○
木村(睦)
政府委員 私
自動車局長であります。ただいま
保安局長から御
説明がありましたように、
警視庁で
試案を作られまして、
陸運局に対してその
試案について
意見を求められたわけでございまして、これは以前からそういうふうにしてやっていこうということで、その線に沿って
意見を求められたわけであります。
そこで、
陸運局といたしましては、今回の
規制というものが初めて強い
規制になるわけでありますが、今後第二回、第三回の
規制というものも当然
考えられるわけであります。元来
道路というものは、大いに
通行の用に供して
産業経済、
国民生活の
発展に役立つという性質のものでありますので、それと全く逆行する
道路の
規制でございますから、いろいろな点を考慮しなければいかぬ。特に初めてでございますので、
規制にあたって、
一つの
原則といいますか、
一つの基本的な
考え方というものを打ち立てて、常にその線を具体的な
規制案がはずれないように
考えていくべきであるという基本的な
考え方を持ったわけであります。
その基本的な
考え方は、まず第一には、
道路の
通行にじゃまにならないように、
駐車をできるだけ除く、つまり
駐車禁止区域を徹底的にふやしていく。これが何よりも先決である。これをさらに強化していく必要がある。その上で具体的な
車両制限、
通行の
制限というものをやるべきであるというのが第一段の
考え方でございまして、その
車両の
通行の
制限にあたっては、
三つの
事柄を常に
考えるべきである。第一点は、
産業経済及び都民の
——東京の場合でございますから、部民の
社会生活の
影響を、できるだけ小
範囲にとどめるようにすること。第二点は
規制の
効果をできるだけ多く発揮できるように
考えること。第三点は、
規制により受ける
犠牲というものの
負担を、できる限り公平にそれぞれが分担するように結果的になるように。この
三つの点を、常に念頭に置いて案を作るべきであるというのが、基本的な
考え方でございます。
この
三つの条件は、
お互いに相反する面も而もございます。
効果を大にすることと
影響を小さくすることとは、相反することもあります。これを適当に調和をとりながら
考えることが大切であるという
前提に立つわけでございます。
そこで、
東京の場合にまず車の
種類というものを見ますと、現在
東京都全体で車が七十三万両ほどございます。この内訳は、概数で申し上げますから
総合計は多少違いますが、
トラックが二十五万両くらいございます。そのうちで
自家用が二十一万、
営業用が約三万六千。
バス型の車が七千両ほどございますが、約一千両が
自家用車で、六千両が
営業用ということになっております。それから
乗用車が約十九万両ございます。そのうち十七万両くらいは
自家用でございまして、
営業用は二万強でございます。それから軽
自動車が二十七万、
あとは特殊の車でございます。大体こういうふうな規模になっております。
これは
東京都全体の車の両数でございますので、二十三区に限って推定いたしますと、大体九割が二十三区内にありますから、六十四、五万というふうに踏んでおります。それだけの車は
東京部内において所有または使用しておる車でございまして、
東京都内を走る車は申すまでもありませんが、
都外から入ってくる車が
相当ございます。この入ってくる率を
考えてみますと、三十三年ごろに一度
調査したことがございまして、そのときの
調査によりますと、
都内にあります車に対して約六%のものが部外から
都内に入ってくるというような計算になっております。その後、車もふえてきておりますし、
産業活動が非常に活発になってきておりますので、六%は現在多少上回っておると思いますが、一応六%と
考えるわけでございます。そうしますと、二十三区だけで六十五、六万ある。さらに六%外から入ってくる勘定になりますと、二十三区で合計しますと七十万くらいの車が常に動いておるという推定を下しておる。これを
前提にして
考えるわけであります。
そこで
道路の
交通混雑緩和のために
制限をする場合に、押える車の両数と、押える時間と、それから押える
地域的な
範囲、この
三つの
要素の
相乗積が、結局
混雑緩和度を表わすものというふうに
原則的に一応
考えてみますと、特にこの中で、車の両数をたくさん押えるということが
効果は一番強い。時間帯につきましては、非常に長時間にわたるということになりますと、車の両数が少々少なくても非常に
犠牲が大きい。
地域についても同様なことが言えると思うのでございます。この
三つの
要素のそれぞれの
効果あるいはその
影響、そういうことも
考えながら、
先ほどの三
原則を
考えつつ、具体的な
規制案を
考えたのでございますが、
警視庁から示されました案につきましては、今申し上げましたような観点から見まして、
陸運局としてはかなりの異なった
見解を持つに至ったわけでございまして、その異なった
見解を持つ
警視庁の案と突き合わせて、今協議しているわけでございます。
さて、その具体的な
陸運局案の
内容に入りますと、大体車の
種類を分けまして、
トラックと
乗用車と
バス型車両、
あと特殊の車というふうに
考えたわけでございます。
トラックにつきましては、できるだけ大きな
車——大きな車がやはり
道路を占める面積も広いわけでございますので、おおむね七トン
程度以上の車を、一応
規制の
対象にしております。これは両数でいいますと、大体五千両ぐらいが
対象になろうかと思います。
うち営業用が約二千三百、
自家用が二千七百
程度でございます。
規制いたします時間は、
先ほど申し上げましたようにできるだけ短時間
——これは第一回の
規制でございますので、できる限り
地域も時間も狭めまして、その実態を見ながら第二回、三回と時間を広げるなり、
地域を広げるなりするようにしていくべきであるという
前提で、時間はおおむね午前午後約二時間ずつを押えよう、その二時間という時間帯は、朝夕の
ラッシュ時に
相当する時間を想定いたしております。朝七時半から九時半、夜は五時から七時というふうにしておりますが、この時間帯は、
警視庁の方と相談いたしまして、最も混み合う時間帯を中心に、この二時間というものをどっちにずらしてもいいわけでありまして、要するに午前午後二時間
程度を
対象にしよう、こういう
考えでございます。
それから、
地域は
警視庁の案では、一般的に二十三区全体を押えてありますが、二十三区全体では非常に広過ぎますし、周辺と都心とは
相当混雑の状況も違うのが
現状でございますので、一応環状の六号線、四号線、
隅田川、つまり大崎の付近から東中野の辺に行きましてそれから護国寺の辺を通って白鬚橋の方に行って
隅田川に沿って下る、こういった線で囲む
範囲を
対象にしたらどうだろうか。この
範囲につきましても、具体的に取り締まりその他の必要上から、これを多少狭めるとか広げるとかいうことは、また十分
打ち合わせてきめることでございますが、おおむねそういった
範囲の中の
道路でございます。この
道路も、どの
道路ということにつきましては
警視庁の
考えに従ってきめるという
考えでございます。
それから
乗用車につきましては、なかなか
乗用車の
規制の
種類別ということはむずかしいのでございますが、とりあえず第一回目でございますので、やはりこれも大きい車ということに線を引きまして、
乗用車の
普通車と申しますとつまり
外車でございますが、これを一応
対象にしよう。両数で約三万二千両くらいでございます。
自家用が三万、
営業が二千くらいでございます。時間帯は、
トラックの場合と同じでございます。また
地域も同じでございます。ただこの
大型の
乗用車の中でも特に、午前、午後の二時間とはいいながら、緊急あるいは
公用等の
関係でやはり
除外をすべきものも出てくると思います。たとえば病院、
医療用とかあるいは
報道関係あるいは
国会関係、
外交官関係あるいは
国際観光事業の
外人旅行者のための用途、こういったものは
除外して、
あとは午前、午後二時間、
大型の
乗用車を
規制の
対象にしようということでございます。
それから
バス型の
車両でございますが、これはおおむね三十人
程度以上の
バス型の
車両につきまして、午前の
ラッシュはよろしいとして、午後の
ラッシュ時だけ二時間
規制の
対象にしよう、こういうことでございまして、この
対象になる車は大体二千四百ほどでございます。
自家用が千両、
営業が千四百ぐらいでございます。しかし、この
大型の
バスの中には、たとえば
営業車におきましては
路線用の
乗合バスがございます。それからコースをきめました
はとバスのような
定期観光バスがございます。これを
除外いたします。それから
自家用でも
通勤用の
バスあるいはスクール・
バス、
通学用の
バスがございますが、こういうものは
除外いたします。
営業用その他の一般の貸し切りの
観光バスにつきましても、
就学旅行等のために動く
バスでございますと、これは国鉄の
輸送計画等の
関係もあるししますので、次のような
例外を認める。つまり、駅から
宿舎への
輸送、それから
宿舎へ帰るときの
輸送、それから車庫へ帰るときの
輸送、こういうものを
除外いたしまして、要するにこの
ラッシュの時間帯にまだあっちこっち見物して歩くことはやめてもらおうという
意味でございます。こういう
除外例を設ける。時間帯は午後の二時間だけでございます。
地域は前と
一緒でございます。
そのほかに
長大物の
運搬車それから長もののトレーラーは、
警視庁の案と全く同一でございまして、これは八時から八時の十二時間べたに押さえてもよかろう。と申しますのは、これは
警察許可によって運行しておりますので、特に緊急必要なものにつきましては、
許可を与えて走らすという
除外の措置ができますので、十二時間押さえてもそう大したことにならぬだろうということでございます。
以上が
規制の
具体案でございまして、かなりこまかく切ってみたわけでございます。いろいろ
除外例はございますが、総計いたしますと大体四万から五万の車が
規制の
対象になるのではないか。全体的に申しまして、当初申し上げましたように七十万両くらいの車が動いておるわけでございますので、時間を短かくしても長くしても、
緩和の
効果が現われるためには、
規制の
対象の車が
相当多くなければ
効果が現われないということで、これに対しまして四万ないし五万でございますが、全体としていえばまだ六%ぐらいにしかなりません。しかし
最初でもありますし、受ける
影響もいろいろ
考えまして、このくらいでスタートをして第二次、第三次の方途を
考えるべきである、かように
考えておるわけであります。
それからもう一言。
営業用と
自家用をどうするかという問題がございますが、第一次のこの案におきましては、
営業用も
自家用も、車の
種類によりまして無差別に同じように
規制をしておりますが、
営業車につきましてはこれは
道路運送法によりまして、きつい免許という
規制のもとで運行しております。これはそもそも
運送事業というものか
産業経済の
発展に非常に重要な
関係のある
事業体であるということで、
鉄道事業あるいは
高速鉄道事業と同じような
意味合いにおきまして、
運送事業として把握して
公共性を認めておるわけでございますので、第二次、第三次におきましては、
規制を強めるときに、
規制の
対象の
車両としては、今度は
自家用のみを
考えるというふうな
考え方でおるわけでございます。この第一次の
考え方に立ちますと、車の両数は割合に多いのですが、個々に見ますと、こうむる
影響をできるだけ少なくというふうに
考えておりますので、いずれも大体同じような
規制の
負担をしてもらうということで、スタートしたのがこの
考え方でございます。
こういう案で、現在
警視庁と
陸運局と協議いたしておりまして、その
経過につきましては
先ほど保安局長から
説明がありましたようなのが
現状でございます。