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石山委員 大臣、零細
企業にとっては、最低
賃金ということは、実際上は最高
賃金だということなんですよ。ですから、最低
賃金はどうしても早く高額にしないと、いつまでたっても
日本の低
賃金制、二重
構造制というものは打ち破れないと思う。ここの
賃金部でやられることは、いろいろ勉強なさるだろうと思うけれ
ども、結局は、こういう業種、このくらいの人数、規模であれば、どういう
格好の
賃金体系がよろしかろうというふうなことが生まれてくるだろうと思う。そこまでいけば、内部干渉をしないにしても、かなりな制肘力のある
資料が提出される形というものが生まれてくるだろうと思う。この点に関しては、
大臣とやらなくても、局長の方々と実際の数字のやりとりで、明瞭になってくるだろうと思いますが、いずれにしても、
賃金部ができて、仕事に誠意を尽せば尽すほど、かなり
労働組合に対してはワクをはめるような数字が出るかもしれません。経営者側にとってはほほえましいような数字が出るかもしれません。こういう要素を持っているんです。そういう性格を持っているんです。ですから、疑えば、やはりこんなものは作っていただきたくないというふうになる。あなたが、八十七号を批准すればどうも国内法を整備しなければならぬという不安を持っておるとすれば、われわれの側のそういう不安を持っておる
労働組合の
諸君の
考え方というものを、そんなばかなことはないというふうに一がいに否定はできないだろうと思う。ここで
大臣に考えていただきたい点は、
日本の労使間においては、たくさんの是正されなければならない事柄があると思います。その慣行において、あるいは
賃金の体系において、いろいろとあるだろうと思うが、要は、もう少し労使間において
お互いがある程度までは信頼するという慣行の樹立以外には、何を
提案しても実らぬと思うのです。ですから、八十七
号批准と同時に国内法整備もという不信感から
——私はやはりそれが根底になっておると思う。
労働省の善意のある、言うところの
賃金部創設も、その
意味ではかなりに不信感を持って見られているだろうと思う。双方の善意が、不信感によってどこかで食い違っているだろうと思う。これを是正するようにするのが、
労働省の労働行政に関する大眼目だろうと私は思っております。
それからもう
一つ、
大臣の帰る時間がだんだん近づいてきておりますから、
大臣に聞いていただいて、答弁をいただく問題に限って
お話をしておきたいと思うのですが、われわれが高度
成長経済になぜたまに反対をするか、これは全く
賃金という問題にからんで反対をしている。個人の収入に影響するということによって反対をしているのです。たとえば、今の池田首相が、通産
大臣時代だと思いますが、第一回目の発表は、君
たちの月給を二倍にしてやるということで、わあっと
一つのブームを得たわけですね。それから、それが少しく日経連等を刺激したものですから、第二回目の発表はどうしたかというと、
国民の所得という
言葉に置きかえました。
国民所得を十年間に二倍にする。しかし、これも厳格に言うと、個々のわれわれのふところに入るわけですね。その次に使った
言葉は、
国民総所得という
言葉にすりかえていった。そうすると、われわれのふところに半分入るか三分の一入るかわからぬ。月給二倍とは非常に違った
表現が最終段階に行なわれたわけですが、高度
成長経済の第一の現象はどういうことかと言いますと、過剰設備の増大が行なわれるということでしょう。自分の実力よりもより多く行なわれるというところに高度
成長経済という
言葉は使われるのですが、増設をいたしますと、どうしても自然の形で物価の騰貴が到来をする。このことによってまず第一に被害を受けるのは一般の消費者階級でございます。ですから、かりに生産性に見合い、あるいは利潤に見合ったような形で
賃金が
上昇したにしても、一部は消費物価に奪われてしまいます。一部は、今度私鉄運賃がまた上がるそうでございますが、こういうふうな運賃その他の公共料金の値上がりでございます。それにつれてあらゆる消費物価は少しずつ上がらざるを得ないだろう。そうすると、その年度における生産性に
——その年度というよりも、前の年度にかぶさってくる。その年度ではとても
労働運動は実質的に現われてきません。
賃金闘争には現われてこないのですから、一年前の、はなはだしいのになると、三年、四年あるいは五年というように通算した生産性向上に見合った
賃金、こういうテーマを出してくる場合もあるわけですから、いずれにしても、そういうテーマを出してきて、いかにもりっぱな賃上げを行なったような形であっても、実質的には高度
成長経済が強硬に推し進められていきますと、実質
賃金の面ではかなりの減収を来たすということです。去年たとえば七・一%
公務員の
賃金が上がった。東京都の物価指数を調べると、六%くらいも
上昇するという。それでは、実際面からして、生産性に見合った
賃金をいただいたような
格好であっても、われわれのふところはそんな
格好ではあたたまっておらぬということです。もう
一つ、減税を行なった、行なったと大きなことを言うのだが、実際からすれば二一%
幾ら、地方税を含めると二三%という、増額をしたというふうな形になって現われてきておる。このたび間接税を
中心にして減税を行なったわけですが、一級酒を六十円くらいとか、みそ、しょうゆはどうだとか、ビールはどうだとか、下げているのですが、実際の家計の計算に現われる計数というものは、一・五%しか現われてこないという計数が最近出てきておる。ですから、実際面からいうと、減税は、この指数を見ると、物価の騰貴から見ますと、はなはだ縁遠い形になって行なわれつつあるということでしょう。ですから、高度
成長経済をやられた場合、池田さんはまだかぶとを脱いではおらない、かぶとを締めると言っておられる。そうすると、まだいいと信じておるのでしょう。いいと信じておるうちに、実際からすれば、
賃金というものを見てみた場合に、高度
成長経済というものは、あまりいいものではないということになりそうなのでございます。まして、これから過剰設備、過剰生産、この結果操短、失業問題、こうなると、あなたが意図される
賃金の格差解消、いい
賃金という
言葉とは逆に、失業者が多くなるから、
賃金の率は低下するでございましょう。大
企業は残るでございましょうが、中小
企業、下請の連中は買いたたかれてしまうでしょう。こういう現象が現在起こりつつあるではございませんか。労働者の幸福を願い、労働者の生活の向上をはかっておる
労働大臣といたしましては、ここら辺で高度
成長経済政策というものを変更する必要が、
労働省側から見てあるのではないかというふうに考えられませんか。