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1962-04-17 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十七日(火曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員   委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君       足立 篤郎君    伊藤 五郎君       大久保武雄君    岡田 修一君       金子 一平君    久保田藤麿君       正示啓次郎君    田澤 吉郎君       濱田 幸雄君    藤井 勝志君       坊  秀男君    吉田 重延君       田原 春次君    芳賀  貢君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君       横山 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         運 輸 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (主計局長)  石野 信一君         大蔵事務官         (理財局長)  宮川新一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         通商産業事務官         (企業局長)  佐橋  滋君         通商産業事務官         (石炭局長)  今井  博君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      鈴木 喜治君         日本開発銀行副         総裁      平田敬一郎君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 四月十三日  外国為替銀行法の一部を改正する法  律案内閣提出第六一号)(参議院送  付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  産業投資特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第五七号)      ————◇—————
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  産業投資特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
  3. 平岡忠次郎

    平岡委員 ガリオア・エロア援助がはたして債務なりやいなやにつきましては、当事国意思国内法及び国際法との関係、従来のいきさつ等に、いろいろそういう要素がございまして、それらを総合的に判断して、妥当な解決をはかるべきものとして、国会内外議論を呼んだわけであります。国会議題といたしましては、政府与党は、いわゆる債務と心得べきものとして、その道義的債務性主張いたしました。具体的論拠といたしましては、昭和二十年四月の例の阿波丸請求権放棄についての日米両国間の協定の際の附帯了解事項に触れまして、この了解事項が、従来贈与のごとく考えられ、あいまいであった占領費、すなわちガリオア・エロア等についての日本への信用及び借款の供与は、米国政府に対して負うべき有効な債務であるとの確認がなされている事実を指摘いたしております。あるいはまた一九四七年六月の極東委員会の資料の提出をいたしたりいたしまして、その債務性につきまして政府主張いたしておったわけであります。一方野党は、遠くはヘーグ陸戦法規の第四十三条の規定でありまする占領者の責務あるいはサンフランシスコ平和条約の第十四条b項占領軍事費請求権放棄の定めに徴しまして、あるいはまた昭和二十二年の七月衆議院において行なわれました各派共同提案によりまするところの連合国最高司令官に対する食糧放出に関する感謝決議成立の事例に徴しましても、ガリオア・エロア無償贈与として見るべきであって、返還の要なきものだとの主張で、政府と対決して参ったわけであります。しかしながら、四月六日の未明ガリオア・エロア返済協定衆議院を通過したことによりまして、債務なりやいなやの議論は一応終止符を打たれたわけであります。言うなれば、援助、エイドのうちにグラントクレジットというものがあるが、この論議の終着によりまして、グラントは化しまして今やクレジットとして、利払いを含む日本の対米債務として確定されて、本日の議題である産業投資特別会計法一部改正案は、この確定された対米債務をこの会計から支払うことを定めるものであるわけであります。支払い条件や順序をきめる、言うなれば経理法案でございます。大蔵委員会討議の方式としては、経理法案としての妥当性中心課題といたすべきことはむろんのことと存じますが、院の内外に多くの議論を呼び、しかも四億九千万ドルという支払は、しょせん日国民、つまりタックス・ペイヤーであるところの日本国民の肩にかかってくるわけでありまする以上、予算委員会外務委員会で時間を不当に制約された野党委員あるいは与党諸君が、この委員会の場で自由に節度ある討議をなすことについては、こうもその権利を侵害されるべきではないと思っております。審議を不当に抑圧するなどという先例が一度もなかった当委員会は、その光栄あるところの伝統に従いまして、民主的に、基本的な自由に表明せらるべき国民意思を体現する論議は十分に尽くさせる運営に最大の配慮をし、いやしくも外務委員会におけるがごとき、質疑に対する不当にして変則な中断などなきよう、冒頭委員長理事諸君並びに同僚委員各位に要請申し上げておきたいと存じます。(拍手)このことを要望する以上、日本社会党といたしましても、民社党も同様と存じますが、堂々の論議を展開いたしまして、論議終結を判断すれば、いたずらに引き延ばしを画策するというようなことは断じていたさないつもりであります。委員長の公正な運営与党諸君の良識に嘱望するかまえがわれわれのかまえでありますが、その点に心いたしまして、私どもの望むところの公正な論議がここで十分尽くされまするよう、冒頭委員長並びに委員各位に要望申し上げておきます。特に与党諸兄の公正な態度を冒頭にお願いいたしたいと思う次第でございます。  出席を要望しました大蔵大臣運輸大臣がまだ見えておりません。まず運輸省につきまして、本論に入る前に少しく質疑をいたしたいと思います。  このことは当然あとから産業投資特別会計と関連を持ってくる要項でありますので、すっとぼけた質問でないことを御了承願いたい。シップ・アメリカンのわが海運に及ぼす影響などをいろいろ教えてもらいたいと思うのでありますが、わが国経済は申すまでもなく外国貿易に依存する度合いが非常に高いのでありまして、貿易政策は重要な政策でございます。単に通常の貿易の拡大ということばかりでなしに、貿易外収支の改善を期待する点も非常に多いわけでありまして、この意味において海運行政も重要な事項であります。アメリカドル防衛をきっかけといたしまして、シップ・アメリカン政策米国内において大いに強化される。そこで日本への影響も非常に大きなわけでありますが、これが対策は一体どうすべきか、その中心的な対策は何であるかをお答えいただきたい。
  4. 辻章男

    辻政府委員 お答えいたします。  シップ・アメリカン運動と申しますのは、御承知のようにアメリカ経済援助あるいは輸出入銀行の金融的な問題にからみまして、アメリカ船を使うことを強制していくときには、政府が音頭をとりまして非常に強く民間関係アメリカ船を使うようにというふうな指示をしたこともあるのでございます。これに対しましては国際海運というものを自由にすることが海運を発展させ、ひいては世界貿易を伸展させるゆえんであるということで、そういうふうな考え方に対しまして、政府といたしましては機会あるごとに強く抗議をいたしておる次第でございまして、現在のところではそういうふうな抗議の形による方策をとっておる次第でございます。
  5. 平岡忠次郎

    平岡委員 今のお答えで、シップ・アメリカンのシステムによって、国際的視野を忘れて日本等を不当に圧迫しないようにという抗議をやっておるというお話であります。しかしもっと根本を考えますれば、アメリカ自身はやはり自由主義本尊であり、レッセフェールを推進する本尊であります。そこで国際的に船運賃がコンペティティブになるということ、この土台なしには抗議も抗弁も成り立たないと思うのです。そういう意味アメリカの船と日本の船との船運賃において日本が非常に安いというようなことになると、そうした抗議それ自身妥当性を持って主張できるということになると思うのです。それが兄たりがたく弟たりがたし、むしろ日本運賃の方が高いということになれば、どう抗弁しても問題にならぬと思う。ですから海運政策の決定的な一つのポイントがあるとするならば、それはやはり日本船運賃を安くすること、そのために建造費を安くすること、従いましてこの建造に用いられる金利、そうしたものが当然下げられなければならぬ。それから過去からの支払い利子未払い分というものが海運業それ自身を非常に制約して、自由な立場に立ち得ないというならば、それに対して当然考慮されていいと私は思う。ただ不幸にしまして、海運の問題につきましては、日本産業再建重要施策であるにもかかわりませず、過去におきまして、大疑獄を起こしまして、そして御承知通り指揮権発動などという政治史に未曾有の不祥事もあったわけであります。造船再建必要手段が客観的には認められながらも、今、日陰者のように非常に疑惑視されたり何かするということは、これは政府自身のそうした過去のとんでもないやり方自身に非があることでありまして、自由な国際的な競争に立つということであるならば、しかも日本廃業構造それ自身貿易に依存する程度が高いのですから、そうした一連海運政策自身は強力に推進されてしかるべきものと思っております。そういうことですから、言うなれば、過去のこうした疑獄等にとらわれることなしに、ものを客観的に見るならば、やはり造船海運関係等に対しまして、相当なふんばった施策があってしかるべしと私は思う。そういう考えはないかどうか、その点についてまず政務次官、並びに局長からお答えをいただきたい。
  6. 天野公義

    天野政府委員 ただいまお話がございましたように、日本海運造船関係の事業というものは、きわめて重要なものでございまして、政府といたしましても、これらの面につきましては、その増強について力をいたして参ったわけでございます。今後ともそういう方針でいくつもりであります。
  7. 辻章男

    辻政府委員 ただいま大蔵政務次官からお答えがございましたように、運輸省といたしましては、海運国際力強化という観点から、絶えず今御質問のございましたような日本海運増勢をある程度助成していきたいということで、従来から折衝して参った次第でございます。財政事情その他がございまして、現在十分な状態であるとは考えていない次第であります。
  8. 平岡忠次郎

    平岡委員 海運増強必要性を認められ、政府としても種々検討されておる、そういうことでありますが、具体的には何が出ておるかをお答えを願いたい。調査の費用というのですか、そういうものが今度の予算に出ておりますけれども海運企業整備計画審議会ですか、そういう機関が設けられておるのですか、設けられることになっておるのですか、よくわかりませんけれども、多分もう設けられておって、答申等も出されておると思うのです、ですから、もう少し具体的にその答申内容等に触れてお答えをいただきたい。
  9. 辻章男

    辻政府委員 ただいま御質問のございました海運企業整備計画審議会は、運輸省設置法改正木国会通りましたので、設立が認められておる次第でございます。  それで整備計画審議会の背景をなす点でございますが、これは昨年来海運造船合理化審議会運輸大臣より今後のいわゆる海運政策のあり方について諮問をいたしまして、その答申といたしまして、開発銀行のいわゆる計画造船融資金利の二分の一程度を五年間たな上げすべきじゃないかという答申をいただいております。その答申の中にそういうふうな非常にドラスチックな措置をするにつきましては、整備計画審議会のようなものを設けまして、それを受けようとする会社はその整備計画を作成してこの整備計画が妥当と認められたものだけに限るべきである、その整備計画審議するために諮問機関として整備計画審議会のごときものを設けるべきであるというふうな答申をいただいておる次第であります。
  10. 平岡忠次郎

    平岡委員 答申内容はまだないのですか。
  11. 辻章男

    辻政府委員 これは昨年答申をいただきまして、今申し上げたのがその利子猶余等に関します概略の答申内容でございます。
  12. 平岡忠次郎

    平岡委員 いずれにいたしましても、合理化審議会等の助言とか答申に基づいて、海運振興に関して償却不足をどう解決していくかということを中心にして運諭省がただいま具体案検討している、そういうことを聞き及んでおるわけです。そこで運輸省具体案というものはどういうものであるか、内容をお示しいただきたい。
  13. 辻章男

    辻政府委員 先ほど申しました海運造船合理化審議会答申を受けまして、運輸省といたしましてはいわゆる十五次計画造船以前の開発銀行融資残高利子を二分の一程度五カ年間徴収猶余をお願いしたい、開発銀行がそういう措置をとられますならば、それに関連します市中金融機関融資残高の二分の一程度利子の猶余を行なう用意があるという金融機関の方の御意向も伺っておりますので、これらを合わせまして海運企業のいわゆる基盤強化をはかりたいということで、昨年の予算時期以来政府部内におきまして財政当局といろいろ御折衝したのでございます。財政上の理由でございまして、今なお結論が出るに至っていないというのが現状でございます。
  14. 平岡忠次郎

    平岡委員 もう少し具体的にお伺いいたします。ちょうど大蔵大臣がお入りになりましたのでお伺いします。  ただいままで運輸省におきまして海運振興に関して償却不足をどう解決していくかということを中心としての運輸省海運業界振興計画、そういう予定があるかどうかについて質問をいたしてきたわけであります。そこで大蔵大臣、どんぴしゃりお伺いしたいのは、海運増強対策は当然政府としても考えておられることと思うのですが、審議会答申がきまり、それに基づく政府方針がきまった以上は三十八年度中においてやるのか、それともこの三十七年度中において何らかの予算措置をするのか、その点をお伺いいたします。
  15. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだその方針ははっきりきまっておりません。この合理化審議会ができて、その審議を待って措置するというつもりですから、間に合わなければ三十八年度から。三十七年度からやる方法があるかどうか、まだそこまでの検討を行なっておりません。
  16. 平岡忠次郎

    平岡委員 新聞の報道によりますと、海運基盤強化策については今国会の初めに水田蔵相斎藤運輸相大平官房長官の三者会談が行なわれ、今国会で何らかの法的措置をとることに意見一致を見ている、こういうように報道されておりますが、そういう事実がございましたか、またその事実を確認できますかどうか。
  17. 水田三喜男

    水田国務大臣 大体そういうふうにしたいという相談のもとに、私ども立法を今急いでおるところでございますが、まだ事務当局同士検討すべきいろいろな問題が残っておりますので、おくれてはおりますが、そういう方針で今やっております。
  18. 平岡忠次郎

    平岡委員 そうすると、お答えを総合しますと、まだきまってはおらぬけれども三十八年度までには延びない、三十七年度中に法律等も確定しまして、海運増強に乗り出したい、そういう御趣旨と解してよろしゅうございますか。
  19. 水田三喜男

    水田国務大臣 そのつもりでございます。
  20. 平岡忠次郎

    平岡委員 そこでお伺いしたいのは、やはり海運利子関係のたな上げは、これは金額にもよりますけれども、例の対米債務ガリオア・エロア返済の原資と競合する、そういう関係が出てくると思うのです。そこでこのことをお伺いしておるわけでありますので、一応あなたの方では、三十七年度において海運関係振興のために利子たな上げをするという、そういう前提お答えをいただきたい。そうでないとものさしがゴムひもに盛られておるようなことになりますと、都合が悪ければ三十八年度ということでやるのだというようなことで、変な口実になってもいけませんから、三十七年度におきまして造船利子のたな上げはやるという、そういう大前提に立ってこれからの私の質疑に対してお答えいただきたい。よろしゅうございますか。
  21. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、今年度の予算においてはこの問題を取り扱っておりませんでしたので、従って、今後のやり方の問題について、三十七年度に実施できるのか、予算そのほかの措置関係なく実施できる部面があれば、これはそのときにまた政府部内の相談で処理できると思いますが、ただいまのところ、三十七年度において利子のたな上げをやるというような方針はまだきまっておりませんので、これを前提とするというわけにもいかぬと思います。
  22. 平岡忠次郎

    平岡委員 ただいまのあなたのお答えは、そこに多少弾力性で逃げ込みたいというお気持もあったと思うのです。大体これは一目ぼれというか第一印象が大切なんで、あなたの最初のお答えの、三十七年度におやりになるという方が、どうも本物だと私は思うのです。というのは、単にそういう憶測ばかりでなしに、実は自民党の運輸交通対策特別委員会政調交通部会合同委員会が過ぐる十一日に院内で開かれて、斎藤運輸相もこれに出席されまして、海運基盤強化策について協議をしたという報道がございます。その結果このほど運輸省でまとめた海運企業基盤強化臨時措置法案政府提案の形で今国会提出することを申し合わせた。その法案は、日本開発銀行から各海運会社に対する船舶建造のための融資について、本年四月一日から昭和四十二年三月三十一日までの五カ年間、その利子支払いを猶予することを内容とするものであって、これを実施した場合、三十七年度のたな上げ利子総額は約六十一億と見られているということで、私は先ほど申し上げたように、なお次のような付則ですか、添え書が書かれております。この海運基盤強化策については今国会初め、水田蔵相斎藤運輸相大平官房長官の三者会談で今国会で何らかの法的措置をとるとの意見一致を見ている。そういう添え書きが書いてあるわけなんですから、いよいよもって三十七年度におやりになるというふうにわれわれは判断をしておるわけですけれども、この点はもっと確定的におっしゃることはできませんでしょうか。
  23. 水田三喜男

    水田国務大臣 政府が何らかの措置をとる、そしてこれを立法化すということは、さっき申しましたように、方針としてきまりましたが、どういう措置をとるかの内容は今検討中でございまして、運輸省案というものも承知しておりますし、与党政調会中心のいろいろな案というものも聞いておりますが、問題は海運の将来がどうなるかというような問題についても、今関係省内で詳しい検討をやっておりますが、これをもう少し進めてみませんと、かりにたな上げ案運輸省案のように五年間とすれば、日本海運が立ち直るというようなことをいわれておりますが、両省の今いろいろ将来の見当を見ますと、これが五年間で立ち直るというような数字になるのか、このあらゆる要素検討をやりますと、そこらにまだ確信の持てないいろんな問題がございますから、従って五年間利子のたな上げをするとかいうような内容ももう少しそういうものの事実検討をやらないと結論が出てきませんので、今その結論を得るための努力を関係省内でしているという段階でございますので、これをどうするという具体方針はまだ今のところきまっていないのが現状でございます。
  24. 平岡忠次郎

    平岡委員 大臣に率直にお伺いしますけれども運輸省の案はまだ検討すべきである。五カ年のたな上げだけでそれは事足りるものかどうかということを深く検討しなければならぬという主張であります。ところが一方の世間の見る考え方は、そうした純然たるこの計画のよしあしに対するあなた方の保留だということばかりには考えておりません。むしろ造船利子のたな上げということをすることになると、海運資金つまり産業投資特別会計資金減資を招くことになる。それからガリオア・エロア返済産投会計から行なわれるのでありますから、造船利子のたな上げによる産投会計減資はそのままガリオア・エロア返済一般会計への肩がわりになってくる危険がある。そこで野党初め世の指弾を受けやせぬか、そういうむしろ政治的な配慮の方があなたの今のお答えになっている、まだ検討中であるという根本理由じゃないかというふうに考えております。私は先ほど来申しましたけれども、このガリオア・エロアというものは処理の問題なんですよ。日本産業開発とか振興のためには貿易への依存度が高いだけに、それと一連立場における海運政策というものはうんと推進しているのだ、推進さるべき客観性がありながらこれが不当にないがしろにされたというのは過去に大疑獄等がありまして、本来あるべき真相というものが不当にゆがめられている。そういう点なのだから、われわれ日本国民ですから、政府としては、むしろ海運を強化するというようなことに最善を尽くしていくということの方が、ガリオア・エロアの問題よりも私は大切だと思っております。そういう点であなた方が兵に運輸省から出された案というもの自身がいまだしのものだという立場で言っておるのか、ガリオア・エロア問題に対する政治的配慮からそういうことを言っておるのか、この点はむしろ大臣の明快な政治的な所信として御表明があってしかるべきだと思うのです。どういうことになりましょうか。
  25. 水田三喜男

    水田国務大臣 ガリオア・エロアとからんだ政治的配慮からこの検討がおくれておるというわけでは全然ございません。この海運対策対策として当然政府がやるべきことでございますので、その最もいい具体案を作ろうということで関係省内で作業が少しおくれておるということでございますが、ガリオア問題はかりに利子たな上げが必要である。しかも何年間くらいしたら海運が立ち直るかというような結論がかりに出てそういう措置をとるというような場合には、それは海運対策から来たいろいろな問題でございますので、これとガリオア・エロア関係はございません。ガリオア・エロアは一番私どもが重視しておる問題は、返済資金というものはりっぱに何千億かあるのだ、あるけれども、だから今ある援助物資によって積み立てられた資金、これをみな使って返済しようというのならきょう現在でも返済できる額になっております。しかし各企業への出資になっておりますので、この出資を引き上げるというようなことはいろいろな点で支障を来たしますから、そこには手をつけない、もとには手をつけないで、そこから上がる収益で返済していこうという方針をとっているのですから、当然このガリオア・エロア返済のためにもう一ぺん国民から税金をとるというような措置はとらないから、いわゆる二重払いの問題は、これはもう明瞭で解決しておる問題ですから、計算が明らかになっている以上、これはそれで支払いする。そのほかに別に海運対策のために特別な措置をとるということでしたら、これはまた別個の問題ですから、その措置のとれるような調整は、これは政府としていたしますので、私どもはこれをやればガリオア・エロアが払えないからということはからんで現在のところでは考えておりません。
  26. 平岡忠次郎

    平岡委員 大蔵大臣のおっしゃられた通りだろうと思うのです。ただ大蔵大臣のアクセントの置かれている点は、ガリオアの債務支出額の十五カ年間の総計が二千八十五億、一方返済財源は十五カ年間としては二千二百二億円ございます。従いまして、必要にして十分な資金がある。なおこれにて足りない場合においては産業投資特別会計見返り資金関係の資産が三十六年度末におきまして大体一千億円以上あるという、そういうことを見込みますと四千億円程度がちゃんと裏づけとしてあるからという、そういう言い分であろうと思う。そうではございませんか。そのことは私も争いません。しかしはなはだけっこうづくめな話なんですけれども、勘定合って銭足らずということがございまして、これは往々あることでありまして、特に年次計画ということに合わしてみますと、この総体的なバランスが合うということと別に困難が出てきやせぬか、そういうことを私はおそれておるわけであります。従いまして、政府がせっかくここまでおやりになったのなら、この年次計画においても一つも支障がないように十分処置をすべきであると思っております。そこで処置ができなくなってからでは困りますので、その辺の事情がどうなっておるかをさらにお伺いしておきたいのであります。まずこの返還支払い協定ができましたのが衆議院においては四月六日、参議院は一月たちまして成立いたしますから、その時点から六カ月後に発効するということになりますから、政府としましては、十一月の終わりか十二月の初めに第一回の支払いをしなければならぬ立場にあると思うのです。その点は、ぎりぎり一ぱいの日付はいつになりますか。
  27. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 協定が批准されましてから六カ月後でございまして、いつ幾日というふうに日は確定はいたしておりません。
  28. 平岡忠次郎

    平岡委員 およそのめどは十二月のいつですか。
  29. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 年度内に支払いたいと思っておりますが、大体四月国会を通過いたしますれば十月になります。五月でありますと十一月ないし十二月ころではないかと考えております。
  30. 平岡忠次郎

    平岡委員 この協定上来年の三月まで引き延ばすということはできないんですね。
  31. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 それは三月まで引き延ばすことはできないことはございません。
  32. 平岡忠次郎

    平岡委員 その場合また協定を取りつけ直すということですか。
  33. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 批准がおくれますれば六ヵ月後でございますので、批准がおくれることによりまして延ばし得るわけでございます。
  34. 平岡忠次郎

    平岡委員 批准が、順調にいくという前提に立つならば、十二月の一日なら一日に払わなければならぬ、そういうことになりますね。
  35. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 大体当初の計画ではさように考えておりました。
  36. 平岡忠次郎

    平岡委員 そうすると、第一回目の支払いの金額は幾らですか。
  37. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 七十九億でございます。
  38. 平岡忠次郎

    平岡委員 この七十九億の返済財源の内訳をおっしゃっていただきたい。
  39. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 平岡委員御指摘になりましたように、二千八十五億の支払いに対しまして、開銀納付金千七百五十七億円、開銀貸付金回収三百五十四億円、開銀貸付金利息九十一億円、合計二千二百億をもって充てることにいたしておりまして、初年度の三十七年度におきましては、ただいま申し上げましたように七十九億の支払いに対しまして、財源といたしましては、開銀納付金九十一億、開銀貸付金回収三十八億——端数はございますが、まるい数字で申し上げます。開銀貸付金利息十八億、これをもとといたしましてやりますので、三十七年度は返済額よりも財源収入の方が余ることになるわけであります。
  40. 平岡忠次郎

    平岡委員 その最初の開銀納付金の三十七年度分が九十一億とおっしゃいました。実際にはこれはいつ回収になってきますか。
  41. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 開銀納付金の九十一億の分につきましては、九月と三月の末でございます。おおむね均等に入って参ります。
  42. 平岡忠次郎

    平岡委員 具体的に幾らですか。
  43. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 約四十五億六千二百万、こういうことになります。
  44. 平岡忠次郎

    平岡委員 そうすると貸付金回収金はいつ入りますか。
  45. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 おおむね四半期末でございまして、もう少し正確に申し上げますと、六月二十五日、九月二十五日、十二月二十五日、三月二十五日でございます。
  46. 平岡忠次郎

    平岡委員 そうすると、六月二十五日、九月二十五日、十二月二十五日——十二月二十、五日では返済が十二月一日とすれば間に合わぬということですね。そうすると、少なくともこの三十八億のうちの半分だけが十二月一日までに用意できるということになりますね。間違いありませんか。
  47. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 回収金につきましてはその通りでございます。利子は、残高が減って参りますので、むしろ初めの方が多いということになります。
  48. 平岡忠次郎

    平岡委員 利子は幾らくらい、どういう区分で入りますか。
  49. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 一応の試算でございますが、利子の分は毎回残高の減少に伴いまして千三百万から四百万程度減って参ります。従いまして六月二十五日現在では、一応返済財源として予定しておりますのは、三十七年度からの納付金並びに貸付金回収金、利子でございますので、貸付金、回収金、利子で約十五億、九月二十五日につきましてはこのほかに納付金が入りますので約六一億合わせますと、九月末では約七十五億でございます。
  50. 平岡忠次郎

    平岡委員 ちょっと待って下さい。僕が聞いているのは貸付金の利子の収入なんだ。
  51. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 六月二十五日、これは回収金の回収と同時でございますが、若干の誤差があるかもしれませんが、利子収入が四億八千七百万、九月二十五日が四億七千三百万、十二月二十五日が四億六千万、三月二十五日が四億四千七百万、以上でございます。
  52. 平岡忠次郎

    平岡委員 私の計算によりますと、あなた方の今申された数字は、開銀納付金の十二月一日までに間に合う分は四十五億六千万円、それから貸付金回収金の同じ時点における分が十九億円、利子収入の方が二回でありまして同じく九億四千万ですか、全部合わせますと六十四億八千万円なんですね。そうすると第一回の返済には間に合いませんね。そういう結論が出ました。
  53. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 平岡委員の御算出になりましたような計算をいたしますと、かりに十二月に支払いをいたすということになりますと、支払いの財源は不足いたします。立てかえしなければならぬということになりますけれども、年度を通じてみますと先ほど御説明いたしましたように九十七億に対しまして百四十八億の収入がございますので、特別会計のやりくりとしてその点は認められてしかるべきじゃないかと考えております。
  54. 平岡忠次郎

    平岡委員 財源のあることは先ほど私も指摘をいたしまして、大蔵六臣からもお話があった。しかしこれは事業会社を経常しても何にしてもバランスシートはみんな出てくるのです。実際の資金繰りができないで黒字倒産したりなんかするわけです。それと同じことで、十二月一日に支払うためにはここで十五億ほど足らぬですね。このことは明確になったわけです。そういたしますと、この返還協定の細目につきまして、あるいは返還協定そのものをここでまた再検討するということになるのじゃないですか。予算につきましては、この間の財政法の通過ですぐにもまだ改定ができるようになっていますけれども、これは対米債務でありますから、そうおっちょこちょいに改定できないと思うんですが、この辺はどうでしょう。
  55. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 十二月に支払いをいたすといたしましても、すでに特別会計の中にはほかに資金がございますので、一般会計から立てかえるというような方法をとりませんで、特別会計の内部で操作できますので、協定の締結をおくらすというようなことをいたさなくとも差しつかえございません。
  56. 平岡忠次郎

    平岡委員 その内部の操作をここで説明してくれませんか。
  57. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 特別会計は技術的に中のやりくりができるわけでございますが、この見返り関係の収入だけで考えましても、たまたま三十七年度に入ってくる納付金から計算しておりますが、三十七年度の予算上の収入は、三十六年度分の清算納付金が入って参ります。すでに産投会計ができましてから、見返り関係の二千九百億による収入というものは約千億くらいになっておりますが、それの一部が三十七年度にも約二十億くらい入ってくる。そういうことを考えれば、たまたまこれは三十七年度収入の時期にきておりますが、見返り関係の収入からのやりくりでできるということは間違いございません。
  58. 平岡忠次郎

    平岡委員 開銀なら開銀の予算を立てるときに全部支出先というものはきまっておりますね。同様に産投全体としてもきまっておると思うのです。今あなたは抽象的な収支関係だけおっしゃっておるのですが、私が聞くのは、具体的にその時限に間に合ってほんとうの支出ができるかどうか、その支出ができるかどうかということで、少なくとも見返り資金関係には十五億ほどの不足が生ずるということが明確になった。それならば、他から流用できるとおっしゃるのですから、他からの流用方式を具体的に説明して下さい。抽象的の収支のことは、これはもう全体の返済であろうと三十七年度であろうと、それは明確になっておるのです。具体的にどういうふうにやりくるのか、御説明をお願いしたい。
  59. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 特別会計の中の同じ収入でございますから、特に色がついておるわけではございませんが、ただいまも御説明いたしましたように、三十七年度の収入には三十六年度の開銀の清算交付金も入っております。これは先ほど御説明をいたしました財源関係には織り込んではおりません。この分が約二十四、五億になりますが、それのやはり八七%程度、従いまして、約二十億の資金ほどは三十七年度の予算に入っておるわけでございます。それのやりくりというふうな説明もできるかと思います。
  60. 平岡忠次郎

    平岡委員 私どもはこの二百三十億の開銀、輸銀二百億を中心にしてそういう支出が緊急欠くべからざるものとして要請されたので、本委員会で通す、そういうことにしたわけです。そういうかなり切り詰めて最小限度の要求かと思ったら、そういう遊んでおる金があるのですか。
  61. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 遊んでおるわけではございません。これは全体として三十七年度の収入に入っておるのでございます。
  62. 平岡忠次郎

    平岡委員 明確になりましたことは、だいぶ資金繰りがむずかしいということ、従いまして、海運増強の金なんというものは、少なくとも三十七年度、三十八年度くらいは、とてもまとまったものは出せぬということだろうと思います。運輸大臣、実はあなたを中心にしまして、中心ですか、客分で招かれたのか知りませんけれども、自民党の運輸交通対策特別委員会、政調部会の十一日の会議で、海難関係増強の案をまとめまして海運企業基盤強化臨時措置法を政府提案の形で今国会提出するということがきまっておりますが、今言ったような資金枯渇の背景においてそのことができるとお思いになりますか。
  63. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 海運企業の基盤を強化いたしますために開銀の利子をある程度猶予してもらいたいということを中心にして今法案検討をいたしておりますが、しかしながら、これが実際に移されますのは来年度になりまして、本年度の開銀の収支予算には影響がない、かように考えております。
  64. 平岡忠次郎

    平岡委員 運輸大臣大蔵大臣立場お答えになったようですけれども、すると、運輸大臣自身の熱願の一つの増強というものは今年度は見送る、大体おあきらめになったわけですか。
  65. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 そうではございません。本年度から準備を進めまして、これをやりますのは各海運会社それぞれその会社整備計画を立てなければならぬということに相なります。そしてその整備計画海運整備計画審議会にかけまして、大体合理的だという場合に初めてただいま考えおりますことを実現をいたすわけであります。この手順を考えますと、どうしても来年度になって参りまして、本年度中に各会社基盤強化のための整備計画を確定することはむずかしかろう、これは手順の上からさように相なっておる次第でございます。
  66. 平岡忠次郎

    平岡委員 その点はそれで打ち切っておきましょう。  それから先ほど大臣お答えの中に注目すべき個所がございました。それは大蔵大臣並びに政府当局の通弊に陥っているところであろうと思うのですけれども、見返り資金返済国民の二重負担にならないのだということの、そ説明として原資それ自体というものをくずさずに、原資というか見返り資金それ自身をくずさずに、元本をくずさずに、十五カ年間の運営によって十分その果実をもって返済に充てることができる、そういう説明がされております。ただいまも大蔵大臣はそうおっしゃったわけであります。しかし私は、元本をくずすことが、納付金や貸付金回収や、同じく利子の使用と違って国民に二重払いの印象を与えるというふうにあなた方が考えていること自身に何か疑問がございます。私ども立場は、元本も果実も国民に負担をかける点においては同じだというふうに考えているわけですけれども、何か区別して元本さえ残っておればそれでいいのだという印象ですが、どういうお考えなんでしょうか、この際明確にお答えいただきたい。
  67. 水田三喜男

    水田国務大臣 元本さえ残っておればいいというのじゃございませんで、見返り継承分の出資金が現在開銀、輸銀以外に電発等政府関係機関十六機関出資されておりますので、この出資の回収というようなことは各企業にとって非常に支障を来たすことになりますから、出資として十八機関出資してあるのですから、この出資関係には触れないで、開銀の出資から上がってくる納付金で計算上りっぱにまかなえるから、ほかの部門には及ぼさないで、この部門だけの操作によって返済することが合理的だと考えたわけでございまして、十八機関への出資には出資回収という措置をとらなくてできるのですから、これは避けようというだけの問題でございます。
  68. 平岡忠次郎

    平岡委員 その辺は答弁のあやみたいなようなものです。これは元本であろうが、その他の果実的なものであろうが、国民の利害休戚に負担として襲いかかることは同じことだと思うのです。元本の運用の結果の配当収入または利子というものは元加されます。そういうことですから、今までは開銀の納付金は産投会計から放出される別の産業部門への出資金として使い得たのですけれども、今度やはり見返り資金をもって対米債務返済に充てるということになれば、それは元本的なものであろうと、果実的なものであろうと、今までの開銀納付金等が他の産業への出資に使い得たということが結局遮断されるわけですから、国民の負担にかかっていることは間違いないのです。だから二重払いではないということが証明し得たとしても、少なくとも二重的な負担となるという点においては、元本であろうが、果実であろうが、その点は一つも違いがないことだと思うのです。従いまして、そのあやをつけて、元本の方はいじらぬでも逆用できるとか、そういうふうな一つの行き方、あるいは他に出資しているものを引き揚げるのは、これはすぐ一般会計からの補充とか、そういうことが具体的に要求されて、国民の負担である点がクローズ・アップされる、そういうことからあなたは避けておると思うのですけれども、その両者を、果実と元本を区別するような一つの答弁というものは、国民の利等関係からは大して意味がないことだけは特に肝に銘じておいてほしいのです。要するに、見返り資金は、元金であろうと、納付金であろうと、貸付回収金であろうと、貸付金利子であろうと、アメリカに返すという条約なかりせば、日本産業伸展のための財として使い得るものだという、この点が大切なことであります。そういうことですから、今まで往々にして元本に手を触れずに運用益でいけるということは、大して意味がないということをこの際申し上げておきたいと思います。
  69. 堀昌雄

    ○堀委員 関連して。運輸大臣にちょっとお伺いいたしておきますけれども、先ほどの御答弁で、本年度は造船利子補給のたな上げの問題は起きてこない、いろいろ吟味をするとか、来年度からそういうことを期待したいというようなお話がございました。来年度に期待をされておる造船利子補給のたな上げの額は、運輸省としてはどのぐらいを期待しておいでになりますか。
  70. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これは実際に各会社整備計画を立てさしてみませんとわかりませんが、まあ大体三十億から四十億というところであろうかと考えております。
  71. 平岡忠次郎

    平岡委員 大蔵大臣からのお答えの前に中断されたわけですけれども、今私が申し上げたような事情は、もっと具体的に申しますと、現に今年度におきまして二百三十億円を一般会計から産投に入れる、これをもって輸銀への二百億円等に出資する羽目になった。また貸付金の回収分もガリ・エロ返済に充てられてしまえば、別に資金運用部から充当せざるを得ない、そういうことで他への融資を制約される結果になるわけであります。要するにガリ・エロの援助物資クレジットとして確定したことがすべての禍根となっているわけであります。私どものこの委員会では、経理法案としての産投を中心議題として、その立場論議していくことには間違いございません。グラントクレジットであると確定したということが、国民に対して二重払い的苦痛を与える根源になっておるということでありますので、一応私ども中心課題は、産投の経理関係論議ということを土台にいたしますけれども、そういう意味におきまして、外務委員会あるいは予算委員会等において論議を十分尽くされなかった方々が、この機会に、今の議題になっておる大前提であるところの返還資金の性格、これが債務であるかどうかの問題等につきましても当然この委員会で触れますが、その点は、野党側のいたずらな引き延ばしとか、そういうことではないのでありますから、大蔵大臣を初め、やはりそうした自由に討議される場において、十分論議を尽くしていただくようにお願いをしておきます。先ほど大臣のおいでになる前にそのことを特に申し上げたわけでありますので、御了承の上、制約された時間ではございますが、十分な論議を尽くされて、外務委員会等における変な例ではなしに、この大蔵委員会は伝統のある一つの委員会をやっておるわけですから、そういうことで御応答願いたい。  大臣は時間的な制約があるということを聞いておりますので、午前中はお帰りになってけっこうです。  返還協定が成立したわけでありますから、私の方の議論とすれば、今申し上げた保留はいたしますけれども、前向きの議論をしていかなければならぬ。あと問題として残っておる点はどういう点かといいますと、返済金の使途に関して、米国との正式な取りきめはどういうことであるかをお答え願いたい。
  72. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 返済政府資金につきましては、二千五百万ドルを教育、文化交換計画に使いまして、残余につきましては未開発地域と申しますか、低開発地域の開発に使うように相なっております。
  73. 平岡忠次郎

    平岡委員 昭和三十四年の十月に、佐藤・アンダーソン会談が行なわれた際に、アンダーソンの言いけらく、これは前段のことはいいのですけれども、その中に、日本は、東南アジア開発または日米共同目的に使うよう希望しておるけれども、これは債務支払いの条件ではないということを言っております。そうしてアンダーソンの言ったこと自身は、本協定の中にまでやはり持ち込まれてきておると思うのです。その辺のことが、国民とすれば、もらったようなものがまた借金だということで取り上げられるけれども、せめて東南アジアの開発とか、そういうことに使われればということで、多少この協定を容認する条件として、そのことを考えたと思うのです。そういうことですから、このアンダーソンの言った、東南アジア開発または日米共同の目的に使うように希望している、日本側の言い分に対しては、これは債務支払いの条件ではないと言っているわけですね。その点は、今度の最終的な協定に、あるいはこの裏の話し合いの中にどんなふうにきまっておるか、お教えを願いたい。
  74. 天野公義

    天野政府委員 外務省からお答えするのが筋だと思いますが、手元に資料がございますので、資料に基づいてお答えを申し上げます。低開発諸国に対する経済援助に関する交換公文という、一九六二年一月九日、日本の小坂外務大臣とライシャワー大使との間に交換公文がございまして、その公文の第二項に「両政府は、東南アジアの諸国の経済のすみやかなかつ均衡のとれた発展が日本国及び合衆国が深い関心を有する同地域の安定と平和に不可欠であること、及びこれらの諸国がこのような発展を遂げるためにはこの目的に寄与する開発援助が緊要であることを認める。よって、両政府は、関係諸国が表明する意向を十分考慮しながら、この目的に従い引き続き随時相互に密接な協議を行なうものとする。」というようなことがございまして、大体これで了解できております。
  75. 平岡忠次郎

    平岡委員 政府間ではそう了解をされても、アメリカは議会の意思が当然強いわけです。そういうことで、大統領がこうした目的に沿うために出した法案ですか提案ですか、これは一回否決になったわけですね。目下また再提出されておるというようなことを聞いておりますけれども、その否決された事情、それから今回の見通し、その点をお伺いします。
  76. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 お話しのように否決になっております。否決になりました事情は、こちらの大蔵省といたしましてはつまびらかにいたしておりませんが、今、政務次官が読み上げましたような交換公文がございまして、アメリカとしては日本政府と一緒になりまして、東南アジアの開発のために使うという方向で努力することと了解になっております。
  77. 平岡忠次郎

    平岡委員 東南アジアの経済開発ということに限定されれば、つまり経済開発ということに限定されればいいのですが、例のSEATOとか、そうした軍事同盟的なものの裏づけになるというようなことになると、日本国民としては浮かばれません。これは債務性があるなしの点は一歩譲って、債務性のために本協定ができたとしても、日本が返したお金がアジアに戦火を呼ぶところの一つの発端になる、そういうことになると、この点は国民意思では断じてないわけであります。従いまして、返済協定ができたから能事足れりとせずに、この使途につきまして、まだ政府は当然重大な責務を負うておると思うのです。こういう点につきまして、政府はどういう決意をされておるか。
  78. 天野公義

    天野政府委員 ただいまお話にありましたような戦火の原因になるというようなことは、絶対にないと考えております。
  79. 平岡忠次郎

    平岡委員 二、三日前に、交換学生とか、いろいろ文化交流のために二千五百万ドルですか、それを使う一応の計画の概略が発表されました。非常に取っつきがよくて、PRの価値は十分なんですけれども予算的に見ますと、四億九千万ドルのうちの二千五百万ドルということになれば、たった五%ですね。そこいらだけがえさになって、あとずるずると変な方に使われては困るんですよ。そういうことですから、米国それ自身の意図というものは、日本に対して慈善を施すということではないはずでありまして、日本はやはり米国支配下の軍事同盟的な——これは軍事同盟といっても近代戦ですから、経済の協力なしではできません。そういう広範な意味での軍事的範疇に、日本からの返還金を使うという意図は、一つもアメリカとしては捨てていないと思うのですね。そういうことですから、これは政府としては国民に対して、力関係でどうしようもないということでなしに、徹底的にふんばってもらわなければならぬと思うのです。そういう点をわれわれとしましては、今後十分議会としても政府を鞭撻して、そうした間違いのない結果を招来するようにということを考えておりますけれども、これは池田首相にでも言うことになろうと思うのですけれども、この点につきましてまだ後刻同僚諸君からも十分申し上げるつもりでありますので、一つ政府の高度のりっぱな所信をお聞かせ願えれば幸いであります。大体一切りになりましたので、私の質問はこの程度にしますが、天野政務次官からもう一度御答弁願います。
  80. 天野公義

    天野政府委員 先ほど申し上げましたように、東南アジアの経済援助に使われるということは非常に好ましいわけでありますが、それが戦火の原因になるということのないように、われわれも極力希望し、またそうなることを確信をいたしております。
  81. 小川平二

    小川委員長 広瀬秀吉君。
  82. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 引き続いて、若干の質問をさしていただきたいと思います。先ほど平岡委員が申し上げましたように、対米債務の返還の問題について、債務性の問題は一応本院においては結論が出たわけでありますが、私どもこの論議の過程を通じまして、議事録によって詳細読んで見ましたが、債務と心得るということについて、どうしても日本語の解釈としても何か釈然としないものが依然として残っておるわけであります。それで池田総理の答弁によりますと、債務と心得るということは、要するに放出物資の中にはグラントの部分もあります、あるいはクレジットの部分もあります、こういうようなことをそのままの言葉を使ってもよかったのだけれども、簡単に債務と心得る、こう言ってきたんですよ、こういうわけであります。そこで米国側から出した資料では十九億七千万ドルくらいになる、通産省ではじいたところでは十七億五千万ドルくらいになる、こういうような数字が両方出来ました。結果的に、四億九千何百万ドルということでこの協定が発効すれば、それで債務が確定をするんだということになりますと、それじゃ今まで債務の部分もあります、それからグラントの部分もあります、こう言っておったものが、いわゆる四億九千万ドル分についてはこれが債務の部分であった、それ以外はグラントの部分であった、こういうように解釈すべきなのかどうか、こういう点についていわゆる債務と心得ますと言っておった時代と、今本院を通過した現時点において、その点をどう解釈づけるものか、この点についてのはっきりした見解を一つお聞かせいただきたい。
  83. 天野公義

    天野政府委員 債務の確定するまでは、債務と心得るということでいろいろ折衝し、債務額がきまりました以上、決定した債務額が債務であるということになるわけであります。
  84. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今の答弁、非常に簡単過ぎてちょっとわからないのですが、結局今まで債務と心得ると言っておったのは、そういう二つの面があった、従って現時点においては、結局はそういう債務と心得るということでおったものは、これは結局債務分は四億九千万ドルで、その他は贈与だったのか、グラントだったのかどうか。この点を私の質問にずばりと答えていただきたいのです。
  85. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 政務次官お答えいたしましたように、債務と確定いたしますのは今国会で御承認を得まして協定ができ上がったときになるわけであります。その金額は四億九千万ドルでございますが、先生御指摘になりましたように、十九億何がし、あるいは通産省の資料では十七億ドルというものはグラント贈与も含んでおりまして、その全体を何とか戦後解決しなければならない、処理しなければならないものという意味におきまして、債務と心得ておったわけでありまして、四億九千万ドル以外のものは贈与である。四億九千万ドルは債務であるというふうにはっきりと分けられる性質のものではございませんで、十数億何がしというものは債務として何がしかの処理をしなければならぬと考えておったものを、今回両国の話し合いによりまして四億九千万ドルにきめた、四億九千万ドルが債務なのだ、かように考えるわけであります。
  86. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そこらあたりからほんとうにあの議論を何回読んでも私ども理解と納得がいかないわけなんです。今、理財局長は十七億、十九億、それは一体どっちがいわゆる債務と心得るものなのか、十九億がそれなのか、十七億がそれなのかという点についてもとうとうはっきりしたお答えは何にもない。そしてしかも十七億か知らぬ、十九億か知らぬが、その中には債務の部分はあります、あるいはグラントの部分もあります、こういうことだけだった。そこで今四億九千万ドルはこれは通ることは確実になったわけですから、これは債務として確定をしたわけです。それ以外の部分はこれはもう贈与であった、こう見ていいんじゃないかと私ども思うのですが、そうじゃないんですか。
  87. 天野公義

    天野政府委員 先ほどお答え申した通り債務と心得ておりまして、それが日米間の折衝でいろいろ政治的な要素も含まれまして、そして四億九千万ドルにきまって、その四億九千万ドルが日本債務、こういうことになったわけでございます。だから残った部分は当初の贈与分であるということにはならないわけであります。これはまた別個の問題だと思います。
  88. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それではそれは結局どういうことなんですか。十七億の場合、十九億の場合、四億九千万ドルを差し引いた残余の部分というのは一体何だったのですか。
  89. 天野公義

    天野政府委員 その分は結論としては援助ということになって返さなくてもいい、こういうことになったものであります。
  90. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そうしますと、日本政府として何を目安に交渉をしたか。これはいわゆる法的債務ではないけれども、道義的債務であるとして日本政府の脳中にあったものはやはり四億九千万ドルくらいはこれは債務じゃないかということで交渉したのでしょう。そうでなければそういう数字が出てくるわけはないですね。そうだとすれば、債務と心得るということで込みになっておったもののうち、それもあります、これもありますという、その債務と心得る分が四億九千万ドルだという解釈以外にないじゃないですか。負かしたというのですか。いわゆるガリオアのガバメント、行政費というものと、リリーフ・イン・オキュパイド・エリアズという、そういうものとどういう関係にあるのですか。行政費なりあるいは無償贈与の分は残りの部分だった、こういうように解釈すべきじゃないですか。
  91. 天野公義

    天野政府委員 そういうこまかい点、むずかしい点は、本来ならば外務大臣お答えするのが筋合いではないかと思うのであります。私の理解している範囲内のことを申し上げますと、広瀬委員も御承知のようにいろいろな経緯がございまして、日本政府もこの援助物資については債務と心得るし、また米国もある程度の返還を期待しておる、もしくは返還が当然であるというようないろいろな見解も表明されておるわけであります。そこでいろいろ数字を積み上げましたところが、米国側の方で調べますと大体十九億ということになりますし、また日本の方で調べますと十七億ということになり、そうしていろいろ日米間で折衝いたしました結果、そのうちで差し引くものは差し引いてもらう、反対債務は減額する、そしてまた西独の例等も考え、いろいろな面を勘案いたしまして四億九千万ドルということに落ちついたと了解しております。
  92. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 債務と心得るという問題は、ここではあまり詳しく私はそれを蒸し返しをしたいと思って言っておるのではないのです。しかし、総理がやはり債務と心得るということは、債務の部分もあります。それからグランドの分もあります。クレジットの分も入っている、両方含んでいるのですよ。これを債務と心得ると、言葉をつづめて、言葉のよしあしは別としてそう言っているのです。こういって答弁を何回も何回も繰り返しておるのです。それに対してわが党の委員からいろいろ質問をいたしましてもその見解を遂に曲げなかったわけであります。そうしますと、それではまず第一に問題点は、十七億か十九億かという点でも遂にそれは幾らだということも確定されなかった。幾ら債務と心得る部分があるのだということもこれは二つに分かれておった。とにもかくにも四億九千万ドルというのは確定債務になることははっきりしております。そうしたならば確定債務と心得る部分は四億九千万ドルだ、それではこれとこれがあるのだといって、こっちが確定したらこちは贈与以外に何もないじゃないかということにならざるを得ないじゃないですか、これはきわめて算術的な計算と論理になると思うのです。もしそうでなければまだこの中に残りの、たとえば十七億にすれば約十二億ちょっとのものはまだ債務のものもあるのです。債務性の濃いものもあるのです。あるいはグラントの部分があるのです。その比率は一体どのくらい含まれておるのだという議論も起きてくるでしょう。そういう問題についてはどうなっているのですか。
  93. 天野公義

    天野政府委員 その点ははっきりしておると思うのでありまして、最高に計算しても十九億ドルで、最低に計算しても十七億ドルということになっておると思うのです。両国の見解の相違でありますが、それで先ほどいろいろ申し上げたような政治的な折衝の結果、四億九千万ドルの債務が確定した、そうすると残余の部分については、これは返済しなくともいい部分のものがそこに生じて、これはわが国のいただき分ということになるわけであります。
  94. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いただき分というのはグラントと、こう了解していいわけでしょう。そうしますと、いただき分というならば、これはやはり贈与とわれわれは理解する。これは速記録に残しておきたいと思う。小坂外務大臣がやはり十九億ドル、アメリカ側の算出の数字でいきますと、いわゆる四億九千万ドルは二五・何%くらいに当たる、従って、それだけは負けてもらったというような言い方をなさっておる。日本側の算出からいえば二八・何%にしかならない、大へん割のいい取引をしたというようなことをおっしゃるわけです。そういうことがそのままだと、やはり私は国民に非常に大きな疑惑を残したままになると思うのです。そういう数字などを出されるということは、今のいただきなんだということからいえば、それはまさにおかしいことになるのじゃないか。実際にはこれだけ全部が債務だったというような形にして、そのうちの二八%しか払わない、あるいは二五%しか払わないんだから、これは西ドイツの三三・一七八よりはよっぽどいいんだ、こういうような言い方をなさるというのは、やはり政府側の論理の矛盾じゃないか、こういうように考えるわけなんです。そこらあたりは、やはり国民に向かってはっきりしておかなければならぬ点じゃないか、こう思うのです。今の政務次官の答弁からいたしますならば、ドイツよりも有利になりましたというようなことを、具体的なパーセンテージまであげて言われるようなことは、もうなさらぬ方がいいのじゃないか、こういうように思うわけですが、いかがでしょう。
  95. 天野公義

    天野政府委員 実際の問題として、数字的に見ますと、西独よりも有利であるということははっきり出ているわけでありますし、また日本の実情から見まして、この見返り資金が果たしたいろいろな重要な役割ということもわれわれは了解できますし、また今後におきましても、今度の支払いにありますように、元本に手をつけず、その果実をもって、債務と確定したものを支払うということになるわけでございますから、わが国にとりましては非常に有利な条件でこれが妥結した、こういうふうに考えております。
  96. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 全然私どもとしては納得ができないわけですが、この委員会では、先ほども平岡委員から申し上げましたような立場議論を進めたいと思いますので、この問題は、やればまた切りがないことになりますので、あえてこれ以上蒸し返さないつもりでおるわけであります。  このいわゆる援助物資国民に対する払い下げ代金を見返り資金特別会計に積み立てた、これが二十八年から産投会計になってきたわけでありますが、その見返り資金の使途、そういうものを作れということ、これもアメリカからちゃんと指定をされておったわけです。そしてその見返り資金時代に、この運営等についても、やはりアメリカからのこまかい指示があったと思うのです。見返り資金特別会計の時代のこの資金の運用について、大体どういう方針でやってこられたか、これはアメリカの指令との関係で、大体その指令通りに行なったと思いますが、その概要について、一つ説明をしていただきたいと思います。
  97. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 見返り資金特別会計法に規定いたしておりますように、援助資金は、通貨及び財政の安定、輸出の促進その他経済の再建並びに特定の教育事業に必要な使途に充てることといたしておりまして、運用といたしましては、国債に運用し、あるいは国債の償還に関する使途に使用いたしますほか、国、国以外の公企業もしくは私企業に対する資金に運用いたしておりまして、国もしくは国以外の公企業に対する資金に使用することができる、この規定に基づきまして、公企業支出、私企業支出、債務償還導いたしておるわけであります。
  98. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 産投会計に引き継いだときの見返り資金特別会計からの承継資産は二千二百九十四億円ということになっておるわけでありますが、見返り資金に積み立てた総額というものは一体幾らになりますか。
  99. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 見返り資金に積み立てました援助物資等処理特別会計並びに貿易特別会計から繰り入れられました見返り援助物資の積立額は三千六十五億円でございます。
  100. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 その額というものは、いわゆる物資の払い下げ代金の徴収額と完全に見合いますか。そのほかに、この見返り資産に積み立てる以外に、払い下げ代金というものはどういうことになっておりますか、その関係を明らかにしておいていただきたい。
  101. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 この援助物資の見返りの積み立て繰入額は法律の規定に明らかになっておりまして、援助物資のドル価格に一定の換算率をかけました相当の円価格ということになっております。従いまして、百ドルの援助物資が入るといたしますと、昭和二十四年四月一日から二十四日までは三百三十円レート、それ以降は三百六十円のレートで換算いたしまして、援助物資の百ドル相当額を入れておるわけであります。ところがその百ドルの価格は、御承知のように、当時物価安定ないし国民生活安定のために安く払い下げておりまして、払い下げ物資の代金は八十ドル相当額になっておりまして、二十ドル相当額は税金でもって価格差補給金を出しております。従いまして、資金繰りといたしましては、二十ドル分の価格差補給金というものは援助物資等処理特別会計の方から入っておりますけれども、積み立てられた金額そのものは、援助物資のものの代金と申しますか、ものの価格そのものでございます。
  102. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 次に進みますが、見返り資金からの承継分が二千二百九十四億円産投会計に入っておる。さらに一般会計からの承継分千百八十七億のうち六百二十五億というものが復金債の償還分として入っておるんだ、こういう説明がなされて、実質的に見返り資金の資産というものは二千九百十九億だという説明が行なわれておるわけでありますが、この六百二十五億は現在どういう形の資産になっておるわけですか。
  103. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 現在開銀に引き継がれまして、開銀の資本金の一部を形成いたしております。
  104. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いわゆる開銀出資金は今日——開銀おられますか、二千三百四十億円、これは三十六年度末だと思いますが、二千三百四十億円というのは現在の資本金ということでございますか。
  105. 平田敬一郎

    ○平田説明員 さようでございます。
  106. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 二千三百四十億のうち、見返り資産分としては二千五十三億ということで、開銀の資本金の八七・七三%が見返り資金によって占められておる、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  107. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 三十六年度末の開銀の資本金は、ただいま副総裁がお答えいたしましたように二千三百四十億、そのうち二千五十三億と申しますのは、見返り資金出資いたしましたのは千四百十億くらいであります。それからただいま広瀬委員が御指摘になりましたように、復金債を償還いたしますために、一般会計から交付公債を出しまして、その公付公債を見返り資金特別会計から現金を支出いたしまして償還いたしております。従いまして、実質的な見返り資金関係の資産と申しますのは六百二十五億でありまして、なお見返り資金の私企業に貸し付けておりますのが十八億、これは開銀の私企業に対する貸付金でありまして、これは見返り資金からの法定借入金になりまして、その後産投会計になりましてから、開銀の出資金に振りかわっております。この十八億と千四百十億と六百二十五億とこの合計が二千五十三億になります。初めに申し上げました開銀資本への二千三百四十億と二千五十三億の比率を求めますと八七・七くらいになる、こういう計算をいたしたわけであります。
  108. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それで協定に基づく返済をするにあたってのいわゆる開銀からの納付金算定の際には、この八七・三%という数字を用いておるということですね。その財源を算出する際のものもこの資本比率によってやっておる、こういうことですね。
  109. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 返済財源といたしましては、先ほど平岡委員の御質問お答えいたしましたように、開銀納付金と貸付金と貸付金の利子、そのうち納付金を毎年百三十億、年々これから五千万円程度ふえると計算いたしまして、開銀納付金のうち八七・七%、この分が見返り関係の収入である、かような計算をいたしておるわけであります。
  110. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 八七・七%ですか、三%ですか、どちらですか。
  111. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 八七・七三%です。
  112. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 開銀関係に資産の大部分が出資をされておるわけでありますが、開銀から、見返り資金の中から、沿革もあろうと思いますが、その中で融資をいたして参ったと思うのです。それについての不良貸付といいますか、回収の困難なあるいは将来戻ってくることの予想されないようなものがあると聞いておるわけですけれども、こういう状態について開銀の方から見通し、現状、こういうようなものについて伺っておきたいと思います。
  113. 平田敬一郎

    ○平田説明員 私から概略御説明申し上げたいと思いますが、開発銀行資金は御承知通り自己資本としまして、見返り資金その他から払い込みを受けました払い込み資本金でございます。それと、その後年々利益の中から一定額を積み立てておりまする積立金、それからもう二つございまして、一つは資金運用部分から借り入れております借入金、それから先ほどから話が出ております見返り資金の貸付を開銀で引き継いだ分の借入金と申しますか、そういうものがございまして、資金としましては全部包括いたしまして運用いたしておるわけでございます。来年度の運用し得る資金は幾らかということは、毎年国会予算の付属の説明書に書いてありますような考え方でいたしておりまして、運用の方法といたしましては、御承知通り大体開銀としましてはどういう方針で運用してほしいというごく大きな方針政府からいただきまして、それに即応しまして、各企業に対する貸付を実行しておる、こういうことにいたしております。従いまして、見返り資金の分としてはっきり分離できますのは、見返り資金特別会計から引き継いだ分でございます。これは勘定も特別にしておってはっきりいたしております。それから資本金の分は一括になっておりまして、これはほかの今申し上げました一括して運用しておる、こういうことでございます。  それで現在の残高、三十七年の三月末現在におきましての残高を申し上げますと、国内資金の貸付分が全部で六千十四億円になっております。なおそのほかに、ちょっと申し落としましたが、世界銀行から外貨を借りまして国内の会社に、電電会社等に転貸している分等がございまして、つまり外貨貸付と称しておりますが、その分が全部で千四十六億円でございます。全部合わせますと、本年の三月末現在で七千六十億円程度になります。そのうち電力に貸し付けておりますのが、外貨を含めまして全部で三千二百六十二億で約四六%になっております。これは御承知通り料金の値上げその他に若干問題がございますが、元利ともいまだかつて一ぺんも延滞があったことございません。期限通り完済されております。それから海運がその次大きうございまして、千八百十二億円、全体の二五%に当たっております。その他石炭が三百六十二億円で五・一%に当たっております。それから鉄鋼は大部分さっき申しました世界銀行からの転貸借貸付金ですが、それが五百九十八億円、全体の八%。その他比較的大きいところでは、最近は特定機械と申しまして基礎的な機械工業に対しまして貸し付けております。それが百三十九億円、全体の二%。あとはいろいろございまして、全部加えまして結局七千六十億円ということに相なっておる次第でございます。  最近の回収状況でございますけれども、まず利息につきましては、三十六年度の実績を申しますと、全体で三百七十七億五千百万円の三十六年度中に利息の収入をあげております。それに対しまして三十六年度末で利息の延滞になりましたのが三億八千三百万、一%くらいが年度末で利息が延滞になっておる、こういう状況でございます。それから元本の方もおおむね順調でございますが、ただ海運につきましては、御承知通り海運政策に協力するという意味で、期限をそれぞれ設けて貸付いたしておりますが、収益の状況によりまして、年度末に査定をいたしまして、あまり無理を来たさない範囲内で回収をはかろうということをいたしております関係上、内入猶予と申しておりますが、それが三月末で三百億ほどになっております。その分が若干今後問題があるとすればあると思いますが、海運につきましては特に担保金融という点を重視いたしまして、計画造船についてはすべて第一順位の担保を実はつけておりますので、私ども見ましたところ、まず元利の回収については御心配はかけなくて済むのじゃなかろうか、また御心配をかけないように私ども管理者といたしましてできるだけ勉強して参りたい、かように考えている次第でございます。
  114. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 先ほど宮川理財局長が説明しました復金債の償還ということで六百二十五億、これがやはり開銀に出資された形になっているわけですが、その中で石炭関係融資が三百三十四億くらいあるという。そのうち炭鉱住宅用としては百五十四億だ。それで四十七億九千六百万円というのがきわめて常識的な言い方ですが、これは不良貸付になっているのじゃないか。そのうち炭住分として二十二億一千二百万円、こういうような数字を私どもいただいておるわけなんですが、このあたりはどういうことになっておりますか。完全に元利とも回収できるという見込みがあるのですか、ないのですか。
  115. 平田敬一郎

    ○平田説明員 復興金融金庫から開銀が最初引き継ぎました債権の総額は、全部通じまして七百五十八億でございました、これはもちろん石炭その他全部含みまして。それから漸次回収を順調に進めまして、三十六年三月末では九十九億円に減少をいたしております。さらに本年三月末には八十億円台に減少いたしておると見ております。特に残っております分は、御指摘の炭住その他の石炭関係がございますが、炭住につきましては炭住融資をいたしましたあのときの実際の実情等を考慮いたしまして、返済条件を相当長く実は切りかえて、漸次回収をはかっておる。従いまして、今後私どもが見ましたところ、大部分は回収できるものと考えております。ただ返済期限が相当長くなっておりますので、全部完済するのにはなお若干の時日を要するだろうと見ておる次第でございます。
  116. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今海運の方は三百億くらいが元金の回収がおくれているという説明があったわけでありますが、この炭鉱関係のものについては、元利の延滞というものが一体どのくらいの額が現在あるのか、この点について一つ数字をはっきりお示しいただきたい。
  117. 平田敬一郎

    ○平田説明員 今海運につきまして申し上げましたが、海運の方はこれは延滞というのではございませんで、期限は一応きめているが、状況に応じて開発銀行の方で申し出によりまして延滞じゃなく期限を、一種の暫定的に延ばすと、こういう措置をいたしておるわけでございます。その金額がお話しの通りでございまして、石炭につきましてはそういう措置はいたしておりません。これは海運について特別措置をいたしておりますのは、御承知のように海運界の市況が国際的に動きますので、そういう点を配慮いたしまして、そういう措置を講じておるのでございますが、石炭についてはそのような措置はいたしておりません。それによりますと、三十六年度中につきまして石炭で申し上げますと、三十六年度の期首現在で三百十一億石炭に貸し付けております。さらにその三十六年度中に新たに約九十億貸し付けましたが、年度中に回収が三十九億九千万ございまして、残点がさっき申し上げましたように三百六十一億になっている。全部累計いたしまして元本の延滞額がそれに対しまして十六億九千六百万という程度でございます。これは御承知通り石炭界の現状が御承知通りのような状況でございますので、その辺企業の実情をある程度考慮いたしまして、徴収につきましても的確を期するということにいたしております結果こういうことになっております。  利子につきましては海運、石炭、それから全部申し上げますと、海運が三十六年度中に百十六億七千万円収納いたしましたに対しまして延滞が七千万円、それから石炭は利息収入が二十億五千二百万円に対しまして一億九千万円、全部含めますと、さっき申しましたように三百七十七億円の利息収入に対しまして延滞になりましたのが約一%の三億八千万円、こういうことになります。なお詳しく申し上げませんが、この状況は三十五年度よりも三十六年度が全体として幾分好転いたしております。
  118. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 開銀に重ねてお伺いいたしますが、大蔵省では大体この延滞分が二十二、三億あるのではないかというようなことを言われておるわけなのですが、今の答弁によりますと大体十八億くらいしかないことになるのですけれども、それだけ大蔵省の数字が古くて、漸次改善をされて今十八億くらいの延滞になっておる、こういうように理解していいわけですか。
  119. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 たしか私が予算委員会お答えいたしました二十二億という数字は、三十六年の十二月末の数字ではなかったかと思います。ただいま副総裁のお答えになったのは、おそらく最近の……。
  120. 平田敬一郎

    ○平田説明員 三月末の数字でございます。
  121. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今度の協定返済財源が開銀の出資に対する納付金、出資配当といいますか、それに相当する分としての納付金が大部分なのでありますが、この納付金は大体三十三年から百二十四億、百二十五億、百三十億というように増加してきておるわけであります。この点は三十六年度はこれがさらにふえる勘定になっておるわけですが、これからの納付金の見通しというものは、この返済にあたって十五カ年償還でいくわけですから、これが一番重要な返済財源になるわけでありまして、その見通しというのは大体どういうような数字を大よそ描いておるのですか。
  122. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 三十七年度は百三十億と見ておりますが、だんだんこの自己資金の増加によりまして利息収入がふえ、また開銀は御承知のように六分五厘もの、八分七厘ものと、いろいろ貸金の利息が違っておりますけれども、地域開発等に使われております八分七厘ものの用途も相当ふえて参ると思いますので、おおむね年間毎年五千万円程度ずつふえていくのではないか。大体百三十億を基準といたしまして毎年五千万円くらいずつの納付金の増加があるのではないか、かように見ております。
  123. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 この返済財源の問題で先ほども平岡委員が問題にしました海運利子たな上げというようなこと等も、当然これは関係してくるわけでありますが、三十億なり四十億なり、新聞によれば六十一億だというようなことになって参りますと——いわゆる返済財源の問題としても、この納付金の方が五千万円くらいずつふえる、そうしますと一応三十六年末では百三十億五千万円くらいにしかならぬ。そういう状態だし、しかもそういうところへ持ってきて海運利子が何十億になるか、確たる数字はわかりませんけれども、そういうようなものが五年間もたな上げになるというようなことがあっても絶対にこれは大丈夫だ、平年度で百五十八億以上ずつ払うわけでありまするけれども、支障はないのかどうか。それをやった場合、たとえば四十億といたしましてもそれが支障になるのじゃないか、こういう気がするわけですが、その点についての計画はどうなっておりますか。
  124. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 海運利子徴収猶予の点は、先ほど大蔵大臣運輸大臣が答弁いたしましたようにまだきまっておりませんので、私どもの計算の根拠の中には海運利子たな上げのことは含んでおりません。そういたしまして、大体三十七年度から五十二年度までのおおむねの計画を持っておるのでありますが、最初のうちは対米債務返済額よりも収入の方が多うございまして、余るような格好になっておりまして、年次の途中におきましてその年の収入が、返済財源の方が乏しいというようなことがありますが、前からの繰り越しが、余裕金がございますので、これによりまして毎年欠損を生じないでやっていけるようなことになっております。もしかりに海運利子徴収猶予をいたしますれば、何年間は支払い財源に不足するというような事態が参りますけれども、しかし全体の年度を通じていたしますれば、徴収猶予でございますので、あとから返って参りまするので、返済財源全体としては支障を来たさない、かようにはっきり申し上げられると思います。
  125. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 たとえば海運利子のたな上げが新聞に出たように六十一億だというような場合でも、その点自信を持って払えるということになりますか。
  126. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 かりに六十一億という数字になりましても、先ほどお答えいたしましたように、ある特定の年次におきましては不足することが起こって参りましょうけれども、たな上げでございまして、あとから、五年くらいで返って参りますので、支払いまする最終年度までの分を合計いたしますれば、返済財源としては不足しない、こういう計算になることは明らかであります。
  127. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 その見通しの数字を具体的に一つ自信のほどを示していただきたいと思います。
  128. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 冒頭平岡委員の御質問お答えいたしましたように、二千八十五億の対米債務返済額に対しまして、二千二百二億の返済財源がございまして、百七十億の余裕があるわけであります。従いまして、その年度の途中におきまして、ある年におきまして徴収猶予がございましても、後年度においてそれが返って参りまするので、不足を来たすということにはならぬわけであります。
  129. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 開銀の納付金が千七百五十七億、回収金三百五十四億、利子九十一億ということで二千二百二億の財源は確保できる。しかしここで今はっきりしたことは、ある年次においては返済金に対して不足を生ずることがあり得るということを今初めておっしゃったわけですが、そういう場合のやりくりの問題については、先ほど資金課長ですか、見返りの資産全体の中では操作ができる、こういう答弁だったと思いますが、やはりそのような方針ではっきりやれるのだ、こういうことですか。やりくりを具体的に一つ……。
  130. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 これはやりくりの問題以前の問題だと思いますが、海運政策上そういう措置がどうしても必要ということなら、産投の方の返済財源の問題はすでにわれわれとして予定している線でございますが、それと別個の政策によってそういう問題が出てくるのでございまして、従ってそれによって産投の返済財源に響くという話とは筋道の上で違うのじゃないか、こう考えております。
  131. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今の答弁は非常に抽象的で、私どもにはわからないわけですが、それは一般会計から繰り入れをしなければならないということを意味しますか。そういうことにならざるを得ないのじゃないですか。
  132. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 たな上げやり方あるいは金額等によって違って参ると思いますが、具体的には産投会計の中には見返り以外の収入もございますので、その程度いかんによっては産投会計の中のやりくりで間に合うというふうに数字的には考えます。
  133. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 私が聞いているのは、産投会計の中でやれることはこれは当然やれる。この資料をいただいた中から見れば幾らでも財源はあるだろうと思いますが、そうではないのです。あくまで見返り資金で一切を片づけていくのだということを強く一貫して答弁をなさっているわけです。そうしますと予算委員会なりあるいは外務委員会なりで答えられたこととこの問題が食い違ってくるじゃないかということを聞いておるわけなんです。産投会計全体の中でやりくりができることはもうわかり切っております。見返り資金特別会計承継分の中で開銀でも出資金だけでは一緒にして、そのパーセンテージで納付金なんかをはじく基礎にしている、しかしながら貸付金なんかについては会計上も別建てにしていますという答えがあったわけですが、そういう工合にして、その中できちんとやれるのだということを一貫して言ってきたと思うのですが、今の答弁では、これは新しく問題が提起されたと思うのです。この点について責任ある答弁を一つお願いします。
  134. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 従来予算委員会あるいは外務委員会で御答弁を申し上げましたのは、各年度の歳入財源並びに返済額とのバランスを申し上げたのではございませんで、全体といたしまして二千八十五億に対しまして二千二百二億財源がございます。これは見返り関係の資産でありまするので、見返り関係資産で返せる、かように申しておったわけであります。ただいま御指摘になりましたように開銀の利子の徴収猶予をいたしますれば、ある年次におきましては不足いたしましょう。しかしながら、結局それはその後年度において利子がまた返って参りますので、見返り関係利子も返って参ることになりますので、全体といたしましては返済財源として見返り関係の資産を使っているという従来の答弁と食い違いはないわけであります。
  135. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今の答弁では非常に苦しい答弁をなさっておるわけですが、海運利子のたな上げの問題がまだ現実に具体的な姿をとって現われていない現在においても、開銀においては、この元本の回収というようなものについては海運界とよく相談をして、相当めんどうを見てやっているというようなことは、おそらくそういうものを前提にした計数をはじいていないと思うのですね。それからさらに今度は利子をたな上げするというような新事態が起きますならば、これは二千二百二億から二千八十五億ですから、百十七億ですか、そういうような差があるから大丈夫だといいますけれども、年々五十億近くもあるいは六十一億というような数字で五年間もたな上げをしていくというようなことになれば、この額はきわめて簡単に算術計算しただけでもこれは十五年間にはとうてい払えないのじゃないか。ある年次にはということでなしに、十五年終わった時点をとらえてみて、これは返せなかったということになるのじゃないですか。そうすればやはりその他の一般会計からどんどん繰り入れを毎年やっている産投会計から全体としてそれを払っていくという形がどうしたって出るじゃないですか。
  136. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、たな上げでございまして、その利子を免除するわけではございませんので、五年間たな上げいたしますけれども、そのあとまた返って参りますので、二千二百二億の計算には狂いはないわけであります。
  137. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 五年間たな上げをしまして、それでは次の五年間にそのたな上げした分を完全に回収できる、そういうふうなことが現実の政策としてやれますか。それは相当長期にわたってなしくずしにやらなければ、完全な回収というものはできないだろうと思うのです。十五年間に返済をするという中ではそういう無理なことはできない。海運界が五年で完全に利子をたな上げしただけで立ち直るのだという保証はどこにもないわけです。そうすると五年間が切れたから、今度は次の五年間には完全に六十一億ずつやったら、六十一億ずつ余分に利子を回収していくというような政策は非常にドラスティックなものになって、とうていできる相談じゃないと思います、本来六十一億億取るものを、その上にまた六十一億乗っけて取っていくというようなことはできないだろう。そうすると少なくとも二倍なり三倍という期間を要するのではないか、こういうように考えるのはしごく当然のことです。これは運輸省がおらなくなりましたからその点はわからないのですけれども、そういうことでは私は答弁にならないと思うのです。その点はっきり一つ……。
  138. 天野公義

    天野政府委員 先ほどから六十一億というお話しでございますけれども、先ほど運輸大臣が概算の見積もりとして三十億ないし四十億というようなことをおっしゃっておられましたが、この問題もまだ最終的に数字がきまっているわけでもございませんし、具体的にどうするということも今検討中のことでございます。従いまして、数字の点については広瀬委員お話と開きがあるわけでございます。そうすることによって海運企業がかりに立ち直るということになりまするならば、今度はもっと前よりも能率的に利子の償還ということも考えられましょうし、これは今から三年後、五年後の海運の状態がとうなるかということについては、非観的な見方ばかりしているわけには参らないかと思うわけでございます。先ほどから御答弁申し上げておりますように、一時たな上げということがかりに行なわれたといたしましても、それは免除ではないわけでございまして、たな上げ期間が過ぎますと、これは当然償還されてくるものでございます。従いまして全体の対米債務返済計画については変更はないというふうに考えておるわけであります。
  139. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 対米債務の返還についてその変更はない、それは先ほど資金課長がはしなくも言いましたように、産投会計全体の立場で、その中で込みにして払えば何ぼでも払える。それはやろという腹があなたにもあるからそういうことを言うのだと思うのです。しかし国会論議を通じて、産投会計の全体ではなくて、見返り資金国民に払い下げた物資代金を積み立てたその会計の中でやっていくのだ、その操作でやっていくのだ、だからあらゆる意味において二重払いにはならないのだということを強調して各大臣も答弁をされているわけです。それで私は積極的な意味において二重払いということだけを言っているわけではないわけです。やはり産投会計には千億以上の資金をつぎ込んでいるわけです。これは一般会計から国民の税金でつぎ込んでおるわけです。そういうものが入ってその返還に充てられているわけです。財源に充てられているということになれば、先ほど平岡委員も指摘しましたように、当然貸し出さるべきところの資金が回らなかったり、その他いろいろな意味で消極的意味を含んだ二重払い、二重に国民に犠牲を負わせるような形というものが出るのではないか、こういうことを言っているわけです。そうしますと今の御答弁によりますと、やはりそういった意味では国民に二重の犠牲を受けさせるという意味での二重払いということは避けられないのじゃないかということなんです。たとえば今の海運利子の問題にしましても、もしそういう自信があるならば、まだ六十一億か三十億か四十億か五十億かは決定してない、しかし一番低い数字でかりに三十億となった場合はどういう結果になりますか。十五年の償還期限の最終期限までにどういう状態になるのか、この中だけでやりくりが、三十億ならできるのだ、四十億になるとちょっと無理で、六十億になったらこういう状態になりますという責任持った数字を、四十億にかりに決定するとしたら幾らなんだという——これはもちろん仮定に基づく数字だと言われるかもしれないけれども、いずれはこれが実現するだろうと思われる。そういうことをやらないというならそれでいいですよ。絶対やりません、これはまた別途の方法を講じますというのならいいですが、やるのだという方向がほとんど確定的なものじゃないかと思うのです。ことしになるか来年から始めるかは別として、そうだとするならばやはりこういう場合にはこうなりますという数字を一つ明らかに示していただかなければ、私どもは納得するわけには参らぬわけであります。その点は一つそういう数字をはじいてわれわれにお示しをいただきたいと思うのです。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
  140. 天野公義

    天野政府委員 先ほど大蔵大臣も御答弁申し上げたように、見返り関係資産はこの開銀の分以外にもたくさんあるわけでございますが、それらの各方面に対する出資とか、そういうものを一応排除いたしまして、この関係一本にしぼってきているわけでございます。従って、この関係だけが見返り資金の積立分というわけではございません。産投のこの部門の方から返していこうという建前で進んでいるわけであります。従いまして、その見返り資金の積立分だけそれを返済するということだけでも、二重払いじゃないわけでございますが、その利子収入によって払おうというわけでありますから、完全にこれは二重払いじゃないということは御了解を願いたいと思う次第でございます。  それから海運利子のたな上げについて幾らの場合はどう、幾らの場合はどうということにつきましては、これは仮定の問題でございますので、幾らの場合の資本計画はどうなるか、かりに五億の場合はどうなるか、十億の場合はどうなるか、六十億の場合はどうなるかというような一々のことについてはこれは仮定の問題でございますので、現在ではお答えできないわけでございます。しかしながら、建前といたしましては、先ほどから申し上げておりますように、これはあくまでも二重払いでなく、しかもたな上げということが行なわれましてもこれは後刻返済をされるものであって、返済計画全体につきましては全然支障のないものである、このように了解をいたしております。
  141. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 了解するほどの説明はなかったわけでありますが、開銀の方の石炭の問題につきましても、やはり十八億程度のものが見返り収入になっておるわけであります。これもこれに合わせて考えていきませんと、やはり仮定のものだと言われればそれまでだけれども、しからば来年になって、この方式でいった、開銀の海運に対するたな上げが実現したということになった場合には、われわれは一ぱい食わされた、結局国会答弁もいいかげんなもので、仮定の議論だということで片づけられて、それでそれ以上の追及を何もしないでやったということになりますと、これはわれわれは国民に対して申しわけない立場なんです。そういうことを想定しても大丈夫なんだという根拠があるのかないのかということは、責任を持って答えてもらわないと、ほんとうに先ほど言ったように払い下げ代金を二回取られるという意味での、そういう積極的な意味での二重払いでないにしても、やはり二重に払い下げ代金を払った、その上になお国民各層が犠牲を受ける、こういう意味で私どもはやはり二重払いの一種だ、このように思うわけであります。そういう事態というものが出る可能性はあるのだ、こういうように考えざるを得ないわけです。  ちょうど一時になりましたから、一時までという約束ですから私は午前の質問をこれで終わりたいと思います。あと将来の財政融資の中における産投会計のあり方等の問題をめぐりましては、午後の質問に譲らしていただきたいと思うわけです。
  142. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 関連質問を許します。堀委員
  143. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと開銀にお尋ねいたしたいと思いますが、開銀の方から産投会計に入ります入り方は、開銀の決算が三月と九月でございますから、その三月と九月だけしか産投会計に繰り入れられることはないと思いますが、いかがでしょうか。
  144. 平田敬一郎

    ○平田説明員 開銀の本式の決算は実は一年に一回になっておりまして、納付金としまして正式に最終的に確定いたします納付金というものは、一年の決算ができたあとでございます。今、理財局で御説明になっております約百三十億というのはその納付金だと思います。ただし、別途に政令によりまして六月に一種の中間決算を作ることになっております。それでその決算に基づきまして概算納付金というものを、決算がきまりましてからたしか二カ月くらいの以内だったと思いますが、払いまして、それから三月につきましても同様に先に概算納付金を払いまして、それで最後に精算納付金を払う。従いまして、事実上は三回に分けまして納付金を払う。最終的に精算額がきまりまして払いますのは、年度を過ぎまして決算が確定したあと、それで一年間の納付金が確定する、こういうことになっておりますから、事実上は三回払いということになっておるわけでございます。
  145. 堀昌雄

    ○堀委員 さっきの理財局の御答弁だと、開銀の分の九十一億については三月と九月に二回に分けて半分ずつ入るのだということでしたね。今のお話とだいぶ違うのですが、どうですか。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
  146. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 先ほど申し上げましたのは、三十七年度予算に織り込んでございます開銀の分の数字を申し上げたわけでございます。ただいま開銀の副総裁が申し上げましたのは、開銀の納付金全体の話でございまして、全体は百三十億、来年度の予定でございますこの百三十億が年度内に現金で入りますのが、概算納付金としまして九月と三月に約八割入ります。残りの二割が五月の末に精算納付金として入りまして、全体で百三十億。そのうち二十一億が年度内の現金収入として入る、こういうことを申し上げたわけであります。
  147. 平田敬一郎

    ○平田説明員 ちょっと補足しておきますが、私前半期の分はたとえば九月後と申し上げましたのは、九月の決算を九月末直前に概算で計算しまして、九月末までに払う、こういうことにいたしておりますので、三回払いであることは間違いございませんが、概算払いの期限につきまして、最初に御説明申し上げましたのがやや不正確でございましたから、補足さしていただきます。
  148. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。
  149. 小川平二

    小川委員長 この際休憩して、本会議散会後に委員会を再開することといたします。  暫時休憩いたします。    午後一時四分休憩    ────◇─────    午後四時四十五分開議
  150. 小川平二

    小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  産業投資特別会計法の一部を改正する法律案議題として質疑を続けます。田澤吉郎君。
  151. 田澤吉郎

    ○田澤委員 ガリオア・エロア返済協定に関しては、すでに予算委員会外務委員会等において十分審議が尽くされて衆議院を通過したのでありまして、私は、この債務と心得るという点に関しては十分了解できるものであります。ただ、ここで質問しようとする点は、去る二月六日の本会議において外務大臣ガリオア・エロア返済協定の趣旨説明において、「ガリオア債務の支払につきましては、開発銀行資金に対する毎年度の納付金と開銀貸付金の約定に基づく回収金及びその利子収入によっても十五年間に十分完済し得るものでありまして、債務支払い後も納付金のもとになっている出資金はそのまま手つかずに残り、引き続いて収益を生み続けていくわけであります。」こういうように言っているわけでございますが、この点に関して大蔵大臣は確信を持ってこれをなし得ることができるかどうか、まず最初に御答弁を願いたいのであります。
  152. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは確信を持って返済できると思います。
  153. 田澤吉郎

    ○田澤委員 よくわかりました。  次に先ほど平岡議員からの質問に対しての答弁で、ガリオアの支払いは元利合計二千八十五億円である、これに対して政府は開銀の十五年間の納付金千七百五十七億円、開銀貸付金の回収金三百五十四億円及びその利子収入の九十一億円、合計して二千二百二億円によって支払うと言っているのでありますが、社会党議員の主張するところは、元来見返り資金は当時一般会計から五百八十六億円の価格差補給金の繰り入れをしており、そこでこの五百八十六億円は見返り資金全体に対して繰り入れたものであるから、見返り資金全体、すなわち三千六十六億と開銀に出資ないし貸し付けた分の比率を求めて、これにより開銀に回された一般会計繰り入れ分を算出すると約三百六十五億円となる、従ってさきにも述べましたように、開銀関係の収入二千二百二億円から三百六十五億円を控除せねばならない。そうしますとガリオア・エロアに支払う財源としては千八百三十七億円しか残らなくなるのでありまして、不足してくるわけでございます。この不足分を一般会計から補うとすれば、いわゆる産投会計資産の中に税金が入ってくる、そこで、二重払いになりはしないかという議論が生まれてきているわけでございますが、こういう点に関しての、そうでないという一つの考え方をお示し願いたいのであります。
  154. 水田三喜男

    水田国務大臣 今おっしゃられましたように、価格差補給金がこの援助物資処理特別会計に繰り入れられ、売却代金と一緒に援助物資処理特別会計資金繰りの役割を果たしたということは事実でございます。しかし御承知のように、見返り資金の積み立ては、法律にはっきり規定しておりますように、援助物資の処分代金というものではなくて、援助物資のドル価格の円換算額というふうになっております。従って、百ドルの援助物資を受け入れたから、百ドル相当額の見返り資金を積み立てたというのでございまして、この積立金をもとにして対米債務を支払おうとするものでありますから、別に私は問題はないと思います。それで、たとえば百ドルの援助物資が、二十ドルの相当額の補給金があったとしますれば、国民は八十ドルで援助物資を払い下げられたというだけでございまして、国民全体から見ましたら、百ドルの援助物資はやはり百ドルで買ったという事実は変わりませんので、従って、百ドルの援助物資の受け入れ価格に見合う見返り資金の百ドルで支払いをするということは、国民から見たら二重に払ったものじゃないということがはっきりいたしますので、この中にたとい価格補給金が一部含まれておるとしましても、その点の問題は全然ないだろうと考えています。
  155. 田澤吉郎

    ○田澤委員 次に、今回改正案として出ております産投会計法の第一条の第三項で、「政府日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づいて合衆国政府に対して負う債務は、この会計の負担とする。」ということで、産投会計で支払うということは明瞭になったわけでございますが、ただ、私がここで質問したいのは、投資勘定というものとガリオア・エロア返済勘定と区分していく必要がないかということでございます。それはたとえて申し上げますならば、食糧管理特別会計法の中の第一条ノ二の中に、「本会計ハ之ヲ国内米管理勘定、国内麦管理勘定及輸入食糧管理勘定並農産物等安定勘定、業務勘定及調整勘定ニ区分ス」と、こういうように区分しているわけでございます。また、国有林野事業特別会計法の第二条の二にも、「この会計は、国有林野事業勘定及び治山勘定に区分する。」、こういうように区分してあるわけでございますが、産投会計の場合に、投資勘定とガリオア・エロア返済勘定を区分しないという点は、どういう点で区分しないのか。また、区分する必要があると思いますが、その点に対するお答えを願いたいと思います。
  156. 水田三喜男

    水田国務大臣 当初、対米債務支払いのための特別会計を作るか、あるいは別勘定を設けるか、産投会計の中でこの区分をやるかということについて、私どもは十分検討いたしましたが、結局、それらの必要がないという結論で、ここに法案の御審議をお願いしているような形で支払い方法をきめたわけでございますが、そのこまかい点については、政府委員から説明いたします。
  157. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 当初経理を明確にいたしますために、産投会計とは別に支払い会計を作ろうと思っておったのでありますけれども、始終御説明申し上げておりまするように、二千八十五億のガリオア返済債務に対しまして、産投会計内で十分支払いできるという確信がございますし、技術的に申し上げましても、別に支払い会計を作りますと、御承知のように、出資する対象だけでも二十くらいございまして、それが両会計から出資するということになりますと、非常に繁雑な手数がかかります。それに、支払い会計に余裕が生じました場合に、これを一般の出資等に使います場合、技術的に問題がございまするので、ことさらそういう特別会計を作るのは不得策である、こういう結論に達しましたのでやめたような次第であります。
  158. 田澤吉郎

    ○田澤委員 それでは新たに専属に特別会計を作る意思がないかどうか、作るべきじゃなかったろうかということに対してお答え願いたい。
  159. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 同じような趣旨から、新たに特別会計を作らないで、産投会計の中で操作した方が便利だと考えております。
  160. 田澤吉郎

    ○田澤委員 次に、返済財源の第二の柱であるところの開銀の納付金についてお尋ねいたします。  開銀納付金のうち八七・七三%は見返り分に対するものであり、その分が返済完了までの十五年間で一千七百五十七億円となるという御説明があったわけでございますが、さらに、先ほどの御答弁にもありましたごとく、毎年度五千万円ずつふえていくというような御説明があったわけでございますが、これの積算の基礎をもし発表でき得ましたらお願い申し上げたいと思うのでございます。もしできなかったらそれでけっこうです。
  161. 水田三喜男

    水田国務大臣 いいえ、できます。
  162. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 午前の御質問お答えいたしましたように、自己資金の増加並びに八分七厘ものの貸付金の増加によりまして、大体年間五千万円程度ふえるものと達観いたしておるわけでございます。
  163. 田澤吉郎

    ○田澤委員 最近数年における納付金の額というのは、三十三年度で百二十四億六千余万円、三十四年度で二百二十五億五千万円、三十五年度が百三十億九千万円となって、毎年ふえているわけでございますが、その積算の基礎が、私の見るところでは何となく不安定なような気がしてならないわけですが、そういう心配がないかどうかお尋ねいたしたいと思います。
  164. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 来年度以降大体五千万程度増加すると見ましたのは、過去の実績の傾向から見まして、七年間で三五%ふえております。われわれが五千万円ずつ増加すると見まして、十五年間で五・四%の増でございます。従って、相当低めに、まあ安全を見て計算した、こういうことでございまして、これの基礎としましては、大体貸し出しの純増を、今年度六百億程度でございますが、これを横ばいと見て計算しております。
  165. 田澤吉郎

    ○田澤委員 次に、産投会計からの財政融資は原則としては利益の上がるものを対象としているのでありますが、現在は、開銀と北海道東北開発公庫以外は、ほとんど納付金が出ていない状況にありますが、こういう点に対して、一つお答えを願いたいわけでございます。  さらに納付金が出ていない、むしろ輸出入銀行等のごとく逆ざやを補なうような現況にあるわけでございますが、こういうような状況に対して、政府はどういう考えを持っているか、一つ伺いたい。
  166. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 お話のように、現在納付金を納付いたしておりますのは、開銀と北海道東北開発公庫のみでございます。三十七年度における出資予定の五百三十二億円の大部分は利子補給的な役割をなしておるわけであります。従いまして、納付金を出資いたしますかわりに利子補給をしたらどうかというのも一つの考え方かと思うわけであります。しかし御承知のように利子補給をいたしますと、初めの年度は少額で済むのでありますが、年々当然増として増加いたしまして、財政運営弾力性を失わしめるようなおそれがありますのみならず、ただいま御指摘になりました輸出入銀行につきましては、ガットとの関係から利子補給に難点が予想されるのであります。これに対しまして、財源の比較的豊富なときに出資しておきまするならば、毎年度の資金の確保ができますとともに、将来にわたって長く利子補給的な作用を営むことできまして、財政運営としてはより的確健全な方法であると思われる次第でございます。従って、出資をいたしておるわけでありますが、なお今後におきましては、財源の状況ともにらみ合わせまして、慎重に検討して参りたいと思っております。
  167. 岡田修一

    ○岡田(修)委員 先ほどの田澤委員質問に関連いたしまして一点だけお伺いいたします。それは、ガリオア・エロア返済財源として主として開銀納付金でやる、この開銀納付金が毎年百三十億程度あるということが前提であります。ところがこの十五年間という長い期間に、非常に好況が続けばいい、非常に不況になった場合、これだけの利子収入が上がらない場合にはどうするか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  168. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 毎年自己資金がふえて参ります。それから八分七厘ものの増加等を考えまして、百三十億程度、毎年五千万円ぐらいふえていく程度の納付金は確実である、かように見ておるわけでございます。
  169. 岡田修一

    ○岡田(修)委員 今のは一応の推定でございまして、場合によっては必ずしもそちらで推定されるような利子収入が上がらない場合がある、そういう場合に、大臣から元本をもって返済に充てないのだという御答弁がありましたけれども、事情によっては元本をもって返済に充てざるを得ないような事態が起こることもあり得るのじゃないか、かように思うのですが、その場合いかがですか。元本をもって絶対充てないというふうな方針をおとりになるんですか、充ててはいけないものですか、その点一つ……。
  170. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 元本を充てては絶対いけないという性格のものではないと考えます。しかしながら、何度も御説明申し上げておりますように二千八十五億に対して二千二百二億円の財源がございまして、なお余裕がございますので、運用収入であります納付金、貸付金の回収並びに利子収入でもって大体まかなっていけるものと、このようににらんでおるわけでございます。
  171. 岡田修一

    ○岡田(修)委員 私も、だいまの御答弁のように、心配はないが、しかしもしそういう事態が起これば、元本をもって返済に充てられても差しつかえない、何ら法律に触れるわけじゃなし、協定に触れるわけじゃない、かように考えます。  ところで、先ほど大臣の御答弁の中に、元本はみな出資に充てている、これを引き揚げると非常に大きい影響を及ぼす、こういう御答弁がありましたが、はたしてそうなのかどうか、私はあまりそう大きな影響を与えずに済むのじゃないかというふうに感じるのですが、その辺いかがでしょう。
  172. 水田三喜男

    水田国務大臣 出資になっておるものを引き揚げるということにいたしますれば、引き揚げられる方はそれだけ資金が減りますために何かで補わなければならぬという事態がすぐ出てきますので、出資になっているものを引き揚げないで運用の収入で払えるのならそれが一番影響なく払えることでございますから、そういう方法をとったわけで、もしこの納付金がかりに何かの都合があって一時減るというような事態が、今のところ全然私どもは予想しておりませんが、あったにいたしましても、先ほどから申しましたように、十五年間の計算ですら百十七億円の支払いの余裕金が出るのですから、これが十五年先にはまだ続いて——この見返り資金からくる納付金というものは十五年先もずっと続くのですから、そういうことを考えましたら計算上これが不足するというようなことは絶対ございません。かりにそういう事態があっても、計算ははっきりしておりますので、その間一時何かの立てかえ資金を必要とするというような金繰りの問題はあるかもしれませんが、しかしそれは単なる金繰りの問題であって、計算上はりっぱにまかなえる計算になっておりますから、かりにそういう事態があっても出資に手をつけて支払う必要は私は起こってこないだろうと考えております。
  173. 岡田修一

    ○岡田(修)委員 けっこうです。
  174. 田澤吉郎

    ○田澤委員 さっき理財局長がちょっと触れたようでございますが、産投会計からの投資は、無利子資金で、先ほど申しました逆ざやを埋めている現況からいいますと、むしろ一般会計から利子補給でやるべきじゃないか、さっきちょっとあいまいだったものですからさらに承りたいと思います。
  175. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 先ほどお答えいたしましたように出資利子補給的な機能をなしておると思いますので、むしろ利子補給した方が簡明ではないかという御意見もあろうかと思うのでありますが、利子補給いたしますと他に波及もいたしまするし、当初は少額で済みますけれだも、年々当然増をいたしまして後年度の財政負担、財政運営につきまして弾力性を失うようなことになるおそれがございますので、利子補給をやるということも必ずしも得策ではない、むしろ財政の豊かなときに出資しておきまして資金の確保をはかり、あわせて利子補給的な機能も営ませた方が適当じゃないかというような考え方から出資をいたしておるわけであります。なお、今後財政全体の運営ともにらみ合わせてどういうふうに持っていくか検討いたしたいと思います。
  176. 田澤吉郎

    ○田澤委員 それでは、逆ざやを埋めているにすぎない現況からいいまして、この機会に直接一般会計からこれに対して投融資をしてはどういうものであるか、今後の産投会計の将来に対しての考え方をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  177. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 産投会計出資をやめて一般会計出資に切りかえたらどうかというような御質問と思いますが、御承知のように産投会計法には経済の再建、産業開発及び貿易振興の目的で出資を行なうことになっております。従いまして、一応産投会計といたしましては今申しましたような法律の目的に合致するような、経済の再建や産業開発に資するようなものに重点を置いております。しかも対象となりまする政府機関の設置の際には、利益を計上した場合国庫に納付すべしというような規定を置いておりまして、一般会計出資とはその辺に割り切ったと申しますか線を引いております。しかしながら、最近は財政状況によりまして、あるいは産投会計から出し、一般会計から出しというように混淆してきているというような事情もないではございません。将来財政状況とにらみ合わせまして、産投から出すか、一般会計から出すかきめて参りたいと考えております。
  178. 田澤吉郎

    ○田澤委員 このままの状態でこの会計を残すとするならば、産投会計からの投資計画から見ますと、毎年投資が膨張しているのでありまして、すなわち三十六年度で四百七十六億円、三十七年度は五百三十二億円というようにだんだん大きくなっているわけですが、このために財源が先細りになってきている現況でございます。こういうような点から考えまして、かつて減税国債というのを発行したことがあるのですが、産投国債というものを発行する意思がないかどうか。
  179. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 今後産投会計の原資は、対米債務支払いもございまして、大体先細りの傾向にあることは御指摘の通りであります。一般会計からの繰入金に相当待たざるを得ないと思いますけれども財政状況いかんによりましては、そう多額の一般会計よりの繰り入れということを期待することはできないかもしれません。場合によっては産投国債の発行ということも考えねばならぬと思いますけれども、減税国債については、前回発行いたしましたとき必ずしも好成績ではございませんで、ただいまのところ産投国債を発行する計画は持ち合わせておりませんけれども、将来の原資の状況とにらみ合わせまして、産投国債の発行の可否、利害得失については検討して参りたいと考えております。
  180. 田澤吉郎

    ○田澤委員 次に産投会計よりの出資一般会計よりの出資との区分についてお尋ねいたします。これは大蔵大臣に一つお願い申し上げたいと思いますが、輸出入銀行出資を例にとってみますと、そのときの予算の状況からいいまして、輸出振興を旗じるしとしているときには堂々と一般会計から輸銀へ出資をする、ところが一般会計からの予算が大きくなって、どうもおかしいというときには、こっそり産投会計から出してやるというようなきらいがあるわけでございます。すなわち、毎年度ごとに一般会計産投会計とがばらばらに無計画に、むしろ政治的な配慮によってこれが出されているような例が従来の予算から見ると非常に多いわけでございますが、産投会計よりの出資一般会計よりの出資とはいかなる区分をしてやっているのか、一つお尋ねいたしておきたいと思います。
  181. 水田三喜男

    水田国務大臣 今そういうふうな区分はしてないと思います。輸銀への出資は全部産投会計からして、産投会計へは一般会計から資金を繰り入れるという措置をやっていますので、これは年によってばらばらにやっているということはないだろうと思います。
  182. 石野信一

    ○石野政府委員 輸出入銀行に対する出資でございますが、これは原則は産投からの出資でございますが、三十三年に五十億一般会計から入っております。これは例のたな上げの部分が一般会計からああいう政策に基づいて入ったものでありまして、輸出入銀行に関しましては産投から入るのが筋でございまして、今おっしゃったようなことで一般会計からいったり、産投からいったりというようなことにはなっておりません。
  183. 田澤吉郎

    ○田澤委員 最後に、午前中平岡委員からもお話がございましたが、産投会計の今年度の支払いにおいては、社会党さんの計算では六十四億八千万、政府の考えておるのは七十九億というように開きがある。これに対してこれはどういう支払いでその差は違うのだということをはっきり言明してもらいたいということ。  それからもう一つは、ガリオア・エロア返済金の使途に関して、日本としては——これまた平岡委員から言われましたけれども、これが東南アジアの開発援助に振り向けられることに希望しておることは当然でありますが、ガリオア・エロア協定上、この点はどのようなことになっておるのか、また米政府との了解はどのようなことになっておるかということを御説明願いたいと思います。
  184. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 ただいまの御質問の前段の方についてお答えいたします。  ただいまの先生のお話の中に、われわれの説明と社会党の委員の方のお話と違うようなことがございましたが、そういうことはございません。今年度支払います対米債務返済額は七十九億になります。先ほどの六十四とかあるいは七十四とかいう数字は、おそらく午前中の平岡先生の御質問に対してお答えいたしました、本年度のある時期における開銀の納付金なり貸付金の回収金なり利子収入なりそれの累計額との違いではないかと思うのです。
  185. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 後段の返済金の使途について申し上げます。  外務大臣とライシャワー氏との間において、二千五百万ドルにつきましては、日本国のアメリカ合衆国との教育及び文化の交換の目的のため使用する。その他の残額につきましては、「東アジアの諸国の経済のすみやかなかつ均衡のとれた発展が日本国及び合衆国が深い関心を有する同地域の安定と平和に不可欠であること、及びこれらの諸国がこのような発展を遂げるためにはこの目的に寄与する開発援助が緊要であることを認める。」という交換公文がありまして、東アジアの経済開発のために使うという交換公文を取りかわしておりまして、そういう了解になっておるわけであります。具体的にどういうふうに使うかということについては、これから協議して参るわけであります。
  186. 小川平二

    小川委員長 広瀬秀吉君。
  187. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 最初に大蔵大臣にお伺いしたいことは、開銀納付金が主要なる返済財源になるわけでありますが、現在の納付金の算定方式は、損益計算上利益が生じた場合に、利益金の百分の二十相当額か融資残高の千分の七相当額か、いずれか多い方を積み立てる。さらに総利益の中からそれを引いたものが納付金になるわけでありますが、将来苦しくなってこの比率を変更するというような事態は全然考えられないことですか、その点をお伺いいたします。
  188. 水田三喜男

    水田国務大臣 将来別にそういうことを考える事態には、私どもは今のところならないと予想しております。
  189. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 ならないと予想をしておるという答弁でありますが、午前中にも問題になりました海運利子をたな上げして海運基盤の強化をはかるというような問題で、なおこれは額が確定いたしておりませんけれども、おそらくことしやるか来年やるか、また三十億か四十億か六十億かということは未確定であるけれども、そういうようなものがたとえば五年間最低で三十億なりたな上げが行なわれるというような事態になった場合に、はたしてそれが予想した通り返済財源が、単なる資金繰りというだけではなしに、十五年間というワクの中で完全にやっていけるかどうか、その点についての自信があるのかないのか、この点を伺っておきたいと思います。そういうものを含めてですね。
  190. 水田三喜男

    水田国務大臣 海運対策の方はまだ確定していない問題でございますから何とも申せませんが、かりに一定期間そういう措置をとることが必要だというようなことになったとしましても、これは長い期間ではございませんし、まだきまってないから何とも申せませんが、長い期間ではないことと、この利子は取れなくなったものじゃなくて一定期間、ごく短期間を過ぎればあとから入ってくるものでございますので計算上の問題は起こらないと思いますが、資金繰りの問題は起こると思いますので、これは別途の措置をとる以外にはないだろうと思っています。
  191. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 資金繰りの問題としては起こるということは認められたわけでありますが、従って、その資金繰りの際に、これは産投会計全体としてその資金源を圧迫するということは当然に起こり得るわけですね。
  192. 水田三喜男

    水田国務大臣 この返済をやりますれば、当然産投会計出資源というものは減って参りますので、その点はもう影響があることは当然でございますし、今の海運対策の問題がかりに入ってきましても、それがあってもなくても出資源が少なくなるということはあるのでございますから、その分だけの窮屈さというものは当然出てくると思いますが、結局さっきから御質問がありましたように出資源をどう補充するか、一般会計から入れるのかあるいは産投国債というものを出してやるかという問題はそれからの問題になろうと思いますし、また資金繰りで一定期間立てかえるという必要がある場合には、その資金はどこから借りるとか、どういうふうにするかというものは、これはまた別の問題として私たちは合理的なやり方を考えたいと思うております。
  193. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 この返済の財源というものは開銀納付金と貸付金の元利の回収というものが財源になるわけですけれども、こういうことでやるのだという方法が、やはり見返り資金として承継された資産の中であくまでやっていくのだ——産投会計全体のワクの中でということでその資金繰り等もつけるのか、あくまで見返り資金関係の資産の果実というようなものを中心にやるのか。先ほど資金課長は産投全体の中でやっていきますというようなことを答弁されているわけですが、そこのところを一つはっきりしておいていただきたいと思います。
  194. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 午前中申し上げましたのは、かりに海運政策のために開銀の利子のたな上げ等の問題が出まして、それが産投会計資金繰りに影響する場合には産投全体として考えるのだ、こういうことを申し上げたわけでございます。
  195. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 次に問題を移しますが、ことしは財政融資全体で去年よりも千三百億も多いという資金需要があったわけであります。これはやはりかなりの規模でもってだんだんに増大をするだろうと思います。産投会計でも出資額の総計が五百三十二億、去年の三百九十八億、あるいは補正等から見れば約八十億程度の増だと思いますが、こういう工合になっておるわけであります。財政融資の中でこれから相当力を入れていかなければならない問題が、たとえば中小企業に豊富な資金を供給するために中小企業金融公庫なりあるいはその他政府関係金融機関出資の充実というようなことももちろんあるでしょうし、さらに当面非常に緊急な問題である産炭地域振興事業団の出資の問題あるいは石炭鉱業合理化事業団の問題あるいは海運の問題もその通りでありますし、電源開発等も資金難で非常に困難をしているわけでございます。そのほか数え上げれば非常に重要な問題がたくさんあるわけですが、こういうような状態の中でこれだけの金を支払っていくということがやはり将来にわたって非常にそういうものの需要を圧迫せざるを得ないということははっきり認められなければならないと思うのですが、そういう点についてその資金需要に対する手当というようなものは今後どういうように考えていこうとなされておるか、このことを伺いたいと思います。
  196. 水田三喜男

    水田国務大臣 産投会計出資源が窮屈になるということは、これははっきりしておりますし、その場合に新たに政策的にこういう産投会計出資が必要だという事態が起こりました場合には、さっき申しましたように産投会計における国債の発行とかいう債務でやるか、一般会計からの繰り入れを求めるか、いずれかの措置を必要とするだろうと考えております。
  197. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 通産省が来ておるようでございますからお伺いしたいのでありますが、過日炭労と総理大臣も会いまして、石炭産業の合理化という問題についてのいろいろな話し合いもあり、その際政府が約束したこともあるわけでありますが、石炭鉱業の合理化事業団というようなものに対する出資あるいは産炭地振興に関する事業団への出資、その他通産関係のいろんな事業団、あるいは電源開発海運——海運はまあ運輸省でございましょうが、そういうものがあるわけでございます。そしてあなた方は将来財政融資からのこういうものへの出資を相当増額していかなければならないという強い要求をお持ちのはずです。それらについて近い将来においてどのくらいふやしていきたいかという希望が当然あろうと思うのですが、そういうものについて一つ説明をしていただきたいと思います。
  198. 今井博

    ○今井(博)政府委員 過日石炭対策について閣議決定が行なわれまして、この問題につきまして、いろいろと今後の石炭対策についての考え方、方向というものを政府として決定いたしました。その中で今御指摘の政府財政融資関係でどういう問題があるかという点につきましては、御指摘の通り、炭鉱労働者の今後の職場転換というものを確保しなければならぬというような方向で目下国会へ出されておりまする産炭地振興事業団の融資機能というものを、この離職者の吸収ということに重点を置いて大いに活用したらどうか、この問題を一つ取り上げております。それからいま一つの問題は、御承知のように石炭鉱業は、千二百円の炭価引き下げという基本路線に向かって、今この目的遂行には努力を傾けておるわけでございますが、何分炭価の値下がり等で自己資金が非常に不足して参りますので、資金の問題が非常に大きな問題でございますが、今後これについては特段の金融措置を一つ考えようじゃないか、この二点が取り上げられておるわけでございます。ただいまの今後どのくらいの資金の希望を持っておるかという点でございますが、これはまだ予算がきまりました直後でございますし、当面は現在予算で予定されております資金というものをできるだけ活用して合理的にこれを使っていく、なおその場合には、将来不足が出た場合にはまた一つ御相談する、こういうことで現在どの程度資金の要望を持っているかという点については、事務的な試案はございますが、まだ省としてそれを決定しておるわけではございませんので、もう少し時間がたたないとその点ははっきりいたしません。
  199. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いずれにいたしましても、そういう差し迫った問題で資金需要は非常に強いと思うのであります。さらに中小企業関係資金というものも、たとえば中小企業信用保険公庫に対する出資金は少なくとも五百億くらいにしたいということは、岸総理大臣の時代に天下に公表しておるわけでありますが、おそらく現在のところは百七十億かそこらしかないのじゃないかと思います。その中で産投会計から五十八億出ておるわけでございますが、そういった面等について、やはり今度の返還をしていくというようなことは、こういう非常に資金必要性のある面についても資金繰りを苦しくし、財源を枯渇させていくということにならざるを得ないと思うのです。中小企業信用保険公庫については、当時の大蔵大臣あるいは岸総理がわざわざ新聞記者に会見をして、中小企業金融のためにはこういうことをやりたい。当時百五十億くらいの出資金だと思いますが、それを三倍以上にする、五百億くらいにするのだということをやっておったが、その後わずかしかその出資もふえていない。こういうような状態に対して大蔵大臣は今後どういうようにやられていくつもりなのか、出資金をどういうところからふやしていくつもりなのか、こういう点について一つお答えいただきたいと思います。
  200. 水田三喜男

    水田国務大臣 それらの問題は別にこのガリオア・エロア返済とは無関係に起こった施策上の需要でございますので、それはそれとしての解決をすればよろしいので、毎年実情によって予算措置をとり、出資を必要とする場合には出資をする。出資源が少なくなった場合には、これを一般会計から繰り入れる措置をとるかどうかという問題で、新たに必要に迫られた施策に対する対処の仕方は毎年の予算編成の際において合理的に考えていけばよろしいのじゃないかと思っております。
  201. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 もうすでに数年も前に約束したことがきわめて遺憾な状態にある。しかも、今度のこの返済によって決して二重払いにはならないのだということを政府側では主張されるわけですけれども、午前中にも言いましたように、このことによって二回国民が支払わされるという積極的な意味でなくても、いろいろな面に大なき犠牲というものが出てくるのじゃないか、圧迫が出てくるのじゃないかということだけはやはり大蔵大臣もはっきり認めなければならぬだろうと思うのです。そういう意味での、二重払いという言葉が悪いかもしれないけれども、とにかく二重の犠牲を国民が負わされる、こういう点は認められてしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
  202. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はそういうことにはならないのじゃないかと思います。援助物資を売って積み立ててあった金を今まで使っていろいろのことをしておりましたが、これは債務が確定しましたらいずれにしろ支払わなければならぬものを今まで支払わずにおったというだけでございますので、その積立金関係資金からその一部を支払いに充てるということになりますれば、その会計から支払ってよろしいのでありまして、払わないということを前提にしておりますと、払わなくて済むものを払ったから払っただけ苦しくなったということは言えるかもしれませんが、そういう援助物資に見合った積立金をして今までそれを運用しておったのでございますから、その中から支払いをするという限りにおいては国民に二重の負担を与えるとかなんとかという性質のものではなくて、払うべきものを一部払うというだけのことでございまして、払ったら、ほかの仕事をやりたいために、新しい施策をやりたいために窮屈になったということはこれとは無関係のことでございまして、そういう政策費を国費の中でどういうふうに見るかということは別問題でございますので、そういう金が多くなったのに、払わなければ一部負担が軽く済んだということが、国民に二重の負担を与えたという性質のものでは全然ないので、どう考えても、二重の苦しみを受けるというような性質のものでは、この件に関する限りは絶対ないだろうと思っております。
  203. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 一貫してそういう答弁をなさってきたわけでありますけれども、やはりその議論をあくまで固執されれば、それじゃその債務と心得たものが、これはグラントの分とクレジットの分があるんだ、その債務と心得ておったのは確定してみれば四億九千万だった、あとは譲与であったじゃないか、それを負けてもらってという議論は通用せぬじゃないか、西ドイツの三三%に対してもっと安い二八%とかあるいは二五%とかいうようなことは、これはもうここで言ってもらいたくないんだということを午前中にも質問したわけでありますが、結局その議論にまた返っていくわけであります。これは政府根本的に、今度の対米債務の問題についてどこまでが一体債務であるのか、どこまでがグラントなのかということをはっきり数字を示さないところに、私どもはその点を問題にせざるを得ない、いつまでたっても疑義が解けない、こういうところにいかざるを得ないわけであります。しかし、その点は外務委員会なり予算委員会なりで十分論議をされましたし、そしてわれわれが納得しないままに国会を通過したわけでありますから繰り返さないわけですけれども、そういう形の中で国民の納得しないままに通過をしておる。しかも、この返済した資金が東南アジアの開発に使われる、そういうことを希望しておるということを言いましても、それについてどのような状態になっておるかということはいまだにはっきりしない。こういうようなことでは非常に遺憾でありまして、一体東南アジアの開発等に使うという希望がどの程度に達成されるのか、こういうような点についての見通し、これについて、田澤さんの質問にも答えられたわけですけれども、もう少し誠意を持った交渉の経過とか見通し、こういうようなものについてもこの際お聞きをしておきたいと思うのです。
  204. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 先ほど田澤委員の御質問お答えいたしましたように、交換公文の上におきましては、東南アジアの経済開発のために使うことは明らかになっておるわけであります。この点につきましては、交渉の相手方である米側も了解しておるのでありますけれども、米側といたしましては国内の立法措置をとることを条件にいたしております。立法措置をとるように今後御努力を願わなければならぬわけでありまして、政府といたしましては、交換公文の趣旨に沿った使用ができますように、今後とも努力いたして参りたいと考えております。
  205. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 アメリカ国内法によってそれをきめるんだということは承知をいたしておるわけでありますけれども、今日までの交渉の経過においてその見通しはどうなんだということを聞いておるわけです。
  206. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 協定が批准された暁におきまして、日米間で合議を進めまして、極力東アジアの経済開発のために使うように努力して参りたい、かようなわけであります。
  207. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 その交渉はどういう形で、何年くらいやっておりますか。相手方はだれですか。
  208. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 これから交渉を始めるわけでございまして、今まで具体的にどういうふうにどう使うかということにつきましては、交渉しておる事実はございません。
  209. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 東南アジアの開発に使いたいというようなことで交渉に臨む、その日本側の具体的なプランというものを持って交渉に当たっておると思うのですが、そういうプランというものはあるのですか、ないのですか。これからですか。
  210. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 ただいまのところ、抽象的に東アジアの経済開発のために使うということで、交換公文いたしましたけれども、具体的にどの程度の金額をどういうふうに使っていくかということにつきましての具体的なプランは、ただいまのところ持っておりません。
  211. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それじゃ現地は全く白紙なんだ、もうそういうことに希望は述べておるんだ、しかし具体的な問題でなくて、希望だけ述べたんだというようなことでは、いかにもお粗末であって、やはりこれは国民に対して申しわけないことじゃないかと思うんですね。もうそういう希望は述べておるんだ、しかし何にもそれについて具体策は持ってないんだ、これはやはりそのガリオア・エロアに対する国民の不満を幾らかでも言葉だけでごまかそうという態度じゃないですか。大蔵大臣、その点いかがですか、どういうスケジュールで、どういう考え方で、その問題についても国民の知りたがっていることを、やろうとしておるのかということをこの際示しておくべきだと思うのですが、いかがですか。
  212. 水田三喜男

    水田国務大臣 もし私の言うことが正確でございませんでしたら、あとからこれは外務省からよく聞いて訂正いたしますが、箱根会談のときに、私はラスク長官ともこの問題は話しましたが、日本から返ってくる金をそのまま米国の歳入の中に入れないで、それにひもをつけて東南アジアの援助に出すということは、今のところ米国国会承知しない。一ぺん返済金は米国の一般歳入として入れる、そうして援助の費用はあらためて予算できめる、こういう方針をとっておるので、この分を含めた対外援助費の予算米国は別個に計上する、そういう形によって約束のことは実現しますということで、当時ラスク長官は言っておりましたが、そういう方向で今米国側でも準備いたしておると思います。従って、この米国予算が通ったあと、具体的に日本でどの国にどういうふうな援助をするかというようなことは、これから両国の折衝事項になることだろう、そういうふうに私は理解しております。
  213. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 その点は、そういう大蔵大臣の今の答弁で一応了解しておきますが、先ほどの二重払いの色彩が濃いということで、一点お伺いしておきたいのです。今日まで一般会計から産投会計に対して繰り入れをしてきた数字を年次別に示していただきたいと思うのです。
  214. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 産投会計一般会計からの受け入れば、三十二年度に三百億、三十四年度五十億、三十五年度百二十億、同じく三十五年度三百五十億でございます。
  215. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 この法律案の一部改正によりまして、ことしは二百三十億を一般会計から繰り入れるわけであります。それで大蔵大臣の考えを聞きたいのですが、これからやはり産投会計出資というものが、需要が、先ほど申し上げたようないろいろな問題で相当増大をしてくると思うのですが、一般会計からの繰り入れが毎年々々増大をしていく方向をとらざるを得ないのではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  216. 水田三喜男

    水田国務大臣 今までも産投会計に対する一般会計からの繰り入れというものは相当多かったのでございますが、今後このガリオア・エロア返済をいたしますと、それだけ出資の原資が減るわけでございますから、少なくとも一般会計からの繰り入れというものは今後今よりも多くなる、ならざるを得ないという傾向ではないかと思っております。
  217. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 きょうは大体五時半という約束に先ほどからなっておりますので、これでやめたいと思いますが、先ほど申し上げた中小企業信用保険公庫の出資等を飛躍的にふやしていくというような考え方、そうして具体的には近い機会に五百億くらいまで持っていかなければ、これは中小企業の金融の力を入れているというようなことにはならないと私は思うのですけれども、そういった面について大蔵大臣は具体的にどういう案を持っておられるか、どういう増額のスケジュールを持っておられるか、こういう点についてこの際一つ聞いておきたいと思います。
  218. 大月高

    ○大月政府委員 中小企業信用保険公庫の出資の金は、大体におきまして信用保証協会に対する貸付に使われるのでございまして、それが信用保証協会の保証の資金に充てられるわけでございます。  大体におきまして、現在その資金の七・八倍が保証の限度ということが現実でございますので、実際にかりに十億としますと、それが七、八十億に動く。現在のわれわれの考え方といたしましては、全体の中小企業に向けられております資金の中の大体三%程度が保証の目安になるというのを一応の目標として立てております。現在多分二・七、八%くらいになっておるかと思いますが、毎年それを少しずつ率を上げるということを考えておるわけでございます。そういう一定の計画を持ちまして、保証の限度を拡張いたして参る、それに必要な原資を毎年入れたい、これが大体の考え方でございます。そういたしますと、本年度の予算におきまして二十五億入れてございますが、大体それに若干ずつ上乗せするくらいの金額がございますれば、契約的に保証の限度は拡大していけるのではないかというふうに考えております。
  219. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それじゃ大体信用保険公庫等に対する出資は今のところで間に合うのだ、こういう理解でございますか。
  220. 大月高

    ○大月政府委員 本年度の規模が二十五億出資でございますので、その程度のベースが若干ずつふえていくならば、大体まかなえる、こういうことでございます。
  221. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そういう形では、中小企業は金融の非常に苦しい状況から決して脱却していかないのではないか、従って、金融のつかない中小企業が発展するわけはないと私は思うのですが、それはやはりこのガリオア・エロア返済というものを最重点に置いて、これをあくまで確保するためにはいろいろ理屈をかまえてそういうようなことを言っているのではないか。やはり中小企業振興させていく、あるいは石炭問題をスムーズに解決をしていく、こういうようなかまえに対して今日の政府当局の考え方というものがやはりあくまで対米債務返済、これを中心にすべての財政融資なり産投問題を考えていこう、こういうようなところに今きているのではないか、こういう疑いを私ども晴らすわけにいかない。二重払いではないのだ、あらゆる意味において二重払いではないのだということを言うならば、やはりそういう点についてももっと明確な、ほんとうに必要に対して十分な施策をそういう面にもやっていくのだという積極的な答えをされなければならぬと思うのですが、もう一ぺんその点についてお聞かせいただきたい。
  222. 大月高

    ○大月政府委員 中小企業信用保険公庫自体の問題につきましては、先ほど申しましたような実際の実績に基づきまして、それを逐次拡充いたして参る、現実の保証の需要というものから割り出した経験値でございますので、われわれといたしましてはガリオア、エロアの問題と別個に数年間そういうプリンシプルでやっておるわけでございます。特にガリオア・エロア問題と関連のある問題ではないわけでございます。特に私の立場といたしましては、それはいわば要求勘定でございまして、理財局長の産投の方からお出しになる立場と違った立場お答えを申し上げておるわけでございます。
  223. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 約束の時間がきましたので、きょうはこれだけにいたしておきたいと思います。いずれまた日をあらためてやりたいと思います。
  224. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと二、三資料要求をお願いいたします。  第一点は、本日配付になりました資料で、開銀の納付金は三十七年度が百三十億円であり、以後毎年微増し十五年累計が二千三億円となる、こういう資料をいただいております。そこで二千三億円になるあれを、毎年度ずつずっと三十七年度以降五十二年度までですか、毎年度は一体幾ら幾ら幾ら、その結果が二千三億円になるという積算の基礎を、一つ計数的にお出しをいただきたい。これが第一点。  それから第二点は、これは開銀の方にお願いをいたします。昭和三十六年九月期というのは、これはおたくは決算はいつですか。
  225. 平田敬一郎

    ○平田説明員 本式の決算は三月一回でございますが、中間に九月の決算、仮決算をいたしております。
  226. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私のいただいております資料の最後が、三十六年の九月のところで実効金利別の貸付残高の表をいただいておるわけでありますが、この表と関連しまして、本日承りました電力、海運、石炭、鉄鋼、特定機械等の貸付を開銀副総裁が三十七年三月の決算のところでお話になっておりますので、ちょっとつながりませんので、三十六年九月の時点での貸付別、種類別と申しますか、それと、それに関連して、今の金利分六%、六・五%、七・五%、八・七%と現在の金利は四種類になっておるようでありますから、この四種類については、それはどこへどういうふうにいっておるか、それを一つ資料としてちょうだいをいたしたいと思います。一応それと、きょうちょっとさっき申されましたが、産投会計開始から現在までの収入、支出の表をお願いいたしたい、以上三点資料要求いたします。
  227. 小川平二

    小川委員長 次会は明後十九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会