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1962-03-29 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十九日(木曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 草野一郎平君    理事 堀内 一雄君 理事 宮澤 胤勇君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君    理事 山内  広君       内海 安吉君    小笠 公韶君       島村 一郎君    辻  寛一君       藤原 節夫君    緒方 孝男君       田口 誠治君    西村 関一君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口  酉君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  原田  正君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房長)   村上  一君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    中野 正一君         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  大來佐武郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君  委員外出席者         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月二十八日  委員柳田秀一辞任につき、その補欠として島  本虎三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員島本虎三辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二二号)  行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第二七号)      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 設置法改正内容を御質問申し上げます前に、総括的なことで長官にお聞きをいたしたいと思いますが、古いスクラップ整理しておりましたら、昭和三十三年四月二日に、当時自民党大物幹事長として手腕をふるっておられた川島長官の選挙後の一つ声明が出ておったのです。その中には、行政整理を含む機構の縮小をやるという、こういうような公約の第一声があげられておったのですが、この当時の新聞をずっと見てみますと、これにはやはり好意的な論文も載っておったのです。それと申しますのは、従来まで、行政整理というような名前のもとに機構改革を行なおうとする場合には、一時的の人員整理というようなことに終わって、目標の機構改革というようなことはあまりなされておらないというのが実態であったわけなんです。従って、そういうような状態であるから、特に三十三年四月二日の当時の川島幹事長からの発言が、世論としても支持をされておったのですが、ただ、その中に、従来あったような、行政整理を行なうんだという名のもとに人員整理だけで終わるというようなことはいけないんだ、あくまでも文字通りの行政機構改正を望んでおるのだから、その点に大いに成果を上げてほしいというような記事も、やはり私どもは古いスクラップから見ておるわけです。しかるに、その後の各省機構実態を見ますと、もう軒並みに省庁の拡大がなされて、とめどもない実態に相なっておって、その当時の川島さんの声明と全く逆行するような結果になって、今日に及んでおるということなんです。従って、従来の、また現在の実態を見ましても、わが国の官僚機構実態は、トカゲのしっぽではございませんけれども、切っても切ってもふくれ上がるというような悪い特色、習慣というものがある、従って、こういうことから、今日では、ほんとうに実践の伴うところの行政機構改革をやろうとして、七人委員会というようなものも発足され、専門的な研究もここでなされ、そしてこれを採用して効果を上げるということにはなっておるわけなんです。それで、現在自民党での実力者の一人である川島長官がこれに真剣に取り組んでおられるので、この問題に対する国民の期待というものは相当大きなものがあるわけなんです。従って、今度の四十国会に出された数多い設置法改正内容を見ましても、また、提案に至るまでの経過を聞いてみましても、行政管理庁そのもの統合調整というような面に対する一つの力が、まだまだ欠けておるんじゃないか、こういうように私どもは受け取るわけなんです。それで、今日の場合には、何といっても実力者長官がなっておられるので、運営の面においても相当の効果を上げるような方向にいくと思いますけれども、これが一たん実力者でない、発言権の弱い大臣が担務されるということになりますと、どちらかといえば、よその機構をなぶるというようなことについて強い意見でも吐けば、頭からしかられるというようなことができてくるんじゃないか、こういうようなことを考えてみますと、現在の行政管理庁そのものの、これは権限といえばちょっと語弊も出てくると思いますけれども、そういうような面を考えなくては、なかなかその目的を達成するのはむずかしいと思うのです。長官が手をかけられておる今日のこの時代において、そういうようなことを頭に浮かべられたことがないかどうか。私どもとしてはそういう点を大きく憂えておるわけですが、まず、その点について一つ意見を承りたいと思います。
  4. 川島正次郎

    川島国務大臣 終戦後の大きな特徴として、各省庁の部局増大定員増加等があげられるのであります。戦前でありますと、官制の改正枢密院の諮詢が要りました。枢密院は相当厳重な態度で臨んでおられましたから、一局一課を作るについても容易ではなかったのであります。まして、定員増というようなことはなかなかできなかったのでありますが、戦後はそういう機能がなくなりまして、行政管理庁でこれを主管するという法の体制にはなっております。しかしながら、過去数年間における実際の運営を見ますと、主導権はむしろ大蔵省にありまして、大蔵省予算をつければ、追っかけて部局改廃定員増加等行政管理庁は認める、こういうふうなことが繰り返されて参ったのであります。いろいろ予算折衝経過を見ると、大蔵省としては、予算を切り詰める方針として、事業量増大を押えても、少ないならば部局増加定員の増を認めるというような態度をとったこともありました。そういうことが重なりまして、今日のような膨大な機構、膨大な公務員の数になったのであります。今年の、つまり、三十七年度の予算編成にあたりましては、閣議決定をいたしまして、部局改廃並びに定員増は、第一義的に行政管理庁でこれを査定いたしまして、行政管理庁が認めたものは、大蔵省無条件に認める、こういう方針をはっきり閣議決定をいたしまして、それに基づいて三十七年度の予算編成をいたしたのであります。三十八年度予算編成に対しましては、この態度を一そう厳格にいたしまして、不必要なる部局をふやしたり、また定員をふやすことは、一切抑制をいたしまして、能率的な、簡素な、国民の便利になる行政機構を作り上げたいと行政管理庁としても考えておりますし、この点は、特に最近発足しました臨時行政調査会にお願いをしまして、審議を願っておるわけでございます。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの御答弁では、今まで大蔵省がとかくイニシアをとっておった面を、今度は行政管理庁の方で結論出したものは無条件大蔵省も認めていく、こういうことが閣議決定されておる、こういうことでございますが、このことにつきましては、私は、一歩進歩したことであって、大へんよろしいと思いますけれども、ただ、閣議でそういうように御決定なさっておっても、この問題以外の問題の場合に、たまたまその方向へ進んでいかぬものもあるわけなので、ただ一つ行政機構改革の問題についてのみ大蔵省がその線に沿っていくということも、私どもは、従来の経過からいって、なかなか安心のできないものであろうと思う。これは行政管理庁というものの置き場所によっても、権限的なものは若干変わる面もあると思いますし、やはりもう少し統合、総括、指導というような面が、行政管理庁機構の面では十分にとれるような機構にしなくてはならないのじゃないか、そして、語弊はあろうけれども権限という面についても、やはり考えなくてはならないと私は思うのですが、そういうような点に現在は御不自由を感じておられないかどうか、また将来、あなたのような実力者でない大臣がおなりになったような場合に、私はこれは相当危惧される面があると思いますが、こういうことも考え合わせて、実際に今日のあり方そのままでいいものかどうか、このことを一つ承りたいと思います。
  6. 川島正次郎

    川島国務大臣 現在持っております行政管理庁権限、これをフルに活用すれば相当効果があると思うのですが、田口さんのお話でも、人間の問題だということなのでありますが、私は、先般、新聞記者会見意見として発表したのですが、将来、次の内閣ができるときには、行政管理庁長官というものは心ず副総理を充てるということにすればいいのじゃないかという自分の私案を発表したのですが、その憂いは、全く田口さんと同じであります。今後とも内閣中心的人物行政管理庁長官に充てるということは、日本行政機構というものを能率を上げ、また、きわめていい形にするためには、ぜひ必要だと考えまして、将来そういうふうに推進したいということを私はただいま考えております。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 兼務ということは、これはなかなか手が回らぬので、総理大臣が兼務しておるということについては、実際的に効果があるかどうかという点についてはまだ疑問はございますけれども、ただいまの御答弁に似たり寄ったりなことになりますが、やはり内閣直属機構として、少なくとも副総理格実力者がその省の担務に当たるということは、行政管理庁国務大臣の場合には絶対必要だろうと思うのです。こういう点については今後いろいろと御心配はされておると思いますが、どういう形になりましても、実効の上がるような形をこの際強く打ち出していただきたい。  そこで、二月十九日の内閣委員会における石山委員質問に対する長官答弁速記録のまま私はきのうも見たわけなんですが、そのときの御答弁には、現在の行政機構全般に対しての根本的なメスを入れるということが行政調査会に与えられたものであって、個々の改革については必要なればこれをやるという方針をとっておる、従って、その方針に基づいて三十七年度においてもある程度の機構改革をきめたし、今審議願っておるのだ、こういうような御答弁があったわけであります。そこで、特に石山委員の方からの、農林省と防衛庁設置法改正について、こういう重要な改正はなぜ七人委員会にかけなかったのかという質問に対しましては、川島長官から、これは三十七年度において実施する必要があったので、七人委員会にかけるひまがなかったのだ、間に合わなかったのだ、そういうことから、それぞれの省から提案されたものを認めて、今国会に提出したのだ、こういうような答弁がありましたので、私どもは今日まで設置法改正を相当数上げたものもございますが、審議をするときに、やはり川島長官から答弁のあったことを頭に浮かべつつ、法案内容審議をして参ったわけですが、その改正案の進め方について私どもが感じられたことは、長官のその当時御答弁なさったこととは若干相違があるのじゃないか。言葉をかえて言えば、火のつくような急ぐものであるから、とにかく認めたんだ、こういう御答弁でございましたけれども、それほど火のつくものでもないものもありますし、ここに提案される場合には、なおやはり検討を要せられるものがあるわけなんです。特にこの検討を要される内容のものといたしましては、今すぐ検討するということでなしに、今日まで相当検討されて、そしてある程度の結論を持っておらなければならない内容のものも含まれておるようにうかがわれるわけなんです。特に防衛庁設置法改正の問題が大きな問題として取り上げられておりますことは、現在の調達庁防衛庁の中に統合した場合の職員の身分の問題が、一つ大きな問題として残されており、これに対して反対意見もいろいろ双方で出ておるわけなんです。従って、この問題につきましては、昭和三十年ごろから三十一年、三十三年にかけて、公務員制度改革に対する調査会においていろいろ検討されて、そしてその結論的なものがテーマとして出されておる中に、防衛庁職員の職は、特に掲げるもののほかはこれを一般職とすること、こういうことも出されておるわけです。従って、こういうことにつきましては、とにかく防衛庁関係は、審議する余地も、考え余地もない、これは特別職だというような生一本の考え方で進んでこられたけれども、やはり専門的にこういう公務員性格その他のものを検討される場合には、やはりただいま申しましたような結論じみたものが出てくるわけで、やはりこういう問題については、今日まで十分に検討をされて、そうして一つ結論を持っておられますれば、今度の調達庁防衛庁へ合併させるというこの法案は、よほどスムーズに事が進むんじゃないかというようなことも一つ考えられるわけです。こういうような、まだまだ検討されなければならない、出される直前においてもなお検討する必要のあるものが検討されずに、とにかく火がつくものであるから、それを認めたんだというお言葉の裏には、まだまだ川島さんですら、これはやはり各省各庁の設置法改正の要望を阻止するとか、またその内容を変更させるというようなことが、実際的にはむずかしかったんじゃないか。御答弁としては、火のつくような重要な問題であり、出されてきたんだから、とにかくそれを認めたんだというような御回答にはなっておりますけれども、この御回答の裏には、やはり現在の機構においては、そうした調整の方面に相当無理をする点が出てきておるのじゃないか、こういうように考えられるわけです。まあ、一つの例を引いたのでございますけれども、こういう点についてはどうお考えになりますか。
  8. 川島正次郎

    川島国務大臣 調達庁は年々事務量が減少いたしまして、現在では独立の庁として存在する必要がない程度になったのであります。従いまして、こういう事態になったならば、これは一日も早く適当に処理する必要があるという防衛庁長官意見もありますので、従来防衛庁内にありました建設本部と合同して新たな部局を作ったのでありまして、必要のない機関をそのまま存在させるということは避けるのが当然だろうと思うのです。  今度私が特に苦心をしたことは、たとい一部局になりましても、差しあたって失業者を出さぬということ、いかにして人間整理するかという問題と、それからそのうち防衛事務に直接関係のない人間だけは一般行政職として認めるということであります。そうした方針に基づきまして、防衛庁長官と相談の結果、ある程度の人数は一般行政職の地位でもって今後合同いたすことにいたしましたし、また人員の方は、三年間の間に自然退職、庁内の配置転換等を見まして、一人も首切りをしないという方針をきめまして、新たな部局を作りまして、ただいま御審議を願っておるわけでありまして、今日の段階としましては、こういうことをすることは当然の処置だ、かように考えておるわけであります。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま御答弁いただいた内容は、二月十九日に石山委員防衛庁の問題を出されたときに御回答になった内容と全く変わっておりません。ただいまの行政職云々ということもございましたが、これはやはり今いろいろ問題にもなっておりまする職務内容からいきまして、小使とかそういうような職に類する人たち取り扱いをどうするかということもやはり問題になっておると同様に、一つ行政職としての今後の取り扱いをなされる場合のその範囲性格、職種というようなものが問題になっていくと思うわけであります。私が先ほど申しましたことは、これはもう今から五年も六年も前からこの点が検討されて、防衛庁職員一般職という一律的なことは思わしくないので、やはり特別に掲げるもののほかは、これは一般職とするというような一つ結論が出ておるのだから、こうした案を出される場合、また、長官のお考えになっておるようなことからこの案を出される場合でも、やはり今申しましたところの一般職範囲というようなことにつきましても御研究をなさって、そしてこの法案を提出なさった方が、私は法案審議の上においてスムーズに事が進むのではないかと考えられますので、まだまだ十分に御検討をされる余地があったと思うわけであります。それで、この点につきましては、これは直接に具体的な面を取り扱ってこられた方の御意見でもよろしゅうございますけれども、私は、なぜここまで検討されていながら、こういう法案を出されなかったかというところに一つの疑問がありまするし、これが今日の問題になっておりまするし、そういうことから、なお突っ込んでお聞きをいたしたいと思うのであります。
  10. 山口酉

    山口政府委員 防衛庁設置法改正につきまして、このたび新たに設けられます防衛施設庁の職員のうちの大部分のものについて、特別職にするという規定が入っております。実は行政管理庁として、その内容について申し上げるのは必ずしも適当ではないと思いますが、私どもの方で審査をいたします段階で、この公務員制度をどういうふうに取り扱うかということにつきましては、諸官庁の問題については総理府の方で公務員制度調査室が担当しておりますので、十分に検討してもらうことを要請しておいたわけでございます。その点について、最後まで重大な問題でありますので、相当深く検討したようでございますが、結論だけを私どもの方は聞いておるわけでございます。それは防衛庁といたしましては、平時の状況につきましては、お話のような点が多分にあると思います。ただ、防衛庁職員特別職にしておきます理由といたしましては、何か事がありました際に、特別職にしておきませんと、その機能を弱めるというおそれのあるようなものについては、一般職としての国家公務員法の適用を排除する必要がある、こういうようなことで、その範囲はどうかということは、これは実は防衛活動内容によると思うわけであります。そこで、それらの点は、専門的に防衛庁並びに公務員制度調査室十分討議をされたのでございますので、私ども行政管理庁といたしまして、機構並びに定員の規模につきましては、十分に自主的に検討をいたしましたけれども、その内容公務員制度の点に関しましては、実は直接の所管でございませんので、あるいは別の機会に詳細はそちらの方からお聞き取りいただきたいと思いますが、結論といたしまして、そういう防衛活動の実際の場合に困る範囲として、最小限度のものとして特別職にしたというふうに聞いております。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 自衛隊の性格といたしましては、ただいまの御答弁も断りましたように、平時の場合に非常事態の発生を考慮して一つ野戦部隊としての組織を考えておられるので、二つの面がここにあると思うのです。従って、重大な時期に直面したような場合に、防衛庁職員全部を特別職にしておかなければ、いろいろな仕事を進める上において支障があるのだというこのことは、ちょっと思い過ぎた面があると思うのです。もっとも、この法案については、法案の出されたときに全面的にいろいろと防衛庁の方へお聞きするわけでございますが、やはり平時の場合といわゆる戦時の場合との二つ性格を持っておる職員たちを、平時の場合に戦時の場合を考えて一律に特別職とするということが、そもそも発足当時の考え方から一歩も進んでおらぬことであって、その後昭和三十年ごろからの専門的な委員会検討の中にも、やはり一般職とする必要があるというようなことが力説されておるのですから、今日問題になろうとおそらく予想されておられた今度の設置法改正のときには、私服の職員の場合の一般職範囲というようなことも、当然検討されてしかるべきであったと思うのです。こういうような検討が全然なされずに、この法案がとにかく火がつくほど必要であるという、特に川島長官から今御説明のあった一つ理由もあったと思いますけれども、お出しになるといたしましても、もう少し掘り下げた検討をなされてお出しになるのが当然であったと思いますし、こういうまだ審議に入らない、提案されておる段階においても、こういう点については、十分御検討していただく必要もあろうと思うので、特に今申し上げたような点が十分に審議されずに、とにかく防衛庁の方から持ってこられたものを、これは緊急を要するものだといって認められたそのことが、一つ行政管理庁としての総合的な指導の面が、言葉ではなかなか表わせませんけれども、あるのじゃないか、こういうように考えて、その点をお聞きしたわけなんです。  これは防衛庁の例を一つ引いたわけでございますが、労働省関係におきましても、これは賃金部を設けるということになっております。これも専門の委員会でございませんし、その法案審議でございませんので、私はあまり詳しいことについては触れませんけれども、現在この提案理由に書いてある内容を見ますと、現在作っておるところの業者間協定といわれておるものを、これを日本最低賃金だとして進めておられる、このもの自体が非常にいいようなものに考えられて、これを推進していくために賃金部を設ける、そうして内容をよくしていくのだ、こういう提案内容になっておるのです。ところが、その実態を見ますと、この業者間協定そのものは、最低のものでなくして、地方へ行きますとそれが最高のものになって、とにかく業者間協定で日給四百円になっておるのだから、四百円払えばこれで事足りるのだというように、地方の方ではそういう解釈をいたしまして——もっとも、これは良心的な解釈ではないと思いますけれども業者がそれを悪用して、この業者間協定というものを利用しておるという実態から、今非常に反対意見が出ておるわけなのです。それで、日にちは忘れましたけれども、あまり進んだ県ではありませんが、保守的な考え方の県だといわれておる私の県の岐阜県ですら、この間県議会で、これは自民党も社会党も共同提案で、最低賃金八千円というものを決議をして、この線で指導をするのだということを決定いたしておるわけなのです。時代はこのように進んできておるのです。こういう段階において賃金部を設けるということは、非常におくれた考え方でないか。実態をあまりも知らない考え方の上に立ってこういう提案がなされておるのじゃないか。今日の中小企業賃金の低いということは、事業そのものの不振ということもありますし、大企業と非常な格差を持っておるということもあって、ここで最低賃金制を八千円なり一万円なりをぱっときめてもらっても、なかなか支払い能力がないということも、ところによってはありますけれども、やはりこれを実施しようということになりますと、日本企業の構造というものに対してもメスを入れなくてはならない、こういうように発展をしていくわけなのです。こういう発展をしていくものに対しまして、そしてまた、そういう時期に来ておるにもかかわらず、労働省設置法の一部を改正する法律案に、労働基準局賃金部を設置して、今の業者間協定を推進していくのだというようなおくれた考え方提案されておるこの事態も、これは行政管理庁において認められたとしても、十分に検討されておらぬのじゃないか。それで、これが火のつくようなものであるかどうかということを検討してみれば、私はそうでないと思うのです。この面についても、現在の管理庁の川島長官ですらなかなか統合的な指導管理という面がむずかしいのじゃないかと考えられるわけなのです。こういうこともあり得るのですが、総体的な面から考えまして、この労働省設置法の一部改正の案一つを取り上げてみても、非常にこれは無理な案であって、今日出されるものとしてはおくれた内容になっておると思うのです。こういう点を了解されたということは、何をもって了解されたのか、非常に私どもは理解に苦しむわけなので、一つこの点についても長官の御意見を承っておきたいと思います。
  12. 川島正次郎

    川島国務大臣 三十七年度の予算編成の際には、従来と違いまして、部局並びに定員の増というものは、極力押えました。相当成果は上げたと私自身は考えております。火のつくようなというお話がありましたが、そういう基準だけできめたのじゃございませんで、現在の社会情勢に当てはめて必要な部局考えましたところは、これを認めております。もっとも、行政全体の体質改善の問題等につきましては、最近発足いたしました臨時行政調査会にまかせますけれども各省間の中の一部局だけの問題につきましては、必要なものは三十八年度予算においてもやるつもりでおります。  ただいま御指摘の労働省賃金部の問題でありますが、賃金格差をなくして賃金体制というものを整備するということは、労使双方に通じた現下の大きな問題でありまして、日本の産業発展にも重大な影響があります。従来賃金課というものがありまして、課長ではいかにも力が弱いので、これを部にしただけでありまして、適当な人材を得るために、課を部に昇格したということでありまして、賃金体制を整備するという方針は、従来やっていることをそのまま踏襲するのであります。これを効率的にするために、適材を得るために、課を部に昇格したという程度でありまして、現在の処置としては適当なる改正じゃないか、こういう見解に立ちまして、行政管理庁は認めたわけであります。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま中小企業の体質改善やら格差是正ということについて非常に意を用いられて、これを取り上げているのだという御回答がございましたが、やはりそれが非常に隘路であるわけです。それで、そのことについては、そのお気持とか、また、文章に書かれておるこのものについては、私は、それはそういうような手を打っていかなくてはならないと思いますけれども、ただ、ここで特に強調されることは、やはり今の最賃法といわれて最賃法でない業者間協定、これを推進していくために、課を部に昇格するんだ、部を設置するんだということになっておりますので、それでは実態を十分に把握されておらないのじゃないか、実態というものはもうだいぶ進んでおるということなんです。業者間協定というものはもうだめなんだから、何とかここで最低賃金制をしがなければならない、最低賃金制をしこうとすれば、中小企業の援助対策をここで大きく打ち出さなくてはならないんだ、こういう段階になっておる。私は、おそらくこの賃金部が、中小企業の基本法とか組織法とか、そういうようなところまで検討するものではないと思いますので、そういうことになりますと、今の段階では、まだほかの方へ力を入れるべき要素が多分にあって、賃金部を設置することでこのことを非常に重要なものとしてお取り上げになったということには相ならぬと思います。ただいまの御説明の趣旨は、そういう必要があるということは感じておりますけれども、ただ、この賃金部とからみ合わしての関係はまだ了解のいかぬ面があるのですが、議案審査でございませんので、あまりここで言葉のやりとりはいたしませんし、長官のお帰りになる時間が委員部の方から連絡がございましたので、あまり深くは入っていきません。しかし、ただいま申しましたように、この設置法一つ考えてみましても、これはそれほど急を要するものではないというように考えられますし、そして、非常にたくさんの設置法改正が出てきておりましたので、私は、一番最初に申し上げました、二月十九日の石山委員質問に対する川島長官の御回答内容を頭に入れながら、議案の審議に入って非常に矛盾を感じてきましたので、あえてここで御質問をいたしておるような次第でございます。  それから、これは厚生省の関係におきましても、ただいま申し上げました防衛庁あるいは労働省なんかと同じように、私どもといたしましては、いろいろ意見がございますし、郵政省の関係でもやはり大いに意見があるわけでございますけれども、それを一つ一つお聞きしておっては、お帰りになる時間に差しつかえになると思いますので、次に移ります。  先日も、総理府設置法改正のときに、私どもの方からも強く指摘をし、なお、現在の実態も申し上げて、反省を促しつつ審議を行なったわけでございますが、その内容は、各種審議会、各種調査会のことでございます。この審議会、調査会につきましては、私どもが見まして、非常に必要であり、また、能率的に進められており、いい結論を出されておるものもあり、なくてはならないものもあるわけでございますけれども、その大半がどちらかといえば——一つの法律に基づいてこういうものを設置されるのでありますけれども、それほど必要の感じられないものが大半なんです。従って、私が調査をして先日質問をいたしまして、現在二百五十二あるじゃないかと言ったら、何か二百七十ほどあるという御回答でございましたが、この審議会または調査会一つ一つを取り上げてみましても、非常に有名無実なものがありますので、こういうものの整理をする必要があると思うのです。そういう段階において、私どもが相当疑問に考えられる審議会の設置法調査会設置法法案が出てきたわけでございますが、こういう点につきましては、長官としては、まだ具体的には目を通しておられないのかどうか、承りたいと思います。
  14. 川島正次郎

    川島国務大臣 調査会整理につきましては、私は今御意見の通り大賛成であります。整理方向に向かって進めております。各大臣に対しまして、整理するようにと要請をしておるわけであります。ただ、不要不急のものは当然整理をいたしますけれども、現在の実情に当てはめて必要なものは、これを認めていかなければならぬのでありまして、今年は最小限度に認めたわけであります。毎年予算編成期になりますと、三、四十の審議会、調査会の設置が計画されるのでありますが、今年はそれを最小限度にしぼりまして、また一面、ごくわずかでありますが、十幾つかの廃止もいたしました。当面必要なものだけを提案して御審議を願っておるわけでありまして、根本的には、調査会全体に対してメスを入れまして削減をしよう、こう考えております。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 審議会なり調査会の趣旨目的というようなものは、これは一つには、官界に欠けておる専門的知識を民間から補給するということ、二つ目には、民意を行政に反映するということ、三つ目には、行政を公平に慎重に行なうということでございますけれども、やはりこの目的に沿うように運営されておらない面がたくさんあるわけなんです。特に私がふに落ちないと申しますのは、幾ら能力のある委員の方であっても、十五なり十六なりというような兼務をされておっては、専門的にかかっておっても、なかなかいい意見というものは出せないと思いますし、もう研究をする余裕がないと思うのです。ところが、十六以上兼務されておられる人が三人もございます。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕 十一から十五兼務しておられる人が十九、六から十が四十九、一つだけお持ちになっておられるというのはほんのわずかですが、五以下といたしましても二千三百六十四あるわけなんで、これは私の調査の二百五十二審議会や調査会があるとして、七千百十九人として、こういう数字になるのですけれども、先日の答弁のように二百七十ほどあるといたしますれば、まだまだ私はこの兼務の数字が多くなると思うのです。こういうような実態が既往の調査会審議会にあるわけで、こういうものについては、もちろん望ましいものであるという御答弁ではないと思いますけれども、これを積極的に審議会の趣旨、目的に沿うような運営をするために、こういうものの整理をどのように考えておられるか。今後の構成、任命というような面についてもどのようなお考えでおられるのか。この点についても、やはり明確に長官の御意見を拝聴いたしたいと思います。
  16. 川島正次郎

    川島国務大臣 これも全くお説の通りでありまして、一人の人が多数の調査会関係している形は決して望ましいものじゃありません。今後審議会、調査会委員を任命するときには、なるべく重複を避けてやりたいということをかねて考えております。また、委員の方からいいましても、非常に御迷惑の人もあるようでありまして、そういう人も適当に御本人の申し出によって整理をしよう、こう考えております。なるべく民間の人を効率的に活用したい、そういう人にある部局に限って特に専門的に一つ御協力願いたいという立場で、これからいろいろ考えたいと思っております。御趣旨には全く賛成であります。
  17. 田口誠治

    田口(誠)委員 長官は局長なりからいろいろ聞いておられるかどうかわかりませんけれども審議会の運営にいたしましても、ほんとうにまじめにかかった議案に対して意見を出そうと思いましても、出せない運営がなされておるのです。それと申しますのは、招集されて来てみると、そのときに官庁の方で一つの構想を作って、これをずっとプリントを配られて、さて御意見いかがでございますか、こういう審議のされ方をされるのです。そういたしますれば、たまたまその問題に対する専門的な博士とか学者というような人であれば、これは専門的に意見をはさまれる場合もあるかと思いますが、その他の方は、プリントを見て思いつきのことを発言されて、官庁の方でもいろいろと検討されたことであろうから、まあまあそれでいいだろうというようなことで、審議会の方の了解を得たんだ、こういうことになって、私どもは悪くこれを解釈しますと、官庁の責任のがれにこの審議会なり調査会を利用しておるというように考えられるわけなんです。こういうような運営がなされておるということについては、長官御存じであるかどうか、これもお聞きしておきたいと思います。そして御存じであれば、今後どうされるのか。ないとすれば、十分に勉強していただかなければならぬ。
  18. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいま御指摘のように、調査会が官庁の責任のがれのために使われているという非難は、世間から出ておるのでありまして、今後調査会整理する際に、不要不急だけでなしに、そうした意味の調査会も、当然これは整理すべきものだと考えておりまして、整理の対象にいたしたいとかねて考えております。調査会全体の運営につきましては、各省大臣の責任でやっておりますけれども内閣全体としましては、調査会が公平に運営されまして、調査会の目的を達成し得るように向けることは当然でありますから、いろいろな機会にそういうふうに持っていきたい、こう思っております。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 各省大臣がそれぞれの審議会なり調査会を責任を持って運営されておるのですが、こういう場合に、行政管理庁としてやはり相当発言力を持って、その運営の不十分な点を是正させたり、そしてなお、川島さんの持っておられる抱負を生かしてもらうということが、現在の機構としてできるものかどうかということ、これは、運営の面であなたの一つの人格と実力においてある程度は消化されると思いますけれども、今の管理庁の職務と権限範囲内においては、そこまで各省大臣に対して口がはさめるものかどうか、この点が私は大きな疑問であり、いかに川島さんが抱負を持っておられても、そのことがそのまま反映されないと思うのですが、この点について一つ伺いたいと思います。
  20. 山口酉

    山口政府委員 審議会等の運営につきましては、それぞれ所属として持っております主管の省庁の長が責任を持っておるわけでございます。従って、行政管理庁といたしましては、御承知のように監察権がございますので、監察をして、その改善について勧告をすることはできます。ただ、従来審議会というものをとらえて、特にそれの運営状況を監察した例はまだございません。機会があればそういうことをやることも必要かと思いますが、実は先ほどから田口先生が御意見を述べていらっしゃいますように、形式的に見ましても、相当長期間開催されないものが間々ございまして、そういう点の調査は私どもの方で一応いたしております。そこで、今度川島長官の御方針に従って、そういうものをまず取り上げて、実態を調べてみまして、そこから廃止をする必要のあるものをとらえるという考えで、ただいま相当数の実態を調査はしております。ただ、その中に、従来四十くらいは、訴願裁定でありますとか、あるいは資格審査でありますとか、何か試験、検定調査会というような、事件が起こった際に初めて発動するという性格のものがあるわけでございまして、こういうものは動いていないというのは、むしろ喜ばしい状況でございます。つまり、そういう事件がないというようなことで動いていないものもあるわけでございます。ただ、当然動くことが望ましいにかかわらず、どうも十分活動していないじゃないかというようなものについて、現在その事情を調べております。調査会審議会というもののそれぞれ任務が別に特定されておるものでございますから、その特定の目的に従ってはたして不十分な活動であるかどうかというような点を調べておるわけでございます。従って、行政管理庁といたしましては、そういう機関の将来の廃止、改正統合というようなものを勧告するという立場と、それから運営を監察するというような立場では、審議会の内容についてタッチできるわけでございます。監察については従来やっておりますけれども、現在御意見のような問題につきましては、不十分ながら調査を実施しております。その結論に従って、将来の廃止、統合、その他の処置を各省と協議してきめていきたい、かように考えております。
  21. 田口誠治

    田口(誠)委員 行政管理庁として、審議会とか調査会というようなものの運営に対して、やはり相当発言権があるというように解釈していいですね。
  22. 山口酉

    山口政府委員 ただいま申し上げましたような関係で、組織の存在、存立、それから将来の形をどうするかという面と、それから監察面からは、運営の中身について意見が言えるということになっております。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 監察の面から運営の面で意見がはさめるという程度のことであるように今お聞きをしたわけですが、そこで、行政監察の面から、これは昭和三十一年の四月から三十六年の十一月までのうちに、各省にわたって幾つかの問題について七百五十指摘された項目があるのです。ところが、今度出されておるところの設置法改正、または各省の問題に対しては、私どもが相当に設置法改正の中でもそれを特に取り上げなくてはならないじゃないかという内容のものが、全然取り上げられてない。たとえて言うなれば、労働省設置法の問題につきましても、その他のことで重要なことが、行政監察の結果として指摘されておるにもかかわらず、そういうものは取り上げておらずに、何だか今の業者間協定を推進していくのだ、あまり効果のない、もう古いものになって、あまり魅力のないものを推進していくのだというような考え方が打ち出されて、行政監察から指摘をされた重要な内容のものが取り上げられておらないわけなんです。そこで、やはり行政管理庁としては、この行政監察の上に立って指摘をされておるものが三十一年から三十六年の十一月までに七百五十、私の持っておる本には書いてあるわけです。そういうものは全然一つ一つ検討されておらないように思いますが、そういうことについては、指摘のあったたびごとにどのように検討されたり、そしてその結果をどうされておるのか、これを承りたいと思うのです。それから長官は十一時五十分でということでございますので、今の件に関しましても、先に御意見を承って、あとから局長の方の御意見を承りたいと思います。
  24. 川島正次郎

    川島国務大臣 行政監察の結果は、それぞれ当該の省庁に勧告をいたしまして、その処置をさらに行政管理庁に報告してもらいまして、処置不十分と思えば、再勧告をして行政の実態を直す、こういう方針を従来とってきましたし、今後もそういう方針でやりまして、行政全体の運営を間違いないようにしたい、こう考えております。
  25. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの御回答で、運営としては正しい運営の仕方をすることになっているようにお聞きをするのですけれども、私は、実際その通りの運営がなされておらぬのじゃないかということがうかがわれるわけなんです。いろいろなそういう方面の資料なり本なりを見てうかがえる。ただいまの御回答の通りにはできておらぬように思うわけなんです。そういうことでございますから、ただいま長官お話しの通りに運営されれば自然に解決していくと思いますけれども、なされておらぬ面があるので、この点については強く私の方から要望するわけなんですが、十分にこういう点についても目を向けていただいて、遺憾のない改革をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。
  26. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいま田口さんの仰せの通りでございまして、行政監察の目的が達成されるように、今後とも一つ大いに努力いたしたい、かように考えております。
  27. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま申し上げたようなことは、長官の手元なり局長さんの手元なりでいろいろ采配をふるってもらわなければならないと思うのですが、大臣がお帰りになったので、局長に伺うのですけれども、今日まで先ほど川島長官が御回答になったようなことを実際なされておられるのかどうか、どうもその点残っているものに対して大きな疑問があるので、一つ承りたいと思います。
  28. 原田正

    ○原田政府委員 行改監察の結果の措置につきましては、ただいま長官からの御答弁があったのでありますが、私どもといたしましても、現実に長官答弁されましたように実施をいたしておるわけであります。すなわち、監察をいたしました結果、勧告いたします。その勧告に対しましては、それぞれ各省庁がとりました措置等につきましては、回答を必ず求めておるわけでございます。ところが、その回答の中におきましては、時日の関係等におきましてまだ十分に措置がとられておらぬ、あるいは研究中、いろいろそういうものがございます。そういうものにつきましては、さらにその回答を受けました後に約半年くらいの猶予を置きまして、その後それがどういうふうに措置されたか、どういうふうな改善が行なわれたか、これを再照会をいたしておるのでございます。こういうふうにいたしましても、予算関係あるいは人員関係その他で、改善が実現されないものもまだ多少残っております。ただいままで調査をしました結果を数字的に見ますと、こちらが勧告しました事項が、全部または相当部分こちらの勧告通り改善されたものが大体八〇%近くある。残りの二〇%につきましては、まだ十分な改善が行なわれておらない、こういうような数字になっております。こういうふうな、いまだ改善をされておらないものにつきましては、さらにその後必要に応じましては監察をやる、また、その後の措置等についても照会をする、こういう方法をとっております。現に本年の一月から三月の期間にわたりまして、ただいまお話のありましたような昭和三十一年から三十六年に至りますまでの間勧告をいたしました事項について、いまだ改善の措置がとられておらないもの全般にわたりまして監察をいたしまして、それがどういうふうな改善の実施が行なわれておるかどうか、これを現在調査をいたしておるような状況でございます。
  29. 田口誠治

    田口(誠)委員 こういう場合の回答を聞いておりますと、割合にすっきりとしたような御回答があるわけでございますけれども回答通りにはなかなかいっておらぬものです。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 私はそれ以上のこまかいことについての指摘は避けますけれども、私の把握しておるところでは、できておらないわけなんです。調査研究のものはあるという。よく回答の場合に、調査研究とか検討中という回答のものは、どこの省の議案を審議する場合でも出てくるわけなんです。それで、今あなたのお答えになった調査検討のものについては、なお調査をして、そうしてこれを正規の方法に乗せて処理をしたいという、このお考えは、何かめどでも持ってみえるのか、ただばく然とこういうお考えがあるのか、ちょっと承っておきたいと思うのです。官庁の場合には、調査研究という声がかかってから何年もかかるわけなんで、特に行政監察の結果を指摘されて、そうしてその結果を見るまでにはこれは相当日にちもかかりまするし、また、その内容というものは、きわめて重要な内容であるわけなんです。この一つ一つを私が拝見さしていただいても、非常に重要な内容であるわけです。従って、そういうものについては、ばく然と今後調査をしてこうするんだということでなくして、現在の残っておるものについては、およそいつごろまでどういうような見通しがあるのだ、どうだ、こういう点についてもやはり明確にしておいていただかなくては、これはまた私は何かこういうような関連の機会に、その実態を調査いたしまして、もしできておらない場合には追及をいたしたいと思いますので、答弁のための答弁でなしに、やはり誠意のあるところを一つ答弁願いたいと思います。
  30. 原田正

    ○原田政府委員 そこで、勧告の結果、各省庁の措置でございますが、私ども監察をいたしまして非常にむずかしいと考えまする点は、かりに各省庁が勧告の趣旨に従って通牒を出し、指示をする、こういうふうなことをいたしましても、それがあらゆる面に末端まで浸透徹底するという点が非常にむずかしいのでございます。私どもは監察をするにあたりまして、全面にわたって監察をすることができません。適当な個所を抽出いたしまして監察をする、その場合におきまして、選びました個所について指摘しました点につきましては、改善はほとんど百パーセントに近く実施をされるのでございますが、それ以外の残っておる個所、あるいはまた通牒を流し、指導をしましても十分な徹底を見ておらない面、こういう面がなかなか根本的に改められない、こういう点があるのでございます。  それからもう一つは、われわれ監察の一つの限界と申しまするか、相当重要な制度、こういうものにつきましては、われわれは監察し、勧告をしただけではなかなか実現されない、こういう問題が残っておるのでございます。こういうふうな問題につきましては、今度できました臨時行政調査会等におきまして根本的な結論出して、それを強く実施に移していく、こういうことが最も肝要であろう、さように考えている次第でございます。
  31. 田口誠治

    田口(誠)委員 局長にお聞きするのですが、ただいま御回答のありましたように、なかなか指摘されたことをそのまま実施するということは、困難性もあり、一つの政治力というようなものもあるようにも伺いまするし、そして、そういう点に対する指導というような面についても、なまぬるい指導をされておるのではないかというようなこともうかがわれるわけなんです。それで、せっかくこういう問題についても、行政管理庁としてやはり相当の発言力を持って指導される面があるように伺ったのですが、局長、今後どういうように指導をしていこうとされるのか、また、既往のものに関係してでもよろしゅうございますから、一つここで明確にしておいていただきたい。
  32. 原田正

    ○原田政府委員 われわれが監察の結果、これを強く推進をしてその実施に移させていくということは、まことに肝要なことと考えております。従いまして、前に申し上げました通り、何回も必要なものにつきましては繰り返して監察もするし、また、現在全国にあります私どもの行政監察局をして、常時現地における行政の動きに目を光らして、そして気づいた点はどんどん改善をさしていく、こういう措置を常時的に講じていく、こういうような方法をとっているような次第でございます。御趣旨に従いまして、今後一そう勧告事項の実施を強く推進していく、こういうことに努力をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  33. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は、具体的に、今の行政監察された結果についてどのようになっておるかということについても、だいぶ資料も集めておりますけれども、あとから大臣もお見えになりますので、またの機会にいたしたいと思いますが、特に行政管理庁にお願いをしておきたいと思いますことは、やはり現在あるところの行政管理庁一つ指導要領ですか、これでは不足というように考えておりますので、先ほど権限という表現は妥当ではないけれども、やはりもう少し各省に対して総合的な指導行政のやれるような一つの組織を今後考えていただかなくてはならないと思いますので、その点特にお願いをいたしておきたいと思います。  これで私の質問は終わらしていただきます。      ————◇—————
  34. 中島茂喜

    中島委員長 次に、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。  質疑を許します。山内広君。
  35. 山内広

    ○山内委員 前回石山委員がだいぶん詳細に御質問もありましたので、ごく簡単にお伺いしておきたい。  まず、簡易な事務的なものからお尋ねしておきますが、今度三十二名の増員が提案されておりますが、これは純増であるか、定員職員定員化か、その内訳を御説明いただきたい。
  36. 村上一

    ○村上(一)政府委員 お答え申し上げます。  増員は、御指摘のように三十二名でございますが、その内訳は、水資源局という新しい局を設置いたしますために増十四名、それからこまごましておりますが、新産業都市建設関係、東北開発会社の管理関係、水質調査の関係、調査局関係の内国調査関係、経済研究所の関係、こういうものを一括いたしまして八名の増員でございます。それからほかに自動車運転手が三名、さらにいわゆる臨時職員定員に繰り入れる、これは各省共通のものでございますが、これが七名、合計いたしまして三十二名の増員でございます。
  37. 山内広

    ○山内委員 定員職員の七名の繰り入れで、あと残は何名ぐらいになりますか。
  38. 村上一

    ○村上(一)政府委員 これで終わりでございます。
  39. 山内広

    ○山内委員 新設のこの水資源局に十四名が見込まれておるそうですが、しかし、実際はまだ配置は多いだろうと思うのですが、何名の計画になっておるか、その内容をお示しいただきたい。
  40. 村上一

    ○村上(一)政府委員 新設の水資源局は、局長以下四十四名でございます。そのうち二十三名は、すでに経済企画庁調整局で水質汚濁防止——法律は公共用水域の水質の保全に関する法律という法律がございまして、この関係の調査計画をすでにやっております。これが二課ございますが、これをそのまま新しい水資源局に移します。これが二十三名でございます。それから、新しく加わります水資源開発の関係の仕事は、要員としては二十一名を予定しております。従って、局は、合わせて四十四名になります。ただし、先ほど水資源関係の新規増は十四名と申し上げました。従いまして、二十一名と十四名の差引七名は、ほかの定員の振りかえでありまして、増にはなりません。しかし、水資源局の要員としては予定できる、かような関係であります。
  41. 山内広

    ○山内委員 よくわかりました。そこで、今度審議官二名を減少することになると提案されておるわけですが、いろいろ行管との折衝の過程で、余儀ない事情もわからないではないが、どういうわけでこの審議官二名を減らしたか、はっきりお答えいただきたいと思います。
  42. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 御承知のように、ただいま局の新設あるいは定員増加というものを極力行政管理庁でも押えております。私どももその趣旨に沿いますことは、これは当然でございまして、行政を阻害しない限りにおいては、できるだけその趣旨に沿って参りたい、こう思っております。審議官は、御承知の通り、定員五名でございまして、各省から出向していただいております。企画庁の仕事には相当審議会等がございますので、従って、それぞれの審議会を担当するというような部面等もございますから、必ずしも五名が私ども多いとは考えておりません。しかし、今回のような場合におきまして、局を新設します以上は、できるだけ省内の人員整理し、そしてやっていくという趣旨に沿いますために、いろいろ話し合いをいたしました結果、二名の減員をいたすことにいたしたのでございます。
  43. 山内広

    ○山内委員 その点は私も予想がついておったのですが、私長官に若干の意見を申し上げておきたい。  この企画庁ができました当初は、たしか審議官が九名くらいおった。その後、途中でだんだん減少されて、現在五名。それがさらに二名減らされて三名。今のお話では、五名も多いとは思わぬというお話でありますけれども、私の感覚で言えば、各省のエキスパートを供出して、そして総合調整をはかる企画庁として、こんな三名くらいの審議官で、はたして設置法の三条に規定する仕事ができるかどうかということを私心配する。これは審議会のような重要な所掌事務の決定に参画すると書いてあるのですから、そういうときに、審議官を出しておった庁だけがうまい計画に参画して、そしてあとの人は出せないのだ、そういうことになりますと、経済企画庁としての目的達成の上にそごを来たしはしないか。今行管の川島さんからもいろいろお話のあった通り、確かに非常に圧縮しようとするお考えはわからぬではないけれども、これをあまりに度を越すと、いろいろどんどん大きくなっていくすべての行政機構にマイナスになってくる。単にこれはあなたの方は審議官を二名減らして、そうして十四名また下の者をふやしている、こういうことの調整は、話し合いによってできるのではないか。これは、私も、どこから現在の五人の方がおいでになっておるか知っております。二名は、どこを減らすかは私わかりませんけれども、そういうことで片寄った経済企画庁の総合調整あるいは長期にわたる経済計画というものができては、これは機能の障害になるのではないか。何か与党らしい質問になってはなはだ悪いのですが、そういう点もちょっと心配がありますから、もう一ぺん長官の御意見を聞いてみたいと思います。
  44. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 いろいろ御心配をいただいておりまして、ありがたいしあわせでありますが、経済企画庁は、御承知の通り各省調整をやることでございますし、また、現在までのところ、経済企画庁の成り立ちから申しまして、プロパーの出身者もまだ十分ではございません。従って、各省からそれぞれ出向をしてこられるのでございます。しかし、私ども企画庁に参りまして仕事をしてみて、各省から来ておられる人々が、自分の出身省の代弁者であるという考え方で仕事をしておられるようには思いません。やはり企画庁という仕事のワク内に入って、それぞれの出身、経歴によるエキスパート的な才能はふるわれますけれども、しかし、各省というようなワクにとらわれずして、企画庁の総合官庁としての機能を発揮するために十分な努力をしておられると思うのでありまして、そういう点において庁内あげて参りますれば、単に審議官等の数には必ずしもこだわる必要はない、こう思っております。
  45. 山内広

    ○山内委員 その議論はこの程度にやめますが、経済企画庁各省の行政機関にまたがるものを総合調整しておるわけですが、ただ、大きなこういう仕事のうちで、特に水資源局に関係してですが、株式会社である電力会社との調整はどういうふうにしてはかられるのか。いろいろ組織法などをのぞいてみましても、なかなか困難な問題があるように思われるわけです。その点についての考え方をお聞きしたいと思います。
  46. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 企画庁といたしましては、電源開発促進法という法律を所管いたしておりまして、それに関連する限り電力関係等に関与しておるわけでありますが、これも関係各省大臣委員になっておられ、内閣総理大臣が会長をやっておられる審議会、それにはかってきめるということでございまして、企画庁はそういう各省間にまたがります電源開発の問題を調整するという役割を果たしておりまして、直接の電力会社との関係は、主として通産省公益事業局が担当するという格好のものに相なっております。
  47. 山内広

    ○山内委員 私の聞き方が悪いのかもしれませんけれども、行政機関であれば、経済企画庁が上にいて総合調整はやるが、この行政機関のらち外にある会社である電力会社に、たとえばここをどうしても水路にしなければならぬ、あるいはこういうふうに企画しなければならぬといっても、水利権を持っている九つの電力会社は、なかなかそう簡単に応じないし、これの調整をどうするのか。あるいは法的には何か土地収用法のような強力なものでもあれば別ですけれども、何か調整の窓口というものがなければならぬ。今度もう少し勉強しますけれども、想像では、通産省が窓口だとは思いますけれども、その辺の調整をどういうふうにしてはかるのか。大事な電力を計画しても、電力会社の水利権だけは絶対あなた方の手が及ばない、あるいは今度の公団の方の力も及ばないというのであれば、これは何にもならないことなんです。どういうようにして現実にその調整をおやりになるのか、聞かしていただきたい。
  48. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 ただいまの点に関しましては、通産省の公益事業局として担当し得る限りのことは公益事業局の方で処置いたしておるわけでございますが、水の利用等に関しまして、いろいろたとえば建設省、農林省との関係も水力発電の場合にはございます。また、府県が公営の発電をやるというような場合もございます。調整審議会のおもな仕事は、毎年電力開発の基本計画を作成いたしまして、着工の地点等を決定いたしておりますので、その際に、建設省、農林省、自治省、その他関係各省の担当官の幹事会がございまして、各省寄り集まっていろいろ個々の問題、地点についても検討いたしますし、その検討調整の結果を電源開発審議会に持ち出す。昨日も実は第三十三回の電源開発審議会が開かれたわけでございますが、そういうふうな役割を企画庁としてはやってきておるわけでございます。
  49. 山内広

    ○山内委員 今電源開発審議会で調整するというようなお話があったのですが、これは電力会社の人たちが入っている審議会ですか。その点、構成を一つ……。
  50. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 これは電力会社の人は入っておりませんで、関係各省大臣と学識経験者によって構成されております。たとえば委員といたしましては、開発銀行の総裁とか、興業銀行の頭取とか、あるいは電力調査会の会長とか、東大教授とか、そういうような形で、電力会社の責任者は委員に入っておらない委員会でございます。
  51. 山内広

    ○山内委員 私のお尋ねしているところをまだ理解していただいてないのですが、具体的例を申し上げればわかると思うのです。たとえば、さっきも言いました通り、個々に何かダムを作って発電をやって、それを何か農林水産の方の関係の灌漑にでも使おうといった場合に、水利権を持っている電力会社が横に寝ると起こしようがないのです。そういう調整をどこでどういうふうにしておやりになっているか。これはあなた方は現業の官庁でないから、御存じないと思う。こういうことはテーブル・ワークだけでは出てこないと思いますけれども、現実にそういう争議が起こって、いかに企画する方で、あるいは建設省の方でやろうと思ってもできない例があるので、そういう調整は、経済企画庁ではどういうふうにしてやっておるのか、こういうことなんです。
  52. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 この点に関しましては、今回の水資源開発促進法の中の水資源開発の基本計画に「治山治水、電源開発及び当該水資源開発水系に係る後進地域の開発について十分の考慮が払われていなければならない。」そういうような形で、水資源の総合的利用と電源開発の間を調整する一条がございますし、なお、第十一条にも、電源開発基本計画と水資源の方の基本計画との調整は、内閣総理大臣が電源開発調整審議会と水資源の審議会の意見を聞いて行なうものとするということが述べられておるわけでございます。従来は、関係各省の電源開発審議会の幹事会が、そういういろいろな各省の立場、水の利用、他の利用目的というような、相異なる立場からのものを調整する話し合いの場になってきておるわけでございます。
  53. 山内広

    ○山内委員 まだわからぬのですが、これはこれ以上申し上げてもしようがない。やはり私の心配した点が、ここの答えの中から出ておると思うのです。経済企画庁は実施官庁ではなくて、ほんとうの計画立案の場なんです。ですから、今度の水資源の問題でも、私が申し上げるまでもなく、利水の面と建設の面とでものすごい所管争いをして、そしてその結果が、けんか両成敗といいますか、長官にしては非常に御迷惑な話であろうけれども、あなたの手元に押しつけられた。そこで、この実施面を持たない、机上の計画を立てるあなたの方では、いかに水資源局を持ってみても、仕事をやれないのじゃないかという心配を、この前の委員会で伊能委員が言われておるのです。私も、やはり同じ心配を今の答弁の中から感じないわけにいかなくなってきております。テーブルではいかにうまいことをやっても、それを流してみたら、電力会社一つ起こす窓口がないじゃありませんか。審議会に諮ると言っても、それは確かに今お読みになったような条文ではできますよ。しかし、それは行政官庁の仕事ならできるけれども、株式会社であり、水利権を持って独立している。これに対して何らの力もない。これは何か今度立法でもされて特別の措置を講ずるなら別ですけれども、ただ押しつけられたからやらなければならぬということで、そうやかましく言うならば、二人減らして体裁だけ整えて水資源局を作れ、さあやってみたが、何ら実施面を持たない。そういうことでは、せっかく水資源局をお作りになっても、はたして総合調整のりっぱな目的に書かれたような力が出てくるかどうか、非常に疑問に思わざるを得ない。そして長官、あなたは責任だけ負わなければならない。最近問題になった東北開発株式会社だって、あなたのところに窓口があって監理官を置いているから、あなたが責められなければならない。そして仕事は、実際の実権は持たない。こういう点で、せっかくの計画ですから、そういう点をこれからの仕事を進める上において十分御配慮にならないと、せっかく作った水資源局は生きてこない、私はそういう心配を感じます。  直接御提案の問題とは関係ないのですが、実は今物価問題がやかましいですから、若干お尋ねしようと思いましたが、時間もきておりますので、これで終わります。
  54. 中島茂喜

    中島委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明三十日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時二十一分散会