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1962-03-20 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十日(火曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員   委員長 園田  直君    理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君    理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君    理事 野口 忠夫君       宇野 宗佑君    大竹 作摩君       龜岡 高夫君    久保田円次君       田川 誠一君    富田 健治君       前田 義雄君    山崎  巖君       川村 継義君    二宮 武夫君       安井 吉典君    山口 鶴男君       門司  亮君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         文部事務官         (社会教育局長)齋藤  正君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (大臣官房長) 柴田  護君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君  委員外出席者         議    員  太田 一夫君         文部事務官         (初等中等教育         局財務課長)  岩間英太郎君         文部事務官         (初等中等教育         局職業教育課         長)      河上 邦治君         文部事務官         (管理局助成課         長)      井内慶次郎君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君         自治事務官         (財政局財政再         建課長)    岡田 純夫君     —————————————  三月二十日  委員和田博雄君及び玉置一徳君辞任  につき、その補欠として安井吉典君  及び門司亮君が議長の指名で委員に  選任された。     ————————————— 三月十九日  地方交付税法の一部を改正する法律  案(和田博雄君外九名提出衆法第  二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律  案(和田博雄君外九名提出衆法第  二三号)  地方交付税法の一部を改正する等の  法律案内閣提出第九七号)  辺地に係る公共的施設総合整備の  ための財政上の特別措置等に関する  法律案内閣提出第一二三号)      ————◇—————
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  昨十九日付託になりました和田博雄君外九名提出地方交付税法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 園田直

    園田委員長 提出者より提案理由説明を聴取いたします。太田一夫君。
  4. 太田一夫

    太田委員 ただいま御提案になりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表いたしまして、提案の趣旨の御説明を申し上げます。  本案につきましては、政府案といたしまして、すでに二八・九%に交付税率を改める法案が提出されておりまして、審議が進んでおるのでありますけれども、私どもといたしましては、今回の政府提案である二八・九%の率を非常に不満と考えておる次第であります。臨時地方特別交付金が恒常的なものとして、これを本税の方にお入れになったことについては、われわれとしてもこれを認めるにやぶさかでないし、非常にけっこうなことだと思いますけれども、総体的にパーセントの伸びがないのであります。ただわずかに〇・一%伸びておりますが、これは地方公務員等共済制度を作りますについての負担金という意味がありまして、実質的には地方財政の強化、並びに行政水準向上をもたらすゆえんのものではない。  それからまた、説明によりますと、政府案には「地方交付税総額の増加に伴い単位費用を改定し、」とこうありますが、元来三税で一兆四千九百二億円というふうに伸びておりますから、それでその臨時地方特別交付金を入れて二八・九%ということになれば確かに金額の伸びはあるわけです。ありますけれども、これだけで水準向上地方経費充実ということをはかるのには不足でありますので、どうしても三〇%まで伸ばさなければならないと思うわけです。その費用は三〇%にいたしましても、およそ二百二十三億円程度でありまして、伸びはそんなに多いというわけではない。従って地方実情に合わせて交付税総額をきめる必要もあろうかと思いまして、この際節約をしても三〇%にいたすべきではないかと思うのです。特に投資的経費充実の点につきまして、政府案について私どもいろいろと考えてみましたが、交通、道路、都市計画等、この対策に不十分な点が多々あることを考えますと、それは総体の額が少ないからそうなるんだ、こういう見方をしておるわけです。特に単独事業などが圧迫されておるのは見るに忍びないと思います。また特に地域格差の是正も、政府案では不能になりますので、わが党案によってこれの実現を期していきたい。  税外負担の問題もそうでありまして、税外負担は現在三百五十四億円といわれておりますけれども、これを解消するためには思い切った財源を見つけなければならないわけです。国と県市町村関係、県と市町村関係においては、その負担の秩序が乱れておる。この点を是正するためには、交付税率を引き上げる必要がある、こう思うわけです。  なお、最近特に顕著になりました高校生徒急増対策でありますけれども、これは本年百五十四億円の財源が見積もられておりますけれども、三カ年千六百億に比べますと非常に少ないわけであって、約半分にも満たないという程度に思うのです。従って、その財源のためにも、三〇%はなくてはならない数字だろうと思うわけです。ぜひともこの際、財源を平年度約二百二十三億円の経費を見積もりまして、そして地方行政水準向上並びに実際の積極的な投資的経費充実をはかり、地方の要望にこたえるようにいたしたいものと考える次第です。  何とぞわが党の案に御賛成賜わりますようお願いをいたします。(拍手)
  5. 園田直

    園田委員長 以上で提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  6. 園田直

    園田委員長 次に、内閣提出地方交付税法の一部を改正する等の法律案議題とし、質疑を行ないます。  通告がありますので、これを許します。川村継義君。
  7. 川村継義

    川村(継)委員 この前お願いしておきました単位費用算定例をお出しいただきまして、大へんわずらわしたことをおわびしたいと思います。  まず私は、質問の順序は変になりますけれども、いただいた資料について、初め少しばかりお尋ねをしていきたいと思います。  単位費用算定例小学校費中学校費戸籍住民登録費というものをいただいたわけでありますが、二ページに参りまして、学校経費の内容が示してございますが、まず、そのうちの経費区分消費的経費のうちの庁費の中で、事務補助員、これは、給与表適用の場合の身分はどう見てあるかということが一つであります。  なぜ私がそのようなお尋ねをするかと申しますと、九千八百円という本俸は、一般吏員に比べますと、これは統一単価表の甲の雇でもなし、乙の雇でもない。ところが共済組合負担金になりますと、これは甲種並みに取り扱ってある。そこで、事務補助員というものの給与表適用における身分はどうお考えになっておるのか、それが第一点でございます。
  8. 松島五郎

    松島説明員 これは一般雇用人同一取り扱いでございます。ただ統一単価表一般的な場合に適用しますいわば計算を便宜ならしめるためのものでございまして、統一単価表にない給与を絶対使ってはいかぬというわけのものでもございませんので、これについては九千八百円という積算をいたしたわけでございます。なお共済組合負担金等も計上いたしておりますことからも御了解いただきますように、これは一般雇用人同一に取り扱うものでございます。
  9. 川村継義

    川村(継)委員 今、最後の言葉は少しはっきりしませんでしたが、共済組合負担金は、一般雇用人と同じように甲種並みに、千分の九十五ですか、そういう取り扱いをしてある。しかし本俸取り扱いは、お説のように、必ずしも統一単価表の中にあるものを使え、こういう理屈にはならないかもしれないけれども、一般吏員一般職員については、一万幾らというような乙の雇用人についても統一単価表を大体使ってある。学校事務補助員については、それよりもはるかに低い九千八百円という単価を使われたのは、一般吏員の雇などと比べて、そこまで持っていく必要はない、こういう考え方に立っておるのか、あるいは実際の実績がそうだからそれによったんだ、こういうのか、そこのところ、ちょっとはっきりしておいていただきたい。
  10. 松島五郎

    松島説明員 これは、義務教育費国庫負担法によって、定数以内の教職員のうちから事務職員はそれで置くことができるようになっておることは御承知通りであります。従いまして、ここにありますものは、いわゆる事務補助員でございますので、一般単価よりも安くなっておる、こういうわけでございます。ただ身分上の取り扱いは、先ほど申し上げましたように、一般雇用人と同じようにいたしておりますので、共済組合等負担金等取り扱いにつきましても、雇用人と同様の取り扱いをいたしておる、こういうことでございます。
  11. 川村継義

    川村(継)委員 どうも何か基本の考え方がはっきりしないようですが、それではその次の欄に参りまして、学校医等の報酬、これは昨年と同額であります。これは考えられない問題か、同額で差しつかえない問題か、そこに一つ問題があると思います。それが一点。  その次に通信運搬費、これは総額においては多く見積もってあります。運搬料小学校の場合には一千円だけ見た。これは昨年はないのです。ところが郵便電報料は昨年と同額の三千六百円である。郵便電報料を三千六百円見たということは月三百円のことである。一体月三百円で郵便電報料がまかなえるかどうか、こういう疑問が私には起こるのです。なぜ郵便電報料等算定において昨年と同額にしたのか、それが二つの問題。
  12. 山本悟

    山本説明員 ただいま郵便電報料等につきまして、昨年と同額にした理由いかんという御質問でございましたが、通信運搬費全般につきまして増額をいたしたわけでございまして、その際、従来いかなる部分について最も不足していたかというような各地の意見等も参酌いたしまして、主として電話料に最も不足があるというような観点から、電話料に集中的に増額をいたしてたわけでございます。従いまして、今回は郵便電報料につきましては、前年と同額になっておるわけでございますが、その増額の中心を電話料に持って参ったという事情から、さようなことになった次第でございます。
  13. 川村継義

    川村(継)委員 総額においてはいいでしょう。二万九千二百円見積もるのが正しいかどうかは別として、電話料増額されるということは、今の実際からして当然です。しかし、郵便電報料をそのまま据え置いて電話料が上がったからいいじゃないか、そういう見方は成り立たぬ。私は、少なくとも今日、月三百円の郵便電報料等で見ていくなんということではだめだ、郵便電報料ももう少し引き上げるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  14. 山本悟

    山本説明員 郵便電報料につきまして、総体として足らないのじゃないかという御意見につきましては、いろいろな見方があり得るだろうと存じます。郵便電報料はもちろん単価的には従来と変更がなかったわけでございますので、この際、最も不足がいわれております部分につきまして重点的に増額いたした、かような次第でございます。
  15. 川村継義

    川村(継)委員 それでは次々に弁解を聞いて参りましょう。  その次に備品費でありますが、小学校は昨年一万八千円であったのが、ことしは三万円である、これは相当の奮発のように思われます。そのうちで一番多く見られておるのは学校用備品、これが増額を見てある。ここでちょっとお尋ねいたしますが、小学校は一万八千円から三万円見たんだけれども、中学校は少しも上げてない。中学校同額に見てある。これは一体どういうわけですか。時間がありませんから、さっそく一つ弁解して下さい。
  16. 山本悟

    山本説明員 学校経費で見ておりました備品費につきましては、ただいまご指摘通り小学校分につきましては一万八千円を三万円に増額し、中学校分については従来から三万円でございましたので、このまま中学校につきましては据え置きにいたしたわけでございます。ところで小学校分は従来から学校数測定単位とする経費算定をいたしておりました部分が少なかったような関係で、この際増額をいたしたわけでございます。なお中学校分につきましては、小学校分中学校分とも生徒及び学校経費算定をいたしております部分におけるところの備品費等につきましても、増額をいたしておる次第でございます。これらの点を勘案いたしまして、ただいま申し上げましたような措置をいたした次第でございます。
  17. 川村継義

    川村(継)委員 小学校増額するという必要があれば、中学校もこれは当然備品費においては昨年度よりも増額さるべきじゃないか、そう考えるのは間違いないでしょう。しかもその備品費のうちの事務用器具等は昨年もことしも同じに見てある。その事務用器具等の中には、あなたの方の計算を見ると、新聞法令等も入っておる。新聞法令等は、これは六千円見てあるはずだ、半分。その新聞法令等が六千円となると、月に五百円、新聞は二つとれないじゃありませんか。新聞は、今の新聞からすると二つとれない。これは新聞一つしか学校ではとれないということになるのですね。そういう点からすると、やはりこの点にもなかなか見方がきつい、妥当でないということが指摘できると思います。  それから次のページに参りまして——文部省の方もおいでいただいているそうですけれども、私がお尋ねしていくものの中に何か御意見がありましたら、文部省からもぜひお答えいただきたいと思うのです。それは三ページ児童学級経費の中に給食従事員本俸単価が見てある。昨年は六千九百円でありますが、ことしは八千八百円、こうなってきておる。なるほどこれは自治省算定基礎としては今までに比べるとなかなかよく見ていただいたと思うのです。ところが実際は、地方市町村給食従事者の俸給というのは四千五百円とか五千円とか、実にお話にならない程度で支払われておる。こういう点は自治省当局並びに文部省当局はどうお考えになって対処してこられたのか、その点をここで一つお聞かせをいただきたいと思う。
  18. 山本悟

    山本説明員 ただいまの学校給食従事員の手当の問題でございますが、昨年度は月額六千九百円、五等級の二号のところでやっておったわけでございますが、今回は八千八百円に増額いたしまして、ほぼ現状の平均的な線まで交付税上の算定をするという点まで改善をいたした次第でございます。個々の団体によりまして、非常に扱い方が違っている点もあるようでございまして、その程度では現状よりも相当高い算定にもなっている場合もあり得るというふうに存じておりますが、従事員身分安定等考えてこういうような措置をいたした次第でございます。
  19. 川村継義

    川村(継)委員 これは文部省その他にお願いがあるのですがね、実際は四千五百円とか五千円とかいうひどい給料で給食従事員の人々が働いておる、こういう事情を解消するために、これはぜひ十分な指導を私はお願いしなければならぬ、この点を一言、簡単ですけれどもつけ加えて強くお願いをしておきたいと思います。  それから四ページに参りまして、その他の庁費のところで、これは特に今回算定にあたって重点を注いでいただいた問題だと思いますが、建物維持費、これは単価が五十円であったのが百円になっておる。建物修繕費が三百円が五百円になっておる。ところが運動場修繕費が同じ十二円に押えされている、据え置かれる。こういう点も、先ほど申し上げましたような言葉の延長になるかもしれませんけれども、われわれは十二円という見方についてはどうもふに落ちないものがあります。今日小学校運動場等はほとんどPTA労力奉仕によって行なわれておる。しかもその労力奉仕をする場合に、人力だけではなかなかやりこなせぬから、あるいはトラックであるとかあるいはオート三輪であるとか、PTAの中でこういうものを、持っておる者を引っぱり出して、そして無償で運動場修繕等がなされておる。ところがその中には必ずしも、トラックオート三輪を提供する場合に、ただで提供し得ない者がおる。従ってそういう場合には、大体がPTA経費からそれを負担をしている。これが実情です。そこでこういう点はもう少しよく末端の実際を把握してもらって、そうして単位費用算定にあたっては考究してもらう必要があるのではないか。この点をこの項では指摘をしておきたいと思います。  それからその次の事業費の欄に参りまして、いろいろ問題があるかと思いますけれども、その中の燃料費——薪炭代が、小学校では押えられている、というのは同額である。それから光熱水料水道料電気料等のそれが同額である。それははたして現状にマッチするのかとどうか、それでいいのかどうか。ところが薪炭代中学校の方においては上げておる。小学校では上げてない。ところが光熱水料小学校同額に押えておるけれども、中学校同額に押えておる。今日私が申し上げるまでもなく、こういう薪炭代が値上がりをしていることは御承知通り、あるいは水道料電気料等が値上がりしていることは御承知通り。そういうのをちゃんとわかっておりながら、同額算定していこうという考え方が、私にはわからないのです。その点一つ考えをお聞かせいただきたい。
  20. 山本悟

    山本説明員 ただいま御指摘燃料費及び光熱水料の点でございますが、燃料費につきましては小学校同額に置く、中学校だけを上げて参りましたのは、中学校が昨年度二万三千五百円ということでございまして、小学校の三十六年度の三万五千円に比べまして、低額に算定されておりましたので、これを同じレベルまで引き上げますために、三十七年度は中学校は三万五千円まで引き上げた次第でございます。全体として低過ぎるのではないかという御指摘の点でございますが、今回これらの小中学校関係単位費用増額にあたりましては事業費といたしましては、賃金あるいは消耗品備品といったような点に重点的に持って参りました関係上、御指摘のような点におきましては、そのまま据え置いたような次第でございます。
  21. 川村継義

    川村(継)委員 中学校が昨年安かったから小学校に合わせた。なるほどそれはそろばんをはじく立場からいたしますとそうかもしれませんが、小学校を昨年三万五千円木炭まき代を見たのを、ことしもやはり同じように見たということについては、どうもぴったりしない。これはどんなに弁解されても、私は弁解の余地はないと思う。特に電気水道料等は、これまた据え置かれておる、同額であるということもこれはやはり実際に合わない。幾分実際に合わせるように、算定の場合にやるべきである。これ以上私が聞く必要はないと思う。そういう点についてわれわれは大へん残念に思うわけです。  それから次のページに参ります。次のページには、負担金補助及び交付金算定がありますが、これは準要保護児童経費教科書費単価学用品費単価給食費単価が今回引き上げられましたので、その単価に見合う分をそこに書いてあるわけであります。その単価はその通りだと思いますが、その人員のとらえ方、これはどういうようにお考えになって、教科書については四十人、学用品については四十人、給食は二十五人、修学旅行は十一人、治療費は五十三人というとらえ方をなさっておるのか。これは実は昨年も、右の欄を見ると三十二人、三十二人、二十人というとらえ方をしてありますが、これも問題だと思います。というのは、今回文部省は要保護児童対策として、昨年は該当人員の大体四〇%を見ておりましたが、ことしは五〇%を見ることになっているはずであります。その五〇%という見方について、四十人、四十人、二十五人というのが出てくるのか、あるいは自治省としてどのようなこれはとらえ方をなさったのか。文部省意見によってこの人数はとらえられておるのか、その辺のところをちょっと説明願いたい。
  22. 松島五郎

    松島説明員 文部省予算積算基礎に使われました現在の総体の準要保護児童関係経費があるわけでございます。その経費を補正後の数値でもって割り返しますと、標準団体における平均的な数値が出て参るわけでございまして、その数値をもって単位費用積算することといたしておるわけでございます。
  23. 川村継義

    川村(継)委員 それからもう一つ、そこの中に通学費経費はなぜ見ておられないのか。それは標準団体には必要ないということで、一応落としておられるのか、それが一つ。もう一つは、中学の場合の寄宿舎居住費というのが新設されております。それはなぜ見ておらぬのか。通学費経費をなぜ小学校中学校見なかったのか、それから中学校の場合の寄宿舎居住費経費をなぜ算定しなかったのか、それをお聞かせいただきたい。
  24. 山本悟

    山本説明員 ただいま御質問通学費及び寄宿舎費についてでございますが、これらの支出されます場合は、いずれも僻地その他特殊なる地域でございまして、一般的な財政需要算定をいたします単位費用積算におきましては、算入をいたしていないわけでございますが、僻地あるいはそういった関係地域部分につきましては、別途特別交付税等ではいろいろ考慮されている次第でございますので、普通交付税におきまして算入をいたしていないというような事情でございます。
  25. 川村継義

    川村(継)委員 それでいいのでございますか。
  26. 山本悟

    山本説明員 標準団体経費算定いたします場合の単位費用といたしましては、さような取り扱いをするのはやむを得ない措置であると存じます。
  27. 川村継義

    川村(継)委員 そうすると、交付税をもらうそういう団体には通学費経費等考えなくてもいい、別途何か措置しよう、こういうことですか。通学費経費が要保護児童についてちゃんと認められるようになっておるから、たといある団体はその該当がなくても、どこの団体にその該当があるのですか。そういうことになりますと、これは一番基礎をなすところの算定でありますから、一たんは見ておくのが当然でありますが、それを全然はずすということは、ちょっと私には解せないのですがね。
  28. 山本悟

    山本説明員 基準財政需要額算定といたしましては、画一的な方法をとっておる次第でございますので、特殊なる地域団体につきましての需要をすべて平等に算定することは、非常に困難があろうと思います。従いまして、さような財政需要の分につきましては特別交付税の運用におきまして措置すべきものと存ずる次第でございます。
  29. 川村継義

    川村(継)委員 そうすると通学経費、それから中学校にかかわる寄宿舎居住費、そういうものの必要とするところは特別交付税で見る、こういうことですか、これははっきり言っておいて下さい。
  30. 山本悟

    山本説明員 一つ一つ団体につきまして予算的にやっておるわけではございませんが、僻地寄宿舎といったものを要するような地域市町村につきましては、特別交付税におきましてもいろいろと考慮されておると存ずる次第でございます。
  31. 川村継義

    川村(継)委員 そんなあいまいなことではだめですよ。私は何といっても通学費経費等のものはかりに交付税算定に見られないということになると、やはり別途特別交付税でこういう形で見るということを言うべきであるし、そういうことができないということになると、やはり算定の中に織り込んで、そして基準財政需要額とし、単位費用として割り出していくということが必要だと思います。その点はどうも今のお話では私納得できないわけです。  次に、下の方に参りまして、建築費でありますが、建築費の校舎については三万二千五百円、これはことし決定された木造単価を使っておられる。なぜ鉄筋や鉄骨は考えなかったのか、この点を一つ
  32. 山本悟

    山本説明員 校舎の建築費につきましては、御指摘通り本年度の木造単価三万二千五百円を基礎にいたしまして算定をいたしておりますが、基準財政需要額算定におきましては、こういう建築関係経費は御承知通り償却方式をとっておる関係もございまして、耐用年数の長さ、木造の場合二十七年、鉄筋の場合はたしか六十年か七十五年だったと思いますが、そういうような関係からいきまして、必ずしも鉄筋の方に置き直すことが基準財政需要額増額という方向にもならないような関係もございまして、そういう点を考慮いたしまして従来通り取り扱いにいたしている次第でございます。
  33. 川村継義

    川村(継)委員 どうも私はわからないのですがね。なるほど鉄筋、鉄骨に比べると、木造は二十七年と見ておられるが、そういうものは耐用年数が長く伸びていく、そうすると平均をするとなるほど財政需要額に影響があるかもしれない、その理屈はわからぬでもありませんが、いかなる変化が起ころうとも、木造、鉄筋、鉄骨を認めておる、しかも今日は鉄骨、鉄筋を六割見ておる、木造は四割しか認めていない、そういう形でやっていこうとしておるのですから、その三つの平均単価でもって出すべきじゃないですか。木造だけで見ていこうとされるから、なるたけ単位費用を安くするために、建築費を安く算定するために出されておるのじゃないかとわれわれ疑わざるを得ないのです。私は平均ででもやるべきじゃないかと思うのです。実際耐用年数の平均や、あるいは坪単価の平均で計算してごらんなさい。安くなるか安くならぬか、どうです。
  34. 山本悟

    山本説明員 現在使っております単価といたしましては、小中学校の木造の場合は三万二千五百円で、耐用年数二十七年、これを鉄筋といたしますと、鉄筋コンクリートで高等学校の場合六万一千円、耐用年数六十五年、こういうようなことになっておりますので、むしろ一年当たりの償却費という格好でとって参りますと、木造で見た方が基準財政需要額としてはむしろ高くなるというような結果にならざるを得ない、これらの点もございましたので、一応従来の通りのそのままの格好で算定をし、単価だけを増額修正をした、かようなことにいたした次第でございます。
  35. 川村継義

    川村(継)委員 これは私今計算資料を持ちませんから、あとで一つそういう考え方に立った計算をしてからものを言いたいと思います。  その次のページに参りまして、設備費、これは投資的経費になるわけですが、設備費を見ると、確かに理科備品においては増額をされておる。ところがその他の経費については昨年とことしは同じ十万二百八十七円、その他の経費となると、これは体育備品もあるだろう、給食備品もあるだろう、放送施設もあるだろう、黒板から理科実験台からいろいろなものが含まっていると思う。これはお答えは聞かないでもいいと思いますけれども、体育備品給食備品、放送施設あるいは黒板、いす、そういうような各種のものを考えていくならば、これは同額では見方がどうも十分でない、私はこう指摘せざるを得ないのです。皆さん方は今度の単位費用算定PTA負担を軽減するとか、従ってこういう面の単位費用を大幅に増額したということを言っておられる。しかしこういう大事なところをなおざりにしておられる傾向が私には見受けられてしようがありません。今日体育備品等は、次に来るべきオリンピック等に備え、社会体育でも——これは社会体育は別かもしれませんけれども、小学校でも体育には、その他の教育面から考えても相当の力が入ってきておる。そういうときには体育備品等を考えるのだ、同じような考え方算定をするということは私には解せません。  それからいま一つ、その上の方の理科備品は、小学校はなるほど一万三千五百円引き上げてある。これは文部省の方に聞かなければわかりませんが、指導要領等の改訂に伴って教育課程が大幅に変わる、そういう場合にはあらゆる理科備品というものが今より以上に大きく要求されるようになってくる。一万三千五百円の増額ではたいしてまかなえるかということがその次の問題です。  それからいま一つは、小学校は一万三千五百円引き上げたが、中学校はなぜそれを引き上げなくて、理科備品は昨年と同額に押えているか、これが聞きたいところです。中学校は御承知通り非常に職業課程というような、それと合わせて理科教育、そういうものが特に今日教育課程の変更に伴って重視されてきておる。中学校はなぜ同額にしておるのか。その点は一つぜひ聞かせておいていただきたい。
  36. 山本悟

    山本説明員 従来の単位費用積算の内容が、実態に比較しまして、小学校部分につきまして比較的差が大きいというような事情がございましたので、これらを考慮いたしまして今回は小学校の方の基礎を二十万円から三十五万円というように増額をいたした次第でございます。ただいま申し上げましたのは、今回いたしましたものは小学校の方が実態に比べまして差が大きかったものでございますので、小学校の方のみを今回は取り上げた次第でございます。  なお中学校の方は、五十万円を基礎にいたしておりまして、小学校の方は従来は二十万円しか基礎に入れておりませんでしたので、この際この二十万円を三十五万円に増額をいたした次第でございます。
  37. 川村継義

    川村(継)委員 ただ小学校中学校のそういう見合いとかバランスで算定考えていくということは私は十分でないと思う。やはりどうしても今日の中学校教育、小学校教育で、理科というものがどれくらい重視されているか。一体学校ではどういうような設備をしあるいは備品を必要としておるかということなどを検討されて、小学校中学校同じでなくてもいいわけです。おそらく中学校の方がより多くの費用を必要とする、そういう点を考え算定してもらわなければならぬのです。ことしは二十万円を三十五万円にした、こう頭ではおっしゃるけれども、実際は一万三千五百円増額しているだけであって、一万三千五百円の増額でことしまかなえるかというと、これは大へんな問題が残ってくると思うから私は今の点を指摘しているわけです。  それからその次のページで、その次は中学校ですが、中学校は先ほど一、二申し上げましたけれども、同じようなことが言えるのじゃないかと思います。そこで私は、今皆さん方が単位費用をおきめなさる積算の内容について二、三お聞きをして参りましたが、やはり単位費用の相当の増額を見ておるということでございますけれども、内容にわたってしさいに検討すると、いろいろと不備なところがあると私は思うのです。そこでそれらを十分に配慮してやりませんと、地方市町村は経常の学校費等を組む場合でも非常に予算を押えていく。皆さん方が交付税でこれだけの配慮をしているのだというようなことを言われても、市町村はなかなか十分な措置をしない。しないから相も変わらずPTA負担という形で、何でもおぶさっていく、こういう結果にならざるを得ないと私は思うのです。そういう点は行政的な指導も必要でございますけれども、その根本はやはり単位費用算定において十分なる配慮がなされなければならぬのじゃないか、このように私は思うわけであります。  それからその次、大へん簡単に申し上げておりますけれども、戸籍住民登録費のところの三枚目、十五ページに参りたいと思います。私は臨時国会のときに皆さん方にお出しいただいた算定例に基づいてごく簡単にお尋ねしておきましたが、そこの十五ページのまず事業費の欄に、初めに旅費というのが出て参ります。旅費を八万一千九百六十円見てある。これは昨年と同額であります。旅費というもの、これは村長さんや何かの出張とは違いますから、そう大きく見る必要はありませんでしょうけれども、旅費を一体去年と同じに見てまかなえるかどうか、これが一つの問題であります。しかも事務打合等旅費というのは、これは昨年のあれからいたしますと、千二百十円の六人の十回分、こういうことになってきている。調査旅費にいたしましても、これは百三十円の六人の十二倍。百三十円なんていう金で調査費をまかなおうとする考え方、こういうところに私は一つの問題があると思う。これが一つ。  その次の賃金欄に参りまして、三百三十円の四百人。一体三百三十円というのは、これは皆さん方は、交付税をもらうような団体は三百三十円出せばけっこう臨時雇いでも何でも喜んで来るだろう、こう考えておられるかもしれませんが、一体三百三十円などで、どれくらい雇い入れるか知りませんけれども、だれがやってくるか。東京では学校に行く子供のアルバイトでも、四百五十円から五百円出しておる。しかもこの賃金の三百三十円というのは、昨年に比べてわずかに三十円だけの増額考えておる。これで一体いいだろうか。これが第二点。  まずこの二つから聞きましょう。
  38. 山本悟

    山本説明員 第一の旅費の点でございますが、ここでお示し申し上げておりますのはいわゆる戸籍事務費でございまして、事務の内容といたしましては一般的に非常に安定した事務であろうと思います。従いまして、事務量といたしましては、前年度に対比いたしまして増減はほとんど考えられないようなのでございますので、かような取り扱いをいたしておるわけでございます。  なお、その際、単価につきまして御指摘がございましたが、たとえばここで積算いたしております際の基礎単価といたしましては、これは一つ地方団体、しかも市町村の分の単価でございますので、同一市町村の場合には日当等におきましても、国家公務員の例から申しましても全日当は出ないというようなこともございまして、非常に単価が低くなっておるような格好でございますが、そういうような点から今御指摘になりましたような単価が使用されておるわけでございます。  次の賃金の点でございますが、これもここでは戸籍関係の純粋のアルバイト的な賃金というものを総体として見ているわけでございまして、昨年の三百円の単価に対しまして一割アップの三百三十円という単価を使用した次第でございます。
  39. 川村継義

    川村(継)委員 少し時間を急がなければいかぬようですが、今の弁解はそれでお聞きしておきまして、その次は消耗品費のところ、これは昨年と同額であります。昨年と同額であるということになりますと、戸籍の原簿等を購入する、そういう用紙の購入費等は見てあるわけですが、昨年同額だからおそらく昨年と同じように見てあると思う。そうすると、あなた方は昨年は戸籍を書くような原簿の用紙を購入する費用を一締め三千円と見ておる。ところがこういうような戸籍を書くような用紙は、今一締め四千円しますよ。こういうところにも現実とそぐわない考え方が出てきておる。去年は一締め三千円と見た。これから紙が値下がりなんかしないのですから、四千円は四千円として見ていくのなら話はわかるけれども、それが考えられていない。これは私が指摘するだけでいいかもしれません。  その次の諸用紙印刷費、印刷製本費、これも同じ。この印刷費の中には、これも去年と同じだから、去年と同じに内容を見ているのでしょうけれども、用紙印刷費を大体あなたたちの方は一円と見ている。一円で六万枚、六万円。それと諸法規の追録費を二千円見ている、それで二万円、合計八万円なんです。その印刷費の一円というのは何です。一体一円で何が印刷できますか。ちょっと紙を印刷しただけでも、一円なんかでは今できないはずです。こういうような見積もりの根幹をなすところに割合にぞんざいに考え単位費用を作っておられるところがあるのではないか、こう指摘できるのではないかと思います。  従って、全体的に言いますならば、私は今いただきましたこの資料に基づいて考えて参りましたけれども、全部の単位費用の中身について、こうしてそれぞれ研究して検討して参ると、やはり単位費用のはじき出し方に相当無理がある、実情にそぐわないものも多いのではないかということは、この一つ二つの例をもって私は指摘できると思います。この点は十分この後の単位費用算定の場合に当局が御研究いただきたい、このように思います。  一応資料についてお伺いしましたので、あとは二、三点お聞きしたいと思いますけれども、文部省の初中局長がお見えになっているそうでございますから、実は交付税の審議にあたりまして、これまでもしばしば高等学校急増対策の問題がこの委員会で話に出ていると思います。しかしこの際、一つ皆さん方のお考えを少し聞かせておいていただきたいと思うわけであります。  まずこの高校急増に対して、これは私が申し上げるまでもなく、起債が五十億処置されております。国庫補助金が約十三億処置されておる。これは工業高校等の施設であります。それから地方交付税の中に九十一億見てある、つまり財政措置としては百五十四億が高校生の急増対策費用になっている。ところが私たちはこれではどうにもならぬのではないか、こういう気がしますので、実は一、二点お伺いするわけですが、まず文部省の初中局長福田さんにお尋ねいたしますが、皆さん方は中学校の卒業者数をどういうように見ておられるか、それを初めに第一点としてお聞かせをいただきたい。つまり三十六年はたしか百四十一万ばかり卒業していると思います。今度の三十七年、三十八年、三十九年、四十年と、大体どういうように生徒が卒業していくか、それを初めにちょっと聞かせていただきたいと思います。
  40. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 ただいま、中学卒業者の数についてのお尋ねでございますので、申し上げます。三十六年は大体百四十一万と考えておりますが、三十七年が、大体私どもの推算によりますと百九十六万、三十八年、三十九年、四十年とだんだんにふえて参るわけでございますが、三十八年が二百五十万、三十九年が二百四十三万、四十年が二百三十六万九千、約二百三十七万くらい、その辺が一番卒業者の数としては多いわけでございまして、四十一年以降になりますと漸減して参りまして、四十一年が二百十三万、それ以降は二百万を割りまして、だんだんに減っていく、こういうように一応推計しておるわけでございます。
  41. 川村継義

    川村(継)委員 私は、年々中学の卒業者が高等学校に進みたい、こういう希望がだんだん大きくなっている、そういうふうに考えるわけですが、これはおそらく皆さん方もそのように見ておられると存じます。われわれの調べでございますから、十分でないかもしれませんが、やはりいなかにおきましても、父兄あたりのいろいろな進学の希望を聞きますと、ほとんど大部分が、できたら高等学校にやりたいという親がおるのです。ところが、やはり経済的な理由とかそのほかいろいろな理由によって、高等学校にやれない子供があります。だからして、おそらく九五%以上の親が、高等学校にやりたいという希望を持っておると私は見ておる。皆さんの方でおわかりいただいておると思いますけれども、高等学校に入りたいという入学希望者は、三十六年度は六五・八%程度あったとか聞いております。中学校の卒業者が、高等学校の試験を受けた、こういうことを聞いております。これには間違いはないと思いますが、その辺のところを、私の方の考え方が間違っておるかどうか、それをお聞かせいただくのが一点。  そこで、第二としてお聞きしなければならないことは、皆さん方のこの高校生に対するいわゆる全体計画であります。私たちは、大体昭和三十八年から四十年までには、百六十七万人くらいの見込みを立てておるわけです。ところがあなたの方は、ことしのいろいろのお考えを聞きますと百二十三万人、つまり高校に入る者は六〇%、こう押えて見ておる。われわれはそれ以上の入学率がある、こう考えて百六十七万人くらいは一応考えておるわけですが、あなたの方は百二十三万人と押えている。そして全体計画を立てておられるようですが、その六〇%というのは、おそらく三十五年度あたりの一応の入学した生徒の数、それからはじき出しておられるのじゃないかと私は思うのですけれども、これらについての見込み、それから三カ年にわたる全体計画の総ワク、こういうものを一つお聞かせおきいただきたいと思います。
  42. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 御指摘になりましたように、進学率は、三十六年度は大体六五、六%程度に上がっておると思いますが、これは実を申しますと、三十六年度は、先ほど申し上げましたように、中学の卒業者の数が非常に少ない年でございますので、必ずしもこの六六%にとらわれることが、適当かどうかという問題があると思います。私どもといたしましては、ごく最近の入学率として考えられますのが、三十五年の五九・九%という入学率があるのでございます。三十六年、これは高い年でございますが、そういう異例の年をとるよりも、むしろ最近の傾向からいたしまして、三十五年の五九・九%という入学率に押えた方が、推計としてはかたいのじゃないか、こういうように考えるわけでございます。先ほどお述べになりましたように、過去の進学率を見て参りますと、必ずしも年々増加していくという実際ではございませんで、ある年によりますと下がったり、二、三年下がってまた上がるというように、高低がございます。しかし大勢としては、だんだん上がっていっておるということでございまして、過去十年間の進学率を見ましても、十年間に約一〇%程度上がっているというのが、過去の実績でございます。従って、私どもは三十五年を基礎にいたしまして、進学率を一応六〇%——と申しますのは、三十八年の進学率をどこに置くかという問題でございます。三十八年生徒の急増期における進学率を大体六〇%としまして、そして三十九年、四十年と若干ずつこの進学率を上げて見たわけでございます。そうしますと、三十九年に大体六一・五%、四十年に六三%、こういうことに一応考えられるわけでございます。これによりますと、大体生徒が一番ふえます三年間の高校に進学する者の数が、百五十万程度は保証できるという考え方に立つわけでございます。従って、急増期間中も若干ずつ引き上げまして、ピークのときの四十年におきましては六三%、こういうことで推算をして計画をいたしたのでございますが、その後におきましても、これはやはり若干ずつ上がって参るわけでございますので、国民生活の水準の向上なり、あるいはいろいろな要素を考えますと、昭和四十五年には、大体七二%程度まで進学率が高まるのじゃないか、こういうようなことで、十年先の四十五年には、七二%というものを目標に置いて計画をいたしたわけであります。従って、それによりますと、急増期間の三十八年から四十年までにおきましては、大体高等学校に入るべき者の増加数は百二十三万人、こういうような推定をいたしまして、生徒急増に対するいろいろな対策を講じて参ったわけでございます。
  43. 川村継義

    川村(継)委員 お話がはっきりしないのですが、高校の入学率はそう高くなっていかぬだろう、年によって違う。しかし、あなた方がどうおっしゃっても、入学の増加率は年々高まってきているわけです。また、百五十万人収容可能だというようなお話でありますけれども、あなたの方では三カ年計画百二十三万人増、それで計画を立てているわけでしょう。そうすると、これは収容し切れないという結果が出てきますね。ことしのあなたの方の計画を大ざっぱに見ても、新設によって二十三万人持っていこう、学級増で三十四万持っていく、あとの二十三万というのは、結局すし詰めになるわけです。あなた方の計画を進めていくと、ことしはどうにかこれで曲がりなりにも押し込んでいっても、もうさっそく来年から再来年にかけると、大へんな、状態が出てくるということにならざるを得ないでしょう。そんなことはもう少しはっきりと御説明をいただきたい。たとえばことしは一応こう計画を立てたけれども、また来年は計画を立て直す用意があるならある、財政的にもこういうような変更を加える考え方があるならある、そういうところをやはり少し思い切って責任ある考え方を出しておいていただかなければ、国民は安心しないわけです。今日百五十四億の財政措置をされたと言いますけれども、全体計画がどれくらいの予算であるかわかりませんが、申し上げるまでもなく各都道府県が全部でどのくらい高校急増対策に必要な予算を計上したか、三月県会へ出しておるかということを集めてみますと、これは知事会の発表なんですが、四百二十七億です。ところが国の財政措置は半分にも足らない。そうなるとすべてが地方財政におっかぶさっていくわけです。こういう点を文部省もよく考えていただかなければならぬと思う。もちろんあなたの方が予算編成の途中において、あるいは起債をもっと増額しておいてくれとか、あるいは補助金をもっと一般高校にも出せとか、いろいろ努力されたお話は聞いておりますけれども、結果は御承知通り大へんな結果になっているわけです。そこでくどいようですけれども、ことしはこれで何とかやり抜いても、三十八年度、三十九年度、四十年度と、こういう時代になったらさらにこのように計画を変更していくのだ、収容計画も変更していくのだ、財政措置もこのように考えたいということなどを明らかにしていただかなければ、国民は納得しませんよ。従って、今日一つの高等学校を作るときに、御承知通りにたくさんの父兄負担が募集される。最も残念なことです。高等学校の父兄というのは、最低三千円から四千円を出さなければいかぬ。そうして高等学校をうちのところに作りたいという形になって出ていく。皆さん方が父兄負担の軽減をするなどとよく言いますけれども、軽減どころか、次から次へ膨張していくだけです。これはみんなあなた方の根本的な施策が、その場限りで何とか乗り切っていこうとだけ考えておるから、こういう結果になるということを私は申し上げなければならぬと思うのです。私の意見ばかり申し上げて大へん恐縮なんですが、今日高等学校に入る率からいたしますと、女子の入学率が非常に落ちてくる。これはよく検討しておいていただきたい。ということは結局そのようなずさんな計画の中に高等学校生徒を収容していこうとするのだから、女の子はなるたけ落としていけ、そういう悪い考えはないでしょうけれども、それが一つ出てくる。いわゆる教育の機会均等、教育水準の向上というようなものが、皆さん方の施策によって忘却されていく、そういう結果が出ていくのじゃないか、それを考えておいていただかなければなりません。また皆さん方もいろいろ苦労はされておられますけれども、高校以外の青年の後期を教育するところの定時制とか、そのほかのやり方が非常に不備なんです。そういうことからいたしますと、この高校急増対策の一環として考えなければならぬ教育が十分でありませんから、進学したい、勉強したいという子供を十分にまかなえない、こういう結果も出てくる。さらには、このように高等学校の入学が窮屈になってくる、苦しくなってくる。これはただ単に子供の向学心を押えるというばかりでなく、社会的にも大きな問題が出てくることは、皆さん考えておいていただかなければならぬと思います。私がいろいろ申し上げる必要はないのですけれども、青少年の不良化の問題等いろいろ社会問題として今日出ておりますけれども、中学校のときに、お前は高等学校に行け、お前は高等学校に行く組じゃないんだと分けて教育するような教育が行なわれることになったり、高校に受験したけれども、非常に希望者が多くてついに入ることができなかった、そういうような子供がどういう立場に追い込まれていくか。これは一つの社会問題として考えなければならぬ。高等学校生徒教育ということについては、いろいろな問題が考えられるわけです。もう少し腹をきめて、一つ高等学校の急増の問題については、十分にお考えをいただかなければならぬと思う。その点について先ほども申し上げましたように、皆さん方がどうお話なさっても、これは十分でない。ことしの補助金やあるいは起債対策、それから交付税というのは高等学校のそれにひもがついていくわけじゃありませんが、五十億等の起債で一体どれくらいの施設ができるか。もちろん用地買収等の起債も別に考えておるようでありますけれども、そういうことを考えると、皆さん方の三十八年度の収容の対策としても非常なミスが出てくると思うのです。だからして、ことしはまあやむを得ずこれで何とかして、すし詰めでも何でもいいからやっていくといたしましても、来たるべき次の年度において、今持っておられる皆さん方の全体計画を変更していく用意があるのかどうか。財政的にもこういうように考えていかねばならぬ、そういう考え方があるのかどうか、この点をここでお聞かせいただきたい。
  44. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 先ほど私が申し上げた数字につきまして、誤解があるといけませんので、もう一ぺん申し上げておきます。三十八年から四十年までに毎年高校入学者数を大体百五十万程度ということを申し上げたのでございまして、毎年百五十万ふえるというのではないので、その点を誤解のないようにお願い申し上げたい。公立につきましては三年間に大体八十万、私立で大体四十三万という基礎数に立って対策考えたのでございます。ただいまいろいろお述べになりました点でございますが、私どもといたしましては、この百二十三万の生徒の受け入れ態勢を、今後三年間に十分整備するという建前で計画を進めているわけでございます。三十七年度の予算におきましては、御指摘になりましたように、一部の補助金と交付税、起債をもってこれを措置するということになったわけでございます。地方の各府県におきましては、いろいろの御要望もあり、御計画もわれわれのところに大体ちょうだいしておりますが、そういう計画に基づいて、三十七年度におきましては、これから具体的な実施計画を、各都道府県と御相談したいというところにきております。三十七年の今申し上げましたような予算措置によりまして、三十八年に入るべき生徒の受け入れ態勢は一応できるものと私どもは考えております。今後そういう各都道府県の計画の実施について、十分私どももこれを見守って参りまして、いろいろ支障が生じてくるというようなことがもしあれば、これは十分今後研究していかなければならぬ問題だと考えておりますので、今の段階におきまして計画を修正するというようなことは考えてないのでございます。
  45. 川村継義

    川村(継)委員 いろいろと高校急増の計画及び財政問題等お聞きしなければなりませんけれども、この点はもう今までずいぶん質問も出たと思いますが、一応お聞きしておくわけですけれども、私が申し上げておきたいと思いますことは、やはり何かこう文部省の方でやっていかれる文教政策というものが、場当たり的である。そこで、それが次から次へ混乱を起こしているというような感じがしてならないのです。今、初中局長は、いろいろと弁解  いただいておりますけれども、これはおそらく来年、再来年、その次になりますとまたまた大混乱が出てくる、大きな問題になってくる。あなたが今いろいろおっしゃっていくようなことが、通らないことが出てくる。私はそう、ここではっきり申し上げて差しつかえないと思うのです。それならそれのように、皆さん方はわれわれよりよくそういう資料やそういう見通しは、高く持っておられるわけです。そのつもりで対処していただきませんと、まあ国の財政関係はありましょうけれども、そういう立場に立って進めていただくことを私は強く要望しておきたいと思う。来年、再来年になってから、またまたがちゃがちゃやりましてから、それ見たことかというようなことは、だれでも言いたくはないわけです。何もわれわれのためではないし、これは子供のためですからね、そういう点で十分一つ研究、検討を加えておいていただきたい。  文部省にそれだけお願いいたしますけれども、ただPTA等のものすごい負担だけは、一つこれはやって下さいよ。これは局長にことごとに申し上げてどうも失礼いたしますけれども、あなたたちが今度お作りになった高等専門学校、これなんかでも、用地買収の予算を持っていない。十二校か作ったうちの大半は、用地買収から全部地元負担におっかぶせる。そして高等専門学校を作っていく、国立の学校を作るのに、県や地元に、市町村にそういう負担をかけるなんて、これは言語道断なんですね。私は先日茨城に行きまして、そうして平にできる工専の地元負担のことを聞いて参りました。あいた口がふさがらないのですよ。皆さん方よく実情を調べて、そしてどこの工専は幾ら地元におんぶされてやったか、一つ調べておいていただきたい。こういうことなど考えて参りますと、高等学校急増対策もさることながら、あらゆる面で、府県や市町村に高等学校を作るについて莫大なる負担をかけないように、ぜひ一つやってもらいたい。これは文部省もそうですけれども、自治省もそういう点ではぜひ一つ手を打っていただきたい。高等学校、専門学校なんかの負担は、これは自治省から市町村はそんな金を出しちゃならぬ、そういう強い指示を出されることか至当じゃないか、そう思います、こういう点を一つ文部省にあわせてお願いをしておきたいと思います。大へん時間をいただいておりますが、あと一、二点大ざっぱに財政局の方にお尋ねをしておきたいと思います。  先ほど算定例について二、三点申し上げましたが、私はこの前の委員会で、市町村の道路分についていろいろ問題があるのではないかということを奥野さんに一言申し上げたのであります。つまり単位費用の改定を見てみても、県の道路分については相当大幅に単位費用が上がっておる。市町村の道路分の面積、延長については、単位費用はもちろん上がっておりますけれども、これはやはりわれわれの期待するほどの単位費用の引き上げになっていないのじゃないか、こう申し上げました。それについて大臣から、その点はなかなかまだ十分でないところもあるという意味の答弁をいただいたわけでありますけれども、国の道路計画に基ついて、国道及び幹線道路が次から次に整備されていきますから、それを負担する地方が、府県が十分なる財政の裏打ちを持っておらなければならぬということはわかります。その意味で道路の単位費用を引き上げて対処しようとされたこともわからぬではありません。それも必要だと思います。しかし市町村の道路分の、特に面積を見て参りますと、ことしは一平方メートルで十円六十二銭になっておる。これは三十六年度は十円二十七銭であった、こう見て参りますと、一平方メートルで三十五銭引き上がっておる勘定になるわけですけれども、しかし昨年の十一月の臨時国会で、あなたたちは道路の単位費用改定において十円三十七銭の単位費用を出した。これに比べると、今度の改定は、わずかに二十五銭の増加にしかなっていない。こういうことを考えますと、先ほど申し上げたような点から考えて、やはり市町村の道路ということは、この市町村に居住する市町村民の第一の活動の場所でございますから、もう少しあたたかい配慮をすべきではないか、こう思っておる。特に市町村は何も特定財源を持って道路をやっておるわけじゃない。みんな一般財源でまかなっておるわけですから、市町村道を少し手を入れようとするときには、全部住民の負担にぶっかけて大きな負担金をとって道路の改修、修繕等やるわけですね。そういう点から考えますと、何も父兄負担というのは学校だけの問題じゃなくて、道路なんかについてもいろいろの問題が出てくるわけです。そういう点で私は市町村の道路分を一つの例にとって上げておりますけれども、もう少しやはり単位費用というやつを十分見てやる必要がある。そういうのを算入すべ寿である。基準財政需要額を求めるときに、道路の単位費用というものをもっと高くしてやらなければ、市町村の道路というものは、いつまでたってもりっぱにならぬ、こういうことを私は申し上げておるわけです。これについてもう一度財政局長から一つ意見を承っておきたいと思う。
  46. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 道路費などにつきまして、市町村財政需要増額していくという方向につきましては賛成でございます。今般提出しております法案につきましての御質疑がございましたが、市町村分で特に道路関係経費増額いたしておりますのは、都市計画関係の道路でございます。先般も申し上げましたように、道路整備五カ年計画、あの国の計画に即しまして、基準財政需要額増額を行なって参ってきておるわけであります。国の方の計画におきましては、幹線道路から整備していく、また自動車の増加の状況からいたしまして、都市計画街路に重点を置いていく、こういうようなことになっておりますので、単位費用の改正にあたっても、道路費の単位費用引き上げのほかに、都市計画事業費単位費用も引き上げまして、都市計画事業費単位費用も引き上げまして、都市計画街路事業費充実しよう、こう考えたわけでございまして、東京都の二十三区の分を市町村に入れて計算をしておるわけでございますけれども、基準財政需要額総額は、道府県分におきましては八十八億円の増額となっているのに対しまして、市町村分につきましては、基準財政需要額総額は百六億円の増額ということになっておるわけであります。今も申し上げましたように、市町村分で都市計画街路事業費の増を六十五億円見ておりますので、必ずしもいなかの町村にまで行き渡っていないことは事実でございます。将来はそういう方向において、さらに基準財政需要額充実をはかっていきたいと考えておりますけれども、さしあたり三十七年度は、自動車の激しい都市における増加に対応した道路整備計画になっておりますので、それに数を合わせましたことを御了承願っておきたいと思います。
  47. 川村継義

    川村(継)委員 先ほどからお尋ねして参りました点でやはり感ずることは、この基準財政需要を見ていく場合には、今度新らしく新規に考えられた問題と別にして、もっともっと検討して単位費用を増して考えてもらわねばならぬような諸点が、これはおそらくたくさんあるだろう、こういうことをも感ずるわけです。特にことしは新規施策が相当入ってきております。これはたとえば高校急増の問題であるとか、あるいは税外負担の解消であるとか、あるいは共済組合の事務負担であるとか、そういういろいろなものが新規として見込まれてきておりますから、実は私は、当然今までの単位費用をもう少し上げなければならぬと思うけれども、こういう新規が入ってくるから十分手が届かなかったという結果が逆に出てきているんじゃないか、こういうことが思われてしょうがない。ということは、やはり交付税総額の問題に帰着すると思う。今度二八・九%になりましたけれども、臨時交付金の〇・三%がはずれて、残った〇・一%というのは、結局は共済組合の問題であるとか、そういうようなものの見合い分にしかならぬのじゃないか。そういうことを考えますと、私は、結論的には交付税総額を引き上げるべきである、こういうことを申し上げておく必要があると思う。特にこの本年度の財政需要額及び収入額の増加見込みを見て参りますと、公債費繰り上げ償還額の前年度の需要額というのが減額となるという格好が出ております。これはおそらく本年度償還しなければならないものを昨年度措置した、ことしはこれは出さなくてもいいんだ、こういう結果になって、ここに合計の二百十二億、交付団体にいたしまして二百一億ぐらいの償還費繰り上げの減額を見ておられると思うのです。おそらくこれらが共済組合等の埋め合わせになると思いますが、これは局長、ことしはこれで済んでも、来年はこういうわけには参らぬでございましょう。来年はどうせ公債費償還費のこれは減額でなくてプラスとして出てくるわけですね。この点の考え方はどうですか。
  48. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 公債費に関します限りはお説の通りでございます。ただ公務員の退職年金制度が新しくなりますので、今回は特にその分が増額になっておる。それが平年度化していくというような問題もあろうかと思います。
  49. 川村継義

    川村(継)委員 そこで私は、そのやり方についてちょっと矛盾を感ずるのです。ことしはこうして公債費繰り上げ償還の減額を見ておられるのです。どうなんですかね、ことしは減額を見なくて、やはり来年の償還分も順次去年やったように繰り上げていく、そうすると地方団体はずっと来年、再来年と償還するものが一年早く償還をしていく、大ざっぱに言うとそういう結果になるわけですね。そういうやり方も考えてはいるわけでしょう。どうですか。
  50. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 昨年行ないました繰り上げ償還は、ただ一年を繰り上げて償還をするというようなことでございませんで、かつて地方財政が非常に窮乏したものでございますので、公共事業費につきまして、便宜地方債を発行してそれに間に合わせたというような性格のものについて、その元利償還額のほとんど全部を基準財政需要額算入してきた、そういうものについての繰り上げ償還を求めたわけでございます。要するに地方交付税全体でかなり増額になった、いずれはそれを地方団体に配分するものでございますけれども、将来の地方財政を健全にしておくために、その分についての繰り上げ償還を求めましたもので、数年間にわたるものでございます。そのかわり振りかえに地方交付税をその団体に交付した、そういう措置でございます。もとより御指摘になりましたように、少しでも繰り上げ償還を多く求めているということは、将来の地方財政健全のために好ましいことでございますけれども、本来地方債は当該団体経費の年度間の調整をやっているわけでございますので、全体的に繰り上げ償還を求めなければならない、こういう必要は感じていないわけでありますから、今申し上げましたように、元利償還額のほとんど全部に近いものをいずれは基準財政需要額算入するんだ、そういうものについては便宜繰り上げ償還を、地方交付税の割合で増加額がありました際にはには実行するということは、妥当な措置ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
  51. 川村継義

    川村(継)委員 今のうしろの方のお言葉はよくわかります。そうなりますと、こういうものは全部消えてしまったわけですか。まだあるでしょう。
  52. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 御承知のように、公共災害復旧事業費地方債の元利償還額につきましては、九五%まで基準財政需要額算入しているわけでございます。従いまして、将来の地方財政負担を軽くしておくということでありますならば、そのようなものについて繰り上げ償還を求めるということは、昨年の例から考えて参りますと、考えられる措置だ、こう思います。
  53. 川村継義

    川村(継)委員 そこで考えられる措置でございますから、そういうような意味で考えていただくならば、やはり交付税の率というもの、あるいは総額というものが、いわゆるマイナスに出てくるのをマイナスにしないでプラスにしておけば、それだけ交付税総額を必要とする。必要とすると、二八・九%で十分であるかどうかというようなことともまた関連して考えられる。私などはそういう意味で、二八・九%やられた、わずかに〇・一%の増額であるということについては不満足ですから、そういう点もあわせて考えているわけです。  それから三十五年度の決算を見て参りましても、これはいろいろ決算には問題があると思いますけれども、たとえば税の一人当たりの額を見て参りますと、大都市、特別区あるいは市、町村、これは毎年々々——これは三十五年度の決算の資料によっているわけですが、大都市、特別区、市、町村という一人当たりの税の額はだんだん開いておる。それは当然そういう結果が常識的にも考えられるわけですけれども、そういう結果が出ている。従って地方譲与税、地方交付税を加えた一般財源から見ても、大都市と市、市と町村というものの間には、年々かなり大きな差が出てくるということは、この決算から見ても、大都市には非常に——非常にというのはおかしゅうございますけれども、ある程度財源の強さが出てきておるけれども、いなかの町村になると、それだけ財源が弱くなっている、格差が開いてきておるということが、この決算から言えると思う。しかも今度臨時地方特別交付金が廃止されるということになりますと、それについてはいろいろ見方が——埋めたんだというような話もありますけれども、そういうことから考えますと、町村の財源力というのは、これは必ずしもわれわれが期待したほど強くなっていない。そういうことを考えて参りますと、町村の財源力を強めてやるには、これは今のところ交付税をなんとか強めてやるほかに方法はないんじゃないか、こう考えるわけです。そういう意味からも、きょう私の方の太田委員から、三〇%の交付税増額を御賛成いただくように提案したわけですけれども、交付税総額についても、先ほどから申し上げましたような基準財政需要額単位費用算定の中身からいたしましても、私はもっともっと一つ検討してもらわなければならぬじゃないか、このように考えるわけです。  いろいろお聞きしたいことがありますけれども、私だけ時間をとりましては、あとに御迷惑をおかけいたしますから、最後に一言奥野さんにお聞きしておきますが、三十六年度の例でいいのですが、交付税を、これは特別交付税一つ含めて下さい、交付税を都道府県と市町村とに分けた場合、その割合は何%くらいか。たとえば都道府県が六〇%もらっておる、市町村が四〇%もらっておる、こういう格好が出ると思うのです。それが一つ。それから臨時特別交付金を含めた場合、その割合がどう変化しておるか、これを一つお聞きしておきたい。
  54. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 臨時特別交付金は、特別交付税と合わせまして配分をいたしまして、便宜そのうちの総額と見合いまして、臨時特別交付金部分がこれだけというような示し方をしておるわけでございます。従いまして、的確には臨時特別交付金を含めて計算した場合と、含めないで計算した場合との間において、比率の上には差が生じない、こういうことでございます。
  55. 川村継義

    川村(継)委員 それでは、こまかな比率はまたいろいろ別にいたしまして、私が今お尋ねしておるのは、私こういうことを心配しているからです。普通交付税なら普通交付税、これを都道府県と市町村に分けた場合に、都道府県の方がかりに六〇%もらう、市町村は四〇%に落ちている。ところがいわゆる臨時交付金を含めたものを市町村に落としておるから、そうするとその割合というのは、これは変化するわけです。たとえば都道府県は、もらったものを合わせてみても五五%、片っ方の方は四五%というふうになるんじゃなかろうか。そのこまかな計算をすればわかると思いますが、そこで臨時特別交付金をとられたということは、そういう面では市町村に大きなやはり財源の穴をあけているんじゃないか、こう思うのです。だからわれわれは臨時特別交付金をとりなさるな、こう主張しているわけなんです。その辺の割合と、それから市町村に与える財源力の影響、こういう点がありましたら一つ最後にお聞きしておきたいと思います。
  56. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 特別交付金を含めました地方交付税のことしの府県と市町村との割り振りは、府県におきましては六八・八%程度市町村につきましては三一・二%程度でございます。特別交付税の方は若干府県にウェートがあるようであります。しかし将来の方向といたしましては、これを市町村に比重を移すという努力を年々繰り返しておるわけでございまして、三十六年度の特別交付税の配分におきましても、総体はふえたわけでありますけれども、府県分の総額は三十五年度の額を大体において据え置く。増加額は全部市町村へ回していく、こういうような作業をしたわけでございます。将来は今よりも市町村に比重を移していきたい、こう思っておるわけであります。従いまして従来の姿だけでありますと、臨時特別交付金がなくなったから市町村が不利になるということはないわけでございます。しかしいずれにいたしましても、臨時地方特別交付金がなくなりましても特別交付税の配分を府県と市町村の実態に沿うように分配していかなければならぬわけでございますので、そういうような制度の改正からどちらかに不利な配分になるというようなことは避けることができる、こう考えております。
  57. 川村継義

    川村(継)委員 どうも大へん時間をたくさんとりまして申しわけありませんでした。いろいろ実はお聞きしなければならぬ問題はありますけれども、次に二宮委員の方から質問があるそうでありますから、これで終わらしていただきます。
  58. 園田直

    園田委員長 二宮武夫君。
  59. 二宮武夫

    ○二宮委員 大体大筋については、今、川村委員から御質問がございましたので、ごく簡単に一部分のことについてお尋ねいたしたいと思います。  文部省お尋ねいたしますが、福田初中局長さんにお尋ねいたしますが、局長さんは、近ごろ局長に御就任になられたのですが、その前の内藤さんの局長当時の本委員会における議事録というものをお読みになったことがございますか。
  60. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 議事録は読んでおりません。
  61. 二宮武夫

    ○二宮委員 議事録を読んでおるということが特別な問題になるわけではなくて、事務引き継ぎとして予算要求の際における——従来、地方財政計画並びに地方交付税算定基礎等において、この委員会文部省の代表が来て約束をし、あるいは言明をされたというようなことについての、事務引き継ぎの面で十分に御承知になっておることだろうと思うのですが、そういう点はどうですか。  内容を項目的に申し上げますと、私は概括的に申し上げまして、荒木文部大臣が本会議で、高校入学の問題については、終戦処理として国が責任を持つべき仕事であるということを言った。ところが先ほど川村議員が指摘をいたしましたように、この高校入学の問題の、急増対策については、あなたはこれから市町村あるいは県などと相談をいたしたいということなのですが、私は予算のワクが十分にないところで相談をしてみたって、これは対策としてはりっぱなものとは言えないと思います。従ってこういう問題については、これは荒木文部大臣が考えている教育行政というものは、私は皆さん方はその補助機関としてそれを尊重していかなければならぬ立場にあると思うのですけれども、どうも不満な立場に立たざるを得ない。特に市町村に対する高校急増対策のしわ寄せというものは、非常なふんまんがある。この点は十分に一つ考えをいただいておきたいと思うのです。  なお、今私がお尋ねしております問題は、具体的に申し上げますと、前の国会に内藤初中局長が参りまして、義務制の小中学校の先生方の宿日直料については、国家公務員、地方公務員、警察職員、これらと差額をつけるべきではないと、はっきり言明をされておる。ところが今度の交付税積算基礎の中には、財政局長なりあるいは財政課長から説明を聞きますと、同様に盛っておるようでございます。しかしながら文部省が要求をしておるところの要求額の中には、依然として、前の委員会において内藤初中局長が私どもに約束をしましたことを守っておらない立場で予算要求をしておるという事実がある。一体文部省はこの義務教育職員の宿日直について、何ほどのものを大蔵省に要求したのか、その点を一つ説明してもらいたい。
  62. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 教員の宿日直手当の問題でございますが、私どもといたしましては、教員の宿日直手当も国家公務員の場合と同額にすべきである、こういう建前をとっておるわけでございます。ただ御承知のように義務教育費国庫負担金の場合におきましては、これは地方が出しました場合におきまする実績負担でございますので、実績の二分の一が負担できればそれでいいわけでございます。従って国庫負担金の中には三百円を計上いたしておりますが、地方財政計画の中では、国家公務員と同じように三百六十円計上いたしているわけでございます。
  63. 二宮武夫

    ○二宮委員 いかにも文部省が、自主的に主導的にそういう予算を持っておるというような御説明でございますけれども、これは実に文部省としてはだらしがないと思う。昨年あれほどここで私どもが要求をいたしまして、その際に文部省の立場に立って、あなたが今おっしゃったように差別をつけるべきではないということを明瞭に言われておる。帰って議事録をお読みになったらわかる。そう言っておきながら、実際の要求については、昨年度の予算要求と予算額とを比較いたしますと、二百六十五円に対して三百円しか要求しておらない、宿直の二百六円に対して二百十円という要求書しか出しておらない。それを財政計画の中でむしろ大蔵省、自治省の方がこれは当然三百六十円にすべきであるという考え方に立ってこれを計上したというのが私は実態じゃないかと思う。あなたがおっしゃるように、差額をつけないということがほんとうであるならば、なぜ文部省は初めに三百六十円というものを要求しないのですか。あなたが帰って、昨年のこの委員会における内藤初中局長の答弁をお読みになったら十分わかるはずです。この委員会において内藤さんははっきり言葉では言わなかったけれども、動作によって私どもの主張が正しい、そういうことを今後いたしますという約束を議事録の中にとどめておる。にもかかわらず、文部省の今度の要求はこの委員会におけるその約束の線を破っている。こういう弱腰の予算要求の態度をとっておったのでは、これは言うがごとくりっぱな文教政策というものを推し進めるわけには参らない。これは一例でございますけれども、そのように私は考える。それは逃げ口上としてはいろいろある。義務教育費国庫負担だから、半分地方で見れば半分おれが見るのだと言われるが、これは当然昨年議論をした。財政計画の中に、交付税積算基礎の中にそういうものを入れる、そこにはっきり差額をつけないものを入れさせる、それから実績で地方自治団体を見るということは、それは地方自治団体の条例事項であろうけれども、初めから差額をつけるから地方自治団体はそれによって条例を作っていくというところに非常に矛盾がある、そういうことを指摘して、そういうことも十分に考慮に入れた上で答弁をされておるわけです。それが一年たった本年度、予算要求でなおそれを踏みにじっておるという態度はけしからぬ。これは文部大臣あるいは内藤さんをここに呼んできて、私は議会軽視に対して——そういうような議会に対してはっきり答弁したものに対しては、やはりそのように行動するということでなければ、議会軽視もはなはだしいと思う。その点についてはどうお考えになるか。
  64. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 先ほど申し上げました通りに、地方財政計画の中では三百六十円見ていただいているわけでございますが、負担金は実績負担でごさいますので、御承知と思いますが、現在地方で宿直手当を出している額はまちまちでございますが、まだ低いのでございます。従って、これは文教委員会でもそういう点についていろいろ御配慮になったことはございますが、文部省としても、地方のそういう手当の支給について、少なくとも国家公務員と同じ程度に上げていくように指導してもらいたい、こういうような御要望もございましたので、私どもとしては、今後できる限り、地方が国家公務員と同じような額まで出すような指導をして参りたいということは考えておるわけでございます。しかし今申しましたような実績負担でございますので、実績の二分の一にその支出に応じまして今後処理していくということに考えております。そういう御意向は十分尊重して参りたいと考えております。
  65. 二宮武夫

    ○二宮委員 私が申し上げておるのは、一つの例として申し上げておるのですけれども、少なくとも委員会において各省の代表が来て、その委員会委員との応酬の中で肯定をしてそれを認めたという場合には、その翌年度における予算要求においては、やはりその認めた線において行動をする、こういう良識のある行政というものをやらなければ話にならぬ。あなた方が指導されるといいますけれども、そういう弱腰では——基本的に自分自身がやっておらない。それは将来は、精算の仕方はいろいろあるだろう、これは半分地方で出せばいいのですから、当分国庫がはっきり見ていくということになるのですけれども、私が申し上げておるのは、そうではなくて、やはり文部省というものが来て、この委員会において説明したものについては、そのように良識的に実行してもらいたい、それをやらないようなことで、文教政策を進めるということは、私はおこがましいと思う。そういう点が非常に——昨年内藤さんがあなたにおかわりになったからいいのですけれども、——いいというか、あなたの方は逃げ道があるかもしれぬけれども、やはりそういう点について今後とも、これは一つの例として申し上げたのですけれども、十分尊重していっていただきたいというふうに考えるのです。  それからもう一つお聞きしたいのですが、社会教育局長にお聞きしたいのです。社会教育というのは、非常に地方ではおざなりになっておるように思うのです。そこでまず一つの例として、働きながら学ぶところの青年学級に対する指導方針でございますけれども、一般の青年学級であるとか、あるいは職業別の青年学級であるとか、あるいは実験に重点を置いておる青年学級であるとか、そういうものの実態を文部省としてはどのように把握されておるのですか。
  66. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 現在青年学級は、大体青年学級振興法に法定しております要件を備えた分が、大体報告によりますと八千学級ございます。それと、きわめて短切な時間でやっております、条件を具備しないものが三千六百学級、学級生の総数が大体七十一万ということでございます。今お述べになりましたように、青年学級と一口に言いましても、いろいろな形態がございますので、文部省としては、第一に高等学校へ行けない者に対する実質的な意味の後期中等教育に役立つ年少者の学級というものに力を入れたいということ。それから職業教育を割合に加味したようなもの。今御指摘のようにいわゆる職業学級と呼んでおります、そういう学級にも力を入れていきたいと思います。もう一つは、だんだん農村における中等学校卒業生というものは、都市に流入して参りますので、その点でわれわれの努力が未開拓の分野に及ばなかったということを反省いたしまして、昭和三十六年度には補助金を、従来七千七百万程度のものを一億二千万というふうにいたしまして、そういう都市の問題につきましても、企業なりあるいは中小企業が合同してやるようなものに力を入れてきたわけでございます。
  67. 二宮武夫

    ○二宮委員 私の調査をしたところによりますと、文部省の青年学級を指導しようとする立場に立つ人の予算要求は、昨年度に比較をいたしまして九千円の減額になっておるというふうに見えるのですが、そういうことはございませんか。
  68. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 補助金は昨年同額一億二千万でございます。
  69. 二宮武夫

    ○二宮委員 昨年度が一億二千五百四十九万で、本年度は一億二千五百四十八万で、昨年度よりも九千円減額になっておるのじゃないですか。
  70. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 青年学級の補助金につきましては、一億二千万、司額でございます。ただ青年学級の関係のいろいろな事務費につきまして庁費一般的な三%の節約ということが入りましたので、全体といたしまして若干の減になっておりますけれども、補助金につきましては減額はいたしておりません。
  71. 二宮武夫

    ○二宮委員 三分の一の補助金については、一億二千万の増額要求をしておる。その要求はそのまま一般行政費の中の社会教育に関する予算ということの中に盛られておるのですか。
  72. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 昨年度、三十六年度に一億二千万の補助金かついたわけでございますが、本年三十七年度も同額の一億二千万の補助金でございます。
  73. 二宮武夫

    ○二宮委員 私は聞き間違っておったのですが、同じ額の同額という意味ですね。それでは、事務費が減額になっておる、それから補助金が同じ額である、こういう実態で、社会教育の中で青年学級というものに対するあなた方の熱意というものはどうも十分だとはくみ取れないのです。そこで、そこに何か指導の面なりあるいは実態の面なり何らかの問題があるのじゃないかと考えられるわけですが、予算要求の面から見ますと、昨年同様にやっていけばいいわというような予算要求というものは、少なくとも向上をしておる意欲のある予算要求というようには考えられないのですね。青年学級の実態そのものにもう少し十分にメスを加えないと、これはあるいは衰微しつつある働く者の青年学級ではないかというような格好に受け取れる。予算の額の面から私はそのように考えるのですが、この同じ額を、昨年と変わらない額を要求して、これは大へん気をつけて十分やっておりますというようなことを言っても、これは私は納得できない。そういう点では社会教育局としてはなお検討を要する問題があろうと思うのですが、実態はどうです。
  74. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 青年学級につきましては、われわれが検討すべきいろいろな問題がございます。教育内容の問題、それから青少年の移動の実態に即応する等、いろいろございまして、先ほど申しましたように全体としては三十年ごろから比べますと、青年学級数にいたしましても、学級生にいたしましても、漸減しております。そこで三十六年度の要求におきましては——しかし今、漸減の傾向を土台にして、なおかつもう一度いろいろな内容を立て直すということでやってみようじゃないかということで、三十六年度は一億二千万にいたしたわけでございます。実はその後引き続き三十七年度に増額すべきかどうかということも検討いたしたのでございますけれども、私どもはもう少し内容を一つ検討いたしまして、そして青年学級の将来の方向ということを見きわめまして明年度以降に措置してみたいという考え方で、実は三十七年度は三十六年度と同額経費にいたしたわけでございます。
  75. 二宮武夫

    ○二宮委員 青年の家であるとか公民館の運営であるとか、あるいは青年団、婦人団体に対する指導であるとか、今の青年学級に対する指導であるとか、一方では防犯だとかあるいはいろいろな問題を強く言いながら、社会教育そのものが総花的な、あまりに熱意の入らない格好で行なわれているというこの実態は、私はその局にあるものは相当にその内容を把握をして十分な指導助成をやらなければならない問題であろうかというふうに考えます。あまり時間もたってなんですから、その点を強く要望しておいて、これは今後財政計画の中でもいま少し問題を取り上げて参りたい、かように考えます。
  76. 園田直

    園田委員長 ほかに御質疑はありませんか。——なければ本案についての質疑は終局いたしました。     —————————————
  77. 園田直

    園田委員長 これより、内閣提出地方交付税法の一部を改正する等の法律案を討論に付します。通告がありますのでこれを許します。渡海元三郎君。
  78. 渡海元三郎

    ○渡海委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております政府提案地方交付税法の一部を改正する等の法律案につき、賛成の意を表さんとするものであります。  今次の改正案では、地方公務員の退職年金制度の創設を初め、地方団体財政需要の増高に対処して、地方交付税率を〇・四%引き上げることといたしておりますが、これと関連して、当分の措置として交付されておりました臨時地方特別交付金を廃止することといたしております。従いまして、実質的には〇・一%の増率でありますが、基礎となる国税三税が相当の増額となっておりますおりから、地方交付税の自動的な増額が行なわれますこの機会に、不安定な財源である臨時交付金を恒久的な安定した財源に振りかえましたことは、将来にわたって地方一般財源を増強するものとしてきわめて適切な措置であると、まず賛意を表するものであります。  次に、本年度増額されました交付税額約八百億円によりまして、道路整備事業を初め、各種公共事業並びに社会保障制度の拡充に伴う地方団体の所要経費に対して、十分な経費の手当ができるよう、単位費用増額が行なわれておりますことは、妥当な改正方向であると信ずるものであります。  さらに、来年度以降の重要な施策として高等学校生徒急増対策がありますが、これにつきましても別途国庫補助金や起債による措置が行なわれますほかに、必要とされる一般財源交付税法の改正におきまして付与することといたしておりますが、このため特に高等学校生徒急増対策費の費目を設けて的確なる財源の配分を付与することにいたしておることは適当な措置考えます。  またこのほかに税外負担の解消の趣旨から、道府県分、市町村分にわたって小中学校並びに高等学校費にかかるところの単位費用を引き上げておりますが、これによって約百億円の財源付与をはかっていることは、これと先ほどの措置と相待ちまして、十分とは言えないまでも、おおむね妥当な措置と思われますので、賛意を表するものであります。ただ、この税外負担の解消のための措置につきましては、政府は十分その趣旨の徹底をはかり、負担区分の明確化、住民負担の軽減について、実効が上がるよう行政指導に万全を期することを、この際特に要望いたしておくものでございます。  最後に、本案の実施に当たりましては、単独災害復旧事業の財源に充てるため起こした市町村分の地方債の元利償還金の算入について、財政力補正を行なうことといたしております。また、弱小の市町村に対する財源の傾斜的充実をはかるために、都市的形態の度合いに応じて定めておるところの態容補正係数を改正して、その格差を縮小することといたしておるのでありますが、これはいずれも現下の緊要事である地域間の格差の是正に資するものであって、地方交付税の本来の使命をさらに前進せしめる適切な措置として賛意を表するものであります。  以上のような見地から、私は政府原案の本案に賛成の意を表して私の討論といたします。
  79. 園田直

    園田委員長 山口鶴男君。
  80. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました地方交付税法の一部を改正する等の法律案に反対の意見を申し上げたいと思います。  今回、〇・三%の臨時地方特別交付金を廃止をし、二八・九%の交付税率といたしたわけでございますが、しかしこれによって交付税地方自治団体に幾ら配分せられるかと申しますと、国税三税の二八・九%に加え精算分百七十三億円、繰越分八十九億円を合計いたしましても、四千五百八十一億円にすぎないわけでございます。そしてこの四千五百八十一億円を地方自治団体に交付いたしますために、単位費用につきまして若干の引き上げを行なっているわけでございます。  内容といたしましては、都道府県に対しまして公共投資の増加に伴いまして道路費でありまするとか、あるいは農業行政費でありますとか、林野行政費でありますとか、こういった費目の単位費用を引き上げております。また市町村につきましても、公共投資の増額あるいは社会保障の経費、こういうものを考えまして若干の引き上げを行なっているようでございますし、また税外負担の解消として若干の経費も見、また同時に退職年金制度の創設によりまして、これまた若干の費用を組み込んでいることも事実であります。しかしこれらの経費を通観いたしまして、私どもが本委員会の質疑等を通じまして、その実態を次々に明らかにしていったわけでございまするけれども、まず、この公共投資の面でありまするが、まず指摘をいたさなければならない点は、国が地方自治団体に補助をいたしますところの補助金の積算基礎算定基礎というものがきわめて不十分であるという点であります。この点につきましては、たとえば諸学校の建築費の単価につきまして、木造については坪当たり三万二千五百円でもって建築ができる、こういうような経費を見込んでおります。しかしこの点については自由民主党の諸君からも発言があったのでありまするが、三万二千五百円で建てられるというならば、一つ地方自治団体ではなくて国が直接学校を建ててみてくれ。地方自治団体が建てる場合には、どうしても坪当たり四万円かかる、こういった御指摘もあったのでございます。この点は政府当局もお認めになるだろうと思うのであります。また、たとえば公営住宅の建築について考えてみましても、土地の購入費が全国を平均いたしまして、坪当たり二千円で買えるというのであります。これまた奇想天外な単価であることも皆さんのお認めになるところだろうと思います。また建築費につきまして、学校建築、公営住宅についても同様でありますが、大工さんの一日当たりの日当を、全国平均九百円として組んでおる。これも現実にそぐわないことは皆さんも十分お認めのところであろうと思うのであります。従いまして、このような現状を無視したきわめて不適切なこの国庫補助金が見込まれております結果、地方自治団体は、これらの公共事業を消化いたしますためには、膨大な一般財源の充当を行なわなければならない。そういう面からいって、地方自治団体財政力というものはきわめて弾力性に乏しいものにならざるを得ない。こういう点もこれまた皆さんのお認めになるところだろうと思うのであります。  また市町村に対して、社会保障関係について若干の単位費用を引き上げたと言っておるのでありますが、現在の国の生活保護基準がきわめて低いものであり、また国の直接の事務であるべきところの国民年金あるいは地方自治団体の現在重要な仕事になっております国民健康保険、こういうものにつきましても、地方自治団体がいかに一般財源をこれらの経費に充てざるを得ないか、こういう点についても政府当局の十分認めるところだろうと思うのであります。そういう点から地方自治団体は幾らこの今回の地方財政計画を策定し、交付税単位費用を作成するにあたって、この公共投資に必要な単位費用を引き上げたというふうに言いま圧しても、現実にはそれがきわめて不十分であり、地方自治団体財政を迫している。こういう点だけはここではっきり指摘をいたしておかなければならぬと思うのであります。  次に、税外負担の解消として、若干の単位費用の引き上げを行なったと言っておるのであります。しかし税外負担解消について、財政計画にいわゆる基準財政需要として組み込まれておりますのは百億円であります。自治省が控え目に見積もりました税外負担の額は、三百五十億円と言われておるのでございます。この三百五十億円も、われわれといたしましては、きわめて実情を十分に把握しておらない数字であると考えておるのでございますが、かりに自治省の言われる三百五十億をとったといたしましても、百億円の基準財政需要に対する組み込みでもって税外負担が解消できるということは、絶対にあり得ない。この点もこれまた指摘をいたさなければならぬと思うのであります。  特にこれに関連して申し上げたい点は、高等学校急増対策の問題であります。この点につきましては、本日も川村委員より具体的な数字を上げていろいろと御指摘があったわけでございますけれども、とにかく全国の都道府県が、現在開かれております都道府県会に対して提案をいたしております高校急増対策経費は、五百億に達しておるのであります。そのような事態があるにかかわらず、政府当局が高校急増対策経費として計上いたしましたのは、起債において五十億、補助金十三億、残りの九十一億円を基準財政需要額算定をする。計百五十四億円の財源措置しかいたしておらないのであります。従ってこのような措置が行なわれておりまする結果、どういうことになるかといえば、都道府県は苦しいから地方財政法の建前をくずして、市町村に対してその負担をかける、こういう結果になるわけでございまして、現在全国市長会あるいは全国町村会等から財政秩序を確立してもらいたい、地方財政法の建前を堅持することによって、少なくともこういった膨大な高校急増対策に対する市町村負担は解消してもらいたい、こういう声が大きく上がっておることは、自治省当局も十分御存じのことだろうと思うのであります。従って税外負担解消の経費きわめて不十分であります。かてて加えて高校急増対策の問題もございまして、今年は税外負担が解消するどころか、むしろこれはふえていく、具体的にはどこの都道府県に行っても今年は授業料が引き上げられる、あるいは川村委員指摘いたしましたように、高等学校に入学するにあたっては、一人当たり三千円、四千円、はなはだしいところでは五千円というような入学金を取る、こういう事態が起こっているわけでございまして、税外負担は解消するどころかますますふえつつある。こういうことが現実であるということを、この際明確にこれまた御指摘をいたしておきたいと思うのであります。  次に、地方公務員の退職年金制度に関する措置の問題であります。この問題に関しまして、〇・一%交付税率を引き上げて、十五億円程度財源措置交付税において行なったというのでありますけれども、しかしこの地方公務員退職年金制度については、従来から自治省は事務費は国が持つべきである、また一割の国庫補助を出すべきである、こういう態度で大蔵省に折衝しておったことは事実でございます。しかるに昭和三十七年度の地方財政計画の策定にあたって、もろくも自治省考えはくずされ、事務費は一銭の負担もいたしません。また国庫補助一割もこれは実現をいたしませんでした。全くみじめな姿で地方公務員の退職年金制度は圧縮せざるを得ない、こういうことを考えましても、この退職年金制度の姿が、そのままやはり現在の不十分な地方財政計画の姿を象徴しておる、かように考えざるを得ないのであります。  また弱小市町村に対する財源の傾斜的配分の問題については、従来からこの委員会で問題になった点であります。これに対して渡海委員が言われましたが、態容補正を若干改正をしているくらいで、現在格差が拡大しつつある。弱小市町村財政力の是正ができるなどと考えることは、そもそもナンセンスでございまして、こういう点から見ましても所得倍増計画によって所得格差が開くと同じように、自治体におきましても財政力の格差がますます開きつつある、こういう点を率直に一つ御認識をいただきたいと思うのであります。  以上、今回の地方財政計画及びそれをもとにして提案せられました地方交付税法の一部を改正する等の法律案の問題点を指摘して参ったのでありますけれども、結局は交付税率が二八・九%にしかなっておらぬというところに問題の根本があるやに考えるのであります。従いまして私ども社会党といたしましては、先ほど太田委員提案をいたしましたように、交付税率を三〇%に引き上げる、これによって約百六十四億円の交付税増額になる勘定になるわけでございます。この百六十四億円を先ほど指摘をいたしました高等学校急増対策あるいは税外負担の解消、あるいは弱小市町村財政の強化、あるいは公共投資によって、むしろ弾力性を失っておる地方財政を強化いたしまして、地方行政水準向上をはかる、こういうことが適切であると考える次第であります。  以上、いろいろ理由を申し上げたわけでございますが、そういう観点に立ちまして、現在は少なくとも交付税は三〇%必要である、従って、現在二八・九%の交付税率をもとにいたしまして提案されておりまする地方交付税法の一部を改正する等の法律案につきましては、きわめて不徹底でありまするので、また、先ほど御指摘を申し上げたような地方財政を圧迫し、地方自治の本旨をそこなう具体的な問題を含んでおるということを考えまして、ここに反対の意思を表明いたす次第であります。(拍手)
  81. 園田直

  82. 門司亮

    ○門司委員 私は、民社党を代表して、ごく簡単に反対の意見を申し述べておきたいと思います。  反対の理由は、法案自身は、政府の考え方としては、おそらく、第六条の改正に基づいて、以下単位費用の変更というきわめて事務的な処理であると一応考えられます。同時にまた、従来あった〇・三%がこの六条の規定の中に、特別法でなくて繰り入れられたという、これもまたきわめて事務的なものの処置であったと思います。実際の処置としてはわずかに〇・一%だけがふえている、こういう形のものでありますが、この法案が、政府の説明、さらに今までの質疑に対して答弁をされたような効果的なものとは決して考えられません。同時にまた、自民党を代表して今賛成の御意見のありました中にも、昨年よりも八百億もふえておるというお話でありますが、これは国税の三税が伸びればそれに比例して伸びるのであって、実際にふえているのは〇・一%であって、結局はふえていないということなんです。同時にまた国の財政投融資の中で、本年度特に地方に公共投資として昨年よりも約千七百億も増額投資が行なわれておることは事実であります。そうすると、かりにこれらの三分の一を地方食掛といたしましても、約六百億くらいのものが、当然地方の義務的経費として負担をされなければならぬ、これを二分の一に勘定いたして参りますと、八百五十億というものが当然地方の義務的負担として支出をしなければならぬ。そういうふうに考えて参りますと、実際八百億ふえたといっても、これは何もふえてはいないのであって、国の財政投融資に基づく地方の義務負担が補われたというのにすぎないのであります。従って、三税の伸びからくるこの増額と同時に、義務的経費負担を差し引いて参りますると、むしろ本年度の地方財政は、交付税がふえたという政府の意思は当たらない。実際上の問題として、地方の自治体がほんとうに自己財源として三十七年度施行し得る財源というのは、六百億しかないはずである。これは私は政府も知っていると思う。この六百億という数字は、昨年度の地方財政計画に基づくいわゆる地方の自主財源と比較をいたして参りまするならば、昨年よりも減っておるのじゃないか、従って、本年度の地方財政というものは、昨年度よりもその規模は、総体において自主財源は縮小されておるということがはっきりいえるのである。こういう時期に、こういうきわめてわずかなものが付加されておるということは、私どもきわめて遺憾であって、こういう政府の地方財政計画に対する一つの大きなポイントである財政投融資を非常にふやしておりまする、いわゆる公共投資のふえておるこういうときこそ、自治省としてはやはりこの六条の改正をもう少し踏み切って行なうべきであった。今も社会党から御承知のように三〇%にせよという法案が提案されております。この三〇%にしても、先ほどから申し上げておりますように、数字のつじつまを合わせようとすれば、まだ足りないくらいだ。一体自治省はなぜこの際、そういうことを理由にして踏み切らなかったのか、この点はきわめて遺憾であります。またふえたからといっても、先ほどから申し上げておりまするように、実際上は国税三税が伸びておるための自然現象であって、決して自治省の手柄でも何でもないと私は思っている。同時にそれに対しては、今申し上げました義務的経費として当然地方の自治体が負担すべきものが義務づけられているが、これがちっとも解消されておりません。  同時に、もう一つの問題は税外負担だと言っておりますが、税外負担は何も地方財政の中で交付金を受ける団体だけが背負っておるものではなくて、不交付団体におきましてもたくさんの税外負担というものはあるのであります。従って、これをこの交付税の中に持ってきて、そうしてこれを埋めたからといって、交付団体だけにはあるいは多少の潤いになるかもしれませんが、しかし、地方財政全体を見て、この税外負担をどう処置するかということについては何ら役に立たない。そんなことはおそらくこの中では理由にならない。むしろ今日の場合においては——私は特に委員長にもお願いをしたいのですが、その他政府与党にも一つ考えを直してもらいたいのですが、社会党から出されておりまする法案をすみやかに審議して、そうしてこの法案を通すということの方が地方団体に対しては親切なやり方である。最も適切な方法である。ところがきょうの取り扱い上においても社会党の案があと回しになって、そうしてこの法案をきょう上げられるということは私はきわめて遺憾であります。  以上は、ごく大ざっぱに申し上げたのでありまして、案のこまかい内容等については触れませんでしたが、そういう意味でこの法案に賛成を申し上げるというわけには参りません。この機会にはっきり反対の意思を表したいと思います。
  83. 園田直

    園田委員長 以上で討論は終結にいたしました。  これより採決いたします。内閣提出地方交付税法の一部を改正する等の法律案に賛成諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  84. 園田直

    園田委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  86. 園田直

    園田委員長 次に、辺地に係る公共的施設総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案議題といたします。  質疑を行ないます。通告がありますのでこれを許します。安井吉典君。
  87. 安井吉典

    安井委員 時間がだいぶ回っておりますので、次回にしようと思ったのですが、どうしてもきようやれということですので、要点だけお尋ねをいたしたいと思います。  その前に、先ほどの川村委員の御質問の中で、工業高等専門学校の地元負担の問題につきましてお話がございましたが、あの問題につきまして、私は予算委員会の分科会でもお尋ねをした経緯がございますが、その際に奥野財政局長は、問題の解決のために善処したいというお答えがあったわけでありますが、その後においてどういうふうな御努力をされておるか、その点を一つ伺いたいのであります。私が聞いております事情を申し上げますと、文部省は、今度のあの国立の学校を建てるための敷地予算、用地予算はゼロです。全然要求いたしておりませんし、国の予算書にはただの一銭も計上されておりません。全体的な動きは、それはもうほとんどすべてが地元の市にかぶさってきているという現状です。かつ用地費だけではありません。教員住宅を建てろだとか、水道の施設だとか、そういうふうなものはおそるべき額に上っております。大体におきまして一校当たり二億くらいの文部省の予算のようでありますけれども、それと同額くらいの違法な負担市町村にかぶさってきておるというのが実際の姿だと思うのです。それに地方財政法第二条第二項、あるいはまた第十二条、あるいは地方財政再建促進特別措置法の条文にも違反する措置であります。ことに最近におきましては、この違法からのがれようというふうな考え方で、市町村が期成会か何かをこしらえて、その期成会に一たん財政支出をした土地をやって、その期成会から文部省に寄付するというような脱法行為をとったり、ことに市町村が食い切れなくなって、県がその金を一部肩がわりをする、こういう違法の上にさらに違法を重ねるというような措置があるように聞くわけであります。この点どういうふうな措置がなされているか、初めにそれを伺いたいと思います。
  88. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 この問題につきましては、昨年来大蔵省及び文部省に対しまして申し入れをして参ってきておるわけでございます。また、国会の委員会におきましても論議の対象になったわけでございまして、予算がきまってみますと、どういうわけですか、文部省はついに工業高等専門学校の土地についての予算要求をしなかった。予算ができあがって参りましてから、私の方から大蔵省に工業高等専門学校の土地の問題はどうなったのかということを確かめたわけであります。全くざっくばらんに申し上げてみたいと思いますが、その際に大蔵省の側からは、文部省自治省と打ち合せた結果こうだと自分の方では聞いておったので、こういうふうに考えておったのだとうい話がございました。その内容は、四校については国有地がある、他の学校については地元から寄付をしたいと言っているので、それに期待しておるというような内容のことでございました。そこで私の方では、文部省からはそういう話も聞いていないし、やはり地方団体が工業高等専門学校の用地について寄付をすることは法律上できないと考えている。こういう申し入れをしたわけでございます。その結果、さらに大蔵省の側では、四校については現に国有地があるわけでございますし、その他の土地についても国有地を物色していく、さらに大蔵大臣はうちの大臣に対しまして、必要があれば三十八年度で予算措置をしてもよろしい、こういうことを言っておられるようでございます。さらに文部省に対しまして、私たちとしては、この問題について昨年文書によって照会をしたわけでございます。その後大臣間に話があったわけでございますけれども、いまだに正式の文書をもらっていないので、そのことについて文部省においてはっきりした態度をとってもらいたいという申し入ればいたしておるわけでございます。文部省がはたして予算要求をする方向に態度を変えてくれますかどうですか。私たちとしましては、文部省がそういうふうに態度を変えることを期待しておるわけでございまして、まだその後文部省との間ではっきりした話し合いに至っていないというのが、現在の段階でございます。しかし、自治省といたしましては、依然として、工業高等専門学校について地方団体負担をかけることは地方財政法上できない、また地方財政再建促進特別措置法の建前からいって、寄付することもできないといろ建前を堅持しておるわけでございます。
  89. 安井吉典

    安井委員 今のお話ですと、自治省の方で文部省に強く申し入れをされているという段階のようでございますし、きょうはほかの問題が中心でございますので、この問題はこれくらいにいたしたいと思いますが、地方財政法あるいはまた地方財政再建促進特別措置法等は、やはり自治省の側がこれを堅持していくという気がまえを明らかにして各省をリードしていくというふうな姿でなければ、本旨は全うされないと思うわけです。問題は文部省にあるわけでありますが、ことしの行政管理庁からの勧告の中にも、文部省が国立学校の敷地寄付を地元に強制しているという事態について、強い勧告措置があったはずであります。そういうようなものまで無視してやるという全くでたらめな行政措置だと思うのでありますが、こういうようなものを許せば、地方財政の確立だとか、財政秩序をどうするとか、こんなことを言っても全くのから念仏に終わるおそれがあるわけです。ぜひ正しい方向において解決がなされることを強く期待をしておくわけであります。  次に、辺地の公共的施設総合整備のための特別措置法律でございますが、この発想の方向におきましては、今まで文化の谷間にある人たちに光を当てようという、そういう考え方自体におきましては、私どもむしろ歓迎すべきものだと思います。しかしながら、詳細にこの内容を検討いたしてみますと、多分に問題点が含まれているようであります。それらの点について二、三お尋ねをしたいと思います。  この間も財政建課長から、党の方でもいろいろお話を伺っておりますので、特に要点だけにとどめたいと思うのでありますが、この法案立案の段階におきまして、全国的な辺地の実態調査を十分に行なったというふうにお考えになっているかどうか、それから一つお伺いします。
  90. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 辺地につきましては、一応府県を通じて報告を求めた程度でございまして、自治省自身が具体的に十分に調査したというふうな段階には至っていないわけでございます。法案成立後において十分な調査をさらに続けていきたい、こういう考えでおります。
  91. 安井吉典

    安井委員 さらにお尋ねをしたいわけでございますが、現在ある辺地対策、これは各省でいろいろやっているわけであります。これらにつきまして不備だというふうにお考えになったからこそ、こういったような新しい施策が出てきたのだろうと思うわけでありますが、どういうふうな点につきまして不備だというふうにお考えになったか、それを一つ伺います。
  92. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 具体の例で申し上げた方が早いかと思うのでありますけれども、現在自家発電をやっている地域でありますとか、あるいは無点灯の地域でありますとか、そういうところは今のままではどうにもならないのじゃないだろうかという判断をいたしたわけでございます。たとえば無点灯の地域において、自家発電施設をやろうとしても莫大なコストになってしまいます。そうかといって電力会社に配電をしてもうおうと思いましても、やはりコスト高になってしまうものですから、配電をしてくれない。そうして市町村として配電施設を作って、それを電力会社に吸収すれば配電してくれるという、ところがそういう配電施設をする金がない。また地方債を起こしたくても、本来町村の施設ではございませんので、現在の法律の建前からは地方債は起こせないというような事態があったわけでございます。あるいはまた、現に文部省自身がその僻地教育の出版物の中に述べておられるわけでありますけれども、視聴覚の教育をしたい、そういうことで僻地についてそういう関係の設備を補助しても、電気がなければ結局そういうものの教育を徹底させることができない。あるいは診療所を作りましても、道路がありませんと患者を運べないというような問題がございまして、やはり総合的に僻地対策をやっていかない限りは、それぞれの施設が生きてこないじゃないかというようなことでございます。こういうような若干の例から判断をいたしましても、やはり市町村が中心になって公共的施設を整備する、従来の系統で言いますと、心ずしも市町村の任務に属さないものでありましても、むしろ市町村が積極的に取り上げまして公共的施設の整備に当たっていく。のみならず、各省ばらばらで行なっていますいろいろな補助金も、できる限り総合的な計画を立てたところに集中して行ないまして、それぞれが補い合いながら効果を上げるという方向をとらなければならないのじゃないか、こういう気持を強く持って参ったわけでございます。そのような事柄がこのようなことを考えるに至った基本的な立場でございます。
  93. 安井吉典

    安井委員 ただいまのお答えの内容につきまして、いろいろ申し上げたいことがありますが、これは一つあと回しにいたしまして、今のお答えの点が一番大事な点だと思いますので、これはあとでまたお伺いすることにいたしまして、その前に辺地の範囲でありますが、具体的にはすべて政令にまかされているようであります。あるいはまた専業の内容等につきましても、これまた具体的な問題は省令にまかしておられるようです。ところが、現実に仕事をする方の都道府県やあるいはまた市町村の立場からいうと、この法律を見ただけでは仕事のしようがないわけですね。一体どこが辺地なのか、自分ではここが辺地だと考えておるけれども、政令が出なければわからない。事業内容、あれも計画したい、これも計画したい、事前の準備はしたいけれども、省令が出なければ何にもわからない。こういうような声をずいぶん耳にするわけであります。辺地あるいは僻地の区分というものを、ほかの文部省やあるいはまた農林省等の法令の中にも相当詳しいところまできめている例もあるわけです。私は、もう少し法律の中に辺地の区分等を明記すべきではなかったか、そういうふうな気がするわけです。今の段階では政令、省令を待つよりほかに何もできない。手をこまぬいて見ている、こういうような事態だと思われるわけです。その点いかがでしょうか。
  94. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 一応整備したい公共的施設を並べておりますので、いわゆる僻地といわれているところ、そういう施設があるかないかということは、ある程度の判断はできるんじゃないだろうか、こう思うわけでございます。しかし、御指摘になっている点もまことに私たちごもっともだと考えるわけでございまして、なるべく早く、法案が成立した暁には辺地指定の具体的内容を府県を通じて連絡をしたい、かように考えているわけであります。私たちが現在のところ考えていますのは、少なくとも無点灯の地域、これはわれわれが対象として取り上げるべきではないか、こう思っているわけでございます。それから僻地学校文部省では指定をしているわけでございます。一級地から五級地まであるようでございますけれども、そのどの範囲までとるかということは、なお若干調査をしてみたいと思っておるのでございますけれども、僻地学校の校区になっているところ、一級地、二級地と順位がございますので、高い度合いのところは当然入れるべきだろうと思います。全部入れるか、どこまで入れるかということについては、なお調査をいたしたいと思っております。そういうような辺地でありまして、なおやはり公共的施設を整備するのでありますから、一人しかいない、二人しかいない地域についても、それをやるということは穏当でございませんので、面積に応じてある程度の住民ならやる、これが必要であろうと思うのであります。従いまして、面積が広くなるに従いまして住民の数も多くなければならない、そういう程度を定めよう、こう考えておりまして、そういう地域でありまして、こういう施設がないところは、私たちが考えている辺地にしたい、かように思っているわけでございます。
  95. 安井吉典

    安井委員 辺地の区分と言いますか、その範囲の置き方なんですが、これでこの法律が生きもし、死にもすると思うんですね。一たん法律を通してしまった。しかし、辺地なりというのは、ごく小さな部分で政令できめられるか、あるいは非常に広い範囲できめられるか、それによってこの法律は生きもし、死にもするわけです。それくらい法律の死活に関する重要な問題なわけですから、これはやはり政令にただゆだねることなく、今局長がおっしゃったことくらいなら、この法律の中に私は書いてもよかったんではなかったかと思うんですね。へき地教育振興法の校区はこれに入るとか、それくらいの法律のきめなら、私はこの法律の中にできたんじゃないかという気がするわけです。そういうようなきめがあれは——国会の方はただ目をつぶって通してくれれば、自治省の方で悪いようにはいたしません。こういうことなのかもしれませんけれども、やはりもう少し具体的なきめというものを、国会の審議の中でもわれわれはすることができるような態勢にしてほしかった、そういうふうな気がするわけであります。  そこで辺地の基準の問題でありますが、その中で私特に申し上げたいのは、その基準は動きのないものにしておいてはいけないというふうなことです。というのは、たとえば僻地学校の指定において、そこへバスが一日に何回以上来たところはもう僻地学校でなくなるとか、そういう基準があります。そういう場合に、いわゆる辺地対策というものがどんどん進んでいけば、そこにもしも電灯がついたら、そこはもう僻地学校でなくなって、そこにいた先生が僻地手当を減らされてしまう。こういうような例が過去にずいぶんあるようです。これは学校の例だけではありません。その他でもこういう例がずいぶん出てくるのではないかと思うわけです。だから私は、辺地あるいは僻地という——この法律だけではありません、全体的に申し上げるわけでありますが、区域基準というのは、国民生活の全体的なレベル・アップに伴って、その辺地の基準も変わってこなければならない。そういうような可動的な姿勢に辺地基準を置くべきだ、こういうふうに考えます。この法律によっても、たとえば今言われたように、僻地学校の校区であるところは辺地だというように言われておりますが、当面何かの施設がそこに行なわれますと、それはへき地教育振興法の範囲からはずれてしまえば辺地でなくなってしまって、電灯はついたけれども、その次の施設をやろうと思ったら、もう基準にはずれてしまった。こういうようなことにもなるおそれがあると私は思う。そういうような意味からも、辺地の基準というものを自動的に変えていくというような仕組みが何か考えられなければいけない、そう思うわけですが、その点いかがですか。
  96. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 辺地についてある程度公共的施設を整備したい。基本的には、地域間において生活水準に大きな格差がある、その是正をはかっていきたいということがねらいでございます。全体として、御指摘になりましたように生活水準は上がってくる、そういう場合には、従来はあえて国が特別な援助施策をとらなくてよかったところでありましても、とらざるを得なくなってくるだろうと思うのであります。そういう意味において、私もお話のように考えておるわけでございます。
  97. 安井吉典

    安井委員 今までの法律制定の段階でも、各省との間の調整にずいぶん手間取っておられたようでありますが、政令や省令をきめる段階でも、各省庁との間の調整に難行するというふうな心配はございませんか。大体いつごろ政令や省令をおきめになるという御予定か、それを一つ伺います。
  98. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 省令、政令は、法案が成立いたしましたらなるたけ早い機会にきめたいと思っております。ただ地区をどの程度に押えていくかという問題もあったりしますので、大体の内容を定めまして、府県を通じて調査した上で形式的には若干おくらすということもあり得ると思うのでございますけれども、少なくとも自治省考えております方向は、府県を通じてなるべく早く明確にしたい、こう思っております。各省との間で特にいろいろ摩擦、いきさつがあったというのは、ざっくばらんに申し上げまして厚生省であります。厚生省が、自治省の案が厚生省の仕事の範囲を荒らしてくるというような感じを持たれておるようであります。この誤解は現在においては全く解けておると思います。従いまして、今後の運営において、各省との間でいろいろ摩擦を起こすということはないのではないかと私は思っております。むしろ、各省で行なっておりますいろいろな僻地対策、その円滑な進展をバック・アップするような気持でおるわけでございまして、両々相待ってほんとうの成果を上げることができるのではないか、そういうふうにも考えております。その気持で運用したいと思っております。
  99. 安井吉典

    安井委員 整備という言葉が使われておるわけですね。たとえば第三条の中にも整備に関する計画というような言い方がなされておりますが、この整備の中には新設、更新あるいは改築といったようなものも入るかと思うのであります。新設とか更新については問題ないと思いますが、改築についてはどうでしょう。
  100. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 更新も入れると考えております。
  101. 安井吉典

    安井委員 改築についてはどうですか。
  102. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 同様でございます。
  103. 安井吉典

    安井委員 この整備計画の計画期間でありますが、法律の第一条には「当分の間、」というので、そこも法律の有効期間をきめてあるだけで、計画そのものには期間のきめがないわけですね。たしか当初三年ぐらいというふうな自治省のいろいろな原案の考え方があったということも聞くわけでありますが、この計画をたとい立てても、いつになってやってくれるのかわからないというふうなことであってはどうにもならない。しかも、総額が当初はたった十億ぐらいしかないわけですから、計画は立てたけれども、いつ仕事にかかれるのかわからない、こういうようなことになるおそれがあるわけであります。しかもまた、その整備計画の内容についても、電灯もないし道路もない、あるいはまた学校へ通うのも困るし、診療施設も何もない、飲料水もない。そういうふうにないないつくしの地区がもしあったとすれば、これは非常に多額な整備計画予算にならざるを得ない。あるいは一つしかないところでありましたら、これは相当額が少なくて済むということにもなるでしょう。ところが、この法律の中には、そういうような限度基準というものが一切書かれていないわけです。これでは整備計画を立てるのにもずいぶん手間がかかるのではないかと思うわけですが、その点いかがですか。
  104. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 最初大蔵省に予算要求をいたしましたときには、三年間で幾らというような要求の仕方をいたしたわけでございます。この法案におきましては「当分の間」、としておりますが、さしあたり毎年度地方債計画に十億円程度の辺地対策債を計上していきたい、そうして五年間程度で片づけられるようなめどで進みたい、 こう思っておるわけでございます。しかしながら、実際実施した結果でございませんと、それでは非常に不十分だという場合もあり得るであろうと思います。また五年間引き続いて、今までのような経済発展をずっと続けていくといたしますならば、また格差が開いていくわけでございますので、特に援助をすべき程度というものが高くなってくるのではないかと思います。そうなって参りますと、さらに引き続いて継続していかなければなりませんし、額も多くしなければならないという問題も起こってくると思います。さしあたりは、今申し上げました五年間五十億円の地方債資金を用意して、この問題を解決したいという気持でおるわけ  でございます。
  105. 安井吉典

    安井委員 大体五十億ぐらいで絶対的な辺地の解消と言いますか、それができるというふうにお考えなんでしょうか。そういたしますと、全体的な事業内容ということから問題になってくるわけでありますが、全体的には一体どれくらいのお金がかかって、そのかかるお金も全部が自治省でおやりになるわけじゃないと思う。農村電化の法律もありますし、へき地教育振興法もありますし、水道法もありますし、いろいろあるわけでありますが、その全体の整備事業費はどれくらいになって、そのうち自治省はどれくらいめんどうを見てやるのですか、そういう点につきまして資料がありましたらお知らせいただきたい。
  106. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 現在個別に補助金として出ていますのは、この前もちょっと申し上げましたわけですが、電気関係で二億九千九百万円、通学施設などで千七百万円、診療所等で五千二百万円、それから簡易水道関係で二千万円、その他学校のテレビ購入費その他で二億一千百万円、全体合わせますと六億程度でしょうか、そういう金額になっておるわけでございます。これにつきましては、もとより裏の地方負担もあるわけでございますが、水道、診療所に関しましては、それぞれ病院の地方債、簡易水道の地方債で見ますので、その地方債の資金を使うつもりでございます。その他につきましては、この辺地対策地方債を使っていきたい、こう考えておるわけでございます。大体百億円余りになるのではないかと思っております。しかしながら、これもさらに具体的に調査いたしませんと、それで足りるとか余るとかいう議論はできないと思います。ただこういうような補助金の状況でありますとか、先般府県を通じまして照会いたしました結果等から言いまして、百億円あまりの事業費を一応想定したわけでございます。
  107. 安井吉典

    安井委員 どうも私は、この法律案立案の段階におきまして、基礎調査が不備じゃないかというような気がするわけです。はっきりしたことを押えておられないように思います。特に辺地の置き方によって、これはもう金額がどうでも変わってくるわけです。そういうような点からいって、どうも何か思いつき的な、そして総合性がないような気がしてならないわけであります。そこで全体的なそういうふうな金額をずっとおあげになりましたけれども、それにつきまして農林省だとか、厚生省だとか、あるいはまた文部省だとか、企画庁だとか、そういったような関係各省と、あなたの方は電気はこれだけやるとか、あなたの方は水道をこれだけやるとか、そういうふうなお話し合いをなさってからの立案ですか、その金額的な面までお話されてのことなんですか。
  108. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 各省につきましては、私たちの考え方をそれぞれ連絡をいたしまして、賛成を得てこの法案を提出しているわけでございます。しかしながら、金額等につきましては、もとより厚生省の関係の分が幾らとか、農林省の関係の分が幾らとかいうことじゃございませんで、総合的な整備をはかりたいというふうに考えているわけでございますので、自治省の方で決定をしているわけでございます。十分な調査をした上での数字ではないと、そういう御指摘がございました、これは全くその通りでございます。私たち町村からいろいろな実情を伺いまして、たとえば北海道におきましても、農業協同組合が発電施設を作ったところが、老朽化してくる、莫大な借財を負ってその負債を返せない、市町村に引き取ってくれと言われても、市町村として引き取りようがない、こういうような問題についての相談も現実に受けたわけでございます。そうなりますと、今の法律のままでは救いようがないのであります。第一、市町村がそういうものを引き受けたところで、続いて自家発電を継続していくといたしますと、年々莫大な負債を重ねていくばかりでございます。また、そういう地方債資金のあっせんのしようもないわけであります。そうなってきますと、何か総合的な整備計画を立てて、国が相当な援助をするような施策を立てなければならない。そういうようなことからこういう考え方を立てたわけであります。同時に、一方先ほど申しましたように、府県を通じての調査はいたしておりますが、御指摘になりましたように、綿密な調査であるかどうかと言われますと、そうではない、こういう法案を制定するまでの調査にすぎないと考えているわけでございます。従って、金額の程度につきましては、さしあたり五年間に五十億という金額を考えているわけでありますけれども、これは今後実施した上において、いろいろまた考え直していく面が出てくるかもしれない、こう思っているわけでございます。今日経済発展が非常に進んでいる、また都市においてその生活水準がどんどん上がってきている。それから考えて参りましても、辺地の人たちは捨てておけない。一年間綿密に調査した上で、さらに案を作るというような時間的な余裕を持つべきではない、こういうような考え方でこの法案の制定に当たったのは事実でございます。
  109. 安井吉典

    安井委員 先ほどちょっとお尋ねいたしました、ないないづくしの地区ということを私申し上げたわけですが、一地区の整備計画の事業費は、うんと大きいのと小さいのといろいろ出てくると思いますが、大きいものについての制限その他を設けられるおつもりかどうか、その点はどうですか。
  110. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 もとより市町村が、その負担に耐えるかどうかというような問題も、あわせて考えなければいけないことだと思います。従って、金額的には無制限だという考え方は持っていませんけれども、しかし、こういう制度を実施いたします以上は、相当な金額に上る場合でありましても、たとえば無点灯を解消する、電力会社に協力を求めるのに、やはり配電施設をしなければならない、その配電施設をするのには何千万円か金がかかるのだというような場合も、私は取り上げるべきだ、こういうような考え方でいるわけでございます。同時に、その仕事が毎年わずかずつやっていくということじゃなしに、一たん手をつけました以上は、三年くらいで完了できるように地方債資金も配分すべきだと思うのであります。同時にまた、その程度の事業は辺地対策としても市町村は進めるべきだ。進めるべきだと言いますと、何かこう必要以上に押えてしまうように誤解を持たれるかもしれませんけれども、どの程度まで施設を整備していくか、生活水準をどこまで上げていくかというような問題があるわけでございますが、やはりそういうこともある程度は頭に置いて計画を立てるべきであろう。こういう判断をいたしておるわけでございます。
  111. 安井吉典

    安井委員 その全体計画の中に生活水準というような言い方がなされているわけでございますが、生活文化水準ですか、しかし、それは経済的な裏打ちがあって初めて生活なり文化なりが維持されるわけです。施設がただできたから、そこで辺地の生活水準がぐっと上がったというわけじゃなしに、たとえば電灯がついた、しかしそれの維持費にずいぶん金がかかって、電気料が払えなくてまた灯が消えてしまうというようなことになりかねないのです。従って、その地域全体の振興計画と言いますか、そういうようなものの裏打ちがなければ、局部的な点の問題だけは解決できても、基本的な問題の解決にはならないと思うのであります。その点、地域振興計画と言いますか、そういうものこそがその地域と他地域の格差是正の一番重要な基礎になると思うのです。そういう点についての配慮はなされましたか、どうですか。
  112. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 どちらかと言いますと、現在文化的な生活から取り残された辺地、そこは今すぐ経済振興政策を打ち立てて経済が向上していくというような地域ではないと私は思うのであります。今すぐに経済振興計画を立てて生活力を豊かにする、そういうことはできない地域でこういう施策を積極的に行なっていきたい、こう考えているわけであります。でありますから、べらぼうに高い料金につく、そういう電気をこういう地域に供給しようと考えているわけではないのでありまして、自家発電施設を持つといたしますと、電気代がべらぼうな金になってしまう、だから滞納がふえてくる。そうじゃなしに、ある程度国も援助をして、一般の地区と同じように電力会社の電気の供給を受けさせよう。そうすれば電気代も低廉で済むじゃないか、また滞納もなくて済むのじゃないか、そういうような施策をやっていきたいというように思っておるわけであります。基本的にやはり生活力を豊かにしていくということが問題であるということはよくわきまえているわけでありますけれども、すぐにはそういう施策の及ばない地区だ、こういうふうに思っておるわけでございます。
  113. 安井吉典

    安井委員 起債の方法で財源措置を一応されるわけでありますが、その際に、今まで承りました御説明では、たとえば一定の二分の一なら二分の一補助金によって事業が行なわれた、その際の地元負担部分についても、この起債を充てることができるというふうな御説明をたしか伺ったような記憶があるのですが、その際に、このいわゆる辺地債というものと、この辺地債がなくても一般起債で充当されるという仕組みに従来でもなっていたわけですね。ですから、いわゆる一般起債と辺地債とがそこでまじり込んでしまうのではないかという気がするわけです。その点はどういうふうになされるおつもりですか。
  114. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 おっしゃった通りで、ございます。それを運用の上におきましては、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、簡易水道と診療所につきましては、簡易水道の起債のワク、病院の起債のワクを使いたい、こう思っております。従いまして、使いました金額につきましては、基準財政需要額に元利償還額を特別に算入するという措置はいたしません。その他の地方負担分については全部この辺地債を使いたいと考えておりますので、元利償還額の五七%は基準財政需要額算入していくわけでございます。ただ診療所にいたしましても、簡易水道にいたしましても、百万円を割って参りますと、それらの地法債野の対象にはならないわけでございます。そういうものはこの辺地債の対象にいたしまして、やはり救っていく。百万円を割るような金額でありましても、こういう辺地をかかえておる市町村財政力はおおむね貧困でありましても、なかなか自力ではやれないだろうと思いますので、こちらの方の地方債で救って参りたいというような考え方を持っておるわけでございます。
  115. 安井吉典

    安井委員 たとえば五百万円の起債が必要であった場合に、八〇%だけ一般起債で充当してくれた、そうすると百万円残りますね。その分はどうしても地元で持ち出さなければならないけれども、それが足りないのでこの辺地債で充てる、一つの事業に一般債と辺地債と両方充てるというケースが出てきませんか。そういうものはお認めにならないおつもりですか。
  116. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 率直に申し上げまして、一般単独事業債はかなり窮屈でございます。同時に辺地も総合整備計画というものがあるわけでございますので、その裏づけとして国庫補助負担金もございましょうし、先ほど申し上げましたような簡易水道と診療所の別の地方債もございましょう。その他のものにさらに一般単独事業地方債をつけるということは、現在のところ考えていないわけでございます。総括的に辺地債をつけまして援助をしていきたいというような考え方でおるわけでございます。
  117. 安井吉典

    安井委員 時間がないものですから、先ほど保留いたしました問題、これは基本的な問題だと私は思うのですが、それについてお尋ねをしたいわけであります。現在すでに辺地に対する諸対策がいろいろあるわけです。私の一応理解する限りでも、たとえば離島振興法、それから奄美群島復興特別措置法も一種の辺地対策でしょうし、離島航路整備法もこれに当てはまると思います。さらに医療法、農山漁村電気導入促進法、へき地教育振興法、それから水道法のうち、簡易水道の部分もこれに当たると思います。そのほか後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律、こういうように既存の法律はずいぶんたくさんあり、これに基づく各省の諸対策が一応はあるわけであります。そこで先ほどの財政局長の御答弁の中に、今あるものが非常に総合性を欠いておるというふうな御発言があったわけでありますが、私はまことにその通りだと思います。厚生省で、農林省は農林省で、それぞれ勝手に事業費をつぎ込んでやっている。しかも、それがどれもこれも不十分で、あまり有効な働きができていない。こういうようなのが実情ではないかと思うわけです。そこでやはりこの総合性を持たせるという方向でありますか、この財政特別措置に関する法律案で、一年間に十億ずつ出すだけで、はたして総合性が保持されるのでしょうか。私は、こういうようなことだけでは、これらの総合性、計画性を実現するためには不足だという気がするわけです。その点どういうふうに御理解なさっておられましょうか。
  118. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 この案では、御承知のように、市町村総合整備計画を立ててもらうということにしているわけでございます。さらに道路の問題につきましても、府県道との関連を持ったりいたしますので、府県と協議をいたしまして、府県の援助措置もあわせて計画に加えてもらうということにいたしております。それが自治省に出て参りました場合には、それを関係各省に提示する。従いまして、関係各省では、できる限り総合整備計画の立ったところに補助金をつぎ込んでくれるというように、われわれとしては期待をいたしておるわけでございます。またそういう気持もございまして、第四条に、自治大臣は関係各省庁の長に対しまして協力を求めることができるとい規定を置いておるわけでございます。いずれ各省が交付する補助金のことでございますので、各省としてもこれを生かしたいという気持は多分に持っておるだろうと思うのであります。そういたしますと、総合整備計画まで立てて、それだけの熱意を示しておる市町村にその金をつぎ込んでいこうということになってくるのじゃないだろうか、こう思うわけでございます。同時に、単に総合整備計画という場合には、電力会社とかあるいはバス会社とかいうような問題もあり得るわけでありますので、それらのものに対しましても、関係各省庁を通じて協力を求めることができるという規定を第二項の方に置いておるわけでございます。そういう方法で従来のばらばらな運営を若干ともチェックできればしあわせだという気持を持っておるのでございます。
  119. 安井吉典

    安井委員 私は、今の御答弁では、十分に総合性が保てるというふうな説得力は持ってないというふうな気がするわけです。辺地のいろいろな立法をまとめた総合立法というふうなものをお作りになる、あるいはまたせめて新産業都市建設促進法ですか、私どもあの法律にはあまり賛成できないのでありますけれども、ああいったような形にまで総合計画樹立というものに国そのものが足を突っ込んでいく、市町村だけじゃなしに、都道府県も足を入れていく、こういうような仕組みができれば、私はまだ相当前進ができるのではないかというふうな気がするわけでございますが、今度のこの法律では、各省は各省で、自治省自治省で、各省が全部やってしまったその残りを自治省が補完的にやる、せいぜいそんなところで終わってしまうのではないか、こういうような気がするわけです。少なくも今統一立法ができないにいたしましても、各省を網羅した連絡協議会とでも言いますか、僻地対策全体に対するそういうようなものをお作りになるというお気持はありませんか。
  120. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 この計画を作っております過程におきまして、実は総合整備計画というものを国が承認をする、承認の前段階において各省との間で協議を持つということを考えたこともございました。ところが、予想に反しまして、厚生省あたりでは、自分の責任の範囲を侵されるというような誤解を持たれまして、非常に強い反対をされたわけでございます。そうなって参りますと、こちらの善意が逆な作用を持ってくるわけでございまして、私は安井さんのおっしゃる総合性をもっと強めろという御指摘、これはよくわかるわけでございますけれども、今の各省の組織の建前から言いますと、各省はなかなかよう踏み切らぬのじゃないかという心配を持つわけでございます。その辺の状況も考えあわせまして、総合性を持たせたいと考えたのが、今度の案でございます。自治省が独走する気持はございません。また各省におきましても、ばらばらで今まで通りやってもらうという気持はございません。やはり、自治省財政的なバック・アップをしながら、各省のそれぞれの施策をみんな総合的に生かしていくというふうな役割を自治省が果たしていくべきであろう、こう思っておるわけであります。そういうふうなことから、総合整備計画につきまして、あえて各省との間の協議でありますとか、あるいは国の承認でありますとか、そういうような表現を一切やめてしまったわけであります。市町村に責任を持って総合整備計画を作ってもらう。そうしてそれを関係各省に示しまして、関係各省にも協力を求める、自治省も調査やその他で協力をしていくというふうな姿にいたしまして、各省の権限を侵されるというような誤解を払拭する法案の建前にいたしたわけでございます。
  121. 安井吉典

    安井委員 そこで私は、結局、総合性をこれによって確保したいというお気持は大幅に後退してしまって、あまり実効を期せられないのではないか、そういうふうな気持がするわけです。  そこで、最後にお尋ねをいたしたいと思いますのは、各省がすでにいろいろ法律や行政措置をやっておられるわけでありますが、それらの内容につきまして、地元からいろいろなその不備に対する不満やあるいは要望がたくさんあるわけです。これは自治省もおそらく御存じだと思うわけでございますが、たとえばさっきは農村電化のお話がありますけれども、単価が非常に不足だ。特に、北海道なんかは九万円くらいじゃもうできないというふうな声が非常に高いわけであります。それらか補助率も、僻地、辺地というふうな地帯は負担力が少ないのだから、もっと補助率を上げてもらわなければ困る、こういうふうな要請も強いわけです。そしてまた、国の補助予算の総ワクも、陳情合戦で奪い合いになるほど少ないわけです。現地の実情には非常にそぐわないというふうな事情があります。起債の充当率も決して満足すべきものではないようです。こういうような問題が私はたくさんあると思うわけです。当面こういうふうな改善をはかっていくということ、そこにやはり目標が置かれなくてはならないのではないか。農村電化の問題についても、それはそれで、簡易水道については簡易水道で、そういうふうなそれぞれの対策について、今ある不備を改善していくという努力が当面力強くなされなくてはならないのではないか。そういうような面についてどういうふうにお考えですか。
  122. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 全く同感でございます。自治省がこういう辺地の総合整備計画にタッチしていく過程におきまして、さらにいろいろと新しい事実を把握していくだろうと思うのでございます。それらを通じまして関係各省に対しましても是正を求めていきたい、こういう気持を持っておるわけでございます。
  123. 安井吉典

    安井委員 そこで私は、ちょっと問題になってくると思いますのは、今度のこの自治省の法案によりまして補完的な措置がなされることになるわけでありますが、たとえば簡易水道につきましては、たしか昭和三十七年度の予算で、今まで百人以上でなければ対象にならなかったのが、百人から五十人までにレベルを下げて、十分の四補助、総額二千万円というような予算が一応ついているのですね。これは僻地の人たちにとっては恩恵だと思うわけです。ところが、自治省の今度の法案によりまして、もっと下の段階までつけようとか、あるいはまた百人以下の段階にまで、そういうようなものに今のあれはないから、あたたかい心でつけてやろう、こういうようなことになっていくということが逆にあだになって、各省が本来本筋として改善を進めていかなければならない仕事の方に大蔵省が予算をつけなくなるのではないか、この点、おそらく関係各省がみんなおそれておるのは私はその点じゃないかと思うわけです。もちろん、それは自治省のなわ張り荒らしだというふうなセクショナリズムは一応別問題といたしまして、現実の財政技術的な面からいって、あまり至れり尽くせりであることが、本筋である農林省や厚生省や文部省が、それぞれの対策を改善していくという面についてあだになりはしないか、この点はどうですか。
  124. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 今御指摘のような心配を持たれている省がないわけでもないと思います。自治省といたしましても、せっかく国庫補助制度のあるものを、その国庫補助金を受けないで、こちらの方の起債で救っていくというような考え方も持っていないわけでございます。従いまして、簡易水道でありますとか、あるいは診療所でありますとか、そういうような国庫補助制度が確定いたしておるものについては、国庫補助金のついたものから取り上げていきたい、こう考えておるわけであります。そうなって参りますと、国庫補助金が少ないために、なかなか総合整備計画が取り上げられないというようなことになってくる時期も出てくるだろうと思います。そういう場合には、簡易水道なり診療所なりの国庫補助金をもつと増額すべきであるというような議論になってくると思うのでありまして、両々相補いながら、問題は辺地の整備でございますので、それが達成できるようにしていきたい、こういう考えで現在のところおるわけでございます。
  125. 安井吉典

    安井委員 大蔵省という役所は、できるだけ金を出したくないわけですね。その際において、私どもは、農村電化の問題を一つ取り上げましても、その単価の引き上げをしろ、あるいはその予算の総ワクを上げろ、補助率を上げろ、そういう問題を本筋に追いかけていかなければいけないと思うわけです。ところが、一方において、そういうような単価の足りないものは自治省の方で出してやるとか、そういうような手でどんどんやれば、今度は大蔵省に対する農林省の説得力というものは全然弱くなってきやしないか、こういうような気がするわけです。これは財政技術的な言い方ですから当たっているか当たっていないかわかりませんが、私はそういうような気がするわけです。とりわけ今度の措置は五七%を地方交付税の中に入れていこうという考え方ですが、地方交付税は、別にこの法律ができたことによって総ワクを増すというお見込みはおそらくないのでしょう。先ほどの社会党のせっかく三〇%に上げろという提案を自民党は否決されてしまったわけでありますが、とにかく総ワクをふやそうというお気持はない。そこにもってきて、辺地対策の一部を、地方自治体がすでにもらっている財布の中から、そちらにたださいてやるだけなんで、これは新たにくる金じゃないわけですね。だから大蔵省としては、これは大へんありがたい法案であって、地方公共団体の立場からすれば、一部の頭を削って回したにすぎないではないか、こういうことになるおそれがあります。その点が、この法案についての一番問題点になるのではないかと思うわけであります。そういう意味から、あくまでこの法案による対策は補完的なものにとどめるべきだ。本来各省がやっているものの中にまで入り込むというふうになりますと、大蔵省の方は喜んでしまって、そちらの方を伸ばす気持がなくなってしまうのではないか。だから純粋な補完的な方向にお使いになるように進めるべきだ、こういうような気がするわけです。とにかく最近において、高校生急増対策もそうですが、あれも地方交付税で見る、何もかも、地方交付税をごみためみたいにしてあさっているというのが今の政府のやり方ですから、その中へ自治省自体がこういうものまでほうり込んでしまって、もう言いわけの材料がなくなってしまうようなことになりはしないか、その点が非常に大切な点だと思います。これも自治省の気になっての私の質問でありますけれども、その点どうでしょう。
  126. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 御心配いただいている点、私もよくわかるわけでございます。一つは、大蔵省がつけるべき補助金を減らしていくのじゃないかという御心配、この点につきましては、大蔵省との間におきましても、国庫補助制度のあるものについては、国庫補助のついたものについて取り上げていくという話し合いをいたしておるわけでございます。従いまして、補助制度のあるものにつきまして、もしそれらの補助金が少な過ぎるという場合には、その補助金の増額の問題が解決されない限りは、こちらだけでは解決にならないという話し合いになっているわけでございます。  なお、こういう性格のものをどんどん基準財政需要額算入していくという方向についての心配がございました。私は、こういう辺地をかかえている市町村につきましては、やはり基準財政需要額に相当のものをプラスして見込んでいくべきではないだろうかと思うのであります。見込んでいくとすれば、どういう見込み方があるか。そうなって参りますと、やはり地方債を認めて、その元利償還額の一定部分基準財政需要額算入していくというような方法しかないのではないか、こう思うのであります。あたかも災害が起こりました場合に、その災害復旧事業費基準財政需要額に見込むべきではないかというお気持は持たれると思います。見込み方がないわけでありまして、現実に災害が起こりました場合に、復旧事業費地方債の元利償還額を基準財政需要額算入するという方向をとっておるわけでございます。これを災害と同一視しているわけではございませんが、辺地をかかえている市町村につきましては、辺地対策としての何か財政需要額をプラスして見込むべきだ、見込み方としては、地方債の元利償還額を基準財政需要額算入する、そういう方向しかないのじゃないだろうか、こういうことで踏み切ったわけであります。安井さんが御心配になりましたようなことを、私たちも内部でずいぶん議論をしたわけでございまして、また、そういうおそれを抱きながらもあえて今申し上げましたような考え方から踏み切ったわけであります。  高等学校急増対策につきましては、私は国庫補助金というものは穏当でないという気がしておるわけであります。今日でもなおそう思っておるわけでございます。本来府県の事務に属する性格のものでございますので、府県の事務に属するものをあとう限り基準財政需要額算入していって、財源の足りないものを補っていくものだと思うのであります。補助金で解決すべきものではなしに財源で解決すべき問題だ、こう思っておるのであります。その場合に、今の自然増収だけでいいのか、あるいは社会党が御提案になりましたように交付税率を上げてまで持っていかなければ足りないものか、それには議論があろうかと思うのでございますけれども、やはり一般財源充実という形において高校生急増対策経費は解決すべきであるという考え方を強く持っておるものでございます。
  127. 安井吉典

    安井委員 時間がありませんので、これでやめます。
  128. 園田直

  129. 門司亮

    ○門司委員 簡単に条文だけについて質問しますから、率直に答えて下さい。  一番最初に聞いておきたいことは、この法律に「辺地」という言葉をどうして使ったかということです。御承知のように、学校教育法の関係法律にへき地教育振興法という法律がございます。これは「へき地」という文字を使っている。それから地方自治法の別表の三の、都道府県教育委員会が管理し、及び執行すべき事務というものの中にも、(六の五)の中には、やはり「へき地」という文字を使っておる。同じ自治省が出す法律の中で、現在自治法の中にある用語をどうして使わなかったか。僻地としたって辺地としたって、意味は同じだと思うのです。片方の足であって、どっちの足であるか、辺も僻も大して変わらぬと思う。そうすると、字句を一つにしておいた方がいい。すでに自治法にそう書いてあるのだから、その字句をどうして使わなかったのか。特別に何かこれに意味がありますか。そして辺地と今使わなければならなかった意味があるとすれば、この法案の基本的なものの考え方に立ってこれから議論しなければならぬ。一体どうなんです。
  130. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 この法案を各方面と相談していきます過程におきまして、当初僻地と書いておったのであります。ところが、僻地ではいかにも極限された地点の感じを持つ、もう少し広い範囲にわたって公共的施設の整備をするようなニュアンスを出してもらいたいという意味から、辺地という方が若干広い感じを持つのじゃないかという御意見がございまして、僻地をさらに辺地と改めてこの法案を進めていったという経過がございます。
  131. 門司亮

    ○門司委員 どうもそれだけでは十分でない。法律用語はできるだけまとめてもらいたいと思うのです。この法律はこう言うんだ、この法律ではこう言うんだ、しかしやっていることはみな同じことだ。その点は、私は今ここでぜひ変えろというわけじゃありませんが、そういう薄弱なことで法律用語を勝手に変えていくことは考えてもらいたいと思う。特に自治法の別表の中に書いてあるのです。これを用語を同じようにして、そうして考え方一つにしてもらいたいということ。それからもう一つこの際聞いておきたいと思いますことは、三条の中にありますもので、この法律の基本をなすものは市町村に主体を置いております。ところが二条の事業関係とずっとあわせて見て参りますと、やはりこの種の仕事は都道府県が主体となってやるべき事業の方が多いのじゃないですか、またそういうことが考えられる。僻地を持っている、電灯もつかない、簡易水道もできない、子供の通学も非常に困難であるという土地において行なうべき仕事というように解して、市町村の今日の貧弱な財政では、こんなものを幾らやらしたってやっていけないのです。借金がふえるだけじゃないですか。しかも、その借金も五七%しか基準財政需要額で見ないとおっしゃるのです。ここなどを、これに要した費用の償還については元利とも国がめんどうを見るということにして、町村に負担をかけないというならば、私はまだいいと思う。しかし、ただ単に基準財政需要額の中だけで五七%を見ていこうということで、約半分というものを地方負担にかけているのです。一体市町村がこういうことができるかどうかということです。この種の施設は利益のあがる施設というのはございません。一つ地域に電灯がついたからといって、そこに産業がふえて、そこから利潤が上がってくるわけではない。簡易水道ができたからといって、そこに人口が急にふえて住民税が上がってくるわけでもなければ、そのことのために土地が値上がりをして固定資産税がふえるわけでもなかろうと私は考える。そう考えて参りますと、地方の自治体では何らの収益はない。ただ住民の文化の水準を向上するということで財政をつぎ込んでいる。その財政については地方の自治体でとにかく半分を見よ、あるいはこれを五七%基準財政需要額に見込みましても、これがはたして全額負担であるところの、それだけのものが全部負担されておるかどうかということについても疑問がある。私は、起債は起債として、その償還については元利を国が見るという建前をこの際とるべきではなかったか、こういうふうに考えるのですが、その点はどうです。
  132. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 第二条の二項に列記いたしております施設は、大体において市町村が維持管理をしていく施設だ、こう考えておるわけでございます。もちろん府県も協力して行なわなければならないものもあろうかと思いますので、第三条の三項の協力規定を設けたわけでございます。なお、それらの地域は、これらの施設が設けられても償還能力が出てくるわけじゃないじゃないかという御指摘がございました。そういう点もあろうかと思うのでございますが、他面、他にそういう施設がないために相当大きな負担を背負っている、こういう施設ができれば、かえって負担が軽減になるというものもないわけじゃないと思うのでございまして、特に電灯などの場合にはそういうことが言えるのじゃなかろうか、こう思っております。できる限り今、門司さんが御心配になりましたような点の起こらないような考え方でこの制度を運用したいというつもりでおるわけでございます。
  133. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますことは、この電灯の事業、第二条第二項の列挙事項の中に、一体、これの親になる、たとえば公益事業に関するものは公益事業令といっておりますが、これの一条及び二条との関係、それからもう一つの問題は、電気に関する臨時措置に関する法律との関連、あるいは電源関発促進法というものとの関連性というようなものは、これは幾つかあろうかと思うのです。それからもう一つの問題は、こういう電気事業に対する関係を一応すっと洗ってみて、そしてそれはそれとして、小さい自家発電ならどこでもやれるのだという解釈から一応いっておるのかもしれない。その事業の助成をするのだということがあるかもしれない。しかし、一方にはこれらの法律に関連したいわゆる公益事業団体、いわゆる電気会社なら電気会社の配電だけで電気がいわゆる柱を立てて線を引っぱれば電気がつくのだ、しかもそういう場合には、おそらく財産の帰属は電灯会社の帰属になると思います。しかし、電灯会社は営利事業の関係でそれをやってくれない、これを市町村負担をするかどうかということが、やはりそこでは問題になってくる。そういう場合でも、僻地の問題をよく考えてみるとわかるのでありますが、たとえば一つの町村だけでそれらの問題が解決がつくとは考えられないものがありはしないかと考える。他町村から引っぱった方が距離は近いというような場合ができてきはしないか、そういうような場合の負担を一体どこでするかということが出てくる。そういう場合についても、県がこの種の事業というものを行うことの方が便宜的ではないか。具体的に言うならば、渡海君は一番よく知っておると思うのだが、兵庫県に行ってごらんなさい。坂本君はかなりこの事業に力を入れてやっております。知事として、よけいなことだが、知事として一番関心の深いのは無灯火の、電気のないところにまず電気をつける。そこにお祝いにラジオを持っていってあげるということが、地方住民が一番喜ぶ。それがたとい三戸であろうと五戸であろうと、住民の喜びというものは非常に大きい。いわゆる文化の光に接するという地方住民の喜びというものは非常に大きいのだということは、私は坂本君からじかに聞いた。そうすれば、こういう事業というものは、やはり県でこれらの仕事を主体として行なうという建前の方がよろしいのではないか。そして幾らかの負担金市町村が行なうということが正しいのではないか。電灯の維持、管理にしても、むろん電気会社が行なうのであって、必ずしも市町村が維持管理を行なうわけではない。さらに道路の問題についてもそうです。ここに書いてありますように、通学用のバスを通すようなところ、スクール・バスを通すようなところには、あるいは渡船等についても、河川の管理についてもだれがやるか、大体河川の管理というものは都道府県がやっておる。国行河川でない限りにおいては都道府県がやっておる。あるいは国行河川についても、河川の利用その他についての権利は主として都道府県が持っておる。道路にしても、少なくともバスを通わせようとする道路をつけるとすれば、とうてい市町村であっては手が届かない。いやが応でも県道というところまで持っていかなければほんとうの仕事にはならない。犬が通っても県道というならそれでもよろしい。犬が通るくらいな県道なら、それはスクール・バスは通わない。こういうことをずっと考えていくと、この種の事業というものは県が主体になって事業を行なう、その維持管理あるいはそれらについての応分の負担というものは、市町村がするということが必要である。従って、計画を立てる場合にも、この三条二項にいろいろ書いてあるのでありますが、県も多少負担するという計画をつけて出せということが三条三項のしまいの方に書いてありますけれども、三条三項のしまいのこだれけでは不十分じゃないか。もう少し県が積極性を持つべきじゃないか、そうしたことの方が、この種の事業がスムーズにいくのじゃないか。たとえば道路を大きくしてもらいたい、拡幅をしてもらいたいという要望を市町村が出しても、県がこれに応ずる意思がなければ、私はなかなかうまくいかないと思う。むしろ、これは県に主体性を持ってやらせた方がよろしいというように考えられます。その他の問題等についても、やはり市町村だけの処置ではなかなか困難ではないかというふうに考えて参りますと、さっき申し上げましたように、やはりこれは都道府県を主体とした方がよろしいのではないか、私はこう考えるわけであります。その点については、むしろさっき申し上げました起債を全額償還年次について国が負担をするという建前はとれないか、いわゆる単に補助金として出すのでなくして、一応は借金の形をとるが、しかし、年次的の償還については国がめんどうを見てやるという形はとれないが、そうしなければせっかくこの法律をこしらえても実施はなかなか困難ではないかと思いますが、こういう点に対する御答弁を願いたいと思います。
  134. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 門司さんの大へん積極的なお気持よくわかるのでありますが、この法案の建前は、公共的施設の整備を義務づけるという気持はございませんで、公共的施設をみずから進んで整備しよう、それに乗っかって国が援助を与えていこうという建前をとっておるわけでございます。そういたしますと、第二条に列挙いたしましたような施設は、現在の段階においてはおおむね市町村が維持管理しているものでございますので、市町村にそういう計画を立ててもらう、こういう考え方に立っているわけでございます。  なお、基準財政需要額算入いたしますにつきましても、五七%にとどめておりますのは、市町村自身に財政負担をある程度感じてもらう、そうして責任のある計画を立ててもらう、こういう気持もあってのことでございます。もとより辺地性の強いところにつきまして、五七%では十分じゃないんじゃないかという団体も出てくるのではなかろうか、こういう想像もいたしておるわけでございまして、そういう場合には、さらに別途特別交付税制度の運用等において心配をしていかなければならないところもあり得るだろう、こういう考え方でおるわけでありまして、一律一〇〇%ということは、今申し上げましたような意味から避けたい、かように存じております。
  135. 門司亮

    ○門司委員 これであともう総合的なことは聞きませんから。今の御答弁では、自治体から申し出てくればやってやろうというものの考え方、その場合に財政負担もそちらでしなさいというような考え方、これでは私はほんとうにこの法律は生きないと思う。一応の理論としては、地方自治体が、いわゆる今日の住民自治の建前からいけば、自治体自身、市町村自身がこういう発議をして、そうして住民の文化水準を高めていくということは私は理論的には一つの根拠があると思う。しかし、総体的に見れば、国がこういう法律をこしらえるからには、少なくとももう少し積極性を持つべきではないか、こういう法律をこしらえなくても、現在でも地方の自治体が積極的にやろうとすればやれる仕事なんです。決してやれない仕事ではない。簡易水道にしても、自治体がやろうとすればやれる仕事である。電灯をつけるにしても、やろうと思えばやれる仕事である。現在の都道府県の中には、あるいは市町村の中には、積極的に無灯火の、電気のついてないところを解消することのために努力をしているところがたくさんあるのであります。先ほどもちょっと兵庫県の例をあげましたけれども、兵庫県だけではない、市町村のどこにでもあるのです。だから、そういうことで市町村の積極性がなければ国は援助をしないのだという建前よりも、むしろこの際は、国がそういうところは全部なくすのだというはっきりした建前に立つべきではないか。そうしてそれに対して市町村に応分の負担金を出させるということは、あるいは可能かもしれない。しかし市町村が、さっきもお話がありましたように、維持管理はあとでどうしても必要になって参ります。維持管理費も負担をしなければならない。それらの関係もあって、設備費その他等については、やはり国なり県なりがこれを見るという積極性が私はこの種の法律をこしらえるからには望ましいのである。ただこんな法律を作って、そして法律だけはできたが一向効果は上がらない、実効が上がらないということであってはならないと思う。今日の社会では、世の中では、とてつもない山の奥に一軒家があって、そこに電灯をつけなければならないということは、私はどうかと思うのですが、普通の村落のあるところで電灯がないとか、あるいは雨が降れば子供が学校に通えないとか、川に少し水が出れば学校に通えないというような不都合なところをなくするということは、国の教育の一つの方針であり責任であると考えております。あるいは文化の問題にしても国の責任だと考えております。これを地方の責任に転稼することは私は誤りだと思います。国が積極政策を持つべきだと思います。だから、今までの質問を申し上げたのでありますが、従って最後に聞いておきたいと思いますことは、これらは政令へたくさん譲っておりますが、政令の範囲と、もう一つは、もし市町村から県を経由してこういう許可、認可の申請が出てきた場合に、自治省は一この法律には許可しなくてもよろしいとも書いてなければ、しなければならないとも書いてないのですが、その点はどうなんですか。必ず許可をするという方針であるのかどうか、その点を一つはっきりしておいてもらいたい。
  136. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 この法案が積極性が十分でないという点につきましては、私たちとしては、あとう限り自治体の自発的な熱意はこたえて国が援助する、そういう行き方の方がよろしいのじゃないかという気持を基本的には持っているわけでございます。しかし、この程度の援助では十分でないとして、必ずしも国が期待するような総合整備計画を立てないというような場合もないわけじゃないかもしれませんが、そういうようないろいろな事情にも備えまして、第七条に自治大臣の助言の規定を置いているわけでございます。しかし、この法案を実施の結果、さらに門司さんの御指摘のように前進させなければならないかどうかということは十分検討してみたい、かように考えているわけでございます。  なお、政令に委任しておりますのは、市町村からの書類は府県知事を経由させたいというようなことを考えているわけでございますし、辺地の基準なども政令で規定をいたしたいというふうなことを考えておりますので、政令の委任の根拠を規定いたしたわけでございます。  なお、総合整備計画につきましては、先ほど申し上げましたような事情もございまして、あえて承認というようなことにはいたさなかったわけでございます。地方債を許可いたします際も、当然どの範囲までを取り上げるかということがきまってくるのではなかろうか、こういう感じを持っているわけでございます。また、そういうようなことも考えまして、総合整備計画の立案にあたっては府県をして調査させていきたい、従って内面指導をする結果は、総合整備計画として作ったものは、そのままそっくり国においても取り上げていくというような方向に持っていきたいものだというふうな考え方をいたしておるわけでございます。
  137. 門司亮

    ○門司委員 今の答弁では不十分なんですがね。七条の関係もありますし、それから前の五条ですか、の関連性もありますが、私が聞いておりますのは、この七条の下の方に別なことが書いてあります。いわゆる調査を都道府県知事に委任することができるというのが第二項に書いてある。問題はここにあるのです。だから積極性が政府に非常に足りないのと、この法律がほんとうに動いていくかどうかということに問題がひそんでおりはしないか、だから政令等について一つはっきりしてもらいたいということは、せっかく市町村が計画を立てて都道府県知事が副中をつけて出す、ところがそれについては自治省が調査をする権限が七条に書いてある、そうしてそれが適当でなかった場合はこれを直させるということになろうかと私は思う。助言という言葉をここに使っておりまするのはそういう意味じゃないかと考えられる。七条の中の助言と調査という二つの問題がここではからんでおる。そこで調査をして、悪いものは助言をして直させるという意味に解釈すれば、この七条は生きると私は思う。しかし、一方においては、自治省の思うようにしなければ認可をしないのだという解釈も出てくると、やはり官僚統制に陥らざるを得ない。自治体の気持と相反するものになりはしないかということが考えられる。この辺に非常にむずかしいものがあるのであります。それでさっき私が聞きましたのは、都道府県を経由して自治省にその計画書を出せば、そのてと自体については、自治省は必ず認可するのか、あるいは認可を拒否できるのか、一体どうなのか。調査をしてまずかったということになれば、拒否することができるかどうかということです。つまり自治省の権限を聞いているのです。
  138. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 総合整備計画につきましては、承認するとか修正させるとかということは全然考えていないわけであります。要するに、総合整備計画の中に盛られました地方債その他につきましては、地方債資金を許可する、こういう権限でございます。この法律には、地方債の許可の権限はあえて書いておりませんけれども、自治省の持っております権限は、地方債許可の権限でございます。しかしながら、総合整備計画を立てましても、そのうちの一部分しか地方債資金の許可が与えられないということでは、総合整備計画が死んでしまうわけでありますので、できるだけ自治省が全体について地方債を許可できるような総合整備計画を作ってもらいたいという希望は持っておるわけでございます。
  139. 門司亮

    ○門司委員 ちょっとわからぬのですが、拒否権を持っているか持っていないかということです。
  140. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 実は法案には拒否権とか承認権ということはございません。
  141. 門司亮

    ○門司委員 どうもその辺をはっきりしておかないと、この種の法律はまずいのですよ。自治省がよけいなことを言って、せっかく市町村がこうやりたいと考えても、なかなか認可をしてくれないということなんです。そうして反面にはどうかというと、五七%しか、交付税で見るとしても、これは見ないということなんです。しかも交付税というのは、何も補助金や起債とは違いまして、その地方の自治体だけに特有のものでないということであって、ここにそれだけ見れば全体的の交付税は減るという、こういう計算ができるのであります。ここにたくさんの交付税をめんどうを見れば、他の市町村交付税はそれだけ減るわけです。これは総合的のどんぶり勘定みたいな勘定でいたしておりますから、それで逃げられては財政の問題も困るということです。だから、もし自治省が監督する権限を持ち、拒否する権限を持っているというならば、起債の全額をやはり年次償還については国が補助金でめんどうを見るという建前を、事業につきましての補助金という形はとらないが、その起債の償還については国がめんどうを見るという建前をこの際とるべきではないか。そうするならば、ある程度自治省の権限というものが認められるかもしれません。しかし、財源的にちっとも援助はしない、ただ形式的に五七%だけ財政需要の中に見てやるというようなことで置いておいて、そうして国の方で許可するしないかのことはわからないというような答弁では、これはどうにもなまりせん。必ずこれは国が見るのだということをこの際お答えしていただきたい。そうしなければ財政援助といっても何も財源がないのです。借金でみんなやるのですから……。どうせ地方の自治団体に与えられておる交付税の中から、これをここによけいに出すということですが、ここに出せば一般交付税は減るということです。だから、財政負担とからんでその点はもう一度はっきりしておいてもらいたい。
  142. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 総合整備計画につきましては、拒否権とか承認権ということは規定をいたしておりませんし、従いまして、またそういう権限を自治省は持っているものとは考えておりません。地方債は計画上十億円、こう予定をいたしておりますので、それをこえるような総合整備計画がありましても、無条件に自治省地方債の許可を行なうということはできないことは事実でございます。  なお基準財政需要額に五七%算入いたしますし、全額政府資金をもって地方債資金に充当したい、こう考えておるわけであります。われわれはこれは相当な財政援助だ、こう心得ておるわけであります。この点は若干両者の間に食い違いがあるように考えております。
  143. 門司亮

    ○門司委員 それではこう解釈してよろしいのですか。自治省の認める範囲というのは、いわゆる起債の十億のワクの範囲だ、そう考えてよろしいのですね。それ以外の申請があってもそれは認めるわけにはいかない、こういうことですか、もう一度……。
  144. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 単年度としては、そういうことでございます。
  145. 園田直

    園田委員長 ほかに御質疑はありませんか。——なければ本案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十九分散会