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1961-12-15 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十二月十五日(金曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員   委員長 園田  直君    理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君    理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    津島 文治君       富田 健治君    前田 義雄君       佐野 憲治君    二宮 武夫君       松井  誠君    山口 鶴男君       猪俣 浩三君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         防衛政務次官  笹本 一雄君         文部政務次官  長谷川 峻君  委員外出席者         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁警備局         長)      三輪 良雄君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         公安調査庁次長 関   之君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 十二月十五日  委員和田博雄辞任につき、その補  欠として猪俣浩三君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員猪俣浩三辞任につき、その補  欠として和田博雄君が議長指名で  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察に関する件      ————◇—————
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  警察に関する件について調査を進めます。この際柏村警察庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。柏村長官
  3. 柏村信雄

    ○柏村説明員 一部の右翼、旧軍人などによる不穏計画について御報告申し上げます。  警視庁におきましては、かねてから一部右翼軍人らの少数グループが、政府要人などに対して不穏な計画を企てている事実を探知し、内偵捜査を進めておったのでありますが、本月十二日早朝、千葉、福岡、長崎、埼玉、佐賀各県警察協力のもとに、この計画中心人物と見られまする元川南工業社長川南豊作国史会主宰者陸士六十期生小池一臣日本学生改新会会長元菊旗同志会中央委員篠田英悟のほか、元陸軍少将桜井徳太郎、五・一五事件関係者三上卓ら十二名を殺人予備罪容疑で、また三無塾塾長川下佳節鉄砲刀剣類等所持取締法違反現行犯で、それぞれ逮捕いたしまするとともに、関係個所三十二カ所を捜索し、ヘルメット三百八十八個、防毒マスク百個、作業衣九十九着、戦闘帽九十九個、日本刀八振り、ライフル銃二丁、その他の証拠品を差し押えたのであります。同人らの身柄は、一件書類とともに十四日東京地方検察庁に送り、引き続き警視庁東京地検において取り調べ中であります。  同人らの不穏計画動機目的、犯罪事実の詳細につきましては、今後の取り調べ捜査により、漸次明らかにされることと思いまするが、ただいままでの捜査の結果によりますると、同人らはわが国の現状に不満を持ち、現状打開のためには政府要人などを殺害する等の非常手段もやむなしと考え、幾たびか謀議を重ね、武器入手などの準備をしていたという疑いがきわめて濃厚なのであります。  浅沼事件嶋中事件以後、警察におきましては、右翼テロその他の直接行動未然防止に最大の努力を払って参ったのでありますが、本年当初以来、一部右翼言動の中には、緊迫した国際情勢、また軍事基地闘争政防法闘争などの現状から、共産革命への危機感を深めますとともに、一方これに対する政府の施策にあきたりないものがあるとして批判的傾向を強め、さらに五月韓国に発生いたしましたクーデターに拍手を送るような向きもございましたので、このような情勢の中で、一部右翼のはね上がり的な危険な動きに特に注意をいたしていたのであります。  ところがたまたま本年九月初めごろ、一、二の県警察から、某歴史研究グループによる不穏計画についての情報がございましたので、この情報をもとにして鋭意捜査を進めました結果、さきに申し述べましたように、一部右翼、旧軍人らが政府要人などに危害を加える目的謀議を重ね、武器の収集などの準備をしている疑いが濃くなりましたので、事を未然に防止するため、このたび早期検挙を実施いたしたのであります。  現在までの取り調べの結果では、今回の事件は、一部のはね上がった右翼分子と終戦当時陸士在学中のきわめて一部の者によって計画されたものでありまして、既存の右翼団体陸士五十九期、六十期生の間に幅広い連絡があるという事実は認められないのであります。  以上、今回の事件の概要を申し上げましたが、警察といたしましては、今後も一般国民の御協力のもとに、この種危険な政治的暴力の排除に最善の努力を払って参りたいと考えておる次第でございます。
  4. 園田直

    園田委員長 これより質疑を行ないます。通告がありますので順次これを許します。宇野宗佑君。
  5. 宇野宗佑

    宇野委員 またしても非常に不愉快な事件が起こりまして、われわれはこれを遺憾とするものでございます。しかし今回の事件を、いろいろと今日まで報道されておった面を考えてみますと、嶋中事件あるいは浅沼事件のごとき、右翼とは申しながらも未成年者がやったということではなくして、一応成年でもあり、また妻子もあり、またそれ相応の経歴も持っていらっしゃるという、いうならば良識ある社会人とさえも思われていた人がこの中に含まれて、不穏な計画をたくらんでおったということは、われわれといたしましても黙視するわけには参りません。また、一部の論評等を伺いますと、こうした事件は今後あるいはあとを断たないかもしれない、右翼のこのような事件は、その奥底に英雄気取りがあるのだから、そうしたことを国会で大きく取り上げたり、あるいはマス・コミがこれを大きく取り上げるということは、かえってまたまた連鎖反応を起こすのではないか、従って、それに対するこれという対応措置がないのならば、黙殺するに限るというような意見もあるようでありますが、しかし、一応あのようにして未然に防がれたとは申しながらも、事件内容が非常に不穏当であるということに関しましては、われわれといたしましても、この際国民皆さん方にさらに一そうこの事件に対して注目もしていただき、またいろいろと論評もしていただき、あるいはまたお互いに反省もし、また決して心配することはないのだというようなお言葉をちょうだいせんがためにも、二、三の点について御当局の御所見を伺っておきたいと思うものでございます。  そこでまず、今回のこの事件は、一応ただいままではクーデターというふうな名称をもって論ぜられて参ったのでございますが、もちろん、昨日の国家公安委員長国会に対する御報告並びに本委員会に対するただいまの柏村長官の御報告によりましても、不穏行動というふうな非常にデリケートな言葉を使っていらっしゃいます。また警察当局の一部におきましても、クーデターではなくして、これは集団テロだと見るべきであるというふうな御意見もあるやに拝せられまするが、一応この際クーデターか、もしくは集団テロと断ずべきか、どちらであろうか、その概念について一応お答えを賜われば幸甚だと存じます。
  6. 柏村信雄

    ○柏村説明員 お尋ねの、今回の事件クーデターを企図したものであるか、単なる集団テロであるかというお尋ねのようでございますが、クーデターというのは、政権変革と申しますか、政府転覆というか、そういうものであろうと思います。今回の事件を目下捜査中でございますので、確たることは申し上げかねますが、クーデターを企図した疑いもかなり濃厚なのでございます。ただし、当初の逮捕に踏み切った際におきまして、そこまでの疎明をするということでなしに、とりあえず殺人予備、いわゆる集団によって多数の人を殺傷するという企図は確かにあったという判断のもとに、少なくとも集団テロ内容は持っておる、しかし、今後の取り調べによりまして、これがクーデターを企図したものであるという確証を得るに至りますれば、そういう取り扱いをやって参るようになるのではないかと思います。
  7. 宇野宗佑

    宇野委員 われわれも、今までのいろいろな情報より察知いたしまするに、一応クーデターに近いような計画がなされておったと判定すべきであろうと思うのであります。特に元軍人によって、しかもその中には、かつて五・一五事件であるとか、そのほかのいわゆる軍人クーデターに参画された人が入っておられるということから推すならば、なおさらその疑いを濃くするものであります。しかしながら、たとえば、こうした事件が元軍人だというので、非常に国民に不安を与えたことも事実ではございましょうが、元軍人と申し上げれば、われわれも元軍人であります。おそらく太平洋戦争までの成年男子であるならば、ほとんどの日本人が元軍人であったと私たちは思う。従いまして、これらの元軍人の一部の過激分子行動であったにいたしましても、新聞報道等を通じますると、全国には約四千の軍人グループがある。しかも、その中で暴走しかねない、いわゆる危険分子、危険的な団体だとみなされるものが数十団体あるというようなことが報道されておりまするが、そういうことになっておりますると、中には、非常に思想堅実にして穏健なる軍人グループもあるわけでございまするが、それらの方々も今回の事件に関しましては、大いに迷惑しておられるのではないかと思います。そこで今回の十三名を別にいたしまして、新聞で一部報道せられましたがごとくに、軍人グループの中には独走する、暴走するおそれのある危険団体が数十団体あるとはっきり明示されました以上は、警察当局のお手元におきましても、それらの御資料があろうかと存ぜられますが、はたして数十団体あるのかないのか、この際はっきりと御答弁を承っておきたいと存じます。
  8. 柏村信雄

    ○柏村説明員 一部の新聞等に、そういうお話のような記事が出たようでございますけれども、私ども警察といたしましては、特に旧軍人団体においてそうした不穏なものが多数あるというふうには考えておりません。先ほど御報告申し上げた中にも触れましたように、今度の事件についても陸士五十九期、六十期のきわめて一部の者がこれに参加したにすぎないのでありまして、非常に大ぜいのそうしたまともな陸士同期生、卒業生というようなものについて、何ら幅広い動きがあるというふうには考えておらぬのであります。たまたま今度の事件に旧軍人が加わっておったということで、旧軍人を同じような目で見ていくということは、非常な間違いだろうというふうに考える次第でございます。
  9. 宇野宗佑

    宇野委員 たまたま話が旧軍人グループになったのでございますけれども、いわゆる右翼対策に関しましては、今春の嶋中事件端緒といたしまして、国会におきましても論議が尽くされて参りました。またその当時、一応右翼とは称しながらも平穏無事なる右翼もいらっしゃるし、あるいは中にはいわゆる行動右翼と称せられる二、三の右翼もあったようでありますが、その中にも軍人グループがあったのかなかったのか、当時われわれに提出されましたところのデータには確かに見受けられなかったと思います。そこで、今回逮捕されましたこの十三名の方々を除いてという仮定のもとに、軍人グループとみなされる方々が不穏な計画を立て、不穏な動きをしているというふうな情報をおつかみになったのは、一体いつごろでございましょう。
  10. 柏村信雄

    ○柏村説明員 今回の事件以外に、軍人グループにおいて不穏な計画を立てたという情報を得たことはございません。
  11. 宇野宗佑

    宇野委員 しからば、今回の逮捕されました十三名が現在立てておりましたこの計画を察知されました端緒、今さっきの御報告の中にも大体大ざっぱに言われておりましたが、でき得べくんば、こういう端緒から実はこの事件がわれわれの情報にキャッチされたのであるということを、お差しつかえがなければお話ししてもらいたいと思います。
  12. 三輪良雄

    三輪説明員 実は捜査の過程は、公式にお答えをすることは差し控えたいのでございます。しかし、端緒につきまして申しますると、九月に九州のさる県から、関東方面から参りました者の言動として、先ほど御説明の中にもありましたように、某歴史研究グループの中にクーデターをやるような不穏な計画があり、これにある助力を求められたというような言動があったのでございます。その中にに具体的な人の名前も出て参りましたので、これを警視庁に移しまして内偵を始めたのでございます。あまり時を経ずいたしまして、関東の某県からやはり同種の言動情報が入りました。それも同じ状態警視庁に移しまして、いよいよそういう疑いを深めて内偵をいたしたのでございます。自後国史会というものが、最初に出て参りました歴史研究グループに当たるのだということで、これは国史研究ということで一週一ぺん十数人が集まって講師を呼んで話を聞く、あるいは時局について討論をするというようなことをやっておったようでございますが、そういう関係者並びにそれと接触いたします人たちを綿密に捜査内偵をいたしました結果、次第にこの計画の輪郭がつかめて参ったのでございます。そこで、先ほど御説明がありましたようにこれがクーデターであるか、あるいは集団テロであるかというような問題につきましても、実はそういう計画の詳細が具体的にきめられ、そのきめられましたことが私どもの方にわかった結果、つまり全部準備が整ったところで検挙をいたしたということではございませんので、危険防止の趣旨から早期検挙したわけでございますので、そういう計画の詳細は今後の取り調べに待つということに相なるわけでございます。
  13. 宇野宗佑

    宇野委員 十三名が計画いたしておりましたその内容に関しましても、すでに新聞紙上で一部伝えられておりまするが、ここでもう一度あらためて伺っておきたいと存じます。すなわち今日まで判明しておったところのこの計画に基づく襲撃の時期、決行の時期また決行の場所及びその対象の人物と申しますか、それに関しまして、今日まで判明しておるところがあるならば、この際明らかにしていただきたいと思います。
  14. 三輪良雄

    三輪説明員 これも先ほどお答えいたしましたようなことで、ことにこの十三人の間で確定的に謀議が整ったと申しますか、きまったというふうな形では承知をいたしておりません。個々関係者言葉の中からそれと思われるものが出ておるのでありますが、三月に左翼蜂起危機があるというようなことで、これに対処をするんだという言動もございます。また中心としては国会を占拠し、現閣僚を監禁をするというような言動があるのでございます。そういう点で、現閣僚に対して危害を加えて政権を奪取するというようなことではなかろうかと思うのでございますけれども、これらも、いずれもその関係者の中の言葉から現に出ておりますことでございまして、これが、どの程度全体の意思として討議されたことであるかどうかというようなことは、まだ私どもには承知できないのでございます。
  15. 宇野宗佑

    宇野委員 では、その動機に関しましては先ほどの御報告の中にもありました通り、昨今の国内情勢あるいは国際情勢というものが、非常に共産勢力が侵食しつつあるところだから、今のうちにやってしまわなければいけないというふうなことだったろうと思いますが、今のようにこれといって謀議がなされておらないがために、統一したクーデターとみなされるその計画根拠性というものは、まだ確たるものはなかっただろうと思いますが、個々にはどういうふうな動機をもって——もっと具体的に日本政治がこういうふうに悪いからとか、あるいはなまぬるいからとか、あるいは一つ一つ事態をさしてどういうふうに今日まで彼らは当局に対して申し述べておるか、もしお差しつかえなければ、その辺に関しましても具体的な御答弁を賜わりたいと思います。
  16. 三輪良雄

    三輪説明員 何分にもまだ逮捕日が浅うございまして、いろいろの点から尋問をし、供述をとるというようなところでございますので、また個々の人によりまして、進んで述べる者もあり、また述べない者もあるというような状態でございますが、今のところでは先ほどお答えいたしました以上にあまり出ないのでございますけれども、三月に先ほど申しましたように左翼蜂起がある、そしてそのときでは間に合わない、今の政府左翼に対するやり方はきわめて手ぬるい、これでは今の状態を済度できないというような言葉もございますことから、いわゆる従来から言われておりましたように、一部の右翼の考え方の中に赤色革命に対する危機感が非常にあり、これに対しまして政府対策がきわめて手ぬるいという感じは一様にあったかと思うのでございます。
  17. 宇野宗佑

    宇野委員 主犯の一人と目せられる川南某という方が、そうした計画を立てるに際して、いろいろと資金も要るわけでございましょうし、また武器も必要とされるのですが、その武器人手経路に関して、一説には韓国より武器が入手されておるというふうな説が新聞でも報道されておりまするが、この川南某が、韓国クーデター以後に韓国を訪れたという一つ情報もあるやに承っております。それが事実であるかないか、また今回の幾つかの武器は、韓国から輸入されたものであるかどうか、この点も国際的な問題もございましょうが、お差しつかえなければ、判明する程度一つ報告を承っておきたいと思います。
  18. 三輪良雄

    三輪説明員 韓国から武器が入ったという情報は、私ども入手いたしてございません。御承知のように、警視庁検挙いたしました前日に、海上保安庁が密輸容疑家宅捜索をし、本人指名手配いたしたのでございます。これは、日本で船を買いまして香港に輸出するという許可を受けて、実は韓国に出すというようなことであったように概要聞いておるのでございます。従いまして、そういうルートがあるということで武器の一部を韓国から入手しようと思ったという可能性は十分ございますが、これを裏づける具体的なものはまだ入っておりません。武器につきまして、逮捕されました李樹森という中国人の貿易商が、ライフル銃三十丁を愛知県の製造会社に注文をいたしておるのでございます。このことは本人も認めており、これは南方開発のために野獣を撃つのだと言っており、輸出のためだと言っておるのであります。しかし諸般の他の状況等からいたしますと、この事件関係をしてそれが注文されたものではないかという疑いが相当にあるのでございます。なお、これと全然別個に、関係者の一部にライフル銃、拳銃を調達する役割を引き受けておったという言動もあるのでございます。これらが具体的にどこからどう入れるかということについての調べは、まだ具体的についておりませんけれども、そういうことで幾つかの筋で武器準備する。しかしながら、具体的に武器準備というのは、そういう計画がまだ実行されないうちに検挙いたしたということに相なろうかと思います。
  19. 宇野宗佑

    宇野委員 こうした軍人動きに関しましては、とやかく憶測あるいはデマが流れまして、一部には、すでにこの六月にアメリカのUPIがすっぱ抜きました通り自衛隊においても暴動があるのじゃなかろうかというふうな、私たちから考えればばかげた情報が流れたのであります。ところが、そうしたいわゆる自衛隊クーデター説というものも、やはり火のないところに煙が立たなかったのだといったような推測すらが、なお依然として一部にあるということを考えますと、私は、幸いに政務次官も御出席でございますので、この場合に、シビル・コントロールが完全にきいておるとわれわれ信じております自衛隊の名誉のためにも、はっきりそういった点をこの際御答弁を賜わっておきたいものであります。すなわち、ここにもその当時のクーデター計画発覚というUPI記事がございますけれども、全くこれはあの当時デマであった。しかしこうしたことを端緒として、今日の新聞を見ますると、警察当局公安部長さんはこうしたことはばかげた話であるけれども、しかしこうしたことも全くあり得ないとは考えないから、一つ軍人グループを一そう洗う必要があるのじゃなかろうかというふうなことで洗い始めたことも、今回のこの事件をキャッチする端緒になったというふうな、個人的な紹介ではございましたけれども新聞に載っておるということを考えて参りますと、私は、もう一度この際政務次官からはっきりした御答弁を賜わっておきたいと思いますが、UPIのこのクーデター説とは全然関係がないと思いますが、その説をもう一度はっきりと御答弁を賜わっておきたいと思います。
  20. 笹本一雄

    笹本政府委員 本年の六月の海外報道につきまして今お話でございますが、これはすでに御承知通り全く事実無根でございます。しかし、こういうことが海外報道関係で出されたということは、全く那辺にこういう意図があったのかということも推測に苦しんでいるわけでありますが、今お説のこういうこともあった、また新聞報道にも自衛隊というものをクーデターに結びつけて新聞報道が出ておりましたが、自衛隊においては昨日の本会議長官が申し上げましたごとく、絶対にこれには関係ございませんし、また今の自衛隊指導方針というものが、御承知通りほんとう自由主義民主主義のもとにやっておりますので、こういうような外からの働きかけはありましても、それに同調するものは絶対ないと信じており、また今度の事件におきましても、あるいは自衛隊との五十九期生、六十期生との間に相談したけれども、これが断わられたということが新聞に出ておりますけれども、こういう事実もございません。これは、同期生とかなんとかという友人だから、その人たち友人として会談をしたりしたことはございましょうが、こういう具体的な問題、またこういうことは絶対にない。今御質問の、前にもこういうことがあって、火のないところに煙が出ないという国民推測もあるから、この際はっきりそれを明らかにしてくれという御質問でありますが、火のないところに煙が出ないと言いますけれども、実際火もないということでありまして、非常に民主的にやっておりますので、今後も特に、こういう国民の案ずることでありますから、すべての点において十分気をつけてやっておりますが、絶対に今回の事件についても関係者はない、こう申し上げて御答弁といたします。
  21. 宇野宗佑

    宇野委員 非常にはっきりした御答弁を承って、われわれもほっとした次第であります。この事件が起こってから、私たちのところへ再三いろいろな陳情団が来られますが、やはりそういう陳情団の話を聞いておりましても、実際自衛隊は大丈夫でしょうか、やはりかつての五・一五、二・二六を思い起こされる方は、当然旧軍人グループ自衛隊との相関性が頭にぴんと来るわけであります。しかし、昨日の防衛庁長官の御答弁、また今の政務次官の御答弁を承りまして、私たちは今日としてはそういうことはなかろう、この点に関しましても、そういうことであったなら非常にけっこうだと存じております。また、しかし新聞紙上におきましては、やはり五十九期、六十期という方と現実に十三人のうちの何人かは相談はされなかったにしても、個人的なつき合いはあったというようなところに、なおかつ非常に割り切れぬようなものを持っていらっしゃることも事実だろうと思います。だから、幸いにして相談がたといあったにいたしましても拒否されたらけっこうだと思いますが、拒否されたというふうなことになっておりますが、今後も絶対にそういうことはあり得ないのだ、絶対に起こし得ないのだということは、ただ単に今日の自衛隊自衛隊法に基づいて民主主義的にやっているから御心配要らないという御言葉だけでは、私はおさまらないんじゃないかと思います。現実自衛隊一つながめましても、昔の軍隊とは違いまして、まことに出入りというものが緩慢過ぎます。いろいろな人たちがいろいろなことでやって参りましても、もう一般会社と変わりないような調子で会っておられるという面もあるやに承っておりまするが、たとえばそういう面に対しても、今後はこういうことに対して一切自衛隊は何ら心配は要らぬのだということについて、今からでもおそくないと思いますが、こういう事件の起こった以上は、そういう具体的な方策を当然政務次官としてはお持ちだろうと思いますが、もし、あまり接触が多過ぎるからこういう点はこういうふうにして、もう少しこうしたいのだ、ああしたいのだという点があるのならば、この際一つ御抱負のほどを承っておきたいと思います。
  22. 笹本一雄

    笹本政府委員 社会人としての交際、また今お話がございました、あまりに自由主義過ぎるのではないかというようなお話でありまするが、自衛隊の今の教育方針というものは、防衛が主であります。それから自衛隊法に定めてあります災害出動ということが主でありまして、そして昔のように上官の命は、そのことのいかんを問わず天皇の命令であるとかいうようなことは一つもございませんで、ただ災害その他の部隊行動の上においては、命令は秩序を正していかなければならない。しかし、その個人のすべとの思想、すべての問題まで規制していくということはしておりません。でありまするから、非常に民主主義であって、彼ら自衛官そのものに、一人々々にお聞きになってみられても教育方針はわかっておりますが、今御心配の、相談を受けたけれども断わったというような、接触があって断わったということは聞いておらない、また具体的な話があったということも聞いておりませんが、ただどうしているとかなんとかというのでたずねてこられて、同期生だから会ったということはあったというように聞いておりますが、その点におきましては、こういう問題もありましたので、一そう御趣旨に沿うように十分気をつけて、こういうことは絶対に起きないように指導、教育をしていきたいと考えております。
  23. 宇野宗佑

    宇野委員 五十九期、六十期は現在自衛隊には約三百人ですか、おられますが、たまたまその同僚が犯されたのであって、その三百名近いお方も同じような目で見られておるというようなことに関しましては、御本人の御名誉のためにも私たちはまことに遺憾とするところではございましたが、しかし今確たる御答弁を賜わりましたので、この上は五十九期、六十期、言うならば旧職業軍人のお方にはこうした事件端緒といたしまして、新しい民主主義にのっとった自衛隊としての誇りとその任務の遂行になお一そう邁進していただきたい、かくこの機会を通じて御要望申し上げる次第であります。  なお、最後に私は長官お尋ねいたしておきたいと思いますが、先ほどからの御答弁を承りましても、おおよそ事件の概要はつかましていただいたのでございますけれども長官御自身といたしましては、この事件検挙されましたのは殺人予備罪の名をもって検挙されております。これはもちろん捜査が進むにつれ、わかることではございましょうけれども、一応内乱罪あるいはまた破防法の適用される可能性があるかないか、その可能性について長官自身としてはどういうふうに現段階としては考えておられるか、大体あるのだろうかないのだろうか、この辺を一つ今後のためにもお聞きいたしておきたいと思います。
  24. 柏村信雄

    ○柏村説明員 先ほども申し上げましたように、目下鋭意捜査いたしております段階でございますので、私の想像を申し上げることは差し控えたいと思うのであります。集団殺人予備ということは、これはまずほぼ間違いないということで検挙をいたしたわけでございますが、先ほども申し上げましたように、内乱の予備、陰謀というような疑いも必ずしもないではないという気持はいたしております。しかし、これはもっぱら今後の取り調べによりまして明らかにされるところでありますので、お話の内乱予備、陰謀とか破防法の適用というようなことについては、検察庁当局においてさらに十分御検討になることと考えておるのであります。
  25. 宇野宗佑

    宇野委員 終わります。
  26. 園田直

  27. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今回発生しましたこの事件、これは世間では全くこれはばかげたことだ、こういう言い方をする向きもありますし、ばかげたことであるにしても、これは早く芽ばえの段階においてつんでしまわなければ大へんなことになる、こういうような批判も出てきております。また、この事件クーデターであるとかあるいは、先ほど長官お話にありましたような、いわゆる不穏な事件あるいは集団テロ事件というような考え方のものであるかというような点につきましては、いろいろ議論のあることと思います。しかしながら、世間ではやはりこういった問題については、特にその背後関係について非常に危惧しておる向きがあるのじゃなかろうかと思うのでございます。それで、本会議等においても多少の質疑が行なわれましたが、私は特にこの問題をしぼって、背後関係についていろいろと伺ってみたい。そして、そういう事実はあるものはある、ないものはない、こう明白にしていってこそ初めて国民の不安というものは解けるのじゃなかろうか、かように思うわけであります。  そこで、まず最初に伺っておきたいことは、聞くところによりますと警察がこの事件を探知したのは、さかのぼって四月ごろであったというようにいわれております。さらに、ほぼその概要をつかみ始めたのは、九月ごろであるというふうに伺っておるのでありますが、この時期にこういった逮捕を一斉におやりになって、しかも、この時期にこれを発表されるということになったわけでありますが、こういった時期を選ばれたということについては、どういう理由であったのか、このことを一つ伺っておきたい。
  28. 柏村信雄

    ○柏村説明員 先ほど三輪局長からも申し上げましたように、最近の情勢に応じまして、特に右翼の暴挙というようなものにつきまして、警察としては非常に厳戒をしておったわけでございます。その時期はもうすでに相当古くでありますけれども、今度の事件を具体的に探知しましたのは、先ほど三輪局長の申しましたように九月初めでありまして、それから各種の予防、張り込みその他各種の捜査を続けまして今日に至ったわけでございます。こういうグループが計画をいたし、これの全貌をわれわれが把握して、しかも、なおかつこれを未然に防ぐという、何といいますか、ほとんどでき上がったところをぱっと押えるというような巧妙なやり方ということも、それはあり得ると思うのでございますけれども、私どもとしましては、そういうものがほぼ完全に事件を起こす直前まで伸びていった際に、そこで完全に掌握しておれば、完全に押えるということは可能でありますけれども、万一その中において、一部でも実行に移されるというようなことがあっては、これは大へんである。従いまして、われわれとしては検挙し得る条件が整えば、できるだけ早期にこれを検挙していく。しかしながらある程度、とにかくその中心になるようなグループ全体というものを捕えるということは必要でございますので、一人、二人おかしい動きがあるということでやるというわけにも参らない、一応全体の構想、詳細な計画まではわからないにしても、これ以外に大きな広がりがないという段階、時期におきまして、この事件未然に防止するという見地に立って、早期検挙に踏み切ったというのが実情でございます。
  29. 阪上安太郎

    ○阪上委員 なぜ私がこういう質問をするかということでありますが、実はこの事件が発表されますと同時に、自民党の治安対策特別委員会において、さっそく政防法案の促進を促すというような要請が出てきたように新聞は報じております。また昨日であったかと思うのでありますが、やはり治安対策特別委員会会議に、国家公安委員会会議を持っておられるということであったにもかかわらず、長官等が列席されておるような記事が出ております。しかも、その中に、さらに政防法案等については早くこれを一つ結論を出さなければいかぬ、その意味は、促進しなければいかぬという意味であろうと思うが、そういったことが発表されておるのであります。私がこういう質問をいたしますのは、この時期にこれを発表されたということが、こういった政治的な意図を持って発表されたのではないかという疑いを持たすのではなかろうかと思いますので、特にこの質問をいたしておるわけであります。この関係について、警察庁長官は、やはり全くこれは捜査上の経過をたどって、その結果としてこの時期に発表しなければならなかったものであって、そういった政治的な意図に基づくものではないということをはっきりと言い切れるかどうか、このことを一つお伺いいたしたい。
  30. 柏村信雄

    ○柏村説明員 たまたま昨日自民党の治安対策特別委員会が開かれたことは事実でありますし、それに私も出席したことは事実であります。しかし、今回の事件につきまして、検挙に踏み切り、また検挙いたしました以上、その概要を発表するということは全く捜査上の見地からいたしておるわけでございまして、決してその特別委員会に関連を持ったものではございません。こういった事件がありましたために、ちょうど特別委員会が開かれましたので、そこである程度の概要の御説明もいたしたわけでございますし、公安委員会は十時からでございますので、私は九時四十五分に辞去いたしておるわけでございまして、公安委員会に何ら支障を来たしておるわけではございません。主としてこの治安対策特別委員会では、警察予算についてどういう考えでおるかというようなことをお聞きになることが、当初の目的ではなかったかと思います。
  31. 阪上安太郎

    ○阪上委員 実は一昨日、この問題を本委員会に取り上げてこれを審査する、こういうことでもって理事会でいろいろと日程等を組んだのであります。そのときに理事会では、実はあす公安委員会が開かれる——もちろんこのことであろうと思います。事は重大でありますし、そういったことから、われわれとしては、それならばということできょうに延ばしたわけなんであります。そういう経過もあって、ああいう会合に出られておるということ、これは出られることは当然なことだ、呼ばれれば出るのがあたりまえだと思います。しかも、その会合において即刻政防法案を促進しなければならぬという結論がまた出てきた、こういうことであるので、実は質問申し上げたのです。率直に申して、私は今回のこの事件未然に防止されたということについては、その功績は全く警察当局にあると認めております。心からこれは尊敬します。自衛隊がこれにくみしなかったということよりも、そのことに大きな原因があるのじゃなかろうかと思います。それだけに、今申し上げましたように、何かこういった時期にこういうものが唐突に出てきたというような感じもいたします。しかも先ほど言いましたように、邪推すれば邪推するに足りるような背景があるということなので実は質問した、こういうことであります。どうぞ一つこの点については、在来ともそうでありますが、今後とも警察もやはり政治的なそういったものに片寄らないようにお願いいたしたい、かように思います。  そこで、警察はこの事件を探知されたときに、捜査上の理由はあるということだと思うのでありますが、ねらわれた人々に対する警備等はどういうふうにおやりになったか、それからその中で特にお聞きいたしたいのは、そういうねらわれた人々に対する何らかの連絡をしておったかどうか、そういうことはすべきものではないとお考えになるかどうか、そういった点についてお伺いいたしたい。
  32. 柏村信雄

    ○柏村説明員 端緒を得まして約二カ月半、各種の捜査を遂げてきたわけでありますが、ねらわれた人というのも、われわれわかって参りますのは、だんだん最近になって大体こういう辺をねらうのではないかということでありまして、具体的に何の何がしをいつやるというような計画をわれわれキャッチしたわけではないわけでございます。従いまして、特定の方に対して、あなたはこういう事情で危険ですというような連絡は一切いたしておりません。しかしながら前の浅沼事件嶋中事件等の経緯にもかんがみまして、その後必要な政府、または与野党を問わず政党の要人、その他被害を加えられるおそれのある方に対しては、必要に応じて警護を続けておるわけでございますので、そういう点についての心配はいたしておらなかったわけでございます。今後は、こういうことがあってはならないと思いますし、こういう捜査につきまして、特にこの人について心配だというような場合に連絡することはあり得るかと思いますけれども、やはり捜査の秘密というようなこと、またいたずらに心配をかけるというようなこともいかがかと思いますので、警察として万全の措置をとりつつ、できるだけ極秘裏に捜査を進めるという考え方が正しいのじゃないかと思います。
  33. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に、自衛隊関係についてお伺いいたします。先ほども宇野宗佑君から御質問がございましたので、できるだけダブらないようにいたしたいと思います。  自衛隊員が誘いをかけられたということは事実でありましょう。それで、その誘いをかけられた人は何人くらいあるか、それからどんな階級の自衛隊員であるか、できればそれはだれかということについて一つ答弁願いたいと思います。
  34. 笹本一雄

    笹本政府委員 先ほども申し上げましたが、五十九期、六十期という人たちは非常に多いそうであります。全部で二千七百名からあるそうでありますが、その隊員の人たちは各地で教育されたので、同期生でもほとんど顔も名前も知らない人が多いそうであります。その中に、その後防衛庁に勤務しておる人たちと友だちの人があったことはあったそうでありますが、こういう具体的な問題について相談を受けたということは聞いておりません。また当時新聞に、自衛隊相談したけれども断わられたというような記事が出ておりますが、これはこういう問題を相談されたら断わられたということになりますので、関係内部からよく調べさせたのでありますが、断わるにもそういう具体的な話を聞いた者がないというふうになっております。これが事実でございます。
  35. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これは新聞の報ずるところでありますが、参加を勧誘された自衛隊員が断わった理由として、時期尚早だというようなことを言っておる、こういうことなんでありますが、私はこれは大へんな問題だと思う。時期尚早ならば時期がきたらやるのか、こういうようなものの考え方というものがあるのじゃないか。あるいはまた今度発覚された計画の中で、取り調べを進めていくにつれて、桜井元少将ですかの言なんかを新聞で拝見いたしておりますと、断わられたけれども、何とかこれは行動を起こしたときに自衛隊が鎮圧、制圧の挙に出ないようにしてくれれば、それでもやっていけるんだということで、そういう話も持っていったというような意味のことを言っております。この点について先ほどから絶対ありません、絶対ありませんとおっしゃるけれども、こういうことを本人が言っておるということについては、どういうふうにお考えになりますか。
  36. 笹本一雄

    笹本政府委員 私も新聞でそういうことを聞いておりまするが、いずれ捜査の結果、はっきりしたことについて出てくると思いまするが、事件後において厳密にその所属隊に対しまして調査をさした上においては、さいぜん申し上げましたごとく、そういう相談も受けた者がない、こういうふうになっております。これがまた私は事実だと思っておりまするが、いずれ捜査の結果、どういうことになりますか。しかし今の段階では、新聞に出ているようなこと、また今お話のあった時期尚早であるからいけないとかいうことについては、これは重大な問題です。時期がきたらやるのじゃないか。お説の通りであると思いますけれども、あるいは憶測でありまするが、友人たちの話において国防の関係について意見の交換があったと思いまするけれども事件後において、さいぜんも申し上げましたごとく、すべての隊員についてそういう同期生とか何とかいう人たち関係の者に対していろいろ調べた結果は、絶対ないと言っているようでありますが、その絶対ないというのはどうか知りませんが、今までにおいては、接触があった人もあったようでありますけれども、具体的にそういう話を聞いたということは聞いておりません。
  37. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これは非常に重大な問題でありますし、いずれ捜査の経過を経てあるいははっきりするのではなかろうか。あったか、なかったかの点でありますが、いまだそういう発言があったかなかったかの点につきましても、はっきりしてくるものと私は思うのであります。  そこで伺っておきたいと思いますのは、こういった誘いかけがあり、接触したという事実を、自衛隊としてはいつ、どういう経過を経て知られたか、こういうことを一つ伺ってみたいと思います。
  38. 笹本一雄

    笹本政府委員 今御答弁申し上げましたことは、この問題が起きて、調査隊、警務隊から調べたことについてのお答えでございましたが、その前においても、同期の人たちが十三名のうちの四人くらいは隊を訪問したりして会ったということは聞いておったそうであります。でありますが、それは別にこういう計画があったというのじゃなくて、訪問しておるということを知っておったそうであります。こういう問題の連絡ということでなく、同期生であるからたずねてきたというようなことだったそうであります。
  39. 阪上安太郎

    ○阪上委員 憲法十九条の思想の自由というような問題、あるいは二十一条の言論、結社、集会、その他一切の表現の自由というような問題との関連もありましょうが、当然公務員としては、そういった憲法に保障された自由でも、これは身分上の責任を明らかにする意味においても、規制を加えられるということは必ずしも違憲でない、こういうように思うのであります。その場合、隊員がそういう連絡があり、あるいは接触があったというときに、自衛隊としてそれは上官に報告する義務はあるのかないのか、こういうことについてお伺いいたします。
  40. 笹本一雄

    笹本政府委員 一々もとの学校の上級生とか、もとの会社におった人たちがおたずねしたその個人的な問題を報告する義務はございません。だが自衛隊の任務は、治安の確保でありますが、災害出動もあります。その上においていろいろこういうふうな問題がかりにあったとすれば、これは当然上司に話を、義務でなくとも、するように指導者が指導する、こういうふうに思っております。
  41. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういうことがわかったときの警察との関係でありますが、たとえばこれが、クーデターというような相談に乗ったのではないということは、先ほどからおっしゃっておりますが、それじゃ何の相談に乗ったのか。こういった人物との間に人間的な関係がある。それは、かつては権力はそういったことについて人間的なことから類推して、校友関係であるとかあるいは団体との加入関係であるとかいうようなことから推測して、それを不当に弾圧したという事実は過去にあります。でありますが、そういったことについて、それがわが国の社会秩序、国家秩序を破壊するというようなものであるならば、これは警察等に自衛隊としては当然連絡し、情報を提供しなければいかぬと思うのですが、先ほどの警察庁長官の今回の事件に対する報告の中に、そういう経路というものは全然たどられていないということをおっしゃったように私は記憶しております。従って、先ほどそういった接触があったという事実を、自衛隊としてはいつ御存じになったかということを、私は特に聞いておったのであります。これは御答弁がなかったのですが、その時期ははっきりしておりませんけれども、それを承知されたときに、警察との間に連絡をとられたかということについて一つ伺っておきたい。
  42. 笹本一雄

    笹本政府委員 さっきも申し上げました、何期生か知りませんが、たずねてきたというような話その他について、そのときの話等が上司に話されたかもしれませんが、こちらからもその話を警察等に連絡したという事実はございます。さいぜんの話では、そういう雑談だとかそういうことは聞いておりません。しかし、事件が起きてから後調べた結果は、そういうことであります。その前に事情というか、そういうふうなにおいがするということで警視庁情報を提供しておるそうです。また自衛隊の各部隊に警務隊とか調査隊というのがございますが、この方は各都道府県におきましても、警察との関係はよく連絡をとり、隊員の私行その他についても、よく連絡をとって調査その他はやっております。
  43. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうすると、この事件が公表されたといいますか、検挙された事前には、そういう接触があったということは、上官あたりは知っておったかしれないけれども、それは警察との連絡はしていない、こういうふうにおっしゃるんですか。
  44. 笹本一雄

    笹本政府委員 それは、その前に自衛隊から警視庁の方へも連絡をしておったそうであります。
  45. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうしますると、それが明らかに治安問題にやはり関連があるということでなければ、そういうことは警察報告する必要もなければ、連絡してやる必要もないと思うのです。そういうことで、自衛隊としては、クーデターであるかどうかは別として、治安撹乱の問題に関係があるということでもって、私は警察に連絡をとられたのではないか、こういうふうに考えざるを得ない。  そこで警察の方に伺いますが、その連絡の内容はどういうものであったのですか。
  46. 三輪良雄

    三輪説明員 今はっきりした日は、確かな記憶はございませんが、検挙いたしますほぼ十日ないし十五日くらい前からと思いますが、先ほど来のクーデターの話があって、それに誘い込まれようとして断わったということが前提となっておるようでありますが、そういう具体的な話があったということは、いずれにしてもないのでございます。ただ警察といたしまして、捜査をいたしております過程で、たとえば桜井元少将が自衛隊の幹部を相当に訪問をしたというようなことが出て参りました。ちょうどそのころに自衛隊の調査隊の方も、そういった動きを注意をしておられたわけでございます。その話の内容は、ただ今の時世は困ったものだという話やら、自衛隊は士気はどうかねという話やら、そういうことで、俗な言い方をすれば、いわば反応を見るという程度のことではあったようでございます。そこで自衛隊の調査隊も、それがクーデターでありますとか、集団テロ事件でありますとか、そういうものに直接つながるという御認識をお持ちになったわけではありませんが、何らかそういうふうなひんぱんに訪問されるというふうなことがあるという御連絡があり、むしろ警察側でそういうことについての動きがおわかりであれば、自分の方としても承知をしたいというふうなことであったわけであります。自来御連絡については、そういうお話を受けた方々から自衛隊としてお聞き取りいただいたことは、詳細に私ども承知をいたしておったのでございます。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上委員 まあこの問題に時間をかけますと相当時間も食いますが、またいずれかの機会に、もう少し全貌がわかったときに御質問することにいたしましょう。  そこで、さらにこういうことが新聞に報じられておったように私記憶しておるのでありますが、この時期に警察がこの挙に出たということについて、たしか警視庁の公安局長でありますか、防衛大学の若い人たちに与える影響を考える云々、というようなことが出ておったと思うのであります。このことについて、防衛大学における若い人たちの動向、こういうことが何か憂うべきものがあったのであるのかどうか、このことについて、一つ次官からお伺いしたいと思います。
  48. 笹本一雄

    笹本政府委員 そういうことはこれこそ絶対にございませんし、また防衛大学——この間も私行って参りましたが、これはほんとうに昔の陸大か何かとは違いまして、学問一方にやっております。そういう政治問題とか、あるいは社会問題とかということより、学問だけやっておりますので、そういうふうに関心を持つ生徒はほとんどないと思っております。また今のようなお話は、これこそ絶対的にございません。どうぞ御了承願います。
  49. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それから、今度押収されたいろいろな装備品の中に、防毒マスクがあるのであります。このガス・マスクというのは、自衛隊で多分防毒マスクは装備されておると思うのでありますが、それと同じものでありますか。
  50. 三輪良雄

    三輪説明員 自衛隊のものとは全く違います。
  51. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大体こういったファシズムの台頭につきましては、行動としてはわが国においては戦後全く終息しておったというふうにわれわれは見るのでありますが、思想としてのファシズムというものは依然としてわが国に残っておったということは、今度の事件を見ても明らかだと思うのであります。しかも最近におけるファシズムの台頭というものは、戦前におけるものと多少趣を異にしておる、こういうようにわれわれは考えます。この趣を異にしておる特徴として何が考えられるかということでありますけれども、それはやはり国際的な背景を特徴として見出すことができる。最近のラオスの革命等におきましても、あるいはキューバの革命におきましても、やはりこのことははっきりといえるのじゃなかろうか、私はこういうように思うのであります。  そこで、今回この事件が事実発生の直前に発覚したために押えられたということでありまして、警察の活動を非常に高く評価いたしますが、同時にそれが実現に移すことができなかった理由として、自衛隊がとにもかくにも同調しなかった、こういうことがいわれておりますが、このことも私は事実じゃなかろうかと思う。関係があったかなかったかという問題については、いろいろ問題があろうと思いますけれども、そういったことがやはりはっきりしておる。  そこで、新聞記事等によりますと、たとえばこの一味は資金を数億円用意して、都内で二、三回会合を開いておった、またこの事件の首謀者の一人である川南という者は、南ベトナムに土木建築という名目で右翼を派遣する計画にも参画していたといううわさもあるというようにいわれております。こういうことを考えてみますときに、あるいはまたそういった国際的な背景というものが——これは少し誇大に考え過ぎるかもしれませんが、やはり近代のファシズムのあり方が、そういった国際的な背景に非常に影響されておるということから考えて、これにもちょっとしたそういうひらめきがここに出ておるように思う。  そこで、先ほど宇野君から質問がありましたUPI自衛隊クーデター説、これは全く荒唐無稽のものであって、根拠が全然ないんだと先ほど次官はおっしゃいました。UPIというような権威を持った報道機関が、全く荒唐無稽で根拠のないようなことを発表するはずがないと思う。しかもこれが一国の治安、ことに内乱に関係を持つようないわゆるクーデター説、そういったものを流布する場合に、ただ単に全く根拠のないものを流布するなんていうことは、おそらく考えられない。われわれが耳にしております中にも、自衛隊の若い隊員の諸君が、茶飲み話と先ほど出ておったようですが、ああいう会合の中で、アメリカ軍当局あたりの人々と話し合って、われわれがもし事を起こすような場合には、あなた方はわれわれを応援してくれるかというようなことを話し合っていたというふうに承っておるのです。そういったことによって、これがUPI報道になった、こういうふうにもいわれておるのでありますが、そういう点についてどうでしょうか。
  52. 笹本一雄

    笹本政府委員 そういうことは聞いておりません。それからやはり海外報道は、自衛隊としては絶対にそういうことはございません。
  53. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それは聞いてないといわれれば聞いてないで事は済むかもしれませんが、私どもは聞いておるのです。  そこで、それではそのときにUPIに対して、自衛隊は何か抗議されたのですか。
  54. 笹本一雄

    笹本政府委員 当時外務省を通じて抗議しております。
  55. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それに対してUPIはどういう態度をとったのですか。
  56. 笹本一雄

    笹本政府委員 抗議しましたけれども、向こうから回答がなかったそうであります。
  57. 阪上安太郎

    ○阪上委員 こういった重大な事件であなた方全く根拠がないという確信があるならば、返事がないからといって黙って見ているというようなことでは少しどうかしているんじゃないですか。先ほど宇野君が言われたように、国民の中では、これは大部分がばかげたことだと言っているかもしれないけれども、疑惑があると言っている。——おそらくみんな持っているだろうと思う。今度の事件に対しても、自衛隊がそういったものにほんとうに参画しなかったんだ、日本は健在だと言ってほんとうに喜んでいるんだと思うのです。同時に、逆に、今言ったような問題が全く軽視されているということはどういうことなんです。自衛隊のことについては、今度のことについてはもっともっと強くUPI等に対して善処方を要望すべきじゃないかと思うのですが、どうですか。やはり何か事実があったんですか。
  58. 笹本一雄

    笹本政府委員 さっき外務省を通じて抗議したと言いましたが、これは防衛庁の渉外参事官から向こうへ厳重に取り消しを要望した、こういうのでありまして、実はさいぜん外務省からと言ったのは、これは当時防衛庁の渉外参事官から向こうへこの真偽についての要求をしたのでありますが、その返事はなかったということであります。
  59. 阪上安太郎

    ○阪上委員 取り消しを要求して、取り消さなかった場合にどうなるんです。それは全く事実無根だとあなた方おっしゃっても、向こうでは何ものかをつかんでそういうことを言っているんじゃないかと思っているのですが、もう少しそういったことは国民の前に明白にされる必要があるんじゃないですか、どうでしょう。
  60. 笹本一雄

    笹本政府委員 当時はそのままになったそうでありますが、お説の通り、それは事実ないことで、一国の重大な問題でありますから、厳重にこれは追及すべきだ、こう私も思いますが、当時は、それによって日本の防衛庁がこの問題を否定したという記事があったそうであります。
  61. 阪上安太郎

    ○阪上委員 防衛庁が否定したという記事じゃ、これは全く問題は解明しないと思いますね。国民も、今度の事件について自衛隊が直接関係がなかったというようなことで、ほんとうにこれは安心するだろうと思うのでありますが、やはり今言ったような問題についてはもう少し態度をはっきりされて、国民の前にそんな疑いを除去するような方法をとられる必要があるんじゃないか。防衛庁がそういう事実がなかった、こう言っておるというだけの報道では、私はどうかと思うのであります。この点についてはさらに善処されることが必要じゃなかろうかと思うのであります。それから同時に、まあそういう事実はないとおっしゃっておりますけれども、こういった問題については、なかなかそう簡単に私はあなた方の言葉を信ずるわけにはいかない。ましてやUPIあたりにそういうように書かれて、これを、堂々と渡り合ってその事実のないことをはっきりと向こうに証言させて、これは誤報であったと言わさなければいけないのじゃなかろうか、私はこう思いますので、この問題については今後さらに一つ善処してもらいたい、こういうように思うわけであります。  次に、その他の背後関係について、新聞等によりますと、あるいは捜査の段階でも相当考えられておるように発表されておりますが、資金的な背後というものがあるかもしれないというふうにいわれておりますが、今までの捜査段階でそういったものが出てきておりますかどうか、これを伺いたい。
  62. 三輪良雄

    三輪説明員 今までのところ、川南豊作から必要な金が出ていたということは明らかでございますけれども、その川南の金が他からそのために入ったものであるかどうかということは、全然まだ出ておりません。
  63. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これは捜査の経過を見なければならぬと思います。ただ、あまり神経質になるかどうかは知りませんが、もちろんこれは政治的な背景というものはなかったんじゃないか、政界との関係はなかったんじゃないかとわれわれは見たいのでありますけれども、あの計画書というものはもうすでに入手されておると思うのでありますが、その中で、次の閣僚に目されておった人はわかっておるのでありますか。
  64. 三輪良雄

    三輪説明員 そういうような話が固まる段階ではなかったようでございます。
  65. 阪上安太郎

    ○阪上委員 政界、財界、いろいろな関係がよくこういった事件につきまして出てくるわけなんでありますが、さらにこれは一つ徹底的に調べていただきたい、かように存じます。  それから右翼本流との関係はどうでありましょう。
  66. 三輪良雄

    三輪説明員 いわゆる右翼団体が、団体としてこれに動いたということはございません。その後の批判でも、今の段階で、かような準備でこんなことができるとは思われないというような批判が出ておるようでございまして、何といいますか、基調をなす考え方には同意する者がございましても、これに団体として参加をしたというのはございません。
  67. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私はもうこれで大体質問を終えたいと思います。まだ捜査の段階でありますので、そういった段階を終えまして、また機会を得て御質問申し上げたい、かように思います。
  68. 園田直

  69. 猪俣浩三

    猪俣委員 今度のクーデター事件につきまして、これを未然に防止をし得ましたことは、警察のたゆまざる努力の結果でありまして、これは敬意を表します。また自衛隊が、個人的なつながりで働きかけたのに対して、その良識を失わなかったこと、これまた自衛隊のために慶賀をいたすわけでありますが、ただ、国民の中には、まだすっかり安心し切れないものがあるのであります。それは、安保闘争以来、われわれの耳にもいろいろなテロあるいはクーデター計画のことがしばしば伝えられておりますし、今問題になっておりましたUPIの外電にもさようなことが伝えられておる際でありまするので、多少の不安の念を抱いておるのであります。そこで、これは徹底的に明らかにしていただかなければなりません。  私がきょう質問いたしまする課題は、第一は、本件のクーデター計画になお大きな背景があるのでなかろうかという疑い国民にあるということ、第二点には、この国史会みたような軍人あるいはその他の右翼団体中心としたところの、まさに思考を停止したような反動的な団体が他にもたくさんあって、不穏な計画をしておるんじゃなかろうかというような心配、第三点といたしましては、はたして自衛隊と全く関係がなかったんだろうかという心配、第四点といたしましては、韓国また台湾の反共団体と何らかの連絡がなかったんだろうかというような心配、こういうような心配がありますが、要は、わが国の警察機構がこういう問題について一体どれだけ詳密な調査をしておるのであろうか。どうも左翼に対しては、公安調査庁とともに実に微に入り細に入り調査をしておるが、右翼に対して今までどうも警察関係は調査が甘かったというような不安が一部の風評となっておる際であるので、一体どこまで、警察は真相を把握しているだろうかということに対して、多少の心配をしておる者もあるわけです。そこで、私は今こういうことを全部皆さんに明らかにしてもらう時間がありませんので、これはいずれまた根本問題としてお聞きしなければならぬと思いますし、当局におかれましても、かような国民の疑惑のあることをお考えいただいて、国会につぶさに御報告していただく準備をしていただきたい、こう思うわけであります。  そこで、こういうことを前提といたしまして、私の質問は相当個人的な問題になるかと存じますけれども、第一に前提としてお聞きしたいことは、当局の発表によりましても、自衛隊におる人が士官学校の同窓とかなんとかいうことで相当おって、個人的な関係でそういう者に事情を打ちあけて勧誘したという事実があるような発表になっておりますが、そういう働きかけは一体いつごろから自衛隊になされたものでありましょうか。それをまず第一点としてお聞きします。
  70. 三輪良雄

    三輪説明員 事柄を今回の事件に限ってみますと、先ほどもお答えいたしましたように、これを打ちあけて参加を求めた、つまり自衛隊の現職の職員にクーデター計画を打ちあけて参加を求めたというようなことはなかったように承知をいたしております。先ほどもお答えいたしましたように、接触する、つまり俗な言葉で下心といいますか、動きを見るという気持は、それはあったろうと思うのでございます。しかしながら、会いましてのお話といたしましては、一般に、世間の今の社会情勢について、今のままではしようがないなというようなごく一般的な話をしたり、自衛隊内容の士気の問題について聞いたりというような、いわば通常の場合でも自衛隊の幹部にそういった人が会えば話をするようなことであったように思うのでございます。立ち入って私ども想像いたしましても、いきなりこういう計画を打ちあけて参加を求めるというようなことは、これはもういやしくも事を企てる者がやることではないのでございますから、おそらく時間をかけ、逐次、この人は入りそうであるということであるならば、あるいはもっと突っ込んだ話になったかと思いますが、そういう段階までいったとは聞いておりません。
  71. 猪俣浩三

    猪俣委員 私どもの聞いていることは、今あなたのおっしゃったようなことはずっと前から、安保闘争の時代から、しょっちゅうそういう個人的に顔つなぎをやっておった、しかし、いよいよ具体的な相談をしたのは本年の六月ごろにある人からある人にそういう話があったというふうに聞いておるのですが、そういう事実がないとおっしゃるならばそれまでであります。これと、UIPの外電等が、やはり六月になっておる。私は、やはり何らかそのころから相当の具体的なことを個人から個人といたしましても話があったのではなかろうか、それが非常に触手を伸ばしております外国の特派員の耳に入って、誇大にそれが報道されたのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、もしそれが事実だとなると、警察が活動いたしましたのが九月ということになっておりまして、三カ月間の空白があるわけです。私は自衛隊にそういう交渉があったということを自衛隊警察に内報しなかったためであろうかどうかということに対して多少の疑問があるわけですが、今そういうことは絶対なかったということだが、私どもが安保闘争の時分に聞いておった、しきりに自衛隊を個人が尋ねていっておるということが六月ごろから始まったのだというふうな御答弁であると、私の疑問のお答えにならぬわけでありますが、しかし、否定されるとすれば、私どももただ単なる情報として得ているだけでありますからわかりませんが、どうもこの外国電報が出た当時、すでにたとい個人対個人、親密な間柄といえども、相当クーデター計画を打ちあけたのではなかろうか、こういうふうに私どもは聞いておる。そうだとすると、自衛隊が黙っておったか、警察の活動がおそかったのか、その間に三カ月の空白があるというように考えるわけですが、しかし、あなたが否定されるとすれば、それ以上追及はできないわけです。  そこで多少人的関係に入りますが、今度の首謀者とみなされている川南豊作という人物です。これは、会社としても、個人としても、破産宣告を受けたような人物だそうでありますが、しかし、韓国へ船を密輸するとかなんとかいうような行動をやっておる。そこでこの人物韓国の要人との間に何か個人的にしても親密な関係があるやに聞いている。そういう情報警察庁に入っておりますかどうか。
  72. 三輪良雄

    三輪説明員 まだ、私どもの調査では、ここで申し上げるような材料はございません。
  73. 猪俣浩三

    猪俣委員 それからこの川南という人物の経営する会社に、今自衛隊の最高の幹部の一人が勤めておったことがあると聞いておる。さような事情を警察庁は調査ができておるかどうか、できておったら、私が名前を言わないうちにできておるとおっしゃって下さい。川南の経営する会社に終戦後、今自衛隊の最高幹部になっておる人が勤めておったことがあるかないか。
  74. 三輪良雄

    三輪説明員 源田空幕長が戦後に勤めていた事実があると承知をいたしております。
  75. 猪俣浩三

    猪俣委員 警察庁、それまで調査ができておればよろしいのです。私ども源田さんと関係があるとかなんとか言うのではないのです。ただ、警察庁がどれだけ調べていらっしゃるか、それをテストしたわけです。これは御存じのように川南の経営する香焼炭鉱の所長をやっていらした。この経営がだめになってから自衛隊にお入りになったのであって、重要な人物であります。しかし、私ども関係があるといって疑ったわけではありません。今申しましたように警察庁のテストなんです。  それから、この川南という人物と元二・二六事件のときに警視庁を占拠した責任者である清原少尉というものが非常に懇意であると聞いておるが、さような情報がありますか。
  76. 三輪良雄

    三輪説明員 まだ承知しておりません。
  77. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは少し調査をなさる必要があるのではなかろうか。  なお、この川南とそれから清原少尉と韓国情報部長の金という人とが非常に交友が厚いということを聞いているが、そういう調査は出ておりますか。
  78. 三輪良雄

    三輪説明員 お答えいたしました通り、まだ承知いたしておりませんが、これから綿密に捜査をいたすところでございます。
  79. 猪俣浩三

    猪俣委員 それからなお、逮捕せられました人間の中に前田準という人物がいる。この周囲に自衛隊関係者があるかどうか調査ができておりますか。
  80. 三輪良雄

    三輪説明員 前田準というのは陸士の六十期の卒業生でございますので、その意味では同期生が、先ほど政務次官からお答えがございましたように、六十期の生徒も三百人が自衛隊に入っておるようでございます。
  81. 猪俣浩三

    猪俣委員 そういう意味ではない。その親戚にあるかないか。
  82. 三輪良雄

    三輪説明員 前田の親戚に特に今お尋ねのような人物があるかどうかは、ただいま私は承知いたしておりません。
  83. 猪俣浩三

    猪俣委員 これはテストに落弟だと思う。これはお調べなさらないといけないと思う。今回皆さんの御答弁によっても、個人的にやはり自衛隊の幹部に知り合いの者がそれぞれ働きかけた。まず親戚関係なんというものを考えなければならぬと思う。私の調査が間違っておるかどうかわかりませんから、相手の名前は申しませんが、この人のねえさんの夫が自衛隊の大佐、こういう関係があって、前田さん一家はほとんど全部軍人だそうであります。この前田さんの前歴はお調べになったかどうか、これをお答え下さい。陸士を卒業したことはわかりましたが、その後の経歴です。
  84. 三輪良雄

    三輪説明員 前田準というのは、その後小池のやっております印刷会社に関係しておるということでございまして、前歴につきましてはこれから詳細に調査をいたすところでございます。
  85. 猪俣浩三

    猪俣委員 これも私どもの調査が間違っておるかどうかわかりませんが、この人は終戦後福島大学に入学され、卒業された。その後共産党に入党して幹部として活動した。ところがそれがスパイであることが発覚して、共産党から除名されておる。当時アメリカのCICに属している二世から金をもらって、共産党のスパイ行動をやっておる、そういう報告が来ておりますが、そういうことは警察はおわかりになっておらぬのですか。
  86. 三輪良雄

    三輪説明員 ただいまのような点は承知をいたしております。
  87. 猪俣浩三

    猪俣委員 承知しておる。なぜそれをあなたは説明しないのですか。それだからいかぬのだ。われわれが知らぬというとほおかむりをやる。大事なことじゃないですか。だから陸士卒業以来の経歴について私は質問している。知っていてそれを報告しないというのはいけないな。今度は、都合の悪いことは黙っているということにとっていいですか。それはやはり言ってもらわぬと、真相はわからないのです。国民の心配を解くわけにいかない。  それから、ここに李樹森というのですか、とにかく李という台湾人が一名入っている。この人の前歴等をお知りであったら、今言ったようにごまかさぬで正直に言ってもらいたい。
  88. 三輪良雄

    三輪説明員 李樹森という人は、ただいま、貿易商ということで一九三三年に入国し、永住資格を持っておるのでございますが、これは元日本の大学を出まして、当時やはり共産党事件に関連をいたしまして検挙されたことがございます。その同人物かと目下私ども思っておるわけでございます。二十五年に華豊公司の東京支店員といたしまして、中共大豆を輸入いたして、第一物産会社と取引をいたしておった事実がございます。それから二十四年以降住所は転々として十三カ所変えておりますほか、香港に年一回くらい往復いたしております。それから三十三年に外登法——外国人登録法違反で戸塚警察署に検挙されております。なお、詳細といいますか、このほかに若干わかっておりますことはございますが、手元にあります資料はそういうことでございます。
  89. 猪俣浩三

    猪俣委員 この人物は台湾政府の蒋経国の部下で、いつぞや終戦後新聞紙をにぎわせました根本大佐ですか少将ですか、台湾義勇軍の派遣問題があり、そのときにやはり武器を集める係をやっておった、こういう情報があるのですが、さようなことは警察はわかっておるかわかっていないか。
  90. 三輪良雄

    三輪説明員 ただいまのお尋ねについては承知をいたしておりません。
  91. 猪俣浩三

    猪俣委員 私の入手した情報でありますが、その点について調べていただきたい。これはいわゆる台湾義勇軍派遣問題というのがあったでしょう。その隊長は根本といいましたかね。それに前後して、今度の三上卓の海烈号事件というのがあったと思う。その海烈号事件は知りませんが、台湾義勇軍派遣の根本大佐の協力者であり、武器を集める係をやっておった。そうしてこれは蒋経国の子分、情報部員として日本でスパイ活動をやっておった人物です。名前は貿易会社、商社なんと言うけれども、それが本業でないというような報告が私のところに来ておりますが、警視庁はそれはおわかりにならぬですか。
  92. 三輪良雄

    三輪説明員 今回のことに関連をして、従来のいろいろな点を調べましたが、ただいま御指摘の点はございませんで、満州国の建国大学を脱走いたしまして、たしか延安に行ったという経歴を聞いておりますけれども、さような点についてまだ確定したことが言えませんので、今鋭意その前歴等について調査をいたしておるところでございます。
  93. 猪俣浩三

    猪俣委員 今回警察庁長官の発表によりましても、韓国の朴ですか、あのクーデターに相当刺激せられたということになっております。この文芸春秋の新年特別号に、湯川康平なる名前で「朴議長との一時間」サブタイトルに「日韓両国の橋渡しをした元二・二六青年将校」こういうふうになっておりまして、この湯川康平というのが、二・二六事件のとき警視庁を占拠した反乱軍の将校で清原少尉という人であります。この論文の中に湯川康平その人が自分でそう名乗っております。  そこでこの人の記事を読んで見ますると、この人は、今回の池田・朴会談、あの日韓会談の黒幕は、この湯川、それからさっき申しました韓国情報部長である金とであって、おぜん立てをしておったのだというふうに私ども聞いておりましたが、この湯川の記事を見ますると、どうもそういうふうに思われる。その中にこの湯川という人、つまり清原少尉が朴議長と一時間会談をした。このことについて非常に感激をもって書いてある。こういうことを書いてある。「なにしろ革命いらいはじめて韓国の元首に会う日本人なのである。それでなくともまずめったのことでは許可がおりない。そのうえ、ふつうの面会時間なら十五分がとおり相場なのだから、この一時間にはぐっと重みがでる。後の話であるが、日本代表の杉道助氏すら、失礼ながら、面会わずか十五分であったということだ。なぜ、そんな大それたことができたのか?いまの私にも、奇しき因縁ということばとしかいいあらわせぬ。やはり奇妙にこのことばがぴったりする。つまり春秋の筆法をもってすれば、二・二六事件が日韓両国の橋渡しに役だった。二十五年も前の事件がいまさら予想さえしなかった意味をもって、私によみがえってきたのである。」こういっておる。そうしてこの朴という人は陸軍士官学校の五十七期であり、自分の会った商工部長官日本の商工大臣にあたる丁来赫という人は五十八期である。とにかく日本の士官学校を五十七、五十八という時分に卒業した。今度の五十九期、六十期の一期か二期先輩にあたる人たちが、この韓国クーデターを断行した人たちの中に相当入っておる。そうして清原という人はこれらのまた、四十七期であるのだから十期ばかり先輩であるというようなことが書いてあるわけであります。そこでなお長いから記事は略しますが、韓国現状に「もはや黙過してはおられぬと軍がたちあがった。韓国の二・二六事件ではなかったか。このことは、私が二・二六事件のことを話したときの、耳をじっとかたむける朴議長の熱心さがありありと物語っていたようである。」こういうふうに書いてある。なおこの清原の意見として、「革命は軍隊が動かなければ成功しない。これは大原則である。すなわち軍の主導権をもつものが先頭にたたねばならない。連隊長、大隊長クラスがそれである。イラクのクーデター中心は大佐であったし、ナセルも当時は中佐であった。少将であった朴正煕氏が、佐官クラスの力をにぎっていたことは想像にかたくない。」こういうことを堂々と発表しております。この清原少尉、つまり湯川康平なる——これはペン・ネームか何か知りませんが、この人物が日韓会談の前後に韓国に渡って朴と一時間、杉さんすら十五分しかできない、自分は一時間会談した、そうしてもっぱら二・二六事件の話をしたという。この人と川南らと非常に親交があると聞いておる。それから韓国の憲兵大佐で今は報道部長をやっておる金鐘必という人と川南も清原も非常に懇意だ。そこでどうもただムードとして韓国クーデター日本の旧軍人に精神的に刺激を与えただけであろうか、あるいは何らかのそれ以上の関係があるのじゃないかという疑いが出てくるわけです。そこで、今回の関係者の背景の中にこの湯川康平あるいは清原反乱軍少尉、この名前があるかないか、それをお尋ねします。
  94. 三輪良雄

    三輪説明員 ただいままで私ども承知いたしておる名前の範囲には出ておりません。
  95. 猪俣浩三

    猪俣委員 そういう点も私は抜本的対策として十二分に警察庁で調査をしていただきたい。私どもの耳に入ることが皆さんに入らない道理はない。入っておっても、さっき言ったように、ちょっと答弁をしないのかどうか多少疑問がありますが、入らぬとすると調査が疎漏じゃないかと思うし、入っておったとすると、われわれに正直のことを言わぬのじゃないかということになる。いずれにしても今皆さんお手柄を立てたときだから責めませんが、もっと十分調査をしていただきたい。われわれ一民間人の耳にも入る。もちろんそれは正確であるかどうかわかりませんが、御注意までに申し上げたわけです。そういうふうに相当私どもも調査しているんですよ。だからあまりばかにしたような態度をとらぬようにしていただきたい。将来もありますからね。  私ども情報によりますと、去年あたりからライフル銃とカービン銃の取引が非常に盛んになった、日本刀の売れ行きが非常によろしい、しかもこのライフルやカービンは、今ガン・ムードというのがあるからそういうことから来ているのかもしれませんが、私どもに入った情報で心配なのは、この取引がおもに横須賀、立川、板付というアメリカの軍事基地の付近に非常に多いという情報が入っておりますが、こういうことについて警察庁は何か特別に調査なさっておるかどうか、それを一つお答え願いたい。
  96. 三輪良雄

    三輪説明員 銃砲並びに刀剣の取引が相当にありますことは承知いたしております。ただそれが立川、板付という軍事基地周辺が特に多いというお言葉でございましたが、その点は私ども注意が行き届いておりませんので、その点でさらに注意して調べたいと思っております。
  97. 猪俣浩三

    猪俣委員 これはカービン銃だのライフルなんというものは、そう簡単にある道理がないんだから、そして軍事基地の連中も日本にそういうクーデターを起こさせるためにやるなんということは考えられませんけれども、やはり何かの形でピストルだのこういう武器が渡されるのではなかろうか。これがこの軍事基地のあるところに相当盛んだという統計まで私どもに入っているわけです。それに対してやはり警察庁は特別なお調べが必要かと思うのです。また、そういうことから先の企てがわかるかもしれないから、要望しておきます。  なお、先ほど申しましたように、これは国史会とか三無塾とかいうものの名前が出ておるのですが、これこそ自衛隊の一幹部の話のように思考停止されたようなこういうグループが他にもたくさんあるのではなかろうか。それに対して一体警察庁は十分調査ができているのだろうかという心配が、実はあるわけです。そこで、その他にもこういうふうな反動団体みたいなものが、警察庁の調べにどの程度あがっておるのかということを御報告いただきたいと思うのです。
  98. 三輪良雄

    三輪説明員 一般的に申しまして、いわゆる行動右翼というものについて注意をいたしておりますことは、ことしの初め以来再々御報告をいたしておるところでございます。特に最近青年隊あるいは塾等をもちまして若い者を集めておるというものが二十幾つかございますので、その考え方なり訓練なりは全く千差万別でございますけれども、特に行動的な右翼的な思想的なものを持ったものに属しますそういったものについては、特に注意をいたしておるところでございます。
  99. 猪俣浩三

    猪俣委員 最後に東京の大新聞社に対して何者かが電話をかけてきて、どうも今度のクーデター計画に対する新聞報道ははなはだ国史を侮辱しているような記事が多い、これを訂正しなければ覚悟があるぞというような脅迫の電話がしばしばかかっておると聞いておりますが、さようなことが警察庁なり警視庁なりに報告されているかどうか。
  100. 三輪良雄

    三輪説明員 ただいままで各新聞社からそういう話は聞いておりません。
  101. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで今までの調べのうちにこういう国史会の連中その他が自衛隊のどういう人たちに個人的にも交渉したのであるか、全貌がおわかりであろうかどうか。だれがだれのところへ話をしに行ったが拒否されたという関係がおわかりであったら、御報告願いたいと思います。
  102. 三輪良雄

    三輪説明員 桜井元少将は、自衛隊の幹部の相当の数の方に会っております。またそれぞれ若いクラスの者でも会ったということは聞いておりますけれども、ただいまだれがだれにという資料はございませんし、またお言葉の中にありましたように、クーデター計画を話したというようなことでございますと、そういうことはないとお答えせざるを得ないのでございます。
  103. 猪俣浩三

    猪俣委員 最後に、国史会ともう一つ三無塾というものが出ておりますが、しかもこれは各大学の学生が会って実弾射撃をやったなんということが出ているわけです。ところが各大学の学生の控室に、三無塾の名前において学生に入塾者希望の広告が張られた。それは寄宿代はただ、学校も自由に通っていい、ただ身体の鍛練をやるところだ、だから希望者は来てくれというて学生の控室に、学校当局の許可を得てそういう張り紙をしておる。そこでただで下宿さしてくれるところかということで相当の学生が行ったというのです。これはそういうただでとめてくれて身体を鍛練するというようなことで、そんな広告ビラをその団体の本体も究明せずして学生の控室に堂々と張らせる学校当局のだらしなさもはなはだしいと思うが、そういうことに対して文部省としてはやはり何とか警告を発する必要があるのじゃなかろうか。今後も純真な学生をそういうことでつって、そうしてだんだんとこういうように反民主的な方向へ引っ張り込む、実にけしからぬことだと私は思う。それで大学はのほほんとしておる。荒木文部大臣という人は、戦前の荒木文部大臣に以たようなところがあるから、そういうことはぴんとこないかもしれませんが、それはあなた気の毒ですよ。荒木といえば私はすぐ戦前のことを思い出す。同じ荒木という名前なんだ。あの人の言うことは、陸軍大将荒木文部大臣と同じようなムードだ。今こんな問題になっているクーデター団体が大学で堂々と張り紙をして学生を募集しておる。こういうことに対して文部省はどうですか。
  104. 長谷川峻

    ○長谷川政府委員 各大学は大学の自治権を持っておりまして、そういうところに掲示をする場合には大学の許可をもらわなければなりません。ただいま猪俣委員お話のようにその団体がやはり大学から許可をもらった、そこまではわかっておるのでありますが、はたしてその団体がそういう不穏なものであったかどうかということはおそらく大学も気がつかないでおったのじゃないか。その大学の不行き届きと申しますか、監督が十分でなかったということについて大学も反省するでしょうし、またこういう問題を機会に大学の当事者がいろいろな掲示をさせる場合、やはり全体のことを考えてしっかり吟味した上で張ってもらうような反省のいい材料ではないか、私たちの方もまた機会があれば注意して世論を喚起したい、こう思っております。
  105. 猪俣浩三

    猪俣委員 きょうはただ警察当局の今回の事件に対する機敏なる捜査に対しまして敬意を表するとともに、なお万全を期して活動していただきたいと希望します。  なお、これもうわさでありますが、はたしてこれが殺人予備罪、陰謀等で起訴できるかどうかに対して検察庁で疑問を持っておるというような説をなす者がある。私どもはそうは思いませんが、それに対する警察庁長官の御意見はどうですか。
  106. 柏村信雄

    ○柏村説明員 私どもといたしましては、少なくとも殺人予備罪が成立するものというふうに考えて事を進めて参っておるわけでございます。また逮捕令状を取るにいたしましても、検察庁と連絡をとった上でやっておるわけであります。しかし、取り調べの結果、証拠収集の過程において、さらに重い問題として考えるかどうか、またそこまでとうてい行き得ないものになるかどうかということは、もっぱら今後の捜査の結果に待たなければならない。私どもは成り立ち得るものという考えを持って進めておる次第でございます。
  107. 猪俣浩三

    猪俣委員 これを私申し上げることは、どうもいわゆる誠実と申される専門家の間にいろいろな説をなす者がある、自民党の派閥にからめて説をたす者もある、あるいはこれは警察庁の予算獲得の戦術であったのだという説をなす者がある、あるいは政防法をこの際一挙に通してしまう一つの策である、あるいは破防法の活動を促すための一つの策であるというふうなさまざまな説をなす者があります。しかし、私はそんなことは信用しませんよ。柏村さんを信じております。あなたがほんとうに機敏にやられたことは大へんけっこうなことだと思いますが、そういう説をなす者がある。だからこれは結局においてうやむやにしてしまうのではなかろうか、警察庁は予算がふえてくればこんなものはうやむやにしておくのではないかというばかげたことを言う者がありますから、きぜんたる態度で徹底的に究明してもらいたい、そういう意味において私はいろいろ申し上げたのです。まだ捜査の段階でありますからこれ以上のことは申し上げませんが、もちろん検察庁に対しましても私どもは十分なる捜査を要望するつもりでおりますけれども、そういう説をなす者がおりますので、警察庁はどうぞ徹底的に各警察を督励して、あらゆる捜査をしていただきたい。というのは、これは一面幸いであるかと思われますが、今度の首謀者の川南とか桜井とか、大した人物でないらしい。川南なんというのは、破産に瀕しておる人物である。なおさら何かここで一芝居やらなければならぬということでやったのではないか。桜井という人も鉛筆の行商をやっている人だというようなことも聞いておりますが、とにかく大した根深いものじゃないという観察もあるわけです。そうなればまことにけっこうであります。けっこうでありますが、そうなると、今言ったように、これは警察庁の芝居であるというようなことを言う者も出てくる。なかなかむずかしいと思うのですが、しかし、国家のために大したものじゃなくて、こんな連中の単なる思いつきだけなら、けっこうなことだと思うのです。しかし、さればといって、これも油断ならぬことであるとも考えますから、当局国民もこういう反民主的な行動に対して徹底的に批判をするとともに、当局はまた徹底的な捜査をやっていただく、これを心からお願い申し上げます。  なお、これは台湾関係韓国関係にも多少の連絡がどうもあるのじゃないかというにおいがいたしますから、その方向におきましても、単なる国内事件だけにせずしていただきたい。今までの右翼のいろいろの行動は大体国際的な背景がなかったのですが、どうも最近のいろいろのテロ事件その他のいろいろの暴動事件等の計画には、何か韓国とか台湾とかという反共政策をとっている国の政府機関かあるいはその他の団体かと何らかのつながりがあるような疑いをわれわれは持つわけです。ちょうど保守派で革新運動が中国やソ連と何らかの関係があるのじゃないかという疑いを持たれるように、そういう疑いがあるわけです。しかし、公安調査庁その他において、左翼活動の背景については非常に調査が行き届いておると思いますが、右翼関係の背景につきまして、ことに国際的背景について少し捜査が単純じゃなかろうか。もっと突っ込んだ捜査をしないというと、非常に災いが根深いところに存在することになるのじゃなかろうか。ことに現内閣のように反共体制の一環を自負しておるようなときにおいては、警察庁としてもやりにくい点が多々あるかも存じませんが、国家百年の大計のために、そういう方向に気を配られることを切に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  108. 園田直

    園田委員長 太田一夫君。
  109. 太田一夫

    ○太田委員 最初に警察庁の柏村長官お尋ねいたしますが、先ほど来のお話を承りますと、この思想的な背景というのは、実はなみなみならぬ深いものがあるやに思われるのです。そこであなたの方の今後の対策の布陣でありますが、警視庁に公安三課ができて、七十三人の右翼担当者が専門に生まれたというのが、これが浅沼事件を契機として生まれた。まだ歴史が浅いのでありますけれども、今回のお手柄となってここに明らかになった。非常な好評を博したのでありますが、これからこういう事件未然に防ぎ、再度発生をしないように対策を講じなさるにはいかなる方針をもって、どういう布陣をもってお臨みになる御予定であるのか、その決意のほどを承りたいと思います。
  110. 柏村信雄

    ○柏村説明員 昨年の各種の事件のあと、警視庁におきましても七十三名の右翼専従員を置いて鋭意その調査に当たっている次第でございますが、今回またこういう不祥な事件が発覚して参ったわけであります。警察といたしましては、従来の右翼に対する体制というものをさらに強めて参りたい。今までも非常に努力してきておりますけれども、今後ともささいな情報等にも十分に注意を払って、また各種団体等の動きについても慎重に観察して参るというふうにいたしたいと思っております。組織とかあるいは人員等につきましては、おかげさまで本年若干名の増員をしていただいておりますので、そういうものの配分等につきましてもただいまの点は考慮に入れて考えて参りたい。ただいま具体的にどこにどういうふうな組織を作っていくということは考えておらないわけであります。
  111. 太田一夫

    ○太田委員 長官、今のお話ですが、警視庁に何十人かの専門担当者を置いたということ、これは非常によかったと私は思うのです。それが警視庁だけということでは今回の場合も少々手不足ではなかったか。特にその情報は、一応細大漏らさず頼むというようなあなたの方の御意向でありますけれども、専門の係を置くということ、左の方の対策には専門の係がある、右の方の対策には中央の警視庁を除きましてあまり地方にないということになりますと、これはその間に非常に穴があくのではないかと思うのです。特に右の方の勢力の台頭というのは見のがすべからざるものがあるとするならば、相当専門担当者を増員しなければならぬだろうと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  112. 柏村信雄

    ○柏村説明員 ただいま警視庁についての一例を申し上げたのでございます。警視庁はもちろん全国的にも一番そういう動きの多いところでございますので、特に申し上げたわけでございますが、全国的にも先般の事件以来強化をいたしておるわけでございます。左翼については課があるが、右翼についてはないというお話でございますが、これは二課にするだけの余地が目下ないために、普通の県におきましては、一課で左翼右翼も外事も、あるいは外事を分けて、左右両翼と外事でやるというような考え方でおるわけでございまして、ただいまお話のように、右翼の担当の要員あるいは組織等についてもさらに検討して参りたいと考える次第であります。
  113. 太田一夫

    ○太田委員 そうしますと、今後地方の警察におきましては、一課を二課に分けるかどうか、人員をどの程度にするかはこれからの検討事項だとおっしゃったと思う。しかしながら、現在旧軍人について特に注意を要するというのは、あなたの方ではどれくらいに勘定をしていらっしゃるのか。
  114. 三輪良雄

    三輪説明員 特に旧軍人として何人かというお尋ねでございますが、私ども、いわゆる左翼の最近の活動に反対をして右翼的な考え方で行動を起こすおそれがあるものについて全国で千五百名くらい注意をしておるということは、この前の国会で御報告した通りでございます。そのうち旧軍人が何人かということについてはただいま承知をいたしておりません。
  115. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、今のは、いわゆる共産革命に対して非常な嫌悪を示して、そうしてクーデターにひとしいような、何か暴力行為に出ようとするような疑いのある注意人物が全部合わせて約千五百人くらいだ、そういうことですか。一切の民間人を含めて千五百人。
  116. 三輪良雄

    三輪説明員 この前の国会お尋ねがありましたときにお答えいたしましたのは、特に行動的に見まして、もちろんその中には可能性の問題として非常なニュアンスがあるわけでございますけれども、そういう行動に出ることが平素の言動等からありますものについて全国でほぼ千五百人かと申し上げたのでございます。その中に旧軍人が何人おるかということでございますが、お尋ねの旧軍人は、いわゆる正規陸軍あるいは海軍軍人というお尋ねでございましょうけれども、それらの数字について今つまびらかにいたしておりません。
  117. 太田一夫

    ○太田委員 この前の国会お答えになったとおっしゃったが、この国会ではありませんか。
  118. 三輪良雄

    三輪説明員 前の国会でございます。
  119. 太田一夫

    ○太田委員 前の国会以来この国会に至って今度の事件が発生して、さらにこの数は増減をしておらない、およそそんなものでございますか。
  120. 三輪良雄

    三輪説明員 今回のこの事件は、申すまでもなく、いわゆる捜査検挙といたしまして活動し、最後に検挙に至ったわけでございます。これが今後また全体にどういう反響を生みますか、積極的な反響を生むのか、消極的にそういう危険の度が下がるのか、そういうものを含めましてこの反響の度を見なければならぬわけでございます。そういう意味で今後その反響によっては見なければならない、そういう行動に出る可能性のありますものの数がふえることも考えられようかと思います。
  121. 太田一夫

    ○太田委員 しからば、およそ千五百人といたしまして、あなたの方の警備体制は、今回の事件のおよそあらましを見て、大丈夫これからはもう再発させるようなことはない、こういう御確信はおありなんでございますね。
  122. 三輪良雄

    三輪説明員 私どもは微力でございますけれども、常に全警察官が努力をいたしまして、かような事件の再発をさせないという覚悟でやっておるのでございます。
  123. 太田一夫

    ○太田委員 長官、それでよろしゅうございますね。こういうクーデターは、きのうの本会議におきましても、またきょうの長官の御説明の中にも、政治現状に不満をいだいた者の、そこに理論的な根拠を求めた集団がこういう挙に出たのだ、総理大臣もそうおっしゃった、それから安井国家公安委員長もそうおっしゃった、柏村長官もそうおっしゃった。政治現状に不満をいだいておるということになりますと、これは容易ならざるものがあるのじゃありませんか。そうしてそのような大きな——これは笑っているようなことじゃないと思うのです。これが発生したということを考えまして、政治現状が改まらない限りは、これは濁った水にボウフラがわくように次から次へとこういう集団が出るということは考えなくちゃならないと思いますが、長官いかがです。大丈夫ですか。
  124. 柏村信雄

    ○柏村説明員 ただいま三輪局長が申しましたのもわれわれの覚悟を申し上げたのでございまして、政治に不満をいだく者がある場合におきまして、それが不法越軌な行動に出る危険性というものは存続するわけでございます。しかしながら、そういうものを警察といたしましては事前に察知して、これを未然に防止するという態度をもって今後とも強く臨んで参りたいということでございます。
  125. 太田一夫

    ○太田委員 長官、あなたの方の心がまえとしてはそれでけっこうだと思うのです。そしてまた今まですでに第一の集団を摘発をしていただいて、今お取り調べ中でありますので、そのことについてはあなたのおっしゃることを信じていきたいと思います。けれども説明が、こういうことになった理由というのは、実はわずか残された旧軍人の一部過激な者が古い思想、原始的な思想を持って、本能と感情だけのこの激発がこうなったのだということになれは、古い軍人なり古いゼネレーションの人がなくなっていけば、あとはおのずから民主的な人間だけ残るということになる。ところがそうじゃなくて、政治現状に不満をいだいておる着たち蜂起したということになれば、隣に韓国の例がありますけれども、張内閣が倒されて朴政権ができたというこのクーデターの経過から見ても、同じようなことが日本の国の中の相当大きな勢力のものがやろうということを考えておるとするなら大へんなんです。だから政治現状に不満をいだくという者は多数あると見なきゃなりませんね。そう見なきゃならない。その原因が実に大きな原因なんですよ。小さな原因じゃない。この原因から発する結果というものを見ますると、私は今回の事件が一回に終わってしまって、その次は今持っておるところの地方における警戒体制、警備陣だけで十分それが未然に察知され、そうして発することのないようにやっていけるという確信というものはちょっとお互いの中にもわいてこないような気がするのですがね。大丈夫でございますか、もう一ぺん長官の御信念のほどを伺いたい。
  126. 柏村信雄

    ○柏村説明員 昨日総理も申されておりますように、政治の姿勢を正すというようなことがもちろん基本になろうかと思います。また国民全般が非合法手段に訴えて事をするというような気風をできるだけためていく、常に苦しくとも法に従ってこれを漸進的に改善をしていくというような考え方が高揚して参ることによって、政治の姿勢が正されることと相待って、こういう事件が起こる余地が少なくなって参るものと私は思うのであります。しかしながら、そういうことを強く期待しつつも、警察でそういうことを要請していくということではなしに、警察といたしましては、おのれの責務に応じて、現在の与えられた法の範囲内において、また与えられておる力に応じて、これを十全に発揮して事態に対処して参りたいということでございます。現在の陣容なりあるいは予算なり装備なりというようなもので十分であるかということをお尋ねになることであるとすれば、私は十分だとは申せない。多々ますます弁ずるわけでございますけれども、われわれとしては、そういうことは政府なり国会なりでおきめを願うわけでございますので、そういうワク内におきまして最善を尽くして参りたいというわれわれの覚悟を申し上げた次第でございます。
  127. 二宮武夫

    ○二宮委員 長官に初め関連をしてちょっとただしておきたいのですが、先ほど口頭でこの事件に関する報告がございました中に、韓国クーデターに拍手を送るという言葉があったように思うのですが、そう確認していいですか。
  128. 柏村信雄

    ○柏村説明員 これは右翼一般の傾向の中に、韓国クーデターというようなもの、結局強い政治が行なわれない場合に、ああいうふうな非合法手段によって政府を転覆して強い政権を作るということに対して、これはけっこうなことだというような気分が相当にうかがわれるという意味において申し上げたのであります。
  129. 二宮武夫

    ○二宮委員 具体的にはどういうことです。そういうようにお感じになったのですか。あるいは右翼がそういうような行動をとるという具体的な事例はどのようなことを把握されておりますか。
  130. 柏村信雄

    ○柏村説明員 これは韓国クーデターの前、ことしの初めごろから、右翼の機関誌等においては、クーデターやむなしというような記事が見られておるのでございます。そういうことで、そういう人たち行動にこれを現わしていく、計画をしていくというようなところまでキャッチしたものは、今回が初めてでございますけれども言葉の上において、あるいは文字の上において、そういうことが言われてきておる。韓国クーデターを機会に、さらにそういう空気が強いようにわれわれは受け取っておるわけでございます。
  131. 二宮武夫

    ○二宮委員 文章やそのほかの表現においてはすでに把握をされておったが、行動においては今回が初めてである、このように御答弁になったのでございますけれども、実は昨日の池田総理の答弁を聞いておりますと、加藤勘十氏の質問に対しまして、これは韓国の反射作用ではない、これとは何ら関係がないという意味の御答弁があったように私は解釈をしておるのです。そうしますと、今柏村長官の言われた今回の行動は明らかに韓国クーデターの——直接的な行動は今回が初めてである、このような御答弁になること自体は、私は非常に重大な問題ではないかというように考えるのです。と申しますのは、私どもの解釈としましては、国連憲章を読んで参りましても、国連憲章の第一章の中に、はっきりかくかくのものは、こういう性格を持った国でなければならない、第三条、第四条の中にもはっきり、言論や人権やそのほかのものを抑圧するような国は国連に加盟をさせないのだというような意味のことが書かれてあるわけです。そのようなことをやっておるところのその朴政権と日韓会談をやるというこの政府のとっておる態度自体が、今回の問題についても、私は非常に大きな背後関係になるのじゃないかという解釈をしておったわけでございますけれども、昨日の池田総理の答弁は、そういう意味はないのだというように解釈をされる。しかしながら、今の柏村長官答弁は、明らかに、文章やその他においてはこれを賛美する傾向はあったけれども、今回の行動が初めてである、こういう解釈をされるということになりますと、これははっきり申し上げて、私どもが考えておる国連憲章の第一章あるいは第三条あるいは第四条に示されておるような、これに加盟する資格の国というものに対するものの考え方ということと一致するわけなんでございますけれども、柏村長官が、明らかにクーデターの反射作用として、あるいは韓国クーデターを賛美する行動として今回の行動行動としては初めてである、このように答弁をされたということについては、これは私は非常に重要な問題であると思いますので、答弁は要りません。答弁は要りませんが、私はそのようにあなたの答弁を確認しておいて、この問題は今後に発展をする問題だというふうに考えまするので、関連質問を終わります。
  132. 柏村信雄

    ○柏村説明員 私の答弁申し上げたことについて誤解があるのではないかと思いますので、一言申し上げておきたいと思うのでありますが、私は今度の事件韓国クーデターの反射作用として行なわれたという趣旨において申し上げたのではないのであります。その点は池田総理と同じだと思います。池田総理がどういうふうな言い方をされたか私直接聞いておりませんが、私も、韓国クーデターの反射作用として、あれにあこがれを持って今度やったということを申し上げてはいないのでありまして、韓国クーデターの以前から、クーデターもやむなしとする言論がなされてきており、さらに韓国においてああいうクーデターがなされたことについても、これをむしろよしとするような空気があり、しこうして、ただ、これは言論の上において行なわれただけであって、行動に現われた——いわゆる韓国と直接の関係という意味でなくて、本年当初から行なわれておったようなクーデターやむなしとするような空気と申しますか、そういうものが言論以外に現われたのは今回が初めだということを申し上げたにすぎないのでございまして、その点は御了承を願いたいと思います。
  133. 二宮武夫

    ○二宮委員 責任ある答弁者が、そのような前回と違ったような答弁をなさるということについては了解できない。私が今質問しました経過は、あなたの答弁の中にもはっきりしておりますように、クーデターというものに対して、韓国の問題を含めて、それは文章によって、従来あなたの方では具体的に把握したのは、文章そのほかでは賛美するところの文章が出てきた、しかし行動としては今回が初めてである、このように御答弁になった。それは反射的であるとかなんとかということではなくて、やはり私が質問しているのは、クーデターというものに対して、従来心配しておったところの日本右翼あるいは旧軍人の一部がやりましたところの行動は今回が初めてである、従来は文章でいろいろ表現をしておったのであるという答弁であって、これは明らかにやはり韓国における——一番質問中心になりましたのは、あなたが口頭で報告をされたところの、韓国クーデターに対してこれを賛美するような動きが出てきた、こういうことから端を発しておるのですから、それが行動として現われたというのは今回が初めてだという答弁になれば、当然にこれははっきり韓国クーデターに対する直接的な現われとしての行動である、こういうふうに解釈するのに私の解釈が間違いないと思う。もしあなたのおっしゃったこと自体が間違いなら、間違いとしてお取り消しになったらいいのですよ。私のその言うたこと自体が、私が誤解しておるということは、これは非常に間違っておる。あなたの答弁の仕方の方が間違っておると思います。これははっきり後ほど速記録を確認をすればわかる問題であって、これはだれだって常識的に聞いておられる方は、あなたの御答弁をそのようにとっておると思うのです。私そのように確認をいたします。
  134. 柏村信雄

    ○柏村説明員 私は、先にお答えしたのとあとで補足的に御説明したのと何ら言を翻していないという確信を持っておるのでございます。先ほど申し上げたのも、韓国に発生したクーデターに拍手を送るような向きもございましたので、このような情勢の中で一応右翼のはね上がり的な危険な動きに特に注意をいたしていたのでございますというふうに申し上げて、右翼一般について申し上げておったわけでございます。先ほど申し上げたのは、言論においてそういうことをやむなしという空気はあったが、行動において現われたのは今度が初めてだ、韓国クーデターの反射的な作用として今度のことが起こりましたというような趣旨は申し上げていないわけであります。
  135. 二宮武夫

    ○二宮委員 おかしいな、あなた頭が少しどうかしているのではないのですか。韓国クーデターに対して、文章やそのほかでは賛美する、行動はないけれども、賛美するような文章が出たけれども行動としては今回とったのが初めてである、こういう答弁でしょう、そうでしょう、それならそれでいいのですよ。
  136. 柏村信雄

    ○柏村説明員 結局、クーデターをやむなしとするような空気があって、そうしてその中において韓国クーデターが起こったので、さらに拍手を送るような向きもあったということを申し上げたのであります。そうしてそういう空気の中においてわれわれが視察を厳にしていった、それで行動として現われたのが今度が初めてであるということですから、韓国クーデターがなかりせば今度のことが起こらなかったというような趣旨の反射的なものであるということは申していないつもりでございます。
  137. 二宮武夫

    ○二宮委員 いいです、委員長、速記録で確認します。
  138. 太田一夫

    ○太田委員 というほど、韓国クーデターの問題というものは、一つの刺激剤であったということを、きのうの本会議でも話があったのです。  そこで今後のことですが、千五百人の要注意右翼の蠢動を監視するのに、現在人員をもってするというのが三輪局長さんの大体のお話だったと思うのです。それの中で最大の努力をすると長官がおっしゃった現在人員というものは、大体それを専門に充てるとすると、換算すると、全国で何人ぐらいになりますか。
  139. 三輪良雄

    三輪説明員 各府県に、警視庁を除きましては特別の課がございません。係といたしましては、専従いたしておるものは、これは中に若干の他の兼務を持った者もおりますけれども、大体専従と考えておるのはほぼ三百人だと思います。しかしながら、これは要するに県本部におりますのがそういうふうに係が分かれておりますので、大部分の警察署におります警備課員というものは、これは左翼右翼というふうに分けておりませんので、全部がこれに当たるのでございます。従いまして、一番治安の重点として危険であるところには全力をあげてやるということになるわけでございます。
  140. 太田一夫

    ○太田委員 三百人では、そのワクの中で最善を尽くすとおっしゃってもなかなか大へんだと思うのです。しかも第一線の署におきましては、左右両翼並びに一般的なその他のことをも含めておやりになるという以上、なかなか台頭する右翼の勢力に対して事前にこれを察知するというところまで徹底し得るかどうか疑問がありますので、十分その点はあなたの方も万遺漏のないように配置対策を講じていただきたいと思います。  それはこのくらいにとどめまして、今の議論の中から出てくることでありますが、長谷川次官、文部省は実は日本の教育をつかさどる総本山ですね、その文部省は教育基本法、これに基づいて教育の方針を定めていらっしゃる。ところが世間には往々にして文部省がいかにも国粋主義者的な右翼に対しまして、非常に何か声援を送っておるがごとき節を影じておる人がある、そういうことはないのでございましょうか。
  141. 長谷川峻

    ○長谷川政府委員 そういうことはないと思います。
  142. 太田一夫

    ○太田委員 ないということでいいと思うのですが、昔から不倶戴天という言葉がありますね、ともに天をいただかず、これはあなたどうお思いになりますか、文部政務次官として。こういう言葉は今日はもう思想界になくなっておるのですか。
  143. 長谷川峻

    ○長谷川政府委員 言葉としてはありますけれども、問題についてはちょっとわかりません。
  144. 太田一夫

    ○太田委員 いや、問題がわからないなんて、あなたの目の前にあるのではないのですか。私は、大臣と次官というものは一心同体と大体見ておるが、きょうは、大臣に来ていただくか総理においでいただくのがいいけれども、いろいろと予算の関係もあり、本会議関係もありますので、文部省の方は長谷川次官は一番頭がいいから、またものわかりがいいからということで来ていただいたのですよ。そこで不倶戴天という言葉は、言葉としてはあるが事実としてはどうかとおっしゃるけれども、文部省の中にその思想がある。それを文部大臣の荒木さんが持っていらっしゃる。日教組に対しては不倶戴天だとおっしゃる。ともに天をいただかずだ、面会する必要はない、話す必要はないと言い、寛容などというのはさらりと捨てて、そうして自分のところで教員の免許状を与えた教員に対して、いかにも敵性国の何かのごとき感じを与えるような言動をしばしばなさることは、今日右翼がほうはいとしてあがってきたときに容易ならざる問題だと思うのですが、そのことはいかがですか。
  145. 長谷川峻

    ○長谷川政府委員 文部大臣の表現なり態度についての太田委員お話でありますが、文部大臣のそういう態度、表現について、あなたが解釈されるような問題について私から解釈というのは、ちょっとむずかしいと思っております。
  146. 太田一夫

    ○太田委員 従って、これは総理にでもお尋ねしないとまずいというわけですね。お答えをいただく方がないとするならば、まことに困ったことだと思うのです。それは最近非常にファシズム的な傾向が国会の中にも横溢しておると世間、特に新聞などにおいては書きたてられるのです。この前の幾多の強行採決をめぐり、国会空白になった時分に、ファシズム的なにおいが強くなった、ファシズム的な傾向があるとかいうようなことなどが言われて、いろいろと民主主義政治危機について述べられたのです。そういうことが今日は少しずつやわらかになってきたかと思うときに、片方で政治現状に不満を抱いて蜂起した今のクーデターの一味があるのです。そうすると、その根というものが政治に一切が発しておると見るならば、根源が政治にあるならば、われわれがみずから省みなければならない、国民もすべて考え直してみなければならぬ、こういうことになるわけです。そうすると、今の日本の国の一番大事なものは教育だと思います。「米百俵」という小説がありますけれども、教育ほど国の運命に大事なものはない。今日民主主義が進歩してきていると思うのに、実はそれが崩壊の道をたどっておるとするならば、柏村長官は予算と人員のワク内で最大の努力をするとおっしゃるけれども、もしも何ともならないときが来たときに、私は最善の努力を尽くしましたといって腹を切ってみたところで、国民は救われない。そこで教育基本法の精神というものを文部省がしかと把握していらっしゃるかどうかという点を少々お尋ねしておるのです。教育基本法の前文には、こういうことが書いてあるのです。「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。」まことにいいことが書いてある。この教育基本法の精神というものに立ち返ったような教育がなされ、この思想というのが、今の日本の国の国民の最も尊厳な、また中心となる考えというものに一致しているならば、こういう右翼なんというものは出てこないですよ。それはみんなで寄ってたかってつみ取ってしまうと思うのです。国民がそういうものを寄ってたかってつみ取るようにならなければ、警察力をもってつみ取るということでは、どちらかというと邪道です。だから私は、警察力でつみ取るということに一切をまかせるのではない、国民の民主的な思想でつみ取るということにならなければだめだということを言うのですが、文部省はその覚悟のほどがおありでございますか。
  147. 長谷川峻

    ○長谷川政府委員 ただいま太田委員の申されたように、教育基本法に述べられたその通りのことを今の教育界の中にぜひ実現したい、そうして国際的にも尊敬される日本人を作りたいということで、お互いが努力している途中であります。しかし、それがまだまだ徹底しないうらみがありまして、ときにファシズムのようなにおいが出たり、ときにまた暴力的な共産革命的なにおいが出たりするところに現代のいろいろな不安があると思います。それを何とか一人々々の力で冷静なうちにやっていきたいというので、私たち初め皆さんにそういうために御努力していただいておるわけです。そう思って足らざるを補うべく努めながらやっておるわけであります。
  148. 太田一夫

    ○太田委員 共産革命の話が出ましたが、共産革命の事実というものはまだ出ていませんね。今のクーデター右翼の革命、この事実は出ていても、共産革命の事実は出ていない。しかも、現在国会の中におきましては三つ、四つの政党はありますけれども、社会党と自由民主党との、大体二つの政党が責任ある政党として存在している。しかもその社会党がいろいろなことを言うと、国会内で言う場合に、自由民主党の方では、いかにもそれが共産主義的な線での思想のごとくに受け取って、そのようなことを言うことを聞く耳持たぬというような一方的な態度に出られる場合がある。聞く耳持たぬということは、ともに語らないということで、これは先ほど申した不倶戴天という思想だ。この思想は話し合いを拒絶しますから、お互いの主張の間に隔たりがあった場合には、お互いの話し合いでその隔たり、差を縮めていって、しかも最後まで一致をはかろうとする努力と寛容というものが民主主義政治の根源だと思うのだが、そういうようなことをせずに、聞く耳持たぬという態度で、最後は多数決だ、多数決だというところに一切の解決の場を求めるやり方が幾多続いてきたのです。こういうことが今の何々少将とかいう人を中心とする一味のクーデターというようなことになってきた。児戯にひとしいものであるかもしれませんけれども、これは簡単に放置するわけにはいかない。だから、今警察庁の三百人の右翼専門の方におまかせしておいて、われわれは安閑としてここで日をむなしゅうするというようなことは、とてもできるものじゃないと思う。この点を私は特にあなたにお尋ねするわけです。昔から日本人というものは、どうも本能的であり、感情的なものが強いのです。そのために明治当時の志士というものに対するところのあこがれというものは、いまだ残っているのでしょう。身を殺して仁をなす、妻子をも忘れて、自分の故郷も忘れて、一切のものを忘れて政敵を葬る、こんなことで志士としてあがめられるなんというような考え方がいまだに残っているということは大へんなことだと思う。そういう点で、教育の殿堂であるところの文部省がもっとしっかりと本来の教育基本法の精神に返って、憲法を守って、平和を守って、民主主義を守る、ここに立ち返ってほしいと思うのです。その点については異議はございませんでしょうかね。
  149. 長谷川峻

    ○長谷川政府委員 それをけんけん服膺して一生懸命やっているわけであります。
  150. 太田一夫

    ○太田委員 大臣がいらっしゃいましたので大臣に伺います。公安委員長、このたびは大へんにお手柄でありました。先ほど来皆さんがほめていらっしゃる。こういうことは常にかくあって、大きなことにならないようにされることを望みますと同時に、皆さんの御苦労に対して敬意を表するわけです。  先ほど来、大体三百人の右翼担当の専従員をもって今後全国的に右翼の取り締まりに当たるというお話でありましたけれども、それはやはり人員的にも予算的にも無理で、少し足りないけれどもそのワク内において努力いたしますということでありましたが、私は、政治現状に不満を抱く徒輩の蜂起ということであるならば、これはあとからあとから出るような気がするから、これに対する対策としては手ぬるいのではないかということを主張したが、大臣、公安委員長としての御意見はいかがでございますか。
  151. 安井謙

    ○安井国務大臣 今回の事件は、警察当局におきましても、過般来、過去一年、二年の間、いろいろの実績、さらに国会等の御意貝等も十分拝聴いたしまして、特に政治暴力につきましては警戒を非常に厳にいたしておりました結果、早期逮捕というような形になったわけであります。この三百人という数がはたして今後これで十分かどうか、これは御議論のあるところと思いますが、専門的な配置としてはそういうふうにいたしましても、さらにそれを中心にして広がっていくのは、警察全体としてそういったものに対する警戒は十分に気をつけていくわけでございますから、今の組織と人員をほんとうに機能的に十分活用することによりまして、今後も相当効果を上げ得るものではないかと考えております。
  152. 阪上安太郎

    ○阪上委員 先ほどから大臣がお見えになるのを待っておったのでありますが、簡単に質問いたします。  昨日の本会議におきまして御説明があり、それに対してわが党から質問いたしまして、答弁がございました。その中に特に私どもの耳に強く残っておるのは、今後こういった事件を防止するためにも政治の姿勢を正さなければならぬ、こういうことを言っておられる。非常に簡単なようでありますが、政治の姿勢を正さなければならぬような状態に今あるのですか。この点を一つお伺いしたい。総理もそういうふうに言っておられるし、あなたもその意味のことを言っておられる。どうでしょうか。
  153. 安井謙

    ○安井国務大臣 政治の姿勢を正すという意味は、何も今度の場合に限って特別にやらなければいかぬということじゃなかろうと私は思っております。常にそうでなければならぬ。そうして常に気をつけておりますが、こういう不祥事がある。そういう場合には、それぞれ反省すべきものは反省し、やるべきものについてはきぜんたる態度を保持していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  154. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういうふうにおっしゃいますが、きのうの質問は、やはりこのクーデター計画に対する質問です。それに対して政治の姿勢を正す、こう言っておられるわけです。だからああいう抽象的なことでなくして、もう少しはっきりと、そういう必要性があるかどうか、必要性があるから言われたのだと私は思うのです。それならばどういうように姿勢を正すのか、このことをはっきりしないと、あの答弁は無意味だと思うのですが、どうでしょうか。
  155. 安井謙

    ○安井国務大臣 実は他院のことを申して恐縮でございますが、きょう参議院におきましても、その御趣旨の御質問がございまして、総理大臣から、政治の姿勢を正すということは何も今度初めて始まったことじゃない、自分は終始それを心がけ、また声明もしておったが、こういう事件があればさらにそういう点について十分配慮をしていくべきものである、そういう趣旨の答弁がありましたし、またわれわれもそう心得ております。
  156. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこでこれに関連いたしまして、実はこの事件が発表されますや、直ちに自民党の治安対策委員会においては、かねて問題になっておるところの政防法、これを促進するのだという意思表示がなされておる。それからまた昨日は、自民党の治安対策特別委員会が午前八時半から党木部でもって総会を開いて、柏村警察庁長官、竹内法務省刑事局長、和田海上保安庁長官等の出席を求めて、そしてこの事件について協議をした、こういうことが記事に出ておる。その結果として、政防法については早急に野党の協力を得て成立をはかる、こういうことが決議されておるわけです。そのことを大平官房長官に申し出ておる。また大卒官房長官お話によりますと、これまた政防法の審議をこれを機会にして進めなければならぬという意味のことを言っておられる。政治の姿勢を正すということはこういう方向のことをさしておるのですか。このことについてちょっと伺いたい。
  157. 安井謙

    ○安井国務大臣 政防法の問題は、実は私の方が直接提案をしておるわけじゃございません。警察活動といたしましては、とにかく現在ある法律制度のもとでまず最善を尽くさなければならぬ。それに対して不備なものがあれば、これはそれぞれできるだけ法律を改正していくということになろうが、政防法の問題につきましては、御承知のような経緯で目下参議院において継続審議中のものでございますので、これは当然政府も提案をいたしており、また取り下げたわけじゃないのでございますから、審議は当然進められるべきものであろうというふうに心得ております。姿勢を正すという意味が、単に一部のそういう事柄だけに限って何か特別のことをやるというふうには必ずしも考えておらぬわけであります。
  158. 阪上安太郎

    ○阪上委員 国会の審議の手続として政防法が審議されるということについてわれわれはとやこう言いません。ただ問題は、それでは端的に伺っておきたいと思いますが、治安閣僚としての安井大臣は、政防法案をこういった事件が起こったことによってぜひとも促進させていかなければならぬというふうにお考えになっておるのかどうか。
  159. 安井謙

    ○安井国務大臣 政防法は御承知通りずっと前から提案をされておりますので、法律全体の建前からこれが要るという判断のもとに提案をいたし、御審議を願っておるわけでありまして、このことが起こったから政防法が急に必要になったというふうには私ども考えておりません。
  160. 園田直

    園田委員長 門司亮君。
  161. 門司亮

    ○門司委員 大臣お忙しいようですから、一つ二つだけ大臣にお聞きしておきたいと思います。  今度の事件についての警察の処置として、未然にこれを防ぎ得たことは、私どもだけではなくて国民全体の喜びだと思います。しかし、この事件は必ずしも突発的に起こった事件ではございませんし、同時にまたごく少数で行なった個人の行為でもございません。団体に根をおろしております関係においては、かなり深いものがあるということが考えられる。従って、昨日の公安委員会における皆さんの御協議において、これに対するどういう対策が立てられたかということを、この際一つはっきり発表しておいていただきたいと思います。
  162. 安井謙

    ○安井国務大臣 昨日の公安委員会におきましては、警察庁長官からこの事件の経過につきまして報告をいたしました。とった態度についてはもっともであるという御了承を得ただけであります。しかし、こういう事件が今後絶対皆無であるという保障はないのであろうから、さらに今後も留意して十分その方に手落ちのないようにということでございます。
  163. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、警察としての態度だけをおきめになった、こういうことに解釈しておいてよろしいですか。
  164. 安井謙

    ○安井国務大臣 昨日の公安委員会といたしましてはそういうことでございます。
  165. 門司亮

    ○門司委員 それではあらためて聞かなければならないと思いますが、私は、その会議でおそらくいろいろな話が出たと思いますが、今のような御答弁では国民は安心しておるわけには参らぬかと私は思います。これから聞きたいと思いますことは、先ほど阪上君からもちょっと聞かれましたが、こういう事件のよって起こった原因について私はやはり公安委員会としては何かお考えになっているのではないかと思う。ただ単に警察だけが、自分たちの受け持ちだから、起こったものをどう処理するかというだけが仕事だというような公安委員会の組織ではなかろうと思う。また同時に、そういうことに対処するにいたしましても よって起こる原因が究明されなければ、派生的なものだけを幾ら芽をつんでみたところで、あとからあとからはえてくるのであって、実際の効果は上がらない。  そこで聞いておきたいと思いますことは、総理大臣のこの問題に対する演説の中にもございましたが、政治の姿勢を正すということで何かぼやかされておるような気がするのです。一体政治の姿勢を正すということは、言わなくたってわかったことです。それでなければならないことです。ところが、どこか政治がゆるんでいるからこういう問題が起こってくるのであって、従ってゆるんでおるところはどこかということです。新聞に書かれておりますように、左翼行動が非常に激しくなった、だから、左翼行動に対して政府対策のとり方がなまぬるいから、こんな政府は倒してしまって、もう少しはっきりした政府をこしらえたい、これがこの事件の起こった一つの原因だとするならば、その左翼行動の行き過ぎがあるというならば、それに対してどう対処していくかということが一つ考えられます。  もう一つの問題は、政治の問題というのは、こういうことを言うと少し言い過ぎかもしれませんが、まず政治の中には汚職がある。あるいは国会の審議というものが国民の納得のいかない審議が往々にして行なわれる。こういうものはやはり政治の大きな不信感になる最大の原因だと思う。左翼の運動がどうのこうのというのはそれから来た派生的のものである。これも言いかえれば政治の姿が悪いからこういう事件が起こるのであって、これは左右両方とも同じだと思う。左の方からいわせれば右翼行動はけしからぬじゃないか、そういうことが起こってくる。同じことだと思う。だからそういう抽象的な議論でなくて、一体政治の姿勢を正すと言われるが、それは汚職をなくするようなこと、あるいは国会審議というものが国民の納得がいくように行なわれるというようなこと、政治家の身辺は絶えずきれいであるということ、同時に政治のあり方というものが国民の欲求する政治の方針がとられるということ、同時に内閣は責任を持つということ。今日政治にちっとも責任がないと私は思う。これは大臣の前で言い過ぎかもしれませんが、あなたの言葉ではないかもしれませんが、国内の経済政策についても同じです。九%伸ばすと去年の暮れに言っておいて、来年は五・四%でよろしいというようなことを言っておれば、一体経済の混乱としわ寄せは国民の生活の上にどうなるのです。こういう政治自身の姿勢というものが究明されないで、ただ起こってくる問題だけをたたいてみたって問題の解決がつかぬと私は思う。そういう問題に対する治安閣僚としてのお考え、忌憚のない意見一つこの際聞かしておいてもらいたい。あなたにはなかなか言いにくいことかもしれませんが、言いにくいことを言っていただかなければ世の中は直りません。
  166. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話のように今度のような事件が、ただそれだけのものとして片づけるべきものではなく、政治のあり方全体も十分考え、また世の中の状況自体も十分な洞察をしていかなければならぬ。国家公安委員会といたしましても、そういうような点につきましては常々からよく討議もされ、検討もされておるわけであります。先ほどのは、あの事件に限りましてのとった警察の処置及び今後のさしあたりの処置としては、こういういき方でやりたいということを直接的にお答えをしたわけでありまして、今御指摘のような政治の姿勢を正す、国民のどこから見ても政府がいろいろ揣摩憶測、批判をされないような政府であるべきである、こういうお説には全く同感でございます。今後ともでき得る限り意を尽くしてそういう方向に向かっていきたいと思います。  それから今度の事件の背後は一体どうだ。私どもはこれは率直に申しまして、昨日も御報告いたしましたように、直接の機運としては共産主義革命に対する誇大妄想的な一つの恐怖心というか、嫌悪感から今の政府はなまぬるい、こういう感じで起こったのが、どうも直接の動機のように今のところ考えております。しかし、それの背後にはまたいろいろ問題があるじゃないか、そういう点も十分今後留意して調べてもいきたいと思っております。それから政治のあり方一般として、国民からいろいろ指弾されない議会政治のあり方あるいは政府の責任制、そういう問題につきましても、むろんお説のように考えなければならぬのでありますが、今度とりました連中の直接の動機は、政治一般の腐敗、あるいは政党内閣に対する不信といったようなものより、どうも何だか直接に左翼革命というようなものに対する一種の反発というものから出たやに、今までの経過では受け取れるわけであります。
  167. 門司亮

    ○門司委員 私はその考え方が甘いのだと思います。世の中のできごとについては動機と結果というものが相反する、あるいは違った方向に動くことはしばしばあるのであります。だから、今まで調べられた形の上において、今の大臣のような御答弁ができるといたしましても、一たび火がつけばその火はどういうふうに燃え広がっていくかということです。火種は小さいかもしれない。しかし、そうしたびまんした空気があるときに、だれかがマッチで火をくっつければ、それは大火災になることはさまっておる。私どものおそれるのはそれなんです。この事件自身がどういう動機であったかというようなことは、それはその事件だけでよろしいのである。ところが現在の日本状態というものは必ずしもそうではないじゃないか、だれかがマッチ一本で火をくっつければ大火災になる危険性を持っておりはしないかということを私どもはおそれるのであります。それが私は、総理が言われる政治の姿を正すという言葉だと考えておる。それがなければ単なる謀議による暗殺事件として片づければいいのであって、刑事事件として片づければ事は済むのであります。それをことさらに政治改革を行なうクーデターであるかのごとき、あるいはそういう議論をちまたでされるところに、私は日本政治にそういう背景を持っているのだと思う。大体火をくっつければ大へんだ、そのことをお考えにならないで、そうして起こったものだけを大したものではないからというようなことをお考えになっておると、非常に大きな問題になりはしないかと考える。だから政治の姿勢については、特に私どもはいろいろな問題もあろうかと思いますが、きょうは時間もございませんし、大臣も非常にお忙しいようでございますから、そういうことが、私どもとしては、公安委員会の席上でも、いわゆる公安委員会としての厳正な立場から批判され、検討されて、政府に勧告という言葉はどうかと思いますが、世間に対して公安委員会の態度というものを明確にされるということが公安委員会の忠実な仕事である。今日の公安委員会は大臣が委員長でありますから、内閣に隷属しておるものであるということは、私ども絶えず指摘をしておる。公安委員会の趣旨そのものは、いずれの内閣にも左右されない、日本の治安を維持するための厳正公正なものでなければならないと考えておったのが、組織の上ではかわっております。組織の上でかわっておるから、大臣はどうしても内閣の擁護者であるかのごとき印象を与えるということになって参りますと、いつまでたってもこういう事件はなくなりませんよ。私は、やはり公安委員会は公安委員会としてのほんとうの使命に立って、政治の姿勢を正すということはこういうことだ、こういうことがなくならなければこういう事件がまた起こるのだという日本国民全体に対する、政治家を含め、あるいは閣僚を含めた全体の国民に対する反省を促すことが、公安委員会で協議されたと考えておったのでありますが、そういうことが考えられないで、ただ起こった問題だけ大したことはないのだというようなことで処理されるということは、私は非常に遺憾であります。警察の諸君が苦労をしてこれを未然に防ぎ得た行為に対しては、われわれも深く感謝をいたします。しかし、その上にある公安委員会のとられた態度については、私どもはきわめて不満を持つものでありまして、もう少し事態をほんとうに把握して、公安委員会としての態度を世間にはっきりしてもらいたい、何も遠慮する必要はないと私は思う。しかし、それが行なわれなかったということになれば、これ以上時間もございませんから大臣に対する質問は申し上げません。私の意見だけは聞いておいていただきたいと思います。  それで、あとは警察その他に聞いておきたいと思いますが、もし大臣の御答弁ができるならば一つしておいてもらいたいと思いますが、今度のクーデターのこの事件というものが、今申し上げましたように、単なる謀議による暗殺事件と見るのか、あるいは政治的背景が非常に大きいと見て、いわゆるクーデターと見るべきものであるかという判断は、警察当局はどういうふうにされておりますか。
  168. 柏村信雄

    ○柏村説明員 先ほどもお答えをいたしたのでございますが、今回の事件捜査を遂げまして検挙をいたします際におきましては、殺人予備罪容疑をもって逮捕をいたしたわけでございます。しかし、その後の取り調べ捜査というような過程におきましては、さらに今お話しのような政府転覆というような政治的な意図がはっきりして、内乱予備陰謀罪であるとか、あるいは破防法の適用であるとかいうようなことまでも、可能性がないということは言えないと思うのであります。これはあくまでも証拠に基づかなければなりません。しかし、性格として私は単なる集団のテロ、ある何人かの人間を殺すんだということだけがその企図するところではなかったように考えられるのでございますが、しかし刑事事件として取り扱います場合には、あくまでも証拠に基づくことが必要でございますので、常識的な感じとしては、非常に政治的な意図を多分に持っておるというふうに考えられますけれども、刑事事件としての取り扱いは、おのずから限度が出てくると考えておるわけであります。
  169. 門司亮

    ○門司委員 公安調査庁はこれをどう考えておられますか。
  170. 関之

    ○関説明員 本件につきましては、警察検挙が行なわれ捜査取り調べ中でありまして、率直に申しまして私の方はこの事件内容について詳しく存じ上げません。従って、それがどうなるか、たとえば団体関係がどうだというような点は、これからの捜査の発展の結果を拝見いたしまして考えてみたい、こう思っておるわけであります。
  171. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、この事件中心団体であるといわれておりますいわゆる国史会ですか、国史会というものを一つ右翼団体とあなた方は認められておるかどうかということです。
  172. 関之

    ○関説明員 実はこの国史会というのも、この事件検挙によって、そういうものがあって、これが何かこの事件との関連があるようであるというようなことも承知いたしている次第でありまして、はたして事件のいわゆる団体としての行動としてそれが関係があるやいなやという点も捜査の進展を待たなければわからないわけでありまして、一に捜査の展開を待ってそこらの点も考えてみたい、こういうふうに私ども考えておる次第でございます。
  173. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、警察意見も公安調査庁の意見も、この団体行動であるかないかということはまだわからぬ、こういうことに解釈しておいてよろしゅうございますか、あなた方の結論は。
  174. 三輪良雄

    三輪説明員 特定の団体の意思決定であるというふうには今断定しておりません。
  175. 門司亮

    ○門司委員 そうだといたしますと、もう少し聞いておきたいと思いますが、この問題は、単なる国史会という団体だけでなくて、たとえば個人的にいたしましてもいろいろな団体がこれに輻湊して入りまじっておるように新聞紙上等で伝えられておりますが、一体どのくらいの団体に所属する者がこれに関係しておりますか。
  176. 三輪良雄

    三輪説明員 国史会というのは、先ほど申しましたように、小池を中心にいたしました歴史の研究をするということであったわけでございます。この団体に入っていた者が数名これに参加しておることは、団体という格好では一番大きいものと言えると思います。そのほかにこの中に関係しております中心人物の一人、川南の秘書であります篠田というのがおりますが、これは昭和二十七年に九州にありました菊旗同志会というものの青年行動隊長などをしたことがあるのでございます。またこの川南豊作のやっておりました川南工業会社というものが、この菊旗同志会に当時若干関係を持っていたということがありますので、菊旗同志会が関係しておるかどうかという問題でございますが、同志会そのものとしてはこれまた関係していたということはつかんでおりません。それから小池というのがさらに公同党というものに参加をいたしておったこともございます。これはしかしその党が動いたということではございません。ただいまのところ出て参りますものはそういうものでございますけれども、つまり国史会中心にいたしました小池の一連の者と、それから川南豊作を中心にいたしましたその会社の部下といいますか、そういう一連の者と、それに桜井なり三上なりが参加したということでございまして、特定の団体中心になって事を進めたということではないように見ておるのでございます。
  177. 門司亮

    ○門司委員 もう時間がございませんから、あまり押し問答をしているひまもないと思いますが、それで私はあと二、三聞いておきたいと思いますのは、防衛庁の問題で、自衛隊との関係であります。この事件取り調べの経過を見なければわかりませんが、従来の社会的地位としては一番高いと考えられる桜井何がしというのは、かつて自衛隊の陸上幹部学校においてビルマ戦史を講演したという事実があるわけであります。これは一体どういう関係ですか。こういう物騒な人間に陸上自衛隊の幹部学校で講演をさせるということ自体私は驚いておりますが、防衛庁としてはどういう考え方でこういう物騒な人物に幹部学校で講演させられたのか。その辺の事情がおわかりなら一つお話を願っておきたいと思います。
  178. 小幡久男

    ○小幡説明員 お答えいたします。桜井という人が陸上自衛隊の幹部学校で話をいたしましたのは事実でございます。これは昭和三十三年の六月二十日、今から三年ばかり前であります。御承知のように陸上幹部学校は戦略戦術を幹部に教える学校でございますが、いろいろ戦略戦術の研究の際には、現在生きております体験者の意見を戦場に即して聞くということになっております。たまたまビルマにおきまして桜井氏が歩兵団長をしておりましたその戦場における指揮官としての態度というようなものにつきまして参考意見を聞いたのであります。当時は、今日のような事件とは関係ないものと思って聞いた次第であります。
  179. 門司亮

    ○門司委員 新聞紙あるいはその他のものから仄聞して参りますと、この桜井何がしというのはかなり奇人だということが書かれております。軍人としてもかなりとっぴな行為をしばしば行なっておったことのあるような人物であります。どうも自衛隊が——これは責めるわけではありませんが、今の御答弁では、何か淡々として別にそういうことに関係なく聞いたようなお話のように聞こえますが、これは自衛隊自身議論があろうかと思います。ビルマ戦線というものと日本の今の自衛隊の任務とどういう関係を持っているかということは、実際私は大きな問題だと思います。何も外国と戦争をした実戦の経験を日本の国防の上に生かさなければならないというようなことも、ちょっと考えにくいのです。外国に行って戦争をするとか、あるいは外敵と対抗する、国際紛争を武力によって解決する建前に立った自衛隊ならそういうことも考えられるかもしれませんが、日本自衛隊の任務というものは、あくまでも日本の自衛のために使うものであってみれば、何もビルマ戦線の実戦談を、しかもこういう人に頼んでする必要も私はなかったかと思います。しかし、きょうはこういう議論をする時間もございませんが、今防衛庁としては、そういう動機は私はきわめて淡々たるお気持でおやりになったと思うが、現在ではどういう気持ですか。桜井氏がこういう団体に加盟して、しかもこれは事が成就すればおそらくこれの首班になられる社会的地位の人だったと考えられる。また、連中もこういう連中をかつぐだろうということも言い得ると思う。これが自衛隊に全然関係がなかったという本会議長官答弁や何かについても多少の疑問を持つのですが、この点について一体防衛庁としてはどうお考えになりますか。全然そういうことは関係ないのだ、そういう心配はないのだというようにお考えになっているのか、率直に言ってどうも少し行き過ぎであったというようなお考えをお持ちになっているのか、その辺の心境を一つ明らかにしておいていただきたいと思います。
  180. 笹本一雄

    笹本政府委員 今御答弁申し上げましたごとく、桜井氏が三十三年六月二十日に陸上自衛隊の幹部学校で、八十人ばかりに約二時間ビルマの戦場における指揮者の態度ということで、ビルマ作戦の歩兵団長をしておった、それは今門司先生がお話しになった、日本自衛隊は防衛じゃないか、外国の戦場のことを何も勉強する必要はないじゃないかというお話でありましたが、主としてビルマで物資の補給とか隊員の補給に伴う訓練とかいう苦労談を話されたのだそうであります。今この桜井氏の講演を聞いた人に対し、または防衛庁が桜井氏に講演まで頼んだのだから今どういうふうな感じを持っているかというお話でありますが、その後桜井氏は防衛庁の元知っておった人とは会っておったようでありますけれども、この問題が起きるまで桜井氏に対しては、別に問題にもしておらないし、また関心も持っておらないというような状態であります。ですから、さいぜんも申し上げましたが、外国で戦争をしたことを教えるのではない、ただそういうようなことの講義を二時間ほどしたのだということであります。
  181. 門司亮

    ○門司委員 これも私としては、もう少し桜井氏のその後の行動——たとえば今の官房長であります加藤君がお会いしたということも、私はあるやに聞いております。加藤君は、何も兵隊さんじゃありませんで、警察官から出た文官であったことに間違いありません。そういうところ、この事件についても、桜井氏が容易に自衛隊に近づき得る機会というものは、旧軍人という立場が一つあるのと、自衛隊自身がそういう関係を結んでいったというこの二つの問題が、自衛隊に近づく最も大きな問題ではなかったかと考えられる。従って、桜井氏の行為につきましては、自衛隊との関係は、一面には旧軍人とのつながり、一面においては、防衛庁自身がそういうきっかけを作ったと申し上げても差しつかえがないような事態であったということを私らは言えると思う。こういう問題が、事実上の問題として、これからどういうふうに取り調べの過程において発展してくるかわかりませんが、少なくとも外から見ておりますと、自衛隊と桜井何がしという者が、旧軍人というだけじゃなくて、少し縁がありはしないかという疑問を私は持っておる。  しかし、これは今これ以上深く私は聞く時間もございませんが、そこで率直に聞いておきますが、今度新聞で、かりに発表されておりますものだけを見てみましても、たとえば作業服が自衛隊のものであったとか、あるいは鉄かぶとがよく似ているとか、さらに防毒面等もそういう形であったとかいわれて参りますと、どうも自衛隊との結びつきがなかったということは言えないのじゃないか。そうして、それはただ単に、海軍中尉であった三上何がしという人だけ旧軍人であって、ほかの人は、あるいはセールスの関係から関係があったかもしれない。川南という者は、造船関係があったと思いますので、そういう関係があったかもしれない。しかし一番防衛庁に近かったものは、何といっても桜井君だと思う。そうして、そこからかりにこういう似たようなものが出ておるとすれば、これも問題がある。そこで、確認しておきたいと思いますことは、警察側に聞いておきますが、彼らの持っておりました防毒の面であるとか、鉄かぶとであるとか、あるいは作業衣であるとかいうものは、自衛隊の使用するものであったかなかったかということを、はっきり聞かしておいていただきたいと思います。
  182. 三輪良雄

    三輪説明員 お尋ねの点は、自衛隊の使うものではございませんので、はっきりお答えいたします。
  183. 門司亮

    ○門司委員 それから、その次に聞いておきたいと思いますことは、武器の調達の関係ですが、これは、前からかなり聞かれておると思いますから、ここで重複しては聞きませんが、武器調達についての問題に対して、警察側はどういうふうにお考えになっているか。今、日本現状というものは、割合武器の調達は、考え方によってはむずかしい仕事ではない。大きな火器はなかなか困難でございましょうが、小火器は、進駐軍というやっかいなものがおりますから、かなりここから流れる危険性を持っております。これは、政府のもとで流れるとは必ずしも言いませんが、ことに拳銃のごときは、いつかも私、この委員会で申し上げたことがありますが、被らがアメリカに帰るときに、日本に置いていくということが平気で行なわれておる。こういうものは、手に入れようとすれば幾らでも手に入る。それから、ここに使っておりますライフル銃というようなものも、やはりそういうルートを通じてくれば、ないわけでもないわけであります。武器調達についての今日までの取り調べの経過その他を聞いておきたいと思います。
  184. 三輪良雄

    三輪説明員 はっきりいたしておりますのは、中国人買切商といわれる李樹森が、名古屋の製造会社にライフル三十丁を注文しております。本人は、これはボルネオ開発のために輸出し、向こうで猛獣を撃つためだと言っておりますけれども、他の状況証拠から、これに使うために注文したのだという疑いがきわめて多いので追及いたしております。  なお関係者の中で、拳銃及びライフル銃を数十丁入手の分担をいたしたということがあるのでございます。これは、ただいまのお言葉の中にありましたように、実はどこで入手するという具体的なものは出ておりませんけれども、いろいろなルートから、やみで流れておりますそういったものを集める便宜を持っておったのかと思うので、この点も追及いたしておるのでございます。  韓国関係は、先ほどお尋ねがございましたけれども、まだそういう可能性がないわけではない、と申しますのは、密輸を韓国でやったということでございますから。しかしこの方面からは入手した、もしくは入手し得るという具体的な状況はつかんでおりません。
  185. 門司亮

    ○門司委員 武器の問題は、先ほどから申し上げましたようなことで、割合に入りいいルートがないわけではありませんので、かりに今お話しの名古屋のある鉄工所にライフルを頼んだ。日本の通産省には、御承知のように武器課がございますが、日本でこしらえておりますいろいろな兵器については、通産省で一応監督をする、ということはどうかと思いますが、考えられておる。従って、この名古屋のそういうものを頼んだというような問題を考えてみますと、ある程度ごまかせばごまかせる形が出てきはしないか。いわゆる通産省にある武器課についての、何かごまかしのようなものが出てきはしないか。日本では、戦争しないということになっておるから、武器はこしらえないはずだと考えておった。しかし、通産省の中に武器をこしらえる係があるのであります。こういうふうな関連性はどうかということも、時間があればもう少し聞きたいのでございますが、時間がありませんので、もう一つだけ聞いておきますが、われわれが聞きたいのは、武器の入手の問題について、韓国との密輸入の関係であります。これは、あなた方がお考えになっておるよりも容易に行なわれております。ポンポン蒸気で行っても、わずか一日か二日で行ったり来たりできます。そうして、どこの岸壁にも着けられるものでありますから、霧の少し深いようなときなら、やろうと思えば幾らでもやれる。また現実にやっておる。今始まったものではない。昔から密輸入は盛んにやっておる。ところで韓国では、御承知のようにああいうクーデターが起こって、一応武器についても、民間にといいますか、軍隊だけでなくて、クーデターその他にかなり広く——次元的に申し上げて参りますならば、かなり広くどこにもころがっておる、という言葉はどうかと思いますが、入手し得るルートは——現在の韓国はそういう様相を持っておると思います。そこで、密輸入ということは非常に大きな問題になって参りますが、今の答弁では、何か密輸入のものが来るということが、十分におわかりになっておらないようでありますが、この点は、海上保安庁その他の諸君もきょうは来ておいでになりませんから、聞きませんが、韓国との間の密輸入に対するルート、あるいは密輸入に対する現実を、政府はどの程度までつかんでおいでになるか、もしおわかりでしたら発表していただきたいと思います。
  186. 三輪良雄

    三輪説明員 お話しのように、非常に地域的に近うございますので、夜陰にまぎれて入るというようなことでございますと、日本の海岸線の至るところに入り得るわけであります。私どもといたしましては、密輸の物資の流れも同様注意をいたしておりまするけれども、人の密入国ということについても、厳重に各県警察努力して、発見検挙に努めているところでございます。ただいまの状況について、数字的なものをお尋ねであれば、今手元に資料がございませんで遺憾でございますが、大体通常のルートといたしまして、従来は、山陰地方以西の日本海というようなことでございましたが、近ごろだんだん、ことに人の出入りなどについては、東北方面の日本海岸にもそういった事例ができているような状態であります。それから物の密輸につきましては、そういうところでやみにまぎれてというわけには参りませんので、やはり物の出入りいたします厳原の港とか、その他大阪、東京方面で、これはむしろ品物の出入りの多いところにまぎれて、そういった密輸が行なわれるというようなことを、鋭意努力して検挙に努めておるところであります。  今回の川南豊作の密輸というのは、いわば公式のルートを使いまして、香港に輸出をするような手続をして、船を朝鮮に密輸出したというのでございます。その対価として、向こうからどういうものが入るかということは、まだ今後の調べになるわけでございます。海上保安庁とも十分御連絡をしながら、この具体の問題としては解明していきたいと考えております。
  187. 園田直

    園田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十分散会