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1962-04-13 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十三日(金曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 平岡忠次郎君    理事 堀  昌雄君       足立 篤郎君    伊藤 五郎君       宇都宮徳馬君    大久保武雄君       岡田 修一君    金子 一平君       正示啓次郎君    田澤 吉郎君       津雲 國利君    永田 亮一君       藤井 勝志君    坊  秀男君       吉田 重延君    石村 英雄君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君       武藤 山治君    横山 利秋君       春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (主計局長)  石野 信一君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      上林 英男君  委員外出席者         議     員 綱島 正興君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      大村 筆雄君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 四月十三日  委員岡良一辞任につき、その補欠として石村  英雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員石村英雄辞任につき、その補欠として岡  良一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月九日  国税通則法制定反対等に関する請願外一件(  岡良一紹介)(第三六七〇号)  同(日野吉夫紹介)(第三六七一号)  同外百五十二件(井岡大治紹介)(第三七四三号)  同(太田一夫紹介)(第三七四四号)  同外二十八件(渡辺惣蔵紹介)(第三七四五号)  同外三件(東海林稔紹介)(第三七九六号)  同外三件(原茂紹介)(第三九七〇号)  国税通則法制定反対及び所得税控除額引上  げ等に関する請願日野吉夫紹介)(第三六  七二号)  同外十件(猪俣浩三紹介)(第三八四二号)  同(森本靖紹介)(第四〇一六号)  国税通則法制定反対に関する請願外四十件(  日野吉夫紹介)(第三六七三号)  同(松井政吉紹介)(第三六七四号)  同外五十四件(八木一男紹介)(第三六七五  号)  同(武藤山治紹介)(第三六七六号)  同外二十六件(渡辺惣蔵紹介)(第三七四〇  号)  同外十七件(井岡大治紹介)(第三七四一  号)  同(原茂紹介)(第三九六九号)  国税通則法制定反対及び減税に関する請願外三十件(永  井勝次郎紹介)(第三六七七号)  同外八件(日野吉夫紹介)(第三六七八号)  同(松井政吉紹介)(第三六七九号)  同外二十五件(八木一男紹介)(第三六八〇号)  同外十三件(井岡大治紹介)(第三七四二号)  同(山中日露史紹介)(第三七九五号)  同(佐野憲治紹介)(第四〇一五号)  旧令による共済組合等からの年金制度に関する  請願中曽根康弘紹介)(第三七四六号)  減税に関する請願栗原俊夫紹介)(第三八  四三号)  証券取引法の一部改正に関する請願田中伊三  次君紹介)(第三八四四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月六日  在外財産補償に関する陳情書  (第六一一号)  貯蓄増強策推進に関する陳情書  (第  六三八号)  昭和三十七年産葉たばこ収納価格引上げ等に関  する陳情書(  第六六三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  財政法の一部を改正する法律案内閣提出第六  三号)  国民金融公庫農地買収者等に対する貸付け  に関する臨時特例法案綱島正興君外六十九名  提出衆法第三三号)      ――――◇―――――
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  国民金融公庫農地買収者等に対する貸付けに関する臨時特例法案議題といたします。
  3. 小川平二

    小川委員長 提出者より提案理由説明を聴取いたします。綱島正興君。
  4. 綱島正興

    綱島議員 ただいま議題となりました国民金融公庫農地買収者等に対する貸付けに関する臨時特例法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  国民金融公庫資本金を増額して、農地買収者等に対する貸付をなす旨の提案が、別途政府よりなされておるのでありますが、本案は農地買収者等の実情を考慮して、当該貸付については、生業資金以外の小口貸付をもなし得る特例を設けようとするものであります。  何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  5. 小川平二

    小川委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  6. 小川平二

    小川委員長 財政法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。石村英雄君。
  7. 石村英雄

    石村委員 財政法の一部を改正する法律案が出ております。これは本則としては二十九条だけの改正ですが、政府においてはこれ以外に現在の財政法あるいはその関係法規について改正を考慮しておられるかどうか、そういう点があるかないか、御説明願いたいと思います。
  8. 石野信一

    石野政府委員 今回提案いたしました二十九条関係以外に財政法改正について考慮しておるかどうかという御質問でございますが、御承知の通り財政法財政制度なり考え方についての非常に基本的な法律でございまして、常に検討研究をいたしまして改善をする必要があるわけでございますから、そういう一般的な意味におきましては研究検討をいたしておりますけれども、さて今具体的に何か改正案を持っているかということになりますと、現在の段階ではまだそういう結論に達したようなものはございません。
  9. 石村英雄

    石村委員 まず財政法関係質問に移りますが、財政法三条についての特例法がありますね。あれは今日そのまま生きておるようですが、あの廃止をするようなお考えはないのですか。
  10. 上林英男

    上林政府委員 財政法三条は、租税法律主義憲法に書いてございますが、ある意味ではその延長といたしまして、租税はもちろんのことでございますが、それ以外の国が公権力に基づきまして収納する課徴金やあるいは法律上国の独占に属する事業料金等法律であるいは国会議決に基づいて定めることにいたしているものでございます。もっともこの規定はただいま臨時特例があるわけでございますが、この規定自体はいわば財政民主化と申しますか、それに基づきます租税法律主義延長でもございますので、こういう規定精神は十分尊重していくべきであると考えております。ただたとえば現実におきまして、ただいま公社に移管されておりますけれども、それも同じように、公社の場合におきましてもこのような思想で運営されております。その場合におきまして、一方におきまして今申し上げました財政民主化と申しますか、そういう観点のほかに、公社事業料金等につきましてはもう少し弾力的に運営される方がいいのじゃないかという議論もあるわけでございますけれども、現在のところは御存じのように、公社につきましてもこの精神に基づきまして、おのおのの公社法にこれと同じ条文がございまして、そういうものの料金につきましては、法律または国会議決を経て定められるようになっております。この精神は十分尊重されるべきものであると思います。現状におきましてはそういう格好になっていることは御存じ通りでございます。
  11. 石村英雄

    石村委員 どうも御説明の御趣旨がよくのみ込めないのですが、財政法の第三条というものは、憲法租税法定主義と申しますか、その精神に基づいた法律であって、きわめて重要な法律だと私は考えるのです。これが昭和二十三年の四月に財政法三条特例に関する法律として一部除外されたということは、憲法というものから考えると、異常の措置だといわなければならないと思います。従ってこの財政法三条特例に関する法律自体にも「政府は、現在の経済緊急事態の存続する間に限り、財政法三条規定する」云々と、経済緊急事態という異常事態のもとにおいて初めてこういう特例を設けるのだということを法律自体がきめているわけなんです。従って、現在なおこれをそのままにしておくというのであるならば、日本経済現状というものは依然として緊急状態にあるという前提がなければ、この法律を存続させるわけにはいかないのではないかと思うのです。池田さんはしばしば、日本経済——日本大国だとか、先進国だ、相手は後進国だとかなんとかおっしゃるわけですが、どう考えても現在の池田内閣日本経済緊急状態にあると考えているとは思えない。ところが一方の法律では、緊急状態にあることによってのみ存続が許される特例法が置かれているというのは非常におかしなものじゃないか。この点いかがですか。
  12. 上林英男

    上林政府委員 この財政法三条特例に関する法律は、確かに御指摘のように現在の経済緊急事態の存続する間に適用されるものとして定められたわけでございますけれども、その思想といたしましては、附則におきまして「この法律は、物価統制令廃止とともに、その効力を失う。」という規定がございますので、この物価統制令適用がございまして、物価が法定されておりますような事態におきましては、当然その物価統制令規定に従うべき問題でもございます関係もありまして、物価統制令の存続する限り適用されるということになっておるわけでございます。現在におきましても、御存じのように物価統制令はまだ残っておりまして、米とかその他のものにつきまして若干適用があるわけでございます。従いまして、そういう物価統制令廃止が行なわれます場合におきましては、当然この特例に関する法律効力を失うわけでございますが、その失いますまでにおきましても、実質的には本則財政法三条規定に従いまして、私どもはすべて公権力に基づきますような課徴金につきましては今後は全部立法措置を講じて、それによりましてその根拠を得て料金を定めていく、あるいは行政的な手数料その他も法律根拠を得ましてそれを定め得るように、すべてそういう格好立法をいたしておるわけでございます。現在ではこの財政法三条精神はほとんど満たされておる、こう申し上げていいのではないかというふうに考えております。
  13. 石村英雄

    石村委員 物価統制令廃止とともに効力を失うというのは、この法律効力を失う一つ条件を定めたものだと思います。しかし、この統制令がある間どうしてもこの特例法を残さなければならないという理屈にはならない、この特例法を作った条件というものは、この法律の前文に書いてある「経済緊急事態」という事態前提にして初めてできておるのだと思うのです。従って、緊急事態がなくなれば当然これは廃止して、憲法精神に基づいた三条に完全に戻らなければおかしいじゃないか。ただいまの御説明では、実際的にはほとんど法律その他に基づくように現在はやっておるのだということです。それは実際はおやりになっておるかもしれません、またおやりになっていない点もあるかもしれませんが、それなればこそ、もう経済緊急事態というものは名実ともないということをあなた方はお認めになったのじゃないか。従って、こんなよけいなものはあっさり廃止してしまえばいい。実際はこれがないと同様に運用しておりますからこれは置いておいてよろしゅうございますという説明はどうも合点がいかない。どうしてもこの特例法を置いておかなければこういう非常に困ったことがあるのだというなら特例法を置く説明になると思うが、実際はこんな特例法なんかないと同様な取り扱いをしておるから特例法を置いておいてもかまいませんというのはおかしな説明じゃないですか。法律というものはそういいかげんに、置いたり廃止したりすべきものじゃないと思う。しかもこの第三条というものは、私は憲法に基づいた重大な規定だと思う。少々どうでもいい法律ではないと思う。だから、この特例法というものは非常事態について初めて認められるものである、従って、非常事態でなくなったら当然廃止して、法律的に完全に憲法精神を生かす処置を講ずるのが私は政府の義務ではないかと思う。いかがです、主計局長
  14. 石野信一

    石野政府委員 ごもっともな御質問の点もございますけれども先ほど上林法規課長から申し上げましたように、ここで重要なものについて除外例がございますのと、それから他のものにつきましても別途法律規定があるというようなことで、例外的にこれで除外されているものが今特にそれがために大きな支障があると申しますか憲法原則に非常に反するというような意味での問題がないということで、基本的な考え方といたしまして、そういったものはできるだけ原則に返すべきではないかという点はごもっともでございますが、緊急事態というものをどういうふうに解釈するかということでございます。その点で一般的な緊急事態という問題は、常識的には緊急事態ではないということには考えられますけれども、やはり物価動向というようなものにつきまして、これが全く経済的に正常な状態にあるというふうに見るかどうかというような点につきましては、従来これを除外しておる事態を改めまして、すぐに適用するということに踏み切るまでに至っているかどうかというような点について、なお検討の余地もあるということでございます。方向としてはおっしゃる方向だと思うのでございますが、ただいま直ちにはずしていいかどうか、またはずすべきかどうか、その点につきまして、いろいろ内容によって問題があるかとも思いますので、十分検討していきたい、こういう考え方でございます。
  15. 石村英雄

    石村委員 局長、そういう責任のがれの答弁をしていては困ると思うのです。率直に現状を見て、この特例法を置く必要があるかないかを判断すればいいのです。あなたは物価に問題があるとおっしゃったのですが、皮肉な言い方をすれば、そんな答弁をしてあなた池田さんから小言をちょうだいされるおそれはありませんか。池田さんは、物価なんて問題ない、こう言っていらっしゃる。ところがあなたは物価動向に問題があるからこの特例法を置かなければならぬと言われるが、憲法精神をいわば踏みはずしたような特例法をなお置かなければならぬほど物価上に問題があるというような答弁をなさっては、総理大臣からおしかりを受けられることになるのではないかと思う。もう戦後ではないなどということを言っておりますが、まあ戦後であるかないかいろいろ問題はあるとは思いますが、しかしこの三条特例法を置かなければならぬような状態にあるとは、絶えず攻撃を加えておる社会党としても現在の経済状態をそう判断しておりません。もう非常事態で、緊急事態で、国会の承認を一々とらなければできないというほどの事態経済があるとはわれわれは考えておらない。まして戦後ではない、非常に経済成長をしましたとか、大国になりましたとかおっしゃる自民党政府のもとでこの三条を今日なお存続させるということは、憲法というものに鈍感ならばやむを得ないが、私は、やはり憲法精神というものはどこまでも忠実に具現されていかなければならぬという考えがあるならば、この三条特例こそ即刻廃止されてしかるべき問題だと思う。また現に、実際問題はこの特例のお世話にならぬようなやり方を大体しておるのだという御説明さえすでにあるわけなんです。単なる形式論を私は言っておるかのようにお考えになるかもしれませんが、やはり憲法というものに関連した重要な法律だという点で、私はこの形式は必要だと思う。あまり便利主義に流れると何をし出すかわからぬ。これは主計局長この席に大蔵大臣がおいでにならぬのは大へん私は残念だと思うのですが、石野さん、遠慮なしに池田さんのお喜びになるように、日本経済は非常に成長したから、これは即刻廃止しますと、こういう答弁をなさってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  16. 石野信一

    石野政府委員 こういう問題を、総理大臣がどうお考えになりますか存じませんけれども、私どもも基本的にこういう例外があるものをだんだんはずして、原則に返していくという方向について反対するのではございませんが、何分、たとえば食管会計の農作物の価格なんかも年々変わるというような情勢でございますから、物価関係から考えて、経済が完全に正常化しておるかどうかというような点につきましては、必ずしもそう見ないという見方も成り立つのじゃないか、その辺のところはものの見方でございますから、いろいろの見方はできると思いますけれども、直ちにそれじゃこの第三条原則に返すべきかどうかという点については、なお検討いたしたい、こういう考え方でございます。
  17. 石村英雄

    石村委員 事務当局から、こうしたことで突き詰めた御返事をいただこうというのは無理だと思いますから、この点は一つ……。  いろいろ財政法あるいはその関係法規についてはお尋ねしたいことが多いのですが、きわめて迂遠的なことをお尋ねします。予算編成については、財政法及び予算決算会計令ですか、そういうところで詳しく規定がしてあるわけですが、その点について手続的なことをまずお尋ねします。  予算をお作りになるときには、財政法の十七条で見積もりを作るということになっておって、そしてこれは八月の三十一日までに内閣または大蔵大臣提出しなければならぬ、こういうことになっておると思うのです。それからそれに基づいて概算を作って閣議決定をする、その閣議決定に基づいて今度は予定経費要求書等が作られていく。そしてその作られたものが十月三十一日までに大蔵大臣に送付されなければならない。その十月三十一日までに送付された予定経費要求書等に基づいて予算を作って閣議決定する、こういう段取りになって、前年度の十二月中に国会提出するのを常例とする、こういう規定になっておると思うのですが、この手続作業、これは順当に進められておりますか。私たちの経験から言うと、予算が十二月中に提出された例というものはほとんど記憶にないわけなんです。今までの経過を、この手続を見ますと、八月三十一日までにしなければならない、あるいは十月三十一日までに送付しなければならないと関係者は義務づけられておるわけですが、これが義務づけられた通りに実行されておるならば、予算というものは十二月の初めじゃなくて、十一月の終わりにでも出そうと思えば出せるはずだと思う。それが十二月中にも出せないで、一月の終わりごろになるという例も多いわけだ。これは一体事務当局として、作業の途中においてどういう問題があってこんなに法規規定通りに行なわれていないのか。なるほど八月三十一日までとか、十月三十一日までとかに出さなければどういう罰金にするとかいう罰則はあるいはないかもしれません。罰則はないかもしれないが、法規できめられておることを政府自体が実行しないで平気でおる。毎年そうだというようなことで、一体法律を守れとかなんとかいってみたところで話にはならない。どういうわけでこれが一向実行されないのか、その点を一つ説明願います。
  18. 石野信一

    石野政府委員 その問題につきましては、確かに常例常例でなくなっておる点はおっしゃる通りなんでございますが、その理由につきましては、一つには経済情勢の変化というものを見きわめて、見通しを立てて予算を組むという関係から、経済見通しを立てるのはできるだけ新年度に近づいている方が、あまり早く立てた見通しに基づいた予算よりは、その方が実際的であるというような面もあると思います。それから各省要求というものにつきましても、やはりいろいろ検討もし、追加的にこういうこともしたい、こういう仕事もしたいというようなことで、なるべく要求の終期をおそくするというような希望と申しますか、そういうふうにした方がいいというような面もあると思います。そういうような関係で全般的におくれることが慣例になっておるわけでございます。このままでいいのかどうかという問題につきましては、できるだけこれも正常化いたしまして、早くきまってゆっくり審議をされるという形の方がいいとは思うのでございますが、しかしまた同時に、できるだけ予算のでき上がるのが新年度に近いという意味において、いろいろの新しい要素が加わるという点も、一つの必要と申しますか、そういう考え方からおくれるという面もあるわけでございます。従いまして、毎年慣例としてやっておりますことでございますので、できる限り早めていくという努力をする。ことし幸い十二月中に閣議決定が終わりまして、若干国会への提出も早くなったわけでございますが、私どもとしてもできるだけそういう意味年内編成というようなことはやっていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。一挙に法律原則に返れるかどうかということになりますと、先ほど来申しましたような要素もございますので、また長年慣例でやっておることでございますし、あるいは国会の御審議のいろいろの段取り等関係もあるかと思いますが、そういった点で直ちに原則通りにというわけにはいかないと思いますけれども方向としてはできるだけ早く編成するという方向努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  19. 石村英雄

    石村委員 三十七年度予算について実例をお尋ねしたい。  三十七年度予算ができるについて、財政法十七条による予算見積もりの作成及びその送付というものはいつやられたのですか。次にこれに基づく概算を作っての閣議決定がいつあったか。さらに予定経費要求書等予決令でいえば十月三十一日までに出さなければならぬのですが、これがいつ出されたか、この時日関係一つ説明願いたい。
  20. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。  概算要求書提出時期は八月末で、一部を除きまして、大部分は八月末に大蔵省に各省から提出されております。それから概算要求書につきましての閣議決定は昨年の十二月二十九日でございます。予定経費要求書提出は、概算閣議決定に基づきまして各省から御提出があるわけでございますが、これは年を越しまして一月に相  なっているわけでございます。
  21. 石村英雄

    石村委員 そうしますと、例外はあるにしても歳入歳出見積もりは、大体予決令の八月三十一日までに提出された。これに基づいての概算決定がこの財政法及び予決令からいえば、少なくとも九月の終わりか十月の初めごろにできなければならないのが、十二月二十九日になってしまったという、非常におくれる根本原因は、閣議決定がこのようにおくれた結果、予算国会提出がおくれざるを得ない、こういうことになったのだと思う。そうすると、これは事務当局責任というよりは内閣自体責任だということになるわけですね。もう見積もりは出ているわけなんですから、閣議概算を早く決定すれば、それによってすぐなにはできるわけです。そう時間はかからない。いつまでも内閣見積もりに基づく概算決定をしないから、皆さんの方の事務当局では手をこまねいて見ている。夜机の上に寝たりなんかしなければならぬようなことになる、こういうことなんです。責任大臣たちにあるわけで、あなた方にはないということになるかと思うのですが、どうなんですかこれは。これも大臣がいらっしゃればいいのですが……。
  22. 石野信一

    石野政府委員 お尋ねの点につきましては、別に事務当局内閣責任を分けてお考えになるのもいかがかと思うのでございまして、結局政府としていつ閣議決定をするかということでございまして、事務だけの都合でおくれたというわけではもちろんございませんで、全体の運びがそういうように慣例としてもなっている。そして先ほど来申しましたように、いろいろの新しい要素をできるだけ織り込みたいというような気持が各省にもある関係で、そういう意味内閣としてと申しますか、政府として決定が十二月になる。従来は年を越してやっていた例の方が多いわけでございますが、今回少し早まったということでございます。そういう意味でできるだけ早くしていただいた方が、私ども編成の方も事務の点で都合のいい点もございまして、そういうふうにしていただきたいと思っておるわけでございますが、しかし一挙に法律原則にまでいけるかというと、これはなかなか、各省としても、いろいろの要求をできるだけ新しい段階で織り込みたいというような気持もありましょうし、経済見通しの問題等もございますし、一挙にはそういうふうには参らないと思っておりますが、年内にできましたということで、若干でございますが提出が早まりましたような意味におきましては、そういう努力政府全体として続けていただきたいと私ども考えておるわけでございます。
  23. 石村英雄

    石村委員 三十七年度の分が十二月二十九日に閣議決定が行なわれたということは大進歩だそうですが、それからまた、さっきから主計局長慣例々々とおっしゃるのですが、予決令で八月三十一日だとか十月三十一日だとかきめておいて、それを無視しておいて慣例慣例だと言って、慣例を振り回されるということはまことにおかしなもので、そうしなければならぬものなら予決令改正すればいい。これは政令なんですよ。財政法の中に、予算国会提出する時期については十二月中に、こういうなにがあるわけですが、十月三十一日とか八月三十一日とかいうようなことは政令できめてあることですね。十月三十一日までにちゃんと出されるならば、予算はりっぱに十二月中に常会に提出できるはずだと私は思う。それをおやりにならないで、慣例だとか、八月三十一日から十月三十一日の中間において決定されなければならない概算閣議決定が、十二月二十九日に行なわれたことが非常に大進歩だというような御説明があるようなことでは、こんな予決令なんて何のためにあるかわからない。主計局長、あまり政治的なことをお考えにならずに、実際のことを率直におっしゃったらどうですか。実は私は、こういうことがおくれるのは結局内閣責任ではないかと思っている。主計局長はしきりに、経済動向が問題だからなるべく先になった方がいいのだとおっしゃるのですが、それはそう言えば切りがない。三月三十一日まで待てば一番よくわかる。来年になって振り返ってみればまたよくわかるわけだ。これはある程度見きわめをつけてやっていかなければならない。翌年度予算を作るんだ。そんなことを言って法規にきめてある日にちを無視していいということには私はならないと思う。どうしても閣議決定によって十月三十一日までに各省予定経費要求書なんかが出せるようにやらせることが事務当局としても法規に忠実なゆえんであって、この主張をなされるべきだと思う。時間がありませんから言いますが、このような閣議決定がおくれるのは、結局政党からあれを入れろ、これを入れろという政治的な要求が非常に強く行なわれておって、そして政府自体決定をなかなかし得ない、そういうことに原因があるのだと思う。事務当局として判断され、作られるならば、十月三十一日までにこれが出せないようなことはないと思う。また行政官庁としての内閣が、行政官庁としての立場から閣議決定をしようと思えば、できないはずはないと思う。それを圧力団体というか何というか、今でいえば自民党自体が盛んにわっしょ、わっしょといって押しかけるからきめられない。そんなことは国会が始まって国会でやればいい。今は予算政府案として出たら、もうそれの変更というものは事実上ないようなものだ。国会が始まってかけられると、文句を言うのは野党だけで、与党の方は野党の質問を黙って朝から晩まで聞いておらなければならない。こんなばかなことはない。だから行政官庁としての内閣予算を自分の判断で早くきめてしまって、十二月中に常会が開かれるときにすぐ出してしまって、そしてあとの予算の問題については国会で与党、野党を交えて論議して、改めるべきことは改めさせればいいのです。そういうことをしさえすれば、こんな法規を無視したようなことは起こらない。また予算編成ということ自体、予算国会で承認されるということ自体が、今のような不明朗な形で行なわれるということはないと思うのです。行政官庁が考え予算をふやすならふやす、それがはっきり国会の論議の中で行なわれる、削除するなら削除する、それも国会の中で国民の前に明らかにされて行なわれる、そういうやり方をするために国会があるのです。国会を開く前に多数を占める与党によってきめられてしまって、国会を開いたらもうそれは飾りものというような今の国会のやり方は、これは大間違いだと思うのです。これは事務当局がこのくらいの抵抗をしなければいかぬと思う。それをただやむを得ぬやむを得ぬで、机の上に寝て夜明かしをするようなばかなことをなさるからいかぬ。国会議員はどこでやるか。これは国会の中でやるのが本来の仕事なんです。予算の論議をするのは国会で論議すればいい。予算について質問するといえば、与党の質問はただ八百長みたいな質問にすぎぬ。本来ならあんなことがあるべきじゃないと思う。与党の方でも予算についてはいろいろ問題があり、お考えはあるはずだと思う。これはやはり国会に出されたあとで、政党として、与党は与党としての意見を行政官庁に投げかけて内閣と論議をして、国民の目の前でこれを決定する、そうしなければ国会という意味をなしません。  私はなるべく大臣に来ていただきたいとは思ったのですが、このくらいのことは、大蔵省の石野主計局長ともあろう者が抵抗しないようなことでは、あなたの存在理由はないと思うのです。無理に主計局長なんていなくたっていい。どうです。これは三十七年度は過ぎたことですが、今度からそうなさったら……。これは国民のためにすることです。またこれは議会のためにすることなんです。私はこんなむちゃなやり方はないと思う。まああまりこういうことを、石野さんの答弁を積極的に求めようとは思いませんが、少なくとも御感想くらいあると思う。
  24. 石野信一

    石野政府委員 国会審議のあり方についての御意見でございますが、これは私どもの立場としては感想を申し上げるとかいうような範囲の外にあるのじゃないかと思います。これは国会議員の皆様方でよく御相談になって、いろいろ改善すべきものがあれば御改善になることだと思います。  政府予算編成の段階についての御批判はいろいろあるわけでございますが、常に同じような御質問に対して大蔵大臣も答えておられると思いますが、これは今の政党内閣という制度のもとにおいて、やはり党の意見というものが内閣に反映する、これは当然のことでございます。そこでその反映の仕方の問題でございますが、これを予算の最終の段階で調整していくというようなことが今の御批判の対象かと思いますけれども、しかしそれがゆえに予算編成が非常におくれている、あるいは法律規定通りにいかないのはそれがためであるというふうにお考えになるのは、この点は少し思い過ごされるといいますか、そういうことではないと思うのでございます。というのは、早くするということをみんながきめればそういうことで早くきまらぬことはないわけでございますけれども、ただ実際問題として、経済見通しとか歳入の見積もりとか、それからいろいろの各省要求というものも、いよいよぎりぎりのところまでできるだけ追加したいというようなこと、あるいは新しい事態において見たいというようなことがありまして、かたがた慣例でございますからそういうことでやっておるわけでございます。これを非常に早い段階でやってしまった方がいいということにきまれば、別に党の方の要望等ごたごたして、それがためにおくれるということではないと思うのであります。  ただいずれにいたしましても、先ほど来申しますように、法律規定通りに一ぺんに戻すのがいいかどうかということになりますると、これはいろいろの決定をいつやるか、おそければおそいほどいいというわけではございません、これは国会審議の期間の問題もございます。従ってなるべく早い方がいいということは言えると思うのでございますが、まあ感想というのはそういうようなものでございます。
  25. 石村英雄

    石村委員 ただいまのお話はすりの常習犯がつかまって、なぜとったかと言ったら、それはすりが慣例だ、慣例に基づいてすりをするんだ、こういうようなもので、お話しにならないと思うのです。慣例かどうか知りませんが、法規にはちゃんと八月三十一日まで、十月三十一日まで、「しなければならない。」と書いてあるのですよ。どっちでもいいとは書いてないのです。それを慣例だから破って差しつかえないというのはすりの返事と同じことだと思う。もってのほかに私は思う。  次に、われわれ議員は常会が始まるとこういうものをいただきます。これは厚い、一般会計予算と書いてあるのですが、これにくっついている予定経費要求書、この予定経費要求書というものは、つまり予決令の十一条にあるあの予定経費要求書なんですか。
  26. 大村筆雄

    大村説明員 その通りでございます。
  27. 石村英雄

    石村委員 そうしますと私の法規の読みようが悪いのかもしれませんが、この段階での予定経費要求書は項までになっているはずだと思うのですね。目は、予決令から判断すると、目に区分し、あるいは各日を細分するということが十二条にあるわけです。これは予算国会提出された後送付するということになっているのですが——これは目があって悪いと言うのじゃありませんよ、非常にこれで助かるわけですから、そんなことに文句を言うのなら今後は目は書かぬぞなんておっしゃっちゃ困るのですが、この規則の解釈上聞くわけですが、どうも法規そのものを見ると、われわれもらったこの印刷してある分では目はないはずになっている。これが出たあとで目ができるように考えられるわけなんです。それとも国会にはまた別の何か美濃紙か何かで書いたものを出して、そしてあとまた別々にお出しになって、それを印刷して便宜になさったのかもしれませんが、これはどういうわけなんですか。
  28. 大村筆雄

    大村説明員 予定経費要求書は、おっしゃいます通り項までのものでございます。従いまして、予算書をごらんになりますと、予定経費要求書とそれから予算参照書と二つに分かれているはずでございます。それで目の区分まで印刷してございますのは予算参照書の方でございます。従いまして、予定経費要求書には目までの細分はしてないわけでございます。
  29. 石村英雄

    石村委員 参照書というのはどれですか。ちょっと開いたら、外務省の所管が出ましたが、甲号予定経費要求書とある。「(組織)外務本省」、いろいろ説明があって、「上記金額の科目別内訳を示すと下記のとおりである。」そうして目があるわけなんです。参照書というのはどの分のことですか。
  30. 大村筆雄

    大村説明員 ちょうど本年度の一般会計の予算書をあいにく手元に持っておりませんので、一応それをごらんになっているものでごらんいただきますと、まず項だけで書いてあります各省別の歳出予算がございます。これは予定経費要求書になっているわけです。それからそのあとの方に色紙で分けておるかと思いますが、各省別にさらに事項別にやっておりまして、あとに詳しい目別の一覧表が載っておりますが、その方が参照書になっているわけでございます。
  31. 石村英雄

    石村委員 あなたのおっしゃる意味がどうもはっきりしないのですが、私のはここにあるわけですが、これは目録を読みますと、「予算総則」、「甲号歳入歳出予算」で「歳入」があり「歳出」がある。「乙号継続費」、「丙号繰越明許費」、「丁号国庫債務負担行為」とあるわけなんですね。この次に添付書類として「一般会計予算参照書」とあって、この参照書の中が歳入については「歳入予算明細書」、歳出については「一般会計各省各庁予定経費要求書等」とあって、そうして予定経費要求書が「皇室費」、「甲号予定経費要求書」、こうあるわけです。今の御説明どうなんですか。あなたの説明だと、ちょっと初めの方の「甲号歳入歳出予算」、このことを予定経費要求書というように御説明なさったように受け取れたのです。そうじゃないのじゃないですか。
  32. 大村筆雄

    大村説明員 多少宙で申し上げておるものですからもう一回申し上げますと、予算書の御審議願います案といたしましては、「予算総則」、「甲号歳入歳出予算」、それから「丙号繰越明許費」、「丁号国庫債務負担行為」というようになっておるわけでございまして、これが項別に歳入におきましては部、款、項というふうに分けまして御審議をいただいておるわけでございます。これに参照書といたしまして、各省別に、甲号、歳出、予定経費要求書とそれから丙号繰越明許費要求書と、これが予定経費要求書といたしまして、これに目別の区分をやっておる。従いまして、御審議の対象にしていただきますのは、先ほど申し上げましたように項までをお願いいたしまして、御審議の参考といたしまして経費の事項別、日別までの区分をいたしまして御審議の参考に供しておる、そういうわけでございます。
  33. 石村英雄

    石村委員 これは事務的なことですから、あまり論議する必要はないと思いますが、私の最初聞いたのは、添付書類として出されておるこの予定経費要求書ですね、財政法の二十八条にこういうものを予算に添付しなさい、こうあるわけなんですね。それでこれにつけていただておるこの予定経費要求書が一体項までではないか。これが出て、そのあとで国会に出されたあとで目に分けられる。その目がさらに細分されるのではないか、こういう趣旨で聞いたわけなのです。これは最初から目に分かれ、あるいは細分まで出してもらう方がいいわけですから、いかぬと言っているのではない。ただ順序としてどうだろうかと考えただけです。この点は大した問題でない、便利な方につくとして、このままにしておきます。  次にお尋ねしますが、国会審議するのは当然項までなんですね。項は目的によって立てられておるわけなんだと思う。この項の目的というものが、ある一つの項について二つも三つも目的があるはずは私はないのではないかと思う。やまたのおろちなんというものは一匹で頭がたくさんあったそうですが、この目的によって項を立てる、こういう規定からいえば、その項の目的はただ一つ、こう考えなければならない。ところで皆さんが予算を国民にわからせるようにいろいろな努力をなさっていらっしゃる、あのいろいろな書類を見ますと、予算の目的別分類というのがありますが、この目的別分類をこの予算自体と対照してみると、一つ目的と考えられるものがあの目的別分類表によるとたくさんの目的に分けられておる項があるわけなのです。内容を見ると、なるほどこういうように分ける方があるいはいいのではないかと思われる内容はもちろんあります。たとえば大蔵省所管の出資金という項では出資金で出ています。出資金なんという目的があるはずはないと思う。これはむしろ出資金というのは一つの目標と申しますか、そういうものを表わす言葉だと思います。むしろ出資金は、その中で産業経済のために出す出資が幾らだ、あるいはいろいろのこういう社会保障関係の目的に出す出資金がこうだというように、あの大蔵省所管の出資金という項も、本来項自体があの形で出されるのがまずい。目的に分けて出されるのが当然だと思うのですが、とにもかくにも形式的に言うならば項の目的は一つ、これがたくさんに分かれるということは合点がいかない。非常に事務的なことを言って恐縮なのですが、一体どういう考えでああいうことが行なわれておるのか。ものによりますとたとえば大蔵省の普通の分類では、国家機関費の中に入る各省各庁の庁費と申し上げますか、一般行政費と申しますか、その中であの分はいずれもほとんど地方財政財政関係費の中に入っておる。国有財産のあるところの分は、みな一部わずかな金額ですが、さいて、地方財政費の中に入れてある。これは各省各庁がたくさんありますから、数が非常に多い。ああいう考え方はどうかと思うのです。
  34. 石野信一

    石野政府委員 あるいは私の答弁十分でないかもしれません。御質問がはっきりつかめてない点もあるかと思いますから、また総務課長から補足してもらうことにいたしますが、経費の目的というのは、見方といいますか、角度によって分類のしようがいろいろあると思います。従いまして、御質問は、予算書がわかりやすいように目的で統一しろ、たとえば重要経費別に、予算説明等で分類しておるような分類の仕方をしたらどうかというような御質問かとも思うのでございますが、そういうことでございますと、これはなかなか確実に正確を期する必要がある公の——公と申しますが、法律的な意味での文書ということになりますと、やはり予算説明等で国の予算というようなふうに、大体のところでというようなふうにいかない点があるわけでございます。そういう意味で、たとえば社会保障ということになりましても、どこまでが社会保障に入るかということはなかなかむずかしい問題もございます。そういうような関係で、目的別にわかりやすく整理しろというお話じゃないかと思うのですが、なかなかむずかしい点があるということを申し上げて、お答えになりますかどうか、総務課長からも補足的にお答えいたします。
  35. 大村筆雄

    大村説明員 御承知の通りきわめて膨大な予算につきまして、これを項別に区分いたしまして整理いたしておるわけでございますが、その趣旨は、もちろん一つは、項に区分されたものについて、御審議の上に最もやりやすいようにということのほかに、予算はやはり各行政官庁が行政事務を執行するにあたりましての執行の面から、また執行の基本になるものでございますから、その予算の効率的な使用という面から考える必要があるわけでございます。また予算のその項を立てます場合に、その当該予算の目的なり内容を考えながらやるわけでございますけれども、その目的自身のとらえ方なりあるいは内容等によりまして、必ずしも客観的に把握しがたい場合もあるわけでございますし、以上申し上げましたような執行の便宜の面、あるいは御審議の便宜の面、あるいは目的のとらえ方いかんというような点からいろいろと判断いたしまして、現在のような項の立て方に相なっておるわけでございまして、まずまず一応の目的は達し得ているのじゃないか、かように考えておりますが、今後ともこの予算の区分の点につきましては研究を続けて参りたい、かように考えておるわけでございます。
  36. 石村英雄

    石村委員 私はこの前から、予算というものがしろうとにわかるように作られていかなければならぬ、そうしてもらいたい、こういう趣旨で質問をしております。またいろいろ皆さんの方で御努力なさっているのを拝見いたしますと、皆さんも大体同じ考えでやっていらっしゃるように思います。しかし予算というものは、私の経験から言うと、勉強すればするほどわからなくなる。私は初め、勉強しないからわからぬのだろうと思っておった。ところが勉強すればするほどわからぬ。実にふしぎなものなんです。(「中途半端な勉強だからわからぬのだろう」と呼ぶ者あり)そうだろうと思うのです。中途半端な勉強だからだろうと思うのですが、国民はそんな予算につきっきりで勉強しておるわけにはいかないのです。非常な専門家的知識を持たなければわからぬ。それほど勉強しなければわからぬというような予算を作ってもらっては困る。それが中途半端な勉強だからわからぬのだろうというヤジが出るような予算では困るわけです。たとえば皆さんの方で、あるいは財政法あるいは憲法なんかで予算を国民に知らせるように規定があるわけです。それで予算の状況なんか御発表になる。あの状況を見ますと、目的別に分類して使用状況が出ておるわけです。では予算書が、皆さんがお作りになっているような目的別にしろうとがそろばんを入れればすぐできるかというと絶対にできません。今言ったように項は目的が一つだ、こう考えて、その項によって目的を分けてみると、簡単にできるはずなんです。ところが皆さんの方のおやりになっておるのは、おやりになった内容自体が悪いというのじゃありませんよ。わからなくなるということの例として言うわけです。たとえば三十六年度予算で、さっき大蔵省の政府出資金のことを申しましたが、項としては政府出資金が九十六億三千万円と出ておる。この九十六億三千万円は、皆さんの方ではそれが四つの大目的に分かれているのですね。教育文化費で四億三千万円、三億足して七億三千万円、社会保障関係費で二十億、国土保全開発関係で十億、産業経済費で五十九億ですか、大目的四つに分かれておる。建設省の官庁営繕費についていえば、六つか、七つかの大目的に分かれている。さっき申しましたように、国有資産所在市町村交付金が、各庁の一般行政費の中に普通入れられておるわけですが、この国有資産所在市町村交付金が地方財政費に入れられておる。この数が幾らあるかというと、数は何十とあります。数えていられません。こんなことは、私はこのように分けられることが悪いとは言わないが、それならそれで予算の項の方をそのように分けてもらいたい。そうしなければわからぬ。この前も申しましたが、私たち予算がわかるというのは、何も予算自体によってわかるのじゃない。新聞の記事によってわかる。皆さんから説明を聞いてわかる。みな受け売りなんです。この予算自体によってはわれわれはさっぱりわからない。これじゃ困るのじゃないかというのが私の従来からの主張なんです。大蔵省の政府出資金を四つの目的にお分けになるのもけっこうだと思います。分けなければ意味をなさない。そのためには予算の甲号予算自体をそのように分けたらどうか、官庁営繕費もいろいろの目的に分けられるものなら分けて、項としてお立てになったらどうか、こう言うのです。それならわかるのです。ところが国民に知らせるためにといって皆さんがお出しになった目的別に出たもの、あれは繰越金なんか一緒になった分ですが、それはそれとしてこの予算書でそうかなと思って見ると大違いなんです。勉強すればさらにわからなくなる例として、ことしの予算のほんの一部分で申しますと、たとえば総理府の北海道開発庁関係予算にいたしましても、北海道開発庁の項として十四億九千二百三十一万四千円と予算書にあるわけです。これがこちらの予定経費要求書ですか、その方にいくと前年度との比較が当然出ておるわけですね。ことし三十七年度は十四億九千二百三十一万四千円で、前年度予算は十四億六千六十七万二千円とあるわけです。そしてもちろん皆さんの方は専門家で抜け目のないようによくやっていらっしゃるわけですが、前年度との比較は今年度に組みかえたのだから、必ずしも成立予算とは符合しないというただし書きがついておる。ついておるから文句を言うなと言われればそれまでですが、この北海道開発庁の十四億九千二百万と前年度の十四億六千万と比較したとき、しろうとが考えることは、中のいろいろな手当がどうとかいうことについてはあるいは組みかえられたかもしれぬ、しかし北海道開発庁自体の経費総計は三十七年度が五百六十二億、三十六年度が四百七十七億、まさかこの北海道開発庁経費全体がここに書いておる去年の成立予算と違うとは、しろうとじゃわからない。中の小さなところにおいては組みかえられて、あるいはいじくりがあるだろう。しかし北海道開発庁費全体が去年の成立予算とことしのこの予算書にくっついておる前年度、つまり去年の予算額という数字が、総計が違うとはわれわれはちょっと常識では考えられない。これはよけいな勉強ですが、念のために去年の成立予算と比べてみると、たしか二億何千万円か違っておる。勉強するとわからなくなってさじを投げたくなる。まさかこれに違いがあるとは考えない。まあこれは間違いかもしれませんが、中を一々調べてみたら、おそらく三十六年の畜産振興費の予算が北海道開発庁関係に部分的にあると思う。三十七年度予算書で、三十六年度との対照のときに、三十六年度の北海道開発庁費の中に畜産振興費の中から二億何千万円持ってこられて加えられたからこういうふうになったんだろうということは、これは私の想像なんですが、そうではないかもしれません。しかしこういうことは前年度と対照していただく意味で非常にけっこうですが、勉強するとわからなくなる一つの例なんです。これをもし御親切ならば、三十六年度の前年度のところに、これこれは前年度は北海道開発庁の経費としてあげないで、畜産振興費として農林省のどこかにあるのだ、しかしその内容は三十七年度の北海道開発庁の草地改良ですか、あの分に匹敵するものがこれだけあるのだというように別書きをしていただければわかる。二億何千万円を探すために、これは一々全部対照しなければならない。しかも当初予算があり補正予算がある。これじゃやれない、勉強しない方がいいということになる。勉強すればもうさじを投げる。ごくめんどうなことかもしれませんが、私は今の予算はわからぬようにできていると言うと、人は、とかく役人はわざとわからぬように作っている、こう言います。正直にみんなそう言うのです。しかし私はそう考えない。皆さんはなるべくわかりいいように、わかりいいようにとやっていらっしゃると思うのです。皆さんの善意を信頼しておる。しかし残念ながら皆さんは自分たちがよくわかっているから、専門家の一人相撲なんですね。わかりいいようにわかりいいようにとおやりになることが、実は反対にしろうとにはわからぬようになっている。結局予算がわからぬのは、私はわれわれ議員の責任だと思うのです。皆さんにそういうやり方をなさったらしろうとにはかえってわからなくなるという注意をしなかったわれわれの責任だとむしろ考えておるわけですが、こういう点一つ皆さんも真剣に考えて、これじゃ骨折り損のくたびれもうけだ、こういうことになるおそれがあると思う。さっきの項の分類の仕方等についても、ああいうふうに一つの目的であるはずのものを三つも四つも目的を出しても、目的別の予算をお作りになって国民にお示しになるのはわかるが、それならそれでもとの予算自体、そのような項に立てかえられるようになさる方がいいのじゃないか、その方がわかりいい、そういうことを申し上げるわけです。  次に、この前からの懸案のことで申し上げます。食管特別会計の予算で、三十六年度の成立予算のことですが、調整勘定から国内米勘定に入る金額が、国内米勘定における数字と調整勘定の歳出の数字、つまり国内米勘定の歳入、調整勘定から幾らという歳入金額と、調整勘定の歳出、国内米勘定に幾ら出すという金額とが符合しないということ、これについてはこの前の予算分科会でどなたでしたかの御答弁では、調整勘定の方は国内米勘定にいくだけでなく、ほかにもたくさん出ている、だからこの中の差し繰りができるのだ、こういうお話でした。なるほど国会での決定は項までで、他勘定への繰り入れという総額の中で、法律的には操作はあるいはできるかもしれません。しかし予算というものは私はそんなものじゃないと思う。実際の決算のときにはそういうことが起こって何ら不思議はないが、予算書では調整勘定の方の歳出で国内米勘定へ幾ら出します、国内米勘定へ幾ら回します、こういう歳出があるならば、国内米勘定の調整勘定からの受け入れが幾らだという金額は、両方が一致しなければうそなんです。これが違っておるというような予算の作り方は、これもしろうとにはますますわからなくなる一つ理由だと思う。その結果はどういうことが起こっておるかというと、三十六年度の食管特別会計の歳入歳出を集計をして、その中の勘定間の出入りというものは外部には関係ないわけなんです。つまり内ポケットの財布の金と腰の小銭入れの財布の出入りにすぎぬわけです。私の持っている金は両方合わしたもので区別ないわけなんです。その両方の小銭入れと普通の財布との入り繰りを除いて、外部へ出した金の出入り、受け入れあるいは払い出し、そういうものを食管会計についてやってみると、歳出が多くて歳入が少ないということです。歳入が多くて歳出が少ないならばいい、黒字だから。しかし予算が赤字のままでそのままほったらかしになっておるということは合点がいかぬということに結論ではなるわけであります。なぜそうなるかといえば、皆さんの方が他勘定への繰り入れば中でいろいろ操作できるのだから、もう補正で一部分変えたって歳入の方ははっきり書かなければいけないのですが、歳出の方はもうどうでもいいのだという考え方で処理せられているから、そういう奇怪な現象が起こるわけです。それは予算として体裁をなさぬと思うのです。歳入と歳出では歳出の方が多い。そういうものを平然としてほったらかしにしておるような予算書が出ておるなんということは私は合点がいかない。幾ら他勘定という項だから、その中で操作ができるといっても、もうすべての項の中のいろんなものは使い道がきまっておるわけです。決算ではそういう入り繰り操作が行なわれておる。予算でそれが行なわれるわけにはいかぬわけです。それで合点がいかない事態が起こる。この問題は予算の分科会ではそのままになってしまったのですが、主計局長どうお考えですか。今後も歳出の方が多くて歳入が少ないというような予算をお作りになるお考えですか。
  37. 石野信一

    石野政府委員 詳細の点につきましては、総務課長から補足的に答えてもらいたいと思いますが、全体的な考え方の問題といたしまして、先ほど予算書というものは勉強するほどわからなくなる、私どもも統一的に読んでいこうといたしますと、非常にむずかしいことは確かでございます。ただ、むずかしいのをわかりやすくするという方法は私ども考えておりますし、また皆さん方からもわかりやすくするようにという御要望が出ておりまして、私どもできるだけそれに沿いたいと思って考えておるわけでございますけれども、ただ執行の面で、やはり目に細分して経理をはっきりさせていくというような必要性もこの予算書にはあるわけでございます。と同時に、法律というものそのものが、読んでなかなかわかりにくい。これももう少ししろうとにわかるようにおもしろくといいますか、読みやすく書いたらということはたびたび戦前からも言われ、だんだんそういうふうに努力はしてきているのでしょうが、なかなか法律というものは読んでもわからない。そういうのと同じで、これもやはりある程度形式というものを統一的に貫きませんと、その場その場で非常に詳しく説明をつけるということにいたしますと、これまた非常にいろんな弊害とかあるいは何と申しますか、移し違いをするというような関係のことが各省のこまかい各費目の問題でございますから、たくさんあるわけでございます。そういう意味におきまして、できるだけ親切に注釈等を加えるべきであるということは考えておるのでございますが、またこの予算書作成の時間の関係とか、あるいは予算書の大きさはどの程度にするかというような問題とも関連いたしまして、どこもかもみんなそういうことについても注意して説明をつけるということになりますと、実際問題としてかえって非常に膨大、複雑なものにもなりかねない。おっしゃるように、何かそこのところでうまい工夫をしていろいろの要請を適当になるべくわかりやすく、しかも執行の面でもやはり目に分けてそれを確保していくというような意味でのいろいろな要求、また予算書全体の複雑さと申しますか、そういったものにつきましても考えまして、その範囲内において改善していくということでありまして、全体の予算についての説明等は、この予算書そのものでなくて、別途やっていくというようなことに今まではならざるを得なかったわけでございます。勉強するほどわからなくなるからさじを投げるとおっしゃいますけれども石村委員もこういうものを勉強の上で私どもに御質問下さいまして、私どもも非常に参考になりますが、実は非常に御勉強になっておられるので敬服をしておるのです。できるだけそういう御意見も拝聴いたしまして、改善をいたしたいと思うのでございますけれども、ただ先ほど来申しておりますいろいろな要請がございますので、なかなかそういうふうにも参らない面もあるわけでございます。  食管の点の御指摘がございましたが、これも流用が許されておって、流用が行なわれておる、その後補正で受け入れの勘定を補正したという場合に、受け入れの方の数字が直って片方の出した方の勘定が直らない、それは流用で済んでおるので特に国会議決の対象にならないという意味で、そのときの補正には出てこない。それが三十六年度予算の形として三十七年度の数字と並んで出る場合にはちぐはぐが起こっておる、こういうような点もあると思います。しかし補正のときにそういう関連のものまで、議決の対象でないものまで予算の変更をするという形で国会提出するというのも、従来そういう考え方まではしておりませんし、またそういうことになると、どこまでで切っていいかという問題もあると思いまして、従来からはそういう扱いをしておるわけでございます。従って三十六年度予算を振り返って並べてみますと、ちぐはぐになっておるというような点も確かにあるわけでございます。これをどういうふうに直したらいいかというような点につきましては、なかなかむずかしい問題でもあります。いろいろ御注意いただきまして非常にありがたいわけでございますけれども、それじゃすぐこういうふうにしましょうというふうにも今申し上げられないわけでございます。しかしいろいろの御注意の点を参考にいたしまして研究をいたして参りたい、こういうふうに考えております。
  38. 石村英雄

    石村委員 主計局長は、今の食管特別会計の予算の問題点として、私の指摘したことをよくのみ込んでいらっしゃらないのじゃないかと思うのです。流用で片づくからいいんだということなんですが、実際の運営は流用で片づくかもしれない。そして国会議決すべき事項だけを補正するんだということももっともだと思います。だが、かりに三十六年度の食管特別会計の補正の実際のことを見ると、調整勘定の他勘定への繰り入れの金額の全体を同時にふやさなければならない。そうしなければ予算の統一というものはあり得ないと思う。それをふやさないから、今言ったように特別会計の中の勘定間の入り繰りを——これは内部の問題だから除いてしまって、外部との関係歳入歳出の金額だけを合計してみると、歳入よりも歳出が多いという事態が起こるわけであります。あの三十六年度の補正のときに、国内米勘定へ調整勘定から増加して入れた金額を、同時に調整勘定の中の歳出の他勘定への繰り入れの金額をそれだけふやさないからあんなことになった。これをふやそうとすれば、また調整勘定のほかの分で歳出がふえるんだから、歳入をふやさなければならぬということに当然なる。それをして初めて歳入歳出がぴったり合うわけです。勘定間の操作というものを除いて対外的な面を見たときにそうなる。どうもそうでもないような顔をなさっていらっしゃるから数字を言いましょう。食管特別会計の各勘定の歳入の中で、他勘定からの受け入れの分を除いた総合計は一兆七百四十八億五千八百二十万四千円になっております。そうして同様に歳出の方で他勘定への歳出というものを除いた外部への歳出を合計すると、一兆九百八十六億四千四百四十九万五千円、歳出超が二百三十七億八千六百二十九万一千円になる。なぜこんな歳出超の二百三十七億八千万円というものが出てくるかというと、今度同様に食管会計の中の歳入の他勘定、つまり、同じ会計の中の他勘定からの受け入れが幾らあるかというと、八千七百六十億九千六十二万九千円、一方歳出の他勘定への方の総合計は八千五百二十三億四百三十三万八千円になります。今度の方では他勘定会計への歳入超がさっきの歳出の場合の超過と同じ二百三十七億八千六百二十九万一千円、こういうことになっているわけであります。こんなことになるのはおかしいでしょう。石野さん、あなたのポケットの中の財布の金をズボンの小銭入れに千円お回しになったって、あなたの金千円減るわけじゃないのですね。その千円で何かお買いになったら確かに減るわけなんです。同時に小銭入れの財布から内ポケットの財布に千円お移しになったって、あなたの金は対外的にふえるわけじゃないのだ。ただ財布間の問題にすぎぬのです。この特別会計の各勘定間の歳入歳出というものは、つまり内ポケットの金と小銭入れの金とのいじくりにすぎぬわけなんです。外部には関係ない数字なんです。勘定を分けずに食管会計一本にすれば、こんな勘定間の出入りというものがないわけなんです。ただ経理の便宜上ああいう勘定に分けてやっているにすぎない。対外的には一本でいいわけなんです。その一本にしたときには——このように歳出が多くて歳入が少ないなんというような現象が三十六年度食管会計の特別会計では出ているわけなんですよ。それを、いや勘定間の歳出については、項は他勘定一本になっているから、その中で国内米が業務勘定だというように分ける分については、議決事項でないから補正しなくてもよろしいという考えで処理し得る問題じゃ絶対にないと私は思う。私の言うことがわかりませんか。私のそろばんが違うとおっしゃればこれはそろばんを入れかえます。私はそろばんは違わないと思うのです。そしてこれを見たときには、食管会計の歳入が歳出よりも少ないということになる。一体こんなばかな予算がありますか。これは歳出が多いというのは、黒字予算だというのは常識的に許せるかもしれない。歳出の方が多くて歳入が少ないというのは一向かまわぬ形で国会提出して、議決事項でありませんなんというようなことで説明になりますか。
  39. 石野信一

    石野政府委員 先ほどお答えいたしましたように、補正を組む場合の議決対象というものを対象といたしまして補正を組むわけでございます。従って流用の関係等で処理されたものが、それを補正を組むときにその分まで出してきて修正をしておらないという関係で、三十六年度全体として見た場合に、おっしゃるような数字の違いが出ているのだと思いますけれども、詳細な点につきましては総務課長からお答えいたさせます。
  40. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。  先般二月二十六日の予算委員会の第一分科会で、同じ問題の御質問をいただいたわけでございます。その際具体的に、調整勘定におきましては、数字で申し上げる方がわかりやすいかと存じますが、歳出におきまして、食糧買い入れ費等財源他勘定繰り入れの項におきまして、国内米管理勘定へ繰り入れ前年度予算額が三千六百五十五億九千七百三十五万三千円、同じく国内米管理勘定におきますところの歳入におきまして他勘定より受け入れ、調整勘定よりの受け入れ、これが前年度予算額が三千七百五十八億五千百五十三万七千円、差引百二億程度の差額が生じている、こういうことでございまして、不都合じゃないかという御指摘をいただいたわけであります。その際お答え申し上げましたのは、補正予算の建前といたしまして、必要避けることのできない事項なり、ものにつきまして、最小限度の補正をいたす建前上、たとえば調整勘定におきまして食糧買い入れ費等財源を他勘定へ繰り入れるというこの項全体におきましては、国内米管理勘定のほかに輸入食糧管理勘定等がございますので、輸入食糧管理勘定等におきまして、実行上余る見込みが当時あった、従いまして、それを国内米管理勘定の方に使って参りますと、項全体の補正はやる必要はない、従いまして、歳出における食糧買い入れ費等財源他勘定繰り入れの項におきましては補正する必要がない。ただ国内米管理勘定におきましては、国内米買い入れ費が米価の改定あるいは豊作に基づく買い入れ数量の増加等を反映いたしまして、歳出が相当増加させる必要が出てきた関係上、それに応じて調整勘定よりの受け入れをふやして参る必要がある、従って歳入歳出とも補正して参ったわけであります。その結果補正後の姿を見まして、予算書におきまして、三十七年度予算額と前年度予算額を対比した表がありますが、その前年度予算額を見ますと、その点が先ほど申しましたように百二億合わないという結果になるわけでございますが、これは御指摘のように、どうもこれはわかりにくいではないかという御指摘はあるいはもう御指摘の通りではないかと思いますが、補正予算編成する建前あるいは現在の御審議を願う建前からいたしますと、実行上どうしてもこういう点が間に出て参ってくるわけでございます。これはもちろん決算して参りますと、ぴたり一致して参るわけでございますけれども、たまたま三十七年度予算書で御審議の面に前年度予算額を掲示いたしましたのが補正後予算、当初成立予算でございましたら、こういうことはないわけでありますけれども、補正後予算を掲示いたしまして御審議の便と思ったのが、補正する建前がそういう建前でございますので、かえってそういう点も出てくるということになっているわけでございます。こういう点につきまして、御指摘の点もございますので、補正予算編成の建前なりあるいは各省予算実行の点、いろいろの点から今後とも研究して参りたい、かように存じているわけでございます。
  41. 石村英雄

    石村委員 私は分科会で聞くときに、三十七年度の例として食管会計のこうした金額の前年度予算と対照した金額が違うという形で問題を出したのですが、私の本心は、そんな対照した金額が違うという問題じゃなくて、ああいう補正予算の作り方が問題だというのが私の本心なんです。今総務課長さんはしきりに流用でやれるのだからとおっしゃる、実際はそうだろうと私も思うのです。しかし予算の作り方、考え方を問題にしている。あなたの方の理屈でいうならば、追加予算を組むときでも何かの項のどこかをふやすという場合でも、必ずどこか不要の項があるはずです。それだけ必要のないことが年度途中でわかる、一方ではふやさなければならぬ、新しく項に移しかえをしなければならぬという、まあ移用で認められている分はそんなことをする必要はないかもしれませんが、そんなことが認められていない分については一つふやさなければならない、そのときに片一方では、実際に必要ないから、余るからこれでやれるのだということと同じことだと思うのです。補正の場合、今の調整勘定の場合に他勘定への繰り入れという金額の総体は、あるいは国内米勘定に今度百何億ふやしても十分かもしれません。しかし調整勘定の中の他勘定繰り入れという金額はそれぞれ嫁入り先がきまっておるわけですね。きちんと予算書としては嫁入り先があって、それを片一方が受けて歳出をちゃんと組んでおるわけです。今年の百何億というのは調整勘定の中に予備費があって、その予備費から持っていくというのならあなたのおっしゃることでいいと思うのです。ところが嫁入り先が予算書としてはちゃんときまっておる、その嫁入りを受けていろいろなことが同時にほかの勘定では歳出が組んである。そこをいじらないで、他勘定繰り入れという分は項で、その中は目だから、何も議決事項ではありませんから手を触れる必要はありませんという理屈は成り立たないというのが私の主張なんです。あなたはそれが成り立つとお考えかどうか。最後のぎりぎりの決着を——嫁入りすることをきめておって、勝手に、あれは嫁に行かぬかもしれないからこちらの方へ持っていこうなどというのと同じことなんです。相手方の勘定では、もう嫁に来ることとして、その嫁さんを使って田植なり田の草を取らせるなりの計画を立てているわけです。それを国会できめるのは嫁入りをするということをきめるだけで、どこそこへ嫁入りするというのは国会の事項じゃないからもうそんなものはどうでもいいというのでは、もう来るものと予定して田の草を取らせることにきめた農家の方では困るわけですね。嫁さんを労働力に使うことを前提にしてもらっても困りますが、たとえて言うならばまあそういうことなんです。そんなむちゃな予算の作り方がありますかということなんです。それで合わせてみるとそういうふうに歳出の方が多くなる、来るはずのものだから、勝手に来るものとして歳出が計画してあるわけなんです。それではおかしなものになってしまう。決算の場合と予算の場合を混同してお話になっては困ると思うのです。だから私はただ議決事項がどうこうという意味ではなしに、予算自体がおかしいと思う。当然他の事項も変更しなければならぬはずです。それをしなければ予算は一致いたしませんよ。何も三十七年度と対照してどうこう言う必要はない。三十六年度の食管の特別会計の予算というものは歳入よりも歳出が多いのだ。こんな予算というものがありますかというのが私の言い分なんです。この前の分科会では時間がないし、まあこんなことは今後改めてもらえばそれでいいくらいに思ったのですが、財政法審議に入りましたから一つ決着をつけたい。私の考えが間違いなら間違いでよろしい、あなた方の考えが間違いなら改めてもらいたいのです。こんなことをうやむやに済ますべきではないと私は考える。それがこれでいいなんということでは予算意味をなしません。歳入歳出がどうなるかかまいやしないなんということを言ったら、何のために国会議決するのかわからぬ。
  42. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げますが、先ほども申し上げましたように、補正予算編成する建前からいいまして、必要避けることのできない事項、金額についてしかも項を基準としてこれを考えていく、そういう見地から参りますと、どの程度の補正予算編成をしたらいいかということでございまして、そういう建前から今日まで先ほど申したような最小限度の補正率にとどめるという建前で補正予算編成して参ったわけであります。その結果の数字が、たとえば食糧管理特別会計のようにたくさんの勘定がございまして、各勘定間の入り組みがあるという場合に、一部の勘定しか補正して参らないという事例がございますと、御指摘のような数字を補正予算で並べてみると違うではないかという事態がまま生ずるわけでございまするが、これは予算書の作り方自体としては、お前それは間違っておるではないかという御指摘があったかと思うのですが、それは私どもは間違ってない、かように思っておるわけであります。そういう点で、たとえば二百何十億違うじゃないかという御質問先ほどあったかと思うのでございますが、これはたとえば一般会計におきまして調整資金の繰り入れというのを補正でやったわけでありますが、それは歳入だけの補正でございますから、それは当然補正から省略したというようなこともございます。そういうことも出て参っているわけでありまして、そういう補正予算編成の仕方がどうもお前たちのは不親切ではないかというおしかりはあるいはあるかとも思いますけれども、そういう点を今後どういうふうに御審議の便に供するか、同時に、一般の国民の皆さんにもわかりやすくしていくか、それから同時に各省庁の予算執行の便宜あるいは事務の便宜等そういう点を考えて、どういうふうに調整して参るかという点がやはり今後研究問題であろうと思います。御指摘の点は今後十分けんけん服膺いたしまして私どもの勉強の参考にさしていただきたい、かように考えます。
  43. 石村英雄

    石村委員 予算はあなた方がお書きになるわけで、私が書くわけではないのですから、今後の参考にすると言われればそれまでなんですが、私は補正予算だからといったって、こういう考え方を固執されることがどうも合点がいかぬのです。なるほど議決事項ではないかもしれないが、金全体が変わらないで、あるところに調整勘定からくる金がふえるということは、ほかの勘定からいえば歳入が減少し、同時に歳出が減少せざるを得ないということなんです。それがはっきりわかっているにもかかわらず補正をしないというのはどういう考え方であろうかということです。そういう考え方がわからない。歳入が減少したら、歳出も同時に減少するように補正をすればいいではないか。増加させることだけが補正ではないと思う。増加だけが補正というのならそれはそうかもしれません。しかしほかの勘定ではその結果歳入が減少し、また当然歳出も減少せざるを得ない。わかり切っている。これは普通の一般会計の歳入予算とは趣を異にしているわけですね、ちょっと考えると。一般会計の歳入は、原則として税金をとるとかなんとかいうことなんです。これも一般会計だってたかが知れた金であるわけで、それをもとにして歳出が組んであるわけですが、この特別会計では調整勘定から入る金というものがやはり大きな財源になっているわけですね、各勘定でそれぞれ。一億、二億の問題じゃない。一方でふえれば一方の方では減少させなければ予算の執行はできないんですよ。それははっきりしているでしょう。国内米勘定だけふやしてあとの分をそのままにしておいて、他の勘定についての歳出をあの通りに執行できますか。歳入がほかの部面で増加すれば別ですが、ふえないとすれば、歳出の執行はできないはずです。従って、これは同時に歳出の減少を伴う他勘定の分の補正もやるのが常識的じゃないか、その方が正しいのじゃないか。わかりやすいとか、わかりにくいという問題じゃない、予算というものの考え方の問題なんです。、だから私は執拗に言うわけなんです。それは考えておきましょうというような返事は、どうも、私が気違いかあなたが気違いか、どっちかなんです。
  44. 石野信一

    石野政府委員 ただいまの問題は流用が許されておる項目につきましては、流用した場合その流用によって起こった変化を次の補正の機会に、すべての場合に予算を補正しなければいかぬということではないと思います。そういうことになりますと、流用が認められているという意味もなくなりますし、非常に複雑なことになってしまうわけです。そこで、そういう流用の認められているものについては補正をしない、そして議決対象として必要な補正だけをするという考え方で、統一的に今までやってきておるわけです。そういうことになりますと、三十六年度に補正予算を含めて成立した予算を振り返ってながめてみますと、こういうことが起こり得るわけでございます。それが関連するものだけを取り上げてつじつまを合わせるようにやったらどうかというような意味のお考えかと思います。そういう意味で、先ほど総務議長が申しましたように、予算書というものも非常に掘り下げればいろいろ複雑な問題、ことにこちらの原則を貫けばこちらの原則が立たないとかいうようなこともあり、またここでこういうことをするなら、ほかの場合すべてこういうものは補正にしなければならぬとかいうようなことで、何も議決対象でないものも補正を出さなければならぬというような問題もありまして、なかなかむずかしい問題であります。こういう点を御指摘いただきまして、いろいろ御批判いただくことは私ども非常にありがたいわけでありますが、ここできょう決着をつけようということではなくて、また十分後の機会にもいろいろお教えいただきまして研究もさせていただきたい。どっちが気違いだというようなことできょう解決しないでやらしていただいた方が、ほかにもいろいろな例があるかもしれません。ここだけ私ども今御指摘をいただいておるわけですけれども、そういった点についての原則をどう考えるかというような問題もありますから、一つそういう意味で研究をさせていただくということを御了承いただきたいと思います。
  45. 石村英雄

    石村委員 これはあなた方がおやりになることですから、この程度でやめておきますが、私の言っているのは、流用だけのことを言っているのじゃないのです。この関係事項は流用で処理ができる問題もありましょうが、流用で処理できない問題も同時に含んでいるから言うわけです。流用する分をみんな補正しろなんて言っているわけじゃない。これはこのくらいでやめておきます。  次に、今度の法案を改正する問題ですが、これは結局この改正考え方というものは、この前産投へ資金を出すということで財政法関係の論議が起こって、まあこれを法律的に問題のないように改正しようという趣旨かと思うのですが、大体そうなんですか。
  46. 石野信一

    石野政府委員 大体そういうことでございまして、二十九条の条文の整備というようなことも含めまして、いろいろ疑義のある点を疑義のない形にしたい、こういうことで改正をお願いいたしておるわけでございます。
  47. 石村英雄

    石村委員 そうして今度の改正案の中に、「(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)」とあるのは、具体的に言うならば、あの産投の資金を入れることをさすわけなんですか、それともほかのことをさすわけなんですか、この実例を一つ……。
  48. 石野信一

    石野政府委員 これは一般論でございまして、先ほど疑義と申しましたが、疑問と申しますか、こういうものは補正予算の必要な経費ということにならないというようなことで、疑問が起こるというようなことを避けてはっきりさせる意味でこれを書いたので、一般的な問題であります。
  49. 石村英雄

    石村委員 いや、一般的なことでしょうが、あのときに問題になった三百五十億でしたか幾らでしたか、あの金額を年度途中で産投の資金として出すという補正予算が組まれたわけです。その「移換えにとどまるものを含む。」というのは、ああいう場合を言いますかという質問なんです、私の言うのは。産投の資金に入れる、その資金からまた産投に出て産投からよそに出るということまでは、あのときの予算にはないわけなんです。一応資金の中に入れてしまうわけです。国庫内の問題だと思うんですね、国庫内のイヤー・マークの問題だ。そのことをこれはさすのか、解釈上一つの具体例として言うならば。それともそうじゃないというのか。
  50. 石野信一

    石野政府委員 あれも入るわけでございます。
  51. 石村英雄

    石村委員 そうすると、今度はああいうことをやるのか、このように改正するならば財政法上の問題はなくなる、こういうわけで大へん皆さんとしてはごけっこうなことだと思うのですが、しかし財政法の基本的な考え方というものはいろいろあると思うのです。これは私よりも皆さんの方がよく御存じと思うのですが、国民からとる税金というものを勝手にめちゃくちゃに乱脈に使われては困るというので、予算制度が生まれ、そうしてそこに会計年度というものを作って時間的にひっくくり、あるいは内容を目的によって項というものを立てて、目的外に使用してはいけないという性質といいますか、目的といいますか、そういう制限を置いて財政の乱脈を防ぐのが財政法の基本的な考え方だと思うのです。そうしてまた、従って予算というものも十も二十も一つ年度予算があってはならないので、なるべくならば単一の予算がよろしい、まあしかしやむを得ず特別会計というものもあるが、これはいわば例外的なことであって、やむを得ずとったことで、原則としては当初予算だけでいいはずなんです。なるべくならば、追加予算だの何だのは組まぬ方がよろしいというのが財政法の基本的な考え方だと思う。それを一たん当初予算を最初組む。あとから幾らでも好き勝手に補正予算を組んでいいというものではないと思う。ないからこそ今度の改正でも、経費の不足問題以外に「特に緊要となった経費の支出」として、「特に」という字と「緊」の字をつけて制限が加えられてあるのだと思う。決して皆さんもこの改正をするについて、補正予算をどんどん組んだって一向かまわないのだ、初めいいかげんな当初予算を作っておいて、あとで行き当たりばったりに補正予算を組んでいけばそれでいいというお考えではないと私は思うのです。それとも、もうこのごろの時代は、さっき経済緊急事態とかなんとかいう問題があったのですが、なかなか予算を組むのに早く期限通りにはできないというお話がありましたが、そんなわけで、日本経済年度間にあまり狂いが多いので見当がつかぬから、最初はいいかげんなものを作って、あとは情勢に応じてどんどん補正予算を組んでいこうというお考えならまた別だと思う。一体主計局長としてはどちらのお考えですか。もう行き当たりばったりに組んでいきます、そのために財政法改正は都合がいいからするというのかどうか。やはりそんなことはしたくない、一番いいことは、当初の予算一本でいくのが一番いいのだ、追加予算や補正予算なんかあまり組まぬ方が、予算が国民にわかりやすい。国民にわかりやすいというのは、これは前提条件なんです。基本なのであって一切の基本になるものである。国民にわかりにくい予算などというものは、予算を作る意味をなさぬわけです。その意味では、予算というものはなるべくなら一本が一番望ましい姿だというお考えですか、どっちか一つ説明願いたい。
  52. 石野信一

    石野政府委員 決して乱脈に補正予算をどんどん組んでいいという考え方はいたしておりません。その点はこの改正によって従来と別に変わるわけはないのでございます。ただ「必要避けることのできない経費」という言葉でございますが、その与える語感から、どの程度のことについて「必要避けることのできない」という言葉で入るかということになりますと、「必要避けることのできない」ということは、解釈のしようによっては、非常に窮屈な語感を与えるわけでございます。この間もそういう例を恐縮なのですが申し上げたのですが、たとえば男のポマードとか女のおしろいというものは、必需品というけれども、必要避けることのできないものかどうかということになりますと、なくても済むと言えば言えるのですけれども、まあ必需品だという程度のことがありまして、これは財政制度審議会のある委員の方が議論されたときにもそういうような話をされましたが、「必要避けることのできない」というような言葉だと、そういう意味では、非常に窮屈に解釈すると、大ていの補正予算の支出についてもそれはなくても済むじゃないか、次の年度にやればいいじゃないかというような話になりかねない。そういうような意味で、条文の整備とともに、そういう語感の関係を、将来、いろいろそういう場合に議論が起こらないように改正した方がいいのじゃないか、こういう考え方でございます。基本的に補正予算を乱脈に組もうなどという考え方はいたしておりません。
  53. 石村英雄

    石村委員 口紅かおしろいかのたとえ話が出ましたが、とかくたとえ話というものは問題をすりかえるのに役立つ便利な方法なんですが、今度これを特に「緊要」としたということは、今までとあまり違わないということですが、今までの「必要避けることのできない経費」ということと同じであっては改正する意味はないわけです。幾らか違わなければいけない。「必要避けることのできない経費」という語感と、「特に緊要となった経費」という語感は、今度の方が幾らか楽だ、窮屈でない、こういう語感を持っておるということからこういう改正が行なわれる、こう理解していいのですか。
  54. 石野信一

    石野政府委員 そういうことで私どもは従来から考えておりました考え方を変えるという気持はないのでございまして、ただ従来から考えております補正予算、現実に組んでおります補正予算、それが必要避けることのできないものかどうかという語感からくる人によっての解釈でございますが、これを非常に厳格に解釈しますと、従来の補正予算でも、必ずしも必要避けることは絶対できないかというようなことになりますと、やはり議論になる、そういう意味でいろいろ国会でもこの問題については議論があったわけでございます。従って、それは従来のでも読めるし、「必要避けること」というのは幅があるから、それでいいじゃないかというようなことで、そのままやっていくというような考え方もあるかと思いますけれども、やはり国会でいろいろ御議論になったことは、そういったことも参考にして、その与える語感というものを実際の運用に合わせていくというような意味で、このように改正した方がいいというふうに考えたわけでございます。
  55. 石村英雄

    石村委員 今度の改正は、今の「特に緊要となった経費」という語感の問題と、「(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)」というカッコ内の事項、この二つがあるわけですね。今までのおやりになったことは、まさかあれは財政法違反でございましたという御答弁が今ここで出るとは私は思わない。あなた方もあのとき、財政法違反ではございませんという御説明だった。しかし、財政法違反だとは考えないが、やはり今までのままではなかなか論議が生じるから、今度語感の問題とカッコ内の問題との改正をしようというお考えだと思いますが、今までの問題の中で特に問題となるべきことは、語感の問題か、それともカッコ内の「移換えにとどまる」という問題か、どちらにウエートが問題点としては大きかったのかという点なんです皆さんの方で。われわれの言ったことではない、皆さんが当事者として現在の財政法を解釈されるときに、ある程度の抵抗をお感じになったのは、カッコ内の「移換えにとどまる」という点でこの財政法ではちょっと問題だ、絶対に財政法違反だとは考えぬが問題だとお考えになった方が強いのか。それとも「必要避けることのできない経費」ということの方が困るという点で強かったのか。あの産投への問題に限って言うならば、どちらに皆さんは財政法上の問題点としては重点を置いてお考えになったのか、問題だということをお考えになったかということ、それを御説明願いたい。
  56. 石野信一

    石野政府委員 私どもがどっちにウエートを置いて考えたかということよりも、やはりああいう問題について国会でも論議が行なわれた、そういったことも参考にいろいろ考えて、実情に合わせたように御担当の委員からも改正した方がいい、こういうことでございますので、特にどっちにウエートを置いたということでもございませんので、両方その点が問題になったということでこういうふうに改正をお願いいたしておるわけでございます。
  57. 石村英雄

    石村委員 そういう御答弁だとすると、かりにこの委員会であの「国庫内の移換えにとどまるものを含む。」というカッコ内の事項、そこを削除してしまったら、改正意味がなくなる。これを削ってしまって、ただ「特に緊要となった経費の支出」という分だけを生かす。この一号についてはそういうことで、これは語感によって大した何はない。しかしこういう、「特に緊要となった経費」という書き方をした方が、必要避けることのできない経費というよりも幾らか問題は少なくなるからという御説明から言うならば、この方は生かすがカッコ内の方は生かさないという修正をしたら、皆さん方としてはこの改正案意味があるとお考えになるか。ないとお考えになるか。それではやはり依然として今後に問題点が残るのだ、どうしてもカッコ内を入れなければならないとお考えになるかどうか。
  58. 石野信一

    石野政府委員 こういう「国庫内の移換えにとどまるもの」は補正予算の対象にするのがおかしいというような御議論もあってのことでございますので、そういう意味でたびたび議論になるということを避ける意味で、こういうものを入れてはっきりさせた方がいい、こういう趣旨でございますから、ぜひ削らないようにお願いをいたしたいわけです。
  59. 石村英雄

    石村委員 私はむしろ問題はこのカッコ内にあるのじゃないか、こう実際に思うのです。あのときの例を考えましても、産投の資金にするというのですが、資金にはいろいろの性質の資金があるようです。産投の資金はそれをすぐかあるいは先かに歳入に繰り入れて使っていく、こういう建前になっておる資金だと思うのです。年度途中に産投の資金に入れ、そうしてその資金はその年度中には産投の歳入にはしない、つまり対外的には使わない、経費の支出をしない、こういうやり方だったわけです。こうすると、会計年度というものを作ったりして、時間的な限定を置くということが意味をなさなくなるのじゃないか、その年の歳出はその年の歳入でまかなうという原則、これは大原則なわけです。繰越明許費ということも考えなければならぬということもありましょうが、とにかく原則としては、その年の歳出はその年の歳入でまかなうというのが原則、だからこそ会計年度を作り、わざわざ繰越明許費というものをはっきりさせなければならなかった理由はここにあるわけです。ずっとやっていると、どうも歳入が案外多いようだ、多いから、一つこれは待て待て産投の特別会計の資金の方に入れて歳出に回すというなら、これは必要やむを得ない歳出だと思いますが、そのときの具体的な事項で判断できる、とにかくその年は使わない資金でたな上げしてまつり上げてながめておくんだというやり方を認めることがねらいだ、そうなると、繰り返して言いますが、会計年度というものを作った意味をなさなくなる。もちろんいろいろ財政政策あるいは経済政策との関連においてのやり方ということが現在ではあるいは必要かもしれません。必要かもしれませんが、それはその年の財政計画で当初において考えるべきこと、年度途中に少し余分の歳入ができた、これはしめたというので、そこへ入れなければならぬという必要性はないんじゃないか。必要性があるものならば、その年すぐ産投に入れて出資にしていくという使い方を考えなければならぬ。それが必要じゃない、ただ資金にしておく。どうせそんなことをしなくてもその金は消えてなくなるわけじゃありません。剰余金となっていずれ半分は国債の償還に使い、半分は一般債券に使い得るわけです。何もそのとき支払わなければ行方不明になって外国へいってしまうというわけじゃない。先の年度に使いましょうというような金をどのように使うか、要りもしないというものをくくっておくということは、財政原則を乱る一つの問題があるのではないかと考えるのですが、いかがですか。
  60. 石野信一

    石野政府委員 財政の、会計年度原則の問題でございますが、これにつきましては、資金の制度というものを認めるということは、そういうことの原則についての例外を認めるという効果を持つわけであります。従いまして、補正予算でなくて、当初予算で資金に繰り入れましても同じ問題は起こるわけであります。そこで補正予算でやるのかどうかという点でございますが、財政法というものは、いわば箱をこしらえるようなものでございまして、いろいろの場合に規定に従っていろいろの措置をやれるように考えていく必要があるわけでございます。従いまして、年度の途中で一つの資金を作るとかあるいはその資金を補充しておいて、そしてそれを将来にわたって使っていくということが必要であるということになりますれば、それを補正予算でやるということを絶対に否定するということもまた適当でないわけでありまして、従いまして、従来の場合もこれは当該年度の支出であるということで、国庫内の移換えにとどまる資金への繰り入れというものも、従来の二十九条で当然そういう場合も考えるのだ、それで読めるのだ、こういう解釈をとってきたわけでございます。その事実に対しまして、いろいろ議論が生じましたので、そういった点について国会の議論等も参考にしまして、その解釈を明確にする、こういうことにいたしたわけであります。
  61. 石村英雄

    石村委員 なるほど国庫内の移換えというものも、財政法の二条を見ましてもそういうことが入っておるわけであります。ただ私の考えますのは、冒頭に申しましたように、予算というものは本来単一であるべきである。なるべくならばわかりやすくするという意味におきまして補正予算なんて組まぬ方がよろしい、予算は一本でいくというのが原則なんです。年度途中に補正予算を組むということはむしろこれは異例のやむを得ざる措置なんです。予算の大原則からいってもあまり好ましいことじゃないと思うのです。なるべくならば、当初のまま一本でいくことが望ましいわけです。それがいろいろ災害が起こるとか何とかいうようなことで、必要な経費に不足が出てきて、どうしてもこれは出さなければならぬという問題が起こって補正予算を組むわけなんですが、その異例の処置をやむを得ずしてとった上に、その年に出さない資金としてくくっておくということを年度中にやるということは、二重に異例とすることです。そういう補正予算を組むこと自体がすでに望ましくないが、その上にこういう形の補正予算を組むということはますますもって望ましくないという問題になってくると思う。従って、こんなことをしない方がいいんじゃないか。何もこれをしなければ国の金がなくなるわけじゃないわけです。一体資金を置くということも一つの問題のものではありますが、置くなら置くで年度の初めにはっきりした財政計画をもって置くというならまだしも、年度途中でどうも歳入がよけいふえたようだから、これを一つ資金にいたしましょうというのは、予算編成についてきわめて安易な考えがあるからそんなことになる。そういうことは予算を乱脈にしていく一つの端緒になるのではないか、こうわれわれは考える。従って、年度途中でこういうことを、災害の対策を組むというならわかるのですが、その年には必要はありません、とにかく資金に置いていつか先で使いましょうというようなやり方はもってのほかのことだ、こう考える。当初は継続費というものは財政法の中にはなかったでしょう。これはまあ当時の憲法からいって、あるいは財政法からいって、継続費が置けないわけでもなかったかもしれませんが、やはり継続費なんというものは望ましいものじゃないということで、当初財政法にも入れなかったわけです。しかしあまりに不便だということで入れたわけですが、今度のこの問題は不便というものじゃない。勝手気ままなことができないということにすぎないじゃないかと思われる。何も産投の資金にしなくても一向差しつかえない。次の年度で産投の資金が必要なら必要で出していけばいい。それが本来だ。その年度に必要なものはその年度の歳入でまかなうというのが財政の基本原則なんですから、その原則に立ち返ってやって差しつかえない。災害の用に対するものはそんなことを言っておるわけにいかぬから補正予算を組んでもよろしい。その年度に必要もないという金を補正予算で組むということは、財政の根本原則を乱す考え方である、こう言わざるを得ないのじゃないかと思う。
  62. 石野信一

    石野政府委員 何か今度の改正で補正予算の扱いを楽にしたいために改正するというふうにお考えになっておられるように思うのでございますが、先ほど来申しますように、そういう考え方をいたしておるわけでございません。ただその年度内に国庫内の移換えにとどまるものであっても、補正予算でそういうものをやることは必要であると政府が判断し、国会がそれを認めて——そういう補正予算を組むということが絶対に許されないかということになりますと、これは二十九条の従来の規定でもそういう考え方でやれるという考え方で、先例もあるわけでございます。そこでそのたびにそういうことがこの法律で読めるかどうかというような議論も生ずるわけでございますが、運用上金が余っているからやっていいというようなふうにおっしゃれば、そういう考え方で補正予算を組まない方がいいということはありますけれども、しかしそれじゃ資金を作る、あるいは資金を補充するということは政策的に必要であるという判断をした場合にも、従来の規定でやってはいけないかということになりますと、やはりそういうことはやれるというふうに解釈せざるを得ないと考えるわけでございます。そういう意味におきまして、今回改正をいたしましても、決して補正予算を乱脈に組もうというようなことを私どもとしても毛頭考えておりません。要するに、従来いろいろと議論になりました点を参考にいたしまして、整備規定を整える、こういう考え方でございます。
  63. 石村英雄

    石村委員 私はこの程度でやめますが、われわれは今までおやりになったあのこと自体が間違いだと考えておる、財政法に違反しておると考えておる。あなた方は財政法違反じゃないとおやりになった。今後は一切おかまいなしというように法律を変えようというのですから、あなた方はその主張を堅持されるというか、あくまでがんばられると思うのですが、私たちはどうしても、これはせっかく予算について時間的な限度を置いて予算の乱脈を防ぐという基本的な考え方を無視する改正だ、だから改悪だと考えておるわけであります。まああるいは平行線になるかと思うのですが、この程度にとどめておきます。
  64. 小川平二

  65. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 今度改正される二十九条のことでお伺いをするのですが、その前にちょっとお聞きしておきたい。先ほど石村委員から話が出ておりますが、財政法改正する考えがあるかということを聞いておられますが、財政法改正する考えは持っていないというふうの御答弁をしておられたんです。どうも変えるんじゃないかというふうのことに対して、そういう考えはないという御答弁と、それから新聞に出ている大蔵省のいろいろな考え方とはだいぶ違うのですが、何か変えそうな御意見のようなんですが、その点どうですか。ほんとうは変える御意思があるのではないですか。これからぼつぼつと財政法を変えて、そして皆さんが運営するのに都合のいいようなふうに変えようというお考えがあるのではないですか。
  66. 石野信一

    石野政府委員 新聞に出ておる大蔵省の考え方というのはどういうことを意味しておられますか、ちょっとわかりませんけれども財政法というものは、先ほども申しましたように、財政制度、運営についての基本的な原則でございます。それで同時にまた経済そのものも常に変化をしておるというような関係で、財政法というものは一度きめたら絶対に改正してはいけないというものではなくて、やはり経済の動きその他に関連して財政法改正というもの、あるいは改善と申しますか、そういったことについては常に研究もし、検討もしておく必要があるわけでございます。しかし現在の段階において、それじゃどこをどう変える意思があるかということの御質問でございましたら、私どもとしましてはそういう意味での案もございませんし、いろいろこういう点をやったらどうかというようなお話もありますけれども、そういった点については今後研究をしていくということでございまして、ただいまこういうふうに変えたいというような考え方はないわけでございます。
  67. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 その問題は時間がございませんから、もしありましたら重ねて聞きたいと思います。  それから石村委員も聞いておられましたが、二十九条の中の今度改正せられる第二号のところに、「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」という、現在で言いますと、修正というところの文句ですが、この文句が前には、「予算の成立後に生じた事由に基づいて」ということになっておる。ここではただ「予算」となっておりますが、これは「成立後に」というのを削った理由はどういうふうな理由がございますか、それをちょっと伺います。
  68. 上林英男

    上林政府委員 御指摘のように従来のと申しますか、現行の財政法二十九条は、予算の修正の場合におきましては、予算成立後の事由に基づきまして国会提出をすることになっておりますが、御審議を願っておりますこの法案では、追加以外の変更、すなわち現行法の第二項に該当する場合におきましても予算作成後に生じた事由に基づいて編成をいたすということに改正をいたしております。と申しますのは、従来の考え方はおおむね予算の修正と申しますと減額修正であったわけでございますけれども、これは本予算が成立いたしませんと、減額するといいましても意味がないという感じから作られておったものかと考えております。追加予算でございますと、かりに本予算が成立いたしませんでも追加予算の部分だけについて予算の執行ができるので、従って、本予算の作成後の事由に基づいて追加予算を作成するという考え方があったかと思います。しかしながら、御存じのように実際の補正予算の運営におきましては、追加の部分と修正の部分とが渾然一体となりまして補正予算として運営をされている実情でございます。従いまして、たとえば本予算がまだ成立いたしません前に何かの事情によりまして追加予算を組みたいということになりました場合、その追加予算の部分につきましては予算国会提出することができますわけでございますが、その財源を既定予算の削減においてまかなうというような補正予算考えました場合に、現行法におきましてはそういう補正予算提出が不可能であるという格好になるわけであります。従いまして、そういうような追加と修正とが渾然一体になって運営されております現状におきましては、追加予算と修正予算の要件を一緒にいたします方が実際の運営に即するわけでございますので、そういう意味予算の追加以外の変更を加える場合におきましても、予算作成後に生じた事由に基づいて編成し、国会提出することができるように改めたものでございます。
  69. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 そろそろ時間がありませんので端的にお伺いしておきましょう。現行法では予算成立後に修正ができるわけですね。今度はそれが予算作成後にできるわけですね。そうしますと、こういうことはおそらく万あるまいと思うのですが、たとえば衆議院の方を予算通りますね。そうして参議院に回して、参議院の審議をしているときにもし予算を修正しなければならぬ場合が出てきたらどうなるのですか。
  70. 上林英男

    上林政府委員 ただいまの修正は減額修正というふうに考えてお答え申し上げますが、そういう場合でございますと、減額修正を含みましたような補正予算提出いたしますことは現行法では不可能になるわけでございます。と申しますのは、一院で議決されましたものにつきましては撤回ないし政府修正ができないということになるものでございますから、ある予算案を提出しまして一院を通過して参議院にいったという場合におきましては、これを撤回しあるいは政府が修正をする道がないということになります。しかしながらそういう場合も考えられますわけでございますので、今度の今御審議を願っておりますこの改正案におきましては、その修正部分も含みました補正予算予算作成後の事由に基づくものでございますれば追っかけて補正予算提出し得る、こういう格好になるわけでございます。
  71. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 そうしますと、衆議院を通りまして向こうへいっている間に修正の必要ができて参りますね。その場合は今度の改正法では修正ができるのですか。そうなりますと、先ほどのあなたのおっしゃったこととちょっと変なことになるのですがね。あなたのおっしゃったのは、国会法の五十九条でおっしゃっているのでしょうが、こっちできめちゃったのでしょう。衆議院で議決したあとで今度は参議院の方でそういうふうの改正国会法ではできないわけですがね、修正するとかなんとかいうことは。そうするとそういうことが出た場合にはどういうことになるのですか。国会法よりもこっちの方が先になるわけですか。
  72. 上林英男

    上林政府委員 ただいまの国会法の規定は議案自体の修正でございます。あるいは議案を撤回いたしましてもう一度出し直すというものでございます。そういう行為は、国会法の規定に基づきまして、一院の議決を経ません間は可能でございます。従いまして、たとえば予算案を提出したその場合に、これを政府の手で修正したい、こういう場合が起こるわけでございます。かつて組みかえ動議に基づきまして撤回をして修正をしたことがございます。そういうことは一院にとどまっております間は可能でございます。ところが一院を通過いたしまして参議院に参りました場合には、政府案といたしましてこれを修正したりあるいは撤回をして修正をしたりすることができないわけでございます。今ここで議論になっておりますのは、そういう政府が修正をするというものではございませんで、すでに出しておりますのを改正する補正予算でございます。従って、すでに出しております予算そのものに追っかけて追加予算なり修正予算を出す場合、そういう場合でございますが、これはたとえば一つ法律案でお考えいただいてもわかりますように、一つ改正法律案提案いたしまして、参議院にいっております間にさらに追っかけて改正法律案を出すことは可能でございますが、追加予算につきましては、予算作成後の事由に基づいて提出することができることになっておりますので、本予算が参議院にいっております間にさらに追加予算を出せるというのが従来の規定でございました。修正予算は、その点につきましては従来の規定ではできないことになっておったわけでございまして、これは現実には、先ほどから申し上げておりますように、追加の部分と修正の部分とを合わせました補正予算一本として運営いたしておりますので、いずれの場合におきましても追っかけて補正予算が出せるということに改正をお願いしているわけでございます。
  73. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 もう一度重ねて聞かないとどうもわかりにくいのですがね。そうすると、今予算が衆議院を通って参議院にいっている場合、修正をすることはあるわけですね。修正せられますか。そういうときに参議院に審議中に何か特殊な事由があって今度はそこで修正するわけですが、その場合修正が出せるのですか。衆議院の方じゃなくて参議院の方にも出せるのですか。
  74. 石野信一

    石野政府委員 修正という言葉でございますが、ここで申しますのは修正の補正予算を出すということでございます。従いまして、当初予算が最初出ておって、そして審議中に追っかけて修正の予算案が出るわけで、それはまた修正補正予算として議決をされる、こういうことになるわけであります。もとの案が出し直されるとか引っ込んでしまうということではないわけであります。
  75. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 そうすると、その場合はまた衆議院に修正案を出してというわけですね。そして向こうへ回すということでございますね。それではその問題はその点だけで……。私はまた参議院にいっている間に修正案を向こうで出されるのかと思ったのです。もし向こうで出されるとこれは大へんな問題が出てくるので。出しましてもこっちへ返ってくるわけでしょうけれども、その意味でちょっと聞いたのですが、そうでないのでありますね。
  76. 石野信一

    石野政府委員 必ず衆議院に先に出すわけであります。
  77. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 それからもとの問題に返ってお聞きしたいのですが、先ほどの、政府の方では改正の意思がきまらないようなお話でございましたので、重ねてお伺いします。実は二月八日の日経新聞に、全体的に財政法改正したいような意見が出ておるのです。ところがそれと同じようなことが、二月六日の予算委員会質問に出ていますので、その点をちょっと明らかにしておきたいと思うのです。  二月六日の予算委員会で、自民党の藤本委員質問しておる中に、これは速記録でありますので読みますが、「角度を変えてお尋ねいたしたいと思います。」ということから始まって、財政運営の景気を調整する使命は、短期の景気の変動に対して非常に臨機応変的に対処しなければなりませんから、きわめて機動的な弾力的な財政の運営が必要だということが書いてありまして、そして同時にこういうふうに言っている。予算の単年度主義あるいは会計年度独立の原則あるいは総計予算主義といういわゆる財政民主主義の立場でいきますと、財政の運営において景気を調整するタイミングを逸する場合があるというのです。ですからこういう景気調整のために財政の運営をやっていくべきだということがありまして、それでもし必要のある場合には、国会議決を経ないで、ある一定の条件と範囲において行政府だけでとり得るような措置を、国会から授権されるということが必要であろうという、こういうふうな意見が出ておるのです。それに対して大蔵大臣の方で、そういう財政の運営ができるということは好ましいんだという意見が出ておるのです。こういうふうな考え大蔵大臣にありますが、これは同時に当局の方でも、あなたの方でもお考えになっていられるのかどうか、それをちょっと承っておきたいと思います。
  78. 石野信一

    石野政府委員 財政の景気調整の問題でございますが、そういう意味で弾力的にやったらどうかという考え方が各方面にあることはあるようでございます。そういう必要性という問題もあるわけでございますが、先ほど来の御質問の中にもありますような意味の会計年度原則とか、そういった意味の従来の財政法原則というものも、これまた尊重しなければいけない原則考えるわけでございます。従いまして、そういう点の調和をどういうふうに考えていくかというような問題につきまして、やはり相当慎重に検討する必要があるわけでございまして、ちょっと思いつきでやるというようなことはよくないと私ども考えているわけでございます。そういう意味でとにかくいろいろの問題を拾い上げまして研究をしていくという態度は必要だと思っておりますけれども、現実に今のような点について、これをこういうふうに改めたいというような考え方を現在の段階ではまだ持っておらないわけでございます。
  79. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 現在の状態ではそういうお考えがないというお話でございまするが、やはりそういうふうなお考えが基本的にあるのですか。経済のタイミングを合わせるために財政法を全体的に改正をしたいという御意見があるのですか。
  80. 石野信一

    石野政府委員 率直に申しまして、私の今の気持といたしましては、別にそれをぜひ変えたいというふうには考えておらないわけでございます。よく検討いたしました上で、これまた各方面の意見も聞いて十分練った上で、もし必要があれば考えるというような程度の考え方をしておるわけであります。
  81. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 どうも今度の財政法の二十九条の改正にも、先ほど石村委員から産投の問題が出ておりましたが、何かあなたの方で運営するのに都合のいいような改正の仕方ができて、そうして財政民主化というふうなことがだんだんに遠のいていくような感じが最近持たされる。二十九条の改正にも、あなたの方では石村委員に対していろいろと言明しておられましたけれども、どうもそういう感じが持てるのです。そこでこの点はいろいろな資料とか、あるいはいろいろな事情等はあなた方の方が詳しくよく知っておられるには相違ないでしょうけれども財政民主主義の立場からいいますと、こういうふうな考え方は持っていただきたくないという感じがする、民主主義の立場からものを考えていただきたいと考えるのです。この点特にお願いしておきたい。  その次にもう一つお伺いしておきたい。財政法第六条の問題でありますが、例の第六条で決算剰余金の二分の一という問題がございます。それをほんとうは公債の償還財源に充てていけば非常にいいなという感じ方から、私最近にその公債の現在の状態がどうだろうと思って少し資料を整えて調べようと思いました。その際ちょうど国会図書館の調査室の方に依頼しまして、過去五ヵ年間の国債償還計画という資料を頼んだのですが、どうも私の希望するような資料が出て参らないのです。こういうふうな資料はあなたの方に行かなければ出ないわけですか。国会図書館の調査室の方ではどうも私の希望しているような資料が出てこない。こういうふうなことで資料をあまりお出しになるのに御賛成でないのかどうかということがちょっと気になるのです。それから資料が十分出していただけないことは、何かこれは機密があるのじゃないかという感じを持たせるのですが、決算委員会でも出ておりましたから申し上げますが、決算委員会で外務省の報償費か何かの問題でだいぶ質問しておったようですが、その報償費は機密に属するということでお話しにならない、資料もお出しにならないようです。こんな国債償還のような問題で、ここ四、五ヵ年のことを調べて、そうして第五条、第六条というものに対する質問がしたかったのですが、その資料を整えることができないのですが、こういうふうな秘密にしなくてもよさそうな資料がどうしてもらえないのか、どんな事情なんですか。
  82. 石野信一

    石野政府委員 国債償還の計画の関係は理財局の所管でございますので、私ども具体的にどういう御要求があったのか存じませんからわかりませんが、別に国債でそんなに秘密にするとかなんとかいう話はないと思いますので、具体的にもし御要望がなおございましたら直接伺いまして、またどういうことか、御相談の上で御要望に応じてもいいと思います。
  83. 藤原豊次郎

    ○藤原(豊)委員 この資料を一つとっていただきたいことをお願いしておきます。昭和三十年から三十五年の間の国債の償還計画がありまして、それによって国債の償還をしておるはずですが、その資料が全部そろっているはずだと思います。私の方でいただきましたのは、三十六年と三十七年だけは出していただきましたが、この資料ではどうも私の力で調査するのに不備なんです。その意味で資料をお願いしたい。というのは、実はこういうふうな資料しかもらえないけれども、雑誌には出ているのです。ですからそうなりますと、議員がいろいろな資料をもって調べたいのにかかわらず、私の方へはなかなかもらえない。あるいは図書館の調査室の方ではサボっていてしてくれないのかわかりませんが、そんなこともおそらくあり得ないと思います。そういう資料がもらえないで、しかもこれが雑誌に出ているということになりますと、当局の力の考え方がわからないので、議員には資料を出さぬ、金融財政事情というような雑誌にはちゃんと出ておる、それが議員にはどうして出せないのか。この資料をもらいましてから第五条、第六条、第四十四条の資金の問題で少し質問したいと思います。しかし、ほかの関係がありますので私はこれで質問を打ち切ります。その資料は何かの関係で出しておいて下さい。そうしてまたこの次に財政法の問題が出たときに、一応調べて質問したいと思います。  これで質問を終わります。    ─────────────
  84. 小川平二

    小川委員長 本案に対しまして細田義安君外二十五名より修正案が提出されております。
  85. 小川平二

    小川委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。細田義安君。
  86. 細田義安

    ○細田(義)委員 ただいま議題となりました修正案について、提案の趣旨及びその内容を簡単に御説明申し上げます。  修正案の案文はお手元にお配りしてありますので、朗読は省略させていただきます。  御承知の通り政府原案ではこの法律の施行期日を昭和三十七年四月一日からと規定しておりますが、すでに四月一日を経過しておりますので、これを公布の日から施行することに定めようとするものであります。
  87. 小川平二

    小川委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。  本法律案並びに修正案に対する質疑はこれにて終了いたしました。    …………………………………
  88. 小川平二

    小川委員長 これより討論に入ります。  通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  89. 堀昌雄

    ○堀委員 ただいま議題となっております財政法改正の問題につきましては、一部では私どもの側で、予算委員会においてこの補正予算の取り扱いについて適正でない。補正予算の取り扱いの適正でないということとあわせて、この問題が財政法違反ではないか。この二つの問題についての論議を重ねて参ったわけでありますけれども政府の側では、この問題については政策として適当であるし、さらに財政法違反ではない、こういう考え方のようでございました。ところが過ぐる予算委員会において大蔵大臣が、自今、この財政法改正してそういうことの異議の起こらないようにするまでは、このような補正予算の取り扱いをしません、こういう約束をいたしましたのに端を発して、今回この財政法改正となったようでありますけれども、私どもが申しておりましたことは、財政法改正して、このような補正予算を組みやすくしろということを申したわけではないのでありまして、われわれが申しておることは、ただいまも石村委員からも指摘されておりますし、私も前会に指摘いたしましたように、現在の財政法精神というものは、やはり会計年度独立の原則であるとか諸種の原則がありまして、それが財政民主化ということの中でつながりがある。そのつながりのある基本的な条項というものを、政府の一方的な判断によって、恣意的にその原則を曲げるということは望ましくないという考え方に、土台として立っておるわけでありますから、その意味においては、政府側が今回の改正をされたことは、そのことによってさらにその恣意的なる支出、そういうものが容易になりこそすれ、財政法が当初意図したような方向に沿うものでないことはきわめて明らかでございます。  私ども財政法の問題を考えますときに、わが国においてはなるほどこの財政法なるものは輸入をされたものでありますけれども、民主主義国家の過去の発展の過程において、これらの問題が出てきた経緯というものは、きわめて深刻なる国民の権利に関係をいたしておるわけであります。今後わが国の財政に対する処理の仕方は、この過去における西欧諸国における国民の戦いとった権利の上に築かれた一つ精神、その精神方向からだんだん逸脱しやすいような改正を試みるということは、行政府の権限が強化をされて、そのことによって国民が必要以上の税の負担を招くことになる道を開く可能性がきわめて明らかになるわけであります。そういう観点からして、われわれはこのような取り扱いが今後行なわれることについては、財政法関係のいかんを問わず反対でありますし、さらにそういうことをやりやすくするような道を開く財政法改正につきましては反対をしなければならぬ、かように考える次第でございます。  最後に、この法律に反対でありますけれども、さらにつけ加えて、この法律が通ったからといって、過去にわれわれが適当ではないと考えたような補正予算の組み方をされることは、さらに今後に問題を残す禍因になると思いますので、その点については政府当局は、十分本来ある財政法精神を体して、たといこのような改正まで行なったとしても、みだりにそのような取り扱いをしないことを特に要望いたしまして反対討論を終わる次第であります。
  90. 小川平二

    小川委員長 春日一幸君。
  91. 春日一幸

    ○春日委員 民社党は本案に賛成するものでありまして、以下その理由を申し述べたいと存じます。  本案が内容とする財政法改正点は、補正予算編成にあたって義務的経費の不足を補うほか、予算編成後に生じた事由に基づく予算の追加をすること、もしくは予算に追加以外の変更を加える場合をもって編成の必要条件とするものであります。この点は本委員会並びに予算委員会におきまして、昭和二十九年ごろからすでに論議されていたことであって、補正予算に計上される歳出項目が、必ずしもその年度内に使用されるかどうかわからない場合、これは現行法第二十九条をもってすれば、明らかに財政法違反と断ずべきであります。しかしながら最近の財政は、財政法規定する単年制のワクに絶対に当てはめろということは、政策実施の長期計画性、並びに次年度にまたがる継続性をみずから拘束する結果になることは明らかであります。  今回の改正はこの点に関して、同年度内における国庫内の移換えをも補正という行為に含めることに措置しておるのでありますが、この程度に財政措置を認めることは、財政の弾力性、長期継続性が今後ますます必要となるのでありますから、これは当然の改正考えられるのであります。もちろんこの改正を乱用すれば、これは単年性を厳守する現行財政法そのものの自殺となりますが、このような運用に関しては、そのつどの予算案において十分審議できるのでありますから、ここでは制度として、財政法にこの程度の弾力性を持たせることは、必要にして欠くべからざる要件と思われるのであります。  以上が賛成の理由であります。(拍手)
  92. 小川平二

    小川委員長 これにて討論は終局いたしました。  続いて採決に入ります。  まず修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の御起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  93. 小川平二

    小川委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  94. 小川平二

    小川委員長 起立多数。よって、本案は修正議決されました。  なお、本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 小川平二

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。    …………………………………
  96. 小川平二

    小川委員長 次会は来たる十七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十九分散会