○野口
委員 今の起債の十億の中で行なわれるものは、やはり辺地をなくそうとする、そういう立場で今後にも継続される計画であるというようなお話を聞きました。ただ問題は、こういう制限のついた一つの起債ということになりますと、私など
考えると、また陳情政治になっていくわけです。そのことが自分の方にこなければというようなことで、これは新産業
都市法などでもだいぶそういう傾向が強まっているのです。何か出ると、陳情をして自分の方に一つというようなことになってくるわけですけれ
ども、それはそうくる方の立場もありますが、やはりさせる方の立場も
考えていただかなくちゃならぬと思うわけです。やはりある一定の年次計画を、全国的に
調査をした結果、それを年ごとに計画的に解消していく、だから安心して待っていたらどうだというような姿での政治がほんとうの政治ではないかと僕は思うのです。何か早く陳情をした方が早くやってくれるというような印象を与えますと、奥野さんのところにもだいぶにぎやかに人が参るようになるのじゃないかと思うのですが、こういうことのないように、私
どもとしては、総対的な全体の辺地に対する認識を作った上で、この上に立ってのやはり計画的な辺地をなくすという、とにかく憲法二十五条の精神に従ったものとして、一つ御計画をやるようにお願いしなければならぬと思うのですが、それを一つお願いしておいて、なお私は、現在の経済成長下におけるいろいろな地域開発、あるいは格差の解消というような全体に出ている空気の中で、この法案の占めておる位置は一体どの辺のところにあるだろうかということを
考えているのでありますが、一番中心に、
都市建設として、工業
都市としても作られていくという自然的な立地条件に恵まれた、捨てておいてもそうなっていくであろうというような土地を中心としての
法律案が新産業
都市建設
促進法案だろうと思うのです。それは所得倍増計画の中で、明らかに
都市形成についての国の施策の中で約束されたものとして、それが後進地域の中におけるものとしてもおのずから救われていくという立場があろうと思うのです。そういう一つの方向と、それにはちょっといかない、ここには誘致はできるが、誘致しなければならないというような
努力を含めたものとして、低開発地域の工業開発
促進法案というのがあると思うわけです。ここは若干の
努力を要しますから、いろんな国の資金に対するめんどう、あるいは税における
特別措置等も
考えて、この土地は一つりっぱにしていってやろう。基幹
都市、捨てておいても発展していく町、その次のところは、
努力をして格差の解消をはかっていこうということが現われておるわけです。この二つに入ることのできない、いわゆるこの辺地に対する所得格差の解消、地域格差の解消というようなことの命題を含んだ
法律案として、本法案が非常に意味が深いのではないかと私は
考えるわけです。所得倍増計画によりますと、十カ年間に公共事業に対しては十七兆と言われ、
都市建設には三十六兆もの金が使われるということが言われておるわけですけれ
ども、前段のこの二法によって作られていく
都市の形成にあわせて、この辺地という地域に対する地域間の格差の解消、こういう大きな問題を
考えた場合に、私は、どうしても、この
法律案が今言われたような姿の中で何とかめんどうを見てやって、三十何兆ものお金が使われている中で、起債の十億を認めたというあり方が、この日本の経済成長の中におけるところの所得格差の解消という問題とどうも離れておって、やはり間に合わせ的に、利潤のあまりないところは一応やっておこう
程度であって、よく大臣が演説をなさる、特に後進地域の開発には積極的に推進をして、全国ほんとうに公平な生活水準を保つようにするのだというようなことを、あちらこちらで大臣が演説しておるわけですけれ
ども、そういう至るところという言葉の中で、この辺地に対する問題がこの
法律案ただ一つであるという点に立っては、この
法律案が内包している
財政的な問題というものはあまりにも僅少だ、全体の視野の中でそう言わざるを得ないのですけれ
ども、これはいかがでございますか。