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1962-03-02 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二日(金曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員   委員長 園田  直君    理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    小澤 太郎君       久保田円次君    田川 誠一君       永田 亮一君    前田 義雄君       山崎  巖君    安宅 常彦君       門司  亮君  出席政府委員         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君  委員外出席者         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君     ————————————— 三月二日  住居表示に関する法律案内閣提出  第一一一号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する等の  法律案内閣提出第九七号)      ————◇—————
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし審議を進めます。  質疑を行ないます。通告がありますのでこれを許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 きょうは大臣おいでになっておりませんので、一つ政治的の答弁については、あとでまた大臣おいでになったとき聞くことにしたいと思います。  今度出されておりますこの地方交付税法の一部を改正する等の法律案提案理由説明の中から、私どもの納得のいかない点を二、三聞いておきたいと思います。  一つは、提案理由説明の中にあります問題で「明年度は、国税三税の増加や本年度からの百億円の繰り越しによって、地方交付税総額も相当増加いたしますので、この際関係」こう書いてあります。基本単位というようなものは、こういう、ことし百億繰り越したから、すぐに来年配分基本である単位を変えなければならないというような、いいかげんなものであってはならないと思う。同時に、ことし、三十六年度に使わるべきものを、三十七年度に回して使うなんていう特例法をこしらえて、そのこと自体についても問題があるが、しかしそれだからといって、私はこういう単位費用を上げるということは、いささかどうかと思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
  4. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三十七年度限りの増加であり、必ずしも単位費用を恒久的に上げるという実態でもないという場合には、そういう理屈で、単位費用を引き上げますことは御指摘通り穏当でない、こう思うわけであります。ただ、来年ふえますが、同時に引き続いてその財源を三十八年度以降においても維持できる、こういうような見通しがありますので、あえてこういうような書き方をいたしておるわけであります。
  5. 門司亮

    門司委員 その辺がおかしいですよ。毎年こういう形で繰り越されては実際上困るのです。その年の分はやはりその年に使って、当然、一年おきに繰り越される分は、当年の分は大体これくらいあるというなら話は幾らかわかりますが、この点については、今のような答弁だけで納得するわけにいかぬのでありまして、もう少し確固とした財源というものが地方にあるというときに、初めて単位費用というものは動かすべきであるという方針は貫いてもらいたい。こういう場当たりでやっていると、毎年々々ふえたり減ったりしていると、ふやしたり減らしたりしなければならぬでしょう。量が多い少ないにかかわらず、そういうものが出てくる。そういう一年限りの繰り越しなんてもので作業さるべきものではないと私は考えておる。  それからもう一カ所、この問題で聞いておきたいと思いますことは、あなたの方の提案説明書の八ページにありますが、例の高等学校の増設が行なわれる。従って、これに対する明年度整備事業費総額百五十四億を見積もるというようなことが書いてあります。これはこの通りだと思う。しかし、これもいずれも臨時的な経費であって、恒久経費とは言えないと私は思う。なるほど来年はこれだけの金が要るかもしれない。知事会は千五百億なり千六百億の金がもらいたいといっておりますので、もっとなればならぬと思う。しかし、こういうものがあるからといって、これでも単位費用を変える理由にはならないと思う。一方には当てにならない、恒久性のない繰越金考え、一方においては臨時的の支出考えられるものについて、交付税の基礎的な単価を変えるなんということは、きわめて不見識だと思いますが、ほんとに場当たりじゃないですか。もう少し、変えるなら変えるように、はっきりした根拠があってしかるべきだと思う。高等学校建設なんというものは、三年たてば終わるのです。三年後になって、これの維持管理費というものは要るかもしれない。しかし建築費は三年たてば要らないのです。毎年建てるわけじゃない。交付税の算定の基礎をきめられるには、場当たりでなくて、もう少しはっきりした見通しの上で立てられることがいいのではないかと思うわけです。しかし、その点についても、どうなんです、こういう場当たり経費が出てくるからということでやられますか。ほとんど全部といっていいほどそういう形ですね。河川修理がふえたとか、道路整備五カ年計画がどうだとかいうことが書いてある。しかしこういうものは単位費用を動かす理由にはならぬでしょう。道路の幅であり、道路の長さであるということはさまっておるから、それに対する見合った単位費用を、量だけを増して上げればいいのであって、別段一坪当たりの費用をどうするこうするということには私は関係ないと思うが、その辺はどうですか。
  6. 奥野誠亮

    奥野政府委員 特定団体に限られた臨時的な経費を、基準財政需要額増加でまかなっていくということは、御指摘通り若干問題かあろうと思います。しかしながら臨時的な経費につきましても、あとう限り一般財源でまかなえるような財政状態維持していくことが適当でありますことは、申し上げるまでもないことだと思います。たまたま高等学校生徒急増対策に要しまする経費は、おおむね全都道府県について同じような状態にあるわけでありますので、やはりこういう場合には基準財政需要額増額によりまして、一般財源でその所要経費がまかなえる措置をとっておりますことは、後年度財政考える上におきましても適当なのでないか、こういう考え方を持っております。地方的な経費につきましても、全地方団体に通じて必要となっておりますものにつきましては、できる限り基準財政需要額にそれを織り込んでいって、一般財源所要財源をまかなっていくということが可能な限り、そういう措置をとった方が穏当ではないかと思っております。
  7. 門司亮

    門司委員 私はそのような考え方が違うと思う。もし一方に繰越金があり、一方に臨時的な支出があるというならば、変えるならば特別交付税配分基準を変えていった方が、地方自治体のためにはよほどよろしいと思う。そして高等学校費用についてはこういう形で出す、しかし建設が終わればそれはもとに戻さなければなりませんから、やっていくという形をとった方が、地方自治体予算計画を立てる分にも非常に役立つ。同時に地方自治体計画的な仕事をしていこうとするには、それの方がよほどよろしいのではないか。ひもつき財源はよくないとあるいは言うかもしれないが、しかし私はそうではないと思う。だからこういう臨時的な支出と思われるものについては、特交の中てれを見てあげるという形の方が親切なやり方だと思う。そうしてあとは、学校がふえたからといって、これの維持管理費普通交付税の中で見ていくという姿の方が、はるかに私はよろしいのではないかと思う。その場合には、ここに繰り越されておる百億というようなものについても、やはりことし限りで、そういう見通しがつくからといって来年度なんかどうなるかわからない。こういうことを考えるので、実は私は今の答弁にさようでございますかと言うわけにいかないと思う。むしろ配分基準を変えて、特交の方をそれだけふやすという形をとった方が、こういう臨時的の支出については私は妥当性を持っていると思うが、その点についての御答弁を承っておきたい。
  8. 奥野誠亮

    奥野政府委員 門司さんのお話のお気持は、わからないわけではないのでございますけれども、私たちとしては客観的な指標によりまして、各地方団体所要財源の高を的確に測定できる、その限りにおきましては、やはり特別交付税財源を付与いたしますよりも、普通交付税財源を付与していった方が穏当だ、こう思っておるわけであります。その経費当該年度限りのものでありましても、あとう限り当該年度基準財政需要額増額措置で処理したい、こういう気持を持っておるわけであります。たまたま三十六年度におきましては、財政状況から考えまして、旧債の繰り上げ償還を行なったわけでありますが、これも門司さんは異論のおありの問題だと思いますけれども、普通交付税で処理したわけであります。また将来、たまたま国の公共事業費が、特定費目について大幅に増額される、そういう場合におきましても、その裏負担をまかなうために、当該年度について、基準財政需要額を、その費目について特に増額するというふうなこともあり得るのじゃないかと思います。特別交付税でありませんと、うまく財源措置ができない場合がございますけれども、そうでありません限りは、私たちとしては、普通交付税で処理できるものは処理した方がよろしいのじゃないか、こういう気持を持っておるわけでございます。
  9. 門司亮

    門司委員 これは、来年の地方財政見通しを、まず一つの前提として考えなければならないと私は思うのですが、三十七年度地方財政計画というものは、非常にむずかしいときに実はきていやしないかとわれわれは考えている。従って、三十七年度地方財政に対する国の態度というものは、やはりその辺のことを十分に考える必要がありはしないかと思う。その一つの問題は何であるかといえば、財政投融資が昨年よりも非常にふえているということです。公共投資がふえているということ、従って、義務的経費が非常にふえているということです。そうすると、義務的経費が非常にふえておる関係から、地方の独自の財源というものは、大体六百億から七百億程度しかないのじゃないかということが一応考えられる。ところが高等学校の設置というようなものは、義務的経費の中に入らないのじゃないですか。どうしても地方の特別のそういう財源が必要だということで、通常の経費の中でこれをまかなうという姿が出てきやしないかと私は思う。そうなって参りますと、国は公共投資を非常にふやしておるから、それを、何が何でも、道路もやらなければならぬでしょうし、あるいは河川港湾等も国はやる方針を立てておる。そしてそこに義務的経費をたくさんとられる。一般財源の中にこういうものが突っ込んで、そうして配付されているということになれば、臨時的の経費で、非常に各都道府県知事が心配しております高等学校経費に、あなた方の考えているように、もしその費用が回らないとするならば、私は、これは問題を起こすと思う。このかね合いなのです。公共投資が非常に少ない、自主財源がたくさんあるという年なら、あるいはそういうことがいえるかもしれない。しかしことしは、地方財政にとっては最も警戒を要する年であって、しかも景気は下り坂でありますから、必ずしも税収その他があるとはいえない。特に本年度地方財政計画に対して、自治省配慮しなければならなかったことは、来年の景気が不景気であるという見通し一つと、もう一つ大きな問題は、来年は、総括的に、地方の長並びに議員の改選期であります。これは政治的に配慮をする必要がありはしないかと私は考える。改選期の場合には、私、法外とは申し上げませんが、いずれも割合に膨張した予算が組まれて、人気取りがあるものなのです。一方においては、財政の伸びが縮まるだろうということが考えられる、一方においては予算的処置を、そういう水増しのことをやりかねない、政治的にやりかねない年になっているということ、それに加えて、実際的にこういう臨時的経費というものがふえる年になっている。この三者をあわせて考えて参りますと、三十七年度地方財政計画というものは、国がよほど腹をきめて、そうしてそういう間違いのないようにしていかないと、うまくいかない。おそらく自治省通達は出すでしょうが、幾ら通達を出したって、問題は、金があるかないかということですから、そういう通達通りにはいかないと私は思う。そういうことを心配いたしますと、少なくとも国の義務的経費のものは義務的経費として、そうしてこういう臨時的のものは臨時的の財政処置をしてあげるということが、自治省としては、地方自治体には親切ではないか、そうすることが、この高等学校等建設を完全にしていくことになりはしないかというように私は考えるのでありまして、来年度地方財政見通しからいえば、大体そういうことがいえるのじゃないか、私はこういうふうに考えておるのですが、自治省はそういう点をどういうふうにお考えになりますか。
  10. 奥野誠亮

    奥野政府委員 来年度は、景気がむずかしい見通しにあるとか、あるいは地方団体の首長が改選期になるので、その財政の運営について、非常に留意しなければならないとかいう点を、いろいろおあげになりました点は、全く同感でございます。ただ、高校生急増対策のような経費については臨時的な扱いをすべきではないか、そういうお気持は、おそらく特別交付税でむしろ必要な場合には配分措置をとった方がいいということであろうかと思うのであります。私たちは、臨時的なものでございますので、あえて附則に、この部分だけの額を本来の基準財政需要額に追加するという地方交付税法改正案にいたしているわけでございます。臨時的な措置に形を整えていることについては、門司さんの意見と私の方のとっております措置との間には、食い違いはないと思うのでございます。ただ、特別交付税措置をすることがいいのか、普通交付税措置をすることがいいのかということにつきましては、先ほど申し上げた通りでございます。私は、こういう形で高校生急増対策地方団体ごと財源所要額が明確にされておりますし、また府県にとりましては深刻な問題でもございますので一般的な義務的な経費以上に、地方団体はこれに相当な財源を投ぜざるを得ないようになるのではないだろうかと思うわけでございます。そのことが、また知事会の深刻な要望にもなってきておる、そういうような意味で、私たちとしてはこのような措置が穏当ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
  11. 門司亮

    門司委員 どうもその辺は何回聞いても同じような答弁だと思いますが、自治省地方行政といいますか、財政指導について、そういうところに非常に大きな考え違いを持っていやしないかということであります。交付税については、少なくとも特別交付税制度があるのでありますから、これがただ単に、災害その他の臨時的な処置だということでなくして、これはやはりどこまでも臨時的な処置に間違いはないのでありまして、千七百億が千五百億あれば事は足りるのであって、あとは要らない。あと維持管理だけですから、維持管理の方でめんどうを見ていく、これを今度の交付税改正単位費用を変える一つ理由にされるということについては、自治省のやりかたにかなり問題がありはしないか。もしこういうことをやっていると、将来どこまでもそういうことが出てくるだろう。  同時に、さっきも申し上げましたように、ことしの財政投融資が何しろ去年よりも七百億ふえておる。そうすると、これの三分の一はやはり地方が負担しなければならないことになっているはずであります。そうなって参りますと、高等学校のところまで手が回るかどうかということについては、実際は私、疑問があるのです。だから、高等学校だけは一つ見てやるという態度が、やはりこの際自治省としては望ましかった。そして国が割合に冷淡であるなら、地方特交か何かで、どうしてもやむを得ぬところは見ていくのだという親切さがあってよかったのではないかということが考えられる。その額が、知事会の要求するような大きなものでなくても、やはり必要ではなかったかということは、さっき申し上げましたように、ことしの地方自治体は板ばさみになっている。公共投資がふえている上に義務的経費がふえている。だから財政のやりくりが非常に困難であるということであります。  その議論については、これ以上議論はいたしませんが、もう一つの問題として出て参りますものは、都市計画に対する一つ考え方でございます。ここにも市町村分については「道路及び街路、公園、公共下水道し尿処理施設等都市における施設整備に要する経費及び農山漁村における投資的経費の充実をはかるため、道路費都市計画費衛生費農業行政費及びその他の産業経済費単位費用を引き上げることといたしております。」こういうふうに書いてあります。これも私は、いろいろな物価の上がっているときに、単位費用を変えるということも必要かと考えております。単位費用がいつまでも実際に見合わない費用であってはならないと考えるのであります。これもよろしいかと思います。ただここで問題になるのは、都市計画費用であり、と同時に、日本の都市行政一つの大きなガンであって、そして今日まで未解決であり、将来に大きな問題を残すであろうと考えられる駐留軍所在市町村に対する配慮でありますが、駐留軍所在地に対してはどういう配慮がこの際されておるのか、交付税の中には全くこれを見なくてよろしいというお考えなのかどうか、その辺を一つはっきりしておいていただきたいと思います。
  12. 奥野誠亮

    奥野政府委員 基地所在地につきましては、御承知のように別途基地交付金があるわけでございます。しかし基地交付金の性格からいいまして、今御指摘がありましたような市町村財政需要に、必ずしもマッチしておると言い切れない面がございますので、そういう部面の調整を特別交付税で行なっているのでございます。  なお、自衛隊所在地などにつきましては、従来、人口から自衛隊員数等を除外して計算しておりましたのを、三十七年度からは人口に算入して計算するようにしたい、かように考えておりますので、ある程度そういう地域の基準財政需要額は増大して参る、かように存じております。
  13. 門司亮

    門司委員 私が聞いておりますのは、この駐留軍所在市町村並びに駐留軍の接収いたしておりますのは、非常に大きな数字に実は上がっております。そして私の手元に、大体全国場所と面積と建物の種類を調査したのがございます。しかしこれには、単価はまだはっきり出すところまで実はいっていないのでございますが、自治省は、おそらく例の基地交付金配分される一つ基準として、単価をお持ちになっておると思うのですが、もしお持ちになっていたら、それを一つ出してもらいたいと思います。これを一一聞いてみますと、実はたくさんございまして、神奈川県だけでもこれに書いてあるほどたくさん持っておる。全国のものは非常にたくさんある。あとでよろしゅうございますから、それを一つ出していただきたい。私がそういう質問をいたしますのは、基地所在町村というものは、特にやはり都市計画その他については、十分な配慮をする必要があるのでありますが、基地もだんだん変わっていく形を示しますし、そういう場合に税収その他に非常に大きな影響を持ってくるということは当然でありますし、同時に基地のある場所は、基地から当然上がってくるであろうと考えられる固定資産税やあるいは事業税というものも、考えられないかもしれない。こういう地方自治体税収入というものについても、かなり大きな影響を持っておるのではないか。しかもそれがわずかにここ二、三年の間だけ、しかもつかみ金のような形でこれらの配分が行なわれておる。それ以前における地方のそうした自治体のあり方というものは、全く等閑視されておる。そういうことを考えて参りますと、私はやはり基地所在市町村に対しては、単に特別交付税の中で、どうしてもそのことのために非常に困るところがあるから、何とかめんどうを見てあげなければならないというようなことだけでなくして、もう少し私は思い切った処置が講じられるべきではないかというように考えられる。今のところでは特別交付税の中から、基地があるからということで、そのためにどういう被害があり、またどういう施設をしなければならない、あるいはその被害に対する防衛の処置をどうしなければならないというような、特別の支出に対しては、特別の配慮がされておることは私も知っています。そのために特交がある程度使われておることも知っておる。しかしそういうものでなくて、全体的のものとして、一つ基地所在市町村については、特別の配慮をすべきではないか。これを全部特交に回すというならそれでもよろしいと思う。しかし実際は、全部これが特交へ決して回っておるわけではない。その辺をどうお考えになるか、もう一度御答弁を願っておきたいと思います。
  14. 奥野誠亮

    奥野政府委員 基地所在市町村財政状況について、御心配いただいております点は、大へんありがたいと思っております。私たち基地所在市町村には特別の財政需要が莫大に所在している、こう考えているわけでございます。そういうこともございますので、交付金制度を作りました際に、あの基地交付金を、あえて基地財政収入額に算入しないという措置をとったわけでございます。基準財政需要に、今、御指摘のような財政需要を、的確に把握することが困難でございますので、反面、基準財政収入額には、基地交付金制度ができたけれども、それを算入しないというようなことを考えたわけでございます。しかしそれだけでも必ずしも十分ではございませんので、その補い特別交付税でやっておるつもりでございます。しかし、なお問題もあろうかと思いますので、将来とも地方債運用なりあるいは特別交付税運用なりにつきましても、十分検討を加えて参りたい、かように存じております。
  15. 門司亮

    門司委員 基地所在市町村実態ですが、これは普通のときは交付税の面から見れば、税金もある程度上がってくるかもしれない。それから今ある制度によって特別に、金高は必ずしも妥当とは思いませんけれども補いをしておられる、よろしいかと思います。しかし問題になるのは、基地の移動その他に伴う、新たに立てなければならない都市計画、それから同時に、従来の都市計画というものを全く変更しなければならない実態が出てくるわけであります。そういうものに対する自治省配慮というものは、一体どの程度まで行なわれておるか。私は横浜におるから、かりに横浜の例をとりましょう。横浜は御承知のようにたくさん接収されておった。そしてそのあと財政処置には非常に困っておる。都市計画を新たに立て直して、そして新たに仕事をし直さなければならない。そういうことがいつまでたっても都市の発展を阻害しておる。ところが、国の方のめんどうを見る場合は、そういうものをあまり考えられないで、基地が返還されればそれでよろしいのだということで、そのまま置かれる。だから基地交付金にいたしましても、税収入が十分に上がってくるような都市計画が完成される、とは言いませんが、そこまでいかなくてもよろしいかもしれないが、ある一定の水準まで、基地の利用が普通の都市と同じように行なわれるところまでは、何らかの姿で見るべきではないか。それを基地交付金で見るということになると、これまたなかなか大へんな問題が起きるかと思います。従って、そういうものについては交付税の中でめんどうを見てあげて、そして一般財源の中にそういうものを投入していくということがよろしいのではないか。そうしませんと、地方自治体も非常に迷惑する。返されたあと、返してしまえば国の方からはめんどうを見てくれない。ところが所在市町村ではそこから税金がすぐ上がってくるかといえば、これは上がってこない。そして都市計画を新たに立て直すということになれば、これまたかなり大きな金を使わなければなりません。そういうことで、かなり大きな無理な財政負担をさせておるということが、基地所在の市町村基地撤去後における非常にむずかしい問題になっていることは、ひとり横浜だけではございません。至るところで、そういうものがどんどんと出てきておる。また将来必ず出てくるのであります。そういうものについてどうお考えになっているか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  16. 奥野誠亮

    奥野政府委員 基地のあります市町村は、必ずしも一律ではないと思うのでございますけれども、特殊な市町村の事情に応じまして、地方債なり特別交付税なりの配分について、弾力性を持たしていかなければならない、こう存じておるわけでございます。御指摘がございましたので、今後一そうそういう点について留意して参りたいと思っております。たまたま、横浜市が例に上がったわけでございます。私も横浜市につきましては、長い間接収されていた、従って、早く接収が解除されておれば、戦災復興その他についての国の相当な援助を受けて、復興にかかれておったと思うのでありますけれども、そういう時期も逸しておるわけでございます。それだけに、今、莫大な財源を復興について必要としているのが現状だ、こう思っております。そういうような気持もございまして、三十五年度において一億円をこえる特別交付税配分し、さらに何億円か忘れましたが、別途に地方債を、増額を許可するというような措置をとったわけであります。三十六年度におきましても、特別交付税配分を重ねて行ない、地方債につきましてもある程度増額配分の許可をいたしたい、こう思っておるわけでございます。横浜市の最近の実態につきましては、門司さんの御指摘になりました通り、私も考えているわけでございまして、今申し上げますような措置をとって参りたい、かように存じております。
  17. 門司亮

    門司委員 今横浜は不交付団体になっているんだな。だから、結局不交付団体ということになれば、一般の交付税はこない、特別交付税だけで見れば見られるということである。私はそういうことであってはならないと考える。ある一定の線までは、そういうものについてもめんどうを見るべきではないか。これはひとり横浜だけじゃないですね。たとえば北海道の千歳のようなところもやはり問題がある。自衛隊があそこに入っておりますし、問題があろうと思います。あの青森の三沢なんか、あれは駐留軍がいなくなってしまったら、あのままではつぶれますよ。そういうところでもやはり今日市としての仕事をし、将来それがなくなったからといって町役場を締めるわけにいかぬでしょう。やはり住民がいる限りにおいては、何か仕事をしていかなければならない。従って、基地所在市町村に対しては、私はやはり臨時的なそういう取り扱いではなくて、一つ恒久性のある、交付税の中にめんどうを見ていくという配慮が実際は望ましいのではないか、そうすることが地方自治体にきわめて親切ではないかというように考えるのであります。なお、算定の基礎が非常にむずかしいというのなら——あるいはむずかしいかもしれません。それで特別交付税で見るというのなら、私は特別交付税の方はもう少し、さっき申し上げましたような臨時的経費というものが特別交付税で見られるというのなら、むしろこの際は、単位費用を動かすということも一つの必要がございましょう。物価が非常に上がっておりますから、昔の通りでいけないことはわかっております。これも一つの問題であろうが、同時に、特別交付税の率をふやしていくということは、容易に、その年その年で行われる財政措置で済むのでありまして、何も単位費用関係がないのでありますから、ことしと来年と再来年は、高等学校がよけい要るというならば、その分だけを臨時に繰り入れていくということは、今の配分割合を変えればそれでよろしいのであって、基礎単価まで変えなくてもよろしいのではないかと思います。こういうことの方が、私はこの交付税全体を通じてみて、筋が通るのではないかと思う。あまりにも何といいますか、しゃくし定木というわけではありませんが、この実態に沿わないいき方ではないかということが考えられるから、今のような御質問を申し上げたのでありますが、この点等については、大臣おいでになりませんから、これ以上私から質問する必要もないかと思います。  その次に聞いておきたいと思いますことは、今度改正されるこの単価というものは、大体現実に見合った単価であるかどうかということです。ただ数字のつじつまを合わせるだけにこれがこういうことになっているのか、あるいは現実にこういう人間一人を使えば、こういう費用が必要だということで考えられたのか、これは財政需要額とそれから財政収入額との問題でありますから、おそらくお答えとしては、そういうことになっているのだ、現実に見合うものだというようにお答えになるかと思うのでありますが、しかしわれわれから考えてみますと、必ずしもそうではないように考えられますので、その点、一つ実際にこれに見合う数字であるかどうかということを、念のために聞いておきたいと思います。
  18. 奥野誠亮

    奥野政府委員 基準財政需要額をどう改正していくかということにつきましては、地方財政計画を受けて算入いたしておるわけであります。地方財政計画を立てますにつきまして、地方公務員の給与がどう変わっていくか、これは御承知のように、国家公務員に準じて計算する方式をとっておるわけでございます。従いまして、そのまま基準財政需要額に反映される仕組みになっておるわけでございます。また道路でございますと、道路整備緊急措置法に基づく五カ年計画、その三十七年度財政使用額が、地方財政計画にも乗っかっているわけでありますが、それをまた基準財政需要額が受けて参ってきております。あるいはまた、地方税制の改正に伴いまして、税務職員をふやさなければならない、そういうものも、地方財政計画に乗っかっているわけでありますが、同時に基準財政需要額にも算入さして参っておる次第であります。地方財政計画を受けて基準財政需要額を算定いたしておりますが、計画そのものについても、いろいろ御意見があるんではなかろうかと思います。そういう点は、やはり基準財政需要額についても御意見が出て参るところではなかろうか、こう存じております。
  19. 門司亮

    門司委員 ここでもう一つあとに戻るようですが、聞いておきたいと思いますことは、産炭地帯の土地に対する交付税割合であります。御承知のように北九州のいわゆる産炭地帯、ことに田川市のごときは、この間も何か週刊誌にも書いてあったそうでありますが、私はそれを読まぬのでありますが、しかし去年の夏田川に直接私ども参りましたので、田川の実態は大体わかっておるつもりでありますが、ああした都市財政的にどうなるかということについては、少なくとも今日の地方財政交付金がある限りにおいては、あすこまで疲弊することはないのではないかということ、ところが、ここは御承知のように、そう言ってもなかなかそう簡単にいかないんだ。いわゆる財政需要額に満たないきわめてわずかな税収入しかない。しかしそれに対しても、何らか私は特別の措置をとるというのなら特別の措置でありますが、特別の措置をとらなくても、交付税めんどうを見ていけば、あすこまで市が、何といいますか廃墟というのはどうかと思いますが、財政が行き詰まって、そうして何もできない、全くお手上げだというようなことにはならないんじゃないかというように考えられるのであります。少なくとも財政需要額と財政収入額とのアンバランスを埋めるというのが一応の建前であれば、田川市のようなところももう少し何とかなるんじゃないか。全く収入がないのでありまして、出るのは非常に多い。一例を言うなら、当局も十分御承知だと思いますが、人口は年々減っているが世帯数は減らない。世帯数が減らないということは、稼動人口がだんだん減っておって、そうして扶養あるいは保護家庭というものが依然として減らない、あるいはこれがふえていくという非常に大きなギャップをあすこは持っておる。こういうところにも、やはりこれを特別交付税でまかなうべきかあるいは交付税である程度めんどうを見るべきか、その点についての多少の議論は私はあろうかと思います。しかし、少なくともこの交付税制度自身から考えていけば、収入の少ないことはわかり切ったことであって、支出の多いこともはっきりしておるのであって、そうするならば、どうにかこうにか普通の都市として歩けるだけの交付税というものは、私は配分されてしかるべきじゃないかというように考えられる。その中に、自治省の方から考えれば、あるいは滞納が多いとか、当然取るべき税収入が入っていないからそういうことになるんだとか、そういういろいろな現象も私はあろうかと思います。しかし、そういう問題はどこにもあることであり、それはやはり社会の実態がそういうことになさしめておるのであって、それがあるから、それから税金を取ればお前のところはもう少し裕福なんだ、税金をもう少し取ったらどうだということになるかもしれませんが、しかしそれでは私は実態には沿わないと思う。炭鉱がああした状態になっておるところに、それだけ収入があるはずだから交付税はこれでよろしいんだということ等についても、実際に問題があろうかと思います。田川もそうでありますが、たとえば中間市でありますが、大正鉱業という炭鉱が、約七千万円くらい滞納しておる。しかも市は、ほとんどそれ一つが唯一の収入の財源であったことに間違いはない。ところが、これが不景気になって七千万円も滞納しておって、市はどうにもならない。しかしこれは滞納であるから基準財政収入額の方から見れば、当然一つの収入になるかもしれない。しかし実態はどうにもならない。こういった実態が、産炭地帯の至るところにあるわけでありますが、こういうものに対するものの考え方はどうなっておりますか、それを一つ聞いておきたい。
  20. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御指摘のように、産炭地帯の市町村財政状況はかなりきびしいようでございます。普通交付税で失業対策事業費や生活保護費を見ているわけでありますけれども、そういうような画一的な把握の仕方では、産炭地帯の現実の財政事情を反映させることができない、こういう実態にございます。でありますので、特別交付税配分の際も、こういう点をさらに調査をいたしまして、増額交付するという措置をとって参ったわけでありますが、三十六年度特別交付税配分にありましては、現実に行なった失対事業の分量、要するにこれを吸収いたしました失業者数でございます、あるいはまた現実に支払いました生活保護費、こういうものを基礎といたしまして、基準財政需要額に算入している額との差額を、特別交付税で交付するというような措置をとることにいたしたわけでございます。その結果、産炭地の市町村における特別交付税が、三十五年度と比べますと、飛躍的に増額になっておるようでございます。御指摘になりました田川市につきましても、三十五年度特別交付税は三千万円前後ではなかったかと思うのでありますが、三十六年度は一躍六千数百万にのぼったわけでございまして、全国でも有数の多額な特別交付税を受けた、こういうことになっておるわけでございます。しかしながら、こういう措置はすべて現状の跡好末にすぎないわけでございまして、現状から脱却していくための財源を見ているということにはなり得ないと思うのでございます。しかしながら、後者の特別措置につきましては産炭地振興、その他のことが考えられているわけでございますので、そういう面について、なおわれわれとしても工夫をしていかなければならない。ただ跡始末の点につきましても十分でございませんので、今申し上げましたような諸措置をとることによって、特別交付税を思い切って増額するということにいたしたわけでございます。
  21. 門司亮

    門司委員 そうすると、どういうことになりますか。交付税の算定の基礎というものは、地方財政計画仕事の量に見合う財源である、この村ではこういう形でこれだけの金があればよろしいのだというのが、私は大体基礎だと思う。そうすると、片方には入るべき収入が入ってこない、だから、どうにもならぬ、その場合だけを特別交付税で見ていこうという考え方で今日までこられたと思う。それも一つの方法だと思います。しかし問題になりますのは、特別交付税にむやみにたよる形をとっておりますと、これもあまりいい結果にはならないのでありまして、より以上大きな災害や、予測しなかった問題等の財政措置についても、やはりある程度考えなければならない、こういうものとのかね合いが非常にむずかしいのではないかと思う。従って産炭地帯のこういうものについては、特別交付税というような形で、苦しむだけ苦しんで、あと少しばかりはこうやくをはってやろうということではなくて、ある程度地方自治体が、自主的に計画の立つような処置をとってやろうとすれば、やはり交付税にたよるべきだ。ところが、その交付税が今お話のように実績を見てやるということでは、これまた困る。従って、ああいう産炭地帯に対する交付税の問題等について考えさせられるのは、交付税の今度出されておる数字の改正が、ほんとうに現実に見合ったものであるかどうかということに、私どもは疑問を持つのであります。かりにこれが現実に見合ったものであるとするならば、今のお話のようなことは大体出てこないのじゃないかということであります。私はそういうことをなぜ言うかといいますと、交付税自身についても非常に大きな問題が実はございます。これの創設当時の議論もいろいろございますが、われわれが心配しておるのは、交付税配分関係が従来の平衡交付金配分関係と違って参りまして、全額を配付税にまかせておる。従来の場合は、一応その中の三分の一なら三分の一を当該自治体から上がった税収入に見合って画一的に配分して、残りの三分の二が今の特別交付税のような形で一応配分されておったのである。従ってほんとうに困っている自治体には割合に行き届く形をとっておる。そのことは配分の額が多かったからであります。ところがその税法が変わって、配付の方法が変わって、そうして全部こういう形でやる。そのかわり、交付税については財政需要額と財政収入額というものを定めて、そうしてこれのアンバランスを埋めていくということになっている。で、問題になるのは、それなら一体財源がそういうことで組み立てられておるかというと、そうではない。財源の方にはちゃんと国税の何パーセントというワクがはめられておる。だから、どんなにアンバランスがあってもワクの範囲しか操作ができないということになっている。そういうところにも税法自身にかなり無理があると思うのだが、自治省配分の方法についてもやはり実態に沿う行き方が正しいのではないか、こういうことが考えられる。この出されている金額について、私は一々これを申し上げる時間もないかと思いますが、自治省では基準単価をずっと変えられるについては、大体これで自信があるというと語弊がありますが、これでよろしいのだというお考えに立っておるのかどうかということであります。この点は絶体これで間違いがないのだというふうに、非常に抽象的なことを言うようでありますが、お考えになっておるかどうかということが一つであります。  それから、もう一つついでに聞いておきたいと思いますことは、道路その他の問題でありますが、自治省が一応目安としております道路の改善計画というものは、一体どの程度を見込んでおるかということであります。これは単に維持管理だけするということになっておろうかと私は思います。維持管理も必要でございますが、地方財政の中では、最も見なければならないのは、道路の改良工事というものが非常に大きな問題にたってこようかと思う。それから、道路自身についても交通の問題が非常にやかましく叫ばれておりますが、これも一つの大きな問題になろうかと思う。たとえば、東京都は御承知のように交付税がいっておりません。しかし、東京都の財政需要額の中から、かりに道路一つ考えてみるということになりますと、これはとんでもないことになろうと思う。御承知のように、ロンドンの市域に対する道路割合は、大体二五%であります。東京の道路割合は九・五%であります。大阪が一〇%であります。近代都市としての様相を持つところの交通というものを考えれば、大体都市面積の二〇%ぐらいが適正ではないかということが、学者の中では今日言われておる。ロンドンはそれより少し広いのでありますが、こういうことを考えて参りますと、現在の自治省の言う財政需要との間に、非常に大きな開きが出てくることが考えられる。維持管理だけでよろしいのだ、あとはそっちでやれといわれましても、東京都のこときはどうにもならぬ。そうして、その上に出てくるのは、御承知のように、それからくる非常にたくさんの交通行政に対する費用というものが必要になってくる。そんなものはちっとも配慮されておらない。一方には、国の義務的経費というものが年々ふえていっている。さっきも申し上げましたように、今年の義務的経費は千七百億予算ではふえております。そうすると、その三分の一はやはり地方が負担しなければならない。そうして、自主財源は全体を見て六百億しかない。これでは道路問題一つ取り上げてみても解決がつかない。しかし、そういう都市の発展、都市の将来への展望というものは、交付税の中に全然考えなくともよろしいのかどうかということであります。こういう点等については何かお考えになったことがありますか。私は、最近の都市状態を見て特にそういうことを感ずるのです。金さえあればもう少し道を広げたい、道路整備したいといっても、ほとんど金がないからどうにもならない。ところが、自治省の算定基礎からいえば、お前のところは富裕都市だから金がいかなくてもよろしいのだ、こういう考え方です。だから、この算定の基礎の中に、そういう都市一つの性格といいますか、都市の将来への伸びというものが見られないかどうかも非常にむずかしいことだと思いますが、私はある程度見ないとどうもうまくいかぬような気がするのです。その点はどうですか。
  22. 奥野誠亮

    奥野政府委員 一つは、問題を特別交付税だけで処理していくことについての御意見でございます。私たち基準財政需要額を計算いたします際に、市町村の現実の財政需要をそのまま算入していくというような行き方はあとう限り避けていきたい、こういう気持を持っているわけでございます。そういうようなことから、たとえば失対事業を計算いたします場合にも、民間事業に吸収される率と、失対事業に吸収される率とを、全国的に一応同じ程度として計算をして参りますので、実際問題としては、産炭地においては民間に吸収する余力はない。その結果、市町村が多数の人たちを自分の失対事業に吸収せざるを得ない。そこで現実の財政支出額と基準財政需要額との差額をとってみると、莫大な金額になる。それが今度のように産炭地において特別交付税が非常に増額されるようになってきた原因でございます。でありますので、普通交付税においては、あとう限り客観的な計算をしていきたい。しかし、それだけじゃどうにもならないような市町村についてだけ、例外的に現実の財政需要を基礎にして、特別交付税増額するというやり方をとらざるを得ないのじゃないか。こういう気持を持っているわけでございます。あとう限り交付税、政府への依存心を起こさせないようにしながら、なおかつ客観的な配分に留意していきたい、こう存じておるわけでございます。  二番目の問題は、地方団体の公共施設が著しく立ちおくれているわけでございます。   〔委員長退席、高田富與委員長代理着席〕  これをどの程度の速さで回復していくか、その考え方によりまして今のような地方財政計画なりあるいは基準財政需要額の算定では、非常に不十分じゃないかというような議論が出て参るのだろうと考えるのであります。地方財政計画は、国の財政運営と大体同じような基調で地方財政が推移していくというような見方で計算をいたしておりますので、その限りにおいては今の地方財政計画は、その通りになっていると思うのでございます。ただ、実態が、生活水準なりあるいはまた経済発展なりの上から見れば、非常に立ちおくれているから、早くそのギャップを埋めなければならないじゃないかというようなことで御指摘になって参りますならば、まさに不十分だと言わざるを得ない、こう考えておるわけでございます。  なおまた、東京の公共用地の比率が非常に低いことなどを例におとりになりまして、今のような基準財政需要額の算定でよろしいのかという御指摘でございました。私たちは、そういうような団体につきして、莫大な財政需要をかかえている、そういう財政需要基準財政需要額に的確に算入しているか、こう言われますならば、今の基準財政需要額の算定は、そこまでは至っていない、これは率直にそう申し上げざるを得ないと思うのであります。一応、一般的な市町村というような考え方で、基準財政需要額を算定いたしたわけでございます。しかしながら、東京その他におきましては、地価も上がって参ってきておりますが、横に広がっておったのが立体的になって参るわけでございますし、一単位面積当たりの人口も非常に多くなって参りますので、自然公共用地もうんと広げなければならないのは当然のことだと思うのでございます。幸い、道路整備計画にあたりましても、東京の街路事業費などは、三十六年度より三十七年度はさらに数十億円増額しているように承知しておるわけでございます。そういう点につきましては、道路費の算定にあたりまして、そのままそれを基準財政需要額に反映させるのだというような計算方式をとって参りたい、かような考え方をいたしておるわけでございます。
  23. 門司亮

    門司委員 今の御答弁ですが、さらにその次に聞いておきたいと思いますことは、地方自治体財政に使われる部分というものが変わってくるわけです。それらの問題については、これは地方自治体が勝手にやるのだからよろしいのだ、そういうものは財政の範囲でないというようにお考えになれば別でありますが、さいぜん申し上げましたように、非常にやかましくなっておるその交通行政を、どうして円滑にしていくかということについての配慮を、それでは一体どこで行なうかということ。それについて、私の手元にあります本年度の一地方でありますが、これは北海道であります。北海道の新年度予算を見てみますと、警察費が非常にふえて、去年の三倍になっている。そうして、その警察費のふえた内容というのはどこにあるか。昨年度の八百九十三万円が当初予算で二千六百万円になっておりまして、約三倍になっておる。この内容をちょっと見てみますと、信号機の増設八基。交通標識を二千本増設する。酔っぱらい検知機を四個分買う。速度違反に対する取り締まりの機械を八十六個分そろえる。交通公報車を二台分。その他交通安全の推進運動に対します補助金等が考えられて、さらに交通関係のおまわりさんを七十名ふやす予定であったがおまわりさんはふやさなかったということが予算の中にあるのであります。こういうのは、北海道自身今非常に交通問題がやかましいときに、この問題をどうするかということで、北海道の知事配慮されたものと考えております。都市経済と都市の現状から見まして、これは当然考えられる必然的な経費だと思う。そういうものはお前のところで勝手にやったのだから、それはそれでよろしいというわけにはいかないではないかと考えるのであります。これを見ても、それならこの北海道の昨年の約三倍の警察費の増額が、例の交付税の中に含まれているかというと、何も含まれていない。七十名の警察官は削りましたから、これは交付税の対象にはならない。そういうことで、地方財政というものについては、交付税と相関連して、こういうきちっとした算定の基礎でなくて、将来仲びるという形、ぜひ行なわなければならないという形等についても、やはりもう少し見るべきではないかと考えられるわけであります。こういう点について自治省はどう考えているか、考え方だけを御答弁願っておけばよろしいと思います。
  24. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話、まことにごもっともだと拝聴いたしました。先ほど、道路などについても、維持管理費用だけ算入しておるじゃないかという御趣旨のお話がございましたが、道路維持管理費道路の面積で測定し、道路の改良費を道路の延長で測定するというようなことをやっているのでありまして、五カ年計画をフルに基準財政需要額に算入するというようなやり方をいたしているのであります。なお、北海道を例におとりになりまして、交通取り締まりの費用がふえてきているが、その点どう反映さしているかという御趣旨のお話がありました。資料として提出しておきましたように、警察につきましては、交通取締経費等の増額で、全体としては六億六千九百万円程度算入をいたしているわけでございます。御指摘になりましたように、地方団体の現実の財政需要と遊離したような基準財政需要額の算定をする仕方は穏当ではないと思います。また、基準財政需要額の算定が、ある程度地方団体財政需要のめどになっていると思うのであります。従いまして、今後におきましても、地方団体実態を的確に把握しながら、あとう限り基準財政需用額の算定においても、両者遊離していくことのないように注意いたして参りたい、さように考えております。
  25. 門司亮

    門司委員 ここで今の答弁だけをいただいて、それはそれでよろしいという筋合いではないが、やはりこの交付税実態をもうぼつぼつ、と言ってもおそい気味ですけれども、都市がこういうように急激に発展している場合の財政需要額というものは、今までの見方と変えた見方が、この際必要になってきているではないかというように考えられる。しかし、一方において交付税として入る金もきまっておるので、それ以上地方に出すわけにはいかないかもしれない。しかし問題になるのは、今申し上げましたような必然的に必要だと考えられる経費というようなものが、やはりこの中にある程度見られるという形をもってこないと、これはどうにもならない。かりに、説明書の中にも書いてありますように、下水道その他屎尿の処理というようなことを書いておりますけれども、これを日本全国見てごらんなさい。ほんとうに終末処理場のある都市が一体幾つあって、何パーセント終末処理がされておるかということになると、これはお話にも何にもならぬのであります。そうしますと、この方面についても、将来これをどういうふうに発展させるかというようなことについては、国がやったから、国がこれだけことしは公共投資をしている、補助金はこれだけやる、事業計画はこれだけだというようなことに基準が置かれておるというようなことならば、それは当面の問題を、現在の交付税のものの考え方として埋めていくというだけであって、私は日本の都市行政というものを考えて参りますと、交付税自身というものが、そういうアンバランスだけを単に埋めていくのだという性格から、ある程度飛躍した都市の将来への発展に対する考え方からくることが必要ではなかろうか、それが多少でも織り込まれるべきではないかというように、実は考えるわけでありまして、その点については、どうですか、ここで簡単にというわけにいかぬかもしれませんが、私は構想としてはそうあるべきではない、ということは、現状の算定基準の中に非常に織り込みにくいたとえば例の警察の問題にしても、人間だけは一応やる、その人間に対する経費だけはこれだけふやす、しかし新しい施設その他についてはこの中に考えられないということになれば、裕福なところはどんどん発展していって、そうして交通対策等も考えられる、しかし貧乏なところはこれが発展できないというようなことになってもいけないと私は考える。だからこの問題については、一つもう少し自治省の方でも考えていただきたいと思います。  それからもう一つ、最後に質問申し上げておきたいと思いますことは、基地対策でありますが、基地についてはここで明確な答弁はしにくいかと思いますが、大体日本の基地について、そうして私の希望するのは現在の基地に対して、それの価格が一体どのくらいになっておるかということを、でき得れば各都道府県単位でも私はけっこうだと思いますが、これが平常な場合、いわゆる基地でなかった場合にはどのくらいここから収入が上がってくるかというようなことが、もしわかれば調べておいていただきたい。これはわれわれの方で各都道府県に照会をすればわかるわけであります。大してむずかしい問題ではなかろうと私は思いますが、しかしこれは非常に数が多いのでありまして、ここに私が持っておる神奈川県だけでも何百ありますか、かなりたくさんの建物その他を持っておりまして、困難でありますから、一つ自治省の方でそういうものを考えてもらいたい。そうして私どもは、さらにさっき申し上げましたように、単にこれが現在の固定資産税あるいは現在の建物に対する税金というようなものではなくして、ここがもし普通の市街地であったならば、そこから例のそういう固定資産税のようなものだけでなくして、事業税その他が大体どのくらい上がってくるものであるかというようなこと等も、一応この際知りたいと思いますので、これは答弁は必要ありませんが、資料として出していただきたいと思います。できなければけっこうであります。われわれの方である程度調査を進めていきたいと思いますが、できたら一つその資料を出していただくよう、委員長からお取り計らいを願うようお願いを申し上げておきます。
  26. 奥野誠亮

    奥野政府委員 基準財政需要額などの算定が、単に地方団体財源の穴埋めに終わってはならないという御指摘は全く同感でございます。私たちが行なっておりますのは、国の計画のありますものは一応それに乗っかってやっておるわけでございます。道路整備五カ年計画でありますとか、治山治水五カ年計画でありますとかあるいは港湾整備五カ年計画でありますとか、そういうものは全部それに乗っかって基準財政需要額を算定するというような方法をとっておるわけでございますので、地方団体に対しましても、その趣旨は十分徹底して参っている、かように考えているわけでございます。今都市が一番困っております問題は、御指摘のあった下水道の問題だと思います。下水道につきましては、国としてまだはっきりした計画はできておりません。できておりませんが、昨年でありましたか、建設省案としての十カ年計画が公になったことがございます。従いましてこの建設省案の十カ年計画、これを基礎として下水道の基準財政需要額を算定するという方向に切りかえたわけでございまして、その結果、三十六年度において、従来よりも下水道にかかる基準財政需要額が、ちょっと正確な数字を覚えておりませんが、四十億円内外の増額になったと、こう記憶しております。この十カ年計画によりますと、市町村の規模によって十カ年目においては、何パーセント程度まで下水道施設ができ上がる、こういうことになっておるわけでございます。その比率をそのまま使ったわけでございまして、それが完成されるとした場合に、減価償却費相当額が、一年では幾らに上るかというようなことで算入することにしたわけでございます。別途、地方債計画におきましても、この十年来、毎年五〇%ずつ増額して参ったわけでございますが、ことしはかなりの額になりましたので、四十億円の増額、比率としては三〇%程度増加、こういうことにいたしておるわけでございます。御指摘のありましたように、私たち地方団体が将来いかに地方財政を運営していくべきか、そのようなことについての指針となるような基準財政需要額に持っていかなければならない、そういう方向で努力して参りたい、かように存じております。  なお、基地交付金に関連しての資料の御要求がございましたが、これは税務局の方の所管でございますので、税務局の方に伝えまして、あとう限り資料の提出に努めさせるようにいたしたいと存じます。
  27. 高田富與

    ○高田(富與委員長代理 それでは本日は、これにて散会いたします。    午前十一時四十七分散会