機構改革をいたしましたけれども、この関係においては増員をいたしておりません。
  88. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、今の局長の話ではちょっと納得できないですね。機構改革をして作業管理に非常に即応したことをやるようになる。定員がふえてくるならやれるでしょうね。しかし、これは定員をふやさないのだったら、結局あなたのお話によれば、新しい仕事をやるように希望しておられるようですね。新しい仕事を希望する、これまでのもやるということになるなら、これは労働が過重になるか、過重にならないようにやればこれまでのものを減らすか、そういうことになるのじゃないですか。機構をさわる場合に、私がちょっと心配なのは、前段で触れた証券部新設なんというのは、ただあるやつをまとめて一つワクをかけるだけだと思うのですが、研究所をあるものをなくするということは、これはちょっとそれとは性格が違う。だから、研究所をなくしてこの中に吸収をしたら、おそらく施設の関係はどうなるのかわかりませんが、当然やはりこれまでの業務をやっておるなら話がわかるけれども、新たな業務をやってもらいたいということになるなら、これは人員が増加するなら話はわかりますが、同じ人間の格好でやるということになると、どこか抜けるのではないですか。そんなにうまいこと、これはあなたの御希望のようにいきますか。
  89. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  この方面の改正理由といたしまして定員の増加はいたしておりません。しかしながら、新設される作業管理部、製造部、研究所、これを込めて考えてみますると、技術官の定員、これにつきましてはほとんど増減がございません。研究所だけを取り出してみますると、従来の研究担当職員が若干減る形になることは事実でございます。しかしながら、そのかわりに、それを受けて新設される作業管理部の各課、具体的に申しますると、技術課、企画課、施設課、これはいずれも技術の担当の面でございます。そうして従来の研究所のうち、基本的な研究をやっておる人は別にいたしまして、むしろ実際の作業と密接な関係を持ってしかるべき人たち、かような人たちは、技術課なり施設課の方に配置されるという格好になるわけでございます。そして、それを作業管理部長が統制して参るわけでございまするから、従来に比較いたしまして、研究能力が減るということはないものと信じておる次第でございます。
  90. 堀昌雄

    堀委員 どうも納得できないのです。今のお話だと、研究所にいたのが十四人ですね。そうすると、あなたさっき研究職として残る者の人数は減るとおっしゃいましたね。どのくらいに減るのですか、また、減った者は、今あなたのおっしゃったのでは、技術課とか企画課に行くそうですが、技術者だって行政的なことでもやれるし、企画でもやれるでしょう。しかし、私が言っているのは、そのことじゃなくて、研究というのは、いわゆる経済学や法律学の研究じゃなくて、この研究というのは、化学的研究といいますか、そういう式の冶金の問題とか、いろいろそういうようなきわめて化学的な研究になっているわけですね。それが一体技術課や企画課や何かに分散して、そんなところで研究をやれますか。それで、これは大阪造幣局でしょうから、私、近くだから、実施されてからちょいちょい見にいきますが、あなた今そういうふうにおっしゃるけれども、私は、こういうことをやったら基礎的な研究は低下すると思う。これまで研究していた量から見ても、いろいろな点から見て、これは縮小になると思う。あなたは縮小にならぬと言うが、私は現実になると思うのです。人間が減るし、研究所というものがなくなるのですから、私は減ると思うのですが、あなたここで減らないという保証ができますか。
  91. 竹村忠一

    ○竹村説明員 先ほど申しましたように、研究所の首脳は研究所長、それから研究官が三名であったのでございます。今度の改正によりまして、研究所長は作業管理部長か製造部長に回るわけでございまするが、この関係で一名減ります。それから研究官は、三名のうち、一名がやはり技術関係の課長になりまして、残り二名になります。それから技術関係の各課、ことに技術課につきましては、具体的に各工場の実態を見まして、そして問題をつかまえてきて、技術的な研究に専念する、かように考えております。従いまして、御懸念のような基礎的な研究が減るということはあまりない、むしろ、実態に即応した、現場の中で解決を要すべき技術的な面の研究が進んでいく、かように考えている次第であります。
  92. 堀昌雄

    堀委員 私はここで何も言質をとろうということじゃないのですが、やはり今後の科学の発展ということの中では、基礎的な研究をないがしろにしたのではいけないということを言いたいわけです。貨幣は今の状態でいいのかどうか、私まだ問題があると思いますし、今後貨幣の問題はいろいろ検討されなければならぬ問題だと思います。その点にちょっと不安があるから申しておるのであって、これは実態の上で、過去におけるそういう作業が十分やれるということならいいのですが、私に言わせるならば、縮小するのじゃなくて、ふえる方向へいってあたりまえじゃないかと思うのです。科学技術の進歩なんですからね。それがあなたのお話では、現状は何とかいくだろうということは、全体の流れの中では減ったと同じ格好になりはしないかという点に不安があるわけです。しかし、その点は大蔵省として、ここへあなた方もう研究所をやめると出してしまったのだから、今さら置くわけにいかないけれども、実態の上では、一つそういう科学技術尊重の精神というものを一本打ち立てておいてもらいたいということを強く要望いたしておきます。  最後に、ちょっとそれに関連して、一円硬貨が、私一昨年でしたか、非常に回収が悪くて、大阪造幣局で作っても作っても足りない、そして一円の硬貨を作るのに一円以上かかる——矛盾した話ですね。そういうことになっているということを聞いたのですが、一円硬貨問題の最近の状況はどうですか。
  93. 竹村忠一

    ○竹村説明員 まず、数量の点から申し上げます。依然といたしまして、やや不足ぎみのようでございます。もちろん、私どもといたしましては、極力増産に努めておるわけでございまして、三十六年度におきましては約四億五千万枚であったものを、三十七年度では六億枚にふやしたいという計画を持っておる次第でございます。それにいたしましても、一円はどっちかと申しますと非常に退蔵される。退蔵というよりは、むしろ、あるいは消費されると言った方が近いかもしれませんが、そのような性格をだんだん強く帯びつつあるようでございます。従いまして、今後かなり一円については数多く作っていかなければいかぬというふうに考えております。  それから、それを増産するための手段といたしましては、昭和三十六年度を起点といたしまして、三カ年で造幣局の製造能力を五割アップするような施設の改善をやっておるわけでございます。それが一つ。もう一つは、これは若干技術の問題とも関係しておるわけでございますが、従来は、一円につきましても、アルミの金属を買って参りまして、私のところで板にいたしまして、製品を作ったわけでございまするが、昨年度におきましては、板を外部から購入するということをやっております。そして三十七年度におきましては、板をまるく打ち抜いて——私どもは円形と称しておりますが、円形の段階で四億枚程度を購入したい、さような措置を講ずることによりまして、できるだけ職員の労務を少なくしながら、しかも増産をはかりたいというふうに考えております。  それから、一回出しました一円の還流と申しまするか、流通性の増大につきましては、たとえば一円貨に日を当てようというような運動をいたしまして、主として子供銀行を通じまして返って参りますように運動をやっておりますとか、また、金融機関にお願いいたしまして、できるだけ返ってくるように協力してもらうという措置を講じておるような状況でございます。  その次は、一円の原価の問題でございます。当初一円を発行いたしますときは、もちろん、一円以内でできますという計算であったわけでございますが、その後若干物価も上がりますし、賃金ベースも上がりました関係上、一円を越すような現状になっております。ただ、製造原価は、申すまでもございませんが、一つは製造する枚数の問題にもかかります。そしてまた一つは、それを製造するための施設をどうするか、施設の改善によってコストの下がって参ります面もございます。従いまして、私どもといたしましては、さような方策を講じながら、できるだけ一円以下の金額におさまるように、極力努力を続けているような段階でございます。
  94. 堀昌雄

    堀委員 今の製造原価は幾らですか。
  95. 竹村忠一

    ○竹村説明員 三十五年度の数字でございますが、一円十三銭五厘ということになっております。
  96. 堀昌雄

    堀委員 何枚三十五年度に発行しましたか。
  97. 竹村忠一

    ○竹村説明員 三億二千万枚でございます。
  98. 堀昌雄

    堀委員 三億二千万枚に十三銭五厘をちょっとかげて下さい。幾らくらいになりますか。
  99. 竹村忠一

    ○竹村説明員 四千三百二十万円でございます。
  100. 堀昌雄

    堀委員 銀行局も帰って、いないようですから、私一つ提案があるのです。どんどん作って、あなたは消費すると言ったけれども、まさに毎年何億枚もの一円硬貨を作るというのは、私きわめて問題があると思うのです。そして今おっしゃるように、何千万円かの金が、一円のものを作るために一円以上の金が出る、これはまさにナンセンスだ。そこで、大臣が来られたので、最後に、私一つ提案をするのですが、それは非常におもしろい提案なので、あなた来年度研究してもらいたい。  一円硬貨が、御承知のようにあっちこっちたまって還流しないでしょう。還流するために、一円硬貨を持ってきて預金をした、その一円預金というものを作って、これに利子をうんとつけてやってもらいたい。一円預金だけは年に一割とか、これは低金利政策に関係ない一円なんだから……。そうすれば、みな家にある一円を持っていって——これは一円預金、特定預金だから、ほかの十円、百円を持ってきてはだめ、一円で持ってきた分だけの預金についてたくさん利子を上げましょう。そうすると、子供たちもおかみさんも、一円をちょっとためておいて預金すれば、利子がふえて普通の預金より値打がある。こうやって一円を回収する手はないかと思いますが、大臣どうですか、この発想は。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、今いわゆる子供銀行というものが普及して、各学校にあって非常に成績を上げていますので、子供銀行へ子供が家庭から一円をみんな持ってきてもらう、一円で百枚持ってきたら、たとえば鉛筆とかなんとかというものを子供に出して集めることが一番いいんではないかというようなことを考えておりますが、あなたのお考えのようなそういう構想は、何かここで考えたいと思っています。
  102. 堀昌雄

    堀委員 今の子供預金ですか、学校の預金ですか、これでものをやったりすることは、私どうも適切でないと思うのです。なぜかというと、一円を持っていけない者もありますから、そういうことは適切でないから、やはりこれは金融機関に扱わせたい。だって子供がいない家だったら、これはだめですよ。小学校の生徒のいる家庭というのは、全体で見ると大体三分の一くらいしかない。あとは小学校の子供がいないですからね。そういうところでもたまりますから、やはり奥さんでも子供でも、けっこうみんな家族でためて、一円を銀行へ持っていって、一円預金をする。これは今四千万というむだな費用を使っておる。一円を作るために一円以上使っておるのです。そう  いうことは、私はむだだと思うのです。だから、これは宿題として、大蔵大臣、来年の通常国会までに法案を整備していただきたい。これを要望して、私の質問を終わります。
  103. 中島茂喜

    中島委員長 田口誠治君。
  104. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣がお見えになったので、わが党の石山委員から暫定手当の問題等質問を申し上げることになっておりますが、今所用でちょっと出ておりますので、それまで私がその他の問題も含めて御質問をいたしたいと思います。  そこで、せっかく大臣がお見えになったので、ここで大臣一つだけお伺いをしたいと思います。年間の予算の編成というようなものについては、大蔵省としては一つの権限も力も持っておられるわけなんですが、実際的には、予算がきまったあとで各省が実施に移す場合も、干渉されておるという面があるわけなんです。それで、僕らが考えてみますに、各省の行政にまで大蔵省がタッチをするということは、これは権限外のことであるし、不当な干渉だと思うのですが、その点について実際を承りたいと思うのです。この点については、場合によりましては、各省が大蔵省に相談をしなければちょっと工合悪いというように逃げを打つために、そうした口実を使っておるのかもわかりませんので、この点を明確にしていただきたいと思います。
  105. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは、私は一がいに言える問題ではないのじゃないかと思います。予算編成のときを見ましても、具体的な施策の積み上げで、予算はこの施策は認めようというようなことで、各省と財政当局の話がついて予算を盛るというものは、最初から積み上げではっきりしておる問題もございますし、そうでなくて、年次計画のようなものは、第何年次になるからどれだけの予算という大ざっぱな予算折衝で、具体的な問題は、このあとで各省でこれをきめるというような形できまる予算もございますし、それぞれに従ってやっておるのでございますから、どうしても財政当局が入って執行の場合に相談にあずからなければならぬものと、そうでなくて、一切実施はその官庁にまかせるというような形のものもございますので、これは一がいには言えないだろうと思います。きめるときの性質によるものでございます。ですから、財政官庁が入ってやりづらい問題も出るでしょうし、必要によって各官庁が大蔵省をむしろ種に使って、このことの折衝がむずかしいからといって、事実上断わる問題であるでしょうが、私どもの方は、予算の決定後各官庁の行政にそう不当な干渉をしておるというような問題はあまりないのじゃないかと思っております。
  106. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣の御答弁の中でわかる面もございますが、相当乱用されておるのじゃないかと思います。今御答弁にありましたような年次計画のもの、そうして相当大きな予算を要するものは、これはやはり途中で大蔵省と相談をしなければならぬものもあるのであります。それから起債に関係するようなものも、これはやはり相談しなければならないと思うのですが、そうしたものでなしに、まず今のところでは、ほとんどのものが、とにかく大蔵省ともう一度相談をしてとか、折衝をしてとか、こういうような口実のもとに、なかなか作業がスムーズにいっておらぬというのは事実あるわけです。何百億というような予算でなくて、わずか十億とか十五億というような問題にもそういうケースがあるわけです。たとえて申しますなれば、防衛庁の民生安定の予算は、今年は十五億六千万円、それだけ取ってあるわけなんですが、この予算は、ほとんど防音装置の関係で使用される予算であるわけです。こういうような小さなものでも、やはりまず鉄筋コンクリートで校舎を建てた上で、防音装置をするものの内容が決定されなければ、他の方の学校には手がつかぬとか、そういう決定がなされた場合に、大蔵省の了解を得てでないと手がつかぬとかいうことで、こまかいものまで大蔵省と相談をしなければならないというような口実のもとに、これは各省ともそういうことがあり得るわけなんです。従って、私どもから見ますると、逃げを打つための口実に利用しておるとも考えられますけれども、ここで明確にしておきたいのは、大蔵省としては、やはり途中でそういった相談にあづからなくてはならないようなものはどういうようなものがあるのかということ、そこで、これがまとめて御答弁いただければ答弁をいただいて、私どももそれを確認の上で、これからいろいろな折衝をいたしたいと思うわけです。ただいま申しましたように、また、大臣からも御答弁のありましたように、年次計画で相当多額の予算を要するものとか、あるいは起債に関係するものとか、こういうものは大体常識的にわかると思いまするけれども、その他のものとしてはどういうようなものがあるのか、まとめて御答弁いただければ一つ御答弁いただきたいと思うわけであります。相当乱用されますから、ちょっと確認しておかないと……。
  107. 水田三喜男

    水田国務大臣 あとで専門家が答弁いたしますが、私の見ているところでは、これは各官庁にまかせていい問題がたくさんございます。そこで、問題が起こりますのは、ちょうど内閣に法制局というものがございまして、各省の立法も一応法制局を通さなければ政府提案にはならないことになっています。と申しますのは、一つの条文を書きましても、この条文が、国の他の法律上どこに抵触する問題があるかというような問題を統一してやらないと、これは立法もばらばらになってしまうというようなことから、いかなる法律の字句の一字々々についてまでも、法制局が審査するという方法をとっておりますが、今の大蔵省の仕事、財政当局の仕事は、これに似たところがございまして、予算がきまっておっても、その執行の仕方によって、一つの省がやることが、他の省との行政の不均衡を起こしてしまう。この省でこの問題についてはこういうやり方をしているが、一方はこうするといったら、この財政がまたばらばらになってしまいますので、そういうために、各省の施策をそろえるという財政上の仕事も相当多いので、この面からくる問題も非常に多いだろうと思います。たとえば、基地問題の解決でしばしば私どもが経験していることでございますが、一億円の金なら一億円の金を出してくれれば、これで全部の問題が済むということになった場合でも、その内容が、たとえば畜産についてこういうふうな金の出し方をしてくれといって、金額はその範囲でありましても、その出し方を勝手にやるということになりますと、農林省の他の畜産行政と全部衝突して、もしそういう方法をやるのなら、この地方はこういうふうなやり方をすべきだというふうに、一ついじることによって、全部農林行政の過去の筋がみな変わってくる。だから、そういう金の出し方は困るということが、農林省からくるというような問題がしばしばございます。各省もそうであって、従って、防衛庁なら防衛庁に基地問題の解決をまかせたというような場合にも、防衛庁がきまった予算の範囲内でこれをやったらまかせていいかというと、そういうものじゃございません。各省も入るし、特に財政当局は入って、こういう出し方をしたら、ほかの予算執行のこういう点に抵触して、こういう問題を起こすというようなものを全部見て、問題のない出し方をしなければならぬということがございますので、大蔵省は、ひとり主計局だけではなくて、そういう問題の調整をとる法規課という、法規についての特に大きい課を持っているというような事情もございまして、予算額がきまってから執行については一切まかせるという方向をとれない問題が、非常に多いというのが実情でございます。その範囲においてはことごとく関係することになるのがやはり実情でございまして、できるだけ各省にまかせても問題のない問題は全部まかせますが、そういう予算の執行の仕方において、各省間の統制をとる必要のある問題についてだけは、やはり財政当局が関与しないと策がばらばらになるというむずかしい問題がございますので、そういう点においては、相当こまかいところまで財政当局が関係するということになるのは、やはり私はやむを得ないことじゃなかろうかと思っております。
  108. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 問題が非常に広範で複雑でございますから、十分御答弁できるかどうかわかりませんが、今大臣が申し上げたことに尽きるのだろうと私たちも思っております。外部からごらんになりますと、ずいぶんこまかいことについて大蔵省が小うるさいことを言っておるという御感触をお持ちだろうと私たちも実は察しておりますが、具体的に財政の担当者の立場になってやっておりますと、第一には予算の編成の段階でございますが、予算の編成をいたしまして国会の議決を経るわけでありますが、その際に、すべてのこまかいことまですっかり内容をきめて、そうして予算が議決になるものと、それからいわば大体のワクはきまるけれども、その中身については、予算を実行する段階において大蔵省とまた相談の上やりましょうという約束のもとに編成されるもの、いろいろあるわけであります。特に、たとえば公共事業費あるいは官庁営繕費、その他主として施設系統の経費でございますが、これにつきましては、当初から財政法でも予定しておるわけでございますが、ワクをきめて、なお、いわゆる実施計画というものをさらに予算ができた後において各省が作りまして、それを大蔵省と相談の上でもってきめて参るというふうに、編成の段階において、この実行をすでに大蔵省と相談の上でやることが予定せられておるものもございます。  それからまた、何分にも予算でございまして、相当事情の変化が出て参りますと、各省において必ずしも予測したような事態ばかりでなくなるということもございますし、単価におきましても、あるいは設計等におきましても、いろいろと変わってくる場合がございます。それも全体の予算のワクの中で比較的支障なくできるものはよろしいのでありますが、ただいま大臣からも申し上げましたように、その一つにケースそのものとしての金額は大したことはございませんけれども、それをもしも各省ばらばらで実行されることになりますと、結局ほかの省もそういうことを当然としてやって参ることになって、非常に波及をする。その結果、相当の政策負担を生ずるおそれがあるという性質のものもございます。だれでも木造よりは鉄筋がよいということで、各省としてはそれぞれの理想を持っておられますからして、財政当局の議論さえなければ、できるだけ勝手にやる場合も考えられるわけであります。  それから同じ金額のワクの中でも、非常に質のいい、単価の高いものをやりたい、これも各省の立場からすれば当然なのであります。これらは、当初予算単価として予定せられたものより、実行単価が非常に高くなる。そうすれば、今度はその年度は、その単価の高くなった分だけ、同じ金額でありますれば、分量を圧縮するわけでありますが、しかし、翌年度においては、結局分量を前年の予算と同じ分量を確保するためには、相当の増額をもたらすということで、結局将来にわたる財政負担を相当かぶってくるおそれのあるような実行の仕方も出てくるわけであります。  いずれにいたしましても、大蔵省といたしましては、何といっても、その年の財政負担並びに長い将来における財政負担ということを常に頭に置いて、予算の編成あるいは執行をやっておるわけであります。財政法におきましても、御存じのように、あくまで予算の執行の責任は各省の大臣が背負う建前になっておりますが、しかし、その重要なことは大蔵大臣に相談するという建前になっておりますし、また、各省がやりました結果につきまして、大蔵省は、財政法によりまして、会計検査院がやる以前において、いわば事前指導と申しますか、監査をやる権限も与えられておるわけであります。そういうことで、いろいろなところに大蔵省の名が出、かつ、事実上意見を申し述べることが多いわけでありますが、率直に申し上げますと、最近のように非常に関係案件というものが多くなって参りますと、大蔵省が、実際問題といたしましても、そうこまかいことにタッチをするということが、だんだん現在のスタッフの能力ではできなくなりつつあります。十年前と比べまして、さらにまた、その前の年と比較しましても、最近においては、そういう点について、大蔵当局としても、いわゆるできるだけ必要のないことには口を出さないという気持でやっておることも事実でございます。
  109. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私の質問申し上げておることは、財政法上の面から大蔵省が各省へタッチしなければならない内容は、およそわかっておりまするが、その法文から解釈をして、相当にはみ出たものまでタッチをされているじゃないか、こういうように察知できるので、ただいまのような質問をいたしておるのであります。ただいまの御回答からいきますると、予算の大ワクは決定になっておりましても、事業実施計画というものを各省で立て、これは大蔵省の了解を得るということになりますと、大蔵省へ持っていかなくとも省の責任で実施に移せるものは、きわめて小範囲になると思うのです。そういうことが、財政法上からいきまして、はみ出たものが干渉というような形に現在相なっておるんじゃないか、こういうように考えましての質問でございまするが、逆に今の御答弁からいきまする、各省の責任においてやり得るものといったらほとんどないと考えられるのですが、たとえば二、三でよろしいけれども、どういうようなものならいいのですか。
  110. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 私の言葉が足らなかったのではないかと思いますが、こういうふうに御説明したつもりでございます。公共事業でございますとか、官庁営繕でございますとか、主として施設関係でございますが、これにつきましては、予算ができ上がりましてから、実施計画というものを各省が作りまして、それを大蔵大臣のところへ持ってきて承認を求めるという手続に財政法の上でなっておるということを申し上げたのであります。そこで、そういう政令で特定せられました以外のものにつきましては、もちろん、特定の予算を議決を受けましたら、その実行は、各省の大臣が十分そのお考えに従っておやり願ってよろしいという建前になっております。たとえて言えば、経費はすべて予算に盛っておりますので、今申し上げましたような特殊なもの以外は、すべて各省の大臣がその責任においておやりになっておるものが大部分になっております。あべこべの印象をお与えしましたが、そういうことでございます。
  111. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私、この問題について実証をあげてそれぞれ御質問いたしたいと思いますけれども、本会議までにまだ石山先生質問されることになっておりますので、私は、この問題についてはもうこれ以上質問いたしませんが、直接あなたのところへおじやまをして、そのつど伺う場合もありますので。その点よろしくお願いしたいと思います。  時間の関係上、次に移ります。次の問題は、現在各事業所において社内貯金が相当なされておるのでございまするが、この問題につきましては、私は予算の分科会でもちょっと触れましたけれども銀行局長との意見の相違が、時間的な関係でまとめることができなかったので、この機会にお伺いをいたしたいと思うのですが、御承知通り、社内貯金というものは、戦前の貯蓄奨励のときに、町内貯金も含めて社内貯金というものが奨励されて、何の法律に基づいてということでなしに、とにかく何でも貯金をさせればいいというので、町内貯金というようなところまで発展をしていったわけなんです。従って、そのときに、この社内貯金が始まったと記憶いたしておるのですが、こういうような野放しな預かり金の方法をとって参りましてたために、いろいろ法に基づかないところのやみ金融者が続出いたしまして、大きな問題になりましたのは、昭和二十七年でしたが、八年でしたか、保全経済会のあの不正事件が大きな問題となり、これが多数の国民に迷惑をかけた。こういうことから、政府の方といたしましても、何とかこうしたやみ金融の取り締まりを行なわなければならないというので、昭和二十九年六月二十三日、これは法百九十五号でございますが、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律ができまして、やみ金融の取り締まりを行なうことになって、今日に立ち至っておるわけです。そこで、この社内貯金というものは、やみ金融の取締法の法文を見ますと、違反になるのじゃないか、私はこういうように考えるわけなんです。もちろん、貯蓄組合法ができておりますので、これを適用いたしました場合には、これは法違反ということにはなりませんけれども、これを適用せずに、戦前ながらのあのやり方で社内貯金を行なっておるものは、この出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律に違反をしておるのじゃないか、こういうように考えられるわけなんです。それと申しますのは、この法律の内容を見ますと、質屋が質法に基づいてやっておりますと同様に、ほかの法律に定められておるものはよろしいといたしましても、ほかの法律で定められておらないものは、何人といえども、業として預かり金を行なってはならないんだ、こういうのがこの法律の内容になっておるのですから、やはり社内貯金というものは、別段ほかに直接の金融の法律というものがないわけでございますので、従って私が判断いたしますれば、業としてはならないということですが、しからば、社内貯金というものは業であるかどうかということなんです。それで、この業というものの解釈は、反復継続式のものを業という、こういうことになっております。社内貯金を見ますれば、今月も来月も再来月も、同じような金額を預金しておるのですから、これは反復継続式のものであるから、やはりこれは業である。業であるということになれば、いかなるものといえども、ほかの法律に定めのないものは、この法律の違反になる、こういうことになるわけでございますので、やはりこの点を明確にしていただきたいと思います。国民貯蓄組合法に基づくものはよろしいということなんです。国民貯蓄組合法によらない方法で社内貯金をしておるものは、やはりこの取締法に違反をすることになるので、この点の指導をやはり大蔵省としてもしていただかなくてはならないと思いますので、この点について明確な御回答をいただきたいと思います。
  112. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 ただいまのいわゆる社内預金でございますが、この社内預金と、先ほど先生指摘になりました出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律、この関係がいかなることに相なるかという点でございます。この点につきましては、いわゆる他の法律に特別の規定があるかないかということが、この法律の第二条で問題になるわけでございますが、この点につきましては、いわゆる社内預金というものの法的根拠といたしまして、労働基準法がございます。御承知のように、労働基準法の第十八条におきまして、社内預金に関する規定を設けておるわけであります。これが第一点。  さらに申しますれば、いわゆる出資の受け入れ等に関します取り締まりの法律でいいますところのものは、不特定かつ多数の人から受け入れるということでございます。社内預金につきましては、ただいま申しましたように、労働基準法に規定を設けられておりますのみならず、これはいわゆる使用者と従業員との間における特定の契約に基づく預金の受け入れ、かようなことになって参りますものですから、いわゆる不特定多数ということにはならないといったようなこと、また、出資の受け入れに関する取り締まりの法律の、何人も預金の受け入れをしてはならぬというものには該当しないという解釈でございます。ただいま先生から、貯蓄組合法に入っておれば合法性を取得するのではないかというお話がございましたが、この点につきましては、貯蓄組合法の適用を受けて預金のあっせんをするということは、必ずしも本質的な問題ではない、かように考えております。
  113. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 貯蓄組合法によるところの貯蓄組合を作って、そして社内貯金を行なう場合は、これは貯蓄組合法の二条に明確に出されておるから、私はこういう法律の出し方そのものについては疑義はありますけれども、現在法文化されておるのですから、これは違法ではない、適法だ、こういうように私は申し上げておるのです。ただし、そうでない場合には、今の御回答では、労働基準法の十八条に基づいてよろしいんだ、こういうことなんです。この十八条の問題は、これは強制貯金を禁止させるという条項であるわけです。それと申しますのは、戦前からありましたところの社内貯金を行なった場合に、その後会社が倒産したりして、預金をしておった従業員が損をしたという例もございますし、また、預金をして一おっても、出そうと思ったときに、会社に金がなくて預金をおろさせてくれないというような不便さもあったわけです。こういうようなことではいけないので、労働基準法そのものはやはり労働者の保護立法でありますから、この保護立法の中に強制貯金の一つの規制が載せられておるわけなんです。それで、この労働基準法の十八条を読んでいけばわかりますように、社内貯金を行なう場合には、預金者が金をおろそうとしたときには、すぐおろしてやらなくてはならないんだ、もしおろしてやらないような行為を行なった場合には、その預金に対しては中止を命ずるんだということ、それから預かる金につきましても、少なうても年六分の利子をつげなければならないんだ、こういうように、これは労働者を保護するところの一つ保護立法であるわけなんです。従って、このやみ金融の取締法というのは、労働基準法のできたあとにできた法律でありまして、それで、戦前からの慣行でやっておったものを、労働者を保護するために、労働基準法の十八条が設けられておるわけなんです。従って、十八条が設けられておるけれども昭和二十九年にこのやみ金融の取締法ができましたために、今まで行なっておったところの社内貯金というのは、金融関係の法律には別に定めがないわけなんです。ただ、保護立法に、そうした金融関係のことが労働者を保護するためにできておるのであって、金融関係の法律には全然ないわけなんです。それで、ここに、ほかに法律で定めのないものについては、業としては何人もやってはならないという、このことは、そとの方の法律でいろいろな法文があるといって、それで合法的であるというような解釈は、これは間違っておるわけなんです。あくまでも金融関係は、やはり金融諸法律の中に規定されておらなければならないわけなんです。ところが、その諸法律に規定されておるものは、ただ国民貯蓄組合法、これがあるだけでありまして、従って、この国民貯蓄組合法によるところの貯蓄組合を作って預金をする場合には、これは適法であるけれども、そうでなかったら、これは適法でないということなんです。あなたの今の御答弁は、専門家としてはまことに不得要領の答弁だろうと思うのですが、なお一度その点についてわかるようにお聞かせを願いたいと思うのです。
  114. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 ただいま先生が御指摘になりましたように、労働基準法第十八条の規定、これは強制貯蓄の禁止の規定である、これはまさに御指摘通りでございます。と同時に、いわゆる多年慣行として労使の間に行なわれておりました、こういった社内預け金というものについて、労働者の保護を行なうということをねらったものであることも、これまた御指摘通りでございます。私どもも、その点については、全く先生と同じ解釈をいたしておるわけでございます。ただ、ここで問題になりますのは、いわゆる出資の預かり金の方の法律の第二条の解釈でございます。これは、先生は、いわゆる他の法律とは金融法規でなければならぬのではないか、かようなお話かと存ずるのでございますが、これにつきましては、必ずしもそう狭義に解することはないのではないか。もちろん、金融法規という形で参りますことが、事の性質上いわゆる第一の筋道と、かように考えるわけでございますけれども、さればといって、それ以外の法令の根拠をすべてこれが排除しておるというふうに解するのは、いささか解釈を狭くし過ぎるおそれはないかどうか、かように実は私ども考えるわけでございます。この第二条の解釈につきましては、先生指摘のように、実はやはりいろいろ問題はございます。そこで、私どもといたしましては、かねがねこの法律の主管省でございますところの法務省との間に十分意見の交換をいたしまして、今日におきましては、政府部内における解釈は、ただいま私が申し上げましたような点において統一をいたしておりまして、この法律施行以来、終始一貫実はそのような取り扱いをいたしておるわけでございます。  さらにつけ加えて申しますならば、現在勤務先預け金は、いわゆる国民貯蓄組合法上におけるいわゆる職域貯蓄組合ということになっておるわけでございます。今回の法律改正におきましても、引き続き職域貯蓄組合ということで取り扱われて参ることになっております。しかし、かりにそれでは将来貯蓄組合法の適用がはずされた場合には一体どういうことになるか、今の解釈で参りますと、貯蓄組合法の対象外になるとすれば、直ちにこれは預かり金の法律違反であるから違法である、こういうことに結論としてはなるわけでございましょう。それは実際問題として必ずしも現実に合わない。これは法律論と同時に、実際論としても、そこにむずかしい問題が起こってくると思います。私どもは、国民貯蓄組合法の規定、これはもちろん先生指摘のように、さらにこの合法性を強める意味において力を持つということは、おっしゃる通りと思いますけれども、それがなくては成り立たないものだというふうには実は考えておりません。それは、もしそう考えるといたしますと、出資の預かり金の第二条の解釈を非常に狭く限定することになりはしないか、かように実は考えている次第であります。
  115. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 やみ金融取り締まりの法律はできておりましても、従来の慣行で行なっているものは、拡大解釈で認めていく必要がある、こういうことなんですか。これは社内貯金によらず、慣行を認めていくという方針というものは、拡大解釈していってよろしいのですか、どうなんですか。
  116. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 私の先ほどの御説明、ちょっと言葉が足りませんでしたが、例の保全経済会の問題、これが非常な混乱を起こして、出資の預かり金の法律を生むに至った動機でございますが、その当時は、もう先生先刻御承知のように、例の匿名組合という形をとりまして、実際に金を預かっておったわけであります。従って、匿名組合によるわけでございますので、その預かり金についての規制というものは、何ら当初から法律が予定しておりません。そういう法の盲点をついて保全経済会がやっておったわけであります。そういうものはこの法律によって厳重に排除しなければならぬ。一方、それでは勤務先預かり金の方はどうかと申しますと、これにつきましては、先ほど来先生も御指摘のように、労働者保護のための規定が設けられておりまして、預金を扱います場合には、従業員の組合があればその組合との間の契約、組合がない場合には従業員の過半数の同意があって、それと契約するということがありまして、しかも、その契約するだけでなしに、それを主務大臣に届け出なければならぬ、また、実際に預かり金をやります場合には、その預かり金の管理規定をはっきりと設けなければならぬ、これを従業員に明示するように工場等に掲示しなければならぬ、さらに何か不始末などが起こるというようなおそれがあれば、監督官庁は随時その預金の管理中止命令を出すことができる、中止させた場合には、直ちにこれを返還させなければならぬというように、非常な預金管理に関する規定を設けているわけでございまして、そういうような状態のもとにおけるものは、これは保全経済会といったようなものとは本質的に様相を異にいたしているわけでございます。そういう状況でございますので、私は、ただ慣行なるがゆえに拡大解釈をするという意味では決してございませんで、はっきり法的根拠もあるので、預かり金の第二条の解釈上これは入って参ります。かように実は申し上げている次第でございます。
  117. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 二条の条文を何回読みかえて解釈しようと思っても、私は解釈できぬわけです。あなた解釈できるなら、この文句がこうなんだということをはっきり御答弁いただきたい。
  118. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 先ほど来るる申し上げておるわけでございますが、第二条「預り金の禁止」の規定の中に、「業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。」こういうことでございまして、他の法律に特別の規定があるかないかということが、一番のポイントであろうかと存じます。さらに付随的には、業としてやるかやらないかという問題ももちろんございますけれども、やはり一番大事な点は、他の法律の規定があるかないかで、それにつきましては、ここでは労働基準法第十八条の規定がございますということを申し上げておるわけであります。
  119. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その答弁はあいまいなんです。この第二条に、社内貯金を行なってもいいというように解釈される文句は全然入っておらないということなんです。それから基準法の十八条の場合は、この規定の前に社内貯金ができるのだという前提がなければならないわけなんです。この十八条の内容は、社内貯金ができた場合に、労働者を保護するために、この文句が羅列してあるのであって、その前に社内貯金ができるのかできぬのかということについては、この十八条には何ら関係がないわけなんです。従って、ほかに定めがないということが、これははっきりとないわけなんです。だから、この労働基準法の十八条は、あくまでも保護立法であって、預金ができるのだという前提のもとにこの法文はできておるのであって、できるかできないかということは、ただいま申しましたところの出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律によって判断しなくてはならないと思うのです。その判断は、第二条によってしなくてはならない。第二条は、特別に質屋に質屋法があるとか、こういう法律があるものはよろしいけれども、その他のものは、何人といえども業として行なってはならないのだということなんです。そうして業という解釈は、反覆継続式のものだということなんです。反覆継続式のものだということなら、社内貯金そっくりのものであって、これはやはりやってはならないのだということになるのだから、労働基準法の保護立法の中へ入る前に、やみ金融の取り締まり法の中に社内貯金が入るか入らないかということが問題であって、それで、この法文の中のどこでもいいが、解釈できるところがあれば、御説明を願いたいと思うのです。
  120. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 つまり、預かり金をするについてのいわゆる権能規定と申しますか、その受け入れについての権能を付与するような規定がないではないか、してみれば、これは二条に入らぬ、こういう御指摘かと思います。これにつきましては、御指摘のように、従来いろいろ論議のある点でございます。先生の御指摘も、まことにごもっともな点があると私どもも思うわけでございますが、それにつきまして、労働基準法の第十八条は、預かり金をするについてのいろいろな管理の規定を設けております。従いまして、おっしゃるような権能付与の規定を正面から出して書いてあるところは、御承知通り労働基準法に関する限りございません。ですけれども、権能を付与するものがないからといって、直ちに今の基準法十八条がここにいうところの他の法律に該当しないかどうか、つまり、預かり金の管理の規定を設け、主務大臣に対するいろいろな届け出の規定を設け、主務大臣の監督の規定を設けておるということは、これまた裏を返せば、そういう預かり金を法律が認めておるというふうにも解されるわけでございますが、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、従来いろいろの議論がございます。そこで、私どもも、この法律を制定いたしましたときに、法務省との間に十分論議を尽くしまして、論議の末、先ほど来私がお答え申し上げておるような解釈に、法務省と大蔵省の間で一致して、実は今日に及んでおるという状況でございます。
  121. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 もう少し頭を整理してもらいたいと思いますことは、労働基準法のできたのは、やみ金融の取り締まり法ができたよりずっと前なんですよ。これはなぜできたかといえば、私は繰り返しになってくどくなるから、あまり申し上げませんけれども、戦前から、貯蓄奨励で町内貯金を含めて社内貯金というものがなされておった。しかし、この社内貯金というものにかこつけて、経営者が一つ金融の策として、労働者から強制的に貯金をさせるような方法をとった。これが一つ、それから預金をした場合に、金が出したくても出せなかったというようなことがあったということが一つ、それから途中でその会社が破産をして、預金をした労働者が損をしたということが一つ、こういうようなことがあったから、それではいけないからというので、労働基準法によってそうした点を解消するために、この保護立法というものはできているのです。これはそういう経過から、ずっと前にできているのですよ。そのあとにやみ金融の取り締まり法というものが二十九年にできて、そうしてこの中の第二条には、別に法律で定めてないものは、業として何人もやってはならないのだ、業の解釈は反復継続式のものである、こういうことになっているから、以前からやっておったところの社内貯金というものは、このやみ金融取り締まり法の違反になるのだから、それで大蔵省としては、せっかくあとから改正されたところの国民貯蓄組合法を適用して、国民貯蓄組合法による貯蓄組合を作って、そうしてこの社内貯金をやらせるのなら合法であるけれども、そうでなかったら違法であるから、大蔵省としては、あくまでも国民貯蓄組合法を利用するように指導されるべきが当然であろうと私は思うのです。こういうような点は、労働省とも相談をしておやりにならなくてはならないと思うのです。あなたの言われるように、法文の文句には書いてないけれども、これを審議するときに、そういうようなことも何か判断の上においてこの法文を作ったのだと言われるが、そうだとするならば、どこかに解釈例規とか何かで、社内貯金というものに対する考え方が載せられておらなければならないのですけれども、そういうようなものは一切ありません。私はこれのできる当時の議事録も読みましたけれども、これは読み落としがあったかもわかりませんけれども、私の見た範囲では、そういう点に触れられておらないわけなんです。今のあなたの御答弁とは違うわけなんです。そういうことが事実ありますか。
  122. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 先ほど来申し上げておりますように、結局第二条の解釈の問題でございます。そこで、第二条の解釈として、ただいま申し上げておりますような労働基準法の規定というものが、入ってくるかこないかということでございまして、その点を法務省との間で十分相談の上で、法務省の解釈もこれは入るのだということを確定して、今日に至っているということも申し上げているわけでございます。
  123. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私は半までにやめてくれということであったから、これはちょっと結末はつきませんが、ただいまの御答弁からいきますと、どうしても今のいわゆる社内貯金そのものは、この取り締まり法の違反になる、これははっきりなるわけであります。ならぬとすれば、条文で何か私らに、これこれのことがあるからこれは違反にならないのだという説明があれば別ですけれども、そういう説明はないわけです。それからこの法律を作るときに審議は十分尽くされておると言われるけれども、私はその当時の議事録では見当たりません。従って、私は、これははっきりと違反になると思います。これはまたいつかの機会にやりますが、あなたの方としても、言えば言いっぱりで、何でもかんでも、理屈の通らぬことでも通そうとするような答弁はやはり通りません。それで、せっかく国民貯蓄組合法ができており、これに基づけばいいということになっておるのだから、この線で指導されることが私は正しいと思うのです。これがあるにもかかわらず、これに基づかないものでも、昔からの慣行だからいいのだとか、取締法のできる前の保護立法があるから、これにかこつけていいと言われるけれども、預金をしてもいいのか悪いのかということは、この保護立法の適用を受ける前の問題であるわけなんです。その前の問題は、やはり取締法の二条には明確になされておらぬということなんです。これははっきりしておるのですよ。あなたの方が幾ら言いっぱられても、これははっきりしておるのです。私は将来の宿題としておきますが、もう少しこういうような点は明確にしておいていただかなくてはならないと思います。今の労働基準法にあるような一つ保護的なものがほかにできれば、これはやはりやってもいいのだというような解釈が拡大されていくのだから、せっかくやみ金融の取締法を作って、やみ金融によって受ける被害から——これは国民の利益を擁護する一つの法律なんですから、この法律で完全に国民の利益が守られるような方向に持っていくのが、当局者の当然の義務であろうと思うし、それは当然のことであろうと思うのです。従って、そういうことから、私は宿題としておきますが、ただいまの回答では私は満足しません。ちょうど私の質問は半までという約束でございますから、中途で残念ですけれども、私の質問はこれで終わりたいと思います。またいつかの機会にこの継続をやりたいと思います。研究をしておいて下さい。
  124. 中島茂喜

    中島委員長 石山權作君。
  125. 石山權作

    ○石山委員 法案に関係のあるところになるべく触れておきたいと思いますが、最近の株の値下がりというものが、たとえば資本主義経済の実態をある面で表わしておるというふうになれば、池田内閣のもとにおける経済状態、経済指導、こういうようなものに甲乙丙と点数をつければ、一体どれに値するだろうか。皆さんは、おそらく来年の春くらいになればよくなるだろうといって、乙くらいつけられるかもしれぬ。しかし、そうではなくて、現在の場所に立って見た場合に、高度成長経済というものは、株価に現われた面では、どんな点数をつけたらよろしかろう、これを大臣にお聞きしたいのです。
  126. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、私どもは、今経済の伸び縮みに対して調整政策をとっておるところでございますので、この政策をとっておる過程におきましては、金融の引き締めという問題とからんで、株価への影響が時に応じて出てくることは当然のことでございまして、そういう意味から申しましたら、昨年の暮れにああいう措置をとった効果が、いろいろの面に今ちょうど出ておるときでございまして、生産の下がり方が少し少ないという点は見られますが、そのほかの問題では、大体私どもが予想した方向を今とっており、国際収支の問題も、現に、昨年は一カ月一億ドルずつの収支の赤字があったという状態も、ここで修正しまして、赤字幅はあれ以後毎月少なくなってきて、この三月には一応経常収支の均衡も見られたというところまで、国際収支は改善されてきておると思います。しかし、四月、五月以降の日本の輸入期に今入るときまでございますから、三月に国際収支が均衡したということをもって、これで完全に国際収支問題が解決したと思うことはまだ早いのでございまして、これはまだ安心できない問題もございますので、私どもは、引き続きこの問題を本格的な国際収支の改善という状態にまで持っていこうとしてのいろいろな施策をやっておりますから、こういう調整政策をとられておる間に、株価ひとりが暴騰するという事態こそが、むしろ不自然な事態だと思っておりますので、この今の状態は、調整過程における順調な一つの姿ではないかと思っております。
  127. 石山權作

    ○石山委員 順調ということは、甲だということになると思うのですが、私に点数をつけさせれば、乙の下だと言いたい。乙ですよ。よっほどやさしい先生でも、水田財政に対しては乙だ。なぜかというと、工場もたくさんお金をかけてできた。できたら八割生産でしょう。今株価が額面を割っておる工場は、全部操短をやっておるのです。それで甲と言えますか、順調と言えますか。十億をかけて八億しか稼働しなかったら、七億しか稼働しなかったら、あなた、順調などという言葉はおかしなものでしょう。  それからもう一つ、たとえば、外資導入をされる場合に、私たち社会党としてはいろいろ言っておりました。民族資本を守らなければならぬから、むぞうさに入れてはいかぬのじゃないか、こう言っておった。ところが、池田さん初め皆さんは、そんなけつの穴の小さいことを言うな、利用できるものはどんどん利用してもうけたらいいじゃないか、こうおっしゃっていた。しかし、どうなんでしょう、きのうきょうの新聞を見ますと、外資導入はもう規制をすると言っているのじゃないですか。交渉を事前に言わなければ許可をしないといったって、相手を見つけないで下相談もできないというふうじゃ、交渉にならぬでしょう。そういうふうな技術的な面があるだろうと思うけれども、規制をしてくる。特にけさの新聞になりますと、短期のものまで強く規制をすると言ってきていますね。規制をしなければならないという理由一つは何です。大体今の財界では、皆さんから規制されることはいやなんです。規制をしなければならないという段階にきている。それを考えたって、あなたの、甲をつけたい、順調だということは、規制をしないでやって、金融でも何でも自由にやっていけた場合は順調という言葉だ、こうなるわけです。あなたは、自由主義経済の本旨であるべき金の問題まで大蔵官僚が規制をしなければならない、しかも、交渉以前に了解を得なければ全部オミットしてしまうという、強い規制の仕方をしようとする。これはやはり甲じゃないですね。そういうやり方をしているところを見ると、言葉で甲だと言うけれども、現実は甲でないということなんだ。それははっきりしている。ただし、ここまできた原因は一体何かということになるだろうと思いますけれども、こういう話をしていると、きょうは時間がないから、私はできないので非常に残念ですけれども、これは強硬にやっていくというお考えでございましょうか。
  128. 水田三喜男

    水田国務大臣 きょう新聞に出ている問題は、外資の導入をとめることじゃございません。積極的に必要な外資はわれわれは入れようという方針には変わりございませんが、御承知のように、最近民間において外国に資本をあさる動きが非常に多くなりました。たとえば、ただ一つの会社であっても、Aの銀行に行って一千万ドル交渉し、Bへ行ってし、Cのところへ行ってまた同じことをやる。ずっと各国の金融機関を歩くという人が一人いますと、外国に対しては、日本が一千万ドルのことを交渉に行っていながら、何億ドルの資金あさりというものが日本で始まっているというような印象をみな与えて、日本経済の信用の問題についていろいろの問題が出てきましたので、そういう外資をとめようというのじゃなくて、そういう希望を持ったものは、こういうところへ行ってこういう交渉をしたいと思うがということを、あらかじめ役所と連絡の上行ってもらいたい。単独で勝手なことをしてもらうのは、今言った信用の問題から困るということを是正しようとしただけのことでございまして、必要な外資を入れるのをここでとめるとかいうような問題では一切ございません。
  129. 石山權作

    ○石山委員 外資をとめたら、外貨手持は非常に小さくなっていくだろうと思う。だから、どうせこれは外資導入をせざるを得ないだろうと思うのですが、あなたの御意見を聞いていると、日本の産業人、特に商社などと申すものは、非常に不道徳な者が多いというような印象を受けますよ。日本の産業人、特に外国に行くような大きな財力を持った業者が、いたずらに不道徳なことをやっているというように聞こえてなりません。しかし、いずれにしても大蔵当局としては、金融によってこの経済の過渡期を乗り切ろうとしていることには私は間違いがないと思う。金融によってこの過渡期を乗り切ろうとしているために受けている中小企業の被害というものが、大へん強くなってきているのです。それは大企業の場合は、何と申し上げても皆さん方の方で設備投資の規制をすれば、家を半分建ててやめるわけにはいきません。工場を建てれば、機械を入れなければならない。ドイツと発注契約を結んでおれば、それは輸入をしなければならぬのです。ですから、結局、これは中小企業へ支払うお金を引き延ばすという工作に出て今日まできたと思います。  ですから、中小企業の場合、最近こういう例があります。長い間の業者のつき合いであったために、荷物を受けないで前払いの小切手を切った。それは当然割引をされたわけですが、荷物が入らない。しかし、銀行としては、割引をされたから、支払い期日がきますと、要求をした。黙っていると、その商社はつぶれてしまうということになるでしょう。中小企業ですから、二千万かそれ以上の金になると、その中小企業はつぶれてしまいます。私は、何も金融の面にことさら触れることもないと思ったのですが、中小企業が今のような格好で倒産寸前になるのは、やはり高度成長経済の悪い面がそういうふうになって現われているのだろうと思います。たとえば、その商社は、何とかして更生をしたい、荷物が入らなかった、しかし約手は出した、期日がきた、なかなか払えない、しかしながら自分は、店をつぶせばそのままになってしまうわけなのですから、つぶしたくない、倒産したくない、だから、これは商工中金に、どうでしょう、三年払いぐらいでその金を落とすようにしてもらえないものだろうかという救済方を依頼しているわけなのです。そうしたら、商工中金ではなかなかむずかしいことを言って、担保を設定せよと言うそうです。商社ですから、担保はなかなかそれに該当しないかもしれません。しかし、銀行から借りることはできるわけです。しかし、銀行で貸しても、これはただで貸しておくわけにいかない。利子がつく。大臣は中小企業を育成するということを常日ごろ何べんもおっしゃっていたわけですが、これは今の資金調整のために、中小企業へ流れてくる親会社の金がとまって、そのために起きている一つのしわだと思います。こういうことに対して、自分の店をつぶさないで、倒産させないで、しかし、自分はお金を払うのだ、こういう誠意を持っている者の救済方法というものはないものでしょうか。それをお聞きしたいのです。
  130. 水田三喜男

    水田国務大臣 個々のケースを見ましたらいろいろあると思いますが、全般論としましては、この金融の引き締め対策というものにはいろいろ問題がございまして、設備投資を抑制するとか、内需を押えるという目的からの締め政策であります以上は、これは単に金融の引き締めだけでは達成できないものでございます。従って、その背後においてやはり強い行政指導をする必要がありまして、この方がむしろ有効だと考えています。昨年は、六月に民間の設備計画の吟味を私どもはやりましたが、これは少しおそかったと思いますので、今年はすでに通産省、大蔵省、日銀は今始めておりますが、まず行政指導によって、不急な設備を押えていくということをやる方が実際的でございますので、ことしは相当強力にこれをやるつもりでございます。昨年もこれをある程度やりました。もしそれをやらないで、すぐに金融の引き締めへ入った場合には、これは中小企業に金融のしわが寄ってしまうことははっきりしておりますし、三十二年の経験から見ましても、こういう点は顕著なことでございましたので、引き締め政策をとっても、大企業が力づくで資金を使うという状態を押えるだけの準備をしておかなければいけませんので、去年は引き締めの時期がおくれたようでございますが、実際は六月からずっとその仕事をやって、そうして一応の目回しをしてから金融引き締め政策をやりましたので、この点は比較的うまくいっていると思います。普通なら、中小企業と大企業の使う資金貸し出しの率が大きく変化するはずでございますが、私どもは、中小企業向けの資金量を落とさずに指導も事前に十分しましたので、あれだけの引き締め政策をやっても、御承知のように現在比率は落ちておりません。引き締め以前の比率を維持しておりますし、むしろ、中小企業部門への貸し出し率の方が多くなっている。しかも、中小企業専門の金融機関の貸し出しは、昨年の同期に比べたら三割、四割ふえておるというような状態でございまして、設備をやらない中小企業にこの設備抑制のしわを寄せないという配慮は十分にしておりますし、また、政府関係機関からも相当の追加融資をやっておりますので、今のところは、中小企業金融問題に関する限り、これは私どもが予想しておったよりも割合に順調に時期を切り抜けてきているのじゃないかと思います。倒産件数というようなものも、私どもは非常に気をつけておりますが、昭和三十四年、三十五年の景気のいいときの倒産件数よりも、統計ははっきり減っております。三十六年度は非常に少なくなっておる。不渡り手形の発生率も、去年までは一%以上の不渡り発生率を持っておりましたが、三十六年度はこれよりはるかに減って、〇・何%というふうに不渡り手形の発生率も落ちておるということで、これだけの金融引き締めをやったのに、現にそういう傾向が出ておるということ自身は、ある程度中小企業金融に私どもが骨を折ったことが現われているのじゃないかと思います。従って、一般の中小企業金融については、一−三月の危機は確かに切り抜けてきたと思いますが、問題は、むしろ大企業の金融にしわ寄せせられているというのが現状だと思います。これは設備投資を押えるということからきたらほんとうの姿でございますが、これがある程度今私はきついと思っておりますが、きついために、今度は大企業の系列下の中小企業への支払いというものが、あなたのおっしゃられるような傾向を今示してきていることは事実でございます。これに対する対策が、むしろ今の段階では必要になってきているのじゃないかというふうに見ておりますので、これは、私ども二月に日銀のオペレーションをやりましたし、そういうようなことによっての緩和も相当はかっております。四月の月は散超期でもございますので、情勢を見ていろいろやれば、何とか四月には金融の問題は起こさずに済むと思いますが、またそのあと揚超期に入ってきますので、そういうときには、今のような金融事情は、常にこの推移を見ながら必要な措置をとることによって、中小企業への支払い遅延という現象だけは避けたいと思います。大企業がこのごろ百八十日の、たとえば八幡製鉄、そういうところからの手形がそうなっているという御指摘も、国会で野党の委員の方々からいろいろ受けましたので、この点は私どもすぐに民間の調査をやりましたが、大企業がまだ百八十日の手形を出すというような事例はございませんし、この点については公取委員会にもお願いして、こういうものの監視を十分にしてもらいたいということで、政府部内でも協力してやっておりますが、まだそこまでにはいっておりません。そういう傾向は確かに今後見られると思いますので、この点は十分善処するつもりでおります。
  131. 石山權作

    ○石山委員 それはそれとして私は容認申し上げましょう。しかし、銀行局長にお願いした方がいいと思いますが、財務調査官でもいいです。現実に私がさっき例を引いて申し上げたことが進行しつつあると思います。しかも、日銀の総裁の御意見を聞きますと、六月以降でないと買いオペレーションはやらぬと言っている。そうしますと、その間五月、六月というふうな格好で、四月の末から五月というのは、中小企業にとってはかなりに深刻な問題が出る。さきにも申し上げましたように、旧来の商業道徳からして、荷が来なかったけれども、メーカーに手形を切った。しかし、そのままになって、決済の時期が来たために、どうしましても銀行に払わなければならぬ。その金がまず三千万円だと仮定して、中小企業が払わなければならない。しかも、荷物は一つも受け取らなかった。しかしながら、この商社は、自分り名が惜しいために、その手形をば自分で引き受けようとしているわけです。そうした場合に、三年間の分割払いをしたいと言っているが、商工中金ではかなりに強硬な御意見で、相当した担保がなければならないとか、いろんなことをその中小企業に言っているそうでございますが、そういう場合に、普通の商社であれば、手形を払わなければ会社は事実的につぶれるわけでしょう。不渡り手形を出せばつぶれてしまう現状なんだ。これは政策の一つ指導的な不備からつぶれてしまう。だから、その商社は善意を持って三年間かかって払うと言っている。荷物は一ぺんも来ておらないにかかわらず、払うと言っている。そういう善意のあるものに対して救済の方法が銀行にはないものか、そういうことをお聞きしているわけです。
  132. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 個別的な個々の取引の問題でございますので、そのときの信用力とか取引の状態とか、いろんな複雑な条件がございますから、一がいにただいまの御質問に対して、そのものずばりのお答えはなかなかむずかしいと思うわけでございますが、ただ、一般的に申せますことは、商工中金でございますと、短期の運転資金の融資というものが非常に多いわけでございます。一方、中小企業金融公庫というものが先生承知のようにございます。ここでは比較的長期設備資金、もしくは運転資金でも長いものということでございます。従いまして、それぞれ金融機関に特色を備え、それぞれバラエティを持ったものがいろいろございます。そのほか、相互銀行、信用金庫、その他中小金融のためのいわゆる専門的な金融機関というものは、決して商工中金だけではございません。でございますので、それらの各種の機関を十分に御利用いただくということで参る以外にないのではないか、かように考えております。
  133. 石山權作

    ○石山委員 その答弁じゃ救済の答弁にならぬと思う。救済の方法を探すことができないかというのですね。これで時間をつぶしては、暫定手当の話ができなくなるのでおきますが、そういうふうな善意を——その店をつぶせば払わぬで済むのですよ。それで第二会社を作ってやっていけばいい。だが、それじゃ商業道徳にもとるからというので、本人は一ぺんも品物を受け取らないにかかわらず、三千万円なら三千万円のお金を自分が払うと言っている。しかも、三年間かかって払うからと言っている。そういう場合には、銀行に対しても特別な低利の方法というものをやはり探し出す必要があるのではないか、めんどうを見てあげるということが行政措置の中で——これから四月の末、五月というふうに中小企業は困ってくるのです。日銀は六月以降でなければ買いオペをやらぬといっておるのですから、どうしても金融はこれ以上引き締められてくることは当然なんです。だから、その救済を考えてもらいたい、こう言っている。まあ、事実問題としては、今話しているひまがないから、救済の方法を探すように行政指導をしていただきたい、こういうことです。  次に、大臣にお伺いしますが、私が特に申し上げたい点は、去年の十二月十四日に、人事院が暫定手当の整理の勧告をしておるわけです。十二月十四日といえば、予算にかかっている時期でございましたから、人事院としては、十分これは本年度の四月から実施になれるだろうというふうに考えてやったものと私は思います。しかるに政府——と申しましても、特に難色のあったのは大蔵省であったといっておる。大蔵省がこの問題について不賛成を唱え、予算化をはばんだ原因は一体どこにあるか。人事院勧告というものは、慣行上からしても予算化せざるを得ないわけですが、これはいつごろおやりになるという考え方で今日まで参っているのか。その二点。
  134. 水田三喜男

    水田国務大臣 人事院の勧告は、なるべく早い機会にやれということでございますので、私どもも今なるべく早い機会に実施したいと考えています。三十七年度の予算にこれを考えなかったのは、御承知のように、この勧告は、底上げ方式によって給料に繰り入れろということでございますが、そうしますと、官民給与の格差を縮めるための給与改定の実施を十月にしたばかりでございますので、すぐにそのあとでこういう底上げ形式の給与改定をやることは、これは人事院が勧告したことに人事院自身も矛盾する形で、官民の格差を今度はふやすということになるわけです。ですから、人事院もそこを考えて、なるべく早い機会にといって、時期を指定しなかったと思うのですが、そういう意味におきまして、私どもは来たるべき今度の人事院の官民格差の調査の結果を待って、それから善処することが好ましいというふうに考えましたので、当初予算の中にはこれを一切考えておりませんでした。  私は、昭和何年でしたか、与党の政調会長をやっていたときに、この問題は解決すべき問題だと考えまして、三段階でしたか、当時地域給がございましたのを、一段階ずつベース・アップのときを見てこれは本俸に繰り入れという措置をとって順次解決したいというので、第一回だけ私はやった記憶がございます。政府に要望してやらせたのでございますが、そのあとそのままになって今日まで置かれているという実情でございますので、引き続き私も積極的にこの問題を解決したいと思っております。これは実際問題としますと、やる時期は、やはり給与を具体的に直すというときに合理的にこれをやる、一挙にやるか、あるいは一段階ずつ年次計画によって繰り入れをやっていくか、この方法はいろいろあると思いますが、そういう時期でないとほんとうの具体案というものはできないと考えましたので、三十七年度の当初予算には考えませんでしたが、これは次の一番いい機会を見て順次解決していきたいと考えております。
  135. 石山權作

    ○石山委員 底上げだから民間と官との格差が云々という言葉で、人事院は施行期日を明記しなかったというふうにおっしゃっていますが、施行期日を明記した去年の勧告を、あなたの方ではずらっと十月まで流したじゃございませんか。ですから、その穴埋めを何ぼでもしてあげなければというので、まるで池田内閣の経済政策の不備を補うような格好で、人事院はこの暫定手当を去年の年の終わりに出したというふうにわれわれは考えているわけです。ですから、大臣がおっしゃるような考えで施行期日を明記しなかったということではない、逆だと思います。去年、施行期日を明記して、それが十月に実施をされておる。ですから、たとえば民間の場合の給与をいろいろ算定をして、それを実施に移すわけですが、いつの場合でも半年以上延びている。ことしだって、最近の物価指数を調べれば、八・九%くらいすでに上がっている。ですから、こういう意味では、私はちょっと大蔵省の皆様のものの考え方が、非常に給与と人事関係というものに対して弾力性がないし、あたたかみもない、それではいけないと思う。人事問題というものと給与というものはくっついておる。そして能率という形になって表現されてくるわけですから、早い機会にということは、人事院が勧告をするときがその時期だというふうに私は考えているが、いかがでございましょうか。  それから、この人事院の案の内容については、いいとか悪いとかいうふうな考え方でいるかどうか。その二つ
  136. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは終戦後の食糧難のときに、みんな食糧を得るためにはやみ価格で買わなければならぬ、やみ価格が横行した時代にできた暫定給与制でありまして、従って、都会に住む人の方が一番この手当が多くなければならぬという形でつけられたと思うのですが、私はこれは逆だと思っております。むしろ、昔あったと思いますが、僻地に勤務する人には、交通費がかかるとかいろいろなことで、今となってみれば、僻地手当をつけるということは合理的ですが、都会地に勤務する者には特別の手当をつけるということは、どう考えてももう合理性をなくしておりますので、これは整理すべきものだと私は思っております。その整理の仕方は、今後いい先生が、財政上の事情によっては、わざわざ手当が多ければ一番悪い所に私は行こうというくらいのことがあって、初めて教育水準の問題も解決されるのですから、僻地手当という考えが取り入れられるかどうかわかりませんが、そういう問題との考慮で考えれば合理的な考えもできるのではないかということも、私個人としては今考えております。そうでなくて、ただ今まで手当のついてなかったところの僻地の勤務者を、今までついていなかったが、ついている人とみんな同じく手当を本俸に入れるということは、これこそ官民格差をわざわざそこで大きくしていくということになりますので、そこらの調整というものも十分考えないと、これを解決する場合の合理性が出てこないという問題がございますから、これはそう簡単にやれない。簡単にやればもう解決していると思いますが、今まで解決しなかった問題だけに、これはむずかしい問題でございますから、三十七年度の当初予算にはその具体策は間に合わなかった。これからわれわれは、これを給与担当相とも十分に研究して、この具体案をこれから得たいというふうに考えておりますので、次にいろいろな機会があったとき、これを解決するのに最もいいという機会があれば、その機会をつかんで、徐々にこの問題の解決をしていきたいというふうに考えております。
  137. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 時間がありませんから、私いろいろ意見を申し上げたいのですけれども、今の大臣の答弁の矛盾点だけ指摘して、ちょっと是正をしていただきたいと思います。  というのは、昨年の十月に公務員給与の改定をやった、ここで官民の給与の格差をなくしたばかりだ、その直後にこういう勧告が出てくることに矛盾があるという、人事院の方に責任を何かおっかぶせたような言い方をしておりますが、これは認識不足もはなはだしい。十月一日に実施したのは政府の都合で、人事院勧告をすなおに実施しないで勝手にやったことなんです。人事院勧告の基礎資料になっているのは、官民格差は四月一日の資料なんです。だからこそ、五月一日からこの勧告は実施しなさいというふうに出されているはずだ。それを勝手に十月実施しておいて、人事院のやったことがおかしいというせりふは、まず取り消していただきたい。  それからもう一つ、政府が今度の暫定手当のこの部分についての勧告の実施期日を明らかにしなければ、今度人事院が作業ができないのです。十二月に勧告をした。おそらく政府は、勧告は尊重するといっているから、ことしの四月一日から実施するであろう、こういう想定で人事院は勧告をしているはずです。これを忠実に四月一日から勧告を実施されておるならば、ここでまたことしの四月官民格差を調べて、新しい八月の勧告が出てくるのですが、政府がのむのかのまないのか、いつからやるのかわからなければ、一体人事院はこの四月どういう調査をしますか。どういう官民の給与の格差を調べ上げますか。仕事ができなくしてしまっておるじゃありませんか。ここにも矛盾がありますから、少なくともそれではいつ実施するのだということを明らかにしなければ、人事院の作業自体にも影響を及ぼすことを知っていただきたいと思う。  この二点についてお答え願います。
  138. 水田三喜男

    水田国務大臣 あとの方は事務当局からお答えしますが、前の方は、これは私そう言っていません。人事院の勧告が悪いときに出たとか、こういうときに出したことがけしからぬということを言っているわけではございません。勧告が出た時期が、ちょうど政府がその直前に給与改定をやったすぐあとであるので、その直後すぐこの問題を実施しようとするのは無理だったということを言っただけでございまして、人事院の勧告の出し方が悪いとか、時期が早過ぎているとか、おそ過ぎているとか、そういうことを言ってはおりません。
  139. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 いや、そうじゃないですよ。十月一日に官民格差をなくしたばかりだ、今度の勧告を実施して底上げ方式をとれば、せっかく格差がなくなったのに、またできる、こうおっしゃったじゃありませんか。それはおかしいと言っているのです。格差をなくすために昨年の八月に人事院が勧告したときの格差なるものは、昨年の四月の時点における格差ですよ。だから、大臣の認識はその点で誤りですよ。率直に認めたらいかがですか。格差がなくなったばかりなのに、この勧告を実施したら今度逆の格差ができるというのは、さっきおっしゃったことは間違いです。これはもう率直に訂正される方がいいと思います。  それからあとの問題も、これは事務当局が言うべきことじゃないですよ。四月一日からこの勧告を実施されれば、底上げした公務員の給与とことしの四月における民間の給与との比較ができますけれども、今度実施しませんから、できないでしょう。そうすると、人事院は、一体あの勧告はいつから実施されるのだろうか、無視されるのだろうか、推定でこの八月の勧告を出さなくちゃならぬということになるわけですが、この点は事務当局の問題ではありません。大臣が政府の財政担当者として、責任を持ったお答えをすべき問題ですよ。
  140. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはさっき申しましたように、私どもも解決について具体的な方法を十分研究するつもりでおりますので、それと、また人事院の作業も始めていただくわけでございますので、その辺は合理的にやれるような措置については、十分私どもは善処するつもりでおります。
  141. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 どうもこれは納得できません。しかし、時間がありませんので、きょうはこの程度にして、またあらためて質問をすることにいたします。
  142. 中島茂喜

    中島委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  143. 中島茂喜

    中島委員長 本案に対し、内田常雄君外八名より、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党共同提案による修正案が提出されております。
  144. 中島茂喜

    中島委員長 本修正案について、提出者より趣旨説明を求めます。内田常雄君。
  145. 内田常雄

    ○内田委員 大蔵省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につき、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、読み上げることを省略さしていただきます。  その要旨は、政府原案の施行期日は四月一日でありますが、その日はすでに経過しておりますので、これを公布の日に改め、定員に関する改正規定につきましては四月一日から適用すること等でございます。  よろしく御賛成をお願い申し上げます。
  146. 中島茂喜

    中島委員長 本修正案に質疑はありませんか——御質疑はないようでありますので、原案及び修正案は一括して討論に入ります。  別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  大蔵省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  147. 中島茂喜

    中島委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  148. 中島茂喜

    中島委員長 起立総員。よって、修正部分を除いて原案の通り可決いたしました。  これにて大蔵省設置法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は、来たる十七日火曜日、十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十一分散会