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1962-02-22 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十二日(木曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 草野一郎平君    理事 堀内 一雄君 理事 宮澤 胤勇君    理事 石山 權作君 理事 山内  広君       小笠 公韶君    大森 玉木君       加藤常太郎君    金子 一平君       島村 一郎君    辻  寛一君       藤原 節夫君    緒方 孝男君       田口 誠治君    西村 関一君       受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君         農 林 大 臣 河野 一郎君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         外務事務官         (大臣官房長) 湯川 盛夫君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     佐藤 正二君         農林事務官         (大臣官房長) 昌谷  孝君  委員外出席者         外務事務官         (大臣官房人事         課長)     魚本藤吉郎君         外務事務官         (大臣官房文書         課長)     高橋 直智君     ————————————— 二月二十日  委員柳田秀一辞任につき、その補欠として辻  原弘市君が議長指名委員に選任された。 同日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員高碕達之助辞任につき、その補欠として  大森玉木君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として西  尾末廣君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十日  恩給増額に関する請願小笠公韶君紹介)(第  一二六六号)  同(小金義照紹介)(第一二六八号)  同(坂田道太紹介)(第一二六九号)  同(松野頼三君紹介)(第一二七一号)  同(内藤隆紹介)(第一二七三号)  同(井村重雄君外一名紹介)(第一三二五号)  同外三件(植木庚子郎君紹介)(第一三二七  号)  同外五件(浦野幸男紹介)(第一三二九号)  同外二件(千葉三郎紹介)(第一三三四号)  同(牧野寛索紹介)(第一三三六号)  同(渡邊良夫紹介)(第一三三七号)  同外四件(青木正紹介)(第一四三四号)  同(赤城宗徳紹介)(第一四三五号)  同外七件(荒舩清十郎紹介)(第一四三七  号)  同外一件(井出一太郎紹介)(第一四三八  号)  同外一件(生田宏一紹介)(第一四三九号)  同(上村千一郎紹介)(第一四四〇号)  同外一件(内田常雄紹介)(第一四四一号)  同外六件(大村清一紹介)(第一四四三号)  同外五件(加藤高藏君紹介)(第一四四四号)  同外七件(金子一平紹介)(第一四四五号)  同外一件(唐澤俊樹紹介)(第一四四六号)  同(川野芳滿君外三名紹介)(第一四四七号)  同(北澤直吉紹介)(第一四四八号)  同外三件(久保田円次紹介)(第一四四九  号)  同外二件(小坂善太郎紹介)(第一四五〇  号)  同(小島徹三紹介)(第一四五一号)  同外六件(纐纈彌三君紹介)(第一四五二号)  同(河本敏夫紹介)(第一四五三号)  同外三件(佐藤洋之助紹介)(第一四五四  号)  同外一件(齋藤邦吉紹介)(第一四五五号)  同外三件(笹本一雄紹介)(第一四五六号)  同(正力松太郎紹介)(第一四五七号)  同(舘林三喜男紹介)(第一四六〇号)  同外二件(辻寛一紹介)(第一四六二号)  同(中垣國男紹介)(第一四六三号)  同外一件(羽田武嗣郎紹介)(第一四六五  号)  同外五件(長谷川四郎紹介)(第一四六六  号)  同(長谷川峻紹介)(第一四六七号)  同外四件(八田貞義紹介)(第一四六八号)  同(濱地文平紹介)(第一四六九号)  同(藤枝泉介紹介)(第一四七〇号)  同(藤田義光紹介)(第一四七一号)  同(古井喜實紹介)(第一四七二号)  同外二件(保科善四郎紹介)(第一四七三  号)  同外一件(保利茂紹介)(第一四七四号)  同外五件(星島二郎紹介)(第一四七五号)  同外一件(増田甲子七君紹介)(第一四七六  号)  同(三池信紹介)(第一四七七号)  同外二件(山手滿男紹介)(第一四七九号)  同(山崎巖紹介)(第一四八〇号)  同(秋山利恭紹介)(第一五〇六号)  同外四件(逢澤寛君紹介)(第一五〇七号)  同外三件(小澤太郎紹介)(第一五〇八号)  同外六件(小川平二紹介)(第一五〇九号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第一五一〇号)  同外十八件(久野忠治紹介)(第一五一一  号)  同外二件(倉石忠雄紹介)(第一五一二号)  同(佐々木義武紹介)(第一五一四号)  同(園田直紹介)(第一五一五号)  同(津島文治紹介)(第一五一七号)  同外六件(丹羽喬四郎紹介)(第一五一八  号)  同外五件(藤原節夫紹介)(第一五二〇号)  同外一件(江崎真澄紹介)(第一五四〇号)  同(大野市郎紹介)(第一五四一号)  同外五件(鴨田宗一紹介)(第一五四二号)  同(簡牛凡夫君紹介)(第一五四三号)  同外九件(木村公平紹介)(第一五四四号)  同外一件(木村俊夫紹介)(第一五四五号)  同(北澤直吉紹介)(第一五四六号)  同(佐伯宗義紹介)(第一五四七号)  同(綱島正興紹介)(第一五四九号)  同(濱田幸雄紹介)(第一五五〇号)  同(藤井勝志紹介)(第一五五一号)  同(前田義雄紹介)(第一五五二号)  同外十五件(松山千惠子紹介)(第一五五三  号)  同外三件(小枝一雄紹介)(第一五七九号)  同(福家俊一紹介)(第一五八五号)  同外二十六件(福田赳夫紹介)(第一五八七  号)  同(松村謙三紹介)(第一五八八号)  同外一件(藤枝泉介紹介)(第一五八九号)  同(八木徹雄紹介)(第一五九一号)  同(吉田重延紹介)(第一五九二号)  同外一件(米田吉盛紹介)(第一五九三号)  同(早川崇紹介)(第一五九八号)  同外二件(坊秀男紹介)(第一五九九号)  同外五件(松永東紹介)(第一六〇〇号)  同外一件(松本一郎紹介)(第一六〇一号)  同(米田吉盛紹介)(第一六〇三号)  同(浦野幸男紹介)(第一六一九号)  同外一件(加藤鐐五郎紹介)(第一六二〇  号)  同(簡牛凡夫君紹介)(第一六二一号)  同外三件(鈴木正吾紹介)(第一六二二号)  同外三件(田中龍夫紹介)(第一六二三号)  同(渡邊良夫紹介)(第一六二四号)  同(天野公義紹介)(第一六五九号)  同外十六件(伊藤五郎紹介)(第一六六〇  号)  同(鈴木善幸紹介)(第一六六二号)  同(中山榮一紹介)(第一六六四号)  恩給年金等受給者処遇改善に関する請願(  小川平二紹介)(第一二六七号)  同(増田甲子七君紹介)(第一二七〇号)  同(井出一太郎紹介)(第一三二四号)  同(本名武紹介)(第一三三五号)  同(加藤高藏君紹介)(第一三八九号)  同(川野芳滿紹介)(第一三九〇号)  同(中垣國男紹介)(第一三九一号)  同(星島二郎紹介)(第一三九二号)  同外十二件(加藤鐐五郎紹介)(第一四八四  号)  同外三十九件(木村俊夫紹介)(第一五二二  号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一五五五号)  同(遠藤三郎紹介)(第一五五六号)  同(原彪紹介)(第一五五七号)  同(田中伊三次君紹介)(第一五九七号)  同(小金義照紹介)(第一六一四号)  同(八田貞義紹介)(第一六六八号)  恩給増額に関する請願森山欽司紹介)(第  一二七二号)  同外九件(宇田國榮紹介)(第一三二六号)  同(受田新吉紹介)(第一三二八号)  同(尾関義一紹介)(第一三三〇号)  同外一件(大橋武夫紹介)(第一三三一号)  同外十七件(上林山榮吉君紹介)(第一三三二  号)  同(櫻内義雄紹介)(第一三三三号)  同(綾部健太郎紹介)(第一四三六号)  同外二件(尾関義一紹介)(第一四四二号)  同(高橋清一郎紹介)(第一四五九号)  同(二階堂進紹介)(第一四六四号)  同外一件(保岡武久紹介)(第一四七八号)  同(小枝一雄紹介)(第一五一三号)  同(竹下登紹介)(第一五一六号)  同(船田中君紹介)(第一五一九号)  同(細田吉藏紹介)(第一五二一号)  同外二件(中馬辰猪紹介)(第一五四八号)  同(荒舩清十郎紹介)(第一五七五号)  同(小澤太郎紹介)(第一五七六号)  同(尾関義一紹介)(第一五七七号)  同外一件(加藤高藏君紹介)(第一五七八号)  同(河本敏夫紹介)(第一五八〇号)  同(笹本一雄紹介)(第一五八一号)  同(田中彰治紹介)(第一五八二号)  同外一件(丹羽喬四郎紹介)(第一五八三  号)  同(長谷川四郎紹介)(第一五八四号)  同外一件(福田赳夫紹介)(第一五八六号)  同(藤枝泉介紹介)(第一五九〇号)  同外十件(山中貞則紹介)(第一六〇二号)  同外四件(米山恒治紹介)(第一六〇四号)  建国記念日制定に関する請願内藤隆紹介)  (第一二七四号)  同(井村重雄紹介)(第一三三八号)  同外一件(藏内修治紹介)(第一三三九号)  同外三件(上村千一郎紹介)(第一三八四  号)  同(唐澤俊樹紹介)(第一三八五号)  同外一件(濱田正信紹介)(第一三八六号)  同(保利茂紹介)(第一三八七号)  同(西村英一紹介)(第一四八一号)  同(小沢辰男紹介)(第一四八二号)  同(渡海元三郎紹介)(第一五二五号)  同(砂原格紹介)(第一五五八号)  同(廣瀬正雄紹介)(第一五五九号)  同(八木徹雄紹介)(第一五六〇号)  同外十九件(村上勇紹介)(第一五六一号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一五九四号)  同外九十件(唐澤俊樹紹介)(第一五九五  号)  同(森田重次郎紹介)(第一五九六号)  同(保利茂紹介)(第一六一五号)  同外一件(三浦一雄紹介)(第一六一六号)  同(中馬辰猪紹介)(第一六六五号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願小泉  純也君外一名紹介)(第一二七五号)  同(宇田國榮紹介)(第一六六六号)  同(松永東紹介)(第一六六七号)  旧軍人恩給増額等に関する請願小泉純也君  紹介)(第一二七六号)  同(福田篤泰紹介)(第一二七七号)  同(賀屋興宣紹介)(第一六一八号)  傷病恩給の是正に関する請願松野頼三君紹  介)(第一二七八号)  憲法記念日祝典実施に関する請願片山哲君紹  介)(第一三二三号)  解放農地補償に関する請願大倉三郎紹介)  (第一三八八号)  同(秋山利恭紹介)(第一六一二号)  元満州国官吏恩給に関する請願久保田円次  君紹介)(第一三九三号)  同(松野頼三君紹介)(第一六一七号)  恩給増額に関する請願關谷勝利紹介)(第  一四五八号)  同外二件(谷垣專一君紹介)(第一四六一号)  同(毛利松平紹介)(第一五五四号)  同(今松治郎紹介)(第一六六一号)  同(田中伊三次君紹介)(第一六六三号)  恩給扶助料増額に関する請願小澤太郎君紹  介)(第一四八三号)  同(松永東紹介)(第一六六九号)  健康感謝の日制定に関する請願星島二郎君紹  介)(第一四八五号)  同(小枝一雄紹介)(第一五二三号)  航空自衛隊岐阜基地による岐阜長森小学校の  騒音防止に関する請願田口誠治紹介)(第  一五二四号)  文部省に産業技術教育局設置に関する請願(村  上勇紹介)(第一五六二号)  恩給増額等に関する請願外一件(坊秀男君紹  介)(第一六〇五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置を定める法律の一部を  改正する法律案内閣提出第二〇号)  在外公館勤務する外務公務員給与に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第四五  号)  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九九号)      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由の説を求めます。農林大臣河野一郎君。
  3. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案提案理由改正内容を御説明申し上げます。  第一は、農林本省内部部局として園芸局新設することであります。  最近における国民生活の向上に伴いまして、果実、野菜等園芸農産物生産は急速に増加し、今後におきましても需要が確実に増大していく成長部門として、畜産と並んで、その発展が最も期待されております。このような園芸部門の現在及び将来における発展拡大に応じまして、農林行政の面におきましても、その生産対策流通対策、さらには加工、消費の各分野につきまして適切な施策を総合的に講じ得る体制を早急に確立する必要が高まっておるのであります。このような見地から、園芸農産物等に関する行政振興局から分離いたしまして、新たに園芸局を設置することといたしたのであります。  第二は、振興局を改組して、農政局とすることであります。  農業に関する行政組織は、今回、園芸局が設置されることにより、畜産局及び蚕糸局を含めまして園芸特産畜産及び蚕糸の各部門につきまして、生産流通及び消費を通ずる行政を一貫して担当する組織が確立することになるのでありますが、反面、現在の家族農業経営が複合的な形態で行なわれている実情を考えますとき、今後における農業に関する諸施策を円滑に、かつ総合的に実施して参りますためには、地域の実態に即して農業経営改善するという観点から農業行政を所掌する部局必要性が一そう高まってきていると思われるのであります。  このため、園芸局分離独立後の振興局は、残された米麦雑穀等生産部門についての行政を担当することとともに、以上のような機能を果たすことを期待することとし、現在、農林経済局において所掌しております農業行政に関する企画、農業協同組合その他の農業団体に対する指導助成等事務をこれに移管するほか、農業構造改善に関する事務を追加する等その所掌事務整備し、これを農政局として改組することといたしたのであります。  なお、農林経済局につきましては、農政局への事務移管のほか、大臣官房から国際協力関係事務を移管する等、その所掌事務整備し、農林水産業を通ずる貿易及び国際協力並びに農林水産物流通及び農林水産業に関する金融上の施策を通じて、農林漁業者及び消費者の福祉の増進をはかる部局としての性格を明確にいたすこととしております。  第三は、地方支分部局として地方農林局を設置することであります。  農林省地方支分部局といたしましては、従来、本省農地事務局及び統計調査事務所、食糧庁に食糧事務所林野庁に営林局及び営林署、水産庁漁業調整事務局及び事務所がそれぞれ置かれ、地方における国の事務の遂行に当たっていたのでありますが、今後における農林行政は、従来にも増して地域の特性に適合した、弾力的かつ総合的なものとして展開される必要があり、行政組織の面においてもこれに即応する体制整備が必要とされるに至っております。  このような見地から、従来の地方支分部局のうち、農地事務局並びに漁業調整事務局及び事務所統計調査事務所の一部を統合し、さらに、従来本省でもっぱら処理していた事務を大幅に移管することとし、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国及び九州の七地方農林局を設けることといたしたのであります。  第四は、林野庁所掌事務のうち、労務管理組合交渉及び職員福利厚生に関する事務の複雑繁忙なる事情にかんがみ、これらの事務を従来所掌していた林政部から分離し、新たに職員部を設置することであります。  第五は、水産庁につきまして、人事会計等の庶務を長官官房において行なうこととするとともに、次長を廃止し、各部の所掌事務整備を行なう等、その機構及び所掌事務改善を加えることであります。なお、この際水産庁設置法を廃止し、農林省設置法水産庁に関する規定を加えることといたしております。  その他、肥料検査及び飼料検査効率化をはかりますために、肥料検査所及び飼料検査所の統合によって、肥飼料検査所を設置する等、若干の規定整備を行ないますとともに、農林省の定員に所要の変更を加えようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さらんことをお願いいたします。
  4. 中島茂喜

    中島委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  5. 中島茂喜

    中島委員長 次に、在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案及び在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。山内広君。
  6. 山内広

    山内委員 最初に、在勤俸について、若干お尋ねいたしたいと思います。  この在勤俸は、提案理由の御説明の中でも、昭和二十七年に制定されましてから十年間そのままになっておりますので、いろいろ外国に勤務される外務公務員が困っておるということで、政務次官からもずいぶん同情のある訴えがあったわけであります。事実、十年間も放置されれば、これは非常に困ったことだと思うのでありますけれども、私は私なりに、外務省のいろいろな関係法令あるいは予算案、そういうものを見ますると、十年間もほうっておくということが不思議でならないわけであります。いろいろ外務省の、特に外地に勤務される方々のためには、後ほど触れて申し上げますけれども、法的にも特別な保護的措置が講ぜられておるわけであります。どういうわけで十年間もこれが放置せざるを得なかったのか、その理由をまずお聞きいたしたいと思います。
  7. 湯川盛夫

    湯川政府委員 外務省としては、かねてからこの改善をいろいろ考えておったのでございますが、何しろ平和条約発効後、全然在外公館がなかったのを新設する仕事が非常にたくさんございまして、その方に忙殺をされて、在勤俸改訂ということになかなか踏み切れなかったわけであります。
  8. 山内広

    山内委員 それだけの御答弁では私約得いたしかねます。私から申し上げるまでもなく、この外務公務員法によりましても、もし勤務条件にいろいろ支障があれば、外務人事審議会にその措置について行政措置を要望する規定が、たしか第七条かに許されておるはずであります。現在までそういう事実があったかなかったか、今までそういう措置の要求が現地からなかったかどうか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  9. 湯川盛夫

    湯川政府委員 お話通り外務省人事審議会というのがございまして、それは在外公館から提出します物価調査報告書、その他在勤俸額の決定に必要な資料を要求して、それに基づいて在勤俸の額を勧告することができる、また、外務大臣から諮問があれば、在勤俸について答申をすることもできる、こういうふうになっております。そこで、この在外公館長から提出する物価調査報告書、その他の参考になるような調査報告、こういったものは、絶えず人事審議会の方で検討をしてこられたわけでありますが、ただ、この在外公館長調査報告自体が、何分にも新設公館が多かったり、あるいは手不足等のために、長期的な比較検討資料としてはなお十分でない、また、国によっては客観的な統計資料の入手がなかなか困難である、こういうような事情がありましたので、人事審議会としても在勤法改正必要性は十分認識しておったのであります。ただ、在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の第八条の規定するような具体的な改訂額をはじき出して勧告するというには、どうもまだ十分な資料がなかなか整わない、そういうことのために時間を要していた次第でございます。一方外務省としても、先ほど申し上げましたように、新規公館拡充増設、そういう方に今まで主力を注いできた関係上、おくれておったのであります。しかし、そういった資料も相当整いましたし、それからまた、あまりに現在の在勤俸では不合理であるということになりましたので、今度改訂ということに踏み切った次第でございます。
  10. 山内広

    山内委員 官房長の御答弁はちょっと解せないのであります。というのは、新設公館の業務に忙殺された。それももちろんわからないわけではない。しかし、出先の公館長は、たしか法規では、五月一日現在をもって物価あるいは為替相場、そういうものをその月の月末までに外務大臣報告する義務を負わせているはずです。その報告に基づいて、この現地先公務員勤務がどうあるかということを、常に外務大臣はこれを見ていなければならぬ義務がある。そして、それによっては人事審議会資料を提供して答申を求める義務があるわけです。こういうことを今までおやりになったことがあるのかないのか、その点をお聞きしたい。
  11. 湯川盛夫

    湯川政府委員 お話通り在外公館長としては、毎年物価調査報告書その他在勤俸算定に必要な資料を提出することになっております。そして、そういった資料も来ておりまして、それを人事審議会の方にいつも提出しております。ただ、在外公館を非常に急いでたくさん作りましたので、そういった少ない人数で何でもやっているというようなところもありますので、こういった調査報告書等も最近は非常によくなりましたが、初めの間はなかなかぴったりこちらで希望したようなものが出ない。そういうようなこともあって、実際の在勤俸額算定人事審議会がやるというには、資料として必ずしも十分なものは今までなかなか整わなかったというような事情がございます。
  12. 山内広

    山内委員 十年間放置しておいた責任は、全然別個の新設事務に追われたとか、資料が整わないためにこうだということは、私はどうも納得がいかないのであります。特にこういうことは申し上げたくないのでありますが、先般政務次官はこういうことを言われております。御本人がおいでにならぬところでちょっと失礼かと思いますが、これは記録に載っておることです。現地の下の方の外交官と言われたと思いますが、表現は別かもしれませんが、自動車を年賦で買ったのだ、ところが、それの金を払えないほど手当も少ないので、二年ぐらいここに置いてくれという、切実なる訴えがあったとも言われている。しかし、これは同情すれば同情に値することかもしれませんけれども、こういうことが弊害を伴うということで、現地へ行った公務員外車を買って、また戻ってくるというようなことをやってはいかぬという、たしか通達大臣は出しておられたように私は古い記憶でありますが、事実あるわけです。そういうことの通達の効果は今もってあるのか、それとも、手当をどんどん上げて、行った人にみんな外車を買わして、この狭い交通難の東京へ持ち込むことを認めておるのかどうか、この点もお聞きしたい。
  13. 湯川盛夫

    湯川政府委員 在外公館勤務する者としましては、どうしても車が必需品といったようなことも多いので、そういうところではなるべくみんな都合して車を持ってもらうということにして、そこで、それを持って帰るについては制限を付するようにやっております。
  14. 山内広

    山内委員 そのことは、またいずれ何か問題が起こったときにお聞きすることにしまして、今の外務人事審議会なんですが、これは運営規則によりますと、毎月たしか第二水曜日を月例日として、定例の会議を開かなければならないことになっております。この規定が守られて毎月開かれておるかどうか、その点をお伺いしたい。
  15. 湯川盛夫

    湯川政府委員 毎月一回は必ず開いております。
  16. 山内広

    山内委員 現在この審議会の一名はあなた方の仲間、一名は人事院から入るわけですが、この残りの三名の学識経験者はどなたがおやりになっているか、氏名を明らかにしていただきたい。
  17. 湯川盛夫

    湯川政府委員 五人おりまして、お話のように、一名は不肖私、人事院の一名は任用局長、それから会長は浜口雄彦、委員としては東大教授の田中二郎さん、それからもう一人は松嶋鹿夫さんです。
  18. 山内広

    山内委員 この三人の方は任期が二年ですから、再選されると長くなっていくと思いますが、何年委員をお勤めになっておりますか、二十七年の開設以来ずっとおられる方はおいでですか。
  19. 湯川盛夫

    湯川政府委員 この中で、浜口雄彦さんは昭和二十七年四月十日以来再選なされてなっておられます。それから田中二郎さんは、その前の尾高朝雄教授のあとになられたので、三十一年からなっております。松嶋鹿夫氏は三十二年からなっております。
  20. 山内広

    山内委員 別にこの審議会の委員の方をどうこう誹謗するわけではありませんが、とにかく創立以来十年間審議会の委員におられて、この問題をどういうふうに取り上げたか、どういうふうに議論されたかということが、全く私どもには、先ほどの官房長の御説明だけでは理解に苦しむわけであります。そこで、もう少し突っ込んでお聞きいたしますが、毎月月例の会議を招集されておれば、その会議録というものはとっておられると思いますが、ここへお持ちになっておりますか。
  21. 湯川盛夫

    湯川政府委員 ただいまここに所持しておりません。
  22. 山内広

    山内委員 それは別に内容まで立ち入って監査するという気持ではありませんが、どうもこの辺の会議録を私は見せていただく必要を感じます。あとで、この質問が終わるころまでに取り寄せて、古い十年からのものは要りませんが、最近のでよろしいから、一つここに御用意いただきたい。  それから、審議会が今度の在勤俸についていろいろ意見も出されたと思いますが、この意見書の提出があったかどうか、その点をお伺いしたい。
  23. 湯川盛夫

    湯川政府委員 人事審議会としましては、昨年外務大臣の諮問に応じて答申をしております。この在勤俸改訂の必要があるという線で答申をいたしております。
  24. 山内広

    山内委員 そういう答申であれば、必要のあることはみんなわかっておるので、その内容について、今お出しになっておる在勤俸が妥当なものであるかどうかということについての意見書が出たかどうかということです。
  25. 湯川盛夫

    湯川政府委員 かなり詳しい答申書を出しております。
  26. 山内広

    山内委員 これは見通しですが、今後この在勤手当がどれほど長い間手をつけなくていいものか、またすぐにももう内部の矛盾をはらんでいるものか、いろいろ検討いたしたいと思いますので、この意見書を一つこの委員会にお配りいただきたいと思うのです。人事院であれば、確かに国会に対して意見書を提出する責任があったように思っておりますが、この審議会の意見は国会に出す義務づけはないわけですか。
  27. 湯川盛夫

    湯川政府委員 そういう義務づけは別にありません。
  28. 山内広

    山内委員 義務づけがないといたしましても、この法案が出されておるのでありますから、十年に一ぺんですから、別に定期的に出さぬでも、当然、あなたの方では、人事審議会答申もこうなっておるのだ、こういうことで一つこれを認めてほしいという参考資料として、意見書を御提出になるということが、親切な措置でもあり、当然国会としても、専門家を委嘱して設けられておるのでありますから、そういう書類をお出しになるのが妥当だと思います。  それからもう一つ、査察制度があるわけですが、これはかりに新設公館のために事務に没頭しておっても、現地の実態は切実なものがある。次官も先般外国に行かれて、われわれを案内してくれる人がガソリン代も、全部本人の給料から支弁しておるという訴えがある。これははなはだ奇怪なことだと思います。予算書の中にも十分光熱水費等も組んであるのに、国会議員が行ったときの案内のガソリン代を、そういう下の人の給料からさいて支弁させるというようなことは、あってはならぬものだと思うのです。おそらく大臣現地へ行ってそういう訴えがあったと思うのですが、この査察制度をそういう点でおやりになったことがあるかどうか、伺いたい。
  29. 湯川盛夫

    湯川政府委員 お話しの査察使制度というものはございます。そうして、大体毎年地域を限りまして、二組ぐらいずつ出しております。たとえばことしは南米と東欧圏とか、あるいは次の年には東南アジアとアフリカといったふうにしまして、一つの地域を少なくとも三年に一回は査察して回るというふうにしてこれを励行しております。そうして、その査察使のいろいろな報告といったものも、在勤俸改訂には非常に参考にいたしました。
  30. 山内広

    山内委員 審議会が毎月持たれて、おそらくこれも相当に議論もあり、いろいろ献策しておると思いますので、そういう会議録の内容についてもいろいろ検討もし、また、審議会の出された答申案についてもいろいろ判断をいたし、そして、外地で働かれる外務省公務員が将来とも安心して働けるような態勢を、法的にもちゃんと——審議会がそういう権限を持っておるし、外務大臣はそれに諮問する義務も負うておる、こういう関係にあるのですから、その辺の機能を、法的に認められているこれらの審議会を活用して一十年もためておいて一ぺんに持ち出されるから、大蔵省はうんと言わない。この間、大蔵省の給与課長ですかも来て、この問題が起きたのは、たしか去年の半ばとか秋ごろとかいう答弁をしております。そういうことになりますと、今までもこの審議会が有名無実で持たれておって、十年間も委員に席を置きながら、浜口さんという方はどういう方か知りませんけれども、責任を果たしていないということが明らかではないかと思うのです。そういう意味で、安心して働けるような機構を作ってもらいたい。これは人事院であれば、私ども直接人事院に書類の提出や意見を求めますけれども、外務という特別な地域の立場を認めて、私どもから除外された形で審議会をわざわざ作っておるのですから、この点は将来とも外務大臣大いに一つ関心を持って、この線を動かして身分の安定をはかるようにしていただきたいと思います。これは希望です。  次に、在勤俸内容について、若干お尋ねしておきます。私もしろうとでよく詳しくわからぬのですが、この在勤俸の別表をにらんで参りまして、一つ気がついたことがありますので、これを教えていただきたいと思うのです。この在勤俸のうちで特に目立って高額であると思われるのは、ソビエト連邦の二万四千六百ドルが非常に高い。あとは約一万ドル下がって一万五千ドル台であります。アメリカ合衆国は一万九千二百ドルということで、ソビエト連邦の在勤手当が特別高いわけです。この点はいろいろ事情もあってやられたと思うのですが、その理由をちょっとお伺いしたい。
  31. 高橋直智

    高橋説明員 私よりお答えいたします。  現行の在勤俸は、今度の改正在勤俸もそうでございますけれども、まず在勤俸額を決定いたしまする際に、基準として、最初にアメリカ在勤、これはワシントン在勤でございますが、ワシントン在勤者の九号俸——といいますと、大学卒業初任給の官補でございますけれども、このものを基準の在勤俸として幾らにするかということを最初にきめまして、それから各地の、具体的には、たとえばワシントンとモスクワなりポーランドのワルソーなり、そういうところとの地域的な物価及び勤務条件、その他為替相場関係等々を勘案いたしまして、地域差比率というものを一応われわれは算定いたしまして、そして、それに基づきまして、アメリカの九号俸のもの、具体的に申しますと、現行の九号俸は月にいたしまして二百五十六ドルという低さでございますけれども、それを今回は三百六十ドルということに上げまして、ワシントンをかりに一〇〇といたしますと、ソビエトのモスクワの方を一二六と、いろいろの係数を合わせまして作ったのでございますけれども、地域差を作りまして、それをかけたわけでございます。なお、今回改正の重点になりましたところのアフリカ地域、非常にひどかったアフリカ地域等につきましては、現行のものが、具体的に申しますと、ガーナは、ワシントンの一〇〇に対して九〇でございました。さらに、ナイジェリアの方は、ワシントンの一〇〇に対して七七という低さだったのでございます。これはいろいろな事情がございまして、当時資料その他もありませんので、そのような低いのでも認めざるを得なかったのでございますけれども、今回の改定にあたりましては、これらの地域勤務条件が非常に悪いことを勘案いたしまして、一二六という地域差比率をはじき出しまして、これをかけたのが今度の改正在勤俸でございます。従いまして、具体的に申しますと、このナイジェリア等におきましては、九号俸は、今回の在勤俸改訂におきましては二倍余、現行の一〇〇に対しまして二三四というほど改善されたわけでございます。しかも、各号俸の定め方を簡単に申し上げますと、九号俸を一〇〇といたしまして、八号俸は一一〇、七号俸が一二〇、さらに六号俸が一三〇、そういうことで、今度の三号までは各地域一律に上下の倍率をかけまして、さらにまた、大使、公使につきましては、その国との外交関係の密度等を勘案いたしまして、大使の額を算定したものがございます。現行のものもそういう経緯で作ったわけでございますけれども、これを大体据え置きを原則といたしまして、そして下寄りの倍率を上げていく。三号まで定まりましたものを、この三号と大使との間に一号、二号の参事官というものをはめるという方式をとって、これを作ったような次第でございます。ただ、御指摘のように、ソビエト連邦につきましては、共産圏の特殊事情下に勤務することでもありましたので、これらの大使館を作りました当時、特にこれを先生御指摘のような高い在勤俸のままに作ったような経緯がございます。ただし、今回、ソ連圏の中でも、ポーランド、チェコ等は、モスクワに比べてやはり格差がある。幾分生活条件、環境等もよろしいというような点も勘案いたしまして、これをむしろ若干引き下げるような方向を作り出したわけでございます。
  32. 山内広

    山内委員 今の文書課長さんのお話は、ちょっと逆にお考えになっておるんじゃないですか。ソビエトの高い理由は特殊事情ということで、これは外交上あまり説明がしたくないのなら、また個人的にお聞きしてもけっこうです。何か理由があるからよろしいのですが、ポーランドとチェコはこの号俸からはずして、附則でもって、当分の間ソビエトのあれによると規定しているでしょう。この理由はどういうのか。そして、今課長は安くしたと言うけれども、安いのは号俸の中の数字であって、当分の間はソビエトの二万四千ドルが適用されるんじゃないですか。おかしいじゃないですか。
  33. 高橋直智

    高橋説明員 ソ連につきましては、当時の地域差比率——くどくなりますけれども、私が申し上げました地域差比率から申しますと、一一三ないし一四五という地域差比率が現行のものでございますが、これを今回は一二六に一応算定したわけでございます。ポーランドとチェコにつきましては、一一六という地域差比率をわれわれは想定いたした次第でございます。  なお、御参考までに申し上げますと、このソ連邦及びソ連圏諸国につきましては、いろいろの資料等がはっきりしなかったために、暫定的に現行法ではきめておったような次第でございますけれども、今回はこれを各館とのバランス等も勘案いたしまして、ソ連につきましては一二六、ポーランドにつきましては一一六という地域差比率をはっきりさせたわけでございます。
  34. 山内広

    山内委員 そうしますと、こういうふうに理解してよろしいですか。ポーランド、チェコは、昭和二十七年度当時はソビエトのランクで附則でもってやった、今回はそれをはずしたということであったのですね。
  35. 高橋直智

    高橋説明員 そういうことであります。
  36. 山内広

    山内委員 そうすると、それでもポーランド大使約二万ドル、チェコも二万ドル、こういうことになるわけですね。——わかりました。  その次に、もう一つ、これは高いのではありませんけれども、同じようなケースで出ているのがセネガルですね。そしてその近所の十何ぽかの国は、このセネガルのランクによる。いわゆる号俸を直さないで、附則でもって今度はやっておりますね。これはどういうわけですか。
  37. 高橋直智

    高橋説明員 今度は、セネガルは、はっきりと別表の中に特記いたしまして、そのような暫定措置は一切廃止したことになっております。現行法におきましては、御承知のように、附則でもってセネガルの在勤俸を準用する形をとっておったわけでございます。それが今回は各館別に個別的に別表の中に提示したわけでございます。
  38. 山内広

    山内委員 その点はわかりました。  この際、ちょっとお伺いしておきたいのですが、外国のこういう公館のこの種の跡始末である会計検査は、どういう形で受けられるものですか。現地になかなか行くわけにもいかぬでしょうが、これは本庁内における書類審査で終わるわけですか。
  39. 湯川盛夫

    湯川政府委員 初めのうちはそういう書類審査でやっておったのでありますが、最近は会計検査院から係官が出張されまして検査された地区もございます。
  40. 山内広

    山内委員 ここは予算委員会でありませんから、予算について立ち入ってお聞きすることもどうかとは思いますけれども、在勤俸の問題がありますので、特に外務省は特異なお役所でもありますので、ちょっとお伺いしておきたいと思います。予算書をお持ちになっておりましょうか。——突然ですから、予算書をお持ちにならなくとも、私どもの方で要求しておりませんから、質問をあとにしてもよろしいのですが……。
  41. 湯川盛夫

    湯川政府委員 どうぞ、ありますから。
  42. 山内広

    山内委員 それではちょっとだけお聞きしておきます。予算書の方に「三十七年度中に増設予定の在外公館一館」というのは、これは何を御計画になったのですか。
  43. 湯川盛夫

    湯川政府委員 クウェイトに新設する大使館を予定しております。
  44. 山内広

    山内委員 これは大使館ですか。
  45. 湯川盛夫

    湯川政府委員 大使館であります。
  46. 山内広

    山内委員 それから予算書の項目の方の職員手当というのが五億七千万の増額になっております。これは在勤俸を……。三十二億八千万円です。大へんな金額です。
  47. 湯川盛夫

    湯川政府委員 在勤俸は、この在外公館職員手当というところに、在勤俸、配偶者加俸というのがございます。在勤俸二十四億何がし、それから配偶者加俸八億四千九百万ですか、これは在外職員在勤俸全部を足しまして三十億ちょっとであります。
  48. 山内広

    山内委員 見ている資料が私のと違いますので、ちょっと総括されているようなんですが、それはそれでよろしいでしょう。職員手当の中の五億七千六百万の中に、今度の増額された在勤手当が含まれている、こう解釈してよろしいんですね。
  49. 湯川盛夫

    湯川政府委員 そうでございます。
  50. 山内広

    山内委員 わかりました。そうしますと、この職員手当というのは、三十二億八千万に上るわけですね。そして、在勤者の俸給というのは、本俸は四億七千万、八倍か九倍を在勤俸で埋め合わせている、こういう計算になるわけですね。これは大へんなものです。これは金額が多くとも、外国に行けば日本の体面も必要だろうし、いろいろお金もかかるし、在勤手当を上げてやることは私どもも反対していないのです。ただ、先ほど申しました通り、これだけ外国におる人の生活の中に占める手当が、十年間も放置されたところを私は問題にしておるのであります。これは外務大臣、特に今後留意されていただきたい。  それから、御説明では、下に厚く上に薄い今度の改正だ、こういうふうに説明されておるのですが、号俸を見ますと、私の感覚では、どうも下に厚く上に薄いとは受け取れない。これは見解の相違もあろうかと思いますけれども、たとえばアメリカ駐在の大使は一万九千二百ドル、十一号俸になりますと三千四百五十六ドルであります。大使、公使はたくさんもらうことは常識的にわかりますけれども、下位の十一号俸は、大使、公使との間に七倍も八倍も、多いのは十倍近くも在勤手当に差があるということになりますと、基本はどうであったかわかりませんけれども、この前の政務次官説明では、現地に行く国会議員を案内するのは、安い給料の人が案内するんだ、そういうことでガソリン代も出させる。こういう人たちにそういう負担をさせておるということに、どうも私は、下に厚く今度改正したとは思えないのですが、この点の説明ができるならば聞かせてほしい。
  51. 湯川盛夫

    湯川政府委員 改正在勤俸額は、現行と比較しますと、任地や号別によっていろいろございますが、全体として見ると、約一五%の増額ということになっております。下級職員の昇給率を最も多くしたのでございますが、たとえば上がったパーセンテージで申しますと、各号別の平均昇給率を申し上げますと、先ほど御説明しました、基本になった九号俸は四九%の増額になっております。その下の十号俸も同じく四九%の増額である。その下の十一号、これは四四%の増額、それからまた九号の一つ上の八号、これは三九%の増額、その上の七号は三一%の増額、こういうふうに下の方が非常に多くなっております。全体の平均としては一五%でございますから、従って、上の方は薄いわけであります。
  52. 山内広

    山内委員 この問題は、これ以上深く申し上げることもないと思いますけれども、こういう問題は、パーセントだけで追うとやはりうまくないんですよ。何万ドル取っている人に一%上げても、何百ドルになってしまう。下の方のずっと安い人に同じ率でいくから、格差がますます開いていって、もらう立場からすれば、金額に直せば何も埋まっていかないことになる。しかし、これは今の場合の論争ではふさわしくないと思いますので、いずれ申し上げる機会もあろうかと思います。
  53. 湯川盛夫

    湯川政府委員 絶対額ではますます格差が大きくなるということはないと思います。下の方はやはり非常にパーセンテージを上げましたから、むしろ格差は狭まりました。現在は大使と下の方と、大体上が、これは長年三十年くらい勤めておるわけですから、それで六倍半くらいになっておったのですが、今度の結果四倍半くらいになりました。だいぶ格差も縮まっております。ちょっと御説明しておきます。
  54. 山内広

    山内委員 なかなか複雑な号俸ですから、そうもなっていないように思いますけれども、あなたがそう説明されればそれで了解しておくことにいたします。  大臣がおいでになりますので、ちょっと大臣に、政治的なことで御見解をただしておきたいと思うわけであります。その前に、事務的な御説明があっていいのですが、こっちから外国へ行って、いろいろ土地、建物を手に入れるわけです。そのことは、関係法規を見ますと、いろいろ詳しくはわかりませんけれども、断片的ながらも、どういうふうにやっておるのかわかるわけですが、ただ、日本にある外国の公館、これはどういう形で外国の人たちが手に入れておるのか、巷間ではいろいろなうわさも伝わっておりますので、この扱いについてお伺いしたいと思うのであります。
  55. 湯川盛夫

    湯川政府委員 この在外公館というのは、戦争があっても没収できないということになっておりますので、国有財産になっているものは、従前のまま、戦後もそういうふうにしておるわけでございます。日本もまた、在外公館でかって国有財産にしてあったものは、戦後外交を再開して、またそこを使えるようになっております。そうでない、新たに探さなければならぬというところは、いろいろつてを求めて探したり、ときには外務省の儀典課あたりで世話をしたり、そういうことにいたしております。
  56. 山内広

    山内委員 従来の国有財産を借りておるところはそのままだが、そのほかはつてを求めて、ここが問題なんですが、どういう形で現に外国の人が土地を手に入れておるのか、もっと具体的に、おそらくお調べになって、おわかりになっていると思う。
  57. 湯川盛夫

    湯川政府委員 一々各国の在外公館がどういうふうにして現在のところを獲得したか、全部は知りませんけれども、私どもが外に行って在外公館を開く場合のことからいいますと、やはりいろいろな広告を出してみたり、あるいはあちこちあっせんするようなところに連絡してみたり、そうやって相当苦心をして、適当なものを物色しております。また、共産圏のようなところになりますと、これはまた向こうの政府の方へ頼む。個人では獲得できません。
  58. 山内広

    山内委員 それ以上の御答弁はなかなかできないようですが、これは私なりに聞いておるところもあります。ただ、現在東京の周辺にある外国の人たちが、非常に広大な土地と建物を事実借りるか買うかして、取得しておるわけです。これは前に私も地方議会におったときに、陳情、請願に歩いた経験もあるのですが、わずか十人もいないところに相当もったいない土地だと思った印象もあるのですが、現在外国の公館で、特に東京周辺、この近在にどのくらいの土地を占めておるのか、お調べになったことがありますか、もし数字をおつかみでしたら教えて下さい。
  59. 湯川盛夫

    湯川政府委員 ちょっと数字を今即答できません。
  60. 山内広

    山内委員 やはり外務省としても、大まかなこれくらいの数字は、おつかみになっておかれた方がいいと思います。特にここで外務大臣に伺いたいのですが、これは私のほんの思いつきで、こういうことができるかどうか、幼稚な考えかもしれませんけれども、さっき申しました通り、この周辺にわずか五人か三人の駐在の公館が、一目で見ても何千坪という土地を持っているところもあるのです。買ったか借りたかわかりませんけれども、こういうふうに交通地獄になりまして、少しのあき地でもほしい、皇居すらも開放せよというときなんですから、こういうところは何か一カ所に、遠くでも道路さえよければ、自動車をもってばんばん通勤できるのですから、一つこういう外国の公館のセンターというものを一カ所に構想されて、そしてそこに交換する、こういうお考えに立たれないと、これから、植民地解放で独立国がどんどんふえてくる、そういう人たちが、だんだん日本との国交の正常化に伴って、金にあかして、いろいろなボスを使って高い土地をどんどんとるということになりますと、これも一つの都政における、また、国の大きな行政上のガンが出てくる。そういう意味で、何かこういうことをお考えになったことがあるかどうか。なかったら、私の思いつきでもそれはちょっと思いつきだ、研究しようというお考えがあるか、その点もあわせて……。
  61. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 実はそういうような要望もあるわけでございます。最初に日本に公館を開いた、あるいは戦前から持っておるというところは、非常によいところに広大な場所を持って、自分ら新興の国は非常にへんぴなところに持っておるので、何か一カ所にまとめて、日本政府において世話してもらえぬかというようなことを言ってこられた方もあるわけでございますけれども、何せそういう今まで持っておられる土地を開放させるという権限が実は政府にないわけでありますから、新しく土地を買ってお世話する、それは今の東京の土地事情からいたしまして、非常な難事業でありますので、現状においてはなかなかそれはむずかしいというふうなお答えをしているような実情でございます。しかし、お考えのような点は、理屈としてはまさにそう考えるべきものでもございますので、いろいろ将来にわたりまして研究させていただきたいと思います。
  62. 山内広

    山内委員 もう定刻十二時になりましたので、これで質問を終わりますが、くどいようですけれども、前の在勤手当も速急に上げるつもりらしいけれども、ぜひ一つ将来にガンが残らぬように、法的にも守られた公務員を守るあなた方の責任ですから、十分万全の措置をとっていただきたいことを希望しておきます。
  63. 中島茂喜

  64. 受田新吉

    ○受田委員 外務省から提案されておる三つの法案につきまして、最終的に取りまとめてお尋ねをしておきたい点を今から申し上げたいと思います。おととい予算関係で分科会でお尋ねして、なお未解決の問題が残っておりますので、これをまずお尋ねしたいのです。これは予算に関係する問題よりは、機構に関係する問題でありますから、重ねてこの委員会でお尋ねを申し上げます。それは、私がお尋ねをしました外務省の付属機関の外務人事審議会、私の質問に対してお答えになった事柄の中で、機構に関する問題を今からあらためてお尋ねします。  この外務人事審議会令を見ますと、第一条に、委員の任命の中に、人事院の任用局長または人事院の法制局長というのが入れてある。これは今日も変わっておりませんか。
  65. 湯川盛夫

    湯川政府委員 変わっておりません。現在は人事院の任用局長の矢倉さんがなっております。
  66. 受田新吉

    ○受田委員 法制局長ははずしてありますか。「又は」というのは削られておりますか。
  67. 湯川盛夫

    湯川政府委員 「任用局長又は人事院法制局長」となっておりますので、どっちかすればいいのではないかと思います。
  68. 受田新吉

    ○受田委員 どっちかということですか。
  69. 湯川盛夫

    湯川政府委員 ええ。
  70. 受田新吉

    ○受田委員 現在人事院に法制局というのがありますか。これはあなた、委員の一人として承知しておられなければならぬでしょう。
  71. 湯川盛夫

    湯川政府委員 あとで調べてお答えします。
  72. 受田新吉

    ○受田委員 調べて、この会が終わるまでに御答弁いただきたいのです。  「人事院任用局長又は人事院法制局長」というのは、生きている政令になっておりますね。現行政令ですか。
  73. 湯川盛夫

    湯川政府委員 さようでございます。
  74. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、私、ここで後ほどの御答弁でまたあらためてこの問題をお尋ねしますが、この委員の六名のうちで、人事院に関係をしている人が一人しかおられない。そして、一般職の公務員とのバランスを外務公務員の分にも適用しようという努力をされる人というものは、一人しかおられないということになるのですが、この構成の中に事務局というのもない。ただ幹事がおられる。幹事は、総務課長とか人事課長、会計課長がやっておられるわけですけれども、外務省の方だけで幹事を構成されておりますと、外務省の独善的な形がとられる危険もあるし、また、一般職とのアンバランスの問題で、かえって外務省は不利をされるという危険もある。こういうことで、外務省としては、この幹事の中に人事院の直接関係の深い担当課長を入れるような措置をとる必要はないか。また、もしこのような形で進めることが困難であるとするならば、外務人事審議会事務局を設置する必要はないか。この二点についてお答えを願いたいと思います。
  75. 湯川盛夫

    湯川政府委員 御意見十分研究してみたいと思います。
  76. 受田新吉

    ○受田委員 私が心配しておりますのは、外務省公務員の皆さんが、長らく在勤俸を据え置きにされて十年近くもがまんをしてこられた。また、旅費規程も改正されないで、このたびもこの分が取り残されている。在勤俸は曲がりなりにも下に厚く上に薄いという一応の措置がとられたことで、私もうこれは申し上げる必要もないと思いますが、旅費は、日当も車馬賃も、また移転料なども取り残されておる。こういう点につきまして、どこかにアンバランスを生ずる、かえって外務省公務員の方には不利な条件が、どこからか生まれてくる危険がある。これは一般職のような強い力というものも外務公務員にはない。非常に上品な方がそろっておられる関係で、要求などもあまりなさらない。つい国会あるいは外務人事審議会などで御相談されることを待っておられるというような問題が、私は一つ発生すると思うのです。これは外務省公務員が取り残される。大蔵省などにしても、あまり強く言わぬところは、まあまあでなるべく予算を押えようというようなことも考えられる。こういうことになりまして、一番外務省公務員が取り残される危険があると思うのです。私最近この問題を研究し始めて、この外務人事審議会なども機構を拡充強化して、できれば事務局などを置いて、もっと真剣に、各国の外交官とのつり合いの問題、世界各国の経済情勢の変化に伴う物価の上昇、そういうようなものも勘案した、一応安定した待遇が外務公務員の皆さんに与えられるような努力を、特に官房長を中心に御検討されてはどうか、かように最近考え始めたわけです。それは一般職とのバランスの問題があると同時に、国際的な関係というものがそれにからんでくるということですね。特に機構の上で、必要があれば幹事の中に人事院の担当課長を入れるとか、あるいは私が申し上げたような事務局を別に作って、人事院にかわる機関が、外務公務員外務人事審議会という立場になるのですから、そこを一つ十分配慮されるように大臣も御検討されてはどうですかね。
  77. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 御意見十分研究してみたいと思います。
  78. 受田新吉

    ○受田委員 それからもう一つお尋ねしておきたいことは、大、公使の待遇でございますが、これは大使が十五万五千円、一等五号、一番上の方、一番下が九万四千円一こういう俸給をもらっておられるわけです。この俸給は——私、認証官議論をあまりすることはこの際避けますが、一応天皇の認証によって、任命手続の処理がされるような形になってくる立場でございますので、ほかの同じ立場の人との問題がここで起こってくるわけです。今、一応天皇の認証行為というものが必要な、一番びりっこのお役目を持っている人は侍従長です。侍従長は十三万五千円、官内庁長官が十五万五千円、また、検事長または地方裁判所長、こういうものが十三万五千円、それ以下の俵給をもらっている人はないのですが、九万四千円というような大使がおるということになると、外交上の威信の問題——国内で低い月給をもらっておるということは外国へ行って宣伝をしないでしょうが、五等大使だということを聞いただけでも、外国が、おれの国をばかにしておるのではないかという問題が起こって、やはり事務次官や局長の俸給ほどももらっていない大使がおるということになると、外交の威信に関する問題がある。少なくとも特別職という立場の俸給に規定されている大、公使となるならば、その大、公使をやるときだけは、やはり一応基準の俸給を、面目の立つ俸給をもらって、また外務省の局長や次官に帰られたら、一般職の俸給に返るという形をおとりになってもいいと思う。特別職ですからね。特別職ですから、その点の配慮というものが——五等大使まで作っておられる必要があるかどうか。もう少し大使、公使の四等級を減らして、大公使の待遇は、国際的な立場に立つ待遇を一応考えてあげる、これでいいのではないかと私は思うのです。実務に当たっておられる当局から御答弁願いたい。
  79. 湯川盛夫

    湯川政府委員 まことに御同情ある御意見を伺いまして、うれしく思っておりますが、今度は在勤俸を直すのが非常に焦眉の急でございまして、両方一ぺんにあれすることもどうかと思って、実は御遠慮申し上げたわけであります。
  80. 受田新吉

    ○受田委員 今旅費の問題は取り残したということですが、その次の問題で、大、公使の俸給で五等大使の設置を必要とした理由などをもう一ぺん検討して、等級を減らすとか、あるいは一応その任にある間は、国際的な信用にも関する問題ですから、待遇を特別職として考えてあげる必要はないか。またもとの外務省に帰られればもとの一般職——これは当て検というのがありまして、検事で法務省の役人などをする場合のなにもあるのですが、これは一般行政職として行くのですから、問題があるのですが、特別職で行かれるのですから、この場合は問題がないのです。
  81. 湯川盛夫

    湯川政府委員 研究させていただきます。
  82. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ、研究事項にしてもらいたいことがあるのです。外交官として外国へ赴任されている方々の中に、兼務で大使をやられる人があるのですが、これは小さな国などには兼務がたくさん——今度でも兼務とする国をそれぞれ法律規定してありますが、あの兼務の大使というものは、一体その国へ実際にどれぐらい行っているのが普通なんですか。兼務されている国でどのような外交官の任務を果たしているのか、お答えを願いたい。
  83. 湯川盛夫

    湯川政府委員 もちろん、初めに着任して、なるべく早い機会にそこに参って信任状を出します。それからあと離任のときにはもちろん行きます。あとは随時必要のときに行くという程度になっております。
  84. 受田新吉

    ○受田委員 アイスランドという国があります。レイキャビクという首府に兼務の大使が行っておられますね。これはデンマークの大使が兼務しておられるのですね。ところが、レイキャビクにはあまり行ってないということで、形だけの大使というようなことで、実際は兼務の国へはほとんど顔を見せないという程度になるのじゃないですか。
  85. 湯川盛夫

    湯川政府委員 日本だけでなくて、やはりほかの国も、兼務の大使というのがときどきございますが、やはり本任国の仕事が相当忙しいですから、自然どうしても兼務の方にはなかなか行きかねるということはございます。しかし、場合によって、兼任国の方でいろいろ突発的な仕事が起きたりしますと、そういうときにはできるだけ行くということにしております。
  86. 受田新吉

    ○受田委員 マダガスカルという、おととしでしたか、独立した国、この国と今度大使が交換されたわけです。この国も日本人はほとんどおらぬわけです。おらぬところに大使を置いておるということになれば、何かほかの意味がなければならぬ。だから、経済発展や何かの努力をして、日本の物資をどんどんあちらへ送り込むような努力をしなければならぬのに、兼務がほとんど仕事をしていないようなことでは、これは形だけの外交官が出るというのでは意味をなさない。もっと積極的に日本の国運をこういうところに開いていく、親善関係を深めていくというような努力を、外務省としては、兼務の国々にももっと積極的にやっていかれる必要がないか。儀礼的な兼務ということであるならば意味をなさないと思いますが……。
  87. 湯川盛夫

    湯川政府委員 兼務というのは、要するに、やはり一時的な問題でございますから、できれば国交のある国に全部本任の大使を置きたい、大使館を開きたいということになるわけでございますが、予算等の制約もあって、一ぺんにはできませんが、だんだん本任の者を置いていくということでいきたいと考えております。
  88. 受田新吉

    ○受田委員 予算の制約は、そうした貿易振興などによって得るところの別の方の利益で、十分まかないがつくと私は思うのです。そういう努力をされなければ、これは外務省としてはつい形式的な大使の交換というような形で、行政的な事務的な面で意味をなさない。もっと積極的に民間外交などで、この間の委員会で申し上げたように、民間外交官のようなものも有能な人を抜擢して、実績を上げるような形で外交事務をやってもらいたい。行政事務というだけでなくて、政治的な手腕を外交官に発揮するようにしていただかなければいかぬですね。これはただ単に事務屋の外交官でなくて、実力を持つ、実績を上げる外交官という意味で、私、外務大臣をしばしば激励しているのですけれども、一向実績が上がっておらない。婦人の大、公使などをあちらへ派遣したら、むしろもっと効果があるのではないかという質問をしたときにも、適材がおらぬというような御答弁がありましたが、適材がおれば婦人大、公使でも当然派遣していっていいというお考えはお持ちなんですね。
  89. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 少し大げさになるかもしれませんが、今日本に対する関心というものは、いわば日本ブームと言ってもいいくらい、中南米あるいはアフリカ地域に多いのでございます。中近東から東南アジアについては、実体的な公館がどんどん置かれておりますが、この地区には非常にそういう要望が強いわけでございます。そのために、私どもも、いろいろ予算上の処置さえつけば実館を置きたいと考えまして、予算的にはいろいろお話をしておりますが、何分にも外貨の事情もございますので、逐年その数をふやしていくということ以外にないと考えております。  後段の御質問の婦人大使の件は、これは適材がございますればもちろんけっこうだと思います。しかし、どうもなかなか適材が見当たらないというのが実情でございます。
  90. 受田新吉

    ○受田委員 適材の認識の基準というものが問題になるわけです。あなたが適材でないと言っても、一般国民から見て、国家全体から見て、適材という場合もあり得ると考えられるのですが、一つそこを大いに幅を広げてものを考えていただくようにお願いしておきたいと思います。  そのほかの問題は次の機会に譲るとして、行管長官がおられるようですから、一応、まだ外地に勤務した職員、未帰還職員給与の問題などで外務省に残っておるのですが、これは次の委員会に残します。  それで官房長、さっきの外務人事審議会令の第一条の規定を一つ……。
  91. 湯川盛夫

    湯川政府委員 人事院の法制局長はないそうです。それで、この改正外務省の方で考えておったのですが、実際上現在任用局長のやっていられるもので、ほかの小さな改正と一緒に改正するつもりでおります。
  92. 受田新吉

    ○受田委員 これは法制局がなくなったのはいつからですか。なくなったのは、私は最近法制局というのを耳にしておりませんから、相当古くになくなったのではないかと思います。私自身調べたわけではありません。ところが、実際にその中に、現存しない人事院法制局なんというものが現存しておる。官房長もそれがあるとお考えになっておられる。こういうような形は、やはり規則としては、ないものはないで抹殺しないと、たとえ一つのことだって、別にこれは法律じゃなくて、政令ですから、内閣の仕事でできる問題ですから、忘れておられたのじゃないですか。
  93. 湯川盛夫

    湯川政府委員 係の方では、ほかの改正と一緒にやるつもりでおったそうでありますけれども、私も御指摘を受けるまで気がつきませんでしたので、なるべく早く改正したいと考えます。
  94. 受田新吉

    ○受田委員 これは、ここに行政管理庁長官がおられるが、あなたは外務省のこうした機構の問題についても、やはり行政管理の上から責任がある御地位の方ですから、こうした実際には現存しないものが、法律では大体間違いはないけれども、政令には幾つも残っているわけです。実際は忘れておるのです。そういうようなことを全体をにらんで、政令に規定された事項の中で、現実にもう存在していないようなものとか、あるいは新しいものができて名称が変わっておるというようなものは、問髪を入れず改正していかないと、長期にわたって現存しないものが生きておるような形は問題があると思う。行政管理庁長官としても、各省のこうした行政事務のいろいろな規定等についても整理して、そそうがないように責任を果たしていただきたい。長官、どうでございますか。
  95. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 不要不急になりました政令、法令等の改廃につきましては、近く取り上げて審査することになっております。これは臨時国会の際に内閣委員会からの御要望もありまして、そういう方針をとるつもりでおります。
  96. 中島茂喜

    中島委員長 それでは、本日は、両案に対する質疑はこの程度にとどめます。      ————◇—————
  97. 中島茂喜

    中島委員長 この際、川島行政管理庁長官より発言の申し出がありますので、これを許します。川島行政管理庁長官。
  98. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 昨日、第二回の臨時行政調査会を開会いたしまして、私も出席をいたしました。当日の会議におきましては、まず、佐藤会長から、先般のいわゆる佐藤発言についての釈明がありました。続いて私から、臨時国会におきまする法案審議の際の経過並びに附帯決議等の趣意を説明いたしまして、なお、あわせて、山内さんから御注意がありました三点につきましても報告いたしておきました。その後、当日は安西委員が外遊中で欠席いたしましたが、六名の委員の諸君がいろいろ相談をいたしまして、今後の調査会の運営方針というものを決定をいたしました。すなわち、  一、本会は、本会が設立せられるに至った経緯と趣旨並びに国会の附帯決議を尊重し、その設置法に従って運営するものとする。  二、本会は、その責任と権限の範囲において任務を達成するよう誠実かつ慎重に配慮するものとする。  三、本会は、その任務を達成するため専門的、実際的知識を活用して、自主的、能率的に調査審議を行ない、国民の期待にこたえるものとする。 六人の委員の総意によって、こういうし合わせをいたしました。今後これよって運営をすることになっております。  以上お答え申し上げます。
  99. 中島茂喜

    中島委員長 ただいまの川島長官の発言に対して、質疑の申し出がありますので、これを許します。石山權作君。
  100. 石山權作

    ○石山委員 先ごろから、川島長官等にも、少し強い言葉で私質問などをいたしましたが、幸いにして、第二回目の調査会において、長官の御努力等によって、国会の審議過程あるいは附帯決議の要旨が、この三つの申し合わせの中に表われておるというふうに考えます。私ども、長官がお知りのようにこの臨時調査会ができることにはほんとうに賛成をしたわけなのです。努めて自由な立場において野の人の声を聞き入れる、こういうふうなことは強く言っているわけでございます。たまたまあの問題が出まして、国会で討論などをしたために、大新聞の一部では、社会党は初っぱなからどうも委員会を制肘するような立場で問題を進めていると報じておりますが、これは私は大いなる誤解だと思います。二十一日、きのう私どもの方の党の国会対策では、この臨時行政調査会を非常に尊重するの余り、設置法は全部そこを一応通過した形で国会に提出されるのが正しいのではないか、こういう立場をとっているわけなんです。しかし、これも、われわれの出先の意見をきのうきょうから反映をさせまして、そういうふうなことであっても、実際の国家行政は停滞する場合もあり得るのではないか、こういうふうな説明を申し上げて、この件に関しては、もう少し余裕のある方法をとっていただくように、今、私どもは国会対策と懇談中でございます。ですから、決して、私どもは、問題を大にして委員会の運営というものをば束縛する考えはございません。この点は、強く長官からも、第三次の委員会を開かれるときは、具体的に問題の項目をばおきめになるようでございますから、もし御出席になりましたならば、われわれの意のあるところを一つお伝え願いたいと思います。  会がいよいよ進むのでございますから、ここで私申し上げたいことは、これはこれから川島長官からお聞きしてもよろしいと思いますけれども、ある期間が過ぎましたならば、その実績の報告などを当委員会などで軽い気持でなされるようなことを、長官からたまに話していただきたい。われわれが最初言ったものですから、しゃっちょこばってそういうことについて議論をかわすようなことでは申しわけない。今までおやりになった経過の実績を会長が報告する、副会長が報告する、それに二、三疑点があれば、私の方から質問を許していただく。その程度にして、国会と調査会というものは、いいとか悪いとかいう問題でなくて、内容をよくお互いが知り合うという立場で運営をしていただきたいということが一つ。  もう一つは、この次の会合では専門委員十五名をばおきめになるということがお約束になったようでございますが、この専門委員こそが、私は、七人の賢人の方々の決定に非常に大切な役目をなすと思います。ですから、これはできればなるべく各官庁の息のかからない方々をば任命するような工夫が必要なのではないか。もっと強く申し上げれば、官から出る資料、官側から説明のされるもの、その中から専門委員がエキス的なものを寄せ合わせて、これを七人委員会にかけるというふうなことでは、川島長官がせっかく意図された、この強固な官僚機構にうまくメスを入れてみても、これを細分化して一つの構想のもとに結合さすというふうなことまでなかなかいかないと思うのです。変な言葉で言えば、なわ張り争いにわれわれが屈服するという形にならざるを得ないのではないか、こう思いますので、一つその点から、十分長官も会の運行に対して指導的立場でごめんどうを見ていただくようにしていただきたい。この二つをお聞きしたい。
  101. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 調査会の途中において、国会に御報告申し上げていろいろ御意見を拝聴することは、きわめて適当と存じますが、調査会直接でなしに、大体私が連絡をとりましてやるようにいたしたいと思いますので、御了承願っておきます。  それから専門員には現在官職の人は一人もおりません。全部民間人。調査員等には各省の課長クラスをそこに入れるつもりでおります。それは資料を提供させるための調査員でありますから、やはり各省の人間を入れることが必要と思います。現に公務員の籍のある者を相当入れるつもりでおります。これは単なる調査資料の提供の役目であります。専門員の方は、現に公務員たる者は一人も入れない方針でやっております。なお、あなたの御質問の御趣旨はよく委員には伝えておきます。
  102. 中島茂喜

    中島委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる二十七日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会