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1962-03-27 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十七日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 園田  直君    理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    大竹 作摩君       久保田円次君    田川 誠一君       田中 榮一君    津島 文治君       永田 亮一君    前田 義雄君       山崎  巖君    安宅 常彦君       川村 継義君    二宮 武夫君       山口 鶴男君    渡辺 惣蔵君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         保安課長)   小野澤知雄君         大蔵事務官         (銀行局中小金         融課長)    御代田市郎君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      大村 襄治君     ————————————— 三月二十六日  委員大沢雄一辞任につき、その補欠として田  中榮一君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員田中榮一辞任につき、その補欠として大  沢雄一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十三日  住居表示に関する法律案内閣提出第一一一号  )(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四二号)(参議院送付)  質屋営業法及び古物営業法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇五号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案についての質疑は、前会において終了いたしております。  これより本案討論に付します。通告がありますのでこれを許します。宇野宗佑君。
  3. 宇野宗佑

    宇野委員 私は自由民主党を代表いたしまして、本法案賛成の意見を申し述べたいと存じます。  御承知のように、最近の日本社会状況を見ますと、遺憾ながら殺人、傷害等暴力事犯が増加の一途をたどっておりまして、もはや放置することを許されない段階に来ておるのであります。なかんずく青少年暴力犯罪に至っては、昨年度と昭和二十三年度とを比較いたしますれば、約八倍という激増ぶりでありまして、これまたまことに憂慮にたえないところであります。しかもこのような暴力犯罪の手段として、銃砲刀剣類または危険な刃物が利用されており、これに対する特段の措置を今や講ぜざるを得ない時期に達しておると思うのであります。このため本案におきましては、銃砲刀剣類等所持や携帯の規制に関する現行規定を整備するとともに、警察官銃砲刀剣類等の取り締まりをする場合の権限等について、明確な規定を設けております。その他オリンピック競技大会の東京における開催を控えて、これに対処するため、射撃競技用拳銃について、一定の要件のもとにその所持を認めることとし、あわせて射撃場指定に関する規定を整備する等、私は本法案が成立いたしますことは、まことに時宜に適したことと考えるのであります。  また、論議の過程で問題となりました警察官職権乱用の問題につきましては、ひとり本法案に限らず、あらゆる警察関係法において一貫して最も注意を要する事柄であります。この点に関しましては、警察法第二条でも明確に規定いたしておるところでありますし、また警察庁当局が、警察官教養訓練に意を用いて、いやしくもその乱用の行なわれないよう周到な注意を払うことは、けだし当然のことと言わねばなりません。私は日本警察官教養訓練が、真に国民の信頼にこたえ得る状態になりますことを期待いたしますとともに、国民の生命、身体を守るべく、それに対する予防的措置を講ずる本法案に賛意を表するものであります。  なお、最後に一言つけ加えておきたいと思うのでありますが、今回の改正によりまして、銃砲刀剣類所持許可年齢が、十四才から原則として十八才に引き上げられるとともに、射撃場指定につきましても、法的な規制が加えられることになりましたので、これまで十八才未満の青少年にも、健全なスポーツとして愛好されて参りましたところの空気銃所持を、一般的には禁止されることになりました。しかし御承知のごとく空気銃は、他の銃砲に比較してその危険性も少なく、かつ、一面において健全なスポーツとしての性格を持っているとも考えられますので、警察庁当局としては、指定射撃場設置との関連もあわせ考え青少年空気銃射撃が健全な姿で存続することができるよう、行政運営上十分な配慮が必要ではないかと考えるものであります。  また今回の改正によりまして、銃砲刀剣類を現実に所持することとなる前に、所持許可書の交付を受けなければならないわけでありますが、これらの許可事務の処理については、一般国民の便益を十分考慮して、すみやかに処理されるよう、この際特に要望しておきます。  以上の理由をもちまして、本法案賛成するものでございます。
  4. 園田直

  5. 阪上安太郎

    阪上委員 私は日本社会党を代表いたしまして、銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案につきまして反対討論をなさんとするものであります。  今回の改正は、およそ八点であります。そしてそのうち、第五条並びに二十四条の二を除きましては、われわれ社会党といたしましてもおおむね了承するところであります。しかしながら、特に二十四条の二につきましては、われわれは強く反対をいたさなければならぬと考えております。すなわち審議の経過からいたしましても、二十四条の二につきましては、いわゆる提示させ、開示させ、そうして調べることができる、提出させて一時保管することができる、こういうようなふうになっておりますが、これにつきまして多分にこういった警察権限を設定するということは、職権乱用のおそれが十二分にある。それと同時に、いわゆるこれが任意であるか、あるいはまた強制であるかという点で審議が集中されたわけでありますが、当局答弁によりますと、それは任意強制とのちょうど中間である、こういうような答弁が出ておるわけであります。このことにつきましては、この任意強制というものは常に相並行するところの姿でありまして、これがその中間に落ちつくということ自体は、これはきわめてむずかしい操作ではなかろうか、私はこういうように考えるわけであります。哲学的に言うならば、これは絶対に矛盾するところのものを一つにしていかなければならぬところの作用が十分ある、こういうことになろうと思うのであります。ちょうど自由と平等が民主主義の要素である、しかも自由と平等は相反していく、相反するものを一つにするためには、そこに何らかの媒体が必要である、こういうことになろうかと思うのであります。それと同じように強制任意という絶対矛盾的なものを自己同一の形に持っていくためには、そこに何らかの媒体が必要であろう、かように考えられるわけであります。そこでそれは一体どういう媒体になってくるかということでありますけれども、その媒体は、警察官の民主的な教養、それに基づくところの技術、こういったものが的確に行なわれなければならない、こういうように考えるわけであります。そこで問題になりますのは、任意であるか、強制であるかということになりますと、結局こういったものは、捜査をされる個々の人間自身が、警察官態度によって、これは任意に提示を要求され、開示を要求されておるのだ、こういうふうに解釈するか、これは強制的にわれわれにこの警察官が現在要請しているのだ、こういうふうにとるかということによって、違ってくると思うのであります。繰り返すようでありますが、この二十四条の二につきましては、ただいま申し上げたように、非常にむずかしい問題であり、警察官態度いかんによってはそれが任意になり、警察官態度いかんによっては強制になるというところの問題であります。従って、こういったものが、憲法の三十一条であるとか、あるいはまた十三条であるとかというものに抵触するかしないかの問題点は、一にかかって警察官態度にある、われわれはかように考えるわけであります。そこで、現在の警察官が、そういった高いところの民主的な教養を、身に備えておるかどうかということによってのみ、これがあるいは違憲のそしりを免れないような結果になり、あるいは合憲であるという支持を受けることができるようになる、こういうポイントじゃなかろうかと思うのであります。この意味におきまして、われわれは、現在の警察官がその程度教養をたくわえておるかということにつきましては、はなはだ遺憾ながら疑問であります。従って、もっともっと警察当局警察官の待遇を改善し、身分を保障し、生活に対しても十二分な配慮を与えてやる、そのことによって警察官が心のゆとりを持って、そうしてこのむずかしい問題を処理するだけの高い教養というものを身に備えていく、そういった段階においてこそ、こういった法律改正というものが適当であろう。しかしながら、遺憾ながら現在そういう点の努力は、まだきわめて当局においても不十分だと私は思う。もっともっと十分な措置を講じた後において、この法律改正というものが初めて合理性を持ってくるのではなかろうか、かように考えるわけであります。さような意味合いにおいて、われわれといたしましては、まず第一番に、現在の警察官に高い教養を備えしめるためのあらゆる努力当局がいたして、それを待ってこの法律改正すべきであった、かように考えるわけであります。  いま一点は、これは警察が行ないますところの防犯活動の間接的な法律であろう、こういうふうに考えられるわけであります。たとえば、ただいま上程されておりますところの質屋営業法であるとか、古物営業法であるとか、あるいはまた過般来から問題になっております道路交通法の問題であるとか、未成年者喫煙禁止法とか未成年者飲酒禁止法等と同じように、本法案というものは防犯に対するところの間接的な措置であり、予備的な法律である、かように考えられるわけであります。従って、警職法五条というようなものと考え合わせてみましても、警職法の方は、直接的な犯罪がまさに行なわれようとする段階におけるところの警察官措置でありますので、きわめて明白、かつ現在の危険というものが確認されるという場合に行なわれる、直接的な防犯行為である、かように考えられますが、この法案につきましては、それ自体、今申し上げましたように、間接的な、予備的なものであります。従って、この段階において、警察官やり方いかんによっては強制になり、やり方いかんによっては任意になるというものでありますならば、そのやり方いかんによりましては、きわめて国民の自由、身体等を拘束するところの、違憲のそしりを免れないような職権乱用的な結果に終わるおそれというものが、十二分に出てくる。そういった観点からも、現在のこの法案改正につきましては、われわれは疑点がある。  以上私が申し上げました二つの点について、われわれ日本社会党は、過去においてもそういった事実があったので、他の法案と異なりまして、この種の治安関係法についての改正等につきましては、きわめて神経質に考えているわけであります。さような意味合いから、こういった種類の法律改正というものは、警察権限を多少明確にしていくという点においては、納得できる面もあるにはありますけれども、今、申し上げましたような二点から、さらにわれわれとしては危惧を持つ。そういう意味反対せざるを得ない、こういうことであります。  以上、私の反対理由を申し上げます。
  6. 園田直

  7. 門司亮

    門司委員 民社党を代表して、ごく簡単に反対意思を明らかにしたいと思います。  第一点は、先ほどもお話のありましたように、第五条改正が、どうしても旧警察のやった戸口調査になる危険性を持っておるということであります。  もう一つは、今問題になっております二十四条の二項を加える点であります。さらにこの中で最もわれわれが問題にしなければならない点は、不法所持者に対する所持品の保管と、さらにこれを返さなくてもよろしいという規定があることでございます。これについてはもちろん法案の内容には、警察官行為が逸脱しないようにというしぼりはかけておりますが、しかしこの問題は、憲法との関係で非常にやっかいな問題になろうと思いますし、凶器等持ってはいけないものを持っておるということは、明らかに法律違反であることには間違いがない。しかしそれだからといって、私物を返さなくてもよろしいという規定が、はたして適当であるかどうかということです。いわゆる凶器になる危険を持っているのであって、予防警察建前の上で、このやり方との関連性をこういうふうに割り切ることについて、私どもまだはっきり釈然としないものがどうしても出てくる。いわゆる犯罪に使った凶器であるとするならば、これは一つの処分としてあるいはそういうことが行なわれることもやむを得ないかもしれない。しかしこういう段階において、不法所持であるからこれを返さなくてもよろしいという規定を設けたことについては、憲法との間の問題が今までの質疑応答の中では釈然としておらない。もう少しはっきりした根拠がなければ、これに賛成するわけにいかない。  もう一つの問題は、たびたび申し上げておりますように、これらの銃砲刀剣の中には、文化財としての指定を受けて、ただ登録さえすればそれを持ってもよろしいという規定が一方にはある。ところがこの法律では五条で、危険があると思われる場合は、同居の親族等についても捜査をして、そうして犯罪予防建前からこれを許可しないことができると書いてあります。しかし従来の経験から見て参りましても、文化財として指定されている総数と、これが凶器に使われた数というものは、パーセンテージからいけばきわめて少ないのであります。しかし文化財として登録されております銃砲刀剣等凶器に使われたことは事実上あるわけであります。もし五条規定をそのまま大衆に当てはめるとするならば、やはりここでは文化財に対しても、何らかの処置をすべきではないかということが考えられる。そうしておかなければ、必ずしも万全ではないということが一応考えられる。それと同時に、いろいろ問題になって参ります凶器の出所あるいは凶器流れというようなものについて、いわゆる銃砲刀剣等流れというようなものについては、この法律ではほとんどどこにも予防がされておらない。こういうことを考えて参りますと、この法律には、せっかく改正はされておりますが、まだかなり大きな不十分のところがあって、ただ法律改正は、いたずらにというと言葉は行き過ぎかもしれませんが、警察官権限のみが強くされるというようなきらいを、多分に持っておる法案でございます。従って、これらの法案に、私どもといたしましては、以上申し上げました大まかにいって大体三つないし四つの点がまだ不十分であり、さらに法律として憲法違反疑いがありますので一これは単に二十四条だけでありませんで、五条にも、やはり身元調査その他というようなことになって参りますと、憲法違反疑いが出てくるわけです。従って、直ちにこれに賛成するわけには参りませんので、反対意思表示をする次第であります。
  8. 園田直

    園田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 園田直

    園田委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)  なお、本案に関する委員会報告書作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  11. 園田直

    園田委員長 次に、質屋営業法及び古物営業法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑に入ります。  通告がありますので、これを許します。田中榮一君。
  12. 田中榮一

    田中(榮)委員 私は、今回改正されます質屋営業法並びに古物営業法条項につきまして、具体的に質問をいたしたいと存じます。  質屋営業並びに古物営業は、わが国といたしましては非常に由緒の古いものでございまして、特に質屋営業につきましては、江戸幕府時代から、いわゆる庶民金融機関一つとして、庶民の間にそれが大いに利用せられまして、いわゆる零細なる庶民の一時的金融難を緩和する方法として、とれが利用されておったのでございます。また一面、質屋並びに古物商に持ってこられる商品が、ややもいたしますと、盗難品または遺失品である場合が非常に多いのでありまして、さような点から、質屋並びに古物商につきましては、警察と密接な関係をとりまして、申告または任意提出方法によりまして、防犯的な非常な協力態勢を整えておるわけでございます。  そこで、現在全国質屋古物商の数というものは、どのくらいあるものであるか、まずそれを統計的な数字によってお伺いいたしたいと思うのであります。
  13. 木村行藏

    木村(行)政府委員 全国質屋の数は、三十五年の統計で約二万でございます。それから古物商が約十六万八千でございまして、そのほか行商、露店商を兼ねておりますものが、この内数といたしまして七万七千ございます。
  14. 田中榮一

    田中(榮)委員 そこで、質屋古物商が相当防犯協力をしておる現在の実情からいたしまして、三十五年度中において許可せられた数がどの程度であるか、また廃業または取り消しをされた件数がどのくらいあるか、おわかりでありましたら、お知らせ願いたいと思います。
  15. 小野澤知雄

    小野澤説明員 三十五年におきまして、新しく許可したのは大体千二百くらいございます。なお兼業状況でありますけれども、三十五年におきまして、質屋古物商を兼ねておるのが一万くらい、それから質屋貸金業兼業が九百、それから古物商貸金業兼業が千五百くらいございます。それから質屋古物商貸金業兼業しておるのが約二千くらいございます。
  16. 田中榮一

    田中(榮)委員 これらのうち、許可取り消しを受けたもの、それから廃業したものは、三十五年度中にどの程度に上っておりますか。
  17. 小野澤知雄

    小野澤説明員 質屋取り消しを受けましたものは六件でございます。それから廃業でございますけれども、これは三十五年におきまして大体六百件ほど減っておりますので、新規許可が千二百くらいで、結局廃業が千八百というふうに見ていいと思います。
  18. 田中榮一

    田中(榮)委員 古物商関係はどうなっておりますか。
  19. 小野澤知雄

    小野澤説明員 古物商許可取り消しを受けましたのは、三十五年におきまして百七件でございます。
  20. 田中榮一

    田中(榮)委員 廃業は何件ですか。
  21. 小野澤知雄

    小野澤説明員 古物の方は年間大体二万一千くらいふえます。ところが前年に比べまして古物商は約二千ふえておりますので、廃業は一万九千でございます。
  22. 田中榮一

    田中(榮)委員 そこで私は、まず質屋営業法の第三条の規定について、ちょっと質問したいと思うのでありますが、質屋営業というものは、私が冒頭に申し上げましたように、ある面においては庶民的な金融機関という機能を果たしているわけであります。従って、庶民利害関係が非常に深い。また古物商におきましても、一般大衆との関係が非常に大きいのでありまして、一たん許可されたものが違法行為をやったり、不正行為をやった場合におきましては、その弊害というものは、結果というものは庶民大衆がこれを負わねばならないというような観点から、この許可につきましては相当厳重な規定を置くべきであろうと考えております。現在質屋の場合に例をとってみますると、「公安委員会は、」「左の各号の一に該当する場合においては、許可をしてはならない。」ということで、いわゆる欠格条項といいまするか、「禁こ以上の刑に処せられその執行を終り、又は執行を受けることのなくなった後、三年を経過しない者」であるとか、いろいろ過去の経歴等につきましては、非常に詳しい欠格条項が掲げてあるのでありますが、私ども考えでは、少なくともこうした金融面を担当する者としましては、その資格についてはやはり相当厳重な資格をつけておくことが必要ではないか、単なる一般商品売買業とは違うんじゃないかと私は思うのです。そこで、特にこの質屋等につきましては、相当な豊かな経験といいまするか、質屋営業に関する知識というものが必要でありまするが、対人的制限として、特に質屋営業に必要なる知識であるとか、あるいは能力というものを有したものについて、特に資格を確認するというか、資格を審査する、こういうようなことが必要ではないかと思うのであります。特にまた質屋古物商は、警察に対しまして相当防犯的協力をするとともに、または防犯的ないろいろな義務を課せられておるような関係がありまするので、これらの両営業につきましては、もっと対人的制限というものを加えた方がいいのではないかという声もあるのでありまするが、その点につきまして、警察庁としてはどういうお考えをお持ちでございましょうか。
  23. 木村行藏

    木村(行)政府委員 今お示し通り、いろいろ質屋能力によっては、帳簿の記載その他営業の取り扱いに影響するところも大きいと思いますので、ごもっともなことかと思いますが、ただ一応現在、現行営業法規制いたしておりますいろいろな防犯上の義務なり、その他の義務につきましては、一応普通人程度の常識を持って十分注意していけば、まあある程度カバーできると思いますので、それ以上のことをさらに規制する、制限を強化することは、現在の段階では必要はなかろうかと思いますけれども行政指導ではいろいろこの面について、十分お示し通り配慮いたしたいと考えます。
  24. 田中榮一

    田中(榮)委員 そこで質屋の例をとりますると、最近ある都市におきまして、何か既存の営業者の隣に、また新たに許可をとったという例が、千葉県のある都市において行なわれたそうでありますが、ほかの営業等と違いまして、少なくとも金融面を担当している営業でありまするので、質置主の保護という点も考えねばなりませんし、またいろいろの点からしてある程度社会公共とも連結している営業でありますので、これをあまり乱設をするということになりますと、社会的の弊害というものもまた一面考えねばなりませんので、いわゆる質屋営業許可制限といいまするか、質屋の配置の適正化というような点につきまして、たとえば距離的な制限を置くとかなんとか、そういう点も一応考えられるわけなんです。現在浴場等におきましては、浴場公共的性格からいたしまして、乱設されることは環境衛生上支障を来たすおそれがあるというので、ある程度距離的の制限を置いてあるようでありますが、質屋営業等につきまして、何か距離的な制限を置く御意思があるのでありますか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  25. 木村行藏

    木村(行)政府委員 全般的な全国的な傾向としましては、先ほども申し上げましたように、質屋の数が逐年若干減りつつありますので、全国的な傾向として、過当競争から来るいろいろな弊害というものは、今のところはありませんけれども、今おっしゃいましたように、一地域に非常に密集して近距離に集中いたしますと、いろいろなその面における競争といいますか、あるいは粗製乱造されて、そういう業者が出てくるというようなことによって、質置主に対する保護なりあるいは防犯上の観点で支障が出てくるということも十分考えられる。しかし浴場の距離的制限と若干ニュアンスも違いますので、法律で距離的制限などについてある種の基準を設けますことは、今のところいろいろむずかしいと思います。しかし今申しましたような事情がありますれば、それぞれその当地の実情に応じて十分行政上の配慮を加えて、その弊害の出ないように措置すべきだと思います。
  26. 田中榮一

    田中(榮)委員 そこで距離的制限がかりに警察庁の方として不適当であるというお考えであるならば、これもやむを得ないと思うのでありますが、その場合におきまして、乱設過当競争等を防止する意味からいたしまして、相当質屋営業等におきましては、警察に対して非常に防犯的協力をいたしておりまする関係上、その県の組合連合会等を御信頼願いまして、許可に際しまして地元組合連合会の意見を聴取するとか、あるいはこれに対して諮問するとか、そういうようなお考えはないものでございましょうか。その点につきましてお伺いしてみたいと思います。
  27. 木村行藏

    木村(行)政府委員 地方の実情に応じまして、それぞれ連合会ができておるところと、できてないところがありますが、できておるところにつきましては、従来といえども防犯上非常に協力をいただいております。連合会の意見を聞きまして相談いたしたいと思いますけれども、ただ正式に諮問いたしまして何かの形をとるということは、若干問題があろうかと思いますので、意見は十分に参酌いたしたいと思います。
  28. 田中榮一

    田中(榮)委員 相当組合連合会といたしましても経費を犠牲的に負担をいたしまして、警察防犯措置に対しまして現在協力している形になっておりますので、正式な手続ということはあるいは言いかねると思いますが、行政的措置として、できれば警察がこの連合会というものを信頼されまして、それらの意見を十分に聴取せられるように、今後も一つ努力願いたいと考えております。  それから次に第十七条の二項の問題につきまして質問いたしたいと思うのでありますが、現行規定質屋営業法の第十七条第二項の規定によりますると、「流質期限は、質契約成立の日から三月未満の期間で定めてはならない。」すなわち流質期限は、満三カ月を経過したものでなければならぬと法律規定されておるわけであります。従来は業者の保管設備、すなわち倉庫でありまするが、市街地等におきましては、土地が非常に高くなっており、また資金が固定化するという意味から、わずか五、六坪程度の倉庫しか持ってないものが非常に多いのではないかと思っております。そこで最近入質物のおもなものは、テレビであるとかラジオであるとかあるいは電気冷蔵庫、電気洗たく機等、非常にかさばるものが多いのであります。特にまた新製品が続々として生産されておりまする関係上、数カ月後にはすでにその型が旧式になって、市場価値というものが非常に落ちてしまう、こういう状況でありまして、きわめて長期保管に不適当なものがだんだん多くなってきたわけであります。すでに業者からは期間の短縮の要望がございまして、警察庁としても実情を十分御認識願って、今回の改正は、質置主が物品を取り扱う営業者であり、かつ入質せんとする物品が、その取り扱っている物品であるような場合においては、その営業者質屋とは、経済的地位で特に差異があまりないというようなことで、質置主の保護に欠けるおそれがないという、この二つの理由から、両者の話し合で一カ月まで短縮できるようになったことは、適当なる改正と私は信ずるのであります。  そこで、入質者が物品を取り扱う業者と限定されておるのでございまして、一般の入質者に対しましては、その保護の立場から三カ月としたのであるか、この点明らかにしていただきたいと思うのであります。もちろん、物品を取り扱う業者とのいわゆる話し合いの上では一カ月まで短縮できるけれども、物品を取り扱ってない一般質置主につきましては、依然としてやはり三カ月というようなことになっておるようでありますが、業者側からすると、何とかこれも一カ月まで短縮してもらえぬかというような声があるやに聞いておるのでありまするが、その辺どういうように御解釈になっておるのでありましょうか。すなわち、物品を取り扱う業者というのは、どういうような種類のものであるか、それについてお伺いしたいと思います。
  29. 木村行藏

    木村(行)政府委員 ただいまお話がございましたように、物品を取り扱う業者であり、かつ質に入れようとする物品が、その取り扱っておる物品であるような場合におきましては、経済的にそう強弱の差がありませんし、また置く方の側の利便も考えまして、あるいは質屋の利便も両方かね合いまして、一カ月まで短縮できるという規定を設けたわけでありまするけれども、それ以外の一般のものにつきまして、たとえは貧乏学生が非常に月謝に苦しんで、身の回りの物を置くというような場合に、一カ月で流れてしまうというようなことは非常に酷でありますし、社会通念から言っても問題かと思いますので、従いまして、ただいま申し上げましたような業者の関係だけにいたしたわけであります。  また、お尋ねの物品を取り扱う営業者と申しますのは、たとえば質物になり得る対象でありますところの動産あるいは有価証券、こういうものを販売、貸し付け、交換することを業としている者でありまして、たとえば電気器具商がその取り扱っておる電気器具を入質する、そういう場合をさしておるわけであります。
  30. 田中榮一

    田中(榮)委員 その点につきましてはよく了承いたしました。  次に、第十八条の規定につきまして質問いたしたいと思いますが、旧法では質札は証拠証券としてのいわゆる免責証券的な性格を持っていたように思うのであります。しかるに現行法では質物の返還に際して、質置主以外の場合であれば、質札を所持している者であっても、質物の受け取りについて、正当な権限を有することを証するに足りる資料を呈示した者以外の者に返還してはならないことになっておるのでございます。質札は単に証拠証券たる性格にすぎないのであります。これは質置主の保護と、質札売買の悪弊を防止するために規定されたものと考えるのであります。ところが、実際には質屋からいたしますと、長い間のお得意と申しますか、常に契約をしておる者につきましては、一応面識もありますので、いろいろ便宜もあるのでありますが、最近におきましてはこれを利用する者が非常に多くなりまして、わずか一回か二回の取引の者もありまして、ごく少数の取引では、なかなか面識も十分に得ることができないような実情でありまして、質屋さんとしては、商売柄やむを得ず持参した質札を信じて返還をするのであります。やがて後日になりまして、ほんとうの質置主から、正当な受取人であるところの資料を呈示されて、質物の返還を請求されたが、時すでにおそし、質物はほかの者に返してしまったというような場合が起こりまして、この場合においては、やむを得ず損害を弁償せざるを得ないという事例も間々あるのであります。ところが今回の改正によりまして、業者が総理府令で定める方法により、相手方が質物の受け取りについて、正当な権限を有する者であることを確認したときは返還して差しつかえない。この場合は、同条第二項の義務を履行して質物の返還をしたときは、結果的に見て受取権者以外の者に質物を返還した場合であっても、原則として正当な返還をしたものとみなして、損害賠償の責任を免除することになったことは、これは私は妥当な改正考えられるのでありますが、そこで、総理府令に定めた方法とは、一体どういうような方法を指さすのでありますか。具体的に一つ示し願いたいと思います。
  31. 木村行藏

    木村(行)政府委員 ただいま考えておりますところの総理府令の案を概略申し上げますと、質置主であることが明らかでありまして、しかもその場合に相手方から質札または通帳の呈示を受け、かつその相手方の住所、氏名、職業、年令及び受け戻しの請求を受けた質物の品名、数量、特徴などを質問しなければならないということにいたしまして、質札または通帳の呈示を受けまして、さらに今申し上げたような質問をいたして、正当な受取権者であることを確認して返す、こういうふうにいたしたい。また質置主が明らかでありましても、その者が質札または通帳を示すことができない場合、そういうような場合の確認方法といたしましては、現行施行規則の第十七条に、一つの確認の具体的な規定がございますが、それに基づきまして質契約の年月日あるいはその相手方の住所、氏名、職業、年令及び受け戻しの請求を受けた物品の名前、数量、特徴などを質問するというふうにいたしております。さらに質置主以外の者であることが明らかである場合がございます。そういう場合には相手方から質札または通帳の呈示を受けまして、かつ相手方に今まで申し上げたような各種の質問をいたします。さらに質置主以外の場合が明らかでありまして、しかも質札または通帳を呈示できない、こういうような場合についても、その質置主から質物を受け戻すことにつきまして委認されたということを証するに足るような資料の呈示を受ける。それとともに、あわせてただいま申し上げたような諸種の質問をいたす、こういうような類の規定を設けておりまして、この程度の確認をいたせば正当な確認をいたしたもの、こういうふうに考えております。
  32. 田中榮一

    田中(榮)委員 そこで、旧法によるところの質札というものは、一応免責証券たる性格を持っておるのでありますか、十八条の改正によりまして、質札というものは警察庁としては単なる証拠証券としての法律性格を持っているものと解釈されておりましょうか。それとも、また一歩前進して免責証券ということにしたのでありますか。どちらでありますか。その点を聞きたいと思います。
  33. 木村行藏

    木村(行)政府委員 私たちの方針といたしましては、質札は免責証券としての性格を付与いたすことは無理かと思いますが、ただ、ただいま申し上げましたように、正当な受取権者であることを確認する一つの要素としては十分に考えております。
  34. 田中榮一

    田中(榮)委員 次に、質屋営業法で申しますと、第二十二条の規定、それから古物営業法規定によりますと第二十一条、いわゆる盗品及び遺失物の無償回復の規定でありますが、現行法によりますると、質屋の例をとってみますると、業者に対して、引き取りの際の確認または不正品の申告の義務を初めとして、いろいろの防犯上の義務を課しておるわけであります。この規定に準拠しまして、業者が引き取りした物品に対しての民法第百九十四条の適用を除外しておるということは、公共の利益を保護する立場からやむを得ない点もあろうかと考えておりまするが、ただ実際問題として、いろいろの実情を調査してみますると、業者にとっては非常に過酷なように思う点もあるわけであります。もちろん業者が悪意であり、または不正の目的をもって引き取りした場合においては別でございまするが、いわゆる善良なる管理者の注意を怠りなくやって、そうして善意、無過失において引き取りした場合における無償回復の規定というものは、やや私は酷のような考えもあるのであります。業者としては、多年の経験と直感から、容易にそれが不正品であることを看破できるのでありまするが、やはり相手方が窃盗の前科者等の場合におきましては、巧みに業者をだまして入質してしまうのであります。業者としては、先ほど申しましたように、善良なる管理者の注意をもってしても、なおかつだまされてしまう場合が往々あるのであります。そこで後日になって、質物が盗難品であったり、遺失品であることが品ぶれ等によって判明いたしまして、警察に申告して質物を任意に提出した場合において、被害者との間に協議返還の話し合いが成立すればよいのでありまするが、被害者としては盗まれた品物であるから、それをただで取り返すのは当然である、これは常識的に一応そう考えるのでありまして、その場合において被害者と業者との間に話し合いが成立しない場合におきましては、被害者から無償で質物の回復を請求されることになっておりまして、この点につきましては、業者としては泣く泣くその品物を出さざるを得ないという現状でございます。そこで別に遺失物の場合の例をとってみますと、遺失物の拾得者は、遺失者に対して、要するに拾った者は落とした者に対して、百分の五から百分の二十の範囲内で、いわゆる報労金の請求権が現在認められておる実情であります。そこで質屋の場合におきまして、不正品の申告と任意提出は、遺失物の拾得の届出と同じような性格のものではないかと考えられるのであります。質屋が善意、無過失であり、善良なる管理者の注意を怠りなく払ってやって、なおかつ質置人たる犯人からだまされて入質されたときは、まさに質屋もまた被害者という立場に置かれるわけであります。そとで法律上からしますると、質置主たる犯人に業者が損害賠償の請求権を行使することは、一応法律上はできるのでありますが、事実上は全く不可能に近い実情であります。実際は警察の方から、不正品の疑いがあっても、一応質草としてとりなさい、あとで直ちに申告してくれ、これは犯人検挙の一つの手段でございまして、不正品の疑いがあっても、一応質屋さんはそれをとってくれ、そしてあとから届け出なさい。そしてその入質品を証拠として、いわゆる犯罪の山をそこでだんだん割り出していくという一つの証拠方法として、これが利用されているわけでありまするが、まずこういう面において業者は協力方を要請されているわけであります。この場合に、被害者と業者との間に立って、協議返還の労を警察は一応とってはくれるのでありますが、被害者としては有償返還をがえんじないときは、質屋営業法におきましては第二十二条の規定により、古物営業法におきましては第二十一条の規定によって、無償で返還せざるを得ないのであります。この場合の業者の損害は、だれにも転嫁できないというものであります。そこで警察におきましては質屋古物商表彰取扱要綱のようなものができておって、やむを得ないから、その業者もまた被害者の一人であるからして、この場合において何らかの方法で表彰をしてやろうというのが、私はこの取扱要綱ではないかと思っております。県によりましては、報奨条例を作って、若干の報奨金を支給して、業者の防犯協力に対して労をねぎらう、またその行為を表彰するというようなところもあるそうであります。ところが県によりましては、その金がないために、組合から支出をさして、そして組合員から出した金で、いわゆる報奨金といいますか、そうしたものを、またもとの組合員に返しておるというような例もあるそうでありますが、私どもはこういうものはやはり純然たる公費をもって支出すべきが至当ではないかと考えております。いずれにしましても、現在の質屋営業法第二十二条、古物営業法第二十一条等の規定は、いわゆる太政官布告時代の規定でありまして、この進んだ近代的な社会におきまして、ちょんまげ姿をした規定が今なおここに存在しておるということは、いかにも時代錯誤のような感じがせざるを得ないのであります。そこで私一は、この近代的な社会におきまして、太政官布告時代の質屋営業法第二十二条、古物営業法第二十一条のような、ちょんまげ、かみしも姿の規定改正をいたしまして、今後当局としても、少なくとも無償回復を有償回復、それからまた無償回復請求権の行使のできる期間一年を六カ月ぐらいに短縮をする御意思があるかどうか、この点につきまして一つ当局のお考えを承ってみたいと思うのであります。
  35. 木村行藏

    木村(行)政府委員 ただいまお話しの点は、実際の事情といたしましてまことにごもっともな点があるかと思います。ただ先生も御案内の通り、この質屋営業法の二十二条、古物営業法の二十一条は、民法の百九十三条の盗品あるいは遺失物の被害者、遺失主の保護の根本原則とも関連をいたしまして、ただいま仰せのように、現在でも盗品なりあるいは遺失物の非常に多くの部分が質屋、特に盗品についてはその半分は古物商流れておりますので、古物商に行きますとそれが直ちに取引に移される、転々として動きますときに、大体代価がふえまして、被害者がどこかでそれを見つけたという場合においても、いよいよそれを買おうとする場合に、もしこの規定を削除いたしますと、自分の品物でありながら、以前よりもむしろ高い金を払わなければならぬというはめにもなりまして、民法百九十三条の被害者保護という根本の建前がくずれて参りますので、近い将来この制度を根本的に変えるということは、よほど特殊の事情のない限りはむずかしいかと思います。しかし先生の御指摘のように、報奨制度というようなことは非常に奨励すべきものでありまして、現在すでに三十三県条例を作っておりまして、年額にしても千二百万円というような相当の額を出しまして、四年ぐらい前に対して十数倍の額になっておりますので、だんだんそういうことをカバーしていく業者の措置等も配慮して参りたいと思います。
  36. 田中榮一

    田中(榮)委員 民法百九十三条のいわゆる被害者の方の一般規定からしまして、現在の質屋営業法第二十二条、古物営業法第二十一条の規定改正することは非常に困難だという御意見は、私どもよくわかるのであります。しかしながら、今日の実情というものが、むしろ業者が被害を受けるということが最近非常に多くなって参ったわけでありまして、そういう点から、できれば今の二十二条、二十一条の規定の無償回復を、ある程度有償回復に改め、請求権行使の期間を半年に短縮するか、十カ月に短縮するか知りませんが、そういう点は今後とも御検討願いたいと思う。それと同時に、その改正ができない間におきましては、業者としましては、何も金をもらうことが主ではないと思うのでありますが、やはり防犯的協力の意欲を喪失させたりするようなことがあっては、今後非常に重大な問題となりますので、少なくとも報奨金はできるだけ多額に支出して、せめて業者の協力について報いてもらう点を十分御研究願いたいと思います。  それから次に、ただいま申し上げました質屋営業古物営業が、防犯的協力において相当熱意を示しておるのでありますが、質屋及び古物商の品ぶれ等に基づいて、申告または商人の任意提出によって、すなわち業者の協力によって、どの程度の窃盗事件その他の事件の検挙ができたのであるか。昭和三十六年度中における業者の協力によって検挙された事件というものは、どの程度にあるか、数字をもしお持ち合わせでありましたらお示し願いたいと思うのであります。
  37. 木村行藏

    木村(行)政府委員 ただいまのところ、全国的な統計がまだまとまっておりませんけれども、一応それに関連しまして、全国的に最も事件の多い警視庁管内の状況だけを申し上げて、全国の点を御推定いただきたいと思います。警視庁管内の三十六年の協力件数——この協力件数と申しますのは、不正品の申告とか、品ぶれ品の発見とか、あるいは犯人の立ち回りの連絡とか、すべての協力を含んでおりますが、それがこの二カ年間で質屋において千七百二十二件、古物商におきまして五百六十五件、そしてその計が二千二百八十七件でありまして、この協力によりまして検挙に至りました件数が、質屋におきましては四千五十八件、古物商におきましては七百八十件、合計四千八百三十八件で、約二カ年の間に五千件ばかりの検挙を見ておりまして、非常な御協力をいただいておるわけであります。
  38. 田中榮一

    田中(榮)委員 ただいま数字をお聞きいたしますと、やはり業者の防犯協力によって、相当犯罪の検挙をいたしたようでございます。そこで組合を強化するという面もありますが、やはり業者が防犯協力会というものを強力に組織をして、そして警察協力態勢を作ることが、今後の防犯的立場からも、また犯罪検挙の上からも、必要な措置ではないかと私は考えておるわけであります。先ほど木村保安局長からのお話によりますと、全国的に組合はできているが、まだ連合会ができてないというようなお話も承ったのでありますが、一体全国的に今、警察単位で組合ができ、県ごとに連合会あるいは大きな都市におきましては都市だけで連合会というものができておりますが、まだ未組織のようなところが相当あるのでありますが、いわゆる組織化された率というものはどの程度になっておりますか、おわかりだったらお示し願いたい。
  39. 木村行藏

    木村(行)政府委員 これは全国的に見ますと、ほぼ半数の県でできておりまして、あとの半数がまだ未組織でございます。
  40. 田中榮一

    田中(榮)委員 そこで、私はやはり業者に防犯協力会というものを強力に組織させて、そしてあくまで警察に協力する態勢を強化していくことが、今後の防犯的立場からも必要じゃないかと考えておりますが、こうした未組織における地区に対して、公安委員会、国家公安委員会の方から各県の、少なくとも警察署長あてに、通達あるいは訓令でも出されて、未組織のところについては、できるだけ早急に組織を整備しろ、あるいは組織を強化しろというような訓令、または通達を出すような御意思はないものでございましょうか。
  41. 木村行藏

    木村(行)政府委員 この法案通りました暁には、どうせ第一線にいろいろ通達をいたしたいと思いますので、その趣旨のようなことを含みまして行政指導をいたしたいと思います。
  42. 田中榮一

    田中(榮)委員 私はぜひ警察が積極的に組合組織の面において指導的立場をとって、一つ組合の強化といいますか、組織の整備に一段の御努力をお願いいたしたいと思います。このことは、結局防犯的見地から必要なものじゃないかと私は考えておるわけであります。  最後にお願い申し上げたいことは、実は古物商連合会からすでに公安委員会、国家公安委員会あてに要望が出ておるそうでございますが、質屋連合会からも同様だろうと思うのであります。この現在組織されております防犯協力会というものを質屋営業法規定の中、古物営業法規定の中に作った方がいい。作るべしということが言えなければ、作ることを希望するとか、作って差しつかえないというような、そういった法律上に防犯協力会を組織するような旨の規定が明示されますと、防犯協力会を組織する上においても非常にやりやすいと同時に、防犯協力会なるものが法的根拠を得ることになりまして、一そう防犯協力会の警察に対する協力態勢が整備するのじゃないかというような強い要望があるわけでありますが、はたしてこの両方の中に防犯協力会の組織について規定の上において明定することができるかどうか、その点について一つお伺いしたいと思うのであります。これは業者の強い自覚と責任観念を植え付ける意味からも非常に効果的なものではないかと考えておるわけでございます。その点についてお伺いをしてみたいと思います。
  43. 木村行藏

    木村(行)政府委員 ただいまの点につきましては、質屋連合会の方からは、そういう要望は出ておりません。古物営業連合会からは出ておりまして、また国会に対する請願としても、その事項がはっきり要望されております。従いまして、それに対しまして、私たちもいろいろ研究いたしたのでありますけれども、御案内の通り古物業界は非常に千差万別で、業態がまことに複雑でございます。その防犯協力の団体を作りますのについても、なかなか事情がありまして、簡単にいかないような事情もございます。また法的根拠を持ちましたそういう団体を作りますことにつきましては、よほどの理由がありませんと、若干踏み切りに無理がありますし、憲法関係もありますので、今回は見送ったわけであります。
  44. 田中榮一

    田中(榮)委員 以上をもって私の質問は終わりたいと思うのでありますが、なお質屋古物商につきましては、何回も申し上げましたように、現在の犯罪検挙の面におきましては、警察はこの組合というものを十二分に活用するといいますか、利用しておるような関係もありますので、今後の法的改正につきましては、ある意味においては業者の立場も十分に考え、また公共の立場も十分にお考え願いまして、今後さらに合理的なる改正に御努力を願うことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  45. 園田直

    園田委員長 二宮武夫君。
  46. 二宮武夫

    ○二宮委員 田中委員から御質問がございましたので、重複する点を避けまして、簡潔に御質問を申し上げたいと思います。  ただいま無償回復の問題が出ましたので、これに関連をした問題からお尋ねをしたいと思いますが、木村保安局長の説明によりますと、各県に対して行政指導をやって、防犯の面から報奨的なものを実施させる、こういう方向に行政指導をやるのだという御意見でございます。そしてまた現在のところ、そういうような組織というのは、全国に三十三県くらいできておる、こういう御説明でございますが、これに対する財源の問題です。これは一体何に基づいているかということに問題がある。私の知っておる一つの例としましては、たとえば自転車税が免税になりますと、自転車の盗難を防除するという意味から、これを登録制の、一つのものをつけまして、その差額金を防犯協会の収入にしている。これは、自転車を持っている人は免税にはなったけれども、実際のところは防犯意味において登録をさせられる。しかもこれは防犯協会というものであるけれども、実は警察の裏表になっておる関係上、地方ではほぼ強制的なものだというふうに考えて、税と同じようにこれを納めるということになるわけです。そうして、そういうものから上がりました収益金をもって、これを今言ったような無償回復をされた場合の報奨金に使う、こういうような例もあるわけなんです。そこで、防犯に協力している質屋あるいは古物商に対して、そういうような行政指導をやるという意思がある以上、これに対する財政的な裏づけというものをやらないと、迷惑をこうむるのは一般国民大衆であるということになることも間々あるわけなんです。  また、こういう例もあります。警察の需要費が足りない、薪炭、燃料費が足りない、こういうことになりますと、いなかの方の地方では、やはり税外負担として寄付を求める。寄付を求めるときに、一番多額の寄付をするのはだれかというと、質屋なり古物商なんです。これはなぜかというと、善意をもってやっている者はいいけれども、また裏返しますと臓物故買の目をのがれて多少そこに利益を上げよう、そういう手かげんをしてもらうことを一つの目標にして、やはり多額の寄付をするという実例も私は知っておる。従って、こういう防犯協力というものを、もし行政指導としてやるというなら、これに対する自治体なりあるいは国なりの財政的な援助というものを裏づけしてやらなければ、これは非常な問題があるのではないかというように私は考えるのです。  もう一つ例をあげると、自治体警察から県警察というものに変わったときに、これは昨年ちょっと私質問いたしましたけれども、建物自体はなお民間人のものを借りておるとかあるいは市町村のものを借りておるとかいうような、県警の派出所などがあるわけなんです。こういうようなものにからんで、警察防犯というような問題から、財政的な裏づけは全然しないでおいて、そういうことを行政指導するということになると、あらゆる面に障害が起こってくるという問題が派生してくるのではないか、私はこのように考えるわけですが、今あなたの御答弁になった、防犯について協力をしている者に対してこれを今後も行政指導し、防犯協力会を作り、今回は法的に規制をしなかったけれども、今後これを考えたい、こういう意思であるならば、それに対する財政的な裏づけをどのようにお考えになっておるかということを、一つこの際、はっきりしておいていただきたいと思います。
  47. 木村行藏

    木村(行)政府委員 現在の状況を見ますと、先ほど申し上げた三十三県のうちで、約三分の二は県費で出しております。それ以外は県と業者とが負担し合っているのが大部分でございまして、業者単独で出しておるのはきわめて例外であります。しかし、おっしゃる通り、こういうふうな問題については、防犯の協力ということでありまして、公的な面で当然報いるべきであると思いますので、県費の財源として組むように、従来からもいろいろ行政的に指導しておりましたけれども、今回もさらにこれは強力に指導して参りまして、ほとんど例外なしに県費でやってもらいたい、こういう方向を努力目標にして措置して参りたいと考えます。
  48. 二宮武夫

    ○二宮委員 その点は、今後とも行政指導をやるという場合には、必ずそれに対する財政裏づけをやる、こういうことをはっきりしておらずに行政指導をやることは、末端においては非常にへんぱな問題が起こってくるということを一つ承知いただきたいと思います。  それから、今回の改正法の一番基本になりますのは、これを制定した当時の社会的、経済的事情と、今日における状態とは非常に差ができてきた、この観点に立って、第一、第二、第三、第四と、四つの点について改正するのだという提案理由の説明でございます。そこで、質屋営業法昭和二十五年の五月から、古物営業法昭和二十四年五月の制定になっておるわけでありますが、第一の改正点の有価証券を第二十二条の規定から除外するという問題ですが、この有価証券の即時効力を発するという民法第百九十二条というのは、いつ決定されたのですか。
  49. 木村行藏

    木村(行)政府委員 ただいま関連規定をあげられましたけれども、この有価証券の即時取得につきましては、直接的には商法五百十九条と二百二十九条の関係規定で、有価証券の特質に一応じまして、小切手の規定を準用しまして即時取得ということを認めております。
  50. 二宮武夫

    ○二宮委員 私の聞いておるのは、御説明になりますような民法百九十二条において「平穏且公然ニ動産ノ占有ヲ始メタル者カ」云々という法律が基礎になっておるような説明があるわけなんですが、そうすると、説明の中の経済的事情あるいは社会的事情が変わったから今回改正をしたのだということになりますと、昭和二十五年、昭和二十四年——私はこの民法は昭和二十四年の改正ではないかというように考えるのですが、その間に十年という間の問題があるわけなんでして、その間何らの基準になる法律改正はない。しかもここに十年程度こういうような事情をそのまま等閑に付しておったというところに、今度の改正がどうも十分に納得のいきかねる問題があるように私は思うのです。これはもう少し究明してみなければわからない問題もあるのですけれども、そういう点について、何か提案理由と具体的な法改正の案文の問題との間につながりがないような感じがするのです。ほかの問題にひっかけておる問題であればいいといたしますけれども、第一点には、そういうような社会的、経済的な情勢が変わったから第一点の改正をやったのだということでなければ、私の疑問は解けるわけなんですが、その関係はどうなんです。
  51. 木村行藏

    木村(行)政府委員 民法の百九十二条及び百九十三条、百九十四条の即時取得関係規定につきましては、これは動産というふうになっておりまして、たとえば百九十二条でいいますと、「平穏且公然ニ動産ノ占有ヲ始メタル者カ善意ニシテ且過失ナキトキハ即時二其動産ノ上二行使スル権利ヲ取得ス」。この動産の中には、民法の規定では有価証券が入っておりませんので、従いまして、民法とは関係なく、先ほど申し上げました商法の規定で即時取得というものがうたわれておるわけでございます。  それから経済上の十年間のその後の変化というものは確かにありまして、従いまして今回何点かの改正をお願い申し上げましたのも、そういう面が一つ理由としてあるわけであります。従いまして、たとえば流質期限に対して例外を認めましたり、あるいは返還の方法についてもいろいろ具体的にいたすということは、そういう事情にも相応じたわけであります。
  52. 二宮武夫

    ○二宮委員 公安委員会から出されました資料の中の十ページですが、質屋営業についての認可規定の問題、その第七号には「同居の親族のうちに前号に該当する者又は営業の停止を受けている者のある者」、これには許可しない、こういうふうになっておるわけですが、この「前号」というのは、法文上第六号を受けておると思うのですが、そう解釈していいですか。
  53. 木村行藏

    木村(行)政府委員 その通りでございます。
  54. 二宮武夫

    ○二宮委員 そうしますと、それは質屋営業法の第二十五条を受けることになるわけでございますが、いろいろな項目がございまして、禁錮の刑に処せられた者云々といういろいろな問題がございます。そこで、私はいつも、警察のお考えになっている親族というものに対するものの考え方が、十分に理解ができないのです。これは長官にお聞きしますが、ここにある親族というのは、民法の第七百二十五条に親族というものが明瞭に書いてあるわけですが、それはやはりその通りに解釈していいですか。
  55. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ここに申します親族は、民法にいう親族と同意義でございます。
  56. 二宮武夫

    ○二宮委員 そういたしますと、第七百二十五条では、六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族というものが親族というものになるわけです。その中の一人でも質屋営業法の第二十五条規定あるいは許可条項の第六号の規定に違反をする者があれば、その人に対しては質屋営業許可しないということになるわけですね。そう解釈していいですか。
  57. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 親族でございますが、同居の親族でございますから、その点でしぼられてくるわけでございます。
  58. 二宮武夫

    ○二宮委員 たとえば今申しました親族というのが、民法で定められた親族をそのまま受けておるわけでございますので、非常に縁の遠い人もその中に同居する場合があり得る、そうすると第二十五条によって——破産状況にあったような者が、その家の中に一緒に生活をさしてもらっておるというような社会事情も、ままあろうかと思うのであります。そういう者が一人でもありますと、この人に対しては質屋営業というものを、公安委員会においては許可させないということにはっきりなるわけです。もちろん、あとから事情の聴取や、そのほかいろいろございますけれども、これは専門的にわたりますから保安局長でけっこうですが、そのようなことをやりますと、社会道義的に、善意で非常に遠い親族の人を、お前生活に困っているからおれのところで一緒に見てやろう、こういう人を引き受けることによって、憲法規定されているところの自分で仕事をやる自由、職業選択の自由というものが拘束をされることになるわけでございまして、私は警察当局考えている親族というものは、常に旧家族制度というものを非常に頭の中に強く持っておるのではなかろうか。しかもこれは公務員でもなければ警察官でもない、私的営業をやるところの営利業者なんです。もちろん防犯協力ということはやるにいたしましても、これは当然憲法で保障された個人の職業選択の自由というものがあり得るはずなんです。ところが今言ったのは、ある人生の失敗者というものを、自分の家の中に入れて生活を見てやろうという善意があったがために、自分がやろうという営業許可されないというようになることは、私は憲法に違反をするおそれがあるのではないかというように考えるわけですが、その辺の関係はどのようにお考えになりますか。
  59. 木村行藏

    木村(行)政府委員 この規定は、趣旨といたしましては、同居の親族につきまして、御承知通り生活を事実上ともにしておるというような関係から、しかも親族関係であるという関係で、本人と生活上、身分上非常に密着しておる者だけにしぼっておるわけであります。従いまして、たとえば二十五条によりまして営業取り消しを受けた場合に、その取り消しを受けた者は営業ができませんので、かえ玉として親族を使って営業するということになりますと、防犯上あるいは質置主の保護上問題でありますので、こういうような規定が当然社会実態から生まれたわけであります。またこれは第五号の破産の宣告を受けて復権を得ない者というようなものはかぶってきませんで、前号第六号の、第二十五条第一項の規定によって許可を取り消されて、しかも取り消しの日から三年経過していない者、こういう前号を受けておるのであります。
  60. 二宮武夫

    ○二宮委員 営業許可をやる場合に、陰に隠れた実力者がおって、他の人を自分の名義のかわりに出すということによって、営業許可を取る、こういうものを防止するという意思が、この中にあるのだというように今の説明では受け取れるのですが、それはそれとして、はっきり法律の中に、そういうものは許さないという項目は別個にあるのです。第六条にはっきりそういうものがあるわけです。そこで私が言っているのは、今警察庁考えていることは、非常に悪意に満ちた方法だけを取り上げておるので、これは私、もう少し善意にものを解釈すべき問題も、中に包含されておるだろうというように思うのです。そういうことをこれによって排除することになることは、社会道義上おもしろくないと思うのです。そこでそういう場合には、公安委員会としては、何らかそこに次の項目にあるような、事情聴取なり、あるいは申請の内容についていろいろ検討するとかいうことによって、そこに、ここにはこういうふうに書いてあるけれどもという、一つの緩衝地帯と申しますか、一つの妥協できるような条文がなければ私はよくないと思うのです。今木村保安局長の言われたような、第二十五条によって営業許可をされないということを決定した者が陰におるから、同居親族の中におるから・もう許可をしないのであるという考え方は、法律の解釈としては、防犯の面から、あるいは営業そのほかの今あなたのおっしゃったような面からは正しいかもしれませんけれども、私はもう少し社会道義の善意に満ちた方面から考えていって、もしそういうことであった場合には、これは憲法の二十二条にはっきり規定をされておるところの公共の福祉に関係のない限り、職業の自由が得られるという問題に抵触するのではないかという解釈もなし得る部面もあるのではないかというように考えるのですが、その点はどうです。
  61. 木村行藏

    木村(行)政府委員 たびたび申し上げておりますように、本法は質屋が、この法律に違反した行為によって取り消しされた場合とか、あるいは営業の停止を受けている者、そういう者に限っておりますので、ケースとしてはそういう事情のある場合でありますので、従いまして、そういう悪質な違反者につきましては、同居の親族についてもさらにこういう条件を加えていきますことは必ずしも不適当ではないと私は思います。
  62. 二宮武夫

    ○二宮委員 それは私も認めるのです。悪質な者があった場合に許可しないということは認めるのですけれども、そうではなくて、悪質な者でなくて逆な場合ですね。りっぱな生活をしている者が、その親族の中に非常にかわいそうな者があって、それを引き受けてうちで生活を見てやるということがもしあったとして、それがあるからこの仕事は許可されないというようなことは不届きだと思う、その点はどうです。
  63. 木村行藏

    木村(行)政府委員 具体的に営業違反をやりまして、この法律に基づいて取り消しを受けた場合でありますので、ただいま御指摘のケースは問題はないと思います。
  64. 二宮武夫

    ○二宮委員 問題がないということは、どういうふうに解したらいいか解しかねるのですが、第二十五条違反というのが第六号を受けておるでしょう。第六号が第七号の許可規定を受けているのでしょう。そうしますと今私が申し上げましたようなケースの場合にはどうするのですか、許すのですか許さないのですか。
  65. 木村行藏

    木村(行)政府委員 本人が処分を受けておりません場合は、許せるのでありまして、ここに掲げている第七号の規定には該当しないのであります。たとえば破産者とかあるいは住居の定まらない者がある。しかしそれは非常にかわいそうだという場合に、引き取って世話することについては、この規定は全然関係ありませんので、この欠格基準に違反するということにはならぬと思います。
  66. 二宮武夫

    ○二宮委員 どうも、なお釈然としたいものがあります。これはやはり個人というものの考え方、民法上の個人あるいは憲法上の個人の尊厳というものの考え方と、それにつながる親族というものを一緒くたに考えて、それに対して一つの責任を持たしていくというような、家族制度的なものの考え方というものの中に、明確な解釈といいますか、観点がはっきりしておらないために、どうも私が質問していることと答弁とがピントが合わないのです。私はやはり憲法や民法で定められておるところの個人の尊厳、個人の責任、個人の自由というものの中に、たとい他のものがくっついてきても、その人が保障されている職業の自由というもの、そういうものを、同一の家族の中に入ってきたからといって、それに責任をかぶせられて、本人の道が開けないというようなことはおもしろくないと思うのです。従って、この解釈については、これは実際運用の面において都道府県の公安委員会許可する条項になっておりまするので、行政指導の面で一つ十分にお取り扱いをいただきたいと思うわけでございます。問題は、私は今まで聞いておりまして、非常に質屋営業なり古物営業なりというものが、防犯に協力するという報奨的な意味を持って今回の法律改正というものが行なわれたような印象がするわけです。それだけではなく、社会的経済的事情の変化というものももちろんあるだろうと思うのですが、今度三年たって、免許の更新をする必要がなくなったという改正点がございますが、一度免許を受けましたならば、二十五条に該当しない限り、ずっと続けてその仕事をやっていかれるというような、許可営業の中で永久免許という形をとつておる業種は、あなた方の関係でどういうものがありますか。
  67. 木村行藏

    木村(行)政府委員 たとえば風俗営業関係で、パチンコあるいは料飲、キャバレー、そういう風俗営業関係では、都道府県公安委員会許可を受けることになっております。
  68. 二宮武夫

    ○二宮委員 同じ許可営業の中で、年限を付して許可の更新をしなければならないという営業は、どういうものがありますか。
  69. 小野澤知雄

    小野澤説明員 ただいまの風俗営業関係で、パチンコの営業は一月ごとの更新になっております。
  70. 二宮武夫

    ○二宮委員 ほかにそういうものの例はございませんか。私が今お尋ねしておるのは、この法改正が他の業種とのバランスがとれておるかどうかという問題を一つ考えなければならない。法は公平であるべきであるという建前から考えますならば、一ぺん免許を受けたならば永久にその免許が続いていくということですから、他の業種とのバランスが十分とれておらないということになると私はおもしろくないと思う。従ってお聞きしておるわけです。こういう改正をやりました際に、許可営業というものの他の営業とのバランスの問題が十分に均衡がとれておるかどうかということをお尋ねしておるわけであります。
  71. 木村行藏

    木村(行)政府委員 全般的に大観しますと、いろいろな営業許可につきましては、都道府県公安委員会だけじゃありませんけれども、ほかの系統でも知事の許可とかたくさんありますが、営業許可については更新制度をとっていないのが、ただいまの建前であります。一たん許可すれば取り消しをされない限りはこの許可は永続するということで、更新制度がないのが建前であります。
  72. 園田直

  73. 門司亮

    門司委員 最初に聞いておきたいと思いますのは、この法律の内容というよりもむしろ概念について御説明願いたいと思います。質屋営業法改正、この問題は非常に公益性の強い問題であるという観点から審議すべきであると考えておるが、この点に対して当局はどういうように考えておりますか。ただ取り締まりだけをお考えになっておるのか、あるいは質屋営業は、そういう金融関係を主として、しかも言葉はごく悪いが、下層という言葉はどうかと思うが、比較的生活に恵まれない諸君の金融機関一つであるという考えで、きわめて公益性の強い業種だと考えることが私は正しいと考えるが、当局はこれをどう考えておるか。
  74. 木村行藏

    木村(行)政府委員 この質屋営業法に関しまする考え方の根幹は、もちろん防犯とか、そういう立場でこの法の趣旨は重点が置かれておりますが、それ以外に質置主の保護とか、あるいは質屋の立場ということも十分に考えまして、その保護といいますか、それの立場に対する配慮もあわせ考えなきゃいけませんし、そういうふうに考えられておると思います。
  75. 門司亮

    門司委員 御承知のように、質屋営業については非常に所管省がばらばらで、たとえば許可認可あるいは取り締まりというようなことはこの法律で行なわれる。しかし公益質屋の所管は厚生省であります。それから利率その他をきめます場合には法務省でありあるいは警察当局も多少関係しておる、同時に大蔵省も関係しておる。こういうふうに考えて参りますと、質屋については、営業面からくる問題についてはいろいろ問題がありますが、その業態自身の公共性という問題から考えると、所管もかなりばらばらであって、そうして一貫した施策も何もないように考えられる。これは警察に聞くのは無理だと思うが、そういう建前に立っておりますのと、それから公益質屋の取り扱いと一般質屋との取り扱いについては、質置人の利害の関係がかなり違うわけであります。たとえばあなた方よく知っておると思うが、一般質屋でありますならば、流質期間が来れば、それで大体打ち切られる。それが公益質屋の方は、御承知のようにその期間が来ても、質受人が、その品物がまだ自分の預けたところにあるということが確実であれば、当然期限があったものと考えて、ついた利息と元金を持って行けば返してくれるようになっておる。同時にまた公益質屋は、たとえば流質したものを他に転売をいたしましても、手数料その他を差し引いて、なおかつ金の剰余があるとすれば、本人にこれを返すことになっている。どこまでも公益質屋の場合においては、質置人の利益というものを守るという建前が貫かれておる。ところが一般質屋については、そういう規定は何もない。これはむろんこの営業自体建前が違う。片方は福祉法人であり、片方は個人の営業者であるから、そこまで質置人の利益というものを擁護することはできない。同時に、社会福祉法人である公益質屋については、貸出の限度等もきめられているというように、おのおの立場による制限規定があることはもちろんでありますが、しかしこういうように、同じ質屋営業法という一つ法律の中で、質置人の利益の擁護というものに相違がある。公益質屋については、今申し上げましたような、はっきりした質置人に対する擁護の規定がちゃんと設けてある。片方は二十八条に少しばかりわけのわからぬ——と言うとおこられるかもしれませんが、ごく簡単に質置人の利益というものが擁護されている。こういうふうに、同じ社会的の公共性を持つものであり、ことに庶民階級の金融対策の最も普遍的なものであると考えられるものの中で、片方は法人であり公益であるからそういう保護をする、片方は個人であるからそういう保護が認められないということについては、私はいささか手落ちがありはしないかと考えられるが、その点はどう考えられますか。
  76. 木村行藏

    木村(行)政府委員 たしかに今お話の通りのような実際の差異がありますけれども、御案内の通り質屋と公益質屋は、金融機関として同じ社会的な機能を果たしておりますし、そしてまたどちらかというと、どちらも庶民的な金融と言いますか、比較的零細な金を至急ほしいというような場合の金融機関で、庶民金融機関という、社会的機能から言うと非常に類似をしていると思います。しかしそれでありましても、やはり質屋そのものは、一応私企業としての性格は本質的には変わりませんし、それから公益質屋は、御案内の通り、市町村がやりましたり、あるいは社会福祉法人がやるというような公益的な法人格を持っておりますので、おのずからそこに法的な扱いから言いましても差が出てくるわけであります。しかしながら、質屋営業法におきましても、できるだけ質置主の保護ということについても配慮を加えながらいろいろ運用し、あるいは必要があれば改善する点も出てくるのではないかと思います。
  77. 門司亮

    門司委員 そこで、今の御答弁で私はよろしいとは考えませんが、もう少し何とか配慮する必要があるのじゃないかと考える。質置人の利益というものは、ある程度守る必要がありはしないかと考えられる。  その次に、これは警察関係でありますから聞いておきたいと思いますことは、質屋古物兼業しておるものの数字がここに統計が出ております。先ほど田中さんの御質問にお答えになったような数字が表われております。三十五年度で質屋の総数は二万六百三十五、この中で個人で質屋古物商兼業をしておるものが八千四百七十五、同時に古物商質屋あるいは貸金業を兼ねておるもの千百六十一、こういうような数字が出ております。さらに法人の方におきましても、古物商であって質屋との兼業をしておるものが千六百九十、従って質屋古物商兼業しておるものの総数は一万百六十五という数字が書いてあります。この問題で私は今お聞きをしておきたいと思いますが、こういう兼業についてはどういう状況でこれが許されておるのか、あるいは全体の質屋営業者に、こういう兼業は許されておるのであるかということについて、おわかりであったら一つ答弁願いたいと思います。
  78. 小野澤知雄

    小野澤説明員 質屋古物兼業につきましては、質屋古物兼業したいという場合は、届けを出しますとそのまま許しておるわけでございます。
  79. 門司亮

    門司委員 私が今までの質屋営業について知っていることと少し違うようです。少なくとも質屋等については、預かった品物がかりに流れたものについては、古物商としての自分の店あるいはその他の店舗で、質屋自身が売ることも届け出すればできる、こういうように解釈してよろしいですか。
  80. 小野澤知雄

    小野澤説明員 届出という言葉が少し説明が足りないと思いますけれども許可の申請をいたしますと、許可をするわけであります。別に兼業を勧奨することもございませんし、あるいは禁止することもないのであります。
  81. 門司亮

    門司委員 そうなって参りますと、これはあなた方に聞いてもちょっと無理かと思いますので、さらに大蔵省なり法務省なりにおいでになっていれば聞きたいのでありますが、今の質の利息を、もう少し下げることはできないかということであります。と申しますのは、従来普通の質屋古物商との関係がどうなっているかということについては、皆さんも御承知だと思いますが、質屋は少なくとも自分のところで流れた品物は、そのまま処分ができるということになれば、高く売れるというととは多少言い過ぎかもしれませんが、価格が維持できると考えられる。ところが、これを自分のところで処分ができない、一応古物商に売らなければならないとなると、古物商はさらにそれから利益を得なければならないということになるから、結局質屋流れた品物の価格をある程度たたくといいますか、低廉に買わなければならぬということになるのは当然だと思う。それが逆作用をして、質屋の方で質受けをするときに、これは自分のところで古物としてこれくらいに売れるからこれくらいまでは貸してもよろしいということになるが、これは自分のところで処分できない、古物商という一つの媒介者でなければ処分ができないということになれば、やはりその値段だけは貸し出しを遠慮するという形がどうしても出てくると思う。そうなって参りますと、質置人の利益というものはそれだけそがれる。従って今お話しのように、全部の質屋許可願を出せばそれで許可されるということになっておれば、もう一つ進んで、質屋営業者に対しては、自分のところで質受けをして、そうして流れた品物についてだけは、古物商としての取り扱いができるのだということにすることによって、質置人の支払う利息を下げることができはしないか、こういうことが私にはしろうとの考え方として考えられる。というのは、今の利息も必ずしも安いものではありませんで、かなり高いものについておりますし、公益質屋の方は四分で貸されているというように開きを持っている。従って公益性から考えてみますと、民間の質屋の利息を下げることが質置人の利益を守るゆえんであり、また質屋営業の売買の幅を広げることになろうかと考えられます。同時にもう一つは、たとえば流質したものについて、それが質屋にそのままある、第三者の古物商に移っていないということがあれば、そこで質置人が買い取ることも容易になりはしないか。こういう形で、質置人にいたしましても、質屋営業者にいたしましても、営業自身がかなりスムーズにいくと同時に、お互いの利益を守ることができはしないかと考えられるが、この辺についての当局側の見解を一つ聞いておきたいと思います。
  82. 小野澤知雄

    小野澤説明員 ただいまの門司委員のお説、まことにもっともな点もあるのでございますけれども、しからばこういう点をお考えいただきたいと思うのであります。というのは、先ほどどもが申し上げましたように、質屋古物屋を兼業するのは奨励もしないし、制限もしていない。にもかかわらず質屋が二万ありましても、全部が兼業しないという点でございます。これはもうかればやるのでございますけれども、これはやはりそこに、兼業いたしましても採算がとれないということがあるわけです。というのは、やはり質屋の店舗の場所とかあるいは扱う商品等によりまして、必ずしも流質物を店に並べましても売れない、特にまた最近は終戦後と違いまして、物がそんなに価値がないということで、勢い専門に流質物を扱っている古物商に頼まなければはけないという状況があるわけでございます。今の質屋が自由に売れないで、古物許可をとらなければだめだということのために、そのはね返りが質物の評価とか、あるいは利子の高いということにはね返ってくるのではないかという御心配でございますけれども、これはただいま申し上げましたように、質屋がやりたければ自由にできるわけでございまして、ただやってもそれに対する費用は手数料の制限とか、あるいはまた今まで行政指導といたしまして同じ入口でやらない、間口を別にするというようなことではやっておりますけれども、そういうような点で、あるいは多少の問題はございますでしょうけれども、とにかく必ずしも質屋古物商兼業して、自分のところで流れたものを自由に処分しようといたしましても、それがただいまさような理由によりまして、全部が全部はけないということになっておるわけでございます。そういうことから、やはりただいま質屋営業法という法律がございますし、また他方に古物営業法という法律がございまして、それぞれ規制する分野を異にいたしまして規制しておるわけでございますので、質屋古物を業として売買するということになりますと、これはやはり古物商の認可を受けさせるというこのいき方がいいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  83. 門司亮

    門司委員 せっかくの答弁ですけれども、私はやはり先ほど申し上げましたように、質屋営業法というものについては、質置人の利益というものを最初に考えて、こういう法案をこしらえることが社会的には望ましい、またそれでなければならないと考えられるのであります。従って古物の分野におきましても、何も古物の分野をそうたくさん侵すわけではありませんので、自分のところだけで引き受けしたものの処分でございますから、決して大きく侵すわけではない、そのことによってある程度利息の利率が下げられ、さらに質流れ後でも買い受ける用意があるというようなことが考えられてくれば、やはり私はそういう処置を積極的にとるべきではないかということが一応考えられますので、以上のことで一つその面についても、これは何も利息の関係警察関係ではなくて——法務省が多少関係しているようでありますから、全然関係がないとは申し上げませんが、御検討願いたいと思います。  それから公益質屋のことを申し上げましたから、もう一言申し上げたいと思いますが、現行の公益質屋の管理人その他に対する罰則の規定は、百円以下ということが書いてあるのはどういうわけですか。これは直さないのですか。
  84. 小野澤知雄

    小野澤説明員 これは罰金等臨時措置法によりまして、五万円以下になっております。
  85. 門司亮

    門司委員 この法律に書いてあるのは五万円と直しておけばいいわけですね。
  86. 小野澤知雄

    小野澤説明員 その罰金等臨時措置法によりまして、そう読みかえるわけでございます。
  87. 門司亮

    門司委員 これは読みかえるのだということでありますが、Aの法律をBの法律で読み直せという例はほかにもたくさんありますが、この場合、直すなら直しておいた方がいいと思います。質屋営業法の中に、罰金は百円以下と書いてありますが、五万円ということなら、五万円に書きかえておいた方がいいのではないかと思います。  それからついでにもう一つ聞いておきたいと思いますが、これは警察当局に聞いてもしようがないことですから、自治省に聞いておきたいと思います。先ほどから申し上げておりますように、質屋はごく零細な庶民階級の金融機関であることに大体間違いはないと考えられる。従って公益質屋を非常に強化しなければならないと考えられる。私どもの理想としては、もしできることならば、質屋なんというものは、ほとんど公益質屋に直してしまった方がいいくらいではないかということが考えられる。しかしそうは言っても、今度の法律改正されておりまするように、あるいは一つの業を営む者が何かの金融の関係で、たくさんの品物を質屋に持ち込んで、そうして金融をしてもらうというようなことについて、今度の法改正が一部行なわれているようでありますので、そういう現象がかりにあるとすれば、必ずしも零細な諸君だけだということは言えないかとも思いますが、しかし概念としては零細な庶民階級の金融機関であることに間違いはないと思う。そうするならば、できるだけやはり利率を下げるということに質屋営業法その他については考えて、質置人の利益をできるだけ守っていくという建前で、すべての法の立案その他がなされなければならないことは、私は当然だと考える。そこで問題になりますのは、今の約二万幾つかあります質屋を、みんな公益質屋にしようといってもなかなか困難なことだと思いますので、公益性がありますならば、少なくとも公益質屋営業許可を受けます場合においては、品物を保管する場所あるいは店の構造というような形で、かなり大きな設備の制約といいますか要求がされておる。そのことのためにかなり大きな固定資産税対象物があるということは事実であります。従ってもしでき得るならば、この質屋営業公共性ということを強く考えるならば、この固定資産税の対象、居宅であるとかその他営業の用に供しない建物は別でありますが、営業の用に供する建物については、一応こういう固定資産税というようなものを、あるいは不動産取得税というようなものをこれに課さない。そのかわりに、それだけ利息を下げるという方向に指導ができないものか、あるいはそういう措置がとれないものかという点であります。このことについては、私は質屋諸君の方からも大した異論はなかろうと考えております。大きな資本を投じなければ営業ができないのであって、その上に税金がかかってきておる。営業が不振であろうとなかろうと、税金だけはとられるのでありますから、これがなくなるということになれば、そのかわり利率が下がったからといって、大して御迷惑はかけぬと考える。同時に質置人の利益は守られることになるのではあるまいかと考えるわけでありますが、この点についての税務当局のお考えはどうですか。
  88. 大村襄治

    ○大村説明員 質屋業の性格庶民金融機関的な性格が強い、その意味で他の金融業あたりに比べますと、公共性、公益性が高いのではないかという御意見でございますが、その点につきましては、そういうような性格があるということは認められるのではないかというふうに考えております。しかしながら税負担の面でございまするが、他の営業と比較しました場合には、質屋業の営業用資産の範囲が、土地と家屋が中心でございまして、他の製造業あるいはその他の営業に見られるような、償却資産に類するような資産の部分が比較的少ないのではないか。ただお説の通り、価格のうち、倉庫とか蔵とかあるいは金庫のようなものを施設した場合に、建物の部分の価格がある程度高くなる可能性があるというふうな点が、特色として言えるのではないかというふうに考えております。  一方、固定資産税の性格でございますが、御承知通り地方税の応益物税としての性格からしまして、国とか公共団体あるいはそれに準ずるような、公共性のきわめて顕著な場合に限って非課税にする、その他の場合の非課税は、建前からいってしないというふうな税の性格から見ますると、御説のような質屋の公益性が認められるといたしましても、御指摘のような質屋の倉庫とか、それに類するようなものに限るといたしましても、非課税にすることは、他の営業の店舗その他に対する固定資産税の課税のあり方との権衡その他の点から見まして、現状においてはかなり問題が多い。率直に申しますと、今直ちに非課税にすることは、固定資産税の性格からしていかがだろうか、そういうふうな感じがいたすわけであります。
  89. 門司亮

    門司委員 固定資産税の性格だと言われておりますが、固定資産税の性格の中にはいろいろ考えられておって、たとえばこういう土地とか家屋とかいうものについては、今お話しのようなことがあろうかと私は思う。しかし同じ固定資産税の中でも、御承知のように償却資産についてある程度の免税というものがかなり設けられておる。しかしその償却資産は、稼働することによって利益を上げていることに間違いはないのであります。しかしそれは、償却資産という一つ営業用の手段に使うものであって、そこから利潤を生むといたしましても、やはりそれらの利潤が本人の生活、あるいは会社の基礎的のものに稼働しておるというような考え方の中から、償却資産についてあるいは農地等について、一応の免税点というものが設けられておるということが考えられる。これはおのおのの、農民の立場あるいは機械や器具その他の、事業の用に供するものによって生活している諸君の生活を守る一つ建前があると思う。それと同じように、やはり質屋営業というものが公益性が非常に強いとするならば、質を置く零細な庶民階級の生活を守るという建前から考えれば、何も所有者の立場あるいは所有者の利益、同時に所有しておる者の種類によってこれを論ずべきものではないのではないか。むしろこの際は質置人の、零細な庶民の生活を守るという広い立場に立って議論することの方が、私は正しいのじゃないかと思う。公益性が全然ないというなら別の話であります。非常に大きな公益性を持った庶民金融機関であることには間違いないのであるから、この質屋営業というようなものについては、法律をこしらえる場合に、あるいは取り締まりの角度からいっても、単に犯罪予防だというだけの考え方でなくて、先ほど申し上げたのでありますが、庶民の生活をどう守っていくというようなことを十分に考え法律でなければ、法の一貫性というものはない、単に取り締まりだけ、単に自治省は、今お話しのようなことであるから固定資産税をやめるわけにいかぬ、利率がどんなに高かろうとそれはそっちの話だというようなことでは、私は納得するわけにはいかない。少なくとも公共性が考えられるなら、今申し上げましたようなことを——きょうは時間もおそくなっておりますし、ここで直ちに結論を得ようとは考えておりません。  大蔵省が見えておりますか。——見えているならはっきり聞いておきたい。現在の質屋の利息の九分というのは、現行の金融関係からくる利息と対照して、高いものであるか安いものであるか、大蔵省の見解を伺いたい。
  90. 御代田市郎

    ○御代田説明員 私、大蔵省銀行局の中小企業課長でございます。  ただいまお尋ねのありました点につきましては、質屋は金利の面につきましては、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律というのがございまして、これによって規制を受けておるわけでございます。これの第五条に、最高百円につき一旦二十銭をこえる割合による利息というものは、制限されております。これ以内のものであるべきであるという制限を受けております。この法律の所管につきましては、条項によりまして法律省と私の方で分けて主として事に当たっておるわけであります。この第五条の三十銭の金利の面につきましては、法務省に主としてこれに当たってもらっておるわけであります。従いまして法律省の所管になるわけであります。三十銭というのは、いわゆる通常の金融機関の概念をもっていたしますれば、これは必ずしも安いとは申せないと思うのです。しかしこの取締法規の規定の趣旨から申しまして、これは最高限をきめておるわけでありますが、その観点から申しましたならば、やはり制限以内であるということになるわけであります。ただいま御質問のございました月九分程度、これは質屋営業を取り締まっております警察庁の方の御調査によりましては、大体最近は月九分あるいはこれを下回る程度であるようであるというお話でございますが、これは大体日歩に直しますと二十九銭六厘くらいになるわけであります。これはやはり取り締まり法規の範囲内には入っておるということになりますので、現行法制上はやむを得ないものと考えます。私の方としましては直接事に当たっていないのでありますが、大体そういう関係でございます。
  91. 門司亮

    門司委員 今あなたの答弁されたようなことはわかっているのです。私の聞いているのは、こういう高い金利が妥当であるかないかということです。しかもこれは庶民の生活に直結した金融なんです。あなたの方でおやりになっている、たとえば中小企業の金融にしても、これは一つの生産手段に対する考え方であります。この金融によって生産をして、その中から利潤を得ていこうとする考え方、との質屋の場合は主としてそういうものに使われるのではなくして、きわめて零細な庶民が自分の生活を維持するということ、はなはだしい例を言えば、きょう使うなべかまでも質に入れて、子供の修学旅行の費用にもしなければならないという、朝入れて夕方はおやじさんが働いてくればその金で質受けをして、そうしてなべかまの役を果たさせるというようなことが、端的に言えば言えるような、そういう零細な庶民階級の金融機関である質の利息が、三十銭ときめられているが、三十銭は取ってない、二十九銭六厘だとおっしゃるのだけれども、私は大体同じだと思う。一カ月九分という利息が一年に直してごらんなさい、どういう形になりますか。だからこういう最も零細な庶民階級の金融機関の利息として、高いか安いかということの見解を聞いているのであって、金利に対する大蔵省の考え方を率直にここで一つ話していただきたいと考えております。何も質屋のことを考えて、ここで高いと言えば質屋におこられるというようなことをお考えにならなくてもよろしいのであります。私が先ほどから申し上げておりますように、質屋のいろいろな利益もそう阻害されないように、さらに質置人の利益というものを大幅に守っていこうとするには、質屋営業法というものをどう改正していけばいいか、あるいはこれの利息をどういう形に改めることが適当であろうかということもお尋ねしているのであります。適当であるかどうかということを、率直に一つ答えていただきたいと思います。
  92. 御代田市郎

    ○御代田説明員 お尋ねの点につきまして御趣旨はよくわかるのでございます。ただ現行法制上、質屋というものに対して、どういう位置づけをしておるかという点でお答えをせざるを得ないわけでございまして、その点御趣旨はよくわかりますが、やはり現行法制上は先ほどのようなお答えになるかと思います。
  93. 門司亮

    門司委員 そういうことだけでは、こちらの判断できめる以外にないと思う。しかし法律をわれわれの立場だけの判断できめるということにも危険がありますし、また金融機関その他を監督する立場にある大蔵省の意見も聞くということが、大きな問題であろうかと思う。法務省関係とおっしゃるけれども、金融関係は大蔵省が文句を言うにきまっている。大蔵省を度外視した金融の関係や利息の関係というようなものはなかなかあり得ないから、大蔵省の所見を聞いているのでありますが、そういう程度の御答弁では、これ以上ここであなたにお聞きしてもどうせ大した効果はないと思いますから、一応きょうの質問はこれで終わらしていただきます。
  94. 園田直

    園田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会