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1962-04-12 第40回国会 衆議院 逓信委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十二日(木曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 佐藤虎次郎君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 大柴 滋夫君    理事 森本  靖君       大森 玉木君    志賀健次郎君       鈴木 善幸君    竹内 俊吉君      橋本登美三郎君    保利  茂君       森山 欽司君    畑   和君       谷口善太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  大高  康君         郵政事務官         (大臣官房長) 金澤 平藏君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         日本電信電話公         社総務理事         (兼)技師長  米沢  滋君         日本電信電話公         社技術局長   黒川 広二君         日本電信電話公         社理事         (施設局長)  平山  温君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社技術部         長)      新堀 正義君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社技術研         究所宇宙通信課         長)      宮  憲一君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  電波監理及び放送に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。  本日は、宇宙通信に関する問題について質疑を行なうことといたします。本日は、国際電電より新堀技術部長宮技術研究所宇宙通信課長の両名を参考人としておいでを願ってありますが、参考人意見委員よりの質疑の形で拝聴いたしたいと思います。  参考人各位には、御多忙中のところ、本委員会に御出席下さいまして、厚くお礼を申し上げます。  それでは質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。竹内俊吉君。
  3. 竹内俊吉

    竹内委員 先般通信衛星に関して若干のお尋ねをしたのでありますが、その質疑応答から得た国際電電電電公社並びに電波監理局の御答弁その他から、さらに二、三お尋ねをしてみたいと思うことがあります。  まず、先般申し上げましたアメリカ宇宙開発関係情報、正しくはアメリカ宇宙開発局NASAからの日本に対する情報提供に関して、どうも日本側窓口が一本でないので、精密度の高い情報を流すことには、向こうは責任の所在が明確でないという点でためらっておるということで、そういうことをNASAの方ではっきり言ってもおる。それに、日本側としても一本にしたいという努力を、外務省中心になって、郵政、文部、科学技術庁の間で十一月以来行なってきたという事実があるように聞いておるわけであります。この点、先般大臣にもお尋ねをしたが、大臣に知らなかったので、それではそれを統一すべく努力しましょうという御答弁を得ておるわけですが、この点に関して西崎さんは事情を知っているはずですから、その窓口を一本にして、そういう事態に対処していこうという点はどういうことになっておりますか。その点まず御説明願いたいと思います。
  4. 西崎太郎

    西崎政府委員 今先生からお話しの、米国における宇宙通信関係情報というもののオフィシャルな公式なルートができていないので、日本はずいぶん損しているのじゃないかというようなお話でありますが、確かにわれわれとしても実はその点はかねがね痛感いたしておるわけでありまして、先般も申し上げましたように、去る三月にワシントンでCCIRの宇宙通信関係研究部会が持たれました際、日本から十名ばかりの人間を派遣したわけでございます。その委員の人が現在だんだん帰りつつあります。そのうちで電波監理局から二条次長が行ったわけであります。実は向こうにおきましてNASAの方の係官ともよくその点を相談いたしまして、大体アメリカ中心になって通信衛星関係の国際的な実験計画というものがあるわけでありますが、それに日本が参加する方法につきまして、いろいろ調査して参ったわけでございます。その話を聞きますと、結局あの通信衡量実験計画につきましては、地上局委員会、グラウンド・ステーション・コミティというのができておりまして、これはアメリカNASAのが中心になってやっておる。そのほか、外国としましては、英国であるとか、フランスであるとか、西独であるとか、イタリア、こういった、今地上局を建設しつつある、あるいは計画を持っておる国が参加しておるわけであります。日本としても、この委員会に参加するようにした方がいいということで、そういう点がはっきりしたものですから、近いうちに外交ルートを通してそれに参加する手続をとりたい、こういうふうに思っております。その際には、もちろんわれわれとしては、国内的には郵政省窓口に立つのがいいと思っております。科学技術庁その他関係諸官庁とも一応話し合いをしまして、できるだけ早い機会に正式に設定したい、そしてその委員会は三ヵ月ごとに行なわれておるそうでありますが、できるだけひんぱんにその委員会に正式に参加できるようにしたい、こういうふうに思っております。
  5. 竹内俊吉

    竹内委員 もっと簡明に一つ承りたいのです。これからのことはわかりました。今までの経過において、一応話をしておるという段階からまだ動いていないのですか。もう少し進んでいないのですか。三省の間に――お宅の方は、郵政省としては郵政省窓口にしたいのだ。これはわかります。科学技術庁としては、宇宙開発に関する審議会を持っており、四月にその答申が出るということで、その中にもちろん通信等も含まれておることであるから、科学技術庁としてはNASA情報はここに一本にしたいのだという希望のあることも、われわれ知っておる。文部省文部省で、学術的な観点から、これはわれわれにも大いに関係の深い問題だ、こういう主張のあることも知っておる。そういうことのために精密な情報を得られないというきらいがあった事実は、これはもう認めざるを得ない。そこで、これを一本にしてくれということが、NASAの方から、公式か非公式かは別として、しばしば表明されておる。これを受けて立って、一本にしたいという努力を払った事実はあるのでしょう。外務省は、中に立って私の方はあっせんしましたと、こう言っている。まだ話し合いがつかないということであればきわめて遺憾なわけだが、あなたの今最後におっしゃった、郵政省窓口にしたいのだ、こういうことが固まりかけておるという意味ですか、そこまではまだいってないのだ、それはわれわれの希望だけだ、これからまだ三省で話し合わなければならぬのだ、こういうことなのですか、その点どうなっておりますか。あなたはよく知っているはずじゃないか。説明できるだけのことを説明して下さい。
  6. 西崎太郎

    西崎政府委員 従来いろいろその点で意見の相違があったわけでありますが、よその国の例もありますし、おそらく、そういった点は今回は早急に結論がつく、こういうふうに思っておりますので、できるだけ早くこれを実現したいと思って、今鋭意努力しておるわけであります。
  7. 竹内俊吉

    竹内委員 これは悪い言葉でいえば例の役所のなわ張り争いで、そのためにこういう貴重な情報提供が他の国に比較して満足に行なわれていない、こういう状態があるということはきわめて遺憾でありますから、先般大臣にそのことを申し上げて、大臣レベルでこれを調整してほしい、しましょうということになっておりますから、それに期待してその点はまあそれでとどめます。  それに関連して、国際電電で今茨城の神栖地上施設の建設に入っておるわけでありますが、これは繰り返して聞くようでありますが、ATTつまりアメリカ電信電話会社が打上げるテレスター計画に応ずる地上施設、これをおもなる目標として施設されるものだ、われわれはこう理解しているわけであります。電波研究所施設はまた別に任務があると思いますが、国際電電の場合は商業通信衛星実験段階に備える地上施設だ、こう理解しているわけでありますが、その点いかがですか。
  8. 新堀正義

    新堀参考人 国際電電といたしましては、主としてテレスター、あるいはリレーというのも上げられるやに聞いておりますが、こういうものを相手国際通信に適当する機器あるいは空中線、これに関連するすべてのものを研究するという目的でもって、ただいま計画を立てておる次第であります。
  9. 竹内俊吉

    竹内委員 それで、そういう計画をされること、特に国際通信の新世紀ともいうべきこういう宇宙通信地上施設に早くから着手するということ自体には、われわれは大いに賛成なんです。大いに賛成だが、それにはそれに応ずるだけの準備、用意が必要なわけだ、こう考えて、その点からいろいろお聞きしたんだが、先般の御答弁では、ATTとの間にいろいろ話し合いをしてきた、情報はもらっておる、その情報ATT好意による情報であって、その情報によってこちらが自主的にそういう施設計画して実行に移しつつあるのだ、別に公の取りきめもなければ公の了解事項というものは何もないのだ、こういう御答弁であったのだが、これはだれが考えても少々ふに落ちない話なんです。あれだけの五億も六億も施設費をかけて、しかもこれから日本としては新しい国際通信世紀を開くその先端をいく国際電電施設、しかも国際電電そのもの日本における国際通信を一手に取り扱っていくという特別の任務を持っておる、しかも新しい事業をする場合には、会社法第二条か何かによって郵政大臣認可を受けなければならない、こういう手続も必要な国際電電が、単に相手会社好意的情報だけであれだけの大きい仕事に着手をするということは、どうもわれわれ常識から判断すると解しかねる。そこで、お聞きしたいのだが、全く好意的な情報、その情報提供も、何か契約によるとか、あるいは取りきめによって将来に対して情報提供が保証されておるというならばまだいいのです。そうでもないというのでしょう。全く向こう好意的情報なんです。しかも衛星アメリカが打ち上げるのですから、その衛星の持っておる諸条件日本地上施設が全く支配されることは、これは言うまでもないことなんです。となると、向こう情報提供いかんによって、あなた方の施設のすべてが決定するわけなんです。その情報提供に対してさえ全く好意的なことだけでやるのだ、別に将来に向かって情報提供契約その他によって取りきめているわけじゃない、こういうことになると、どうもそこにきわめて不安感があると思うのは、私は常識だと思う。ところが現にそういうままで着手しておる。その認可に対して、どういう内容の申請をし、大臣はどういう意見を付して認可したのか知らぬが、現に着手しているのだから、認可したのでしょう。場合によれば、私は、そういう認可内容についても、資料として見たいものだと思うわけだが、そこまでいかないにしても、何かちょっと不思議じゃないかという感じがするのです。  そこで、お聞きしたいのだが、好意的情報でたくさんだという自信があって、こういうふうに踏み切ったのか、それとも、そういう公の取りきめをする場合には、双方のいずれかにきわめて不都合なことがあって、これは何もないことにして出発した方がよろしいのじゃないか、こういうふうな話し合いでそういうふうになったのか。それならそれでわからないこともないのですよ。わからないのだが、こういう新しい大きい仕事を始めるのにあたって、しかも外国条件に支配される条件に立つわが方の施設として、その任務に当たっている国際電電が、まるっきり向こう好意的情報だけでわれわれは仕事を始めるのですでは、ちょっとふに落ちない。その点のいきさつを御説明願いたいと思います。
  10. 新堀正義

    新堀参考人 ただいま情報その他の御指摘がございましたが、われわれの方といたしましては、先方から得ました情報あるいは向こう刊行物その他に現われております今度の衛星計画のいろいろの諸元、これをもとにして、こうあるべきであろうかというところで技術的な研究を進めよう、こういうふうに考えております。現在進めておりますのは、あくまでも実験段階においてよくこの衛星を追尾できるかどうか、あるいはさらに進んでは衛星とある種の通信ができるかどうか、こういうような点について、われわれとしては技術的の準備を重ねなければならない、こういうふうに思います。これがまた国際電信電話仕事である、こういうような観点に立ちまして進んでおります。たださらに今先生お話がございました何がしの取りきめ云々、こういうような問題につきましては、これはやはりわが社だけで決定することができるものではないと私は思っております。こういうような点につきまして、さらに今後郵政省あたりの御支援を得まして、これの実用化段階においては、もちろん何がしの取りきめをいたさなければならぬ、こういうふうに存じておる次第でございます。
  11. 竹内俊吉

    竹内委員 実質的には前の答弁と少しも変わっていない。何ら取りきめはないのだ、しかし、こういう時代になったから、アメリカの打ち上げる通信衛星日本施設でどれだけの実験ができるかということを、当方が自主的にその設備をするのだ、こういう御答弁なわけです。しかし、これはその通りだとすれば、その通りに受け取りますけれども向こう条件に全部支配されるものなんですから、相当緊密な連絡をとって最も有効に実験に応ずるということは、科学の分野では常識じゃありませんか。ただ、向こうが今度は上げるそうだ、こうもあろうかということでこちらが設備するということでは、あまりに非科学的で、ちょっと話が通らない。日本科学技術レベルが非常に低くて向こうが全然相手にしないというなら、これはまた別ですよ。相当に高いものとして評価され、現に日本のそういう宇宙航行に関する計器その他をアメリカは現に採用しているじゃありませんか。その程度高い技術を持っている日本、むしろ日本アメリカとの技術交流一つの拠点としてそういう施設をするという積極性を持つのが当然だと思う。それを、今あなたのお答えのように、向こうはそれをやるそうだ、一体日本施設でどのくらいの実験ができるのだ、また、実験実験をやるんだ、こういう説明では、私は、まさに実用期に入らんとする通信衛星に対する電電公社考え方としてはちょっとおかしいのじゃないか、なぜ親しい関係日米両国がもっと踏み込んだ技術交流に関する話し合いができないのか、不思議でならないと思うのです。これは電監局長にもちょっと聞いておきたいのですが、国際電電にあれだけの仕事認可するに際して、その内容の不確実と言っちゃ少し言い過ぎだが、私は非常に不安定な条件だと思うのだが、そういうことは問題にならなかったか。これでいいんだ、実験のための実験、何でも早い方がいいのだ、こういうことで認可されたんですか。この点はどうなんです。
  12. 西崎太郎

    西崎政府委員 実はこれは郵政省内部のことで恐縮でございますが、そういった計画とか予算認可電気通信監理官室の問題でありますので、そちらからお答えしていただきます。
  13. 松田英一

    松田説明員 お答え申し上げます。  実は宇宙通信研究の問題につきましては、特別にそういう事柄についての何かやる認可という問題ではございませんで、私どもの方といたしましては、国際電信電話株式会社法によります事業計画認可として、全体の事業計画の一部として考え認可をしているわけであります。その問題は実は三十五年度あたりから宇宙通信の問題がいろいろと話が出て参りまして、私ども日本としてもぜひ宇宙通信の問題は今後重要な問題として取り組んで参りたいというふうに考えておりましたし、国際電電の方でもそういうことで言って参りまして、実は三十五年度の事業計画の中には、五百万円宇宙通信についての予備実験研究というふうなことで頭を出したわけでありますけれども、三十五年度にはまだ話が具体的にはなりませんでして、この五百万円は使わないで、そのまま次年度に繰り越しになったということになっているわけです。そこで、三十六年度にはやはりその事態が少し進展して参りまして、事業計画といたしましても、一応宇宙通信関係についてのものとしまして一億八千万円というものを同じく実験研究のための経費として事業計画の中に盛られたわけであります。ところが、この問題につきましても、ただいま先生からお話がございましたように、いろいろとアメリカ側との話があったわけでございますが、しかもこの間にはアメリカ側の方でも、いわゆる通信衛星、特に今度のテレスターの問題につきましては、いろいろといいきさつといいますか、当初ATT側考えは、いわばATTが上げたいというふうなことでいろいろ話があったようでありますけれどもアメリカ側事情もいろいろと変わりまして、結局はNASAが全面的に対外的には働くというくらいに変わって参りましたような経緯もございまして、国際電電といたしましても一応そういう情報というものを得まして、もっとも計画の中に盛ってこれを進めていこうというふうな考えを持っておりましたけれども現実にはそういうふうなことでなかなか実験の具体的な取り運びというものはそう進められないという状況でございましたので、実際問題といたしまして、三十六年度の一億八千万円の事業計画というものは大部分繰り越されたような形になりまして、実際の測定器類等準備ができるもの、そういうものも約二千五百万円くらい使いましただけで済んでおるわけでございます。  それから、神栖村の土地の問題につきましては、実は宇宙通信実験用の問題もございましたけれども、別途国際電電といたしましては、現用の短波の送信所の敷地につきましても、非常に狭くなっておりましたし、どこかほかに見つけなければならないというふうな考えもありまして、いろいろな目的を含めて土地を探しておりましたところ、あの土地に話がつきまして、そうして国有地を払い下げてもらうというような話がきまりまして、一歩いわば並行的に進んでおったわけでございます。それを宇宙通信の用に当てたいというふうな意向でいるわけでございますが、これも、先ほどの話のように、その程度の進め方でありますために、全体としては、これは将来この事業計画というものを本年あるいは来年と進めるわけでございますが、五億程度という話にいっておりますけれども、現在まではそういう状況で、具体的にはほとんど支出されていない。ただいろいろとその準備は事前に進めていかなければなりませんものですから、たとえば機械類メーカー側との相談だとか、あるいはそういうものと関係のない測定器具類の整備だとか、そういうものは進めてはおりますけれども現実にまだあそこで大資本をおろして固定の設備を始めるという段階までには、実はきていないわけでございます。その点につきましては……。
  14. 竹内俊吉

    竹内委員 わかりました。私のお尋ねしたいのは、そういうこともさることながら、その認可にあたって、これはアメリカ通信衛星実験をする日本地上施設として認可をしたのか、アメリカ衛星とは関係ないのだ、どこの衛星であろうと、宇宙開発一つ日本の機関にこういうものは必要だということで、外国とは関係なしに、電電公社のそういう意図をこれは正当なものだと認めて認可したのか。その認可内容はいいです。われわれは決して反対しているんじゃない。こういうものに早く着手するのは大賛成です。大賛成なんだが、実際やったあとを見ておると、きわめて不安定だから、それを安定にし、もっと効力のあるものにし、もっと実験の実効が上がるようにしたいということで質問しているのですから、誤解してはいけませんよ。そういう意味なんですから……。  そこで、今の国際電電の御答弁は、向こう好意的情報によって多少の情報は知っている、大体こうもあろうかということで、こっちは自主的にやっているので、何も向こう条件を精細に受け継いで計画しているわけじゃない、こういう御答弁なんです。そういうつもりで認可されたのかということだけお答えになってくれれば、けっこうです。
  15. 松田英一

    松田説明員 ただいまの問題につきましては、国際電電といたしましては、発表になりました技術的な材料によりまして、ある程度準備はできるわけであります。それで、私どもも、ただいまのアメリカとの話し合いは、もちろんATTを通じましてある程度情報なりまた見込みもあるというふうな話も聞いておりまして、しかも準備というものは先ほど申し上げましたような技術的な材料によって進めていける。そこで、日本といたしましては、そういう程度のものといたしましても、宇宙通信の問題についてはやはり早く手をつけていく必要があるものですから、一応事業計画として進めていくものについては認可したわけであります。それを具体的に進めていく場合におきましては、ただいま話が出ましたように、アメリカの方でNASAの方との連絡によって正式に話がつかなければならないというふうなことで、従ってそれがあまり進んでおりませんために、この計画自身も、当初計画として認可いたしました金額に比べれば、はなはだ進み方がおそいといいますか、わずかなものしかできない。ただ準備はいろいろ進めております。
  16. 竹内俊吉

    竹内委員 NASAと正式の交渉がなければならぬというふうに考えたというあなたの今の御答弁の点は、私がお聞きしたいと思った非常に重要な点だが、それは国際電電にそういう意思は通じてありますか。あなたは、これを実際に進めるにあたっては、NASAとの正式の交渉の上でなければならないだろうと考えた、しかし、今は全くその土地を買うとかどういう機器を用意するとかという準備予算の建前だから、それでよろしいと思って事業計画を許可した、こういうことなんだが、そこは非常に重要な点なんです。それはたった一言で言ってもらいたい。その意思国際電電にあなたの方の監理官の方から通じてありますか。
  17. 松田英一

    松田説明員 認可をいたしました当時は、実はそこまでの話ははっきりしていなかったわけでございます。従いまして、どういうことになるかということは、はっきりとはいたしておりませんでしたけれども、いずれにしても、日本もこの宇宙通信の問題を進めなければならないという意味で、そういうような考え方認可したわけでございます。しかし、その後の事態の進み方によりまして、結局ATTをお相手にはできなくて、正式なものでなければできないという状況がだんだんわかって参りましたので、この点は国際電電も現在は了知しているはずであります。
  18. 森本靖

    森本委員 この問題についてこの間からやっておるけれども、さっぱりわかりませんので、私は一つ一つ聞いていきたいと思います。  一応郵政省の方が、国際電電にこの認可をした一つ条件といいますか、そういう認可内容について説明を願いたい。これは監理官に言っておきますが、あなたの答弁は非常にくどく長い答弁でありますので、要領を得て、要点をてきぱきと一つ答弁を願いたい、こう思います。
  19. 松田英一

    松田説明員 特別の条件というものはございませんで、ただ国際電電に対する事業計画でございますから、来年度こういうふうな仕事をしたいというふうなことで、それに対する大体金のかかる見込みはこういうことである、それに対する資金計画もこういうことであるというような、全体的なものとして私ども認可したわけでございます。その中の一項目に、三十五年に宇宙通信予備実験研究として、送受信機及び空中線の改造というようなことで五百万円、これはそれで全部できるというわけではありませんが、その手がかりとして五百万円という数字があがってきたわけでございますが、そのときにはまだどういう状況でいくかということは非常に不明確でありましたけれども、そういうものに実験研究を進めなければならないという事態考えまして、よかろうと認可をしたわけでございます。これは現実には使われなくて済んでおるわけでございます。  次の三十六年度の一億八千万円でございますが、これには実は土地の代金の方は入っていないわけでございます。土地の代金は、先ほど申し上げましたように、送信所の先の予定という問題もありましたりいたしますので、別途の予算であげております。それがこの宇宙通信にも使われるということにもなったわけでございますので、その点、土地を別にいたしまして、いろいろとマイクロ波の大電力送信機の研究とか、あるいは低雑音広帯域受信機の研究とか、宇宙通信空中線装置の研究とか、あるいはそれの付属設備のような問題とかいうような事柄で、研究を進めていくについて必要な経費ということで一億八千万。これも別に条件をつけるわけではございませんで、そういう研究を進めていくにはそれでいいだろうということで認可したわけでございます。それが現実には二千万円幾らいくらで測定器具のようなものしか使われていなくて、あとは結局使わなかったわけであります。
  20. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、土地はどうなっておりますか。
  21. 松田英一

    松田説明員 土地は、ただいま申し上げましたように、別のところで三十六年度の予算が成立いたしておりまして、宇宙通信……。
  22. 森本靖

    森本委員 土地はどこそこになんぼ、何日ごろに買ったというふうに答えて下さい。
  23. 松田英一

    松田説明員 土地神栖村に十四万九千坪、六千八百七十万円でございます。その事業計画といたしましては、送信所を整備するのにいろいろと土地も買わなければならぬというようなことで、その中に一括されて経費はあがっております。
  24. 森本靖

    森本委員 そうすると、この十四万九千坪というのは、同じ場所ですか。
  25. 松田英一

    松田説明員 同じ場所というか、神栖村一ヵ所でございます。
  26. 森本靖

    森本委員 そうすると、送受信所とも将来この中に含まれるということですか。
  27. 松田英一

    松田説明員 現在は実験のための設備として考えておりますので、もちろんこの施設の中に送信設備も受信設備もできるわけでございます。
  28. 森本靖

    森本委員 国際電電に聞きますが、これは現在の実験段階としての送受信所の土地として選定をしている、将来本格的な宇宙通信を行なうという場合には、また別途に考える、こういうことですか。
  29. 新堀正義

    新堀参考人 国際電電といたしましては、この十五万坪の土地に対しましては、ただいまは実験のために使う予定でございます。
  30. 森本靖

    森本委員 だから、ただいまは実験段階で使うのであって、将来本格的な通信を始めた場合には、ここでは工合が悪いということになれば、別途かまえるということはあり得る、こういうことですか。
  31. 新堀正義

    新堀参考人 ただいまお話しの通りでございまして、重大なる支障がございませんければ、われわれとしてはこの土地を使っていくということが最も望ましいと思います。
  32. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、宇宙通信実験段階ということについてのなんでありますが、先ほどの一億八千万円の内容を聞いておりますと、送信設備、受信設備、それから追尾装置、こういうものについて始めていく、こういうことであります。そうなりますと、当然空中線というようなことについても出てくるわけでありますが、そこで、こういうふうな送信設備、受信設備、それからさらに出る追尾装置、空中線というような問題については、これはまだ現実段階としては全然着手されておらない、こういうことですか。
  33. 松田英一

    松田説明員 私の聞いております範囲では、こういう機械を作るにつきまして、各メーカーといろいろと打ち合わせばしているが、またその打ち合わせも順調に進んでいるけれども、具体的に発注というような話まではきめていないのでございます。もし違っているような点がございましたら、国際電電の方から……。
  34. 森本靖

    森本委員 国際電電の方はどうなんですか。
  35. 新堀正義

    新堀参考人 ただいま監理官お話しの通り、当社といたしましては、設計並びにこれに伴う基礎実験研究所においてどんどんいたしておりますが、発注段階にまでは至っておりません。
  36. 森本靖

    森本委員 設計、基礎実験を行なっているということでありますが、どういうふうな設計並びに基礎、実験を行なっておりますか。
  37. 新堀正義

    新堀参考人 非常に技術的な問題になりますが、衛星通信に使うのに最もふさわしい送信機、並びに衛星通信を受けるに最もふさわしい受信機、これは普通の現在われわれが使っておる送受信機との間には相当の開きがある。相当高度の技術を要求いたします。これに対しまして鋭意今研究を進めておる。それからまた空中線、これに対しましても衛星通信に適当なようなものを考えておるわけでありますが、これのうちの最も心臓となるのが例の追尾装置、衛星を追っかけ回す装置でございます。これにつきましては、わが社並びに電電公社で相当開発されまして、日本技術でありまする。パラメトロン装置あるいはリアクトロンというような装置を使いました電子計算機を使い、相当高速度に衛星軌道の計算その他をして、これを追っかけるという第一段階設備、並びに、衛星をつかまえましたら、これを非常な正確度において空中線を回すというような機構その他につきまして、鋭意研究をしておる次第でございます。
  38. 森本靖

    森本委員 それは基礎研究であって、具体的に周波数がきまって、それに対する実験ということについては、現在ほとんどできないわけですね。そういう点はどうなるのですか。私も新しい技術については知りませんけれども、そういう基礎実験を地上において行なうということについては、一応頭の中で考えてみるとわかりますけれども、具体的に相手衛星から受ける波を受信する周波数その他について実際に発射なんかやってもらって、そうしてそれを受けてやるという形でないと、実際問題としては、あなたが言われておる基礎実験というのは、机上の、一つの机の上の実験段階になるのじゃないですか。
  39. 新堀正義

    新堀参考人 お答えいたします。確かに机上のことでございます。それはこの問題につきましてはやはり新しい機械を作る、仕様書を作るという段階に至りますまでは、やはりいろいろの新しい問題がございます。この新しい問題はそれぞれの小さい部分に差がございます。その部分の解説をつけて、これで最後の、大体これでよさそうだという仕様書を作りますまでに、やはり相当の机上の実験あるいは机上の計算、こういうものが必要でございます。その点をやっております。
  40. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、大体国際電電が今考えて、今何をしようということについて大体の輪廓がわかりましたが、そうなって参りますと、今度いわゆるアメリカとたしかドイツ、イギリスであったと思いますが、大四洋を横断をして、あそこで宇宙通信を行なう計画をしておるようでありますが、それが大体五月中にやられるということであります。これに対する情報は、これは監理官か、あるいは電波局長でもけっこうですが、どうなっておるのですか。
  41. 西崎太郎

    西崎政府委員 先ほど申し上げましたように、いわゆる正式なルートでは情報は入っておりませんが、いろいろな資料等から総合しますと、先般も申し上げましたように、ことしテレスター計画としては二発打ち上げられる。すなわちその第一発は五月の終わりごろ、それから本年の後半になりまして第二発、それからそのほか、これはATTではありませんで、NASA自体は、いわゆるリレー計画と称しまして、別の低高度の能動式の通信衛星、これを本年二発打ち上げる、そういった情報を得ております。そうして大西洋をはさみまして、米国とそれから欧州の間にこれを使いまして、通信もしくはテレビ中継の実験をやる、こういうふうに聞いております。
  42. 森本靖

    森本委員 この場合の米国との実験を行なうというのは、欧州の、どこどこでやるわけですか。
  43. 西崎太郎

    西崎政府委員 ほかの国の情報ははっきりしませんが、英国が一番進んでおる、こういうように聞いております。
  44. 森本靖

    森本委員 場所はどこでやるわけですか。
  45. 西崎太郎

    西崎政府委員 先ほど申し上げましたように、英国とそれからフランスとそれから西独、イタリア、こういったところが準備を進めております。
  46. 森本靖

    森本委員 だから、英国、フランス、イタリア、西ドイツ、それのそれぞれの受信するところの場所はどういうところですか。それからアメリカの送信する場所はどういうところですか。
  47. 西崎太郎

    西崎政府委員 これは国際電電の宮課長から一つ……。
  48. 宮憲一

    ○宮参考人 情報でございますけれども、イギリスはリザード岬の西南端の一番端の方に近いところでございます。そこでやるようでございます。それからフランスはブルターニュ半島のラニオンというところでやるようでございます。それからドイツはミュンヘンの近くのライスティングでやるようであります。そのほかのことは確かなことはわかりません。
  49. 森本靖

    森本委員 情報によりますとというと、これはどんな情報ですか。雑誌の情報ですか。
  50. 宮憲一

    ○宮参考人 おもに新聞とか、それから雑誌、それからまたこの関係の者の手紙等であります。
  51. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、第一回目の五月の終わりごろに行なわれるところのテレスターの軌道は、日本ではこれが受信できない軌道ですか。
  52. 宮憲一

    ○宮参考人 テレスターの軌道は楕円軌道でございまして、低い高度は千キロメートルちょっと、それから高い方の軌道が五千五百キロメートルくらいであります。それで、そういう軌道でございますから、世界中を大体一様に回ります。それで、日本の上に高い軌道が来た場合には、十分通信ができるはずでございます。
  53. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、これはおそらく当面英国、フランス、イタリアあたりでやろうというのは、どの程度送信するかわかりませんが、おそらく見える期間というものは四十分か四十五分だという答弁でしたが、かりに日本の上空を通って日本が受信可能の場合には、向こうから波を送りさえすれば日本で受けられる可能性が出るわけですね。
  54. 宮憲一

    ○宮参考人 その相手の局がどこにあるかということが問題でございますが、たとえばハワイ、それからアメリカの方で言いますと、太平洋岸のシアトルあたりの局に置きますと、今のテレスター衛星に対しても可能性はございます。それから、この実験段階におきましては、基礎実験としまして自分で電波を出しまして、その衛星から返ってきた電波をまた自分で受ける、こういう実験がまず最初に行なわれると思いますので、そういうものに対しては相当の長い時間使うことができると思います。
  55. 森本靖

    森本委員 これは衛星から反射してくる電波を受けるという形の実験と、それから向こうが送った波を受けるということになると、そういう点については、五月の終わりごろに発射する第一回目のテレスターについては、日本側にはこれの実験を行なおうという申し入れば全然ないのですか。
  56. 西崎太郎

    西崎政府委員 まだありません。それで、先ほど申し上げましたように、これは欧州と米国との間の実験をするのが目的だ、こういうふうに聞いております。
  57. 森本靖

    森本委員 この際は、日本は全然やらぬわけですね。
  58. 西崎太郎

    西崎政府委員 かりにやりたくても、まだ日本側施設ができておりませんので、できないわけであります。
  59. 森本靖

    森本委員 これはどういうわけですか。これは日本がそれだけ安んじられておるということになるわけですが、同じ実験をやるなら、いわゆるアメリカと欧州とが実験をやるということになれば、そのときにこの衛星日本の上を通っていく際に実験をすれば、理論上は同時にできるわけですね。その辺の事情はどういうわけでしょうね。これはわかりませんか。もっとも、これはアメリカのことだから、あなたに聞いてもわからぬことかもしれないが……。
  60. 西崎太郎

    西崎政府委員 はっきりわかりませんけれども日本側のこれに対する受け入れ態勢の整備がおくれているということも、その一つの原因だと思います。
  61. 森本靖

    森本委員 これは三年も前にわれわれが委員会でやかましく言っておるが、受け入れ態勢は、国際電電なりあるいは電波研究所なり、それでやればこれは当然できるわけであって、そういう点について、何か先ほども竹内さんが言っておったけれども日本政府としてあなた方の答弁を聞いておっても、情報情報だということの答弁しか得られぬわけであって、何かこの問題についてアメリカの方の考え方――これは悪い意味じゃないけれども、自分の都合のいいときはアメリカ日本に対していろいろ言うけれども、実際日本のために、こういう問題について一つ実験をやってみたらどうかということについては、アメリカ政府から全然話はなかったのですか。アメリカ政府からかりに話があって、日本がおくれておるからお断わりをするということだったのですか。
  62. 西崎太郎

    西崎政府委員 はなはだ遺憾でありますが、話はありませんでした。
  63. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、第一回目のヨーロッパ各国とアメリカとの宇宙通信実験には、日本としては参加しない、それから本年の後半にさらにもう一回やるということでありますが、それについても日本として参画する計画はないのですか。
  64. 西崎太郎

    西崎政府委員 先ほど申し上げましたように、地上局委員会、これにできるだけ早く参加しまして、今のテレスター計画に早く参加したい、こう思っておりますけれども、やはりそれには日本側のこれに対応する設備、それからアメリカ側設備というものができなければ、実験をやるわけにいかないわけでありますので、おそらく本年後半のものに参加することはむずかしいと思います。
  65. 森本靖

    森本委員 そういうことになれば、これは実際問題として、国際電電がやいいや言っておるけれども国際電電の今計画しておるのは、単なる土地を買うただけで、機械類はまだ一切発注していない。それでその波はどういう波を使うか、どういうふうに具体的にやるかということもさっぱりわからぬ。ただ机上において電波研究所なりあるいは公社で試験をやっておると同じような基礎実験段階のものをやっておるにすぎない、こういうのが現在の日本宇宙通信に対する現状である、こう認識していいわけですか。
  66. 西崎太郎

    西崎政府委員 この周波数の問題は、テレスターに使われる周波数はもうはっきりしておるわけでありまして、おそらく国際電電もそういうことを基準にして設計をやっておられると思います。それから、日本の地上側施設準備の問題でありますが、電波研究所の方は必ずしも通信衛星だけを目的にしてやっているのではなくて、宇宙通信といいますか、宇宙関係の電波利用全般のことを取り上げておるわけでありますが、この方の設備は本年度一ぱいででき上がるのではないか、こういうように思っております。ただ国際電電のは、先ほど申し上げましたように、こういう状況ですから、かりに今の鹿島に作るとしましても、今後一年半くらいかかる、こういうように聞いております。
  67. 森本靖

    森本委員 電波研究所のでき上がるというのは、どこにどういうものを作っているのですか。
  68. 西崎太郎

    西崎政府委員 やはり場所は鹿島の平井というところで、今国際電電計画しているところから五キロくらい離れたところであります。それで、ここに国際電電のは直径二十メートルのパラボラ・アンテナを何るわけであります。電波研究所のは、もっと使用範囲が広いわけでありますので、直径三十メートルの超大型のアンテナを作るということで準備しております。
  69. 森本靖

    森本委員 この電波研究所の場合は、送受信設備を持つわけですか。
  70. 西崎太郎

    西崎政府委員 さしあたっては、この研究目的からいいまして、本年度一ぱいにできるというのは、受信関係だけであります。
  71. 森本靖

    森本委員 ここは追尾装置は実験段階としてないわけですか。
  72. 西崎太郎

    西崎政府委員 さようであります。
  73. 森本靖

    森本委員 話をだんだん聞いておりますと、それはむろんそうでありますが、国際電電の場合は、実際は実験ということよりも、実用段階に入るのが目的でありますから、これは電波研究所の方が先に進んでいくということは当然だろうと思います。そこで、電波研究所の方においても、送受信設備それから追尾装置等についてもずっと設置していく、こういうことになるとすれば、私がちょっと疑問に思いますことは、この間の米国の航空宇宙局から、日本に追跡ステーションを置かしてもらいたい、それがための調査をしてもらいたいというふうな申入れがあったそうですか、追跡ステーションの問題については、日本のこういう電波研究所設備も拡張し、あるいはまた同じ設備のところに日本人が――もっとも機械が違うといえばそれまでですが、向こうさんの機械を借り受けて、日本郵政省電波研究所がこれを担当してやっても何ら差しつかえない設備ではないか、何も向こうのものが来て、向こうの人が独立的にやらなければならぬということは、理論的にないのではないかというふうに考えるわけでありますが、その辺、どうですか。
  74. 西崎太郎

    西崎政府委員 先般御答弁させていただいたときに申し上げたように、まだ先方の詳細なる技術的な情報あるいは目的というものがはっきりしておりませんので、そういう状況では日本側でやれるかどうかということは、はっきり申し上げかねるわけであります。
  75. 森本靖

    森本委員 日本側でやれるかどうかということははっきり申し上げかねるというけれども、要するに理論的にわれわれが頭の中で考えて、こういう追跡ステーションというものについては、金をかけてやりさえすれば、電波研究所を拡張して、そして電波研究所実験段階で十分やれるのではないか、こういうように私は私なりに考えるわけです。あなたみたいに大科学者になるとだめたということになるかもしれないが、(笑声)われわれの頭だけで考えると、別にちゃんとしたものをこしらえてやらなければならぬというふうに考えられない、こう思うが、あんたのように科学に造詣の深い人はどう考えるかと、こういうことなんです。向こうがどういうことを考えておるかは私もあんたもわからぬです。しかし、われわれがこういう宇宙通信その他について頭の中で考えることについては、要するにこういう電波研究所についてのものを拡張し、そうしてこれを整備すれば十分に足りるんじゃないかという考え方をわれわれは持っておる、こういうことなんです。
  76. 西崎太郎

    西崎政府委員 私個人といたしましては、先方は九州ということを主張しているように聞いておりますけれども、これがもしも対象とする衛星なりロケットの軌道という面から、どうしても九州でないと工合悪いんだということであれば、これは今の関東地方でやるというわけにはいかないと思います。しかし、そうでないということであれば、日本施設が工合悪ければ、アメリカ施設を持ってきて、それを鹿島で運用するということは可能でありますし、またおそらく日本側の能力としても、こういった施設を運用していくということは可能だろうと思います。
  77. 森本靖

    森本委員 私も今の電監局長意見には同感でありますが、そこであなたからもらった資料においても、ステーションの活動は平和目的のための観測であり、施設は公開をされる、観測の結果は世界の科学界の利用に供される、この二つの項目がはっきりするということになるとするならば、日本の今の電波界の技術をもってするならば――もし機械が違うと言われれば、その機械をわれわれに提供してもらうならば、起動の関係がかりに違うとして、どうしても九州かあるいは那覇あたりに置かなければならぬということになっても――沖縄は今日本施設権がないからやむを得ぬですが、かりに九州なら九州にどうしても軌道の関係で置かなければならぬということになっても、何もアメリカの人が四十人来て、アメリカの流外法権的なこういう形のもの々作らなくても、日本の電波技術者がこれを維持し、整備し、保守をするということは、私は、日本の今日の電波界の技術水準であるとするならば、十分でき得ると解釈をしておるわけでありますが、その点はどうですか。
  78. 西崎太郎

    西崎政府委員 私見としましては先ほど申し上げた通りでありますが、ただ、宇宙開発関係技術というものは非常に格差があるわけでありますから、具体的には先方の計画なり情報というものを十分把握してからでないと何とも申し上げかねるわけであります。
  79. 森本靖

    森本委員 だから、そういう点何とも申し上げかねるということはわれわれよくわかるけれども、要するにこの追跡ステーションというものは、これはもうほとんど電波による仕事であるということについては間違いがないわけであります。これがロケットを発射するとかなんとかいうことであるとするならば、私もそういうことは知りませんから、これは話は別でありますけれども、あなたからもらった資料のこの追跡ステーションの内容であるとするならば、これだけの内容であるとするならば、少なくとも日本の今日の科学技術水準において十分に役立つことができる。そしてアメリカ本国に連絡をしてやるならば、向こうもその資料と観測のデータは十分に取れるんじゃないか。何もわざわざ向こうの人が来て、向こうのものをきちんとこしらえる必要はないのではないかというのが私の意見であります。これについては日本政府の電監局長として私は全く同意見だろうと思うがどうか、こういうことであります。
  80. 西崎太郎

    西崎政府委員 これだけから判断すると申しましても、これには肝心な、どういう設備を使うのかということに一切触れてないわけでありますから、これだけでその技術内容というものを把握することは不可能に近いわけでありますので、先ほどの御答弁以上にはちょっと申し上げかねるわけであります。
  81. 竹内俊吉

    竹内委員 電監局長にちょっと伺いたいのですが、先般この問題をお尋ねして、それは私も森本委員と全く同じ意見で、こういうものは日本施設としてやる方が至当だ、多少の技術の足らぬところはアメリカとの技術交流で補っていくということは、これは当然だと思うわけです。それが原則だから、そういう立場に立って外交交渉をしたかということを聞きましたから、外交交渉をしたのだ、ところが今度は、特殊な軌道追跡だからそれに応じかねるという返事であった、こういう外務省からの返事であったのです。そこで、ちょっと森本委員お尋ねに関連して伺うのですが、その場合に軌道追跡ステーションというものをかりにアメリカの要請によって国内に施設をしたという場合、その施設は電波法にいう無線局になりますか、なりませんか。
  82. 西崎太郎

    西崎政府委員 受信専門の場合はならないわけでありますが、多少とも電波を出す、送信をやるのだということになると、当然電波法の適用を受けると思います。
  83. 竹内俊吉

    竹内委員 これは電波法による無線局になる可能性の方が強いと私は考えているからお尋ねするわけです。そこで、送信、受信の場合の送信をしなければというあなたの一つ条件付のことだが、送信を全く必要としないということになりますか、その点が一つ。  もう一つは、その場合、その施設は、電波法によると、電波法第五条でできないでしょう。はっきりできないでしょう。そうすると、それは行政協定か何かでやり得るとするならば、その根拠はどこにあるのですか。
  84. 西崎太郎

    西崎政府委員 ほとんど大半は受信専門であると思いますけれども、やはり今お話しの追尾用その他で多少の時間は電波を出さざるを得ないんじゃないか、こう思います。そうすると、どうしても現在の電波法が適用になる。そうしますと、先生が今おっしゃったように、現在の電波法は無線局に対して特殊の場合を除いて外国製を排除いしておりますので、電波法を改正するか、あるいはまた、この点も今研究はいたしておるのですが、電波法の第三条に「電波に関し条約に別段の定があるときは、その規定による。」という条文もありますので、これの運用のいかんによっては、そういうことも可能であると思います。
  85. 森本靖

    森本委員 大体わかりましたが、そこで今度は、先ほどの電波研究所の整備とそれから国際電電、それからこれ以外に、宇宙通信について電電公社それからNHKその他において、基礎段階実験をやっておるということはないのですか。
  86. 西崎太郎

    西崎政府委員 電電公社の方は、技師長が見えておられるので、そちらからお答えいただきたいと思いますが、NHKの関係は、先般も小委員会で話し合ったと思いますが、結局こういった通信路ができた場合に、テレビ中継その他で利用舌側に立つわけなんです。そういう意味で、通信方式の問題、言いかえれば、たとえばテレビを送る場合に、今の方式だと六メガといったようなバンドが要るわけです。これをもう少し縮小する方式はないか、そういった通信方式あるいは受信機の面、そういった部分的な面でいろいろ基礎的な研究をやっておるように承知いたしております。
  87. 米沢滋

    ○米沢説明員 電電公社といたしまして、通信研究所でいろいろ基礎的な研究をいたしております。たとえばパラメトリック増幅器というのがありますが、非常に弱い電界の場合に、割合に雑音の多いときにこれをうまく増幅する、あるいはマイクロ関係の周波数でいろいろ回路、部品の問題、そういうものをやっております。しかし、具体的に、先ほど国際電電からお話がありましたような問題につきましては、やっておりません。
  88. 森本靖

    森本委員 最後に聞いておきたいのは、そうすると、日本アメリカとの間における今のテレスター計画による実際の送受信を行なってみる実験はいつごろ行なう予定ですか。
  89. 新堀正義

    新堀参考人 お答えいたします。  ただいま申し上げましたように、わが社としては準備段階になっております。やがて仕様書その他が整いまして、メーカーと契約ができることになりますが、契約ができましてから、先ほど電波監理局長からお話がございましたように、建設してまずまず使えるようになるためには一年では少しむずかしい、一年半くらいかかるのではないか、私はこういうふうに考えております。
  90. 森本靖

    森本委員 それまでに電波研究所の方では実際に実験をしてみるということは行なえないですか。
  91. 西崎太郎

    西崎政府委員 部分的にはやれないことはないと思いますが、具体的な計画ということになりますと、きょうはお答えの用意を持っておりません。
  92. 森本靖

    森本委員 たとえばば今度の場合でも、アメリカとヨーロッパ大陸との間におけるものを利用して、日本が若干でも受信をしてみるという実験は現在できぬのですか。
  93. 西崎太郎

    西崎政府委員 今度の第一回目は無理ではないかと思います。
  94. 森本靖

    森本委員 その理由はどういうところにありますか。
  95. 西崎太郎

    西崎政府委員 まだそういう受信の設備がないわけであります。
  96. 森本靖

    森本委員 そうすると、本年の後半に行なう場合についても可能性はないのですか。
  97. 西崎太郎

    西崎政府委員 なお研究してみますけれども、現在のところは受信専門の、受信だけの設備を作るのに年度一ばいかかるわけでありますので、その後でないと無理じゃないかと思います。
  98. 森本靖

    森本委員 電監局長説明を聞いておりますと、当分の間実験段階はだめだということでありますが、今のアメリカとドイツ、フランス、イギリスのものについては、これはほんとうは日本がもっと早く計画をして、アメリカと具体的な話し合いを進めておりさえすれば、今度のテレスター計画において、鮮明度がどうなるかわかりませんけれども、たとい十分でも二十分でも日本としては宇宙通信によるアメリカからの最初のテレビ中継ができたと思う。これは、当委員会においても、三年くらい前から、こういうことがあるから早くやれということをしばしば言っておった。にもかかわらず、今日まで――あなた方のというわけじゃないが、日本政府全体の怠慢だと思う。しかも、今言ったような重要な事項がすべて、情報によりますと――情報によりますと、ということでありまして、日本政府とアメリカ政府との正式なルートを通じての話が一回もなされておらぬ。今の日本政府が自慢するように、日本アメリカが緊密な連絡をとって、同盟国だなどと言われるくらいなら、今度アメリカとヨーロッパ諸国が五月後半に行なう最初の宇宙通信実験については、正式なルートを通じて正確な情報を――日本政府はこういう情報をつかんでおる、向こうはこういうことをやっております。日本政府としては将来こういうことをやろうと思っておりますということを、われわれに対して明確に言えなければならぬと思う。こういう問題については全然わからないということでは、まことにこれは日本政府としての怠慢だと思う。経済問題その他については案外日本政府は敏感であり、よく世話をするけれども、こういう宇宙通信とか直接の利益関係がないというような問題については、なおざりにする傾向がある。きょうは大臣がおらぬので非常に残念でありますけれども大臣がおって、こういうふうな質疑応答を聞いておって、そして私が今最後に質問したようなことを聞いた場合には、郵政大臣としてはまことに面目がない、こう思わなければならぬと思う。この点について、政務次官がおるわけですが、あなたは、いつも、そういうことについてはわかりませんと答弁をいたしますが、これはわからないじゃない。常識考えてもよくわかる問題であります。実際問題として、よく池田政府が言うように、アメリカとは緊密な関係である、そしてお互いに助け合っておるということを言うならば、何も安保条約の軍事関係だけの緊密さを誇ることはないと思う。こういう宇宙通信についてこそ平和的に使われるものであるから、もっともっと日本政府とアメリカ政府は緊密な連絡をとっていいのじゃないか、こう思うわけでありますが、そういう点については、今の質疑応答を聞いておって全く情ないと私は思う。こういう点について、大臣代理として一つ政務次官の所見を聞いておきたい。なおかつ、当委員会質疑になった趣旨を、本日大臣が出ておりませんので、大臣によくあなたから伝えてもらって、一度こういう問題について、あなたなり局長なりそれぞれ専門屋から一つ大臣に話をしておいて、大臣が閣議で堂々とこの問題について発言をして、そして日本政府の考え方がもっと積極的になるように、大臣が政治的に御努力を願いたい。これは大臣の責任でもあると同時に、やはり大臣を補佐するところの事務当局にも責任があると思う。だから、そういう点について大臣代理としての政務次官の答弁を最後に聞いておきたいと思う。
  99. 大高康

    ○大高政府委員 今日は大臣が出席しませんで、はなはだ遺憾でありますが、ただいまの森本先生の御意見はまことに理路整然でございまして、私どももこうした問題でただいまのような質疑があることは、まことに残念に思っております。一日も早くアメリカ政府と日本政府との間に交渉を積極的にいたしまして、そしてこの問題を解決したい、かように考えておる次第であります。
  100. 竹内俊吉

    竹内委員 私も、最後に、きょうは大臣がいらっしゃらないから、電監局長に伺います。  一九六四年の東京オリンピックの状況通信衛星に乗せて世界に送りたいということを、さきに国連における大気圏外平和利用委員会で岡崎国連大使が大演説をぶっておるわけです。その可能性とこれに対する期待を国の内外に喚起した。私もこれは非常に熱望するところであって、その実現をぜひしたいという念願を持つ一人であります。また国内でも、気の早い人たちは、次の東京オリンピックは通信衛星を通して全地球的なネット番組になるんだ、日本のテレビの世界進出の一大チャンスになるんだ、こう信じ切っておる人が相当に多いわけであります。国民に相当な期待を持たしておる。ところが、先ほど来森本委員と私の方がお尋ねしたわけですが、順序を追うて聞いておると、はなはだ心細い。大使がああいう大演説をぶつについては、まだ日本政府のこの問題に対する今までの態度というものは、きわめて用意もなかったし、もの足らない、こういう感じを深く抱くのでございますが、かりに今国際電電がやっております施設が、国際電電計画通り進んだとしても、これは昭和三十八年度の後半に実験に入れるか入れないかという程度だとすると、そのあくる年はオリンピックなんですよ。これは間に合いそうもないということが当然考えられる。今度のテレスター計画は、日本で実現できないということはきわめて残念だが、これは私は一応今までの政府のとった態度としては自業自得であると思う。これはもっと早くやっておればできたんです。日本のそういう準備がないものだから、テレスター計画内容を先般アメリカの資料で見てみますると、第一日本の上空を通ったときには電波を発射するという計画になっていませんよ。太陽電気で動かすんですから、そう初めから終わりまで、ぐるぐる回っているうちに全部電波を出すわけじゃないんです。私はあれを見てなるほどと思った。日本の上に来たときは電波を出さないですからね。そういうしかけになっている。日本は最初から除外しておる。日本の今までの態度、用意その他から判断して、そうなるのは当然だと思う。それで、日本の方では、一九六四年のオリンピックを世界にテレビネットで通信衛星で乗せたい、こういうことを国連の場を通して世界に希望を述べておるが、日本の用意は全然できない。アメリカはそれに対してどう考えているかというと、先般ケネディ大統領がアメリカの国会に送った書簡によって、この通信衛星計画内容はほとんど明らかにされておるが、それによってみると、一九六五年にアメリカ日本地上局の設置を求めておる。一年食い違っている。これをその限りにおいて理解すると、アメリカ通信衛星計画の中には、東京オリンピックを通信衛星に乗せて世界のテレビのネット番組にするというプログラムは入っておりませんと理解しなければならぬ。ところが、オリンピック主催国の日本としては、これをぜひとも通信衛星に乗せて、新しい世紀国際通信を通して全地球にこれを何とかして流したい。われわれもそういう熱望を持つ。ところが、日本側衛星を打ち上げる能力はないんだから、これは残念ながらアメリカのその計画におんぶするより仕方がない。そこに非常にむずかしい問題があるわけだが、日本の今までの政府のとった態度が、認識不足というか、こういう事態に対してあまりにマンマンデーであったために、こういう結果を招いて、なおかつ六四年の東京オリンピックに対しても、そういう国民の期待に反するようなことが考えられている。この場合、政府が、この問題についてよほど積極的態度を持って、国際的に通信するなら通信する、国内的準備をするものならする、国内外双方にわたって相当積極的な方針をとらなければ、対策、構想をとらなければ、これは一場の夢に消えてしまう、こう思うので、政府は一体その問題に対してどういう対策、構想を持っておるのか、どれだけの積極性を持っておるのか、現在対策、構想を持っておるのか、おらないのか。ただアメリカ計画におんぶさえしておれば、六四年には東京オリンピックの状況通信衛星に乗って世界に流される、全地球的なテレビ番組が日本から流れるだろうというふうな甘い考えでは、とうてい実現しないと思う。その点、電波の責任を一手に持っておる西崎局長は、対策、構想を持っておるのかいないのか。全くアメリカにおんぶしていきさえすれば何とかなるべいという程度のことしか考えていないような状態なんです、今の状態は。これではいかぬので、これは大臣にお聞きしなければならぬのだけれども、今政務次官からまことに適切なる御答弁があったから、大本はわかりますけれども、行政の責任者のあなたはどう考えていますか。
  101. 西崎太郎

    西崎政府委員 従来われわれとしましては、宇宙通信の促進、言いかえますれば、オリンピックまでには何とかその光景をテレビで全世界に送れるようにしたいという悲願を持って、できるだけその努力はして参ったわけでございます。結局、問題は、何と申しましても技術的な準備ということが先行するわけでございまして、この面にいささか力を奪われた、こういうことも率直に申して言えるのではないかと思います。大体において日本におけるそういった方面のめどというものはつきましたので、今後は米国政府その他諸外国との正式な交渉というものを積極的に推進して参る。ただ、先ほど先生が言われました中で、私が理解しているところによりますと、アメリカとしても正式な宇宙通信業務というものは一九六五年をめどにしている、従ってそれまでの間は実験期間だ、こういうふうに了解しておりますので、日本だけが取り残されているというふうには考えておらないわけであります。しかし、少なくとも実験的なベースにしても、オリンピックまでにはぜひそういう態勢を整備したい、こういうふうに考えております。
  102. 竹内俊吉

    竹内委員 これは、電監局長、あなたの一生の仕事としてがんばっていい仕事なんです。ことしの予算を見てみなさい。これだけの大仕事をするのに、電監のあの予算は幾らですか。しかも電子計算機の購入予算もことしの予算は持っていないでしょう。私は事情を調査して多少知っておりますが、そんなみみっちいことで――あなたが今おっしゃったようなことは全く希望にすぎないですよ。もっとしっかり計画を立てなさい。たとえば国際電電に関しても、もっと技術員を動員して、日本のあらゆる技術を示して、導入するだけの金と時間と能力を費やしなさいよ。そうすると、来年三十八年度の後半でなければできないというものが、ことしでできるかもしれない。できる可能性があるんですよ。五億や三億の金を投じておいて、そうしてこれは全くアメリカ計画におんぶしているというだけでしかないんですよ、実際は。こういうことじゃ六四年にオリンピックを世界に流したいなんて言ったって――それは国民は流せるものだと信じておりますよ。そういうふうに宣伝しているもの。ところが実際の計画は何もできていない。このままで行ったら、とうていできっこないですよ。あなたは起案者だから、大いにその点を起案して、郵政省の中から大臣を動かし、閣議を動かして、もっと大きな構想と積極性を持って進んでいかなければ、とうていできないと思う。あなたは今アメリカ計画は一九六五年から実用期に入る計画だと言っているけれども地上局に対しては違うじゃないですか。先ほど来出ているヨーロッパ諸国そのほか豪州、ブラジル、アルゼンチン、その他日本より二年も早いじゃないですか。日本はあとにしている。これは、あの書簡を見てみると、ちゃんと明記してある。アメリカとしては日本の状態も知っているだけに、日本の態度も知っているだけに、ああなったのじゃないかと勘ぐるわけだが、そういうことはこれからの日本の態度によってまた払拭できると思う。ですから、この問題に対して政府はもっと本腰を入れて、これだけの能力を持っている日本の国の技術を世界に問うという一つの大きい意味もあるのでありますから、相当な金と労力を投入してしかるべき仕事だと思いますので、起案者としての電監局長に大いにこれは期待するとともに、今後も委員会等を通して、場合によっては委員会でわれわれ相談して、委員会意思として政府鞭撻の要もあると考えておるわけでありますから、十分にその点を心得て、六四年には日本国民の夢のような念願である東京オリンピックの状況を世界のネット番組にして通信衛星に乗せるということの実現を目途に進んでもらいたいということを強く要望して、質問を終わりたいと思います。
  103. 佐藤虎次郎

  104. 谷口善太郎

    ○谷口委員 アメリカから申し込んできております衛星追跡ステーションの問題について、実は当面のことだけ一、二点お聞きしたいと思います。  実は、これはずいぶん大平な問題ですが、政府側の陣容を見ますと、ちょっといろんなことをお聞きしても知らぬ存ぜぬで終わるのではないかと思いますけれども、そこで当面の問題だけちょっと聞きますが、今月の八日の東京新聞で、一体この追跡ステーションの内容はどういうことだということを日本政府からアメリカに質問書を出していることが報じられております。これは、科学技術庁から外務省を通じて出しているという報道で、高圧線や他の受信所からどのくらい離れていることが必要かというようなことを八項目にわたって質問した、こういうふうに報道されておりますが、その項目の内容はわかりますか。質問書の内容です。
  105. 西崎太郎

    西崎政府委員 今お話しありましたように、この問題につきましては外務省科学技術庁の間で話が進められておりましたので、私の方としましては、どういう内容の照会をしたかということは承知いたしておりません。ただ、この前外務省からも御答弁があったわけでありますが、この問題につきましては、やはり先方から専門家の人に来てもらって、いろいろ先方の計画内容というものをはっきり伺わないことには、何とも回答のしようがないということで、調査員、専門家二名の入国というものを認めるという通知を一本側から米側にしたということ以上は、その後事態の変化はないように聞いております。
  106. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうすると、この科学技術庁外務省を通じて出しました質問書の内容を局長御存じないのですか。
  107. 西崎太郎

    西崎政府委員 直接は承知いたしておりません。
  108. 谷口善太郎

    ○谷口委員 御存じないとすればしようがないわけでありますが、しかし、それはちょっとおかしいじゃないですか。あなたは知らない、特に今度のように、電波監理の上でいろんな問題があるということも重要な問題の一つになっているのです。従って、あなたが御存じないと言われても、ちょっと通らぬような気がするのですが、全然御存じないのですか、ほんとうに……。
  109. 西崎太郎

    西崎政府委員 承知いたしておりません。
  110. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これは、それじゃ郵政省の方で、あるいはあなたの方で調べてここへ資料として出してもらうわけにいきませんか。そういうこともできませんか。
  111. 西崎太郎

    西崎政府委員 科学技術庁の方であるか、外務省の方であるか知りませんが、できるだけよく事情を聞きまして、もし御提出できるようでしたらしたいと思います。
  112. 谷口善太郎

    ○谷口委員 新聞に出ておるのですから、あなたが御存じないということも不思議だし、何も秘密にするようなことじゃないだろうと思うのです。これはぜひ調べてここへ御提出願いたいと思うのです。  それから次にもう一つ伺いますが、同じ記事の中で、さっきもちょっと問題になっておりましたが、鹿島の電波研究所のセンターに、この追跡ステーションを付置するというような意見科学技術庁長官が七日に新聞記者に話しているということが、新聞報道に出ておりますが、こういう点を御承知ですか。
  113. 西崎太郎

    西崎政府委員 はなはだ申しわけないのでありますが、郵政省といたしましては承知いたしておらないので、われわれもその新聞を通じて承知したということであります。
  114. 谷口善太郎

    ○谷口委員 こうなっては、どうにもしようがないのですが、ここには三木科学技術庁長官が、七日の午後記者にこう話している。新聞記事だからあなたもごらんになったわけですが、「全面的に協力することに方針を決めた。米政府に質問書を出し、二人のNASA技術者の来日を待っているのも、米側の九州設置案には技術的に難点があるためで、気象観測衛星の信号受信が目的なら、茨城県鹿島町に建設中の宇宙電波受信センターにステーションを付置したい」こういう愚見が新聞報道として出ているわけです。これは三木さんの言われたことだろうと思うのです。あなたは直接御承知でなくても、新聞記事でごらんになっているわけなんだが、こういう話が政府部内で、特に科学技術庁にこういう考えがあって、それが公表されているということについて電波監理局長としてはどうお考えですか。
  115. 西崎太郎

    西崎政府委員 そういう記事が載っておったことは承知いたしております。しかし、正式にそういう話を科学技術庁からわれわれの耳に受けたわけでありません。ただ今度のアメリカ計画を、鹿島の電波研究所施設でもし技術的にやることが可能であるものならば、やった方がいいのだという、そういう考え方は持っておるということは、先ほど森本委員の御質問にお答えした通りであります。
  116. 谷口善太郎

    ○谷口委員 私はさっきからあなたの答弁を伺っておりますと、ほんとうはいろいろなことを御存じだけれども、何か事情があっておっしゃらないのじゃないかというふうに考えられて仕方がない。ここの新聞記事を見ましても、新聞記事だけでつまらぬ質問になるわけなんですが、これを見ましても鹿島に付置するにつきましても、なぜそうするかという理由が書いてある。さっき電波を少しでも出せばやはり今の電波法に触れるという問題があるということをあなたはおっしゃっていましたが、その電波法に触れないために国内の研究所では、ちゃんとそれが国内でありますから、その点は問題ないわけですから、そこへ付置すれば、この電波法改正というような問題も起こらなくて済むという内容まで含めて三木さんは語っているわけですね。従って、かなり話が進んでいると思うのです。あるいは研究が進んでいると思うのです。それを電波監理局長のあなたが御承知ないというようなことは、これは、しろうとが考えてもなかなか納得できぬわけなんです。どうもあなたは、そんなことを言ってはならぬようなことになっているのですか。何かそんなような気がしてしようがないんだが、どうですか。
  117. 西崎太郎

    西崎政府委員 そういうことは、絶対にございません。
  118. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これは質問にならないというふうに最初言ったのですが、私は、アメリカがどう考えていようと、あるいはこの計画の中でアメリカ目的はどこにあろうと、あるいはどういう機械があそこで設備されようと、つまりアメリカの意図はどこにあろうと、科学技術の上からいって、これがどういう作用をするか、どういう本質を持っておるかという問題では、これはもうだれが何と言おうと、非常に明らかなことなんだ、必然的なものなんだ。そこで、この問題は、アメリカからの回答があるとないとにかかわらず、現にきょうお出しになった内容だけでも十分に検討に値するし、また検討できるというふうに考えるので、実は、私は若干用意しておるのですが、委員長にお願いしたいのですけれども、これはやはり科学技術庁長官と外務大臣、それから郵政大臣その他関係者に集まっていただいて、この問題を本格的に調査する機会を作っていただきたいと思うのです。というのは、世間で問題にしておりますように、たとえばわずかの土地でありましても、アメリカに貸すのか売るのか、とにかくそこに日本の主権が及ばないという場所ができるのでありまして、世間では、これを科学租界と言っている。つまり租界の制度になるのか居留地になるのか、あるいは安保条約に基づく基地のようなことになるのか、あるいは大使館、公使館の敷地のような、何かそういうふうな外交上のものになるのか。これはいずれにしても、日本の主権が及ぶ領土の中に及ばない場所ができるのであります。そういう点で非常に重大な問題でありますので、やはり政府の責任ある各部門の方に集まっていただいて、これを調査する機会を作っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  119. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 お答えいたします。ただいま谷口委員よりの御忠告もありましたので、委員各位、理事諸君と十分相談いたしまして、各所管大臣、所管庁に向かって、そういう機会を作るように諮りたいと思っております。
  120. 谷口善太郎

    ○谷口委員 それではきょうは、これで終わります。
  121. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 本日は、この程度にとどめ、次会は、公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時十四分散会