○石橋(政)
委員 私は、佐世保市の元二十一空廠跡、通称崎辺地区と言っておりますが、これが米軍から返還されたわけでございます。との土地を、実は市といたしましては、市民の非常に強い願望に基づいて、工場の敷地にしたいというふうに考えて、盛んに運動をしておるわけでございますが、これに対して、防衛庁、海上自衛隊が
教育隊の施設としてよこせという、いわば横やりをいれておるために、非常に紛糾を来たしております問題について、若干お尋ねをしてみたいと思うわけであります。
大体のことは
大臣も御
承知だと思いますが、現在の佐世保市といたしましては、石炭産業の衰微その他いろいろな面から、人口も減り始めておるという
現象を示しておるわけで、ここに有力な住友金属系の大阪鋼管という大会社が来るということに、非常に魅力を感じておるわけであります。それだけに、自衛隊がどうしてもこの土地をよこせということに対しては、市民としても相当の反発を感じておるので、ゆゆしき問題だと思うがゆえに、
質問をいたしたいと実は考えておるわけです。
市及び市議会、一般市民がどのように熱願しておるかということは、お聞き及びだと思いますが、この会社の払い下げ申請に対して、市長も副申をつけております。それから市会も陳情書を採択いたしまして、積極的な誘致運動を展開いたしております。商工
会議所も副申をつけておる。そういうものについて十分に御認識だと思うわけですけれ
ども、そういう熱望に対して、全く自衛隊の態度は、一顧だも与えず、強圧的な感じを与えておるわけなんです。今さらお前らが何を言うか、そこはおれたちが最初から予約済みの土地なんだというふうな、強圧的な態度で臨んでおるということが、問題の第一です。一体、国の防衛を論ずる場合に、国民、市民の協力なくして何の防衛かということは、十分に御
承知だと思うのですが、この問題に関する海上自衛隊の態度というものは、まことに強圧的であり、旧軍的感覚をそのまま露骨に示しておる。軍事万能というふうな意識がまたもや出てきておるのじゃないかという感じを率直に私は受けております。第一に、この問題を私ただしてみたいと思うのです。
例をあげてお話ししますと、これは市会
議長が談話を発表しておるのによりますと、これは毎日
新聞の記事でございますけれ
ども、昨年の十一月の二十四日、市議会の企業経済
委員会が現地視察したときに、佐世保総監部の長倉というのですか、防衛
部長がこんなことを言っております。「佐世保港周辺の元海軍施設は全部ほしい、崎辺に工場を作るのは市百年の計を誤るものだ」市会
議長も、これに対しては、全く突拍子もないことを言っておるというふうな説明をつけ加えておるわけですね。これなどは一例ですよ。市長なり市議会なり一般の市民が、ぜひ工場がほしいと言っておるのに、市百年の計を誤るものだ、何というせりふですか。これは、市の発展の第一義的責任はだれが持っておるのかと私は言いたい。こういうところに現われております。しかも、これは佐世保総監部の一防衛
部長の談だけではないのです。もっと上層部においても、似たような
考え方がはっきり
言葉の端々に現われております。
もっと例をあげて申し上げるならば、三十七年、本年の二月十五日に、市議会の代表が海幕に陳情にたくさん来たときに、あなたたちは選挙運動に来たのかというようなことを、中山海幕長が開口一番言ったというんですね。こういうところにも現われているのです。一貫しているわけなんです。
それからそのとき、同じく海幕の管理課長ですか、古館という人ですが、との人はこういうことを言っております。防衛庁としては事務的に全く固まってしまっているので、今さら
計画を変更することはできない。事務的に固まっているから変更することはできない、これはどういう
意味ですか。やや問題は違うにしても、もう少し高い立場に
大臣というものもおるはずです。政治的な考慮を加える分野というものがあるはずです。それを、自分たちがきめたんだから今さら変更はできないというきめつけ方をしておる。少なくとも市民がそこまで熱望するなら、もう少し何らか打開の方法はないかというような、弾力性のある応待はだれもしておりません、上から下まで。ごたごた言うな、黙ってついて来い、こういう態度を、海幕の上から出先の
部長に至るまで一貫して、この問題に示しておる。こういう態度を私は第一に追及したいわけです。
大臣もこういうことをおそらく容認はされないと思います。また、佐世保という港が、あるいは町が、どういうふうな発展策を講じておるかということも、ある程度は知っておられると思います。旧軍港市転換法というものもある。近くは産炭地振興法もある。こういうものと関連して、いろいろな生きる道、発展の道を真剣に市民は今考えておる最中なんです。佐世保という町は自衛隊に対して非常に好意的な町であるということは、大体防衛庁でも認めておるようですね。それに甘えて逆に強圧的に出てきておるというところに、問題があるわけなんです。私たちとはいささか考えは違います。しかし、一歩譲ってみても、市会
議長の談話で、佐世保の
基本方針というものはこういうふうに述べられておるわけです。佐世保市の
基本方針は軍商二本立ときめており、駅裏から東側の前畑、崎辺方面を工場地帯に、駅裏から西の立神方面を海上自衛隊とし、港をはっきり区画するつもりだ、これが佐世保の生きる道だと、思い詰めておるわけです。そういうときに、昔帝国海軍が使っておったところは全部自衛隊のものだ、絶対に工場なんかは割り込ませない、一体こういう態度でいいと
大臣お考えになるのか。先ほ
ども申し上げたように、市百年の計を誤るものだなんというきめつけ方を制服がすることは、越権行為じゃないか。市の発展策について、第一義的にはどこが責任を持っておるのか、自衛隊が責任を持つのか、防衛庁が責任を持つのか、こういうことについて暴言だと
大臣はお考えにならないか、もしおっしゃることを暴言とお認めになるならば、この問題については、そういう強圧的な態度ではなく、もっと市民と話し合いをし、そして市民の反対を押し切ってそういう態度に出ることが、防衛庁全般の立場からいって非常にマイナスだということをお認めになって、今後処置していくというお考えがあるのかどうか、この辺からお尋ねしてみたいと思います。