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1962-06-05 第40回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年六月五日(火曜日)    午前十時四十六分開議  出席小委員    小委員長 伊藤 五郎君       鴨田 宗一君    正示啓次郎君       田澤 吉郎君    藤井 勝志君       細田 義安君    毛利 松平君       佐藤觀次郎君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    武藤 山治君  小委員外出席者         大蔵事務官         (理財局長)  稻益  繁君         大蔵事務官         (理財局証券部         長)      有吉  正君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         専 門 員   抜井 光三君     ————————————— 六月五日  小委員藤井勝志君三月三十九日委員辞任につき、  その補欠として藤井勝志君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員広瀬秀吉君三月二十八日委員辞任につき、  その補欠として広瀬秀吉君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員武藤山治君三月二十六日委員辞任につき、  その補欠として武藤山治君が委員長指名で小  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融に関する件  証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 伊藤五郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  今般新たに理財局長に就任されました稻益繁君より発言を求められております。これを許します。稲益理財局長
  3. 稻益繁

    稻益説明員 このたび理財局長を拝命いたしました。実はまだこの方面に十分の知識を持ち合わせておりません。いろいろまた皆様方に御指導等もいただき、御厄介になることと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  4. 伊藤五郎

    伊藤委員長 本日は金融及び証券取引に関する件について調査を進めることにいたします。  まず、当面の金融及び証券行政について政府より説明を聴取することといたします。大月銀行局長
  5. 大月高

    大月説明員 それでは最近の金融情勢と二、三問題にいたしております点につきまして簡単に御説明申し上げます。  まず、日本銀行券動きでございますが、昭和三十六年度末、つまり本年三月末の日銀券発行高は一兆二千九百四十一億円であったわけでございます。これが四月に入りまして——たまたま毎年増発期でございますが、日銀券の還流が本年はきわめて順調でございます。四月中の増発額といたしましては百十四億円でございます。この数字は、増発額といたしましては過去六年間の最低でございます。その結果、四月末の日銀券は、一兆三千五十五億円、こういう状況であったわけでございます。  五月に入りましてもこの傾向は引き続いておるわけでございまして、五月中の日銀券の還収は、四百六十六億円、この金額は五月中の還収額といたしましては最高金額でございます。そういう意味日銀券から見まする限り、次第に調整効果が上がっておるという数字を示しておるわけでございます。その結果、五月末の日銀券残高は、一兆二千五百八十八億、こういうことになっております。  それで六月でございますが、六月は、いろいろ資金需要の強いときでございますので、大体これから増勢に転ずる季節になっております。増発額につきましては、ただいま申し上げましたような傾向を推して参りますと、去年の六月の増発額を相当下回るのではあるまいか、こういうように見ておるわけでございます。こういうような順調な足取りを反映いたしまして、日本銀行券の対前年同月比、つまり四月で申しますと、昨年四月とことし四月、五月で申しますと昨年の五月とことしの五月、そういう増発率を比較いたしてみますと、去年の七月が最高でございまして、二六・〇%対前年同月比が上回っておったわけでございます。それか金融引き締めを実行いたしまして以来、毎月低下して参りまして、本年の三月、つまり三十六年度末におきましてこの増発率が一八・七%というところまで下がってきております。本年度に入りましてからもこの率はだんだんに低下いたしまして、四月は一七・七%増でございます。一%ばかり低くなっております。五月は一六・五%増、こういうことでございまして、引き続き増発率が低下の傾向にあるわけでございます。との増発率の二八・五%という数常は、大体、まだ順調に経済が伸びておりました三十五年十月ごろの増発率水準に戻っておるわけでございます。こういうような指標から見ますと、引き締め効果は次第に浸透してきておるということを申し上げてさしつかえないと思うわけでございます。  次に、日本銀行貸し出しでございますが、三月末に一兆三千二百十三億円という残高でございます。これは、四月は大幅な散超期でございまして、千八百億円以上の財政散布超過があったわけでありますが、やはり金融引き締め基調をくずすわけにはいかないということで、一つはことしの一−三月に実行いたしました買いオペ千四百億円、これを、日本銀行がそのうち千二百億円を売り戻したわけでございます。これだけの資金を吸収したわけであります。その結果、日銀貸し出しも、本来ならばもう少し減るはずでございますけれども、売り戻しがございましたために、貸し出しの減は百億円程度でございました。その結果、日銀貸し出しとして一兆三千二百十三億円という月末の残高になったわけでございます。五月に入りますと財政引き揚げに転じましたほかに、これも同じく昨年の秋から実行いたしました資金運用部中小向けのオペ、これの売り戻しを百八十億円実行いたしましたほか、日本銀行の売りオペ二百億円を加えたわけであります。千四百億のうちで四月に千二百億円売り戻し、残りの二百億円を五月に売り戻しました。そういうような引き締まり要因が加わりましたので、外為関係におきましては国際収支が次第に均衡に近づきまして、五月の引き揚げはわずか四億円であったわけでございます。昨年同月の引き揚げ外為関係で二百億円あったわけでございまして、そういう面からいくと、金融への圧迫要因は非常に減っておるわけであります。しかし今申し上げました債券の売り戻しというものが加わり、財政一般揚げがございまして、全体として五百九十億円の引き揚げになった。そのために五月末の日本銀行貸し出しは三百六十億円ふえまして一兆三千五百七十三億円の残高になったわけでございます。そこで、六月、今月の見通しでございますけれども、外為関係におきましては、やはり国際収支改善状況を反映いたしまして、今度は若干の散超に転ずるのではあるまいかというのが一つの要素でございます。そういうことを入れますと昨年を相当下回る揚げ幅になるのだろうというように見ておるわけでございます。そういう意味日本銀行貸し出しは昨年二千億ほどこの六月にふえたわけでございますが、この日銀貸し出し増加も去年よりは相当下回るであろうというように見ておるわけでございます。  第三は、全国銀行預金及び貸し出しの最近の動向でございます。まず実勢預金につきましては、三月に約三千二百億円増加いたしまして四月に約五十億円減った、こういうことでございまして、預金足取りといたしましては、まあまあというところだと思います。貸し出しにつきましては三月が千五百億円ふえております。昨年の三月は約二千二百億円ふえたわけでございますので、この点では増加の割合は減っておる。四月に入りましても同じく貸し出し増加額二百八十億円でございまして、昨年の四月の増加額四百七十億円に比べましてこの増加額もやはり減っておる。そういう意味で、貸し出しにつきましては引き締め基調の推移を一応物語っておるわけでございまして、民間における資金需要も若干ながら弱まってきつつあるというように見ておるわけでございます。  それでは今後金融上の問題としてどういう問題があるかという点について二、三申し上げてみますと、一つは最近国際収支の面から見まして、信用状の黒字の基調は次第にはっきりいたしてきております。三月に約一億ドル、四月に七千五百万ドル、五月には一億二千万ドル、大体そういう信用状の黒でございます。こういう基調が続いておる。それから経常収支の面におきましても赤字の幅が少しずつ減ってきておる、生産の面においては生産が低下しておる、卸売物価が軟調に転じておる、こういういろいろな指標が示しておりますように、最近の経済情勢といたしましては、昨年来の国際収支改善の問題の解決に向かっているということははっきり申し上げていいのではあるまいかと思うわけでございます。しかし今後の経済動向を楽観祝するわけにはいかない。むしろ経済の現状から申しますと、今後における調整策効果物価あるいは生産、そういう方面に一そう明瞭に現われまして、それが国際収支好転につながるかどうか、なお慎重に見守っていくことが必要な、微妙な段階にあるというように見ておるわけでございます。従って今後の考え方といたしましては、先ごろの政府統一的見解にも示されております通り、輸出振興と内需の抑制中心といたしまして、総合的な景気調整策を堅持していくということがどうしても必要だろうというのが基本的な考え方でございます。しかし一方金融中心とする引き締め政策を今後どういうように運営して参るかという点につきましては、やはり景気調整過程において生ずるいろいろな問題を円滑に処理しながら効果を上げるということが最大の目的であろうと考えますので、そういう面において慎重な配慮が必要になってくる段階と考えております。そういう観点から一つ設備投資調整につきましては、先ほど来大蔵省における金融機関資金審議会あるいは通産省における産業合理化審議会等の御意見も聞きまして、おおむね昨年度の一割程度ダウン、本年の会社側の計画に対して二〇%程度ダウンという線で調整を進めていくという方針をとっておるわけでございます。  それから最近の、特に金融上の問題といたしましては、こういうように調整過程振興いたしますと、資金需要設備資金よりもむしろ運転資金の方に重点が移ってくるであろう、こういうことでございます。金融引き締め基調は堅持するといたしましても、そのときどきに起こりますいろいろな問題につきましては、慎重にかつ周到な配慮が必要であるというのがわれわれの基本的な態度でございまして、そういう意味で本日の閣議におきましても御報告申し上げたのでございますが、中小企業対策といたしまして政府資金を三百億出すということを決定いたしたわけでございます。まず一つ金融債買い上げでございまして、この六月に八十億円、七月に七十億円、合計百五十億円の中小企業金融向け金融債買い上げを実行いたしたい。それから中小公庫国民公庫、商工中金に対しまして、六−九月の間の資金手当といたしまして、同じく百五十億の手当をいたしたい。具体的には、国民公庫に対しまして三十億円、中小公庫に対しまして四十億円、商工組合中央金庫に対しまして八十億円の政府資金手当いたしたい方針でございます。それから次に中小企業信用保険公庫に対しましては、本年度予算におきまして二十五億円の予算がついておるわけでございます。この中には、零細金融をやるための小口特別貸付分として二億円、それから輸出振興のための輸出振興特別貸付分として三億円、合計五億円がついておりますが、これは最近の情勢から見まして全額をこの上期に支出するという方針を決定いたしました。それから一般の出資につきましては残りが二十億円ございますが、これは上期と下期と同額に支出をするということが、上期分十億円を支出するという方針でございます。  最後に、最近こういうように経済調整が進展いたしておるにつきましては、一般の世間の問題になっております金融機関の側のいろいろなひずみの問題が相当問題としてはっきりしてくるのじゃないか。具体的に申し上げますと、特利だとか歩積み、両建、あるいはコール・レートが非常に高い、あるいは含み貸出があるとか、あるいは系列融資があるとか、いろいろなことが言われておりまして、金融引き締めの非常に強い段階におきましては好ましいことではございませんけれども、国際収支改善という大きな目的のためにある程度やむを得ない面もあったかと思うわけでございますけれども、こういうように経済調整が進展いたして参りますと、こういう金融上のひずみは相当われわれとして注意しなければいかぬ段階になっておる、こういうように考えます。そういう意味で、あした、大蔵大臣といたしましては、金融界証券界首脳者にお集まりを願いまして、設備投資抑制、あるいはこういう微妙な段階における金融の慎重かつ周到な態度というようなこと、あるいは今申し上げましたような金融上のひずみを一つ直してもらいたいというような要請を申し上げたいというようなことになっておるわけでございます。次第にデリケートな段階になって参りましたので、われわれといたしましては、新たな観点をもちまして、新しい意味金融正常化と申しますか、正しい方向に徐々に努力して参りたい、こういうように考えております。  簡単でございますが、御説明を終わります。
  6. 伊藤五郎

  7. 有吉正

    有吉説明員 お手元にお配りいたしました資料に基づきまして御説明を申し上げます。  まず最初におきましては発行市場の問題でございますが、増資状況から御説明いたします。  増資状況調といたしましてお配りしました資料は、有償と無償に分けまして、全国上場会社分、それから全法人、これを四半期別に分けて掲示したものでございます。問題は有償増資の点にあるかと存じますので、その点を中心にいたして御説明いたします。  三十六年度の欄をごらんいただきたいと思いますが、三十六年度の第一・四半期におきましては千百二十四億の有償増資が行なわれたわけでありまして、三十五年度の四百八十七億に比べまして二倍強の増資になったわけでございます。第二・四半期におきましても同じように千七百三十四億円で、これは前年度の二倍弱というような傾向を示しております。特に九月に至りまして千五十五億というのは、一月におきまして千億を突破したのはこれが初めてでございます。第三・四半期に至りまして千九百一億、これまた前年度に比べまして二倍強、三倍近くの相当大幅な増資でございます。かような増資状況が続きまして、当時増資のために株を換金売りするというようなことから、市況にも相当影響を与えたのでございます。従いまして、十一月におきまして増資等調整懇談会を開催いたしまして、増資に関する自主調整策が講ぜられたのでございます。その結果、第四・四半期におきまして合計千四百七十二億円の増資に相なったわけでございますが、これは増資調整以前の希望額を加えますと、実に二千七百億円に相なる予定でございます。特に三月におきましては千億円を突破するような形勢を示したのでございます。これが調整の結果三百二十六億という数字にとどまりましたために、千四百七十二億の増資ということに相なったわけでございます。三十六年度総計をとりますと六千二血三十億円ということに相なったわけでございます。三十五年度四千百十川億円に比べましても相当な額でございます。三十七年度に入りまして、四月が六百六十五億、五月が五百二十四億と相なりました。六月につきましては実は希望額が七百億円に達するということが言われたのでございます。そこで三十七年度の一月に、この三十七年度の第一・四半期増資情勢見通しまして、増資等調整懇談会を開催いたしました。この六月の増資中心にいたしまして調整をはかった結果、実績としましては千五百八十億円ということに相なったわけでございます。調整の行なわれない前の数字といたしましては千九百億円というようなことに相なっております。第一二・四半期見込みでございますが、やはり七月には五百億円以上、八月には七百億円というものが予定されておるのでございます。特に九月におきましては八百億円をこす増資の勢いでございます。これまた五月に増資等調整懇談会を開催いたしましてこの間を調整いたしまして、九月が大体四百五十億程度ということを目安にいたしております。大体第二・四半期見込みといたしましては千七百億円程度で、前年度と同じような水準と考えておるのであります。かような増資調整をいたしますならば、大体三十七年度は三十六年度並みの六千億円程度ということに増資がとどまることも、時期的なバランスがとれれば無理なく行なわれるのではなかろうか、かように考えておる次第であります。  次に、発行市場一つ起債市場関係でございますが、この点につきましては、お手元には資料はお配りしてございませんので、口頭で御説明いたしますと、政府保証債地方債電力債及び一般事業債を合わせまして、昭和三十五年度には四千七百五十九億円の発行を見たのでございます。純増ベースで申しますと四千百四十六億円でございます。それが三十六年度には、金融引き締め措置によりまして金融機関手元資金が不足して参ったこと、あるいは公社債投信による消化の一段落というようなことを反映いたしまして、二千九百二十七億円というものに激減したのでございます。純増ベースをとりますと二千五百三十億円でございます。内容的に申しますと、電力債は特に千三百九十一億円というものから七百七十九億円というものに、また一般事業債は二千四百十四億円から千九十六億円というものに激減したのでございます。三十七年度に入りましてからも市場状況は早急に改善されるとは思われません。第一・四半期中の発行実績をとりますと、毎月大体政府保証債が五十ないし六十億円、地方債が十八ないし十九億円、電力債一般事業債、それぞれ大体五十億円程度合計いたしまして百七十億円ないし百八十億円程度でございまして、おおむね三十六年度第四・四半期横ばい程度の規模で推移しておるのでございます。  以上で発行市場関係の御説明を終えまして、次に流通市場関係で、株式市場概況につきまして御説明いたしたいと思います。  お手元資料でございますが、株式市場概況は、まずもちまして東京証券取引所市場第一部につきまして、株価動きでございますが、旧ダウで申しますと、三十人年は御承知のように非常に波乱に富みまして、七月十八日に一八二九の高値をつけ、十二月十九日に一二五八の安値をつけたのでございます。その後持ち直しをいたしまして、年初、一月四日の大発会の日には一四二五・三〇ということに相なりました。その後漸騰を続けて参ったのであります。千五百円台に至り、ついに二月に入りましてもこの漸騰歩調が強かったために、特に値動きの激しいもの、また回転日数等の多い八銘柄につきまして一〇%の増し担保の徴収の措置証券金融会社及び証券取引所において行なったのでございますが、二月十四日に、至りまして二五八九・七六という、いわゆる戻り新価をつけまして、これが本年の今までの最高になっておるのでございます。こういった高値歩調に移りましたのは、需給関係好転を見ました環境下におきまして、国際収支早期好転見通し説というものが材料となりまして、中型なり小型の株が中心になりまして上がってきたのでございます。その後三月におきましても大体一四〇〇ないし一五〇〇台で終始いたしておったのでございます。四月に入りまして漸落歩調をたどりまして、四月六日には一四〇一ということに相なったのでございます。先ほど申し上げました銘柄別の規制はこの日に解除いたしたのでございます。四月二十五日に二二四二・三〇という安値をつけまして、これが第一部の平均では本年の安値でございます。その後若干ずつ高くなっておりまして、五月の連休明け九日には千四百円台を取り戻したのでございます。その後は千四百円台で終始いたしておりますが、五月二十九日に直りましてニューヨーク株式大暴落の報を入れまして、心理的な影響でございますが、一三七五・六九ということに相なったのでございます。その後若干戻し、また下げということが続きまして、昨日の六月四日におきましては二二九五・三二ということに相なったのでございます。四月、五月の低迷は景気調整の浸透に伴うところの企業実績悪化懸念というもの、あるいは国際収支均衡回復遅延懸念というもの、あるいは金融逼迫による買い控え、あるいは内部要因といたしましては、二月中旬にかけまして若干騰貴いたしました株価が、そのために買い建てを信用取引によってつけておりましたものが、決済の期限が到来いたしたために拡充したというような原因が直なっているものと思うのであります。  次に単純平均は大体ダウ平均と同じように動いておりますので省略させていただきますが、平均利回りは一月、二月、高いときにおきましては三分六、七厘台中心にいたしましたが、漸次低落とともに利回りが高くなりまして、四分一、二厘というところに現在は来ておるのでございます。  なお一日平均売買高につきましては、昨年中は上半期におきまして売買高が多かったのであります。下半期にその減少を見まして、年平均をとりますと大体一億株ということに相なっております。それが、一月に入りまして、株価上昇とともに一億五千万株程度、二月に入りましては、日によって二億株を突破することもございました。しかし株価は漸次低落するとともに、七、八千万株程度に落ちついたのでございます。三月、四月、月の平均をとりますと、大体八千万株ないしそれをこえるというような程度で、非常に取引高は低調を来たしておるのでございます。  日証金差引融資残につきますと、年初二百九十五億円から始まりまして、一月末におきまして三百五十一億円、二月末三百六十七億円、三月に至りまして非常にふえまして、二十七日には四百二十二億円ということで、日証金残高では最高を示したのでございます。それが四月に入りまして漸次減って参りまして、十八日に三百二十二億円というのをつけまして、百億円減ったということに相なった。その後も三百五、大十億円台に終始いたしておるのでございます。  次に市場第二部の模様でございますが、株価につきましては、昨年十月二日の発足の日には二五七・五〇というダウで始まったのでございます。それから後に低落を来たしておりまして、二〇三・八四というところまで低落したのでございます。本年に入りまして、昨年末からの上昇機運がそのまま持続いたしまして、一月四日二七〇・二二、その後も逐次上昇いたしまして、三百をこえるというような状況に相なりました。三月に入りまして、二十九日に三五七・六五という、本年最高値をつけたのでございます。しかし、その後は漸落に終始いたしておるのでございます。一部と同じような歩調をとるに至ったのでございます。三〇〇台を割るというようなことに相なって、六月四日、昨日の数字はここに漏れておりますが、二九五・七七ということで、三〇〇を若干割っているというところでございます。  次に平均利回りにつきましても、高いときには三分を割りまして、二分台というようなことで終始いたしておったのでございます。最近に至りまして、また株価低落とともに三分台に回復したということでございます。  それから、一日平均売買高を見ますと、一月、二月におきまして二部の株価が高くなって参りますとともに、売買高が非常に多くなりまして、一時は二千四百万株にも達したのでございます。その後漸次取引高は減って参ったのでございまして、最近におきましては三百万株台に終始、大体昨年の二部の発足当時の状況に戻ったのでございます。  なお一部に戻りまして恐縮でございますが、株価につきまして最近特に顕著なることは、大型株がさえないということでございます。これの指標を参考までに申し上げますと、昨年の三十六年七月十八日の高値、三十七年五月三十一日、ごく最近の五月末の指数とを比較いたしまして、ダウにおきましてマイナス二五・二九%、二五%の下げを来たしたのでございます。ところが大型株——この大型株は資本金百億円以上、小型株は資本金十億円未満、その他のものを一応中型株と呼ばしていただきまして、大体四十ないし六、七十の銘柄をとりまして、取引所において積算をいたしました結果を申し上げますと、大型株におきましては、同期間におきましてマイナス二七%をつけておりまして、ダウで二五%の下げを上回った下げを来たしておるのでございます。ところが、中型株におきましては一〇%の下げでございまして、ダウの二五%に比べて下げ幅は少ない。しかるに小型株におきましては七%逆に騰貴をしている、プラスの七%ということに相なっている次第でございます。  次に、投資信託の関係につきまして御説明いたします。  三十六年度におきまして、単位型の株式投資信託におきまして三千九百十一億円の設定を見たのでございます。これは一般に相当の好況を見た結果でございますが、特に三十六年八月までの数字をとりますと、月平均三百五十億円ないし五百億円の設定を見ましたが、九月以降におきましては、それが百億円ないし二百億円に減っておるのでございます。三十七年に入りまして、五月を除きまして、各月とも二百億円を突破しておるのでございます。これは昨年の十一月、十二月の設定額を上回るような数字でございます。  解約額につきましては、千三百億円ということが三十六年の数字でございます。これは株価がさえませんときにはむしろ逆に解約の方は減りぎみであるということがこの場合においても言えるのでございまして、先ほどと同じように三十六年八月までの解約額は月平均百二十八億、ところが九月以降におきましては八十八億五千万というふうに相なっております。三十七年に入りまして、一月以降におきましても、大体一月、二月は先ほど御説明をいたしましたように株価が若干戻したのでございますので、百二十三億なり百二十五億の解約額を示しております。その後株価低落とともに解約額は減少を来たして九十六億なり八十二億ということに相なっておるのであります。この解約額と残存元本との比率をとりますと、一月から二月におきましては一・八%、三月一・七%、四月が一・四%、五月は一・一%、かようなことになりまして、単位型におきますところの解約の残存元本に対する比率は、昨年の上半期大体二%程度でございますので、相当減っておるということでございます。その結果、年間または月間の増減、一番右の欄をごらんになっていただきますと、三十六年の総計では二千五百十二億ということになりまして、本年に入りまして、二月、三月は百二十九億円なり百二十七億円の増を示しておりまして、昨年九月以降最も高い増加を示した月でございます。  次に、追加型でございますが、三十六年におきましては、総計千七百二十六億円の設定を見たのでございます。ところが三十七年に至りましては一月に百二十一億、その他の月におきましてはさしたる設定を見ておらないのでございます。解約に至りますと、三十六年は二百五十六億円ということでございますが、三十七年に入りまして相当多量の解約が出ておるのでございます。単位型につきまして御説明したことはここにはあまり当てはまらないということになっております。その結果、年間または月間の増減におきまして本年二月以降赤字を示しておる次第でございます。  基幹産業投信におきましては、昨年の十二月に二百四十四億の設定を見ました。その後二十三億、二億と若干の解約を見ました。追加設定は今までのところございません。そこで基幹産業投信の残存元本は二百十九億円ということに相なっておるのでございます。  株式投信合計でごらんになっていただきますと数字の通りでございますが、特に御注目願いたいのは、年間または月間の増減におきまして本年の三月にわずかではございますが、三億足らずではございますが、赤字を示したのでございます。これは実に六年ぶりのことであります。ただ六年以前の状況とはだいぶ様相を異にいたしておりまして、以前は、二十九年一月から三十一年三月まで二十七カ月をとりますと、元本の増加をしましたのは十一カ月、純減が実に十七カ月も続いたのでございますが、三十年中二月、三月、五月を除きましてすべて純減でございます。ただこの純減の原因は、単位型の不振によるものでございまして、単位型は二十九年四月末の七百九十億円の残存元木から三十一年の三月には五百七十三億円に減ったのでございます。本年に入りまして、三月にわずかながら純減を見ましたが、これは主として追加型の影響によるものであるということと、六年前の様相とはだいぶ事情を異にしておるのでございます。しかし四月四十四億、五月四十二億、株式投信全体としましては相当持ち直してきているのでございます。  次に、公社債投信でございますが、三十六年におきまして二千四百四十四億円の設定を見ました。特に一月から六月までの設定が圧倒的でございます。解約額につきましては逆でございまして、七月から十二月までの八百八億、月平均百三十四億円の解約を見まして三十六年の解約額が八百八十四億となっておるのでございます。三十七年に至りましても一月が百六十億円、その後百二十億円なりの状況を続けております。四月が九十億円、五月百十三億円、解約が若干戻しぎみでございます。その結果、年間または月間の増減では、本年に入りましても解約は続いておりますが、その純減の幅はだいぶ狭まってきた様相でございます。  公社債投信を内容的に申し上げますと、三十六年一月におきましては個人の金額におきますところの比率が六八%でございました。相当法人筋の金も入っておったのでございます。二月にそれが八九・五%になり、三月以降は九〇%以上が金額においても個人ということになっております。三十七年に入りましては九六%ないし九八%まで個人、件数におきましては九九・九%まで個人ということに相なったわけでございます。それから一口当たりの金額で見ますと、三十六年一月には二十四万円、相当大口のものをかき集めたというような様相でございます。二月ないし五月におきましてはそれが十九万円から十二万円台に下がりました。六月は九万円、ところが昨年の十二月からは毎月二万円台ということに非常に小口のものになったわけでございます。三十七年の毎月をとりますと二万円台に終始しております。公社債投信が本来の姿に立ち戻っておるということが言えるかと思うのでございます。  簡単でございますが、御説明といたします。
  8. 伊藤五郎

    伊藤委員長 次いで質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  9. 堀昌雄

    ○堀小委員 今いろいろなお話がありましたから、ちょっと私準備をしてきておるものがありますけれども、今のお話の方を先にちょっと伺って、それから準備したものに入りたいと思います。  証券部長の方に伺いますけれども、公社債投信は最近は個人になってきた、ところが個人になりながら依然として解約が百億くらいある、最初一口当たり二十四万円であったものが一万円になってきておる、そうすると、今の解約の姿はほとんど個人になっておるわけですか、大口のものが解約をして新規のものは小口だけがふえておるのか、結果としてそういうことにならないとこの数が出てこないと思うのですが、そのことは一体どういうことを意味しているのか、ちょっと伺っておきたい。
  10. 有吉正

    有吉説明員 解約の状態またはその原因につきましてはいろいろなことが考えられると思いますが、一つには三十六年の開始早々におきますところの大量設定によりますところの解約、あるいは社債条件の改定によりまして、その後においてかなり命詰まりになったものの解約というものがかなりある。もう一つ公社債投信自身の本旨でありますが、これは換金の自由ということをうたいまして公社債投信発足し、またそれが一つ目的となっておる次第でございますので、そういった関係におきますところの解約というものがあるわけでございます。それらのものが重なり合って毎月の解約に影響を及ぼして参ったということに相なるわけでございます。もっともその月々の解約というものがその前の月のものにどの程度おくれて解約してくるかということはなかなかむずかしいわけでございますが、特に最近におきましての解約ということに対して、私どもといたしましても先生のおっしゃるように個人の小口のものがそのまま解約になったのじゃおもしろくないじゃないかというようなことから、これは業界におきましても自主的に措置としてきめて実施しておる次第でございますが、解約の手数料等につきましても相当配慮を用い、従来解約手数料は二十五円でございましたが、これを五十円に引き上げ、さらに最近におきましてはこれを百円に引き上げて、解約は自由を建前といたしますけれども、やはり短期のものの解約につきましては相当の負担を負うということにいたしたのでございます。今後の推移につきましては、こういった点が影響いたしまして、解約額につきましても漸次落ちつきを示してくるのではなかろうか、かように考えます。
  11. 堀昌雄

    ○堀小委員 それから今公社債投信利回りといいますか、大体現在のところどのくらいになっておりますか。
  12. 有吉正

    有吉説明員 七分七厘程度でございます。
  13. 堀昌雄

    ○堀小委員 最近金詰まりがひどくて、率直に言うと、公社債の中には利回りとしては非常に安く売られてきている。だから利回りは高くなっておるものがあるのではないかと思うのですが、この利回りは高くなっておるけれども、今のあれで拝見すると、これはあまり高くはなっておりませんね。この七・七%というのは高くなっていない。  それから今度は今の解約手数料は二十五円から百円にふえておる。そうすると、率直に言うと、どうも公社債投信も、今のところは証券業者も苦しいでしょうけれども、投資家としてはどうももう一つうま味がなくなってきつつあるんじゃないか。これはほかとの関係もあるし、解約を防ぐということのために手数料を上げた点はわかるのですけれども、やはり公社債投信をふやしていこうという方向では、この解約手数料等の引き上げ等はうしろ向きの処置ではないかという感じがするし、今の平均利回りといいますか、これがやはりほかとの関連で少しまだ低いんじゃないか。率直に言えば、今これがもしコールに回れば大体年として二二%くらいの利子がとれるにもかかわらず、既発債の残っている、自分の抱いている分だけを全部この投信の中に今埋め込んでいる。初めは皆さんの方では解約との関係で新規債、既発債、コールというある程度の割合をきめておられたにもかかわらず、解約が殺到して、証券会社の手持ちが三百五十億まだ残っておるでしょうが、それがために既発債だけ入れさしておるといりことになれば、率直に言うと私公社債投信としてもしこれがそういう形でなしに、それは解約はふえておることは新規の委託者の責任ではないわけですから、新規の委託者にしてみると、もっといい利回りになれるはずの公社債投信が低く押えられている。おまけに解約額を上げてきたということはどうも私公社債投信を小口のものがふえればふえるほど、これはもうちょっと真剣に考えてみる必要があるんではないかと思うのですが、その点いかがでしょう。
  14. 有吉正

    有吉説明員 最初に解約手数料の問題でございますが、なるほど解約手数料を上げて参りますとうま味がなくなるということでございますが、しかし本来におきまして公社債投信をどの程度持続して参るかという問題でございます。短期にこれを解約いたしますと、解約手数料がフルにかかってくる、あるいはそのかかり方が非常に重い。しかしこれを若干長期に持続していただきますならばそのかかり方が少なくなるということでございまして、公社債投信がどの向きにこれを持っていただくかということに関連してくることであろうか、かように思います。それから公社債投信利回りがどういうような格好になるかと申しますと、やはり公社債投信公社債投信としての使命をになっているものでございます。この運用がやはり公社債中心でなければならないということは、これは基本的な問題だろうと思います。ただそこに新規のものを組み入れるか、あるいは既発のものを組み入れるかという問題でございます。やはりこれも公社債市場全体の状態をにらみ合わせまして、新規債を組み入れることが適当であるという情勢の判断のもとにおきましては、やはり新規債、その後におきましてどうしても既発債でもって埋めなければならぬということになるならば、その点が既発債の方に傾いてくるということになろうかと思うのでございます。一概に新規債、既発債、どの程度の割合にしていいかというような問題にはなかなかならない、かように考えております。
  15. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)小委員 ニューヨークの株式が大暴落したのですが、突如としての問題であるし、その影響がヨーロッパにも響いておるという問題をどういうように解釈されておるのか。日本との関連でどういうようなことになっておるのか、その点をまず第一点、お伺いいたします。
  16. 有吉正

    有吉説明員 先月の末におきましてニューヨークのNY株式が暴落いたしたのでございます。その翌日相当程度戻しまして、六百ドル台に戻したのでございます。その後若干小康を保ったような状況で推移しておりますが、昨日やはり十七ドル程度また下げまして、昨日の指数では六百ドルを割っているかと思います。その影響を受けまして日本の株式も、暴落した際におきましては先ほど御説明しましたように相当下げまして、本日も若干寄付が日本の株式市況におきまして小甘くなっているのでございます。この原因につきましてはいろいろのことがいわれておるのでございますが、やはり一つにおきましてはアメリカにおきますところの企業の利潤低下の懸念があるのじゃなかろうか。あるいはケネディ政権が鉄鋼に対して、鉄鋼価格の引き上げの抑制措置を講じたということからインフレに対する抑制策が打ち出され、それが心理的に投資者に影響を与えまして、株の利回りがあまりにも採算的に買われ過ぎておったのが反省されて、あるいはインフレ人気を失うということが重なり合って影響されたのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。ただそれがいかに日本の市況に影響するかという問題でございますが、はたしてこのニューヨークの株式市況の低落というものは、アメリカの経済の実態をそのまま反映しているかどうかという点に問題がかかってきておるようでございます。しかし情報の報ずるところによりますならば、相当に先ほど申しました投資者の利回り採算上の心理的な要因というものが強く出ておるようにも考えられます。現存のところ日本の市況に対しましては心理的な影響というものは相当あろうかと思いますが、それが直接日本の株に対して影響を与える程度は少ないのではなかろうかというふうに判断いたしておる次第でございます。
  17. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)小委員 いろいろ証券の説明を伺ったのですが、どうも私はしろうと目に、政府は、株が上がるときにはいろいろ干渉がましいことをして新聞やマスコミで騒がれるのですが、下がったとき、平凡なときには何も対策をとらぬというような、こういう片手落ちの感じを持つのですが、私は株を持っているわけじゃないが、一般の大衆が今株に対して非常に関心を持っていますが、このごろは下火になってきましたが、そういう点で私は第三者の立場からでも——証券部が独立して有吉さんがなられたのですが、こういう方針は、これは自由主義の経済の中で自由に上がったり、下がったりするのは当然であって、これは資本主義の経済がある限りはこういう暴落があったり、また暴騰があったり、従来政府が手を入れたりするようないろいろな変動があり得ると思うのです。しかしそういう点で、今これはほんとうは政治的な問題もあるのであなた方に聞いてもわからぬのですけれども、大蔵省の証券部としてはどういう考えを持っておられるのか、この点も一点伺っておきたいと思う。
  18. 有吉正

    有吉説明員 これは佐藤先生にも再三御説明いたした次第でございますが、本来私どもといたしましては、株価に対して政府がその見通しを立てる、あるいはどの程度水準が適当であるというような判断を下しているわけではございません。これはすべて経済の実勢に応じまして投資者の判断そのものの上に成り立っていく、かように私どもの方としては考えているのでございます。ただ問題といたしましては、相当過当な投機的なものがございますならば、あるいはこれを規制して参るというようなことが考えられるわけでございます。その意味から申しまして株の高いときに政府はいろいろ手を打つじゃないかというような点がその点に反映されてくるかと思われるのでございます。私どもといたしましても株価の推移が投資層の判断によると言い切っておりましても、暴落等がございますれば、相当社会的な影響等もございますので、やはりこれについては相当真剣に対策として考えていかなければならぬ、かように思っておるのでございます。昨年の秋以降におきますところの株価低落に対しましては、相当増資等の圧迫もございますので、増資等の調整も、これは自主的な調整でございますけれども、私ども口火を切って申した次第でございます。今後におきましても、私どもとしては株価の推移に十分なる配慮を持って検討を続けて参りたいと思っております。  なお、証券会社の投資層に対する勧誘の態度、あるいは投資者の自己の責任において、あるいは自己の判断において株に投資するという投資態度の普及につきましても、相当重要な影響もございますので、この点につきましてもわれわれとして関心を持ち、常に注意を払って参りたいと思っております。
  19. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は、今度住友金属が無額面の株式を発行するということが新聞紙上に報道されております。割当は三十七年六月十五日現有の株主に対して、一株に対して〇・六株の割当をする、こういうことのようでございます。  そこで、最初にお伺いしたいのは、さっき有吉さんの報告にもありましたけれども、百億以上の大型株は二七%下がってきた。中型は一〇%で、小型は七%増である。私は、こういう下がり方をしている原因の一つは、証券業者自身の過去におけるビヘビアの問題としてあるのじゃないか、こういうふうに感じておるのです。さっきのお話を聞いてわかったのですけれども、大体最近までの証券業者の宣伝方法は、マネービルなどと称して、そのマネービルなるものがインカム・ゲインを中心としての話ならわかりますが、実はキャピタル・ゲインを中心としての話なんです。そういう宣伝が行き届いているために、どうも投資者自身が健全なインカム・ゲインによって問題を考えないで、キャピタル・ゲインの方に比重をかけ過ぎてきているのが現状であります。そうすれば、資本の小さいものほどキャピタル・ゲインがふえる可能性が多いわけですから、そういう点率直に言うと、小さな個々の株価の変動については大蔵省は触れるべきではないと思いますが、一つの流れの中における証券対策というものは、指導の面でもう少しはっきりさせるべきではないか、こういうふうに私は思いますが、それについて最初にお伺いいたします。
  20. 有吉正

    有吉説明員 先生の御指摘の通り、最近におきますところの大衆株の不振あるいは中小株の値上がりというような点につきまして、相当投資層に対する証券会社の影響ということがありますことを私どもも無視するわけには参らぬ、かように考えております。特に投資層に対しまして、証券会社が売買商を多くするために短期に勝負に出て、それを回転を早めるために、そういった株を勧めて参るというような投資態度については、厳に戒めて参らなければならぬと考えております。ただ私どもといたしましては、大型株なり中小株が、はたして将来におきまして投資層に対してどういう影響を与えるかということについて、これまた単純に結論を下すわけには参らぬ。一般的に先生のおっしゃるようなことに相なろうかというような気もいたしますけれども、はたして将来においてどういう結果になるかということについて確固たる自信はございません。従いまして、個々の取引につきまして、やはり証券会社といたしましては、大型株についてはこういったような内容を持ち、中小の株についてはこういう内容があり、将来の優位性はとういうものであり、しかも背後にこういった危険もあるのだということをすべてぶちまけて話をして、そして投資層の判断を仰ぐというのが本来の証券会社の投資の観点ではなかろうか、私どもは広告の指導等につきましては、そういったような意味において指導して参りたいという気持は十分に持っておるのでございます。なお一般的に申しますと、小型株があまり踊るということが——たとえば投資信託に組み入れられますと、特に浮動性の少ないものでございますので、投資信託の影響等が強く現われる可能性なきにしもあらずでございます。従来から十億円未満の小型株に投資信託に入れさせないということにいたしております。また同じような意味を含めまして、第二部銘柄は投資信託の銘柄にいたしておりません。かような趣旨もあり、私どもといたしましては機関投資家の一つである投資信託がこういった株に目をつけて浮動性を一そう増すようなことを避ける意味において指導して参りたいと思います。
  21. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、現実には大型株の値段が下がってきて、住友金属は、私はきょうは見ませんが、最近たしか四十九円くらい、額面が割れておると思います。しかし、これはアメリカからの借款の関係で、預貸率を、日にちは知らないのですが、どこまで改善をしますという条件がアメリカからの借り入れの条件になっておると聞いておりますが、ちょっとその経緯を説明願いたい。
  22. 有吉正

    有吉説明員 お話のように、住友金属は世銀借款の関係におきまして、自己資本比率を来年の三月までに四〇%にすることを迫られております。
  23. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、これはちょっと銀行局長の方にお伺いをいたしたいのですけれども、外資を導入するときに、もちろんアメリカの側としてはそういう自己資本の比率を幾らにしろということは、アメリカの常識からすれば当然だと思うのですが、日本の側から見ますと、その借款をするたびに何か自己資本比率にそういう制限がつけられてくるということになりますと、自己資本比率の問題から、資金が必要でなくとも増資をしなければならぬことが起きてくるのじゃないか。増資というものは本来はやはり資金需要があってそのときにこうやるというのが大体原則だ。今の税制上の問題があるから、増資をやるよりは借入金の方がいいという問題もあるいはあるかもしれません。どうもそういう点、外資導入についてそういうことが条件になっておるにもかかわらず、それを了解して借りる方が先になったということだと思うのですが、銀行局としてはこういう問題を一体どういうふうに考えておりますか。
  24. 大月高

    大月説明員 外資の問題でございますので、あるいは為替局長の御所管かと思いますが、一般論として私の感じを申し上げますと、本来企業経営の立場から申しますれば、相当の自己資本を持ってその上に借入金をして事業をやるというのが正常な姿であると思います。われわれがいわゆるオーバー・ローンを解消してほしいと言っております面は、一つは、日本銀行貸し出しが多くて、市中銀行が日本銀行の借り入れに依存しておるということはよくないということを言っておりますが、他面事業といたしましても、やはり相当の自己資本を持って、一部借入金によるという経営が健全である。今のように高い成長を遂げております段階においては、そう申しましてもなかなかむずかしいわけでございますけれども、今理念としては、やはり自己資本を相当持って、その上で借り入れをやって事業をやるというのがわれわれとして理想的な形態だと思っております。そういう感覚から申しますれば、外国の銀行が日本の企業に対して金を貸します場合に、やはり相当の自己資本を維持しろということは金融の常識でござい接して、むしろわれわれといたしましても、国内の銀行に対してもそれを要請したいわけでございます。ただ現実の問題として、なかなかそういうドラスティックな手は打てない、いわばわれわれとしては矛盾を感じておる問題でございますので、企業といたしまして外貨を借ります場合に、そういうような条件をつけられてもなおかつ借りるかどうかという自己判断のもとに借りられるわけでございますので、私は、特に外国から金を借りる場合にそういう条件をつけられることは酷である、あるいは屈辱であるということではなしに、日本の金融の体制においてもそういうことの方がむしろ好ましい、こういうふうに考えております。
  25. 毛利松平

    ○毛利小委員 今の堀委員の質問と関連がないので恐縮なんですが、銀行局長に一言聞いておきたいと思いますのは、日銀の貸し出しが日銀の発行高をこえている現在の現象をどういう工合に理解したらいいかという一点だけなんです。日銀券の場合には市中銀行の貸し出し政府貸し出しと金外貨を保証物件として発行しておる。そのほかに通常日銀貸し出しの方が銀行の発行高よりも少ないのが常識とわれわれは思っておるのですが、この内容をちょっと説明願いたいと思います。
  26. 大月高

    大月説明員 今お話がございましたように、日本銀行券発行要因は、一つ日本銀行貸し出し一つ日本銀行が有価証券を持つ、特にただいまで申しますれば国債を持つ、これによって日銀券が出る、それから第三は外貨がたまりましてそれによって日銀券が出る、この三つの方式があると思います。ただ、現実には現在の外資管理の方式から申しまして大蔵省に外国為替管理特別会計がございまして、それが外為証券を発行して外貨を持っておりますから、今の日本の体制でいえば、やはり外貨がふえて参りますればいわゆる外為証券という国債がふえまして、それを日銀が持つことによって日銀券がふえるということだと思います。そう考えますと、日銀券の現在の構成要因は、日本銀行貸し出し及び国債保有ということになると思います。逆に日本銀行券が減少する要因といたしまして、別に準備預金制度として一般に市中金融機関が日銀に預けておる普通の出歴預金がございますので、この預け金は逆に日銀券の還収要因になっておる、これだけの要素があると思います。  現在は、五月末の計数を具体的にながめてみますと、日本銀行券発行高が先ほど申し上げましたように一兆二千五百八十八億円、それに対しまして日銀の貸し出し残高が一兆三千五百七十三億円、それから準備預金残高が一千二百六十四億円、こうなっておりますから、貸し出しと準備預金残高の差引をする必要があると思います。そういたしますとこれが一兆二千三百九億円、こういうことでございまして、日銀券発行高よりも若干貸し出し的な要因は少なくなるということでございます。  それから現在日銀の保有いたしております国債は、御存じのように非常に少なうございまして、先般も資金運用部に対して売ったというような問題もございますので、現在の国債の保有帯は多分二、三百億ぐらいしかない。そういたしますと、大体大まかに言いましてここでバランスがとれている、こういうような感じでございます。
  27. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこでちょっと具体的なことを伺っておきますけれども、この〇・六株あての割当で今度出ます株数は幾らになりますか。
  28. 有吉正

    有吉説明員 お答えします前に、先ほどの私の答弁を訂正さしていただきたいと思います。住友の自己資本比率は来年の三月までに四〇%ということを申し上げましたけれども、これは本年の九月三十日に世銀に報告をする義務がございまして、その際にすでに四〇%になっていなければならぬということでありますので、本年九月三十日ということに訂正さしていただきます。  そこでただいまの御質問でございますが、三億五千七百六十万殊でございます。
  29. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、これは制度の問題としてあとで伺うのですが、ここではちょっと具体的に伺いたいのですが、今時価が四十九円しておりますね。株の状況としてはまだよくわかりませんが、下がるかもしれない。払い込みの期日は八月の二十日になっておるわけですけれども、そのときに、もし四十三円になったときにはどうなりますか。時価発行四十五円ときめて四十三円に親株の価格がなったときにはどうなりますか。
  30. 有吉正

    有吉説明員 四十五円という価額に変わりはございませんので、投資層の判断によりましてあるいは失権が出るかと思われます。
  31. 堀昌雄

    ○堀小委員 四十三円で買う株に無額面で四十五円の発行価格がついたらほとんど全部失権しやしないかと思うのです。もしそういうことがあったら。これは予想ですからあれですが、この価額の形で一点。その価格は、私は非常に象徴的に発行価額よりも下の価格は今申しましたけれども、しかしこれは発行価額との間が狭まってくれば狭まってくるほど、失権がふえてくるのではないか。実は最近の状態では、たしかこの前富士鉄だったと思いますが、額面の上をこしておって、正式に増資が認められたにもかかわらず相当の失権株が出たという事実があるわけですが、価額をもし四十九円としてみて、私これでも相当な失権株が出てくるのではないかという感じがいたしますが、そこらについてはどういうふうに考えていますか。失権株の処理といいますか、これはその後は一体どうなるのか、私ちょっとよくわからないので……。
  32. 有吉正

    有吉説明員 仮定の問題でございますので、どういうふうに相なるか、私どもなかなか見当がつかないのでございますが、しかし住友金属におきましても四十五円という値をきめまして、そして経済なり株の状況、現勢あるいはその先のことを考えまして、まあ四十五円できめたわけでございます。四十九円になって、どの程度の失権があるかということになりますと、これは平素考えられておるような失権、先ほど富士鉄の例をお話しになりましたが、二、三%の失権にとどまっておるような工合でございます。そういうふうなことを頭に拙いているのかどうかということに相なるかと思います。
  33. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、今の商法ではこの場合もわかりませんが、払込剰余金が、一応会社としては取れると思うのですが、一体この払込剰余金が、最大で四分の一ぐらいにいけるようにまだ法律ではなっておるようですが、こういうものについてあなた方の方では無額面を発行するに際して向こう側から何か申し出があったかどうか。
  34. 有吉正

    有吉説明員 申し出はございません。
  35. 堀昌雄

    ○堀小委員 申し出がないということは、払込剰余金は別に取らないということに理解をしてよろしいわけですか。
  36. 有吉正

    有吉説明員 払込剰余金の場合は私ども聞いておりませんが、再評価積立金の話でございますなれば、これは小刻み無償を重ねておりますので、現在再評価積立金はございませんので、無償抱き合わせの増資は不可能である、かように思っております。
  37. 堀昌雄

    ○堀小委員 この無額面株式の発行がされる場合には、一つの問題点は、払い込み剰余金はどのくらいとられて、それがどこへいくのかということが、この無額面株式の発行については一つの大きな問題点になっておるわけでありますが、その点は、大蔵省が今御存じないようでありますので、まだ、これから先ありますから、一体これらについては住友はこの際どういうふうに考えておられるのか、商法では認められておるわけですから、おそらくゼロにするなどということはないと私は思いますから、お調べを願っておきたいと思います。  それからこういうことが起こると、率直に言えば、今片一方で幾らで買われた方があるか知りませんが、かなり高い時期に買った人が住友の株主にたくさんあると思います。ところが今度四十五円で売って、一年たつと、決算がありさえすれば、同一の株の条件になるということになると、結局逆に今四十九円しているから、四十五円のレベルに押し下げていく可能性が出てきます。だから私は今住友の株を持っているとしましたら、今の常識でいくと、大体こんなのはうまくない、鉄鋼もこれからうまくない、これは少し処分をした方がいいということになると、親株をここでさっと売りますね。四十九円でどんどん売っておいて、半分に——今私が一万株持っていれば五千株を売って、あとでとってくれば、四十五円で入ってくる。差額の四円——売買手数料もありますが、四円の中身というものは、逆に上がってきますね。だから私はこういうことが起きることは、住友のこれまでの株主に対しては、率直に言って、損失を与えることになる。四十五円できめるということは、それだけの値幅において損失を与えることになるのではないですか。だからこのことは、どうも私は調べてみると、無額面株式の発行というのは、アメリカで行なわれているけれども、こんなふうに全株に対して〇・六も割り当てるようなことは行なわれていないように、私は調べてわかっておるのですが、これに対してあなた方はどういうふうに考えておられるか承りたい。
  38. 有吉正

    有吉説明員 無額面株式は本来商法において認められたところでございます。しかしわが国におきましては、この無額面株式を発行した例はわずか二件、それもそう大きな会社ではございません。二件の例があるだけでございます。現実におきましては、相当問題があるのでございます。  先ほど御指摘になりましたように、無額面株の四十五円というものにさや寄せされるのではないかということもその一つでございます。現在大型株が不振をきわめておりますが、こういったような方法によりまして、さらに増資をいたしますならば、現在の増資負担による市況にさらに圧迫の要因を加えるのではないか。かようにいろいろの点について問題があるのでございます。  ただ住友金属鉱業におきましては、先ほど御説明しました固定比率の問題がございますし、また再評価積立金がございません、というような事情から、やむを得ないのじゃないか、かように考えられるのでございます。しかしそういった無額面株式の発行が他に大きく影響を及ぼしてくるということについては、十分警戒の念を持ってやらなければならない。この際他の大型の会社が、株価不振に乗じて無額面株式の発行をするということは、非常におもしろくないことではないか、私どもとしてはかように考えております。
  39. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで商法二百八十条の十に、「会社が法令若ハ定款ニ違反シ又ハ著シク不公正ナル方法若ハ価額ニ依リテ株式ヲ発行シ之ニ因リ株主が不利益ヲ受クル虞アル場合ニ於テハ其ノ株主ハ会社ニ対シ其ノ発行ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得」ということが書かれております。これは非常に抽象的に「著シク不公正ナル方法若ハ価額ニ依リテ」とあるわけですが、これを具体的に言うとどのくらいになると不公正になるのか。不公正かどうかはともかくとして、「之ニ因リ株主ガ不利益ヲ受クル虞アル場合」ということになると、これは今申し上げたようにたとい四十五円でも現存の株主は不利益を受けることは間違いないと思うのですが、その程度によって差しとめ請求ができるということを商法で規定しておるのですが、どこらですか、この不公正というのは。
  40. 有吉正

    有吉説明員 この商法の規定そのままにつきまして、大蔵省として関与しておるわけではございませんので、私どもはこれに対してどの程度であるという判断を下すわけには参らないかと思うのです。
  41. 堀昌雄

    ○堀小委員 そうするとこれは裁判ですか。
  42. 有吉正

    有吉説明員 さようでございます。
  43. 堀昌雄

    ○堀小委員 そうすると、非常におもしろいことが出てくるのですが、私はこれは不公正な価額だと思いますから、これの差しとめを出しますね、そうしたら、これは裁判になるでしょう。私は仮処分の申請をして、この現状をここでとめますよ。そうしたらどうしますか。この裁判が八月二十日までに決着がつかなかったら、どうしますか。
  44. 有吉正

    有吉説明員 大蔵省におきまして、株式の発行に対して関与しておりますのは、経済課におきまして証券取引法に基づくところの届出を受理するというところの権限でございます。この届出の受理をするということの内容につきましては、その届出が真実を記載している限り受理せざるを得ないということに相なっているわけでございます。それ以外におきまして、この商法の問題にわたって私どもの権限はないのでございます。
  45. 堀昌雄

    ○堀小委員 新しい商法は非常に取締役会に権限を与えておるから、株主の利益は実際上非常に低く下げられておる。これは無額面株式発行について、唯一の株主の権利を保障しているものである。そうすると著しく不公正かどうかについては、これは裁判ということになるとすると、これは事実問題として見ると、無額面株式の発行はちょっとできなくなる可能性が十分あると私は思う。私は訴訟を出しますよ。それと同時に担保として一つそれの仮処分の申請をして保全をしてもらいます。そうしてやっておいて訴訟を最高裁までやります。八月二十日までにはできないですね。そういうときにはどうなります。そういうことが起きたときに、あなた方の証券部としてはどうしますか。——あなた方の判断でいいのです。
  46. 有吉正

    有吉説明員 先ほども御説明しましたように、私どもとしては、どうも手の打ちようがございませんから、そのまま看過する以外にないと思います。
  47. 堀昌雄

    ○堀小委員 これはおもしろい問題になりましたが、改正商法によってこの問題を取り上げるのは、これが最初だろうと思います。私は株を持っておりませんから、だれか株を持っておる人とよく相談をして、一ぺんこれは考えてみたいと思っております。無額面株式の発行についての重大な問題でありますから。  それからその次に、証券の問題はそのくらいにして、時間がございませんから、金融の方をちょっとお伺いをしたいのですけれども、統一見解の問題は、午後大臣がお見えになってから伺いますが、さっきもちょっと大月さんもお話しになっておったと思いますが、運転資金が今後はふえるだろう。そうすれば生産調整資金というものはある程度金融の面で考えなくてはならないのではないかと思います。ちょっと伺っておきたいのは、生産調整金融と滞貨金融と二つありますね。これはどういうふうに区別しますか。
  48. 大月高

    大月説明員 それは借り手が生産調整をやるかどうかによって質が違うと思います。たとえば従来一〇〇のベースで生産しておったのを八〇に落とすという意思決定をいたしまして、そういうことで金を貸す場合には、これは生産調整のためのつなぎ金融である。しかし、相変わらず一〇〇ないし二〇の生産をする。売れ行きは七〇くらいしかない、どんどん滞貨がたまる。これに対して特に金融をつけるということになると滞貨金融になる。つまり生産調整を前提にするかどうかということが非常に重大な差異だろうと思います。
  49. 堀昌雄

    ○堀小委員 しかし生産調整をやっても、外側に売れていけばいいですけれども、売れなければ滞貨にはなりますね。だからそれは滞貨であるということで見るのではなくて、生産調整をやっているということだけで見る、こういうふうに理解していいわけですか。
  50. 大月高

    大月説明員 ただ具体的には生産調整程度が問題だと思います。今設例いたしましたように七〇しか売れないのに九〇までしか生産を落とさないということになれば、二〇の分は滞貨金融になりますから、ほんとうの意味生産調整資金を出すとすれば、七〇の売れ行きに対して七〇まで生産を落とすという条件でもって金融をつける、これが本来の意味生産調整資金だと思います。
  51. 堀昌雄

    ○堀小委員 そうすると滞貨金融をやらないということになれば、実は今鉄鋼が御承知のような、小型棒鋼ですか、中型形鋼ですか、こういうものに対しては、この前名古屋でともかく滞貨金融をやってもらいたいんだということを非常にはっきり言っておる。山際さんはこんなものはやりたくないと言っていますが、そうすると、大蔵省もそういう意味生産調整以前の問題は、そういうことをやる意思はない、こういうことでございますね。
  52. 大月高

    大月説明員 明確にそういう一線を守りたいと思います。
  53. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで最近の金融債の現実に金融機関で売買をされております価格、これから逆算した利回りというのは一体どのくらいになっているのですか。これは銀行局か証券の方かどっちかわかりませんが、どちらでもお答え下さい。
  54. 大月高

    大月説明員 大体において金融債の売買はそう多くございません。現実には、毎月幾らかの債券発行銀行で金融債発行いたしておりまして、それを金融機関が持ってやっておる。それが中小金融に回りましたり、あるいは設備に回るという金融界内部のやりとりが多いわけでございます。あと短期証券は一部外へ出ておるわけでございますが、問題は長期の金融債でなしに短期の金融債にあろうと思います。しかしこれは当初発行をいたします場合には、現在きまっております金利でもって引き受けてもらっておりますから、今の問題はない。一般に売買が行なわれますのは相対的な取引はほとんどございませんで、問題ありといたしますれば、証券会社とその他の金融機関の間にいわばコールのつなぎ的なものとしてある、こういうことかと思います。そういう実情については、あるいは理財局の方がその面については詳しいかと思います。
  55. 有吉正

    有吉説明員 銀行局長のお答えの通りでございます。証券会社と金融機関との間におきまして、そういった取引はあろうかと思いますが、それが実勢的なものとして判断の材料になるほどのものとは私ども考えておりません。
  56. 堀昌雄

    ○堀小委員 そうすると、それは大体やはりコールのレートに近い状態で動いておるというふうに理解してよろしいわけでしょうか。
  57. 有吉正

    有吉説明員 さようでございます。
  58. 堀昌雄

    ○堀小委員 銀行局長に伺いますけれども、最近の自粛レートでないコール、翌月無条件もので大体どのくらいですか。
  59. 大月高

    大月説明員 先ほど申し上げましたように、四月の金融情勢は若干ゆるんでおります。それから五月におきましても、そう極端な現象はなかったように思いますが、六月に入りますと、相当財政揚げもございますし、資金需要もございます。例月日銀券もふえるというようなときでございますので、コール・レートは若干強調を示すだろうと思っております。具体的には二銭四厘の例の申し合わせの金利がございますけれども、そういう金利で動いておるものは、大方市場資金の半分程度でありまして、そのあとの分は、それぞれに応じて若干高い。ただ具体的に何銭何厘で動いておるかということは、率直に申しまして、われわれの方の統計ではっきりわからないのでございます。相当高いのもある。しかしこれは一般に言われておりますように、みんな高いということではないわけでございまして、非常に金がその日に要る金融機関がございますと、ある程度無理をしてとる、そうしてその一部分のところがしがる、こういうような問題でございますので、その日その日によって判断する必要がございますから、具体的に何銭何厘が何%という数字は、残念でございますけれども、われわれはつかんでおりません。
  60. 堀昌雄

    ○堀小委員 実はこの間銀行局の方で三月の銀行決算をいろいろいただいたのですが、新聞に出ておるやつの方が興味のある資料が出ておる。この興味のある方は出していただけなかったのですが、「全国銀行利回り、コスト及び利ざや」というのがある。どこが出した資料かよくわかりませんが、これで見ると、貸し出し証券それからコール・ローンの利回りの方は、大体前期に比べてやはり高くなって一〇・九三%で、それからコール・マネーの利回りの方は一〇・五七が一三・六一%、こういうことになっておるのですが、これは今実態は何厘かわからないとおっしゃったけれども、決算で見ても、平均三銭七厘ぐらいになりますね。そういうことじゃないか。これも全部突っ込みだから、今おっしゃるように、半分が二銭四厘なら、あとの半分は四銭をこえますね、そういうことじゃないかと思うのです。それは年間はいろいろあるでしょうが、それは仕方がないといえば仕方がないでしょうけれども、私ども率直に言って、預金金利のことは言いたくないけれども、一般の町の人間が銀行預金をするときには、五分五厘ぐらいしかもらえない。ところが大口のところは、特別でたくさん利子をつける。コールだと年に一割三分もくる。私も金が一千万あったらコール市場に出したいなという気がするのですが、どうですか、この状態は。
  61. 大月高

    大月説明員 預金金利とコールの金利とは、率直に申しまして、直結しないと思うのであります。コールの金利は、要するに、証券市場の当事者間の貸し借りでございますから、今のようにかりに一割三分なら一割三分というコール金利がありますれば、一方得をしておる金融機関があれば、一方損をしておる金融機関があるということで、無理してとるのが悪いのだ。率直に言えばわれわれはそういうふうに考えております。  それから預金金利の問題は、いろいろ議論のあるところでございますから、これは別途機会がありましたら……。
  62. 堀昌雄

    ○堀小委員 それで都市銀行の預貸率が一〇五・三四%ということですね。これはおそらく未曾有の預貸率で、これは普通の資本主義社会だったら、とうに取付が起こって、銀行は破産していなければならないのに、なぜ破産しないのですか。
  63. 大月高

    大月説明員 これは結論から申しますれば、要するに量と質の問題だと思います。今銀行が貸しております貸し出しの質は、非常によろしゅうございまして、ほとんど貸し倒れがないような状況になっておりますので、日本銀行から借りて貸しておりましても、破算の心配は全然ございません。ただわれわれの目標といたしましては、はなはだ形としては不健全でございますので、できるだけ日本銀行から借りないで預金をもって貸し出しをまかなってほしいというのが、われわれのいわばオーバー・ローンを解消してほしいという基本思想でございますので、ぜひ努力いたしたいと思いますが、ただ日本銀行から借りて貸しておるからあぶないのだという問題と、若干問題は違うのじゃあるまいかと思います。
  64. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は私どもは、よく最近の言葉で、わが方で言うことですが、国家独占資本主義という言葉を使います。私は、今の銀行はありがたいものだと思うのです。まさに国家独占資本主義のおかげで、銀行は楽な姿勢で商売をしてもうけられる。これが昔だったら、少なくとも戦前だったら、そんなことは想像もできなかったことだと私は思います。  そこで今銀行局長が、預金増加をするようにしなければならぬとおっしゃったのですが、実はこの前銀行局でいただいた三十五年三月、九月、三十六年三月、九月までの決算を拝見すると、少なくとも個人預金は、全国銀行では大体前期比増加率というのは八・三%が七・六になり、五・五に下がっておる。こういうふうに法人と個人で、全国銀行の前期比の伸び率というのが三月決算のがわかりますか。
  65. 大月高

    大月説明員 全体の預金の計数は、今お手元にお配りいたしましたように、三月末の計数を持っておりますが、それの内訳は一般の業務方法書にございませんので、別途とっておりまして、今集計中でございます。
  66. 堀昌雄

    ○堀小委員 おそらく私、ふえてはいないと思います。だんだん伸び率が減ってくるのですけれども、皆さんの力では何か——あとで大臣にも伺うつもりですけれども、事務当局としては、どうしたらふえるか、何か名案があれば一つ伺いたいのです。
  67. 大月高

    大月説明員 預金の趨勢につきましては、私は銀行とその他の金融機関と判然と区別をして考えなくてはいかぬと考えております。それは、昨年の秋以来の金融引き締めによりまして、営業性預金がふえないか、あるいは引き出されて、企業の流動性が非常に減っておるというのが、今の企業の全体の態勢でございます。それの相手になっておりますのは主として銀行でございますので、そういう面で銀行の預金の増勢がはかばかしくない。しかしその他の金融機関資金の蓄積状況は非常に良好でございまして、貯蓄の目標額は三十六年度全体が二兆五千億でございますが、実際に達成いたしましたのは二兆二千九百億ということになっておりまして、九二・三%ということでございますが、銀行を除きましたその他の金融機関の達成率は全部一〇〇%をこえておるわけでございまして、銀行だけが少ない。特に都市銀行の貯金の達成率はたぶん六四%くらいにしかなっておらないという、非常に特殊な事情でございます。これは御存じのように、中小企業対策その他によりまして、金融引き締め影響が中小企業にしわを寄せないようにということを極力実行いたしまして、その結果いわば伸び過ぎた大企業資金繰りが非常に苦しい。先ほどお話がございました鉄の問題その他、みんなそういう集約された問題だと考えております。従って、国際収支改善されていくということになりますれば、この問題は逐次解消していくと考えておりまして、必ずしも全体の金利をどうするというような問題ではない。その他都市銀行につきましては、御存じのように財政揚げが非常に大きいわけでございますが、これも経済の成長が相当高度に達した結果でございます。この財政揚げ影響はやはりもろに都市銀行に来るわけでございまして、そういう意味預金が減る。  それから証券市場がやはり不振でございます。たとえば社債が大いに出るということになりますと——大体これは大きな企業でございます。そうすればその歩どまりの拠金は都市銀行の方へ来る。これは現実に昨年の一−三月の現象をごらん願いましても、あの当時社債投信が非常にふえた。そのときの都市銀行の預金は伸びが非常に大きかったわけでございます。この証券市場の不振ということがやはり都市銀行に来ておるわけでございます。そういう感覚で物事を考えますと、大体銀行、特に都市銀行の預金の不振というものは、今の経済情勢そのものの反映でございますので、国際収支が次第によくなるということになりますれば、このバランスもまた逐次返ってくるだろう。ただ大勢といたしまして私ども考えておりますのは、先ほどお話のありましたように、自己資本を充実しなくちゃいかぬ、しかもそれが好ましい姿であるというのが大きな流れであろうと思います。そうすればやはり銀行の預金のウエートというものは、若干趨勢としては減っていく。しかしこれは全体の国民の蓄積が減るというようなもの、あるいは伸びが少ないということじゃなくて、全体の蓄積がふえますけれども、その中で占める銀行預金のウエートというものはある程度減らざるを得ない。それがある意味では好ましいところであろうかと考えております。  そういうもろもろの現象を考えて、われわれは都市銀行の問題として集約的に考えたい。ただ現在都市銀行が非常に金が詰まっておるということは、これまた現実でございますので、たとえば店舗政策等におきましても、資金の集まりやすいような場所に、例の小型店舖の増設を積極的に都市銀行に認めることといたしておりまして、すでに去年の秋から内示いたしております数字も、おおむね四十カ店舗前後になっておるかと思います。そういう意味で現実の経済からくる都市銀行へのひずみはある程度別の面でカバーしつつ、銀行の回復を促進する、こういうことが正しいのであろうかと思っております。
  68. 伊藤五郎

    伊藤委員長 本日はこの程度で散会いたします。    午後零時三十七分散会