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1962-04-12 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十二日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 園田  直君    理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君    理事 野口 忠男君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       小澤 太郎君    大竹 作摩君       久保田円次君    田川 誠一君       津島 文治君    永田 亮一君       前田 義雄君    山崎  巖君       川村 継義君    山口 鶴男君       渡辺 惣蔵君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         自治事務官         (行政局行政課 岸   昌君         長)         専  門  員 曾根  隆君     ————————————— 四月十二日  委員二宮武夫辞任につき、その補欠として村  山喜一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員村山喜一辞任につき、その補欠として二  宮武夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十日  地方自治法の一部を改正する法律案滝井義高  君外二十一名提出衆法第三七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件地方自治法の一部を  改正する法律案内閣提出第一二七号)     ────◇─────
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  明十三日午前十時より災害対策基本法等の一部を改正する法律案について参考人として一橋大学教授田上穣治君及び早稲田大学教授大西邦敏君の両君の御出席を求め、意見を聴することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 園田直

    園田委員長 次に、内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑を行ないます。通告がありますのでこれを許します。山口鶴男君。
  5. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 きわめて簡単に二、三の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、まず第一は、公社等に対する地方公共団体規制に関する改正の問題でありますが、今回の改正によりまして、地方自治団体出資をし、債務の保証をなし、損失の補償を行なっている法人政令で定めるものについては、当該地方公共団体報告を徴し、調査を行ない、監査をさせ、必要な措置を講ずるように求めることができるというような点が主たる改正のようでありますが、調査室からいただきました資料によりますと、地方公共団体が、たとえば観光公社でありますとか、いろいろな形において公社をたくさん作る、これに該当いたしますような団体を作りまして種々活動をやっているようでありますが、具体的にこの法律改正によって自治省当局としては、こういった法人に対してどの程度報告を期待をし、どのような調査を行なって地方自治団体として具体的にどのような規制といいますか、というものをねらっておられますのか、その点をまず一つお教えをいただきたいと思うのであります。
  6. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お尋ねの点でございますが、これらのいわゆる公社と言われておりますものにつきまして、この法律規定によります規制対象考えておりますのは、政令で定めるものということで、政令で定めるものでございますが、大体趣旨について申しますと、半額以上地方公共団体出資をしておるというものを対象考えております。  それから具体的にどのような規制をするつもりかというお尋ねでございますが、私どももこれらの法人に対しまして、必要以上にうるさい干渉がましいことをいたすというつもりはございません。ただ従来地方公共団体法律上関与の規定がございませんでしたので、必要があれば報告を求める、あるいは調査もできる、また何か問題があるというような場合には、監査委員監査させることもできるということで、常時やりますものは、報告を求める、あるいは毎事業年度その事業報告を徴しましてこれを議会提出するということを考えておりまして、監査等は特別の必要がある場合に、問題がありそうな場合に行なうというふうに考えております。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 こういう規定をお作りになった趣旨は非常にけっこうだと思うのです。最迎確かに工場誘致関係する土地の取得に関する公社でありますとか、あるいは観光公社でありますとか、そういうものが非常にできまして、私の県の観光公社の例をとりますと、大体その公社役員にはどういう人がなっておるかというと、県庁の役人古手が、行くところがなくなったから公社役員になる。そうして仕事はというと、ろくなことをしておりませんで、年々相当額赤字が出る。その赤字を県がやむを得ず埋めるということしかやっておらぬというような例がございます。特にこういう公社に対しまして規制を加えることはけっこうだと思うのでありますが、聞くところによりますと、さらにこの規制を強めまして、事業報告とか貸借対照表とか、こういうものを議会提出をさせるとか、あるいは公社経営が悪化した場合においては、地方公共団体勧告をするというような、議会に対しても相当な権限を与えるような意図が当初はあったのだけれども、それをやめたというようなお話も聞いておるのでありますが、どういう経過で——もう少し地方自治団体議会がこの公社に対してもいろいろと発言して、勧告をするという権限があってもいいのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  8. 佐久間彊

    佐久間政府委員 議会との関係につきましては、当初から議会が直接報告を求める、あるいは貸借対照表等を徴するということは考えておりませんで、まず長にそういうものを提出させまして、長から議会提出をするという、現在御審議願っております建前で、議会との関係考えております。それから、当初もう少し強い規制をというお話でございましたが、立案の過程におきましては、これらの法人につきまして、法人の設立をする際には許可にかかわらしめてはどうかということも検討いたしたつもりでございますが、許可にかかわらしめるのは、そこまで必要はないのじゃなかろうかということで、省内での検討の段階でその案は引っ込めることにいたしたのでございます。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それから、こういうことを聞くのはなにかと思うのでありますが、現在国家公務員法におきましても、高級公務員の方が在任中の権限に直接かかわりのある団体に就職するというような場合は、人事院の何といいますか承認がなければできない仕組みになっております。そういたしますと、地方公共団体の場合におきましても、どうもやはりこういった公社というようなものが、何か地方公共団体のいわは定年——まあ定年制というのは現在ございませんけれども、とにかく相当な年令に達した課長なり部長あるいは出納長なり、そういう方の行き先の場所としてこういうようなものが往々利用されるという傾向が強い。そういうことについて自治体の住民がどういう考えを持つかというと、決していい感じを持たぬだろうと私は思うのです。国家公務員の場合にも、人事院のそういう規制といいますか、承認が要るという手続がございますが、公社のこの役員に関しまして、地方公共団体の職員との間にどういうような形が望ましいのか。いきなり高級役人のすべり込む場所としてそういうものが利用されるという現状に関して、自治省として何か対処するお考えはございませんか。その点を一つお聞かせ願いたいと思います。   〔委員長退席渡海委員長代理着   席〕
  10. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のような点は、地方公共団体の場合におきましても相当見られることは事実だと思っております。私どもといたしましては、このようないわゆる公社というものができますことにつきましては、一つには、本来の都道府県あるいは市町村という地方公共団体仕組み事業を行ないます場合には、その事業の性質から能率的な、効果的な経営ができない、いわば半官半民と申しますか、こういう公社のような形態でやった方が、仕事経営の上からも適切であるといったような種類の事業につきまして、こういうものを認めていく理由があるのじゃなかろうか、かように考えております。  そこで、御指摘のように、本来は地方公共団体仕組みの中で処理してしかるべき仕事なんだが、人のやりくりの関係でこういうものを作るということは、これは本末転倒のことであろうと私ども考えております。そこで、指導といたしましては、役人のいわゆる古手のはけ口を作るためにこういうものを利用するのは望ましいことでないということは、私どもも申しておるわけでございます。しかし、この種の公社事業というものは、本来地方公共団体の行ないます事業と密接な関連を持っておりますし、その事業の遂行にあたりましても、地方公共団体とよく意思を通じて、連絡を緊密にして行なっていく必要があることも否定できません。そういった意味で、ただ古手ということではなくて、その道適任者地方公共団体におりました者が、ある程度そういうところに就職するということも、これは一がいにいかぬとも言えないのではなかろうか、こんなふうな考え方をいたしております。
  11. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ですから、その道のベテランであり、しかも相当抱負を持っているような人がおなりになるならけっこうだと思うのですよ。しかし、現実にはそうでなくて、大体一番年寄りの人がやめていき、その人が公社役員になるというような、いわばところてん式な形がやはり相当見られるではないか。また、そういう形をとるとするならば、公社というものは、本来的に官庁が仕事をやるよりは能率的にできるという当然の概念からはずれまして、何か沈滞し切ったような、従って経営についても絶えず赤字ばかり出すというような活気のない経営になっていくという点について、十分注意をしなければいかぬ問題ではなかろうかと思うのです。もちろん、そういうことになりました場合、若い方を出すというような場合には、将来人事の交流といいますか、そうした場合の身分の継続というか、そういうようなことについていろいろむずかしい問題があろうとは推察いたしますけれども、とにかくこういった法律改正をいたしまして規制を加えることはけっこうでありますし、また、自治団体の首長の報告によって議会がいろいろと議論をすることもけっこうだと思います。同時に、今私が申し上げましたような本来的な意味において、画期的な公社運営がはかられるような行政指導といいますか、そういうものもしかるべくお願いをいたしたい、かように考えるわけでございます。  ほかのお尋ねをいたしますが、指定都市の問題であります。この指定都市というのは人口五十万以上というようなばくたる規定でございまして、現在北九州の問題ともからんでいろいろ議論があるのでありますが、この指定都市というものは一体どういうものを指定するのか。先日田川委員からも御質問があったようでありますけれども、どうも明快なお答えがなかったようであります。五十万人以上の都市が今全国に幾つあるのですか。そういう都市が何ゆえにこの指定都市に該当しないのか。こういう点を自治省の方では考えているのか、この点をまずお聞かせ願いたいと思います。
  12. 佐久間彊

    佐久間政府委員 現在五十万人以上の市は、五大市のほかに福岡川崎札幌の三市ございます。いずれも六十万ちょっとございます。  それから指定都市指定いたします基準についてどう考えておるかというお尋ねでございますが、一昨日も田川委員にお答え申し上げましたように、地方自治法規定をいたしておりますのは、人口要件といたしまして人口五十万以上の市ということになっております。でございますから、人口といたしましては少なくとも五十万はなくてはならない、これが法律規定いたしておりますはっきりした基準でございます。  それからいま一つ考慮をいたさなければならぬと考えておりますのは、指定都市になりますと、府県責任で処理すべき事務が相当大幅に市の責任に移譲されることになるわけでございます。地方自治法では御承知のように二百五十二条の十九に十六項目事務規定されておりますが、このほかにもそれぞれの法律によりまして、たとえば国道の管理につきましては、指定都市になりますと指定都市市長管理をするといったように、府県並み仕事をしなければならぬということが幾つか規定をされております。そこでそのような事務を十分能率的に処理できるだけの能力を持っておるかどうかということもあわせて考えなければいけないではないか、このように考えておるわけでございます。
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、いわゆる五大市のほかに三つあるというわけですね。そうして指定都市になりました場合は、現在その府県が実施をいたしておるような事務が大幅に指定都市事務になる、そういうわけで行政能力という点でいろいろ問題があるというお話でございます。私ども以前のことはあまり知らないのでありますが、指定都市都道府県との間にはいろいろな紛争といってはなんでありますが、問題があったということをお伺いいたしているのであります。北九州五市が合併をいたしました場合には指定都市にするのだというようなお話を、相当な責任者の方が現地へ行って言われておるそうでありますが、そういたしますと、福岡なり川崎なり札幌なりは、北九州五市が合併した場合、考えてみれば、川崎は比較的最近膨脹いたした市でありますけれども福岡なり札幌なりというものは明治時代からその地域の中心的な都会であり、しかも別に合併をしたということもなくて漸次発達をして、現在六十万という人口を持っておる。とすると、新しく市が合併して急にでき上がったいわゆる五十万以上の人口を持っておる市の行政能力と、以前からその地域における中心的な都会として発達をしてきた五十万をこえる都会とを比較した場合に、後者の方が当然その行政能力ありというふうに判断をするのが私は常識じゃないかと思うのです。その点非常に奇異に思うのでありますが、自治省はどういうふうにお考えなんですか。
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先ほど申しました指定都市としての行政能力というものを、それじゃどういうふうに判断をするかということが一つ問題になろうかと思いますが、これははっきりとした判断基準というものもないと思うのでございます。  そこで、私ども判断基準参考程度考えあわせておりますのは、もともとこの指定都市という制度昭和三十一年にできましたいきさつは、先ほどお話がございましたが、従来の五大市府県から独立をして特別市になろうという根強い運動があったわけでございます。その問題についての一つ解決策といたしまして指定都市制度ができまして、府県から独立はしないけれども府県並み相当程度事務を移譲するという制度ができたわけでございます。そういう次第でございますから、昭和三十一年にこの制度ができました当初は五大市を念頭において考えており、そして五大市指定都市指定をされたわけでございます。そこで一つ判断参考としては、少なくとも、その当時の五大市くらいの人口を持った都市であるならば、大体指定都市としての行政能力ありと判断してもよろしいじゃなかろうか。そういたしますと、かりに北九州五市が合併をいたしますと、人口が約百万になるわけでございまして、昭和三十一年当時五大市の中で一番人口の少なかった神戸とほぼ同じくらいの人口になるわけでございます。もちろん人口がただ多いからそれだけ能力ありということは申しませんし、先生のおっしゃいますように、その都市の長年つちかってきた底力と申しますか、そういうものも考えなければならぬと思います。北九州五市の場合には、なるほど一つの市といたしましては新しくできることに相なるわけでございまするが、それぞれの市がかなりもう古い市でございますし、事実上一つの大都市形態をかなり前からとって参っておりますし、それらの状況をいろいろ勘案いたしまするならば、北九州五市が合併して、かりに市ができましたならば、その市は指定都市としても、これは誤りないのではなかろうか、かような判断をいたしておるわけでございます。それではそのほかのお話しの福岡とか札幌はどうかということでありますが、これらにつきましては具体的にそれでは指定都市としてどうかというような検討は現在まだいたしておりません。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると福岡札幌が、別に指定都市になりたいという希望を表明していないから考えてないということでありますか。
  16. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地元にそういう希望もあるということも仄聞はいたしておりますが、まだそういうことで具体的にどうだというお話は伺っておりませんので私どもとしても具体的な検討はいたしておりません。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 考えてみますと、指定都市ということになりますと、ここに十六項目ばかり掲げてありまする県の事務指定都市が行なうことになるわけですね。そこで問題になりますのは、たとえば北九州でもそれから福岡でも札幌でもけっこうでありますが、いわばそういった道府県の相当中心的な部分が、県の事務をかわって行なうようになる。そうすると、残された後進地域みたいなところだけを集めて府県行政が行なわれるというようなことになると、いわば府鳥行政を執行するのに非常に問題が出てくることは、私ども常識考えても考えられるのでありますが、といたしますと、その指定都市云々ということを自治省がお考えになる場合は、その都市人口がどうである、もちろんそれは基本的な一つの条件でありましょう。それから行政能力というものは、お話を聞きますと非常にばく然としたようなもので、わかったようなわからぬようなものでありますが、それはともかくといたしまして、結局北九州五市なら北九州五市、福岡なら福岡札幌なら札幌という地域指定都市になった場合の、そのあとのいわゆる道府県行政は一体どうなるのか。ですからその当該指定都市の問題を考えると同時に、残った地域行政というものはどうか、やはりそういったことを総合的に勘案をして指定都市の問題については判断を下すべき問題ではないかと思うのです。ところが北九州五市のお話は、私はどういう形で出たのか別によく知りませんけれども、何か自治省責任者の方が行かれて、これは指定都市にするようにしようというような約束をせられた。そうした場合に残った地域行政能力なり、その当該地域府県行政は、一体どうなるかということまで総合判断をしてそういう意見自治省当局が表明されておられるのか、そういうことを考えずに、たまたま人口が百万であって、他の川崎なりあるいは福岡その他に比べて当時の神戸なら神戸人口に近いからこれはいいだろうというような形でお話をされたのか、そういう点はどうなんでございますか。
  18. 佐久間彊

    佐久間政府委員 指定都市を実際に指定いたします場合には、先ほど私の申し上げましたこと以外に、ただいま御指摘のようなことも実際問題としては十分勘案をいたさなければならないと思っております。北九州五市の場合には、まだ合併もできませんし、別にそう方針をきめておるわけでもございませんが、かりに合併ができましたならば、先ほど申しましたように、指定するだけの能力は持っておるものだと判断して間違いないのじゃないか、こういう考え方を私どもいたしております。なおこれにつきましては、その際残存部行政運営につきまして非常に支障が起こるというようなことがありましたならば、地方自治全体の立場から見まして十分慎重に考えなければならないことでございますので、その点につきましては内々福岡県の意向の打診をいたしております。福岡県の県側意向といたしましても、十分いろんな資料について検討をされておるようでございますが、かりに指定都市指定するということになっても自分の方としては異存はないという意向を、私どもの方に表明されてきておりますので、そこで私どもといたしましては、もし合併ができましたならば指定都市指定していいのじゃなかろうか、このような判断を内々いたしておるわけでございます。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 あとで他の方からもいろいろ御質問があろうかと思いますので、一応指定都市につきましてはこの程度にいたしたいと思います。  次に、地方公共団体の長の任期の起算に関する改正の問題であります。これは知事と市長任期前にやめた場合は立候補ができないという規定でございましたが、今度の改正では、たとえば任期が四年でございましてそのうちの二年なら二年目でやめる、三年なら三年たったところでやめる、そうした場合に、今度は立候補し当選をして、残りの二年なら二年、一年なら一年の任期は、二年なり一年たったら終わるという格好になるのでありますか。そして終わった場合、その方は通常任期が終わったのだからさらに次の選挙には立候補する、こういうことは可能になるわけでございますか。
  20. 佐久間彊

    佐久間政府委員 その通りでございます。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすれば選挙の回数は多くなりますけれども、結局従来現役の方が、自分都合のいい時期に選挙をやる。いわゆる次期の選挙を有利に導くための任期満了前の選挙規制するという趣旨で現在の規定ができておりますね。とすると結局今度の改正では、都合のいい時期にやめて、その後の任期は短くなりますけれども、悪意で見れば都合のいいときにどんどんやめるということができるような格好になるのじゃないですか。
  22. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この点につきましては、現行の八十七条の二の規定が、任期の途中でやめました場合には立候補ができないということになっておるわけでございまして、この趣旨は、ただいま先生のおっしゃいましたように、自分の勝手な時期にやめて選挙を有利に導くということは弊害があるからということでこの規定が設けられたわけでございますが、反面、任期の途中でやめた者については、事情いかんを問わず次の選挙立候補ができないというのは行き過ぎではないかという声も私どもの方にずいぶんあるわけでございます。そこで、その場合にはどういう事情かと申しますと、私どもの聞いておりますのは、たとえば議会と長との間の折り合いが悪くなっておりまして、事ごとに長の行政運営について議会じゃまをする。じゃまをするのだが、しかし不信任議決すると解散されては困るということで不信任議決はやらない。そういうことで長としてはむしろ一ぺんやめて、選挙でもう一ぺん住民に信を問うて出た方がすっきりするのだ、すっきりするのだがやめてしまうと立候補跡できないで困るのだ、ここは何とかならぬかといったような声も従来しばしば聞いておったわけであります。そこで現行法がフェア・プレーを害するようなことになってはいかぬという御趣旨でありますから、その趣旨はそのまま生かして参りまして、しかしそのために事情いかんを問わず一切立候補できぬということになったのでは、これまたあまり候補者の自由を束縛し過ぎるという点も考慮いたしまして、そのような場合には立候補ができる。立候補はできるが、あと残任期間だけということで、いろいろ私ども聞いておりますそういう要望にこたえるためにこの改正をすることにいたしたわけでございます。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると一種の信任投票みたいなものをやれるようにした、こういうわけでございますか。
  24. 佐久間彊

    佐久間政府委員 そういうわけでございます。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は不敏にして自治法を知らないのですが、そういった信任投票制度というものでこの処理をすることができないわけなのですか。
  26. 佐久間彊

    佐久間政府委員 現在はそういう制度はないわけでございます。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 こういうのを改めるのも一つの方法でしょうが、信任投票ができる制度を作ることも検討してみたらどうなのですか。
  28. 佐久間彊

    佐久間政府委員 今後の研究課題としてはそういうことも十分考えたいと思っております。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 最後に退職手当の通算ですけれども、これは田川さんから御質問がございまして、いろいろお答えを聞いておったのでありますが、今度のは努力義務規定というのだそうでございますが義務規定ではないので、努力が上にくっついているわけですが、これで実際に市町村立の高等学校の先生方と都道府県立の先生方との間の退職手当の通算というものが、今後はこの規定で一〇〇%近く完全に、義務規定と同じようにできる、大体こういうお考えですか。
  30. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいまお話のございましたような市町村立の高等学校の先生都道府県立の高等学校の先生との間の通算につきましては、この規定を背景にいたしまして強力な指導をいたしますことによりまして、義務規定で書いてありましたことと一向変わらない効果があげ得るものと考えております。
  31. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 学校の先生ばかりではなくて、県の職員、それから市の職員との間はもっと人事交流があってもしかるべきだろうと思うのですが、現実に自治体を見ますと、そう言っては恐縮でありますが、自治省のお役人でありますとかあるいは建設省、通産省、農林省、こういったところの課長ないしは課長くらいの方が、府県の部長になっておいでになる。一年か二年くらいたつとまた本省の方にお帰りになる。こういうような交流は確かにあるようであります。私はそういう交流がいいか悪いかということについては、いろいろ疑問も反面持っているわけでありますが、とにかく交流があることは事実だ。ところが市と県、あるいは市と他の市、あるいは市と町村、あるいは県と町村、こういったような間の人事交流というのはほとんどないのが実情でないかと思うのですが、そういった人事交流については、自治省としては望ましいと考え、またそういう行政指導というものはいたしておるのでありますか。していないのですか。あるいは、しているとすれば、どの程度の交流が現実に行なわれているというような資料なりデータというものをお持ちでございますか。
  32. 佐久間彊

    佐久間政府委員 県と市町村あるいは市町村同士の間の人事の交流も、私どもはもっと活発になっていっていいのではないかというふうに考えております。ただ、これまでのところ、その点につきましてそれほど積極的な行政指導もいたしておりませんし、現状におきましてどの程度行なわれておるかということにつきましても資料を持ち合わせておりません。ただ私ども今後少し積極的に指導して参りたいと思いますのは、たとえば県の技術者が市の方に行って、そこである程度仕事をしてまた県へ戻ってくるといったような形の交流、あるいは新市町村の建設について合併はしたがそこにあまり人材がいないという場合に、県から若い優秀な人がそこへ行って、そしてまたある期間たったら県へ帰ってくるといったようなこと、あるいは市同士の間で技術者の交流をやるといったようなこと、そんなようなことはむしろ今後積極的に指導して参った方がいいのではないだろうか、こんなことも考えまして、この規定も実は市立の高等学校の先生方の方から強い御要望も伺っておりましたけれども自治省といたしましては、そういうことも考えまして、一般的なこういう通算ができるような形にいたしたわけでございます。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点もけっこうだと思うのですが、現在の交流の状況を見ますと、先ほどの公社ではありませんけれども都道府県の課長さんで年輩も相当多くなった方が、たとえば新しくできた市の出納長でありますとか助役とか、そういったいわば特別職になっておいでになるというようなことは間々あるようでありますけれども、現実の交流というようなものはほとんどなかった。その障害の一つが退職手当の通算ができなかったところにもあったろうということを推察いたすわけでございます。そういう意味で今回の規定はけっこうであろうと思うのでありますが、できれば今、局長さんのお話しになったような構想を大いに進めていただくことが今後けっこうじゃなかろうかと思います。ただ国と都道府県との交流もいい意味ではけっこうだと思うけれども、そうではなくて、何か本来の自治体ということではなくて、中央の官庁が人事を通じて自治体をある程度いわゆる中央集権的に指揮監督していくというような意味で交流が行なわれる、こういうことは自治体本来の、自治の本旨に非常にそむく結果になりはしないか。もちろんそういうところは、自治体側から見れば、国から補助金などを持ってくるのに、中央からお役人をお迎えした方がけっこうであろうというようなことがあってそういうことがあるのかもしれませんけれども、それは中央の行政のあり方について姿勢を正していただく、池田総理大臣ではありませんけれども、姿勢を正しくしていただく中で、何も中央から部長とか迎えなくとも、その当該の自治体が決して損ではない、こういう形を作ることが私はいいことではないかと思うわけでございまして、そういう点につきましては若干の意見を持つわけでありますが、自治体相互の交流を進めていただくということについては、一つ積極的にお進めをいただきたいと思うのでございます。  以上で私の質問を終わります。
  34. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 川村君。
  35. 川村継義

    ○川村(継)委員 一、二点お尋ねをいたしておきたいと思います。  これまでいろいろ御質疑がかわされているようでありますが、なおもう少し明確にお答えをいただきないと思うのですが、今ほども山口委員から指定都市の問題についていろいろ質疑がございましたが、かえってはっきりしないものを私は今受け取っているわけです。と申し上げますのは、この指定都市の特例については地方税法の改正問題、道路譲与税の問題、警察の問題あるいは教育行政組織の問題そのほかたくさんの特例が規定づけられるのでございますが、私は初めはすなおに、自治法の二百五十二条の十九ですか、指定都市は相当大幅な行政権能を与えられておる、そういう指定都市については、つまり大都市についてはできるだけの行政の力を与えていくことがいいのである、そういう意味で今度の特例は当を得たものではないだろうか、こうすなおに実は受け取っておったわけでありまするが、今いろいろ御論議を聞いておりますと、一体何のためにこの特例が出されたのか、私、今ちょっと戸惑っておるわけです。  そこでまず第一に御見解をお聞きしますが、この特例が指定都市をこれからおそらくたくたん作っていかなければならぬ、そういうような大都市行政体が生まれてくるであろう、それについてはやはり、それだけの権能を持たせていかなければならぬ、そういう意味で出されたのか、お考えなさったのか、いうならば、言葉は変でございますけれども指定都市を促進していくという、そういうお考えに立って出されたのか。ただ単に今目前に控えております北九州の五市合併があるからこれが考えられておるのか、今まで大阪とか京都、こういう部分的に呼んでおったものを指定都市に変えたというようなことも、ただ単に北九州の問題が目前にあるから政府は北九州指定都市にせざるを得ないであろう、そこでこういう特例を考えたのか。先ほど申し上げましたように、これからはそういう大きな都市がだんだんできるから指定都市となるところが多いであろう、従ってこういうものを今考えておかねばならぬというのであるか、その辺のお考えはどうであるのか、その辺、提出なさっておる意図が不明確になって参りましたので、それを一つお聞かせいただきたい。
  36. 佐久間彊

    佐久間政府委員 今回、この指定都市指定になりました場合の関係法令の規定の整備を御審議いただくことにいたしました理由は、今後だんだんと都市の発展に伴いまして指定都市指定されるものが出てくることも予想されるということでございますが、さしあたり今国会で御審議をいただくということにいたしましたきっかけは、北九州五市の合併がかりにできました暁には、指定都市指定という問題も起こるであろうということが十分予想されますので、その場合に構成的に見て動かないというようなことになっては困るという事情考えまして、別途御審議をいただいております市の合併の特例に関する法律案と関連させながら御審議をいただくということで提案をいたした次第でございます。
  37. 川村継義

    ○川村(継)委員 わかりました。それでは提出されましたこの根本の考え方というのは、都市合併に関する特例ということで、北九州五市合併の問題もあるからというのでお出しになった。しかし形は一般的な形をとっておるわけですね。そうなりますと局長、ものの考え方が少し狭過ぎはしないかと私は思うのです。先ほどいろいろお話を聞いておりますと、この指定都市人口からいうと五十万以上という一つ基準と申しますか、それがある。そのほか、いろいろ府県が持っておる行政事務が、指定都市になると大幅に移譲されていくことになる。そうすると処理能力があるかどうかということにおいて、やはり指定都市にするかどうかがきまっていくんだというようなお話でありましたが、その処理能力があるかどうかということについては、これはどうもお話を聞いておりましてもその判断基準というのがまことに不明確であると受け取らざるを得ないと私は思っておる。ところがその処理能力というものはどういうものであるか。また一体だれがその処理能力というものを判断するのか、何によって判断するのか、こう考えていきますと、先ほどお話のありましたように北九州というものは、人口が百万近くにもなってこれには処理能力があるだろう、福岡川崎札幌は五十万をこえているけれども指定都市とするだけの処理能力がない、こういうような見方は成り立たないのじゃないかと私は思うのです。この点はいかがでございましょう。
  38. 佐久間彊

    佐久間政府委員 処理能力判断をだれがするかという点でございますが、これは法制的に申しますと政令指定するわけでございますから内閣がいたすわけでございます。それでは実質的に処理能力をどう判断するかという点でございますが、これは明確なきちんとしたものさしというものは正直のところございません。そこで、先ほど私の山口委員にお答え申し上げましたのは、しかし人口が百万なくちゃいかぬ、六十万程度ではいかぬ、こういう意味ではございませんで、さしあたり当面現在の問題となって私ども判断を迫られております北九州五市につきましては、従来の五大市指定都市指定された当時のいきさつから見ても、まあ指定都市としての能力ありと判断してほぼ誤りないのじゃなろうか、こういうことを最小限度申し上げたわけでございまして、それ以外の市につきましては当面まだ日程に上っておりませんので、私どもとしては検討をしていないということを申し上げたわけで、これが処理能力なしというふうに言っているわけではございません。
  39. 川村継義

    ○川村(継)委員 福岡市や川崎市が北九州に比べて、あるいは横浜市に比べて行政能力が劣っておる、あるいは高い、こういう判断はなかなかむずかしいことでありまして、一体何によってやるか、だれがやるかということになりますと、これはもう錯綜してしまうのじゃないか。あるいは市役所の職員を構成しておる部課長の学歴によってやるのか、そういうのが一体要素になるのかどうか、こんなことを考えていきましたら、私は必ずしも——そういうものが基準になるかどうか知りませんよ、知りませんけれども北九州よりも福岡市なら福岡市は能力はない、こういうことは言えないと思うのです。また川崎北九州にも劣っておる、川崎神戸よりも行政能力が劣っておる、こういうことは私は言えないと思う。そうなりますと、実は皆さんの方でもやはり福岡川崎やあるいは札幌、これは五十万以上だと聞いておりますが、こういうところの都市がやはり指定都市にしてくれ——指定都市になり得るようなそういう判断に立って私はこの法律の特例が出たものだ、こう考えております。それがないとなりますと、どうもやはりもう少し十分一つ検討していただいて、そういう大きな都市について指定都市なら指定都市にしていく、その場合これだけの行政の力を与えてやるというようなことは、これは私は何も反対すべき筋合いではないと思います。しかしそれらのことをやはりお考えいただいて、十分対処し得るものを持っておられるということが必要じゃないか、このように思ったわけです。  それからもう一つの問題として私が考えますことは、新産業都市建設促進法案というものが出されておる。もしもこれが通過するということになると、おそらくや相当の地域において、あるいは中産業都市建設の構想や、あるいはあれに出て参りますところの市町村合併問題、こういうものが出てくる。そうするとこれは五十万、六十万といわれる、それくらいの人口を持つところの新しい都市というものが生まれてくると、こういう特例がありますから、また二百五十二条のこういう権能があるから、その新しい都市は、やはりそういう指定都市の要求、またその希望、そういうものを必ず持ち出してくるのじゃないか。それを皆さん方が、お前のところは能力がないからだめだ、そう言って一がいに押しつけていかれるようなことはまずいのであって、やはりそれらの都市の力を伸ばしていくためには認めてやらなければならぬ段階がくる。そういう点からすると、やはりその辺を十分配慮したところのこの法案の提出考え方があってしかるべきじゃないか、このように私は今思っておるわけです。先ほどのお話を聞きますと、どうも考え方があまりにも狭過ぎているんじゃないか、北九州だけを念頭に置かれての特別であるということになると、将来の問題として、指定都市をめぐっての問題がまた出てくる、こういうことを危惧しておるわけです。この辺のところについて見解を聞かせておいていただきます。
  40. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生のおっしゃいます通りでございまして、さしあたって今国会で急に御審議をいただくことにいたしました動機は、北九州都市の問題が念頭にあったわけでございますが、これを一般法の形で、今後新たに指定都市指定がありました場合にも適用できるような形で規定を整備いたしておりますのも、今後新産業都市の建設そのほか都市発達というような傾向を勘案いたしまして、そういうようなケースがだんだん出てくることも予想されましたので、それらの場合にも備えるという考え方をもちろん持っておるわけでございまして、先生の御指摘のように、全く同感でございます。
  41. 川村継義

    ○川村(継)委員 次の点は、これに付随して、私の小さな要望でございますが、先ほど申し上げました新産業都市建設促進法等で一つ地域の大きな都市が形成される、こういうような形になっていきますならば、今までとってきた府県行政というものは相当縮小される結果にならざるを得ない、そういう場合の府県とこういう大都市との行政配分の問題、こういう問題につきましてはもう少し掘り下げて検討を加えておいていただきたい。もちろん自治体の基礎的な団体は市町村であるといいましても、府県が広域的にいろいろ行政をやっておる関係上、今日府県が処理しなければならぬ行政は決して軽いものじゃありませんし、軽視するわけに参らぬと思います。ただ府県が持っておる行政を、大きな市ができたからといって、これをどんどん削り取っていくような格好、そういうような形でいくということになりますと、またその自治体そのものにいろいのわずらわしい問題が起こってくるんじゃないかということを心配いたしますので、その点はぜひ一つ検討していただきたいと思います。  それからもう一つ、この問題について私がお尋ねいたしたいと思いますことは、皆さん方はこうして指定都市の特例の措置をいろいろお考えなさったのですけれども、私はこれと同様にもっと重要な問題が検討されてしかるべきじゃなかったか、このように考えます。と申し上げますのは、これは指定都市だけに限らず、今日の地方団体の議員の定数について再検討する時期ではないか、かように考えておりますが、その必要はございませんでしょうか。
  42. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいまの議員の定数は、御承知のように戦後新しい地方制度改正をいたしました際に、地方自治を強化するという観点から、従来よりも増員をいたしまして定数を定めたわけでございますが、その後すでに十数年たっておりまするので、基本的には変更する必要はないかと思いますが、たとえば東京都あたりから再検討してくれというような御要望も伺っておりますので、これらの点につきましては、地方制度調査会で御検討を願うことにいたしたい、かように考えております。
  43. 川村継義

    ○川村(継)委員 せっかく地方自治法の一部改正を提案されており、しかも北九州合併に伴っていろいろ定数問題が話題になっておるというところから考えても、さらに町村合併促進法等によりまして町村合併が大きく行なわれた、そういう経過等から見て、やはり市町村の議員定数はこの際検討すべき時期であったと実は思うわけであります。そこで簡単にお尋ねをしておきますが、現在の定数の考え方につきましても、実ははっきりした基準というものをわれわれは見出し得ませんけれども現行法の九十一条を見ますと、二千未満の町村では十二人の定数ということになっております。二千未満の村というものが現在幾つございますか。
  44. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ちょっと手元に今数字を持って参りませんが、非常に少なくなっている。かりにあるといたしましてもごく少数だと思います。
  45. 川村継義

    ○川村(継)委員 その辺の実態は一つ調べておいていただきたいと思う。私なんかも全国的な状況はよくわかりませんが、おそらく町村合併促進によってこういう二千などという村なんかもうないのではないかと一応推測しております。それから二千から五千というのは定数十六になっておりますが、町村合併を皆さん方が進められたときには、人口八千が最低基準だなどと言ってなさいましたが、こういう町村もごく微々たるものではないか、ほとんどないのではないかと推測しております。そうなりますとこういうところの定数はもう空文にひとしいものでありますし、それから推して町村及び市の定数段階というものを刻んで参ることもやはり再検討すべき時期であったと私は考えるわけであります。先ほど検討せねばならぬということでありますけれども、これはぜひ早急に再検討願いたいと思うわけです。  それからいま一つこの定数の問題についてお伺いしておきたいと思うことは、北九州の五市合併の問題がいよいよ出てきたから言うのではありませんけれども、五大都市の場合にいわゆる区制をとっておる。たとえば横浜でしたら戸塚とか鶴見とかいろいろ区がある。北九州合併するとおそらく八幡とか小倉とかいうような区制になるだろうと考えられる。五大都市は大体そういう形をとっている。ところが区から選出される議員というものは、昔市であった場合の議員に比べると大量に減少しておるわけですね。私よく記憶ございませんが、たとえば戸塚のごときは、戸塚市であったときには三十何名かの市会議員がおった。今日は横浜市に一緒になっている関係上、戸塚の市会議員は五人だと私は思います。そこでやはりそこの区民にしますと、自分たちのいろいろの要望や、自分たらの考えておるところの政治的な要求、そういうものがやはり十分議会に反映し得ないきらいがあるという声が非常に出てきているわけであります。お聞きいただいているかどうか知りませんけれども、足元の鶴見区のごときは、もう一ぺん独立しようじゃないかという動きさえあるということを聞いております。というのは、やはり鶴見区にいたしましても、五人か六人の議員であって、横浜市全体が行なっておる市政そのものよりも、それを十分重視することがない関係もありましょうが、区そのもののあらゆる行政、たとえば採尿処理の問題にいたしましても、道路の問題にいたしましても、以前の方がよかった、われわれの考え方をよくいれてくれた、こういうような声がずいぶん出ておるようであります。このように大都市になればなるほどいわゆる住民に直結するところの政治というものが、ややともすると断ち切られていく、そういう傾向にこれはならざるを得ないのであります。そこでかりに五十万以上の指定都市となった場合のそういう議員の定数のあり方等についても、やはりこれは再検討する必要があるのではないか。皆さん方もお聞きになっていると思いますが、北九州合併した場合に、どこどこは何人、戸畑は五人しか議員が出せない、だからこれでは困るというような住民の要求も、やはり同じような気持からきていると私は察している。これには不当なことを言うなということを決して言えない問題があると思います。そういう点からすると、選挙区割の問題も一つの問題でございますけれども、やはりこういう大都市になればなるほど議員の定数配分と申しますか、こういうところには十分配慮しなければ、大都市になっても住民の福祉その他についての行政というものがなおざりにされていく傾向が生ずるということは大問題じゃなかろうか、こういうことを考えるわけです。従ってそういう点について、皆さん方は現在どのように見ておられるか、また将来どういう点について検討する要があるか、その点をお考え下さっておるかどうか、これを一つ聞かせておいていただきましょう。
  46. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生の御指摘になりましたように、市町村の規模がだんだん大きくなって参りますに従いまして、行政はだんだん広い区域で行なった方が能率的に行なえていいという要請もございまするが、同時にまたできるだけ住民の意思を反映しながら、住民の身近なところで処理されなければならないという要求もあるわけでございます。この両者の要求をどう調和していくかということが、地方自治全体を通ずる大きな問題でございますが、それが議員定数を定めます上にも配慮されなければならない、私どもも全く同感でございます。  そこで現在の議員定数を見ますと、これは私の個人的な感じでございますが、府県——東京都などはいろいろ問題もあるようでございますが、大体いいのではないか、ただ市町村は府県に比べて議員数をもう一度検討する必要があるのではなかろうか、こういうような感じを持っております。ただ議員の定数と申しますと、地方制度の非常に基本的な事柄でございますので、十分慎重に検討をしていかなければならない、かように考えておりますので、地方制度調査会にも御審議を願って、その結論を得るようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  47. 川村継義

    ○川村(継)委員 この問題にはいろいろの見方があるし、いろいろな議論が出てくると思います。しかし何といいましても、今の九十一条による議員の割り振りというものは、再検討すべき問題だと私は考えます。私は今度の自治法の一部改正でこういうものが取り上げられてきたとするならば、非常によかったのではないかと思いますけれども、ぜひ一つ検討いただきたい、このように考えているわけであります。  それからもう一つ、今の問題についての私の要望でありますけれども昭和二十七年の地方自治法改正のときこの問題についてはいろいろと今から考えると非常に好ましい条文があった、今日の現行法ではそれがないように私は見ているのです。たとえば昭和二十七年の自治法改正の場合に、これは議員定数の割り振りも現行法とはいろいろ変わっておりますが、たとえば条例を作るときには第二条の九項、十項の趣旨に適合するように条例を作れというようなことや、法律で定められた範囲内における議員定数を作るときには必ず公聴会を開いてその意見を聞けというような問題があったと思いますが、現行法ではどうもそういうような民意を反映させるという方法がとられておらないようであります。そこでできるだけこの自治法改正あるいはそれらの運営については、めんどうであっても、民意が反映されるような規定、そういうものはお忘れなく取り上げていただくようにしていただきたい。ただ国会で法律がきまったからその通りに動かしていくというような考え方ではなくて、できるだけ地方自治の精神にのっとったと申しますか、民意がそれぞれの地方議会、地方の自治制度に、反映できるような方法をとってもらう、そういうこともあわせてぜひ御検討願いたいと存じます。  あと門司委員からの御質疑もございますし、退職手当の通算問題その他についてはほかの委員からもいろいろ御質疑がありましたから、私は指定都市関係しました一、二の問題をお尋ねして、おきたいと思います。
  48. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 門司亮君
  49. 門司亮

    ○門司委員 ちょうど今大臣がおいでになっておりますので、この機会に聞いておきたいと思うのでございますが、今、新産業都市建設促進法案という法律が出ております。この法案は、きょうも連合審査をやるという建前で行なっておりますが、この前、私向こうの委員会に出まして、そして経済企画庁長官にいろいろお尋ねをしたのであります。そのときにちょうど自治省の大臣がおいでになっていなかったので、基本的な問題を聞くことができなかったのでありますから、この機会に聞いておきたいと思いますが、今もいろいろ指定市の問題で議論がされておりますが、今、政府が出しております新産業都市建設促進法案のねらいは、いろいろ論議されておりましたいわゆる百万都市の建設が、大体主題と考えても間違いのない法律であります。名前が変わっただけだと私は考えております。そうなって参りますと、日本の地方行政の中に非常に大きな問題が出て参ります。一つ都道府県と市町村との関連性であります。今、私どもの方の資料を大体届けられると思いますが、ごく概括的に一、二の例を申し上げましても、たとえば私の住んでいる神奈川県で横浜が現在指定都市である。川崎もすでに六十五万の人口を持っておりまして、法律の建前からいえば、当然独立すべき資格条件は一応持っている、ただ行政上の措置としていろいろな考え方はあろうかと思いますが、自治法に定めらたれ資格条件は一応持っている。ところがこれが二つ合同いたしますと、神奈川県の人口の半分以上になる。二百万をこえる。そうすると神奈川県の現在の三百何十万の人口の中で半分以上の人口を持つ地域というのが県の行政から一応離れるという、形式的にはそういう形が出てくる。いわゆる十六項目というものが移譲されるという形になって参ります。そうなって参りますと、県行政が県住民に及ぼす影響が非常に薄くなる。たとえば新しい都市といたしまして、新産業都市建設促進法によりましてかりにやるとすれば、岡山県は岡山市を中心として、あそこの七つの市を合併して水島地区の大計画を今立てております。   〔渡海委員長代理退席、丹羽(喬)   委員長代理着席〕  これを全部合併をいたしますと、岡山県の全人口の六割を占める。そうすると、岡山県の県政というものは、四割にしか行政が行ない得ない。あそこの人口は、私の記憶ではまだ百万になっておりません、七つの市を集めてもそうならないと考えております。しかしこれも五十万をこえることは事実である。そういうふうなものがずっとできてくる。そういたしますと、府県行政と市町村行政との間に今のような考え方から変わった考え方を持たなければいけない時期がもう大体きているのじゃないか、こういうふうに考えるが、この点について大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  50. 安井謙

    ○安井国務大臣 新産業都市との関連での御質問でございますが、私どもは実は新産業都市につきましては必ずしも百万都市といったようなものの構想にこだわらないつもりでおります。少なくともこれは全国のいわゆる工業中心地域である京阪神、京浜といったような地域はむしろ対象外に置きまして、地方における道府県というものの中心になる都市を定めて、そこの産業あるいは工業の発達を総合的に促していこう、こういう考え方でありまして、百万になる場合もあり得ると思いますし、その半分以下である場合もあり得るだろう、こういうふうに考えて、数多く考えておるわけであります。しかしまあそれは別といたしましても、たとえば今の川崎と横浜の関係、岡山における関係といったようなものが、市の合併でもできました場合に県の中の過半を占めるような可能性もできてくるのじゃないか。こういう場合にそういう特別の市と県とのあり方について再検討の要はないか、こういうお話があったと思いますが、これはまさに今後再検討を十分要するものと思っております。しかし今急にその程度のものができましたからといって、県境を変えるとか、あるいは特別市の府県のあり方をどうしようというところまでまだ具体的な検討は進んでおりませんが、しかしいずれにしましてもそういう姿があちらこちらに出て参るということになれば、県と市のあり方、あるいはその隣県とのあり方というものについての検討は具体的にもう少しやっていかなければなるまいと思っております。
  51. 門司亮

    ○門司委員 きわめて抽象的な答弁ですが、問題はすでに提起されておるのであります。政府の言う新産業都市建設促進法というのは、どう考えてもそうとしか考えられない。人口の分布の状態を是正する、あるいは国民の所得の格差を是正する、このことのために地方に工場の分散が必要である。もう一つの大きな問題は、マンモス都市をなくする、少なくしていくということが、一応現在の日本の社会情勢の中からは考えられます。かつて英国は一九四五年と一九五〇年に二度提案して、法律に今まとまっております。一口にわれわれは英国の工業配置法と呼んでおりますが、こういうものと今出されております新産業都市の構想は全く違っておるのであります。私がどうしても大臣の意向をもう少し確かめたいと思うことは、今出されております新産業都市建設促進法は、どう考えてみましても百万都市を形成する以外に、そういうマンモス都市を地方に分散する以外にないという考え方に立っておるということが明らかになっておる。そのことは、政府の負掛がきわめて少ないということである。英国は工場を地方に分散して、そうしてできるだけ地域格差をなくしていく、あるいは失業の状態をできるだけ地域的に緩和をしていくという建前で、両方の法律とも労働党内閣のときにできた法律であります。   〔丹羽(喬)委員長代理退席、委員   長着席〕  このときには政府が思い切った施策で、たとえば土地の提供は国がやる、あるいはその後の建設のために必要な経費については、起債等については二分五厘程度の低利、長期で貸し与えるというふうにして地方の自治体に対する負担をきわめて軽くして、そうして政府の力で工場の分散をはかっている。ところがこの新産業都市建設促進法を見ておりますと、そういうことはちっとも考えていない。ほとんど全部地方の自治体の集団をねらっていることが法案自体に明らかに書かれている。こういうふうに考えて参りますと、この新産業都市建設促進法と指定都市というものとの関連を考えないわけには参らぬのであって、どうしてもそういうものが将来近いうちに出てくる、また政府はそれを考えておってこういう新産業都市建設促進法というものを出していると私は思う。そうだとすれば、府県との関係というものは今考慮しないわけにはいかない。このまま法律が出てごらんなさい。すでに岡山県は岡山を中心にして今作るということでいろいろプランができております。私の手元にも相当の資料がありますし、大臣のところにもこれはおありだと思います。あるいは仙台を中心にして、あのところをずっとまとめたものができないとは限らない。また広島を中心としてこしらえるというようにできて参りますと、これはもう府県行政との間をどうしても考えざるを得なくなってくる。だから問題の焦点は、ただ単に指定市というようなことでなくて、今の大体の大臣の答弁だけでは私ども承服をするわけにも参りませんし、はっきりしたことを聞きたいのでありますが、地方行政に対してそういう事態がすでに起こりつつある。また起こりそうになっている。それに対して行政のあり方を、今の府県行政と市町村行政というようなあり方にいつまでも置くつもりなのか、あるいはこの問題を、たとえばわれわれの考え方から言いますと、複合都市の機能を高度に発揮することのできる一つの方式として、集中的分散方式をとるべきだということがどうしても地方行政の中からは考えられる。複合的な形をとるならまだいいですよ。ところが今の自治法の中に、一つの問題として、その複合的なものから、県と市のあり方から、特別市には十六項目の県の行政が移譲されている。そうなって参りますと、個別の都市の高度の機能発揮というものは一体どういうふうにしてやるつもりかという疑問が、どうしてもまた次に出て参ります。だからこういう基本的なものの考え方について、一体自治省としてはどういうふうにお考えになっているか、その点をこの際もう少しはっきり聞いておきたいと考えております。いわゆる府県行政都市行政との機能的の問題で、機能を高度に発揮していくのには、そういうふうに次々に一つの県の中に半分以上の大きな市ができてしまって、そこには県行政というものが及ばない、県行政というものは一つの県の中のわずか四割かあるいは四割半ぐらいのところしか及ばないというようなことでは、ほんとうの地方の自治行政というものが完全にやっていけるかどうか、いわゆる広域行政の問題がかなり大きな問題になろうかと思います。従って広域行政都市圏との行政の複合性というものがその次にはどうしても考えられなければならぬ。こういうものが、すっきりした形でいこうとするには、どうしてもやはりこの際思い切って都道府県行政と市町村行政との間に、何らかの処置をとらなければならない時期がすでにきておるのではないか。大臣の答弁よりも、もう少しはっきりした答弁をいただいておきませんと、例の、今提案されております新産業都市建設促進法案の審議にあたっても、私どもは十分に内容をつかむことができないのでありますので、大臣からもう一度その点についてはっきりと御答弁を願っておきたいと思います。
  52. 安井謙

    ○安井国務大臣 今の御質問でございますが、私は最初申しましたように、新産業都市というものの考え方は、必ずしもこの指定都市になるような、あるいは特別市になるような、非常に規模の大きいもの、あるいは県の人口の半分も占めるような構想でものを考えておるわけじゃないのであります。これはあるいは百万程度のものになる場合もあり得るかもしれませんが、三十万なり五十万くらいな人口指定される場合もあり得ます。そうしてその場合には必ずしも合同をした形でなくとも、あるいは市と町村が連合した形で出る場合もあります。これは要するに地方をできるだけ幅広く、そして拠点も多く、少なくとも各県に最低一つくらいな見当で、開発をし、産業を進めていこう、こういう計画でありますので、今、後段で御質問になっておりますいわゆる特別市、たとえば大阪市と大阪府の関係、あるいは横浜がもし川崎等と合併した場合の神奈川との関係、あるいは京都市と京都府の関係、こういうようなものと新産業都市とは直ちにちょっと一緒に考える筋のものじゃなかろう。別個に——そういう場合も起こり得るとは思います。たとえば、今御指摘の岡山のような場合には、あるいはそういう現象がやはり新産業都市の問題とからんで起こる場合もあると思います。新産業都市そのものの構想は、必ずしもそういうものを目標にしたものじゃないということで、むしろ地方のおくれている都市に拠点を求めてこれを積極的に開発し、この産業を進めていきたいということでございます。しかし、それと別な問題といたしまして、今のような、府県人口の半分以上を占めるような都市が続々できつつある——非常にたくさんできるかどうかは別といたしまして、相当できる傾向があるということも、これは否定できないと思うのであります。現に東京は、御承知のように二十三区というものでほとんどその八割以上を占めるという格好でありますので、こういう都制がしかれておるわけであります。大阪でも、もうすでに市が過半数の人口を占める。京都も同様である。こういう現象がありまして、かつてこの特別市と府県との間のいろいろな問題もあったわけでありますが、これに対しましては一応行政上の事務的なおさまりは現在ついておるわけであります。しかし、今お話しのように、今後も府県の中に過半数を占めるような都市が次々生まれていくというような場合に、今の府県のままのあり方、その特別市との関係をそのままにして考えておいてそれでいいかどうかという問題になりますと、これは今後の問題としては相当考えなければならぬところがあろうと思うのであります。この点につきましては、今地方制度調査会へもいろいろ御検討を願って、その答申も求めておるというような状況でありまして、現在すでにある大阪府と市の関係、京都市と京都府の関係あるいは神奈川周辺あるいは今度岡山がもしそういうふうになるという場合にどういうふうに考えるかという点について、将来の問題として、相当これは考えなければならぬとは思っておりますが、しかし今申し上げますようこ、新産業都市そのものは、そういうふうな形へすぐ結びつくものではなくて、三十万なり五十万なりのものであっても、十分新産業都市としての機能は発揮できるように考えていきたいということで、一応これは非常に関連はございますが、また将来関連が強くなる可能性はありますが、新産業都市の法案あるいはその考え方自身は、直接今のお問いの問題とは重なり合っていくものじゃなかろうというふうに私ども考えております。
  53. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておりますのは、そういう今の大臣の答弁のようなものは随所に必ず出てくると思う。それはこの法律の内容がそうなっているからです。政府がたくさんの金を出して、そうしていなかの方に工場を分散していく。それからそこにたとえば三十万なら三十万程度あるいは二十万くらいの都市ができるかもしれません。しかしそれは、そういう形でいこうとするその考え方があれば別でありますけれども法律はそうなっておらない。元来都市発展の概念、皆さんも大体御承知のように、都市の構成というものは、いわゆる都市自身が歴史的、経済的の発展的過程において造成されるものであるという従来の概念、この概念をはずれて、そうして人工的に都市を建設していこうとするところに、非常に大きな問題が出てくるのであります。従来の都市は、今申し上げましたような経済的あるいは歴史的に発展してくる地方的の要素というものが市街地というものを形成していく、そういう一つの発展過程にあるということは、概念的には考えられる。と同時に資本主義の発展というものは、どうしても集中的にいくことが、資本主義の建前からいけば便利であるから、結局そこに経済が集中されてくることは事実であります。たまたま日本の場合は、これが東京都については経済だけの問題でなくてそこに政治と文化が加わってきて、そうして今日のような世界にまれな奇形的の東京都というものができている。従来都市の発展を来たして参りますのは、概念的にいえば、今申し上げましたように経済的発展過程からできる。ところが今度は国がそういう都市を人工的に——人工的と言うと悪いのでありますが、一つ法律に基づいてこしらえていこうとするからには、やはりそういうことも考えられるわけです。  もうあまりこういう基本的な議論を長くしていると迷惑だと思いますからごく簡単に申し上げておきますが、そうすると大臣、今出されております新産業都市建設促進法によってできて参ります地方の自治体に対しては、概念的に考えてくると、これを集中的分散方式というような形で行政を行なうというようなことに考えておればよろしいのでございますか。一つの自治体がこうずっと集まってくる。そして一つの概念ができてくる。都市の形ができて、一つ都市ができる。しかしそれで複合的の県と市町村という別個な人格の行政というものがどうしてもダブってくるわけですね。これは新しい都市ができて、それに直ちに、特別市ではありませんが、政令で定める指定市というものを加えれば十六項目だけは重複しないことになる。これは県の行政で行なわれるということになる。しかし、これに次の問題としてどうしても起ってくるのは、指定都市の問題が私は必ず起こってくると思う。百万をこえる市であればどうしても私は指定市にならざるを得なくなってくると思う。そうなって参りますと、県の行政というものが非常に小さくなってくる。それを避けようとすれば、こういう問題はどこまでも集中的に分散をしていく以外に方法がない。行政の面ではそういうことが一応考えられてきますが、都市構成の面でもそういうことが考えられる。かなり広い圏域ができるのです。今のような小さな範囲でなくなりますからね。たとえば岡山の地図を見てごらんなさい。あるいは岡山の都市を中心にして今度岡山県で考えておる構想を見て参りますと、かなり広い範囲ですね。そうすると、これは一つ都市という概念でやれるかどうかということに問題がある。どうしてもこれは集中的に分散した一つ行政区画の中に入らなければできない。しかし自治体としては一本になる。どうしても合併される。行政の面においてはそれが一本でよろしいかどうかということについては私は問題があると思う。これは単に議員の定数をどうするかということでなくて、行政自身がそういう形が出てくる、その辺は新産業都市という形があるいは出てくるかもしれない。この関係はかなり深刻に真剣に考えておかないと、そういう広域の、広い範囲において一つ都市になってくると、全く行政の形というものは府県行政と同じような行政をとっていかなければ、一つ都市としての考え方としての行政ではどうしてもうまくいかない。おのおのかなり距離が離れてしまっておりますから、東京のような横浜のような、大阪のような、市街地が一本になって、一つになっているから一つ行政ができる。区が幾つあろうと大都市の市のごとき同じような要素を持っているところはそれでもよろしいかと思う。しかしたくさんのものが集まって、しかもそれの距離が離れておって、それぞれの自治体の性格というものがかなり地方的には違っておるというようなものが、一本の行政でやっていけるかどうかということになるとかなり私は問題が起こりはしないかと思う。ある面ではこの地域は十六項目でも県にまかせておいた方がよろしいのだ、どうも市で一律の条例でやるということは困難だろうというようなところが必ず出てくる。そういうものについての処置をどういうふうにお考えになっているかということと、私は将来この指定市の資格を持つところがたくさん日本にできると思うのです。そういう場合は必ずそういう問題が出てきます。だからそういう問題について大臣はどうお考えになっているかということをこの際もう一度答弁していただきたい。
  54. 安井謙

    ○安井国務大臣 今申し上げましたように、新産業都市の計画そのものから直ちにそれに発展するということは、必ずしも私は数量的に起こってこないと思いますが、一方自然の形で起きております今のいろいろな方面の現象を見ますと、門司さんの御質問のような問題も相当あろうと思います。しかしこれは私は今考えますには非常に限られたもので、たとえば横浜と川崎関係とか、あるいは北九州関係とかそういう幾つかの面に限定されてそういう問題がさしあたっては起こってくると思います。ことに岡山の問題になりますと、確かに御指摘のようにあれを一本の市行政行政区画に統一してしまう方がいいかどうか、今考えられておりますあのエリアを考えた場合、これはまた相当問題があろうと思いますので、この点につきましては、もう少し具体的な問題としても検討を進めていきたいと思っております。一般論として言いますと、府県の中で過半数以上を占めるような指定市なり特別市ができるというような現象が起こってくるようになれば、おのずからその次には県の合併というような問題も起こるかもしれませんし、そういう問題のあり方、たとえば岡山の基本の例を中心にして考えました場合には、今言われますように、集中的分散といいますか、そういう行政と統一体とのあり方の差異を認めていくといったような考え方一つの方法であろうと思いまして、これもあわせて現在地方制度調査会でも種々御検討を願っておるわけでありまして、岡山の例は、これは私はごく特殊なまれの例ではあるまいか、これはこれとして、当面の問題として必要な考え方を、さらに少し検討して進めていくべきではないかというように思っております。  それからついでですから申しますが、今の新産業都市につきましては、これもまた合併という形をとるのがいいか、あるいは場合によっては今の連合体形式をとるのがいいか、これは今のところ自由という形にしておりますが、そういうような形で新産業都市で、それぞれの府県の過半数を占めてしまう形にはにわかになるまいと思っております。従って岡山とかその他特殊な例につきましては、あり方は今御指摘のように十分検討して、なるべく早い期間に結論を出したいと考えておるわけであります。
  55. 門司亮

    ○門司委員 私はこの問題でこれ以上聞きません。だから問題になりますのは、新産業都市建設促進法から出てくる地方自治体のあり方を、どこまでも複合的な一つのものの考え方でいくというお考えがあれば、私はそれでもよろしいかと思います。ところがそうなってきますと、結局ひっかかるのは、この政令指定市というものが当然そこにひっかかってくる。そこでこれをどう改正していくかということが問題にならざるを得ない段階だと思いますので、一応お聞きしたのであります。  次にお聞きしておきたいと思いますことは、地方自治法自身についても一応総体的に今申し上げましたようなことを含んで再検討を要する時期に来ているのではないかと考えております。私が申し上げておりますのは、制定当時の自治法と今日の自治法とは、非常に大きな相違を来たしておるという点が見受けられるのであります。従ってこれをどういうふうに直していくかということについては、大臣に言わせれば今地方制度議会に頼んでおるからということで逃げられると思います。実はここで大臣の意見は期待できないと思います。大体きまった答弁だと思いますが、ただこの機会に率直に、この間もどなたかお聞きになっておりますのであらためて聞くほどの問題ではございませんが、この自治法の中で一つ問題になるのは東京都の区長の問題です。区長の今の任命制は違憲であるということで、ただそれだけならばまだよろしいのでありますが、付帯的にあの区長の選挙に対する収賄事件等が無罪になっておるという、刑法の関係から申し上げましても、当然これは有罪であるとわれわれは考えておったものが、憲法違反だからこれは無罪であるという、こういう判決が出て参ったのであります。そうなってきますと、単に自治法の中の特別区というものが今日の状態でよろしいかどうかということについて私は真剣に考えるべきだと思う。これは現実の問題としてわかっているがこれの取り締まりができない、そうして違憲だというので無罪、そうするとこれは刑法との関係が出て参りまして、私は非常に慎重を要する問題であって、ただ通り一片の、最高裁に出しているからあとどうにかなるだろうというようなことではいけないのではないかと思う。それで自治省の大臣としてはこの問題をどうお考えになりますか、直ちに違憲だからどうというのではありませんが、一応この点について、区長の公選制について伺いたい。そうしてああいういまわしい事件があったのだから刑事犯罪として当然対象になったと思う。ところが自治法改正して、これをあくまで任命制にしたということでこういう事件が無罪になっている、この点についての大臣のお考えを伺いたい。
  56. 安井謙

    ○安井国務大臣 あの区長公選問題にからまる刑事事件の判決というのは、御承知の通りあの選任の仕方自体が違憲である。従ってそれに伴った行為は刑罰の対象にならない、こういう判決であったわけでありまして、従ってこれの判決が全部妥当性を持つのだということに相なりますと、現在おる区長は全部無効だということになります。また公選になっていけばあのような刑事対象事件は、まずあの形のままでないということに相なろうと思います。従いまして私はあの判決は下級裁判所といいますか、地方裁判所の一部で起こったものでございますが、私ども裁判の内容をかれこれ言うことは控えたいと思いますけれども、一般にあの制度をとりました場合、あの区長選任方式に法律を変えました際の多くの憲法学者の考え方は、これは違憲じゃないということが非常に強かったものでありますから、私どもは今でもこの違憲説には一応承服いたしておりませんし、また当然これは上級の最裁所に行けばこの問題はくつがえってくるものだというふうに考えております。しかしそれはそれとしまして、今の区と都の関係を一体どうするのだ、また区長公選というものをどう考えるのだという問題は当然別個に、違憲であろうがなかろうが起こってくると思います。私どもこれは現実の問題としてできるだけ早く考えなければならぬし、結論も出さなければならぬと思っております。ただ私は今のところ正直に申しまして、今、公選という問題にはっきりとした結論を——公選がよろしいか悪いかという問題を単独に切り離してまだ結論を出しておりません。と申しますのはあの公選というのはちょうど終戦直後の新しい制度で、いわばアメリカの占領政策時代に起きた一つ制度であります。これがちょうど平和条約とともに、極端な形で言えば、一種の占領当時の政策を是正されたというような意味にもとれるし、また公選時代にいろいろ弊害というか摩擦が区と都の間に生じておった。また区政の運営上も非常な摩擦が生じておったという理由から、あれはわざわざ法律を公選制から今の選任制へかえられたという事情もあるので、ただこれをもとの公選制へ返しさえすれば問題はすぐ解決するというふうに単純に考えていないわけであります。最も大事なことは、今日の千万からの人口を持っている東京都の行政機能をほんとうに末端まで届かせるためには、仕事自体を相当権限を持った特別区的な性格を持っておる二十三区にむしろ移譲すべきものだ、できるだけ現場業務というものは二十三区に財源とともに移して、そしてそれを運営をしていく。都はできる限り、大きな交通とか水道とかその他の全般的な問題は持っておる必要はありましょうし、それから全体を考えていく財政とか税制の基本の問題とか、あるいは総合的な企画、こういう問題については都自身が考える必要がありますが、その他の現場業務はできるだけ移していく。その場合の人的構成が一体公選でいいのかどうか、それから現在区におる職員の身分をどういうふうにすればいいか、あるいは財源、地方税の配分をどういうふうに考えるのがいいか、こういう問題を総合的に考えた上で、この区長の公選制の問題もあわせて結論を出したいと思っておるのでありますが、これは相当大問題でありますし、技術的にも相当問題が複雑でありまして、去年の秋から——これは逃げると言われるとあれですが、地方制度調査会へも急いで答申を出していただきたい。それからわれわれの方としても、内部的に事務的にも相当検討を進めて、今申し上げましたような線でどうなるかという検討を現在進めて、できるだけ早くこの結論を出したいと思っておる次第でございます。
  57. 門司亮

    ○門司委員 この問題は違憲であるか違憲でないかという問題についてはいろいろ議論があります。われわれもかなり学者との間にも公の会議議論をしたこともございますが、区長の任命制が違憲にあらずという議論の論拠は、自治法の三編に、特別地方公共団体であるからという、一つ法律の立法技術の中というよりも——これは実態という言葉を使うのはどうかと思いますが、三編の中の特別地方公共団体の中に特別区は含まれておる。一章は欠いておる。三章は御承知のように例の地方自治体の組合の問題、四章は財産区の問題と、御承知のように三つに分けております。法律は二章に書いてあります。一章は削りましたから二章になっている。そういうように特別地方公共団体法律規定しておって、その特別地方公共団体の中には財産区がある。自治体の組合がある。いろいろな行政に対する組合がある。これと同じようにタイトルを分けて書いてあって、そしてその中で集約されておるものですから、普通の自治体とは違うのだということが、大体この区長の任命制に対する一つの論拠だというふうに、われわれが今まで論議をしてきた過程の中では一番強く主張されている、それでたとえば、財産区と同列に並べてあるが、性格上から言えば、二十三区というものは、区長は少なくとも憲法で定めた国民の最も大きな義務であります徴税権を持っておりまして、徴税令書を発行しているわけです。そう考えて参りますと、これは普通の町村事務組合、あるいは財産区とはおのずからはっきり性格が違ってくるという点がある。だから同じように自治法の三編の中で書いております特別地方公共団体と言っても、性格上は非常に異っているのであって、私はここに書くべきものではなかったのではないかというふうに考えられる。これは当然特別地方公共団体の中からはずしておけば、今のような問題は起らなかったのではないかというふうに大体考えられてくるのであります。従ってこの区長の公選制の問題については、そういうことも地方制度調査会にまかしておくというのではなくて、自治省自身がお考えになる必要があると思うのです。と申しますのは、地方制度調査会とか地方財政審議会の答申を大体尊重したことがないのですからね。あっても、会議のときに言いわけに使われるだけであって、ほとんど政府がこれを取り上げて法律に書いたことがないのです。だから大臣は一つそういうことでお茶を濁して逃げられないで、一体現在の自治省考え方としてはどうか——私は自治法が三編に分かれているところに無理があると思うのです。これははずすべきだと思う。財産区と今の二十三区の区長が同じだというものの考え方をすることはあやまちだと思う。同時に一部事務組合の仕事と区の仕事は全然別だと思う。それをここに一緒くたにしているところに法律上に問題がある。同時に、これが違憲であるかないかということの実態的な問題としては、ここに集約されてくると思う。こういうことに私は考えますが、この点を変える意思はございませんか。これを特別地方公共団体というのではなくして——まあ、任命制の問題は別ですよ。そういう考え方はございませんか。
  58. 安井謙

    ○安井国務大臣 あるいはそういうふうな考え方をする方が正しいかもしれぬと思います。今の財産区とか組合とかいったものと同じ範疇にこの二十三の特別区というものを入れていくのが、技術的に、あるいは実態に合っているかどうかということは、今御指摘の通り相当検討しなければならぬと思います。同時に二十三区というものが、一般でいう市という概念と同じものであるかどうかということも、常識的に見ていささか問題が大きいと思います。道路一つを隔ててあらゆるものがつながり合っている二十三区というものがばらばらな市と同じ権限内容を持つことが、行政能率上あるいは実態上可能であるかどうか、またそれが非常に便利であるかどうかという点にも、相当疑問があろうと思います。そこで率直に言いまして、私は何も地方制度調査会に全部まかせて預け切りにして逃げておるわけではないのであります。まず第一にやりたいことは、この二十三区というものは、そうは言いながらも実態的に相当自治体的な権限、性格を持たせるべきである。そういう意味から相当な業務、ことに現場的な業務に近いものはもっと区に移さなければいかぬ。たとえば御承知のように公選時代におきまして特に激しかったのは、区長だけは公選で出ておるが、その仕事の実態というものはほとんど都自身が直轄をしておった。公選はもう名目だけであって、内容的にはほとんど仕事がないというような実態にもあったわけで、今むしろ逆にそれが区におりつつある。これをうんと進めていって、そうして相当量おろした場合に区長を独立した公選制にするかどうか、そのかみ合わせをもう少し検討して出したい、こう思っておるわけでありまして、私はこれを普通の市同様に簡単に扱うところにも疑問があるので、なかなかむずかしいところがありますために、今の地方制度調査会の意見一つ参酌をしてそれと相待っていきたい、こういうように思っているわけであります。
  59. 園田直

    園田委員長 他に御質疑はありませんか——なければ、本案についての質疑は終了いたしました。
  60. 園田直

    園田委員長 これより本案を討論に付しますが討論の申し出もありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  これより内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  62. 園田直

    園田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十分散会