○春日
委員 私はこれは
国民の二重払いになるという非難をことさらに避けることのために、かかる
措置をとられんとしたことが、現在にこういうようなややこしい
法律改正を必要としてきた、あるいは将来の産投会計の機能に対してえらい障害を与えることになりはしないか、
二つの点でこのことは重視して検討しなければならぬと思うのでございますが、まず第一番に最初の問題でありますが、これはものにたとえて言うならば、人間のからだですね。イモも食った、魚も食った、肉も食った、飯も食って、こういうからだができておるわけなんです。もう消化されてしまって、肉も魚もイモも全部異質のものになってしまっておるのです。この中には見返資金の分もあるし、減税国債のものもあるし、復金債、いろいろなものがあるのです。そういうようなものがもはや
国民経済というものに消化され、栄養になって、
国民経済の血肉になってしまっている。もう質が変わってしまって、もはやガリオア・エロアというようなものと全然似ても似つかぬものになって、変わったものになってしまっておる。人間のからだの中から、そのうち肉だけ返せというようなもので、魚を食ってその肉にしておる分だけ、魚にして返せというようなものじゃないですか。だからそれはへ理屈を言っておるのだ。少なくとも天下のまつりごとを
——二重払いの非難を避けることのためにここへくっつけてきておる。これは
一つ産投会計法の一条を読んでもらえばわかりますように、経済の再建、それから産業の開発、貿易の振興、これは波長が合っております。みんな同じようなテーマのものです。ところがここへ対米債務の返済というものは、これは全然突拍子もなく異質のものです。ものにたとえて言うならば、鶏小屋にイタチを飼っているようなものだ。いや、全くそうなんです。それは変です、実際問題として。鶏小屋にイタチを飼って、そこでもって産投会計の機能を、すなわち鶏小屋の平和を保とうと思っても、保てるはずがない。お互いに相剋しますよ、実際の話が。しかもこのアメリカに対する返済は、国際条約に基づく返済でありますだけに、すべての支出に優先して支出を行なわければならないというだけに、かりに予算が限られてあるとするならば、結果的にイタチが先に食ってしまって、鶏が食えないのです。そういう工合でこの
法律は、こういう支払いをこの会計に負担せしめるというこの行為は、産投会計の本来の機能を阻害し、しかもその理由が何であるか、そのことはただ
国民の二重払いという非難を避けるための口実です。無理をされておる。無理をされておることによって、長期にわたって将来に混乱を与えんとしておる。これは重大なことだとお
考えにならなければなりませんし、もう
一つのその前提的な理論としては、最終的には自民党の横暴でガリ・タイ問題は押し切られはいたしましたが、これは債務性ありと
考えつつも、これについては
国民の中にただでもらったような感じがしておる人もあるのだし、国際法的にはヘーグの陸戦条約その他から判断すれば、なお疑義がある。そういう疑義のある問題なんです。また片山
内閣、芦田
内閣のその意思、判断というものは、実際問題として明確ではないのです。ただ相手がそういうことを言ってきただけで、当時の
内閣がそれをそのように承認しておるならば、何らかの反証があってしかるべきだ。あなたが
内閣を継承されて、今さまざまな文書を点検されただろうけれども、われらが片山
内閣においてそのようなとぼけた返事を出している痕跡が
一つでもありますか。ないでございましょう。そういうような
意味合いからいたしましても、これは産投会計の本来の使命をはなはだしく阻害するおそれがあるということ。
それからもう
一つ重大な点は、後者に属しますが、後者の問題は、将来
一般会計からするところの繰り入れを何となくためらわせる形になりはしないか、このことを私はさらに深くおそれるのであります。ということは、これは将来
——なつかしい平田さんが参られておるけれども、実際問題として造船、海運
関係の回収金が滞って参ります。しょせんは何らかの
措置をとらなければならぬ。滞ってきたときには、結局これの返済原資を欠くことになります。返済原資を欠くことになりますならば、
一般会計から繰り入れ、これを補てんするにあらざれば、産投本来の使命、その機能を果たすことができない。だから
一般会計からここへ繰り入れようと思うと、野党、
国民は、それ見たことか、これが二重払いじゃないか、こう非難をする。だから、その非難を避けることのためには、
一般会計からするところの産投会計に対する繰り入れ、これを政治的にためらわせる結果になりはしないか。このことを私どもはおそれるのであります。単なる二重払いの非難を避ける
——二重払いであろうと三重払いであろうと、国が意思決定を行なって払うときまった以上は払わなければならない。払うべきである。ところがそのことは別に、ここに払うが、しかし払うためには産投の方から発生するところの利子その他のもので払う。ところが利子あるいは回収金が入ってこない。払えない。国際条約に基づいての支弁であるがゆえに優先的に払わなければならぬ。払うためには
一般会計から新しい繰り入れ、投資を必要とするが、そんなことを再々やれば
国民が怒る。ガリオア問題は、二重払いになるといってまた怒りやがるから、怒られたらたまらぬから繰り入れをやめようということになると、産投会計本来の機能を阻害する、私はこの
二つの問題で、この産投会計にこの使命をになわせるということは、私は二重に政府が過失を犯すことになると思うのです。
一つの不正を行なえば、さらに不正を犯す、悪い犯罪を犯すとさらに重罪を犯さなければならぬ、おそろしい罪悪であると思われないか。御判断はいかが。