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1962-03-01 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月一日(木曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 堀内 一雄君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 山内  広君       飯塚 定輔君    内海 安吉君       小笠 公韶君    加藤常太郎君       島村 一郎君    正示啓次郎君       藤原 節夫君    保科善四郎君       本名  武君    緒方 孝男君       河野  正君    田口 誠治君       楢崎弥之助君    受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君         労 働 大 臣 福永 健司君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         外務事務官         (大臣官房長) 湯川 盛夫君         労働事務官         (大臣官房長) 松永 正男君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      大島  靖君         労働事務官         (職業訓練局         長)      村上 茂利君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部連絡調査官) 高野藤吉郎君         労働事務官         (大臣官房秘書         課長)     鈴木 健二君         労働基準監督官         (労働基準局賃         金課長)    東村金之助君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月一日  委員石田博英君、辻寛一君、前田正男君、柳田  秀一君、山崎始男君及び西尾末廣君辞任につき、  その補欠として正示啓次郎君、本名武君、飯塚  定輔君、楢崎弥之助君、河野正君及び受田新吉  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員飯塚定輔君、正示啓次郎君、本名武君、河  野正君及び楢崎弥之助辞任につき、その補欠  として前田正男君、石田博英君、辻寛一君、山  崎始男君及び柳田秀一君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置を定める法律の一部を  改正する法律案内閣提出第二〇号)  在外公館に勤務する外務公務員給与に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第四五  号)  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八号)  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。  両案につきましては、すでに先般質疑を終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに両案を一括して採決いたします。  在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  3. 中島茂喜

    中島委員長 起立総員。よって、両案はいずれも可決いたしました。  なお、両案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  5. 中島茂喜

    中島委員長 次に、労働省設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。石山権作君。
  6. 石山權作

    石山委員 去年の日米経済会議のときの話、この前もちょっと触れたわけですが、日米経済会議のとき、日本賃金問題について、専門家合同委員会設置方アメリカが要望したと聞いております。それにつきましては、日本政府の強い反対でさたやみになったが、日本の低賃金に対するアメリカ疑心は、そのことによって決して吹っ飛んだものではない、こういうふうなことがいわれているわけですが、なぜアメリカ申し出に対してこたえなかったのか、否定するような立場をとったのか。一説に、最近の繊維の問題の、二重課税のような賦課金問題等も、せんじ詰めていくと、日本繊維労働者の低賃金に対抗する立場で、この問題が起きたというふうにいわれておりますが、僕ら賃金等を考える者にとっては、あるいはそうかもしらぬなあというふうにうなずかれる面があるわけなんです。この前も労働大臣は少し説明があったようですが、きょうは賃金問題だけを特に取り上げてお聞きするわけですから、この日米問題についての御説明をかなり詳しくこの際伺っておく方が、アメリカとの貿易に関しては将来とも役立つのではないかと思うのでございます。御説明をいただきたいと思います。
  7. 福永健司

    福永国務大臣 今も石山さんの仰せ通り日米貿易拡大というような見地からいたしましても、今お尋ねの点を明らかにするということは、私も望むところでございます。一部誤り伝わっておりまするから、その真相を特に申し上げる機会が得られたことを、私もむしろ非常に喜んでおる次第でございます。  あの日米貿易経済合同委員会が開かれる前に、日米両国間でどういうようなことを話し合うかというようなことで、文書の往復があったわけでございます。その際に、率直な話、いろいろありました中で、労働関係のものが、向こうからも非常にはっきりしたものが来ておったし、それに対して私どももはっきりしたことを述べておったので、当時これが非常に注目を引いておったわけでございます。お話のごとく、向こうから、賃金につきまして、両方専門家が集まって委員会のようなものを作ろうというような提案が、事前文書をもってこちらに対してよこされたわけであります。そのときに、向こうでは日本の低賃金に対する誤解が支配的であるので云々というような言葉が使ってあったように記憶いたしております。そこで、私どもといたしましては、賃金につきましては相互に事実ありのままを正しく理解し合うということ、これが必要である、こういうように感じておったのでありますが、当時向こう表現によりますと、どうも日本賃金が安いということについて向こうにも誤解があり、従って、そういうことは貿易拡大のためにいいことにはならぬというような考え方から、向こう提案がなされたように私ども受け取られたのでありますが、私どもは、決して日本賃金をことさらに低賃金ではないというような表現をいたしてはおらないのであります。ただ、私が特に強調いたしましたところは、確かに、アメリカ日本と比べれば、日本の方がはるかに安いのだ、だがしかし、アメリカで一部の人が考えているようなことばかりでもあるまいというので、われわれはわれわれなりに、日本賃金についての事実ありのままの姿を向こうに認識せしめるように努力をいたしましたし、ことに私が強く主張をいたしましたところは、賃金が安いところから物を買わないということはおかしいじゃないかということを私は主張いたしました。アメリカよりも日本が安ければ、どんどん買ってくれれば、自然と日本賃金が高くなるのだし、私は高くしたいと思っているのだ、そこで、安いから日本からは買わないというようなことでは困る、いやしくもこの種の日米合同貿易経済に関してああいう話し合いをする以上、誤解云々というようなことがあるとするならば、ぜひこれを解いて、むしろ貿易拡大する、ことに日本から向こうへ売ることについて、これの拡大をぜひ考えてもらわなければ困るというようなことを、繰り返し主張いたしたのであります。その結果において、彼は本会議でも申しましたが、話を聞いてだいぶわかったので、自分の方の考えておった方法に別に固執するわけではないというので、実は向こうから言った形の委員会については、あっさり撤回して参ったのであります、その結果、そういうことであるから、お互い貿易拡大するというような観点から、賃金の問題をもちろん含めて、より広範な情報資料交換等をしようということになって、後に両方一致をして、あのときに共同コミュニケを発表いたしましたが、その共同コミュニケの中にその表現をいたしたわけでありまして、われわれは日本の低賃金をおおい隠そうとか、あるいはそのことのために、向こうから言ってくる——当時事前に言って参りました形の委員会を避けようとか、こういうことをしたのでは決してないのであります。終始一貫、日本から向こうへの輸出を増進するというような観点からの主張をし、そういうことに障害になるようなことはお互いにやめようではないかということでございました。事賃金に対しましては、私はあのときはっきり申したのであります。安いから買わぬというようなことでなくて、どんどん買ってこっちの賃金が上がるようにしてもらいたい、買えば勢いそうなるのだから、一口に申しますれば、そういうような主張をかなり強くいたしたような次第でございます。従って、こういうことの真相石山さんの質問によって明らかにされるということは、私ども非常に好都合でございます。一部、どうもわれわれがことさらに低賃金の事実をなるたけ隠蔽するような態度をとったがごとく伝わったことは、私も非常に残念に思います。今申し上げたようなことが真相でございます。
  8. 石山權作

    石山委員 私も、まあ、大臣の言われる低賃金の打開の一つとして、アメリカとの貿易を盛んにすることがよろしいのだ、買って下さい、こういうふうな問題は、その通り正しいと思います。ただ、ここでちょっと懸念のあるのは、賃金に関する合同会議あるいは調査会か何か、名称はわかりませんけれども日本賃金一つ研究してみよう、合同でそれをやってみようという提案に対して、日本政府側が逃げた、こういわれているわけなんです。逃げたということは、一体何でしょう。逃げたという言葉が悪ければ、避けたという言葉でもよろしいのですが、この際アメリカの知恵などを借りて、先進的な労働運動の起きておるアメリカから、いろいろと日本——まあ、僕らは中小企業等を見ますると、賃金自体も二重構造だというふうに考えておるわけですが、そういうふうな点にメスを入れてもらって、低賃金の壁を破るにはこういう方法論もあるんですよ、私の方ではこういうことを経験しましたよと、こういうふうな話し合いがあれば、私は、この際、あなたがアメリカ労働長官と話し合ったということは、非常に有意義になってくるのではないかと思うのですが、このせっかくの機会を避けているという実態は、何かそこには、やはりアメリカとの名目賃金では日本が九分の一であるが、実質的には四分の一ぐらいだとかという、牽強付会のものの考え方が底を流れている。やはりくさいものにはふたをしておいて、世間体のいいことで通していきたい、こういうふうなことがあったのではないか。それでは決して日本の低賃金というものは克服できないだろうし、私たち側からいえば、労使が対等という労働運動上の原則が立たないのではないかと思っているのです。なぜアメリカ提案に対して避けられたのでしょう。その点をもう少しお話ししていただかないといけないのではないかと思います。
  9. 福永健司

    福永国務大臣 私はごもっともな御質問であると思うのであります。私どもが事実を隠蔽するためにことさら回避したということであるとしまするならば、まさに仰せのごとくであると思うのであります。しかし、私どもの考えておりましたことは、事実はだいぶ違うのであります。向こうまくら言葉として、貿易障害になるような事実がいかにも日本にあるかのごとき印象を与えるような——必ずしもあるとは断定しておらぬ。そういう印象を与えるような表現での、こういう委員会の提唱になっております。そこで、私ども輸入制限をするということと関連してのような表現は、はなはだおもしろくない。先ほども申し上げましたように、むしろ貿易拡大しなければいかぬ。アメリカに比して著しく日本が低賃金であるという事実があるとするならば、そのことが輸入制限の理由になるべきでなくして、むしろ、日米間においては相互的によく理解して、どんどん品物を買うような方向にいくべきであるというようなこちらの表現、そこで、日米間の貿易拡大するためにというまくら言葉を実は書いたわけであります。従って、この種の委員会を逃げたとか避けたとかいうことでなくして、この委員会に対する考え方ないし表現を、日米貿易拡大というような観点から、そういう研究をしようということに確かに置きかえられたわけであります。しかも、そのことのためには、賃金がもとより中心問題でありますが、そのほかのいろいろな労働関係のことについても情報交換等を行なう、そのときに私一つ指摘いたしましたことは、アメリカが言って参りましたままの委員会をたとえば作るといたしますと、日米専門家がそういうことを検討するのはけっこうではありますけれどもやり方によりますと、非常に反米感情を醸成するようなことになりはせぬかということ、これは確かに私も心配いたしました。ということは、たとえばそういうような委員会があって、アメリカ側の連中が個々の企業なんかにどんどん行って、これはどうだ、あれはどうだというようなことをやるようなことになっては、日本は愉快なはずはないのであります。そこで、われわれは、アメリカが必要な資料ないしは知らんとする事実等がありとするならば、これはもう正直に幾らでも言え、しかし、それは労働省中心とする日本側で、幾らでもその資料を提供できるのであって、向こうから言ってきたままの形でやると、妙なはずみで、貿易拡大というような観点から望ましからぬことが起こらないとは言い切れない、私、事実そう思いました。そこで、向こうの言うままの方法よりも、ほかにもっと上手な考え方がありはせぬか。いかにも日本向こうに取り調べられているみたいな格好になる委員会ということになると、私は、やはり日本国民の矜持の上からいっても、あまりそれはいいことじゃないのじゃないか、こういうふうに事実考えたのであります。このことは、くどく申し上げて恐縮でございますが、決して事実をおおい隠そうということのために言ったということではさらさらないのであります。事実はもとより明らかにするのであるが、やり方については、両方国民感情を無用に刺激するようなことは避けなければならぬ、そういうことは注意しなければならぬのではないか、こういうことを事実私言ったのであります。これも向こうもわかりまして、割合あっさりああいうようなことになった、これが真相であります。
  10. 石山權作

    石山委員 箱根における日米会談の目的は一体何だろう。特に経済というような名前がついたために、何か実質的に問題が残されなければならなかったので、目標としては、例のヨーロッパに対するガット三十五条の撤廃方をまず第一に要請したと伺います。その次には、片ちんばになっておるアメリカとの貿易を平等な立場拡大をしていきたい、この二つのテーマでおそらくお話し合いをなさったのでしょう。だけれども、この二つは、まず結果から見ますれば、失敗をしたろうと思います。それはもちろん、向こうの方でも、国務長官を初め五名も閣僚を繰り出して、誠意のほどは見せてもらったという格好でしょうけれども、実際からすれば、何ら経済問題としては残されたものがなかった。労働大臣に言わせれば、おそらくこの賃金日米合同委員会なるものを作ると、アメリカ日本輸入品を拒否する口実になるということを考えられて、避けたというふうになりますか、その委員会の成立に努力をしなかったということになるだろうと思いますけれども、私たちは、あんなにたくさんの大臣日本の場合には池田内閣総がかり箱根会談に集中した。日本のジャーナリストは、天下の一大事とばかり箱根の山中に集まった。まことににぎやかなことだったと思います。にぎやかだった反面には、何ら残されたものはない。日米経済会議は幻影にすぎなかったということになる。われわれに関係のある日米合同賃金委員会等が残れば、何か話の種になるだろうと思ったのでありますが、これは日本側が避け、私たちの側から見れば、何ら得るところがなかったと思います。労働大臣向こう労働長官が話し合ったわけですが、一体残されたものは何だ。日本の比較的低賃金でなかったという弁解が通ったという、そのことだけではございませんか。しかも、その低賃金でないということを認識したということでは、箱根から帰って東京で記者会見をした労働長官はどう言っておるか。世界で最低の賃金国ではなかったということを認識したと言っておるんですよ。日本賃金が安いものではなかった、私たちの誤りであったということではない、世界で一番低いレベルの賃金の国ではなかったということを理解したというにすぎない。何もアメリカの実質的の五分の一ないし四分の一ということが理解されたのではない。依然として労働関係責任者であるアメリカ労働長官は疑惑を持って、むしろ、やゆした形で新聞記者に答えているわけなんです。ところが、一生懸命お話しし合って、こういうことは効果があった、日本労働組合員諸君あるいは賃金労働運動等を研究している者に対してこういうことは言える、こういうようなことがありましたなら、この際言っていただきたい。私の建前では、何ら問題は解決もされないし、何も効果がなかった。何のために箱根会談をやり、日本労働大臣が手間、ひまをかけてアメリカ労働長官と話し合ったのか。一つおみやげ話をこの際お聞かせ願いたい。
  11. 福永健司

    福永国務大臣 会議効果がどうだったというようなことになりますと、これはなかなかむずかしいのでありまして、また、やや長い目でも見なければならぬと思うわけであります。一般に日本人というのは、何か会議でもあると、すぐあとでおみやげおみやげと言うのでありますが、すぐおみやげが出るようなこと、もとよりこれはけっこうで望ましいことではありますが、やはりそういうところで醸成されたムードの中から、やや長期にわたって漸次効果が現われてくるというようなこと等もありますので、どういう効果があったかということになりますと、これは見方によっていろいろなことが言われるだけに、なかなかむずかしいのであります。労働関係につきまして、今石山さんのお話では、向こうから言ってきた委員会一つの考えで、これもよかったのではないかという印象を受けるようなお言葉があるのでありますが、私は、先ほども申し上げたように、そういうような形でやることは適切でない、こういうように考えたし、向こうもまた、話を聞いて、なるほどそうだというようにすぐすなおに了承して、意見一致を見たのであります。私は、日米間の貿易拡大、ことに日本から向こうへの輸出拡大するという面から申しまして、向こう賃金中心といたしまして貿易障害になるような表現をいたします問題につきましては、そういう考え方でなくて、貿易拡大するという考え方からこの問題の解決をはからなければならぬというようにこちらが主張し、それを了承したということは、いずれにしても、これはいいことだと私は考えておるわけでございます。このことは、日本賃金上昇をはばむということでは決してないと思うのであります。私は、大いに日本から品物を買うことが日本賃金を上げることになるのだ、日本賃金が上がるような工合に協力したらいいじゃないか、こういう表現を繰り返し強くやったのであります。従って、そういう観点から、向こうがある程度の理解をしたことは、私は、一種効果であった、こういうように思うわけであります。今も石山さんからお話しのごとく、今後日本経済的な成長を遂げていく過程においては、賃金などを中心とする労働関係の問題について、ぜひ国際的な視野に立って物事を考えていかなければならぬ。これはほかの国とも大いにそういうことをやっていかなければなりませんが、あの会議日米間の会議でございましたので、日米間にそういう意味においての交流ということをより一そう盛んにするというようなことを申し合わせたことも、私は、一種効果であった、こういうように考えておるわけでございます。あまりぴたりきくような即効薬のようなことでありませんので、少しあの会議については、その後において期待したほどじゃないという声も確かにあります。ありますが、しかし、これから毎年やることでありまして、前回がそういう批判があるとするならば、そういうことにかんがみて、次は大いは成果を上げるという方向でいろいろ検討していかなければならない、こういうように思うわけであります。あの会議自体の経過からいたしまして、私は、賃金問題につきましては、あの会議の結果が賃金を抑制するというようなことに作用するとは決して考えてないのでございまして、いずれにしても、日本経済成長、従ってまた、賃金上昇というようなことに好影響を及ぼす会議であった、こういうように私は確信をいたしておる次第であります。
  12. 石山權作

    石山委員 大臣アメリカとの賃金に関する合同会議を見れば、私は、日本賃金が抑制されると言っているのではないのですよ。うんとふえるという提案がしょっちゅう行なわれるだろう、その提案は、何も裏づけのない提案ではなくして、アメリカ確信に満ちた経験から割り出した、日本賃金引き上げ提案が行なわれるだろうということなんです。その経験を買うことによって、日本経済の二重構造打破日本賃金の二重構造打破をわれわれが知り得るということなんだ。方法論をわれわれが見出すことができるということなんですよ。それをあなたが否定されたところに、やはり私は問題が伏在していると思う。ですから、なんぼ政府フランス等に対しガット三十五条の撤回方を要請しても、ソーシャル・ダンピングをやるのだという疑心向こうが持っている限りは、それに応じないでございましょうし、アメリカの保護貿易的なバイ・アメリカンの政策というものは、日本に関する限りはゆるまないだろうと思うのです。これは経済面から見たものの考え方ですが、これを労働運動あるいは賃金を研究している者の側から見た場合、今政府がちゅうちょしているILO批准の問題なども、かかずり合ってくるという印象を受けざるを得ない。特にILO八十七号の場合には、何も直接賃金とは結んでおらぬけれども労働運動の主体をなすのは、日本の場合は、残念ですけれども、民間よりも、官公組合の方が、数からいっても強大であり、形式も整っている。その公務員組合運営自主性を阻害している八十七号が批准されれば、組合自主的運営がおのずから軌道に乗るわけであります。この大きな組合が力を傾けて自主的に組合運動を起こしていけば、この低賃金の壁は破れるものだとわれわれは見ておる。これを押えているのが、八十七号批准をよしとしない政府態度だ。これは、何も私たち日本人労働運動を見ている者だけの意見ではなくして、外国からもしょっちゅう言われている、自由労連からも指摘をされておる、国際機構からも指摘をされておるというのが事実であろうと思う。八十七号は、そういう意味では、賃金に直接には結びついていないのでありますけれども日本労働運動中心をなしているのが官公労働組合である。この官公労働組合の自主的な組合運営公務員制度によって押えつけておる。日本労働組合は、その点では賃金の面で初めから規制を受けておるというふうな格好になっているのではないか。経済的には、ガット三十五条は、そういう意味ではなかなかヨーロッパでは受け入れないでございましょうし、アメリカにおいては保護関税主義的なバイ・アメリカン、これも日本に対しては厳格に行なわれていくだろう。ILO八十七号を批准しないと、私ども日本の低賃金はどうしても避けられないのではないか。われわれだけでなく、ヨーロッパの自由労連の方々も、そういう見解でILO八十七号批准を見守っているわけなんです。何も国内法の公務員の権利義務の問題だけではない。形式的には確かに公務員一つの権利義務の問題でしょうが、その底を流れるものは、現在の低賃金制を打破する原動力を法律によって規制しようというものの考え方でございましょう。私どもは、最近そういう見方をしているわけなんです。ILO八十七号に対しては、そういうふうなものの見方をしている。そうでなかったら、もう少し急いでもよろしいのではないでしょうか。国内法を整備するなどという変なやり方に、労働省はむしろ反対すべきであるのではないでしょうか。労働者に対してサービスをする機関、労働者に善意に満ちた指導をなさんとする労働省、こういう立場から見た場合に、ILOの問題は、どういうふうにお考えになって国会提案をちゅうちょなさり、国内法の整備に名をかりて、またもや政府が既存の低賃金に押し込もうというものの考え方は、労働大臣としてはどういうふうに解釈をなさっておるか、お聞かせを願いたい。
  13. 福永健司

    福永国務大臣 前段にお話の、賃金に関して専門委員会のようなものを設けることについてのアメリカ考え方を私が否定したと、こういうように表現なさった点でありますが、私は、先ほどからも申し上げますように、決して否定してない。アメリカ表現のままのこの種のものは、最も適当なものと私は思わない、こういうことであったわけであります。従って、アメリカ考え方の大部分も含めて、言うなれば、より合理的な、より広範な、そして、より両国間に友好的なムードを醸成するような形においてやろうというので、御承知のように、「相互の貿易関係に悪影響を与えている誤解を取りのぞくため、労働基準、雇用条件、賃金及び労働政策上の他の諸問題につき、一そうの情報交換を行なうことが望ましい。従って、これらの諸問題が今後も両国政府によって検討さるべきことが合意された。」こういう表現をいたしたわけでございます。ねらっておりますところは、石山さんのおっしゃることとそう食い違いがないというふうに私は考えておるわけであります。  それから、ILO八十七号条約の批准につきましては、私どもしばしば申し上げておりますように、できるだけすみやかにこの問題のけりをつけたいと、こう考えておるわけでございます。関係国内法についての御意見もございましたが、自民党内閣における労働大臣といたしましては、従来政府でしばしば申し合わせております関係国内法の整備改正ということをしないで、全然これと切り離して、条約の批准だけということには参らないのであります。このことについては、しばしば申し上げておりますように、条約そのものを批准いたしますについて、これと矛盾するような法律は、もとよりこれは改正しなければならぬ。また同時に、この八十七号条約の趣旨を一そう徹底せしめる、より効果あらしめる、こういうような意味からの顧慮も行なわれなければならない。そこで、そうした考え方によりまして、一連の国内法改正措置ということが打ち出されているわけでございます。そういうようなことで、私どもはぜひこうした措置をすみやかにと考えており、ことに労働大臣たる私は、政府部内、また党内におきましても、これをぜひすみやかにという、強力な推進をしなければならぬとする説をなす者の一人でございます。そうであるのに、現在まだ提出に至っていないと言われても、この点は何と申しましても私も一言もない。一言もないのでありますが、従来しばしば提出いたしまして、審議未了になるというようなこと等もありましたので、私といたしましては、提出してけりをつけたい、これが本意であります。そういうことで党内の総合的意見調整をして、私が申しますような趣旨からして、出せば今度は仕上げをしようというような観点での、さらに一段の検討ということもいたしている、こういうことなんでございます。ことさらに労働大臣までが、提出等を制限させておるというような事実は、さらさらないわけであります。今アメリカとの関連と続けておっしゃいましたので、石山さんの御意見はそういうおつもりじゃなかろうとは思うのでありますが、八十七号条約を批准しないからというので、アメリカとの貿易等もうまくいかぬかという点は、事アメリカに関する限り、八十七号条約との関連は、私はさして悪影響はなかろうと思いますが、しかし、それはそれといたしまして、広く国際的な視野に立って、私は、これはできるだけすみやかにけりをつけなければならぬということにつきましては、終始一貫考えておる次第でございます。
  14. 石山權作

    石山委員 私は、八十七号を賃金の側、労働組合運動をしている側から見た場合、八十七号条約を政府が批准しないのは、低賃金に押えつけておきたいからだ、こういう見方も当然生まれてくるのではないかという意見で、アメリカの方でどう見ているかということは私はよくわかりません。わかりませんけれども、こういうことが自由労連の中で話し合われ、われわれ仲間で話し合われているところを見ると、世間もかなりそういう疑惑を持っているのではないかということを申し上げているわけです。私は、ILOの中身あるいは国内法の中身を今ここでお話をしようとは思っておりません。ただ、一つの見方としてそういう見方が生まれてくるのだ、そういう要素がILOの中にはあるのだということを、この際あなたに聞いていただきたいわけです。それと同時に、自民党内閣においてILO八十七号と同時に国内法を整備しなければならぬというものの考え方、これは、日本労働組合、特に官公組合の方々を野放しにすると、公務員にふさわしからぬ行為が頻発するだろうという心配です。心配という言葉はお上品だが、実際から言えば、労働者を信頼しておらぬということでしょう。もしかりにそうだとすれば、今度皆さんの方でお出しになったこの賃金部の問題も、当然そういうふうに見られる。賃金を調査するという名前にことかりて、マル公制度を作るのではないか、賃金上昇を抑圧する資料をでっち上げるのではないか、こういうことに労働者諸君が考え及ぶとしてもあながち無理ではない。あなたの方では労働組合諸君をあまり信頼しないから、国内法を整備しなければならぬと言う。そして、賃金部を作って、公正というふうな言葉を使っているが、どのくらい公正か、これからのことでございましょうけれども、いずれにしてもマル公を作るのではないか。今の日本の最低賃金労働組合諸君は何と思っているか、これは一種のマル公だとしている。やみ時代のマル公だと、マル公が最低になって、その上にものが上がっていくのだが、日本の最低賃金の場合には、それが最高に位しているということなんですね。事実味わっているわけです。地方へ行って、労働基準局で中小企業、零細企業賃金あっせんを見ると、それが最低ではなくして、最高の形になって運営をされてきているということ。一ぺんきまったら、おそらく二年、三年はこの最高のワクというものは動かし得ない。現実的に最低賃金が最高賃金に移っていっているこの現象を見ているのでございます。そういう事象を背景にして、労働省が今度賃金部をお作りになって、賃金に関するいろいろな資料等を整備される。たとえばあっちこっちからいろいろな問題を問い合わされたら、それに迅速に答えるようにもしたい、たくさんある統計資料をば労働省がそしゃく整備をして、労働者あるいは経営者に対してすぐ役に立つようにする、こういうのが賃金部の一つの性格だと思う。そうだと思うが、労働者側ではなかなかその通り受け取っていないではないか。受け取られないような関係が生まれてきているのではないか。労働大臣はこまかいことはお知りでないかもしれぬけれども労働基準局長来ておられますね。あなたはどう見ているか。あなたは、最低賃金の運用の仕方について、これが最高賃金に変わりつつあるということは否定できないでしょう。そんなことはない、毎年々々上がってきておるというなら、一つ教えて下さい。
  15. 福永健司

    福永国務大臣 局長にお尋ねの点は、私のあとで本人からお答え申し上げることにいたしますが、先ほどから、八十七号条約との関連において、低賃金の状態に置いておくために、この条約の批准もしぶっているのじゃないかというような御表現があったのであります。私は、決してそういうことはございません。八十七号条約自体すみやかにとも考えておりますし、また、しょっちゅう所信を申し上げております際に、労働条件の向上ということは、わが労働省が不断の努力をしなければならない最大の課題の一つであるというように考えており、そういうように申し上げておる次第でございます。おっしゃるようなことはないということについて御理解をいただきたいと存じます。  なお、賃金部につきましては、いろいろな考え方、また、どういうつもりでこういうものを置くかということについて、世にいろいろ見方があろうかと思います。私はきわめて素朴な言葉でお答えをいたしたいと思うのでありますが、現在賃金について各省にいろいろな機構がございます。大蔵省にも給与局があるとか、また内閣の方にもその種のものがあるとか、その他いろいろあるわけでございます。そして、労働省賃金課というものがあるわけでございます。こういうものを置くとマル公にしてどうというようなことを今おっしゃったのでありますが、そういう考えはさらさらないのであります。それより前に、石山さんがおっしゃいます通り日本は低賃金でいかぬじゃないか、低賃金であるならば、これをどういうようにして上げるかというこの賃金政策自体、賃金部がぜひ必要であるということの理由になろうと思うのであります。先ほども申し上げましたように、いろいろな賃金に関する機構がありますけれども、私は確信を持って申し上げます。確信を持って申し上げることは、労働者諸君のために、この給与ないし賃金に関していろいろな機構があるが、労働者諸君のために最も理解あり、また、最もそのためになるような発言権を持ち、かつまた、事実そういうようにしていくものは、これは、私は労働省の中に設けられる機構であらねばならぬと確信をいたしております。従来賃金課という姿だけで、ほかにも同格のやつがちょいちょいあるという程度では、わが方の発言権——おかしなもので、どうも役所の間柄というものはそんなものであろうと思う。そこで、わが方が賃金に関するもの警部に昇格し、一生懸命勉強いたしますならば、賃金に関しての発言権は、労働省の機構が最も大きくなり、また、これが信頼されるに足るということを確信するし、また、そのことが、先ほど申し上げたように、労働者諸君のためになるのだ、これはしばしば繰り返して、与野党の方々両方とも聞いておられるところで私は申しているのであります。そういうような意味で、現在の日本賃金の姿からいたしまして、いろいろ考えなければならないことがありますが、これは立場々々によっていろいろ不合理であるという点が違うこともありましょう。ありましょうが、広く国民経済的視野に立って公正な結論を生み、また、そのための資料を整備するというようなことは、日本で最も急務の一つともいうべきことだ、こういうように考えておる次第であります。
  16. 大島靖

    ○大島政府委員 ただいまお尋ねのありました最低賃金の金額の点について、ごく概略を御説明申し上げます。  現在、適用労働者が約百二十万になっておりますが、大体きまる最賃の金額といたしましては、二百三十円くらいから二百八十円くらいがただいまのところ中心になっておる。以前は二百円以下のところもございましたが、最近におきまして、ことに昨年の秋あたりからは大体もう二百円以下というのはございませんし、二百五十円以上のものが多くなって参っております。すなわち、金額的には逐年逐月上がる傾向になっております。現在三百円以上のものも十件足らずございますし、逐次上がって参っておると思います。そこで、昨年三月の新制中学を卒業しました男子の初任給を見てみますと、全国平均で七千三百九十円となっておりますが、日額に直しますと大体二百九十余円になると思います。この二百九十幾らが現行の初任給の平均なんでありまして、現在定まっております最低賃金は、それよりも若干低目ではございますが、御承知の通り、全国平均の数字でございまして、これを地域的に見ますと、この初任給はかなりばらつきがございます。そういった関係からいたしますと、必ずしも現実の賃金とそう大きな隔たりがあるとも言えないんじゃないかと思うのであります。ただ、石山先生御指摘の点は、要するに、最低賃金の金額がやはりもっと高くなくちゃいかぬということを仰せになるわけなんであろうと思います。私どもも、従来の賃金で低いものは改定いたすように仕向けております。現在五十三件ばかり最低賃金をすでに改定いたしておりますが、今後とも、金額の点におきましても、最賃制の運用全般につきましてできるだけ合理的な形に持っていきますよう、現在中央最低賃金審議会におきまして、この金額の問題も含めまして、今後の運営方針を御検討願っておる次第でございます。
  17. 石山權作

    石山委員 大臣、零細企業にとっては、最低賃金ということは、実際上は最高賃金だということなんですよ。ですから、最低賃金はどうしても早く高額にしないと、いつまでたっても日本の低賃金制、二重構造制というものは打ち破れないと思う。ここの賃金部でやられることは、いろいろ勉強なさるだろうと思うけれども、結局は、こういう業種、このくらいの人数、規模であれば、どういう格好賃金体系がよろしかろうというふうなことが生まれてくるだろうと思う。そこまでいけば、内部干渉をしないにしても、かなりな制肘力のある資料が提出される形というものが生まれてくるだろうと思う。この点に関しては、大臣とやらなくても、局長の方々と実際の数字のやりとりで、明瞭になってくるだろうと思いますが、いずれにしても、賃金部ができて、仕事に誠意を尽せば尽すほど、かなり労働組合に対してはワクをはめるような数字が出るかもしれません。経営者側にとってはほほえましいような数字が出るかもしれません。こういう要素を持っているんです。そういう性格を持っているんです。ですから、疑えば、やはりこんなものは作っていただきたくないというふうになる。あなたが、八十七号を批准すればどうも国内法を整備しなければならぬという不安を持っておるとすれば、われわれの側のそういう不安を持っておる労働組合諸君考え方というものを、そんなばかなことはないというふうに一がいに否定はできないだろうと思う。ここで大臣に考えていただきたい点は、日本の労使間においては、たくさんの是正されなければならない事柄があると思います。その慣行において、あるいは賃金の体系において、いろいろとあるだろうと思うが、要は、もう少し労使間においてお互いがある程度までは信頼するという慣行の樹立以外には、何を提案しても実らぬと思うのです。ですから、八十七号批准と同時に国内法整備もという不信感から——私はやはりそれが根底になっておると思う。労働省の善意のある、言うところの賃金部創設も、その意味ではかなりに不信感を持って見られているだろうと思う。双方の善意が、不信感によってどこかで食い違っているだろうと思う。これを是正するようにするのが、労働省の労働行政に関する大眼目だろうと私は思っております。  それからもう一つ大臣の帰る時間がだんだん近づいてきておりますから、大臣に聞いていただいて、答弁をいただく問題に限ってお話をしておきたいと思うのですが、われわれが高度成長経済になぜたまに反対をするか、これは全く賃金という問題にからんで反対をしている。個人の収入に影響するということによって反対をしているのです。たとえば、今の池田首相が、通産大臣時代だと思いますが、第一回目の発表は、君たちの月給を二倍にしてやるということで、わあっと一つのブームを得たわけですね。それから、それが少しく日経連等を刺激したものですから、第二回目の発表はどうしたかというと、国民の所得という言葉に置きかえました。国民所得を十年間に二倍にする。しかし、これも厳格に言うと、個々のわれわれのふところに入るわけですね。その次に使った言葉は、国民総所得という言葉にすりかえていった。そうすると、われわれのふところに半分入るか三分の一入るかわからぬ。月給二倍とは非常に違った表現が最終段階に行なわれたわけですが、高度成長経済の第一の現象はどういうことかと言いますと、過剰設備の増大が行なわれるということでしょう。自分の実力よりもより多く行なわれるというところに高度成長経済という言葉は使われるのですが、増設をいたしますと、どうしても自然の形で物価の騰貴が到来をする。このことによってまず第一に被害を受けるのは一般の消費者階級でございます。ですから、かりに生産性に見合い、あるいは利潤に見合ったような形で賃金上昇したにしても、一部は消費物価に奪われてしまいます。一部は、今度私鉄運賃がまた上がるそうでございますが、こういうふうな運賃その他の公共料金の値上がりでございます。それにつれてあらゆる消費物価は少しずつ上がらざるを得ないだろう。そうすると、その年度における生産性に——その年度というよりも、前の年度にかぶさってくる。その年度ではとても労働運動は実質的に現われてきません。賃金闘争には現われてこないのですから、一年前の、はなはだしいのになると、三年、四年あるいは五年というように通算した生産性向上に見合った賃金、こういうテーマを出してくる場合もあるわけですから、いずれにしても、そういうテーマを出してきて、いかにもりっぱな賃上げを行なったような形であっても、実質的には高度成長経済が強硬に推し進められていきますと、実質賃金の面ではかなりの減収を来たすということです。去年たとえば七・一%公務員賃金が上がった。東京都の物価指数を調べると、六%くらいも上昇するという。それでは、実際面からして、生産性に見合った賃金をいただいたような格好であっても、われわれのふところはそんな格好ではあたたまっておらぬということです。もう一つ、減税を行なった、行なったと大きなことを言うのだが、実際からすれば二一%幾ら、地方税を含めると二三%という、増額をしたというふうな形になって現われてきておる。このたび間接税を中心にして減税を行なったわけですが、一級酒を六十円くらいとか、みそ、しょうゆはどうだとか、ビールはどうだとか、下げているのですが、実際の家計の計算に現われる計数というものは、一・五%しか現われてこないという計数が最近出てきておる。ですから、実際面からいうと、減税は、この指数を見ると、物価の騰貴から見ますと、はなはだ縁遠い形になって行なわれつつあるということでしょう。ですから、高度成長経済をやられた場合、池田さんはまだかぶとを脱いではおらない、かぶとを締めると言っておられる。そうすると、まだいいと信じておるのでしょう。いいと信じておるうちに、実際からすれば、賃金というものを見てみた場合に、高度成長経済というものは、あまりいいものではないということになりそうなのでございます。まして、これから過剰設備、過剰生産、この結果操短、失業問題、こうなると、あなたが意図される賃金の格差解消、いい賃金という言葉とは逆に、失業者が多くなるから、賃金の率は低下するでございましょう。大企業は残るでございましょうが、中小企業、下請の連中は買いたたかれてしまうでしょう。こういう現象が現在起こりつつあるではございませんか。労働者の幸福を願い、労働者の生活の向上をはかっておる労働大臣といたしましては、ここら辺で高度成長経済政策というものを変更する必要が、労働省側から見てあるのではないかというふうに考えられませんか。
  18. 福永健司

    福永国務大臣 まず、おしまいにおっしゃいました点から申し上げたいと思いますが、労働者諸君賃金ないし労働条件の向上は、経済成長せしめるという姿においてでなければなかなか達成されない、国際的な視野に立って見るときに、特にそれが強調されると思うのであります。ただ、御意見にありましたように、経済成長しても、労働者諸君のためにはあまりいい結果にならぬということになってはいかぬと思います。でございまするから、いろいろの点をおあげになりましたが、この御意見は私十分拝聴いたしておきたいと思うのでありますが、いわゆる池田内閣の高度成長経済政策というものを、労働省的センスからいって、ここで改めさせた方がいいのではないかというただいまの御質問に対しまして、私は、そうではないというように考えておるわけでございます。これはやはり適当に成長せしめていって、その過程において、労働者の所得も増し、いろいろの意味で労働者諸君の生活改善が行なわれるようになっていかねばならぬと思うわけであります。局部的に先ほどからいろいろお話があること等につきましては、私ども重々気をつけて参りたいと思いますが、一言にして言えば、そういうようなことに私は考えておるわけでございます。  なお、前段で、労使相互間に不信があってはならぬ、相互信頼ということがますます醸成されていかなければならぬというような御意見もありました。私も全然同感でございます。この不信感を払拭していかなければならぬことは当然であると思うのであります。そういう意味において、私ども賃金部の設置につきまして、すなおに、率直に私ども考え方を申し上げておるのでありますが、石山さんも一部まだ疑い深いところがあるようでございますが、ぜひ一つそういう不信感を払拭していただいて、われわれの真に意図することについて御理解をいただきたいと思います。
  19. 石山權作

    石山委員 あなた、この段階になっても、このままでうまく何か逃げ切れるなどと考えるのは甘いですよ。なぜかというと、これは今後も続くと思うのですが、たとえば農村で失業者がうんと出てきつつあるが、都市では失業者を探すのには中高層以外にはない。そういう現実、それにあわせて経済状態が襲いかかってくるわけです。そうすると、労働省としては、この前職業訓練部を職業訓練局に昇格したくらいで、とても手に負えたものではないと思う。結局、農村から出てきた中高層を失対事業等に押しつけてしまう。しかも、それは二十一日とか二十二日でしょう。それでやっていくというなら、今のままでいいでしょう。しかし、あなたのおっしゃるのはそうではないでしょう。労働者にサービスしたい、労働者の幸福を祈っておるのだという、そういう美文美調とは、だいぶ現実は違うじゃないですか。ですから、労働省側から見たならば、労働者の幸福と生活の向上を考えてみると、今の政策ではちょっと労働行政というものはおぼつかないのだということが、率直な意見でよろしいと思う。できるかできないかは二の次ですよ。労働省責任者として立った場合では、経済の変わり目には、経済政策の一部変更、一部手直しということが、当然行なわれなければならないのではないか。池田内閣大臣ですから、池田内閣の政策そのものを全部変えるなどとはあなたは言えないだろうと思うのだが、労働者の幸福を願い、労働者にサービスするとすれば、今の池田内閣経済政策の一部変更は、こういう形でやっていけば労働省としてはやりいいという案が、おのずから出てきておらなければならないと思う。ただずらっとしてやると、いかぬじゃないか。ずらっとしてやって、うまくなかったことの例を私一つあげましょう。職業訓練部から職業訓練局に昇格をいたしまして、あちこちに訓練所を作っていただきました。そうしたら、秋田のある訓練所には集団万引団ができた。新聞はいつも口が悪いものですから、一体労働省の訓練所は何なんだ、万引訓練を教えたのか、新聞記事はそう書いていたのですよ。ですから、政策というものは、時代の動きに敏感でなければならぬということなんです。時代の動きに対して敏感な一つとしては、確かに、中高層あるいは農村から離れてきた者に対して、あるいは若い者に対して、一定の生産性向上を把握さすような訓練をすることが必要だった。これは確かに一つのねらいでありました。しかし、もう一つの方はあなたの方で忘れていたのだ。今の青年層は一体何を考えているだろうか。その日常生活というものはどういうものだろうか。それを考えておらなかったから、技術は訓練をしたろうけれども、万引の方はさっぱり心が届かなかった。ですから、口の悪い新聞社は、さっき言ったような形で、労働省で万引訓練をしたろう、こういう悪説を言われるわけなんです。ですから、池田内閣の持っている政策を忠実に実行されるということは、労働大臣としてやむを得ないかもしらぬけれども、そういうやむを得ないというおざなり的なものの見方でなく、労働行政上から見ればここが一部改正を要するのではないか、こういう提案がおのずからこの際労働省の中で生まれてこなければならない。その案が賃金部をば創設するんですよというふうな御答弁であるならば、これはいけません。賃金課を賃金部にして、今押し寄せてくるこの恐慌に対して、労働者の幸福は守り抜け得られません。基準局長からも、この秋田の方の問題については御答弁をいただきたいし、労働大臣については、経済問題について、この個所は、労働省から見れば、一部変革をする、あるいは深めていく必要があるのではないかというような御提案がありましたら、この際承っておきたい。
  20. 福永健司

    福永国務大臣 施策を推進して参ります場合に、そのいう面が現われると同時に、若干の摩擦面での思わしからぬ結果が現われることも間々あるわけであります。労働省関係として、そういうような、先ほどからお話しのような意味において、好ましからぬ事態が発生することについては、これはもとより関心を持ってこれに対処していかなければならない次第でございます。今いろいろお話しのような点については、重々注意をいたしまして、今後に処していかなければならぬと思います。先ほど申し上げましたことは、そういうことをつけ加えずに申し上げて、従って、先ほどのようなお言葉になったかと思いますが、およそ、私どもが所管しておりまする仕事の中には、そうしたきめのこまかい、手厚い心配りが必要なことが非常に多いわけでございます。そういうことにつきましては、重々気をつけまして、お話しのようなことでの失態のないようにいたして参りたい、こういうように考えております。
  21. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 職業訓練局は、昨年六月中旬に発足さしていただいたわけでございますが、それ以来約八カ月を経過したわけでございますけれども、私どももはなはだ微力ではございますが・現在の経済情勢に即応いたしましたところの職業訓練行政を極力推進して参りたい、かような念願のもとに、三十七年度の予算におきましても、はなはだ微力ではございますけれども、新しい事業あるいは規模の拡大といったような点について、かなりな努力をして参っております。  先生の御質問の中に、中高年令層といった問題にも触れておられたのでございますが、私ども、そういった問題についても、わずかではございますけれども、新しく転職訓練という制度を総合訓練所を通じて行なえますような制度も作ったような次第でございまして、はなはだ微力ではございますけれども、今後さらに訓練行政の精神に沿って努力をして参りたい、かように存じておる次第でございます。  なお、秋田の訓練所で集団万引云々というお話がございました。実は昨日、そういうお話をちらと間接に聞きましたので、大へんなことをしてくれたというので、さっそく関係方面に連絡をして、目下その事情を聞きつつあるところでございまして、詳細な遺憾ながらまだ把握いたしておりません。しかしながら、そのような事態が発生いたしましたとすれば、これは非常に遺憾なことでございまして、私どもといたしましては、単に学科であるとか、あるいは技術の修練というのみにとどまらず、りっぱな産業人あるいはりっぱな技術者として必要な人格的な適格性も十分陶冶しなければならない、かように痛感しておるような次第でございます。実は今ここでかようなことを申し上げるのは、はなはだいかがかと思いますが、訓練所の学科の科目には、社会科という科目しかございませんで、道徳、倫理に関する科目はございません。しかしながら、何か適切なる人格陶冶の指導をすることは非常に必要であるといろことを私ども痛感いたしまして、実は半月前くらいのことでございますが——この訓練所も地域的、社会的にかなり事情が違います。また、手前勝手な倫理道徳教育ということもいろいろ問題もあろうかと存じまするが、大ぜいの訓練生が一つの場所で集団的な訓練を営むわけでございますので、訓練所の所訓と申しますか、そういったものででも、何らかの訓練生の心がまえ、気持といったものも必要ではなかろうかと存じまして、これは訓練所によって違いますけれども、たとえば責任と自覚あるいは誠実と勤勉、良識と友愛、安全と愛護といったような項目につきまして、訓練所長が十分現地の事情と合わせて消化をして、訓練生に対しまして、今申しました責任と自覚とか、あるいは誠実と勤勉、あるいは良識と友愛といったような項目につきまして、やはりそういった産業人として必要な人格陶冶をやったらどうであろうかということを寄り寄り話をし、画一的でなくて、実態に合ったように指導をなすように感じておったところ、御指摘のような事態が生じたような次第でございまして、はなはだ遺憾に存じますが、今後さらに十分留意いたしまして、そういうことのないように十分戒めたいと存じます。
  22. 石山權作

    石山委員 今そばで尋ねてみたら、それはみな秋田の県人性がしからしめるところだなどというふうな、失礼な資料の提供では困ります。問題がもう少し明らかになってから、お互い話し合いたいと思うわけですが、私は、大臣、このあとは、いうところの年功序列の賃金の形態等一つ話し合いたいと思いますし、それからいわゆる大企業と零細企業との非常な格差のある賃金形態を、どういう格好にすれば西洋並みに賃金の幅が狭くなるのか、こういうところも一つ論議をしたい。いろいろ残っているのでございますけれども、私の与えられた時間はこれで終わりますので、この次は内容を整備いたしまして、あなたも簡単に御答弁のできるようにしたいと思っております。  どうもきょうは、大まかな話のせいか、あなたの答弁も大まかで、一体私に何を説明しようとしているのか、なかなかのみ込めなくて、ちょうど箱根で行なった日米合同会議が何ら得るところなくして終わったような感じです。労働大臣は一生懸命私に説明していただきましたが、労働大臣の持っている労働行政の片鱗をうかがうには、少しく時間が少なかったと思っております。この次は、一つそういう点におきまして、私の方も内容を整備しておきますし、答弁の方も、もう少しあなたの労働行政の片鱗がうかがえるように御答弁をいただきたい、こう思いまして、きょうは終わります。      ————◇—————
  23. 中島茂喜

    中島委員長 次に、国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  24. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、この貴重な時間を拝借をいたしまして、去る二十七日の午前三時、早朝、福岡市議会で起こりました、板付の北側の拡張にかかわる市道、農道の廃止の提案をめぐって起こりました混乱について、緊急質問をしたいと思うわけであります。時間がございませんから、問題をしぼって質問いたしますから、答弁の方も焦点に合わせてお答えをいただきたいと思います。  ただいま申しました、二十七日早朝の市議会に、福岡市議会始まって七十二年、初めてこういう不祥事が起こったといわれているのですが、この事態を御承知でございましょうか、まず、それをお尋ねいたします。
  25. 林一夫

    ○林(一)政府委員 承知いたしております。
  26. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この市議会の混乱について、調達庁あるいは防衛庁長官として関係があるとお思いでしょうか。
  27. 林一夫

    ○林(一)政府委員 このたびの市会の混乱は、御承知のように、板付基地に安全施設区域を設置するということで、その安全施設区域の中にある市道、これをまず廃止する手続について、市会の決議を経なければならないということで、今回福岡市会において、この市道の廃道の手続の議会を招集されて、会議を催したのであります。そのときにこのような混乱が起こったということと私どもは承知いたしております。
  28. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 二十七日の前日、二十六日に、地元の調達局長から何か長官の方に御連絡がございましたでしょうか。
  29. 林一夫

    ○林(一)政府委員 できるだけ早く基地を提供したいから、地元に話して、できるだけ早くその手続を済ますように話をしておるということでございます。
  30. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは二十六日の何時ごろでしょう。長官自身が連絡をお受けになってお答えをされたのでしょうか。
  31. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私、じかに承ったのではないのです。不動産部の方からそういう連絡を受けまして承知いたしました。
  32. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今長官のお話を伺いますと、そういう連絡があったので、できるだけ早く決議をしてもらいたいということを返事したとおっしゃいますが、地元で聞きました点は、調達局長は、二月二十八日までに必ずこれを採決しなければいけない、一日も延ばせないという連絡が長官よりあった、そういう連絡を市議会の方に行なっておるわけです。この点の食い違いはどうなっておりますか。もし不動産部の方がそういう返答をなされたのだったら、それをはっきりしてもらいたい。
  33. 林一夫

    ○林(一)政府委員 当方からは、できるだけ早くこの廃道の手続を市会の決議を得たいということで、そういうことで地元の局長には連絡いたしております。
  34. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、地元の調達局長は、長官からの連絡ということで、市議会に伝えて参ったその内容は、今の長官の話を聞きますと、完全に一致をいたしておりません。局長は、二十八日までにぜひ採決してもらいたい、一日も延ばせないという連絡があった、こういうふうに言っております。しかし、その点は、今再度質問して明確になりました。地元の局長と長官との間のお考えが食い違っておるということは、はっきりなったと思います。  次に、これは、日米合同委員会かどこかでこの市道の廃止ということが出て参りますと、米軍としては、そこで着工されるという段取りになると思いますが、日にちの点について、日米合同委員会で何かそういうお話が具体的にあったかどうか、防衛庁長官にちょっとお聞きします。
  35. 林一夫

    ○林(一)政府委員 日米合同委員会は私が出席いたしておりますから、私からお答え申し上げますが、米側からは、かねてから、なるべく早くこの地域を提供してもらいたいという要望が再三ありまして、これは御承知のように、昨年の暮れからことしの初めにかけまして、再三なるべく早く提供してもらいたいという要望がありました。何日までに提供せよというようなことはございません。
  36. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、ますます問題が明確になって参ったわけでありますが、二月二十八日までに採決をしなければならないという根拠はとこにもないわけで、ただ一日も早く採決をしてもらいたいというのが中央の関係当局のお考えである、これは一致したようでございます。  そこで、日米合同委員会でも、米軍からのそういう日にちの明示はなかったということもはっきりしたわけですが、米軍が北側の拡張について工事を始めるわけですが、その米軍の工事着工の準備の状態は今どういうふうになっておるのでしょうか。
  37. 林一夫

    ○林(一)政府委員 米軍側工事着工の準備はかねてから持っておるわけでありますが、もちろん、この区域の提供がなければ工事に着手できませんので、施設の提供があれば着工するという準備をいたしております。
  38. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が今お尋ねしておるのは、着工の準備はもちろんされておるでしょう、一日も早くということですから。具体的にどういう準備をされておるか。たとえば工事を請け負う業者もきめなくてはいかぬでしょうが、そういう点の具体的な準備はどういうふうになっておるか、それを聞いておるのです。
  39. 林一夫

    ○林(一)政府委員 そういう詳細な点は、まことに遺憾でございますが、まだ存じておりませんが、提供があれば工事に着手するという準備はずっといたしておるようでございます。
  40. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、米軍の方も早くしてくれという要望はあっても、具体的に地元で着工を——もうこれだけの準備を整えておるからというようなお話は、まだないというふうに理解するわけです。そこで、北側の拡張地内に、市道に近接して県道があることは御承知でしょうか。
  41. 林一夫

    ○林(一)政府委員 存じております。
  42. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 関連するところは、全く県道、市道同じであって、ちょうど今回の拡張の中に、まん中辺にその境界があるわけです。従って、市道の廃止をしただけでは、米軍は着工されないはずですよ。県道の点についても同じような関係が出てくると思いますけれども、県道についての、調達庁としての準備はどういうふうになっているのですか。
  43. 林一夫

    ○林(一)政府委員 県道については、県と従来から協議を進めておりまして、大体の御了解を得ております。
  44. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体の御了解といいますが、やはり県議会の決定に基づいた知事の許可ということになるんじゃないでしょうか。大体の了解を求めておるくらいで、提供されるものでしょうか。
  45. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御承知のように、あの県道はそのまま置く、その県道を補修するということについて御了解を得ておるのであります。
  46. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今おっしゃっておるのは南側のことじゃないですか。私が言っているのは北側の道路のことです。ちょうど現在の滑走路すれすれに通っておる道路のことです。
  47. 林一夫

    ○林(一)政府委員 北側の県道のことにつきまして申し上げておるのです。
  48. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、昭和三十二年の拡張のときに、やはり南北二万坪ずつ、計四万坪の拡張地内に市道、農道があったわけですが、そのときにはどういう手続を経て米軍に提供されたでしょうか。
  49. 林一夫

    ○林(一)政府委員 三十二年の拡張の場合も、市道が入っておる。今回の場合も市道が入っておる。あわせてその市道の廃道の手続をお願いしたわけです。
  50. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、三十二年度の場合は、所有者の承諾を経ずして、国側が米軍に市道、農道を提供された。それで、おくればせながら、あとで形式を整えるというようなことになるわけですか。
  51. 林一夫

    ○林(一)政府委員 三十二年度の分につきましては、市の方から廃道の手続をとるようにというような御要望がありましたので、あわせて今回廃道の手続をとるようにお願いしたのであります。
  52. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 三十二年度の拡張地内に含まれておった市道、農道の点と、今回の北側の拡張地内に含まれておる市道、農道について、福岡市から福岡調達局長に対して、特に三十二年度については手続上遺憾な点があるので、質問状を出しております。それに対して、福岡調達局長が公文書で回答をなされております。そういういきさつがあったのを御存じでしょうか。
  53. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この市道、農道のことにつきましては、当時、市当局と地元の局長との間に、今後十分協議するということについて、話し合いができておったわけであります。
  54. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、福岡調達局長がその質問に対して答えを出している公文書の中で、関係あるところを拾ってみますと、調達局長は、市道、農道を提供施設区域として処理をされたわけですね。それは文書による通告だけであったわけです。この点についての質問を福岡市がしましたところ、文書を出して返事がなかったから、同意を得たものと解して提供手続を完了した、しかし、この間貴庁との連絡が不十分であったことは、まことに遺憾であり、今後はかようなことのないように十分留意したい一つまり、間違いでございました、それで今後は十分注意をしますという回答をやっておるのですね。さらに、福岡市の質問に対して、今度の、三十六年度の北側の拡張地区内について、先ほど私が申しました滑走路のそばにある県道、市道について、今後とも使用できるでありましょうかという質問に対して、福岡調達局長は、市議会の廃止の決定があれば、農道の通行は禁止される、こう回答されております。つまり、もしどうしても通らなくちゃならぬときには、米軍の許可を得て下さい、管理権が米軍に移るから、許可を得て下さい、一般の通行は禁止される——そうしますと、市道の方は、そういう手続をとって今一生懸命やられておるけれども、県道についても同じ手続が要るわけですね。大体の了解はついておると思われてやられたことが、昭和三十三年にこういう手続の間違いがあった。それをまた繰り返そうとするのですか。大体了解を得ておるから、県道についてはやろうと思います——そういうことがいけなかったということを、三十二年度にやられたことを、福岡調達局長はおわびをしてこられておるのですね。従って、大体の了解を得ておるというようなことでは、提供はできない。やはりきちっとした県議会の決定、知事の承諾という手続を経なくちゃならぬと思いますが、どうでしょう。
  55. 林一夫

    ○林(一)政府委員 県道のことにつきましては、先ほど申しましたように、県道はそのまま存置する、その県道を補修するということで、県との間の了解はついておるのであります。市道、農道につきましては、地元の調達局と市当局と協議して話を進めるという約束をいたしております。
  56. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 長官、地図を見てごらんなさい。県道はここまで来ておるではないですか。関係は市道と同じです。県道は今まで通り使う、市道だけどうしてそういう手続が要るのですか。同じじゃないですか。まん中まで来ておるではありませんか。境界線が一緒ですよ。ただ形式上、県と市にわかれておるだけです。それで、調達局はこういう要請を市にされておるのです。御存じかどうか知りませんが、県からその県道の管理権を市の方にとって、そして市議会で決議して下さいという要請をされておるはずです。どうですか。それは。
  57. 林一夫

    ○林(一)政府委員 県道につきましては、先ほどから申し上げましたように、県道はそのまま存置する、その補修については考えますということで、県との話し合いは進んでおる。市道につきましては、調達局と市当局との間の話し合いによりまして、どうしてもこれは廃道の手続をとらなければならぬということで協議がととのいまして、市議会で廃道の手続をとっていただくことになったのであります。
  58. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 同じ道なんですよ。ずっと同じ道で、ここから県道、ここから市道になる。県道の方はそのまま残す、市道の方は廃止する。そうしたら、あなた、県道は何のために必要ですか。途中までで、ここからもう通行できなくなる。そんなばかな話ないでしょう。道はずっと続いておるのだから……。   〔地図を示す〕  ごらんなさい。ちょうどまん中でしょう、県道と市道の間は。長官、ちょっと見て下さい。私は無理なことは言っていません。ここが接点です。ここが今度拡張になっている。市道がここまできている。こっちが県道、ここから市道です。私は無理なことを言っていませんですよ。そういう曲芸ができますか。途中まで県道がきておって、それから先市道になって、市道だけ廃止して、県道は残します、何のために残すのですか。何のために舗装するのですか。そんなおかしいことないでしょう。
  59. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この道路の問題については、現地においてずっと話し合いを続けて参ったのでございます。県道は存置し、その県道を補修するということで、県との話し合いがつきました。市道につきましては廃止手続をとっていただくということで、市の方との協議がととのったわけでございます。市道につきましては、もちろん廃止手続をとりまして、今度は代替道路を作るということで、話し合いを進めてきたわけでございます。
  60. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 通れないから代替道路を作るのですよ。通れるのだったら、必要ないではないですか。通れないから、そのかわりの道を、今度の拡張予定地の北方をめぐってずっと道路をつけられるわけです。市道は通れない、県道だけ通れるのですか。今の答弁は、全然私の質問に対する答弁になっていないようですが、どうでしょうか。防衛庁長官、私が聞いている質問に対する答弁になっておりましょうか。
  61. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほどから繰り返して申し上げますように、県との間においては話し合いがつきまして、そういうことで話を進めて参ったわけでございます。市道についても、市当局と地元の局との話し合いによって話を進めていくということで、今まで協議を進めてきたのでございます。その結果、市道の廃止手続をとっていただくということになったわけでございます。
  62. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今のお答えは何回も聞きました。ただ、通れない道に県道はそのまま残して舗装するという理由を私は聞いておるので、了解を得ましたというお答えじゃ私の質問に対する答えにならぬでしょう。通れない県道を何で残して、何で舗装されるのですか。ちょうどまん中ですが、ここから先は使えぬようになって廃止する。ちょうどまん中ですよ。接点も、防衛庁長官がごらんになって首を縦に振られておる通りです。私の質問がおわかりにならぬのならならぬでいいですよ。
  63. 林一夫

    ○林(一)政府委員 三十二年当時の経過は、ただいま申し上げました通りでございまして、この県道のことにつきましては、将来、通行等については検討するというようなことで、話を進めてきたのでございます。
  64. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 三十二年の話じゃないのです。三十二年度におもに問題になったのは南側の道路です。今私が言っているのは、今回の三十六年度の拡張予定地の北側の道路のことを言うのです。今度は三十二年度とは関係がない。御答弁できないのだったらできないでいいですよ。検討してみますならば検討してみますでもいいです。今までお答えになられた点は、私の質問に対する答えになっていません。
  65. 林一夫

    ○林(一)政府委員 県道につきましては、先ほどから申し上げました通りでございまして、将来これをどういうふうにするかということは、今後県と協議してきめるということで話を進めて参ったわけでございます。
  66. 河野正

    河野(正)委員 関連。どうも私ども、今の調達庁長官の御答弁を聞いておって黙っておられないわけです。と申しますのは、どういう意図でおっしゃっているのかわからぬけれども、今楢崎委員が取り上げているのは、二十七日の時点において、市道を変更するという市議会の議案をめぐっての問題として、この委員会で提起しているわけです。従って、楢崎君がいろいろ申し上げているのは、今申し上げた市道と県道とが合わせて一本になっておる道路の問題です。そこで、長官がはっきり、市道も県道も廃止してもらうのです、こういうふうに男らしくおっしゃるなら話はわかるのです。ところが、市道は廃止するけれども、県道については補修するという話し合いを県としております。ところが、今楢崎委員から追及されているように、これは市道と県道と合わせて一本ですね。合わせて初めて道路としての効果があるわけです。それを、市道だけ廃止して、県道にはなぜ補修をしなければならぬか。言葉をかけて裏から申し上げますと、そういうことで県当局をあなたがだまして、そうして市道と県道を一緒に廃止しよう、こういう陰謀によって今度の問題を強行しようとされているというふうにしか理解できませんが、この点はどうでございますか。
  67. 林一夫

    ○林(一)政府委員 県道のことにつきましては、今までの経過は先ほど申し上げました通りでございます。もちろん、県道の将来のことにつきましては、今後協議を進めていくということで参ってきておるのでございます。
  68. 河野正

    河野(正)委員 あなたは今、県道については経緯を申し上げたとおっしゃるが、その経緯がわからぬと言うのです。その経緯について、もう少し私どもが言っているような方向で御答弁を願いたい、こういうことです。
  69. 林一夫

    ○林(一)政府委員 県道につきましては、今後廃止というようなふうに——その点は、将来の問題としてもちろん協議するということを前提として、将来のことは一つ県とよく協議して進めましょうということで、県との話し合いは進んできておるわけであります。
  70. 河野正

    河野(正)委員 将来の問題については話そうとおっしゃったけれども先ほど楢崎委員質問に対しては、県に対しては、補修をいたしますということで話がついておりますというように御答弁なさった。そこで、そういう答弁は誤りでございましたとおっしゃれば、またそれもけっこうだと思うのです。それをもう少し明確に一つここでお示しを願いたい。
  71. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私の説明が足らなくて、その点は遺憾に思いますが、ただいま申し上げましたように、県道のことにつきましては、廃止というようなことも含めまして、将来県と協議をしていくということで、話を進めて参ってきておるのであります。
  72. 河野正

    河野(正)委員 それでは、舗装する云々ということは、先ほど説明は誤りである、かように解してよろしゅうございますか。
  73. 林一夫

    ○林(一)政府委員 県道につきましては、現在においては、廃止するというようなことは考えておりません。将来、そういうことを含めまして協議していくということでございます。その点は、先ほど申しましたように、十分御説明が至らなかったので、その点は遺憾に思いまするが、現在においては、廃止をするというようなことは考えていないのであります。そのようなものを含めまして、将来県と協議をしていくということで、話を進めて参ってきておるのであります。
  74. 河野正

    河野(正)委員 それでは、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。県道について廃止するということは今日考えておらぬ、従って、現時点においてはこれは永久に残すんだ、従って、県に対しても舗装してやるのだというふうに話を進めておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  75. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま申しましたように、現在においては廃止をするという考えは持っていない、将来、軍ともよく話をしまして、そのような点を含めまして県と協議を進めていく、こういうふうに考えております。
  76. 河野正

    河野(正)委員 それでは、先ほど、舗装するんだということで県との話し合いがついておるとおっしゃったが、結論的に申し上げますと、私が先ほど申し上げますように、現時点では廃止することは考えておらぬ、従って、県に対しては、舗装してやる、そういう話し合いをしておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  77. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在においては廃止するということを考えていない、今後軍とも、全般的な経過についてよく協議していく、補修はさしあたりしていくということで、県と話を進めておるわけであります。
  78. 河野正

    河野(正)委員 今度起こりました問題というのは、もちろん一方においては、基地拡張反対という考え方もございましょう。それから一方においては、基地の産業経済あるいはまた文化、教育、さらには生体、人間と申しますか、そういう生体に及ぼす影響というものは非常に大きい、そういうところから、市民の方々がこの問題に対して非常に強い反対をしておられるというようなことは、大体御理解をいただいておろうと思うのです。その中で、今度変更されようとしておりまする市道、県道の問題、こういう問題が、やはり今申し上げたような産業経済あるいは文化、教育、これは、たとえば学校に通行する道の問題も起こりましょうし、いろいろ悪影響というものが非常に大きいと思うのです。たまたま今度の問題は、ああいうふうに非常に大きな問題を起こしましたが、先ほど楢崎委員からも三十二年度の問題がございましたが、私は、あの膨大な基地でございますから、今日まで、非常にたくさんな市道あるいはまた農道というものが、勝手に廃止されたという事実があるのではないかというふうに仄聞をいたしております。市道、農道というものがどのくらい勝手に処分されたのか、この辺、おわかりでありましたら、一つこの際明らかにしていただきたい。
  79. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在御手元に、市道の全体の広さ、面積というようなことについての資料を持ち合わせておりません。もちろん、そういうような全体的な地域面積というようなものを考慮して、今後そのかわりの道路を作るというように考えて参りたいと思います。
  80. 河野正

    河野(正)委員 六十万市民がこれほど重大な関心を持って、しかも生活権を脅かすということで、非常に大きな関心を持って立ち上がっておる。それにもかかわらず、実際、今まであの基地を拡張するにあたって、どれだけの市道と農道とを勝手に処分したか、そういうことも御認識ない。私は全く言語道断だと思うのです。私の仄聞するだけでも、大体百三十九の農道、市道というものが勝手に処分されておる。今日まで福岡市民が、これほど勝手に、憲法違反ともいうべき、交通の自由を制限される——これは憲法違反ですよ。そういう膨大な国民に対する被害を与えておきながら、しかも、今どきこの委員会で、長官がどれだけ市道、農道を勝手に処分しておるかという御認識がない。全く言語道断だと思います。御存じないから申し上げますけれども、今申し上げたように、勝手に市道、農道の処分を受けたものが、今日まですでに百三十九ある。これによる市民の経済上、あるいは産業上、あるいは文化、教育、あるいは生体、こういう各面における被害は、非常に甚大なものがあると思うのです。そこで、今申し上げたように、今度の問題は、単に今申し上げますような基地拡張反対のみの理由ではないわけです。これは福岡市六十万市民にとっても非常に重大な問題であるわけですところが、長官としては、そういう実態についても十分御認識がない。あなたがそういう姿勢でおられるから、市民が立ち上がっておる。市議会の混乱の責任は全くあなたにある、かように申し上げて過言でないと思う。あなたは、今申し上げたように、少なくとも六十万市民の非常に大きな権利を圧迫しておる。あなたは加害者です。しかも、今度の市議会の混乱の種は、むしろあなたが作ったというふうに私どもは理解せざるを得ない。  と同時に、これは私、関連でございますから、最後に一点、この際明らかにしていただきたいと思います点は、昨年の暮れからことしの初頭にあたって、早く提供してもらいたい、そういうアメリカ側の再三の圧力によって強行された。そのために市議会は混乱した。あるいはそのためにたくさんの犠牲が出たということになりますと、私ども全く承服するわけに参りません。今度の問題は、その背後にアメリカ軍の圧力があったんじゃないかというようなことを、実は新聞も取り上げております。こういう点について、せっかく防衛庁長官がおられるから、防衛庁長官はどういうふうに御判断願っておりますか。これは将来の問題もございます。そこで、この際、一つ防衛庁長官の御所信をはっきりここで明らかにしてもらいたい。
  81. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この北側の拡張の問題につきまして、先ほど調達庁長官からもお答え申し上げましたように、アメリカ側としてはできるだけ早く着工したいという希望のありましたことは事実でございますが、そういうものを受けまして、市議会で十分な御審議をいただきたいという意味で、市当局等と相当期間にわたりましていろいろと対策を協議し、さらに市当局並びに市議会当局が十分な御審議をいただきたいというふうなことを私どもはお願いいたしたわけでございます。特に今回アメリカ側から非常な圧力があって、市議会にそういう圧力がかかったというようには私は考えていないわけでございます。
  82. 河野正

    河野(正)委員 最後ですけれども、もう一言今の御答弁に関連してお尋ねしておきたいと思います。  それでは、そういうようなアメリカ側の圧力がなくて、なぜ強行しなければならなかったか。市議会の方では、二十八日に議決するか、さもなければ三月の初旬に議決するかということで、時間的な問題が出されておったというように私どもは仄聞いたしております。そこで、それを無制限に遷延させよう、どうしても話がつかぬということでなくて、何とかして話をまとめようということで、市議会の方では与野党の間で話が進められておった。ところが、これは新聞にも書いてあるのでございますけれども、現地の局長が、どうしても二十八日だということで固執をする、それが、あのような、まことに残念な不祥事件になって現われてきた。そうすると、防衛庁長官はけっこうな御答弁でございますけれども、やはりアメリカ軍の圧力に屈して調達庁がそういう方向で動いた、こういうふうに私は理解せざるを得ぬのです。これはただ今のこういう問題を何とかしてうまくまとめようということだけで処理してもらっては困る。この問題は解決していないわけですから、さらにこういう問題があとに残っておりますから、そういう点については、十分そういう点についての認識を新たにしていただいて、そして対処していただかぬと、こういう不祥事件というものはたびたび繰り返されるということになりますので、今申し上げたような方向で、今後防衛庁長官もアメリカ側に対して努力をしてもらわなければならぬと思いまするが、それらに対する御決意のほどを最後に承っておきたいと思います。
  83. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほど申しましたように、私も、本年になりましてはお会いしておりませんが、福岡市長さんとお会いした際にも、どこまでも十分話し合いをして、公正な結論を出していただきたいということをお願いをいたしておるわけでございます。従いまして、今回の事件がどういう動機でああいうことになりましたか、さらに私どもも調査をいたしたいと思います。ただ、今御質問の要旨でありまする、何か米軍側の圧力を受けて、そして市議会等を混乱に陥れるような、そういう羽目になるということは、これは私ども全然考えていないことでございまして、今後も地元の情勢等も米軍側には十分説明をいたし、その間の調整はどこまでもはかって参りたいという考え方でございます。
  84. 緒方孝男

    ○緒方委員 前回、この問題をめぐっての審議の過程から、現地住民の方々の十分な了解を得て進めていきたいということは、当委員会で再三再四にわたって、あなた方の方から表明された意思だと思います。それが今度の問題に限って、これはすでに福岡の市会議員の方々やその他の人たちが、新聞でもってはっきりと表明されておりますが、二十八日にぜひともと言われてきておるし、三月一日にはこれをはっきりと米軍側に通告をしなければならないという状態に立たされておる、こういうことになりますと、審議どころか、即日即決みたいな形にせざるを得なかったということが、当地の人々から表明されておる。あなたの今の御説明を聞くと、市議会で十分に審議をしていただくように要望しておったというが、審議の期間を与えないような状態に追い込んだのは、現地の責任か、調達庁の責任か、どちらかを一つ明確にしてもらいたい。
  85. 林一夫

    ○林(一)政府委員 昨年の当内閣委員会におきまして、地元の御了解を得てこの問題は進めていくということで、はっきり申し上げたのでありますが、その線に沿いまして、私も現地に参りまして、地元の代表の方々、具体的に申しますと、移転促進協の五十数名の方々においで願って、一堂に会していろいろ協議をし、御意見を聞き、御理解をある程度いただいて参った。その後も、移転促進協の代表の方々と再三お目にかかり意見を交換しております。市当局の方々についても、再三お目にかかって協議をして参ってきておるわけであります。  一方、圧力をかけたというようなことをおっしゃっておりますが、圧力というようなことは、これは別に当方としてかける力もなし、十分に御了解を得て進める、こういう前提のもとに話を進めて参っておる。なるべく早く提供するような事態に進めてもらいたいということで、お願いをして参ってきておったわけであります。これは昨年六、七月から、なるべく早くということで、地元の方々にもお願いして参ってきておった。それが今回のことになったのでございます。  最後まで問題になっておったのは、市道の廃止手続ということでございます。この点につきましても、昨年暮れの地元の方々との話し合いの席でも、市道の廃止について、今後市当局と地元の局と十分協議して進めていくということで、話を進めて参ったわけであります。そういうことで、市当局には、なるべく早く一つこの廃止の手続をしてもらいたいということは、再三再四お願いしておったわけであります。
  86. 緒方孝男

    ○緒方委員 なるべく早くとか、一日も早くという言葉が、一週間待てない話か、十日間待てない話かということになって、現地の報告を聞きますと、市議会の中で、三月八日にこれが採決を行なわれてはどうか、それぐらいな審議期日は与えてもよくはないかという話がまとまらず、三月一日にはぜひとも通知をしなければならないという強い圧力のもとに、市当局または市議会の中でもってそういうことが論議をされたことが、この混乱の一番のもとじゃないか。もしあなた方がそういうこともないのに、こういうから騒ぎをするはずはない。何かあったとするならば、現地の調達庁は間違った要請をしたのか、それとも、何か出過ぎた要請をしたのか、現地に責任がないとするならば、あなた方が何らかの指示を与えたものと判断せざるを得ない。三月一日にこの問題の解決を報告しなければならぬということは、一体どこから出てきたのか、三月一日を一つはっきりしてもらいたい。
  87. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 重ねて……。私は、先ほどから二月二十八日ということにこだわっておるのは、河野委員も緒方委員も言っておりますように、こういう指示を調達局が与え、アメリカと約束しておるから、国際信義上どうしても二十八日までに上げてもらわなければいけないという強い要請があったという点に、すべての原因がある。従って、私は、この質疑を通じて、二十八日にやらなければならない理由はないのだということを、まわりのあらゆる傍証を固めて言っておるわけなんです。  そこで、先ほどの県道の話も、私が固執いたしておりますのは、県道も市道も同じ条件です。だから、市道さえ市議会の決議を経たらアメリカが着工できるというのはおかしいです。県道も同じ条件だから。ところが、県道に対する配慮は全然やってない。そうすると、市議会がたとい二十八日までに採決しても、これはどうにも取りかかれないのです。着工できない。だから、二十八日というのは、これは全くどこで作られたか知らぬけれども、あなた方の調達庁の機関のどこかで、そういう強い要請を福岡市議会に与えた、これを明確にして下さい。
  88. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 米軍としては、昨年来、なるべく早く工事をさせてほしいということをしばしば言って参ったわけでありますが、昨年末に長官と私が福岡市の方に参りまして、先ほど長官からいろいろお話がございましたように、移転協の方をまじえてお話をいたしましたのも、米軍の方としては、当時においては、ぜひことしの一月から工事に着工できないものかというような話があったわけでございますが、私たちとしては、そういう米軍の要望等も考えて、できるなら昨年の十二月に何とか市会の方で御承認願えないものかというような線で考えておったわけでございますが、ときたまたまああいう不祥な事故が起こるというようなこと、そうしてさらに一月に入りまして、米軍の方とも、やはり市の方の情勢から一月に工事をするのはむずかしいというようなことを話をいたしまして、もう少し延期してほしいというようなことで、さらに一月も困難でございますので、私たちとしては、何とか米軍の要請にもこたえてやらなければならないけれども、地元の情勢というものがございますので、調達局並びに福岡市の方に対しましても、何とか三月から米軍としては工事をさせるようにしてもらいたいということを言っておるので、二月中には何とか御同意が得られないものかというようなことを、一月以来お願いしておったようなわけでございます。
  89. 緒方孝男

    ○緒方委員 そうしますと、二月の二十八日とか三月一日からはというような示唆なり要請は、あなたが出したものですか。
  90. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 米軍のそういう三月からしたいというような要望は、調達庁としても、もうだいぶこれまで米軍の方のもっと早くしたいというのを押えて参りましたが、まずその現地の事情からして、何とか三月ごろには米軍に工事をやらせることができるように、手続をとってもらえないものかというようなことをお願いしておったわけでございます。
  91. 緒方孝男

    ○緒方委員 現地の局長に対しては、そういう方向で処理せよと言ってある以上は、現地に責任はないということになりますか。私は先ほども言うた。これが無制限に長くなるというような現地の情勢ではなかった。全員が賛成するかどうかということは別にして、審議をするのに一週間、十日ばかりの日にちはかけてくれというのは、無理な話じゃない。その一週間の日にちも待てないというようなことは、今までの両方の長官のお話からも私たちは受け取れない。一週間、十日がそんなに問題になっておるような御答弁ではなかった。それがもとになって、議会に警察官を呼び込んで土足で踏みにじらせなければならなかった責任は、一体だれがとればいいのだ、だれの責任か、これをはっきりしてもらいたい。
  92. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま不動産部長から経過を説明したように、昨年から、年末だ、一月だというようなことで、話を進めてきた。私の方からは、なるべく早くこの際廃止の手続をやってもらいたいということで、地元の市当局にはお願い申し上げたわけであります。地元の局長も、そのような意向を察して、市当局にはお願いをしたわけであります。
  93. 緒方孝男

    ○緒方委員 そうまで議会を混乱させて二月中に議決しなければならなかった必要は、調達庁側なり防衛庁側にあったわけですか。それがあるなら理由をはっきりしてもらいたい。
  94. 林一夫

    ○林(一)政府委員 なるべく急いで提供しなければならないということは、先ほどから申しましたように、私ども強く感じておった。米軍との今までの折衝の過程において、なるべく早く工事をしたいから提供してもらいたいという要望がありました。再三再四交渉の結果、結局一日も早く提供してもらいたいというようなことになりまして、地元の局にも、なるべく早く市会で廃止の手続をとっていただくように伝えてあるわけであります。
  95. 緒方孝男

    ○緒方委員 あなた方はお役所で育ってきている以上は、議会制度というものに対してどういうお考えを持っておるかわからない。いいですか、どういうお考えを持っておられるかは存じません。ちょっと荒れたろうというようなことで済まされる問題ではないのです。そういう簡単な問題ではないのです。そういう大混乱まで起こし、七十年の歴史に傷をつけさしたというこの事態が、ちょっと荒れたろうくらいで問題が考えられてはたまらないということだ。まして、現地の方は懲罰の方も出ておるし、けが人もできておる。今後また、その問題をめぐって幾多の刑事責任まで問われるような事態も引き起こす可能性もあるのです。そうまでしてやらなければならぬ必要があったのか。必要のないのにやらしたのなら、あなたは責任をとってやめなさい。そういうような混乱を引き起こして、ちょっと荒れたろうくらいで、のほほんとしておってたまりますか。議会政治というものは、そう簡単な姿でできたものではないのです。長い歴史の中に築かれた議会政治、それを、あなた方のちょっと要請が強過ぎた、ちょっと薬がきき過ぎたというくらいなことでもって、問題を解釈されてもらってはたまりません。だれの責任かをはっきりしてもらいたい。
  96. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほども申し上げましたように、米軍の要請は、昨年から早く提供してもらいたいというような要請もあり、また、その必要性も私ども理解いたしまして、地元の方々と相談をして参ってきております。その経過を見まして、市道の廃道手続を一つ早く市議会において決議してもらいたいということで、市当局には再三お願いして参ってきておるわけであります。そのような経過でございます。圧力をかけるというようなことは、私どもとしては全然いたしておりません。
  97. 緒方孝男

    ○緒方委員 最後ですが、そうすると、何ですか、あなたの方は圧力もかけたわけではないけれども、何も三月一日とか二月二十八日とかにそうまで日にちの上でこだわったわけではないが、現地が少しやり過ぎたのか、現地の市議会が少し思い過ごしをしたか、問題のとらえ方を少し間違えたかというようにしか考えられぬですね。現地の市議会かあるいは調達庁、どちらかに間違いがなければ、こんな混乱が起こるはずがなかったのじゃないか。一週間ばかりこの審議をさせてくれないか一いつまでたってもこれは見込みがないぞというふうな情勢判断をなされたならばともかくも、現地はぴしゃっとそういう審議のスケジュールの話し合いもやっておる。それが二月二十八日じゆうにはぜひともしなければならぬという情勢を作り上げたばかりに、こういう大混乱になっておる。どこが間違っておるのか、間違った個所をあなたは指摘して下さい。
  98. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私どもの今までお願いしてきた経過につきましては、先ほど来繰り返して申し上げる通りでございまして、できるだけ早く提供できるような事態にしていただきたい、ついては、市道廃止については、できるだけ一つ市会においてその手続を進めてもらいたいということでお願いしておるわけであります。別に圧力をかけるとかいうようなこともできませんし、そういうことはいたす意図もありませんし、そういうことをやってきておりません。
  99. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 結論に近づいたわけですが、そこで、私は、今まで御答弁なさったことを要約してここで言ってみたいと思うのですが、間違いがあったら言って下さい。  日米合同委員会で具体的な日取りの要請はなかった、これが一つ。それから、現地の市議会の代表が、二十六日の時点において、二月二十八日に採決をしなければならない理由について、福岡調達局長を呼んで聞いた。よくわからないから、じゃ本庁の長官に連絡をとってくれ。そうしたら、その局長からの返事は、一日も延ばせない、米軍と約束をしておるので、国際信義上これは延ばせないという本庁長官のお答えを、福岡調達局長が市議会に伝えてきた。従って、そこに重大な食い違いがある。これもお認めになったはずです。さらに、米軍の着工準備についてはあまりよくわからない。まあ、なるたけ早くという程度で、具体的にこれこれこういう用意をしておるから、たとえば工事請負業者との契約上こういう点があるから困るのだというようなこともない。さらに、廃止を要請されておる市道と同じ条件にある県道については、何ら触れられておらない。そうすると、今までのところを要約いたしますと、二月二十八日に採決をしなければならない理由は一つもない。むしろ、問題はいろいろ残っておる。  従って、今から言うのがお伺いですが、まず第一番に、これは本庁の長官として責任をあまりお感じにならぬならば、現地の調達局長の独断でそういう返事をやったのかどうか、二月二十八日一日も延ばせないということ、一つずつ聞きます。
  100. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほど申し上げましたように、現地の局長には、なるべく早く市会において市道の廃止の手続をしてもらうようにこの際市当局と話し合ってくれということで、地元の調達局長に調達庁の方から連絡はいたしたのであります。もちろん、その意向を受けて調達局長が、一日もすみやかにというようなことで、市当局に伝えたものと私は判断します。
  101. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、重大ですよ。今長官が考えを述べられたように、一日も早くということを地元の局長も言っているはずだということになると、市長なり市議会の議長あるいは市議会の各派代表がうそを言ったことになりますよ。今福岡市議会は、三十六年度の補正予算、三十七年度の予算審議をめぐって、社会党、共産党の議員は審議に参加していない、非常な異例の状態にあります。この問題をめぐってです。だから今長官がお答えになったようなことで、これが地元に伝わりますと、市長なり議長なりあるいは各派代表が局長から聞いたものを歪曲して、二十八日にやらなくちゃならぬ、三月一日に引き渡すと言ったということになりますが、これは重大責任を負わされることになりますから、今の言葉に責任を負いますか。
  102. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 局長とは私もいろいろ事務的な連絡に当たっているわけでございますが、この問題につきましては、これまで県議を初めその他の関係者と数十回にわたって話し合って参りましたので、この問題についての理解も深まったというふうに私たちは感じとっておったわけでございますけれども、一方、先ほど申しましたように、米軍の方には二月また三月までと、数回待ったをかけておったのでございます。私たちといたしましては、従来からの地元関係、地元との数十回にわたる話し合いの過程、そういうことから、もう大体市会にお願いできる段階ではないかと判断をしておったわけでございます。そして、私の方からはこれまで相当詰めて話もいたしておるわけでございますから、二月中に何とかならぬものか、一つ局長としても最大の努力をしてほしいということを、局長に申しておるようなわけでございます。
  103. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 福岡調達局長から福岡市長あてに、問題の、板付飛行場北側航空進入灯の追加用地の提供についてという要請をされたのは、二月の二十日です。市議会は二十四日に開かれました。そうして、まず、本会議質問がなされました。以降、いろいろ審議をしたければならないといえ理由で——この点は、藤枝長官も、あるいは林長官も、慎重に審議して一日も早くということです。そういう方向で、いろいろとスケジュールに対して検討を加えておった。その段階で、二月二十八日の強い要請というのが大きなモメントになってきた。従って、今林長官なり藤枝長官がおっしゃっているような意味だと、たとえば三月に入っても——慎重審議をした以上は、これは民主的なルールに従って採決が行なわれる。三月に入ってやっても問題はないはずです。今まで質問を通じて明らかになったどの点とらえても問題はない。そうすると、調達局長に責任があるのか、市長、市議会の代表に責任があるのか、どっちかです。これは重大な責任があると思います。先ほども緒方委員から責任追及がなされました。おやめなさいという追及がなされた。これほどの混乱を引き起こして、一体どうなさるつもりです。どういうふうに収拾しようとせられますか。この点については、内閣委員長をされております中島委員長も非常に心配をされて、いろいろ関係議員とも話をされ、円満にこれがいくように、混乱が起こらないようにという、非常に御配慮の深いお世話があっております。そういう御努力を無視して、一体こういう混乱を起こしたのはだれですか。どこに責任がありますか。長官か、地元の局長か、あるいはそうでなかったら、市議会の代表か市長か、どこかになりますよ、この事態の責任は。どうお考えになります。
  104. 林一夫

    ○林(一)政府委員 今回のこの事態の経過につきましては、先ほどから申し上げた通りでございまして、私から、なるべく早く市会において廃止の手続をとってくれということを伝えた。その意向を受けて地元の局長が、市当局にお願いをしたわけです。そういう経過です。ですから、なるべく早くやってもらいたいということを申し上げたのは私でございまして、そういうところから言いますと、私から申し上げたということでございます。
  105. 緒方孝男

    ○緒方委員 どうも明確にならぬ点を一つお伺いしますが、この新聞報道が全部間違いだというならそれでけっこうです。新聞を見ますと、二十六日の夜、各派代表者会議というものが開かれて、そうして辻局長に対して、二十八日の採決ということは延ばせないものかどうかということを一つ本庁の方に連絡をとってもらいたい、こういうことを各派代表者が辻局長に要請に行っている。辻局長は本省と連絡をとったときに、二十八日の線は絶対に譲れない、こういう御返答があったということなのです。二十六日に現地から電話かその他の何らかの方法であなた方は連絡をとったのかどうか、とった返答はこの新聞の報ずる通りかどうか、その点を一つ説明してもらいたい。
  106. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと今のに関連して。私は、実は二十六日、ずっと現地におったのです。そうして市議会の代表が、今緒方委員が新聞を読みましたように、この新聞の報道の通りなんです。そうして福岡の局長が本庁からの連絡として伝えたところは、一日も延ばせない、二十八日でやってもらわないと、米軍に一日に引き渡すという約束をしておるので、国際信義上重要な問題だからということを各派代表に伝えた。私は二十六日におりました。そうすると、福岡調達局長が長官の連絡を歪曲しておるということになりますね。
  107. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 私がそういう局長との連絡等をいたしましたが、局長から、現地の調整が非常にむずかしいというような情勢もお話がございました。私たちとしては、先ほど来のまたくどくどしくなりますので、詳しくは申しませんが、何とか二月中に市会の同意が得られるように、局長としては一つ最後の努力をしてほしいというようなことを局長に申しております。
  108. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、福岡調達局長から各派代表が聞いた局長の話は、これはあなた方の真意を伝えておりませんです。はっきりしております。従って、藤枝長官なり林長官は、まず福岡調達局長に対してその責任を追及してもらいたい。それと同時に、福岡調達局長といえども、調達庁の機関です。この市議会の混乱について何らかの具体的な責任を表明して下さい。われわれの真意と全然違っておるということを、具体的に福岡市長に文書をもってやって下さい。そうしないと、現在起こっておる市議会の混乱はおさまりませんです。もしそれがなかったら、これは市長なりあるいは議長なり、これに賛成した与党の議員の非常な責任になります。この混乱を起こして強行採決をやった、委員会にも付託せずに、いきなり六分間でこれを採決した、こういう事態の責任は、市長なり議長なり与党の諸君にあります。慎重審議をして、三月に持ち込んで十分審議をしてくれと言ったわが党委員主張は、あなた方の真意と同じです。あなた方の責任を具体的に市長なり市議会に出して下さい。どうですか。
  109. 林一夫

    ○林(一)政府委員 今不動産部長からこまかく説明がありましたように、地元の局長には、なるべく二月中に市会の決議を得るように市当局に頼んでもらいたいということで連絡したわけであります。私は、なるべく早く、一日も早くと申し上げたのです。そういう意向を受けてそういう連絡をしたのでございます。その一日も早くということを申し上げたのは私でございます。私の意向が地元の局長に伝わり、地元の局長から市当局にそういう依頼があったわけであります。出どころは私なんです。その点はよく地元の方にも伝えてもよろしゅうございます。
  110. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、これは国会の公式の審議の場ですから、今おっしゃいましたように、長官の真意が局長に伝わっていない。それで局長がその真意を地元の市議会に伝えていない。従って、あなたは、局長に対して責任を追及すると同時に、市議会に対して、この内閣委員会の席上で明確になったから、本日福岡市議会と市長あてに、二月二十八日に必ずやってくれ、一日も延ばしてはいけないと言った覚えはないという公式の文書を出して下さい。きょう出して下さい。
  111. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 先ほど私から申しましたように、二月中に何とか市会の同意が得られるように局長として努力を最後まで続けてほしいというようなことを申しております。そういうことから、局長が何とか二月中に手続を進めてほしいということを熱心にお願いしたことであると存じております。
  112. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたが途中でそういう答弁をされると困ります。二月二十八日に、二月一ぱいに固執しないとさつき言ったじゃないですか。また、固執すべき客観的な条件は一つもないのです。それをあなたが今のようなことを言うと、さっきから河野委員や緒方委員が言っているように、あなたはアメリカの要請に屈したのです。そういう意向を現実におわしているのですよ。そういうことはないと藤枝長官も林長官も言っているのですよ。部長がそういうことを言ってはだめじゃないですか。これは長官、部長に答弁させずに、長官が責任を持って、今の福岡市議会、市長に対する謝罪なり弁明を、きょう文書を持ってして下さい。
  113. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私ども先ほどから申し上げましたのは、その通りでございまして、その間、表現方法とかあるいは連絡の内容について、いささかそごがあるような御発言でございますので、そういう点については十分調査いたしまして、後日御連絡申し上げます。
  114. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 後日では困るのです。今市議会は審議をストップしているのですよ。そうして負傷者が出、市議会議員の中に、この問題に関連して一人懲罰が出ているのですよ。後日なんて、そういうのんびりした話じゃないのですよ。あなた方の責任で起こっているのです。もしあなた方に責任がなかったら、先ほど言うように、市長なり議長なり、賛成した与党の諸君に責任があることになりますよ。どっちかですよ。それを後日調査してなんという、そういうのんびりした話じゃないのです。本日直ちに電話連絡ができるから、局長に確かめて、そうして、市長なり市議会に、本日の時点で出して下さい。そうしないと、あしたから今度は三十七年度の市議会の予算審議が始まる重大な段階ですから……。
  115. 林一夫

    ○林(一)政府委員 その間のいきさつは、よく調査しまして、なるべくすみやかに連絡いたします。
  116. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 なるべくすみやかにではだめだと言っているじゃないですか。地元の意向を、状態をどうして尊重なさらぬのですか。そういうふうだから、私どもはあなた方の真意を疑うのですよ。  本日の質疑を通じて大体本問題については明らかになったと思いますから、藤枝長官、一つこの点に対してああいう答弁では、私はこの混乱は収拾できないと思う。あるいは内閣委員長にお願いをせんければならぬようなことになるかもしれません。われわれの訴えておるところについて、藤枝長官のお考えを聞きたい。
  117. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 経過については、先ほどお話がありますし、また、現在起こっております福岡市議会の問題について、これが円満なる方向解決されることをわれわれは期待をいたすわけであります。従いまして、直ちに調査をいたしますが、別に楢崎さんのお言葉を信用しないという意味でなくて、調達局長等がどういう気持で言ったか、そういう点ももちろん調査をいたさなければなりませんし、市当局側あるいは市議会側がそれをいかなる意味におとりになりましたか、その辺を即刻に調査をいたしまして、そうして打つべき手は打たなければならぬと考えます。
  118. 緒方孝男

    ○緒方委員 その点は、今防衛庁長官の仰せられたように、食い違いがあれば、食い違いはどの辺か、間違った点があれば、どの点が間違っておるかとかいうことの究明は、一つ早急にしてもらいたい。  私が調達庁長官にもう一つお伺いしておきたいのは、この問題は、ずいぶん前から問題が起こって、あくまでも現地の人たちの十分な御理解の上に立って、決して無理なことはいたしませんということは、当委員会において再三再四にわたって御言明なさった事柄だと私は思う。それは移転協の方々と話は進めたというけれども、移転協というのは公式な機関ではありませんよ。いいですか。内容的には、それは地域住民も含め、市議会の方々も含め、政党の方々も含めておるという機関になっておるかもしれないが、法的手続をとる上において正式な機関じゃありません。この問題が市議会で審議されるのに、その間、たとい一カ月かかろうとも二カ月かかっても、一つ何とか了解を取りつけるというような方法がとられてこそ、初めて現地の方々の意思を十分にそんたくし、そうして、納得のいかぬところに一つ納得をしてもらってという姿が、私は現われてくるだろうと思う。市議会にまだ提案もしておらない時期から、二月一ぱいには解決したいとか、三月一日からは工事をするようにアメリカ軍当局との間でこの話が進められておるということは、あまりにも当委員会を欺瞞した行動ではなかろうかと私は思う。いやしくも、これは、中に入っておるわれわれを見るならば、何がわかっているかとあなた方は頭から思っているかもしれないが、構成しておる委員会は、日本国憲法に明記された国会の一機関ですよ。こういう混乱を起こしてまで、あなた方がすでにのっぴきならないような条件をアメリカ側としておったり、また約束をしておったり、こういう混乱を引き起こすような動機を作ったということは、委員会を無視したのか、あるいは議会を無視したのか、われわれを欺瞞したのか、いずれかにならざるを得ない、どういうおつもりでこういう状態に引きずり込んだか、その点を一つ釈明してもらいたい。
  119. 林一夫

    ○林(一)政府委員 昨年の当委員会におきまして、この問題については、地元の御理解、御了解を得て話を進めるということで、はっきりお約束を申したのであります。そのお約束に従いまして、地元の方々とは、市当局を初め、移転協の方々と話し合いを進めて参った。その結果、市道の廃止については、地元の局と市当局と協議してきめるという結論になりまして、その結論によりまして、地元の局と市当局と協議しまして、廃止の手続をとってもらうということになったわけなんです。それで、廃止の手続をとるについては、一日もすみやかにその手続をとってもらうというように、私の方から地元の局長に依頼したわけであります。そういうような経過で、地元の方方の御了解はできるだけ私どもはとってきたつもりでございます。
  120. 緒方孝男

    ○緒方委員 これは防衛庁長官に話せばわかることです。もしこういう問題がお互いに了解のつかないときは、議会においては、市議会と国会とを問わず、意見一致を見なければ、最後には多数決の原則に従ってやらなければならぬ状態になるかもしれません。そういう場合に、お互い議員それぞれの主張を通すために、即刻に多数決でやっていくか、無理でもこの際やろうかというような状態がある場合には、あなた方からすれば、常識的に考えるなら、少なくともとにかく無理はしないでくれ、結果的にはそういろ多数決でしなければならないかもしれないが、あまり無理はしないでもらいたいという希望意見を申し述べることが、当委員会で言明したところの方針と合致する動きであり、行動だと私は思う。ところが、むしろ、けんかをそそのかすような、混乱を引き起こすような——とこが間違っているかしらぬが、錯誤か誤謬か過誤かは知らぬが、いずれにしても、こういう混乱を引き起こすような方向に動くということは、私はまことにけしからぬと思う。長官、どう考えますか。
  121. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 その辺の事情をなお早急に調査をいたしませんと、私、ここで早急な結論を申し上げることは、むしろいけないことかと存じます。ただ、お話のように、議会の運営等につきましては、まあ、その議会にお願いするわけでございまして、私どものとやかく申すべきことではないと思いますが、私どもといたしましては、どこまでも議会がそのルールに従っておやりになることを期待いたしておったわけでございます。従いまして、今御指摘のような点について、どういうところからそういうことになりましたか、直ちに調査をいたしまして、今後福岡市議会が正常な形で運営されることについて、私どものできますことはできるだけやりたいと存じます。
  122. 緒方孝男

    ○緒方委員 市道は廃止の決議を無理やりさせたような形にしましたが、県道はそのまま残置するということを言われておる。この残置された県道は、舗装しようがどうしようが、それは公然たる公道とし、県道として、いつでも立ち入り通行は自由である。その保障は永久に調達庁はしておるのかどうか、その点を一つお伺いしておきたい。
  123. 林一夫

    ○林(一)政府委員 県道につきましては、先ほどから申し上げましたように、現在のところは廃止はしない、さしあたり補修をしていく。将来これをどういうふうにするかということにつきましては、全般的な計画に基づきまして、米側とよく話し合っていく、あるいは県と協議していくというような考えでございます。
  124. 緒方孝男

    ○緒方委員 どうもその点が、私は非常に不明確です。将来県道を廃止をしてもらう方針だ、できるかできぬかは知らぬけれども、そういうふうに県にも要請したいという御答弁であれば、納得がいきます。現在のところ、この県道を廃止するという気持はない、要請する気持はない、将来はまたいろいろなことを話し合いましょう、話し合うというだけの御答弁しかありません。もちろん、飛行場のオーバー・ランのまん中でもって切れた県道と市道ですから、通過することは不可能かもしれない。その用途は、これはなくなるかもしれません。しかしながら、県道である以上は、立ち入り歩行は自由である、こう見なければならない。これはあくまで、保障してあるかどうか。われわれが心配するのは、あなた方は舗装と言うけれども、滑走路の一部としてこれを舗装しようということであって、通行を安全ならしめるための舗装ではないとわれわれは考えておる。舗装というけれども、滑走路としての一部分をなす舗装としてわれわれは考えておるが、滑走路になるような状態の県道が、今後われわれが自由な立ち入りの場であるかどうか、その保障をあなたがはっきりと約束できるかどうかを伺っておきたい。
  125. 林一夫

    ○林(一)政府委員 県道につきましては、先ほど申しましたように、現在は廃止手続をとるようなことは県の方にお願いいたしまして、現在これを使用するということを前提として、補修をしていくということでございます。県道である以上は、やはり通行可能なように、今後とも十分米軍と折衝して参りたいと思います。
  126. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 最後に、私一点だけ申しまして、質問を終わりたいと思います。  今までの質疑の経過から明らかになっておりますように、三十二年度の場合の市道、農道提供については、無契約、無権限、不法提供です。三十六年度、今回の市道、農道の提供については、言いのがれしておったけれども、昨年暮れ、香椎に米軍ジェット機が落ちて、四名なくなられた。それで、ほとぼりのさめるころを待って、そして今度は強行採決、しかも、福岡市民に与えておる印象は、アメリカの要請だ、アメリカとの約束だ。トラの威をかりたような形でこれを強要してきた。全くこれはけしからぬ話だと私は思う。そこで、福岡市では市民みな一丸となって、市議会も自民党、社会党、民社党、共産党一本になって、移転促進協議会ができておる。そこでまとめて運動をやっていこうというこの協議会も、今度の事件のために空中分解をし、さらに、問題になっておりますように、県道は市道と全く一本道でありまして、拡張地内に含まれておるので、今林長官が言われておるようなことが適当で妥当かどうか、これは見なくちゃわからぬです。さらに、調達庁としてもあるいは防衛庁長官としても、すみやかに調査をされるとおっしゃっておりますので、やってもらいたいと同時に、この内閣委員会でも、以上のような諸点がございますので、これはほかの法案の審議もありましょうが、理事会等でお諮りの上、県道の問題も含めて、はたして調達庁長官の言っておるようなことが適当かどうか、これは見てもらわないとわからぬです。私の言っているのがほんとうかどうか、見てもらわないとわからない。そこで、理事会で十分この点御協議をなされて、非常に貴重な時間でございましょうけれども、調査団の派遣ができましたら、一つこの点は中島内閣委員長御配慮をお願いしたい、このようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  127. 中島茂喜

    中島委員長 ただいま楢崎委員の御発言の点につきましては、理事会でよく相談をいたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は、明二日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時三十五分散会