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1962-03-08 第40回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月八日(木曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 佐藤虎次郎君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君    理事 小泉 純也君 理事 佐藤洋之助君    理事 廣瀬 正雄君 理事 大柴 滋夫君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       大森 玉木君    志賀健次郎君       椎熊 三郎君    竹内 俊吉君       中山 榮一君    南條 徳男君       羽田武嗣郎君   橋本登美三郎君       保利  茂君    星島 二郎君       森山 欽司君    佐々木更三君       畑   和君    原   茂君       安平 鹿一君    山本 幸一君       受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 迫水 久常君  出席政府委員         郵政政務次官  大高  康君         郵政事務官         (大臣官房長) 金澤 平藏君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      板野  學君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房人事         部審議官)   土生 滋久君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 本日の会議に付した案件  簡易保険郵便年金福祉事業団法案内閣提出第  三三号)      ————◇—————
  2. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  簡易保険郵便年金福祉事業団法案を議題とし、審議を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。畑和君。
  3. 畑和

    畑委員 それでは、私から最初質問をいたします。  まず最初にお尋ねいたしたいのは、この福祉事業団を今度作られるわけでございますけれども、この目的はこの第一条に書いてある。「簡易生命保険及び郵便年金の負う使命達成に資するため、簡易生命保険及び郵便年金加入者福祉施設設置及び運営を適切かつ能率的に行なう」、こういう目的のために、今まで郵政省でやっておられたのが、新たに事業団としてその仕事をやるということが書いてある。従って、その運営を適切かつ能率的に行なうということが目的だ、こういうことなんです。従って、そういう実を上げなければ、この設置意味は何らなさないわけです。  ところで、お尋ねいたしたいのは、今までこの事業に携わっておった人たちのことも考えなければならぬのでありますが、そうした職員が今度新しい事業団移行するについて、職員自体意向は一体どういうものか。非常に喜び勇んでその事業団職員となるというような意向なのか、あるいはそうでない、非常な不安を持っておる点があるのかどうか。やはりその気分もわかっていなければならぬはずだと思うのです。それで、どういうふうにその辺を感じとっておられるのか、理解しておられるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 板野學

    板野政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、この事業団に喜び勇んでいくということでないと、能率が上がらないと思います。従いまして、私どもといたしましては、移行職員処遇なりあるいは移行時におきまする待遇等につきましては、できるだけのことをいたしたいということで、いろいろ考えておるわけでございますが、その条件等につきましては、すでに組合の方にも呈示をいたしました。また、私どもの各施設に対しましても、大体の態様を知らせまして、そうしてこの理解に努めておるわけでございます。現在の状況から考えますると、一部にはあるいはどうも移行することが工合が悪いという声もございますけれども、私の聞き及んでいる範囲におきましては、大部分職員は、それなら行こうかというようなところが多いように私ども判断をいたしておる次第でございます。
  5. 畑和

    畑委員 この前のだれかの質問にもございましたが、役員となる人は大体予定もされておるのだと思いますけれども、そういった人たち相当の高給をはむわけでございまして、そういう人にとってはまことにけっこうな新しい事業団ではあろうけれども職員にとっては、従来通り郵政省職員としてそのままにおった方がよろしいという人の方が多いのではないかというふうにも考えられるのであります。ただいま局長の答弁によりますれば、一部不満の者もあるけれども、大部分が何とか喜んで行こう、そういうふうになるように適切な措置を講ずるつもりだ、こういう御意向でございまするが、この点は十分に留意をしてもらいたいと思います。  それから、ついでに聞きたいのですが、そうした職員郵政省からこの事業団に行く、いわゆる移りかわり、身分の切りかえ、これについては、この法案には一つも載ってないと思うのです。これはどこにどのようにして根拠づけられておるのか。権利義務を承継するということになっておるが、そういうことも含んでの権利義務なのか。職員のことについては何にも触れてない。役員は新しく就職するんだからいいわけですが、職員はこの法規で郵政省人事関係の人がどういう関係になって移行をするようになるのか、それを伺いたいと思います。
  6. 板野學

    板野政府委員 この法律の二十九条には、「役員及び職員に対する給与及び退職手当支給基準を定め、」ということになっておりまして、移行して参りました際の支給基準は定められるわけでございまするが、その支給基準等につきましても、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる有利な基準がきまりますように、ただいま私どもの方でこの大綱を作成しつつあるわけでございます。また、退職時の移行につきましては、別にここに規定はございませんけれども、この国家公務員等退職手当法、あるいは国家公務員共済組合法等施行令を改正いたしまして、もしこの任命権者任命によって行くとか、あるいは復帰を希望する職員につきましてはこれを復帰させる。そういたしますと、この通算ができるわけでございまして、そういう面も考えております。また移行職員につきましての特別の昇給もいたします。また非常勤等につきましては、大体行く前には、ただいまこの施設には約五十三名の非常勤がございますけれども、これは大体本務者化いたしまして、向こうに行きました場合におきましては、本務者と同じような処遇をするということも考えておる次第でございます。
  7. 畑和

    畑委員 私が質問したのは、それではなくて、こういうふうに聞いた方がいいかもしれません。これは要するに、退職をして、そして新しいこの事業団に移りたいという希望を募って、そういう人たちだけがやめて、そして新しい方へ移行するという、いわゆる任意に基づくものか、あるいは法規的に切りかえるという方法で強制的に行くのか、いやだという人は、よその方へ配置転換をして、郵政省職員にとどまるということなのか、その辺を……。
  8. 板野學

    板野政府委員 形式的には、これは廃官廃庁というようなことになるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、この業務がすでにあるわけでございまして、移行した場合にはこの業務が引き続き行なわれるという点からいたしますると、どうしてもできるだけ従来からなれた人にぜひ行っていただきたいという希望を持っております。またそのように私どももいろいろ理解をしていただくようにやるつもりでございまするけれども、しかしながら、行きたくないという方に対しましては、移行を強制するというようなことはいたしません。またそういたしまして、残られた人につきましては、もうすでにその職場はございませんので、なるべく近くのいいところへ一つ行っていただく。しかも、大体この施設のあるようなところには、大きな郵便局なり何なりあるわけでございます。また、御承知のように来年度相当増員もございまするので、配置転換といいましても、そう無理な配置転換は起こらないというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  9. 畑和

    畑委員 次にお尋ねいたしたいのは、この事業団資本金ですが、この最初資本金が、金額で出すものは四億三千八百万、こう書いてありますが、これは、こういった端数はどういうふうなあれか、何か計算上の根拠があるのか、ちょっと端数なものだから聞きたい。
  10. 板野學

    板野政府委員 お手元の法案資料の五十ページにございますように、大体この施設内容が、加入者ホームにつきましては、一カ所が土地と建物、これが二億二千三百万円でございます。それから、もう一つの第十次の加入者の方は、土地だけ認められておりまして、これは五千万円でございます。それから、保養センターにつきましては、第三次の保養センターが一カ所、土地だけ四千万円でございます。それから、増改築費熱海ホーム小樽ホーム暖房室、あるいは診療艇更改というもので、熱海ホーム増改築は五千二十四万円、小樽ホームの改造が八百十四万円、診療艇更改が三千万円、その他、小新営その他で四千八百六十二万円がございます。これを合計いたしますと四億五千万円でございまするが、減価償却引当金が千二百万円ございまするので、差し引きまして四億三千八百万円、こういうことになっておる次第でございます。
  11. 畑和

    畑委員 次にお尋ねしたいのは、交付金ですね。交付金が、同じ第七表、参考資料の五十ページにありますが、初年度予算は四億四千二百万円、こういうふうになっております。交付金は毎年大体この程度で予想されるのかどうか。
  12. 板野學

    板野政府委員 交付金は、大体このホーム等収入が約五千万円ございます。その収入を差し引いた残りのものを郵便年金特別会計から交付するということになっておりまして、三十七年度におきまして新しくでき上がる施設もまた出てきます。また現在建設中のホームなりあるいは保養所施設も五カ所、六カ所ございまするから、三十七年度内にそれができ上がれば、どうしても交付金等はまたふえてくるということになるわけでございます。
  13. 畑和

    畑委員 次にお尋ねいたしたい。第十四条に「役員兼職禁止」というのがございます。これに「役員は、営利目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」こうなっていますが、もしこれに違反したときは、どの条項によって解任か何かすることになるのですか。十三条の職務上の義務違反でいくのですか、それともその他の役員に適しないと認めるとき、こういうのでいくのですか、どちらですか。
  14. 板野學

    板野政府委員 第十三条の職務上の義務違反というふうに私ども一応考えております。
  15. 畑和

    畑委員 それから、もう一つ聞きたいのですが、大蔵大臣との協議というのがございますね。三十五条、これによりますると、いろんな場合を予定して、郵政大臣が、まず大蔵大臣協議をしてから、するということになっておりますが、非常にこの条項が多いのであります。一々こうした場合に大蔵大臣協議をしなければならぬわけでありますが、非常にこれは私は多いと思うのです。すべて大蔵大臣の了解がなければ郵政大臣ができないようになっている面が非常に多い。金に関するものがあるからでありましょうけれども、そう思うのです。そして、さらにまた大蔵大臣協議をして協議がととのわないようなときにはどうするのか。協議がととのわなければ郵政大臣は次のことができないということだと思うのですが、こうたくさん大蔵大臣との協議事項が多いと、それによって非常な差しつかえがある、かように思うのですが、この辺の点は……。
  16. 板野學

    板野政府委員 先生のおっしゃいましたように、法第三十五条に規定しておりまする大蔵大臣との協議事項相当多うございまするけれども一つ一つを見ますると、相当ひんぱんに起こるものでもございません。また、協議のその内容を見てみますると、一つには郵政大臣認可事項協議を要するものがそこにございますように、業務方法書作成変更ということがございます。この業務方法書につきましては、事業団設立の際に作成するものでございまして、変更をするというような場合は新たに施設を設ける場合に限りますので、こういうものにつきましても、その大蔵大臣協議がととのわないというようなこともないのじゃないかというふうに考えております。  また、その二は、予算とか事業計画及び資金計画作成及び変更というのが法の第二十二条にございますが、この作成につきましては一般会計年度に一回限りというものでございまして、年度途中に交代することはたびたび起こらないというように考えております。事業団の場合は、御承知のように、予算移用流用予備費の使用につきましては、特に主務大臣指定いたしました経費のほかは自主的に行ない得るようになっておりまするので、郵政大臣承認を得れば移用流用もできるというような利点もございます。それから、短期借入金及びその借りかえ、法の二十五条でございますが、このような場合は、天災地変とかあるいは予算成立遅延等やむを得ない場合に限られますので、ごくまれな事案だと考えております。それから、財産処分制限、法二十八条でございまするけれども、これは事業団で自由に処分できる財産以外のものを他に貸し付けたり、あるいは譲り渡したり、または担保に供する等の制限でございまして、これもあまり起こり得ない事例でございます。その二は郵政省令事項協議を要するものでございますが、業務方法書記載事項、法の二十条の2でございまするが、それと財産処分のできる範囲、先ほど申し上げましたが、法第二十八条、それから財務会計に関する事項、法の第三十条でございまするが、これらはいずれも、事業団設立の際郵政省令を制定すれば、ほとんど将来にわたってあまりそう変更のない事項ではないかというように考えております。  それから、その三は、郵政大臣承認事項協議を要するものがございます。その一つは、財産目録貸借対照表損益計算書作成でございます。法の二十三条の二項にございますが、これはいわば事業団の一年の活動状況の総決算でございますので、一会計年度一回というような性質でございます。それから、二番目には、役職員給与及び退職手当支給基準作成及び変更、法の第二十九条でございますが、これも社会経済情勢の変化に応じまして基準変更等は十分考えられまするが、そうひんぱんにあるとも思わないわけでございます。  それから、四番目には、郵政大臣指定する事項協議を要するものが、一つには余裕金運用ができる有価証券指定、法の二十七条の一号でございまするが、これも一度指定をいたしますると、そう変更する事項はないように考えております。二番目には、余裕金を預金する金融機関指定でございます。法の二十七条の二号にございまするが、これも、この前申し上げましたように、郵便貯金やまたは銀行で十分と思われますもので、そのような金融機関指定することは、そうこれまたひんぱんではない。いろいろこういう工合に考えてみますると、まあ一回限りとか、あるいは起こってもまれな事案でございまするので、その協議する度合には割合少ない。また、先生がおっしゃいましたように、協議がととのわないということになりますと、なかなかこれは実行できないわけでございまするけれども、私の方の大臣大蔵大臣の間に必ずこれは話し合いがつくものというように私は考えておる次第でございます。
  17. 畑和

    畑委員 質問を終わります。
  18. 佐藤虎次郎

  19. 受田新吉

    受田委員 私たちは、簡易保険事業として同時に従来福祉施設診療施設保養施設などに郵政省が非常に力を入れたことに対しては、大いに感謝しているわけです。ところが、今回これを事業団として一括運営妙味を発揮しようとされることになるわけでございますが、ここで問題になることは、事業団という前進した機構のもとに、従来とられた簡易保険の如上の目的を果たすためのこの効果が大きく示されると同時に、その運営妙味が発掘されなければならぬと思うという点です。そこで、まずただしておきたいことは、ここに簡易生命保険郵便年金二つをうたっているわけなんですが、簡易生命保険は漸次加入者もふえ、契約高もふえておるわけですけれども、一方郵便年金の方は、契約者が、政府から出された資料を拝見いたしましても、現在契約者数件数においても相当減少しつつある、金額においてもさほどふえておらぬという、この現象は一体どういうところから起こってきたものですか、これをお尋ねいたします。
  20. 板野學

    板野政府委員 郵便年金につきましては、戦後のインフレによって相当少額の年金が非常に価値を減じたという現象がございまして、加入者の方が非常な苦情もあるわけでございまするけれども、そもそも郵便年金の立て方が、いわゆる掛金をもって、その額面をもちまして積立金を作り、それを運用していくということでございまするので、どうしてもこの貨幣価値変動に弱いという点がございまして、これが相当郵便年金のこの募集に非常に大きく響いておるわけでございます。また一方、郵便年金のそのような点につきましては、私ども、今後可変年金と申しますか、物価変動にある程度スライドしていくような制度につきましてもただいま検討をいたしておりますし、民間ではすでに企業年金等実施の運びにいきつつございますので、私どもそういうことにつきましても今後検討を続けていきたいと思いますが、何分郵便年金がそういう状況でございますので、この積立金運用方法等につきましても、あるいは特別な、たとえば民間生命と同じような財産と申しますか、不動産に投資し得るとか、証券に投資し得るとかいう点も、あるいは考慮しなければならぬというふうに考えております。いずれにいたしましても、そういう割合の悪い年金制度でございますので、なかなかこれはふえないのが実情でございます。
  21. 受田新吉

    受田委員 今度の事業団法案の第一条の目的にも、「簡易生命保険及び郵便年金の負う使命達成に資するため、」という前提があるわけですね。これは使命達成に資するために福祉施設等を設け、あるいは運営を適切に能率的にやろうというわけなんですね。そうなると、前提が抜けておっておしまいの方に力を入れられるということは、また筋が通らないわけです。だから簡易生命保険使命達成相当能率的にいっておる、一方郵便年金の方の使命達成は、今のような物価変動などで思うようにいっていないということになると、法第一条に定める郵便年金という前提の方はさっぱりだということになる。その使命達成を現状においては十分果たすことができない、こういうことになりますね。第一条の前提が思うようにいっていない、こういうことですね。
  22. 板野學

    板野政府委員 先ほど郵便年金伸び方が悪い原因を申し上げたわけでございますが、この加入者の方に対しましては、やはりできるだけのサービスをしていかなければならぬ。それがために、御承知のようにただいま作っております加入者ホーム等につきましては、郵便年金加入者を優先的に入れる。しかもそれは、施設の点につきましてもまだ十分ではございませんので、これからそういう施設を拡充していきまして、配当金とかそういう面で非常に不利な点をこういう面からも補っていきたい。郵便年金制度を根本的に考えます前に、まず一つそれをやっていこうというのが、この福祉事業団を作る趣旨でございます。また、保養所等施設につきましても、今後できるだけ拡充していきまして、この施設年金加入者の方も公平に利用できるようにサービスを向上さしていきたい。このような趣旨でございます。
  23. 受田新吉

    受田委員 この事業団ができると、郵便年金は比較的増強されるという期待が持てるわけですね。
  24. 板野學

    板野政府委員 先ほど申し上げましたように、郵便年金制度につきましては、根本的にある欠陥がございますので、私どもその欠陥をできるだけ早く是正していくような検討をただいましておるわけでございまして、そういう制度の根本的なやり方をやはり変えていかないと、以後これがふえるということはなかなか申し上げられないというふうに考えておる次第でございます。
  25. 受田新吉

    受田委員 せっかく福祉施設設置されたり、運営妙味を発揮したりするということになるわけですから、この機会郵便年金使命達成のためにその根本的問題の解決を同時にはかるということ、このことが必要な対策でありませんか。
  26. 板野學

    板野政府委員 先生の御意見の通りだと考えます。
  27. 受田新吉

    受田委員 このような能率の上がらない制度が今後もそのままにされておるとするならば、二つの柱である保険年金の一本は、片ちんばで取り残されていくことになりますね。これはこの事業団計画をお進めになると同時に、郵便年金の根本的な対策というものを十分考慮していただかなければならぬ。今腹案としてどういうものを用意されておりましょうか。
  28. 板野學

    板野政府委員 先ほど申し上げましたように、いわゆる価幣価値変動にそのまま応ずるということは非常にむずかしいのでございますが、外国等においては、いわゆる可変年金というような制度をとっているところもございますし、そういう点を考慮しまして、いずれにしても積立金運用をどうするかということが非常に根本的な問題になりますので、あるいは不動産への投資ができるとかいろいろな点を考慮しまして、この制度をどういう工合に改善していったらいいかということで、特に私ども業務課には年金係というものを置きまして、ただいま鋭意検討している次第でございます。
  29. 受田新吉

    受田委員 これは郵政省のお仕事としては非常に大事なお仕事であるはずですが、保険だってそうです。満期がきて保険金を受け取るときには、そのときの価幣価値よりはなはだ低いところに置かれることも同時に考えられる。別にこれは年金に限ったことではない。そういう意味で、郵便年金制度というものと一つ真剣に取り組んでいただきたい。この年金制度というものは、すでに一般民間会社等でも生まれようとしている現段階において、退職後の保障、また一般国民一定年令に達した後の生活の保障の基礎になるような政府事業としては、これ一つしかないのですから、一般市民に対するサービスとしてただ一つ年金制度ですから、これを一つ根本的に検討してもらわなければならぬ。そうして早急にその結論を出して、実施に運んでもらわなければならぬ。年金制度は、すでに一部民間会社等においても計画が進められており、実施されているところもある。また、公務員の場合は、退職年金というものができている。しかるに、一般市民に対しては、ただ一つ年金制度として郵政省が持っている郵便年金制度しかない。この唯一の政府機関としての年金制度をもっと飛躍的に効果あらしめるように、実績が上がるように、大臣としては少し馬力をかけてもらわないと、契約がどんどん減っている。これはしり細りです。政府事業の魅力というものは、生彩を欠いているばかりでなく、まさに凋落一途をたどりつつあると言っても決して過言ではないと思う。郵政大臣たるもの、いかに考えられるか、御答弁願いたい。
  30. 迫水久常

    迫水国務大臣 お説の通りでございまして、郵便年金というのは、任意契約による年金としては、政府の持っているたった一つ年金制度である。強制年金としては、国民年金というものがありますが……。今お話しのように凋落一途をたどりつつあるというほどでもないと実は私思うのですが、これは相当に努力して改善していかなければ伸展を期することはできない、こう思っております。  そこで事務局でもよくその実態を認識しておりまして、すでに私が着任します前から研究をいたしておるのでありまして、できるだけ早い機会結論を出す、可変年金というようなものは大蔵省等相当の抵抗もあって、おそらくなかなかむずかしいだろうと思いますけれども、御趣旨に沿うように努力をいたします。
  31. 受田新吉

    受田委員 私、凋落一途をたどりつつあると言ったのは、非常に遠慮して言ったのです。現実にあなたの方から出された資料を見ても、昭和二十六年以来一回も前年度より件数がふえたためしがない。まさに凋落一途をたどりつつある。昭和二十六年以来ずっと凋落一途をたどっている。この私の言ったことが間違いかどうか。どうですか。
  32. 板野學

    板野政府委員 仰せの通り減っております。また募集の目標類もふやしておりません。これは制度関係もいろいろございますし、いろいろな客観的な条件を考慮いたしまして、そういうようにいたしておりますが、目標だけは達成しておるという状況でございます。件数は減りましても平均の金額はふえますから目標は達成している、こういうことになっておる次第でございます。
  33. 受田新吉

    受田委員 まさしく凋落一途をたどっておるですよ、これは。このことは率直に認めていただきたいのです。大臣どうです。現実に減っておるのです。貨幣価値がどんどん下がっておるのに、件数は減ったが契約高をふやしてあるという理論は成り立たないわけです。凋落しておるとはっきり言ったらどうですか。
  34. 迫水久常

    迫水国務大臣 凋落しておる姿を見ております。
  35. 受田新吉

    受田委員 凋落一途をたどりつつある。十数年にわたって一回も前年度よりふえた年はない。千人当たりの普及率も全部凋落しておる。この機会にカーブを上げる努力をされなきやならぬ。年金制度についてはいささか政府の腰の入れ方が足りない。国民年金制度が今できておるが、国民年金制度でもこれは満足できないという立場で、この郵便年金検討に入ろうというときですから、国家事業としてせっかく制度がある以上はこれを生かさなければならぬ。国民年金との関係で非常に遠慮されておるようですが、これは遠慮するような筋合いのものかどうか。
  36. 迫水久常

    迫水国務大臣 決して遠慮するような筋合いではございません。できるだけこれを皆さんに利用していただくように、そのためにさっきちょっと簡易保険局長申しましたが、運用の問題と大蔵省との関係において考え直してもらうべき問題もずいぶんたくさんあると思いますので、その点についてできるだけの努力をいたしたいと思います。
  37. 受田新吉

    受田委員 強制加入の制度任意加入制度の相違点の妙味を発揮して、国民貯蓄という意味にも通ずるわけでございますから、少なくともこの機会に根本的な対策を立てて、来年度からカーブが上昇傾向へ転換できるように御努力を願いたい。これは厳重に申し入れをしておきます。  さらに法案に触れていきたいのでございますが、今御答弁を伺っておると、大蔵大臣との協議事項の中に大事なものをみな取られておるじゃないですか。これはほとんど大蔵大臣協議しなければならぬところに入ってしまっておる。法案の中の事業あるいは運営の中で一番大事なところは、郵政大臣が単独に処理できないような厳重な規定がされているのですが、これでよかったわけだったのですか。
  38. 板野學

    板野政府委員 大体これは財務関係とか財政関係とか、いわゆる大蔵省の業務に関連する事項でございますし、またほかの事業団も大体こういうような協議をいたしておりますので、私どもといたしましては、できるだけ減らそうというような考え方で参りましたけれども、やはりほかの事業団と同じにこれは扱うべきだということで、こういうふうにいたした次第でございます。
  39. 受田新吉

    受田委員 ここの第三十五条というのは、大蔵大臣があなたの大事な力というものを骨抜きにされておる規定なんです。これをずっと当たってみますと、おもな事業の対象になること及び運営妙味を発揮するというところは、郵政大臣あるいは郵政省の独特の持ち味を生かすことができない。協議ととのわざるときは郵政大臣の決定したところに従うという規定じゃない。協議しなければならぬという厳重な規定なんですから、郵政省独特の持ち味というものは、大臣あなたの力では果たされないという形になっておる。今簡易保険局長が御指摘されたような福祉事業施設等についても、一々お許しを得て御相談をしなければならぬ、お伺いを立てなければならぬ、それから給与から退職手当支給基準までも一々御相談をしなければならぬ。あなたお一人の、郵政大臣の単独の権限では行使できないという哀れな規定がここに出ておる。
  40. 迫水久常

    迫水国務大臣 率直に申しますと、実はこの三十五条の規定というのは、私としてはあまり痛痒を感じないと思います。というのは、大体こういうようなものは予算で縛られてくるところが多いのでありまして、どういう工合に金を使うかということは、大蔵省としては非常に大事な点で、予算で縛ってくるわけでありますから、予算の交渉のときに形が大体ついてくる問題でございます。従いまして、来年度どういうような事業をするかということは、予算の重要な問題でございますので、当然大蔵省とは折衝をしなければならぬ問題でございます。それが資金計画とかいうようなことになって、その資金計画予算に従って認可をするときに、形式的にもう一ぺんあらためて大蔵大臣承認を受ける、これはまあいやな条文であることはあるのですけれども、大体こういう各事業団についての例文でありまして、私の方はこれによって運用妙味というものを全部とられているとは決して思いません。問題は予算の折衝のときに大部分片づく問題でありまして、そのときに郵政省が能力を発揮しておもな予算を獲得するように努力すれば問題は解決するんじゃないか、こう思います。
  41. 受田新吉

    受田委員 郵政大臣大蔵大臣協議して協議ととのわざるときには、どういうことになるのです。
  42. 迫水久常

    迫水国務大臣 それは実行ができないということになりますのですが、ただいま申しましたように予算で大体きまったものがこの主たる内容になってくると思いますから、予算がきまった以上は、協議のととのわないことはまあない。ですからこれは金目に関係する問題であって、金目に関係する問題は予算というところで一応の関門を通ってきますから、話がついて予算ができ上がれば、あとは形式的な一つの問題になってくるんじゃないか。具体的にはこれがあるから非常に困るという事態はまず起こらないと私は思っております。
  43. 受田新吉

    受田委員 まず起こらないと思っても、大蔵大臣ががんこな人であれば、あなたがいかに円満な交渉をされてもまとまらないのです。まとまらないときには仕事ができないということになるのでしょう。そうでしょう。はっきりしてもらいたい。別に協議ととのわざるときは郵政大臣の決するところに従うと書いてないのです。
  44. 迫水久常

    迫水国務大臣 予算の問題がそれでなければ貸借対照表の締めくくりの問題か決算の問題かどっちかですから、大蔵大臣が強情を張ったら、獲得した予算をたてにしてこちらも強情を張るだけのことでありまして、それで私の方が抑えられてどうにもならぬということにはならない。問題はむしろ予算をどう取るかというそこの問題になってくる。この条文それ自身はわれわれとしてはそう痛痒を感じないで、例文のようなものとして考えていいんじゃないか、こう思っております。
  45. 受田新吉

    受田委員 そうじゃないのですよ、これは。従来幾つも例がある。第二十九条の一例を引きますよ。「給与及び退職手当支給基準を定め、」というこの規定、この役員職員に対する給与及び退職手当支給基準をきめる、または変更しようというときに、たとえば理事長以下の役員給与を上薄下厚という線で理事長を十五万円にし、あるいは国務大臣と同じ十八万円にする、そのかわり下級職員を優遇する措置の一つ給与規定を設けたい、こういう案をあなたの方がお出しになられても、大蔵大臣が、いやほかのところはこうなっているから、下の方を上げたら困るのだ、こうやられたならば、はいはいと従わなければ基準はきまりませんね。
  46. 迫水久常

    迫水国務大臣 私はこの給与基準というようなものは、結局予算のときに大蔵省との話し合いがつく問題でございますから、その予算の話のついたものと違う基準を私の方で定めようとしますれば、それは大蔵省は承知しないと思いますが、問題は結局予算という問題だと思います。
  47. 受田新吉

    受田委員 予算の問題でないのです。大蔵省は給与法についてもちゃんとワクをきめていて、理事長を十五万円にしたいといって十五万円になりますか。御答弁願いたい。
  48. 板野學

    板野政府委員 ちょっと事務的なことでございますけれども移行職員とかあるいは先方に行きましての給与基準というものは、すでに大蔵省の給与課とも十分打ち合わせておりますし、また他の事業団とのベースというものが必ずありますので、そう大蔵省も勝手なことを言って、その給与基準を作る場合におきまして、いろいろ向こうからまた申し入れをするということは、めったに私は起こらないというふうに考えておる次第でございます。
  49. 受田新吉

    受田委員 他の公庫、公団、公社等のいわゆる政府関係機関あるいは政府出資の機関、こういうところの役員給与あるいは一般職員給与というものは、全部大蔵大臣のところで承認をとらなければ、——協議しなければいけないという規定がそれぞれの法律に書いてある。ところが今度の事業団というものは、性格が郵便年金とか簡易保険とかいう零細な、とても普通の立場でいったならば大資本家がおられそうにない加入者の人々の、こういう事業を担当する機関ですから、待遇におきましても大衆的な給与法、俸給法を作るべきなんです。だから郵政職員であったときよりは、地域給とか暫定手当とかあるいは超勤とか、こういうものを一括して本俸を高めておく、こういう措置が当然とられなければならぬ。そのかわり役員給与は、大衆的な、大衆を相手にする事業であるから、役員は国務大臣よりも高い給与をとるということではなんだから十八万円で押える。あるいは政務次官と同じ、国会議員と同じ十三万五千円で押える。あなた方大臣給与より高い理事長ができるということになれば、これはやはり郵政省のお声がかりの機関としては問題があると思う。そういうことはしんぼうしなければならぬ。大蔵大臣協議すれば、公庫、公団、公社等は大蔵省の天下り人事で、金を多く出して天下りさせておるのと比較されますから、そういうものと比較しないで、今度の事業団は性格が違うから、上を薄く下を厚くという思い切った措置をとりたいといっても、あなたは大蔵大臣協議される場合におそらく大蔵大臣に完全に縛られますよ、局長そうなんでしょう。
  50. 板野學

    板野政府委員 今度この事業団移行いたします職員は、郵政職員でございます。事業団の俸給給与基準というものは、一般公庫公団と同じような基準ということになりますけれども、実際は現在の郵政職員がそこに移っていくわけでございますので、郵政職員であったときの給与その他との権衡は十分考えて処置いたしたいというふうに思っておる次第でございます。
  51. 迫水久常

    迫水国務大臣 受田さんの御質問は、一般的に公団の役員は、たとえば理事長というようなものは二十万円くらいだけれども、このところでは十八万円なら十八万円、一般職員は、他の公庫、公団等のいろいろなものについては、一つのベースがあるけれども、これは特別なものであるから高いベースを持つようにした方がいい、そういうことを私どもの方が言った場合に大蔵省に押えられるだろうということですが、私は基本的にいって、この一般職員のベースが他の公庫、公団のものよりも特別に高いベースをここに置いたら、これは相当問題ではないかと思うのです。というのは、一つそういう例を開くとほかの方から、どうしてあそこだけ高いのか、特殊な事情があるからといっても、それに右へならえということを主張してくるものですから、私は、その点は他の公団、事業団とほぼ均衡のとれたベースであってしかるべきだと思います。ただ役員を二十万円にするか十八万円にするかということはこれは問題であって、これを二十五万円にすると言うたら大蔵省は抵抗するかもしれぬけれども、十八万円にするということについては大蔵省は抵抗しないのではないか。十八万円にする気があるかどうかということをお聞きになれば、今のところはする気がありますという御返事は私はいたしませんけれども……。でありますから、結局自分勝手な給与基準というものは実際問題としては作れない、やはり他の類似といいますか、他の公庫、公団というようなものとほぼ均衡のとれたものであってほしい、あるべきだ、こう私は思っております。
  52. 受田新吉

    受田委員 他の公庫、公団の職員給与は一定の額で統一されていないのです。みなばらばらになっているのです。これはあなたの方でお調べいただいたらわかる、初任給基準規定などみな違っている。従って特に大衆に接触し、超過勤務なども頻繁にやらなければならないような立場の職員、他の公庫、公団、公社、政府出資その他政府関係機関に勤める一般職員に対して一つの刺激を与える意味においても、ある程度の色をつけたって決して差しつかえない。あまりに極端な色をつけろという意味ではないのですけれども、少なくとも一般的な基準で判断して、一番いい基準に持っていくという配慮をされることは決しておかしいことでないのです。それから総裁とか理事長とか、名称が違っておりますが、公庫、公団、公社等の役員手当も、二十五万円というのもあれば二十二万円というのもあれば二十万円というのもある。いろいろばらばらなんですよ。そういう際に、一つ今度の簡易保険事業役員の手当は国務大臣給与と同額にする、こういう措置をとることはできないことはない。そう言っても大蔵省では、これはやはり総裁、副総裁の規定があるから、一番低い二十万円以下にしてはならないという話になった場合、あなた方は大蔵大臣に従わなければならないのか。一つ思い切って国務大臣と同額にするという措置——値切るというわけではございませんが、二十万円というお話があっても、国務大臣は十八万五千円だそうでありますが、十八万五千円という国務大臣と同額にする措置をおとりになる勇気があるかないか。これがあなたの言明通りになれば、非常に郵政大臣の権威が高まるわけであります。
  53. 迫水久常

    迫水国務大臣 私はいろいろな諸般の情勢を考えて、もし十八万五千円にすることが適当であるという判断になった場合に、それを大蔵省がどうしても二十万円にしろということでありましたから私は二十万円にいたしましたという話は決していたしません。しかし今、私が十八万五千円にすることが適当であるという判断をしておるかというと、それはまた別個の問題でありまして、それはよく研究いたしたいと思います。
  54. 受田新吉

    受田委員 この問題は大事な問題なんです。それは公庫、公団、公社等にも例があるのですが、恩給をもらっておる高級職員が天下りされるわけです。従って、別に高い給与をもらわなくても、恩給の方の額と合計したら相当額になるのです。二十万円に三万、四万の恩給がつくと二十三万、四万になる、こういうことを考えていくならば、せっかくスタートされるこの事業団は、これは郵政省としては初めてですが、国務大臣と同額とするという前例をお聞きになることは、従来大蔵省のツルの一声で給与額がきまった公社、公団、公庫、今後生まれるであろう公社、公団、公庫に一つの刺激になると思う。英断をおふるいになることを希望する。それにおつきになる人はどなたであろうとも、一万円か二万円のことを言われないで、国務大臣と同額のところで、謙虚な気持で努力してもらいたい。新例を開いていただきたい。
  55. 迫水久常

    迫水国務大臣 受田さんのおっしゃるお気持はよくわかります。わかりますが、厚生省所管の事業団理事長は二十万円である、郵政省所管の事業団理事長は十八万五千円であるとなると、どうも厚生大臣の力が強くて郵政大臣は力が弱いじゃないか、大蔵省に押えられたのじゃないかということ言われるのも、これもまた一つの問題であると私は思うのです。そこで問題は、二十万円であるか十八万五千円であるかということ、つまり問題の要点というのは、大蔵大臣に言われたから、大蔵大臣との話し合いがつかないから、どうしても二十万円にしなければならないのか、あるいは十八万五千円にしなければならないのかということでなしに、郵政省がよく考えて、郵政省の考えの通り実行するのかどうかというのが、私は問題だと思います。従いまして、その点については、われわれの方でかりに十八万五千円が適当であると考えたのに、大蔵省がほかとのバランスがあるから二十万円にしろと言って、どうしても承知をしないから、私は二十万円にせざるを得なかったのだということは言わないつもりです。十八万五千円というのが適当かどうかということについては、さらによく研究をいたしたいと思います。
  56. 受田新吉

    受田委員 こうした事業団理事長の給与が、国務大臣より高くなければならぬ理由はどこにあるのですか。それをまずお聞きしましょう。
  57. 迫水久常

    迫水国務大臣 私は、そういうなければならぬという理由はないと思います。
  58. 受田新吉

    受田委員 そうであれば、もう率直にいって、国務大臣と同格とするという原則をはっきりしておかれれば、他の関係機関とバランスをとるためにという——大蔵省の意見はそうなっているのですから、それに従わないで、むしろ謙虚な気持で郵政省は非常にりっぱな、上薄下厚の体系を作ったと国民には満足されるわけです。  もう一つ、私これは法律が通ってしまうと、あとから参考にすることになりますが、資料としてお願いしたいのは、せっかく二十九条のこの規定をお作りになろうとするのに、参考になる政府関係機関政府出資機関等の役員の待遇と、一般職員の初任給と、こういうものの表をお調べになっておられると思いますから、この委員会にお出しを願いたい。そして郵政省が新例を開くという意味で、役員の方がまず謙虚な気持で行くのは、これは今の郵政大臣の御意見と一致するのですから、一つそれをぜひお願いしておきます。  なおここでお尋ねを申し上げておきたいことは、今度の事業団の組織、この組織を拝見しますと、本部と施設と分けておるのでございますが、この施設は現場ということになるわけですか。通常現場に当たるところですか。
  59. 板野學

    板野政府委員 仕事場でございます。
  60. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、この施設関係している従来の職員、これは郵政省職員として、今までやってきていますね。
  61. 板野學

    板野政府委員 その通りでございます。
  62. 受田新吉

    受田委員 その職員が今度事業団職員に切りかえられる。お医者さんなどがみなそれに切りかえられるわけです。そのお医者さんの待遇はどのくらいの案を用意しておられるか、二十九条の腹案を一つ示していただきたい。役員の待遇はお聞きしたのですが、一般職員の初任給をどのくらいにするか、あるいは医師の場合は医療職の待遇に準じた規定を俸給表のものを用いようとされるのか、あるいは特別のものを用意されようとするのか。
  63. 板野學

    板野政府委員 先ほど申し上げましたように、他の事業団の中にもこういう医療職のものが相当ございます。労働福祉事業団、厚生年金関係もございますので、それと権衡を見ながら、きめていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  64. 受田新吉

    受田委員 施設で、将来の計画として、簡易保険の生活会館、成人病センターを考えておられるのですが、これは時期はいつごろ始めていきたいという目標を持っておられるか、及びそれらに対する全国的な配分というものは、一カ所に固まらないで、全国に適当に分散するという方式をお持ちになっているかどうか、お答え願いたいと思います。
  65. 板野學

    板野政府委員 成人病センターあるいは生活会館等につきましては、これをいつごろやったらいいかということは、予算その他とも非常に関係がございまするので、まだいつこれをやるかということにつきましては、別に成案はございません。予算その他の関係を見ながら、特に私どもはこの利用の関係からいたしましても、やはり加入者ホームとか、あるいは保養施設というものを全国的に早く作りたいということを考えておりますので、どうしても最初はそういう方面に力点が置かれるというように考えております。それから、そういうものにつきましては、全国的にできるだけ公平に、加入者の数とかあるいは他の施設設置工合等を見まして、できるだけ公平にこれを考えていきたいというように思っておる次第でございます。
  66. 受田新吉

    受田委員 おしまいに、この診療施設などが中心になって、一般医療体系というものを新しく事業団として考えていくわけでございますが、他の国家的医療施設、そういうものとの関係は、常に密接に考えてやろうとしておられると思いますが、どういう方法をおとりになろうとするか。
  67. 板野學

    板野政府委員 とりあえず、診療施設が二十九カ所でございまするが、これをこれから増設するという考えは私ども持っておりません。ただ農村地帯で医療施設のないようなところの巡回サービス一つ強化していきたいというように考えております。またこういう施設運営につきましては、所管でありまする厚生省とも今後十分に連絡をとっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  68. 受田新吉

    受田委員 今お説の巡回診療班のようなものが、山間僻地、島等、普通医療施設に恵まれていない地域に特に念を入れていただいて、簡易保険の大衆性——山間僻地、島嶼、こういうところに行き届いた、つまり一般の国家施設はそこまでなかなか手が届かぬが、今度の事業団はそういうこまかいところへ、国家施設の行き届かないような山間までも乗り込んで苦労するのだ、こういうところへ貢献をしてもらうならば、この事業団使命は非常に意義があると私は思うのです。そういう特に国家施設の行き届かないところに今度の事業団は大いに力こぶを入れたい、そういう御計画を持っておるのか。
  69. 板野學

    板野政府委員 先生のおっしゃる通りに、私どもはできるだけ無医村、医療施設のないところに力点を置きたい。特にことしの予算におきましては、瀬戸内海におきまする診療艇を三千万円で更改いたしまして、島嶼のすみずみまでも診療が行き渡るようにいたしたい、特に、先生のおっしゃいますように力点を置いてやっていきたいというふうに考えております。
  70. 受田新吉

    受田委員 終わります。
  71. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 この際、原委員にお願いをして御了解を求めたいと思うのでございますが、理事会で御承認を賜わりましたが、大臣は十二時から会議がございまするので、大臣に対する御質問を先にお願いしたいと思います。原茂君。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは大臣のおいでになるうちに三点だけお伺いしますが、やはり十五分くらいかかります。答弁を簡単にしてもらうと非常に早くなります。重複は避けますから。  第一に伺いたいのは、郵便年金からの簡易保険の資金ですが、この資金の中から、きょう、今提案されておりますような、事業団などという利用者に対するサービス業務、こういうような事業というものを、今後もますます範囲を広めていく、サービスを拡大していくというようなお気持があるのかどうか。  そういう質問をする理由を申し上げますと、この資料を見るとわかりますが、一番最後のところに、第九表あるいは第十表ですか、表があるわけです。たとえば十表の「簡易生命保険収入保険料および事業費の比較」があります。この事業費の比較を見ますと、一番下の欄に出ていますけれども、年々それこそ受田委員のあれではございませんが、凋落というのと同じ傾向に、事業費というのが、パーセンテージがぐんと減っている。金額では増減はあるにしましても、事業費に使われている比率というのは、これは顕著に下降線をたどっている。この表からいいますと、郵政省として、いわゆる利用者に対するサービス業務に熱意がない、積極的にできるだけ利用者に対するサービスを拡張していこう、そういう意味の少なくとも熱意が欠けているというようにとれる数字だと思うのですが、あるいはその次の第十二表、これも途中まではいいようですが、三十三年度からは遺憾ながらこれも少し下がりぎみになっている。郵便年金収入事業費の比較において、やはりこれもそういう傾向が出てきている。こう見てきますと、どうもたまたま何かの思いつきで、あるいは多少はやらなければいけないというので、この事業団という今回のようなサービス精神が形に現われてきたんだと思うけれども、全体の傾向としてはどうもそういうサービス精神というものが欠けているように数字の上で見られるんじゃないだろうか、こう思いますから、そういう意味でこれではいけないと御答弁になるにきまっている。そういうつもりではない、熱意はあるんだ、やろうとしているんだ、こうお答えになるにきまっていますから、そこでお伺いしたいのは、一体今後、きょう提案されているようなこの事業団と同じような、ないしはこれに準じたような、いわゆるサービス業務というものを他にも計画しているかどうか。この事業団というものをたまたまここに出してきたのですが、これだけで当分何も考えていないのか、いわゆる事業費を使う事業サービス業務というものを他に何か考えているとか、計画をしているということがあるのかどうか、あるいはそういうふうにしようというお考えがあるのか、あるならばどういうことを計画しているのか、この事業団のほかに何を計画しているのかということをお聞きしたいと思います。
  73. 迫水久常

    迫水国務大臣 簡易保険郵便年金サービスといいますか、事業といいますか、これは事業団に移すのは施設を伴うものでありまして、施設を伴うものは今後事業団にやらせる。そのほか簡易保険では、料理の講習とかラジオ体操とか、いろいろな事業をやっておるのに経費を使っておりますが、こういうものは依然として郵政省がみずからやる立場でございます。施設を伴うものはこの事業団に将来やらして、その部分の経費は出資の形で、財産になるものは出資の形でやるし、経費は交付金の形で事業団に交付していく。従って、事業をやる母体というものはこの事業団以外は考えておりません。
  74. 原茂

    ○原(茂)委員 私の質問の要旨がおわかりになっているかどうか、年々歳々事業費に使う比率が減っている。この傾向でずっと減っていったのでは、数字の上でサービス精神が主張されたと言えないから、もっと今の施設を伴うものは事業団でやる、それはわかるのですが、その事業団業務内容をうんと拡張しようと考えているのか、あるいはこの事業団に準ずるか、他の事業サービスを拡大していく、その結果として郵便年金なり簡易保険の資金とその運用の中における郵政の事業費との比率がずっと上向いていくような結果になるような、そういう考え方があるかどうかということを伺っておきます。
  75. 迫水久常

    迫水国務大臣 原さんの御質問は、保険料に対する事業費の割合というものがだんだん低下しているけれども、これをむしろ上がる程度に事業費を出す意思があるか、こういう御質問のようでありますが、私はこの事業費の率の低下ということは、むしろこれは保険関係としては喜ぶべき傾向だと思っております。従って、これが上がっていく方向にまでさらにこういうサービスを拡大していくかというところまでは、私は考えない方がいいのじゃないかなと思っておるわけですけれども、絶対的な保険収入がふえて参りますししますから、事業に対して出し得る金というものは、この比率が若干下がる傾向でも、絶対額はふえていく可能性は多い。その程度にまあ考えていく方がいいのじゃないかと、事業の全体の経営の見地からいってそう考えております。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 これは、大臣のそういう見解ですが、はっきりしたからそれでいいわけなんですが、少なくともこの種の資金は、資金運用部資金として現在使われている内容に対して、われわれは大きな不満を持っているわけなんです。そういう点から言いますと、せっかくこういう機会ですから、大臣のように現在のようなだんだんに事業費の比率が減っていくけれども金額においては絶対額が多少ふえていくということで、まあまあ今のところはがまんすべきではないかという思想をもう一歩突き破って、やはり零細な資金が集まったものを納めた者、保険にかかっている者、あるいは年金に加入している者に直接サービスできるような機関なり、あるいは先ほど巡回サービス等の話もありましたが、そういうふうにだんだんに減っていくその比率というものを上げながら、もっと積極的にサービスを拡張していくのだという精神は当局全体に私はあってしかるべきだ、そういうことが望ましい、こう考えるわけです。しかし、大臣の答弁で大体の思想はわかったから、私の考え方を申し上げてそういうふうに一つ今後は考え方の方向を改めていくようにできるかどうかが一点と、今、答弁があったように、目下のところどうもこれ以上、今事業団を通じていろいろな事業をやっていくという以外には何も考えていない、こういうことになるのかどうか。
  77. 迫水久常

    迫水国務大臣 簡易保険年金の持つ、何といいますか、サービスといいますか、つまり社会公共に対する寄与というものは、積立金運用という部面もずいぶん大きな問題があるのであります。このところに出ております比率というのは、要するにその年々の経費として落としていく部分でやるサービス部分が出ているわけなんです。まあ経費はできるだけかけない方が契約者の負担はそれだけ軽減するということになるのですが、そこのところのかね合いの問題でございまして、経費が、この事業費の率がどんどん高くして、そうしてサービスを拡大していく方が事業全体として発展を期する上にいいのか、そこいら辺かりに契約者に対してどっちが一体利益になるのか、これはなかなかデリケートな問題でございますが、全体的にいって、事業費率というものはむしろ低下していく方が契約者の負担の軽減になる、こういうような感じを持っているので、従って、こういうようなサービスの規模というもののきめ方というものはなかなかむずかしいところだと思います。しかし、事業の全体の発展のために望ましいということについてはできるだけやりたい、こういう心持はちっとも変わっておりませんで、ただそれを事業費率をもっとどんどん上げてまでやるかどうか。私はやはり事業費率というものはだんだんに低下していく傾向の方が、聖業全体としては喜ばしい傾向ではないかという気持があります。そこで、しかし、原さんのお話でございますし、また実際問題としてサービスを拡大していくことも事業全体のためにいいことでございますので、この比率が大体どの辺にバランスが落ちついていくかということについては、慎重に一つ研究をして、原さんのお気持もよくくみ入れて検討いたしたいと思います。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、他には今この事業団あるいはこれに類するようなものを考えていない、そういうことになるわけですか。
  79. 迫水久常

    迫水国務大臣 もう一つの第二事業団というようなものは考えておりません。
  80. 原茂

    ○原(茂)委員 今大臣の言われた今ここに出ております比率の中の事業費というものは、いわゆる純然たる経費というような考えに内容的になっているかどうか非常に疑問がありますし、時間があればそういう点のいわゆる討議もしなければいけないのです。ここに出ております事業費というものは、いわゆる経営の中における一般管理費に属するような経費あるいは消耗費に属するような経費、こういった意味の、ただ消耗的な経費という意味のものではないだろうと私は思う。まあ事業団に投資されていくようなものを含めた経費だろうと思う。そういうことになれば、何がしかの事業サービスというものを計画したその額が事業費となってここに現われているに違いない。それが拡大されることが、単に消耗経費が拡大していくようなニュアンスで受け取るということのあやまちであることは当然であると思う。そういう点から、私は少しく疑義がありますが、大筋だけはわかりましたから、第一点はそれでよろしいと思います。ただ、私の言った気持をもう少しくみ分けてみて、サービス精神を発動していく、こういう方向にできるだけ持っていくようにしていただきたい。これは運用部資金の使途に関してわれわれは不満を持っているから、こういう点は十分に私どもの意図も考えながら一つ検討を加えていただきたい。  それから二つ目にお伺いしたいのは、これは人事部長がいないとわからないかもしれませんが、今度はおおむね事業団に行く方々は郵政の職員だろうと思うんです。ほとんどが郵政の職員じゃないかと思う。これが出向という形で行くのか、転籍をしてしまうのか、これが第一点。  このような諸君を移されようとするときに、先ほどいろいろな待遇の問題があったのですが、私はもう一点その上にお聞きしたいのは、時期の問題なんです。これはもう管理者の側にも大きな問題になっているだろうと思うんですが、たとえば全体的に郵政の転勤などが発令をされていきますと、その時期というのは、今ちょうど三月なんですが、これは四月、五月、六月なんかに転勤を発令されますと、子供を持っている方はもう学校なんか処置ないんですね。今の学校の状況は、半端なときに転勤なり異動を命ぜられますと、おそらく求めようとしても教科書すら手に入らない。非常に無理をして、学校にあるいは自治体の長に頼んで子供の転入学等をやる。これは普通にはできない。非常に苦労をする。うっかりすると、その子供の学校の事情から、現地に子供だけを残して親だけがとんでもない遠くへ転勤してしまうというようなことが現に行なわれているんです。ですから、事業団が発足して職員が移っていく場合には、そういうことがもう計画として——今国会にこれが成立する見込みが立ったら、おそらく職員の異動に関しては粗案ができているのだろうと思うので、三月から四月にかかる学校の年度変わりの前に一応の内示というか、そういうことをして、四月から五月になっていよいよ本式にきまってから発令をして、子供の転入学に支障を来たすようなことのないような配慮をすべきじゃないかと考えるわけであります。  三番目に、一般の問題ですが、今ちょっと触れましたように、職員なり管理者の側にいたしましても、これからまた毎年、いつか知りませんが、異動が行なわれるのじゃないかと思うんです。その異動が行なわれるのも、ややもすると四月、正月、六月になってから異動の発令が今までは行なわれていたのじゃないかと思うんです。今年もしやるとすれば、その時期にやろうとしているのか、もしそうだとするならば、今言ったことを配慮して、この異動をさせるときには、もう三月のうちには内示をしてやって、そうして必ず行くのだから、あるいは話し合いで了解しなければ行かない人もあるでしょうが、当然その手続をとって、よろしいということに少なくとも三月中には話をきめてやって、学校の転入学等に支障を来たさないような配慮を、全職員に対して通常の問題としても配慮すべきである。この三つを一つ伺いたい。
  81. 迫水久常

    迫水国務大臣 異動の時期の問題、非常に示唆に富んだお話を承ったと思います。実情はどういうふうなのか、事務当局に聞いてみなければよくわかりませんが、今の点、出向であるかどうかということは事務当局からお答えいたさせます。
  82. 板野學

    板野政府委員 第一点でございまするが、郵政省退職いたしまして事業団に移る、しかしながら、また復帰いたしたいという希望がございますれば、そういう方たちについては、また適当な時期には復帰ができる、こういうことになるわけでございます。  それから、これの発足する時期でございまするが、私どもといたしましては、四月、できるだけ早く発足させたいと考えております。  それから、今のこの事業団に参ります場合の、転職していく人のいろいろな準備もございます。従いまして、私どもといたしましては、すでにこの行くときの条件につきましては組合側に提示してございまして、いろいろ打ち合わせしております。  それから、私どももこの法案がこの国会におきましてできるだけ早く御審議を願い、御可決願えれば、これがまた一そうスムーズにいくかというふうに考えておる次第でございます。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 最後の一般職員の転勤、異動の問題ですが、今まで例年おそらく三月にやってないのじゃないだろうかと思うのです。二月、三月にやらないと、学校の年度変わり以降になってやられますと、一般の人は非常に家庭的に困るのです。こういう点は、大臣、今後改められるでしょうか。
  84. 迫水久常

    迫水国務大臣 私、従来の慣例をよく知りませんけれども、まあ比較的地位の低い人はそう遠くに転勤をするということはないのじゃないかと思うのです。従って、今のお話を切実に感じる問題は、管理者の方がむしろ多いと思うのです。地方的には郵便局長の転勤なんかは、なるほどそう言われてみますと、そういうように考えていくように私事務当局にも言ってみたいと思いますが、もっと高級な国会に関係のあるようなところの地位になりますと、どうも国会中の二月、三月中に人をかえるということはなかなか困難な事態もあるのじゃないか。非常に御示唆に富むいい御意見と思いますから、できるだけその転勤によって本人が迷惑をしないように、ことに子供に迷惑をかけないように配慮をするように事務当局に言いたいと思います。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 最後の三つ目ですが聞いておきたいのは、やはり今の職員関係なんですが、ずっと前の委員会でこれは大臣にお尋ねして御意思を聞いておいたんですけれども、今度の事業団に移っていかれる人は、おおむね郵政の職員なんです。原則として郵政の職員をもってこの事業団職員をさせるのだということになるわけですね。ところが、この事業団仕事内容を見ますと、郵政職員でなければいけないという仕事内容ではない。ですから、何も郵政職員をこの事業団職員にする必要はない。というのは、もう思い出しておられると思うのですが、特定郵便局長を任命しようというあの話のときに、原則としては郵政職員をもって局長にするのだ、しかし、いろいろな事情によって職員の中に適当な人がいないときには他から求めることもあるという考え方が正しいのじゃないかと私はあのとき申し上げたら、大臣は、どうもその点がはっきりしなかった。しないどころか、両方どっちでもいいのじゃないかという答弁があったように記憶するのです、そういう言い方ではありませんが。そういう点からいいますと、今度のこの事業団の方がもっと職員でなくてもいいのじゃないかと思います、仕事内容からいって。事業団に郵政職員が行くよりも、むしろ私は郵政職員の中から特定郵便局長に行くことの方が非常にマッチした状態にある。当然だ。だからこの機会大臣にお伺いしたいのは、前回の問題のピリオドを打つ意味ですが、この事業団に郵政職員を移転させていこうと考えるならば、当然特定郵便局長の問題に関しても、原則としては郵政職員をもってこれに充てる、もしいろいろな事情によってその適任者がないときには、他に人を求めることがあるという考え方が正しいと私は思うのですが、この事業団の今回の職員の問題とあわせて、一つ大臣の見解を伺いたい。
  86. 迫水久常

    迫水国務大臣 お話でございますけれども、特定郵便局長の任用の問題と、今回の職員移行の問題とは、これは同じ基礎で議論ができないのじゃないかと思います。というのは、今度の場合は、現に人がそこで働いているのでありますけれども、その事業そのものが民間移行いたしますので、そこに働いている人は廃官になるわけです。ですから、その人をやめさせてしまうということでなくて、その人を連れていく方が両方のためにいいという立場でございます。もちろん今後新しくどこかに老人ホームができるというようなときには、外部から人をとっていく。それも郵政職員の中から移していくのを原則とすることは考えておりません。郵政職員の中から移りたい希望の人があったら、それは身内ですから優先的に考える方がいいと思いますけれども、外部の人もとる。ですから、特定郵便局長の場合とこの場合とは、同じ基礎で議論をすべきではないと思いましてお答えをするわけでありますけれども、特定郵便局長の場合は、せんだっても申し上げました通り、一番大事なのは管理者としての識見と能力でありまして、そして地方的に信用のある人ということが大事だと思いますので、部内、部外を問わず、そういう適格者をとらえるということが基本の方針であってしかるべきだ、私はこう考えております。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 同質のものとは考えないのは常識なんです、内容が違うんですから。しかし、人を動かそうという、あるいは使っていこうとする原則ですね。郵政という一つのかまで飯を食っている仲間の中から、事業団の方には出発の当初郵政職員を充てるんだということをきめておるでしょう。そのきめ方はいいと思う。というのは、適任者があるなら郵政の事業ですから、郵政の中からやろうとするのはかまわない。だから原則として郵政から行くのはよろしい。特定郵便局長だって、その識見と人格等が云々された中で、職員の中を調べてみたらどうも不適格者だ、適格者がいないというときには他に求めるんだ。部内から求めるか、部外から求めるかを全くパラレルに、同時に考えるということはあり得ない。人生のいろいろな事象にも、どんな場所で何を考えても、同時に考えることはない。どっちかが必ず先行するはずです。部内か部外か。あるいは部内が先か部外があとか、同時に二つを考えるなんということはあり得ない。従って、どっちを先に考えるかというと、今回の事業団における職員の異動と同じように、私は特定局長の場合にも、まず部外を先に考えることもあり得ないだろうというなら、当然すなおな気持で言うなら、順序として部内者にいないかなとまず見るだろうと思うのですね。そういうことを言葉に表わせば、原則として部内ということになる。どうも部内に適任者がないときは部外に求める、こういう順序になるのが常識じゃないでしょうか。事業団仕事と特定郵便局仕事を同質のものと私が間違えて議論をしているわけじゃない。いろいろな社会の中で、どんな面においても、私はすなおに考えればこれが常識だと思う。大臣が何か政治的な配慮があって、特定郵便局長を部内から——これが原則だということは絶対に今困るのだ、都合が悪いということなら、その都合の悪い、困る理由でも言えるなら言って、すなおにお前の言うことは常識だと思うけれども、今の郵政当局の立場ではこういう理由でそれが言えない、こう言った方が時間が短くて済むのではないか。そうでないと、いつまでも時間がかかってしまうから、なるべく簡潔に一つお願いいたします。
  88. 迫水久常

    迫水国務大臣 原則としてという言葉は、私が今頭にありますところを表わすのには、必ずしも適当な表現でないと考えておりますので、原さんがせっかく原則としてとおっしゃるのですけれども、その言葉を使わずに答弁をしておるわけです。  現実の事態を申しますと、一つの局について幾人かの候補者がある場合には、郵政監察局におきまして幾つかの問題点についてそれぞれ——はなはだ失礼な話ですけれども、一応評価をいたしまして、その総点がこっちがどう高いというようなことで、みんな相談をしてきめる、こういうことであります。  部内者を原則とするという言葉、それは部内者に適任者を求めてしかる後に部外者にいくということを原則としてとおっしゃるのだと思うものですから、そこで私がいやなわけなんであります。勤務評定が同じだったら、やはり身内は、血は水よりも濃いというので、おそらく部内者の方が優先するのではないでしょうか、そういうような感じが私はしますけれども、それを原則としてと言って原則をきめようとなさるところに、私が必ずしも御満足のいくような答弁をしないわけです。まずこっちで求めてしかる上にこっち、こういうことではないのです。実際候補者みんなに対して同じような立場において勤務評価をしまして、点の同じ場合にはやはり身内の方が先にいくのが人情ではないかなと私は思いますけれども、そこのところをそれが原則という言葉で表わすのが、ちょっと私としては心持の中にありますものを表わす言葉としては適当でないと思いますので、それに対して私が抵抗しておるわけです。
  89. 原茂

    ○原(茂)委員 監察官が採点をするときに、両方一緒に同じ採点をすることはない。やはり郵政の監察官ですから、郵政部内の者に同じ点をつけるにしてもまず先につける、それから部外者につける。順序からいってそうなる。その順序をすなおに言葉に表わすと、まず先が部内者じゃないだろうか。同じように一緒に部内、部外ともに同時に頭でさっとつかんでみたり、監察官が採点しようと考えたりすることは、現実の脳みそがどうなっておるか知りませんが、私の脳みそでは、それはできない。やはり一緒に働いている者を先にやって、それに手をつけて回りにまだいい者がいないかどうかということで、次に部外者に点をつける。順序としてはそうなるだろう。すなおに言うなら必ずそうなるのですよ。一緒になんてということは、大臣がよほど僕らよりもずば抜けた頭脳を持っておるかもしれませんが、普通の郵政監察官はそんなふうにいかない。すなおに言えば、私の言うように多分なる。ところがそういうのを言葉に表わすと、原則として、——まず先には部内者、こう言ってもいいのですが、そこまではどうですか。それはそうだというふうにすなおに言えませんか。まず先に部内者。
  90. 迫水久常

    迫水国務大臣 現実の問題としては、候補者が幾人か申し出があるわけです。自薦、他薦いろいろありまして、郵政監察局にはいろいろな候補者が出ておるわけです。大体候補者について選考をするわけでありまして、その候補に上っておる者が全部だめだというような場合には、また次のほかの人がないかといって探すわけでしょうが、原則という言葉を使うならば、候補としてあがっておる人を原則として第一にする。こういうところならいいのですけれども、候補者の中で部内出身骨は優先的にまず考慮せられるのだというところは、私はそういうことではない方がよいのではないかとやはり思うのです。
  91. 原茂

    ○原(茂)委員 もう少し伺います。  この事業団の場合、今度の職員を全部郵政の職員で充てようと考えておられる。これはもちろん事業内容の質が違うのですけれども、部外者というものをやはり一応候補者というか何かに出してきた者があるのか、全然それは考えないで、郵政職員をもって充てようということを最初に考えたのですか、一応の候補者は部外者にもあったのですか。選んだけれども、部内者が一番いい、こうなったわけですか。
  92. 迫水久常

    迫水国務大臣 ですから、先ほどから特定局長の場合とこの場合とが、同じ、原先生のおすきな言葉を使えば、原則で規制すべき事態ではないということを最初に申し上げたので、この場合は現にそこに働いている人がおる。それは廃官になってやめるわけですね。そういうような事態において同列に判断をすることは私はしない。現にそこにいる人を優先的に使うということは、現にそこにいる人なんですから、郵政部内のたとえば熱海の老人ホーム職員を大分の郵便局員から選考してくるんじゃないのです。熱海にいる人をそのまま本領安堵でこれに置いておこうというのですから、全く特定郵便局長の場合とは違うのじゃないかと思います。この場合には、そこにいる人をそのまま本人の希望があれば使う、本人が希望しない場合には、別にその人は配置転換をしてよそのところで使う、かりに全部希望しない場合には、それはまた別個に考えられるわけですけれども、それはその場所に勤めている人の希望がある。そういうことですから、特定町長の場合とは同じ基準では議論ができない、こう思います。
  93. 原茂

    ○原(茂)委員 そこら辺になると、大臣と私と、さっきから私が質が違うのは当然だと言っているのはそこにあるのですが、今度の場合は、事業団といういわゆる法人格の企業に転身するのです。今までと身分が変わるわけです。少なくとも身分が、今までの郵政職員という身分と全く同じではないのですね。郵政というものと事業団というものは法人格が違う。違うところに、今度はとにかく、本人が希望するしないは別にして変わるのです。特定郵便局において部内から局長を選ぼうとするときに、選ぶということに重点を置くから問題が起きてくるので、少なくとも一般職員から特定郵便局長になろうとする、変わろうとすることだけは同じなんです。その変わり方の質が違う。内容が違う。片方は局長になる、片方は同じようないわゆる待遇、地位であるかもしれないけれども、自分の所属する法人格が変わってくるのです。変わることに間違いないのです。要するに郵政当局が変えようとしていることは間違いない。一般職員から局長に変えようとするのか、あるいは郵政職員であった者を事業団職員に変えようとするのか、大臣が変えようとしていることには間違いがない。変えようとするときには、まず部内者、そこに働いているからという意味もあるでしょう、あるいはほんとうの本省なら本省の中で働いているという意味もあるでしょうが、とにかく部内に働いている者を、何といっても本能的に先に、身分を変えるときでも考えていく。たとえば今度の場合でも、ほかの者でもってほんとうに適任者があるなら変えても差しつかえない。病院を運営しても、老人ホーム運営しても、なかなか黒字にはなっていない。ほんとうに国民へのサービスを考えたときに、この種の事業運営するときには、黒字になるということが第一条件でなければいけない。なかなか黒字はむずかしい。ほとんどが黒字になることはないのです。もっと有能な人間があって、ほんとうに優秀な業務手腕のある者があるかもしれない、ほんとうに管理、指導に適格者であるかどうかという点で事業団職員を求めるならば、また他に求めようがあるし、そういうことが必要だと考えたら、大臣ならできるはずです。またやるべきなんです。原則はその辺にあると私は思う。ですから、そういう前提があって、なおかつ郵政職員だから、他に人を求めようとしないで、まずそこに求めよう、違った法人格の身分に登用していこう、こういうことをまず考えただろうと思う。これはいろいろなことを言ったって、同じことなんです。郵政職員だからそのままにしようと考えたに違いない。特定郵便局の局長も、一般職員から局長になるということは、質は違うけれども、変わることには違いない。その変えようというときには、やはり郵政部内の職員をまず先に頭に浮かべる、まず先にこれを登用しようということを考える。たまたまそこの老人ホームに働いているから、仕方なしにやったというのじゃない。郵政職員ということが大前提にある。今度の事業団も、一緒に働いていたからというので、事業団という名前に変わっても、老人ホームなら老人ホームに今まで働いていた、その内容というものを継続して働かせようと考えたのだが、その考えたときには、郵政職員だということが潜在意識にちゃんとある、だから他を考えようとしなかった、私はそう思う。ですから、特定郵便局長を選ぼう、あるいは昇進しようというときも、部内からということをまず先に——それを原則ということがいけないなら、まず先に部内から、特定郵便局長を選ぶときにも考えていく、そういうふうに、まず先にぐらいは考えてしかるべきだと思う。
  94. 迫水久常

    迫水国務大臣 原先生は、今回のものと特定郵便局長のケースというものを対照しつつお話しになりますが、私は必ずしも全く趣旨が同一とは思いませんけれども、今回の場合をかりに郵便局のケースでこれに似寄った場合を探してみると、従来特定郵便局だったものが普通郵便局に変わった、その普通郵便局の局長を一体どういうふうに選考するかという場合と今回の場合とが、ほぼ似通った場合のように私は思います。従来特定郵便局長であった人がここにおる、しかもその郵便局というのは今度普通郵便局に変わった、その普通郵便局の局長を選考するときに、従来の特定郵便局長を優先的に考えるかどうかということについては、それはもう、その場合にも普通郵便局長を考えるときには、その特定郵便局長というものは全然度外視して一般的に考えていくか、その特定郵便局長が適任者であったらば、それをまあ原則として普通郵便局長に昇格といいますか、変わった場合にそのまま直していくか、こういうようなところと、今度のこの事業団の職長の異動とは同じ——それならまあほぼ同じことだと思う。そういうことだと思いますので、従って、そういうような場合には、従来の特定郵便局長がまず選考の対象に上って、それが普通郵便局長として適当な人だったら、それはそのまま普通郵便局長に優先的にいく、それは私は承認をしてもいいと思いますけれども、今までよその局の局員であった人が新しくできる特定郵便局長になるのと、今まで熱海の老人ホームに働いておった人が、そのままその老人ホーム職員になるのとはまるで違ったケースだから、こっちがこうだからそっちもこうだという理屈は、私はどうも承認できないと思う。若干ケースが違う場合があるかもしれないけれども、特定郵便局が普通郵便局に変わった場合の局長の選考方針については、従来の特定郵便局長を第一に考える、これについては私は確信を持ちます。
  95. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 原さんちょっと御了解を願いたいと思うのですが、実は参議院の方で今社会党のどなたかが御質問をするということで、ぜひよこしてもらいたいと、先ほどから参っておるのですが、もしお差しつかえなかったら、午後本会議散会後また委員会を開きますが、いかがでございましょうか。
  96. 原茂

    ○原(茂)委員 それじゃ一つだけ言っておいて、それでやめます。  大臣は、現実のケースを比較しようとするから、そういう論議が出てくる。私はそうではなくて、比較するならいろいろ比較することがある、ただ、ほかに機会がないから、特定郵便局長というものと、たまたまあなた方が事業団というものを出してきたから、これと比較して、ものの考え方として、郵政職員に対して何かそういうことを考えるときの考え方の順序は同じじゃないか、自分の仲間をまず先に本能的に考えるのはあたりまえだということを強く申し上げたいし、特定郵便局長にも同じことが言えるのだ、局が変わっているから云々とか、場所が変わっているなんということは問題じゃないということを私は言いたかったのですが、これはやむを得ませんから、次の委員会のときに、私のいるときに何かの機会がありましたら、特定郵便局長問題だけはまたもう少し突っ込んで話をお伺いしたいと思いますので、これで終わります。
  97. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 この際お諮りいたしますが、本会議散会後再開いたしたいと思いますので、特に政府委員におかれましては、本会議散会後直ちに、必ず御出席願うようにお願いしておきます。  暫時休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ————◇—————    午後三時八分開議
  98. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 これより再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。森本靖君。
  99. 森本靖

    ○森本委員 先ほど同僚の受田委員もちょっと質問をいたしておりましたが、まず、私は大臣にお聞きしておきたいと思いますことは、今回は、この簡易生命保険郵便年金の福祉事業を行ないまして、加入者サービスをよくしていこうと、こういうのが立法の趣旨でありまして、こういう施設を拡充し、強化をしていくということも、確かに加入者に対するサービスでございますけれども、特に簡易生命保険郵便年金、この二つのうちに、いまだに解決がつかない問題として、郵便年金の問題があるわけであります。これは簡易生命保険についても、先ほど受田委員の言ったようなこともございますけれども、特に郵便年金の問題について、戦時中には、御承知通り郵便年金積立金というものはほとんど戦費に使われたというふうな事情もあるわけでありますが、今日、戦前の郵便年金の受納者が月十円なり二十円なりの郵便年金を受け取っておりまして、当時昭和十年ごろに二千円なり三千円ほうり込んで——そうして当時の二千円なり三千円ということになりますと、家が三軒も四軒も建つというようなものです、自分の家が一軒三百円程度の値段にいたしましても。その当時に千二百円程度全部払い込んだ人が、今は毎月ようやく二十円程度しかもらえないという郵便年金の今の実態であります。簡易生命保険というのは、これは養老保険もありますけれども、実際問題として、その人が万が一病気になってなくなった場合において、家族の生活を保障するという意味もありますので、この問題はしばらくおくといたしましても、郵便年金というものは、老後を安全に送ろう、こういうことで、郵便年金については自分が働いて掛金がかけられるときに、お上がやっておることだから、掛金をかけておいて、老後は郵便年金で安全に暮らそう、こういうことで郵便年金に加入をしたわけであります。今日でも、そういう趣旨郵便年金については郵政省が宣伝しておるわけでありますが、今後物価の問題がどう動いていくかというふうな問題の論議はあとといたしますけれども、とりあえず、戦前のそういうふうな郵便年金加入者で、現在受給資格があってもらっておる者について、何らかの救済措置がないものだろうか。この救済措置をやるということが——こういうふうな福祉事業団をこしらえて施設を行なうというようなことも、事業団そのものについては私たちは反対をしておるわけでありますけれども施設を拡充するということについては、これはいいことでありますので、施設の拡充については私は反対いたしませんが、そういうことをやるよりか、まずこの郵便年金の戦前の加入者の現在受給しておる者について、一つ何らかの改善措置が講ぜられないものであろうか、その点を大臣からお聞きしたい、こう思うわけであります。
  100. 迫水久常

    迫水国務大臣 ただいま森本さんのおっしゃいました点は、私のところにも、極端にいえば一日に一通くらいの割合で、いなかの方から、日本全国各地から、そのことについて訴えが参ります。私、実際それは気の毒だという感じがしますし、またこういうことがあることが、現在の郵便年金の伸び悩みの最大の原因だと思っています。しかし、実際問題として、何らかの救済策を講ずるということは、具体的にいえば、少なくとも物価指数まるまるでなしに、この物価指数の何制かというようなものによってこれを是正して、現在の二十円を百倍にすれば二千円、百五十倍にすれば三千円というふうに払う以外には、救済の方法はないわけなんですけれども、そのためには、過去に運用していたいわゆる郵便年金の本来の原資をもってしては、とうてい不可能でありますので、どこからか余分な原資をつぎ込まなければならぬ、こういうことに相なりまして、一体その原資をつぎ込むゆとりがあるのかということになりますと、これは問題でありますし、もし年金についてそういう処置を講じた場合には、それでは一般の預金についてはどうなるのか。要するにインフレーションの問題について、すべて政府が責任を負わなければならぬというような問題にも関連をしてきますので、現在のところは、ほんとうに気の毒だな、何とかならないものかということは感じますけれども、具体的にその処置がないことになっておりますことは、まことに残念でありますけれども、これはやむを得ない仕儀のように私は思います。
  101. 森本靖

    ○森本委員 これは一般の預金とか、あるいは簡易生命保険とか、一般の生命保険とは、私は意味が違うと思うのであります。これは一般郵便貯金とはだいぶ性格が違うわけでありまして、郵便年金というのは、当時のポスターを持ってきたらわかりますけれども、戦争に協力ができて、さらに老後は安全に送れて、政府がやるもので、確実なものである、こういうことで宣伝をしたはずであります。だから、そういう点を考えてみると、これは一般郵便貯金あるいは生命保険のスライド問題とは、だいぶ違うわけであります。そういう点からいって、おそらく大臣としては、一般会計からこれに投入するということは不可能であるというような言い方をされると思いますけれども、たとえば、この郵便年金なら郵便年金の資金だけを、特別に簡易生命保険と切り離して、その資金運用というものを、一割なら一割という資金運用をやっておったとしたら、現実の問題としては、当然それだけの利益は上がってきておるわけであります。この郵便年金の資金というものは、本来そうすべきものなんです。それを一般簡易生命保険と同様の資金運用をやってきておるから、こういう格好になってきておるわけであります。これはやはりその責任というものは、政府にあると思います。その辺どうですか、大臣、あなたは大蔵官僚の出身だから、そういう点についてはよくわかると思うのですが……。
  102. 迫水久常

    迫水国務大臣 戦前の郵便年金の原資は、十三億しかなかったわけであります。十三億の原資というものをかりに年一割で運用しておったら、現在はもう少し高い配当ができておったはずだと思いますが、当時一割で運用する方法が具体的にあったかどうか。これは高利貸しでもすれば別でありますが、通常のこういうようなものの原資の運用形態では、そんなものはやはりないのじゃないか。そういうようなことで、何割で運用したならばかくかくになるということは、どうもこの際原資をよそから持ってくることを正当化する理由にはならないのじゃないか。気持においては、全く血の出るような手紙が参りますから、私は、おそらく森本さん以上にその手紙に打たれるわけでありまして、数が少なければ、私自身何とかしてやりたいという気持がするわけでありますが、制度の問題としてはどうにもならないのじゃないかと私は思います。
  103. 森本靖

    ○森本委員 参考までに聞いておきますが、事務当局でけっこうでありますが、現在の小額給付をしておるものの契約の総金額は幾らになりますか。
  104. 板野學

    板野政府委員 昭和二十一年九月三十日以前のもの、すなわち三千六百円の年金のものについて申し上げますと、件数にいたしまして九十二万五千八百件、この年金の総額は一億五千九百万円ということになっておる次第でございます。
  105. 森本靖

    ○森本委員 一億五千九百万円ということになると、かりにこれを物価でスライドしていくということになると、年金額としては大体どの程度になりますか。
  106. 板野學

    板野政府委員 物価にスライドいたしますと、約二千二百億見当を必要といたします。
  107. 森本靖

    ○森本委員 二千二百億というのはとうていできぬ話ですが、せめてその中の二十分の一の百億、あるいはその半分の五十億程度でも何とかならないものだろうか。これはほかの問題とだいぶ違うと思います。たといぎりぎり譲って三十億程度でも、ある程度のスライドをするということを、郵政省が本式に交渉したことは、実は今までないと思いますよ。歴代の大臣が、ただいま大臣が言うように、頭からこれはだめだということで、閣議にも、事務次官会議にも、これは一度も出したことはないと思います。その点の経過はどうですか。これを事務当局に聞いておきます。
  108. 板野學

    板野政府委員 仰せの通り、今までそういう交渉なり、申し出をしたことはございません。
  109. 森本靖

    ○森本委員 大臣、あなたは大蔵省の出身ですし、現在は郵政大臣だし、そういう点を考えてみると、私は、二千二百億とか、百億とか、できもしないような非現実的なことは言いませんが、せめて三十億でも五十億でもこれを持ってきて、そうしてこの信用回復をするということが、郵政省としてまず第一の仕事です。これはいわば政府の施策の犠牲なんです。そういう人に対する思いやりということを考えてみると、やはりこの点についてはいま一度じっくり事務当局で検討されて、そうして場合によっては事務次官会議に出す、あるいは郵政大臣が大蔵省と折衝してみる、これはできるできないは別として、一度こういう気になってやってもらいたい、こう思うわけでありますが、どうですか、大臣
  110. 迫水久常

    迫水国務大臣 御承知のように、これは別だと言われるのですけれども、戦争中に私たちは戦時保険というものを強制的にかけさせられまして、家とかそのようなものに対する火災保険をかけましたが、戦時補償の一切の打ち切りによって、そういうものももらえなくなりました。そこで、これは火災があったら戦時保険を払ってやるということでありますから、家が焼けたのですから、これは当然払わなければならない義務があるものであって、それさえ払ってない。そういうようなものとの関連から考えますと、これはインフレの問題をさらにそれにつけ加えていきますなら、当時かりに保険金が二千円だったものは、たとえば今二十万とか五十万とかいうようなことになってくる。すぐそこまでいくような問題でありまして、ことに三十億なら三十億でもいいからと言われるのですけれども、一体三十億という計算をどこから持ち出してきたのかというと、何とか理屈を考えていかなければならない。そういうことになっていくと、役人の立場としてどうですか、なかなか——私も、政治家だからと森本さんに言われるかもしれませんけれども、それをいきなり持ち出して交渉するだけの決心は、私にはちょっとつきかねます。まあよく研究しますという答弁をすれば、これでかんべんしてもらえるということは知っておりますけれども、どうもそういう答弁をする勇気はありません。
  111. 板野學

    板野政府委員 この問題につきましても、私ども、申し出とか何かはいたしませんけれども、いろいろ研究をいたしてきたわけでございまするが、やはり相当多額の経費を必要とするということで、これは私どもも力足らずで申しわけないと思いまするけれども、なかなか困難があるというふうに考えております。それに対しまして、私ども、この年金制度を、先ほど申し上げましたように根本的に改めていきたいというふうに考える次第でございます。
  112. 森本靖

    ○森本委員 あまりこういうことで押し問答したくはありませんけれども、先ほど大臣が言われた保険の問題とは、この郵便年金はだいぶ意味が違うと思うんですよ。年金保険制度と貯金は、これは学問的に体系を見てもらっても、私は根本的に趣旨が違うと思うんです。そういう点からいくとするならば、この問題については、私は、郵政省としてもやはり私のような意見が出てくると思うんですよ。ただ、金がないからやれない、こういうことであって、要は、その金をどうやって生み出すか、こういう問題になってくるわけであります。この福祉事業団事業なんかにしても、将来十カ年なり二十カ年すれば、今の年間七億なり八億のものが、将来になればだんだんこれがふえてくる、こういう計画になっておるわけであります。これも一つの奨励政策としてやっておるわけであります。だから、今からそういう点について検討していくとするならば、今の二千二百億という数字は、その年金契約者に全部年金を支払ってしまったときのことを言っておるわけであります。だから、一年間に支払うというものは、もっと少額になってくるはずであります。今かりに七十の人なら七十の人が死ぬるまであと、十年あったとしますと、それを払う分についての金額は、二千二百億にはならぬと思う。それを、たとえば五十億ということは、それなら一体どこで理由をつけるかということになるとするならば、それは物価がかりに三百六十倍になっておる。本来ならこういうふうにやりたいけれども、資金的にできないから、物価の倍数を下げた、こう言えば一つの理由になるわけであります。だから、そういう点を考えてみると、私は、必ずしもこれは全部が全部不可能であるとは考えられないわけです。その点、大臣、もう少し数字的にも具体的に事務当局に検討させてみて、これならという成案ができれば、大臣が政治折衝を始めたらよろしいわけであって、一応大臣としても事務当局に検討、研究することを、立案方を指示しておいてもらいたい。そうしてそのよき案が出てきたならば、大臣がそれを政治的に判断をして、折衝するなり、これじゃまだだめならだめだ、こういうふうに取り扱ってもらいたい、こう思うわけであります。
  113. 迫水久常

    迫水国務大臣 心持の上では、森本さんのおっしゃる通り、きわめて共感を感じますので、一つ事務当局に、英知をしぼって、何か理屈をつけて、過去の郵便年金を若干でも補正をするような理由と、その方法について、研究するように命じます。
  114. 森本靖

    ○森本委員 それから現在の郵便年金簡易生命保険積立金でありますが、これは同じように処理をしておるわけですか。これは事務当局でけっこうであります。
  115. 板野學

    板野政府委員 この勘定は、簡易生命保険郵便年金は別々の勘定になっておるわけでございまするが、その運用は、これを一本にいたしまして運用いたしておる次第でございます。
  116. 森本靖

    ○森本委員 そうしますと、今の郵便年金積立金は、幾らありますか。
  117. 板野學

    板野政府委員 現在約四十三億円ございます。
  118. 森本靖

    ○森本委員 現在加入しておりますところの、終戦後の郵便年金に加入をした件数は、幾らですか。それからその契約年金額は……。
  119. 板野學

    板野政府委員 件数にいたしまして約三十五万件でございます。金額は——ちょっと数字を持っておりませんので、すぐここではじかせます。
  120. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この簡易生命保険郵便年金積立金運用については、これは現在大蔵省と郵政省とで運用しておるということになるわけですね。それと、これの利回りを一つ御回答願いたい。
  121. 板野學

    板野政府委員 現在、財投のワクに入りまして運用いたしておるわけでございます。その利回りは、約六分ということになります。
  122. 森本靖

    ○森本委員 大臣、これはちょっとこれから先の問題になるわけでありますが、これから先も、今言ったような物価の問題によってこれは出てくるかもわからないわけでありまして、社会党でも政権がとれれば安定をいたしますけれども、今のような自民党内閣がずっと続いておって、今の経済政策をとっておりますと、どんどん物価が上がりますし、いずれにしても物価の値上がりということによって貨幣の価値が変わってくるということは——資本主義が続く限り、物価が下がることは、今までの歴史から考えてみますと、ほとんどないわけでありますから、そういたしますと、いずれにしても貨幣の価値が下がっていくということはいえると思う。そういう場合に、この郵便年金簡易生命保険と同じような積立金として一緒にしておいて、運用を一緒にしてやる方が、確かにめんどうくさくはないし、非常に簡易な方法だけれども、場合によっては、四十三億でありますから、わずかな金額でありますので、郵便年金積立金だけは、大蔵省あたりとも十分折衝して、これを別に運用して、この金だけはもっと利回りのいい運用方法を行なって、たとえば現在の六分五厘とそれとの差は、あるいは経常費その他に使うのは七分なら七分にして、かりにこれが九分なりあるいはその他に回ってくるということになれば、その差だけは将来の問題を見越して積み立てていくとか、何か郵便年金積立金だけは、郵便貯金簡易生命保険と違ったやり方をしていいのではないか。しかも、これは金額は、簡易生命保険あるいは郵便貯金と比べてきわめて少額になっておるわけであります、そういう点は、大臣、どうですか。
  123. 迫水久常

    迫水国務大臣 きわめて御示唆に富んだ御意見と思います。というのは、先ほども、どの先生でしたかの御質問簡易保険局長が答えまして、郵便年金年金額を、物価指数に応じてとは言いませんでしたけれども、その時勢に応じて変えることができるような、そういう年金一つ考える。そういう場合には、資金の運用というものを、物価変動するようなものにつないでおく以外には、道はないわけです。たとえば株を持つとか、あるいは不動産を買っておくとか、そういうようなこと以外には、実は方法がないと思います。従いまして、今変えることができる年金というものを研究するというような場合には、当然今の運用簡易生命保険とは別にして、それは物価の動きにくっついたものに投資をするという格好、あるいは特別有利なものにしてそれを積み立てるという、今御示唆のありましたようなことにしなければできないと思いますから、その点は、今まで私そこまで気がつかなかったわけですけれども、御示唆によって、さっそく熱心に研究いたします。
  124. 森本靖

    ○森本委員 熱心に検討するということで、一応今のところは仕方がありませんが、ただ、物価にスライドするという年金制度を作るということは、口で言うべくしてそれほど簡単なものではないと思うのです。たとえば国民年金のようなやり方をやった場合、掛金がふえていくという形になってくると、これは比較的やりやすいけれども郵便年金のような形をとっておるものをスライドしていくということを初めからきめた郵便年金制度というものについての掛金率その他については、口では言うべくしてなかなかむずかしいと思う。しかし、それはぜひそういう方向で検討願いたいと思いますが、それをやるにいたしましても、何にいたしましても、やはり私がやっておいてもらいたいと思うことは、現在の会計制度、財政制度においても、郵便年金積立金運用については、これを別会計にする、そうしてこの郵便年金積立金運用だけは、現在よりも利回りをよくして、郵政省が全部自主的に運用ができ得る、いわゆる株式投資でも何でも郵政省ができ得るような法律的措置を講じて、かりにその金が余っても、これは郵便年金積立金は、郵便年金の特別会計の中に、いわゆる剰余金あるいは利益金として計算をしていけばいいわけでありますから、これは現在でもできるわけであります。ただ、いかぬと言っておるのは、はっきりいって大蔵省なんです。そんなことをやってもらったら、一元的なことでだめだ、こういうことになる。しかし、そうは言っても、金額が今言ったようにわずかに四十三億程度の金額なら、郵政大臣がまっ正面から、実はこうこうこういう理由でこの問題だけはおれのところはやらなければならぬということで、まじめに大蔵省に折衝し、協議をすれば、とりあえずの措置として、私は、郵便年金積立金運用だけでも切り離せるのではないか、このことを言っておるだけであって、これは将来のことを言っておるわけではない。現実に今できるのではないか、またやった方がよくはないか、こういうことを言っておるわけであります。
  125. 迫水久常

    迫水国務大臣 次から次にいろいろなことを教えられまして、非常に啓発されましたことを感謝いたしますが、さっそく研究をいたします。そういうことをやるために法律が要るか要らないかということも、一つ研究いたします。
  126. 森本靖

    ○森本委員 一つよく検討願いたいと思いますが、これは法律を改正すればできるわけでありまして、その点を十分にお考え願っておきたいと思います。  それからこういう機会でありますので、さらに大臣に申し上げておきたいと思いますが、これは施政方針のときに私の方から聞くべきであったと思いますが、前の国会において、この簡易生命保険積立金運用の拡大に関する法律が出たわけであります。この法律については、当委員会としては満場一致で通っております。そのときに満場一致で付帯決議をつけて、あれはたしか電源開発その他だけだったと思いますが、これをさらに有利に展開するように郵政省としてはもっと検討し、研究をし、またそれができるようにすべきである、こういう意味の付帯決議をつけて通ったわけであります。  当時の小金大臣は、付帯決議を尊重いたしまして、今後——これは恒例でありますが、付帯決議を十分に尊重いたしまして行ないます、こういう答弁をいたしておりますが、私は、この国会あたりにそういう法律案件が出てくるのではないかということを期待しておったわけでありますが、一向に日の目を見ないわけであります。この点については、大臣は、前大臣からどういう引き継ぎを受けて、今の保険局長あたりからどういう報告を受けているわけでありますか。この国会にこういう点については出す、出さないというようなことについても、省議で検討してみたことがありますか。
  127. 迫水久常

    迫水国務大臣 簡易生命保険積立金運用についてできるだけ有利にしようという考え方は、もちろん私も賛成であります。小金大臣からどんな引き継ぎを受けたかということは、ちょっと私具体的に口頭をもって引き継ぎを受けなかったと思いますが、この国会でそういう附帯決議がついていることも、私は承知いたしております。それで、先だってから、市中から金融債を買い入れてみたり、そういうような方向で、できるだけ高く——二銭四厘で買おうと思っていたのですが、とうとう抑えられて二銭にしましたが、今度は少し高く買おうと思っておりますし、努力したいと思います。
  128. 森本靖

    ○森本委員 買ったところが、証券界から反撃を受けて、また足が縮まった格好になっているわけであります。いずれにしましても、それはそれとしまして、現在の法律でもまだまだ手の出ないところがあるわけでありまして、そういう点については、その附帯決議の中に、今後この点についても拡大をし、検討していくことをうたっているわけでありますが、郵政省では、その点についての検討が実はなされていないわけであります。それは保険局あたりで協議されても、どうも今の大臣に出しても怒られるだろうからということで、やめておこうかくらいのことになったのかもしれませんが、正式に省議にはそういう話は出ていないと思います。しかし、院の意思というものはそこにあったわけでありまして、あと大蔵省と郵政省が折衝してみてどうなるか、あるいはそれが閣議でどうなるかは別として、郵政省は一応この前の小金大臣の意思を尊重して、これに対する立案をして、これを閣議に出そう、あるいは大蔵大臣と折衝するという任務が、この国会に対してもあるわけであります。その点が、今の金融債の買った分とは実は違うんですよ。だから、金融債の買ったものは買ったもので後日論議しようと思っておりましたが、今言った融資の範囲をさらに拡大するという点についての大臣の——今までそれはあまりやっていなかったから、一つこの点については、院の意思というものを十分に尊重していただいて、立法的な技術を漸次検討すベきである、こういうことを言っているわけでありますが、大臣、どうですか。
  129. 板野學

    板野政府委員 事務的にお答えを申し上げたいと思いますが、実はこの委員会の決議に基づきまして、私ども鋭意検討して参ったわけでございます。できるだけ有利な方面に一つ拡大をいたしたいということで、たとえば電力事業とかあるいはガス事業、そういうような公益事業に対する社債の購入等についても、検討している次第でございます。  また、余裕金の直接運用の問題、あるいは政令四三〇号に基づきます積立金の返還の問題、あるいは運用法の一部改正の問題等、もし改正いたしますならば、そういう問題もまとめて一つやりたいということで、鋭意検討して参ったわけでございますけれども、まことに申しわけない次第でございますけれども、今国会にはなかなか間に合いかねるという状況になりまして、その点につきましては、大臣にも御報告を申し上げておる次第でございます。
  130. 迫水久常

    迫水国務大臣 引き続きまして鋭意検討して、できるだけ早い機会に御希望に沿うような法律案を出したいと思います。
  131. 森本靖

    ○森本委員 これは一つ大臣も事務当局も両方が一緒になって、大いに御努力を願いたい、こう思うわけであります。これは院の意思がそこにあるわけでありますから、郵政大臣としては、一つも遠慮は要らぬわけであります。ただ、それが具体的にどういうことになるかということについては、またわれわれも意見があるわけでありますけれども、とにかく範囲を拡大する方向の立法、改正ということについては、これは院の意思でありますから、その点を十分に御努力を願いたいと思います。  それでは本論の福祉事業団法についての質問に移っていきたいと思いますが、まずお聞きをしたいことは、この簡易生命保険についても、郵便年金についても、これは法律において、営利事業ではない、余った金ができたならば、すべてこれは還付金として、いわゆる加入者に返すものであるということを明確にうたっておるわけですね。だから、そういう趣旨において、この福祉施設というものを行なってきておるわけであります。この福祉施設についても、これはまだわずかに昭和三十二年に法律が改正されただけでありまして、今までは老人ホームなんというものはなかったわけでありますが、たまたま老人ホームというようなことについては、一般から喜ばれておるということで、かなり拡大をしようという方向できたわけであります。ただ、問題になりますことは、保険を取り扱っております当事者の従業員としては、外勤職については、よく一般民間生命保険と比較をせられるわけですね。民間生命保険の返ってくる金はこうだ、もし済んだらこうだ、そういう比較論を非常にせられるわけであります。何といたしましても、一般加入者というものは、こういう施設を提供してもらうということよりも、実際は掛金がなくなったときにどの程度戻ってくるか、満期になったときにどの程度有利にたって戻ってくるかということによって、簡易生命保険に入るか、民間生命保険に入るかということを判断をするというのが、今日の一般の市中の常識であります。そういう点を考えてみた場合、こういうふうな利益金、剰余金が出た場合、一体これは基本的にすべで還付金として加入者に分配すべきものであるかどうか。そういう剰余金の分配の原則というものは、郵政省としては那辺にこれを立てておるか。そのことをまず聞きたい。
  132. 板野學

    板野政府委員 仰せの通り、もしこの特別会計におきまして剰余金が発生いたしますと、これは分配金に回すべきものであるという規定がございます。ただ、この福祉施設にそういう資金を投入する場合におきましては、これは原則的にはそうでございますけれども郵政大臣は、この簡易保険法の六十八条、年金の四十二条によって、実際は剰余金から出るものでございますけれども、必要なる経費として、そういう福祉施設を行なうことに実質的にはなる次第でございます。従いまして、加入者福祉施設に利用いたします場合には、やはり施設の持つ効果、あるいは投入する経費の多寡ということが、一つ問題でございます。従いまして、効果の点につきましては、福祉施設というものがやはり加入者のためにも役立ちますし、また、事業の募集なり、維持なり、PRにも相当役立つわけでありますから、こういう福祉施設をしたらどうであろうか。しかし、どのくらいの金額を使ったらいいかということになりますと、やはりそこに問題がございますので、一応剰余金の大体五%程度、あるいは収入保険料の一%程度をめどといたしておるわけでございます。このように考えてみますると、たとえば福祉施設に十億円を行使するといたしましても、一件当たりが年二十二円、月二円程度のものにすぎませんので、このくらいのものは福祉施設として投ずる方が、加入者のためにも、事業のPRのためにもいいのではないかというふうに、私ども考えておる次第であります。
  133. 森本靖

    ○森本委員 加入者に対するPRという面でいくとするならば、あなた方がよくつまらぬ浪花節とか、あるいはいたか芝居を連れていって、五十円で簡易保険加入者に見せるというようなことをときどきやっておりますが、そういうことよりかは、これをPRするということでは非常にいいわけだ。いわゆる簡易生命保険の宣伝にするという面からは、奨励政策としてある程度うなずける点があると思う。しかし、これを加入者に対する福祉施設として誇り得るものであるとは、私は考えたくないわけであります。それは例にとってみると、簡保年金契約者がかりに現在四千七百万程度としても、実際の診療所の利用者が五十万人程度だということになるわけでありまして、たとえば加入者ホームについては、全部フルに利用しても、十万人程度しか利用できない。そういうことになると、これは加入者の割からいきますと、わずかに一・二%程度の人が恩恵に浴することである。あとの約九七%から八%の人は、この施設とは全然関係がないということになるわけであって、これを奨励費という面から出すというなら、ある程度うなずけます。しかし、これをどんどん拡大していくことになると、これはまた、当然厚生省所管のいわゆる社会保障関係と、ほとんど対立をした格好になると思う。今日簡易生命保険加入者というものは、国民の割合からいくと相当な割合になっておるわけでありますから、当然衝突をする。おのずからこの施設というものについては、一つの限界があるわけであります。その辺、これをPRする奨励政策として考えておるのか、その方が重点であるのか、あるいはまた加入者に対するサービス、こういう福祉問題として重点的に考えておるのか、いずれか、こういうことであります。
  134. 板野學

    板野政府委員 最初加入者ホームを作る場合におきましては、先ほどお話がございましたように、郵便年金が非常に打撃を受けて、なるべく現物配当式にこういうものを変えていきたいということで、長期のホームにつきましては、年金加入者に対しましてこのホームに入れるという方法をとってきたわけでございます。しかしながら、先生のおっしゃいますように、加入者の数も非常に多うございますので、これが全部利用できるということははなはだ困難なことでございますので、できるだけ利用者を多くするということにつきましては、今後努めたいと思いますが、これはやはり加入者の福祉のためでもございますし、また事業募集、維持の面もございますので、どっちが重いということでなしに、重の両輪のように、二つを合わせまして今後推進をいたしたいというのが、私たちの気持でございます。
  135. 森本靖

    ○森本委員 いや、そういう答弁では——これがどんどん拡充されてくるとしたならば、当然これは厚生省の社会保障関係と衝突をしてくるわけであります。だから、ここでこれに対する明確な基本原則を郵政省は持っておらなければならぬわけであります。  それから、ある一定の限度にいけば、一定限度以上拡大できないと存じます。ある一定限度以上拡大するということになると、厚生省の所管とも対立をする格好になることは当然であります。これは日本の狭い国土で、限られた一つの人員の中においてこれをやっていくということになれば、これの拡張というものは、むやみやたらにどんどん将来まで拡張せられていく性格のものではないと、私は思っておる。だから、その点を一つ明確に今後できるような、理論的な研究というものを郵政省がやっておかなければ、ほんとうにこれは専門家にやられたら、相当理論的に困るんじゃないかと私は思うのです。しかし、事業でありまするから、その事業に対する宣伝、PRというものは当然やらなければならぬわけです。そういう意味においては、これは非常に価値があるわけであります。しかし、実際の利用者というものは、老人ホームに申し込んでもなかなか入れぬというのが現状であります。そうかいって、それなら老人ホームを全国的にどんどん作れるかといえば、今の状態ではとうてい作り得ない、ここにくるわけであります。だから、保険局長が言っておりますように、これはPR用と福祉施設と両建でございますということは、今のところは答弁ができるけれども、あともう十年もすれば、そんな答弁では通らぬことになる。だから、今だけよかったらいいということではなしに、もっとしっかりした理論的な体系というものを、やはり郵政省は持たなければならぬのじゃないか、こういう点を私は言っておるわけでございまして、別に因らそうという意味質問じゃありませんので、これ以上の追及はしませんけれども、そういう郵政省というものの理論を私はぜひ確立をしておいてもらいたい。今の保険局長の答弁は、今の時代においてはそれで通る。しかし、将来恒久的な情勢をながめた場合は、そのような答弁では私は通らぬ時期がくると思う。その点を一つ十分に郵政省としてはお考え願っておきたい、こう思うわけであります。  それからついでに聞いておきますが、この五%というのは、どこにこの根拠があるわけでありますか。
  136. 板野學

    板野政府委員 民間の生命保険におきましては、大体剰余金の五%程度は重役賞与あるいはこういう福祉施設に使ってもよろしいという定款がございます。またこれはニューヨーク州の保険監督法でございますけれども収入保険料の大体一%程度は、この福祉関係に使ってもいいという規定がございまして、私どもも、大体どの程度これは使い得るかということにつきまして、いろいろ検討はしてみましたけれども、やはり見当としては、その程度がいいんじゃないか。先ほどおっしゃいましたように、配当金という問題もございまするので、一応五%以内ということにめどをつけておる次第でございます。
  137. 森本靖

    ○森本委員 その問題についても、これは大臣、外国のまねはあまりしてはいかぬのですよ。実を申しますと、外国には、大体簡易生命保険というものはあまりないわけでありますから。そこで日本の場合は、せっかく簡易生命保険というものが国営をしておるという一つの特色があるわけであります。なぜ簡易生命保険というものを国営でやらなければならぬかということは、簡易生命保険法の第一条と第二条に明確に出てきておるわけであります。その特色を生かさなければ、簡易生命保険郵便年金というものを郵政省が、国家がやる、その必要がない。民間生命保険だけでけっこうだ、こういうことになるわけであります。今言ったような五%の基準についても、私は、もっと郵政省としては研究すべきじゃないか。一般保険がこうでございますから、これに見ならいましたということではなしに、やはり郵政省としての、国営としての簡易保険のあり方からいくとするならばこうでございますというようなことも、一つ私は勉強が必要ではないかというような気がしますけれども、これも一つおざなりに聞くのでなしに、あとで速記録を十分局議あたりで読んでみて、いいことはどんどん検討するということにぜひやってもらいたい、こう思うわけでありますが、局長に重ねてもう一度答弁を要求しておきます。
  138. 板野學

    板野政府委員 先生のおっしゃいますこと、まことにごもっともでございまするので、さらに今後十分に検討を行ないたいと思います。
  139. 森本靖

    ○森本委員 現在まで、簡易保険局が国営としてこういう施設をやっておったわけでありまするが、今回は福祉事業団に移した、こういうことになってくるわけであります。これは要するに、大臣はこの事業団法の提案理由の説明の中で、こういう事業団を設立して、福祉施設設置及び運営を行なわせることが適切な措置であると考える、こういううまいことを言っているわけでありますが、大臣が考えておりますこの適切な措置というのは、一体これはどういう意味になるわけですか。——大臣が説明しておるのだから、大臣答弁して下さい。
  140. 板野學

    板野政府委員 私からちょっと事務的に一つお答えさせていただきたいと思います。  第一点といたしましては、予算の機動性といいますか、弾力性がこれから生まれてくるということでございます。福祉施設設置及び運営につきましては、現在財政法とかあるいは会計法の適用を受けておりまするので、予算の執行、すなわち経費の使用にあたりましては、やはり機動性、弾力性が欠けておるわけでございます。  その一点は、予算移用流用の問題でございますが、これが官としてはできないのでございますけれども事業団ならば、郵政大臣指定によりまして、これが自主的に行ない得るという利点がございます。  第二といたしましては、診療所等には、会計機関として資金前渡官吏は配置してございますけれども、これに対しましては、一定の金額しか渡されない。すなわち交付金が二十万円に制限されておりまする結果、一つホームで年間一千万円も経費が要るという場合におきましては、これは何十回にわたってそれを分割してやらなくてはならぬというような、予算執行上の不利な面があるわけでございます。  また、第二点といたしましては、福祉施設関係の会計の明確化ということでございまして、福祉施設運営に要しまする経費は、現在簡保会計から郵政事業特別会計に繰り入れまして、郵便貯金保険等の事業と総合的に運営されておるわけでございます。ために、利用者の増加によりまする利用料収入の増加、あるいは経費節減という経営上の努力を収支の上に反映さすということが、なかなか困難な状況でございますので、こういう会計制度の面につきましても、はっきり簡保会計から事業団に出資されますれば、その経理が明確化され、有効適切なる経営方式をとることができるというふうに考えております。  それから三番目には、施設の建設上の問題でありますけれども、ざっくばらんに申し上げますと、すでに今まで予算上成立いたしておりまするホームの建設が、まだ相当残っておるわけでございますけれども、これがなかなか建設がうまくいかない。これはもちろん省側の予算なりあるいは定員の措置ということもございますけれども、やはりこれは事実問題といたしまして、事業団に移りますれば、これも一年内にできてしまうというような利点がございます。  また、第四番目には、要員確保の問題でございますが、福祉施設が今後増設されまする場合には、これがもし郵政省にございますというと、行政機構の拡充と申しますか、定員の確保の部面ということが、この事業がそういうような仕事であるばかりに、なかなか困難でございますけれども事業団になれば、事業団自身の施設に要する要員を、経費として見込んでこれを確保することができるということでございます。  第五点といたしましては、管理面におきまして責任ある体制がとられる。もちろん、現在におきましても、郵政大臣を初め保険局長が責任を持ってやるわけでございまするが、ほかにも重要ないろいろな問題もございまして、やはりここに事業団を作って、理事長を頂点といたしまして責任ある組織を作りますれば、さらにこれがうまくいくのじゃないかというふうに考えております。現に、社会保障のいろいろな施設を見てみますと、労災保険につきましては、労働福祉事業団がございます。また、失業保険につきましては、雇用促進事業団がございます。また、厚生年金につきましては、厚生団がございますし、国民年金、船員保険、厚生年金につきましては、年金福祉事業団を作りまして、責任ある体制のもとに、より能率的にやっていっておる、こういう実情でございます。
  141. 森本靖

    ○森本委員 それは用意した答弁ですから、今のようになかなかすらすらとできますけれども、あとの八割ぐらいまではあとからつけ足した理由でありまして、それは確かに予算移用流用ができて弾力性ができるという、この点は私は認めます。しかし、会計制度その他については、郵便貯金だってこれは一緒であります。それから定員の問題についても、これは予算が取れれば雇えるわけでありますから、今定員法において郵政省は縛られているわけじゃございません。確かに予算移用流用ができるという一点だけは、これが一つの大きな収獲であるということは私は認めますが、それ以外の、あとから局長がずうっと説明せられたことは、何かいい理由はないかということで、あとから事務当局がこしらえた理由だろうと思う。まあそれはしいて理屈——何の理屈にも三分の理があるといいますから、あなたが今答弁せられた理屈にも、それは相当理屈はあると思いますけれども、どうしてもこれを事業団にしなければならぬという理由は、今の答弁では、第一項目目の予算移用流用という点だけである。ほかはそう大したことはない。事業団になったからといって、経費がすべて倍額ふえるとか、あるいはまた収入がふえるとか、施設が急激に拡充強化せられるということは、まずないと思うのであります。  その点でちょっと聞いておきたいと思いますのは、この事業団の三十七年度予算内容というものを簡単に、大きな項目だけちょっと言ってもらいたい。
  142. 板野學

    板野政府委員 三十七年度予算におきましては、いわゆる出資金、建設費等が、四億三千八百万円でございます。それから交付金運営に要する経費が、四億四千二百万円でございます。それで事業収入といたしましては四千九百五十万九千円、合計いたしまして九億二千九百五十万九千円を見込んでおります。
  143. 森本靖

    ○森本委員 それから現物出資の評価額は、全部でどの程度になりますか。
  144. 板野學

    板野政府委員 今回出資いたします現物の出資は、約七億四千万円でございます。
  145. 森本靖

    ○森本委員 七億四千万円というのは、現在のもの全部でですか。
  146. 板野學

    板野政府委員 診療所が約二十九カ所でございます。その中には、土地とか建物、あるいは出資しないものいろいろまじっております。それから加入者ホームといたしましては、熱海小樽と別府と三カ所でございます。当初和倉を予定しておりましたけれども、和倉は五月に延びるようでありますので、三カ所を予定いたしまして、その現物出資の総額が、先ほど申し上げましたように、大体七億四千万円程度ということでございます。
  147. 森本靖

    ○森本委員 それでは診療船なんかは、どの程度に評価しておりますか。
  148. 板野學

    板野政府委員 四百九十六万円と記憶いたしております。
  149. 森本靖

    ○森本委員 評価額ですが、たとえば一番早い熱海ホームと別府のホームは、どの程度に評価していますか。これは自分で見ておりますから、すぐわかりますが……。
  150. 板野學

    板野政府委員 熱海ホームが、約一億八千五百万円でございます。別府が一億一千三百万円でございます。小樽が一億一千八百万円でございます。  それから先ほどのをちょっと訂正をいたしますが、船は減価償却をいたしておりますので、九十八万円ということになります。
  151. 森本靖

    ○森本委員 この評価の金額は、評価はいつの現在で評価しているわけですか。
  152. 板野學

    板野政府委員 この前再評価いたしましたので、昨年のいわゆる再評価いたしましたときの帳簿価格の評価額によっておるわけであります。
  153. 森本靖

    ○森本委員 ちょっとこの評価額についても何でありますが、あとからこれは資料でその明細を出していただけませんか。
  154. 板野學

    板野政府委員 よろしゅうございます。
  155. 森本靖

    ○森本委員 それからこの三十七年度に新しい計画はありますか。この九億の中に……。
  156. 板野學

    板野政府委員 三十七年度の支出といたしましては、第九次のホーム土地、建物が、一億二千三百万円成立いたしております。それから第十次のホームにつきましては、土地だけ五千万円成立いたしております。それから保養センターといたしましては、第三次の保養センターが、土地だけ四千万円成立いたしております。あとは熱海小樽増改築、それから小新営の経費でございます。
  157. 森本靖

    ○森本委員 それでは一応この条項を追って、私は聞いてみたいと思います。  まず第三条でありますが、三条の「事業団は、主たる事務所を東京都に置く。」こういうことになっておりますが、これは郵政省の中に置くのですか。
  158. 板野學

    板野政府委員 ただいまのところ、四谷の郵便局を予定いたしております。
  159. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、これはやはり借料を取って貸すわけですか。
  160. 板野學

    板野政府委員 その通りでございます。
  161. 森本靖

    ○森本委員 それでは、「事業団は、郵政大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。」ということになっておりますが、大体どういうところに事務所ができるわけですか。
  162. 板野學

    板野政府委員 現在その予定はございませんけれども施設相当できて参りますと、たとえば大阪方面におきましては、和歌山なり、そのほかに相当できて参りますれば、そういう施設の多いところから従たる事務所を置いていきたいというふうに考えております。
  163. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、三十七年度には従たる事務所は置かないわけですか。
  164. 板野學

    板野政府委員 そのように考えております。
  165. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この職員でありまするが、あなたの方の資料から見ますと、理事長、理事、監事、こういうことになっておりますが、これはまあいいわけでありますが、本部それから施設ということで、本部に三十四名と、こういうことになっておるわけでありますが、これについては理事の下には、このあなたの方の資料では部長を理事が兼任をする、こういうことになっておると思いますが、その場合、部はこれ三つしかないわけでありますが、そういたしますと、兼任をする理事が二人と、あとは無任所の理事、こういうことになるわけですか。
  166. 板野學

    板野政府委員 部は二つを予定しておりまするので、理事の三人のうち一人が、総括理事的な役をすることになります。
  167. 森本靖

    ○森本委員 それからその部長の下に課が四つあるわけでありますが、これは課長、それからそういう職制はどういうふうになってくるわけでありますか。
  168. 板野學

    板野政府委員 大体総務部と事業部を予定しておりまして、総務部には総務課、会計課、事業部には事業課、施設課、総務課におきましては、庶務、厚生、労働を所管いたし、会計課におきましては、予算、決算、物品、事業課におきましては、施設設置計画なり、運営を所管いたし、施設課におきましては、財産管理、あるいは工事をするというような予定にいたしておる次第でございます。
  169. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、これは職制としてはいわゆる部ということになりますが、あなたの方の説明の中にあります——私はその前に、これは人事部長に言うておきたいと思ったけれども、人事部長が来ておりませんので、大臣に言っておきますが、実は、きのうになって、これだけの膨大な重要な資料というものを正式に委員会にくれたわけであります。ところが、一番大事な俸給とか、職位とか、すべての内容がこれに網羅せられておるわけであります。これによって、今度の事業団の全貌というものがようやく明らかになるわけであります。これはきのう要求いたしましたので早急に作ったと思いますが、本来なら、こういうものは早く郵政省の中において十分に協議をして、委員にはさっと配れる、こういう態勢を今後ぜひとってもらいたい。大臣、委員会でそういうことがあったということを人事部長にもよくお伝え願っておきたい、こう思うわけであります。  この中で見てみますと、「上席参事、参事、副参事、技師、主事、主任、事務員」、こういうふうになっておりますが、これはやはりこの通り置くわけでありますか。
  170. 板野學

    板野政府委員 大体そのように予定をしております。
  171. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この簡易保険診療所、加入者ホームとかいうものは、それぞれ所長というものができると思いますが、その所長クラスというのは、この職名でいくと、どの辺のクラスになるわけですか。
  172. 板野學

    板野政府委員 その勤務年限等にもよりまするけれども、大体参事なりあるいは副参事になるというように考えております。
  173. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、この課長は何になりますか。
  174. 板野學

    板野政府委員 課長は参事でございます。
  175. 森本靖

    ○森本委員 それなら、上席参事というのは何ですか。
  176. 板野學

    板野政府委員 特にこの本部の部長は、ただいまのところ理事が兼任でございまするけれども、将来定員等がとれますれば、専任の部長を置きたい。そういうような場合におきましては、部長は上席参事ということになるわけでございます。その他、今後大きな福祉施設ができますれば、この長はやはり上席参事になるというふうに考えておる次第でございます。
  177. 森本靖

    ○森本委員 それではもとへ返りまして、条項の次へいきたいと思いますが、第八条の「事業団に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。」こういうことになっておりますが、これは将来ふやそうというような意思があるかどうか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  178. 板野學

    板野政府委員 どんどん施設が拡充されていきますると、この役員では足らなくなると思いまするので、将来はこれをふやしていきたいというふうに考えております。
  179. 森本靖

    ○森本委員 その場合、一つ資料として、この事業団の十カ年の計画を——今できておる計画は、どの程度ですか。何カ年先のものですか。
  180. 板野學

    板野政府委員 大体十カ年計画を一応作っておる次第でございます。
  181. 森本靖

    ○森本委員 その十カ年計画を一応資料として一つ御提出を願いたいと思います。
  182. 板野學

    板野政府委員 よろしゅうございます。
  183. 森本靖

    ○森本委員 それから第十一条の役員の任期と十条の理事理事長及び監事ということになるわけでございますが、要するに、事業団の会計監査というものは、この監事が全部責任を持つわけでありますか。
  184. 板野學

    板野政府委員 その通りでございます。
  185. 森本靖

    ○森本委員 これはあとの条項に出て参りますけれども、それは郵政省の監察官がこれを監察するということはないわけですね。
  186. 板野學

    板野政府委員 ございません。
  187. 森本靖

    ○森本委員 これはこういう小さな事業団で、この監査方法はいかがかと思うわけでありますが、その辺、局長、こういう内輪の監査において自信がありますか。たとえば現在郵政省が監察を受けておるものは、部内に会計検査がある。さらに監察局がある。さらに会計検査院がある。この三つの大きな監査を日常受けておりながらも、決算委員会においては、郵政省の事故が比較的多い。これは特に現金を取り扱う関係がありますから、多いわけであります。これは現金を取り扱う率は少ないけれども、収支の問題が多い施設であります。そういうふうな施設において、事故が起こってから言っても始まらぬのでありまして、この監査方法というものは、私は何か不安定なものがありはしないかというふうな気がしてならないわけでありますが、その点、自信がおありですか。
  188. 板野學

    板野政府委員 法律の第二十三条におきましては、事業団は、毎事業年度財産目録貸借対照表損益計算書というものを作成しまして、郵政大臣に提出して、その承認を受けるということにもなっております。また、その第二項におきましては、決算報告書、財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添附しなければならないということになりまして、提出がございますれば、関係機関におきまして、これをよく対査をいたすわけであります。また、郵政大臣は、その監督を発動いたしまして、いろいろな報告を求めることもできますし、検査もできることになっております。また、検査院におきましても、この会計を検査するということになっておりますし、(森本委員「条項はどこにある」と呼ぶ)これは会計検査院法二十二条五号によりまして、事業団に対しては検査院が検査をするということになっております。またこの法律の附則の二十一条におきまして、行政管理庁もまたこれに対する、これは業務上でありますけれども、検査をするということになっておりまして、そういう面におきましても、万全を期してやるつもりでございます。
  189. 森本靖

    ○森本委員 行政管理庁の場合はこれは普通でありますが、会計検査院というものは、どの条項ですか。この条項にどこか出てくるわけですか。
  190. 板野學

    板野政府委員 会計検査院法の第二十二条第五号によりまして、「国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計」が検査の対象になっておる次第でございまして、検査院法によって当然検査を受けるわけでございます。
  191. 森本靖

    ○森本委員 そういうことであるとするならば、これはいいわけでありますが、ただ、私はここでちょっと聞いておきたいと思いますのは、第三十二条の「郵政大臣は、」云々という項がありますが、これは郵政監察とかいうことをさしておるわけじゃないのですか。三十二条の一項です。
  192. 板野學

    板野政府委員 これは直接に郵政省におきまして、たとえば保険局でこのいろいろな福祉事業団関係仕事もいたすわけでございますので、その機関を通じまして、立ち入り検査なり、あるいは帳簿書類その他必要な検査をするという趣旨でございます。
  193. 森本靖

    ○森本委員 これはしかし、かりに監察官を派遣して監査をするということは、この条項においてやろうと思えばできるでしょう。これは将来問題になりますから、私ははっきりしておきたいと思うのです。
  194. 板野學

    板野政府委員 監察官は、郵政事業につきまして監察をするということになっておりまして、これはすでに事業団にまかせてしまった仕事でございますので、郵政事業ではないということになりますので、監察ではこれはできないというようになっております。
  195. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、これは郵政省なら郵政省保険部なら保険部でやる、こういうことですか。
  196. 板野學

    板野政府委員 設置法の改正によりまして、保険局でこれをやる、こういうことになる次第でございます。
  197. 森本靖

    ○森本委員 だから、保険局でありますから、地方の場合には、郵政局の保険部がやるわけですか。
  198. 板野學

    板野政府委員 そういう場合もございます。
  199. 森本靖

    ○森本委員 それからこの「役員の任期は、三年とする。」というのは、おそらく他の公団と同様で三年にしたと思いますが、これより長い事業団、それから短い事業団というのは、どういう例がありますか。
  200. 板野學

    板野政府委員 大体四年としておるところも相当ございますが、日本蚕繭事業団、石炭鉱業合理化事業団、畜産振興事業団につきましては、三年といたしております。
  201. 森本靖

    ○森本委員 「理事は、理事長が郵政大臣の認可を受けて任命する。」「理事長及び監事は、郵政大臣任命する。」こういうことでありますが、きのうの大臣の答弁を聞いておりますと、こういうものをもし官僚がやる場合には、すべて反省期間を与えてそれから任命する、こういうことを言われたのでありますが、これはその通り確認しておいていいわけですか。
  202. 迫水久常

    迫水国務大臣 私は、きのう申し上げた通りをここで確認いたします。
  203. 森本靖

    ○森本委員 そうしますと、やはりこれは一応現職を退いて、最低一年程度は閑職におって、こういうことになるわけですね。もう一ぺんよく確認をしておいて下さいよ、これは大事な点でありますので。たとえば現在相当年令のいった郵政局の局長がおる。あるいは本省の何々部長がおる。もう国会も終わったし、この際人事を刷新すべきである。ちょうど事業団ができた。お前はあすこへ行け。お前はもうやめろ。こういうことは、今までやってきた例なんです。しかし、大臣のきのうの答弁の趣旨を聞いておると、それはやらない、こういうことになるわけでありますから、かりにこの理事なり理事長になる人は、最低一年程度は反省期間がなければならぬ。こういうことになろうと思いますが、その点どうですか。
  204. 迫水久常

    迫水国務大臣 どういうところで一年ということを森本さんが言われるのかわかりませんけれども、一日とか二日というのは、期間ではない。ですから、期間と称し得る程度のものであります。
  205. 森本靖

    ○森本委員 大臣大臣の発言に対しては、異常な関心を持っておる連中がなかなか多いのですよ。だから、はっきりしておいてやらぬと、場合によっては非常に動揺すると思うのです。おれももう言われるのじゃないかというのが、全国にだいぶおるのです、郵政監察局長と郵政局長が二十人おるわけですから。私が特に聞いておきたいと思うのは、そういう反省期間を与えるということは、大体一年程度か、こう言ったわけでありますが、そうでないとするならば、最低三カ月程度置かなければならぬとか、その程度の目安というものは、どの辺に置いておるか、こういうことですよ。
  206. 迫水久常

    迫水国務大臣 いやしくも郵政省の人事を疎通する道具として、この事業団役員を使う気はありません。事業団役員として適当であるかどうか、こういう方から判断をいたしていくのでありまして、いわゆる期間というものは、三カ月とか、二カ月とか、そこで切らなくてもいいのじゃないかと私は思っております。
  207. 森本靖

    ○森本委員 人事の道具に使うということはない、それは当然のことであります。大臣は当然のことを言ったわけであります。ただしかし、この人は適任であると思われたときに、お前は事業団に適任であるからあそこへ行ったらどうかと言うのと、お前やめろと言うのとは、これは言葉の言い回しが違うだけであって、現実には同じことになる。大臣がああいうことを言わなければよかったけれども、きのう反省期間を与える云々ということを言うから、やはりその辺が一つの問題になるわけであって、その辺のことをもう少しはっきりしておいてもらいたい、こういうことです。
  208. 迫水久常

    迫水国務大臣 私は、きのうは大将という言葉を使ったわけです。この事業団の大将になるような人は、というような言葉を言って、理事長ということを頭に置きながら、問答も理事長の話のように私は理解しつつ話をしました。理事長はそういうことですけれども、きょうの森本さんの御質問は、およそ役員全部についてでありますので、従って、期間ということについても、おのずからそこに長短あり、こういうことになります。
  209. 森本靖

    ○森本委員 それともう一つ私は大臣に聞いておきたいと思いますことは、こういう理事長、理事、監事というふうな高級役員については、単に本省の局長をやっておったとか、あるいは郵政局の局長をやっておったとかいう経歴だけでなしに、広く人材を求めるということを考えるならば、たとえば今の郵政弘済会なんかは、郵政省職員として三十年も勤続をしておったという人が、理事として、一般の郵政局長をやっておったとか、本省の局長をやっておったという人と、けっこう肩を並べて仕事をしておるわけであります。だから、こういう場合に、私は高級官僚のみをとるという原則は、一つこの際払拭をしてもらいたい。やはり人材を適材適所からとる。その場合は、かりに労働組合をやっておろうが、あるいはまた職員として長いことやっておろうが、高級官僚じゃなくとも、そういういい人がおれば、適材適所からとる、こういう方針をとってもらいたい、こう思うわけでありますが、この点について大臣の見解を聞いておきたいと思う。
  210. 迫水久常

    迫水国務大臣 私は、役員は管理者でありますので、管理者としての識見才能を備えた者であれば、高級官僚であろうとなかろうと、そういうことにはかまわず、適材を適所から採用したいと思います。
  211. 森本靖

    ○森本委員 そのことは、よく大臣も今後しかと胸の中と頭の中に置いておいてもらいたいということを、私は強く言っておきます。  次に、第十九条の第二号でありますが、二号に「前号に掲げる業務に附帯する業務を行なうこと。」とありますが、これはどういう意味ですか。
  212. 板野學

    板野政府委員 たとえばこの施設内に売店を置くというような場合を想定いたしておるわけであります。
  213. 森本靖

    ○森本委員 そういう附帯業務については、これはやはり郵政大臣の監督下に出てくるわけでありますか。
  214. 板野學

    板野政府委員 これは事業団で行ない得る業務でございますので、当然業務方法書等にやはり書かれるわけでございますので、大臣の認可ということが要ると思います。
  215. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、「前号に掲げる業務に附帯する業務を行なう」ということは、これは明らかに大臣認可事項である、こういうことですか。
  216. 板野學

    板野政府委員 まことに申しわけありませんが、ちょっと間違いました。これは事業団が、この法律の二号によりまして自由にできるということでございます。
  217. 森本靖

    ○森本委員 もしそういうことであるとすれば、いま少しその附帯業務の種類と内容を言ってくれませんか。
  218. 板野學

    板野政府委員 たとえば施設を利用いたしまして、そこで一つの会合を開くるというような場合も考えられるとか、また、夏季の施設を置くとか、冬季の施設をちょっと短期間に山や海に置くというような場合も、考えられるわけでございます。
  219. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、そういう場合の権限は、郵政大臣じゃなしに、事業団でありますから、郵政大臣としての、福祉施設運営を行なう、監督をするという責任は、この附帯業務についてはない、こういうことになりますか。
  220. 板野學

    板野政府委員 もしそういうような附帯業務に属する業務が不適切であるというような点までになりますというと、この大臣の監督権限に基づきまして、これに注意を与える、あるいはやめさせるというようなことも、可能であると思います。
  221. 森本靖

    ○森本委員 私が聞いておるのは、この附帯業務というのは——法律でありますから、解釈を明らかにしておかぬといけない。こういうものは、事業団が全責任を持ってやることであって、その起きたことの責任に対しては、郵政大臣としては一切監督上の責任はない、こういうことになるわけでありますか。
  222. 板野學

    板野政府委員 この法律第三十一条におきまして、「この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」ということでございますので、そういう場合には、郵政大臣が、これは必要な監督命令を出すことができるというふうに私ども考えております。
  223. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この附帯業務郵政大臣の監督と権限下になる、こういうことですか。
  224. 板野學

    板野政府委員 先生のおっしゃる通りでございます。ただ、実際の業務を行ないますのは事業団でございますから、一応事業団が責任を持ってやりますけれども、それが不適切であるということになりますというと、郵政大臣は監視権というものもございますので、あるいは指揮権というようなものもこの三十一条から発しますので、強制をすることができるというように考えておる次第でございます。
  225. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、簡単でいいですが、この附帯業務の最終的な責任の所在論というものは、郵政大臣ですか。
  226. 板野學

    板野政府委員 郵政大臣の責任といたしましては、これらの監督権の行使を通じまして、事業団業務につきまして、管理上の責任を有するものでございます。しかし、事業団は、業務の実際上の実施について責任がございます。いろいろこの法規にございますような不法行為能力も与えられておるわけでございますので、そういう面におきましては、事業団も責任を負わなければならぬと思います。しかし、最終的には、事務上あるいは政治上のいろいろな責任が郵政大臣に生じてくると思います。
  227. 森本靖

    ○森本委員 私がなぜこれをしつこく聞いたかというのが、今の解釈で明らかになりました。そういたしますと、将来福祉施設を——たとえば鹿児島県なら鹿児島県に福祉施設を置く、こういうことをかりにきめる場合、それはどちらがきめるのですか。事業団がきめるのですか、郵政省がきめるのですか。
  228. 板野學

    板野政府委員 これは事業団がきめることになるわけでございます。
  229. 森本靖

    ○森本委員 それはどの条項にありますか。
  230. 板野學

    板野政府委員 法律の第二十二条によりますと、(予算等の認可)「事業団は、毎事業年度予算事業計画及び資金計画作成し、当該事業年度の開始前に、郵政大臣の認可を受けなければならない。」ということになっておりまして、一応事業計画事業団がやりまして、郵政大臣の認可を受けるということになる次第でございます。
  231. 森本靖

    ○森本委員 これは事業計画でありますから、どこそこに何を置くという事業計画郵政大臣が認可するのか、あるいは本年は老人ホームを一カ所増設する、保養センターを二カ所作る、こういう事業計画承認するのか、その辺はどうですか。
  232. 板野學

    板野政府委員 具体的な地点までも計画をして出してくるわけでございます。
  233. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、具体的な地点等については、いわゆる事業団の方で計画をして、それが実質的には、郵政大臣がだめだ、こういうことになれば、変更する、こういうことになるわけですね。
  234. 板野學

    板野政府委員 その通りでございます。
  235. 森本靖

    ○森本委員 そういうふうに明確にしておけばけっこうでありますが、今の局長の答弁では、事業団がやる、こういうことでありますから、事業団が勝手にやられたのでは、これは簡易生命保険郵便年金の奨励上の考え方と違ってくるわけでありますから、そういう点については、あくまでも郵政大臣がきめる最終的権限を持っておるということに私は解釈していきたい、こう思うわけでありまして、またその通りでけっこうでありますね。
  236. 板野學

    板野政府委員 その通りでございます。
  237. 森本靖

    ○森本委員 それから第二十条の「前項の業務方法書に記載すべき事項は、郵政省令で定める。」となっておるわけでありますが、この政令の内容はわかっておりますか。
  238. 板野學

    板野政府委員 福祉事業団法施行規則というものを作りまして、その内容といたしましては、施設設置基準、あるいは施設運営基準、あるいは附帯業務に関する基準というようなものを郵政省令で大体定めるということになる次第でございます。
  239. 森本靖

    ○森本委員 一つその政令の内容を、あとから資料として御提出を願っておきたい、こう思うわけでありますが、どうですか。
  240. 板野學

    板野政府委員 これは省令でございますから、よろしゅうございます。
  241. 森本靖

    ○森本委員 それから第二十七条でありますが、きのうも大柴委員が質問いたしておりましたが、一項の「国債その他郵政大臣指定する有価証券の取得」、この国債はわかりますが、「郵政大臣指定する有価証券の取得」というのは、これはどういう有価証券をさすわけでありますか。
  242. 板野學

    板野政府委員 大体政府の保証債とかあるいは利付金融債等が考えられると思います。
  243. 森本靖

    ○森本委員 しかし、それ以外に買ってもいいわけだね、この法律では。有価証券ですから。
  244. 板野學

    板野政府委員 指定さえあればよろしゅうございます。
  245. 森本靖

    ○森本委員 これは大蔵大臣協議する必要はないでしょう。
  246. 板野學

    板野政府委員 これは協議事項でございます。
  247. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、大蔵省としては、のべつまくなしにこの範囲を拡大するということは考えておらぬわけでありますか。郵政大臣の考え方による有価証券ということには考えておらぬわけですか。
  248. 板野學

    板野政府委員 その問題につきましては、具体的にやはりこれは協議によってきまるということになるわけであります。
  249. 森本靖

    ○森本委員 これは運用よろしきを得てやると、なかなかおもしろい条項だと思いながらこの条項を見ていったわけでありますが、先ほどの運用範囲拡大の方にも関連をいたしますけれども、かりにここにおきまして有価証券運用をうまいこと行なって、利益金なり剰余金が出てきて、それで次の交付金というものが少なくなれば、それだけ郵政の保険会計というものが浮いてくるわけであります。これはなかなかおもしろい制度だと思いながら見てみたところが、大蔵大臣との協議事項として、やはり抜け目なしに三十五条に入っておるわけですけれども、こういう点については、一つ運用の過程において妙味を発揮していただきたい、こう思うわけでありまして、特につけ加えておきたいと思います。
  250. 受田新吉

    受田委員 今森本委員から妙味のある発言があったわけですが、私はこれで思い出したのですが、昨年の暮れに株価が大暴落したとき、簡易保険運用力を発揮して、公社債等金融債の部類を約三十億円積立金から買い受けたという、つまり株価暴落対策簡易保険積立金が大へんものをいうて、株価がそれから上昇する契機になったという事例を伺っているのですが、これは大蔵大臣との協議という場合にも、そうした証券市場対策というような意味にもたまには貢献ができるとという、そういうことも含まれるわけですか。
  251. 迫水久常

    迫水国務大臣 年末に買いましたのは簡易保険余裕金でございまして、これは協議事項でない、大蔵大臣協議する必要がないから、郵政大臣の権限でできるわけなんです。しかし、やはり政府部内の統一的な仁義がありますから、実際上は連絡しつつやります。あれはしかし、大蔵省必ずしも同意をしなかったのですけれども、やってみました。決して株価対策としてやったのではなくて、うちの資金の有利なる運用という見地からやりましたが、たまたまそれが副次的効果で株価対策になったということで、簡易保険が株価対策をやる気持はございません。
  252. 受田新吉

    受田委員 それで、今のこの協議事項の中に入っておる有価証券を手に入れる場合に、そうした意味の貢献をする場合も含まれる。つまり証券市場操作の一役を買う場合も、大蔵大臣協議の場合には考えられるということになりますかどうか。
  253. 迫水久常

    迫水国務大臣 実際問題としては、これは金額が小さいですから、これは海の中にコップ一ぱいの水を入れるようなことにしかならないのではないか。株価の面にそういうような影響がこれから出てくるとは私は思いません。
  254. 森本靖

    ○森本委員 それから、平常の金についての出し入れば、これはどうするわけですか。
  255. 板野學

    板野政府委員 これは交付金として交付され、あるいは出資金として出資されたものにつきましては、ただいまの経理課といいますか、そういう組織もございますので、一つその組織でもって、あるいはこれを一時余裕金がありますれば、これは銀行とかあるいは郵便貯金にする、あるいは各事業所等につきましては、この銀行のいわゆる小切手をもって送金をするとか、そういうような方法でやるわけでございます。
  256. 森本靖

    ○森本委員 私が聞いておるのは、業務上の余裕金は第二十七条にうたってありますが、平常の金の取り扱いは、このうちのどの条項にありますか。
  257. 板野學

    板野政府委員 この取り扱いにつきましては、第三十五条に「郵政省令への委任」というものがございまして、「この法律に規定するもののほか、事業団の財務及び会計に関し必要な事項は、郵政省令で定める。」ということになっておる次第でございます。
  258. 森本靖

    ○森本委員 その郵政省令内容一つ説明してくれませんか。
  259. 板野學

    板野政府委員 これもこの事業団法施行規則というものを省令で出しまして、その中で経理原則なり会計の区分なり、勘定の設定、予算内容予算総則、収入支出予算、その他をこまかく規定をするわけでございます。
  260. 森本靖

    ○森本委員 その内容は大体できておりますか。
  261. 板野學

    板野政府委員 できております。
  262. 森本靖

    ○森本委員 それも一つできておりましたら資料としてお出しを願いたい、こう思うわけでありますが、特に私は郵政省が今度事業団なんというものをやるのは、初めてだと思うのです。それで今は現金出納官吏というものがちゃんとおって、きちんとしたやり方になっておるわけでございますから、これが一たびこういう事業団移行することになってくると、初めての経験になってくるわけであります。そういう点で私は非常にこれは業務運用上あやまちのなきようにすることを願っておる一人でありますが、そういう点についてのこまかい配慮と、それから政令が出されなければ、この運営が非常に心配な点が多いわけであります。本来ならば、あなたがそういう政令というものをこの委員会にお出しを願って、そして、その政令の内容についても、一応質問をしておくのが至当でありますけれども、それは時間の関係で省略をいたしますが、そういう案ができておるとするならば、当委員会に資料として御提出をぜひ願いたい。あとからでも私はそれを見て検討してみたい、こう思うわけでありますが、どうですか。
  263. 板野學

    板野政府委員 よろしゅうございます。
  264. 森本靖

    ○森本委員 それから、第二十八条のこの政令の用意はできておりますか。
  265. 板野學

    板野政府委員 できております。
  266. 森本靖

    ○森本委員 ちょっとその内容を言ってみて下さい。
  267. 板野學

    板野政府委員 これは財産の処分に関することでございまするので、大体面積につきましては、一件百平方メートル以内のものは事業団で処分できる。あるいは施設を貸すような場合におきましても、六カ月の期間内ならばこれを貸すことができるというようなことがその内容になるわけでございます。その基準がここできまるわけであります。
  268. 森本靖

    ○森本委員 これはかなり重要な事項がほとんど政令にゆだねられておるわけでありまして、その政令の内容を見てみないことには、そのよしあしの問題についての討議はできないわけですが、本来ならば、こういうものについて参考資料として御配付願っておいたならば一番いいわけでありますけれども、これも後ほど資料として御提出を願いたいと思うわけですが、いいですか。
  269. 板野學

    板野政府委員 よろしゅうございます。
  270. 森本靖

    ○森本委員 それから第三十二条の先ほどの立ち入り検査でありますが、これは場合によっては、現場の者もこの立ち入り検査に行く場合がありますか。
  271. 板野學

    板野政府委員 そういう場合は非常に少ないと思いまするけれども施設設置場所等によりましては、委任によってできると思います。
  272. 森本靖

    ○森本委員 いや、できると思いますでなしに、そういうふうにやるべきなんです。何もずっと離れたところに本省からわざわざ行かなければならない、あるいは郵政局から行かなければならないということにはならないと思う。その場合にはその権限を統括局長に委任して、統括局長の部下の保険課なら保険課の担当の人間が行けばいいのであって、そういうことができると思いますではなしに、そういうふうにやってしかるべきだと私は思うのですが、どうですか。
  273. 板野學

    板野政府委員 ごもっともでございますので、その通りにいたしたいと思います。
  274. 森本靖

    ○森本委員 それから第三十三条でありますが、これが一番の問題でありますけれども、これはあなたの方の資料で一応意向はわかりますけれども、これについては大体これは東京に置くわけですか。
  275. 板野學

    板野政府委員 東京に一カ所を予定しております。
  276. 森本靖

    ○森本委員 東京に一カ所置いてやる。——ちょっとこの審議会のことを簡単に説明願いたいと思います。
  277. 板野學

    板野政府委員 この条項に基づきまして、事業団の内部規程といたしまして、運営審議会に関する規程を置かせるようにいたしたいと思います。その内容といたしましては、審議会は十五人以内の委員をもって組織する。委員は簡易生命保険郵便年金加入者の利益を代表するものと認められるもの、また学識経験を有するもの、その中から理事長が郵政大臣協議いたしまして任命するということにいたしたい。それからこの委員の任期は大体二年ということに予定しております。ここに掲げてあるのは諮問機関でございまして、その諮問につきましては、大体事業の重要な事項につきましては諮問をするということになるわけでございます。
  278. 森本靖

    ○森本委員 これの任命方法については、これは大臣の問題でありますが、これこそおざなりな任命をするということでなしに——有名人であればよろしいというのが、今までの審議会の委員の任命の仕方であります。しかし、今回のこの審議会というものは意味が違うわけでありますから、簡易生命保険加入者の中からその代表を選ぶというのが一つ意味でございまするから、そういうふうな審議会については、郵政省がお出しになっておりますところの趣旨に基づいて人間を選ぶということになれば、当然今までのような運営審議会の委員の選び方ではない、こう思うわけでありますが、この点については大臣が将来この委員を選ぶことについての心がまえというものを私は聞いておきたい。あくまでも今回の審議会というものは加入者本位である、簡易生命保険郵便年金加入者の意見を聞くのが主体である、こういうふうな趣旨で私は考えたいと思うのですが、その点どうですか。
  279. 迫水久常

    迫水国務大臣 全くその通りでございまして、現在でも加入者というような組織もございますし、それらのことから加入者を中心にして組織をしたいと思います。
  280. 森本靖

    ○森本委員 この事業団については、たとえばその他の事業団のように、経営委員会とか、あるいは運営審議会とか、そういうふうなものはないわけであります。ただ唯一の機関というものがこの第三十三条であります。この人選についてはよほどやっていかなければなりませんし、またこの運営についてもおざなりの運営ではいかぬと思うわけであって、少なくとも月に一回は会合して十分にその意見を聞く、こういうふうな運営をしなければならぬと思いますし、また、この委員の手当等についても、これは私は単に非常勤だからといって千五百円や二千円程度の手当を出すというような形においては、またも今の委員会制度と同じような格好になるので、これは事務当局でありますが、こういうふうな委員の処遇等についてはどういうふうに考えておりますか。
  281. 板野學

    板野政府委員 非常勤でございまするので、その会合を開くたびにこの手当を出すということになるわけでございますが、それをどういうようにしたらいいかということにつきましては、いろいろ今後財政の面等も勘案いたしまして、先生の御意思を十分反映できるような方法も考慮してみたいというように思っております。
  282. 森本靖

    ○森本委員 今の答弁をよく聞いて、速記録に載っておりますので、その点については執行のときに私は十分に一つ監視をしていきたい、こう思います。  それから、これは全国の簡易生命保険加入者郵便年金加入者内容としては、この十五名のうちに学識経験者が入りまするから、十人程度では実は少ないんです。これは本来ならば名郵政局ごとに置けば旅費も要りませんし、そういう制度も考えていくべきではないか、モニター制度として。そうしないと、この運営というものは非常に独善的になって、加入者の率直な意見というものはなかなか聞きにくい。本来ならば、私は、財政が許すならば、各郵政局ごとに大体各県から一人から二人くらい出たこのモニター制度というものを置くのが、最も理想的である。しかし、おそらくこれは財政制度が許さぬ、会計が許さぬというので、そういうことはできないということで、東京に十五人ということになったと思いますが、しかし、そういう点についても、一つ十分に私は将来の問題として検討しておいてもらいたい。そうでないと、今の郵政審議会とはこの審議会はだいぶ意味が違うわけであります。加入者の意見を聞く会でありますから、そういう点については特に私は要望しておきたいと思います。  同時に、この第三十三条の問題については、本来ならば法律においてもっと明確にこの内容を私は規定すべきではなかったか。この福祉事業団の中における法律の条項の中で、この第三十三条というものはかなり重要な地位を持った条項であります。これをおろそかにするようでは、この事業団郵政省の官僚のうば捨て山のためにこしらえられたといわれてもやむを得ぬ。しかし、ほんとうに簡易生命保険加入者の意見を聞いて、加入者のためにやろうとするならば、この第三十三条というものはもう少し具体的に法律化するのが至当ではないか。ほかの法律案件を見ても、大体もう少し明確になっておる。これなら郵政省が、あとでまあええよ、法律が通ったら、あとでおれの方でいいようにするわということで、こういう条項にぼかしたかどうか知らぬけれども、本来ならば、こういうものは法制化を明確にして、あとで疑義が出ないようにすべきではないか、こう思うわけですが、この点を、一つ大臣の見解を聞いておきたい、こう思うわけであります。
  283. 迫水久常

    迫水国務大臣 私も、今森本さんのおっしゃったように、審議会といいますか、そういう形で規定するのが当然いいと思っておったんですけれども審議会というものはなるべくたくさん作らないという方針でありますので、審議会と銘を打ったものをやらなくても、現在加入者の会というような組織もございまして、いわゆる加入者の意見を反映する、そういう仕組みを考えることは割合に可能性が多いと考えたものですから、こういうような表現にしたんですけれども、決して逃げておるわけではございません。明確にこの通り実行したいと思います。
  284. 森本靖

    ○森本委員 本来、明確にこの通りということを言われますけれども、たとえば放送法における番組審議会等においても、その内容を明確にしてあるわけであります。だから、あなたの方から資料に出てくるところの「簡保年金加入者の意見を事業団業務運営に反映させる措置について」という要項を、第三十三条のイ、ロという項目においても、ある程度これは法律として明確にしておくべきではないか。他の審議会というものは全部そういう程度に明確になっておるわけであります。この点だけがそういう点については明確になっておらぬわけでありまして、私はその点を言っているわけであります。これは将来の問題でありますので、一応その程度にしておきます。  私がさらにお聞きしておきたいと思いますことは、今度郵政省からこの事業団移行するところの人間でありますが、この総人員は幾らですか。
  285. 板野學

    板野政府委員 事業団に今後働きまする総定員と申しますか、それが五百十二人ということになっております。しかし実際に現在施設におりまする人員は四百五十八名でございます。私どもといたしましては、できるだけ現在の施設におります人間については向こうに移管をしていただきたい、また本部要員につきましても、これは計画面を担当するわけでございますので、こういう面につきましても、十分に知識を持ち経験を持つ者を出していきたいと考えておる次第でございます。
  286. 森本靖

    ○森本委員 現在の郵政省職員が行くということになりますと、おれはそういうところへ行くのはいやだということになった場合は、これはあくまで行かなければ首にするぞ、こういうことになるわけですか。
  287. 板野學

    板野政府委員 向こうの意向につきましては、強制はしませんということにいたしております。
  288. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、強制の配置がえというものは絶対に行なわない、こういうことですね。
  289. 板野學

    板野政府委員 その通りでございます。
  290. 森本靖

    ○森本委員 もう一つ聞いておきたいと思いますことは、この移行するところの職員については、こういう問題については前から問題になっておるわけでありますが、その人の給与あるいはその人の厚生福利施設、そういうようなものが、現在郵政省職員として勤めていることよりもさらに下がることはおそらくないと思いますが、これは上がることはあっても絶対に下がることはない、こういうことは言えますか。下がるということになると、こまかい質問をしなければなりませんが……。
  291. 板野學

    板野政府委員 個々の場合におきましては、あるいは下がるというような面もございまするけれども、たとえば俸給等につきましては一五%アップもございます。また宿舎等におきましても、できるだけ現物出資をいたしまして、この宿舎料が上がるということのないような措置もいたしたい。また手当等につきましても、若干不利になるようなこともございますけれども、私といたしましては、できるだけそういう面も事業団の中におきまして解決し得るように措置をいたしたい、こういうふうに考えております。
  292. 森本靖

    ○森本委員 元来わが党は、こういうふうな事業団なんというものは置く必要はない。今の国営で十分やっていける。大体官僚のうば捨て山として理事長に二十万円も俸給をやるようなものをわざわざこしらえる必要はない。理事長、理事の俸給だけでも、この一年分くらいためれば、小さな診療所ができるわけであります。計算してみたら大体そういうことでありまするけれども、どうも空気では、大体あなた方はしゃにむにこの法案を通そうと考えておるようでありますので、もしそういうことになれば、やはりこの従業員の身分という問題については考えてやらなきゃならぬ、こういうことになるわけでありまして、今私が言いましたように、こまかい問題についてここでやるのは私は省きますけれども、個々の問題について不利益になるものがあるということは、どういう意味ですか。
  293. 板野學

    板野政府委員 たとえばこの健康保険組合に入るとか、あるいは厚生年金保険に入るというようなことになりますると、その給付の関係におきまして若干劣るというような点もございます。しかし、これは先ほど申し上げましたように、俸給も一五%上がりまするので、そういう面で十分カバーができるというように私ども考えておる次第であります。
  294. 森本靖

    ○森本委員 カバーできればそれはいいわけでありますが、いずれにしても、現在の郵政省職員として受けておる待遇以下になるということはない、こういうことであれば、私はこまかい問題は質問をしない。あとはあなた方の方で従業員の四百何名の代表の組合の諸君と十分に話し合いをして、そうして円満に解決をつければいいわけであります。ただし、それがどうも解決がつきそうにもない、円満にいきそうにもないということであるとするならば、何にその原因があるかということを明確にしていきたい、こう思っておるわけであります。大体あなたの方は、すべての問題について今の待遇よりよくはなっても、絶対に下がることはない、そういうことであるとするならば、これはもう委員会でそういう問題をやるよりも、あなたの方といわゆる従業員の代表との話し合いにまかした方がいい、こう考えるので、あえてこの問題を聞いておるわけであります。
  295. 板野學

    板野政府委員 現在よりも待遇が下がることはございませんし、またむしろ待遇が上がるという面も相当ございます。そのように私どもも十分考慮していきたいと考えております。
  296. 森本靖

    ○森本委員 まだこれは参議院もありますので、向こうで握りつぶされるかもわかりませんが、不幸にしてこの法律案件がかりに通った、いよいよ施行するということになった場合には、今の言を十分に忘れずに、従業員の諸君と話し合いをして、真剣にやっていただきたいということを私は特に要望しておきたいと同時に、あとでどうせ討論のところでも言いますけれども、今私が質問した内容についてもまだ明らかにされていない点が非常に多いわけであります。そういう点については、郵政省として私は今後十分に注意をしていかなければならぬと思いますし、また大臣がきのうも言っておりましたように、どうもわれわれが考えてみますると、この事業団を作ったという明確な理由が、今までの質疑応答の中では、こうだから事業団を作らなければならぬという理論はどこにもない。しいて言うなら、やはり官僚のうば捨て山にするために作ったというふうな印象をぬぐいがたいと思うのです。もしこれが不幸にして、そういうふうに実施をせられる——私はこれが通らぬ方を望みますけれども、不幸にして実施をせられるということになるとするならば、今私がいろいろ申し上げたところの注意事項については、これは単に委員会で二時間程度むずかしい質問を聞いておって、やれやれというようなことでなしに、実際に真剣にそういう点については取り組んでやっていこうという考え方でなければ、将来の簡易生命保険郵便年金の発展はおぼつかないわけでありますので、その点を十分に肝に銘じてやっていただきたい。この法律が通らぬように私は願って、質問を終わります。
  297. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 ほかに質疑もありませんので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  298. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。栗原俊夫君。
  299. 栗原俊夫

    ○栗原委員 ただいま議題となりました簡易保険郵便年金福祉事業団法案に対し、私は、日本社会党を代表して、これに反対の意を表明するものであります。  わが党がこの法律案に反対する理由は、まず第一に、この法案によって設立しようとする簡易保険郵便年金福祉事業団なるものは、簡易保険あるいは郵便年金事業の上から、これがなければどうしてもやっていけないという確固たる理由があって設立するものでなく、事業そのものとは別個の目的のために、しいてこれを設けるべく計画されたものと見られるからであります。  以下これを具体的に論証して参りたいと思いますが、まず生命保険事業において、長期契約者に対して利益配当を行なう場合、現金配当と現物配当の二つ方法があり、剰余金の分配の公平という見地からするならば、福祉施設の供与という現物配当的な方法よりも、現金配当、すなわち長期契約に対する還付金という形をとる方がはるかにすぐれているということは明らかであります。すなわち、福祉施設の場合には、その数、収容人員、設置場所等の関係から、これを利用したくても利用できない加入者が非常に多くできてくるのでありまして、利用の不平等からくる加入者間の不公平を免れることはできません。ざっと計算しても、簡保年金契約件数が現在約四千七百万件をこえておるのに対し、現在の福祉施設の利用人員は、診療所が年間五十万人程度、加入者ホームに至っては、フルに利用しても十万人程度でありまして、この割合からいうと、加入者のわずか一・二%程度が利用しておるにすぎないのであります。これに反して、現金配当の形をとれば、このような不公平が一掃されることは言うまでもないところでありまして、換言すれば、簡保事業において福祉施設というものは副次的の意義しか持っていないということがいえるのであります。  もっと具体的に言うならば、郵政当局といえども、簡保年金福祉施設の整備にはおのずから限度があり、これに投ずる資金は、毎年の収入保険料の一%以内、剰余金の五%以内に押えなければならないということを認めているのであります。言いかえれば、福祉施設は、これを全面的に否認しないまでも、むやみにこれに金を投じて際限なく拡充していくべきものではないことを明らかにしているのであります。この見地に立って見ますと、簡保年金福祉施設は、現在診療所はすでに二十九カ所が開設され、今後の増設計画はなく、加入者ホーム保養センターも、建設中のものを含めて十カ所がすでに軌道に乗っており、今後十カ年間に増設するものも毎年平均五カ所ぐらいでありまして、この程度の建設規模ならば、郵便局を何十局も作る郵政省の営繕能力で十分やっていけるのであって、ことさらに事業団という新しい組織を打ち立てる必要がはたしてあるのか、大いに疑問とするところであります。  次に、政府は、事業団設立一つの理由として、管理運営面の能率化をあげておりますが、これまたそのままには受け取れない議論でありまして、現在の管理運営が非能率であったりお役所式であったりするならば、国営方式のものにおいてもこれを改善刷新する方法は幾らでもあるはずであります。事業団方式でなければ能率が上がらないというなら、極端な言い方をすれば、福祉施設だけでなく、本体の保険年金事業まで事業団方式にしなければならないという結論になってくるのであります。加入者ホームや診療所程度の管理運営が国営方式ではうまくいかないという理由は、これまた理解に苦しむところであります。  これを要するに、今回設立しようとする福祉事業団は、保険年金事業がこれを必要とするのではなく、他の目的、すなわち郵政官僚のうば捨て山を作る意図をもってこれを設立しようとするものではないかという疑いがきわめて濃厚でありまして、事業団理事長、理事、監事、本部の高級職員の地位が、郵政省の一部官僚のために設けられるというのであれば、事業団は、加入者福祉のためではなく、官僚の福祉のために作られるということになるのでありまして、わが党としてはかかる純粋ならざる動機によって設立される事業団には決して賛成することはできないのであります。  念のために申し添えておきますが、簡保年金福祉施設の拡充と管理運営の刷新を要望した第三十八回国会の当委員会の決議にはわが党も賛成しておりますが、この決議はそのままに事業団の設立に結びつくものではなく、むしろこの決議が政府によって他の目的のために利用されたところに問題が存するのであります。  さらにまた、事業団の設立に伴って四百五十名以上の職員郵政省から事業団に移しかえられることとなるのでありますが、これら移行職員は国家公務員たる地位の喪失に伴う種々の不利益をこうむるわけであります。この点に関し、郵政当局は、まず本人の意思に反して強制移行は行なわないと言っておりますが、医師、看護婦その他の特殊な職種のものは、実質上強制移しかえとなるのではないかと考えます。また、給与年金、その他の不利益については種々救済措置が講ぜられていることは認められますが、事業団職員となった場合は、国家公務員が受けている各種の身分保障の利益が失われる点は救済する道がないのでありまして、政府の一方的措置によって多数職員が不利益をこうむることは、これまた軽々に看過することができないところであります。  よって、結論として、以上申し述べたようないろいろの不備欠陥を包蔵しておる本法律案に対しまして、日本社会党は反対の態度を表明いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
  300. 佐藤虎次郎

  301. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 ただいま議題となりました簡易保険郵便年金福祉事業団法案に対し、私は、自由民主党を代表して、これに賛成の意を表するものであります。  以下賛成の理由を申し上げます。  第一に、簡易生命保険及び郵便年金加入者福祉施設設置及び運営を適切かつ能率的に行なうことは、単に加入者の福祉を増進するにとどまらず、簡易保険及び郵便年金事業の発展に寄与するところ多大なるものがあるのでありまして、本事業団はこの趣旨から福祉施設の拡充をはかるとともに、その管理運営を合理化する目的をもって設置されるものであります。すなわちこれら福祉施設設置運営一般の行政事務とは趣を異にし、一に利用者に対するサービスを基本としなければならないのでありまして、これがためには国の直接運営によるお役所式のやり方を離れて、別個の法人をもってこれに当たらしめる方が、事業の機動的、効率的な運営の上からも得策と考えられるのであります。  第二に、福祉施設の経営管理には、専門的な知識、経験が要求され、また施設業務遂行に勤務する職員のうちには、医師、看護婦、寮母、サービス婦、まかない人など、特殊な勤務内容のものが多いため、国家公務員関係法令の適用をはずして、弾力性のある雇用勤務体系に改める方が適切な場合が少なくありません。  第三に、現在国の経営管理にかかる福祉施設の収支は郵便事業特別会計に包含されているため、福祉施設の収支の細目がとかく看過されがちであって、利用者を増加して増収をはかったり、あるいは経営の合理化、経費節約というような企業努力がきわめて消極的であったうらみがあるのであります。これらの弊害を除き、将来にわたってさらに施設の拡充をはかるためにも、独立した事業団の責任のもとに自主的、機動的に経営させる方が適切と認められるのであります。福祉施設の新増設につきましては、全国の加入者から熱烈に要望されているのでありまして、当委員会におきましても、すでに第三十一回及び第三十八回国会におきまして、福祉施設の拡充強化並びにその管理運営能率化をはかるべき旨の附帯決議をしているのでありまして、今回提出を見た本法律案はまさにこの附帯決議の趣旨に合致するものであります。  以上申し述べました理由により。自由民主党は簡易保険郵便年金福祉事業団法案は、適切妥当なるものとして、これに全幅の賛成を与えるものでありますことを明らかにいたしまして、討論を終わります。(拍手)
  302. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 次に受田新吉君。
  303. 受田新吉

    受田委員 次は民主社会党を代表して、この法案に対して賛成の討論を行なうものであります。(拍手)  この事業団というものが一般的に他の公社、公団、公庫等と同じ立場で設立されたとしたならば、一つの問題があると思うのであります。しかし、この事業団簡易保険郵便年金という零細なる大衆資金の吸収を前提とし、また大衆の生活をある程度保障しようという立場で生まれた事業である以上、これにマッチするような形の事業団として誕生するというのであるならば、あえてこれに反対すべきものではない。特にこの事業団法案内容を拝見いたしますと、各所に問題点がひそんでおるのでございますが、この運用面における十分な実績をあげるという前提であるならば、この欠陥を救い得るのではないか、特に郵便年金簡易保険という事業使命達成のために、利用者、加入者福祉施設を設け、あるいはその運用面の妙味をはかるという趣旨から、この機会に私より主張いたしたいことは、他の国家機関の医療機関とどういう調整をはかっていくかということ、特に都市は他の医療機関が一応整っている現状でありますけれども、山間僻地あるいは島とか、こういう僻遠の地は、無医村、無医地区がありまして、お医者さんの診療を受ける恩典にも浴せないという国民が相当数に上っておるのである。こういう現状をこの事業団はとくとにらみつけまして、日の当たらない谷間におきまして太陽の光を降り注がしめるというりっぱな使命を果たして下さるならば、私はこの事業団の設立の趣旨は十分果たされると思っております。  特に第一線の郵便局と十分連絡を密にして、加入者と密接不離の関係事業を進められますように要望をしておきますとともに、この事業団に加わった職員組合組織も十分認めて、組合の健全なる発展という立場からも、弾圧的に職員を管理監督するというのでなくして、民主的な運営をもって事業団を推進するという構想も用意しておいていただきたいと思っております。  以上、この事業団の設立の趣旨に一応賛成するとともに、その運用面において、他の公的機関の医療施設等との関係において万遺憾なきを期し、国のすみずみまでも行き渡った目的達成のために十分努力されることを希望いたしまして、賛成の討論を終わります。(拍手)
  304. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決を行ないます。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  305. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 起立多数。よって、本案は可決すべきものと決しました。  本案に関する委員会の報告書の作成等につきましては、前例により委員長に一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  306. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  この際、迫水郵政大臣より発言を求めておられます。これを許します。迫水郵政大臣
  307. 迫水久常

    迫水国務大臣 事業団法を御可決下さいまして、まことにありがとうございます。  この質疑応答の間においていろいろ御示唆を賜わりました事項は、十分これを尊重いたしますし、また政府の側において御答弁申し上げました事項は、必ずこれを実行いたすようにいたします。  なお、今後ともどうぞこの事業団の発展のために御協力をお願いいたします。つつしんで御礼を申し上げます。
  308. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会      ————◇—————