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横路委員 私が言っているのは、もっと具体的なんです。
米国政府によって
日本国に供与された借款及び信用は
日本国が
米国政府に対して負っている有効な債務である、こう言っておる。
そこで、それならば借款についてどうなっているかというと、
日本に利用された借款は私
どもの調査で約三億八十一万
ドル、このうちには農務省の占領地
物資計画、
輸出入銀行借款、あるいは復興金融会社占領地
物資計画、そしてこれは、当時措款については二億八千九百四十一万四千
ドル返している。なお千百三十九万二千
ドルが残っている。これは借款だから、一九五一年の六月に事実上返している。私はその内容についてそう言っている。
そこで信用です。信用は延べ払いなんです。それが、いわゆる
ガリオア・エロアについては延べ払いなんだ、あとで返してもらうのですよ、こう言っても、延べ払いについては一般に債務と弁済との間に隔離の存する取引により生じた
関係または取引自体だから、そうすると、当然これは債務と心得るでなしに、債務として明確にやっておかなければならぬ。当時マッカーサー元帥というのは絶対の権力者であり、絶対の権限を持っている人である。だからそういう意味でこれは債務と確定したものであって、そしてこれはあとで時期的にはずれるのだ、こういうような状態であるならば、阿波丸の了解事項はそう言えるでしょうが、そうでないのですから、この阿波丸の了解事項をもってこれが
ガリオア・エロアについての、いわゆる債務であるというように
政府が心得ているのであるというのは間違いである。これが私の見解なんです。これはここで小坂さんと何時間やっても、ああそうか、
横路君の言うのが正しいと今さらあなたがここで言うわけにもいくまいが、しかしここの文章は、どうも小坂外務大臣の答弁、外務省の答弁は、私は間違いだ、こう思うのです。特に
吉田さんが当時
総理大臣として言っていることだけを引用して、そう言い方をしていますというのは、これは明らかに違うのでありまして、
池田さんは何もここで言ってないのですよ。ここに私
資料を持ってきておりますが、二十四年四月十三日の共産党の野坂参三氏の質問に対して、
米国対日援助見返
資金特別会計法案に関してこう言っている。最後に
池田さんは
大蔵大臣として、「野坂
委員もおわかりのように、実質上今きめられない問題だと思います。ただイタリアその他の西ヨーロッパ諸国におきましての例を見ますと、講和条約でこれは贈与になった例もあるのであります。私からはそれ以上のことは申し上げかねます。」どこをたたいて、答弁のどこから債務であるということが出てきますか。債務と心得るなんということはどこからも出てきていない。だから
先ほど私が引用した
昭和二十四年、「国の予算」、この中の対日援助見返
資金特別会計の中において、
大蔵省が自分でこの中に注釈をつけているが、これも全部西欧におけるところの贈与、見返
勘定を設けての贈与、こういうものを期待している。どこにだって債務と心得ているなんということが、当時の大蔵
委員会の会議録を
一つ残らず全部読んでみたってそういうものはない。だからこういう点については、債務であるということが阿波丸の了解事項の中から生まれてくるのであるとか、こういう点は明らかに私は間違いであると思います。
それから今
お話の食糧
輸入についての一般指令に関する総
司令部覚書は、
支払い及び経理の条件を後日決定する。だから債務だ、とんでもない話だ。しかも講和会議のときに最終決定さるべきものがされないで、後日になって、なおそれが占領軍最高司令官として生きているなんということも、いわゆる講和会議で一切の占領状態が終わっているという点からいって、この点は間違いであると思います。
その次に、小坂さんにもう
一つ——あと井出さんから
産投の内容を詳しくやってもらいますが、あなたはマッカーサー元帥の
アメリカの予算議会に対するメッセージの中に、あれは慈善でない、こういうことを言っているが、私もいろいろ記録を調べてみました。
ガリオア・エロアについて、一九五一
会計年度対外援助予算に関しまして、
米国下院のヒヤリングでヴォルヒーズ陸軍次官補の証言を中心にしたものの中でいろいろ大事な点がございます。この中の
一つを申し上ぎますが、ヴォルヒーズはこう言っています。「われわれがこの予算をもったことにより、非共産主義のドイツと
日本をつくりあげ保護することが可能になった。これらの食糧輸送に共産主義の進出に対する最良の抵抗であり、きわめて有効なものであった。」これがヴォルヒーズの証言です。このヴォルヒーズ陸軍次官補の証言は何をさしているかというと、当時
日本の占領のもとにおいて食糧その他
日本について援助をしたというのは、援助をして
日本を共産主義の脅威から守っていこう、ドイツと同じに、将来アジアにおける強力な、いわゆる防衛体制の防壁にしていこうということは、われわれ
日本国民の知ったことではないのです。当時の
日本政府の、
日本の国会の知ったことではないのです。
アメリカ占領軍としてのある特定の意図に基づいて、
日本と西ドイツは
一つ非共産主義の国を作り上げて、
アメリカの防衛体制のための壁を作っていこうという、
アメリカのそういう占領目的から発したものである。
アメリカの占領目的から発して、
日本に対してそういう、いわゆる
ガリオア・エロアの援助をしたのだ。このことをもって、どういう国にしよう、将来どういう防衛体制にしようという
アメリカ占領軍の目的から出てきたこの
ガリオア・エロアについて、
日本がこれを債務である、こういう考え方は私は筋が通らぬと思う。この点は、私は
政府部内でも意見の不統一があるのじゃないかと思う。たとえば水田
大蔵大臣は二十四年三月までのものはどうも無償であると言われている。水田さんばかりではない。河野
農林大臣は、二十八年、二十九年の
予算委員会で、二十四年三月までは無償であると言った。この点ははっきりしているのです。この点きょう私もたくさんの時間をいただいてやればいいのですが、問題の中心になるところだけははっきりしておかなければならぬ、こう思っている。ところがマッカーサーの予算議会に送ったメッセージのみをもとにしてやっている。もう少し広くとれば、ヴォルヒーズの証言のように
——ヴォルヒーズは言っている。二十四年三月までのものは救済が中心なのだから無償と考えられるのが至当ではないか、そういう意味の証言をしています。だからこの点はあなたとはだいぶ意見が違うわけなんです。