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石村委員 私はこの前から、
予算というものがしろうとにわかるように作られていかなければならぬ、そうしてもらいたい、こういう趣旨で
質問をしております。またいろいろ皆さんの方で御
努力なさっているのを拝見いたしますと、皆さんも大体同じ
考えでやっていらっしゃるように思います。しかし
予算というものは、私の経験から言うと、勉強すればするほどわからなくなる。私は初め、勉強しないからわからぬのだろうと思っておった。ところが勉強すればするほどわからぬ。実にふしぎなものなんです。(「中途半端な勉強だからわからぬのだろう」と呼ぶ者あり)そうだろうと思うのです。中途半端な勉強だからだろうと思うのですが、国民はそんな
予算につきっきりで勉強しておるわけにはいかないのです。非常な専門家的知識を持たなければわからぬ。それほど勉強しなければわからぬというような
予算を作ってもらっては困る。それが中途半端な勉強だからわからぬのだろうというヤジが出るような
予算では困るわけです。たとえば皆さんの方で、あるいは
財政法あるいは
憲法なんかで
予算を国民に知らせるように
規定があるわけです。それで
予算の状況なんか御発表になる。あの状況を見ますと、目的別に分類して使用状況が出ておるわけです。では
予算書が、皆さんがお作りになっているような目的別にしろうとがそろばんを入れればすぐできるかというと絶対にできません。今言ったように項は目的が
一つだ、こう
考えて、その項によって目的を分けてみると、簡単にできるはずなんです。ところが皆さんの方のおやりになっておるのは、おやりになった内容自体が悪いというのじゃありませんよ。わからなくなるということの例として言うわけです。たとえば三十六
年度の
予算で、さっき大蔵省の
政府出資金のことを申しましたが、項としては
政府出資金が九十六億三千万円と出ておる。この九十六億三千万円は、皆さんの方ではそれが四つの大目的に分かれているのですね。教育文化費で四億三千万円、三億足して七億三千万円、社会保障
関係費で二十億、国土保全開発
関係で十億、産業
経済費で五十九億ですか、大目的四つに分かれておる。建設省の官庁営繕費についていえば、六つか、七つかの大目的に分かれている。さっき申しましたように、国有資産所在市町村交付金が、各庁の一般行政費の中に普通入れられておるわけですが、この国有資産所在市町村交付金が地方
財政費に入れられておる。この数が幾らあるかというと、数は何十とあります。数えていられません。こんなことは、私はこのように分けられることが悪いとは言わないが、それならそれで
予算の項の方をそのように分けてもらいたい。そうしなければわからぬ。この前も申しましたが、私
たちが
予算がわかるというのは、何も
予算自体によってわかるのじゃない。新聞の記事によってわかる。皆さんから
説明を聞いてわかる。みな受け売りなんです。この
予算自体によってはわれわれはさっぱりわからない。これじゃ困るのじゃないかというのが私の従来からの主張なんです。大蔵省の
政府出資金を四つの目的にお分けになるのもけっこうだと思います。分けなければ
意味をなさない。そのためには
予算の甲号
予算自体をそのように分けたらどうか、官庁営繕費もいろいろの目的に分けられるものなら分けて、項としてお立てになったらどうか、こう言うのです。それならわかるのです。ところが国民に知らせるためにといって皆さんがお出しになった目的別に出たもの、あれは繰越金なんか一緒になった分ですが、それはそれとしてこの
予算書でそうかなと思って見ると大違いなんです。勉強すればさらにわからなくなる例として、ことしの
予算のほんの一部分で申しますと、たとえば総理府の北海道開発庁
関係の
予算にいたしましても、北海道開発庁の項として十四億九千二百三十一万四千円と
予算書にあるわけです。これがこちらの
予定経費要求書ですか、その方にいくと前
年度との比較が当然出ておるわけですね。ことし三十七
年度は十四億九千二百三十一万四千円で、前
年度予算は十四億六千六十七万二千円とあるわけです。そしてもちろん皆さんの方は専門家で抜け目のないようによくやっていらっしゃるわけですが、前
年度との比較は今
年度に組みかえたのだから、必ずしも成立
予算とは符合しないというただし書きがついておる。ついておるから文句を言うなと言われればそれまでですが、この北海道開発庁の十四億九千二百万と前
年度の十四億六千万と比較したとき、しろうとが
考えることは、中のいろいろな手当がどうとかいうことについてはあるいは組みかえられたかもしれぬ、しかし北海道開発庁自体の経費総計は三十七
年度が五百六十二億、三十六
年度が四百七十七億、まさかこの北海道開発庁経費全体がここに書いておる去年の成立
予算と違うとは、しろうとじゃわからない。中の小さなところにおいては組みかえられて、あるいはいじくりがあるだろう。しかし北海道開発庁費全体が去年の成立
予算とことしのこの
予算書にくっついておる前
年度、つまり去年の
予算額という数字が、総計が違うとはわれわれはちょっと常識では
考えられない。これはよけいな勉強ですが、念のために去年の成立
予算と比べてみると、たしか二億何千万円か違っておる。勉強するとわからなくなってさじを投げたくなる。まさかこれに違いがあるとは
考えない。まあこれは間違いかもしれませんが、中を一々調べてみたら、おそらく三十六年の畜産振興費の
予算が北海道開発庁
関係に部分的にあると思う。三十七
年度の
予算書で、三十六
年度との対照のときに、三十六
年度の北海道開発庁費の中に畜産振興費の中から二億何千万円持ってこられて加えられたからこういうふうになったんだろうということは、これは私の想像なんですが、そうではないかもしれません。しかしこういうことは前
年度と対照していただく
意味で非常にけっこうですが、勉強するとわからなくなる
一つの例なんです。これをもし御親切ならば、三十六
年度の前
年度のところに、これこれは前
年度は北海道開発庁の経費としてあげないで、畜産振興費として農林省のどこかにあるのだ、しかしその内容は三十七
年度の北海道開発庁の草地改良ですか、あの分に匹敵するものがこれだけあるのだというように別書きをしていただければわかる。二億何千万円を探すために、これは一々全部対照しなければならない。しかも当初
予算があり補正
予算がある。これじゃやれない、勉強しない方がいいということになる。勉強すればもうさじを投げる。ごくめんどうなことかもしれませんが、私は今の
予算はわからぬようにできていると言うと、人は、とかく役人はわざとわからぬように作っている、こう言います。正直にみんなそう言うのです。しかし私はそう
考えない。皆さんはなるべくわかりいいように、わかりいいようにとやっていらっしゃると思うのです。皆さんの善意を信頼しておる。しかし残念ながら皆さんは自分
たちがよくわかっているから、専門家の一人相撲なんですね。わかりいいようにわかりいいようにとおやりになることが、実は反対にしろうとにはわからぬようになっている。結局
予算がわからぬのは、私はわれわれ議員の
責任だと思うのです。皆さんにそういうやり方をなさったらしろうとにはかえってわからなくなるという注意をしなかったわれわれの
責任だとむしろ
考えておるわけですが、こういう点
一つ皆さんも真剣に
考えて、これじゃ骨折り損のくたびれもうけだ、こういうことになるおそれがあると思う。さっきの項の分類の仕方等についても、ああいうふうに
一つの目的であるはずのものを三つも四つも目的を出しても、目的別の
予算をお作りになって国民にお示しになるのはわかるが、それならそれでもとの
予算自体、そのような項に立てかえられるようになさる方がいいのじゃないか、その方がわかりいい、そういうことを申し上げるわけです。
次に、この前からの懸案のことで申し上げます。食管特別会計の
予算で、三十六
年度の成立
予算のことですが、調整勘定から国内米勘定に入る金額が、国内米勘定における数字と調整勘定の歳出の数字、つまり国内米勘定の歳入、調整勘定から幾らという歳入金額と、調整勘定の歳出、国内米勘定に幾ら出すという金額とが符合しないということ、これについてはこの前の
予算分科会でどなたでしたかの御
答弁では、調整勘定の方は国内米勘定にいくだけでなく、ほかにもたくさん出ている、だからこの中の差し繰りができるのだ、こういうお話でした。なるほど
国会での
決定は項までで、他勘定への繰り入れという総額の中で、
法律的には操作はあるいはできるかもしれません。しかし
予算というものは私はそんなものじゃないと思う。実際の決算のときにはそういうことが起こって何ら不思議はないが、
予算書では調整勘定の方の歳出で国内米勘定へ幾ら出します、国内米勘定へ幾ら回します、こういう歳出があるならば、国内米勘定の調整勘定からの受け入れが幾らだという金額は、両方が一致しなければうそなんです。これが違っておるというような
予算の作り方は、これもしろうとにはますますわからなくなる
一つの
理由だと思う。その結果はどういうことが起こっておるかというと、三十六
年度の食管特別会計の
歳入歳出を集計をして、その中の勘定間の出入りというものは外部には
関係ないわけなんです。つまり内ポケットの財布の金と腰の小銭入れの財布の出入りにすぎぬわけです。私の持っている金は両方合わしたもので区別ないわけなんです。その両方の小銭入れと普通の財布との入り繰りを除いて、外部へ出した金の出入り、受け入れあるいは払い出し、そういうものを
食管会計についてやってみると、歳出が多くて歳入が少ないということです。歳入が多くて歳出が少ないならばいい、黒字だから。しかし
予算が赤字のままでそのままほったらかしになっておるということは合点がいかぬということに結論ではなるわけであります。なぜそうなるかといえば、皆さんの方が他勘定への繰り入れば中でいろいろ操作できるのだから、もう補正で一部分変えたって歳入の方ははっきり書かなければいけないのですが、歳出の方はもうどうでもいいのだという
考え方で処理せられているから、そういう奇怪な現象が起こるわけです。それは
予算として体裁をなさぬと思うのです。歳入と歳出では歳出の方が多い。そういうものを平然としてほったらかしにしておるような
予算書が出ておるなんということは私は合点がいかない。幾ら他勘定という項だから、その中で操作ができるといっても、もうすべての項の中のいろんなものは使い道がきまっておるわけです。決算ではそういう入り繰り操作が行なわれておる。
予算でそれが行なわれるわけにはいかぬわけです。それで合点がいかない
事態が起こる。この問題は
予算の分科会ではそのままになってしまったのですが、
主計局長どうお
考えですか。今後も歳出の方が多くて歳入が少ないというような
予算をお作りになるお
考えですか。