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1962-04-20 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十日(金曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員   委員長 園田  直君    理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    小澤 太郎君       亀岡 高夫君    久保田円次君       田川 誠一君    前田 義雄君       山崎  巖君    山口 鶴男君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         自治事務官         (行政局振興課         長)      山本  明君         専  門  員 曾根  隆君     ————————————— 四月十九日  委員亀岡高夫君辞任につき、その補  欠として福永一臣君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員福永一臣辞任につき、その補  欠として亀岡高夫君が議長指名で  委員に選任された。 同月二十日  委員渡辺惣蔵辞任につき、その補  欠として加藤清二君が議長指名で  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  市の合併特例に関する法律案(内  閣提出第六六号)      ————◇—————
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  市の合併特例に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を許します。纐纈彌三君。
  3. 纐纈彌三

    纐纈委員 市の合併に関する特例法について二、三御質問を申し上げたいと思いますが、第一に、第二条に、「三以上の市の区域の全部又は二以上の市及び一以上の町村」、あるいはそれ以上の地域合併に関することを規定されておるわけでございますが、この「三以上」ということに規定された点につきまして、いささか疑問を持っておるわけでございまして、今、御承知のように新産業都市建設促進法が別に定められておりまするが、そういう関係からいたしましても、おそらく今後二つ市等合併するような問題も相当あると思うわけでございますが、さようなことが予想される際にもかかわりませず、三つの市以上ということに限定されておりますることについて、当局の御意見を承っておきたい。
  4. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この法律案は、さしあたり北九州五市の合併適用されることを念頭に置きまして立案をいたしたのでございますが、そのほかの地域におきましても、市の合併を行なおうという動きも若干あるように見受けられましたので、一般法の形にいたしたわけでございます。しかしながら、主として念頭に置きましたのが北九州五市の合併でございましたので、これをそれ以外の市の合併適用をいたします場合におきましても、なるべく北九州五市の合併に準ずるような大規模な市の合併に限りたい。この法律案規定をいたしております特例適用する必要性の比較的高いものに適用範囲を限定いたしたい、かような考え方に立ったわけでございます。そういたしますと、合併関係の市の数が多ければ多いほど、合併につきましての障害一般的に多いのではないか。従いまして、二つだけの市の場合には、これはもちろん比較の問題でございますが、三以上の市の合併の場合と比べますと、合併におけるいろいろな障害一般には比較的少ないのじゃなかろうかという考え方で、三以上の市ということにいたしたわけでございます。
  5. 纐纈彌三

    纐纈委員 この法案が、北九州五市の合併を目途として立案されたことはよくわかりますが、また一方いわゆる地方基幹都市育成という問題でいろいろ検討いたしまして、それが新産業都市建設という方面に今変わって参っておるのですが、そういう問題を自治省の方で考えておられます際に、各方面においてもある程度そういう基幹都市を作るという趨勢がございまして、やはり北九州以外にもそうしたことを希望されておるものもある程度あるわけでございます。さようなことから考えまして、これは特例でありますけれども、一応そういうような傾向がございまする観点からいたしましても、必ずしも三以上ということが絶対必要な要件じゃない、むしろ必要に応じて合併するということであれば、そういうことができ得るような意味合いにおいて、二つ以上の市というようなことにしても差しつかえないのじゃないかと思うのでございますが、それに対してはどういうようにお考えですか。
  6. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お尋ねのように、新産業都市建設ということが進んで参りますと、その関係で市の合併がかなり進められるであろうということは、私ども考えておるわけでございます。ただ新産業都市に伴う合併につきましては、新産業都市建設促進法案の方で、ほぼ本法案と同様な合併特例規定いたしておりますので、それにつきましては、そちらの方でいっていただくという考え方でおります。新産業都市対象になりません区域で市の合併をしようというようなものを、主として念頭に置きまして本法案立案をいたしたわけでございます。  そこで次にお尋ねの、その場合二つだけの市でもいいじゃないかということでございますが、私どももどうしても三以上でなければいかぬ、二ではいかぬという絶対的な理由は何もないと思うのでございます。先ほど申し上げましたように、一応特例でございまするので、特例適用範囲はある程度きめていくべきであろう、そこで先ほど申し上げましたような理由で、一応こういう線を引いたわけでございます。
  7. 纐纈彌三

    纐纈委員 大体三以上ということが絶対の要件でないという御意向を承りましたから、その点は一応打ち切ります。ただ新産業都市建設促進法にも市町村合併という問題がうたってあるわけでございます。私は、そういう傾向になることは当然だろうと思うのですけれども、むしろ町村合併という問題は、自治法においてすべて扱うべき問題じゃないか。そこで、新産業都市建設促進法においてそういうことが出ておるのでございますが、そういう点について、将来ことに市町村合併という問題については、むしろ自治省にあれして、地方自治法でもってこういった法律を作られることの必要があるんじゃないかと思うのですが、これに対してはどういうお考えですか。
  8. 佐久間彊

    佐久間政府委員 私ども考え方を率直に申し上げますと、御承知のように町村合併促進法適用を受けまして、全国的に相当広範囲町村合併が行なわれて、一応おおむね完了した段階になっておるわけでございます。そこでさらに一般的に、また大幅な市町村合併をこれから推進をしようということは、その必要もありませんし、その時期でもないのではなかろうか。ただ町村合併促進法対象になりませんでした区域、特に市を中心といたしました市同士合併というようなものにつきましては、新しい必要が起こってきておるということと、それから町村合併促進法によって合併をいたしたわけでございますが、なおその後の状況の変化によりまして、さらに合併の必要を生じておるものもあろうかと思うのでございます。そこで、現在のところでは、市同士合併については今度御審議を願っております法律案、新産業都市に関連した合併についてはそちらの方の法案規定するということで、必要度の高いものにつきまして、それに応じた合併特例措置を講じておる、こういう状況でございます。しかしながら、先生の御指摘になりましたように、そうぽつりぽつりと特例法を出さずに、地方自治法で新しい合併特例というものを検討してみるということも、今後の課題としては当然考えてしかるべきことではないかというふうに考えておるわけでございますが、ただいまのところは、まだそこまで私ども検討も至っていないという状況でございます。
  9. 纐纈彌三

    纐纈委員 大体自治省意向はわかりましたが、この前自治法改正の問題で、いわゆる指定都市の問題で実は相当諸先生から質問がありましたが、私もこの問題について、この際ちょっと御質問申し上げてみたいと思うのです。  大体、五十万以上については指定都市指定をすることができる、特別市にすることができるということに相なっておるわけでございますが、先般もその問題についていろいろ質問がありまして、今、五十万以上で指定都市になってないのが、札幌と川崎福岡、そこで、大体五十万ということに限られた点が、実は私には多少疑問があるわけでございます。ことに、指定都市になりますと、今まで府県でやっておりました仕事の十六項目くらい、これが市の方に移譲されるということになっておりますが、現に川崎でも福岡でも——今度五市が合併になりますれば、ほとんど百万に近いような人口に相なるわけでございますが、そこに福岡市というものが、前から五十万以上の都市になっている、こういうようなことになって、一つ府県二つ特別指定都市というものを作るというようなことになりますと、いわゆる都道府県仕事というものが非常に少なくなってくるのじゃないか、こういうことが予想されるわけですが、一応五十万ということを指定された根拠と、もう一つは、各府県二つでも三つでも、実際指定都市として指定することができるような実力を持つものがあれば、いつでもこれを認めることにされるのかどうか、また認めるということになれば、自治省としては、これを地元の方の意向によってやるのか、あるいは自治省大臣意向によってそういうものを指定することも、法律上からいえば、指定自治省でできるかと思うのですが、それらの点について一括して一つ意見を伺いたいと思います。
  10. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お尋ねの第一点でございますが、なぜ現行法人口五十万以上となっておるかという点でございます。この点につきましては、御承知のように指定都市制度は、従来の特別市の制度にかえて昭和三十一年の地方自治法改正の際に設けられたものでございます。その際には、従来のいわゆる五大市対象に置いており、五大市念頭に置いて、この新しい制度を設けたわけでございますが、それを一般的な形で言い表わしますのに、人口百万ということで言いたかったのでございますが、神戸だけが人口百万をちょっと割っておったのでございます。そこで人口九十万といったような半端な数字を書くのもどうであろうか、当時の状況でございますと、人口五十万以上は五大市しかございませんでした状況でございますので、五十万というふうに規定することにしたんだ、このように私ども承知いたしておるわけでございます。  それから第二のお尋ねでございますが、現在三都市人口五十万以上あるわけでございますが、これらの市を指定するのかどうか、こういうお話でございます。これにつきましては、先般地方自治法改正案の御審議をいただいております際にも申し上げましたが、人口五十万というのは人口要件の最低の要件でございますので、五十万になっておれば当然指定をするというふうには考えておりません。そこで、先ほどお話もございましたように、指定都市になりますと、地方自治法初め各法律で、県の責任で行なうべき義務とされておりますものが、指定市の責任で処理すべき事務に移譲されることになっております。いろいろな点で県並み責任を持つことになっておりますので、それらの責任を果たしていけるだけの能力があるかどうかということもあわせて考えていかなければならない。その場合に、何を基準判断するかということになりますと、なかなかむずかしいわけでございますが、この制度のできました沿革が五大市念頭に置いておりましたことから、私どもといたしますと、五大市に準ずるものを考えるのが穏当であろう、このように考えておるわけでございます。  次に第三番目のお尋ねで、一つ府県の中にかりに二つ指定市ができた場合に、その指定をどう考えるのか、こういうお尋ねでございましたが、これまでのところ一府県内に二つ指定市ができるというような事態も予想いたしておらなかったのでございますが、御指摘のように、人口五十万ということになりますと、今度福岡県にそういうことも予想され得るわけでございますが、この場合には、やはり御指摘のございましたように、指定都市というものは、市ではございますが、半分は県並み責任も持つ市でございます。逆に申しますと、県の仕事がそれだけ減殺されることになるわけでございますので、地元府県との関係ということも相当検討した上で、この適否を判断しなければならないのじゃなかろうか、このように考えておるわけでございます。  それで、その判断は一体地元要望を主にするのか、あるいは政府考えを主にするのかという意味お尋ねでございましたが、法律上はもちろん政令で指定するわけでございますから、内閣が判断をするわけでございますが、その判断の前提といたしましては、もちろん地元の御要望も十分考えまするし、特に地元の県の方の御意向考え指定都市というような大都市になって参りますと、国全体から見ましても相当重要な地位を持った都市になりますので、あわせて国全体の上からも判断を加えるということに相なろうかと考えておるわけでございます。
  11. 纐纈彌三

    纐纈委員 今度北九州の五市が、この法律によって合併が実現するといたしますと、百万に近い人口になるわけでございますが、これに対しましては福岡市が五十万になりますが、この五市合併に際しましては、これを指定都市として指定されるお気持でございますか。
  12. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この法律案が成立をいたしました暁におきましては、北九州五市におきましては合併をされるような動きに承っておるわけでございますが、かりに合併ができましたならば、先ほど申し上げましたような私ども指定都市基準考え方からいたしますと、五市の人口の点から見ますと、ほぼ百万になるわけでございまして、そのほかの点からもいろいろ検討いたしてみますと、大体既存五大市に準ずる能力を持ったものになるであろう、こう判断して間違いないのではなかろうか、このように現在のところでは考えておるわけでございます。
  13. 纐纈彌三

    纐纈委員 そこで実は、日本の経済というものが戦後非常に驚異的発展をいたしまして、この新産業都市建設促進法ができますれば、おそらく私は五十万以上の都市が相当できてくるだろうと思います。そうなりますと、これを一々指定都市にするというような問題がおそらく起こって参ると思うのですが、そこで実は、かつて地方制度調査会にいわゆる道州制にするか、あるいは府県合併にするかという問題で諮問がありまして、地方制度調査会では、相当論議がございまして、賛否両論なかなか盛んでございましたが、もう四、五年前になるか、もっと前になりますか、とにかく府県合併ということで一応答申はしておるわけでございますが、だんだん産業都市と申しますか、大きなものができまして、そういう点で市が非常にふくれてくる。もう一つは今の府県状態というものは、財政的に参りますと、国の費用をもってやっておって、県の独立財源が非常に少ない、従って単独事業というものは少なくて、ほとんど、八〇%程度のものは国の費用でやっておる。こういうようなことで、形自体は非常に完全なるいわゆる自治団体として認められてはおるのでございますが、実質的には非常に自主性がなく、むしろ国出先機関というようなものになりつつある傾向が非常に強い。そこで、こういうものだから大臣に承るべき問題だろうと思うのでありますが、これに対しましては、地方制度調査会答申というものは、全然最近考慮に入れておられないような感じがするのでございます。今後行政指導あるいはその他において、府県合併とかいうような問題についても相当積極的におやりになる考えがありますかどうか、それについて一つ局長さんの御意見を承りたい。
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お説の通りに、新産業都市建設が進んで参りますと、各地に相当大規模都市ができて参る、そういたしますと、既存府県区域に縛られておりましては、いろいろな仕事事業もやりにくくなるし、また県間で共同して処理していかなければならない、あるいはまた数県にまたがって総合的な計画を立てていかなければならないといった必要が、だんだんと多くなっていくであろうということにつきましては、私どもも全く同感でございます。  そこで地方制度調査会答申がございましたのは、いわゆる地方案ブロック単位に、一つ地方という広域的な地方団体を作っていく、こういう案でございまして、少数意見といたしまして、三、四府県統合案というものが添付されておったのでございます。この問題につきまして、その後政府内部におきましても、引き続きいろいろ研究は進めて参っておりますが、現在のところ積極的に地方案を実現するとか、あるいは三、四府県統合を進めるというところまではまだ結論を得ていないのでございます。ただ私、行政局長としての立場での感じでございますが、いきなり地方案の実施ということは、いろいろな点でまだ問題が多いのではなかろうか、むしろたとえば、愛知、三重、岐阜三県の統合ということが、地元でかなり論議されておるように伺っておるわけでございますが、そうしたような形で三、四府県統合が、地元の方でその必要が感じられて実現がなされていくといったようなことがございますれば、これはむしろ望ましいことでないだろうか、このような考え方をいたしておるわけでございます。全般的な方針と申しますか、そういうものにつきましては、なお検討中でございます。
  15. 纐纈彌三

    纐纈委員 時間があまりありませんので、簡単にいたしますが、次に、第六条に、「新都市建設に資するため必要な措置を講ずる」ということになっておるのですが、これはきわめて抽象的でございます。必要なる措置という問題につきましては、当局としては、どういう具体的な方策を考えておられるか伺いたいと思います。
  16. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これはたいへん抽象的な、ばくとした規定をいたしておるわけでございます。これにつきましては、財政上の援助あるいは起債、税制等における援助、あるいはまた公共的団体の場合におきましては、電話局統合をやるといったような問題等、いろいろな問題がこの建設途上に起こってくるかと思いますが、それらの場合に、それらを含めましてなるべく必要な措置を講ずるように努めなければならない、こういうつもりで規定をいたしたわけでございます。
  17. 纐纈彌三

    纐纈委員 これはなかなか大事業でございまして、ことに私は財政困難に非常な問題があると思うのでございます。そこでこういう抽象的な必要な措置ということで、何となく物足りないような感じがするわけでございます。そこで特に財政行政と両方の指導が必要なんでございますが、ことに私は、その財政問題という点は、もっと積極的に国がめんどうを見るということを、はっきりうたわれた方がいいのじゃないかというように思うのですが、その財政問題で、特に五市の問題についてでございますが、おそらく五市におきましても、それぞれ財政的の状態が違っておるという問題が一つ起こりますね。税が高いとか安いとか、そういうようなところがいろいろあるだろうと思うのですが、そういった問題は、合併した場合に際して、どういうような調整がとられますか。それに対して一つ……。
  18. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この五市間のいろいろなアンバランスのあります問題につきましては、この三条の規定によりまして、交付税の算定あるいは地方税の不均一課税あるいは国の財政援助、こういったような関係である程度考慮されるわけでございますが、さらに第五条の都市建設計画の中で、市の合併に際して必要な経過措置に関する事項というのを設けておりますが、これにつきましては、いろいろ五市間で住民に対するサービスの上で厚薄の差が現実にあろうかと思うのでございますが、それらにつきましてもならすための必要な経過措置をきめていただいて、それを関係市が誠実に実行するというたような形で、地元の方で自主的にもそういう問題を解決をしていただこう、このように考えておるわけでございます。
  19. 纐纈彌三

    纐纈委員 次には、実は議員合併した後の任期の問題と、それから定数の問題でいろいろ議論があったようでございますが、この特例として二年の延長を認められるということになっておるようでございますが、二年というのは、町村合併の方は一年ということになったようでございますが、合併をしまして二年というのは長過ぎるのじゃないかというような感じがするのでございます。それから定員の問題につきましても、五市それぞれ違っているというような考え方があったのかどうか知りませんが、これを相当ふやせというような問題も出ておったようでございまするが、五市がとにかく合併して、今まででも四十八名の場合ですかね、とにかく相当な数で、二年間もそれだけの者でやってみても、私は大へんなことだと思うのですが、いわんやこれをまた定数をふやすということになりますと、かなり大へん議員数になる。そこでうまく運営する上に、支障を来たすようなことがいろいろできはしないかということも私は心配をするわけでございます。しかしまた合併する各市といたしましては、やはり私ども考えとは別な考え方で、割合に数が少ないからもっと増すのだというような、一年じゃむずかしいからもっと固まるまで延ばしてもらいたい、こういう希望があるのでございますが、一応二年ということで認められた根拠はどこにございますか、それを一つ承っておきたい。
  20. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のように、市町村合併をいたしましたならば、なるべく早く正常な状態になって自治行政が運営されていくということは、これは私どもも望ましいと思うのでございます。ただ実際問題といたしまして、合併を円滑に進めますためには、ある期間議員任期特例を認めていくということが、必要な場合が多いように過去の実例から見ましても考えるわけでございます。そういうような理由から、町村合併促進法では議員任期を一カ年延長することができるように規定をいたされておったわけでございますが、今回この法案で予想をいたしております市の合併、ことに当面問題になっております北九州五市の場合におきましては、従来の町村合併と違って相当大きな都市、しかも今までそれぞれいわば一本立ちでりっぱにやってこられておる市同士合併をいたすわけでございますので、その合併を円滑に進めますためには、従来町村合併に認めておりました一カ年よりも、さらに長い期間特例が認められるように配慮することが、より適切ではなかろうか、こういうような考え方に立ちまして、二カ年ということで御提案をいたした次第でございます。
  21. 纐纈彌三

    纐纈委員 今までの町村合併におきまして、局長さんのお話のように議員任期の問題、それから定数の問題が、合併を進めていく上に非常に大きな問題であったことはわかりますので、そういう意味——ことに町村と違って市でございます。そうして相当な大きな市でございますから、そういう御配慮はもちろん必要だと思うのですが、しかし実際問題として、二年もやることは私は少し長過ぎはしないかと思うのでございます。一応これは特別の考え方ですから、特別措置としてそういうことを考えることは必要だろうと思うのですが、できるだけこれは早い機会において改選するとかいうような点について、行政措置として早くもとの形に戻すというようなことについての十分な指導をしていただきたいということを私は考えておるわけでございますが、それに対しましては自治省の方ではどんなお考えでございましょうか。
  22. 佐久間彊

    佐久間政府委員 私どもも先ほど申し上げましたように、なるべく早く正常な定数状態になって市政が運営されていくということが望ましいわけでございますので、法律の限度といたしましては二カ年の範囲内ということにいたしておりましても、合併後の実情を見てそれほどの必要もないということでありまするならば、先生の御指摘のように、なるべく早く正常な状態になるように指導をするということには、やぶさかでないわけでございます。
  23. 纐纈彌三

    纐纈委員 私も不勉強でございますから、まだこまかい問題についていろいろ問題があると思いますけれども、一応私の質問はこの程度で切り上げたいと思うのですが、ただ最後に、先ほどちょっと指定都市の問題でお伺いしたのですが、将来私は百万ぐらいの程度にやった方が、今までの実績から言ってもそうでございますし、今後また五十万以上の市は相当ふえるということ、もう一つ府県仕事がだんだん削られていくというような考え方からいきますと、五十万以上というのはいささか少な過ぎるのではないかというような感じがいたしますので、こういう問題についても一つ今後御研究をしていただきたいと同時に、新産業都市建設促進法との関係町村合併というものはねらわれておるわけでございますが、そういうような点も一つ自治省として、府県合併はもとより、市町村合併につきましても、実情に応じて根本的な、共通的な法案を作って、各特別の法でだんだん町村合併されるというような線に持っていかれることは、私は自治省としていかがであろうかと思うものですから、そういう点につきましても一つ今後真剣に御検討を願いますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  24. 園田直

    園田委員長 太田一夫君。
  25. 太田一夫

    ○太田委員 市の合併特例法案につきまして一、二お尋ねをいたしておきたいと思います。  まず第一は、この市の合併特例法案でございますが、これが三市合併、三以上の市というのを一つの条件といたしておりまして、いわば北九州の五市合併ないしはその他大阪等に出てきておりますところの多数の市が合併する場合の、その合併を容易ならしむる特例援助なさしめる特例というところから出発をしていて、いわゆる促進という、一般的な市の合併の促進という精神を持たないのである、こういうふうに理解をしておるわけでありますが、そのために少々この中に無理が出てきているのではないかと実は心配するのですが、現在のところでは、北九州に一番その合併要望が強い、ないし大阪府下にもそれが出てきておる。その他は新産業都市ができるなら新産業都市の方でというふうに分かれてくるわけです。そこで政府当局としては、この市の合併特例法案というのはどうしても三市を中心にしなければならないのか、三市というのが絶対の条件であるのかどうか。纐纈さんの御質問の中にもあったかと思いますけれども、ちょっと聞き漏らしておりますので、その点お聞きしたいと思います。
  26. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この三以上といたしました理由でございますが、さしあたり北九州五市の合併念頭に置きまして、なおそのほかの地域にも、若干動いておりますものにも適用し得るようにという形で立案をいたしました関係で、北九州五市あるいはそれに準ずる程度の、同じ市の合併でもある程度規模の大きなものというものを念頭に置きまして立案をいたしたわけでございます。ここでいろいろな合併特例規定いたしておるわけでございますが、これらの特例を認める必要度が比較的高いものに限っていこう。特例でございますからある程度しぼって参ろう、こういうことで実は三以上ということに考えたわけでございます。しかしながら、先ほども纐纈先生の御質問に対してお答え申し上げましたが、絶対に三以上はよくて二はその必要がないんだ、こういうふうにも私ども考えておりません。ただ比較的合併関係の市の数が多い方が、合併につきまして一般的に申しますといろいろ障害もあるし、その障害を排除するために特例を設ける必要度も高いであろう、このような考え方から一つの線としてかようにいたしたわけでございます。
  27. 太田一夫

    ○太田委員 従って、今のお答えでは、必ずしも三市にこだわるわけではなく、あるいは二市一カ町村以上という制限にこだわることなしに、単なる二市の相対合併でもよろしいというふうに、別にそのことにこだわるわけではない、積極的な反対ではないとお答えになったと思いますが、やはり私もそうだと思うのです。この合併特例法が、北九州と大阪あるいは中国の一部と東海の一部だけということでは、あまりにも範囲が狭いのであって、それだけに少々小首をかしげる点も出てくると思うのです。もしそれが二市以上の合併にも適用されるというように、ある程度間口が広くなれば、この内容を審議するのに力が入ってくる、こう思うわけです。これは今のお答えでよく理解できます。  そこでもう一つお尋ねいたしたいのは、第四条、第五条の関係でありますが、合併促進協議会と都市建設計画、これを政府当局ではどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。四条におきましては市の合併をしようとする市町村都市建設計画を作成しなければならないことになり、五条においてその都市建設計画の内容に盛る事項はこうこうこういうことだとなっておる。これは合併する前に、私の市としてはこういう基本計画をもって合併に臨む心がまえでございますというのであるか、それともその素案を持ち寄って、合併促進協議会において統一的な都市建設計画というものを作らせるというお気持なのか、それはどちらでございますか。
  28. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは合併促進協議会で都市建設計画を作成をさせる、こういう考え方でございます。
  29. 太田一夫

    ○太田委員 そういうことになりますと、いわゆる調査をし立案をしなければならないわけでありますから、これは進んでおるわけでございますね。どの程度に当局としてはこれをつかんでいらっしゃるか知りませんが、たとえば一つの水道料金を例にとってみましても、水道料金というのが必ずしも一緒ではないだろう。門司市と北九州の四市とは立て方が少し違っていて、門司市が八立方米まで百四十円で、北九州四市は十立方米までは二百四十円、こういうふうに格差があるわけなんですね。こういう問題を一つ取り上げて、今後水道料金をどうする、こういう問題が出てきたときに、この基本計画では何か割り切らなくちゃならないと思うのです。その基本計画を作る合併促進協議会というのは、おそらく住民福祉の増大という点に力点を置いて、市の発展と住民福祉の増大とは二者不離のものでありますから、従って市民のためになる水道料金の策定ということになるだろうと思うのですが、そういうふうに進めらるべきものでしょうね。
  30. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘の通りだと思います。
  31. 太田一夫

    ○太田委員 そこで念のために伺いますが、八幡から一番小さい戸畑に至るまでの五市の人口比例というのは、いわば百万でありますから、人口数そのものがパーセントになるわけです。八幡が三四%、小倉三〇%、門司一六%、若松、戸畑がそれぞれ一〇%の人口比率だ、こうわれわれは見ておるわけであります。そうしますと、この人口比率というのが最後まで力関係という点におきましては影響して参りまして、基本計画などを作りましてそれを実施する場合に、住民の少ないところは不利になるなんということがあると、せっかくの夢がこわれるわけでありますが、その人口比例というものは、将来合併した後、市政の上において、あるいは都市建設計画の内容において、不利になるということは想像されませんか。
  32. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは合併後の市政の運営の良否にもよることだと思いますが、この人口比例というものが、そのまま発言権の差と申しますか、新市内の勢力の違いということになることは、市政運営上好ましくないことだと考えております。そういうような問題につきましては、都市建設計画を作ります際にいろいろ予想される問題については、協議会で十分協議をしていただいて、そして計画の中にもある程度必要なことは記載をしておいてもらう。そして今後、それをお互いに誠実に実施をするというような運用をやってもらいたい、このように私どもは期待をいたしておるわけでございます。
  33. 太田一夫

    ○太田委員 あなたの方の積極的な指導というのもあろうかと思いますので、これが人口比例によって、多数と少数との関係が算術の比例のような工合にならないように、十分配慮指導されるべき必要があろうと思います。また現地におきましては、そういう点は十分心がけて基本計画を作り実施されると思いますが、同じ基本計画を作っても、人口の多いところから先に着手して、小さいところはあとだということになっても、これはあまり弱い者いじめになりますから、そういうことにならないようにすることがこの合併に眼を入れることだと思います。その点は御指導の精神であろうと思いますので了解をいたします。  さてそこでもうちょっと承りたいのでありますが、五市の、たとえば市民税額と固定資産税額との相互間の割合ですね。何か資料がありますか。
  34. 山本明

    ○山本説明員 市民税あるいは固定資産税その他を全部入れまして、地方税一つをとってみますと、門司におきましては八億二千万くらいになっております。小倉におきましては十五億七千万ほどになっております。若松におきましては五億八千万ほどになっております。八幡におきましては二十二億五千万ほどになっております。それから戸畑におきましては九億三千万ほどございます。そのようになっておりまして、ただいま申しましたのは、昭和三十五年度におきます資料でございます。
  35. 太田一夫

    ○太田委員 今のお話を承りましても、これは必ずしも人口の比例とは合致しないわけでありまして、戸畑という一番小さいところが第三位に上がってくるわけなんです。そういう点から言っても、いわゆる開発水準というのが非常に高いということでありまして、必ずしも人口とその開発度というのは一緒ではないということを考えますと、先ほどもおっしゃったこの合併人口だけを中心としたそういう形でやられると、どこかひずみが出てくるだろうということを心配するわけであります。ですから、戸畑が第三位の財政力、自己財源を持っておるという、この強さというものが、五市合併の大きな推進力、今度の基本計画の実現の推進力になるということになるならば、その人たちの立場というものは尊重していかなければならぬ。東洋の日本のごとく、小さいけれども実力はあるのだ、こういうことにならなければうそだと思うのです。相当に強大なる勢力を持っておるというものを正当に評価してそれを今後の市政の運営に反映させていかなければならない。その反映をさせる方法というのはいろいろあると思いますけれども、その考え方はあくまでも忘れてはいけないことだと思うわけです。今は市民税全体をおっしゃったのですが、何かそちらの方に面積というものの資料はありますか。
  36. 山本明

    ○山本説明員 国土地理院の三十五年度の調べでございますけれども、門司市が六十五平方キロでございます。小倉が二百六平方キロ、若松が五十六、八幡が百十、戸畑が十二平方キロメートルでございます。
  37. 太田一夫

    ○太田委員 水の問題については解決済みでございましょうか。どういうところの水をとって、将来それで十分かどうか。
  38. 山本明

    ○山本説明員 五市の開発事業につきましては、北九州総合開発の一環として検討が進められておるわけでございますが、用水、道路、港湾、鉄道、土地造成というようなものが重点になっておるのでございまして、そのうちでも特に水につきましては、将来一日大体百万トンをこえるのじゃないだろうかという予想がされるのでありますけれども、現況といたしましては、その半分も足りないというような問題がございます。これはこの地方の開発の一番重点になる問題でございますので、当然今後の五市の建設計画の中に大きな問題として取り上げられて参りまして、あの地方の産業の体質改善の一環になってくるだろう、このようにわれわれは考えております。
  39. 太田一夫

    ○太田委員 どういうことか知りませんが、そばに大きな川が流れているのですが、その大きな川を今度の場合十分活用できるかどうか、この五市合併だけでは少々不十分のような気がするのです。従って、さらに将来、近接町村合併というような問題も含んでくるのじゃないかと想像いたします。何にいたしましても、おくれた地域と開発された地域とが渾然一体となって身上を作り、百万以上の人口を持つということになれば、容易ならざる運営でありますから、そこであなたの方も、ここの六条にあるように、国とか団体はそれぞれの建設のための必要な措置を講ずるように努めなければならないのですが、これも必要な措置だから、必要な措置というのは、間口が広く奥行きが深いということでしょうが、必要な措置というのは無限大で、各市町村ともどんな場合でも必要な措置というものを求めておるのでありまして、後進地域の開発法におきましても、あるいは今度の新産業都市法案におきましても、こういう点がいつも議論の中心になるわけです。政府当局においては、本案を御提案なさるについて、財政上特段に配慮をしたという点がありましたら、具体的に、たとえば交付税とかあるいは起債とかでこうこうこう、これを列挙して下さいませんか。
  40. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この第六条の規定は、御指摘のように、まことに抽象的な、ばくとした規定の仕方をいたしておりますが、これは冒頭に御指摘もございましたように、この法案が積極的な市の合併を促進すると申しますよりも、合併障害を排除するという点に重点を置きました関係で、あまり積極的な援助措置規定がなされていないわけでございます。今回この北九州五市の合併についてどういうような財政上の配慮をしたかという点でございますが、第三条に列挙してございます特例の中で、六号、八号、九号、十号というのは、これは財政上の配慮でございます。それから特に指定市になりました場合のことにつきましては、先般御審議をいただきました地方自治法の一部を改正する法律案の中で、たとえば固定資産税の大規模償却資産に関する税金が県にいかないで、そのまま市の財源となるといったような特例規定もいたしたわけでございます。そのほか個々の事業につきましては、その建設計画ができました上で、それぞれ個々に検討をいたし、私どもといたしましても、それぞれ関係者にもできるだけ協力するように働きかける、このような考え方をいたしておるわけでございます。
  41. 太田一夫

    ○太田委員 第三条の六号から七号を除いて十号までが財政援助の具体的な項目である、これは国の財政援助地方債の制限、地方税の不均一課税地方交付税の算定、それから今おっしゃった固定資産税の頭打ち制限の緩和ないしはなくなるということなどが一つ特例とおっしゃるわけですが、そこで、実際これから具体的に市の運営をする場合に、非常に資金がたくさん要るのですが、一つの見通しといたしましては、固定資産税がふえる場合もある。ところが不均一課税によって必ずしも税金をたくさん取ることにはならないということになりますと、自然にふえるのは、県にいく固定資産税が市にとどまるというようなこと以外には、特段に市の財政が豊かになるという点がちょっと考えられませんけれども、これはどうですか。具体的にどれくらい財政的にゆとりが出てくるのでしょうか。概算したものがありますか。
  42. 佐久間彊

    佐久間政府委員 概算をいたしたものを手元に持っておりません。
  43. 太田一夫

    ○太田委員 それでどうでしょうか。概算をしまして、入ると出ると大ざっぱにより分けてみて、今度合併したけれども費用の方がかかってしまって、残るものはかえってマイナスだということにはならないでしょうね。財政的な相当のものが残る、ふえると私は思うのですが、そういうことはありませんか。
  44. 佐久間彊

    佐久間政府委員 私どもも常識的に考えまして、今手元に持っておりませんが、地元の方である程度御検討になりました資料等を拝見をしたこともございますが、合併によって経費の合理的な使用が相当可能になるというふうに承知をいたしております。
  45. 太田一夫

    ○太田委員 合理的な使用が可能になる、同時に財源が豊かになると私は想像しておるのです。特に地方債の制限の特例というのは、これは五カ年でありますか、五カ年に限り特例を認められるということは、学校の建築その他、相当今まで厳重な制限をされておる項目でなければ起債の対象にならなかったのが、非常に緩和されて、基本計画のあらゆるものについて、不足な財源は地方債によることができるということになろうと思いますが、それは相当期待してもいいことでしょうか。
  46. 佐久間彊

    佐久間政府委員 それは相当期待していいと思います。
  47. 太田一夫

    ○太田委員 そういうことになりますと、市の合併には、百万住民の側から見ても、何か明るい見通しが出てくるはずだと思うのです。明るい見通しと希望と期待が生まれてくる、こう私たちは考えていいと思う。  そこで、先ほど纐纈さんの御質問にもお答えがありましたが、この中に盛られておりますところの条件の中に、緩和措置特例の中に、地方議会議員任期特例期間延長、それからまた定数関係とかいうのがありますけれども、在来ありましたところの、町村合併促進法とかなんとかにありますものの援用ということでは、こういう大きな合併に対処するのに非常に不十分なものが出てくることは考えられると思うのです。二年というのは、新産業都市建設促進法の方で二年の延長という項目がありましたが、これは成立するかしないかわかりません。わかりませんが、二年の延長ということをいたしておりますけれども、二年延長しなければならぬという画一的な方法で指導するというよりも、さらに実態に即して世論の均衡、あるいは世論に対する答えのもう少し科学的な方法という意味から新しい特例を作る必要もあろうかと思っているのですが、戸畑などは所属の住民は一割である、そして土地は非常に狭いけれども、産業は高度に発達して、税収においては非常に多額のものをあげている。こういうところなどにおいてこの法案をずっと逆算をしていきますと、五分の一か六分の一の市議会議員定数ということになる場合がある。こういうような場合は非常に気の毒だというよりは地方住民が少々心配をする——議員が気の毒じゃありませんよ。議員が気の毒なんということでないが、地方住民が心配をするというものが出てくるから、その心配を解消するためには、その定数については若干の配慮をするということは、これは一つの科学的な結論だろうと思うのです。そういうものがあっても、政府としては別段そんなものはめちゃなものだということはない。先ほどのお答えはそんなことはめちゃなものではないと思うというふうに何かお答になったと思いますが、そうでしたか、その辺どうですか。
  48. 佐久間彊

    佐久間政府委員 最初の二年間という点につきましては、先ほど申しましたように、二年間をこえない範囲内ということで法律規定をいたしておりますけれども、むしろ合併後なるべく早く正常な状態に落ちついて市政の運営がなされていくということが望ましいことでありますので、もちろん指導上はそういう点を配慮して参りたいと思っておるわけでございます。  それからただいま御指摘のように、議員定数が激減するところがあるので、そういう激減による住民の不安を解消するために、若干の議員定数の上に特例考えることはどうかということでございます。この点につきましては実は政府といたしましても、立案の過程におきましても検討をいたしたこともございますが、まあ一般法の形で提案をいたしておりまするので、一般的に一年なり二年なり任期の延長があったあとで、さらに議員定数についてもプラス・アルファの特例を設けるということは、先ほど申しましたように、なるべく合併後早い機会に正常な議会運営の状態に落ちついてもらう方が望ましいという観点からいたしまして、実は立案の過程におきまして、政府内部においてはそこまで踏み切りができなかったわけでございまするが、しかし国会におかれましていろいろな点を御検討下さいまして、そういうことも考えた方がいいというようなことでございまするならば、私どもも立法論としてもそれは考えられることじゃなかろうか、このように考えておるわけでございます。
  49. 太田一夫

    ○太田委員 永久の利益になるような事業については地方債が相当強力につけられる、こういう見通しが出てきまして、合併の基本計画というのは、都市建設計画というのは明るい見通しがあるように思うのです。ところがさてとなりますると、ローカル的にいろいろな要望がある。私のところは学校だ、私のところは水道だ、私のところは道路だ、私のところは港だ、私のところは電車、バスだ、いろいろあろうと思います。そういうローカル的な要望に対して、今ここでとやかくのことを言うことはできませんけれども地方の住民の要望というものはこの際十分に聞いて実現できるようにしなければならない。それらが基本計画に盛られ、それが立法化せられるための市議会の構成というものも、科学的に合理的になされていくようになっていけばいいと思うのです。ただ、一つ心配になることがあるのですが、北九州というところは、産業経済の発展は非常に著しいのであって、そこで道路も板付に行くりっぱな道路ができていたし、あるいは国鉄などの電化も進んでおるようでありますし、その他民営交通機関が相当たくさんありますが、市営の機関というのは、そういう点では非常に少ない。効果があることはありますが、現状では少ない。そこで市民としては、電車やバスの運賃の値上げは反対である、しかしそのサービスは極力拡大しろという、相矛盾すると言っちゃなんですけれども、お互いにそういう立場に市民生活はなっておりますから、そういう要求が強く出てくると思うのです。そこで現地などにおいてはそれをどうするかというような問題も実は出てきます。住宅の問題、こういうものを一切含めて市民生活の利便を向上するために、新市の発展のためにどうするかということが出てきます。そういうことをおやりになる場合に、最近東京の首都圏のいろいろな計画につきましても今は地方の住民の欲求というものと、東京都なら東京都の都市計画の推進というものが必ずしも調和しない。そのために土地などがどんどん値上がりしてしまって、その値上がりする土地は土地収容法にかけて買い上げて、工場団地、私企業の団地にそれを提供しようとする、こういうような動き法律案となって出てきております。これに対しては今、非常に議論が紛糾しておるように承っておりますけれども、こういうように市が発展する上に極力何か意欲的に推進しようとすると、所有権、市民権というものと、そういう市の計画というものとが真正面からぶつかることがある。こういうときには財政上だけのことでなくて、人道上的な立場も加えてやられるようにしないと、案外とんでもないところでつまづくおそれがなきにしもあらずだと思うのです。確かにこの指導を十分考えていただいて、この市の合併特例法案を作ったことが、実はいいことだったということにしたいものだと思うのです。その点を一つ指導上の御留意をいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  50. 園田直

  51. 阪上安太郎

    ○阪上委員 すでにこの法律案につきまして、かなり質問が出ております。私、できるだけ簡単に五、六点について質問してみたいと思います。  この市の合併特例に関する法律案が本委員会の審議に上りまして、それ以来合併しようとするところの関係市町村が、いろいろとこの法案審議に対して関心を持っているわけなんであります。その中のいろいろな動き考えてみますると、どうも二、三の場所におきましては合併の目的というものをはき違えた傾向が出てきておるのじゃないかということを、私は非常におそれておるわけなんであります。そしてこの法案の第一条の目的等を見ましても、明確な目的というものは明示されていない。たとえばこの法律の第一条によりますると、「市が合併によつて都市の経営を総合的かつ一体的に行なおうとする場合において、その合併を円滑ならしめるために必要な関係法律特例を定めるものとする。」こうなっております。こんなものは目的でも何でもない。かつて町村合併促進法昭和二十五年でありますか施行されて、そして一応現在までの間にいわゆる市の適正規模というものがきまっているはずなんです。それが社会的、経済的な伸展、発展に伴って、新しい事態というものが合併に加わってきている。そのこと自体をずばりと目的にうたっておったならば、合併しようとするところの市町村あたりがいざこざを起こし、本末を転倒するようなものの考え方にはならなかったと私は思う。ところがこの法律案を見れば、全く合併を円滑ならしめるためだけの手段としてこの法律案ができておる。ここに大きな問題があるのじゃなかろうか、こういうふうに私は思うのであります。すでに適正規模というものがしかれたその上に立って、今後さらに合併しなければならぬということであるならば、それだけの理由と目的がはっきりしてくるだろうと私は思うのです。またこの法律案を出した限りにおいて、そういったものも頭に置いて政府当局考えるべきだったと私は思う。それを漫然と、ただ手続的に合併を円滑ならしめるために——こういうようなことでは、関係地元が本末を間違えるようなことになる、なっても仕方がないだろうと私は思う。  そこで、私はあなたにお伺いしたいのは、これはそういった大目的を頭に置かれたところの法律案であったかどうかということなんです。その所見を一つ伺ってみたいと思う。
  52. 佐久間彊

    佐久間政府委員 実際に市の合併をいたします場合には、阪上先生のおっしゃっておりましたように、いわゆる大目的をはっきりとさせまして、そして合併に進んで参るべきである、かように考えておるわけでございまして、おそらく北九州五市の場合におきましても、地元の方においてそのような中身の目的につきましては御検討になっておられるはずでございます。ただ私どもがこの法案において考えましたのは、これは先生の御指摘のように、そうした大目的は当然あるという前提で、そのための合併の手続ができるだけ円滑に進められるようにということを主眼にいたしまして、関係法律特例を定めたわけでございまして、この法案のそういう立法の態度についての先生の御批判は、私どももよく理解できるつもりでおりますが、この法案はそういう態度で立案をいたしたわけでございます。
  53. 阪上安太郎

    ○阪上委員 まさにこの法案が通過する段階に至って、こういう議論をやっておっても仕方がないと私は思う。けれども法案というものは通ること自体が問題ではなくて、やはり審議の過程において、法案の趣旨というものをこの法律を実施する側に立った人に十二分に理解してもらう必要がある、そういう意味において審議の過程は非常に重大だとわれわれ思っております。  そういう意味におきまして、以下少し質問してみたいと思いますが、大体わが国の経済成長、これが近年はきわめて急速なテンポで進んでおります。その結果、地域間の格差というものが、大きな問題として浮かび上がってきているのであります。このことは私が申し上げるまでもない。が、ある場所におきましても、既成工業地帯といえども、経済的な地盤沈下を起こしつつある場所もある。かと思えば、一方において未開発後進地域として今後ますます発展をせしめなければ、どうしても行政水準が上がっていかない、市民の生活水準も上がっていかないというような場所もできてきておる。私はこういったことがはっきりと政府の頭の中にあったならば、こういうどちらかというと単純な、合併のための手段ということではなくして、もっと思い切った財政援助をやっていくとかいうような、積極的な法案としてこれが出てきたのじゃなかろうかと思うのであります。その点私は非常に遺憾に思っております。  そこでお伺いしたいのですが、この法律の第六条でありますか、「国、都道府県及び公共的団体は、新都市建設に資するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。」これは何のことかよくわからないのですが、この「必要な措置」とは一体どういう措置なんですか、これを一つ伺ってみたい。
  54. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この規定はまことにばく然とした抽象的な規定でございますが、必要な措置の中には財政上の措置もございまするし、行政上の措置もございまするし、さらにまた公共的団体と申しますのは電電公社のようなものを考えております。その電話局統合といったようなこともこれに入りましょうし、非常に広範な措置念頭に置いて規定をいたしたわけでございます。
  55. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この法律が施行されたならば、この法律適用を受けようとする数カ地区がありますが、その中でたとえば北九州五市、これは地元等の意見を聞いてみましても、議員定数その他も問題になっておったようでありますが、住民の意向として考えておるのは、この合併をしてくれたならば、住民の福祉が増大するであろうという希望を持っておる。ところがこの五市の状態を私さっと一覧してみましても、この場合この五市が合併して、強力な国並びに公共的団体財政援助がなかったならば、市民が期待しているような福祉の増進にはならぬだろうと私は思う。結局この五市の中で、非常に財政力の豊かな、生活水準の高い、所得水準の高い部門の方が犠牲になって削られて、いわゆる高いところを削って低いところに土盛りするような形においてこの合併が行なわれていく結果が出てくる。一体的なものの考え方に立つならばそれでもいいということであるならば、これはやむを得ませんけれども、住民の期待している福祉の増進というものは、そんなものではない。高いところへ低いところのレベルを合わせていってもらいたい、そういうことになっていくような五市というものを望んでおる、こういうことなんであります。この場合、高いところへ調子を合わすために国やその他の公共的団体財政援助をしてやらぬで、どうして高いところに持っていく土盛りができるか、私はこういうことを非常におそれる。そこでこういうようなばく然としたものの書き方ではなくて、もっとはっきりした財政援助というものの裏づけがなくてはならぬと私は思っております。それでなければ、場合によっては、合併を喜んでおる住民の期待を全く裏切ってしまう、こういうことになるのではなかろうかと思うのであります。これについては、こういう書き方をしておられますけれども、もう少しはっきりした財政援助を講ずるようにしなければならぬというふうに改むべきだと私は思っておる。そういうふうに改めたといたしましても、それでなおかつ財政が確立したというわけにはいかないと思うのです。そこであなたに伺っておきますが、一体、行政的にどういう財政措置を講じますか、この際はっきりして下さい。
  56. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは一般法の形で御審議を願っておりますので、一般的にはばく然としたことしか申し上げられぬわけでございますが、北九州五市の合併につきましては、御指摘をいただいておりますように、これは非常に画期的な大きな合併でございますし、しかもそこの都市の発展と住民の福祉を増進するために、解決をしなければならない仕事がたくさんあるように私どもも存じておるわけでございます。ただ人口が多いから、それでもう十分実力があるのだ、財政力があるのだとは決して考えておらないわけでございまして、今後国といたしましても、北九州五市の合併後の新都市建設につきましては、十分財政上の援助を配慮していかなければならない、かように考えておるわけでございます。そこで、私ども、この建設の過程におきまして、都市建設計画がきまりましたならば、その都市建設計画に盛られました事業につきまして、これは中央におきましては必ずしも自治省だけの所管すべき問題ではないと思いますので、自治省が幹事役になって関係各省にもよく連絡をとりまして、それぞれの事業について、それぞれ必要な財源措置が講ぜられるように、私どもといたしましては努力をいたしていくつもりでおるわけでございます。
  57. 阪上安太郎

    ○阪上委員 まだはっきりしませんが、建設計画ができたならば、何年計画になるかよくわかりませんが、それについて、必要な部門については他省といろいろ話し合いをして自治省財政援助のあっせんをする、こういうような意味のことだと思うのです。人のふところをあまり当てにしておってもなかなかうまくいかない。もちろんそういう努力はしていただきたい。同時に、自治省としてどうするかぐらいのことはこの際あなたははっきり示したらどうですか。あなたの方で持っている、措置できる財源はあるわけですね。起債、特例債等も考えられるでしょう。あるいは交付税というようなものも考えられてくるでしょう。そういったことについてもう少しはっきりお答え願えませんか。
  58. 佐久間彊

    佐久間政府委員 起債につきましてはもちろん優先的に配慮して参りたいし、そのほか交付税等について自治省所管で措置できますことにつきましては、できるだけ重点的な配慮をしていきたいということは省内でも一致した意見になっております。
  59. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ぜひ一つそういうふうにしていただきたい。かつて町村合併促進法が施行され、合併計画はできたが、その四〇%程度しかそれが実施できないというような段階で合併が終わってしまっておるという過去の苦い経験等も考えてみたときに、多くの期待を持った住民が、やってみたところが、計画はできたけれども、それがなかなか実施できないという状態では何にもならないと思います。ことに、この新産業都市法律がまるで通過するように、「新産業都市建設促進法規定する市町村合併との関係」というような条文が出ておりますが、これ自体がどうなるかわかりません。しかも先ほど言いましたように、一応適正規模がきまってから、今後行なうところの合併については、先ほどは一つ地域開発を例にとったのでありますけれども、何らかそういう大目的がなければならぬのだ、そういうことをうたっております。新産業都市建設促進法が通過しましても、はたして今問題になっておりますような北九州五市がその指定を受けるかどうかということについては問題点があろうと思う。そういった場合に、こういった合併特例法を出すということになれば、この法律の中においてもそういうものをこなしていくという形が出てしかるべきだと思います。多くを新産業都市に期待をされておる、しかも新産業都市指定しようとする区域なんというものは、全国でわずかな区域だということもほぼ想像されております。従って、もう少しこういった法案については、そういった地域開発をやっていく、経済的、産業的地盤沈下を起こしておるような場所を再開発をやっていく、そういった受け入れ態勢を整えるという意味における合併であるというような、そういう大目的が掲げられておる、そうしてこのわが国の歴史上まれな大合併が行なわれておる、こういうことであるならば、私は筋が通ると思う。同時に、そうだとすれば、国の援助を思い切ってやってもいいのではないかと思う。それがこの特例に乗らない市町村との関係もあって、なかなか思い切った財政措置をすることができないのだというような古い考えでもって依然として政府当局は終始しておる。こういうことではこの法律を作ったって何の値打もない、こういうように考えるわけです。ですから、国及び都道府県、ないしその他の地方的公共団体、こういったものの財政的な援助あるいは施設的な援助を、十分与えてやらなければいけない。私は繰り返しこのことを要求しておきたいと思うのであります。  それからいま一点は、この三条にございます議員任期の延長ですが、これを二年とされた根拠は何ですか。
  60. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは合併を円滑に行ないますためには、議員任期につきまして、経過的に若干の特例を認める必要があるということにつきましては、すでに町村合併促進法に先例もございまするし、実際合併指導いたしました私どもの経験から申しましても、その必要が感ぜられたわけでございます。ただ従来の一年を二年に延長をしたことで立案をいたしました理由は、この市の合併の場合におきましては、通常の町村合併の場合と違いまして、合併をする関係の市がそれぞれすでに相当な実力を持ったもの同士の合併でもございまするし、かつそれが数個の市であるということになりますと、合併を円滑に進めますために、また合併後の初期の建設を軌道に乗せますためにも、従来の町村合併に認めました期間よりも若干長い期間が必要ではなかろうか、このように考えまして二カ年ということにいたしたわけでございます。
  61. 阪上安太郎

    ○阪上委員 確かに根拠としては、かつての町村合併促進法における一年以内ということは、当該議員によって合併計画を樹立して、そうしてある程度実施期間を見守っていくというところから出たものであるという考え方は、私は正しいと思うのであります。この場合に二カ年ということにされたのは、都市合併関係合併市の規模が、非常に大きいということによって二年にされたのですか。その点をさらに確かめておきたいと思います。
  62. 佐久間彊

    佐久間政府委員 一口に申しますと、合併規模が大きいし、合併をいたしますにつきまして、いろいろ問題も通常の町村合併の場合よりも多いであろうということを考慮いたしまして、二年といたしたわけでございます。
  63. 阪上安太郎

    ○阪上委員 しかしどうなんでしょうか。合併後一カ年以内に建設計画のマスター・プランができ上がらぬというようなことではだめだと私は思う。この点はどんなふうにお考えになりますか。二年という期間はやはり必要ですか。
  64. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先刻もお答え申し上げましたが、私どもといたしましても、二年という限度は規定をいたしておりましても、なるべく早く通常の議員定数に落ちついて、新しい市政の運営をやっていかれる状態になるということが望ましいとは思っております。従いまして、これは二年をこえない範囲ということでございますので、実績を見て関係団体がもっと短い期間で切り上げようということになりますならば、これはむしろ喜ばしいことではなかろうか、かように考えております。
  65. 阪上安太郎

    ○阪上委員 喜ばしいことではなくして、もう少し指導性を持って下さい。一カ年以内にマスター・プランができ上がってくる、いよいよ実施のめどがつく、こうなった場合には、法の趣旨としては当然解散をして、新しい議員定数によるところの議員を選出するということが望ましいのではなかろうかと私は思うのですが、その点はどうなんですか。
  66. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御説のようにそういうことが望ましいと思います。
  67. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その行政指導はどういうふうにしてなさいますか。どういう時期をねらいますか。
  68. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これはこの法律が成立をいたしましてから、合併の議決が行なわれまして、引き続きいろいろな合併に関する調査が行なわれ、また建設計画を立てる作業も進んで参るわけでございますが、さらにまた合併になりましてからも、合併直後のいろいろな事務の引き継ぎ、その他仕事がたくさんあるわけでございます。それらの進行の状況を見まして適宜指導をして参りたいと思っております。
  69. 阪上安太郎

    ○阪上委員 よくわかりました。ぜひそういう方向で行政指導を願いたい。  それからこの二条によりますと、非常に疲弊しているところの産炭地等の市町村合併関係というものは、この法律では救われないと思うのです。これはどういうふうになさいますか。
  70. 佐久間彊

    佐久間政府委員 産炭地関係市町村におきまして合併必要性があることは、私ども承知をいたしております。実はこの法案立案いたします過程におきまして、産炭地関係町村合併についての特例も、この中に規定をしてはどうかということを検討いたしたこともございますが、この法案を提案いたします段階までにおきましては、まだ政府部内におきまして結論を得ませんでしたので、市の合併だけについての特例として提案を申し上げたわけでございますが、疲弊をいたしました産炭地の市町村の振興のために合併の必要があることは、私どももその通りでなかろうかと考えておるわけでございます。
  71. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この際、安井大臣にちょっと伺ってみたいと思いますが、実は一昨日でありましたか、この法律ができたならば、その適用を受けようとする計画が北大阪四市にあるわけですが、その中の一つの市が上京して参りまして、この法律の二年という議員任期の延長、これがそのままに通るならばぜひとも合併したい。合併理由は、その二年延長に非常に地方議員が魅力を感じている、こういうことなんであります。私は非常にその点をおそれておるわけでございまして、善意でもってほんとうにわれわれの合併のいろいろな実質上の隘路となるこういった問題についても、非常に苦慮して考えておるわけなんでありますが、法律もそういった点を考えたのでありましょうが、ここに在来の町村合併の場合の議員任期の延長の一カ年というものをさらにもう一年延ばして、二カ年以内とされておる。現に一方においてそういう悪用をしてくる者も多い。ですから、先ほどもちょっと局長に申しておいたように、二カ年以内としたけれども、実際のねらいというものは、合併計画等が立案されて、そうして実施の見通しがついたならば、できるだけ早くこれは解散に持っていって、新しい定員によるところの議員を選出して、しかも一体性のある市の行政というものを作り上げていくということが私は望ましいのではないかと思うのであります。この点につきまして一つ大臣の明確な覚悟のほどを伺っておきたい、こう思うのであります。
  72. 安井謙

    ○安井国務大臣 御承知のように、二年という期間が妥当なものであるかどうか、それよりはできる限り早く新しい議員の選挙によって町作りの態勢を作ってはどうか、こういう御意見だと思いますが、これは私も御意見としてはごもっとものことだと思います。ただ、いろいろな跡始末その他の事情から、ただいまのところ二年間の猶予というものを置いておりますが、しかし、そのうちでもできるだけ行政指導等によって、早く立て直しのできるように、新しい議員でやれるように指導していきたいと思っております。
  73. 阪上安太郎

    ○阪上委員 どうぞ一つそういうふうに行政指導をお願いいたしたいと思います。  それから、いま一点大臣に伺っておきたいと思いますが、先ほども触れておきましたが、たとえば今回この法律適用を受けようとする北九州五市に例をとって考えてみましても、国並びに都道府県等の財政援助というものがなければ、下手をすると、高いところを削って下の方へ土盛りをするという状態になってしまう。ところが地元の住民の考え方はそんなものを望んでいない。その種の合併が行なわれたならば、住民の福祉というものがこれによって相当拡大されていくのだという期待を持っておるようであります。ところが現実にはそういう方向をたどっていくということであっては、これは何にもならないと思うのであります。また過去の町村合併の例を考えてみても、やはりそういうことが言い得ると思うのです。またこの法律が、単に合併を円滑ならしめるというような程度のものであっては非常にさびしい、もっと積極的な何らかの意図がなければいけない、大目的がなければいかぬということを私は申し上げておったのです。どうもこの法律案の条文によりますと、そういった意味における国の援助というものが的確に出ていない。このことにつきまして、私は相当思い切ったところの財政措置というものを講じてもらいたいと思うのであります。そして先ほど局長に伺ったところが、合併してその建設計画ができたならば、その事業を推進するために必要なところの各省間に対する働きかけはやってみたい、こう言っておる。そのこと自体は私はけっこうだと思いますが、それだけにたよっておったのではこれはだめだ。自治省として、自分の手持ちの財源というものを、どういうふうにぶつけてやるかというところを明確にしてもらいたいと言ったのでありますが、その場合、起債については優先的に認めていきたい、地方交付税等についても考えてみたい、こういうことでございます。この点につきましては、大臣がいなかったので、佐久間局長はあまり堂々たる答弁におそらくならなかったと思うのですが、幸い大臣が見えたので、この点につきまして一つ明確な御答弁を願っておきたい、こういうふうに思います。
  74. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話の通り、この町村合併というものは、それが合併することによって自治体の機能がさらに拡大され、行政財政の水準が全体として向上することを期待することは、おっしゃる通りでございます。そういうために、できるだけ低い方へ右へならえじゃなくて、高い方へ右へならえという方向で進めていくことが当然だとわれわれも思っております。ただ合併をすれば何か右から左へ非常に特別の恩恵があるというふうにすることにも若干弊害があろうかと思います。そこはおのずから全体のバランスを考えながら建設的な面で推進をしていきたいと思います。  それから北九州というようなところの合併につきましては、特に今の合併意味というものを重んじて、起債なりあるいは交付税といったようなものにつきましても、できるだけ優先的なものを考えていきたいと思っております。
  75. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大体満足いたしましたが、言葉じりをつかまえるわけじゃありませんけれども北九州五市の合併などというものは、むしろ自治省地域開発的な大目的、大見地に立って推進してきた傾向があるわけです。それだけに、やはりもう少し真剣な財政援助をしてやるべきだと私は思うのです。これらは一つとくとお考えいただきたいと思います。これで終わります。
  76. 園田直

    園田委員長 門司亮君。
  77. 門司亮

    ○門司委員 率直に聞いていきますから簡単に答えて下さい。先に聞いておきたいと思いますのは、この市は当然指定市になろうかと思いますが、その時期は大体いつごろとお考えになっておりますか。いわゆる政令で定める指定市です。
  78. 安井謙

    ○安井国務大臣 今の予定としましては、来年の四月一日を考えております。
  79. 門司亮

    ○門司委員 来年の四月といいますと、約一年ですが、一年で、地方自治法二百五十二条の十九かに定めております指定市の権能が、完全に遂行できる都市の態勢が整うというようにお考えですか。
  80. 安井謙

    ○安井国務大臣 相当大がかりの市の合併でございますので、手数がかかるかと思いますが、今まででもそういう心組みでそれぞれの市も準備を進めてきております際でもありますし、なるべくこういったものは早く進めた方がいいと思いますので、その期間に十分準備を整えることを完了したいと思っております。
  81. 門司亮

    ○門司委員 このことは非常にむずかしいのでありまして、御承知のように、自治法ができて、そしてさらに今の二百五十二条の十九ですかの指定市の権能という修正をしてから相当長いのです。最初の自治法にはこんなものはなかった。特別市というものがはっきり書いてあって、特別市ができないから身がわりに指定市の十六項目というものを移譲した、いわゆる権能というものがここへ入ってきた経緯を持っています。従って、その後現在では五大市の十六項目の権能の完全実施というものについては、かなり大きな紆余曲折のあったことを大臣も御承知だと思う。ことに一番てこずったのは大阪であります。大阪が府と市の関係で最後まで残された、いわゆる十六項目の一番最後に書いてある建設行政に関しての移譲が非常に困難になった。そうして問題を起こした事実があって、私も苦い経験を持っておる。特別市を廃止して——これはGHQの指図でありましたから、特別市はむろんあの当時のGHQの意向で削ったのでありますが、しかしその後の行政の運営を見てみますと、そういう不都合が実は生じておりまして、かりに大臣の御答弁のように、来年の四月に政令で指定市にされるということになりますと、その以前にこういうものについては万全の策を講じておきませんと、指定市の方でかなり失望があり、また行政上の混乱が出てくると考えられるから私は心配するのです。その間に、府県と、今度の場合は福岡県ですか、県行政と、合併された後のこういう問題についてもある程度打ち合わせが済んでおらなければ、これは手続上かなりめんどうなものがあります。中には条例で定めればよろしいようなものもありますけれども、建築行政とか、その他の環境衛生関係の許可行政については、かなり私は問題があろうと思います。これには多少の警察行政も入って参りますし、この点はどうなんです。見通しがついておりますか。  ついでだから申し上げておきますが、たとえばあの当時における警察行政についても、公安委員の選出基準等についてもかなり妥協的なものが実は認められておったのであります。そうして、公安委員の中に、五大市の選出する公安委員というものを県はそのまま認めなければならないというような形をあの当時とっておったのです。現在は私はもうそういう心配は要らないのじゃないかと考えられる。しかし、少なくとも法律に基づく十六項目が移譲されて、行政が円滑に行なわれるとすれば、そういう点は十分話し合いをしておかなければ、両方の間に問題を起こしはしないか。どうなんです、その間ざっくばらんに、話し合いが十分できているならできているでよろしゅうございます。一つおわかりの点があったらお答えを願っておきたいと思います。
  82. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話のような指定都市といいますか、特別市と府県との摩擦が今まであったことは事実でございます。そのために当局もいろいろ苦労いたしておりました。しかしこれも一応一段落がついて、その基盤というものは確立したわけであります。ことに九州五市の場合には、県もこれに対して非常に理解を持っております。今までの話し合いも両者の間が非常に円満に進んでおりますので、こういった問題も、おっしゃるように相当技術的に厄介な面がありますが、大体円満にいくという見通しを持って、来年の一月に事実上の合併をやりまして、それから四月ごろまでの間に手続上のものをきめていく。しかしきちんと四月に手続上のものが全部が全部きまらない場合がありましても、これは経過措置としてやっていけば、大体地元との関係についてはめどがついておるというふうに私ども思っております。
  83. 門司亮

    ○門司委員 その点は私の老婆心といいますか、従来の経験に基づく一つの問題であります。実はこれを移譲するということになりますと、実際上の困難があろうと思う。その場合に、やはり少なくとも新市の方がそれを受けて立つだけの十分な資格とまで申し上げませんが、要素が備わっておらなければ、移譲されても混乱がまた出てくる。ことに建築行政に、はなはだしい混乱が出てくる。従って、その間は一つ十分に自治省として気をつけてもらいたい。そうして、あわせて住民が迷惑をしないように、そういうことをこの機会に一応申し上げておきます。  それから次に、関連したもので聞いておきたいと思いますことは、現在法律で定めた指定市の指定を受ける資格を持ったものが川崎福岡と札幌と三つあるわけですね。これは、いずれも法律上の指定を受ければ受けられる資格を持っているのです。これは資格要件が、ただ「人口五十万以上の市」としか書いてないのですから、まあ資格を持っている。これらの問題がもしこれに付随して起こってくる場合の大臣の心がまえはどうですか。みんな指定市にされますか。
  84. 安井謙

    ○安井国務大臣 川崎福岡、札幌には一応資格要件があるということは言えるかもしれませんが、また現在指定しております規模に比べますと、かなり小さいものでありますし、今直ちにこれを指定市にしようというふうなつもりは今のところまだ持っておりません。
  85. 門司亮

    ○門司委員 私はこの際、この間の委員会でも大臣に申し上げましたように、地方自治法の全面的改正に踏み切って考えるべきじゃないか、大臣地方制度調査会に頼んでおるからということで逃げられたが、そういう点が出てくるのです。だから、あと五十万市というのは幾らでもできますよ。新産業都市計画が進んでごらんなさい、かなり日本の国にできてくると思うのです。今すぐにできるのは岡山です。これは一つの市にはなかなかならないと思う。この場合非常に困難がある。たとえば市が七つですか、町村が二十六ですか、全部で三十三の市町村合併をするということを現在考えておる。この新産業都市が通れば、すぐそれに移ろうという気がまえを持っておる。これは始末が悪いというか、かなり大きなものであって、しかも岡山県の人口の五三%強を集めて、地域としても、岡山県全体の二一%で非常に大きい市ができる。しかし人口は百万になりません。今は百万になっているかもしれませんが、三十五年度の国勢調査では八十九万六千なにがしでございます。しかし、こういう形が一面において出てくる可能性はあります。これは、私はごく近いうちに新産業都市が通れば、すぐこの構想は出てくると思います。すでに岡山では、御承知のように、東大の教授を中心とした十数人の学者の諸君に頼んで、青写真は全部でき上がっております。俗に水島地区の産業開発といわれておりますが、それにつけても、私は十分考えてもらいたいと思いますことは、この法律と新産業都市建設促進法とは非常に大きな関連を持っておるということと同時に、この六条には、先ほど阪上君からも指摘をされましたが、「新産業都市建設促進法規定する市町村合併との関係」というふうにはっきり入れているということです。しかし、この新産業都市建設促進法は通るか通らぬかわからぬのです。まだ提案されているだけでしょう。しかもこれが通って参りますと、新産業都市建設促進法の十九条から二十条以下の条文というものは、かなりはっきりした財政援助というようなことをずっと書かれているわけです。ところが、この法律にはそんなことはちっとも書いてない。ただ「必要な措置を講ずるように努めなければならない。」というふうにしか書いてありません。ところが、新産業都市建設促進法が通って参りますと、今申し上げましたように、十九条、二十条以下に何と書いておりますか。ここではおそらく地方債の問題を書いておると思いますが、二十条は「資金の確保」それから二十条以下は大体新市町村建設促進法に沿ったいろいろな措置を講じなければならないと書いてある。  そこで問題になりますのは、この法律にはもう少し明確に——この新産業都市建設促進法が通れば幾らかいいか知りませんが、もしこの国会でこれが通らなかったとするとどうなりますか。財政援助その他というものはどういう形で行なわれることになりますか。その辺が心配になるのですが、こういうまだ通ってもいない、今、提案されている法律を仮定のものとして、この法律で今通すことがいいか悪いかということです。もしこの法律が通らなかったら、われわれきわめて不見識のそしりを免れない。通りもしない法律法律の中に入れているじゃないかということになる。これは大丈夫ですか。いいのですか。通りますか。通らなかったらおかしな法律になりますよ。
  86. 安井謙

    ○安井国務大臣 これは国会で御審議をいただいておりますし、当委員会の直接の担任ではございませんので、私からあれこれ言う筋ではございませんが、実は、きょうも直接担当の藤山企画庁長官から、閣議で、若干地方自治関係の部分についての修正があるかもしれぬが、これの目鼻もついて、ぜひ通すつもりだ、こういうふうな報告もあったわけでありまして、何とかこれは通していただき、両々相待って今後の促進を進めていきたいと思っております。
  87. 門司亮

    ○門司委員 私はこの間、藤山さんに委員会でこの質問をしてみたのです。かなりこの法律もずさんな法律でありまして、受け入れにくいのですね。実際は法律の中にも明らかに町村合併促進とはっきりずっと書いてある。何のことはない。新産業都市建設促進法というのは都市合併促進法なんですね。政府考えておるような地域格差をなくするとか、あるいは行政の円滑化をはかっていくというようなことのために、工業を配置する、あるいは工場を配置するというのとは違うのですね。そういう関係で新産業都市建設促進法にいたしましても、政府考えておることは、ほとんど町村合併のような形でものを片づけようとする考え方にすぎないのです。一方においては、自治省が中心になってこういう法律をずっとこしらえられる、一方は、経済企画庁が立案して新市町村合併促進法というようなものをこしらえていく、しかもその内容はまちまちだというようなことでは、私どもこういう法律をちょっとちゅうちょせざるを得ないのです。だから問題の筋としては、あの法律が通らなければこの法律は通せない、こういうことになるのじゃないですか。大丈夫ですか。通してしまうと、こういう現行法にあらざるものが書いてあるということで、法律の権威というものは全くなくなるのです。その辺を私は心配するのですが、大丈夫ですか。
  88. 安井謙

    ○安井国務大臣 新産業都市建設促進法案といろいろな点で関係のあることは事実でございます。しかしこの法案自身は、今の五市合併あるいは一般市町村合併のため、ぜひ必要な技術的問題を解決したいということでありますので、むろんお通し願いたいと切望する次第でありまして、同時に新産業都市につきましても、お話しのように、これは企画庁が取りまとめ役になったのでありまして、各省それぞれ関連がありますので、それぞれのものを持ち寄っておるという点で、特に自治省関係といいますか、地方行政の部門において若干の欠陥もあったという点で、この点はそれぞれの御意向を聴取しまして、何か修正も行なわれるというような見通しもついておるようでありますので、これも通ることは間違いなかろうとわれわれも期待しております。ぜひ一つこの法案は御促進御可決願いたいと思う次第であります。
  89. 門司亮

    ○門司委員 実際上の問題としましては、この六条はもう少し改めて、そうして新産業都市建設促進法関係のないような形でここは書き直しはできませんか。今からでもおそくはないと思うのです。まだきょう約一時間くらい時間がありますから、書き直すつもりなら書き直せると思う。新産業都市の方には十九条、二十条以下にかなりはっきり書いてある。たとえば地方債についての配慮であるとか、あるいは資金の確保であるとか、地方税の不均一課税に伴う措置であるとか、こういうものが財政的にずっと書いてあって、行政的には関係市町村規模の適正化というような文字がタイトルとして出ておりまして、いろいろな計画がかなり親切に書いてある。私は、この種の法律を、しかも特別法で通そうとすれば、自分の長い間の一つの念願でもあり、また日本の都市行政全体を見て参りまして、当然一体性のある地区で幾つかの行政区に分かれているということはあまりおもしろい形ではないと考えておる。だからこれが一体性になることは、事実から見ればおそ過ぎるので、当然統一され合併さるべきものであることには間違いありませんが、しかし政府の施策としては少し手ぬるいような気がするのです。そうしてこの別の法律に頼ろうとするところに問題があると思う。財政措置なら財政措置、起債措置なら起債措置ということをはっきり書いたらどうですか。財政措置は、起債の問題についてはこうする、あるいは国が援助すべきものについてはこうするという——一方において産業都市法律が出ているのですから、その方がすっきりして、私はこの法律審議が非常に都合がいいと考えているのですが、もう一度その辺を大臣から態度をはっきりさしていただきたいと思います。今申し上げましたのは、十九条以下の財政でありますけれども、五条以下に書いてある行政も、かなりこれに関連を持っていると思うのです。この新産業都市建設促進法の五条以下に書いてあるところの行政上の措置もかなり関連性があると思う。だからどうもこの法律は不十分だと思うのですが、ほかの法律にたよってみたり、それからその内容がかなりめんどうを見ない、通り一ぺんの、合併さえすればそれでよろしいのだというせつな的の法律にどう考えても見えるのです。だから大臣は、もう一度行政的にも財政的にもお考え直しになることはできませんか。
  90. 安井謙

    ○安井国務大臣 私ども、この合併に関して直接障害になると言いますか、促進させるに必要な措置をこれで列挙しておりますが、精神は、そういうものによって合併したものが、さらに財政的にも行政的にも向上していくということを期待しておることはむろんでありまして、そういう意味で御審議を願っておるのであります。あるいは言葉として何かそれを考えることがいいかどうか。私どもはこれで一応いけるのじゃないかと思っておりますが、その点はこの委員会の御意思もできるだけ尊重していきたいと思っておる次第であります。
  91. 門司亮

    ○門司委員 これでやめますが、私はこの前の委員会で大臣に聞いてちょっと私わかりかねて、それから大臣もおわかりにくかったようなことがあったような気がしますから、その点だけ確めておきます。この種の合併とこの新産業都市建設促進法との関連性から、どういうものが出てくるかと言いますと、私が今、岡山の例を引きましたが、岡山は三十三の市町村合併することになれば、これは直ちに一つの複合体として都市行政における機能を十分に法律的に発揮するかどうかということについては疑問がある。少なくともやはりこれは集中的な分散方式をとる以外にないと思うのですが、そうしなければ、あの地区の開発も非常に困難であろうし、行政上にも複雑な問題が起こって来やしないかと思うのです。思い切って、三十三であろうと、四十であろうと、その条件が違っておろうと、都市の形ができなければならないような同じ地域的な条件を持っておれば、新産業都市建設促進法に基づく一つ指定地としてこれを取り扱っていく。しかしその後の行政というものは一体どうするかということは、今申しましたように、幾つかのものが分散しておるが、しかし実際には一つの市としての取り扱いをしていくという形をとることがよろしいのか、あるいは複合的に県と市というものが今あるのですから、そういう形で一体性のものとしての態度をとることがよろしいのかということは、かなり私は疑問があると思うのです。これから先もこういう問題が出てくることになると、かなり地方行政については問題が出てくると思うのですが、その辺はどうお考えですか。どっちの方がとられるとお考えになっているか。これはここだけではありません。方々に必ずこの問題は出てくると思います。市と町村とのかなり大規模——これは数だけですよ。人口だとか面積だとかいうのじゃなくて、自治体のかなり多くの数が統一される可能性が出てくる。その場合に、この法律と同じような形で議員の数をそのまま認める、あるいはそのまま任期を長くするというようなことになって参りますと、おのおの次の都市になったときにも、現在の行政区の単位に一応議員の単位を考えるということになったら、収拾のつかぬものになる。それを心配いたしますと、ここにこういう法律をこしらえる限りにおいては、この新産業都市建設促進法の方でできるそうした新しい——ただ都市としての、あるいは産業関係からしての一体性を持っているからといって指定区域になって、今申し上げましたように、行政が分散方式をとるのか、あるいは複合方式をとるのか、そうして法律的機能を発揮するのかという学問的にむずかしい議論がいろいろ出てくると思う。そういうことを心配いたしますので聞いているのでありますが、どういう処置をされるつもりでありますか。
  92. 安井謙

    ○安井国務大臣 大体これからの新しい自治体の総合的な発展というものにつきましては、新産業都市建設促進法を中心に進めていきたいと思っております。これに対して地方行政面の若干の不備があるということもありまして、これは今それぞれ御検討を願って、ある程度そういった補完をするための修正も行なわれるのじゃないかと私ども思っております。しかし同時に、新産業都市建設促進法で進め得ない部分について、あるいは技術的に単なる合併というような問題については、今ここに出しておりますこちらの法律適用する場合もありますが、これからの総合的な開発というのには、主として新産業都市建設促進法というものを適用していきたい。それから岡山の例でございますが、これはお話の通りたしか特殊の事情でございまして、これにはいろいろと各方面から相当検討も進めなければなるまいと思っておりまして、今私どももこれを慎重に検討しておる次第であります。
  93. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員 時間がだいぶ経過いたしましたが、ちょうど大臣がお見えになっておりますから、あるいは今の門司さんの御質問にあったかと思いますけれども、ちょっと伺っておきたいのであります。  と申しますのは、この立法はまことにけっこうであります。ことに三市以上のむずかしい問題がこれで解決を見ました。さらに先ほどの局長の答弁では、二以上の都市について考えて差しつかえないという御答弁でございまして、けっこうでございますが、実はこのような具体的に起こった問題について、そのつどそれにふさわしい法律を作っていくというような行き方でなしに、新産業都市、それからもう一つは農業基本法に関連して構造改革という問題があります。その中でいろいろ審議をやってみますと、町村などにおきましても、構造改革に関連いたしまして、数個の町村が共同して処理をするような事柄がだんだん出て参ります。現在の町村なり市なりの大きさというものが、どっちかというと旧時代的な形になっております。そういう要請がだんだん出て参りますし、新産業都市の際に、私もちょっと申し上げましたが、二つ府県にまたがる地域で経済的な単位をなくしている、こういうものの扱いにつきましても非常に窮屈になっておりますので、地方制度調査会等において御検討になっているというお話ではございますけれども、どうかその場その場の措置でなしに、都市町村とを含めた、また府県をも含めたところの今後のあり方等について一つ根本的に御検討いただいて、自治庁としてはそういうことについての意見をおまとめになる段階にもう来ていはせぬか。さらに町村合併ということではなしに、都市連合のような、トロント方式と申しますか、これは行政能率は十分に上がらずに、日本の国情に合わないかと思いますけれども、広いそういう面をあわせてお考えいただきたい。先ほど纐纈委員の御質問にも府県合併の問題が出ております。私もそういう点についてもこの際お考えになる時期じゃないかと思いますので、この点についての大臣の御決意と申しますか、御構想を聞かせていただきたいと思います。
  94. 安井謙

    ○安井国務大臣 この点は小澤委員のお説の通りだと思います。私どもは、産業都市といった形の発展、それから単なる市の合併というもの以外に、相当な地域の自治体の広域の連合行政というものがどうしても必要だと思っております。実はもし間に合うならこの国会にでもと思っていろいろ検討も進めて参ったのでありますが、相当いろんな問題を含んでおりますし、この国会には間に合いませんでしたが、ぜひ、そういった府県にまたがるもの、また市町村にまたがるもの、そういった広域の行政の運営のあり方について、基本的な態度をきめて、早急に具体化したい、こう思っております。
  95. 園田直

    園田委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  96. 園田直

    園田委員長 ただいま委員長の手元に、渡海元三郎君、田川誠一君、阪上安太郎君及び門司亮君提出の市の合併特例に関する法律案に対する修正案が提出されております。     —————————————   市の合併特例に関する法律案   に対する修正案  市の合併特例に関する法律案の一部を次のように修正する。  第二条第一項中「三以上の市」をコ一以上の市」に改める。  第六条中「必要な措置」を「必要な財政上その他の措置」に改める。  附則第三項を附則第七項とし、附則第二項中「この法律は」を「この法律(附則第六項ただし書の規定を除く)は」に改あ、同項を附則第四項とし、同項の次に次の二項を加える。5 第三条から第六条までの規定  (第三条第一項ただし書中町村合  併促進法第九条第一項第一号に関  する部分の規定並びに第三条第二  項及び第三項の規定を除く。)は、  産炭地域振興臨時措置法(昭和三  十六年法律第二百十九号)第二条  第一項に規定する産炭地域の全部  又は一部をその区域とする市町村  の廃置分合で市町村の数の減少を  伴うもの(第二条第一項に規定す  る市の合併を除く。)について準用  する。この場合において、第三条第  一項ただし書中「同法第十一条の  五中」とあるのは、コ十五をこえ  ない範囲」とあるのは「四十をこえ  ない範囲」と、同法第十一条の五中」と読み替えるものとする。6 前項の規定は、産炭地域振興臨時措置法の失効の時にその効力を  失う〇ただし、同法又はこの法律  の失効の時までに行なわれた同項  に規定する市町村の廃置分合につ  いては、その時以後もなおその効  力を有する。  附則第一項の次に次の二項を加える。2 新都市人口が五十万以上とな  る市の合併でこの法律の施行の日  から起算して一箇年以内に行なわれるものについては、第三条第一  項ただし書中コ一箇年」とあるのは二年六箇月」と、同条同項第一号中「町村合併促進法第九条」とある  のは「町村合併促進法第九条第一  項、第二項及び第四項」と読み替えて同条同項の規定適用するこ  とができる。この場合において  は、町村合併促進法第九条第二項中「定数の二倍に相当する数」とあるのは、「定数に当該定数の五分  の一に相当する数を加えた数」と  する。3 地方自治法第二百五十四条の規定は、前項の人口について準用す  るo     —————————————
  97. 園田直

    園田委員長 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。田川誠一君。
  98. 田川誠一

    ○田川委員 ただいま議題となっております市の合併特例に関する法律案に対する自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案にかかる修正案について、便宜私から、その内容と提案の趣旨の概要を説明申し上げます。  修正案文はお手元に配付してありますので、朗読を省略いたします。  まず、修正の第一点は、原案では、本法の適用対象となる合併は、三以上の市または二以上の市及び一以上の町村となっておりますのを改めて、二以上の市または二以上の市及び一以上の町村としたことであります。すなわち、市同士の対等合併は、すべて本法の適用を受けられることとしたのであります。本来、三以上の市に限定した根拠として考えられますことは、関係する市の数が三以上になりますと、合併の困難さは飛躍的に増大するという点にあると思うのでありますが、かりに事実といたしましても、そのために二市合併の場合について各種の特例措置を排除する理由は見当たりませんし、またかりに三以上の市が、時期を異にして順次合併を実現するというような場合、この合併適用対象とならないということも公平を欠くと思われますので、これを市の合併にはすべて適用できるように改めたのであります。  修正の第二点は、国、都道府県等の協力関係規定した第六条の「新都市建設に資するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。」という条文中、「必要な措置」とあるのを、「必要な財政上その他の措置」と改めたことであります。  これは、必要な措置というだけでは、あまりにも抽象的に過ぎ、具体的な措置が明確でないので、必要な措置の中には財政上の措置を含むものであること、むしろそれが眼目であるという趣旨を明確化しようとしたのであります。  修正の第三点は、産炭地域振興臨時措置法によって産炭地域として指定された地域内の市町村の廃置分合で市町村の数の減少を伴うものについて、本法を準用することとしたことであります。この場合は、関係する団体に、必ずしも市を含むに及ばないこととしています。御承知のように、石炭産業の斜陽化に伴い、産炭地域市町村は行財政上極度の困難に当面しており、この難局に対処するために、隣接市町村間に合併の機運の生じて参りますことは予想にかたくないのでありますが、もはや町村合併促進法や新市町村建設促進法の適用を受けられない現在におきましては、財政上その他の特別な援助措置を考慮することが適当であると認めましたので、この改正を行なうこととしたのであります。  修正の第四点は、新都市人口が五十万以上になる市の合併で、この法律の施行の日から起算して一カ年以内に行なわれるもの、具体的に申しますと、予定されております北九州五市の合併がこれに該当するのでありますが、この場合について、本則における議会の議員任期及び定数特例のさらに特例を設けたことであります。本則における特例は、対等合併の場合には、合併関係市町村の協議によって、議員任期合併後二カ年をこえない期間延長できることとし、もしその任期の延長を行なわない場合には、最初の選挙で選出される議員は、その任期中新都市議員定数の二倍をこえない範囲内で定数を増加できるものと定めております。すなわち、任期の延長か定数の増加か、いずれか一方を選択できることとしているのであります。この本則に定められた特例にかかわらず、さきに述べましたような合併の場合に限っては、任期の延長と定数の増加との双方をあわせ行なえるようにしたのであります。ただこの場合、任期の延長期間は二カ年から一年六カ月に、定数増加を二倍から定数にその定数の五分の一を加えた数に、それぞれ変更することとしています。  本修正は、北九州五市合併の具体的な実情に即して勘案されたものでありまして、五市の合併が他に類例を見ない困難な事業であるとともに、新都市建設計画はきわめて大規模であり、かつその実施には長年月を要すること、さらに合併関係各市域の間の相錯綜する利害関係の調整をはかり、施策の急激な変化を回避する等のため、それぞれ旧市域住民の民意が公平に反映される必要があることなどの理由から、本修正を行なうこととしたのであります。  以上が修正の趣旨の大要であります。何とぞ御賛成を賜わりますようお願いいたします。(拍手)
  99. 園田直

    園田委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。  修正案について発言はありませんか。——なければこれより討論に入るのでありますが、通告もありませんので、直ちに採決に入るに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  101. 園田直

    園田委員長 これより市の合併特例に関する法律案について採決いたします。  まず渡海元三郎君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  102. 園田直

    園田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  103. 園田直

    園田委員長 起立総員。よって、市の合併特例に関する法律案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  104. 園田直

    園田委員長 この際、渡海元三郎君、阪上安太郎君及び門司亮君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。阪上安太郎君。
  105. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ただいま議決せられました市の合併特例に関する法律案に対しまして、この際、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案による附帯決議を付したいと思いますので、この際便宜私から、その案文と提案の趣旨を申し上げることにいたします。  まず最初に、案文を朗読いたします。    市の合併特例に関する法律案に対する附帯決議(案)  一、政府は、社会、経済の進展に伴う隣接都市群間における行政区画の一体化ないし広域行政方式の推進等時代の要請に即応して、都市合併または都市連合等に関する基本的恒久的制度の確立を検討すべきである。  二、政府は、本法による新都市が、すみやかにその一体性を確保して住民の福祉を増進せしめるよう、強力な指導を行なうべきである。  右決議する。  次に、提案の趣旨を御説明いたします。  まず第一点は、最近における社会経済の急激な発展に伴う経済圏の拡大や都市化の進展等に対応して、行政区画の拡大ないし広域行政方式の推進等の要請が非常に強くなって参っております。これはいまさら申し上げるまでもございません。都市合併特例を設けようとして本法案が提出されたのもこれらの要請にこたえておると考えるのでございますが、本案の内容は、さきに行なわれましたところの町村合併促進法の際の方式を依然として踏襲しているのでございますが、時代の推移と現代都市の特質にかんがみ、従来の合併方式にかえて、新しい構想のもとに都市行政の広域化、近代化等の要請に沿う制度を考究すべきであると考えるのでございます。しかも本法による合併のほかに、先ほども話がありました新産業都市建設促進法等の特例法による合併がむしろ本則となり、基本原則を規定いたしておりますところの地方自治法に基づく合併が、むしろ例外となっているこのような事態は、同法の規定がすでに再検討の時期に来ていることを明らかに示していると思うのでございます。  この意味におきまして、都市合併なりあるいは都市連合、すなわち共同処理方式、いわゆるトロント方式、こういったものなりに関して新しい基本的制度を確立することが現下の急務であると思うのでございます。  なお、次に本法の施行にあたって特に政府要望したいことは、本法を適用して発足するところの新都市が、いたずらに旧市町村の意識にとらわれることなく、行政のあり方を通じて、すみやかに一体性を確立し、合併の結果が直ちに住民全体の福祉増進をもたらすものとなるよう、行政指導に遺憾なきを期せられたいということでございます。  ことに二カ年以内と任期が延長を認められておりますが、こういった問題につきましても、二カ年までは必ずそういう延長を続けていくのだというものの考え方に立たないように、できるだけすみやかにそういった事態を解消して、そうして一体性をさらにその面からも確保する、こういうようなことが必要だと思うのであります。  以上が本決議案の趣旨であります。どうぞ一つ御賛同をお願い申し上げます。
  106. 園田直

    園田委員長 本動議について採決いたします。  本動議の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  107. 園田直

    園田委員長 起立総員。よって、本案は渡海元三郎君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、政府当局より本附帯決議についての所見を求めます。安井自治大臣
  108. 安井謙

    ○安井国務大臣 自由民主党、日本社会党、民主社会党共同提案の、ただいまの御決議につきましては、私どもその御趣旨はまことにごもっともだと存じます。広域行政のあり方その他の点につきまして、さらに決議の趣旨に沿いまして、今後とも善処いたしたいと思っております。     —————————————
  109. 園田直

    園田委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十四分散会      ————◇—————  〔参照〕 市の合併特例に関する法律案(内閣提出第六六号)に関する報告書  〔別冊附録に掲載〕 地方行政委員会議録第二十九号中正誤べ−ジ段二 五行  誤美阪山委員   、正阪上委員