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1962-03-15 第40回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十七年一月三十日(火曜日)  委員会において設置することに決した。 一月三十一日  本小委員委員長指名で次の通り選任された。       伊藤 五郎君    大久保武雄君       岡田 修一君    鴨田 宗一君       藏内 修治君    田澤 吉郎君       藤井 勝志君    毛利 松平君       岡  良一君    佐藤觀次郎君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君       武藤 山治君 同日  伊藤五郎君が委員長指名で小委員長選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和三十七年三月十五日(木曜日)     午前十一時十九分開議  出席小委員    小委員長 伊藤 五郎君       岡田 修一君    正示啓次郎君       田澤 吉郎君    藤井 勝志君       細田 義安君    毛利 松平君       佐藤觀次郎君    堀  昌雄君       武藤 山治君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  小委員外出席者         大 蔵 委 員 足立 篤郎君         大 蔵 委 員 横山 利秋君         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    橋口  收君         専  門  員 拔井 光三君     ————————————— 三月十五日  小委員藏内修治君及び田澤吉郎君二月二十一日  委員辞任につき、その補欠として細田義安君及  び田澤吉郎君が委員長指名で小委員選任さ  れた。 同日  小委員武藤山治君二月二十八日委員辞任につき、  その補欠として武藤山治君が委員長指名で小  委員選任された。 同日  小委員大久保武雄君及び藤原豊次郎君同日小委  員辞任につき、その補欠として正示啓次郎君及  び堀昌雄君が委員長指名で小委員選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融に関する件      ————◇—————
  2. 伊藤五郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  まず当面の金融情勢、特に中小企業金融の問題について、政府より説明を聴取することといたします。大月銀行局長
  3. 大月高

    大月政府委員 それでは、最近の金融情勢、特に中小企業金融関係を中心にして、御説明申し上げます。  まず日本銀行券関係でございますが、昨年末一兆四千八百億円に達しました日本銀行券は、一月以来順調に還流をいたしまして、一月末におきましては二千百五十億円の減少を示しました。前年におきましてはこれが千八百四十億円の減少でございますので、還流状況は順調であるわけでございます。その結果日銀券は一月末におきまして一兆二千六百億円になっております。二月中におきましては、七十数億円の増発でございまして、昨年の二月中の増発が百二十七億円でございましたのに比較いたしますと、若干増発程度が少なくなっておりますので、そういう意味におきましても伸び過ぎの調整が行なわれておると思うわけでございます。三月中も同様の足取りで推移いたしまして、この年度末の通貨は大体一兆二千七百億円から二千八百億円程度推移するものと見られております。この日本銀行券の今申し上げましたような推移を、毎月の平均残高について対前年同期比をとってみますと、昨年七月におきましては、対前年比二六%の増でございました。このときが増加率のピークでございます。その後金融引き締めに伴いまして、逐次増加率は低下いたしまして、去年の十二月におきましては二一%に下がっております。また本年に入りましてからも順調に増加率は低下しておりまして、一月にはさらに若干下がりまして、二〇・七%の増でございます。それから二月におきましてはさらに下がりまして二〇%を割りまして、一九・三%の増、こういうように増発率が次第に低くなっておるということでございます。これは金融引き締めの効果が逐次通貨面に現われておる姿であると存じます。  日本銀行貸し出しでございますが、引き続く税収の好調を反映いたしまして、ことしに入りましてからも財政揚超が非常に大きいわけでございます。それで一月におきましては、昨年の一月に比較いたしまして揚超は千億円余分になっております。それから二月は去年に比較いたしまして七百億円多い。こういうようなことで、揚超の幅は非常に大きいわけでございます。三月を含めました全体の第四・四半期、この一−三月の見通しでありますが、大体財政において四千八百億円程度揚超を示すものと予想されておるわけでございまして、昨年の揚超が三千三百億円でございましたということに比較いたしますと相当大幅な揚超だというのが一つの特徴であろうと思います。こういうような財政上の理由もございまして、日本銀行貸し出しは一月末におきまして二百五十億円を減少いたしましたが、二月、三月ともに相当ふえるであろうという見通しであったわけでございます。そのために二月に七百億円、三月に七百億円の日本銀行による買いオペレーションを実行いたしましたことは御存じ通りでございます。その結果、日本銀行貸し出しの面におきましてはその分が相殺されることになりますので、比較的日銀貸し出し増加としては低くとどまる見通しでございます。そういうことから、二月中における日本銀行貸し出しが約六百億円の増加でございまして、昨年二月の日銀貨し出しの増加八百三十億円に比較いたしますと若干少ない。それから三月におきましても、昨年は約千億の貸し出し増加があったわけでございますが、本年は三百五十億程度にとどまろうか、こういうように考えておるわけであります。こういうような推移を総合いたしまして、この三月末、年度末の貸し出し見込みは、大体におきまして一兆三千五百億円程度になろうかと思います。昨年三月の日銀貸し出しが六千四百六十一億円でございましたので、おおむね倍程度になろうかと思うわけであります。それから全国銀行頭金貸し出しの動きでございますが、全国銀行実勢預金は、一月に約千九百億円の減少を示しました。これは例年一月は減少を示す月でございまして、昨年も一千百億円の減少でございますが、昨年に比べてさらに減少の度合いは大きいわけでございます。それから二月は、昨年におきましては千二百億円の増加があったのでございますが、ことしは金融引き締め影響等もございまして百八十億円の減少でございます。一方貸し出しの面におきましては、一月に約三百三十億円増加いたしました。昨年の一月の増加が四百五十億円の増加でございましたので、そういう面からいくと引き締めの態勢は続けられておるということを示しております。また二月におきましては、昨年の千百億円の増加に対しまして本年は九百億円の増加でございますので、そういう点からも金融引き締め基調において推移しつつあるということを示しておると思うわけであります。  こういうような全体の金融情勢でございますが、政府施策といたしましては、こういうような金融引き締め状況下において中小企業に対する金融に支障がないようにというような配慮をもちまして、中小企業金融対策としての財政資金放出を実行いたしておりますことは御存じ通りでございまして、昨年の秋以降、合計千六十億円に上る放出を実行中でございます。そのうち五百億円が市中金融機関保有金融債等資金運用部資金による買い上げ、いわゆる中小向けオペレーションといっておりますが、これが五百億円ございます。あとの五百六十億円が政府関係機関に対する資金追加でございまして、これは今手元にお配り申し上げております二枚目の表をごらん願いますとその実績が出ておるわけでございます。国民公庫に対しまして三回に分けて合計百五十億円、中小公庫に対しまして同じく二回に分けて百六十五億円、商工中金に対しまして同じく三回に分けて二百四十五億円、こういうことでございます。合計五百六十億円でございます。  そういうような資金追加をいたしました結果、第三・四半期及び第四・四半期における貸し出し実績及び見込みは、その下の表にある通りでございまして、国民金融公庫におきましては、第四・四半期、昨年度実績百五十三億に対しまして、三十六年度実績見込みは二百七億でございます。約五十億ばかり増加いたしておりまして、三割近くの増加となります。それから中小公庫におきましては、昨年の実績百三十四億に対しまして、本年度見込みは二百十億でございまして、これも約五割の増加でございます。商工中金におきましては、昨年度実績八百三十四億に対しまして千百九十六億でございまして、これもやはり三割見当増加ということだろうかと存ずるわけであります。こういうような政府関係機関に対する政府資金追加と、それから行政指導による中小企業金融への配慮ということと相待ちまして、中小企業に対する金融は、引き締め基調下におきましても、総体的には比較的問題なく推移したであろうかと考えるわけです。その実績が、最も新しい数字といたしまして、第一表、一枚目の表に出ておるわけでございます。一月の実績によりますと、全体の金融機関の総貸し出しが十四兆一千億足らずということでございまして、そのうち中小企業向け貸し出しが五兆九千三百億くらいになっております。この比率は、この表にございますように、四二・〇七%でございまして、大体昨年の秋口ごろから四一%ないし四二%というようなベースで推移いたしておりますので、おおむね同水準推移しておるかと考えるわけでございます。こういうような全体の金融情勢及び中小企業金融推移から見まして、全体の中小企業に対する影響は、若干、手形期間あるいは検収期間等が延びるというような問題もございますけれども、大過なく過ごしつつあるのではなかろうかと考えるわけでございまして、第三枚目の表をごらん願いますと、東京手形交換所における不渡り手形の発生の状況の表がございます。一月が、枚数におきまして〇・八一%、昨年の〇・七〇%に対し若干ふえております。それから二月が〇・七九%、これは昨年同じく〇・七〇%でございますので、若干ふえておりますが、個々の数字を全体として過去の計数に比較いたしますと、必ずしも水準は高くはない。一番上の方をごらん願いますと、三十一年中の比率〇・九四、三十二年中で一・〇八、三十三年中一・〇六、その他、こういう数字でございますので、必ずしも最近の不渡りの率が多いわけではないということを示しておるわけでございます。われわれが全体として通観いたしております感じから申しましても、特に中小企業の問題について非常に深刻な問題が起きておるというようにも見ないわけでございまして、一般に言われておりますように、若干あるいは経済が中だるみではないかというような批評もあるくらいでございまして、問題は、あるいは四月−六月というところに起きるかもしれないということを一般に言われておる状況でございますが、これに対しましては、われわれといたしまして、十分、また慎重に、推移を見ながら対策考えて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  4. 伊藤五郎

    伊藤委員長 続いて質疑の通告があります。これを許します。細田義安君。
  5. 細田義安

    細田(義)小委員 ただいま大月局長さんから金融の概括についてのお話がありまして、私ども野党も一緒に、年末の金融あるいは一−三月の問題、かような点につきまして、政府に御要望申し上げておりまして、十分かどうかにつきましては議論なり意見なりがあろうかと存じますが、おおむね世間で考えておりましたような危機は回避をされておると申しますか、こういう点については、政府配慮というものが、十分にとは申しませんが、きき目があった、かように感じておるわけであります。しかし他面におきまして、金融機関が今日どういう実態で運営されておるかというような点をながめますと、金融機間相互間におきましては、非常に高い金のやりとりをもって調達をしておる。こういう点で、金融機関内部にわたって見ますと、必ずしも正常であるということは言いかねるわけであります。池田さんを初め水田さんも、金利は上げない、こういうことを言われておるのでありますが、この際、この時限では、やはり何といたしましても、金を集めるということ、さらに他面におきましては国内消費を抑えて参るような措置が推進されなければならぬ。ところが貿易自由化を控えて、輸入輸出関係から見まして、金利の低い金を貸しまして貿易拡大に備えたい、輸出拡大に備えたいということを、このことはわかるのでありますが、私は、もっと正常なる姿において金が集めいいような施策というもの、また国民にも了承が得られるような施策というものを推進することによって、これらの問題は、預金を吸収するために金利は上げましても、貸し出し金利は上げずに済むというようなことはできないか、こういう考えを持っておるのであります。こういう点につきまして、政府当局立場においての言葉で差しつかえがあれば、大月さん個人がどのようなお考えを持っておるか、示していただければしあわせだと思うのであります。
  6. 大月高

    大月政府委員 銀行預金金利引き上げ問題につきましては、金融界特に都市銀行の方から強い要望があることは承知いたしておるわけでございますが、われわれの立場といたしましては、現在のところ、この問題々取り上げるつもりはございません。先ほどお話がございましたように、貯蓄増強の必要という点についてはわれわれも十分認識いたし、かつ努力いたしておるわけでございます。今般の各種の税制改正その他におきましても、御存じのように、銀行預貯金に対する分離課税、これは税制上から見ましては相当問題があると思いますけれども、とにかく一年間の延長をはかっていただきましたし、あるいは貯蓄組合の制度につきましても、その限度を五十万円に上げていただく。郵便貯金も同じく五十万円に限度が上がります。それから簡易保険におきましても、三十六年度まで三十万円、三十七年度、この四月一日からは五十万円に上がるわけでございます。また生命保険料の控除につきましても、従来三万五千円でございましたものが五万円になるというようなことで、貯蓄全体に関しまして限度引き上げないし税制上の優遇が一段と全般的に措置されておるという現状でございまして、われわれといたしましては、貯蓄の問題については、預金金利引き上げということでなしに、まず税制上の優遇措置その他の基本政策によって措置いたしたい。  それで、貯蓄をふやす根本は、何と申しましても、国民所得の増大にあるわけでございまして、われわれといたしましては、できるだけ経済が成長していくという政策をとるというのが根本であろうかと思います。ただその前提といたしまして、通貨価値がくずれるということは貯蓄心理に最も悪影響がございます。経済が安定的に成長するということがポイントでございまして、現在の財政金融政策はそこのところに焦点が合っておると思うわけでございます。そういうような成長政策安定政策並びに国民貯蓄に対する認識を高めるというような呼びかけ、そういうものと相持ちまして、税制に対する国の方の関心、そういうものを総合いたしまして貯蓄を推進いたしたいと考えておるわけでございます。  それで、今お話がございました預貯金金利を上げても、貸し出し金利は上げなくても済むという問題でございますが、御存じのように、現在われわれがやっております引き締め政策基本は、一つは、貸し出し金利につきましては公定歩合いを二度引き上げました。短期の金利引き上げたわけでございますが、御承知のように、中小企業に対する金利引き上げないという指導をしておるわけでございます。これは、こういう金融引き締め下におきまして、中小企業が特に金融面で困らないようにということでございます。量を確保すると同時に、金利についても、中小企業については特別の配慮をしてほしいという要請をいたしておるわけでございます。  これは一般金融機関に対する指導でございますが、さらに相互銀行及び信用金庫におきましては、むしろ長期計画に基づきまして引き下げをはかっておるわけでございます。金融引き締め政策を実施いたしました後におきましても、金利は下がっておるということでございます。もちろんコールのレートは上がっておりますけれども、これは金融機関内部相互資金やりとりでございまして、一般中小企業者に対する貸し出し金利とは別個にわれわれは考えておる次第でございます。そういうような政策をとっておりますときに、預金金利引き上げるということは、当然貸し出し金利影響を及ぼさざるを得ない。都市銀行の問題だけではなしに、預金金利は、御存じのようにどこかの金利だけを上げるというわけに参らないわけでございまして、お互いに金融機関同士競争立場にございますので、銀行預金金利引き上げますれば、当然これは相互銀行信用金庫信用組合農協その他一連の預金金利引き上げがございますし、郵便貯金金利引き上げもある。そういたしますれば、吸収力のある都市銀行その他、もちろん都市銀行の方が現在経理が苦しゅうございますから、一般に言われておるように、預金金利引き上げても貸し出し金利引き上げる必要はないということは事実上不可能であろうと思いますし、まして今のような指導をやっております段階におきまして、中小金融機関預金金利引き上げますれば、当然今までとっております中小企業に対する金利引き上げざるを得ない、こういうことでございますので、基本的に国際競争というような問題もございますが、現実の問題としてはそういうような影響があると見ておるわけでございます。  なお現在の時点において考えますと、先ほど御説明申し上げましたように、一−三は非常に財政揚超があり、金融が締まるというような情勢でございますので、この上さらに積極的に追い打ちをかけて金利水準を上げてしまうということが、現段階において情勢に合うかどうかという問題もあるわけでございまして、そういう筋のもの、あるいは現実の姿、いろいろな問題を総合勘案いたしまして、ただいまのところ預金金利については引き上げない方がいいんじゃないか。ただもちろんこれは金利水準でございますので、将来にわたって絶対にこれを固定化するということではございません。時々刻々の情勢に応じて、常にこの問題を含めまして、金利水準の問題は検討を続けて参るつもりでございます。ただ、今の時点の判断といたしましては取り上げない方がいいんじゃないかというのが一応の結論であります。
  7. 細田義安

    細田(義)小委員 見方、考え方が非常に違っておるわけでございますが、私はこの幾多の表を見ましても、今日預金を吸収する増の工合を見ますと、金融機関としては主流でない方面の相互銀行あるいは信用金庫あるいは信用組合というものが非常に集めておる。大企業と直結する、あるいはそれを通じましての大企業というものは、格好としては大企業でありますが、中を分析すれば幾多の小さい小、零細企業に下請をさせまして、まとめておるというのが大企業実態でありまして、これら系列にあるものもこの金融影響を受けておるわけでありますが、都市銀行というものは金を集めにくいような、集まらないような、ふえ方が少ないような現在の時点でこの実態を見ますと、農村農協あたりまでも一流の銀行が金を借りに行っておる。しかもそれは貸し出し金利よりもきわめて高い金利で借りておるというような点で、私は預金を増して資金量をふやすことにおいて貸し出し金利を上げなくても、中の経理の操作においてでき得るというような考えを持っておるわけです。それから今の時点において、国際収支の改善にも国内消費を抑えるというような面においての役立ち方、こういうものにも強く私どもは着目をしておるわけであります。  先般衆議院を通過しました国民貯蓄組合の問題でありますが、これは貯蓄におけるところの交通整理をやったようなものでありまして、当局の御説明によりましても、三十万円口は幾つもあるというような実態だったのでありますけれども、これの優遇によって預金がふえてくるというような考え方は私はそう当たらない、こう思うのであります。先般政府物価抑制への総合対策がきまったのかどうか、新聞で拝見いたしましたが、あれを見ましても、貯蓄奨励というような面における施策は、どうも目新しいものもなく、きき目のありそうなものも直接感ぜられないというふうに私ども受け取っておるわけであります。こういう点で、政府政策として、この間看板を上げたからおろしにくい、書きかえにくいというような点もあろうかとは存じますが、方向といたしましては、国内消費を押える——何としても輸入相当量国民の全体において消化されておる面が相当あるわけであります。これを吸収して、他の産業資金に導入するには、預貯金を増すという積極的な政策が今の時点できわめて必要である。そのような国際関係並びに国内関係が解消された後において、また考え方を改めることは何ら異存はありませんが、今要請されておるのは、むだとは申しませんが、どうして国内のこの消費の姿を引き締めて参るか、金融引き締めの他の面においては、国内消費引き締めるという施策を強く推進することが必要である。それにはその金を産業資金として導入するために、集めいいようなあり方にする。都市銀行に金が集まっていない、都市銀行は、非常な貧乏銀行とか、貧乏な金融機関とか、零細な金融機関だとかいって見下げておったのに、その諸君が、ひざを屈して金を集めなければならないという実態を見のがしてはいかぬと思います。表面を見れば大したことはないように見えますが、中はきわめて複雑で、地方の農村まで、大銀行の常務とか、専務とか、何々部長とかが出かけまして、一つわしのところに金を貸して下さい——これが実態ですよ。幾らでも例を摘出することができるわけであります。そういうのは正常ではない。それからこれは農林省も関係しておりますが、農協あたり金利配当を押えておるでしょう。それで利益はあり過ぎてしょうがないから、バス三台とか十台とかで、伊東だ、熱海だといって、遊山と言っていいか何と言っていいかわかりませんが、配当を実質的に返しておる。こんなものは法律で規制してうまくいっているなどということが言える実態ではない。その機関利益を上げるような状態であれば、ある程度正常な普通の状態配当がされるようにしなければ、そういうのは税金にとられるということで、むだとは言いかねますが、より高次な立場から使われるような面に金が流れていかないというような実態もあります。また信用金庫とかあるいは相互銀行にどうして金が集まるかといえば、金利はあなた方が制限できますが、しかし実態は制限されてないからです。都市銀行より優遇されておるのです。あらゆる手段を講じて預金を獲得することに狂奔されておる。しかもそれが当たっております。現実頭金がふえているので議論がない。大きな要求のある大都市銀行というものは困っておって、今までは部屋住みみたいに考えられておった金融機関の方が旺盛である。こういう点はいま少し掘り下げて、実態に即した手を打てば、金利は上げませんと言いますけれども貸し出し金利は上げないでも、今の時点では済むという考え方を持っておる。金を集めることにおいての合理的な措置が行なわれていない。異常な資金調達が行なわれておる、こういう面はやはり直していかなければならぬ。大月さんから長いお話があったが、私は講義を承ろうとは思っていない。この実態をどうするかという点について、一歩前進した政策を何か一つ示してもらいたい。こういう要望ですが、どうですか。
  8. 大月高

    大月政府委員 実はこの問題は、今のようなお話がありまして、若干議論にわたりますので、あまり深く私御答弁申したくはないのでございのでございますが、一つ貯蓄の必要性ということでございます。これは今お話がございました通り実態でございまして、都市銀行預金の伸びが悪い信用金庫相互銀行農協等の預金の伸びがいい、こういうのが実態でございます。その原因について考えますと、やはり貯蓄預金の伸びが悪いということではなしに、営業性預金の引き出しが行なわれておるということがポイントでございまして、都市銀行はこの引き締めを実施いたします前におきましては、非常に順調な拠金の伸びを示しておったわけでございます。それに対しまして引き締めが行なわれたわけでございますが、御存じのように、去年の一月−三月は、社債市場が非常に繁盛いたしまして、特に社債を発行し得るような企業でございますから、大きな企業資金が非常に潤沢になる、当然金融の方も楽になるということで、三十六年度の事業計画を立てますについて、企業としては相当積極的な計画を立てて参ったということだと思います。そういう意味で手取りの金もございます、預金もふえましたので、事業が始まったわけでございますが、昨年の金融引き締めに伴いまして、特に預金の豊富でございました企業貸し出しを受けられなくなる、そうなりますと預金を引き出すという状況が始まりまして、それが今お話がございましたように信用金庫相互銀行等の預金は順調にふえ、都市銀行預金があまりふえないということになったのだと思います。そういう意味で純粋の貯蓄預金を集めております郵便貯金は、引き締め下におきましてもきわめて順調に増加いたしております。全体の貯蓄の数量につきましても、われわれは、おおむねことしの貯蓄目標は二兆五千億でございますが、大体それに近いところあるいは若干オーバーするというようなことになろうかと思うわけでございまして、通貨価値の安定ということを非常に重く見ております生命保険会社の資金量も、やはり三割以上の伸びを示しておる、こういう全体の態勢からいたしまして、私は何としましても経済の安定成長という意味で都市銀行資金貸し出し自体についてもやはり慎重にやっていただくことが預金の吸収面においてもこういう大きな波を来たさないゆえんである、特に都市銀行だけの頭金金利を上げるというようなわけにはいかないと私は思いますので、やはり貯蓄政全体としては、金融機関を通ずる貯蓄全体の流れを考えまして措置する方がいいと思う。ただお話のございましたような都市銀行預金吸収の面において非常につらい立場になっておることは事実でございます。最近は店舗造成の面におきまして小型支店を設ける、特に貸し出し中心の店舖でなしに、預金吸収のため、特に必要なところには積極的に店を置くというような政策もとっておりまして、こういう問題はまた長期的な問題で、すぐに効果が現われるということじゃないと思いますけれども、そういうバランスの問題も考え措置いたして参りたいと考えております。
  9. 細田義安

    細田(義)小委員 金利の実質に着目してもらわなければならぬと思うのです。金利を抑えたような形だけれども、それじゃ満足しない、それでバスで行って、ひどいのになると北海道一周旅行、これは営業費として負担しておるのですよ。それを正常に返すような姿にしてはどうかというのが僕の提案なんです。大都市の都市銀行というものも、これは殿様銀行みたいなものでしたが、これが百姓に土下座をして、頭を下げてお金を貸して下さいというような不正常な姿、これをどう改善するかという、この実態に着目して私はものを言うておるわけですよ。どうなんですか。
  10. 大月高

    大月政府委員 先ほど申し上げましたように、都市銀行預金が特に伸びないという特殊な事情がございますので、この金融引き締め政策が逐次正常に戻りますれば、また都市銀行預金もふえて参るだろうというように考えております。現にきのう発表になりました経済企画庁の経済見通しに基づく資金の需給におきましても、三十六年度預貯金の動向というものは、金融引き締めに伴う異常なものであるので、これが逐次正常化され、国際収支も改善されてくれば、また都市銀行預金の伸びの方が大きくなりまして、信用金庫相互銀行あるいは農協等の預金の伸びはむしろ鈍化するであろうという見通しを立てておりますことは、ある意味の短期のそういう経済の変動に伴う部面が相当多いと思うわけであります。ただ基本的に都市銀行資金繰りが非常につらいという本質的な問題がございますので、そういう問題についてもまた十分——むろんこれは正常化問題でございまして、非常にむずかしい問題でございますので、あわせて十分検討さしていただきたいと思っております。
  11. 細田義安

    細田(義)小委員 昨年でしたか、私はあなた方に申し上げたのでありますが、世界の金利水準に近づけたい、こういう願い、こういう理想は、非常にけっこうでありますが、私どもが十カ国にわたりまして、現地に臨んで金利というもの、金融というものを調べました結果としては、世界のいずれでも、日本のような高率な金利を払って預金を集めておる国はないわけです。従ってその条件というもの、構造というものが非常に違っておる。これを無理に引き下げようとすることは、これは物価統制令をやってやみがはやったようなもので、あまり意味のないことだ。役人がいい顔をしてがんばって、法律の制度を格好をつけたというような、国民実態と遊離してはならぬということも考えられなければならぬ。ですから輸出を振興するということ、貿易自由化に備えて輸出産業を強靱にする、これに対する金利配慮というものは、当然国策としては行なっていいと思う。私企業であっても、国際的に考えてこれは重大だ、これは日本の発展のために、日本民族にとっても重大であると考えました場合においては、金利を補助してやるとか、産業資金を投入してやるとか、幾らでもほかの産業でも手当しておるのでありますから、輸出産業に対しての特別の手当というものは大いにやってよろしい。しかし全体の問題としては、金融というものを正常化する、金作りも正常化するという方途を強く打ち出さなければ、今言ったような好ましからざる実態というものが出てくる。日本人は金利には非常に敏感なんです。社債がよろしいということの宣伝がきけば社債に殺到して、銀行の金がおろされて、銀行の諸君と、こういう公社債を扱う諸君との間に摩擦が起こる。投資信託が三年たてば倍になりそうだということになれば、むやみと買うというようなことで、金利の追求というものは、これはお互いが考えるより以上に国民の間には強いものがあるわけであります。そういう点で、何としても正常に金を集めるということは、——これは都市銀行だけじゃないのです。ほかの銀行でもこれに訴えるために表面金利として払っておるもの以外に金利的なものを負担しておるということが、現状の偽わらざる実態である。これをもっと重視して施策というものを講じなければ、あの二十項目かにわたる物価抑制総会対策ですか、ああいうものをやっても大したきき口はないと私は思っておる。こういう点で、大月さんだけのお仕事じゃありませんが、さらに特段の御留意を願って対処してもらいたい、こういうふうに考えておるわけであります。これを強く要望して、あなたの答弁を求めても無理かもしれませんが、また水田さんに言っても金利問題というものを修正することは無理かもしれません。しかし国内消費を押えて、所要な産業資金をさらに太く調達して参らなければならぬときに、金融引き締められた形で都市銀行が困っておりますから、不正常な姿において金を調達しておる。これは表面から見たらうまくいっておるような話でありますが、うまくいかない点があるということを申し上げておきます。  今関連質問があるそうですから、それが終わってからまた続けます。
  12. 正示啓次郎

    ○正示小委員 関連して。ただいま細田委員から御発言がいろいろあり、われわれも申し上げる点もありますが、金利問題につきましては、結局資金の需要供給のアンバランスということが根本にありまして、これは今資金の蓄積はまことに焦眉の急を要するものがある。これは細田委員と同様、全く同感でございます。ただ、ここで考えなければならぬのは、やはり金利を上げていくか下げていくか——これは下がるに越したことはないが、最も必要なことは、本来金利というものは弾力的に、融通無碍に、状況によって上げたり下げたりできるということが一番望ましいのだろうと思うのであります。しかしそれはまた乱にわたって乱行為であってはならない。ステディに、しかも実勢に応じたものでなければならぬものであろうと思うのでありまして、たとえば最近の株価は実勢金利を反映しておるというような説も出ておることは御承知の通りであります。  そこで私は、その見地から一、二伺ってみたいのですが、一つは日本の金利を弾力的に動かし得ない制度的な問題がありやしないか。たとえば郵便貯金金利一つをとってみますと、金利というものはさっき銀行局長の言われた通りに、ある金利を動かして、あるものは動かさないということは、絶対にできない。金利は一波万波を呼ぶ関連性を持ったものでありますから、そういうことはできないのでありますが、どこか、非常に膠着するような、制度的に動かしがたいものがあるということは、はたして適当なことであろうかどうか、ここを一つわれわれも考えなければいかぬ。これは国会でも考えなければいかぬと思うのであります。そういうところにネックがあるならば、このネックをはずしまして、本来あるべき姿で金利政策を実勢に応じて弾力的にやっていくということが私は本来あるべき姿ではないか。このことを第一にお伺いいたしたいと思うのであります。  第二は、冒頭申し上げたような資金の本質的なアンバランスの状況でございますから、どうしても金融政策にはいわゆる選別ということが大きなファクターになってくると思います。農業基本法の中に選択的拡大という言葉を使っておるのでありますが、私どもはむしろ金融こそが選択ということがきわめて大事な問題であると思う。ところが御承知のように日本銀行の窓口規制、窓口指導などを見ましても、どうも質的なセレクション——量的には全体として抑えていくという圧力は相当強いのでございますが、内容的に、たとえば今日輸出振興が最も大事である、しからば、合理化対策ということが一番大切な国民経済的な要請であるというならば、そういう方面に資金が流れていくというふうな窓口指導なり規制ということが行なわれていないのじゃなかろうか。ここに一つ方向づけの問題がありやしないか、これが第二点であります。  それから第三点は、何といっても国民貯蓄意欲を盛り上げていくのは、私は物価安定以外にないと思う。物価が特に土地の価格のごとくどんどん暴騰していくときには、国民的本能として、株は暴落した、この次は不動産だということになりまして、将来どんどん値上がりしていくものであるということになると、どうしてもそういうものを買いあさるような傾向になっていくことは、人間本能のしからしむるところであって、まことにやむを得ないものがあると思うのであります。そこで、今も細田委員が大した効果がないと断定されたんですが、この物価総合政策こそは最も今日大切なものでありますから、これはぜひとも成果を上げていただきたい。四月一日を期して間接税の引き下げを、ぜひともこれは国民的な体制において励行されるようなことをやっていかなければならぬ。先般来自由民主党といたしましても、物価安定推進運動を展開しておるゆえんもここにあるのであります。本日は特に社会党の御勉強になられる先生方もおいでになりますが、私は与野党一致して、ぜひともその点において国民要望をわれわれ国会議員が推進していくことを強く要望するのであります。  なお物価問題に関連して賃金問題、これは大へんむずかしい問題もございますが、これらの問題につきましても、やはり社会党の先生方もわれわれも、ほんとうに国民経済的な基盤においてこれから安定成長を推進していくには、今申し上げたような物価問題、それと賃金の関係、これらの問題につきましても深く心を用いまして、ほんとうに国民的な大切な課題に対して国会はよく将来を見通し指導目標を立てる必要があるのではないか、かように考えますが、以上三点につきまして銀行局長の所見を伺いたいと思います。
  13. 大月高

    大月政府委員 まず最初の、金利は弾力的に動かさなければいかぬ、そのためにこれを膠着せしめている何か原因があるのではないか、またそういうものがあればこれを除去する必要がないかというお話でございますが、お話のように、一つはやはり郵便貯金の問題があると思います。これは郵便貯金法におきまして、郵便貯金金利は全部法律で法定されておるわけでありまして、われわれが預金金利を動かします場合に、ある意味で非常に障害になるということであります。従来から郵政省に対しましても、これを少なくとも政令事項以下に落としてほしい、金利を弾力的に動かす必要があるということを強く申し入れておるわけでございますが、郵政省の感覚といたしましては、一つ金融政策の面からはそれは異存はない、しかし一つはやはり国の貯金でございますので、国民の権利義務にも非常に重大な関係があるので、国会との関係においてこの法定をはずすことはなかなかむずかしいというお話でございます。それからなお事務的には、郵便貯金法でさらに法定事項を政令以下に落としていただきたい事項はいろいろほかにもあるらしいのでありまして、単にこの問題だけ取り上げても時期的にまずいので、そういう問題を一切含めまして、いずれかの機会に郵便貯金法の改正として御審議願いたい、こういうような意向でございます。われわれといたしましても、できるだけ早い機会にそういう問題を解決して参りたいと考えております。なお金利全体を自由にするかどうかという問題は、実はコールの金利が今のように非常に高いことからもわかりますように、自由にいたしますと、この金利水準というものは異常な高さになると思います。それは金融界においても考えておられるわけでありまして、非常に極端な高金利の姿で均衡することは、日本経済のためにはたして耐えられるかどうかという点になりますと、やはり今の段階におきましては法律ないし行政的な措置でもってある程度抑えておく必要があるだろう、コールの金利が直截簡明にこの実態を示しておるわけであります。あるいは金融界内部の問題でございますから、まだ一般国民には影響はない。ただ金融機関の間のバランスの問題でございますが、こういうような状態で産業界に対して金利が動くということになりますと、やはり問題は大きいだろうというのが一般的な感覚でありまして、金融界からも、現在の臨時金利調整法も、できれば廃止してほしいというお話でございました。われわれも、方向としてはそういう方向に努力いたしたいと思いますが、今の段階としてはやはり困難な点が相当あるというように考えております。  それから第二の問題で、金融に選別を要するというお話でございますが、われわれもさように考えております。ただ金融の中で一般の市中の金融に質の要素を求めることは、実際問題として非常に困難でありまして、主としてこれは政府金融機関を通じてやっておるわけでございます。御存じのように輸出振興のためには輸出銀行あるいは産業の開発合理化というためには開発銀行、あるいは中小企業対策として国民金融公庫、中小企業金融公庫あるいは商工中金というように、何らかの政府の金を使いまして、方向づけを実施いたしております。ただ民間の金融機関におきましても、戦争中は、たとえば臨時資金調整法という問題がございまして、具体的にどの設備をやる、どういうところに金をつけるということまで縛っておったわけでございますが、やはり戦後のこういう情勢でそこまでいくのは行き過ぎだということになりますと、民間の金融機関に対する考え方としては、一つ行政指導一つ金融機関政策に対する協力、こういう二点だと思います。そういう意味で、日本銀行におきましては、たとえば輸出振興につきましては、特別に輸出貿易の特別金利を出しておりますが、その他窓口において指導いたしておりますほか、なお投資の選別につきましては、通産省の指導にかかる産業合理化審議会、こういうところで大体こういう産業にはこういうように設備をやっていく、こういうように金をつけたらいいという御決定がありますと、金融界としてはできるだけそういう国の方針に協力して金をつけていく、こういうようにやっているのが現段階でございます。  最後に物価政策、土地の対策あるいは賃金問題というような問題について、貯蓄等の関連についてお話がございましたが、まことに御同感でございまして、われわれ直接の所管ではございませんけれども、大蔵省全体として、あるいは政府全体として、そういうように努力いたして参るのが筋であろうがと存じております。
  14. 細田義安

    細田(義)小委員 時間がありませんから、田澤君に譲ります。
  15. 伊藤五郎

  16. 田澤吉郎

    田澤委員 中小企業金融にとっては、相互銀行あるいは信用金陣というものの役割というのは非常に重要な機関であるということは私から申し上げるまでもないところでありまして、ことにきょう配付になりました中小企業貸出残高表を見ましても、中小企業向けの全部と言っていい、また先ほど細田義安委員からもお話がありました通り預金の吸収等においても、やはり相互銀行信用金庫というものが非常に大きい役割を果たしているわけでございまして、こういう点からいきまして、これらの相互銀行並びに信用金庫の共通した要望事項を出しているわけでございますので、その四、五点を申し上げまして、銀行局長のお考えを承りたい、こう考える次第であります。  その第一点は、営業区域の問題であります。これは経済が非常に成長して参りまして、産業の構造が変化し、あるいはまた地域経済というもののあり方が変わってきております。さらにまた経済圏というものがだんだん拡大してきていますと、やはり相互銀行並びに信用金庫というものの企業拡大というものが当然起こってくる問題であると思うわけであります。ことにこれを拡大することによって、業者同士の競争ということもありますけれども、しかし多種多様の企業を取引先として持っていくことはかえって危険度というものが分散されて参りますから、利益になりやしないか、こう考えますので、これを一つ、営業区域を拡大するという考えがないかどうかということでございます。  それから第三番目は、店舗の新設の問題であります。これは昭和二十九年度以降から大蔵省としてはだんだん縮小しようという考えがあるようでございますけれども、最近の相互銀行並びに信用金環というものは、非常に事業が拡大してきております。ことに銀行局長さんに私お願いしてあります例を申し上げますならば、弘前相互銀行が、今札幌に支店を持とうとしておるわけであります。ところがいろいろな関係で、長い期間まだ保留されているという状態でありますが、全国的に相互銀行並びに信用金庫においてはこういう状態が非常に多いのではなかろうか、こう思いますので、この点の考え方一つお聞かせ願いたいと思います。  第三番目は、貸し出しの最高限度引き上げでございます。現行よりもさらに引き上げ考え方がないかということでございます。  四番目は、地方財務会計制度の改正の問題でありますが、これは従来でありますと、都道府県、市町村の支金庫の事務というものが相互銀行信用金庫、普通銀行一般に認められておったわけでございますが、自治省の考え方で、何か今度は普通銀行に限るというように改正しようという考え方があるようでございます。その点に対するお考えを承りたいわけでございます。  さらに相互銀行については、日銀の取引拡大の問題、信用金庫については会員の資格の拡大の問題、員外貸し出しの制限つき実施の問題、などがあるわけでございます。これらの問題に対する銀行局長のお考えを承りたいわけでございます。
  17. 大月高

    大月政府委員 いろいろな問題にわたりましたので、一つ一つお答え申し上げます。  一つは、相互銀行及び信用金庫の地区の拡大をはかるつもりはないかというお話でございますが、現在御存じのように相互銀行信用金庫ともに一定の営業地区を指定いたしまして、その地区内で活動するようにという指導をいたしておるわけでございます。これはもちろん法律的にもチェーンを持っております中小企業金融機関ということでございまして、当然この観念は今後とも持っていくべきものだと思いますが、お話がございましたように、経済が次第に拡大するとともに、また変動いたして参っておると思います。農村地帯が工業地帯になるとか、あるいは電源の開発が行なわれて山奥に町ができるとか、いろいろそういうような経済の変動が非常に著しいわけでございますので、われわれといたしましても、地区の問題についてはその経済情勢に合いますように逐次考えて参りたいと思っております。ただいたずらに、競争心と申しますかあるいは業域の拡大と申しますか、要するにある特定の金融機関が発展をしたいがために、あちらこちらに区域を広げ、店舗を広げたいということは、われわれ過当競走を避けるという意味から賛成いたしませんし、いたずらに規模が大きくなるだけでは、今度は内容の充実に欠ける。人的にも物的にもいろいろ問題があると思いますので、そういう点も考えあわせまして、実情に合うように措置いたして参りたいと考えております。  それから店舗の問題でございますが、お話がございまして、銀行当局におきまして店舗を次第に減らしていく方針のようだがということでございますが、これは事実で申し上げますと非常に大きく増加をいたしておるわけでございます。具体的にこの計数を申し上げますと、過去十年間におきまして、相互銀行におきましては八百十五の店舗がふえております。信用金庫におきましては九百二というような増加を来たしておりまして、その他の金融機関におきましても、それぞれニュアンスは違いますけれども、逐次情勢に応じてふやしております。お話がございました具体的な問題につきましては、当初申し上げましたように、業域の拡大が必ずしもその金融機関の拡張意欲の表現であるということをもっては是認できないということでございまして、これは具体的な実情に応じてよく検討させていただきたいと思います。  第三の問題は、相互銀行信用金庫貸し出し限度の問題でございますが、現在限度はいずれも一千万円になっております。この一千万円という限度昭和二十八年に決定いたしたものでございます。われわれといたしましても、必ずしも今実情に合わないのじゃないかというように考えておるわけでございます。ただこの規制の仕方が通牒でございまして、かつ相手の企業の大きさを問わず一千万円ということになっていることは、考え方としても、私は必ずしも適切でなく、むしろ相互銀行信用金庫というように中小企業金融を中心といたします機関といたしましては、まず相手の対象について限定を加えるべきだと思うわけでございまして、その限定を加えられた中小企業に対しては、千万円でなくて、もう少し上の限界を置きまして貸し出してもいいというように直したいと思って目下具体的な数字を検討中でございます。  それから第四の地方財務会計制度に関する調査会の問題でございますが、実は先般この調査会の総会がございまして、金庫事務を取り扱わせる、地方公共団体の金庫事務でございますが、金庫事務を取り扱わせる金融機関は、地方公共団体の長が指定するときめる。この場合において、都道府県及び指定市の本金庫は、普通銀行のうちから指定するのを例とするものとするというように答申案が出ております。これはいずれ自治大臣に対しまして正式に答申があると思いますが、問題がございますのは、この場合において、この都道府県及び指定市の本金庫は普通銀行のうちから指定するのを例とするという事柄でございます。現在は相互銀行信用金庫におきましても、本金庫に指定し得ることになっております。この答申におきましても、指定市と申しますのはいわゆる六大都市、大きい都市でございますから、府県及び六大都市の本金庫についてこういうようになっております。これを例とするということで、これを排除する意味ではない、そういう意味で制度自体を改正するつもりはないという委員長の公式の言明でございます。そういう意味でこの答申に基づく法律改正は行なわれないというのが第一点。それからこういうように都道府県及び指定市の本金庫を普通銀行にできるだけ限りたいというこの思想は、決して相互銀行信用金庫の信用度が落ちるということが理由ではなしに、むしろ為替量とか店舗量からいって、こういう大きい府県だとか、あるいは六大都市というようなところでは荷が重いだろう、質の内容の問題ではなしに、大きさの問題であるという意味で、相互銀行信用金庫の信用を害するような意図ではないのだ、この二点の公式の言明がございますので、特に中小金融機関にとって非常にお困りになるということにはならないだろう、こういうように考えております。  それから第五点は、相互銀行日本銀行の取引を拡大してほしいという要望でございますが、これはわれわれといたしましても、日本銀行におきましても、その方針で考えておりまして、近くまた若干の相互銀行について指定がある予定であります。  それから会員の資格あるいは員外貸し出しの問題でございますが、信用金庫は、御存じのように員外預金はとれますが、員外貸し出しはできないという法律になっておりまして、これはやはり信用金庫の性格からくる当然の結論であろうかと考えております。ただ先般も細田先生からお話がございましたように、都道府県等で中小企業対策として金を信用金庫に預ける。それを貸し出してくれという依頼があっても、員外貸し出しができないので、そこでとまってしまう。それは困るではないかというようなお話もございましたが、現在の法規を研究いたしてみますと、信用金庫連合会におきましては、大蔵大臣の認可を待て員外貸し出しができるという規定がございます。そういう意味で、個々の信用金庫は、その信用金庫の連合会の代理といたしまして、貸していくことは可能でございますので、乱にわたらないような配慮を持ちまして、地方公共団体が信用金庫においてもその仕事を手伝ってくれというようなお話がありまして、特に支障がない、特に中小企業に役に立つというような場合には個別に認可を出してもいいというように考えておりますが、いずれ信用金庫の方と御相談いたしまして、具体案は決定いたしたいと考えております。
  18. 田澤吉郎

    田澤委員 自治省に伺いますが、地方財務会計制度の改正についてでございますが、ただいま銀行局長からのお話では、答申の内容として普通銀行を例とするという点があげられておりますけれども、この答申の内容はどういうような意味のものであるか、お伺いしたいと思います。
  19. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 まだ答申を正式にいただいておりませんが、今の案といたしましては、お話のような表現になっておるようでございます。これは都道府県や指定市の銀行は、従来から普通銀行が指定されておりますので、従来のこの慣例が今後のあり方としても適当であろうということで、例とするという表現になったようでございます。
  20. 田澤吉郎

    田澤委員 そうしますと、相互銀行並びに信用金庫を制限しようとする思想なのですか。
  21. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 相互銀行信用金庫のことも、調査会の御審議の過程でいろいろ御検討があったようでございます。現在のところ、相互銀行信用金庫は、市町村の場合にはこれを利用しておるものが相当あるようでございますが、府県や五大都市の場合にはほとんど利用していないようでございます。そこで当初の案では、小委員会の試案というのが昨年中間的に発表されたのでございますが、そこでは普通銀行に、府県、市町村を通じて限定しようという考え方が出ておったわけであります。その後さらに小委員会案を検討されました結果、先ほど御指摘のような表現になりまして、その表現の意味は、都道府県なり五大都市の場合は、従来普通銀行にきめておったのだから、今後もそれによることを例とするのが適当ではないか、市町村については、これも従来いろいろそれぞれ必要があって、信用金庫等もやっておったが、それはそれでいいのではないかということで、今度の答申になると思われる点については触れなかったというような事情になっております。
  22. 田澤吉郎

    田澤委員 この問題は、地方の議会では非常に大きい問題として扱っておるわけなんです。ですから、これをきめる場合、あまり制限した形の表現を使ってもらいますと、各都道府県の議会は非常に大きい反響を呼ぶと思うのでございます。ですから、その点を慎重に一つ扱ってもらいたいと要望するわけです。
  23. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 答申をいただきましてから、政府がさらに改正案を立案することになるわけでございますが、その立案の過程におきましては、ただいまおっしゃいましたような御趣旨を十分くんで検討させていただきたいと思います。
  24. 藤井勝志

    藤井委員 関連して。今の問題ですが、これはどうして銀行のみに限るという考え方が出てきたのか、そのいきさつをちょっともう一ぺん聞かしていただけませんか。
  25. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 調査会の御審議の過程においては、委員の方々でいろいろ御意見があったようでございまして、必ずしも皆さんの御意見が一致したというわけではございませんが、一つは、普通銀行の方が、公共団体の金庫とする場合には、より適当ではないか、より安全かつ信用力もあるのではないかというような御意見が出ておったのでございます。それが答申案として現在大体まとめられておりますものに、信用金庫のことを市町村については触れておりませんのは、やはりその後いろいろ御意見をさらに調査会で御検討になりました結果、市町村の実情というもの、それからまた相互銀行信用金庫も相当整備されてきているということにつきまして、また委員の方々も認識を持たれたようでございます。
  26. 藤井勝志

    藤井委員 銀行局長にちょっと承りたい。重複して恐縮ですが、もう一度……。  この問題は地方の自治体にとっても、それからそれぞれの金融機関にとっても大へんな重大な問題をはらんでおると思います。これはやはり地方の中小企業を育成している機関が、地方の自治体と深く関連しながら健全な経済の発展をはかるという面から言うと、むしろ窓口を広げるという考え方をこそすれ、これを狭めて銀行にしぼるという考え方は不適当である、従ってこういった考え方は、従来やって大きな弊害があって、こういう事情があるからどうしてもいけないのだという理由がない限り、銀行の方に一本にしぼるという考え方には不賛成であります。このように私は考えておりますので、局長の方から一つこの点について再度お話を願いたいと思います。
  27. 大月高

    大月政府委員 現在の地方財政の制度におきましては、制度上銀行相互銀行信用金庫も平等に扱われておるわけでございます。現実の姿としては、先ほどお話がございましたように、大きな都道府県とか五大市あたりは銀行がやっておりますが、市町村の中には信用金庫相互銀行が扱っておる分もあるというのが実態でございます。この問題の本質は、この調査会におきまして相互銀行信用金庫を制度的に排除する方がいいというような意見があったところがポイントでございまして、われわれといたしましては全体の金融機構から申しまして、最近の情勢では、銀行相互銀行信用金庫ともに、われわれが検討いたしておりまして、十分その信用度においては信頼に値する、しかも現に金庫を預かっておるそういう中小金融機関があるわけでございますから、これを制度的に完全に排除することは、いわば既得権的なものを排除し、そのことがその信用機関の信用に影響するということで、絶対反対という態度をとっておりました。この点は自治省当局にも文書をもってお願いいたしてあったわけでございまして、そういうことから今度の答申も制度として排除することはやめたということだと思うのでございますが、ただ今度税実の問題といたしましては、各府県によりまして個別の問題といたしまして、たとえばある特定の銀行よりも特定の相互銀行の方が信用度が高いというような地方も実は現にあるわけでございます。このうちのどれをとるかということは、まさに各府県なり各市町のそれぞれの実態に応じた御選択を願ったらどうか、われわれは金融行政としてはそこには関与しない、しかし制度上区別することは適当でない、これがわれわれの感じでございまして、多分今後の立法に際しましても、その趣旨はくんで立法していただけるというように考えております。
  28. 伊藤五郎

    伊藤委員長 堀昌雄君。
  29. 堀昌雄

    ○堀小委員 今と同じようなことが続きますが、私、少し具体的に伺っておきたいと思います。現在府県の金庫になっておる相互銀行とか信用金庫がありましょうか。
  30. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 府県につきましてはございません。
  31. 堀昌雄

    ○堀小委員 府県には相互銀行信用金庫で金庫を預かっておるものは一つもないのですね。そうすると現在一つもないのに、そういうような今度の答申が出るというようなことは、それじゃどういうことでしょうか。府県の場合には銀行を金庫とするのを例とするということになるのですね。現状で、なければ、そのないものをどうするかは府県の自主的な判断があって、ないのだと思うのですが、それをわざわざそこにそういう答申をしなければならない積極的な理由はないと思います。
  32. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これは調査会で起草に当たられました委員の方々のお考えによるわけでございますが、そのお考をそんたくいたしますと、小委員会の試案というもので御承知のような案を出しておりまして、これがかなり反響を呼んだようでございますし、その後の総会での討議の際にも大きな一つのポイントになっておりましたので、そこで都道府県、指定都市の金作はこれの例によるのだという現状の建前を調査会としても是認するのだということをむしろはっきりとしておいた方が、今までの論議の終止符を打つ意味でよりいいのじゃないか、こういうようなお考えであったのじゃなかろうかと思います。
  33. 堀昌雄

    ○堀小委員 答申の意味はわかりましたが、自治省一体として、これはあなた方の方で政令になるのですか、法律になるのですか、どうなるのですか、僕もちょっとそこのところ調べてないのですが。
  34. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 現在は政令できめておりますが、実は地方自治法の中で、地方の財務会計に関する規定が従来非常に不備でございまして、戦前のほとんどそのままの格好になっておりましたのが、今回こういう調査会を設けまして、検討をいたしました趣旨でございますので、今度答申をいただきましてこれを具体化するようにいたします場合には、従来政令にいたしておりましたことでも、むしろ法律に取り上げた方がいいというふうな事項も相当あるのじゃなかろうかということで、その辺もあわせて検討いたしたいと考えております。
  35. 堀昌雄

    ○堀小委員 銀行局長に伺いますけれども、資本金別といいますかあるいは貯金残高といいますか、現在の信用金融機関の規模で見ますと、ちょっと私聞いただけで詳しく調べておりませんが、地方銀行の下位のものは相互銀行の上のものよりかなり低いところにあるというように私は聞いておる。それから信用度の問題等、性格が多少相互銀行と地方銀行は違いますから、革に預貯金残高であるとか資本金だけで問題を考えるわけには私は参らないと思いますけれども、その点今後の地方銀行の伸び方といいますか、それと相互銀行あるいは信用金庫の伸び方ですね、将来の方向に向かって、政令であるならば私は今のようなとりきめでもよろしいかと思うのですが、法律にするということであるならば、かなり長期の展望の上に立って、これらの信用金融機関がどういうふうな形で発展をしていくかという過程の中でものを見ておかなければ、やや問題が残るのではないかという感じがするわけです。そこで、現状と今後のそういう金融機関の総体的な発展の仕方ですね、これについて一つ銀行局長の見解を伺いたいと思います。
  36. 大月高

    大月政府委員 お話がございましたように、規模から申しますと、地方銀行相互銀行とは、全体の平均は相互銀行の方が小さいわけでございますが、その個々のものにつきましては、それぞれ相互銀行のうちで大きなものは地方銀行の小さいものよりもはるかに大きいということでございまして、個々の銀行相互銀行として比較いたしますと、それぞれ大きいのもあり、小さいのもあるというように概括していいと思います。  それで将来の方向でございますが、これは制度が別個になっておりますのは、やはり趣旨が違うわけでございまして、地方銀行一般銀行法に基づきまして、現在都市銀行、地方銀行と誓っておりますが、これはいわば俗称でございまして、事実上都市を中心に営業いたしておるのを都市銀行と言って、その他のを地方銀行と言っております。行政上におきましても、地方銀行は、主としてその本店所在地の府県を中心といたしまして、そこを中心とする経済圏で金融をやってもらう、都市銀行は、主として都市に全国的に綱を張って、全体の国の資金の流れを調節してもらうというように行政をいたしておるわけでございます。そういう中の地方銀行でございますので、やはり一般の商業銀行的色彩の濃い金融機関として今後も育成して参りたい。それから相互銀行は、御存じのように無尽会社から脱皮いたしたものでございまして、相互掛金契約を中心として、中小企業者がお互いの金を相互銀行を中心にして融通し合うというのが理念であり、しかも一定の営業区域を持っておりますから、そういう特性を持った一種の銀行としてわれわれは育成したいと思っております。それから信用金庫は、協同組合組織であり、地縁という点が非常に重くて、かつ中小企業者の集まりであるという点もありますので、これもそれなりにまた一定の地域を持って発展して参る。そういたしますと、それぞれ規模の問題は別といたしまして、あとの二つは中小企業専門の金融機関としてだんだん大きくなるであろうし、地方銀行一般の地方産業の育成者として発展すると思います。大きさの問題から言いますと、どちらかと申しますと、相互銀行信用金庫の歴史はことしで十一年目でございます。ちょうど十年たちまして、その間もちろんわれわれといたしまして、新しい制度でございますので、意識的に育成をはかってきております。そういう意味で、資金量の伸び、資本金の伸び、内容の充実というものは地方銀行に比べて非常にテンポが早い、これは率直に申し上げていいと思います。ただ、ここまで成長いたして参りますと、ほぼ一人前の金融機関ということでございますので、今後は地方銀行と並んで同じような方針で育成していくことになろうと思います。ただ、大勢としては、相当若い金融機関として発展力を持っておりますから、成長度は若干地方銀行よりも当面早いのではなかろうか、将来の姿としては、やはり地方銀行相互銀行信用金庫相並びまして非常に重要な金融機関として育っていくのではなかろうかと考えております。
  37. 堀昌雄

    ○堀小委員 今のお話で、私ももちろん制度上の相違があることは了解をしておるわけですが、見ておりますと、その制度上の相違がだんだんと薄れつつある方向に変化をしていくのではないかと思うのです。相互銀行も、過去におけるいろいろな問題から、私ども、あるいは商工委員会で、あるいはこちらでも論議をしまして、問題が少し変わりつつあるようであります。信用金庫についても、きょうお話が出ておりますように、融資限度一千万円を広げてもらいたいとか、あるいは日銀とパイプを通じてもらいたいとか、そういうことは、将来にわたって見るならば、地方銀行相互銀行信用金庫も、だんだんと本来の特性から、大きくなればなるにつれて、より一般銀行的な要素に近づいてくるのではないか。そういう傾向がある中で、現在この時点銀行を例とするというものの考え方は、私は、金融機関の発展の形態の中から見ると、やはり何かちょっとそこでブレーキをかけようという感じがいたしてなりません。そこで、私は今すぐにどうしろということを申すわけではありませんけれども、しかし、少なくとも銀行を例とするなどということを言わなくても、現在の地方自治体においてはやっていないのですから、県金庫が相互銀行信用金庫を指定していないというのには、おのおのそういうものが金庫たるにふさわしくないという判断をまだ地方自治体が持っておるのではないか。今度はそれを法律で規制するということになりますと、地域的には、さっきちょっと銀行局長も触れましたように、地方銀行よりも相互銀行の方がかえって支店もそろって、法律指定というものができたときに例とするというなら、実は相互銀行を指定してもいいのだという問題が起こると思います。しかし、これは少なくとも例外的な措置になるわけです。その例外的な措置に今はなっていないわけです。今は地方自治体に主体的にまかされているにもかかわらず、将来にわたって今度は原則は銀行ですよということをきめることは例外規定になり、やはり差別的な取り扱いの感じが強く起きてくるだろうと思うのです。そこで、私は過般銀行局長にこの問題について本委員会で伺いましたが、銀行局長は、大蔵省としてはそういうことのないように自治省に話しかけをしていきたい、こういうことで、先ほども公文書をもって申し入れがあるということのようであります。そこで、最近各種の審議会の答申が政府によってゆがめられるという問題が続発をいたしております。私の属しております選挙制度審議会の問題、農地被買収者問題調査会の問題、今度は地方財務会計制度調査会の答申を政府が一方的にゆがめたということになれば、また問題があるかと思います。しかし、今の二つの問題と今度の問題はちょっと趣を異にしておるのではないか。といいますのは、その地方財務会計制度調査会でございますかの方たち、制度調査会のメンバーはどういう方がおいでになっているかわかりませんけれども、こういう問題についは、やはり金融機関の監督行政に携わっておる者の意見がかなり反映していいではないか。そういたしますと、銀行局として特にそういう差別を設けたくないと申しておりますことは、やはり正しいのではないか。特に金融関係の問題を扱っておりますこの小委員会において、ただいままで田澤さんが発言をし、藤井さんが発言をし、私がこの的の委員会ですでに申し上げておりますように、与野党一致して、国会の意向しとてもそういう取り扱いは好ましくないという判断をいたしているわけでございます。ですから、金融機関の主務官庁である大蔵省の意見、それからその問題に関連をする大蔵委員会の意向が、特に現状であってはならないというほどの何か事故でもあったり、そういう積極的な理由があるならば私どももその事実に耳を傾けて聞かなければなりませんが、そういう積極的な事実がないのならば、あらためてそこにそういう一項を入れなければならないというほどのことではないのではないか。特にそれが政令でございますならまだ私は別だと思います。それを法律の事項としてかなり固定をする考え方が起こるということになりますと、それが法律案として出て参りましたならば、これはどこへかかるのかは別ですが、また別個の取り扱いになろうと思いますが、しかし、そういうものが法律案として出る前に、われわれは国会の意向として、どうも現状で必ずしも不適当ではないのではないか。自主的に地方がそれを判断すればよいことで、現状では県金庫としては適当ではないと思うからないのだということだと私は理解をいたしますから、その点については特にそういうわれわれの立場も申し上げて、これの答申をお受けになっていろいろ作業をなさる過程の中で反映をいたしていただきたい、そう思いますので、それらについての御意見を承りたいと思います。
  38. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 答申は、実は御承知のあれでこの間総会できめて、もう一度集まったときに政府に会長から提出するということになっておりますので、この中の字句はこれで変更ないと思っておりますが、答申をいただきましてあと政府部内で立法作業をいたします過程におきましては、これは関係者とも打ち合わせをいたさなければなりませんし、また、私どもは私どもなりに実際の行政を担当する責任を持つ立場として、なお検討しなければならぬ点もあろうかと思いますので、ただいまの御趣旨も十分含んだ上で作業を進めたいと思います。  それから、法律か政令かという、先ほど一般的に地方自治法の中の財務会計に関する規定について、従来あまり手を触れてなくて、今日からみれば法律事項に移行してしかるべきものが政令の中にあるということを申し上げたわけでありますが、特に金庫の点についてどうしても法律で書くというつもりを持っているわけでもありませんし、それらの点すべて立案の過程でよく研究さしていただきたいと思います。
  39. 伊藤五郎

    伊藤委員長 次会は追って公報をもって御通知することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十分散会