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1962-03-16 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十六日(金曜日)     午前十時三十五分開議 出席委員    委員長 園田  直君    理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 野口 忠夫君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       小澤 太郎君    亀岡 高夫君       久保田円次君    田川 誠一君       津島 文治君    永田 亮一君       前田 義雄君    山崎  巖君       安宅 常彦君    湯山  勇君       松井  誠君    山口 鶴男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     宮地 直邦君         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局財務課長)  岩間英太郎君         文部事務官         (初等中等教育         局地方課長)  今村 武俊君         文部事務官         (管理局教育施         設部助成課長) 井内慶次郎君         厚 生 技 官         (環境衛生局環         境整備課長)  金光 克巳君         厚生事務官         (保険局国民健         康保険課長)  首尾木 一君         厚生事務官         (年金局庶務課         長)      坂元貞一郎君         厚生事務官         (年金局福祉年         金課長)    鈴木 正信君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    尚   明君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君         自治事務官         (財政局財政再         建課長)    岡田 純夫君     ————————————— 三月十六日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として湯  山勇君が議長指名委員に選任された。 同日  委員湯山勇辞任につき、その補欠として和田  博雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第九七号)  辺地に係る公共的施設総合整備のための財政  上の特別措置等に関する法律案内閣提出第一  二三号)  警察に関する件  小委員長からの報告聴取     ────◇─────
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  警察に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。湯山勇君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 先般の臨時国会におきまして、古川シンヨから警察寮古川寮の問題について請願がございました。その請願につきましては、当委員会において願意を妥当なものとお認めいただいて、本院の会議に付して政府の方へ送付されております。  その内容は、昭和十五年の八月二十日の日に請願者である古川シンヨの三男が水難死をいたしまして、そのときに警察から非常に丁重な世話を受けた、そのことに感激をいたしまして、三十一年の三月に、警察官の宿舎として古川寮を建設して、これを寄付したわけでございます。当時工費その他を含めて約三百十八万円の費用をかけております。これに対しまして、三十一年の十二月五日に当時の総理大臣鳩山一郎氏から紺綬褒章を授章され、なお御紋章入りの木杯を受けております。  ところが、その後におきまして、この寮の運営をめぐっていろいろ問題がございまして、ついに三十二年の九月には暴行傷害事件も起こしております。その後、古川寮財団法人は、三十三年の七月二十二日に理事会において財団法人解散決議をいたしまして、三十三年の八月二十一日に法人解散をいたしました。ただその中で、財団法人でありますから、当然清算が必要でございますが、その清算の条件は、古川寮古川シンヨ贈与するということが内容になっております。ところが、当人はその贈与受けないという態度をとっておりましたにもかかわらず、三十四年の一月三十一日に清算結了の決定をして、同年の二月の十二日に清算結了登記をしております。  そこで、この問題を三十四年の七月四日に本院の法務委員会で取り上げられまして、その法務委員会におきまして、井伊誠一委員がこれについて警察庁長官にいろいろ質問をしたわけでございますが、これに対して警察庁長官は、調査の上で解決努力する旨の答弁がなされております。  ところが、三十四年の七月四日に調査の上解決努力する旨の答弁がなされたにもかかわらず、今日に至るまでほとんどそのまま放置されておりますし、その間いろいろそれに派生した問題も起こっておりまして、問題が今のような経緯をもっております関係上、総理府でも大へんこのことについては必配をしておりますし、宮内庁でもこのことの解決の問題については非常に心配をしております。ずいぶん長く、三十四年から今日まで放置された問題を、当委員会請願採択をしていただいたそのいきさつもありまして、その願意は、当初の状態古川寮を戻してもらいたいということでございましたが、これについて一体警察庁当局は今日までどのように請願趣旨を体して努力をしてこられたか、現状はどうなっておるか、これについてまず官房長からお答えをいただきたいと思います。
  4. 宮地直邦

    宮地(直)政府委員 先国会におきまして採択されました請願につきましては、昨年末警察庁の方に送付になりました内容を、相当長文のものでございましたが、よく検討いたし、先ほど湯山委員より申されました通りに、長官も円満なる解決努力をいたしたいということでありますので、請願趣旨をそのまま現地本部長に送付いたし、またわれわれも助言を行なったのでございます。その結果、現地警察におきまして、財団法人古川寮建設後援会清算結了抹消登記申請、さらに財団法人解散抹消登記申請、さらに財団法人清算人選任抹消登記申請、いずれもいたしまして、本年の三月付でいずれもこれが承認になりましたのでこの請願趣旨は、さしあたり財団法人古川寮解散前に戻してくれという御趣旨かと存じますので、その御趣旨通り実施いたした次第でございます。
  5. 湯山勇

    湯山委員 請願趣旨は当初の状態に返すということでございますから、かりに登記が今のような状態抹消されたといたしましても、それでは当初の状態に返ったということにはならないと思います。そのことについてはなおあとでお尋ねすることにいたしまして、さしあたって今の登記抹消についてでございますけれども、実際はこの財団法人財産処分ができないで、つまり決議通り古川シンヨ贈与するという形で財産清算ができないで、清算登記完了するということは、大へんこれは常識的には考えられないことであったと思います。そしてさらにそのことは、今回、今御答弁になったように、抹消登記ができたということの間には、大へん了解しがたい点がありますので、その辺の経緯についてはもう少し詳細に御説明を願いたいと思います。
  6. 宮地直邦

    宮地(直)政府委員 第一点の御質問でございますが、請願の御趣旨が、さしあたって古川寮が設立当初の状態に復するようにお願いいたしますということでございますので、その第一の問題といたしまして、登記抹消申請をいたしたのでございまして、御意見通りに、これは法律手続第一歩でございまして、これをもって直ちに実質的にもとの通りになっているとは私ども存じません。長年感情的にいろいろそごがあったものでございますから、早急に解決は困難とは存じますけれども、われわれといたしましては、実質的に昔の古川氏の御意図に沿ったような状態になることを心から希望し、また現地本部長もさように了解いたしているのでございます。  第二点の御質問でございますが、法人解散せられて、それがいかなる理由によって取り消されたかということでございます。まず第一に、古川寮建設後援会理事長といたしまして本部長がなっておるのでございます。それを今湯山委員が申されましたように、いろいろの事情によりまして解散いたし、その解散に際しまして、その寮の帰属をどこにするかという問題があったわけでございます。しかしながら、最初寄付者である古川氏に御返還することが最も適当であろうと判断いたしまして、その帰属古川氏の方に返すということでいたしたのでございますが、古川氏がこれをお受けにならない。こういう形になりまして、御指摘の通りに、この財産というものが、法人解散したけれども最初寄付者である古川氏がお受けにならないということで、宙に浮いた形になったわけであります。従いまして、今回清算登記抹消復活登記をいたしました理由といたしまして、清算人から、残余財産があったにもかかわらず清算をいたした、従って瑕疵ある登記という趣旨におきまして、それぞれの登記抹消をいたした次第でございます。
  7. 湯山勇

    湯山委員 さきになされた登記が瑕疵のある登記であったということが認められて取り消しになったということであれば、それはそれといたしまして、財産本人に返還した場合、その贈与受けたということに伴う税金が非常にたくさんかかってくる。結局、そういうことになれば、その古川寮本人が返還を受けたために、税金その他で維持ができなくなって手放さなければならない。実質的には、古川シンヨ贈与するということは、結局古川シンヨのものでなくするということになるのではないか、こういう懸念が一つありますのと、第二の懸念は、帰属が明らかにならないまで清算完了ということにすれば、そのものはたとえば町有とかそういうことになってしまって、結局は清算趣旨と違って、いずれにしても古川シンヨのものでなくなってしまう。つまり当人からこれを取り上げてしまうというようなことになるのではないか、こういうことを当時のいきさつの中からずいぶん懸念されてきたわけですけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
  8. 宮地直邦

    宮地(直)政府委員 現地警察といたしましては、本来寄付者古川氏でありましたし、その法人解散いたしました場合には、古川氏に実質的にお返しするということが最も適当なものと判断したようでございます。今御質問の第一点の、古川氏にお返しした場合には、これが不動産取得税等関係におきまして、古川氏においてそれらの税金の負担があることは法律上想像できるわけであります。しかしながら、警察におきましては、他意があって古川氏にお返しを申すということではなくて、本来の寄付者である者にお返しいたしたいという趣旨でありました。また、古川氏以外の者にこれを返して、古川氏以外の財産にするというような意図は毛頭ございません。
  9. 湯山勇

    湯山委員 御意図がそうでなくても、実質的にそうなる可能性があるというようなことは、これはやはり警察当局のお考えは若干配慮が足りなかったのではないかという面が一つありますのと、それから警察に対して好意を持って寮を提供したその善意がそういう形で返ってくるというようなことについては、これは警察以外との関係ならばまた別の考えようもありますけれども、何と申しましても地方では非常な権力を持った機関である警察、その警察善意でこういうふうな行為をしたものが、逆にその間においては、そのことに伴う傷害受ける、あるいはその施設がこわされる、あるいは寮に作っておった記念碑警察によってどこかへ運び去られて捨てられるというようなことは、私は大へん遺憾なことだと思います。  そこで今後の問題でございますけれども、今の登記抹消についても、なおそういうことがはたして本人納得のいく方法であるかどうかというような点が一つありますのと、それからこれが第一歩であって、今後どのようにしていくかということは、ある程度見通しがつかないと、今の段階がはたして本人の了解が得られるかどうかについての判断の資料としてもなお不十分だと思いますので、それらの点についてお答えを願いたいと思います。
  10. 宮地直邦

    宮地(直)政府委員 古川寮の問題がここまでこじれましたのは、古川寮自体の問題ではなくて、たまたまそこにお世話になった警察官の転勤に伴う措置の問題から出てきておるものと存じ、その間、本日に至るまで一部刑事事件を発生し、また誤解誤解を生むような行動のあった点につきましては、われわれも遺憾に存じておるのでございます。登記は、私ただいまここに抹消登記完了の謄本を持ってきておりますから、これによって御承知いただくほかに法律上の方法はないかと存じます。なお、実際上いかにするかという問題でございますが、これもまだ三月十日に登記抹消がされまして、原状に復帰されたばかりでございますから、具体的にお答えをするような案が出ておりませんけれども現地本部長等は、今までの古川寮というものの運営は、警察官古川氏が理事機関として運営しておったのでございますが、適当な方を入れ、本件措置につきましていろいろお世話になった方は多数ございますので、そういう方と十分相談をいたしまして、できるだけすみやかに、今まで生じました感情的な誤解を解き、そうして寄付者の本来の御意図に沿うような運営をいたしたいと存じておるのであります。
  11. 湯山勇

    湯山委員 御本人納得のいくような方法でこの問題の解決をはかりたいという御答弁でございますから、ぜひそういうことを事実をもって示されんことをお願いいたします。なお、問題が、今官房長が言われましたように非常にこじれておりますから、このことについて、たとえば地元とかあるいは周辺の人たちからいろいろな迫害といいますか、干渉、そういうことがしばしばございます。そこで、そういうことについては警察当局はよほど慎重に、そういうことのないような配慮をしてあげなければ、何といっても女一人でこういう大きな問題をかかえて孤立してやっておるわけですから、そういうあたたかい配慮がずいぶんなければ、今後のこの事件処理には容易ならざるものがなおあると思いますし。場合によれば第二、第三の傷害事件が起こらないとも限らない、そういう懸念もあると思うのですが、その辺についての御配慮があるかどうか伺いたいと思います。
  12. 宮地直邦

    宮地(直)政府委員 この事件をめぐりまして、いろいろわれわれから見ましたときには、これは明らかに誤解である、こういうものもございます。誤解誤解説明することにおいて解けない問題もあるわけでございますので、ある程度時間の経過も必要かと存じますけれども、われわれはできるだけすみやかに本問題を解決いたしたいという趣旨におきまして、従来は警察古川氏との直接交渉という形になっておりましたけれども、ただいまも御答弁申し上げましたように、せっかく各方面の方の御協力を得て、第三者を入れてここまで参りましたので、今後とも第三者の方の御協力をいただきまして、円満に解決をいたしたいと存じておるのでございます。  それから古川氏にいろいろ迫害その他というようなことがございますことは、まことに遺憾なことでございまして、そういうことにつきましては、警察の一般問題といたしましても当然すべきことだと存じておるのでございます。
  13. 湯山勇

    湯山委員 この問題は対警察の問題であるし、それから特に認められて紺綬褒章受けたというようないきさつもあって、相当注目されておる事件であると思います。そこでこの問題の誠意を持った円満な解決がなければ、警察の威信にもかかわる問題であって、私は警察当局誠意を持って、非は非として、この点の解決に全力を尽くして当たられるように切望いたしたいと思います。  なお委員長にお願いいたしたいのは、今官房長から御答弁のありましたように、登記抹消というのは、本件解決の第一段階にしかすぎない。むしろ問題は、今後具体的にどうやっていくかということが重要な問題であるというような御答弁がありましたので、本件については、なお今後その段階々々に応じて、当委員会でその経過を質疑し、なお対策について質問をする、そういう機会を今後も与えて下さるようにお願いいたしたいと思います。  官房長の御答弁と、委員長の御見解を伺いたいと思います。
  14. 宮地直邦

    宮地(直)政府委員 昭和三十四年の本院における長官答弁もございました通りでございまして、心から円満な解決を望んでおるものでございますし、また本件に関しまして、当委員会におきまして請願が採択されたことにつきまして、われわれも全面的にこの請願趣旨を生かすように努力をいたし、ただいま答弁いたしましたように、登記抹消をいたした次第でございまして、これをもって完了ということではなく、今後現地本部長に、本日の空気をよく伝えまして、現地本部長にしかるべく善処方を要望するつもりであります。
  15. 園田直

    園田委員長 湯山勇君の発言、委員長了承いたしました。      ————◇—————
  16. 園田直

    園田委員長 この際、道路交通対策小委員長小澤太郎君より、小委員会調査経過について報告いたしたい旨の申し出があります。これを許します。道路交通対策小委員長小澤太郎君。
  17. 小澤太郎

    小澤(太)委員 道路交通対策小委員長といたしまして、現在までにおける小委員会経過について御報告を申し上げます。  小委員会は、去る二月二日設置されまして以来、昨日まで八回にわたりまして開会し、道路交通対策につきまして関係各省庁の政府委員及び参考人より意見を聴取することはもとより、交通安全教育の実際を現地調査するため、都内の小中学校を視察し、また交通事故者遺家族等からは、交通事故による損害賠償の実情を聞くなど、熱心に審査を進めて参りました。  私どもは、現在各方面で問題となっております諸点につきまして、そのほとんどすべてを論議の対象とし、これらの問題についてそれぞれ解決の方向を結論づけて参ったのでありまして、その一部につきましては、すでに関係方面において採択実施され、また問題の解決に好影響を与え、あるいは本問題に関する世論を高めるなど、少なからぬ効果をおさめてきたと存ずるのであります。従いまして、この段階におきましては、小委員会に付託された任務の一段階を終わったものとの見解に立ち、以下ただいままで審議いたしましたことについての結論の概要を御報告することといたします。  まず最初に、道路交通対策に関し、当面法的措置または行政措置を必要とする事項のうち、政府においてすでに検討を終え、もしくは目下検討を加えつつある事項につきまして申し上げます。  これに該当する事項といたしましては、行政措置をもって行ない得るものとして地下鉄の整備車種別、時間別の通行規制大型観光バス運行制限車両制限令の円滑な実施路面電車の撤去、大幅な右折禁止措置、一方通行方式横断歩道及び歩行者横断禁止区間設定立体交差方式と大交差方式の採用、踏切の整理統合及び構造改善、緊急を要する道路構造改善道路環境改善路上駐車に対する禁止制限措置路外駐車場整備自動車ターミナル整備促進交通安全教育の徹底、交通安全運動組織化運行管理及び労務管理適正化などがあげられるのであります。  また、目下政府において立法措置検討しつつある事項といたしましては、交通事件処理簡易迅速化のための切符制実施大型トラック若年運転者による事故激増悪質化を起因とする免許年令の引き上げ及び実修年限設定車庫設置の義務づけ、少年事件の取り扱いの適正化駐車場法による建築物に対する駐車施設付置義務適用地域の拡大、交通需要を急激に誘発することとなる特定用途建築物に対する規制道路工事の調整の強化自動車損害賠償責任制度強化、大都市にのみ適用する道交法特別区域法速度超過警告装置及び安全ベルとの取付等がございます。  これらの事項につきましては、さきにも述べましたごとく、政府当局間においてすでに相当検討が進み、結論の得られることが予想される事項が多いのであります。小委員会といたしましては、政府がきわめて近い時期においてその結論実施に移すべきことを強く要望するものであるとの結論に達したのであります。  第二に、緊迫せる現下道路交通事情に対処するため早急に立法化を必要としながら、現行法制のもとにおきましては、所管関係もしくは種々の事情によりまして、政府が早急に立法措置を講じ得ないと思われる二つの事項について申し上げます。  その一つは、道路交通の安全と円滑並びに事故防止のため、かねてより強く指摘されておりましたところの交通安全施設整備促進の問題であります。最近の都市交通事情は申すに及ばず、交通事故による貴重な人命の損傷が全国的に激増の一途をたどっております今日、交通安全施設整備促進は刻下の急務と言わなければなりません。しかも、これらの施設設置は、道路交通対策上きわめて重要な事柄であるにもかかわらず、現在は所管が多数の行政庁に分属しており、または所管をきめかねる等の事情によりまして、計画的、総合的な施策が行なわれていない状況であります。  加うるに、交通問題は、本質的に地方の問題であります。住民及び滞在者の安全をはかることが地方自治体の固有の事務であり、かつ最も直接的な行政主体であることは、ここにあらためて申し上げるまでもありません。従いまして私どもは、政府において道路交通行政一元的運営をはかりますとともに、地方公共団体主体として、府県や市町村が実地の体験に照らしてその整備充実をはかることこそ、本来の姿であると考えるのであります。  小委員会は、このような見地に立ちまして、都道府県知事地方公共団体住民の安全を確保するため、その区域内にある道路で、緊急に道路交通安全施設整備をはかる必要があると認めるときは、都道府県主体として市町村長意見を聞き、たとえば道路交通安全施設整備計画を樹立するとか、あるいは道路交通安全施設に関する事項調査審議するため、国の機関及び市町村長等を加えて審議機関設置するなど、各般の方途を講じて道路交通安全施設整備しなければならないものとし、国は、国庫補助、その他これに必要な援助を行うこととする等の内容を有する立法をすみやかに行なうべきであるとの結論に到達いたしました。  次に、その二といたしましては、麻痺寸前都市交通の安全と円滑を確保するための行政措置として、近く道路交通法により車種別、時間別の交通規制実施に移されるとの政府説明がありましたが、現下都市交通事情のもとにおきましては、この程度交通規制もいわばカンフル注射程度の役割を果たすにすぎず、規制の十分な効果を期待するためには、さらに立法上一歩を進める必要があるとの意見がありました。すなわち、現在車種別、時間別交通規制道路交通法第七条一項によって行なうことそれ自体、すでに解釈上問題があるのみならず、将来大阪等東京以外の都市においても規制を行なう必要があり、かつ車種別のみならず、用途別目的別等についての規制を必要とする事態も予見されますので、この際新たな立法を必要とするという意見でございました。  このような意見につきまして検討いたしました結果、小委員会といたしましては、現在東京都について政府において検討いたしております車種別、時間別交通規制のすみやかな実施を要望し、さらにこの問題について、さらに広範かつ有効な規制実施し得るよう特別立法を行なうべきであるとの結論に達した次第であります。  なお、都市交通規制につきましては、その効果を確実ならしむるため及び道路交通対策の本来的なあり方から、たとえばこの種の規制に当然先行してしかるべき大量輸送対策の樹立であるとか、あるいは道路整備の早急な促進等、各般の施策について、これまで必ずしも十分の考慮が払われず、ややもすれば安易な規制措置によって事を解決しようとする傾向のあることに対しまして、小委員よりきびしい批判が行なわれたのであります。  また使用者側の管理責任、たとえば過酷な勤務時間制、給与体系の矛盾、休養施設の不備等、過労運転をしいる労働条件についても、何らかの法的措置によって改善の方途を講ずべきであるとの強い意見がありましたこともこの際つけ加えておきます。  以上をもって御報告といたします。  (拍手)
  18. 園田直

    園田委員長 以上で小委員長よりの報告は終わりました。  なお、ただいまの報告につきましては、その概要を委員長から関係各省に伝えることにいたしまして、政府善処方を要望し、同時に理事会においては、小委員長報告を基礎にし、さらに検討、推進いたしたいと思います。  なお、この際、川島行政管理庁長官が出席されておりますので、御所見を承りたいと存じます。川島行政管理庁長官
  19. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 ただいま小澤委員長の御報告、詳細承りました。お話のように、交通閣僚懇談会ですでに取り上げまして、実施に移そうとしている部面も多数ありますが、行政機構の問題につきましては、まだそこまで話が進んでおりません。交通問題は、国と地方団体と国民と三者一体になって解決しなければ実績が上がらないのでございまして、私どもは、地方団体と密接な連関をとりましてこの問題と取り組んでおるのであります。先般も東東京都知事を閣僚懇談会へ呼びまして、三十七年度で計画しておる都の道路整備以外に新たに三十七年度において実施し得るという技術的のものがあるならば、それを計画立てれば、国はそれに見合うだけの金は予備費もしくは補正予算として三十七年度計上するから、そういう案を持ってきてもらいたいという注文をいたしまして、東知事から提案が出ております。しかし東知事の提案は、非常にこまかいことをよけいやっておるのでありまして、金額としてちょっと三百億でありますが、もう少し重点的に大きなものを拾い上げてくれというので、今警視庁、建設省の地建などと協議をさせております。  そういうふうに国と地方団体とが一体となってやることが交通問題を解決する唯一のかぎだと考えまして、そういう方針で進んでおるわけであります。  立法措置その他につきましては、なるべくすみやかに成案を得たいと思っていますが、ただいまお読み上げのうちで、運転手の資格の引き上げの問題、それから自家用車に車庫を持たせる等のことは、この国会に提案するつもりでおりますが、行政機関の一元化ということは、相当研究を要する問題でありまして、その点とうてい今度の国会に間に合いませんけれども、これも十分検討いたしまして、次の国会までに成案を得たい、こう考えておるわけであります。  御趣旨の点はまことにごもっともであります。そういう決議を体しまして、今後とも政府ではこの問題に対して努力をいたします。      ————◇—————
  20. 園田直

    園田委員長 辺地に係る公共的施設総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案を議題といたします。  質疑に入ります。通告がありますのでこれを許します。野口忠夫君。
  21. 野口忠夫

    ○野口委員 非常に高度の経済成長というようなはなやかな言葉の中に、あまり日の当たらないところに対しても目を注いで下さいました本法案については、その態度については私どもも賛意を表したいと思うのでございます。  私は福島県でございますけれども地方に帰ってみますと、いろいろな集会などで、いわゆる辺地と称される地方の方々の間からは、社会教育関係の団体の方が集まれば、社会教育関係の団体の方から辺地の貧しさについて訴えられ、消防団の大会が開かれますと、その大会の中でまた訴えられ、社会福祉関係の方々が集まると、自分の旅費を出しながら自分は一生懸命やっているのだ、こういうような声を私どもは聞くわけであります。こうしたような辺地の実情を考えましたときに、本法案の持っている意味というものは非常にあたたかい政治の心を持ったものであって、まことにけっこうだと思うのでございます。  ただ、この法案は辺地にかかる公共的施設総合整備のための財政上の特別措置をする、こういう法案になるわけですけれども、その財政上の措置とというようなことにつきまして内容を見ますと、こうしたことが国の施策として行なわれるというような立場の中で、国が負担するというようなものは見えないようなんであります。一応起債によるという形なんですが、その起債も元利償還については、五七%くらいのものを見ていくのだ、こういうような財政上の措置だ、こういうように書いてあるわけでございまして、出されました法案の私の手元にいただきました資料も、従来の法律案の出し方から言いますと、若干どうも簡単過ぎるのじゃないかというふうに思うわけです。手元にありますのは法律案文と、それに付随した提案理由説明書だけであって、何となく辺地におけるそうした人々にあたたかい政治を与えてやろうとするような、そういうような精神を持っている法案に対して、どうも簡単に扱ってい過ぎるのじゃないかというように思われるわけですけれども、一応財政上の特別措置をするという、この財政上の特別措置というものが、私から言えば、国の負担もつかない状態の中で、起債というようなことでありますけれども、その内容等についてお伺いしたいと思うわけでございます。
  22. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 特に財政上の特別措置というようなことを表題に掲げましたために、せっかくの措置が何か限られたものになっているのじゃないかというふうなお話があったわけであります。この案を立案するにあたりまして、政府内にもいろいろな意見がございました。特にある省においては、自分たちの責任に属することを自治省が取り上げてくる、縄張りを侵してくるというような気持の御意見も非常に強くあったわけでございます。そこで自治省としては、特に公共的施設整備をはかろうと思っても、辺地をかかえる市町村財政が貧困だからなかなかやれない。それを作ってやることが中心なんだというようなことから、ことさら表題に財政上の特別措置というようなことを明示することによって妥協をはかった、こういうような実態があります。また自治省といたしましては、自治省の責任の範囲内においてこういう問題を取り扱うことも当然のことでございますので、明記する方が誤解を避けることができるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。また、そういう特別措置考えた場合に、内容が十分でないじゃないかという御指摘がございました。私たちはそうは考えていないわけでございまして、御指摘になりましたように総合整備計画でございます。本来市町村の責任に唐するもの以外の経費についても地方債を認めよう、こういう考え方を持っておるわけでございます。たとえば自家発電設備を作ろうとするとコストが莫大になる。それよりも電力会社に電気を提供してもらった方がよい。しかし、そういう採算のとれないようなところへ電力会社が電柱を立て電線を引くことはあり得ない。そこで市町村としては、配電設備を自分で作って電力会社に寄付する。一般の供給区域と同じような条件で電力の供給を受けるというような約束をしたいというようなところがあるわけであります。また電力会社も、そこまでするのなら協力もしようというところもあるわけであります。そういうような配電設備、これはいずれは電力会社に寄付してしまうものでございますけれども、それを市町村がやります場合にも地方債をつけよう、こういう考え方を持っておるわけでございます。さらにまた、せっかく僻地診療所の建設の補助金を厚生省からもらった。しかしながら、連絡道路がないためになかなかそこが利用できない。そういう場合には、あわせて道路の問題も解決するようにしてやりたい。そういう意味での総合整備計画でございますので、私たちといたしましては、全体的にお世話をしよう、こういう気持をこの法案を通じて出しているつもりでございます。でありますから、関係の各省庁に対しまして協力を求めることができるとか、あるいは電力会社等に対しまして、関係の省庁を通じて協力を求めることができるとかいうことを規定いたしておるわけでございます。規定が抽象的でありますので、あるいは内容が十分でないというような誤解受けるかもしれませんが、そういう配慮をここにしておるわけであります。さらに資金のお世話も、そのために安定した長期、低利の資金を融通するわけであります。全額政府資金をもって充当したい、こういう考え方を持っておるわけであります。  さらにこれも御指摘になりましたが、その五七%までは基準財政需要額に算入するわけでありますから、二分の一以上の国庫負担をしてもらったのと同じ結果になるわけでございますので、私たちとしては、かなり一般の国の援助政策よりもはるかに行き届いた手厚い援助が加えられることになるのではないか、またそういうつもりで立案をいたしておるのでございます。
  23. 野口忠夫

    ○野口委員 総合的な立場で今あたたかい援助をしておるつもりだということですが、そういうような援助をするために自治省として用意されました起債額ですね、これが大体私の聞くところでは十億程度という話ですが、額は一体どのくらいの起債額を認めておるのですか。
  24. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 十億円を予定いたしております。
  25. 野口忠夫

    ○野口委員 私は、今おっしゃったような総合的な計画をする中で、起債額として十億を認めておる。こういう額が、あなたの今おっしゃったようなすべての広範な施設に対してあたたかいものに変わってくるかどうかということについて、どうも薄過ぎるのではないかというように思わざるを得ないわけです。問題は、そういう計画——言葉ではなくて、それを裏づける起債の額というようなものが、今おっしゃった奥野さんの言う気持を現わすような額でないといけないわけです。何かこの提案理由説明を聞きますと、「最近におけるわが国の経済の発展には、」とこうあって、「山間地、離島などのへんぴな地域においては、いまだに石油ランプを用い、天水を飲み、医者の手当すらも満足に受けることができない」というような辺地、これを私は憲法と比較してみたいと思うわけです。われわれのやる政治は憲法の理想の実現にあるわけですから、憲法二十五条によりますと、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」ということになっておって、その憲法ができてからもう十六年たっているわけです。これだけの時間をこの憲法のもとで送ってまた政治としては、この提案理由説明にあるように、医者にかかることもできないというような地域がまだあるということについて、これを改めていこう、これを救っていこうとするあたたかい総合的な援助政策として、ここにあげられる起債の十億というもの、また全体の昭和三十七年度の予算で言いますと二兆四千億になんなんとするような大きな額があるにもかかわらず、この憲法の二十五条を実現することができない、十六年間のこの政治の空白を埋めていこうとする現在の自治省の考えの中で、一銭も国の予算が出てこないということ、それは従来に比してはあたたかいのだと、こうおっしゃるけれども、従来やってきたものは、憲法二十五条から言えば、全くその権利を無視したような状態に置いたということを提案理由説明の中ではっきりと述べられておる立場において、やはり国の負担というようなものも、これらの実態を改めていくために相当多額のものが用意され、起債というようなことも考えられていくべきが、この法律案の総合的なあたたい思いやりの気持というものに通じてくるのではないかというふうに思うのですけれども、この辺のお考えはいかがでございましょうか。
  26. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 率直に申し上げまして、私は、こういう意味で辺地対策を国として取り上げるという場合に、地方債資金総額十億円というのはかなりの額だと思う。こういう考え方を持っておるわけであります。しかし、御指摘になりましたように、もっともっと全体的に手厚く国が援助していくべきだということになりますと、さらに引き上げていくべきだという議論が出てこようかと思うのでございますけれども、さしあたりは十億円でこういう仕事を始めるということは、相当の金額だと私たちは考えておるわけでございます。その際に、辺地をどの範囲まで取り上げていくかというようなことで、額が十分であったり不足であったりするのだろうと思うのであります。しかし、辺地性がだんだん少なくなって参りますと、それは一般の市町村行政施策に属することであり、その行政施策を十分に行ない得ますように地方財源全体を豊かにしていくということだろうと思うのであります。また、そういう意味で基準財政需要額の算定にあたりましても、九種地以下に傾斜的に増額する。特に九種地以下の割り落としをしているのを、三十五年から始めまして五年くらいでやめてしまうというようなことも御審議願っておるわけでございますので、やはり地方財政全体の問題に属する、特に辺地性のはげしいところについては、それだけでは十分なことができませんので、こういう措置をとらなければならない、そういうふうに考えて参りますと、私は十億円というのは少なくない金額だ、こう思っておるわけでございます。しかし、お気持はよくわかっておるわけでございますので、われわれそういう気持で進行させながら、必要に応じましてまた増額するというような問題も研究せざるを得ないことになるかもしれません。お気持をよく体して進みたいという考えでおります。
  27. 野口忠夫

    ○野口委員 先ほどちょっと資料が不足するような感じがしたのですが、今十億の額が十分であるかどうかという問題なんですけれども、これは常識的な話になるかもしれませんが、たとえば今福島県に帰って辺地と称せられる土地に行きますと、道路はぬかるんで、東京のアスファルトの道路の上を歩くような工合にはいきません。これは皮ぐつなどはいて歩いておったのではズボンがよごれてしまって歩けないというようなぬかるんだ中を歩いているわけです。この道路を一つ直していこうとする。その辺地を含んでいる地方公共団体は、はたして一体その道路に幾ばくの余裕のある予算措置を持っているか。やってやりたいけれどもできない。私から言えば、一番末端にいる町村長の皆さん方は、これらの民衆を前にして、いつもどうにかしてくれと言われながら、責任をやはり追及されているのではないかというふうに私は思うわけです。私もそういう場面に出会ったときには、あえて町村長だけの責任ではないのだ、国からのものもないのだというようなことを申し上げてカバーをしておりますけれども、実際末端における市町村のそういう行政としては、非常に重いものを背負っているのが実際だろうと思うのですが、そういう中で、今対象となる範囲ですが、これについては政令で定める要件に該当したということになりますね、政令で定める要件に該当したものを辺地として認めるのだ、それがこの起債の対象になるのだ、こういうことになりますと、その要件というものの考え方いかんによっては五億でも十分だということも言い得るし、三千万円でも十分だと言い得るわけですけれども、この辺のところが政令にまかせてあって、具体的にはわからないわけです。その点一つお教え願いたいのと、また、それに伴って、いわゆる公共的施設の範囲というものは、ここでは項目的に並べられてあるのですけれども、大体その事業の量、十億というものを起債でとっておる自治省として、全国的に見てその事業の量をどのようにお考えになっているか、もしおわかりでしたら一つお答え願いたい。
  28. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 市町村道路がぬかっていたりして悪いというお話でありますが、事実私たちそうだと思っております。そういうことは一般的に市町村財政全体の問題として処理すべきではなかろうかと思っておるのであります。ぬかるんでおってもまだ道路があればいいのですが道路そのものがない、オート三輪も通れない、従って病人を医者にも運べない、こういうふうな所の解決をこの施策でやっていきたいと思っておるわけでございます。ぬかるんだ道路をよくしていきたいということは、これは市町村財政全体をよくしていくという方向で解決する、その財源を九種地以下に傾斜的に増額することによって解決する、こういう気持でおるわけでございます。辺地の範囲のきめ方によって十億円が多くも少なくもなるのだという御指摘、これも全くそうだと思います。しかし常識的に、辺地に国にある程度の援助の手を差し伸べなければ、その地域の住民がいかにも気の毒じゃないか、こういう地域は取り上げていきたい。結局、国民の常識ということになりますと、国民のそのときにおける生活水準なりあるいは経済状態なりが判断の基準になるのじゃないかと、こう思っております。経済状態全体がぐんぐん伸びていきます場合には、辺地について特別な援助の手を差し伸べて、その範囲がだんだん拡大されていきまして、格差が是正されていく必要が強まってくるだろうと思っておるのでございます。事業の範囲については、項目としては法律に書いてある通りでございますけれども、やはり今御指摘になりました道路でありますとか、あるいは電気の問題でありますとか、そういうような問題が金額としては一番大きくなるのではないだろうか、こう考えておるわけであります。市町村総合整備計画がどういう姿において出てくるかによってきまってくるわけでございますけれども、私たちが今まで調査している限りにおきましては、そういうようなものが金額の上で大きな額を占めるだろう、こう想像をいたしております。
  29. 野口忠夫

    ○野口委員 今の奥野さんの話で、十億という額でへんぴな地域の要件というものを考えていくのではなくて、辺地と恵まれない土地、そういうものの実態の上に立って、今後やはりこの起債のワクというものは伸び縮みするものであって、決して十億という数の中で押えていくのではないということになると、これは「当分の間」というようなことがあるのですけれども、年次計画的な立場でこれを進めていかれるのか。いわば、そういう恵まれない土地に対しては、この法律にあるような財政的な特別措置を完成するまで続けていく、こういうお考えですか。
  30. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 こういう立法をしまするにあたりましては、一つのめどをつけなければならないと思うのであります。そのめどとしましては、さしあたり五年、五十億円というようなことを考えておるわけでございます。しかし、基本的には私は今御指摘になった通りだと思うのであります。要するに、国民の常識から見まして、恵まれない辺地がそのまま取り残されていく、何かこういう施策でもやらない限りにおいて浮かばれないのじゃないかという地域が解消しない限りにおいては、やはりこういう施策は続けるべきだと思うのであります。しかし、財政上の問題もございますので、ある程度のめどは立てなければならないと思います。両方の面から考えて施策を施していくべきものだろう、こう思っております。さしあたり五年、五十億円と考えております。それじゃとてもどうにもならないという事態でありますならば、もちろんこれは続けるべきでしょうし、また中途において金額の増額も検討すべきであろう、こう思います。
  31. 野口忠夫

    ○野口委員 今の起債の十億の中で行なわれるものは、やはり辺地をなくそうとする、そういう立場で今後にも継続される計画であるというようなお話を聞きました。ただ問題は、こういう制限のついた一つの起債ということになりますと、私など考えると、また陳情政治になっていくわけです。そのことが自分の方にこなければというようなことで、これは新産業都市法などでもだいぶそういう傾向が強まっているのです。何か出ると、陳情をして自分の方に一つというようなことになってくるわけですけれども、それはそうくる方の立場もありますが、やはりさせる方の立場も考えていただかなくちゃならぬと思うわけです。やはりある一定の年次計画を、全国的に調査をした結果、それを年ごとに計画的に解消していく、だから安心して待っていたらどうだというような姿での政治がほんとうの政治ではないかと僕は思うのです。何か早く陳情をした方が早くやってくれるというような印象を与えますと、奥野さんのところにもだいぶにぎやかに人が参るようになるのじゃないかと思うのですが、こういうことのないように、私どもとしては、総対的な全体の辺地に対する認識を作った上で、この上に立ってのやはり計画的な辺地をなくすという、とにかく憲法二十五条の精神に従ったものとして、一つ御計画をやるようにお願いしなければならぬと思うのですが、それを一つお願いしておいて、なお私は、現在の経済成長下におけるいろいろな地域開発、あるいは格差の解消というような全体に出ている空気の中で、この法案の占めておる位置は一体どの辺のところにあるだろうかということを考えているのでありますが、一番中心に、都市建設として、工業都市としても作られていくという自然的な立地条件に恵まれた、捨てておいてもそうなっていくであろうというような土地を中心としての法律案が新産業都市建設促進法案だろうと思うのです。それは所得倍増計画の中で、明らかに都市形成についての国の施策の中で約束されたものとして、それが後進地域の中におけるものとしてもおのずから救われていくという立場があろうと思うのです。そういう一つの方向と、それにはちょっといかない、ここには誘致はできるが、誘致しなければならないというような努力を含めたものとして、低開発地域の工業開発促進法案というのがあると思うわけです。ここは若干の努力を要しますから、いろんな国の資金に対するめんどう、あるいは税における特別措置等考えて、この土地は一つりっぱにしていってやろう。基幹都市、捨てておいても発展していく町、その次のところは、努力をして格差の解消をはかっていこうということが現われておるわけです。この二つに入ることのできない、いわゆるこの辺地に対する所得格差の解消、地域格差の解消というようなことの命題を含んだ法律案として、本法案が非常に意味が深いのではないかと私は考えるわけです。所得倍増計画によりますと、十カ年間に公共事業に対しては十七兆と言われ、都市建設には三十六兆もの金が使われるということが言われておるわけですけれども、前段のこの二法によって作られていく都市の形成にあわせて、この辺地という地域に対する地域間の格差の解消、こういう大きな問題を考えた場合に、私は、どうしても、この法律案が今言われたような姿の中で何とかめんどうを見てやって、三十何兆ものお金が使われている中で、起債の十億を認めたというあり方が、この日本の経済成長の中におけるところの所得格差の解消という問題とどうも離れておって、やはり間に合わせ的に、利潤のあまりないところは一応やっておこう程度であって、よく大臣が演説をなさる、特に後進地域の開発には積極的に推進をして、全国ほんとうに公平な生活水準を保つようにするのだというようなことを、あちらこちらで大臣が演説しておるわけですけれども、そういう至るところという言葉の中で、この辺地に対する問題がこの法律案ただ一つであるという点に立っては、この法律案が内包している財政的な問題というものはあまりにも僅少だ、全体の視野の中でそう言わざるを得ないのですけれども、これはいかがでございますか。
  32. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 前段の、陳情政治をなくする方向において運用をしろというお話は全く同感でございます。そういう方向で運用するように注意して参りたいと考えております。  後段の方の問題は、金融財政規模から考えた場合には、やはり十億というものは少な過ぎるというお気持のようでございます。お述べになりました点につきましては、私たちもそういう方向で考えておるわけでございます。自治省といたしましては、地域格差を是正するというような方向で物事を考えていかなければならないし、そういう方向に努力していかなければならないと思っております。基本的には、経済力を豊かにし、そのことが生活水準を引き上げていくということになるわけでございましょうけれども、辺地におきまして経済的に豊かにする施策をすぐどうやってとるかと言いましても、なかなかできないわけでありまして、そういう意味においてこういう施策もあわせてとっていこうということにしておるわけでございます。お述べになりました考え方で私たちもおるわけであります。辺地を広く考えます場合には、そのことは即市町村財政全体を豊かにすることによって、生活水準などについても引き上げをはかれるように持っていくということだろうと思うのであります。しかしながら、特に辺地性の強いところにつきましては、市町村財政も必ずしも豊かではございませんし、そうなって参りますと、一そう取り残されていく。そこで、それはそれなりに別個のこういう援助施策をとろう、こう思っているわけでございます。従いまして、一面には、市町村財政全体を豊かにすることによって辺地性の目立つところについて公共的施設整備されるように持っていく。しかし、それはそれでやっていくけれども、依然として取り残される地域があるのじゃないか、それはまた別個にこういう地域だけのことを目ざしての施策をとっていくということだろうと思うのであります。十億円が多いとか少ないとかいうことは、これは多ければ多いほどよいということになるだろうと思うのでありますが、私が相当の額だ、こう申し上げますのは、現在国の予算に盛られております僻地のためのいろいろな施策を若干申し上げてみますと、僻地農山漁村電気導入に関する補助金とか、離島電気導入補助金とか、学校自家発設置補助金、こういうもので二億九千九百万円ほど出ております、三十七年度予算で。それから通学施設関係で千七百万円出ているようであります。診療所の関係で五千二百万円出ておるようであります。それから簡易水道の関係で今度新しく二千万円ついているようであります。それから僻地学校のテレビ購入補助、集会室補助が二億一千百万円ついておるようであります。全体を合わせますと五億九千九百万円であります。なお、そのほか離島簡易水道の施設補助、離島即辺地と言えるかどうか疑問でありますが、これを加えましても七億四千万円でありまして、そういう点から見て参りますと、十億円というものは少なくない金額だ、こう思っていただけると思います。これもしかし、先ほど御指摘になりましたように、仕事をやってみまして、問題がなおそれで十分でないという場合には、もちろん政府としても考えていかなければならない。さしあたりは五年間五十億円をめどにして進行させていくつもりでありますけれども、お気持は十分体しまして運営していきたいと思います。
  33. 野口忠夫

    ○野口委員 あと松井さんがおありになるそうでありますから、これで打ち切りたいと思うけれども、とにかく学校関係で言うても僻地校といわれるのは小中で九千三百校あります。そしてここに百万近い子供たちが上がっているわけです。それが僻地と称せられるところの子供たちであります。辺地というところに存在している子供たちの姿、東京の子供などと比較すると、これは問題にならない生活の中に捨てられていると思うわけです。そういうものをほんとうに救い上げていこうとする政策を、従来までのあり方の中でのみ考えておったのでは、あなたの出されましたこの提案理由説明の中にある状態が残ってくるわけでございますから、それをなくして、政治格差をなくしていこうという方向の中でこれは考えていくべきではないかと思うわけですが、なお、奥野さんおっしゃらないけれども、自治省としては、その意味においては、十億がいいということはおっしゃってなかったように内々私も聞いておるわけでございますけれども、国の補助金が五〇%、起債が五〇%で、大体十六億という金が自治省として一応当初計画なさった起債の額であったようなふうに私は拝聴しているわけですけれど、とにかくこの金で終わったものとは考えられない。なお辺地の皆様方を考えて、この委員会の中で、いろいろな努力の結果このような状態になっていることについてさらに質問を続けて、あなた方でこれで満足しなかった点があろうと思うわけですが、そうした点についての、法を立てる立場に立っても御協力、御援助を申し上げることが実現するのを待っていきたいと思いますので、次会に保留して、この辺で終わっておきたいと思います。
  34. 園田直

    園田委員長 松井誠君。
  35. 松井誠

    ○松井(誠)委員 簡単に二、三お伺いをいたしたいのでありますが、最初財政措置の基本としてこの法律は起債という方法をとっておるわけですけれども、当初新聞なんかで伝えられたところによりますと、普通の補助金では、残りのいわば地元負担の分が非常に苦しいので、それを全額国で見るのだ、全額そういうものについては補助をするのだ、そういう構想のように報道されておった。そういう事実、そういう考え方が一時あったのかどうなのかということが一つ。それから、起債という方式をとられまして、五七%という何か非常に中途半端な数字でありますけれども、五七%という数字は一体どこから出た数字なのか、その辺をちょっと伺いたい。
  36. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 率直に申し上げますと、こういう方法の施策を考えましたときにはこういう考え方でございました。しかし大蔵省に予算要求をいろいろな面について出します際には、この部分についても国庫補助を要求したわけであります。私はよく考えまして、国庫補助がつかない方がよろしい、こう思っております。どういうわけかと言いますと、補助金をつけますと、いろいろなところから、あそこでこの仕事をやらせることがいいとか悪いとかずいぶんやかましい干渉を受けるわけであります。市町村も迷惑でありますし、政府部内においてこの仕事を推進して参ります自治省としても迷惑だと思うのであります。私たちは、なるべく市町村の自主的な考え方で総合的な計画を作れるように推進できるようにしてあげたい、国からの補助がつきますと、あの仕事がいいのだとか悪いのだとか、あるいは各省からもいろいろな注文が出てくるだろうと思うのであります。ですから私は、補助金はない方がよろしい。でありますから、予算要求をしておきながら、省議の席上においてはそういう意見も述べておるわけでございます。  それから五七%の問題は、これは中途半端なことでございます。全く新しく作るならもう少しすっきりした率を使いたいのであります。ところが、現在基準財政需要額に元利償還額を算入する場合に、たとえば単独災害復旧事業費でありますと二八・五%であります。財政補助を行ないまして最高五〇%まで持って参るわけであります。地すべり対策等の地方債の元利償還額は五七%まで基準財政需要額に算入いたします。それから公共災害については九五%を算入いたします。大体そういうランクがございますので、どのランクに当てはめるかということで五七%をとったわけであります。また特別なランクを作って参りますと、いろいろな注文が出て参りましてなかなかさばき切れないものですから、そこは避けておきたいということで、従来あります幾つかのランクのどれを使うかということから五七%のランクを使ったというのがほんとうの話でございます。
  37. 松井誠

    ○松井(誠)委員 補助金という制度をとらなかった理由について今お答えがあったわけです。これは大蔵省との関係よりもむしろ自治省のそういう自主的な考えだというようにお伺いをしたのですが、大蔵省との関係のほかに、今ちょっと言われた中にも想像できると思うのですけれども、補助金をふやすという形ですと、各省とのセクショナリズムというものがやはり表面に出てきて非常に困難だ、従って、それに関連をしまして先ほどもちょっと話がありました陳情政治というものの弊害が出てくる、そういうことをお考えになったということが主であるように承りましたけれども、しかし、そういうことはいわば地元の人の責任じゃないわけでありまして、むしろ、そういう弊害というものからそういうものをなくすというかまえで、どうしたら逆に地元の人の利益になるかという建前からしていただいた方がほんとうはよかったのじゃないか。むずかしいことは避けて通るというかまえでは、僻地の住民のほんとうの要望に沿い得るということにはなかなかならないのじゃないか。やはり起債ということになりますと、補助とはどうしても違うわけでありますから、従って、やはり補助という形式をとって、その中でそれに伴ういろいろな困難というものは、むしろ前向きの形で自治省が中心になって解決をしていくという形に、実はしていただきたかったと思うのであります。  そこで先ほど来、十億が多いか少ないかという問題が出ておりますけれども、五年間五十億というお話なのですが、それでは現在日本でこの法律に該当する辺地といわれるものがおよそどれくらいあって、そこの地元の大体の計画では、この工事量はおよそどれくらいになるだろうという大体の見当はおつきになっておると思うのです。その辺を……。
  38. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 補助金の問題につきましては、私たちの気持とだいぶん違っているようであります。現在、御承知のように国の予算に計上されています国庫補助負担金が六千二百億円に上っております。国民総租税負担の一九%をこえております。国の予算の三分の一、三〇%を占めておるわけであります。私はこれでほんとうに地方自治体が自分の判断において行政を進めていく上において、支障のない財政の姿になっているだろうかということについて、非常な疑問を持っている一人でございます。辺地でありましても、公共的施設整備することは、私は市町村本来の任務だろうと思うのであります。市町村本来の任務に属しますことについて、いろいろ補助金をあれやこれや項目を設けてつけていって、干渉の機会を多くしていくということは避けた方がいい、むしろ財源を与えていくべきじゃないだろうか、こういう気持を基本的に持っておるわけであります。市町村に財源を与える方法としていろいろございましょうけれども、辺地でありますと、やはり基準財政需要額の増額の方向で財源を与えることが一番すっきりしておると思うのでございます。そういう意味でこのことを考えておるわけであります。私は前向きで考えていくならば、補助金を整理いたしまして、財源を増額していくという方向をとるべきだという気持を強く持っている一人でございます。  辺地の範囲がどれくらいあるかということでございますが、一応さきに私たちが調査いたしましたときには、五百地区ないし千地区くらいを対象に取り上げたい、こういう気持を持っておったわけでございます。しかし、それらにつきましても、できる限り総合計画というようなことで進めていきたいと思っておりますので、この法案が成立いたしました暁には、さらに十分な調査を遂げていきたいと思っております。
  39. 松井誠

    ○松井(誠)委員 今局長の言われた最初の点、私も実はその通りだと思うのです。しかし、地方団体の中で、ほんとうに辺地を含む地方団体というものがもう少し楽になるような基本的なかまえというものがなくて、そのしわ寄せとして、いわば局部的な手当としてこういうものがどうしても必要になる。従って、局部的な手当である限りは、幾らうまくやってもなかなかうまくいかない。従って、ほんとうならばこういうものが必要でないように——あるいは幾らうまくいっても、こういうものはどうしても必要かもしれませんけれども、少なくともこういうものはほんとうに最小限度にとどめ得るような形で地方財政の全体の姿というものができるのがほんとうなのですね。そういうものができていないところに、いわばそのしわ寄せとしてこういうものが出てくる、それは私もわかる。しかし、そういうことをほんとうにやろうとするならば、あなたが言われたように、こういう法律さえも必要がないような形で、そしてそのような形で地方財政全体の計画ができておるならば、あるいはそういうことが目の前に実現する可能性があるような形になっておるならば、それはいいのですけれども、それはなかなか言うべくして行なわれないものですから、やはり必要悪として補助金という制度にたよらざるを得ない。こういうことになっておるものですから、私たちはさっきのようなことを申し上げたわけなのです。  そこで今の五百町村ないし一千町村ということでございましたけれども、しかし十億という数字を一応起債のワクとして出しておるわけですから、何か話を伺いますと、先ほどの委員が言いましたように、十億というワクがまずできて、その十億のワクの範囲内でこの辺地の指定をやるのじゃないかという、そういう危惧を私たちは持つわけです。そうじゃなくて、やはりここに書いてある根本の法律が、一体何を目的にしておるかということから当然辺地というものの概念が出てくるわけでありますから、従って、十億が多いか少ないかという問題以前に、一体どれくらいこの法律というものが辺地というものを救おうとしておるのか、財政的な計画の裏づけ、そういうものと一応離れて、一つ大体の構想、現在のこの法律で元来救うべき地域、工事量はどのくらいかということをもう一度具体的にお伺いしたいと思います。
  40. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 お話しになりましたように、金額だけから辺地をしぼってしまうということは避けるべきだと思います。しかし同時にまた、辺地のうちで特に国が援助の手を差し伸べる地域をきめます場合に、ある程度財政の面も頭に置いて考えて参らなければならぬと思うのであります。両方並行させてきめていくということだろうと思います。財政面では、先ほど申し上げましたように、一応五年、五十億円でございますけれども、これは御指摘になりましたような点から見て無理があります場合に、さらに是正は当然していくべきだろうこう思っております。この仕事を進めていきます場合に、従来のように、たとえば何千万円かの金が要るのに、百万円とか二百万円とかぽつぽつ五年も十年もかかって仕事をさせていくというようなことは避けるつもりでございます。原則として一番長くかかっても三年で終わらせてしまう、また終わらせられるような総合計画を作ってもらう。その場合にも、金額が多いからそれははずすのじゃなくて、多いものでありましても三年以内で工事を完了することができるような内容の総合計画にしてもらう。従って、場合によっては一つの地区について何千万円も金をこのうちから持っていってもよろしいというくらいの気持でおるわけでございます。最初は、総合整備計画につきましておおむね三年程度完了できるようにということを書こうかと思ったりしたのでございますけれども、いろいろな事情があろうかと思って、そこは運用面で考えていきたい、そう思っておるわけでございます。かりに今年度五百地区を取り上げる、こういたしますと、一カ所二百万円程度にとどまるわけでございますけれども、その場合にも二百万円だけの事業をきめるわけではございませんで、総合整備計画全体につきまして、これは一つ地方債資金をおつき合いいたしましょう、これはこういう意味で単年度だけのものではありませんがというような相談はいたしていくつもりでございます。初年度において計画全体についての政府側の考え方をはっきりさせる。従いまして、ぽつりぽつり一年ごとに仕事をしていかなければならないような従来の行政のやり方、そういうものをこの仕事については避ける考えでおります。でありますからこそ、総合整備計画というようなことにしておるわけでございます。同時にまた総合整備計画は、関係各省にも自治省の方から送付することにいたしておるわけでございますので、各省が受け付けますいろいろないわゆる避地対策の補助金も、総合整備計画ができたところで集中的に持っていってもらおうというふうに考えているわけでございまして、今行なわれております各省の避地対策も総合的に効果が上げられる、なるほどやっただけの効果はあったというような姿に持っていきたいというのが、私たちの考え方でございます。そういう意味の立法にしておるつもりでございます。
  41. 松井誠

    ○松井(誠)委員 なかなか数字が出てきませんけれども、起債十億といいますと、そうすると事業の総量は大よそ幾らぐらいになるか、起債の額が十億だといいますと、事業費の総額というものは、大体どのくらいの見込みになるわけですか。
  42. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 これも総合整備計画に取り上げられます周囲の仕事が明確になって参りませんと、はっきりしないわけでございます。しないわけでございますが、私は百億円以上になるだろう、こう思っておるわけでございます。たとえば診療所のような場合には厚生省の僻地診療の補助金がございます。こういう部分につきましては、別に病院関係地方債のワクがございますので、この地方債を充当したい、こう思っておるわけでございます。それ以外のものは、みなこの僻地対策地方債を使う予定をいたしておりまして、これについて特別な援助を国が与えていくわけでございます。一般の簡易水道でありますとか、一般の診療所でありますとか、そういうものは他の診療所や水道と同じ扱いをすべきでありますので、これは地方負担額について普通の率で地方債をつけるにとどめまして、特別な援助はいたしません。しかしながら、その場合にも、僻地なるがゆえにもっと充当率を高めるべきである、あるいは百万円にならないから地方債の対象にならない、そういうものは全部この辺地債で救っていきたい。こういう気持でおるわけでありまして、この辺地債で救った限りにおいては五七%までは基準財政需要額に算入されるというようなことになるわけでございます。そのほかに国からの補助金も出て参るわけでありますので、五年間で百億円を下ることはあり得ないだろう、こう思っておるわけであります。
  43. 松井誠

    ○松井(誠)委員 今の百億というのは、一年でなくて五年間で百億、そうすると一年間で二十億、大体半分はこの起債で見るという、およその数字の見当はそういうことだと思います。今お話のように、たとえば簡易水道の場合には簡易水道の起債になる、それだけではやはり現地では足りませんので、足りない分はこれを起債で見る。そういう意味で起債は二本建になっていくこともあり得る、これは間違いないですね。
  44. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 その通りでございます。
  45. 松井誠

    ○松井(誠)委員 一番関心を持つのは、具体的にどういうことでこの辺地という指定を受けるのかということなんです。大体今言われたように、およそ工事の額が年間二十億くらいを予定されておるとなりますと、どうしても逆にそこから逆算をするような形になってしまいますよ。およそどういうところが辺地だといわれるだろう、この法律の指定による辺地になるだろう、そういうことがおよそ見当がつく何かめどがございませんか。たとえばここに書いてあるいろいろな公共施設、こういうものがどれくらいがないところか、あるいはもう少しどこかで、いろいろな一定の数字に照らして云々というようなことも何かにあったと思いますけれども、そういうことで具体的な辺地指定の基準というものを大体自治省でもお考えになっておると思いますが、お伺いいたします。
  46. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 僻地を定めます要件は、現在でもたとえば文部省でやっています隔遠地手当と申しましたか、ああいうものについても点数制で地域を指定しているようでございます。また先ほど申し上げましたような若干の国庫補助金もあるわけでございまして、そういうものにつきましてもそれぞれ僻地のきめ方をいろいろと示しているわけでございます。基本的には、たとえば電車の停留所からどれ以上離れている、バスの停留所からどれ以上離れているということなども使いまして、ある程度点数表を使って辺地性の標準を作っていくということになろうかと思うのであります。さらに同時に、一人おってもすぐこういう施策をやっていくというわけにも参りませんので、一定の範囲の地域において何人以上住んでいる地域だ、そういう地域であるにかかわらずこういう施設がない地域だということでしぼっていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。そういうような辺地地域の定め方につきましては、できる限り客観的にするという意味において、点数制か何かで計算をするように持っていきたいという気持でおるわけでございます。なお二十億から逆算してきめてしまうのじゃないかというお話がたびたび出ておるわけでございますが、さしあたっては私は、そういう方向で府県に順位をつけてもらうよりいたし方がないじゃないか、順位の高い辺地から解決するように持っていきたい。辺地がたくさんある、それに総花的にわずかずつの金をつけていくということは避けるべきだ。辺地性の高いところから総合整備を完成するようにもっていく、こういう方向で進んでいきたい、かように考えているけわであります。
  47. 松井誠

    ○松井(誠)委員 辺地の指定について、今言ったようにできるだけ客観的な、従って数字的な基準を設けていただく。これは政治がともすれば陳情ということで曲げられる、そういうことを避けるためにぜひ必要なことだと思うのです。ぜひそのような形でしていただきたいと思いますが、そのときに今の基準というものは、おそらく市町村なら市町村ごとの数字だと思うのです。しかし、実際辺地というものの中には、たとえば県境だとかあるいは町や村の境だというのは、地勢上山間にあるわけです。従って、山間で一つの町の行政区域だけをとってみると、その基準に当てはまらぬけれども、しかし、二つなり三つなりの町村が山の中で境を接しておる、また県が境を接しておる、そういうところでは、一つの町村だけじゃ基準にならないけれども、二つ三つ合わせれば、この地域が辺地だというようなところはおそらく相当あると思う。そういうときに、それが一つの市町村だけを単位にとるのでは基準にならないということではねられないように、そういう場合も御配慮願いたいと思うが、そういう場合も指定していただけるかどうか、御返事いただきたい。
  48. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 全くおっしゃる通りだと思うのでありまして、そういうところが漏れることのないように留意をして参りたいと思います。
  49. 松井誠

    ○松井(誠)委員 辺地指定のことにつきましては、まだ具体的にわかりませんのでこの程度にいたしたいと思うのですが、あと、この公共施設というものが一体どういうものかということについてお伺いをしたいのです。これは私よくわからないのですけれども、ここに例としていろいろあげてあります。たとえば道路なら道路というものがありますけれども、この道路というのは、たとえば県道とか国道とかいうものは、整備計画との関係もございますけれども、入らないのかどうか、あるいは市町村施設ではなくて、たとえば部落なら部落の施設、そういうものはやはりここには入らないのかどうか、そういうことを聞いておきたい。
  50. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 道路と書いていますのは、実態的には局地連絡道路というのを頭に置いているわけなのであります。府県道以上の道路はこの中では考えておりません。それは国なり府県なりの仕事に属する、こう思っております。市町村道以下でありますけれども、今お話しになりましたような部落道路とでもいうようなものも、希望があれば当然入れていけばよろしい、こう思っております。
  51. 松井誠

    ○松井(誠)委員 部落道、里道というような言葉もありますけれども、そういうもの、あるいは部落が行なう簡易水道事業、そういうようなものもここに入るわけですね。そうしますと、それを起債でめんどうを見るというのはどういう形になるわけですか。
  52. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、電力会社に配電設備を寄付する。そういうものについても地方債の対象にできるように法律で規定をいたしているわけであります。市町村として局地連絡道、それは将来市町村道として認定できない。どちらかというと部落にじかにやってもらわなければならないと思われるもの、その施設については、市町村が必要だと認定する限りは、それが対象にできるようにしてあげたい、こう思っているわけであります。
  53. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうすると、そういうものに対する市町村の補助金を起債で見る、そういう形式になるわけですか。
  54. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 そういう場合もあろうかと思います。
  55. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そういう場合以外に市町村の公共施設でないものに起債というのは、具体的にどういう形式になるわけですか。市町村の補助金を起債でみるということになるわけですか。これは市町村の公共施設でない部落の公共施設を起債で見るということは、具体的にはどういうことですか。
  56. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 私は、先ほど電力設備を例にとったわけでございますけれども、たとえば部落道路は、市町村が建設して、これを部落にやってしまうというふうなことがあると思うのです。そういう場合には市町村がその道をつくるについて必要な金を地方債でまかなわせるようにもっていきたい、こう思っておるわけであります。
  57. 松井誠

    ○松井(誠)委員 公共施設というものの中に「前各号に掲げるもののほか、政令で定める施設」ということになっておりまして、このほかにも考えられるということなんでしょうけれども、たとえば消防施設というようなものにお考えになっておるかどうか。
  58. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 そういうものは考えておりません。
  59. 松井誠

    ○松井(誠)委員 消防施設も、昔ながらの手押しポンプからガソリン・ポンプにかえたいけれども、金がなくてかえられない。そういう消防施設そのものは、まさに最低限度の生活を維持する施設だと思うのですけれども、どういうわけで消防施設はお考えになっておらないのですか。
  60. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 市町村が消防ポンプを購入しようとしまして地方債に資金を求める場合には、そういう関係地方債も許可いたしておるわけであります。そちらの消防債一般において許可するかしないかをきめていきたい。特にこういう立法のもとにおいて援助をする資金のワクの中には考えていない、こういうことでございます。特別な取り扱いをする意思はないということでございます。
  61. 松井誠

    ○松井(誠)委員 消防だけを例にとりましたけれども、今のように起債を見てもらうとは言いましても、それも五七%交付税で見るという形ではございません。従って、そういうほんとうに欠くことのできない消防施設さえも整え得ないという市町村に、やはりそういうものをこの法律で私は見るのがほんとうじゃないかと思うのですけれども、それでは政令で定める施設として、ここに例示されておるほかにどういうものをお考えになっておるか伺いたい。
  62. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 さしあたっては連絡電話を考えております。
  63. 松井誠

    ○松井(誠)委員 実は私は新潟県の佐渡なのですけれども、去年非常に辺地で火事があった。そのときに、県道は、名前は県道ですけれども、自動車どころかオートバイも通れないという非常に辺地である。で、海を越えて船で行くということも、少し波があればもう行けないという辺地。従って、よそから消防施設が走って行くことも事実上不可能だというようなどころ、従ってちょっとした火事で部落が全部焼けてしまった。そういうところは、病気になれば医者が船で来るよりしょうがない。しかもそういう人たちは、国民健康保険の掛金については別に特別な恩典があるわけではなくて、名前は市ですから、ほかの市民と同じようにみな払っておる。まさにこれは不平等そのものだ。こういうものをこの法律で何とか救ってもらえるのだということが私の感じの一つでした。名前は県道ですけれども、消防自動車そのものも走って来れないのですから、そこにほんとうに有効な消火施設そのものがないということも一つの致命的な問題ですから、連絡道、連絡道とさっきから言われますが、連絡道路というのは、車の通れる道ということになりますと、これはもう県道でさえもそういう状態なんですから、従って市道や部落の道として、そういうものが作り得るような形にはとうていないわけです。ですから、この中から県道を抜かす、あるいは具体的にそこへ道を作るということになると、どういう方法でやったらいいのか、つまり一たん緩急の場合には、そこの部落の生命にかかわるというような問題があるときに、外部との連絡の道を具体的にどう作ったらいいか、県道は現実にあるけれども車が通れない。現地で作るというふうな道は一体あるのですか。
  64. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 御指摘になりましたような実態の地域も相当にあろうかと思っております。県道になりますと、これは県が改修に手をつけてくれません限りは、市町村としてもどうにもならない段階でございますから、そういうこともありまして、市町村総合整備計画を作ります際には、あらかじめ府県知事と協議をしなさい、またその際に府県はこれに協力をして、講じようとする措置もきめなさい、そうして自治大臣に提出なさいという法律にしてあるわけでございます。従いまして、市町村が本来の総合整備計画を作ります場合には、県もその県道とどう合わせて改修するかというふうなこともきめてもらいまして、計画を出してもらう、こういう考えでございます。もちろん、道路は車が通らなければならぬとかなんとかいうことではございませんで、その市町村が少なくともここまでは施設を整えなければならないのだという、市町村ごとの判断に基づいて私たちは地方債をつけていきたい、こういう気持でおるわけでございます。診療所の問題もございますが、そういう地域には診療車を作って巡回するということも一つの方法ではなかろうか、こう思っておるわけでございまして、診療所とは法律に書きませんで、あえて診療施設という表現を使っておりますのも、そういう趣旨を含んでおるわけです。
  65. 松井誠

    ○松井(誠)委員 その総合整備計画というのは、市町村の公共施設だけの総合整備計画なんですか、あるいはそうでなくて、部落のそういう公共施設、あるいはさらに今言ったような県道なら県道を含めての総合整備計画、そういうように考えていいわけですか。
  66. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 総合整備計画はあくまでも市町村の行なう総合整備計画でございます。市町村が行なうのですから、従来の考え方では、市町村の金を出すべきではないのだ、あるいは市町村自身の仕事ではないのだというものも、市町村自身の、辺地における住民の公共的な施設整備していくためには、どうしてもここまではやっていかなければならないのだという判断に立っております限りは、それを含めていただいてけっこうだ、こう思っておるわけでございます。  なお、府県が協力して講じようとする措置、これは総合整備計画の付随計画とでも申しましょうか、法律はそういう格好にいたしております。
  67. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうすると、総合整備計画では、そういう府県の協力というものが、何か計画として具体的にその総合整備計画に付随したものとして出てくるわけですか。たとえば道路なら道路整備計画、五ヵ年計画とか十ヵ年計画でございますね、そういうものとの関連で、この整備計画というものがきちんと立てられる、そういうことになるわけですね。たとえば何年になるか、やはり三年になるのかもしれませんけれども、三年のものなら三年で総合整備計画というものを市なら市が立てる。その総合整備計画の中に、やはりこれはまさに総合ですから、従って県の公共施設というもの、たとえば県道なら県道というものが含まれるわけですね。形の上ではこの総合整備計画から抜けるけれども、付随の計画として、やはり一体となって、総合整備計画と言えるような形のものにするという構想なんですか。
  68. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 そういう希望を持っております。そういう希望のもとに市町村も府県に協議してもらいたいし、自治省としても府県に承認をしてもらいたい、こういう考えでおります。
  69. 松井誠

    ○松井(誠)委員 この総合整備計画は、先ほどのお話のように、やはり三年ということで指導される計画なんでしょうか。
  70. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 おおむね三年以内に完了できるような計画にしてもらいたいということは、行政指導として言うつもりでございす。
  71. 松井誠

    ○松井(誠)委員 この地域指定というものの基準がきまって、総合整備計画というものが具体的に現地で取り組むというのは、およそいつごろになる見通しですか。
  72. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 本案が成立いたしますと、早急に関係の政令、省令等も定めまして、なるだけ早く地方団体の方に連絡をいたしたいというふうに考えております。市町村が自分で計画を立てたりしなければなりませんので、その計画を作ったりするためには、何カ月か猶予を置いて申請の期限を定めざるを得ないんじゃないか、こう思っておるわけであります。
  73. 松井誠

    ○松井(誠)委員 最後に一点お伺いしたいのですが、離島振興法との関係なんですけれども、離島振興法といえば補助率が高い。従って、そういうところは——先ほど離島必ずしも辺地ではないというお話でしたが、それは確かにその通りだと思いますけれども、しかしまた離島の中に辺地が多いことも事実なんです。離島は離島振興法という特別なものがあるから、辺地というものはなるべくそれ以外のところに重点を置く、そういうお考えではもちろんないわけですね。
  74. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 その通りであります。      ————◇—————
  75. 園田直

    園田委員長 地方交付税の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行ないます。通告がありますのでこれを許します。山口鶴男君。
  76. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 時間もだいぶ経過をいたしておりますので、手短かに要点だけをお尋ねいたしたいと思います。  まず前回の委員会におきまして、国が二七%ばかり公共投資をふやしていく、この公共投資が二七%もふえておるわけでありますが、はたして国が公共投資において補助金として見込んでおるこの見込みといいますか、単価、あるいはその算定の根拠、こういったものが妥当でないんじゃないか。もしそれが妥当でないといたしますならば、三分の二補助、三分の一当該自治体のいわば経費で資金を充当して、事業を進めるという形に形式はなっておっても、現実には地方自治団体では、二分の一以上のものは、純県費なり市町村費を充当しなければならぬということになれば、当然自治体の財政の自主性をそこない、また自治体の財政運営の弾力性を著しくそこなう結果になるのではないかということを御指摘申し上げたのでありますが、幸い本日は文部省、厚生省、建設省各省の方がお見えでございますので、そういう国庫支出金、いわゆる補助金の算定の根拠についてお尋ねいたしたいと思う。  建設省の住宅建設課長さんがお見えのようでございますのでお尋ねをいたしますが、公営住宅の、昭和三十七年における第一種の公営住宅、第二種の公営住宅、その中には木造もあり簡易耐火構造もあり、簡易耐火二階建もあり、中層耐火構造もあるようでありますが、一々聞くことは時間もないのでやめておきますが、第一種の公営住宅の木造、東京都における主体工事の単価は幾らであり、付帯工事は幾らであり、工事費としては幾らであって、それは坪当たり幾らになるか、また用地取得費については幾らであって、坪当たりの用地取得費は何ぼであるか。これを東京都及び東京都以外の、たとえば地域区分はイ、ロ、ハ、ニ、ホとなっておりますが、通常の中層が入っておるホの場合の単価は一体幾らであるか、木造並びに簡易耐火構造平家建について単価をお知らせをいただきたいと思う。それから昭和三十六年よりも一体何%伸びておるか、この点も一つお聞かせを願いたい。
  77. 尚明

    ○尚説明員 実はお尋ねの詳細な地区別の単価の作成は目下作業中でございまして、まだ計算は全部できていないわけでございますので、それぞれの地域別はまだお答えできるまで作業が進んでおりませんので、平均で申し上げるよりいたし方ないと思っておりますが、予算といたしまして三十七年度につきましての第一種木造、これは規模が十一坪でございまして、主体工事が三十四万一千円、それから屋外付帯工事費が三万七千円、用地費が九万円、合計四十六万八千円となっております。それから同じく簡易耐火構造平家建が十一坪で主体工事費が四十万四千円、屋外付帯工事費が三万七千円、用地費が十二万円、合計五十六万一千円になっております。これは昨年に此べますと、木造におきまして一九・三%値上げされた価格でございます。それから簡易耐火構造平家建におきましては、一四・九%工事費が値上げされている単価でございます。なお用地費につきましては全部一九%値上げされた単価でございます。先ほども申し上げましたようにこれが全国平均でございまして、目下これを地区別の差額によって開く作業をやっておりますが、それはまだ決定しておりません。
  78. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 第二種の簡易耐火構造平家建の単価は幾らですか。
  79. 尚明

    ○尚説明員 第二種の簡易耐火構造平家建は規模が九・五坪で、主体工事費が三十四万五千円、それから屋外付帯工事費が三万二千円、それから用地費が六万四千円、合計四十四万一千円になっております。
  80. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 用地の取得費は九万円なり十二万円という単価でございますが、これは坪幾らということになるわけですか。
  81. 尚明

    ○尚説明員 これは実際の基準を、詳しいところを忘れましたけれども、大体木造で四十五坪から五十坪くらい使います。それから簡易耐火構造平家建で三十五坪から四十坪くらい、約四十坪くらい使います。大体それで割ったぐらいの価格になるわけであります。
  82. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると坪平均二千円くらいということになりますね。こういうもので自治体が、用地が、この単価で取得できると思いますか。
  83. 尚明

    ○尚説明員 御承知のように最近の用地の値上がりは非常に著しく、端的に申し上げましてこの価格基準では用地の取得は困難でありまして、地方公共団体がさらにそれに加算をいたさなければ、一般的には不可能じゃないかと思います。
  84. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それから木造建築が第一種におきまして三十四万一千円、坪数は十一坪というお話でありましたが、この場合の大工さんの人夫賃は日当幾らで組んでおられますか。
  85. 尚明

    ○尚説明員 私どもが予算のときに積算いたしますのは、大体前の年の六月ころのでございまして、そして資料は大体時価であれしております。経済調査会の資料に基づいて積算いたします。それによりますと、大体その当時九百円から千三百円となっておりますので、一応の積算はその中間千円くらいで組んだものと記憶しております。
  86. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それは平均ですね。そうすると地域によっては千円よりも高いものがあり低いものがある。私が指摘いたしましたような区域別で言いますと、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘとあるからホは下から二番目でしょう。この下から二番目の地域にどういうものが入っているかというと、関東あたりを考えれば、小田原から藤沢、高崎、前橋、浦和、大宮、市川、船橋、千葉、甲府こういうところがみな入っております。これはイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘのホですから下から二番目、そうすると千円よりも下ということになるでしょう、そうですね。ところがこういう地域でそれじゃ千円以下九百円とか八百円という日当で、現実にそういった人たちが使えるかということは、どう考えますか。
  87. 尚明

    ○尚説明員 これはお答えするのに二つのあれがあるのでございますが、まず初めに地区別の問題でございますが、御指摘の通りに最近におきまして、大都市の周辺は、ほとんど大都市と変わらないように価格が上がっている種類のものが多くなって参りましたので、これは毎年のことでございますが、調査をいたしまして、地区変更をいたしております。小田原はどうだったかちょっと記憶いたしませんが、三十七年度にはかなり大都市周辺の地区を格上げするという処置をとる予定にいたしております。
  88. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると三十六年では地域を変えたわけですか。
  89. 尚明

    ○尚説明員 三十六年のときには、ただいまの地域でやっております。三十七年の事業実施にあたって今回変えようと思っております。
  90. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 小田原はホですよ。どういうところを変えるのか知りませんが、大宮とか小田原なんかを上げるのか知りませんが、上げたところが平均単価が千円なんでは、幾つかの部分を上げたところが、当然今申し上げた前橋とかあるいは甲府とか高崎、岐阜とかたくさん入っております。県庁所在地はみんなホに入っております。そういうところが平均より高くなる気づかいはないのであって、そうしてみればやはり私は実情に即さぬと思うのです。  そこで自治政務次官にお尋ねをしたいと思うのでありますが、公営住宅一つとっても用地取得費については坪二千円。大上政務次官も現在の地価は十分御存じだと思うのです。そういうもので予算単価をお組みになっておる。三分の二国が持つという建前にはなっておるけれども、これで補助金が流れた場合に二千円の補助単価で用地が取得できるはずがありません。それから建築費についても今お話があったように、実情に即さぬことは、これはよくおわかりだと思う。とすれば、こういった補助金を流すことによって、地方財政計画上は単独事業費が幾らあるというふうに計算上なっても、そういう補助単価はどんどん公共事業をこなすために食われるじゃないですか。こういう点について自治省としてはどうお考えなんですか。
  91. 大上司

    ○大上政府委員 実情はお説の通りでございます。従いまして、これの積算なりあるいは施策等につきましては、具体的に局長から説明させます。
  92. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 御心配いただいている点、われわれもまことにその通りだと思っております。基本的には国の補助単価そのものを実績に即したものに是正してもらわなければならない、そういう方向でわれわれも努力していくべきだ、こう思っております。ただ問題は、最近急激に建築費が動いておるようでありまして、そういう過渡期にあるものだからやむを得ない点もあるのじゃなかろうか、こういう気持も持っておるわけでございます、しかしながら、基本的にはそれを是正してもらうのが根本だと思っております。  なお、地方財政計画の単独事業の分量というものが、こういう面からしわ寄せを受けて多くなっているということも事実であります。従って単独事業そのものをある程度弾力ある運営ができるよう増額していかなければならないと思うわけであります。若干基本是正など、実績と計画との食い違いを是正するために、そういう方式をとっておるわけでありますけれども、そういう点につきましても今後なおわれわれ検討を続けて必要な是正を計画の上にも加えていきたい、こう思っております。
  93. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 今度は文部省の方にお尋ねいたしたいと思うのですが、小中学の老朽危険校舎の改築に対する補助金がございますね。小学校、中学校、それが木造それから鉄筋それぞれ分かれていると思いますが、坪当たりの単価は幾らでございますか。
  94. 井内慶次郎

    ○井内説明員 小中学校危険建物の改築の補助金につきましての単価でございますが、三十七年度予算におきまして、鉄筋六万二千円——坪当たりでございます。鉄骨四万八千円、木造三万二千五百円でございます。  なお御承知のことでございますが、公立文教関係の単価につきましては、同時に鉄筋、鉄骨、木造の割合というものが非常に問題でございまして、その割合が、三十六年度予算におきましては鉄筋、鉄骨が六〇%で、木造が四〇%でございました。それに対しまして三十七年度におきまして、鉄筋、鉄骨分を一〇%ふやしまして、鉄筋、鉄骨七〇%、木造三〇%ということにただいま積み上げておるわけでございます。  なお、実際に執行いたしますときに問題になりますのは、結局鉄筋、鉄骨、木造の単価とただいま申し上げました構造比率と、両方の積のような形に相なるわけであります。三十六年度予算と比較してお考えいただきます際に、三十六年度は鉄筋が五万六千二百円で、鉄骨が四万二千九百円、木造が二万七千二百円で、単価も三十六年度は低かったわけであります。ただいま申し上げました単価と構造比率の積のようになりますので、鉄筋、鉄骨、木造を突っ込みました平均単価で考えますと、三十六年度予算が四万二千六百五円でございまして、三十七年度予算が五万三百五十円、一応かような積算に相なっております。
  95. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 単価を若干是正したといいますが、木造で今坪当たり四万円以下で市町村において校舎を建てろといっても、それは現実において非常に無理だということは文部省だってお考えでしょう。それでできるなどと文部省がお考えになったら、私は文部省は一つ地方に行って見てきてもらいたいと思うのです。(「直営でやったら……。」と呼ぶ者あり)御指摘があったように直営でやれば一番いいのですが、現実には直営でやらぬので、その実情をよく見てもらいたいと思います。  いま一つ、小中学校の建築で問題なのは、生徒一人当たりの坪数です。この坪数が十年一日変らぬでしょう。大体現在の基準坪数というものは、終戦直後非常に物資がなく、自治体も窮迫しており、財政も窮迫な時代に作られて、その後基準坪数を直したという話は私は聞かないのでありますが、現在文部省ではやれ職業教育をやれとか、やれ理科教育を振興しろとかいろいろ言って、そういうものについて若干補助は出しているようですが、学校の建築にあたって、そういった特別教室というものを含めた坪数を計算しておらぬでしょう。そういう形で坪数にも無理がある、基準単価にも無理がある。しかも昭和三十七年度の地方財政計画を見れば、確かに生徒の伸びは減ったかもしれません、単価はふやしたかもしれませんが、文教施設国庫補助金というのは昨年より一銭もふえていませんね。こういった生徒が少なくなったときに、学級当たりの生徒数を減らすということをやると同時に、いま一つは基準坪数を是正をする、単価を是正をする、そして地方で建築する場合の実情に合うようにすることが私は必要だと思うのです。そういうところに不備がありますから、現実にはどうなるかといえば、学校を作るときには、市町村が苦しいから、割当の寄付がいけないとは言っても、割当と同じような寄付を住民にかける、こういう現実があることは文部省も御存じだと思うのです。どうですか、この基準坪数、建築単価、それから本年度のそういった単価はいじったけれども、全体の文教施設の補助金は一銭もふえていない。そういうことがいわば住民負担というものにどうはね返ってくるかということについて文部省考えたことがございますか、お聞かせ下さい。
  96. 井内慶次郎

    ○井内説明員 第一点の基準坪数の点でございますが、ただいまお話がございましたように、ただいま用いております小学校〇・九坪——一人当たりでございます。それから中学校一・八坪、この基準は昭和二十八年ないし二十九年当時作られました基準でございます。その後学習指導要領の改訂等がございまして、ただいま御意見ございましたように、二十八年、九年当時に考えておりました特別教室の必要面積は客観的に現実変わってきております。このための基準改訂はまさに焦眉の問題と存じております。それで三十七年度から基準改訂をということで努力いたしたわけですが、全面的に実現を見なかったわけです。そこで三十七年度にただいま考えておりますのは、小学校の理科、それから中学校の理科と技術家庭科のうちの技術科、総合工作室というようなものにつきまして、特別教室を整備する予算が今積み上がっておるわけでございますが、その執行にあたりましては、現行法におきまして、事情があります場合には、〇・九坪ないし一・〇八坪の基準に対しまして、二割増しの特例計算をするということになっております。三十七年度におきましては二割増し特例計算の制度をフルに活用して参りたい、そういう考え方でおります。それから全般を通じまして単価それから構造比率、それからただいまの基準、そういった点におきまして現実とのズレがございまして、それが市町村の方への負担になっておりますことは御指摘の通りだと思います。この点是正して参らなければならないわけですが、現実問題といたしまして、一番ズレが出ておりますのは、先ほど申し上げました鉄筋、鉄骨、木造の割合ではないかと私、思っております。これは昭和三十四年度から第一次五ヵ年計画を策定いたしまして、三十四年からスタートいたしたわけでございますが、そのときに鉄筋、鉄骨五〇%、木造五十%という、半々という原則で三十四年からスタートしたわけでございます。当時におきましては、五〇・五〇というのはそれほど現実と離れていなかったわけなんですが、その後特に伊勢湾台風災害、第二室戸台風の災害でございますとか、学校の鉄筋化の要請と申しますか。市町村の要望が非常に高まって参りまして、ただいま申し上げましたように、五ヵ年計画を改訂しまして五○を六〇ないし七〇に引き上げましたけれども、現実はそれをはるかに上回るような状況になっておりまして、そのために先ほど申し上げましたように、単価と構造比率の積が現実の配分に相なりますので、その点におきましても市町村の方に十分な負担金を差し上げるという形に相なっていない。それから基準問題につきましても、ただいま申し上げましたように特に特別教室の問題という点から考えまして、本年は理科と技術科について、ただいま申し上げましたような措置で何とか切り抜けて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  97. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 文部省は、一方では教科課程の改訂等をやりまして、特別教室を作らなければできぬようなことを大いに慫慂いたしておる。一方で建物の方ということになると、そういうものに対する考慮が全くないとは言いませんけれども、今のお話にありましたような、ほんとうにスズメの涙程度配慮しかしていない。こういうところに現在の文部省行政がどうもちぐはぐで、どうかしているのじゃないか、さか立ちしているのじゃないかという感じを受けるわけであります。  それはそれといたしまして、高等学校のことをちょっとお尋ねいたしたいと思うのですが、今年度の高等学校急増対策に対する財源措置、交付税九十一億、起債五十億、補助金が十三億ありますから、百五十四億の問題でありますが、これについて、文部省は生徒の増というものをどう考えておるのですか。私どもが聞いたところでは、昭和三十五年当時のいわゆる入学率が五九・二%、それがそのまま動かないものとして、そうして生徒の入学希望者の増を五九・二%という入学率を押えて、そうして生徒の数がふえますので、その率でもってふえる割合を計算をして、全国で百二十三万人程度ふえる、こういうふうに見ておるようでありますが、現実にどこへ行ってみてもわかると思うのでありますが、高等学校に入学したいという希望者、そういうものは一定ではなくて、ずっと見ていきますと、戦後非常に低かったものが、だんだん増加をしている。三〇%だったのが四〇%になり五〇%になり、大体一年に二%ずつぐらい率が上がっている。そういう現実を全く考えていないようですね。   〔委員長退席、高田(富與委員長   代理着席〕  そういうところにそもそも、ふえるべき生徒の押え方に非常に問題があるように思います。大体、文部省の方では、昭和三十五年当時の入学率で、その後志望者の率というものはふえぬ、それでけっこうなんだ、それに高等学校入学対策なんというものはそれでいいんだ、こういうようにお考えなんですか。どなたが所管だかわかりませんが、お答え願いたい。
  98. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 ただいま御指摘ございましたように、私ども昭和三十八年度の入学率をとります場合に、昭和三十五年度の五九・九%という数字を一応とっております。ただいま御指摘ございましたように、最近二、三年は中学校の卒業生の変動もございまして、二%程度進学率が伸びておるというような事実もございますが、さらにさかのぼりまして、五年ないし七年の間の進学率の状況を見ますと、中学校の卒業生の増しておりますときには入学率は減るというふうな傾向も逆にございます。そういうような点から申しまして、特に昭和三十八年度は、従来二百万以下であった中学校の卒業生が二百五十万人以上というふうな急激な増加の仕方をいたしますので、それに対する高等学校に進学する者の率も、私ども一応わかっております最近の最も高い入学率、すなわち三十五年度の五九・九%というものを一応目安に置いたわけでございます。なお昭和三十八年度は六〇%でございますが、昭和三十九年度は六一・三%程度昭和四十年度は六三%程度というふうに漸次入学率を引き上げまして、昭和四十五年度におきましては七二%程度を確保したいというふうな構想でもって進んでおります。
  99. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 若干は上げているようでありますが、どうもやはりこの率のとり方自体に私は問題があると思います。議論は時間がありませんからやめたいと思いますが、しかもこれは私立でもって三分の一以上こなして、公立でもって三分の二こなす、しかもその内訳を見ると、新築、増築でもってこなす分のほかに、ある程度教室によけい生徒を入れて、すし詰めでもってこなせということも相当程度見込んでおるようですね。そういうところに、生徒数の押え方自体に問題があり、またこのふえた生徒をどういうふうな形で入学難を解消していくかという、解消の仕方にも私は問題があると思うのでありますが、現実に昭和三十八年度百五十四億の財政措置で十分だと思っているのですか。大体全国の都道府県で高等学校急増対策のために現在組んでおります予算は五百億をこえておるということは、文部省御存じですか。
  100. 井内慶次郎

    ○井内説明員 先般知事会の方で、各都道府県におきます当初予算の大体の数字を取りまとめまして、御連絡をいただいております。その中で一般校舎でございますとか産振施設、一般設備等いろいろございまして、それぞれの所管のところにおきまして、その数値につきまして、各都道府県の教育委員会を通じまして、私の方で一応考えておりました数値とどういう関係になっておるか、ただいま検討いたしております。最終まだつかんでおりませんが、事業量の問題と金額の問題二つあるわけでございます。二つあると申しますのは、単価、構造比率の問題でありますが、事業量の問題につきましては、ただいまのところ、先般閣議で一応報告を御了承をいただきました計画事業量というものがあるわけでございます。それと各都道府県で当初予算で大体計上に相なる予定の事業量、このズレは不交付団体におきまして、既設校に入れる予定のものが新設校を作ってそちらに入れようという計画が最近若干ございます。不交付団体につきましては、明らかに私たちが考えておりましたときに基礎にいたしました計数よりずれがございます。交付団体につきましては、事業量としては一般校舎の問題でございますが、それほどのずれはただいまのところ来ていないのではないかと思います。ただ金額問題となりますと、先ほど単価、構造、比率の問題がございますし、それに各都道府県に予算措置をいたしますときには、付帯工事プラスアルファの設備等も入る場合もありますし、予算の積算の仕方で若干のずれもございます。事業費の方はしばらく時間がかかると思います。事業量につきましては、一般校舎についてはそれほど来ていないではないか、かように考えております。
  101. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 時間もありませんから、範囲をしぼってお尋ねしたいと思うのですけれども、交付団体では事業量自体はあまり変化はない。私はそういうことも承知いたしておりますが、建築の単価、そういうものについては非常に開きがあることは文部省御存じの通りですね。それで結局、それが小中学校の建築単価として提供したと同じような結果を、都道府県財政に影響を与えておると思うのでありますが、過般、大上政務次官にお尋ねをいたしましたら、地方財政法の二十七条の二でありますか、三でありますかによりまして、文部省としては都道府県市町村に対して県立学校の建築に対して負担させることは財政法違反である、こういうことを明確に把握をせられまして、そしてこの旨文部省に対しても十分連絡をいたしておる、自治省は地方財政法の運用に対して責任がある。自治省としての見解を文部省にははっきり述べてある。こういうふうに明確な御答弁をせられたのでありますが、現実に今申し上げたような単価のずれもあり、今までの長い間の習慣みたいな、悪習みたいなものがありまして、現実にははなはだしいところは四、五割、少ないところでも三割、そういった負担を市町村にかけておる。こういう現実があるということは文部省も御存じだと思うのです。そういうことについて、自治省からこれは財政法違反だという連絡があって、これについて文部省はどう考え都道府県の教育委員会に御連絡、御指示をいたしておるのですか。その点を一つお聞かせいただきたい。
  102. 井内慶次郎

    ○井内説明員 ただいまの点、非常に基本的な問題でございますので、私からお答弁申し上げるのもあるいは適当ではないかと思いますが、私の存じております点では文部省といたしまして、特に都道府県立高等学校が、その発足以来臨時的経費でございます土地、施設費につきまして、従来の実績で申しますと、大体三〇%前後のものを毎年負担をしてもらって、今日までやってきたというケースがございます。そういうケースを基礎に考えまして、特に急増対策が行なわれて参ります三十七年以降におきまして、これを何とか是正していかなまればならないということを考えておりまして、この点自治省の方にそういう希望を持ち、そういうふうにぜひお願いいたしたいということで連絡をとっておるところでございます。  都道府県の教育委員会に対しまして、その点どういう明確な指示なり指導をいたしておるかというお尋ねでございますが、この点につきましては、都道府県立の高等学校の財源措置等は知事部局の方で一括やっておられますし、私の方といたしましては、都道府県教育委員会に対して特別の明確な指示をするということはただいまのところいたしておりません。それで自治省の方にこの辺の御判断なりあるいは指導方をお願いしておるということが率直な実情でございます。
  103. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 今度文部省で全国に十二校ですか、国立の工業高等専門学校を作りましたね。あの用地の取得は国でもって責任をもっていたしておるわけでございますか。
  104. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 ただいま担当の者が参っておりませんので、ちょっとお答えできかねます。
  105. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私の県では地元に、土地については寄付しろというお話のようですよ。片や高等学校の急増対策をめぐって用地の取得について今度四十億ですか、特別の起債をお認めになる、こういうような措置をとるようであります。土地についても県立学校については県が取得をする。これが建前だという方向に漸次姿勢が直っていこうとしておる。本来国が建てるべきものについて、自治体に負担をかけることはいかぬということは、しばしば議論をされておるところであります。それに対して、文部省が今度全国で十二校の工業高等専門学校を作る。これについて明らかに土地について地方自治団体にその負担をしいておる。こういうことは私は非常に遺憾だと思う。そういう問題について政務次官どうお考えになりますか。
  106. 大上司

    ○大上政府委員 先般山口委員からの文部省に対する御質問に対して、私らの方の立場を申し上げましたが、あれは機会があれば御了解を得たいと思っておりましたのですが、特に私が昨年末に次官通牒をもって文部省に申し入れたということは、ただいま御質問の中のいわゆる工業高等専門学校に対する用地その他でございます。しかし原則としてはいわゆる一般の高等学校にも当然使ってもらえると思っておりますから、特に出した理由はそこでございます。従いまして昨年参議院の文教委員会におきまして荒木文部大臣等も出られまして、私も出て参りまして、さいぜん申し上げましたような通達の通りの方針で進んでおります。
  107. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると、自治団体が工業専門学校に対して用地の取得をしいられておる場合、どうしたらいいか、次官はどうですか。
  108. 大上司

    ○大上政府委員 建前といたしましては、さいぜん申し上げたような方法でございますが、現実問題といたしましては、これはいろいろ問題があろうかと思います。たとえば一例を引きますと、建設の単価の問題につきましても、いわゆる文部省がおきめになっておられるところの鉄骨、あるいは木造、あるいは鉄筋等の坪単価が、現実と相当沿わぬじゃないかというような問題とやや似ておるといえばおかしいが、そういうふうな面から見ましても、どうしても学校数については用地が要る。その用地はわれわれの方から、建前としますと地方公共団体財政的な面から、またはその全体の税外負担というような面から、いろいろな面で通達を出しておりますが、結論的には、いろいろな面で、地方公共団体が有しておるところの土地と国有地と言いますか、こういうふうなものの交換等も一つの方法じゃないかというような考え方で進んでおります。  それでは具体的なこれの法制をどういうふうにするかというような建前からは、作業の進め方等にもより、現況から判断いたしまして、一応御要望があれば局長から説明いたさせます。
  109. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 局長、どうなんですか、自治省が文部省に対して次官通牒をもって申し入れをした、それが現実にはくずされ、そしてそのしわがどこに行くかといえば地方公共団体に行くんだ、こういうことに対して、自治省の方では通達を出したのだから面子は立ったんだ、地方公共団体は現実に負担がかかり、財政運用において困難を感じてもいいのだ、こういうようにお考えなんですか。
  110. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 工業高等専門学校の施設について、地方団体に負担をかけさせないようにするということにつきましては、政務次官がお話しになった通りであります。今日においてもそういう考え方を持っておるわけでございます。問題の解決が伸びておることは大蔵省にあるのじゃないかというふうに私は予想しておったわけであります。そういう意味で、大蔵省ともずいぶんこの問題について話し合いをいたしております。ところが、これは文部省からお話をいただいた方がいいと思うのですけれども、文部省は土地については予算要求を大蔵省にされなかったということが事実のようであります。従いまして大蔵省も予算をつけていない。そこで大蔵省側では文部省でそう言ってないということで私どもの方に連絡があるわけでありますが、四つの学校については国有地があるということでございます。そうすると、あとの学校についてどうするかということでございます。私は国有地と、地方団体が一応用意をいたしました土地との交換を考えたらいいのじゃないだろうかという意見を述べておったわけでございます。その後大蔵省側としては、他の学校についても国有地を物色している、必要があれば三十八年度で予算措置をしてもいいということも言い切ってよろしい、こういうことも言っておられたわけでございまして、その辺の問題につきましては、文部省がどういう態度をとるかによってきまってくるのだと思うのでございます。いずれにいたしましても、地方財政法なり地方財政再建促進特別措置法なりの規定の趣旨からいいまして、工業高等専門学校に地方団体が土地を寄付するということはできない建前になっておると私は理解しておるわけであります。できる限り負担区分を守って、それぞれの団体が必要な予算措置を十分にやっていただくということが大切なことだと思っておるわけでございます。税外負担の解消なり、財政秩序の確立なりを強調している自治省といたしましては、国においてもそういう精神で範を示してもらいたいという希望を強く持っておるわけでございます。   〔高田(富與委員長代理退席、   委員長着席〕
  111. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 文部省が工業専門学校十二校、いかに全国誘致運動があったにしろ、地方財政法の建前をくずして、用地取得について予算要求せずにおるというような態度に私は問題があると思いますが、担当の方がお見えにならぬようですから、これはまたあらためて御質問するにいたしまして、やめておきたいと思います。  時間もありませんから、厚生省の方がお見えでございますのでお尋ねをいたしますが、国民健康保険の運営について、現在市町村が非常に苦心をしておることは御存じだろうと思います。また国民年金の運営につきましても、東京都を例にとりますと、区で扱うわけでありますが、区で国民年金事務を扱うのに十分な国からの補助金がこない。やむを得ず都が区に対して年金事務を取り扱うための経費を、相当額交付をしておるという事実がございます。同じような意味で、全国の市町村におきましても事務費が足らない。都の場合は都が区に資金を流すということで、建前からいえば不当でありますが、解決する道がないではありませんが、市町村の場合は、都道府県がその事務を見るなんということはしないわけでありますから、当然この事務費の不足の場合は、一般財源から充当して、やむを得ず年金事務を進める、こういう事態が起きてくることは必然だと思います。特にはなはだしいのは国民健康保険でありますが、国民健康保険に対して、市町村が一般財源から繰り入れをするという額が、相当額に上っているということは私は明らかだと思う。この点、自治省と厚生省の方に伺いたいと思うのですが、昨年私は、国民年金事務について、自治体が幾ら国の補助金が足らなくて財源補てんをしているかということを、全国的に一つ調査してもらいたいというお願いをしておきましたが、調査をいたしましてどういう結果が出ましたか。また国民健康保険について、全国でどの程度の、一般財源からの繰り入れを現に行なったケースが出ておりますか。またこれに対して、本来は国の事務であるのに、全額事務費を流さないということは法令違反です。それについて厚生省当局はどう考えておるか。また国民健康保険について一般財源からどれだけの繰り入れを市町村がやっておるかというふうに状態を一応把握しておられますのか。これが解消のために、どういう具体的な方法を現在お考えになっておりますのか。あわせて一つ自治省、厚生省から御答弁を聞きたいと思います。
  112. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 三十五年度の実績で、国民健康保険会計へ一般会計から繰り入れました額が、東京都の問題を含めまして四十八億円でございます。なお国民健康保険の事務費の国庫負担が十分でないが、どの程度になっておるかというお話でございましたが、この点につきましては、抽出調査の数字でございますけれども、五十四団体を調べたところでは六六%余りというような数字になっておったわけでございます。ただ事務費の国庫負担の額につきましては、地方団体がどういう職員をそれに振り向けるかということによって変わってくるわけでもございますので、そのときの事情によって、この六六%にしか当っていないということが、即国庫負担額がそれだけ不足しておるのだ、こういう判断にしていいかどうかということについては問題があろうかと思います。  国民年金の部分につきましては、今ちょっと資料を持っておりませんので、後日お答えをさせていただきます。
  113. 鈴木正信

    ○鈴木説明員 国民健康保険の一般会計繰り入れの額でございますが、ただいま財政局長からお話しになった通りであります。ただ市町村の一般会計繰入金の額を申し上げますと、東京都のものを除いて申し上げますと、昭和三十五年度におきまして決算額で三十六億四千百四十九万五千円。なおこれを被保険者一人当たりの金額にしてみますと、三十二年当時には百十七円でありまして、三十三年に九十六円、三十四年度に八十一円、三十五年度に八十円ということで、一般会計繰り入れの一人当たりの金額そのものは低下しておるという傾向になっております。
  114. 坂元貞一郎

    ○坂元説明員 国民年金の問題について申し上げたいと思います。仰せの通り国民年金の場合における市町村に交付します事務費の問題につきましては、国民年金制度ができまして以来私ども最も心を砕いておる問題の一つであります。確かに市町村等に若干の自己負担と申しますか、持ち出し分を見ておるということは事実でございます。私どもといたしましては、三十五年から三十六年、さらにまた三十七年度、逐次そういった市町村当局の持ち出しというものを解消するという努力をいたしておるわけでございます。現に三十五年度は十八億くらいの事務費の交付金でありましたが、三十六年度になりますと二十九億くらいになっております。それから三十七年度になりますと三十億五千万円という工合に、逐年額もふやして参りまして、この差額を解消していこうという努力をしております。昨年、お尋ねの国民年金の事務費について実態調査をいたしたわけでございますが、その実態調査の概略を申し上げますと、私どもの方で全国三千五百の市町村のうち、実地に調査したのが約七百二十ヵ町村くらいございます。残りの二千八百くらいの市町村については、県の段階及び国の段階で書類による実態審査をいたしたわけでございます。その結果出て参りました数字としましては、全国平均いたしまして七四%の交付率と申しますか、実際に市町村が使いました予算額に対しまして、国の方から、事務費の交付額としましてお渡ししましたのは七四%に相当している。これが三十五年度の決算の審査の結果でございます。三十六年度の決算につきましては、ただいま府県の方で審査しまして、逐次本省段階に上がってきておりますが、まだ最終集計しておりませんけれども、見通しとしては約八割程度いくのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。これが明年度になりますと、額もまたふえて参りましたし、かなりこの八〇%というものが上がっていく、こういうような次第でございまして、国民年金の事務費につきましては、逐次、地方財政法の建前もありますので、市町村の地元負担額というものと国の交付額との差額を、できるだけ早い時期に解消していきたい、かような努力を今後もいたしていきたいと考えておるわけでございます。
  115. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 自治省にお尋ねをしたいと思うのですが、こういった国民年金のような国の事務というものについて、ただいまもお話がありましたが、七四%の交付率であるとか、これがその後改善せられて八〇%になるだろう、こういうような形で、いつまでも事務費の一部を自治団体の負担にまかせておるということは、現在の地方財政法の法令の建前からいって間違いであると思っているわけですが、なぜこういうものについて、自治省としては自治団体の希望、財政秩序の確立という観点から、完全にこういう事務費等については国が予算措置をするという建前を推進いたさぬのでありますか、やっているのだけれども十分いかぬということなんですか。こういう状態に放置せられることに対して、自治省のお考えを次官でも局長でもけっこうでありますから、お聞かせ願いたいと思います。
  116. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 地方財政法その他の法令の精神に即して、国が負担金を支出していく、これは当然でございまして、自治省としては相当の努力を払って参ってきておるつもりでございます。厚生省と力を合わせまして、大蔵省に対しましていろいろと強い主張を繰り返しておるわけでございます。またそれが若干ずつでも効果は現われてきている、こう思っておるわけでございます。しかし、これで満足しているわけではございません。ただ実際問題として、給与費の全額を国庫負担すると同様な金の出し方があるだろうかということになってきますと、かなりむずかしい問題だと思います。私たちがそういう議論をする場合に、大蔵省側がしょっちゅう私たちに言いますのは、かりにその人については国が全部持つのだ、こうした場合に、高齢者をみんなそちらに回してしまうのじゃないか、現実に事務をとっていない者に高給者を回しているのじゃないか、こういうことも言うわけでございます。そういうようなことをしているから給与費が不足しているということじゃございませんけれども、大蔵省側がそういうことを言うのも一つの理屈ではあろうかと思うのであります。そうしますと、どういうような方法をとることによってこういう問題を全部解決できるのだろうか、一つの問題点だろうと思います。今のような姿のままでいいのか、この際制度を改正して、何か違った方式でいくのがいいだろうか、これは問題点だと思います。一方においては、地方財政法の精神に即した国庫負担の支出額の措置を主張しながら、他面では、何かもっとすっきりした方法がないものだろうかということを議論しているところでございます。
  117. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 国民健康保険課長さんにお尋ねするのですが、計数によれば、被保険者一人当たりの一般会計からの繰入金額というものは、漸次落ちてきておるというお話であります。けっこうなお話であります。しかし現実に市町村の自治団体へ行ってみますと、国民健康保険の国庫補助金の中に調整金というものがありますね。あの調整金は、一定の保険税の徴収実績に達しませんと調整金をやらぬという制度になっておる。だから市町村としては無理をして保険税の徴収実績というものを上げていく。だから上がらなければ決算の上で明確に一般会計からの繰り入れということをしなくても、決算で現われないような形で何か徴税率をよくして、調整金をもらうというような操作をやっておるということもいろいろ聞くわけであります。だから単に計数から見ていって、一般会計からの繰り入れが下がったというような形で、これはもういいんだというふうにお考えになることは、私はやはり実情に即さぬだろうと思う。もう時間がありませんから終わりにしたいと思いますが、今度の地方財政計画で、いわゆる投資的経費がふえた、そのうち公共投資の分が非常にふえた、これは地方自治団体の行政水準も上がってけっこうなことだ、こういうふうにいえばそれはそうかもしれませんけれども、具体的に検討いたしますと、たとえば公営住宅の面でも、補助単価が不利なために自治団体の負担がかさんでおる。学校建築についても同様である。高等学校入学難解消については特にそうだ。また厚生省の行なっております、国民年金事務あるいは国保の運営、こういうものについても、結局国の施策が不備のために、地方自治団体がいろいろな財政的な問題で苦労されておる。従って単に公共投資がふえ、投資的経費がふえたから、住民の福祉は向上するだろうというような、一面的な見方でこれを見ることは非常な誤りであって、問題は地方財政に大きな影響を与えておる公共投資、その補助単価あるいはその基準というものを、実情に即して解決をしなければ、地方自治団体の財政というものは決してよくはならないんだということを、関係の方々によく御理解をいただきたいと思うのであります。またそういう点で自治省としては、今まで努力はなさったかもしれませんが、さらにその努力を続けていただくことをお願いいたしたいと思うのであります。  最後に一つ、文部省の地方課長にお尋ねをして質問を終わりたいと思います。自治省の方にもちょっと関連してお尋ねいたしたいのですが、都道府県知事あるいは自治体の首長等が退職をいたしますときに、一般職の人たちの退職金とは別に、知事あるいは市長の場合は俸給月額にかけるところの、四年なら四年在職した場合の月数四十八をかけて、その八割なり九割なり十割を退職金として差し上げる。そういたしますと、二期、三期お勤めになった市長とか知事というものは、一千万から二千万という退職金をもらう。東京都の安井知事が退職したとき、その退職金等でいろいろ問題になったこともございますが、そういった特別職の方が退職される場合の退職金というものは、現在のような俸給月額かける在職した月数によって、何百万あるいは何千万と出すことが妥当であると自治省としてはお考えですか、これは行政局長おりませんから、次官に一つ御答弁をいただきたいと思う。
  118. 大上司

    ○大上政府委員 ただいまの問題、よく聞くことでございますので、私、いましばらく時間をおかりして勉強さしていただいて、次のおりに一つ答弁さしていただきたいと思います。
  119. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 特別職についても膨大な退職金を出すことに対して、住民の批判がいろいろあることは自治省も御存じだと思うのです。そこで私はお尋ねしたいのですが、文部省の地方課長さん、都道府県の教育長の退職金の問題です。都道府県の教育長というのは一般職ですね。ですから、退職金を出す場合は当然一般職として計算をして退職金を出す、これが当然だろうと思うんですが、お答えをいただきます。
  120. 今村武俊

    ○今村説明員 都道府県の教育長は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律で一般職ということになっておりますが、その給料は別に都道府県の条例できめるということになっております。それで各県によって取り扱いの違いがあるようでございますが、退職手当を給料の中に含めて考えるようなところと、給料ではないという考え方をするところとございます。従いまして、一般職に属する普通の職員の退職手当条例の適用さえもない、こういったような取り扱いをされている教育長があるわけでございます。そういう教育長は、退職のつど議会にかけて、議会の議決を経て出す、こういったところもございますし、また一般職と同じような扱いをするところもございます。さような実情でございますので、ただ一般職であるという身分の関係で、退職手当までも同じように一般職の職員に適用される退職手当条例を使わなければならないという結論は、直ちに導かないだろうと考えております。
  121. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 退職金も給与に含めるか。給与とは、月々のいわゆる報酬といいますか、俸給月額その他という点で、いろいろ議論はあろうと思うのですが、一体文部省としてはどっちがいいと思っているんですか。
  122. 今村武俊

    ○今村説明員 現在いろいろ説のあるところでありまして、それらの考え方をいれて、各都道府県で議会がきめてやっておられるわけでございますから、二つのやり方があるだろうと考えております。
  123. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 特別職に対する退職金を、特別に措置するということについてすら住民の間にいろいろな批判があることは、文部省も御存じだと思うんです。とすれば、いわんや教育長は一般職なんですからね、そういうものに、特別職に対してすらいろいろ批判のある割り増しの退職手当の支給に準ずるがごとき措置をやるということは、私は、住民の意思を非常にそこなうものだろうと思う。従って、何か自治体において、昨年も特にいろいろ議論があったところでありますが、特別職の給与なりあるいは退職手当等に対しても、何らか自治省として基準なり考え方を出したらいいんじゃないかという議論も、相当あったと私は記憶するのでありますが、特にそういう問題については、自治省としても住民の意思を考えて、十分な御検討をしていただきたいと思います。  また文部省の方でも、ただあれは給与について別に定めるというだけのものなんですからね。そういうものが、特に特別職がたまたまそういうことで、それに便乗して住民から非難を受けるような退職金をよけい取るようなことについては、文部省としても十分な指導、助言をなされることが至当ではないか、希望だけ申し上げて、一応終わりにいたしたいと思います。
  124. 太田一夫

    ○太田委員 ちょっと関連ですが、税外負担の件について、これは財政局長にお尋ねします。  今度の地方財政計画では、百億の税外負担の解消費が計上されておりますけれども、実際の地方の部落の実情を見ますと、大へんな金額になっているんですね。これは愛知県の碧海郡高岡町というところの実例ですけれども、そこの三十五年度の部落費というのは、町民税が一世帯当たり四千八百六十円に対しまして、部落費は六千円ということになっているわけです。それであまりにも多いというわけで、県の方にどうしたものだろうと尋ねましたところ、県の地方課においては、そういう町内会とか部落会とかの会費等は、地方公共団体ではなく、地方々々の規定している、あくまで住民の任意に組織している自治組織であり、県地方課としてはこれを指導することはできません、こういうふうに突っぱねておるわけです。同時に、その地区の地方事務所におきましてはどういうことを申しますかというと、部落費は町条例できめるものではありません。区民の総意により、区民の福祉、利益のためは最小限に出し合うのが本来の目的と思われます。だから、高過ぎるということについては、区民の善意な民主的方法で決定すべきで、意見があれば区の総会でしっかり発表してやって下さい。町に対する行政指導については、税外負担については昨年末より改善策が考慮されておりますが、機会あるごとに指導に努力しておる、こう言っておるわけです。この辺のところが県の地方課などではあまりあっさりと、私の方では指導することはできませんと言う。地方事務所になりますと、まあそれはできるだけ指導に努力しますというように、ニュアンスに少し違いがあって、親切ではありますけれども、結局部落のことは部落のことだということで、大へん税外負担の大きいものに対してでもあたたかい手が差し伸べられないという実例があるわけなんです。ことしの百億では隔靴掻痒の感でありますが、どうですか、こういうものを何とか解消するということについて、もう少し積極的な指導を県並びに地方事務所あたりはすべきではないか。このような態度ではまずいと思うのですが、その点はどうでしょう。
  125. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 部落会費の高額なところが相当にあろうかと思います。高額であることにも問題がありましょうが、私たちの立場から申しますと、より以上にその内容に問題があるというように考えておるわけであります。部落会費でまかなっておりますものが、学校の建物の費用でありましたり、あるいは消防ポンプの購入の費用であったりいたします場合は、すみやかにそういうものは徴収しないで、公費に振りかえてもらいたい、市町村費に振りかえてもらいたいという気持をもっておるわけであります。そういう方向の努力をして参りたいと思っておるわけであります。部落会費の中にはお祭りの費用でありますとか水利の費用、あるいは場合によっては懇親の会費のようなものを含んでおる場合もあろうかと思います。いずれにしても、財政秩序を確立していくといいましょうか、負担の区分を明確にしていくといいましょうか、そういうことは、今後さらに市町村住民に徹底していくような方法を一そう工夫していきたい、こういう気持を持っておるわけであります。なお部落費が高いところについては、その内容に応じて必要な指導を加えるということも御指摘のように必要なことだと思いますので、そういう点については、今後府県の指導にあたりまして留意いたしたい、かように思います。
  126. 太田一夫

    ○太田委員 大いに留意していただきたいのです。たとえば部落会と農協の集会とが一緒になってやられておるという例がある。そういうような疑いもあれば、それから地方財政力の弱いところは部落費の方でカバーする。従って、部落費の中には、今おっしゃった消防費もあれば学校費とか道普請の分担金が相当多くかかってくるわけです。こういうものがかかってきて住民税どころじゃない、部落費の方がその二割も多いということはどう考えても納得できないわけです。ある町会が出しました三十五年度の実績ですが、約千世帯ほどのものを調べた統計でも、住民税が一世帯当たり三千円に対して、固定資産税が五千円、それから部落費とPTA費を合わせて三千円になっております。これは住民税の三千円と税外負担の部落費等の三千円というのが一緒になっております。こういう実例がある。ですから住民税は非常に高い高いと言っておるが、これは法定の税でありますからはっきりしておる。ところがそれに現われない税金なんというようなものが非常にたくさんあるんですね。これを何とか抜本的に改正するためには、部落費を取ったらその会計を部落民に明らかに周知徹底するように公表するとか、その使途を明らかにして、こういうわけでここに要ったんだということさえ明らかになれば、みんながさらに関心を持つのですが、とかく部落費なんというのは、集めるときは幾らという通知がありますけれども、使ったものは通知はない、こういう実例が多い。それを地方事務所が、つっぱねてしまいますと、ますますそこに一切の隠れみのができ上がりまして、地方財政のしわ寄せの最後は部落のところへいっちゃう。それは大へんだと思うのです。ぜひともこれは、今おっしゃったように積極的な指導をするという気持がなければ、やはり地方財政法そのものの生きた運用ということにならぬと思いますね。これはぜひ心がけていただきたいと思うのです。そういう点は、次官、大臣にかわってお約束していただけますか。指導の点です。
  127. 大上司

    ○大上政府委員 さらに具体的な事案をよく調査しまして指導いたします。
  128. 園田直

    園田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会