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1962-02-20 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十日(火曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 園田    直君    理事 川村 継義君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       小澤 太郎君    亀岡 高夫君       大竹 作摩君    田川 誠一君       津島 文治君    前田 義雄君       山崎  巖君    安宅 常彦君       二宮 武夫君    野口 忠夫君       門司  亮君    山口 鶴男君       渡辺 惣蔵君  出席国務大臣         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     宮地 直邦君         警  規  監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警務局         人事課長)   大津 英男君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  警察法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)  地方交付税法の一部を改正する等の  法律案内閣提出第九七号)      ————◇—————
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  これより警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。川村継義君。
  3. 川村継義

    川村(継)委員 本委員会道路交通対策の小委員会を設けられていろいろと御研究いただいて、先週交通の安全と円滑並びに事故防止に関する決議案を作成していただいて、今日の交通事情に対処する配慮をいただいたことを非常に感謝いたしております。ちょうど警察の方から警察法の一部改正法律案が提出されておりますが、その内容は、交通局を新設しようという点と、一部定員増加を提案の趣旨といたしておるのでありまして、われわれといたしまして別にこれに異議を差しはさむものではございません。ただ、この際ぜひとも定員増加交通局の設置という内容に関しまして、一部定員関係重点として、ごく簡略にお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。  そこでまず当局にお尋ねいたしますが、警察法の一部改正についての参考資料を拝見いたしますと、警察庁関係内部部局現行は一千六十五人となっておりますが、これを少し分けていただいて、長官官房が何人、刑事局警務局保安局警備局通信局、これが現行定員何人で、警察官がその中に何人ある、それだけ初めにお示しを願いたいと思います。
  4. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 お答え申し上げます。現在の定員関係でございますが、長官官房は二百十六名、うち二十一名が警察官でございます。警務局は百十九名、うち五十名が警察官刑事局は三百五十四名、うち六十八名が警察官警備局は百九十五名、うち百十五名が警察官通信局は八十四名、うち三名が警察官でございます。これに対しまして保安局は、少しこまかに申し上げますと、防犯少年課保安課交通企画課交通指導課外勤課の五つに現在分かれておりますが、防犯少年課が二十三名うち十六名警察官保安課が二十名うち十名警察官交通企画課が二十名うち十六名が警察官交通指導課が十八名うち十六名が警察官外勤課が十六名うち十名が警察官ということに相なっておるわけであります。これに対しまして、今回の定員改正交通指導課に六名うち四名警察官、この六名が増員に相なるわけであります。そのほかただいま申し上げました警務局年金関係で三名、それから通信局技術関係で七名、科学警察研究所にこのほかに三名の増員が認められるという次第でございます。
  5. 川村継義

    川村(継)委員 今の数字を承りますと、それぞれの内部部局の総数、定員というものが現われて参ったわけでありますが、問題の保安局は合計いたしまして、現行定員が九十七名になるようでございますが、誤りございませんか。
  6. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 仰せの通りでございます。
  7. 川村継義

    川村(継)委員 今の保安局が九十七名の定員で、今回それに六名の定員増加することになるわけでありますが、保安局交通局を独立させたあと交通指導課等々の交通関係現行によると三十八名というものが別に独立する。それに改正によりまして六名プラスして、交通局が独立するわけでありますけれども、そうなると従来の残された保安局から独立いたします交通局、それらの人員の振り分けが、もともと保安局定員が他の局に比べて少ないと思うのに、別途独立した関係において、あるいは交通局に約四十名あまり、保安局に約六十名ばかり、こういう格好になって参りますと、保安局及び交通局の使命というものは、はたしてこの人員で達成できるのであるかどうか、長官官房においても二百十六名おる。その他の局においても相当数定員を持っておる。通信局においてさえ八十四名持っておる。ところが、この通信局よりもはるかに少ない保安局定員になる、交通局がはるかに少なくなる。これで担当責任を果たせるかどうか、特にせっかく独立されるこの交通局は、今日の交通警察に対処しようという、その責務を全うしようという非常な考え方で新設されるわけでありますが、この点について長官はどう判断し、考えておられるのか、お聞かせいただきたい。
  8. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 お話しのように、現在もすでに保安局が他の局よりも人数が少ないのでございます。もっとも官房等におきましては、会計等事務に携わる者が相当おる、あるいは運転手等もその中に含まれておるというようなことで、いわゆる企画事務に従事する者がこれだけであるというわけではございませんし、また刑事局においては、鑑識が大部分を占めておるというようなことで、必ずしもここに申し上げました数字が全部企画的な仕事ではございませんが、それにいたしましても保安局関係が手薄すであるということはお話し通りでございます。今回も交通局の新設につきまして、当初二十五名の増員を要求いたしておったのでございますが、人員をできるだけふやさないという基本方針に従いまして、わずかに六名だけしか認められなかったわけでございますが、それじゃこの六名をふやしただけでやっていくかという問題に相なるわけでございます。とりあえずは一応六名増員された者を交通指導課につけまして、一局二課で発足をするという考え方でございまするけれども、全体として増員を控えるという基本方針は、できるだけ重要なところに配置転換等部内において行なうということが中に含まれている政府方針であるようにも考えまするし、私どもといたしましても、六名しかふやされなかった現在におきまして、交通行政中央においてつかさどっていくためには、何としてもこれだけでは十分でないというふうに考えまするので、部内における配置転換等についても、さらに検討をして参りたいと思います。  さらに、科学警察研究所に、交通部というのを設けていただいておるわけでございますが、これは主として技術理論面でございますが、こういうものとの関連性等もあわせ考えまして、できるだけ部内配置転換等をいたし、交通局発足の暁におきましては、決してその運営に渋滞のないように、遺憾のないように取り計らって参りたいという考えでございます。  ここで何人を配置転換するかということを今直ちに申し上げるわけには参りませんが、極力そういうことについて部内各局の協力のもとに、交通局の円滑な運営をはかって参りたいというふうに考えております。
  9. 川村継義

    川村(継)委員 定員をむやみに増加するということは大きな問題であろうと思いますし、行政管理庁あたりでも、十分なる課題として取り組んでいるわけでございます。その点は私もそうなければならないと存じますが、このまま推移いたしますならば、長官官房も、どうしてもこれより以上減員はできない。配置転換不可能である、刑事局においてもしかり、警備局においてもしかりというような状況になるならば、また来年度この保安局並びに交通局定員増加ということが考えられはしないか。それは、今日定員増加ということはなかなかむずかしい問題であるし、むやみやたらに増加すべきじゃないという一つ基本方針は、われわれは堅持しなければならぬ。そうなると、長官お話しのように、やはり内部部局内におけるところの配置転換ということは、当然考えられなきゃなりませんが、この際長官のお気持として、来年度は定員増加等保安局並びに交通局に要求するんでなくて、内部部局におけるところの配置転換で、その機能を完全に発揮できるようにやっていく方針だというように、はっきり承っておいて差しつかえございませんか。
  10. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私どもの努力といたしましては、極力そういう方向でやって、ことし増員が少なかったので、来年はぜひとも相当増員をしていただかなければ成り立たぬというような考え方でなく進みたい考えでございます。各局におきましても、これは私の統制のもとに、十分交通局存在理由というものについて、深い認識を持っておるわけでありますので、警察庁全体としてにらんでみて、配置軽換を極力考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。しかしまた一年間の推移におきまして、来年、必要なる増員を要求するということが全くない、いたしませんということも、ここで断言いたしかねるわけでございますが、方向としては、極力部内配置軽換によって、能率的な運営をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 川村継義

    川村(継)委員 警察庁付属機関警察大学校、科学警察研究所皇宮警察本部、これの定員も、いただいた資料に明示してございますが、さらに地方機関として、管区警察局東京都、北海道警察通信部定員も明示されております。合計、現行で七千七百五十七人、今度の改正で七千七百七十六人になるわけでありますが、私、これ、ちょっとよくわかりませんからお尋ねいたしますが、法の五十七条によるところのいわゆる地方警務官人数、これは私は、多分現行二百八十人の地方警務官というものがあると思いますが、警務官というのは、警視正以上を地方に配置しているのを警務官というのだと思いますが、この点と、それからこの二百八十人という警務官の員数は、あなたの方の警察庁関係定員には入っていないのであって、これは地方定員になるのですか。その辺のところ、どうでございますか。
  12. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 地方警務官は、お話しのように二百八十人でございます。この二百八十人は国家公務員ではございますが、警察庁職員の数の中には入っておりません。
  13. 川村継義

    川村(継)委員 この地方警務官、いわゆる警視正以上は国家公務員であって、しかも給与その他すべて国庫負担である、こういうような人たち国家公務員としてあなたの方の定数に入れないで、地方定数として見てあるということは、どこにその法的な根拠を求めておるのですか。
  14. 大津英男

    大津説明員 警察法の第五十六条におきまして、「都道府県警察職員うち警視正以上の階級にある警察官(以下「地方警務官」という。)」これにつきまして定めておりまして、「地方警務官定員は、都道府県警察を通じて、政令で定め、」こうなっております。この規定を受けまして、警察法施行令で二百八十名ということを規定しておるわけでございます。
  15. 川村継義

    川村(継)委員 これはほかの官庁にもそういう例がないでもないようでありますけれども、今になってこういう議論をするのは少し的はずれかもしれませんが、地方に配置されておる地方警務官警視正以上の国家公務員は、これはやはり当然警察庁なら警察庁定員として見ていく方が至当ではないか、五十六条でそういうように、必ずしもそれが国家公務員としてのあなたの方の定員ではないということははっきりしていないようですから、あなたの方の定員として見ていく方が至当ではないか、こういう感じもするのでございますが、この点、人事課長いかがですか。
  16. 大津英男

    大津説明員 ただいまの御意見の趣旨から申しまして、任命権国家公安委員会にあるというような点から申しましても、警察庁定員と見て考えていくということも一つ考え方かと存じます。従いまして予算におきましては、警察庁予算の中に地方警務官定員が二百八十名含まれておる、こういう立て方になっておりますが、国の機関といたしまして、警察本庁、それから付属機関管区地方機関、こういう機関定員警察庁定員になっておる。それに対しまして、都道府県警察に配置されまして、都道府県警察仕事をしておるという意味では、警察庁定員ともいたしがたいというようなことで、現在の警察法並びに警察法施行令におきまして、こういうような形で定めておると思いますが、お考えのように、任命権関係から参りますと、警察庁定員として考えていってもいいのではないか、かように考えております。
  17. 川村継義

    川村(継)委員 その点は少し皆さんの方で検討いただきたいと思うのです。任命権国家公安委員会が持っておる、給与国家から出ておる、そういう警務官、いわゆる警視正以上の諸君を、あなたの方の定員として見ていかないというのは、ちょっとふに落ちないようなところがありますから、やはり十分検討していただきたい、そのようにお願いいたします。  それからもう一つ、第三点としてお聞きしておきたいと思いますことは、東北関東中部近畿管区警察局がございますが、その管区警察局定員、これは今すぐお答えいただければ、それでもいいのでございますけれども、いつかあとでよろしゅうございますから、そういう資料を書いていただいてもいいと思いますが、たとえば東北何名、中部何名、九州何名というくらいでよろしゅうございますが、こういう人たち定員というものはどうなっているのでございますか、どこに所属しておりますか。
  18. 大津英男

    大津説明員 先ほど申し上げました警察庁定員に入っておるわけでございまして、警察庁付属機関定員でございますので、警察庁一本の七千七百七十六の中に入ってくるわけであります。
  19. 川村継義

    川村(継)委員 付属機関じゃなくて地方機関ですね。
  20. 大津英男

    大津説明員 そうでございます。
  21. 川村継義

    川村(継)委員 そうしますと、そこで一つお尋ねいたしますが、この管区警察局の中で、関東近畿を除いたほかの管区警察局は、総務部公安部通信部という三部に分けている、現行はそうなっておると思います。ところが関東近畿は、それに保安部という一部を加えた四部にしておる。しかもその関東近畿保安部の中に交通警察担当業務というものがあるし、ほかの管区は、公安部といいますか、そこに交通警察担当があるようです。  そこでお尋ねいたしたいことは、今日のように交通問題が非常に大きな問題として社会問題にもなっているし、交通警察の重要なる仕事として出てきたときに、この管区警察局における交通警察は、今のままの部局編成組織編成でやはりやっていこうとするのか、あるいは早急に政令等改正によりまして、いわゆる交通部といいましょうか、そういうものを独立させて、この交通行政に対処しようという考え方があるのかどうか。警察庁本部だけは交通局を独立させていろいろ仕事をしようとしている、地方地方で従来通りの形でやっていこうとする、何かわれわれには矛盾を感ずるわけです。本部体制が強化されてその責任を全うしようとするならば、地方管区警察局等においてもやはりそういう考え方が現われてくるのが至当ではないかと思うのでありますが、これについて長官の構想を一つお聞かせおきいただきたいと思います。
  22. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 関東近畿管区局保安部を設けておるわけでございますが、大体管区警察局機構はできるだけ簡素にいたしまして、その管内の警察運営重点につきましてこれを指導、援助し、あるものについては監督をしていくというような考え方で参ってきておったのでございます。  関東近畿におきましては、特に交通少年等保安局関係仕事が第一線において非常に加重されてき、これに対する指導監督というものが非常に重要度を増して参りましたので、他の局は一応中央における官房警務総務部運営管理面刑事保安警備三局関係公安部ということで、通信を除きまして二つに分けておるわけでございますけれども関東近畿については、むしろ中央機構改編に先立って保安関係の部を独立させたというような事情でございます。従いまして、ただいまの考えといたしましては、中央交通局ができますから、直ちに地方交通部を作るという考えには至っておらないわけでございまして、とりあえず管区局につきましては、現在の機構でこれに対処して参りたいというふうに考えておりますけれども、さらに福岡であるとか、あるいは中部であるとか、必要に応じて関東近畿にならったような体制が必要であるというようなことになりますれば、それに対応するような機構改編ということも考えていかなければならぬと思いまするし、さらにまた関東近畿等につきまして、特に交通重点を置かなければならないというような観点から、組織改善ということも検討を要するものがございます。ただ現在におきましては、先ほど申し上げましたように、むしろ管区局はできるだけ簡素にする、しかもその中にあって関東近畿については中央機構改編よりもむしろ先んじてと申しますか、保安局のできる際に交通少年等についての重要性考えて分課して参ったわけでございますので、現在としては一応現在の機構で進んで参りたい、しかし将来さらに検討していきたいと考えております。
  23. 川村継義

    川村(継)委員 管区警察局あたりの構成が、あまりにも複雑多岐になることは避くべきだということは、私たちもしろうとながらよくそういう了解をするわけですが、ただ同じような、私が心配をしておるようなことが、この都道府県警察本部等については、これは長官が今お話しのようなことではたしていいか。これはより強い疑問が出てくるわけです。これは政令を見ましても、警視庁には交通部というのが設置されておる。大阪警察本部には交通部というものはない。保安部というものの中で交通警察担当することになっておる。一体東京大阪というのは、どれくらい交通行政の軽重の差があるのか。私は率直に申しまして、少なくとも警視庁交通部というものがあって交通警察担当しておるならば、大阪警察本部だって、やはり交通部というものをちゃんと作って、そこで担当させるという考え方があってしかるべきではないか。北海道やそのほかの指定府県では、警備部の中にそういう警ら交通担当規定をいたしておる。そのほかの、指定府県以外の府県には、警備部の中に交通警察事務所掌として規定をしておる。今日のこの交通状況はただ単に大阪東京だけではございません。地方においても、やはり相当重要な問題をかもしておるときでありますから、その交通警察の真価を発揮し、しかも交通のこういう違反等を少なからしめるような責任を全うするためには、やはり警視庁大阪警察本部あるいは北海道指定府県、その他の府県、それが警備部の中にあったり、保安部の中にあったり、こういうような所掌責任形態でなくて、やはり交通部なら交通部というのがこの際ちゃんと独立をして、その責任に任ずるような方向がよくはないか、こういう気持がするわけです。その点について、一つ長官の御見解をきかせておいていただきたいと思います。
  24. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 お話のように、交通行政が非常に多岐にわたり、重要度が増して参りましたので、各府県におきましても、非常に交通関係部課が独立する傾向にございます。大阪におきましては、東京よりはおくれてでございますけれども、現在は交通部が独立しております。それから一々ここに覚えておりませんが、交通課が独立して参る傾向は、最近ことに強くなっておるわけでございまして、交通部を設置しておりまする府県といたしましては、警視庁大阪神奈川県、兵庫県、それから愛知県と京都府におきましては警ら交通部を設置しておるということで、警備とは別にいたしておるわけでございまして、北海道その他の県におきましても、これは各県が、大体の基準は示しておりまするが、独自の見解によって、部課編成をいたすことになっておるわけでございますが、全体の約三分の二の県におきまして、もっぱら交通警察を所掌するような交通課を設置するに至っておるわけでございます。それから交通課を設置していない県におきましては、交通警察警らなどの外勤警察を所掌いたします警ら交通課において処理しているような状況でございます。お話の点はまことにごもっともでございまするが、傾向としては、確かにお話のような御趣旨に沿って動いておると思いまするけれども、さらにそういう方向に進むように指導いたして参りたいと思います。
  25. 川村継義

    川村(継)委員 次に、別表の第一を見ますと、各都道府県地方警察職員警察官定員基準が示してあります。これは警察官定員でございますから、それぞれの各警察本部警察職員定員ではない、このように存じます。そこで、ついでのときに警察官を含めた警察職員のいわゆる定員というものを何かプリントでもしてお示し願いたいと思います。  そこで警察官都道府県定員基準でありますが、この基準別表第一は現在でもこのまま生きておりますか。つまり総計十三万一千九百三十人となっておりますが、この定員はこのままであって、各都道府県定員はこのまま生きておるかどうか。それをまず伺いたい。
  26. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 定員基準は、あくまでも基準でございまして、これを上回っておる府県もあるわけでございます。この基準と申しますのは、われわれとして、合理的にこの程度が、その県の適当な定員であると考えられるというものを、基準として示しておるわけでございまして、地方財政計画におきましても、この基準に基づいて財源措置考えておるわけでございます。ところが県によりましては、いろいろの事情から、特に最近は交通問題等について知事部局警察との間に話し合いができまして、この基準定員を上回って、条例定員を定める際に増員を認めておるところもあります。そういうようなところは不交付団体以外におきましては、何とか財源を自前で考えながらやっておるという苦痛を忍びつつやっていただいておるわけでございますが、率直に申しまして十三万一千九百三十人という定員よりは、国全体として総計いたしてみますと、若干上回っておるのが実情であろうと思います。
  27. 川村継義

    川村(継)委員 今、人事課長長官からお答えいただきましたように、この政令別表で定めておる十三万一千九百三十人、この警察官定員は、基準としてこのまま生きておるけれども都道府県によっては条例相当上回っているところがあるというようなことですが、そのように条例によって、この定員をはるかにオーバーしているところがあると解釈してよろしゅうございますね。——そうすると、どれくらい現在この基準定員よりも全国的に見て上回っておるか、数がおわかりでございましたら、あわせてお答え下さい。
  28. 大津英男

    大津説明員 東京それから神奈川、その他の府県を合わせ、大体五百名程度上回っておる状態でございます。
  29. 川村継義

    川村(継)委員 長官、この基準というのは、さっきお話しの言葉にも少し出たようですけれども北海道何名、東京何名、福岡何名と一応基準を示してあますが、これはたとえば人口とか、いろいろ社会の客観的な条件、そういうもので定められたと思いますけれども、この基準をお定めになった内容を少し説明していただきたい。
  30. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 これについては、私も必ずしも現在の基準というものが、すべて合理的な基礎によってできておるということは、遺憾ながら申し上げにくいのであります。できるだけそういう合理的な基礎をもとにしまして、定員基準というものを作るべく努力をいたしてきているわけでございますし、その後のたびたびの増員等につきましても、全体の増員がある場合において不均衡があるものについては、若干の是正をしていくというようなことによりまして、できるだけ合理的なものに近づけつつあるのが実情でございます。もちろん人口であるとか、犯罪の発生率であるとか、それから非常に交通が不便であるとか逆にまた非常に密度が集結して警察対象が多くなる。いろいろの事情を勘案して作っておるわけでございますが、同時にまた過去におきまして、いわゆる国家地方警察と自治体警察とが分れておりました際に、これを統合するという際におきましては、合理化というよりも、経過的に、その現状をあまり変更しないということにむしろ重点が置かれたというようなこともありまして、自治体警察が非常に多かったといいますか、人口割りにして相当警察官の密度が高かったというようなところにおきましては、国家地方警察、自治体警察を統合して、府県警察にした場合に、そのときの定員を合わせて府県警察にしたというようないきさつもございまして、そこには相当のでこぼこがあるわけであります。その後先ほど申し上げましたように、いろいろと是正を加えておるわけでございますが、そうした歴史的な因縁もございまして、現在の基準定員というものが、どこから見ても合理的だというような数字には必ずしもなっておらないのでございます。その点は私も率直に認めるところであります。
  31. 川村継義

    川村(継)委員 そこで私が要望いたしたいのは、一応警察官定員基準が示してあますけれども、これはやはり相当、あらゆる客観的な条件が移動いたしておると思います。そこで警察庁としては、この別表第一の基準定員というものは、再検討していただくということが必要ではないか、こういうことを強く考えましたので、お聞きしておるわけです。これをぜひおやりいただきたい。そこでそういう意味におきまして、実は北海道から鹿児島に至る各都道府県基準定員の中で、一応交通警ら——内勤、外勤を含めて、交通関係に携わっておる警察官が何名あるかということをお聞きしたいのでございますけれども、非常に繁雑でございますから、それは保留いたしますが、できましたら資料等でお示しいただきたい。  ただ一点ここで、そういう意味でお尋ねをいたしたいのでありますが、東京都の基準定員は二万七千五十人となっております。ところが先ほどお話しのように、あるいは条例等でこれは相当上回っておるかもしれません。二万七千からはるかにこえておるかもしれません。その二万七千余りの東京都の警察官の中に、いわゆる警ら等々の、交通関係に携わっておる警察官が何名おりますか。これはおわかりだと思います。そうして大体何%ぐらいあるか、そちらの方で、お示しいただきたい。
  32. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 全国的に見まして、大体交通専務の警察官は、全警察官の一割近くであるわけでございます。警視庁におきましては、これは本部が三百五十人、それから白バイが四百人、警察署配置が千七百五十ということでございまして、合計して二千五百というのが現状でございます。
  33. 川村継義

    川村(継)委員 二千五百となりますと、おおよそ一割足らずですね。これは新しい道路交通法が制定されるときに、いろいろ交通問題で論議をいたしたときに、私たちはぜひこの交通関係警察官の皆さん方の増員に努力願いたい、このことを強く要求したはずでありますけれども、今のお話から言うと、あまりそういう点は努力されていないという感じを受けるわけです。幾分かは増加しているようでありますけれども……。今日の東京都なら東京都のこの状況を見るときに、私は警視庁警察官相当部分を、交通関係に従事してもらうということが大事じゃないかという考え方を持つわけですが、この点は警察庁におかれても警視庁とよく連絡をとられて、ぜひ一つ御配慮を願いたい、このように考えます。私たちはいつぞや、いわゆる予備隊などというものの員数を大いに削減して、交通関係に努力させたらどうかというようなことも申したと思いますけれども、これは一つぜひお考えいただきたいと思います。私たちよりも皆さんの方が、今日の交通警察官の諸君の勤務というものを御存じでございましょうけれども、このものすごい交通の整理等に当たっておる警察官の勤務というものは、ずいぶん激しい重労働じゃないかと私たちは見ておるわけなんです。そこで、これは警視庁の方の方がお詳しいかもしれませんが、長官おわかりでございましたらお知らせいただきたいのですが、例の交差点等に立って交通整理に従事しております警察官人たちが、一日どのような勤務態様べあるか、たとえば手を上げたり下したりしてやっておる時間がどれくらいあるか、そのほかどういう勤務状況であるか、その点がおわかりでございましたら、ちょっとここで話しをしていただきたいと思います。
  34. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 勤務態勢といたしましてはいわゆる三部制で、八時間勤務でございますが、実際に稼働いたしておりまするのは、その半分ぐらいの時間というふうに理解しております。
  35. 川村継義

    川村(継)委員 それはいつか、警視庁担当の係の皆さん方にこまかにお聞きしたいと思いますが、われわれがしろうとで、しばらく立ってあの人たち状況を見ておりましても、あの混雑するとぎには、実にそれは言葉に言えないほどの激しさであります。おそらくあれは一時間ぐらいの交代じゃないかと見ておるわけでありますが、あの混雑しておるときに、一時間ぐらい勤務して三十分休むか一時間休むか、その休んでおる時間は、今度はその付近を警羅するというような勤務に回っておると思うので、非常に激しいわけですね。しかも前よりもだいぶよくはなっておりますけれども、ものすごく車が混雑しておるときに、わずか一人の警察官が立ってこれを整理する、これはなかなか大へんでございます。これは皆さん方の方が詳しいのでありますが、ああいう場合には一人ではなくて、二人の人を立てるというような方法を講じていただくならば、あんな衝突等は起こらないんじゃないかと思われることもあるわけです。そういう点を一つ十分配慮して、できるだけああいう激しい勤務に従事しておるところの交通警察官の勤務状態をやわらげてやる、そうして能率を上げてもらう、そのためには実際に第一線に立って交通整理の世話をしてくれるところの警察官増員ということを考えなければならぬ、こう思うわけです。そうなると二万七千余りの警視庁警察官の中の、わずか一割足らずの二千五百人ぐらいでは、これは大へんな状態だと思います。こういう点を一つ十分御検討いただきたい。私は口はばったいことを申しますけれども、法規ができても、あるいはいろいろの対策が研究されましても、やはり実際の交通事故防止というものは、ああいう人たち、第一線の警察官が親身になって指導し、世話をしてくれるというところに、やはり実績が上がるということを考えなければならぬと思いますので、この点はぜひ一つ十分御検討いただいて、もう少し第一線の警察官を、交通警察官の諸君を増員する、そうしてその人たちの勤務を、もう少しやわらげてやる、こういうところを一つ十分御研究いただきたいと思います。  私は提案されております警察法の一部改正、つまり交通局を新設なさる、この点に関連をいたしまして、直接関係のある問題を二、三点御指摘申し上げ、御要望も申し上げたつもりでございますが、最後に申しましたように、交通警察官の定員をなるたけ増加する、それから地方における警察交通警察担当の強化ということなどは、十分一つ指導していただきたい、配慮していただきたい、このことを強く要望いたしまして私の質疑を終わりたいと思います。
  36. 園田直

    園田委員長 太田一夫君。
  37. 太田一夫

    ○太田委員 柏村警察庁長官にお尋ねをいたしますが、このたび御提案になりました警察法の一部を改正する法律案は、交通局を分離して独立させることであります。従ってその交通局の使命というのは、交通警察に関する事項が主なる任務になる。この交通警察とは何だというと、警察法第二条には「交通の取締をやる」という、この取り締まりというのが実はその主たる精神のように考えられる。そうすると取り締まりを強化するために交通局を置いて、いよいよこのラッシュ、車両混雑のまっただ中に、もっぱら運転手並びにそれに関連する人たちだけを、きつく取り締まるという方向に行くのじゃないだろうかと、世間が非常な疑心暗鬼的な目で見ておりますが、そういう目的はこの中に含まれておるのか、そういう意図というのはあるのかないのか、この辺のところを警察法第二条に「交通の取締」という字が入っているから、それとの関連で一つ見解を承りたいと思います。
  38. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 今回の改正趣旨といたしまするところは、あくまでも道路交通法に申しておりますような交通の安全と円滑化ということが特に重要な度を加えて参りました今日におきまして、これに対処する警察中央機構というものを整備したいというのがねらいでございます。従いまして、狭い意味の違反に対する取り締まりを強化するということのみに力が注がれるのじゃなくて、むしろそうした違反が起こらないで済むようにする、渋滞しがちな交通を、非常に困難な情勢化においても、できるだけ総合的な施策を推進して円滑にしていく、企画指導ということに重点を置いていく考えでございます。もっとも狭義の取り締まりにつきましても、この前に申し上げましたように、非常に複雑な手続で行なっておる現在のいき方を、できるだけ合理的にするといういわゆるチケット制等の採用を考えておるわけでございまして、できますれば今国会に御審議を願いたいというような心づもりで検討を進めておるわけでございますが、決して狭義の取り締まりを強化するというようなことに力が置かれている意味のものではございませんので、御了承をお願いいたします。
  39. 太田一夫

    ○太田委員 狭い意味の取り締まりに重点を置いていないとおっしゃいましたが、広い意味の取り締まりには重点があるわけです。従って私、どうしても苦になることは、今のチケット制を用いられるということは、罰金刑の手続が簡略化されるということであって、出す方からいったならばやはり同じことになる。だからそういう点は、狭義の違反の取り締まりというようなことに重点を置かぬとおっしゃっても、運転手、直接その自動車を運転する者から見ますと、交通局の出現というのは、実は非常な恐怖なんです。恐怖というのはおそろしいという感じがずっと流れておる。これはぬぐうべからざる思想、考え方だと思いますけれども、ことに狭い意味の取り締まりでも、強化されるというような感じはまずい。狭い意味の取り締まりでも広い意味の取り締まりでも、取り締まりを強化するということで交通の発展ということは、私はないと思うんです。そういう点からいって、今度の改正の主眼点がもう少し積極面を持つという点を、私は強調すべきじゃないかと思うんですが、その辺いかがでございますか。
  40. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、まさにおっしゃる通り、積極面に重点を置いておるつもりでございます。
  41. 太田一夫

    ○太田委員 警察法第二条の「警察の責務」というところに、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、」それから具体的に「犯罪の予防」だとかどうとかいって、「交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。」この第二条というのは、どうしても警察庁の行なうところの、また企画されるところの警察交通行政というのは取り締まりだ。従って道交法を作ったら取り締まりがきつくなって、罰金が加重された、免停がきつくなった、こういうことを言うんですよ。それでこの言葉は、制定された当時と違っておるのですから、今日のこの事態、日本の国の交通の現状から照らし合わして、警察行政としての交通の取り締まりというのは、もっともっと別な目的を持ってきて、いわゆる高度化してきて、それは先ほどおっしゃった交通の安全と円滑化を中心として、それに妨げのあるものを排除していこうということだ。やむを得ざるものとか善意のものでも何でも罰金をうんと取って云々ということじゃないんだと思うんですがね。その交通の安全と円滑化を推進するために交通局を作るのだ、こういうことになりますと、国民もみな理解が早いと思うんです。私が今申し上げたことはどうなんですか。警察庁長官の御意見と一致しますか。
  42. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 全く一致いたすわけでございまして、私どもも努めてそういう線で広報をいたして参りたいと思うのですが、その点は一つよろしくお願いをいたします。
  43. 太田一夫

    ○太田委員 柏村長官くらいの知恵のある、識見の高い方ですと、物事が間違わずにいくんです。ところが世の中には有象無象がたくさんおります。それは政界にもおるんです。官界にもおるんです。それらの連中がとんでもないことを言って、路線トラックは東京都内に入ってはいけない。六郷川でストップだと言って、まるで昔の徳川幕府の徳川慶喜公が千代田城に閉じこもって、上野の山に彰義隊が立てこもって、西郷さんを中心とする東征軍を六郷川で食いとめるといった、維新のときを思い出すような政策です。このやり方は、これが国民の生命、身体、財産を保護するとか、公共の福祉増進ということになるのかどうか。オート三輪や普通のトラック等はどんどん入るが、路線トラックいわゆる国鉄にかわるトラックは入ってはいけない、今度交通の円滑化、安全化のもとに、そういう政策を打ち出された。私は業者から頼まれたわけじゃございませんよ。業者の反対大会か何かきのうあったというようなことが、けさの新聞にありましたが、業者が反対するというのではなしに、国民各層が、これによって物価の高騰を引き出し、新鮮ないろいろなものの提供が阻害されるということになれば、大きな抵抗を感ずることになると思う。例の特別区——東京都内に入ってくる路線トラックを禁止したというこの精神は、今度の交通局の独立の精神と一致するのですか、どうですか。
  44. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 今回警視庁におきまして、東京における交通の渋滞をできるだけ緩和したいというための一つの案を示したわけでございます。その第一次的な規制の方法として、ただいまお話しの路線トラックの昼間乗り入れ禁止措置ということを出しておるわけでありまして、この考え方は、東京に入れないということではなくて、夜入ってくることのできるもの、夜運行になずむものは、できるだけに夜回ってもらえば、それだけ昼の交通が緩和するという観点から行なわれたものというふうに聞いておるわけでありまして、これと同時に、その他の車両等につきましても、一挙に、強制的に制限禁止の措置をとるというのではなしに、関係者の自主的な自制、自粛、統制というようなものを期待して、何とかして東京都の交通渋滞状況を幾らかでも緩和するようにしたい、しかし今直ちに動く車を、車種に限ってとめてしまうということは適当でない、従って一日二十四時間を適当に配分しまして、夜になずむ運行のものは、夜に運行してもらうようにしたいという意図であるわけでありまして、決して切り捨てごめん的な考え方に出ておるものとは私は考えないのであります。またこの及ぼす影響が、非常に大きいということも考えまして、本来東京都公安委員会独自に行なうことも、あるいは法律的に見れば可能なことであろうと思いますけれども、最終決定をせずに案を示して、各方面の意見を聴取しておるというようなことでございまして、先般とりました警視庁の措置が、そんなに取り締まり一本になっておるという考え方から出発しておるものでないというふうに理解しておるわけでございます。
  45. 太田一夫

    ○太田委員 富永さんが道路交通対策委員会におきましていろいろおっしゃった話というのは、東京都の公安委員会がとった態度、いわゆる警視庁がとった交通規制の態度というものを心底から支持をして、そうあるべきだ、これは現在でもそうしなければならぬ、また警察の方としては、警察という立場から見た今日の交通の安全並びに円滑化の方途としては、これよりほかにいい方法がなかったのだというようなお話があったのです。そこで、それではどうしても警察庁交通局の使命というのが、取り締まりに偏して、積極的な打開策というものにくちばしを入れない取り締まりだけの活躍だ、こう考えられる。そこで今一つの例を出したのですが、現在東京都内の交通の混雑というのは、決して路線トラックが混雑をさせているわけではない。小型のトラックはもとよりのこと、実を言うと、白いナンバーの自家用車ないしは黄色いナンバーならばタクシーの流し、これが非常に大きく阻害をしておるのだから、これを何とか規制をするべきじゃないかと言ったのです。そうすると富永さんのお話では、それは自家用車、白ナンバーの取り締まりということになれば、これは運輸省のことだ、運輸行政としての取り締まり、運輸行政の中の何かの規制であるのであって、警察庁の出る範囲でないということをおっしゃる。それからもう一つは、電柱が道路の肩に立っておるのはまずいことだから、電電公社はこれを取ったらどうだ、地下に埋めるか、外に出したらどうだということについては、そのことは警察としてはけっこうなことで、そうあるべきだと思うけれども、それは電電公社のおやりになることであり、方針であり、あわせて建設省の御方針というものにあることであって、われわれの容喙するところではない。そうなると、交通難打開のきめ手というのは、建設省とか運輸省に中心があるのであって、いかに警察庁交通局を設置しても何にもならぬじゃないか、こういう結論らしいような世論が出てくるのです。どうですか、何かあなたの方でそんなことはない、これは当面する交通のひんぱん化に備えて、安全と円滑化並びに事故防止のための最もよいきめ手だ、こういうことをはっきりと、何かうまくあなたの方で御説明がいただけますか。また説明される義務があると思うのです。
  46. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私も交通局ができることによって、現在の非常な困難というものが、淡雪のごとく消えていくなんというふうな考え方はいたしておりませんし、そういうことはとうてい期待すべきものでもないと思うのであります。しかしながら交通局、少なくとも警察中央機構として交通専管の局というものができるということになりますれば、今までもわれわれとしても交通関係では、各省に対してもずいぶん意見を述べて、交通行政についての施策について推進といいますか、各省関係庁のやっていただくことについての注文をつけておったわけでございまするけれども、今度の交通局ができますれば、そういう点がさらに強力に発揮できるのではないか。現在までずいぶんといろいろのことを申しておるわけでございます。警察でできまする問題は、もちろん警察で積極的にいたして参るわけでございまするけれども交通の問題というものは、警察だけでできることではございません。しかしながら手をこまぬいて、これはほかの省でやることだからわれわれは容喙しないのだという態度は、絶対とりたくないのでありまして、やはり総合行政として、警察では警察のやることはやるが、ほかでやってもらわなければならぬことは、あくまでもこれを強く要望していくということを、今までもやってきたつもりでございますが、今後もさらにそういう点はやっていきたい。富永君がどう申したか知りませんが、そのこと自体を、警察でできないという意味において、運輸省でやっていただかなければならぬ、建設省にやっていただかなければならぬということは申したかと思いますけれども、そういうことをやっていただくように仕向けていくということは、やはり総合行政の一環をになうものとして、当然の責務であろうと思います。交通局ができたから、それが直ちに非常な画期的なものになるということを、ここで断言申し上げるわけには参りませんけれども、今まで努力してきた方向というものが、非常にはっきりと浮かび上がって強く要望できるようになり、またわれわれとしてもその責務を特に感じて、これからも努力して参るように相なると思うのでありまして、各省についての所管事項についても、自分自体ができないからといって、手をこまぬくというような考え方は毛頭持っておりません。そういう点についてのまた各省にやっていただくことについても、今度の交通局ができることによって、目がさらに大きく開いていけるものであろうというふうに考えるのであります。
  47. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、今、臨時閣僚懇談会などがあるわけでありますけれども、今度交通局ができた後におきましては、そういうところに対しましても、今までの交通の取り締まりの面から見まして、非常に積極対策が不足をしておるから、道路だとかあるいは住宅政策とかあるいはその他大量輸送政策というのが、非常に欠陥が多いから、こういう点を考慮して、取り締まるなどということに重点を置かぬでもしごく円滑に流れていくような方法を、積極的にこうこうこういうことをやられてはどうかというような具体案を、あなたの方はそこに出して進言をして、そしてそういうものが政策として出てくることを期待されるような動きも、この交通局ができることによってなされるのでありますか。
  48. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 もちろんそういうふうな考えでおります。現在までも決してそういう点について手をこまぬいておったわけではありませんで、警察のできることはこれこれであるからこれこれはやります、しかし立体交差の問題であるとか、あるいは踏み切りの整理統合の問題であるとか、自家用自動車等の車庫常置場所の設置義務の問題であるとか、路面電車の撤去——これは太田さんにまたしかられるかもしれませんが、そういうふうな問題であるとか、道路占用工事の調整であるとか、いろいろな点については、今までも申してきておるわけでございますが、そういう点を交通局専任の局長ができ、専管の局ができるということに相なりますならば、さらに集中的にそういう点についても活躍して参ることができるのじゃないか。閣僚懇談会等については、特に意見を強く申し上げたいと考えておる次第であります。
  49. 太田一夫

    ○太田委員 閣僚懇談会では、そんな取り締まりを強化するというような意見というのが、あまり論議されないようであって、新聞などでもそういう問題は見ておらないのです。私どもは今日の交通混雑を緩和するのに、東京大阪、こういう三都を中心とするところの交通混雑というのは、問題は入れものの話であって、入れものと話と、あるいはもう一つの大きな国土計画のそこであって、決して取り締まりがうまくいかぬから交通の流れが渋滞するとか、あるいはまたどうとかいうことでは私はないと思う。従って早く道路をどうするとか、あるいは交通機関をどうするとかいうような、他の省の所管に属することが多い。そちらの方がさらに強化されることがこの際望ましい。道路予算をうんと出して、そうして運輸省の行政というものを実情に即するようにして、通産省の車両行政は、外車を導入するなんてばかなことをやらないで、そうしてもっぱら国産車の中の今の日本の国の道路事情に適応した車を適当に作って、国内販売を制限したっていいじゃないか、残ったものをどんどん外国に売るようにして、というような意味においてやればいいが、無制限に自動車工業を野放しにしておいて、どんどん車を作って下さい、売りましょう、売りましょう、そうしておいて外国の方に売るいわゆる輸出の方に対してあまり力を入れない。そうしておいて、また逆に外国から大型の車を入れて、そうして観光バス用だとか何用だとかいって出すが、何もひもをつけてみたって、他に転売されることは今まで制限されておらなかったから、個人用として一人を乗せて大きな幅で道路を占用して、混雑の中を走っておる、こういうことになると思う。だから通産行政ということに対しても、交通取り締まりということから言えば、円滑と安全の立場から言えば、これはうんと注文しなければならぬものがあるわけです。そういう点が中心になると思う。そういう点が中心になるというのに、チケットを発行して罰金を早くとるというようなことを幾らやってみたところで、自動車は減りはしない、自動車の走るスピードが上がるわけじゃない、交通は相変わらず混雑すると思う。だから今おっしゃったように、安全と円滑化、事故防止、こういうことが中心となって推進されるものならば、取り締まりの方なんか少々この際手をゆるめてもいいじゃないか。五十キロとか五十五キロ出して、五キロ超過したからこれは幾らです、五キロ超過すると、一キロ今何千円ですか、ずいぶん高いでしょう、二千円として一万円とられる、千円なら五千円、こういう多額な罰金をとって、五キロ超過したからといってそれを一件あげて、交通がさあこれで安全になった、円滑化がはかられるということは、まことに愚の骨頂だと思う。そんなことよりは、もっともっと根本的な問題にこの際メスを入れることに中心を置かなければ、日本の交通事情は緩和されぬということになる。今あなたの方が交通局を作るということは取り締まりなんということは忘れて、当面取り締まりということじゃなくて、言葉の上だけはいいですが、あまりひどい行き過ぎたようなことはやらないで、もっとみんなにわかるような、この混雑の中の取り締まりという特殊な具体策を出して、そうして交通の円滑化、安全、人命の尊重という事故防止を推進されることが望ましいと思う。そういう点ならば私もよくわかると思う。それが取り締まり、取り締まりという言葉が出てくると、どうしても警察は取り締まりが主管だから取り締まりが一これは取り締まりは取り締まりでも、今度の事態における取り締まりは違うんだ、決して過酷なことはしないのだ、運転手泣かせはしない、こういうように私はだれかが言ってほしいと思う。お前何だ、やり方が悪かった、標識を見たか、あそこにあるから見てこい、なんて言われたところで、標識は幾らもあるのです。幾らもあるのに、そう一々見ておれませんよ。一つや二つ見落としますよ。そのときには気をつけろと言っておけばいいじゃないですか。そういうように取り締まりも寛大な取り締まりをしながら、人間の心にぴたりとくるものを私はやるべきだと思う。夜なんか堂々と駐車禁止のところに駐車している車があったら、そういうものこそ厳重にやらなければいけないけれども、疲れて疲れて疲れ切った運転手たちに対して、ちょっとした枝葉末節の違反があるということだけで、厳重な罰を課されることはまずいと思う。だから取り締まりにしても、先ほど来のお話で、警察庁長官としてこの立案をされた今後の取り締まりの方針としては、決してそんな法律だけを守って、押しつけて、多くの違反者を出すことをやる、いわゆる狭い意味の取り締まりに重点を置くものではないということをおっしゃったから、そういう点において私は理解したいと思うのですが、あまりそういう罰をとることや免許証を取り上げる二とに重点を置かれないように、人命の死傷があった場合は別ですが、そういう実情に即した取り締まりに今後移行される方針であろうと私は理解しますが、その点もう一度あなたの見解を承っておきたい。
  50. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど来申し上げますように、今度のねらいは交通の安全と円滑化ということに重点を置いて、そのための機構の改革でございます。ただ、今お話しのように、まさに重箱のすみをほじくるような取り締まり、そういうものを強化していくというような考えは毛頭ございません。ただ現状としましては、いかにも無謀運転であるとか、無免許運転等も相当多いわけでございますので、そういう面については従来通り強く取り締まりをしていかなければなりませんけれども、要は交通の安全、円滑化ということについて、警察の責務を十分に果たしていきたい、また、関係機関についても十分に助言と提案をして参りたいということにほかならないのでございます。御了承を得たいと思います。
  51. 太田一夫

    ○太田委員 あなたのおっしゃる気持はよくわかるのです。ところが最後になって、具体的になったときになって、今の道交法だけをただ一つのよりどころにして、取り締まりがそこからのみ出るということになりますと、狭くなるわけですね、道交法だけで交通の円滑化、道交法だけで交通の安全、道交法だけで人命の尊重、混雑の緩和ということをやろうとしたって、道交法ではできないということがわかっているのです。ところが交通局のよりどころの法律というものが、どうしても道交法という一本になるような気がしてしようがない。道交法は昨年審議をしまして、御説明ではそう行き過ぎのあるものではないと理解しておりましたけれども、さて実際に違反した人たちの裁判がありますが、簡易裁判所ですか、行ってみましても、もう山のごとくに集まっておって、これが朝呼び出されて晩まで、ずいぶん長時間かかっていろいろとさばきを受けておりますけれども、そういう人たちを調べてみますと、道路交通法ができてから取り締まりがきつくなったという気がする、みんなそう言っておる。ですが、もっと根本を探れば、先ほどの無謀運転というのには白ナンバー、自家用車が多いでしょう。だから自家用車なんか取り締まりをやらなければいかぬ。取り締まりなら、自家用車も取り締まって、自家用車の中の事故を起こしそうな層に対しては、何かこれを起こさないような指導をしなければいけない。わかっておるわけだ、あそこの坊やは外車を持って走っておる、スポーツ・カーを持っておるが、あれはいかぬ、あぶなくてしょうがないというのだったら、それは走らさないようにしなければいかぬ。それからまた自家用車に、今簡単に運輸省が免許証を出しておるとするならば、その免許証を出すときの要件に、もうちょっと何か規制を加えるように御要望なさる必要もあると思う。自家用車の規制が今一番おくれておるわけですね。先ほども富永さんの話ですが、この自家用車規制ということについては一指も染められない。駐車禁止とかスピード取り締まり以外に、どうして自家用車に規制が加えられないのですか。これは長官、どうですか、何かほかに御配慮があるのですか。
  52. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 自家用車につきましては、直接にその交通を禁止、制限するということは、非常に困難ではないかというふうに考えるわけでございます。と申しますのは、乗っている目的であるとか、その人の性格であるとか、境遇であるとかいうようなことを一々検討して、これを規制するというようなことは、現在きわめて困難なことではないかと思うのでございます。ただ、自家用車についても、間接的にいろいろな規制の方法がないわけではないと思います。一つには、積極的な面で、バスであるとか地下鉄であるとか、そういう多衆を乗せる交通機関が、きわめて円滑にスピーディに行くということであり、自家用乗用車で行けば非常に停滞するというようなことでありますれば、自然そういう方面の利用が多くなるということも考えられましょうし、また都心部において駐車禁止区域というものを徹底して、これを実施していくということになりますれば、正規の駐車場を持たない者は、しょっちゅう中央においてこれを乗り回すことはできない。そういうところに、これは私の考えでございますからあるいは合理的でないかもしれませんが、たとえばタクシーの駐車制というようなことでも設けて、そこに行けばだれでも乗れるということにし、自家用乗用車は都心部においては駐車ができないというようなことになりますれば、自然にある区域からはバスなりあるいはハイヤーを利用することも多くなるというようなことで、間接的な規制ということは考えていけるのではないかというふうに思います。私は、先ほど東京都のことについてお話がございました際申し上げましたが、要は交通の渋滞というものを、いかにして緩和していくかという方向に、やはり国民運動と申しますか、全体がそういう空気になって、できるものからみんな力を合わせてやっていくという空気が必要じゃないか。その中において、警察としてはこの程度のことをやりたいと思う、あなたはこういうことをやったらどうですか、自分はこういうことをやろうということで、みんな方向一つにきめて、そこに集中してやっていく、だれかが積極的にこういうことをやるとなれば、それはいかぬ、それはいかぬと言って、みんなでたたきつぶしておった日には、これは解決しないので、もっといい案を示せばそれに切りかえるということも考えられましょうし、とにかく一つ方向に向かっても行き詰まりは非常に目の前に見えてきておるような現状でございますから、これを打開するためには、やはり都民全体がそういう気持になって、また関係機関がそういう気持になって、積極的な施策をできるだけ進めていく、そこに若干のちぐはぐは出てくるかもしれませんが、そういうことは時を追って調整されていくのではないかというふうに考えておるわけであります。
  53. 太田一夫

    ○太田委員 大へんよくわかりました。一つそういう間違いのないように御指導いただいて、交通局を作ったことがいたずらに取り締まりの強化になって、運転手泣かせにならないように、おっしゃった通りに実行をしていただきたい。いろいろと御方針はありましょうけれども、むやみに自動車が争えて、むやみに混雑するものを、単に一部の路線トラックというものをとめるだけのこそく的な手段で取り締まるだけでは、これを切り抜けるというのもまことに不可能な話でございますので、どうぞそういう点では、積極的な策を推進するという一つのよすがにもなるように御活用いただきたい、御要望を申し上げたいと存じます。
  54. 園田直

    園田委員長 他に質疑はありませんか。——別に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了することといたします。     —————————————
  55. 園田直

    園田委員長 これより本案を討論に付する順序でありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  これより採決いたします。警察法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  56. 園田直

    園田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)  次にお諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。      ————◇—————
  58. 園田直

    園田委員長 この際お諮りいたします。来たる二十二日、地方税法の一部を改正する法律案について参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、参考人の選定につきましては委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  61. 園田直

    園田委員長 次に、去る十五日付託になりました内閣提出地方交付税法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
  62. 園田直

    園田委員長 まず政府より提案理由の説明を聴取いたします。安井自治大臣。
  63. 安井謙

    ○安井国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する等の法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  (1) 明年度は、地方公務員の退職年金制度の創設を初めとして、地方団体の財政需要が増高いたしますので、地方交付税の率を引き上げる必要があります。また、このことと関連いたしまして、昭和三十五年度以降住民税の減税に伴う地方財政の状況にかんがみ、当分の間の措置として交付されて参りました臨時地方特別交付金を廃止することが適当であると考えられるのであります。  (2) 次に明年度は道路整備五カ年計画に基づく道路整備事業を初めとする各種公共事業や、社会保障制度の拡充に伴う地方団体の所要経費をまかなうための財源及び昨年十月から実施されました地方公務員の給与改定の平年度化等により増加する給与費に対応する財源関係地方団体に付与する必要があります。  また、明年度は、国税三税の増加や本年度からの百億円の繰り越しによって、地方交付税の総額も相当増加いたしますので、この際関係基準財政需要額を増額して、さらに地方行政水準の向上を企図することが適当であると考えられます。  このほか昭和三十八年度から昭和四十年度までの間における高等学校生徒の急増に対処するための特例として、基準財政需要額の加算の措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案内容の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方交付税法改正に関する事項であります。  その一は、地方交付税の率を引き上げることであります。国税三税に対する地方交付税の率は、昭和三十四年度以降百分の二十八・五とされておりますが、地方公務員の退職年金制度の創設その他明年度の地方財政の状況全般を勘案いたしまして、昭和三十七年度からこれを百分の二十八・九と、〇・四%引き上げることといたしたのであります。  その二は、単位費用を引き上げて基準財政需要額を増額することであります。  道府県分につきましては、(イ) 道路整備五カ年計画に基づく道路整備事業の実施その他公共投資の充実に必要な財源を付与するため、道路費、農業行政費及び林野行政費の単位費用を引き上げ、(ロ) さらに、投資的経費を包括的な算入するため、その他の諸費の人口及び面積を測定単位とするものにかかる単位費用を引き上げることとしたのであります。  市町村分につきましては、道路及び街路、公園、公共下水道、し尿処理施設等、都市における施設の整備に要する経費及び農山漁村における投資的経費の充実をはかるため、道路費、都市計画費、衛生費、農業行政費及びその他の産業経済費の単位費用を引き上げることといたしております。  さらに、道府県分、市町村分を通じて、(イ) 生活保護基準の引き上げ、結核予防行政の充実、失業対策事業にかかる労力費の引き上げ等により増加する社会保障関係経費の財源を付与するため生活保護費、社会福祉費、衛生費及び労働費にかかる単位費用を引き上げ、(ロ) 税外負担の解消をさらに促進するため、道府県分、市町村分を通じ高等学校費にかかる単位費用を、市町村分については、さらに小学校費、中学校費等の単位費用等をそれぞれ引き上げることとし、そのほか (ハ) 地方公務員の退職金制度の創設、給与改定の平年度化、昇給等に要する経費の財源基準財政需要額に算入するため、関係行政項目の単位費用を引き上げることとしたのであります。  その三は、補正方法の改正に関する事項であります。  道府県分につきましては、(イ) 河川費、港湾費及びその他の土木費のうち、海岸保全施設の延長を測定単位とするものにつき、これらの測定単位により算定される投資的経費を、より各道府県の財政需要の実態に適合させるため、新たに当該道府県の人口または事業費と当該測定単位の数値との割合を基礎とした密度補正を行なうこととし、(ロ)高等学校費について、測定単位として新たに教職員数を設けたため、これについて種別補正その他の補正を行なうことといたしました。  市町村分におきましては、府県分と同様港湾費に事業費を基礎として密度補正を適用するほか高等学校費について測定単位の新設に伴い所要の補正を行なうことといたしております。  なお、今後、補正係数を定めるにあたりましては、弱小の市町村に対する財源の傾斜的充実をはかるため、都市的形態の度合いに応じて定めている態容補正係数を改正し、その格差を縮小することとするほか、財政力に比し公債負担の大きい市町村の公債負担の軽減をはかるため、市町村が国庫の負担金を受けないで施行した災害復旧事業の財源に充てるため起こした地方債の元利償還金を基準財政需要額に算入するにあたり、財政力補正を適用することといたしたいと考えております。  その四は、測定単位の改正に関する事項であります。昨年の国会におきまして、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律が成立いたしましたので、高等学校に要する経費のうち職員給与費につきましては、教職員数を測定単位として算定することといたしました。  その五は、高等学校生徒の急増対策に関する事項であります。  御承知の通り、昭和三十八年度から昭和四十年度までの間におきまして、中学校を卒業する生徒が急増いたしますので、地方団体といたしましては、これに対処するため高等学校の新増設等この整備を計画的に進めていく必要があるのであります。そこで政府は明年度における整備事業費を総額百五十四億円と見積もり、これについて所要の財源措置を講ずることといたしたのであります。  すなわち、この百五十四億円のうち、十三億円を国庫支出金で五十億円を地方債で措置することとし、残額の九十一億円は、これを基準財政需要額に算入することといたしたのであります。  すなわち、本法律案の附則におきまして、昭和三十七年度の特例措置として高等学校生徒急増対策費を設けることとし、昭和三十八年度から昭和四十年度までの間に増加すると見られる高等学校生徒数を測定単位として所要の経費を算定し、これを基準財政需要額に加算することとしたのであります。  なお、高等学校生徒急増対策費は、原則として道府県について算定するものとし、例外として五大都市につきましては、その生徒数を基礎として所要の経費を算定することといたしております。  また、私立学校に対しましても、この期間中に急増する生徒の一部の収容を期待しておりますので、私立の高等学校の増加生徒数を測定単位として、私立高校援助のための都道府県の所要経費を算定することといたしました。  その六は、基準財政収入額の算定方法の改正に関する事項であります。  すなわち、別に御審議いただいております地方税制度の改正によりまして住民税、たばこ消費税の課税方法が改められますので、基準財政収入額の算定方法も、これに応じてその一部を改めることといたした次第であります。  第二は、臨時地方特別交付金に関する法律の廃止に関する事項であります。  今回、明年度の地方財政の状況全般を考慮して地方交付税率の引き上げを行なうことといたし、これに伴い、臨時地方特別交付金を廃止することとしたのであります。  なお、以上の改正に関連いたしまして、関係法律の規定の一部を改正することといたしております。  以上が地方交付税法の一部を改正する等の法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  64. 園田直

    園田委員長 以上で説明は終わりました。  なお、本案についての質疑は後日に譲ることといたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。   午後零時十四分散会      ————◇—————