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1962-03-23 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十三日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 山内  広君       内海 安吉君    大森 玉木君       金子 一平君    倉成  正君       田澤 吉郎君    高橋  等君       辻  寛一君    藤原 節夫君       保科善四郎君    有馬 輝武君       田口 誠治君    成田 知巳君       西村 関一君    受田 新吉君  出席政府委員         内閣審議官         (内閣官房内閣         審議室長内閣         総理大臣官房審         議室長)    江守堅太郎君         法制局次長   高辻 正巳君         法制局事務官         (長官総務室主         幹)      関  道雄君         法制局参事官         (第三部長)  吉國 一郎君         総理府総務長官 小平 久雄君         総  理  府         総務長官   佐藤 朝生君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   増子 正宏君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      深見吉之助君         宮内庁次長   瓜生 順良君         運輸事務官         (大臣官房長) 廣瀬 真一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局総務課         長)      吉国 二郎君         運輸事務官         (港湾局管理課         長)      岡田京四郎君         運輸事務官         (自動車局参事         官)      増川 遼三君         労働事務官         (職業安定局調         整課長)    北川 俊夫君         建設事務官         (道路局次長) 高田 賢造君         日本国有鉄道         副  総  裁 吾孫子 豊君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月二十三日  委員小川半次君及び柳田秀一辞任につき、そ  の補欠として田澤吉郎君及び有馬輝武君が議長  の指名委員に選任された。 同 日  委員田澤吉郎君及び有馬輝武辞任につき、そ  の補欠として、小川半次君及び柳田秀一君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十二日  恩給年金等受給者処遇改善に関する請願(  大久保武雄紹介)(第二七一二号)  同(植木庚子郎君紹介)(第三〇〇四号)  恩給増額に関する請願宇野宗佑紹介)(第  二七一三号)  同外三件(中野四郎紹介)(第二七三七号)  同外一件(大久保武雄紹介)(第二七五四  号)  同外一件(唐澤俊樹紹介)(第二七五五号)  同(宇野宗佑紹介)(第二七八八号)  同(小川平二紹介)(第二七八九号)  同外二件(橋本登美三郎紹介)(第二七九一  号)  同(藤本捨助君紹介)(第二八八六号)  同外二件(宇野宗佑紹介)(第二九九九号)  恩給増額に関する請願北澤直吉紹介)(第  二七一四号)  同(橋本登美三郎紹介)(第二七九〇号)  建国記念日制定に関する請願外一件(福田篤泰  君紹介)(第二七一五号)  同外十八件(原田憲紹介)(第二七三九号)  同外七十四件(久野忠治紹介)(第二七五九  号)  同(佐藤虎次郎紹介)(第二七六〇号)  同(志賀健次郎紹介)(第二七六一号)  同(松本俊一紹介)(第二七六二号)  同外四件(纐纈彌三君紹介)(第二八八五号)  同外二十六件(宇野宗佑紹介)(第三〇〇二  号)  同(保利茂紹介)(第三〇〇三号)  元満州鉄道株式会社職員期間恩給法等の特例  措置に関する請願外三件(内海安吉紹介)(  第二七三五号)  同(内海安吉紹介)(第二七五六号)  (同大石武一紹介)(第二七五七号)  (同田中龍夫紹介)(第二七五八号)  同(簡牛凡夫君紹介)(第二七九五号)  同(田中龍夫紹介)(第二七九六号)  同(本島百合子君)(紹介第二七九七号)  同(佐々木義武紹介)(第三〇〇五号)  元満州国官吏恩給に関する請願辻寛一君紹  介)(第二七三六号)  同(池田正之輔君紹介)(第二七五三号)  同(湯山勇紹介)(第三〇〇六号)  恩給増額に関する請願早川崇紹介)(第二  七三八号)  同(坊秀男紹介)(第二七九二号)  同(菅太郎紹介)(第三〇〇〇号)  恩給増額に関する請願外三件(永山忠則君紹  介)(第三〇〇一号)  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案反対に  関する請願外十四件(石橋政嗣君紹介)(第二  七九三号)  恩給扶助料増額に関する請願菅野和太郎君  紹介)(第二七九四号)  福島県船引町内地区等寒冷地手当増額に関  する請願澁谷直藏紹介)(第二七九八号)  戦没旧軍人軍属栄典授与等に関する請願外九  件(臼井莊一君紹介)(第二八八四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  総理府設置法等の一部を改正する法  律案内閣提出第八〇号)      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 昨日、審議会のあり方、内容等既往の実態について、いろいろ御質問を申し上げたのですが、質問内容からいって、おそらく長官の方でも、既往のものについて相当審議会としての遺憾の点が感ぜられ、また、そういう点も昨日来いろいろと助言されて把握されておられると思うのです。従って、私どもは、こういう審議会を作る場合には、名実ともに完全なものにして効果を上げるようにしなくてはならないという考え方から、昨日からお聞きいたしておるわけです。従って、きのうの質問過程においていろいろ御質問申し上げ、また、答弁のできなかった面もありますが、そうい点について、その後把握されております面がございますれば、長官お答えで御無理でございますれば助言もいただいて、一つお答えをいただきたいと思います。
  4. 小平久雄

    小平政府委員 ただいまお話のございます審議会運営構成、それらについては、昨日来の御意見を十分尊重いたしまして、せっかく作ります審議会が十分その目的を果たすように、私どもといたしましても、一そう注意をいたし、努力して参りたいと考えております。  なお、御要求ありました資料につきましては、ただいま係の者がまだ参っておりませんが、用意をしておるはずでありますので、でき次第配付いたしたいと思います。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 昨日も申し上げておいたわけでありますが、お答えの中で交通基本問題調査会にいたしましても、港湾労働等対策審議会にいたしましても、委員の数が二十名から二十五名ということになっておるわけなんです。従って、この審議する、また調査する内容は多岐にわたっておりますので、相当構成員の数も多くとられたのであろうと思いますけれども、従来の審議会を見ますと、昨日も一例を申しましたように、社会保障制度審議会があるにもかかわらず、恩給法審議会があり、傷病軍人審議会があるというようなことで、この社会保障制度審議会との関連が一時非常に混乱を来たしたときもあるわけなんです。従って、私はそういうことを考えますと、構成員を多くする場合には、それぞれ審議をする過程においては専門々々の小委員会を作って、そして小委員でしっくりと審議検討をして、この結論審議会に持ち出して審議会結論とする、こういうような運営の仕方をしなければ、二十名、二十五名という大きな構成審議会を作りましても、また、たとえばこの交通基本問題調査会というものができましても、路面関係審議会とかあるいは貨物関係審議会とか、いろいろな審議会の必要が出てくると思うので、今後の運営の仕方においては、やはり適宜適切にそうした小委員会制度を設けて専門的な検討を行なって、そして審議会へ持ち出し、審議会結論として答申あるいは総理大臣諮問に答える、こういうような運営の仕方をとることが必要であろうと思うので、こういう点についてのお考えをお伺いいたしたいと思います。この点につきましては、昨日もちょっと申し上げておきましたので、おそらく腹案はお考えになっておられると思いますので、お聞きいたしたいと思います。
  6. 小平久雄

    小平政府委員 委員会ができました上での運営の仕方として、特に小委員会等を設けて運営をせよ、こういう御趣旨と存じますが、そういう運営の点につきましては、従来あります審議会調査会等におきましても、まずその構成ができました上で、通常第一回の会合等におきまして、今後どういう運営方法をしていくかということは、委員会自体としてそれぞれ御相談の上できめておるようであります。従って、あらかじめ仰せのような小委員会を作ってやるとかやらぬとか、そういうことを今から申し上げるわけには参らぬと思いますが、しかし、御意見の意のあるところは私どもにもよくわかりますから、審議会ができましたならば、十分そういう点も考慮の上で運営をしていただくように、私どもとしてお取り計らいたいと思っております。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 それから委員の待遇の関係です。手当関係ですが、これが非常にまちまちになっているわけです。それで、おそらく、総理府として現在までにできておる審議会委員の諸手当も相当格差があろうと思うのですが、これは審議会重要——また重要度の低い面もございますけれども一つ基準を作っておかなければよくないのじゃないかというように考えられるわけなんですが、この手当ということについて、今後どういうようなお考えを持っておられるか、これを伺いたい。
  8. 佐藤朝生

    佐藤(朝)政府委員 私からお答えいたします。  委員会審議会手当につきましては、お話通り総理府内部におきましては、一応大体のところ統一しておりますが、各省との関係等におきまして、いろいろ不統一の点もございますし、現在総理府内閣あるいは大蔵省等集まりまして、いろいろと協議しておるところでございます。現在のところ、総理府部内審議会委員会手当のことを申し上げますれば、本年度、三十六年度から幾分増額いたしておりますが、来年度、三十七年度の予算につきましてはまだ増額しておりませんので、ただいま申し上げました通り各省集まりましていろいろ相談をいたしたいと思っております。総理府部内審議会委員会手当につきましては、ある特殊な調査会、たとえば臨時行政調査会委員等を除きまして、ほかのものは大体統一しております。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは一つ法律的な拘束を持った基準があると思う。それに達しておらないものもありますし、そして、そういうものを度外視して、むちゃくちゃという表現は妥当かどうかわかりませんけれども、何に根拠を置いて増額されておるのかわかりませんが、支給されておる面もございますし、それで、こういうものを統一しようとする場合の今後の一つの法的な拘束の仕方ですね、こういうものについてのお考えを承りたい。
  10. 佐藤朝生

    佐藤(朝)政府委員 委員会審議会手当につきましては、法律的な拘束といたしましては、一般職給与に関する法律並びに特別職給与に関する法律最高額を掲げております。法律的な拘束としてはそれだけでございますが、その額の統一につきましては、今お話しのありましたように、いろいろ委員会性質もございますし、各省あるいは総理府部内におきましてのいろいろな委員会性質あるいは活動状況等考えていかなければならないと存じます。また、これは予算関係で非常に制約を受けますので、その点も考えながら、改善統一に努めたいと思います。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、この審議会なり調査会にかけて審議をしてもらおうとされることについての審議の仕方でございますが、これはやはり政府の方から一つ原案式のものをお出しになって審議してもらうのか、それとも、大きな幅の広いものを審議してもらうのか、これは審議会調査会内容によって相違はあろうと思いますけれども、そこでおわかりになりますれば、この委員会はこういう形でやるんだとか、この委員会はこういうような打ち出し方をして審議をしてもらうのだということを、一つ御解明をいただきたいと思います。
  12. 佐藤朝生

    佐藤(朝)政府委員 ただいまの諮問の仕方でございますが、総理府にございます委員会、おおむね諮問的、審議的な調査会等につきましては、大体抽象的に総理大臣から諮問いたしまして、審議会でいろいろと御審議を願いまして、具体的に答申されていただくというのが大体原則でございます。大体その方針で進んでおります。ただ、総理府の中にあります調査会審議会等の中で、訴願関係のものもございます。恩給審査会のようなものもございます。これは恩給に関して恩給局長異議申し立てに関する裁決をいたしますので、これにつきましては、原案を作りまして、その審査会諮問いたしておるという形になっております。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 今のお答えは、大体了解のいくような運営の仕方をされるようにお聞きをいたしたわけでありますが、実際的には、今のお答え通りにはなっておらないと思うのです。審議会によりましては、相当各省のそれぞれの局の方で検討をされて、コンクリートされたものを議案書として配られて、そうしてそれを審議にかけられる。審議にかけられた場合には、前もってそういうような議案が送付されておらないために、昨日も申しましたように、思いつきの意見委員の方が発言をされて、それで終わりということで、結局この審議会というものが、何か官吏一つ責任がれのようなものになっておるものが相当あるわけなんです。ただいまのお答え通りにおやりになるということになれば、私はけっこうだと思いますけれども、今後の運営の仕方としましては、たとえ抽象的なものにしましても、委員会を招集される場合には、審議してもらう内容は前もって送付してもらって、予備知識なり研究をしてきていただいて、十分に委員の方が審議できるような態勢を作ってもらわなければならないと思いますので、この点は、今までの審議会運営経過を拝見した体験から、強く要望をしておきたいと思います。  それからなお、委員任命でございますが、これは全部が全部とは私は申しませんけれども審議会によりましては、官庁のお気に召す方を任命して、そうして、やはり一つ責任がれの場にしようという考え方に利用されておる審議会もあるように私どもは拝見するわけなんです。こういうようなことから、委員任命につきましては、全くこの審議会の規則にありますように、学識経験者であって、そうして最も適任者であるという人、公平であるという人を公平に任命をしていただかなくては、やはり審議会そのものが曲げられて利用される面があろうと思いますので、この点につきましても、強く要望をいたしておきたいと思います。  それから先ほどのお答えで、現在のところでははっきりとは申し上げられませんけれども、その必要度に応じて小委員会等で十分に検討をして、そうしてその結論審議会が承認をし、総理大臣諮問にこたえたり、また答申をするというような運営の仕方も、適宜適切にやっていきたい、こういうような御答弁でございましたが、まだそういう運営方法がきまっておらないので、長官の方からそうしたお答えがあっただろうと思いますが、私はこの数多くの審議会の経緯を見まして、やはり二十名、二十五名というような構成委員会は、少なくともそうした営運をなさなければ、またこの審議会審議会を作らなければならない、調査会調査会を作らなければならないということが、審議過程で生まれてくると思うので、こういう点を特に御注文をいたしておきたいと思います。  先ほど来時間の関係をやかましく言われておられますので、この審議会関係につきましては、まだ掘り下げた質問もありますけれども、これは今度行政管理庁の設置法の改正のときに譲りまして、きょうのところでは私の方から一方的に要望をいたして、この審議会の方は終わりたいと思います。  審議会の総括的な面は終わりましたけれども、次に、一つ一つに対してちょっとお聞きをしておかなければならないと思いますことは、特に第一と第二の問題の港湾労働等対策審議会、それから交通基本問題調査会新設でございます。これはこの説明書にもございますように、港湾労働等対策審議会設置理由としては、港湾設備整備するんだ、それから船込み緩和対策を樹立して、港湾労働者の雇用の安定をはかろうとするものである、こういうことでございますし、交通基本問題調査会新設にあたっては、当面、現在問題になっておる路面交通混乱緩和交通事故の撃滅にまず手を施しまして、発展しつつある日本経済成長による輸送量増大に対処をしていきたい、こういうためには、総合的な陸上交通運輸施策を施す必要があるので、基本的な事項を調査審議をしてもらって、そして総理大臣諮問を受け、行政に移していきたい、こういうのが審議会設置理由に相なっておるわけでございます。そこで、一の問題にいたしましても、二の問題にいたしましても、運輸省行政のものではありますけれども、また、運輸行政として最も必要な施策の実現を円滑に行なう一つ方法ではございますが、この効果を上げるためには、建設省あるいは通産省、自治省、労働省、こういう各省の理解と協力を求めなければ効果が上がらないと思うのです。従って、この審議会なり調査会を作るには、全然無策で審議会を作るということを提案されたのではないと思いますので、そういう意味から、運輸省国鉄からもお見えになるかもしれませんが、国鉄関係に対して、第一と第二の審議会関連をして若干お聞きをいたしたいと思うのです。  陸上運送にいたしましても、海運にいたしましても、輸送そのものが、経済活動の動脈であるということは申すまでもございませんし、そうである以上、政府が行なわれんとする済経成長十カ年計画を果たすためには、この交通関係運輸関係の部門は、非常に重大な役割を持っておられると思のです。従って、こういうことから将来の施策行政をうまく行なわなければ、日本経済成長計画に支障を巻き起こすときがくるであろうと思うわけでございます。こういうところから、これは昭和三十二、三年でございましたが、あの神武景気といわれた当時にも、まず隘路とされておったものは、電力関係鉄鋼関係輸送関係、こういう面が隘路になっておったように記憶をいたしておるわけであります。従って、その後、電力関係鉄鋼業関係は、大きく政府自体といたしても力を入れて、最近におきましては非常に発展をいたして、これが日本経済発展の柱になっておることは事実であるわけでございます。ただ、ここで取り残されておるのは、こうした国民総生産が上昇いたしたにもかかわらず、輸送の需要とのバランスがとれておらないということ、それから交通運輸関係施策がおくれておるということは、もう今日問題になっておって、外部においては、時おり、交通運輸対策を樹立させるための危機突破大会が開かれたり、また、閣僚懇談会においても大きく取り上げられておるわけでございまして、特に大都市においては、交通麻痺対策にきゅうきゅうといたしておるようなわけでございまするが、そういうような経過からいきますると、まことに抽象的な聞き方ではございますけれども経済成長十カ年計画による国民の総生産に対応するところの交通運輸行政計画をいかにお考えになっておられるか、これをお聞きしたいと思うのです。それで、こういう計画がなければ、今交通基本問題調査会を設けられて検討をしていただいても、これは範囲が狭いものであろうと思う。それから運輸省なり国鉄なりの行政に寄与する面の範囲が狭いと思いますので、そうした点についての抱負と申しますか、計画と申しますか、なるべく具体的にお答えをいただきたいと思うわけです。
  14. 廣瀬真一

    廣瀬政府委員 今御質問がございました、政府所得倍増計画の中で占める交通運輸関係の比重というものは、確かに非常に大きいもので、そしてまた、従来は、比較的国の経済発展に対応した十分の輸送力の確保というものができていないという面もありまして、政府といたしましては、特に運輸省関係陸上関係あるいは海上の関係で、所得倍増計画に対応いたしましてそれぞれ計画を立てております。  その概要について申し上げますと、まず、海運でございますが、所得倍増計画では、わが国の輸出は、昭和四十五年度に二千二百六十万トン輸入が二億三百六十万トンに達し、その間の伸び率は、輸出が八%でございます。輸入が九・九%、こういう想定を立てております。貿易量増大に伴いまして、四十五年度の輸入邦船の積み取り比率を、一般貨物は六〇%、石油類は六五%ということを目標にいたしますと、四十五年度に千三百三十五万総トン船腹が必要ということになりまして、このための建造量は、その前提といたしまして、古い船は解撤して参りますので、この解撤量を百二十六万総トンということにいたしますと、建造量差引九百七十万総トンということになります。この目的達成の場合の国際収支関係でございますが、IMF収支によりますと、運賃の受け取りは五億三千九百万ドル、支払いは一億千八百万ドル、差引四億二千百万ドル黒となるという前提でございます。これに基づきまして、船腹整備の五カ年計画運輸省としては持っておりますが、この五カ年計画では、昭和四十年度の輸出は千六百九十万トン一般貨物輸入が八千八百五十万トン、それから石油類輸入が六千十二万トン、この場合の輸出の積み取り比率は五四・五%、一般貨物輸入は五二%、石油は六〇%、そういたしますと、所要船腹八百八十五万総トンでございまして、所要新造量は五カ年間で約四百万総トン、こういう計画を立てまして、施策に反映いたしておるわけであります。今申し上げましたのは外航海運関係でございます。観点は、経済の伸展に即応いたしまして所要船腹を確保するということと、これは同時に国際収支に寄与する、この二つの観点から計画を立てておるわけでございます。  その次は、国の経済活動に非常に大きな関係を持っております港湾関係整備でございます。運輸省港湾整備五カ年計画を立てまして、過般閣議の決定を経ておりますが、この概要を申し上げますと、昭和四十年度の港湾取り扱い量というものは六億二千万トンになるという推定をいたしております。これが前提でございます。この貨物を取り扱うに必要な事業量は、昭和三十六年度以降五カ年間で総額二千五百億円、このうち、港湾整備五カ年計画として運輸大臣が施行し、また港湾管理者が施行する、これに国が補助する事業費総額は二千三百三十億円でございます。この計画におきます行政別港湾整備目標は、外国貿易港の整備が六百四十一億円、産業港湾整備が八百八十一億円、内国貿易港湾整備が四百七十億円、その他が八十八億円、ほかに調整項目として二百五十億円、合計いたしまして二千三百三十億円、これが現在政府が持っております所得倍増計画に対応する港湾関係の五カ年計画でございます。  次に、陸上に参りまして、その大宗をなします国鉄の五カ年計画について概要を申し上げますが、国鉄の五カ年計画は、昭和三十六年度を初年度といたしまして、投資総額が九千七百五十億円、これで発足をいたし、三十六年度は予算千九百二十五億円を計上して計画の推進をはかって参り、三十七年度予算におきましては二千三十五億円をもって第二年目の計画の推進をはかろうとしておりますが、国鉄の五カ年計画のおもな項目について申し上げますと、重点を置いておりますのは東海道新幹線の増設でございまして、これは五カ年間で総額千七百三十五億円を予定しております。  その次は、最近非常に問題になっております大都市付近の通勤輸送対策でございまして、これに対しまして五ヵ年間で六百四十億円を予定しております。  次は、各幹線の輸送力が最近非常に逼迫しておりまして、国の経済流通に支障を与えておりますので、これに重点を置きまして、幹線輸送力の増強に二千五百五十六億円、それから同じくやはりこれは幹線の電化あるいは電車化、これは輸送力の増強にもなります。また、国鉄の近代化にも大いに寄与するわけでございますが、これに対して千三百三十億円。  次はディーゼル化でございます。これは幹線以下の国鉄輸送力の増強、近代化に役立ちますが、これに五百八十八億円、その他取りかえその他の改良というものに二千四百九十四億円、ほかに総係費がございまして、これが四百七億円で、合計九千七百五十億円の資金計画をもちまして五カ年計画を現在強力に推進中でございます。  以上、おもな運輸省所管の外航関係港湾関係陸上のうちで特に根幹になります国鉄の五カ年計画というものを申し上げましたが、要するに、国の所得倍増計画に対応いたしまして、運輸省所管のおもな輸送力の増強については、計画をもちまして現在着々と進行中でございます。  簡単でございますが、輸送力増強関係について御報告を申し上げます。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 五カ年計画を中心に御説明をいただいたわけなんですが、五カ年計画日本経済成長度合いに見合ったものかどうかということについては、いろいろ検討の仕方によって相違も出てきまするが、ただ、ここで考えられますることは、今後の輸送構造というものは、やはり産業立地、大都市のあり方ということによって相当動かされる面があると思うのです。問題は、御承知の通り、太平洋岸に沿って形成されておるところのいわゆるベルト地域の工業発展によるものでございますが、太平洋岸沿いの輸送密度というものは、今後とも一そう上昇していくものと思われるのです。それで、こういうようなことから、考えまして、また、現在の路面の不足をしておる面も勘案いたしますと、この工業地帯の分散、それから都市の分散というようなことが考えられていくと思いますし、こうなりますと、広く北海道や東北、裏日本、こういう方面へ大企業地帯を造成する必要も出てくるのじゃないか、かように考えられるわけです。そこで、こういうような発展をもしいたしますれば、当然表日本から裏日本へ通ずるところの鉄道、道路網の拡充強化というものをはからなければならないと思いますし、それにこたえるには、やはり鉄道の電化、幹線の複線化または複々線化、それから県道の二級国道への昇格、二級国道を一級国道への昇格、こういうような計画が、やはり青写真というものが作られて、その上にのっとって作業するということでなければならないと思うのですが、これにつきまして、運輸省は、こうした形がおそらく今後とられると思うので、今の鉄道にいたしましても、また道路面にいたしましても、どういうような計画をお持ちになっておられるか。それからさしあたり、私は日にちを忘れましたけれども、先般毎日新聞に出ておりました、県道を二級国道に昇格するもの、それから二級国道を一級国道に昇格するものが、今度の審議会で決定してもらおうとするものが相当の数になっておったわけなんですが、これは事実そういうような方向にいかれるのか、これもあわせてお答えを願いたいと思います。  もう一つ、あわせてお答えを願いたいと思いますのは、この審議会が二年間という期限が切ってあるのですが、二年間かかって結論を出してもらおうとするこの交通基本問題調査会には、どの範囲、どの程度のものをテーマとして出して審議してもらおうとするのか、その点も承っておきたいと思うのです。おそらく無策ではないと思います。
  16. 廣瀬真一

    廣瀬政府委員 ただいまの御質問の前段の、表日本側と裏日本側を連絡いたします鉄道、道路網の強化整備というお尋ねがございましたが、その鉄道関係についてお答えいたします。  まさにおっしゃる通りでございまして、国鉄の立てております五カ年計画というものは、今後発展が予想される産業立地の関係というものを考慮に入れまして、計画を立てておるわけでございます。日本海側と太平洋岸を結ぶおもなルートといたしましては、上越線であるとか、信越線、あるいは北陸線というようなものがございますが、こういったものはすべて五カ年計画で取り上げておりまして、複線化であるとか、あるいは必要な区間の複線化であるとか、あるいは電化というものを十分に計画に入れておりまして、着々御趣旨に沿うような態勢で工事を進めておるわけでございます。  道路の関係は、建設省から……。
  17. 田口誠治

    田口(誠)委員 まだ政府委員答弁の方がお見えになりませんので、次に移りますが、ただいま申し上げましたような問題は、建設省との関係もあろうと思いますけれども、やはり運輸省として路面関係の管理も担当しておられる関係上、全然それには無策ということはないと思うわけなんで、お答えできる範囲内でお答えをいただきたいと思いますことは、御承知の通り、最近日本におきましては、特に自動車の普及が著しく増大してきまして、御承知の通り混乱を来たしておるようなわけです。従って、今後の場合を考えてみましても、道路による輸送量の急増ということで、総輸送量の中における比重が相当大きくなってくるのじゃないか、こういうように考えられるわけなんです。それで、こうした輸送向上の中でこのように道路の比重が大きくなったのは、自動車の生産増加と、近代的な生産のため自動車の価格が安くなったというのと、国民が文化的な生活をしておるということが相待って、道路輸送の必要と利便というものが生み出されて、向上させておると思うのです。御承知の通り昭和二十五年から三十五年までの十カ年間のうちに、保有台数が七倍にもなっておるようなわけです。そういうような状態でございますので、こういう一年々々の増加数を勘案して、将来の計画を立てられる場合には、これは建設省の担当の部面もありますけれども運輸省としても強力にこうした面への働きかけをして、そうして今日のようなおくれた事態を巻き起こさないように、将来考えていかなくてはならないと思うのです。そういうようなことから、この道路運送の量の増加とともに、質の向上というようなものも、ともに内容が変わってくると思います。たとえて申しますなれば、昔は自動車輸送といいましても近距離でございましたけれども、最近は相当長距離のものもあり、中距離のものもある。それから昔は小型自動車であったものが、大型自動車に移行されてきておる。こういうようなことから、道路輸送には長距離化、大型化、高速化というようなことが今後考えられるので、こういうものに対処するために、おそらく五カ年計画の中にもこれは織り込まれておるとは思いますけれども、しかし、五カ年計画をお立てになった当時は、今日のこの交通麻痺の状態、交通問題がこれほど大きく取り上げられたときにお立てになったのでないから、まだまだ私は隘路があろうと思うわけです。従って、将来に対処するためには、あの五カ年計画内容だけでは不十分であろうと思うのですが、運輸省の方ではあれで足りるというようにお考えになるのか、もし足らないとするなれれば将来どういうような予算措置なり計画をお立てになるお考えなのか、この点もお伺いしておきたいと思います。
  18. 廣瀬真一

    廣瀬政府委員 今御質問がございました通りでございまして、最近の自動車輸送力の進展というものは非常な勢いでございます。また所得倍増計画を見ましても、今後陸上輸送におきまして、道路運送と申しますか、自動車輸送が大きく伸びていくという見通しでございまして、運輸省としても、道路の整備というものには非常な関心を持っておりまして、現在建設省で立てております整備計画というものには十分に意見を申し上げて、また、運輸省意見は建設省によって十分取り入れられておりますので、この計画が建設省におかれまして計画通りに実行いただけば、こちらとしては非常に希望を持っておるわけでございます。今後輸送の想定が変わるのではないかということでございますが、これは道路計画に限られた問題ではなくて、全体の計画が将来変わってくることも予想されます。こういった場合にも、運輸省といたしましては、こちらの考え方を十分反映させて、建設省関係は円滑に進めて参りたいというように考えます。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、現在の問題についてちょおと触れて、お答えをいただきたいと思いますが、ただいま御質問申し上げ、御回答のあったような、今後のこの路面に対する輸送形態というものが、いろいろな形でやはり変わってくると思いますし、先ほども申しましたように、小型自動車は大型になり、それから自動車数はふえ、速度は早まり、短距離が中距離、中距離が長距離ということになるわけですが、この点につきましては、やはり経済発展と不離密接なものであって、行政そのものも並行して行なわなければならないのですが、当面の問題として、現在大都市の交通麻痺の状態を緩和するという面から、今後発展していこうとするところの大型自動車の昼間の乗り入れを禁止するとか、また、バスの大型を時間的に規制するとか、こういうような規制が当面とられようとしておるわけですが、いつまでもこういうことを続けさしていくということになりますと、今発展しつつある経済成長に並行していくところの輸送の形態に逆行をしていくことになろうと思うので、当面処置されるものは、全くの当面のことか、見通しとしてはいつ正常な形に戻されるお考えであるのか。これはちょっと無理な質問の面になるかもしれませんけれども、専門的に検討していただいておりまので、おわかりだろうと思いますから、おわかりになる方から一つ御解明をいただきたいと思うわけです。
  20. 小平久雄

    小平政府委員 交通規制の問題は、直接的には公安委員会の問題でありますが、交通関係閣僚懇談会あるいは交通対策本部でも論議をいたして参っておるところでございまして、私から便宜お答え申し上げます。  今回東京都内について行なおうとしておる交通規制は、もちろん永久的にこういうことでやっていくという建前ではございません。しかし、何分にも、御承知の通り、東京都内の交通は今麻痺状態に逐次陥りつつあります。現在都内に保有されておる自動車だけでも七十二万台かに及んでおる。しかも、毎月一万台程度ずつふえつつある。こういう状況でありますから、今日のままで放置をしておくということになりますと、この混雑の状態がますますはげしくならざるを得ない。どうしても当面の策としては、先般発表のありました程度の規制はやむを得ないであろう、また、場合によりましては、ごく短かい将来のことを考えますならば、あるいは一そうきつい規制をも行なわざるを得ないという状況になるかと思います。しかし、そうは言いましても、それはもちろん本来の姿ではございませんから、道路網の整備であるとか、あるいはその他大量輸送機関の整備であるとか、そういうことももちろん着々進行いたしておりますが、それに一そう力をいたしまして、本来の姿になるべく早く戻したいという希望を一面において持ち、あるいは希望だけでなく、その施策を進めて並行的にやらざるを得ない、かように私考えております。
  21. 田口誠治

    田口(誠)委員 国鉄の副総裁が時間がないようでありますので、副総裁の方へ御質問いたしたいと思います。  今までの質疑の経過をお聞きになれば、今後の問題については十分におわかりだろうと思いますし、また、聞かなくても、それぞれの計画をお持ちになっておられると思うのですが、私ども考えてみますと、国鉄のような公共的な事業をしておるところは、やはり公社で独立採算制をとって、労働者の定員を少なくして無理な仕事をさせるというようなことではなくして、やはり事故を防ぐためにも、この定員の問題というようなことが隘路一つにもなっておりますし、あまり独立採算制というようなことばかりにこだわって行政をやられるということは、公共的な事業としての使命を失うものであろうと思うわけです。従って、最近におけるところの国鉄の事故の問題にいたしましても、これをいろいろ分析しますれば、多種多様ではございますけれども、とにかくこの定員不足ということ、それから職員の労働強化ということが大きく手伝っておるということがありますし、また、余裕を持って専門的な勉強をする機会が日常に欠けておるというようなことが考えられるわけです。こういうことができないというのは、とにかく独立採算、独立採算ということで、定員を少なくしていく——まあ、機械化をされた場合は別問題ですけれども、定員を少なくしていくことに努力をされておられるので、本来の国鉄輸送の使命を果たしておられないと思います。それから全国から国鉄に対する電化の陳情とか、あるいは単線、複線複々線化、また新線建設の陳情、こういうものはたくさん出ておりますけれども、採算のとれないところへはあまり顔を向けられない。こういうことになりますと、日本全体の経済発展によるところの国民のレベルを引き上げるということに大きな支障を来たすものであって、国鉄の使命に反するものだと思うのです。特に、昨日の本会議で決定になりました日鉄法にいたしましても、国鉄自体が自分の使命をよう全うせずにおいて、なおほかの方の事業に手を出していこうとする心理は、私はわからないわけでございます。これはおそらく運輸委員会の方では相当やったと思いますけれども、この審議会設置するについての関連的な面もありますので、副総裁から一つこの点についての御解明をいただきたいと思います。
  22. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 お答え申し上げます。  国鉄の独立採算制度ということは、国鉄にとりましては絶対の要請でございまして、あらゆる努力を尽くして独立採算を維持するようにして参りませんと、現行の制度のもとにおきましては、国鉄が赤字を出した場合に、その赤字の始末をお願いするというわけには参らない建前になっておりますので、私どもとしましては、この独立採算というものをどこまでも確保しながら、同時に国鉄の公共的な使命をいかにして実現して参るかということについて、日夜苦慮いたしておるような次第でございます。先生方からごらんになりまして不十分で、足らない点が多々あることは、私どもも承知いたしておるのでございますけれども、この独立採算というワクを守る限度において、できる限りの努力をいたしておるつもりでございます。その中で輸送の近代化をやり、輸送力の拡充もやっておるわけでございます。そのことに関連いたしまして、現在定員の問題についてのお尋ねもございいましたが、私どもといたしましては、国鉄の経営という観点から見ますと、人件費の負担ということが大きな問題でございまして、この問題を野放図に放置いたしておきましたのでは経営が成り立たなくなる。そういう事情から、できるだけ作業の方法その他を近代化し、あるいは機械化し得るようなことは機械に置きかえていくというようなことで、できるだけ人員をふやさないように努力をいたしております。しかし、仕事の量はどんどん急速にふえて参りますので、定員を減らすというようなことは現在とうてい望み得ない状況にございますので、現在進行をいたしつつあります動力の近代化その他に並行いたしまして、国鉄の限られた要員の中でやりくりをする、動力の近代化ということに伴って、また一方では要らなくなる部面もありますので、そういう部面を減少し得るものは減少して、必要な部面に要員の配置転換をする、また、その配置転換のために必要な再教育もやるという方法で、人員の膨張を最少限度に押えるような努力をいたしておるのでございます。  ところで、最後にお尋ねのございました国鉄法の改正の問題でございますが、国鉄といたしましては、さきの昭和三十二年にスタートいたしました五カ年計画の場合にも、また三十六年度から再スタートいたしました第二次五カ年計画におきましても、国の国民経済全体の発展のための隘路とならないように、できるだけ輸送力の増強ということに重点を置いて、努力をいたしておるのでございまするけれども、国民経済発展というものは、私ども計画を立てます際に予想しておりますよりもはるかに急速であり、かつまた、新たな事情が次々と起こって参ります。今度の国鉄法の改正のごときも、その一つの例でございまして、臨海地帯に新しい工業地帯がどんどん埋め立てをされ、拡充をされてくる。そういうようなところにも当然鉄道の輸送力をつけるということは必要でありますけれども、現在の国鉄自身の第二次五カ年計画を遂行しておりますこの資金のワクの中で、そこまではなかなか手が見切れない。一方、新しい工業地帯の鉄道敷設に対する要請というものは、また非常に急がれておりまして、一刻も早く鉄道のルートをつけてくれ、輸送力をつけてくれという御要請がございます。そういうような事情にございますので、国鉄自身の現在の資金調達力では、なかなかそこまで国鉄が直接投資をするという余力もございませんので、国鉄から必要な経費の資金の一部を投資の形で供給いたしまして、あとはその地元の関係の会社なり、あるいは公共団体なりというところからも資金を出していただきまして、それを合わせてすみやかに必要な臨港鉄道の敷設等を行なう、こういうところから、今度の国鉄法の改正をお願いいたすようなことになってきた次第でございまして、これが限られた資金のワクの中で、しかも独立採算という大前提のもとにおいて、できる限り経済成長発展隘路にならないように、これに即応するように国鉄がやって参りますためには、こういうような方法もお認め願いませんと、なかなか国民の皆様の御要望にも沿いかねるというところから、法律の改正をお願いいたしたというような次第でございます。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 独立採算制の関係は、現在の機構ではそういう考え方の上に立ってやらなければ——これは改正をすれば別ですけれども、そういうことになろうと思いますけれども、あまりにも定員の問題についてしわ寄せがきておるという点が、やはり事故のもとになって、そして、現在ですら、二等に乗りますと相当立っておる者があるわけなんです。これはやはり今の国鉄営業法からいきますと、そういうものはあってはならぬし、そんな人から料金をもらうことすら間違っておるわけなんで、そういうような違法行為を行なってまでも現在無理をしておるわけです。国鉄なんというような、日本経済発展に最も寄与するところの重要な公共性を持っておるところが、独立採算制で縛られて、そして汽車に乗っておる人も、事故がないかと思ってきょうきょうとしておったり、貨物を預けてもそれを心配するような状態では私はいけないと思うので、こういう点をまず強化しなければならぬと思うのです。こういう強化をするところを忘れておいて、そしてなお、独立採算制で金もうけをしようという考え方の上に立って、ただいまの答弁ではなかなか上手な答弁をされましたけれども関連した臨海工業地帯にはさしあたり倉庫に投資をしたり、運送に投資をして、そして倉庫業も運送業も行なおとするこの魂胆は、本来の使命を忘れて、ただ金もうけ主義で国鉄というものが存立を続けようとしておるものだと私は判断をしておるわけなんです。従って、私は、そういう考え方に立つ前に、みずからの仕事を完全にやるべきであると思うのです。みずからの仕事を完全にやっておられるとするならば、完全だということをあなたはここで答弁を願いたいと思います。これは私は大切なことだと思うのです。重要な国鉄の公共的使命を忘れて、やらなければならぬことをやらずにおいて、そして金もうけにほかに手を出すというようなことは、これは国会でも重要な問題として考えなくちゃならぬと思うのです。巷間で承るところによりますと、国鉄の場合は、人件費を減らすために、高給者になれば早く首を一切る、首を切ってはかわいそうだから、どこかへ二度目の勤めを求めさせるということです。二度目の勤めを求めさせようとすれば、現在あるところの大企業、中小企業の運送、倉庫業者に、とにかくおれのところのどの局長を雇えとか、どの部長を雇ってくれというような強制が、従来されてきておるわけなんです。それで、今度のこの国鉄法の改正も、ほかの方へ手を伸ばして、そして投資をされれば、大国鉄というような大資本が出てきた場合には、とにかくそこの重要な幹部は、国鉄の、言葉は悪いけれども、下がりを吸えるということが考えられるということなんです。今のような人事の民主化されておらない今日、そういうことが現在あり得るわけなんです。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)ないということなら、私は証拠をあげて幾らでも申し上げるわけなんですが、それで、この問題については、そういうようなことは絶対やらないということなら明確にしてもらいたいし、従来はそういうことがやられているわけなんです。こちらの方の先生はそんなことはないとおヤジりですけれども、これはあり得るのです。これは非常に重要な問題であろうと思います。それで、従来もそういうことがなかったとするならば、はっきりとここで堂々と答弁してもらいたいし、そして、今後投資をされたその会社に対してそういうような強制を絶対やらないというお考えならば、やらないというお考えを明確に国会の答弁でしていただきたいと思います。
  24. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 現在の国鉄の仕事のやり方ということにつきまして私ども反省いたしますのに、足らない点が多々あることは、これはまことに申しわけなく思っておりますけれども、絶えず反省を重ね、努力を重ねて、本来の使命をはずかしめないようになお一そう努力を重ねて参りたいと思っておりますので、その点は御了承をいただきたいと思います。  それから、ただいま御指摘のございました、新たな法律改正に基づく投資は、国鉄が金もうけのためにやるのではないのかというお尋ねでございましたけれども、今回考えております投資と申しますのは、先ほども申し上げましたように、既定の五カ年計画の中ではまかない切れない新しい要請が出てきたのに対して、必要な資金の一部を国鉄が負担してやろう、こういうことでございますので、金もうけのための投資ということではございません。と申しますのは、この法律の改正がお認めいただけますと、おそらく会社の設立ということになるかと思いますが、この会社のできました場合の経営の見通しとして、決して、そんなにもうかって、大きな配当ができたりするような、そういう性格の会社にはならない。どうにか採算が維持できるという程度以上のものにはならないと思います。また、そういうワクの中で、やはり公共的な使命を果たせるということが、会社設立の趣旨でもあろうかと思いますので、投資条項ができたから、国鉄が巨大な資本をバックにして、もうかるところに投資をして金もうけをするというようなことでは毛頭ございませんので、この点も御了解を願いたいと思います。  なお、会社の設立に伴って、何か直接の、それこそ国鉄の人を押しつけるということを考えておるのではないかという意味のお尋ねもございましたが、会社の業務の性質上、ある程度国鉄の業務にも通暁した者がその会社の職員として加わることが必要な場合も出てくるかと思いますけれども、決して、今お話しのような意味合いの押しつけ人事を行なうというようなことは毛頭考えておりませんので、この点も御了承いただきたいと思います。
  25. 田口誠治

    田口(誠)委員 いずれにいたしましても、臨海工業地帯というのは今後必要になってきますし、そうなりますと、輸送の強化ということも必要だと思うのですが、そういう場合に、もちはもち屋で、もち屋の本職がそれだけの投資もようやらず、輸送に事を欠くというようなことがあった場合には、これはやはり採算を忘れてでも大国鉄が乗り出されるということはあり得るかもわかりませんけれども、まだそういうような状態が出ておらないうちに、今のような法改正を行なって乗り出そうということは、従来からあるところの人事問題なんかの処理をやはりなされる魂胆がその裏にはあるのじゃないか、こういうように私も考えますし、それが大きく心配されておるわけなんです。あなたは、下部の機関のことはどの程度かおわかりにならぬかもしれませんけれども、県単位、地方単位までいきますと、貨物主任さんですら、これはどうしても受け入れてくれというような式に、中小企業の運送屋へ持ってくるわけです。そうすると、国鉄さんと輸送業とはやはり仲よくやっていかなくちゃいかぬので、それをあまりあいきょうなくけるわけにはいかぬ、そうかといって、給料の高い人を雇うのも困り、けれども、事業をやっていく上にはそれもやむを得ないという、こういう泣き寝入りで了解をする面があるわけです。最近に至りましては、国鉄の労組あるいは全港運の労組、それからそれぞれの運送業の労働組合が、こういう点の民主化をはかるために努力をしておりますので、そういう点は少なくなってきました。しかし、まだまだないとは言えないわけなんです。従って、今度の国鉄法の改正によっての政令で定められた範囲において投資ができるという、この範囲が、おそく今後拡大されていくのではないかというようなことを危惧されておる。一番の問題は、やはり国鉄にお勤めになった方が、またその会社の上へ来てどっとすわっておやりになる、これは現在でもそういうような形をとられておって、非常に優秀な、それから効果を上げておられる方もございますけれども、相当に泣き寝入りをして受け入れをするところもあるわけなんで、それで、私は、昨日衆議院を通過したばかりでございますけれども、今日までの経緯から見て、そういう点が心配になりましたので、この審議会設置の問題に関連をして御質問を申し上げたようなわけでございますので、その点は御了承願いたいと思いますし、私の申し上げた意は十分に生かしていただかなくては、やはり公共性を持つ国鉄さんとしての態度ではないと私は思うので、その点よろしくお願いをいたしたいと思います。  それから次には、今後自動車でも汽車でもやはり高速化ということが重要になってくると思いまするが、そうしますと、操縦の安全性というようなことも、これは加えて必要であるわけなんです。現在こういう面の教育は別途に施されておらないと思うのです。これは国鉄さんだけに私は申し上げるのではなくして、路面においても、これは地方行政関係もございまするけれども、十分になされておらないと思うのです。こういう点については、今後の施策をどういうように考えられて、操縦の安全性の教育をなされていこうとするか。どちらからでもけっこうですけれども、お伺いをいたしたいと思います。  それから港湾関係になりますと、これは原子力研究所でいろいろ研究が進められており、世界的にこの研究が日進月歩進んでおるわけなんです。いつかの機会には、船にいたしましてもこの原子力の研究を取り入れる時期があろうと思うのですが、こういう計画は、全くの想像の計画でございますけれども、いつごろになったらそうした切りかえがなされるか、もしおわかりでありましたら、一つお答えを願いたいと思う。
  26. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 鉄道の関係だけ私からお答えを申し上げたいと思います。  鉄道といたしましては、だんだん列車、電車等が高速度化して参りまするし、特に今建設中の東海道新幹線ができ上がる場合には、非常な高速の運転をするようになりますので、それに備えまして、列車、電車の自動制御装置というものを現在研究いたしております。そしてまた、ある程度すでに一部の列車、電車にはそういうものをつけるようにいたしておるわけでございますが、こういう面の機械なり設備なりというものを今後さらに十分発展させていくという努力を重ねておるようなわけでございます。また、これを操作いたします職員の再教育というようなことにつきましても、現在もある程度やっておりますが、これから動力の近代化ということに伴いまして、内部における、今まで蒸気で運転しておった人を電気の運転をさせるというようなこともございますし、なお一そう今後ここに重点を置いて、関係従業員の素質向上ということにも十分努力をいたすつもりでおります。
  27. 廣瀬真一

    廣瀬政府委員 原子力の平和利用の関係で、海運関係でどのようなことを考えておるかというお尋ねかと存じますが、原子力平和利用開発関係は、科学技術庁が中心となって開発計画を立てて行なっておりますが、今こまかい資料を持ち合わせませんから、ごく簡単に申し上げますが、運輸省関係では、原子力船の開発ということを一貫の作業として進めております。ある程度非商用船をまず第一船として開発して参りたいということで、現在調査研究をしておる段階でございます。
  28. 田口誠治

    田口(誠)委員 まだ突っ込んでお聞きしたい点がありますけれども国鉄の方はこの程度で打ち切ります。  そこで、建設省からおいでになるのが、まだ向こうの採決の関係上、ちょっと手が引けないようでございますので、その間、時間の節約上、他の委員の方にかわって、またあとから質問したいと思います。
  29. 中島茂喜

    中島委員長 西村関一君。
  30. 西村関一

    ○西村(関)委員 ただいま同僚田口委員から各般にわたっての質問がございましたが、またただいま資料をいただきまして、拝見いたしますと、各委員会あるいは審議会委員の兼職数が非常に多いことをあらためて知ったのであります。これは前にも問題になりましたが、こういう兼職の状態では、はたして十分に審議会運営がうまくいくかどうかということを危ぶみます。この点につきまして、総理府関係の各審議会がどのような会議を開いておるか、年に何回くらい開いておるか、そしてそれぞれの会議に各委員の出席率はどうであるかというような点をまずお伺いいたしたいと思います。
  31. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 お手元にお配りしてはございませんが、審議会開催回数調べという資料の中で、総理府で直接扱っております審議会だけについて申し上げますと、中央災害救助対策協議会というのがございます。これは昨年の四月から現在まで一回開いております。これは大災害のときに開きます審議会でございます。一回開いておりまして、御出席人員は二十五名でございます。それから雇用審議会を三回開いておりますが、御出席いただきました委員の数は平均いたしまして二十二人でございます。
  32. 西村関一

    ○西村(関)委員 何名中何名ということを……。
  33. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 委員全体の数は、私詳細にあれしておりませんが、委員の数は二十名から二十五名でございます。二十名のものと二十五名のものがどう分かれておりますか、ちょっと私記憶しておりませんので、そのようなつもりでお聞き取りを願いたいのでありますが、中央駐留軍関係離職者等対策協議会というのがございますが、これは二回開きまして、平均いたしまして十名の委員の御出席をいただいております。それから観光事業審議会、これは二回開きまして、平均二十二名の御出席をいただいております。それから海外移住審議会は七回開きまして、十五人平均御出席をいただいております。以下同様、売春対策審議会は二回開きまして十六名、産業災害防止対策審議会は四回開さまして二十二名、農地被買収者問題調査会は七回開きまして十二名、対外経済協力審議会は二回開きまして十七名、同和対策審議会は二回開きまして十七名、大体このような状況でございます。  先ほど申し上げましたように、委員の数は二十五名か二十名、場合によりましては十五名程度のものもございます。大観いたしまして、兼務をされておる委員の方々は非常に多いわけでございますが、非常に熱心に御出席をしていただいておりますように私ども考えております。
  34. 西村関一

    ○西村(関)委員 ただいまの御答弁では、会議出席の様子は非常に良好であるということでありますが、これほど重要な審議会が、災害対策などは別といたしまして、年に二、三回の回数では、はたして審議会として政府諮問に十分に答えるとか、あるいはその職責を全うすることができるかどうかという点がまず疑われるのであります。同時に、出席率は非常に良好であるというけれども、十七の兼職をしている人が二人もいる、また、十一から十五までの兼職をしている人が十二人もいるというようなことで、これは非常に兼職数が多過ぎるのではないかと思うのであります。それぞれの委員の方々はみな専門の練達の人でありますから、このような結果が出ておると思うのでありますけれども、しかし各界、各方面には相当人材がおられると思うのでありまして、そういう人材を堀り起こして、そうして実質的な一人一役とまではいかないにしても、このような兼職数を少なくしていくという配慮が、委員を委嘱いたします場合において行なわれることが必要であると思うのであります。このような兼職数が多くなりますと、審議会審議の状況はどうしてもおざなりになってくるし、回数も従ってそうたくさん開かれないということになって、担当の事務官僚まかせになってしまうという結果がどうしても起こってくる、これは自然の成り行きだと思うのであります。こういう点につきまして総務長官の御見解を承りたいと思います。
  35. 小平久雄

    小平政府委員 お話の前段の会議の開催回数の問題でございますが、先ほど審議室長から申し上げましたのは、いわば総会のことを申し上げたのであります。そのほかに、あるいは部会であるとか、あるいは小委員会であるとか、そういうものも相当程度開いてやっておるものもあるようで、それぞれの審議会の性格にもよりますが、大体所期の目的を果たしたものと思われるわけであります。  それから兼職の問題でございますが、これらもお示しの通り、若干常識をはずれたというか、あまり多過ぎるということは、われわれも痛感をいたしております。実は私が議運の方の仕事をやっております際にも、問題にした点でありますので、私も就任以来努めて兼職を減少するようにという方針でやっております。現に新しくできた委員会委員にどうしても御委嘱願いたいという方に、従来の委員をおやめ願ったというような事例も実はあるわけでごいます。何分産業界、経済界なりの組織に応じてその代表者を委員に委嘱するような場合もあるものですから、自然、こういった形にどうしてもなりがちなんじゃないかと思いますが、御趣旨の点はわれわれも全く同感でありますので、今後逐次御趣旨に沿うように努力していきたいと思います。
  36. 西村関一

    ○西村(関)委員 次は、審議会答申についてでありますが、せっかく審議会が設けられておるのであり、また、政府諮問機関としてこれを重視しておればこそ、審議会が設けられておるのでありますから、その答申は当然尊重せらるべきであると思います。ところが、政府におきましては、ややもいたしますと、審議会答申が軽んぜられるというような事態が、すでに御承知の通り、選挙制度の調査会答申につきましても、政府がこれと一致しないような、水増しするような方針を打ち出しておるということがありますし、あるいはまた、農地被買収者問題調査会答申を待たずに、旧地主に対するところの融資を予算化したり、あるいはまた補助の問題を論議したり、また答申が出ていないうちにそういうようなことが出てきておるということは、どうしても審議会を軽親する傾向であると言わなければならぬ。この点につきまして、十分に戒心をしてもらわなければならぬと思うのであります。長官の御見解を承りたい。
  37. 小平久雄

    小平政府委員 審議会調査会等答申を尊重いたすべきであるということは、原則論といたしましてはその通りと私どもも心得ております。ただ、答申がなされました際に、諸般の情勢から必ずしも答申通り参らぬことも事実でございます。まして、この点ははなはだ遺憾でございますが、しかし、内容的にあるいは実施の時期等につきましても、場合によりましては、広く国政全般から考えなければならぬ場合もございます。もちろん、原則としては、どこまでもできる限り尊重していく、こういう建前で参るつもりでございます。
  38. 西村関一

    ○西村(関)委員 答申を尊重せられるならば、答申案が出ないうちに政府が具体的な方針を出す、予算化までするというようなことは審議会を軽親しておるという結果であると言われても仕方がないと思うのであります。長官が言われますように、答申が出た通りにやるというわけにはいかぬ、全体的な、大局的な見地から方針を打ち出すのであるから、その通りには必ずしも参らないという点につきましては、私も了承できる。しかし答申がまだ出ないのに、審議会を無視したような結論を打ち出されるということについては、はなはだ了解に苦しむのであります。政府与党の間におけるなかなか複雑な事情があるということもわからぬではありませんが、今長官の言われました、審議会答申を尊重するという建前に立つならば、このようなことはあまり好ましいことではないということを思うものであります。再度この点につきまして御意見を承りたい。
  39. 小平久雄

    小平政府委員 審議会等諮問しておきながら、その答申を待たずに何らかの施策を行なうということも、これも厳に慎むべきである、私どもさように考えております。お話の点は、具体的には農地被買収者問題調査会の問題であろうと思いますが、今度政府が、旧地主のことで特に生業資金に困っておられる方に、国民金融公庫を通じて二十億の融資をいたそう、こういうことを考えておるわけでございます。この点につきましては、政府考え方としましては、一応旧地主に対する全般的な処遇と申しますか、処置と申しますか、そういうものをどうしようかという点は、調査会答申を待ってやろう、それとは別個に、いわばとりあえずの策と申しますかそれでやろうということでございますが、御承知の通り、これは現在の国民金融公庫法の運営そのままでも、実はやろうと思えばやれるわけなんでございます。たまたま二十億の出資を公庫にいたそう、こういう点で公庫法の改正をお願いいたしておるわけでございます。そこでまた、時期的に申しましても、これが国会の方を通りましても、実際にこれに対する貸し出しが行なわれることになりますのは、おそらく二、三カ月あとになるだろうと思います。一方調査会の方は、御承知の通り、六月までで期限が切れることになっておりまして、調査会の方でも急いで結論をお出し下さる、こういう御意向でございますので、おそらく調査会答申の方がむしろ先になるであろう、今のところさように考えておるのであります。従って、その答申が出ますならば、それを尊重せよということの申し出も先般ありましたが、私どもとしては、十分これも尊重いたしていくつもりでおるわけであります。
  40. 西村関一

    ○西村(関)委員 今の長官の御答弁、どうも一つ納得がいかないのです。そういうような内部的な事情があるにいたしましても、やはりはっきりと審議会に、また調査会諮問をかけておる以上は、その答申を待ってすべての処置が行なわれるべきである。その処置の仕方については論議がございます。御承知の通り、われわれ社会党といたしましては、もちろん、農地被買収者の方々の中で、困っておられる方々に対してはどうするかという点について、これは政府の見解とは違った立場において一つの見解があるわけでございますが、そういったようなことを今論議をしようとは思わないのです。ただ、手続の問題を申し上げているのでありまして、そういう今言われたようなことで、政府のとった措置が妥当であるというような了解はできない。あくまでやはり審議会なり調査会を作った以上は、これを尊重していくという長官の御答弁の趣旨に基づいて運営をやってもらわなければいけない。そうでなければ権威のないものになってしまう、有名無実のものになってしまう。今後もそういうことがあったのでは、それこそ心ある委員はその委員の責めを果たすことができないということになると思うのであります。こういう点は十分に注意をしていただきたい、かように思う次第であります。  次は、同和問題の実態調査を実施するための同和対策審議会の存続期限を二年間延長しようということでありますが、これは、当初この審議会ができましたときに、二年間の期限を切ったということで、期限がきたからさらに二年間延長する、こういうことでありまして、これは当然のことであると思います。むしろ、この種の審議会なり調査会は、恒久的な同和対策、部落問題の根本的な解決をはかるために、恒久的な機関として行なわれなければならないというふうにわれわれは考え、主張して参ったのでありますが、ほかとの関連上、二カ年ずつ切っていく、こういうことになったために、期限がきたからさらにもう二カ年延長する、こういうことで、この点につきましては、もちろん異論はございません。ただ、部落問題、いわゆる同和対策といわれます部落問題の解決につきましては、これは非常に深い根を持っておる問題でありまして、国が本腰を入れて根本的な解決をはからなければならない。ただ表面に現われておるところの現象的な問題を解決していくということだけではなくて、なぜ六千ものいわゆる未解放部落があるか、三百万人からの部落民と称せられる人々が、理由のない身分的、社会的、経済的差別を受けているかという、部落の存在の起源にさかのぼって、また、その歴史にかんがみて、国が責任をもって部落問題の解決に当たるというかまえが必要であると思うのであります。これにつきましては、ようやくこの同和対策審議会ができたのでありまして、ようやくここに一つの窓口が開かれたわけであります。これはただおのおのの省だけにまかしておくべき問題ではなくて、総理府の中にこの審議会ができて、本格的にこの問題の解決に取り組むということの前提として、実態調査を行なうということになったわけでございます。私は、この審議会の機能を発揮いたしますために、現在の予算では足りないと思うのであります。これらも将来の問題として残るわけでございますが、予算の面におきましても、政府はこの部落問題の同和対策審議会予算のワクをもっとふやすというようなこと、さらに委員の選任につきましても、これはもうすでに委員はきまりましたが、きまって、すでにさっきも御報告がありましたように七回開かれておりますが、私など長年部落問題に苦労して参りましたものの一人といたしまして、社会党という立場を離れましても、この委員の人選につきましては必ずしも正鵠を得ているとは思わないのであります。この部落問題に対して、長年その中に身を投じて解決のために苦労しておるところの、いわゆる専門的な人材が相当にあるのであります。そういう方々を登用して、そして、政府諮問機関としての同和対策審議会の運用の実を上げていくという配慮がなされなければならぬと思うのであります。すでに委員はきまっておりますから、これをどうしろというようなことは私は今さら申し上げませんが、もし欠員等のありまする場合においては、十分な配慮をもってそういう専門家を委員に委嘱するというように願いたい。またさらに、専門委員がまだきまっておりません。専門委員の人選につきましては、特にただおざなりの選任と言っては失礼ではございますが、ただ関係各省関係係官の顔を並べるというようなことでなくて、専門委員の人選につきましては、十分な配慮をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思うのであります。その点につきまして、もし専門委員が、私はまだきまっていないと承知しておりまするが、きまっておりますれば、それもお答えをいただきたいし、それらの点について御答弁をお願いいたします。
  41. 小平久雄

    小平政府委員 同和対策審議会予算関係でございますが、これは御承知の通り、三十七年度におきましては、三百七十九万二千円を計上いたしまして、御審議をいただいておるところでございます。特に御承知の通り、実態調査の関係の費用が今度初めて認められまして、前年に比べますならば相当増額をいたしたわけでございます。もちろん、これで十分というわけではございませんが、今後さらに必要が起きますならば、それに応じて考えて参りたいと思います。当面、三十七年度としてはこれでまずやっていけるのではなかろうかと考えております。  それから審議会委員の問題でございますが、実は委員の選考につきまして、元来この設置法が超党派的ないわゆる議員立法でできた関係もございますので、各党の御意見等も十分尊重して選任をいたしたい、こういう意向でおったわけでございますが、遺憾ながら、なかなか御意見の一致を見ることができません。しかしながら、一方設置がきまりましてから相当長期間にわたって発足ができないでおるということは、はなはだこれは政府としても申しわけないことでもあるし、こういう点からいたしまして、昨年の暮れに委員任命をいたしまして、ようやくおそまきながら発足をいたしたようなわけでございます。その間必ずしも十全とは参らなかったと思いますが、今申します通り、こお審議会はこの八月で切れる建前になっております。それなのにどうも発足できぬのもどうであろうかということ、今も申します通り、極力尊重いたしましたが、皆さんの御満足のいく程度には参らなかったわけでございます。  そこで、専門委員の方は、お示しの通り、まだ選任は終わっておりません。実は専門委員の選任につきましては、最初の総会の際に各委員からお話がございまして、結局、各委員適任者と思う人を御推薦いただこう、その上でこの委員会として推薦者を決定いたそう、こういうお話し合いのようでございました。ぼつぼつ御推薦なされておる向きもあるようでありますが、まだ全般的にはそろっておらないようでございます。従って、ただいまお話のございましたような点には十分留意をいたしながら、専門委員の選任を行ないたい、かように考えております。
  42. 西村関一

    ○西村(関)委員 部落問題の重要性につきまして、長官はよく御認識になっておられると思うのですが、最後に、この問題に対する長官の御所信を承りたい。それから、この改正法案が通りまして、二年間延長いたしました二年後の場合においては、さらにもう二年間続いて延長するというお考えを持っておいでになりますか、その点をあわせてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  43. 小平久雄

    小平政府委員 まず、期限のことからお答えいたしたいと思いますが、これは先ほどお話がありましたように、一応二年ということで今回も改正を願おうといたしておるわけでございます。本来の性格から申しますと、もっと長期的に御検討いただくというのがあるいはむしろ適当かとも存じますが、しかし、また、あまり最初から無期限に設置しておくということは、そのために答申がおくれるということも想像されますので、一応二年程度でできるだけの答申をお願いする、こういう建前でありますので、その際に及んでなお必要な際には、もちろん延長もいたして参りたいと考えております。  部落問題についての所信ということでありますが、この問題は、お話にあります通り、歴史的にも非常に古い問題でありまして、そこへ包蔵されております問題は、きわめて複雑なものがあることは申し上げるまでもございません。しかし、当面の問題としましては、何と申しましても、部落をめぐる経済的な低位性とでも申しますか、そういう面、あるいは社会環境の問題、そういった問題につきまして、要するに、部落なるがゆえに一般よりも低位の福祉しか受けられないといったことを解消するという方向に、政府といたしましても十分努力をして参らなければならぬ問題だと、かように考えておるのであります。
  44. 西村関一

    ○西村(関)委員 短い時間ですから、十分に長官の御所信を承ることができなかったと思うのでありますけれども、部落の経済的な後進性、低位性がどこからきたかという点について、もう少し深く掘り下げて御検討をいただきたいと思うのであります。これは部落の人たちの責任ではなくて、歴代の権力者と申しますか、政治の権をとっておりましたところの権力者の犠牲となって、こういう部落という存在が今日まで続いておる。その根本の原因はやはりつかんでいただきたい。政府は重大な決意を持って、重大な責任を感じながら、部落の解消のために、部落の後進性をなくするために、差別の再生産をするような事態が起こらないように、部落の側からするならば、部落民自体の立ち上がりによって解消しようとする努力も払われておりますけれども政府としては、政府責任において部落の後進性をなくしていくというかまえが、私は必要であると思うのでございます。  短い時間の御答弁でありますから、十分に長官の腹の中を聞くことができなかったと思いますが、おそらく私の申し上げた点について長官は御異論ないと思いますから、総理府をあずかられる長官として、この問題の解決に格段の御留意を払っていただき、御努力を願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  45. 中島茂喜

  46. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 私は、簡単に、今回議題になっております税制調査会の問題についてお伺いをいたしたいと存じます。  今、西村委員からもお尋ねがございましたが、各種委員会運営について、特に兼職の問題について、はたしてその実効が上げられるかどうかという角度からの質問がありましたし、それに対しまして、その実態について、今までの経緯から長官ほどよく御存じの方はほかになかろうと思いますが、そういう意味で、何とかしなければならぬというお答えがあったわけであります。私は、やはり一つのめどを定めまして、年を切って対処していかなければ、このような状態はなかなか解決できないのじゃなかろうかと思うのであります。たとえば、今もお話のありましたように、二十近く兼職しておられる方がある場合に、確かに人材を求め、その調査会の機能を十二分に発揮させるという意味では、おのずから人が限られて参るでしょうし、そういう意味で政府も苦労されると思うのですが、しかし、それだけにこだわっておりますと、今申し上げましたようないびつな形がやはり出て参りますので、そこら辺について、たとえば五つ以上の兼職をしておられるような方については御遠慮願う、これは一つの例でありますが、そういった基準をきめられまして、その次の改選期には、その基準でもって他の方を考えていくというようなめどを早急に立てられなければ、今申し上げますように、なかなか解決できないと思うのであります。そういう意味で、長官御就任以来いろいろ検討しておられるということでありますが、そういった意味での一つのめどを立てておられるのかどうか、この点についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  47. 小平久雄

    小平政府委員 ただいまお示しのようなめどをはっきりいたしましてやるということは、一つの行き方として十分考えるべき問題だと存じております。ただ、そういうめどをかりにやりましても、従来のいきさつもございまして、これを一挙にやってのけるということも、実際問題としてはなかなか至難かと思いますが、これを五つまでがいいのか、あるいは七、八つまではいいのか、その辺のきめ方もございましょうが、いずれにいたしましても、兼職をなるべく少なくしていくという行き方としては、今お話のようなめどを一応持って将来はやって参るということにいたしたいと私ども考えておるわけであります。
  48. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 将来ということになりますと、これはいつまでたっても同じ形を繰り返して参ると思うのです。その意味で長官は一番適任だと思いますので、長官在任中にぜひめどを立てて推し進めていただきたいと思います。  それからこの税制調査会につきまして、今回の答申でも言われておりまするように、しかるべき他の機関において税制全般に対する検討を続けていくべきであるという答申をされておりますが、それにのっとって今回恒久的な措置を講じられようとする政府の企図については、私たちも全幅的に賛成をいたしまするし、今度の措置というものは非常にけっこうなことだと思うのでありますが、問題は、ただいまも申し上げましたように、これは三年間の期限を切った場合の委員の委嘱でありますと、まだ問題は少ないのでありますが、これが恒久的な機関になって参りますと、おのずから現在の三十人の人たちはよほど考えないと、所期の目的を達成できないのじゃないか、委員の委嘱について根本的に再検討しなければならぬと私は思うのでありますが、そこら辺について、この税制調査会委員の委嘱について、根本的にどのような角度から検討されようとしておるか、これをお聞かせいただきたいと思うのであります。小平政府委員 税制調査会関係は、申し上げるまでもなく、大蔵省あるいは地方税の関係で自治省、これらが一番関係の深いところでございますから、新たに発足をいたします税制調査会委員等につきましては、これらの特に関係の深い省ともよく相談をいたしまして、適任者を置いていきたい、かように考えております。
  49. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 長官の御答弁としては今の程度のことだろうと思いますが、吉国さん、今までの委員を見ますと、学者なり、あるいはいわゆる経済的な面で世に知られた人たちが主になって、それに知事なり町村長なりを一人、二人あれしておるというような形になっておりますが、先ほど私が長官に申し上げたように、恒久的な機関であると根本的に再検討しなければいかぬ。それについて大蔵省としてどのような構想を持っておられるのか、これが一つ。  それからいま一つは、先ほども総理府所属の各種委員委員会における出席状況についてお尋ねがあったわけですが、税制調査会はほかの委員会と違いまして一ほかの委員会と違うと言うと語弊があるかもしれませんけれども、総会が二十六回、それから部会が七十七回、また小委員会が二十六回開かれるというようなことで、非常に御勉強になっておりますし、その意味では、私は、委員各位の御努力に対して心から敬意を表しておりますが、しかし、やはりそこには勉強される方と、勉強したい意欲は持っていながらも、本来の職務の都合上、十二分にできなかった方とあろうかと思いますので、一例として、この総会に、三段階くらいに分けまして、ほとんど全回出席された方が何名くらいあるのか、それから半分くらい出られた方が何名くらいあるのか、七十七回のうち二十回も出ておられない人が何名くらいあるか、これを一つお聞かせいただきたいと思います。具体的な名前はあげるわけにも参りますまいから、そういった三つくらいに分けて一つお聞かせいただきたいと思います。
  50. 吉國一郎

    吉國説明員 ただいま二つの御質問でございましたが、出席の方からお答えを申し上げますが、ただいまおっしゃいましたように、税制調査会の中でも、特殊な理由でほとんど御出席にならない方も一、二ございます。しかし、大部分の方は、総会はもちろん、部会も、どれかの部会にはできるだけ出席するようにしておられまして、ほぼ平均的に出席しておられるというのが実情だと思います。一例を申し上げますと、三十六年の四月から今までの実績で見ますと、総会が七回開かれております。その出席人員が百七十八名、ですから、二十五名ということになりますね。三十名の定員で二十五名平均で出ておられますから、出席率は非常にいい。しかも、ほかの審議会に比べますと、総会だけでも一年に七回というのは相当なわけでございます。それから部会というのが二十五回開かれておりまして、この出席人員が二百六十七名、一回当たり十一名弱でございます。部会と申しますのは、総会の三十名を三つに分けまして、それぞれに十名ずつ基本的に委員を充てまして、ただ、一つの部会の委員がどれか一つ他の部会には顔を出すということになっておるので、形式上は三分の二、二十人ということになりますが、実質はやはり自分の固有の部会に出られる、そういう観点から見ますと、この十一名という出席率も相当高いと言えると思います。それから小委員会が三つございますが、この小委員会が十九回開かれて百四人、これは五百名弱でございますが、この小委員会が、実は例の国税通則法の小委員会というのが、委員が六名でございます。それから税法整備委員会と申しますのは、委員が四名、臨時委員が四名となっております。ですから、両方合わせまして八名。それから細目審議委員会と申しますのは、起草委員会に当たるわけでございますが、これは大体いわゆる学識者という方々で構成されて十四名であります。このうちで、前に申しました二つの小委員会が圧倒的に多いわけでございますから、そういたしますと、五名というものも、やはり八割程度の出席率ということで、実は御質問のようにグループ分けして今すぐ申し上げるほどしっかりつかんでおりませんけれども、総体の観念から申しますと、相当皆さんまんべんなく出席になっていると申し上げていいのじゃないかと思います。  それから委員の人選の問題でありますが、ただいま有馬先生仰せの通り、今度は恒久的機関であり、かつ、全く新しい観点から発足をするという意味で、委員の人選等については、相当根本的に考え直さなければならぬ点があろうと思います。これは御承知の通り、自治省も地方税の関係で関与しておりますし、関係の方面もいろいろございますので、目下いろいろと打ち合わせしている最中でございますが、基本的に申しまして、先ほど御指摘の通り、現在の税制調査会では学の経験者ということになっておりますが、この熟語が学識経験者という名前でできておりますが、大きく分けると、学識経験者になるかと思います。現在のところでは、先ほど申し上げましたように、十四名くらいが学識者、その他は経験者と分けられるのじゃないかと思うのでございます。その辺でいろいろ意見がございます。先般大蔵委員会で中山会長が言われたときには、今度の新しい調査会は基本的問題を審議するので、そういう観点から見ると、むしろ学識者が少ないじゃないかという御意見もあるわけでございます。反面には、もっと経験者を多くしろという御意見もございます。同時に、税制調査会は毎回いろいろな形で何回か行なわれてきておりますが、その際に基本的に考えられておりますことは、各界代表を代表者として選ぶという意味ではなくて、各界からそれぞれ経験者として、税の一般原則と申しますか、一般論を一般的な立場でやっていただくという意味で、各界代表をまんべんなく出すという態度はとっていないわけでございます。その点は今後も同じようにいかなければならないかと思っております。  なお、この法律に基づきまして、設置規則でございますか、政令で細目をきわめますけれども、その際には、委員の任期は二年ということにいたしまして、恒久的機関ではあるけれども委員は一定の期間で交代をするという建前をとろうといたしておりますので、参考までに申し上げておきます。
  51. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次に、これもまた、先ほどの問題と関連して、長官にお伺いをいたしたいと存じますが、一つは、われわれ国会におりまして委員会を歩きましても、出席率を見ますと、付属機関の委員の諸君の出席を云々できるような状態にもないので、非常におこがましいのでありますが、ただ、私も、ある付属機関といいますか、審議会の一委員となっておりますが、総会が開かれたわけでありますけれども、それも一年に一回、しかもタイミングを失して、たとえば予算の編成が終わったころに、一回くらいは開かざるを得ないだろうぐらいの調子で開かれておりましたので、私は総会の冒頭でそのことを申し上げ、注意を喚起しておったのでありますが、あくる年になっても、やはり同じような状態であります。これはもちろん各付属機関の自主性といいますか、運営についてはおまかせ願っておるのだろうと思いますが、それにしても、麗々しく設置されていながら、実質的な効果というものを上げていない委員会が相当にあるのじゃなかろうかと思うのであります。そういう点について、各省のものについては各省にまかせるというような形ではなくて、やはり総理府あたりで全般的にその運営についても検討され、指導される、こういうことが必要ではなかろうかと思うのでありまするが、その状況についてどのように把握され、また、その指導をどのように考えておられるか、長官にお伺いいたしたいと思います。
  52. 小平久雄

    小平政府委員 審議会の数が非常に多い、そこで、中には必ずしもその機能を発揮していないものもあるのじゃないか、こういう問題につきましては、全体といたしましては、行政管理庁の方でただいま検討なさっておるようであります。もちろん、総理府には、役所の建前上、付属機関として付置されております。ものが非常に多いわけであります。従って、私どもといたしましては、あえて管理庁の方のお指図を待たぬでも、自分の方で、なくてもよいというようなものがもしありますならば、進んで廃止をいたしていこう、今回のも、任期の切れたものが大部分でございますが、あるいは使命を果たしたもの、それらについては、一方においては廃止もお願いいたしておるようなわけでございまして、今後におきましても、今申し上げましたような建前から十分検討をいたして、廃すべきものは廃していく、たういう方針で参りたいと思っております。
  53. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今後検討するというようなことでは、さっきと同じように、なかなか現在の状態が前向きの方向にならないと思いますので、これは事務当局の方からでけっこうですから、大きく区分けしまして、さっき私が言いましたように、一年に一回しか開かれていないような委員会審議会が幾つくらいありますか。税制調査会みたいに非常に勉強しておるのもあり、吉國さんいばってもいいと思うのだけれども、それと同時に、ただ形式的にやっておるようなところが幾つくらいありますか。大まかでけっこうですから、お知らせいただきたい。
  54. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 総理府関係だけ申し上げますと、先ほどもちょっと申し上げましたが、一回だけ開いております審議会は、災害関係の中央災害救助対策協議会というのがございます。これは秋の災害のときの問題でございますので、そういうことだろうと思います。それ以外におきましては、大体一番多いので総理府関係におきましては、これには載っておりませんが、公営競技調査会、これが昨年の八月に御答申をいただきましたが、御答申をいただくまでに十回以上はお集まりを願っておる。それから農地被買収者問題調査会、これが現在問題になっておりまして、現在までに七回開いております。それ以外のものにつきましては、たとえば、中央駐留軍関係離職者等対策協議会というようなものは二回しか開いておりませんが、これは性質上非常にこまかい問題がございまして、総会は二回しか開きませんが、幹事会のようなものは年に相当ひんぱんに開いております。それから観光事業審議会は二回でございます。それから売春対策審議会、対外経済協力審議会、こういうものが二回程度しか開いていない、そのような状況であります。
  55. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 それから先ほどの西村委員質問に対しまして、長官の方で、委員の委嘱について、各党各派の意向も十分反映するような方途を考えるというような御答弁があったように聞いておったのでありますが、これについて、窓口は議運というようなこともあるでしょうけれども、具体的に今後どのような形を考えておられますか。これも非常に抽象的でけっこうでございますが、一つお聞かせおきを願いたいと思います。
  56. 小平久雄

    小平政府委員 先ほど御答弁申し上げましたのは、同和対策審議会について、あれがもともと各党一致の議員立法でできたといういきさつからいたしまして、委員についての各党の意見も十分聞いてやろう、こういうつもりでやったのだということを実は申し上げたのであります。今後の各審議会等委員の選任にあたって、これは各党の意見と申しますよりも、もちろん御希望、御推薦等があれば、十分承って考慮いたしたいと思いますが、あらためて特にお伺いするということは、これは申し上げるまでもなく、国会の御承認を得なければならぬ委員等もありますが、そうでない分までについて一々各党の御意見を承るというところまでは実は考えておりません。しかし、御推薦等がありますならば、十分これについて考えて参りたいと思います。
  57. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 待遇の問題についても、前の両委員からも質問されたのでありますが、今度の、たとえば行政制度審議会なんかについても、私は聞いてみてびっくりしちゃったのです。大きな仕事をまかせながら、車代にも当たらないような——車代と言うてはあれがあるかもしれぬが、各委員会とも非常に恥かしいようなあれしか出されていないので、その点について、やはり最低限といいますか、しっかりお手当は差し上げて、十二分に仕事をしていただくというような形に持っていった方がよろしいのじゃなかろうか。これはうちの党にもあるいはばか言えという議論があるかもしれませんけれども、私個人といたしましては、やはり十二分に考えて、そうしてお仕事をしていただくというような形が必要であろうかと思いますが、一つ基準みたいなものを設けられるお考えはありませんか。
  58. 小平久雄

    小平政府委員 手当の問題につきましても、有馬先生御承知の通り、また今お話のありました通りでございまして、われわれも、現在の程度で、これは常識的に申していかがであろうか、実は私自身も非常に足らぬというふうに考えております。そこで、実は予算の編成期におきましても、手当等も世間並みと申しますか、常識でまあまあうなづける程度にはぜひ全般的に直してほしいということを、大蔵大臣の方にも私も希望を申し上げておいたのでございますが、昨年に比べますれば、若干これでもよくなったようでございます。しかし、これは今すぐというわけにも予算関係であるいは参らぬかと思いますが、これも検討していくということで——おしかりを受けるかもしれませんが、当然改善して、いくべきものだ、そのつもりで今後も対処していきたいと思っております。また、基準のことにつきましても、目下それぞれ関係の向きで今やっているそうでございますから、まだ結論までには至っておらないようですが、大体の基準を設けようじゃないかということで、ただいま研究しているところでございます。
  59. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 吉國さん、今検討中の基準、大体のめどでけっこうでございますから、大蔵省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。せっかく総理府の方で申し入れがあったにもかかわらず、大蔵省の方で縛っておるとすれば、非常にけしからぬ話でございます。
  60. 吉國一郎

    吉國説明員 実は大蔵省と申しましても、私は主税局でございまして、むしろ私自身が委員会のお世話をしているという関係では、いかにも少ないということで、お願いしたい気がするところでございますが、なかなか主計の方がいろいろ事情がございますので、私としては何とも申し上げかねるのであります。
  61. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 これで終わります。
  62. 中島茂喜

  63. 田口誠治

    田口(誠)委員 先ほどの質問の中で、建設省がお見えにならなかったので、回答していただくのが保留になっておりますので、建設省の方にまずお伺いいたしたいと思います。  先ほど御質問申し上げました内容は、最近経済発展に伴いまして、輸送量が非常にふえて参りましたということと、それから現在の四大工業地帯といわれるところが、都市の人口的な面においても、また交通の面においても、輸送の面においても、非常に密度が過剰になりまして、分散する必要が出てきておるということ。従って、今後日本の工業の分散化、都市の分散化ということが進められていくと思いますが、そうなりますと、北海道とか裏日本とか九州というようなところへ分散されると思います。そうなりますと、鉄道にいたしましても、また自動車輸送に必要な道路網にいたしましても、拡充強化をいたさなければならないが、特に今隘路となっておりますのは、表から裏に通ずるところの輸送網、道路網の拡充強化が必要になっておると思うのです。従って、先般、日にちは忘れましたけれども、毎日新聞に出ておりました、県道を二級国道に昇格させる、二級国道を一級国道に昇格させるということで、審議会で、これこれのキロ、それから路線を決定したいということが出ておりましたが、この新聞に出ておる内容がそのまま審議会にかけられて決定されようとしておるかということをお伺いいたしたい。  それから先ほど申し上げましたように、分散的な今後の経済発展をさせようとしたときに、不足をしておりますところの道路網の拡充をどういうようにお考えになっておるか、この点の計画なり抱負を承りたいと思います。従って、それにつれまして具体的ではございますが、今度の審議会にかけられる中には、先般来からいろいろ岐阜県、福井県、滋賀県等から運動がきております、岐阜、木之本、敦賀に通ずる県道の二級国道へ昇格の問題も入っておるかどうかということ、それからあわせてここでお聞きをいたしたいのですが、こういう道路網が必要になってきますと、岐阜——高岡間の二級国道の整備の仕方が、美濃市から八幡へ通ずる、里数でいきますと約八里ございますが、この間が、片方は川、片方は山ということで、迂回線でも作らなければりっぱな国道にはならぬじゃないかということを申し上げたら、技術的にできるというお話でありましたが、あれはできないので、結局二級国道に昇格しましても、ところどころに貨物自動車がすれ違いする場所を作るということだけに終わると思うのです。こういうような貧弱な路面の拡張計画では、今後の経済発展に処するには、非常に貧弱な行政になると思いますので、この点もあわせて御解明をいただきたいと思います。
  64. 高田賢造

    ○高田説明員 最近の国民経済発展に伴いまして、道路の整備がまだ非常におくれておりますこと、発展の度合いに比べまして整備がおくれておりますことは、その通りであります。現在御承知の通り、道路整備五カ年計画というものによりまして、今後昭和四十年度までに相当整備拡充をはかりたいと存じておるところでございます。ことにお話の国土の横断と申しますか、この点につきましては、一級国道あるいは二級国道というような路線を結びまして、連結をはかることにいたしております。  なお、お尋ねの国道の昇格問題でございますが、先般毎日新聞に一部記事になりまして出ておりましたのでございます。あの記事は、建設省としてこれを発表したものではございませんので、新聞社の方で報道されたものと存じておりますが、現在のところ、私どもの方に要望がございますのは、一級国道の昇格要望路線の数は六十四路線ございます。それから二級国道の昇格の要望路線は百二十八路線ございまして、現在のところ、まだ調査の段階でございまして、これらの要望路線について検討をいたしまして、全国的な道路網を形成するというところを選びまして、選択をいたしたいと存じておりますが、今のところ、まだ検討の段階でございます。  なお、具体的に岐阜——高岡間の道路の未整備の点につきまして御指摘がございましたが、現在道路の構造につきましては、構造令というものを道路法に基づいて制定いたしておりまして、これは最低の基準でございます。ことに御指摘のように、非常に道路の幅の狭いところは、改良によりまして幅員を広めていきたいと存じております。ことに二級国道等につきましては、昭和四十年度までに相当改良並びに舗装を行ないたいと思っております。なお、一級国道につきましては、もちろんほぼ完全に改良舗装を行なうことにいたしたいと考えております。ただ、その間、非常に交通の阻害をいたしておりますところが、御指摘のようにございますので、これらにつきましては、二級国道につきましては、ことに都道府県は知事が管理者になっておりますので、当該都道府県におきまして待避所を設けるとか、その他応急的な措置によりまして、これを措置をいたしていきたい、かように存じております。
  65. 田口誠治

    田口(誠)委員 まあ、抽象的でございまするし、まだ審議中というようなことで、せっかく経済成長十カ年計画を池田内閣が進めようとするときに、おくれをとっておる道路行政がそのような状態では、まことに残念なことで、大いにその方へ力を入れていただいて、予算もどんととっていただいて、日本経済発展に並行して道路網の拡充をしていただくことをお願いをしておきたいと思います。  いろいろ今の御回答についてなお質問がございまするけれども、時間を勘案して要望にかえておきます。  それから次に、宮内庁関係でございまするが、これは単なる定員増でございます。それで、宮内庁の定員増につきましては、九十八名ですかの定員増になっておりますが、宮内庁の場合には、ちょっと他の各省各庁と違って、別格大社のような取り扱いがなされておりまして、今度提案されておるこの総理府の提案理由内容にも、珍しく宮内庁の定員の問題の理由説明というものは全然ないわけです。そのくらい別格大社でございますから、従って、私どもが聞いております範囲内におきましては、戦前とは変わってきましたけれども昭和二十六、七年ごろからは、この管理行政についても、人事行政についても、そうしていろいろな宮内庁のそれぞれの職員の仕事の範囲内におきましても、他の国家公務員と相当隘があるように聞いておるわけです。それで、人的な簡素化をする場合には簡素化ができるように聞いておりまするし、また、民主化も、すれば相当隘路があるように伺っておるわけでございます。私どもも、宮内庁の性格は御承知の通りでございますので、しょっちゅう出入りをしておりませんので、把握の面も不十分でございますから、あまり虚をついた質問はできないと思いますけれども、私の今申し上げましたことは、大衆の言っておることであって、大かた当たっておると思うのです。今度の定員の増加というものは、どういう部署にどう配属されるものか、それともやはり臨時的な雇いの者を定員化されるのか、こういう面も少しく説明をしていただかなければ、何名を何名にするのだという提案だけでは全くわからないので、一つその点をお伺いしたいと思います。
  66. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この九十八人の増員の内訳は、提案の御説明の中にも、三人の新規増と常勤労務者九十五人の定員化でありますとございますので、九十八のうちの九十五人は、いわゆる臨時的な常勤労務者あるいは賃金職員というふうになっている、いわば不安定な待遇になっている方を、国家公務員の方に直していただくという待遇改善の増員でありまして、実質はふえないのであります。実質的にふえすのは三名でありますが、この三名の内訳を申し上げますると、そのうちの一名は、今度正倉院の新しい宝庫ができます。従来正倉院の宝庫は木造の校倉造りの中に入っておりました。これは天平時代からの由緒あるものでありますが、これは木造ですから、大した建物ではありませんし、また、最近あの付近の空気が汚れておりまして、これに対応するには、やはり耐震耐火のしっかりした近代的な宝庫で、空気なんかも機械調和のできるようなものを作りまして、これは四月十日にでき上がりますが、その機械の方を扱う人には専門家が要るのでありまして、その機械の職員が一名であります。もう一人は、京都の事務所というのがありますが、これは今まで京都御所の構内におりました。これは戦前は郊外の御苑の中の建物におりましたのですが、終戦後、厚生省の公園の方の事務所に渡しまして、中の方にあります従来の仕入控え所、要するに、整備員の控え所に一応事務所が入っておったのでありますが、これが非常に狭隘でありますし、また、あの中におっては、もしも火なんか出しますると、御所が焼ける危険もあるので、外へ新しい事務所を三十六年度の予算で作ることになりました。これはまだできておりません。近くできますが、そうなりますると、その事務所の中に新しい電話交換機が入ります。従来はそういうものがなかったのでありますが、電話交換機が入れば、それを扱う人が要りますので、一名の増員。それからもう一名の増員は、東宮御所であります。東官御所は常盤松の仮御所におられましたが、新しい御所ができ上がって、今赤坂の御所に入っておられますが、これの方の整備をする職員というのが従前の常盤松と同じ要員で、そのために実際に整備する係員が少し手が不足であるということで、一名の増員、合わせて三名でありまして、実際の仕事をする上に最小限度必要な下部の働かれる方々をふやすということでございます。
  67. 田口誠治

    田口(誠)委員 九十五名の常勤労務者が定員化されて、あと残りどのくらいおりますか。
  68. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 あと八名ございます。
  69. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは現在は百名以上おったわけなんですが、僕らが考えてみますに、他の役所の場合には常勤労務者というのがおるという事実は知っておりましたけれども、宮内庁の場合にはそういう人たちはおらないように把握しておったわけなんです。全部定員化された公務員であると思っておったのですが、こういう常勤労務者をお雇いになった時期はいつごろからですか。ずっと昔からあるのですか。
  70. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 こういう方が入られたのは終戦後であります。実情をちょっと申しますと、おわかりになると思いますが、この中には、下総御料牧場でありますとか、京都事務所、御陵の関係とか、そういうものもずっと含むわけでありまして、皇居の中におられる方々より地方の方の数がちょっと多いと思います。皇居の中にもございますが、整備の方の下働きの仕事、あるいは土木の方の下働き、あるいは牧場ですと、あそこにおります家畜の世話の下働きの仕事、そういうようなことをやっておられる方があります。掃除の方の関係の方もありますし、なお、時によると事務の方の下働きをやっている方もある。これは実際それぞれ下の方の大事な仕事をやってもらっているわけであります。
  71. 田口誠治

    田口(誠)委員 業務の簡素化という面について、先ほどちょっとお聞きしたのですが、そういう配慮が昭和二十七、八年後十分に消化されておるのですか。
  72. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 終戦のころは、宮内省の定員は六千人でありましたけれども、現在と同じような仕事をやっておった定員が二千九百名、それをだんだん仕事を合理化して減らしてきて、現在の人員が千百名くらいかと思いますが、今度ふえまして千二百名くらいになると思います。以前から見ますとずっと減ってきております。  それから昭和二十六、七年ごろからというお話でありますが、宮内庁の仕事は、昭和二十六、七年ぐらいからだんだん以前に比較すると忙しくなってきているわけです。特に昭和二十七年に国際関係が復活しまして、そのために、いろいろ外国のお客がふえて参りました。そういうような関係がふえましたけれども、そのために特にふやすということをしないで、従来の人員で簡素化し、いろいろ合理化してまかなっておる次第であります。
  73. 田口誠治

    田口(誠)委員 時間がありませんので、あと一点だけでやめます。これも私、行って見たわけじゃありませんが、聞くところによりますと、職員の勤務態様が、その部署によっては帰る時間に帰れないとか、いろいろそういう場合があるようですし、そのつどきちょうめんに時間外手当というようなものの支給がなされておらないとういように聞いておるのですが、こういう点はどうなのですか。
  74. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 これはほかの官庁も同じだと思います。やはり予算範囲内でやっておりますので、なかなかその通りには出ていない面が実際はあります。これはどこの官庁でも同様だと思います。
  75. 田口誠治

    田口(誠)委員 ほかの官庁でも同様ということは、結局働かしても金は払わぬということなんですが、これは将来の問題として取り上げていくとしまして、きょうは時間もございませんし、半ということで約束しておりますので、これで終わらしていただきます。
  76. 中島茂喜

    中島委員長 石山権作君。
  77. 石山權作

    ○石山委員 長官がおいでになりましたので、この機会にお聞きしておかないと、おいでを願うにまた手数をかけるものですから、お聞き申し上げたいのですが、公務員の制度をば調査する室がございます。それを長官は管轄なさっているわけですが、公務員の制度を裏づけするのが給与、賃金であるわけでございます。それについて、昔は公務員の方々に年度末手当という項目がございましたが、この習慣は公務員の方々にとっていい習慣でございましたでしょうか。それをどういう理由でいつごろからおやめになったかという、この二つをお聞きしておきたいと思います。
  78. 佐藤朝生

    佐藤(朝)政府委員 年度末手当の制度は、終戦前、各省予算の年度末に余ったのを手当に流用してやっておった実情がございます。内閣におきましても、一カ月分以内で年度末手当を出すことができるというような閣議決定を、昭和の初めごろやったことを覚えております。終戦後、給与は全部法律に基づいて定めるということになりまして、昭和二十二、三年ごろから期末手当という制度を設けましたので、それによりまして年度末手当は廃止されたものと考えます。
  79. 石山權作

    ○石山委員 そうしますと、公務員に関する限りは、制度としまして、法律以外には一銭も給与してはならぬということになるのでしょうか。
  80. 佐藤朝生

    佐藤(朝)政府委員 お話通りでございます。給与法にそういうふうにきまっているのでございます。
  81. 石山權作

    ○石山委員 そうすると、給与の面でたとえば現業官庁では、よく何々についてプラス・アルフアとかいうことがあるわけですが、公務員にとってはプラス・アルフアなるものは有害な存在になるわけですか。
  82. 増子正宏

    ○増子政府委員 現業官庁の場合をお話しになったのですが、三公社五現業の場合は、もちろん一般職給与法の適用がございませんので、原則的には、両者の団体交渉によって給与の種類あるいは基準等を定めるわけでありますから、その点で、あるいは考え方といたしまして、プラス・アルフアというようなことがあり得るわけでございますが、一般職の職員に関する限りは、法律に基づかない給与は支給してはならないということになっており、現在いわゆる給与法定主義をとっているわけでございますから、法定されざるプナス・アルフアというがごときは違法ということになるわけでございます。
  83. 石山權作

    ○石山委員 住藤副長官は、私の質問二つのうち一つしか答えない。いいものであったかどうかということは答えなかった。おそらくこれはいいものであったと思うのです。いいものであったことに対して、公務員室長は制度として研究していますか。
  84. 増子正宏

    ○増子政府委員 年度末手当ということの考え方でございますが、いわゆる予算の執行状況等を見まして、その残余等についての流用ということになりますと、現在のいろいろな財政その他の仕組みから申しますと、これは申すまでもなく、適当でないというふうに考えられるわけでございます。ただ、どういう考え方に基づいて出すかということになりますれば、現実の出し方としまして、時期がいわゆる年度末といわれる三月末に出すのがいいのかどうか、これは一つ問題があろうと思います。それから従来の年度末手当は、私どもの経験によりますと、いわゆる成績といいますか、業務の繁閉ということを考慮しながら定めたわけでございますけれども、率直に申しますれば、これは多分に主観的な、あるいはいわゆる勘というようなもので額が定められるというようなことがあったかと思うのでございまして、そういうことを現在の給与制度の上でそのまま取り入れることが、はたして適当であるかどうかというような問題もあろうかと思います。従いまして、御指摘のように年度末手当が必ずしもいろいろな意味でいい制度であったとは申しかねると私ども思うわけでございます。  御承知のように、現在毎月の俸給以外の特別給というような意味におきましては、いわゆる期末手当と勤勉手当、年間三・四カ月分が現在の給与法では規定されておるわけでございますが、この制度は新しい給与制度が出発しましてから、あらゆる角度で検討して今日に至っておるわけでございまして、この制度はこの制度なりに十分の意義と効果を上げているというふうに考えておるわけでございますので、それとは別個の年度末手当というようなことは、現在としては考えられないように思うわけでございます。ただ、期末、勤勉手当の額といいますか、水準等につきましては、もちろん先生よく御承知のように、人事院の勧告を基礎といたしまして処理をいたしておるわけでございます。この六月と十二月に支給するという時期の問題も、現在法律で定められておるわけでありますが、その時期をあるいは毎年三月末というように変更するということも、これは考え方としては別に不可能ではないかと思いますけれども、全体としての考え方が、大体一般的に行なわれておる民間の支給の状況というものを基礎にしておるということから考えますと、一般的には民間の特別給の支給としましては、いわゆる盆と暮れといいますか、この二回が現在のところ大体支給的でございます。もちろん、企業の種類によりしては、年四回というようなところもございますけれども、一般的には大体この二回というふうに、人事院の調査の結果も、その他いろいろな統計の資料からも考えられるところでございます。
  85. 石山權作

    ○石山委員 私は室長に特に考えていただきたいことは、国家行政上の制度というものは順奉されなければならぬわけですね。人事院の勧告は制度の中に入っておりませんか。
  86. 増子正宏

    ○増子政府委員 法律上に書かれてある形のものを一応制度というふうに考えますれば、御承知のように、人事院の勧告もその法律上の仕組みとして考えられておるわけでございます。
  87. 石山權作

    ○石山委員 人事院は与えられた法律、規則のワク内で勧告をなさっているわけですね。意欲的に法律を越えて勧告をしない。あなたが言うところの民間給与考えながら勧告をする。ですから、人事院がどんなに意欲を燃やしても、その制度のワクを越えることはできぬわけですね。しかし、政府の今までのやり方を見ると、その勧告通り行なっておらぬ。おおむね前年度の指数を基礎にして人事院が勧告しているわけです。そうすると、よく言っているのだが、一年延びるとか、一年半延びるとかいうことが、現実に毎々行なわれてきておる。ですから、ここで人事院は制度のワクを越えることができないから、公務員室としては、期末手当等は考えて年度末をやってみる、こういうことは、制度を研究されるあなたの方としては、一応研究する義務があるように最近僕は考えているんだ。あなたは、ただ専従者の問題はどうだとか、チェック・オフの問題はどうだとか、人事院の三権のうち一権はおれの方で取り上げるとか、そんなことばかり研究なさっているのです。そういう研究の仕方を私どもは公務員室のあなたの方には大きく要求をしておらぬですよ。一つは要求しているけれども、大きくは要求しておらぬ。むしろ、人事院の制度のワクに縛られて勧告しているこの姿に対して、別な意味の制度的に指針を与える、物価の動きによっては年度末にでも些少の色をつけてもよろしいというふうな制度を給与面で設けてやることが、あなたの方の機関の任務だ、こういうふうに考えている。だけれども、きょうは年度末であなたとやり合う時間はないので、非常い残念です。  そこで、総務長官、あなたはおとといですか、受田さんの質問で、法律的な問題について内閣官房長官総務長官ということで、あなたは行政部門を担当するということを言っておったのです。給与を与えるのは行政部門だから、頭の問題じゃない、行政部門です。かっては総務長官は公務員給与担当者であったわけです。それで、人事院が、さきごろ、しかも去年ですよ、去年勧告した暫定手当について労働大臣兼給与大臣といいますか、給与を担当した労働大臣はこう言っておるのです。私は閣議で一生懸命、暫定手当はいい勧告であるから予算化したいというふうに努力をしたが、だれ一人として賛成してくれる人がおらなかったという。何たることか。あなたは閣議において閣僚としての発言権があるとかないとか、ここの委員会で問題にはなったけれども、閣議はあなたが発言権があるとかないとかいうことはないと思うのです。特に公務員の問題に関する限りは、あなたは一番発言権がある、優位を保つと私は見ているわけです。今年度の三十七年度の予算の場合には、ついに予算化されないで今日まできてしまった。これはどうしたって問題になりません。悔やんでも問題になりません。今度予算化されるについては、暫定手当、去年人事院から勧告されている三・六%、しかも、これは三年のなしくずし、一年一・二%ずつ本給に繰り入れるということで、この案についてあなたは賛成していただけるでしょうか。
  88. 小平久雄

    小平政府委員 ただいま何か閣議で私が賛成でもしなかったという点を仰せのようですが、これは申し上げるまでもなく、福永大臣が給与担当大臣として御主張なさったわけです。別段閣議で私がその賛否を言う立場にございません。私の立場は、公務員制度調査室が総理府にある、その長であるという立場からして、むしろ、給与担当大臣たる労働大臣に閣議でそういうことを大いにやってもらおうということについて、私は再三にわたって労働大臣とも相談もいたしておりまするし、あるいはまた予算折衝の過程においては、大蔵大臣にもぜひ一つ勧告を実現できるようにしてほしいということ——これは閣議での席ではございません。別に予算編成の過程においては、私はそういう努力も実はいたしておるのでございます。しかし、閣議の席での問題としますならば、これは、私は遺憾ながらそういう権限がございませんから、賛否をどうこうするという権限はありません。それを責められてもいたし方ないと思います。
  89. 石山權作

    ○石山委員 持ち回り閣議という言葉がございます。これは書類の伝達ですから、あなたのところには行かぬでしょう。しかし、閣議をやった場合に、総務長官は出席してはいけませんよ、本日は秘密会議だから、閣僚以外はいけませんよ、こういうことはないと思う。そこを私はお願いしているわけです。そういう場合に、あなたは労働大臣、給与担当大臣に対して助言の立場を取り得るものだろう。それで、今度の場合、その助言の立場を閣議の中でやるように工夫していただくことを私はお願いしているわけなんです。
  90. 小平久雄

    小平政府委員 もちろん、閣議に私も列席をしております。しかし、給与担当大臣の発言に対して、必要があればもちろん助言はいたしますが、御承知の通り、有能な給与担当大臣でありますから、あえて助言をせぬでも、主張すべきものは十分に主張なさっておられます。必要があれば、もちろん私は助言をいたすのにやぶさかでありませんが、その必要はその際においてはなかった。これはずいぶん熱心に御主張なさっておりましたから……。
  91. 石山權作

    ○石山委員 給与担当大臣が熱心に主張なさるならば、あなたも熱心に主張していただきたい。  それから、先ごろ、裁判官及び検察官が定員に満たない、その原因は何だと申し上げたら、その大きな要素の中の一つとして、給与が低いということが内容になっております。それで、植木法務大臣は、私の案に賛成して、閣議があれば大いに協力してくれる。裁判官も公務員です。検事さんも公務員であることには間違いはないけれども、おおむね一般の公務員の責任者となっている。あなたが、他の大臣にひけをとるような協力の仕方では、私は非常に残念だと思います。植木法務大臣は、当委員会で、今度閣議等があれば、予算化については私は全面的に賛成の立場を述べると、強く主張していただいているわけなんで、そういう点では、あなたは熱心に主張するというふうにもう一ぺん言っていただきたい。
  92. 小平久雄

    小平政府委員 私のところで直接担当の責任がありますものは、一般職給与関係でございます。しかし、もちろん、一般職であろうが、特別職であろうが、給与改善ということは、これは原則としてはわれわれは賛成であります。ただ問題は、今の機構から申しますと、われわれが積極的に出してああしろ、こうしろと言うわけには参りません。やはり人事院というのがありますし、また、裁判官等については別の立場でやっておりますことは、御承知の通りでございます。ただ、先生のお話が、閣議の席で大いに賛成論でも述べろ、こういう御趣旨のようでございますから、必要がある場合には申すことにいたしたいと思っております。
  93. 中島茂喜

    中島委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  94. 中島茂喜

    中島委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  総理府設置法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  95. 中島茂喜

    中島委員長 起立総員。よって、本案は可決いたしました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は、来たる二十七日火曜日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会