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福田(久)
政府委員 一月の
IMFの
理事会におきまして六十億
ドルの
スタンドバイ貸付予約ということが
理事会としては
決議されたのでありますが、実はその内容につきましては、だいぶ以前からいろいろと
検討が続けられておったわけであります。
提案理由の説明にも申し上げておったと思いますが、最近におきまして、特に一九五八年、九年、六〇年と年を追うに従いまして、こういう問題が
短期資本の
移動という問題を
中心といたしまして
論議が盛んになったわけでございます。午前中にも御説明申し上げましたが、御承知のように西欧諸国が一九五八年の年末に一斉に
通貨の
交換性を回復いたしました。その当時
外貨準備もそれぞれの国でかなり好転いたしておりましたが、その後年々それらの国の、西欧工業諸国の
外貨準備も概して申しまして増加いたし、
通貨の
交換性も回復され、そういった短期の
資金の
移動しやすい
環境が生まれて参ったのでございますが、他面
各国間における金利の格差もございましたし、あるいはそれぞれの国の金融市場の緊張度も異なる、あるいはベリルン問題といったような問題もあったりいたしまして、政治的に安定した
地域へ
資金が流れるというようなこともありまして、いろいろとあるいは
ドルあるいは
ポンドについてのいろいろな考え方というようなものもありまして、
資金量が相当増加して流動性が高まっておったほかに流動し得る仕組みができて
交換性が回復された。そこにもつてきまして、先ほど申し上げたようないろいろな金の動く
要因が起こりまして、漸次そういった短期
資金が
移動し始めたわけでございます。特に一九六〇年におきましてはそれらの
移動した
金額は、はっきりした
統計はございませんけれども、専門家の見るところによりますと、三十億
ドルくらいには上ったのではなかろうかというふうに言われておるのが
実情でございます。今後におきましてもそういう傾向はいつどういう
状態で起こるかわかりませんのですが、また起こり得る可能性は決して低下しておるわけではないということから、
IMFといたしましては、出資で持っております
資金は百四十数億
ドルあると思いますが、その中で今使える金として考えてみますと、金で持っておりますのが約三十億
ドル、それから
先進工業国の
通貨で出資されておるもの等で持っておりますものが約六十五億
ドル、合わせまして九十五億
ドルでございますが、そのほかに今回六十億
ドルというものを加えますと、総
資金量としては百五十五億
ドルくらいが使えるあてのある
資金量ということになるかと思うのでありますが、しかしながら今申しました金というものはいつ必要かわかりませんし、また必要なときにそういう
資金が集め得るというルートができておりますれば、一応
目的は達するということで六十億
ドルの貸付予約ということが問題になってきたわけでございます。しかしながらそういたしましてこの六十億
ドルという問題が具体的な話題に上って昨年の
IMFの
総会におきまして
ヤコブソン専務
理事から
提案されまして、
各国では
建前としては原則としてその
趣旨には
賛成であるということで事が運ばれて参りました。その間いろいろないきさつもあったわけでありますが、たとえば
IMFに対する出資額と、それから今回貸付予定額として
各国が予定されております
金額との
割合が出資の
割合に比べまして、
フランスとか、ただいま御
指摘のようにイタリアとか、西独とか、そういった国はかなりふえておるわけでございます。従って、
IMFの中でやるよりもむしろ外でこの問題を取り扱って自分たちの
資金の寄与した額に応ずる発言権を保ちたいというような考え方も出て参りまして、いろいろと
論議がなされたわけでありますが、結局のところ最終的には今回のような案にまとまったわけであります。そういう仕組みと申しますか、
決議のやり方と申しますか、そういう点が
一つの議論の焦点であります。いま
一つは特に
日本などが主張したわけでありますが、自分の国の
国際収支の
状況あるいは
外貨準備の
状況によってはその
実情を十分考慮した運営をしてもらわないと困る。言いかえますと、非常に
外貨準備がよくない場合、あるいは
国際収支がよくない場合にはこの貸付の参加を辞退するという道を開くと同町に、貸し
付けました後におきましても、そういうよくない
状況が出た場合には期限前に償還を受けられるというような安全弁と申しますか、セルフ・ガードと申しますか、そういったことを考慮して運営してもらわなければ困るという点がやはり
一つの問題点になっておったわけであります。それらも、
日本の主張なども取り入れられまして、現在のきまったような案になっておるわけでございます。
なお、スイスの問題でございますが、スイスは
IMFに
加盟いたしておりませんのですが、聞くところによりますと、応分の協力をする用意があるというふうに伝えられております。あるいはそういうことになるのではなかろうかというふうに考えております。