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川村(継)
委員 皆さんが、末端の第一線の
警察官諸君の立場に立って、ものをお考えなさっているということもよくわかります。皆さん方の解釈もあるだろうということも、よくわかります。しかし、初めに指摘いたしましたように、毎週々々金銭を贈って、
青年と会合しているというような事例から考えても、その間に実に広大な、
沼田市に存在するほとんど全部の労働組合あるいは民主団体等にわたって、
情報が取られたということについては、これはただ単に一つの横領や窃盗や、そういう
事件についての捜査であったとは私は断言できないと思う。首脳部の皆さん方は、やはりこういう行き過ぎがないように、常に指導をしておられると私は信じます。信じますけれども、やはり末端の
警察官諸君は、善意に解釈するならば、自分の職務に忠実のあまり、あるいは逆に考えるならば、皆さん方の指示であるか、あるいは公安調査庁からの指示であるか、どこからの指示であるか知りませんけれども、今日このような、どう考えても逸脱するような
警察権の行使が行なわれておるということを考えねばなりません。そこで、事は
沼田市に起こった問題でございますから皆さん方は狭い範囲においてこれを解釈して御答弁なさっておられますけれども、実はこのことは決して
沼田市だけの問題ではないと思うのです。と申し上げますのは、もう一つの例を申し上げますと、私の
地域において労働組合の組合役員の選挙があった。ところが一方のA君は書記長に立候補して破れた。このA君は非常に不平満々であったに違いありません。いつの間にか
警察署の人がこのA君に近づいて、あるいは喫茶店でお茶を飲む、あるいはバーで一ぱい傾けるというような交わりを重ねながら、やがては労働組合の問題その他をいろいろと聞いておられる。これを、幸いにして書記長がはっと気づきまして、そういうことを話したので、
警察官と交わりをすることは悪いことだ、何かの場所で労働組合の
問題等をあれやこれや分析して話をすることはよくないというようなことになって、その後そういう交わりが中止されておる。そういう事実があるのですね。類推して考えるならば、こういう
事件が各地に行なわれているのじゃないか。まだそのほかたくさんある。今度の問題でも、この
製材所に働いておる某
青年が、実は二月二十七日、その後三月七日、三月八日と渡辺氏から呼び出しがかかっている。ちょうどその七日の日にもうこの
青年が、実は
本人の真からの弁明でありますが、どうしてもああいうことを次から次に聞かれるので、自分としては耐えられなくなった、だからどうすべきかというようなことで一友だちにそのことを話して、もうそういうことはやるべきでない、一体どういうことがあったのだということで表面に出てきた問題であります。そういうような
本人の——早かったかおそかったかわかりませんけれども、
本人がそれぐらい考え直さなければいつまで続いておったかもわからぬと思われても仕方がないような実は動きであったわけです。そこでやはり第一線の
警察官の
警察権の行使については、決して何もかも悪意に解釈してはいけませんと思いますけれども、捜査の、
情報のそのやり方、
手段において、あるいは調べる範囲において、この
事件を中心に分析していくなら、何といっても穏やかでない、これは絶対に行き過ぎだと指摘されてもしようがない。私が申し上げるまでもなく、民主団体であろうと労働組合であろうと、集会、結社、そういうものの自由はもうちゃんと保障されておる。こういうものをこういう形で
警察権を持っておる人たちがやるということは、それらの自由をやはりうしろから脅かしている結果になりますから、これは事簡単に
警察権の諸問題でなく、問題は人権に
関係がある
事件だと考えられるものであります。そういう点から、これはやはり今後皆さん方は、率直にいけないところはいけない、だからこういうふうに今後われわれは末端
警察官を指導するのだというようなお考えを持っていただくことが至当であって、第一線の
警察官の立場を考えて、あまりにそれを弁護しておられますと、こういうような
事件が今後また起こった場合にどうなるか、また起こりかねない問題をはらんでおるということなどを指摘せざるを得ないと思うのです。この点について重ねて長官から御見解を承りたいと存じます。