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1962-03-06 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月六日(火曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君       足立 篤郎君    伊藤 五郎君       宇都宮徳馬君    岡田 修一君       金子 一平君    久保田藤麿君       永田 亮一君    濱田 幸雄君       藤井 勝志君    吉田 重延君       佐藤觀次郎君    田原 春次君       滝井 義高君    広瀬 秀吉君       藤原豊次郎君    武藤 山治君       春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    松井 直行君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         大蔵事務官         (為替局長)  福田 久男君         厚生事務官         (保険局長)  高田 浩運君  委員外出席者         外務事務官         (経済局ラテン・         アメリカ課長) 奈良 賀男君         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    橋口  收君         日本輸出入銀行         理事      山本菊一郎君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 三月六日  委員濱地文平君及び芳賀貢君辞任につき、その  補欠として宇都宮徳馬君及び滝井義高君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月三日  国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に  関する法律案内閣提出第一一四号) 同月五日  たばこ販売手数料引下げ反対に関する請願(相  川勝六君紹介)(第一七二二号)  同(小川半次紹介)(第一七二三号)  同(片島港君紹介)(第一八三九号)  同(椎熊三郎紹介)(第一九五八号)  同(田中龍夫紹介)(第二〇七五号)  同(細田吉藏紹介)(第二〇七六号)  清涼飲料嗜好飲料物品税改廃に関する請願  外五件(薩摩雄次紹介)(第一七二四号)  嗜好飲料清涼飲料物品税撤廃に関する請願  外五件(薩摩雄次紹介)(第一七二五号)  合成清酒名称変更等反対に関する請願外一件  (古賀了紹介)(第一七二六号)  同外二件(安倍晋太郎紹介)(第一七五九  号)  同外二件(愛知揆一君紹介)(第一七六〇号)  同外二件(有田喜一紹介)(第一七六一号)  同(井手以誠君紹介)(第一七六二号)  同(石田宥全君紹介)(第一七六三号)  同(石村英雄紹介)(第一七六四号)  同外二件(稻葉修君紹介)(第一七六五号)  同(稻村隆一君紹介)(第一七六六号)  同外二件(宇野宗佑紹介)(第一七六七号)  同外二件(小澤太郎紹介)(第一七六八号)  同外二件(大上司紹介)(第一七六九号)  同外二件(大高康紹介)(第一七七〇号)  同外二件(大竹作摩紹介)(第一七七一号)  同外二件(大野市郎紹介)(第一七七二号)  同外二件(大平正芳紹介)(第一七七三号)  同(加藤清二紹介)(第一七七四号)  同外一件(加藤常太郎紹介)(第一七七五  号)  同外二件(海部俊樹紹介)(第一七七六号)  同外二件(亀岡高夫君紹介)(第一七七七号)  同外一件(唐澤俊樹紹介)(第一七七八号)  同外二件(仮谷忠男紹介)(第一七七九号)  同外二件(木村守江紹介)(第一七八〇号)  同外二件(久保田藤麿紹介)(第一七八一  号)  同(栗林三郎紹介)(第一七八二号)  同外一件(倉成正紹介)(第一七八三号)  同外一件(古賀了紹介)(第一七八四号)  同外二件(河本敏夫紹介)(第一七八五号)  同外一件(佐々木秀世紹介)(第一七八六  号)  同(佐野憲治紹介)(第一七八七号)  同外二件(齋藤邦吉紹介)(第一七八八号)  同外二件(澁谷直截君紹介)(第一七八九号)  同外二件(周東英雄紹介)(第一七九〇号)  同外二件(關谷勝利紹介)(第一七九一号)  同外二件(田口長治郎紹介)(第一七九二  号)  同外二件(田澤吉郎紹介)(第一七九三号)  同外二件(田中角榮紹介)(第一七九四号)  同外二件(田中龍夫紹介)(第一七九五号)  同外一件(田村元紹介)(第一七九六号)  同外二件(高橋英吉紹介)(第一七九七号)  同外二件(竹内俊吉紹介)(第一七九八号)  同(楯兼次郎紹介)(第一七九九号)  同外二件(舘林三喜男紹介)(第一八〇〇号)  同外二件(塚原俊郎紹介)(第一八〇一号)  同外二件(富田健治紹介)(第一八〇二号)  同外二件(中垣國男紹介)(第一八〇三号)  同外二件(中野四郎紹介)(第一八〇四号)  同外一件(南條徳男紹介)(第一八〇五号)  同(野口忠夫紹介)(第一八〇六号)  同外二件(橋本登美三郎紹介)(第一八〇七号)  同外二件(長谷川峻紹介)(第一八〇八号)  同外二件(八田貞義紹介)(第一八〇九号)  同外二件(濱田正信紹介)(第一八一〇号)  同外一件(濱田幸雄紹介)(第一八一一号)  同外一件(濱地文平紹介)(第一八二号)  同外二件(保利茂紹介)(第一八一三号)  同(細迫兼光紹介)(第一八一四号)  同(堀昌雄紹介)(第八一五号)  同(松井政吉紹介)(第一八一六号)  同(松井誠紹介)(第一八一七号)  同(松浦周太郎紹介)(第一八一八号)  同外二件(三池信紹介)(第一八一九号)  同外二件(三浦一雄紹介)(第一八二〇号)  同(三木喜夫紹介)(第一八二一号)  同外二件(三和精一紹介)(第一八二二号)  同外二件(森田重次郎紹介)(第一八二三号)  同外二件(八木徹雄紹介)(第一八二四号)  同(山本幸一紹介)(第一八二五号)  同外一件(渡邊良夫紹介)(第一八二六号)  同(青木正紹介)(第一八六八号)  同(荒舩清十郎紹介)(第一八六九号)  同(伊藤郷一君紹介)(第一八七〇号)  同(伊能繁次郎紹介)(第一八七一号)  同(尾関義一紹介)(第一八七二号)  同(大沢雄一紹介)(第一八七三号)  同(鴨田宗一紹介)(第一八七四号)  同(久保田円次紹介)(第一八七五号)  同(小平久雄紹介)(第一八七六号)  同(佐々木秀世紹介)(第一八七七号)  同(笹本一雄紹介)(第一八七八号)  同(椎熊三郎紹介)(第一八七九号)  同(重政誠之紹介)(第一八八〇号)  同(篠田弘作紹介)(第一八八一号)  同(壽原正一紹介)(第一八八二号)  同(砂原格紹介)(第一八八三号)  同(田中正巳紹介)(第一八八四号)  同(田邊國男紹介)(第一八八五号)  同(高田富與紹介)(第一八八六号)  同(中曽根康弘紹介)(第一八八七号)  同(永山忠則紹介)(第一八八八号)  同(灘尾弘吉紹介)(第一八八九号)  同(南條徳男紹介)(第一八九〇号)  同(長谷川四郎紹介)(第一八九一号)  同(福田赳夫紹介)(第一八九二号)  同(藤枝泉介紹介)(第一八九三号)  同(本名武紹介)(第一八九四号)  同(松浦周太郎紹介)(第一八九五号)  同(松田鐵藏紹介)(第一八九六号)  同(松永東紹介)(第一八九七号)  同(松本一郎紹介)(第一八九八号)  同(松本俊一紹介)(第一八九九号)  同(松山千惠子紹介)(第一九〇〇号)  同(南好雄紹介)(第一九〇一号)  同(森清紹介)(第一九〇二号)  同(森山欽司紹介)(第一九〇三号)  同(山村治郎紹介)(第一九〇四号)  同(太田一夫紹介)(第一九四〇号)  同(岡田利春紹介)(第一九四一号)  同(岡田春夫紹介)(第一九四二号)  同(栗原俊夫紹介)(第一九四三号)  同(小林信一紹介)(第一九四四号)  同(東海林稔紹介)(第一九四五号)  同(田邊誠紹介)(第一九四六号)  同(戸叶里子紹介)(第一九四七号)  同(永井勝次郎紹介)(第一九四八号)  同(芳賀貢紹介)(第一九四九号)  同(畑和紹介)(第一九五〇号)  同(前田榮之助君紹介)(第一九五一号)  同(松前重義紹介)(第一九五二号)  同(森本靖紹介)(第一九五三号)  同(安井吉典紹介)(第一九五四号)  同(山内広紹介)(一九五五号)  同(横路節雄紹介)(第一九五六号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第一九五七号)  同(安倍晋太郎紹介)(第一九九五号)  同(井手以誠君紹介)(第一九九六号)  同(石橋政嗣君紹介)(第一九九七号)  同(臼井莊一君紹介)(第一九九八号)  同(大高康紹介)(第一九九九号)  同(大野市郎紹介)(第二〇〇〇号)  同(海部俊樹紹介)(第二〇〇一号)  同(川村継義紹介)(第二〇〇二号)  同(仮谷忠男紹介)(第二〇〇三号)  同(亀岡高夫君紹介)(第二〇〇四号)  同(木村守江紹介)(第二〇〇五号)  同(久保三郎紹介)(節二〇〇六号)  同(久保田藤麿紹介)(第二〇〇七号)  同(栗林三郎紹介)(第二〇〇八号)  同(河野正紹介)(第二〇〇九号)  同外一件(古賀了紹介)(第二〇一〇号)  同(齋藤邦吉紹介)(第二〇一一号)  同(坂本泰良紹介)(第二〇一二号)  同(澁谷直藏紹介)(第二〇一三号)  同(下平正一紹介)(第二〇一四号)  同(關谷勝利紹介)(第二〇一五号)  同(高田富之紹介)(第二〇一六号)  同(田口誠治紹介)(第二〇一七号)  同(田中角榮紹介)(第二〇一八号)  同(田中武夫紹介)(第二〇一九号)  同(田中龍夫紹介)(第二〇二〇号)  同(舘林三喜男紹介)(第二〇二一号)  同(千葉三郎紹介)(第二〇二二号)  同(塚原俊郎紹介)(第二〇二三号)  同(中垣國男紹介)(第二〇三四号)  同(中村重光紹介)(第二〇二五号)  同(中村高一君紹介)(第二〇二六号)  同(中野四郎紹介)(第二〇二七号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二〇二八号)  同(成田知巳紹介)(第二〇二九号)  同(橋本登美三郎紹介)(第二〇三〇号)  同(濱田幸雄紹介)(第二〇三一号)  同(濱田正信紹介)(第二〇三二号)  同(福田篤泰紹介)(第二〇三三号)  同(福永健司紹介)(第二〇三四号)  同(保利茂紹介)(第二〇三五号)  同(三池信紹介)(第二〇三六号)  同(三宅正一紹介)(第二〇三七号)  同(森田重次郎紹介)(第二〇三八号)  同(八木徹雄紹介)(第二〇三九号)  同(山口鶴男紹介)(第二〇四〇号)  同(山田長司紹介)(第二〇四一号)  同(吉村吉雄紹介)(第二〇四二号)  同(渡邊良夫紹介)(第二〇四三号)  同(安倍晋太郎紹介)(第二〇七七号)  同(阿部五郎紹介)(第二〇七八号)  同(愛知揆一君紹介)(第二〇七九号)  同(青木正紹介)(第二〇八〇号)  同(秋田大助紹介)(第二〇八一号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第二〇八二号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二〇八三号)  同(有田喜一紹介)(第二〇八四号)  同(井手以誠君紹介)(第二〇八五号)  同(井原岸高紹介)(第二〇八六号)  同(伊藤五郎紹介)(第二〇八七号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第二〇八八号)  同(伊藤幟紹介)(第二〇八九号)  同(伊能繁次郎紹介)(第二〇九〇号)  同(飯塚定輔紹介)(第二〇九一号)  同(生田宏一紹介)(第二〇九二号)  同(池田正之輔君紹介)(第二〇九三号)  同(石田博英紹介)(第二〇九四号)  同(石田宥全君紹介)(第二〇九五号)  同(石橋湛山紹介)(第二〇九六号)  同(石村英雄紹介)(第二〇九七号)  同(稻村隆一君紹介)(第二〇九八号)  同(今松治郎紹介)(第二〇九九号)  同(宇野宗佑紹介)(第二一〇〇号)  同(内海安吉紹介)(第二一〇一号)  同(遠藤三郎紹介)(第二一〇二号)  同(小澤佐重喜紹介)(第二一〇三号)  同(小澤太郎紹介)(第二一〇四号)  同(大石武一紹介)(第二一〇五号)  同(大上司紹介)(第二一〇六号)  同(大倉三郎紹介)(第二一〇七号)  同(大沢雄一紹介)(第一二〇八号)  同(大高康紹介)(第二一〇九号)  同(大竹作摩紹介)(第二一一〇号)  同(大野市郎紹介)(第二一一一号)  同(大野伴睦紹介)(第二一一二号)  同(大平正芳紹介)(第二一一三号)  同(岡田修一紹介)(第二一一四号)  同(岡本隆一紹介)(第二一一五号)  同(加藤清二紹介)(第二一一六号)  同(加藤高藏君紹介)(第二一一七号)  同(加藤常太郎紹介)(第二一一八号)  同(海部俊樹紹介)(第二一一九号)  同(勝間田清一紹介)(第二一二〇号)  同(金子 一平紹介)(第二一二一号)  同(金子岩三紹介)(第二一二二号)  同(神田 博君紹介)(第二一二三号)  同(亀岡高夫君紹介)(第二一二四号)  同(鴨田宗一紹介)(第二一二五号)  同(川俣清音紹介)(第二一二六号)  同(木村俊夫紹介)(第二一二七号)  同(木村守江紹介)(第二二一八号)  同(岸木義廣紹介)(第二一二九号)  同外六件(北山愛郎紹介)(第二一三〇号)  同(久保田円次紹介)(第二一三一号)  同(久保田藤麿紹介)(第二二三二号)  同(久保田豊紹介)(第二二二三号)  同(黒金泰美紹介)(第二一三四号)  同(小島徹三紹介)(第二一三五号)  同(河本敏夫紹介)(第二一三六号)  同(佐々木更三君紹介)(第二一三七号)  同(佐藤虎次郎紹介)(第二一三八号)  同(佐藤洋之助紹介)(第二一三九号)  同(齋藤邦吉紹介)(第二一四〇号)  同(齋藤憲三紹介)(第二一四一号)  同(坂田英一紹介)(第二一四二号)  同(坂田道太紹介)(第二一四三号)  同(笹本一雄紹介)(第二一四四号)  同外二件(志賀健次郎紹介)(第二一四五  号)  同外一件(椎名悦三郎紹介)(第二一四六  号)  同(椎熊三郎紹介)(第二一四七号)  同(重政誠之紹介)(第二一四八号)  同(澁谷直截君紹介)(第二一四九号)  同(首藤新八紹介)(第二一五〇号)  同(東海林稔紹介)(第二一五一号)  同外五件(鈴木善幸紹介)(第二一五二号)  同(關谷勝利紹介)(第二一五三号)  同(田口誠治紹介)(第二一五四号)  同(田澤吉郎紹介)(第二一五五号)  同(田中角榮紹介)(第二一五六号)  同(田中龍夫紹介)(第二一五七号)  同(田邊國男紹介)(第二一五八号)  同(田邊誠紹介)(第二一五九号)  同(田村元紹介)(第二一六〇号)  同(高碕達之助紹介)(第二一六一号)  同(高橋英吉紹介)(第二一六二号)  同(高橋等紹介)(第二一六三号)  同(高見三郎紹介)(第二一六四号)  同(竹内俊吉紹介)(第二一六五号)  同(楯兼次郎紹介)(第二一六六号)  同(舘林三喜男紹介)(第二一六七号)  同(塚原俊郎紹介)(第二一六八号)  同(渡海元三郎紹介)(第二一六九号)  同(富田健治紹介)(第二一七〇号)  同(中垣國男紹介)(第二一七一号)  同(中曽根康弘紹介)(第二一七二号)  同(中野四郎紹介)(第二一七三号)  同(中村幸八君紹介)(第二一七四号)  同(中山榮一紹介)(第二一七五号)  同(永井勝次郎紹介)(第二一七六号)  同(永田亮一紹介)(第二一七七号)  同(永山忠則紹介)(第二一七八号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二一七九号)  同(成田知巳紹介)(第二一八〇号)  同(南條徳男紹介)(第二一八一号)  同(丹羽 喬四郎紹介)(第二一八二号)  同(丹羽兵助紹介)(第二一八三号)  同(西宮弘紹介)(第二一八四号)  同(西村直己紹介)(第二一八五号)  同(西村力弥紹介)(第二一八六号)  同(野田卯一紹介)(第二一八七号)  同外五件(野原正勝紹介)(第二一八八号)  同(芳賀貢紹介)(第二一八九号)  同(橋本登美三郎紹介)(第二一九〇号)  同(長谷川峻紹介)(第二一九一号)  同(畑和紹介)(第二一九二号)  同(八田貞義紹介)(第二一九三号)  同(濱田幸雄紹介)(第二一九四号)  同(濱田正信紹介)(第二一九五号)  同(原田憲紹介)(第二一九六号)  同(肥田次郎紹介)(第二一九七号)  同(日野吉夫紹介)(第二一九八号)  同(平岡忠次郎紹介)(第二一九九号)  同(福家俊一紹介)(第二二〇〇号)  同(福田赳夫紹介)(第二二〇一号)  同(福永一臣紹介)(第二二〇二号)  同(藤枝泉介紹介)(第二二〇三号)  同(藤本捨助君紹介)(第二二〇四号)  同(船田中君紹介)(第二二〇五号)  同(古川丈吉紹介)(第二二〇六号)  同(保科善四郎紹介)(第二二〇七号)  同(保利茂紹介)(第二二〇八号)  同(細迫兼光紹介)(第二二〇九号)  同(堀昌雄紹介)(第二二一〇号)  同(牧野寛索紹介)(第二二一一号)  同(増田甲子七君紹介)(第二二一二号)  同(松井政吉紹介)(第二二一三号)  同(松井誠紹介)(第二二一四号)  同(松浦 東介紹介)(第二二一五号)  同(松永東紹介)(第二二一六号)  同(松本一郎紹介)(第二二一七号)  同(松山千惠子紹介)(第二二一八号)  同(三池信紹介)(第二二一九号)  同(三浦一雄紹介)(第二二二〇号)  同(三木喜夫紹介)(第二二二一号)  同(三和精一紹介)(第二二二二号)  同(毛利松平紹介)(第二二二三号)  同(森清紹介)(第二二二四号)  同(森下國雄紹介)(第二二二五号)  同(森田重次郎紹介)(第二二二六号)  同(森本靖紹介)(第二二二七号)  同(八百板正紹介)(第二二二八号)  同(八木徹雄紹介)(第二二二九号)  同(安井吉典紹介)(第二二三〇号)  同(柳谷清三郎紹介)(第二二三一号)  同(山崎巖紹介)(第二二三二号)  同(山田彌一紹介)(第二二三三号)  同外七件(山中吾郎紹介)(第二二三四号)  同(山村治郎紹介)(第二二三五号)  同(山本幸一紹介)(第二二三六号)  同外六件(山本猛夫紹介)(第二二三七号)  同(吉田重延紹介)(第二二三八号)  同(渡邊良夫紹介)(第二二三九号)  同(田中伊三次君紹介)(第二二四〇号)  淡路島にいざなぎ銀行設立に関する請願首藤  新八紹介)(第一八四〇号)  演劇入場税撤廃に関する請願大久保武雄君紹  介)(第一八六三号)  同(吉田重延紹介)(第一八六四号)  同(鴨田宗一紹介)(第一九三四号)  同(細田義安紹介)(第一九三五号)  同(坊秀男紹介)(第一九三六号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第一九九〇号)  同(楢橋渡紹介)(第一九九一号)  同(横山利秋紹介)(第一九九二号)  同(有馬輝武紹介)(第二〇七一号)  同(岡田利春紹介)(第二〇七二号)  同(田原春次紹介)(第二〇七三号)  同(芳賀貢紹介)(第二〇七四号)  国民金融公庫職員の増員に関する請願五島虎  雄君紹介)(第一九八九号)  音楽、オペラ、舞踊及び能楽の入場税撤廃に関  する請願細田義安紹介)(第一九九三号)  在外財産補償に関する請願楢橋渡紹介)(  第一九九四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二日  昭和三十七年産葉たばこ収納価格引上げ等に関  する陳情書  (第四三三号)  公共企業体職員等共済組合法の一部改正に関す  る陳情書  (第四  九七号)  貸金業等金利引下げに関する陳情書  )(第五四三号) は本委員会に参考送付された。     ―――――――――――――本日の会議に付した案件  国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に  関する法律案内閣提出第一一四号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五二号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四号)      ――――◇―――――
  2. 小川半次

    小川委員長 これより会議を開きます。  国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に関する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 小川半次

    小川委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。天野大蔵政務次官
  4. 天野公義

    天野政府委員 ただいま議題となりました国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に関する法律案につきまして、提案理由とその概要を御説明申し上げます。  この法律案は、さきに提案いたしました国税通則法案に関連して、同法の施行等に伴い、所得税法等国税に関する法律その他関係法律について、その整備をはかるため、所要規定改正をしようとするものであります。  まず第一は、所得税法等の直接税に関する法律改正でありますが、これら直接税法規定されている修正申告、期限後申告更正請求更正または決定、国税納令付帯税更正期間制限、不服申し立て等について、国税通則法案に統一して規定が設けられることに伴い、これら税法該当規定を削除する等の整理をはかることとしております。  第二は、砂糖消費税法等間接税に関する法律改正でありますが、これら間接税法規定されている担保の種類、提供及び処分、利子税額等について、国税通則法案に統一して規定が設けられることに伴い、これらの税法該当規定を削除する等の整理をはかるほか、新たに間接税にも申告納税方式を導入するため、関係規矩整備を行なうこととしております。  第三は、国税徴収法改正でありますが、同法に規定されている期間の計算、送達、納税管理人、相続による納税義務の承継、納税請求納税の猶予、還付、不服申し立て等について、国税通則法案規定が設けへれることに伴い、同法の該当規矩を削除する等の整理をはかることとしております。  第四に、国税通則法の制定及びこれに伴う諸税法整理に伴い、他の法律関係条項整理を行なうこととし、また、国税通則法案により国税延滞税割合が軽減されることに伴い、失業保険法国民年金法等規定する延滞金割合を軽減する等所要改正を行なうこととしております。  なお、この法律案による改正規定は、本年四月一日から施行することといたしております。  以上が、国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に関する法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いする次第であります。
  5. 小川半次

    小川委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  6. 小川半次

    小川委員長 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。田原春次君。
  7. 田原春次

    田原委員 日本輸出入銀行法の一部改正について、おもに二つの問題について銀行当局や、それに関連する各省各局の担当者にもお答え願いたいと思います。  第一は、南米における投資状況についてであります。第二は、少し性質は違いますが、外国映画及びテレビの輸入並びに日本輸出入銀行の為替業務のやり方について、その関連において輸銀の方に御質問いたします。  最初にお尋ねいたしますが、輸出入銀行が金額の増額の訂正だけに関する改正をしたのは、今まで何回ありますか。今度は九百八十三億になるようでありますが、創立以来何回やっておりましたか。
  8. 橋口收

    ○橋口説明員 お答え申し上げます。  日本輸出入銀行が設立されましたのは昭和二十五年十二月二十八日でございます。そのときの資本金が百五十億円でございます。その後たびたび増資をいたしておりまして、年次別に申し上げますと、二十六年九月に二十五億円、二十六年十二月に十五億円、二十七年三月に三十億円、二十八年三月に四十億円、その後ほぼ毎年二回程度の増資をいたしておりまして、大体年二回程度の増資のための規定改正をいたしております。
  9. 田原春次

    田原委員 そうしますと、昭和二十五年に創立以来、かれこれ十数回の増資のための法の改正をやっておられるようでありますが、これはそのつどやらなければならないのですか。あるいは政府の出資については一定のワクを作って、運用でやっていくというような便法はないのですか。ということは、この貸付等を受ける者にとっては時間が問題なのであります。しかるに法律を一年に一回ないし二回改正しなければ貸せないということになりますと、これは銀行業務としても煩瑣であり、また現に借り受ける者にとっても時間的に非常に損だと思いますが、ただ漫然と毎年々々改正をしていくということについては、この辺で基本的に考えるべきだと思いますが、これに対する見解はどうですか。
  10. 橋口收

    ○橋口説明員 輸出入銀行の資金は、御承知のように政府からの出資金と、資金運用部からの借入金と二つで成り立っておるわけでございます。ただいま御指摘がございましたのは、資本金つまり政府からの出資金の増額に関してでございます。御承知のように、輸出入銀行法で資本金は法定されておりますので、資本金を増額いたしますためには、法律改正が必要と相なるわけでございます。ただ、ただいま申し上げましたように、資本金のほかに政府からの借入金がございます。これは法律規定によりましても、予算で定められた場合には政府からの借り入れができることに相なっておりますので、年度途中等におきまして、かりに資金需要が急増したというような場合には、借入金による操作が可能であります。出資金につきましては、一般会計あるいは産業投資特別会計からの出資でございますので、そのつど法律改正して資本金を増額するということに相なっておるわけでございます。
  11. 田原春次

    田原委員 それはよくわかっておるのですが、問題は毎年政府出資金をふやさなければ貸付ができないというようなことでは、借り受ける方からいえば非常に時間的に不便じゃないか。従って、今度のように二百億だけを増資するというようなことをせずに、一千億なら一千億にして、それ以外の必要な資金は借り入れをするというような方法はとれないか、それを私聞いているが、どうですか。
  12. 橋口收

    ○橋口説明員 田原先生の御質問の趣旨は、たとえば現在の商法にございますような授権資本の考え方で、その授権資本の範囲内におきまして、必要に応じて増資をするというような便法を講じることが財政制度一般で許されますならば、御趣旨のようなことも可能だと考えますけれども、現在の法律体系におきましては、出資の必要のたびに法律改正して増資をするということになっておりますので、先ほど申し上げましたように、かりに資金需要が急増するというような場合には政府からの借り入れによって措置をする。それから出資金と借入金の両方の資金源でやっておりますが、出資金は御案内のように、主として輸出入銀行の貸出金利を引き下げるために無利子の出資が必要となる、そういう目的を持っての出資でもございますので、かりに資金が急激に必要とされた場合には、借入金で操作することがなおかつ必要なわけであります。
  13. 田原春次

    田原委員 そうなりますと、出資金の増額というものは、無限に将来毎年その次の一年間の必要量に応じて改正をし、手続を踏んでやっていくのですか、どうですか。たとえば今度の二百億の増資をすると、九百八十三億ですか、あと十七億ふやせば一千億というわけなんですが、そうせずにするというのは、あなたの言うような理由からであると思いますが、毎年需要が上がってくる、そうすると毎年無限に増資をしていかなければならぬということになるのですか、どうですか。
  14. 橋口收

    ○橋口説明員 輸出入銀行の資金の増加に対する方法に関する御質問だと思いますが、御指摘のように、現在の体制を継続いたしますと、毎年増資をして資本金をふやす、政府から出資をちょうだいする、それによって輸銀の運営が実行せられておるような体制に相なっておるわけでございます。従いまして、現在の法体制のもとにおきましては、御指摘のように毎年増資をいたしまして資本金をふやす、それに伴って借り入れもふやすことによって、輸銀の資金を強化するということにならざるを得ないわけであります。
  15. 田原春次

    田原委員 次にお尋ねしたいのは、資料として要求するつもりでございましたが、時間的に間に合わないので、お答え願いたいと思います。  かりに過去三年間にしてもあるいは三年間でもいいですが、南米関係の事業への投資額の変遷、おととしはどのくらい、去年はどのくらい、三十六年度は現在二月までにどのくらい、できれば国別の総計がわかれば出していただきたい。
  16. 福田久男

    福田(久)政府委員 投資いたしました金紙のお尋ねでございますが、私の方の調べといたしましては、直接投資と延べ払い輸出とに分けてございます。昨年の十二月末におきまして、中南米に対する直接投資の総領は九千四百万ドルでございまして、延べ払い輸出債権の残高が二億二百万ドルでございます。国別内訳はちょっと今手元に持っておりませんので、必要があれば後刻調査してお答えいたします。
  17. 田原春次

    田原委員 その中で、わかりますならばお答え願いたいと思うのは、貸し出しの性質上日本国内のプラント輸出、車両、船舶その他が出るのは当然ですが、借受者の側の内部の割合、すなわち日本に純然たる本社があり、主たる事業場がある会社等に融資したものと現地との合弁、あるいは共同借り入れ、あるいは一部現地の政府が融資した利益を受けたような格好でやっておるもの、そういう分け方はどうでしょう。  私は合弁の面の内容を聞きたいわけです。合弁と言うとおかしいですが、共同借り入れというような、ミナスのような場合、日本ウジミナスだけが借り入れておるものか、それは出資の形で変わってくると思いますが、そういう点あとでお尋ねしたいと思いますが、わかった点でけっこうです。
  18. 福田久男

    福田(久)政府委員 ただいま申し上げました数字は全体の数字でございまして、延べ払い債権というのは御承知のように、輸出入銀行の延べ払いの債権の残高でありますが、直接投資と申しますのは、延べ払い以外でたとえば合弁会社に出資するとか、あるいは延べ払い以外で投資をしておりますものを合計したものでございます。その明細は資料の関係ではっきりお答えできませんが、その中で特定のものについてお尋ねでございますれば、あるいはわかるかと思います。何分件数も多いものでありますから、種類も合弁で幾ら、何で幾らということは、ちょっと手元に資料を持っておりませんので、お答え申し上げられないと思います。
  19. 田原春次

    田原委員 それでは件数だけお尋ねしたいのですが、最近三年間くらいにおける件数の増加の状況です。件数及び金額がどういう格好でふえてきつつあるか、大体の傾向をお知らせ願いたい。
  20. 山本菊一郎

    ○山本説明員 海外に対する輸出金融、輸入金融、投資金融をやりますときに、輸出入銀行の金と民間の金と両方合わせて出すわけでありますが、輸出入銀行の貸し出しの残高から申しますと、本年一月末におきまして、南米関係のものが全体で四百三十三億くらいあります。そのうちの輸出金融に当たりますものが百六十八件、三百六十億円ございます。輸入金融に当たりますものが八件、十九億ございます。投資金融にあたりますものが二十八件、五十三億ございます。
  21. 田原春次

    田原委員 時間の関係で主として投資金融の面をもう少し聞いてみたいのです。南米向けの投資金融は国別にどういう工合になりますか。ブラジル、アルゼンチン、パラグァイもしくはペルーを入れてもいいのですが、大体の増加の傾向ですね。
  22. 山本菊一郎

    ○山本説明員 お答えいたします。  ただいま投資金融に当たりますものが五十三億と申し上げましたが、そのうちの二十一件、四十九億に当たりますものがブラジルでございます。その他チリーに四件ほど、それからその他の国に三件ほどございます。
  23. 田原春次

    田原委員 パラグァイにはどのくらい投資しておりますか。
  24. 山本菊一郎

    ○山本説明員 投資金融としてはパラグァイに対してはございません。しかし、パラグァイに対しましては、船の輸出の関係におきまして円借款をいたしております。輸出金融でございます。
  25. 田原春次

    田原委員 これらの輸出入金融並びに投資金融をする場合の調査、審査はどういうふうにやっておりますか。
  26. 山本菊一郎

    ○山本説明員 もちろん在外公館の情報は十分とっておりますし、東京銀行その他の銀行の情報、それから商社の駐在員の情報等も十分とっておるつもりでございます。そのほかに私どもの方といたしましても、リオデジャネイロに駐在員が二名駐在いたしております。それでいろいろと情報を集めまして、あと貸し出しだけは全部日本の商社ないしメーカーでございますので、そこら辺の説明を十分聞きまして、投資金融ないし輸出金融をやっておるというのが現状でございます。
  27. 田原春次

    田原委員 一つ角度を変えて、これは為替局長にお尋ねをいたしたいのですが、南米のうちアルゼンチン、ブラジルはけっこうですが、オープン・アカウントの焦げつき債権がある。その返済方法等についての話し合いが進んでおるはずですが、どういう工合になっておりますか。
  28. 福田久男

    福田(久)政府委員 アルゼンチンに対するオープン・アカウントの勘定でございますが、昭和三十七年の三月一日現在で三千九百十五万八千ドルございます。これは昭和三一六年から四十一年までに分割して償還することになっておりますが、その金額を申し上げますと、三十七年の六月三十日に三百七十三万八千ドル、三十八年に八百九十七万九千ドル、三十九年に九百二十九万三千ドル、四十年に九百六十一万八千ドル、四十一年に残りの七百五十二万七千ドル、これに三分五厘の利子をつけまして毎年支払うということに相なっております。
  29. 田原春次

    田原委員 これは現金で返ってくるのですか、あるいは何か貿易上の決済として代用されますか。
  30. 福田久男

    福田(久)政府委員 これは現金ドルで返済してもらうことになっております。
  31. 田原春次

    田原委員 ブラルジとの関係はどうなっておりますか。
  32. 福田久男

    福田(久)政府委員 ブラジルにつきましては、これもことしの三月一日現在で千三百五十八万七千ドルございますが、これは年二回、四月二十五日と十月二十五日に百二十万ドルずつ、年額にしますと二百四十万ドルずつ毎年払ってもらうということになっておりまして、昭和四十三年の四月二一五日で終わるということになっております。これも同じようにドルで払ってもらうことになっております。
  33. 田原春次

    田原委員 望ましいことではありませんけれども、ブラジルでは現在インフレが進行しておるし、それからアルゼンチンも必ずしもペソが安定したとは言えないようで、やみをずいぶんやっておるようです。もしこういう協定が実行できない場合は、あらためて協定し直すつもりですか。日本側としては、これだけの協定額のものをこれだけの年度、金額に分けて返還させることは当然ですが、向こうの事情で変わる場合があるのですか。
  34. 福田久男

    福田(久)政府委員 これまでのところ約束通りに払ってもらっておりますし、今後も約束通り払ってもらえるものと考えております。
  35. 田原春次

    田原委員 またちょっと前に戻りまして、五十三億と言いましたか、今のお話の内容をもう少し明らかにしてもらいたい。内容ということは事業内容ということではなく、東京に本社があり、資本があり、技術があるものに貸しておるのか、それとも現地との共同的なものか、明らかになりますか。
  36. 山本菊一郎

    ○山本説明員 先ほどお答え申し上げましたように、輸出入銀行から中南米関係に投資金融しておりますものは、二十八件、五十三億でございますが、そのうちの二十一件、四十九億がブラジル関係でございます。そのうち一番大きなものはミナスに対する投資金融でございまして、それが十四億五千万円あるわけでございます。その他件名だけ申し述べますと、パイロット万年筆の進出、それから鐘紡関係の綿紡の進出、それから豊和工業、日本スピンドルの進出、それからブラジルのミシン会社に対する東洋棉花、西澤ミシンの合弁、それからブラジルの農工会社に対する日商の参加、それから梳毛紡績に対する倉紡等の参加、久保田鉄工、新潟鉄工所、石川島重工業、大洋漁業、ヤンマーディーゼル等の進出があります。それからチリーの関係は二件でございますが、その残高は七千万円程度でございます。これは日本鉱業と三菱鉱業の鉱山開発に対する協力事業でございます。それからもう一つはエルサルバドルでございます。エルサルバドルに三件ほど投資金融がございますが、これは綿紡の合弁事業でございます。  以上お答え申し上げます。
  37. 田原春次

    田原委員 私のお尋ねした意味がよくわかっていないようです。あるいは私のお尋ねの仕方が悪かったと思いますが、私のお尋ねしたいのは、石川島とか日本ウジミナスとか、日本に本社があり、日本に資本も従業員も持ち、そして中南米に進出するものに貸すのはいいのですが、数十年前に中南米に移住しておる者で、農業金融は海外移住振興会社である程度やりますけれども、商工業に進出したい者に対する金融が割合に不便であるというよりも、輸銀の方針からすれば純然たる在留日本人の中小企業等に対しては貸し出しにくい状態であったのではないか、それをお尋ねしておるわけですが、これに対しては今までの実績はどうなんですか。
  38. 山本菊一郎

    ○山本説明員 日本輸出入銀行の融資の建前は、日本から品物が出ます場合に、日本の輸出業者である商社ないしはメーカーに貸すというのが輸出金融でございますし、投資金融ないし海外華美金融の場合におきましては、日本人がたとえば南米に進出いたしまして、そこで合弁をやるというときに貸す、ないしは海外で事業をやるときに日本の個人ないしは会社に貸すというのが私どもの建前でございます。従いまして、南米に多くの日本の移民が参りまして、相当成功しておられ、また今お話がございましたように、その人たちが事業を興す意欲に燃えておるということは私も承知いたしておりますが、その関係の金融は原則として地元の金融でやるというのが建前でございます。御承知のように、南米には日本系の銀行もございますし、またそれぞれの国の銀行もあるわけでございます。そういうものから資金を受けるというのが普通の例になっておりまして、もしその方々が現在日本におります人と合弁で事業をやろうとかなんとかいうような場合におきましては、もちろんその日本人ないし日本の会社に対して金融することは私どもの方からできるというふうな事情に相なっておるわけでございます。従いまして、現地の日本の移民の方に貸すということは、私どもの輸出入銀行としての仕事の内容に入っておりませんので、その点は一応御了承願いたいと思います。
  39. 田原春次

    田原委員 仕事の内容に入ってないというのは、つまり規則がそうなっているということなんですね。
  40. 山本菊一郎

    ○山本説明員 制度がそうなっております。
  41. 田原春次

    田原委員 しからば制度を変えたらどうかということになると思います。すなわち毎年々々輸出入銀行法の改正をやる。これは主として金額の増額、出資の増額になっておるわけですが、貸し出す内容について、もう少し在留日本人の事業を援助するならばやっていけるというのがたくさんある。今お話を聞きますと、調査員も二名おるわけですから、申請された場合の調査はできるわけです。これを私が申し上げるゆえのものは、第一は、イタリアあるいはイギリスあるいはスペイン等の本国が海外各地のそれらの国の在留人に対して事業の援助をしているわけです。これはお調べになればわかります。たとえばアメリカのバンク・オブ・アメリカは御承知のように、あれはイタリアのバンクであってそれに対して南米ではサンパウロのマタゾールその他の大きな事業家が有望な事業に対しては融資をするわけです。もちろん融資でありますから、慈善事業じゃない、当然返ってくるわけです。日本は、あなたのお話では、南米には日本系の銀行がある、まさにその通りです。住友銀行も最近出ましたね。東山銀行というのは三菱系、南米銀行というのは富士銀行系、これらは短期の商業資金しか貸さないのです。ところが、たとえばバス会社をやるとかあるいは倉庫業をやるとか、何かそういった不動産設備を必要とする有望な事業に対しては、現地の日本側糸の銀行は貸せない。それから輸出入銀行は制度上、規則上貸せない。そうするとその中間の在留日本人であって、内地にあまりつながりはない、しかし事業は相当有望なものが見つかっておる、また経営能力があるという場合に、だれも貸せぬというわけですね。それでいいのですか。どういうふうにお考えですか。
  42. 橋口收

    ○橋口説明員 お答え申し上げます。ただいまの御質問の点に関しましては、田原先生かねてからの御意見でございます。私ども御注文をちょうだいいたしましていろいろ検討いたしておりますが、ただいま輸出入銀行の方から御説明申し上げましたように、輸出入銀行は、日本から物を輸出する、あるいは投資するということを建前にいたしまして、それに対して金融的な援助を与えるということに相なっておるわけでございます。一方海外移住会社につきましては、その運営等についてはいろいろ御批判もあろうかと思いますけれども、法律の建前におきましては、在留邦人に対しては海外移住会社から現地貸付をすることができるように相なっておるのであります。従って、輸出入銀行は日本からの輸出、あるいは投資を促進するという点に黄点を置いて、業務の運営をいたしておるわけでございます。しかし制度といたしましては、ただいま申し上げました移住会社の制度もまたあるわけでございます。従いまして、金融制度の秩序をできるだけ保つという意味におきましては、海外移住会社の機能も強化する、あるいは業務の運営に改善を加えるということが方法としては妥当ではないかというふうに考えるわけでございます。
  43. 田原春次

    田原委員 一応格好はそれでできていると思いますが、実際の貸付状況を見ますと、輸銀の貸し付けますものは、今度の資本からいって九百八十三億円、産投関係の融資からしても、合計千数百億になるのでございまして、それはそれでけっこうです。ところが同じ大蔵省の監督もしくは国営にいたしております海外移住振興会社は、毎年政府の出資は五億です。そうしてブラジルからアルゼンチン、あるいはメキシコまで含めますと、大体八十万くらいの日本人が住んでおります。中には中米のドミニカのように、事業に失敗して帰る者もありますが、大作において根をはやしております。すでに二世、三世の時代にも入りつつあるのであります。これに対しては移住振興会社が貸しますからということだけであって、調べてみると、年間わずか五億円。それも農業金融や小口の金融でありまして、最高日本円で五十万程度であり、非常に長い時間をかけて一々大蔵省の為替局、理財局、管財局、主計局の査定を経て、それからまた外務省に返って、外務省から現地へ通達しているというようなことで、これではとうていできない格好です。しかるに農業金融にあらずして、商工金融で借りるものがあるかと申しますと、移住振興会社がほんのわずか貸したことはあります。しかしそれは非常に問題があって、現地払いであるとか、いろいろなことで問題になっておる。私がそう言っているのではなく、在留日本人がこぞってそう言っている。だからこの窓口を整理して考えてもらいたいということ。ひとしく日本人で海外に発展しても、商社や貿易業者に対しては、輸出入銀行の制度の範囲内で、信頼できれば千数百億円を貸す。しかし裸一貫で海外に行って、それから旅館をやっておる者もあるし、あるいはこまかい工場をやっている者もあります。これに対しては金融の道がない。だから、これは立法論になるかもしれませんが、輸出入銀行の貸し出し規定をもう少し広げて海外日本人部とでもいうか、何かある金額だけをきめて、そうして貸してやってはどうかというのが、私の質問の趣旨です。そういう方向に持っていくべきものと思うが、どうですか。これは為替局長や輸銀当局の意向を聞かしてもらいたい。前向きにいく方法はないかということを質問しているわけです。
  44. 福田久男

    福田(久)政府委員 輸出入銀行法の関係は、直接には銀行局の所管でございますが、先ほど来お話がございましたように、輸出入銀行は、日本の設備、輸出を中心としてそれを大いに奨励するということに主眼がありますし、他面移住振興会社の方は、移住者に対する貸付ということに主眼があるということで、建前としては一応できているわけでございますが、お話のように、移住振興会社がやっております現実の仕事は、今のところどうしても農業に中心があるわけでございます。もちろん漁業融資あるいは工業融資等も若干実績はあるわけでございますけれども、比較的規模の小さいものがおのずから多くなる。要するに移住振興会社の方は、移住者をこれによって吸収することがおもなねらいだと思うので、資金を相当吸い込むという点ではまたおのずから別の観点から考えなければならぬのじゃないかという面もございます。しかしながら輸出入銀行は、先ほど申し上げたように、プラント輸出等の輸出を中心に考えるという制度でありまするので、たとえば現地において何か相当の規模の仕事をされる場合には、国内における円資金調達の問題もあろうかと思いますが、やはり一種の海外への事業進出、移民という範疇よりは、海外における事業の進出ということで考えるべきものではなかろうかというふうな感じもいたします。そういたしますと、従来から海外に対して事業的な形で進出している場合もだんだんありますわけでございます。それらと同列の考え方をいたしますと、国内においていろいろと資金調達、市中銀行から借りるとかあるいは自己資金でやるとか、いろいろそういう面でも資金調達の道は考えなければならぬだろうし、また、現地における現地銀行からのファイナンスということ、現地に進出した後におきましては、そういう問題もあろうかと思います。従って、いわゆる移民という範疇で考えるか、あるいは事業の進出という意味で考えるか、それらによってそれぞれ結論が変わってくるのじゃなかろうか。どうもお答えになっていないように思いますけれども、一応さように考える次第でございます。
  45. 田原春次

    田原委員 今のお答えの中に、ちょっとおもしろい考え方が出ておるので、実は私もそれを今から聞こうと思っておったのです。それは、現地の銀行の金融はどうかということ。ところが、御承知のように、ブラジル銀行にしましても、アルゼンチン銀行にしましても、やはりいろいろ担保とか保証とかいうことがあって、こちらで思うほどの金が借りられぬわけです。そこで、最初にあなたにお尋ねをした焦げつき債権の問題に返るわけです。返還ができると言う。しかしながら、アルゼンチンが向こう五ヵ年、ブラジルが向こう六ヵ年となっておりますが、この間の操作によって、ブラジルなりアルゼンチンの銀行に、どういう形になるか私は専門家でないからわかりませんが、現地に行っている人の声をそのまま伝えますと、輸銀で貸せぬ場合、それから移住振興会社で貸、せぬ場合に、現地の銀行に借りる場合、現地の銀行が一番事情を知っているわけですから、それに対する担保とか保証のような意味で、これは為林局長の仕事になると思うのですが、現在のこのオープン・アカウントの債権を、譲るのでありません、それを担保か保証にして、現地の日本人の事業に現地の銀行が貸すような交渉なり奨励は、道はないかということがみんなの言ううことでございます。つまり、繰り返すようですが、輸銀の対象にならず、それから移住振興会社の農業金融の対象には、金額として内容が大きいという場合の現地における資金の調達に対して、為替局が今担任しておる焦げつき債権を保証か何かの形で、その銀行に安心せしめ、貸す方法はないかということが、今非常に論じられているわけです。それに対する答弁、為替局の考え方が今必要なんです。それを私はお尋ねしている。それに対して局長はどうお考えになりますか。それで、そのお考えを聞く前に申し上げておきますが、海外在留同胞の功績ですね。特に為替関係だけを限って申しましょう。私の調査によれば、これは東銀や住友銀行等の窓口に行く、あるいは一部バンク・オブ・アメリカやその他の窓口からの累計と、それから海外在留日本人自身の計算であります。海外と言う以上は、北米、カナダ、ハワイ等入っております。すなわち、南北米と言っていいでしょう。大体昨年あたり百七十億円くらい郷里に送金しています。それは学校にピアノを寄付するとか、老父母の生活資金をお送りするとか、あるいはお寺のつり鐘の寄付であるか、あるいは神社の鳥居の寄付というようなものもひっくるめまして、大体百二十億から百七十億円見当が年々日本に現金で入っております。貿易で利益を上げる率というものは知れたものであります。これは非常に大きな額にならぬと、何千億という取引をしない限りは、純益が百七十億円というものは、御承知の通り、日本に入らないのであります。現実に素っ裸で行って働いておって、現に農業なり中小企業をやっておる海外日本人が、総計百七十億円の新しいプラスを日本にやっておるのでありますから、少なくともそれに見合う程度の保証ぐらいはやって、さらにもっと収入が上がるようにするのが、日本人として好ましいことだとわれわれは思います。従いまして、今御答弁をいただこうとする前にそれを特に申し上げたのは、オープン・アカウントの焦げつき債権はそういうものではないとか、そういう程度ではだめだと思うのです。これから海外に行く人もあるわけでありますから、為替局としてなし得る最大限のこと、特に為替局だけでできぬならば、大蔵省としてなし得る最大限の、在留日本人の事業進出に対する資金の援助の面について、新しい考え方を出すべき時期がきてているのじゃないか、こういうふうに思いますからお尋ねするのであります。そういうことも含んで御答弁願いたいと思います。
  46. 福田久男

    福田(久)政府委員 お言葉にございました海外移住者からの国内への送金ですが、正確には把握できませんけれども、私どもの調べております統計によりますと、贈与という項目がございまして、この中に、その金額が大体年度間五、六千万ドル程度でございますので、大体お話の数字よりも若干回っております。その五、六千万ドルのうちの相当の部分が、海外移住者からの送金に基づくものであろうかというふうに今想像はいたしておりますが、お話しのように、イタリアあたりではそういう金額が非常に大きくて、イタリアの国際収支に寄与していることは御承知の通りでございまして、私どももその点は十分頭に置いておかなければならぬことだというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、なお、先ほどお話にございました、オープン・アカウントの焦げつきとおっしゃいましたが、焦げつきという程度をどうするかという問題もございますけれども、着々と回収はしておりますし、予定通りドルによって収入することになっております勘定でございますが、実は、これは外国為替資金特別会計の資産でございまして、外国為替資金特別会計は、これは申し上げるまでもございませんが、外国為替資金の売買というものを主として行なうわけで、その外国為替の運営を円滑にするということを主たる目的としておるわけでございまして、その資金で、他のそれと直接の結びつきを持っておらないことのために保証の役目を果たすということは、五千万ドルの範囲内では関係はあるとは思いますけれども、直接の関係は持っておるとは必ずしも言いがたい費目のために保証の役目を果たす、言いかえますと、輸出をやる仕事について特別会計が保証をやるかどうかというような問題とも関連するかと思うのですが、そこまで特別会計の機能を拡大することについては、また特別会計のあり方として問題が多いというふうに考えるわけでございます。お話の、その移住者を中心とする事柄につきましては、移住振興会社というのがありますし、事業の進出ということになりますと、その事業の進出に伴って設備の輸出がこの中に含まれておりますれば、その設備輸出という観点で輸出入銀行という制度もございますし、自己資金等については、海外に進出する者そのものの相当の資金調達力なり信用力なりというものによって資金を調達することが適当ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。従いまして、先ほどオープン・アカウントの資金をしかるべき方法で保証の役目を果たすように活用したらどうかということは、外国為替資金特別会計自体のあり力としてなかなか困難な問題ではないか。もし何らかの方法を考えるとすれば、ほかの方法で考えるべきじゃなかろうか、かように考えております。
  47. 田原春次

    田原委員 大蔵省はいつもそういうふうに考える。非常に分析もうまいし、頭もいいけれども、熱情が足りないということになる。海外在住の日本人は、それを特別会計であるとかいうようなこととはあまり関係なく、現にブラジルやアルゼンチンに相当金の貸越しがあるじゃないか、それを担保にしてブラジル銀行やアルゼンチン銀行に貸すような方法はないものかということを言っている。東京へ帰って聞いてみますと、いや、為替局ではいかぬ、主計局ではいかぬ、理財局ではいかぬということになって、何のことはない、消えてしまう。私は、それはあたたかい気持からきた政策にならぬと思う。だから先ほどからお尋ねしておるように、輸銀の回収に対して、制度がそうだからということを言っているけれども、制度を変えたらいいじゃないか。それができぬというなら、それでは為替局の所管であるこれらの在外債権というものを見返りにして貸すような方法はないか。これは政治なんですから、この問題を、制度がこうだからこうなんだと言ってしまえばそれはごく楽ですが、それでは同情も熱情も一つも入っていない。私どもの開いているのは、しろうとですから、あなた方から考えるとおかしいかもしれませんが、現地の人は大まじめに考えているんだから、どの方法をとられるか。繰り返すようですが、何にも方法はないわけじゃないのです。何か道があるのですから、その辺もう少しはっきりしておいてもらいたいと思います。
  48. 福田久男

    福田(久)政府委員 場合を二つに分けて考えますと、移住者を中心とした金融の道というものは、海外移住振興会社の担当することではないかというふうに思います。それから相当の規模の事業の進出、人の移住というよりも事業の進出に重点があるという場合におきましては、たとえばその事業の中で設備輸出を伴うというような場合には、輸出入銀行の融資の対象として検討されることになろうかと思います。もちろんその場合に自己資金等は相当程度必要になろうかと思うわけでございますが、ただ移住者だけで現地で相当大きな事業を計画されることは、移住の目的というよりも事業進出を目的としているというふうに考える方があるいは適当ではなかろうか。その場合にはやはり相当の資力、信用というものが別途裏づけとして必要となってくるのではなかろうかというふうに考えます。
  49. 田原春次

    田原委員 同じところをぐるぐる回っておるのですが、それならば、たとえば、これも主計局になるか為替局になるか銀行局になるか理財局になるか知らぬが、海外移住振興株式会社の法律を変える——御承知のように海外移住地から見ますと、日本の役所がばらばらでありまして、迷惑をこうむっておるのは在留邦人ばかりでございます。あまりにも遠いものであるし、マスコミもあまり取り上げぬものですから、知られておりませんけれども、ずいぶん迷惑を受けている。その内容等については、いずれ外務委員会で詳細に検討しなければならぬと思うので、ここでは申し上げませんが、方法として、対策として考えられることで、大蔵省が聞いておいてもらいたいことがある。それは移住振興会社、それから海外協会連合会、この二つは外務省の所管でありますが、実際は大蔵省がやっておる。それから農林省関係では全国開拓協同組合連合会というものがあるが、それ自体の性格、目標から海外へ出ておりますが、これらがちょうど日本でお互いに縄張り争いや対立するのよりもっとひどいことをやっておるわけです。みんな自分で熱心にやっておるけれども、結果においては迷惑を受けておるわけです。  そこで今の局長のお話から発展して考えますならば、日本の事業家が投資する場合は輸銀の対象となる、それはそれでいいでしょう。これも規則を変えてもらいたいと思いますが、一応あと回しにします。今度は定移住者の動産金融等に関して特に海外移住振興会社があるということですが、これはあるだけでありまして、年間わずか五億くらいの金ではほとんど活動はできません。  そこで、以上申し上げました三つの団体あるいは建設省の建設青年隊というものがありますので、あわせてかりの名前を南米移住開発事業団とでも申しますか、どうせ日本政府から出る金でありますから統一し、そして強力なものにいたしまして、公益事業も、学校だとか病院というようなものも場合によっては経営する。それから不動産投資等もやる、こういうことでいくならば、出先の行政機関が統一されるだけでも助かりますので、そういう方角に持っていく。しかし、それには今の実情からもう少し堀り下げていかなければならぬ。為替局長にしばしば聞いたのもそういう意味からの質問です。すなわち今後の海外移住をどうするかということと関連して、すでに海外に在留している者に対する内地の各省の行政がばらばらであるが、これを一本にする。それから強力なるものとしていく。輸銀対象ともならず、移住振興の対象ともならぬようなごく大きなもの、これらも含めてやるのには事業団構想というものがいいのではないかという声が強くなっているが、これは単なる思いつきの議論ですから、ここでコンクリートのことは言え、ないだろうと思いますが、方角をどこにに持っていくかということは、あなたでもお答えできると思いますから、聞かせていただきたい。
  50. 福田久男

    福田(久)政府委員 海外移住に関陣するいろいろな機関があって、その間の調整なりあるいは事務の運び方なりについて、あるいは考え方等について非常に円滑を欠く点があるのではないかということでございますが、確かに団体がいろいろあって、たとえば移住関係だけでも三つくらい大きなものがあると思いますが、それらの点については、できる限りその事務が円滑に進むように考えなければならないとは思いますけれども、同時に、またただいまの御提案が何か事業団といったようなものを一つ考えたらどうかということでございますが、そういう点について、私まだ十分検討もいたしておりませんので、率直に申し上げまして、ちょっと私から今お答えすることができないことを遺憾に思いますが、その点は御了承いただきたいと思います。
  51. 田原春次

    田原委員 今の点について、それでは政務次官は、どういう考えでございましょうか。
  52. 天野公義

    天野政府委員 現在の制度でございますと、いろいろ不便な点もあるやに聞いているところもあります。また先生のお話にもあった通り、結果はどう出るかわかりませんが、いろいろと検討しなければならない問題の一つだと思っております。(「検討次官」と呼ぶ者あり)
  53. 田原春次

    田原委員 ケントウでもレスリングでもいいのだが、(笑声)結論はつけてもらわなければならぬ。大蔵委員長は長野県の出身ですが、長野県人は海外移住については先覚者であります。非常に理屈の多い県人ですが、しかしながらまた熱心なところもありますから、あなたもただぼやっと水ばかり飲んで聞いておってはだめですから、どういうふうに検討するかを大蔵委員会で、特に小川委員長として前向きで考えてもらいたい。今言ったのは、一つの案でありますが、事業団はどうか。それでなければ、移住振興会社に思い切った権限を与え、それから相当額を増資してやる、こうしてやらせるかしなければ、現地ではまるっきり不評です。移住振興ではなくて、移住不振興だと言って、全然当てにしておりません。移住振興の現地の者に聞きますと、何もできませんと言う。書類から書類、そして大蔵省に行っても四局回らなければ返事がこない。何もしない方がいいということになる。あるときブエノスアイレスで聞いた話ですが、会計報告で、アメリカの金で一セント、日本の金で三円五十銭ですが、その一セントの金が出ていないというので、大蔵省からその一セントはどうなんだと電報で問い合わせてきた。その電報は七千円くらいかかっている。(笑声)これは笑い話でありますが、会計士に聞いたらそれが大事なんですと言う。一セントが大串なんですから、まさに大蔵省としてはその通りでしょう。しかし大事な金を使って一セントの問い合わせに七千円も使う。それから毎年主計局から一人ずつ調査官だか主計官が行きますが、これは百工、三十万円平均使っておる。言葉もわからぬし説明を聞く程度だが、それでもないよりはましだから事情を知ってもらおうというのでやっておる。だから、たとえば大蔵省に、出張でなくて二、三年かけるくらいな監理官を置いて、為替局関係、銀行局関係、移住局関係をまとめて、現地でいいことはいい、悪いことは悪いという決裁をするような権限をある程度与えたらいいという意見が出ておる。そういうことで難業団を作って責任を持たしてやったらどうかという意見も出ておる。これは委員長に質問するのはおかしいかもしらぬが、委員長はこういう問題について一体どういう扱いをするか聞いておきたい。
  54. 小川半次

    小川委員長 御発言の御趣旨は十二分に了承いたしましたから、本委員会としてもしかるべき方法を研究いたしまして検討いたしたいと思います。
  55. 田原春次

    田原委員 これは大蔵大臣にも聞きますが、委員長がしかるべき方角にいこうと言うことについては私は十分市重視して聞いておりますから……。今度の国会の会期末までに何かの結論を出してやらなければ海外在住同胞は——この五月の初めに五百人くらい来るわけで、すでに観光団が来ておるが、特にことしは政府の支援もあって第三回海外日系人大会があるけれども、これが一番大きな問題になっておるのです。そのときは小川委員長も引っぱり出しますが、為替局長銀行局長にも来てもらうことになっておるのでお願いしておきます。  そこで、第一の点は要点がはっきりしませんが時間の関係もあるので第二の問題に入ります。それは外国の映画、テレビの輸入状況と日本映画の輸出状況とに関してであります。  まず最初にお尋ねしたいのは、外国の映画とテレビの輸入状況とこれに対するドルの支払いはどのくらいになっておるか、あわせて日本映画の海外進出、テレビが出ておるかどうか知りませんが、出ておればそれらの数字を最近数年間でよろしゅうございますから年度別に明らかにしてもらいたい。
  56. 福田久男

    福田(久)政府委員 映画の輸出入の状況についてのお尋ねでございますが、昭和三十四年度におきまして劇場用映画の輸入実績は総金額にいたしまして六百五十万ドルくらいでございます。ニュース、短編等が一万四、五千ドルでございまして、テレビ用の映画が八十四万ドルでございます。それから昭和三十五年度におきましては、劇場用の長編物が六百五十二万ドル、三十四年度とほぼ横ばいでございまして、ニュース、短編等が八千ドルでございまして、三十四年度より若干下回っております。それからテレビ用の映画は、三十五年度におきまして百五十万ドル、これはかなり増加をいたしておるわけでございます。それから昭和三十六年度の四月から二月までの数字で申しますと、劇場用の、長編物が六百八十六万ドル、若干ふえております。ニュース、短編等が五千ドル足らずでございまして、これはむしろ減少をいたしております。それからテレビ用でございますますが、二百七十万ドルとテレビ関係は相当大幅に増加を見ておるのでございます。  それから輸出関係でございます。日本映画の海外への輸出でございますが、輸出実績は、統計の都合で暦年になっておりますが、昭和三十四暦年で二百六十六万ドル輸出いたしております。三十五暦年で三百四万ドル、三十六暦年で三百二十四万ドル、大体最近のところ三百万ドルをこえておるという状況でございまして、輸出金額は先刻輸入について申し上げたのに比べてかなり少ない数字でございますが輸出もふえるように思いますが、やはり日本映画に対する海外の受け方というものにも基本的な考え方があるかと思うし、また日本の外国映画に対する嗜好と申しますか、そういうものとも関連があるかと思いますが、現状ではどうしても輸入の方がかなり多くなっているという実情でございます。
  57. 田原春次

    田原委員 今の数字と私が調べた数字とを整理いたしますと、日本映画の輸出に比べて外国の映画、テレビの輸入金紙は多額で、昭和三十三年度において三百九十万ドル、それだけが輸入の超過になっておりますね。三十四年度が三百八十万若干ドルのやはり輸入の超過であります。三十五年度は三百四十万若干ドル、三十六年の今日までで三百六十万程度輸入の超過になっておるわけであります。これは日本の映画を買う本数、払うドルに対応して向こうのものを買うというような一種のバーターみたいなふうにすれば私は映画の問題が相当解決するんじゃないかと思うが、そういうことについてのお考えはありませんか。ただ自由に入れて、それから売れるものだけ売っていくという格好でいくのですか、何の指導もしないで。為替の関係から見た見地を一つ知らしてもらいたい。
  58. 福田久男

    福田(久)政府委員 確かに輸出に比べまして輸入の方が多い、逆に申しますと輸入よりも輸出が少ないということはお話しの通りでございますが、何分先ほど申し上げたように、日本の映画に対する外国の受け方、外国映画に対する日本人の嗜好と申しますか見方というものが基本的にあろうかと思います。同時に、お話のようにそれをバーター制度にすることがどうかという点も一つの問題とは思いますが、御承知のように一般的に輸入の自由化をいたして参っております関係もありまして、これらの面につきましても漸次自由化の進展というものとの関連を考えながら規制を逐次措置していくということが従来必要であったと思うわけであります。従いまして、現在におきましても、長編映画につきましてはあるきめられた本数の範囲内で輸入するということにいたしております。またテレビ映画につきましても、本数でなく、一週間にどの程度というふうな一週間当たりの金額によって押えておる状況でございまして、輸入と輸出をきちっとマッチさせるということには、先ほど申しましたそれぞれの嗜好の差異ということとなり、あるいは製作の問題もあるかと思いますが、若干実情に合わない、あるいは自由化との関係もございまして、そういうふうに自由化の逆行ということもいかがであろうかという点もございます。従いまして、先ほど申し上げたような規制を続けておるわけでございますが、規制の内容は一時に比べれば緩和されてきておるように見えるかと思うわけです。ただ御指摘の輸出をもう少しふやすことを考えたらどうかという点につきましては、これは御趣旨から見ると、また御批判を受けるかもしれませんが、ある一定額以上の輸出をいたしましたものにつきましては、それに見合って若干のボーナス的な輸入を認めるということで、輸出の奨励をはかるという制度はこの中に織り込まれて運営されております。その結果、先ほど申しましたような輸入の実績は輸出の実績に寄与した面もあるのじゃないか。その結果、若干のボーナス輸入のワクを与えられておるものも中にはございます。
  59. 田原春次

    田原委員 最近の新聞によりますと、たとえば松竹あたりも赤字続きでストライキなどをやっておるようであります。これはいろいろ理由はありますが、外国映画に押されていると思う。では外国映画はどんな映画かというと、アメリカからのが八五%以上あるのじゃないかと思います。アメリカの映画がそんなに来るというのは、講和会議の前後に吉田・シーボルト協定があって、それまでに入った国のものを実績にするということに、とうとう押しまくられてアメリカものが入っておる。われわれとしては、アメリカよりあまり行かないヨーロッパのものを見たいにもかかわらず、割当が不公平であったわけです。力で押しまくられたためずっとアメリカのものを見せられているわけです。もちろんアメリカのものにもいいものがあります。しかし大半は、あなた方が見ればわかるように、底に流れているものはホワイト・スプレマシー、白人優越というものが入っている。あるいは西部劇のインディアンの映画等を見ても、ほとんど現住民の利益を尊重するのでなくて、アメリカの大陸進出を指示するようなものが中心になっている。はなはだしきは太平洋戦争中の日本軍の状況などをアメリカ側からとったような映画を日本の輸入業者は金を払って買って、そして日本人はだめだ、アメリカ人が優秀だということを金を払って鑑賞している、実にばかげたことだと思う。貿易の面においても、北鮮との貿易が再開されて強制バーターになっておりますが、この機会に吉田・シーボルト映画協定などを破棄して、日本独自の映画産業を育てる、この意味においては映画産業に限ってはあまり融資はありませんが、輸銀の融資を貿易を盛んにするというようなことでとってもらいたい。第二は無制限にアメリカの映画を入れることをやめてもらいたい。たまたま子供がアメリカに行っておりますから、私昨年アメリカに行っておるときに、見るともなくテレビを見ていると、七本の反日映画をやっておる。見ていると、それは戦時中日本討つべしという反日排日映画を作ったやつをテレビで上映しておる。終戦直後上映しておったのが、在留日本人の反対で一時やめておったのですが、昨年また上映しておる。これは「新日米」、「ニュー・ジャパニーズ・アメリカン」というロスアンゼルスで出ている新聞で、社長は城戸三郎という戦時中兵隊に行っていた二世です。そして全米市協、オール・ジャパニーズ・アメリカン・シティズンズ・リーグというアメリカ生まれの二世の団体で、御承知でもありましょうが、その団体の前の会長で顔は日本人であり、日本語をしゃべりますが、考え方も権利もみんなアメリカ人だしその城戸君が社長をやっている「新日米」の昨年の十月十二日号にトップ四段抜きで出ております。どういうことを書いておるかというと、ここには六本の反日排日映画をテレビに上映しておることに対するアメリカ生まれの二世の抗議の状況があります。第一は「ビトレーアル・フローム・ザ・イースト」——東方からの裏切りとでも訳しますか、RKOで製作しております。スタンフォード大学のフットボールの応援団長が実は日本の海軍将校であって、そして反米行動をやっておるというような筋なんです。第二は「エア・フォース」——空軍、これはワーナー・ブラザースで製作しておる。ハワイにおける日系人の残虐行為を取り扱っております。いかに日系人が残虐であるかということをアメリカ人に知らせる映画です。第三は「アクロス・ザ・パシフィック」——太平洋を越えてとでも訳しますか、これもワーナー・ブラザースの製作です。これは日系人が日本のスパイとなってパナマ運河を爆破するという筋です。第四は「リトル・トーキョー・イン・ユーナイテッド・ステーツ」——米国の小東京、 これはカリフォルニアのロスアンゼルスの東一街、あの中心に日本人が多いので、普通リトル・トーキョーというのですが、そこで日本人グループが日本の前線として残虐行為をやったということを映画でやっておる。それから第五は「ブラック・ドラコン」——黒い龍あるいは黒龍、これは有名ならざるプロデューサーですが、サム・カズマンの製作となっておる。そして日系人で構成されたスパイ団がニューヨークを砂壊するという筋書きです。第六は「ビハインド・ザ・ライシンク・サン」——旭日旗の裏にてといいますか、そういうような題になっておる。これはコーネル大学の学生が日本に行って日本軍に入って、中国に行って残虐行為をやるという筋です。そのほかに私が見たのは「ビーチ・ヘッド」——橋頭堡というのがあります。こういうふうにアメリカでは昨年八月から九月にかけて七つの反日映画をとったのをテレビでやっておる。さすがの全米市民協会の二世の諸君も憤慨にたえなく、抗議運動を起こして署名連動をやっておった。それが十月十二日の「新日米」に載っておる。私は残念ながら旅行者ですから何にもできなかったのですが、アメリカには日本の外交官が百二十何人行っております。その中には大蔵省も入っておる。中南米全部で五十何人おる。実にアメリカ偏重の布陣でございますが、彼らは一言半句もこれに対して文句を言わない。しびれてしまっておる。この間大映で「釈迦」という映画を作ったときは、ビルマ、セイロン、タイ、インド、ほか何ヵ国かの東京の大使が政府に抗議を申し込んだ。まだ「釈迦」が公開されていない前に抗議を申し入れた。そんなものを作ることは反対だ、われわれの目に入れることは反対だというような強硬な抗議を申し込んだ。その後どうなったか知りませんが、そのくらい外交はぴちっとやっておる。ところが戦争中に百五十本からの反日映画を作り、日本討つべし、日本は残虐な行為をやっておったということを頭に入れてしまって、終戦後それをテレビに出しておる。そこで向こうで生まれ、向こうの市民で兵隊に行った全米市民協会の人が怒ってとめさせた。ところが数年たって去年またやっておる。これに対して日本の外交官は初めからしびれてしまって何にも抗議をしない。これは別の機会に外務省にお聞きするつもりでありますが、それよりか大蔵省の方々にお伺いしたいのは、こんなに反日映画を作っておるようなアメリカから、 ホワイト・スプレマシーを基本として製作した映画を何で何千万ドルの損をかけて入手しなければならぬか、われわれ日本人として今考えることは、日本民族はりっぱな民族であり、世界のどこの国とも仲よくするという自主独立の考えを持たなければならぬ。しかるに戦争中にどんどんアメリカが作った映画を占領中に輸入した冠を輸入基準として押しつけられたままの吉田・ウイリアムズ・シーボルト協定をそのまま守って何の改定もしない。アメリカ本国では日本討つべし、日本人は疑わしいというようなことを——全米二億の民衆に、そのサロンにテレビが入っている。そういろアメリカから何で映画を買わなければならぬか。これは特にソ連から買えというのじゃない。外国の映画もいいでしょう。優秀な映画もありますから、もう少し自主的な判断をしてやってもらいたい。ところが大蔵省は、特に為替局長のもとに外映審議会か何かあって、もっぱら金の面で見ているというのだが、そのこと自体がおかしい。金の面で見るならば輸出を奨励したらいいじゃないか。松竹でもいいし大映でもいいから輸出できるように、金を貸して優秀なものを作らしたらいい。それをしない。それで今度は外国から、特にアメリカから入ってくる映画に対しては全く無批判にやっている。これはいかぬと思う。だから、確かに為替局長の所管に、外国映画の輸入審議会とかいうのがありますよ。もう少し腹をきめて、為替の面から見るならばお断わりしたらいい。内容から見るならばむろんわれわれは反対しますが、為替の面で見ればバランスをとって輸出を奨励すべきではないか。輸入に対して何らの制限もせぬ。もっと言うならば、最近は改まったそうでありますが、その輸入した映画のドルをどんどんアメリカに送り返した。そんなばかなことはない。もう少し腹をきめてやってもらいたい。映画製作の面から為替局長としてやられる最大のことは、強制バーターか何か、北鮮並みにアメリカを扱って、日本のものを十本買ったらアメリカのものを十本買う。これくらいにやればいい。わしらは北鮮とアメリカとを同等に見るくらいの、それだけの度胸があってほしい。いささか政策論になるけれども、為替局長として今日最大のことを国民の前に示してもらいたい。
  60. 福田久男

    福田(久)政府委員 いろいろと御指示をいただいたわけでございますが、為替局長といたしましては、外貨の出入りという観点から映画の輸入、輸出について見ておるわけでございますが、特に外国映画の輸入方針につきまして、外国映画連絡協議会というものがございまして、その輸入部会というので、今申し上げました長編映画あるいは短編映画、テレビ映画等の輸入についての方針を協議会で審議されまして、その答申をいただきまして、その答申をできるだけ尊重して、その輸入方針を年々決定しておるわけです。従いまして、個々の問題、どの映画がどこからどういうふうに入ってきて、映画の内容がどうだという立場からは——言いかえますと、映画の倫理という立場からは、直接外貨の面でタッチいたしておらないのでございます。その映画倫理の問題は映画倫理の問題として、その面でいろいろと御判断願うということにならざるを得ないかというふうに思うわけでございます。なお、アメリカ映画輸入の割当にあたりましては、本数なりあるいは金額なりによりまして輸入の割当をきめておるわけでございます。たとえば長編映画については本数によるのが原則であって、輸入金額によるのは例外的な扱いになっております。その本数を考えます場合に、どこから何本入れる、あるいは金額できめます場合もどこから何本入れるか、どこの国から何ドルだけ入れるかという、その国別のワクというものはきめておりませんので、その本数なり与えられました金額の中で、どこの国から何本入れるかは、それぞれの輸入する人の選択にまかされているわけでございます。従ってアメリカ映画が多いとか、あるいは欧州の映画が少ないとかというようなことが、結果として現われておる面もあろうかと思うのでありますが、何分にも先ほど申しましたように、自由化という立場から逐次その方向に進んで参ったのでございまして、ほんとうに輸出入を均衡させるという立場では、バーター制度ということも方法としてはございますけれども、いろいろ物資の面等におきましても自由化を進めておりますし、映画の面の輸入については、自由化はそれよりも数歩あとにあると思います。一挙に自由化することは適当でないとむろん考えておりますけれども、バーターまでこの際逆行することははたしてどうであろうかと疑問に思うわけであります。なおかつ、先ほど来申し上げておりますように、基本的には、たとえば西部劇等が日本では非常によく好んで見られるとか、そういう嗜好の問題もそれらに関連してございますので、実情から考えてどういうふうなものが多くなるかということは、結局やはり嗜好の問題とからんでくるのが基本的ではなかろうか。もちろん映画倫理という立場から、そのしかるべき面でいろいろお話のございましたような倫理上の問題については御検討いただくなり、あるいはしかるべき方法を考えていただくのが適当ではなかろうかというふうに私は考えております。
  61. 田原春次

    田原委員 あまりはっきりした返事が出ませんが、嗜好上の問題というけれども、これは与えられた嗜好なんです。何十本か入ったのを見ているうちに西部劇が好きになる。だから基本的にはバーターか何かによることについては、為替局長だからそう答弁したのだが、日本の行き方としては、本数を制限する。制限がいけないならばバーターで交渉するとかして、もう少し優秀な芸術的価値のあるものを入れるなら、どこの国から入れても反対しません。そういう方向に進めてもらいたい。その意味では映画輸入審議会の委員を入れかえるとか、ときには私らの意見もそこでしゃべれるような機会も作っておかなければならぬ。  ついでに申し上げますが、太陽にそむく十三人、「サーティーン・アゲインスト・ザ・ライジング・サン」という戦時中の例の甘木の占領時におけるアメリカ人の反抗の状況なのですが、問題は、これが一九五七年に初版木を出しておる。それが本屋を見ますと全米でまだたくさんあります。要するに、排日の風潮がアメリカの国民の間にだんだん起こりつつあるということなんです。これは頭を下げるか戦うかということです。間違いは突っぱったらいいだろう。そこでたまたま為替局の方が映画とテレビに関して権限を持っておるのだから、その面でもっとネジを巻いてもらいたい。それから対等にいくように、為替も制限してもらいたいということを希望しておきます。  次には輸銀ですが、輸銀はプラントの輸出だけを考えておるようですが、こういう場合はどうしますか。今のように日本の映画が相当のドルをかせいでくる。これは日本に本社があり、日本にスタジオがあり、機材も日本のものを使い、役者も日本の役者を使っているわけです。一部外国のものも使っていますが、それで輸出を主とした映画を作る、そういう場合に輸銀が資金の対象といいますか、貸し出しの対象にしますか。現地でやらなければいかぬということになるのか。輸出用のものを作るということで貸してもらえるのか。従来そういう文化的なものに対してはあまり力を入れておらぬように見える。造船とか車両とかいうものに限られているように見えるが、範囲がもし広げられるならば広げてもらいたいと思うのですが、これに対してはどういうお考えを持っておりますか。
  62. 大月高

    ○大月政府委員 現在の輸出入銀行法によりますと、設備の輸出を中心といたしまして、その他の製品に関しましても金融がつけられることになっております。そういう意味で、ただいまお話しのフィルムの輸出に関しましても、法律的にはいけないという理由はないわけでございますが、この輸出入銀行は主として延べ払いの金融でございまして、フィルムの関係は大体において即金で受け取れるわけでございます。それからかりに若干の延べ払いがございましても、輸銀が関与するほど長期なものでないはずでございまして、従来の例から申しますと、民間金融でもって十分まかなわれておる、金融上の支障があるためにフィルムが出ないという事例はなかったように承知いたしております。また輸銀を使うことが非常に必要だというような事態が起きましたら、十分検討する余地はあると思いますが、現段階においては特に輸銀の介入する必要はないのではなかろうかというように考えております。
  63. 田原春次

    田原委員 まだ問題を出しただけで、私の満足するような回答は一つも得ておりませんけれども、問題としては御検討願えるようであります。すなわち銀行局長が先ほど来ておりませんでしたから、その場で議論した要点はいずれ他の方から話してもらいたいのでありますが、海外在留同胞の中小企業の設備資金等を貸す方法が輸銀ではない、だから問題は輸銀で規則を改正してやるか、あるいはかわるべき金融機関を作るか、あるいは農業金融を主としておる移住振興会社を活用するかという三点を残しておりますから、あなたと議論する時間がないがこれはやはりまじめに取り上げてもらって、どういう方法があるか明らかにしてもらいたいということを希望しておきまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。      ————◇—————
  64. 小川半次

    小川委員長 法人税法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。滝井義高君。
  65. 滝井義高

    滝井委員 法人税法の一部を改正する法律案に関連をして、前週に少し総論的なことを御質問申し上げましたが、その中で質問を留保されているような点もございましたので、きょうは特に厚生省の保険局も来てもらいまして、この法人税法の一部を改正する法律の中における企業年金と厚生年金との関係をまず明らかにして、そして問題点にもう一回質問の焦点を合わせてみたいと思います。  そこでまず第一に、五年に一回の厚生年金の改正をやる時期が多分三十九年だと記憶しているのですが、三十九年からそれをやろうとすれば、先日も指摘をしましたように、少なくとも次の通常国会にはその改正の全貌を明らかにしなければならぬことになるわけです。その前に現在の厚生年金というものが給付額が非常に低いということが問題になっております。この低い給付額を上げる方法はいろいろあると思いますが、まず第一に、標準報酬現在三万六千円を、少なくとも健康保険の頭打ちが五万二千円ですから、健康保険程度には引き上げなければならぬだろうということが、一つの厚生年金を引き上げる手段として考えられると思います。それからもう一つの方法は、二万四千円という現在の定額部分、すなわち月に二千円になるわけですが、この月に三千円の定額部分では、日本はどうせ賃金が低いのですから比例報酬部分を加えても、年金の受け取り額は大して上がらないわけです。年金の受け取り額を、受給額を上げようとすれば、やはり定額部分も上げるということが一つの方向として常識的に考えられる方向だと思う。そういう標準報酬を引き上げ、定額部分を引き上げると、それに伴って必然的に相当の保険料の引き上げが結果として現われてくるだろうし、あるいは現在の一割五分の国庫負担というものを相当に引き上げなければならぬという問題が出てくると思うのです。  そこで政府としては、特に厚生当局としては、一体厚生年金の改正すなわち受給額の引き上げをやろうとするならば、方向としては私の今指摘した二つの方向になると思うのだが、厚生省としてはそういう方向を現在考えておるのかどうかということを先にお尋ねしたい。
  66. 高田浩運

    高田政府委員 お話しのように、厚生年金の給付内容の改善等を含めた改正、三十九年ということに一応今までの予定から言いますとなりますが、私どもとしては、できるだけ一年繰り上げまして、三十八年度からということを目途にしてこの検討を進めてみたい、かような考え方で目下準備に着手している段階でございます。目ざすところは給付内容の改善が主でございますけれども、改善をする方途について、今お話のありましたことを含めましてどういうことでいくかということについて、今後十分検討した上で、できれば次の通常国会において御審議をわずらわしたい、かように考えております。今まだ準備の途中でございますので、どちらの方向でいくということをお話し申し上げる段階に至ってないことを御了承いただきたいと思います。
  67. 滝井義高

    滝井委員 しかし考え得る方向としては現在健康保険よりか標準報酬が厚生年金は低いわけですね、三万六千円ですから。かつて健康保険も多分三万六千円かそこらだったと思うのです。従って短期の健康保険が五万二千円程度に引き上げられたとするならば、短期に見合う長期の厚生年金というものがやはりその程度に引き上げられるというのが大体常識論だと思うのですね。それから保険料の受給額を引き上げようとすれば、やはり定額部分というのがこれは一番基礎になるわけであります。これを底上げする以外にないと思うのです。そうすると、方向としてはその額を幾らにするかということは論外としても、そういう方向にいかなければならぬということは、これはお認めになるのでしょう。
  68. 高田浩運

    高田政府委員 今お話しのように、標準報酬の最高額の引き上げでありますとか、あるいは定額部分の引き上げでありますとか、これは重要な手段であると思います。そのほかに料率の引き上げの問題もこれはあり得ると思います。それらすべてについて検討いたしたいと思っております。
  69. 滝井義高

    滝井委員 定額部分を引き上げるということや標準報酬を引き上げるということは、必然的に保険料率の改定を結果としてはもたらすわけですね。方向としてはそういうことがわかればいいのです。  そうしますと、今ILOの八十七号の批准の問題が非常ににやかましくなっておりますが、ILOにおいてはこういう所得保障すなわち長期の厚生年金のようなものは一体どの程度支給したら、ILOの批准ができることになりますか。
  70. 高田浩運

    高田政府委員 百二号によりますと、標準受給者については、扶養者の従前の所得の四〇%または普通成年男子労働者の賃金の四〇%、そういうことでございます。
  71. 滝井義高

    滝井委員 普通の成年男子の賃金の四割程度ということになりますと、現在の厚生年金の四割に相当するものですね。現在の日本における厚生年金の支給額というものは、成年男子の賃金の幾らぐらいになるのですか。
  72. 高田浩運

    高田政府委員 現在の日本の厚生年金の給付額は従前の賃金の大体二九%でございますが、四〇%とするためには従ってこれの三七%上げなければならない、そういう勘定になると思います。そういたしますと、現在の一般男子の被保険者の平均の標準報酬月額が二万一千七百円になっておるわけでございますから、その四〇%といいことになりますと月に八千六百八十円という計算になるわけでございます。
  73. 滝井義高

    滝井委員 現在三千五百円程度ですから、従って約五千円の引き上げと、こうなるわけです。少なくとも現在千五百万人程度が三十七年度予算でこの厚生年金に加入しているわけです。この厚生年金の引き上げの要望というのは、千五百万の加入労働者の一致した世論的な要望になっておることは厚生当局御存じの通りです。  それで大蔵省に今度お聞きすることになるのですが、この前岩尾さんにお尋ねをしておった、現在の千分の三十五という保険料を定額分と報酬比例分と家族の加給分とに分けた場合に、一体千分の三十五の保険料はどういう配分をされていくかということなんです。これを一つ御説明いただきたい。
  74. 岩尾一

    ○岩尾説明員 前回の計算によりますと、男子が、全体の保険料三十五を一〇〇といたしすますと、報酬比例分が五三%、定額分が三四%、加給金分が二二%という率になっております。
  75. 滝井義高

    滝井委員 これは男子すなわち一種になるのですか、一種を基礎にすると、報酬部分が五三%、定額部分が三四%、加給部分が一三%となっておるわけです。今度四割、いわゆるILOの百二号の最底基準の八千六百八十円程度にするためには約五千円程度の引き上げを必要とすることになるのですが、そうなりました場合に、これは定額部分でどの程度で、比例部分でどの程度にやるかによっていろいろこの負担率は異なってくると思うのです。異なってくるのですが、少なくとも現在二千円の定額部分を四千円にしてくれという要望が相当強いわけです。総評あたりは六千円と言っているのです。だから今の二千円と六千円の中間の四千円を一応とって、定額部分を四千円とした場合、すなわち四万八千円とした場合に、今の比率はどういう工合に変わっていくかということです。実はここが問題の中心になってくるわけです。というのは厚生年金を引き上げることによって、四千円にすることによって事業主の負担がどの程度上がるかということが問題なのです。事業主の負担が非常に上がれば企業年金なんかかける余裕は企業がなくなるのです。これはしばらく横に置いておきます。  そこで、この前御質問を申し上げましたいわゆる総支払い給与の中における退職金の占める割合は、この前の大蔵省の御説明では二・三%、三十五年が二・四%程度になっていたと思うのです。ところが、これを中央労働委員会の資料、それから関西経営者協会の三十四年の上期と下期の資料とを調べてみますと、二・四%なんというところはないのです。これは中労委の調査ですが、人件費の中に従業員の給与、福利厚生に直接関係のある費目、基準内外賃金、一時金、法地福利金それから退職給付金というものを入れてしますと、調査産業で三十五年の上期は三・五になっているのです。三十二年ごろを見ても上期が三・一、下期が三・六です。これで二・四に近い産業を見てみますと製造業が一番近い。これが二三十四年の上期が二・七、それから関東の経営者の協会の三十四年度上期、下期のものを見ますと、五七四%になっておるのです。だから、大蔵省の資料はどういうところからおとりになったか知りませんけれども、私が中労委の資料をもらってきました関西の経営者の資料を調べると、二四なんという低いのはないですね。もしそうだとすれば、これは退職一時金なんか出していない企業も全部ひっくるめたのじゃないかというような感じもするのですが、その低い理由——中労委というのは日本のこういう調停その他をやる権威のある機関だし、それから関西の経営者の資料も経営者がみずから出す資料ですから、そうでたらめのものじゃないと思うのですが、この違いをまず明らかにしていただきたい。
  76. 村山達雄

    ○村山政府委員 先般お話しましたように、とっさの場合でしたから分配国民所得における給与所得総額対退職所得総額、その比率でたしか申し上げたはずでございます。別に調べますれば、全部はわかりませんけれども、課税所得上の給与所得対退職所得という  のはわかりますが、先般はとっさの場合でございましたので、分配所得上の給与所得対退職所得、その比率で申し上げたのでございます。
  77. 高田浩運

    高田政府委員 ただいまお尋ねの定額部分を二倍にした場合、報酬比例部分現在五三%が四〇%になり、定額部分三四%が五〇%になり、加給部分一三%が一〇%になるということになります。料率について見ますと、大体現在の暫定料率千分の三十五が千分の四十五強になります。
  78. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、定額部分を四千円にした場合千分の三十五が四十五、約十上がるわけですね。そうするとこれは折半ですから千分の十のうちの千分の五が事業主負担増になるのですが、この五の負担増で、現実の時点いわゆることしの被保険者の総数が三十七年度予算で千五百八十二万四千人ですが、この千五百万人で見た場合、どの程度の事業主負担の増になりますか。
  79. 高田浩運

    高田政府委員 荒計算でございますから多少の間違いはあるかと思いますが、事業主負担分は大体百六十億見当になります。
  80. 滝井義高

    滝井委員 これは結局千五百万を千分の三十五から四十五に引き上げて、そうして給与その他はベース・アップもなくて定収の条件のもとでおやりになるわけです。それで百六十億という数字が出ましたから、これはしばらくおくことにいたします。  今度は銀行局長にお尋ねいたします。労働者が老後の安定をはかる道は現在日本では三つあるわけです。一つは任意貯蓄です。一つは退職金あるいはその退職金の変形としての企業年金、いま一つは厚生年金、この三つがかみ合っておればある程度安定ができるわけですが、その場合、任意貯蓄の中の特に私がここで問題にしておきたいのは、企業年金の社内留保との関係がありますから、社内貯金です。現在社内貯金の歴史的な経過を見ると、これは非常におもしろい経過をたどっているのですが、その社内貯金の現状というものを銀行局はどう把握しておるか、現在社内貯金の総額は一体どの程度あるとお見込みになっておるのか、これをまず御説明願いたい。
  81. 大月高

    ○大月政府委員 三十六年三月現在で四千七十六億ということになっておると思いますが、これは貯蓄組合に加入いたしております勤務先預け金の数字でございます。従って貯蓄組合に加入しないで社内預金をいたしておりますものの数字がどのくらいになるかわかりませんが、税法上の恩典その他を考えますと、大部分がこれに入っておるのであろうと想像いたしております。
  82. 滝井義高

    滝井委員 貯蓄組合に加入なきものはやはりあるという推定ができますか。
  83. 大月高

    ○大月政府委員 それは貯蓄組合に加入する義務はございませんから、若干はあるのではあるまいかと考えております。
  84. 滝井義高

    滝井委員 最近労働基準局が少しあわてている事態があるのです。それはボーナスを分割払いにするという傾向がだんだん出てきたし、それからボーナス預金通帳払いというものが出てきたわけです。はなはだしいところは定例給与まで小切手でくれるというようなところが出てきているわけです。これは労働基準局は非常にあわてておるわけです。しかし、この社内貯金の歴史的な経過をずっと昔から調べてみますと、やはり足どめ貯金であったし、それから一種の身のしろ金、保証金というような形で取っておった。この社内貯金のできた初めのころは、自分の会社は社内貯金はやらせないのだといって紡績の女工さんを募集して回ったものです。社内貯金を取られることをみんなきらったのです。しかし、最近はこれが非常に周利に回る。ここに出ているので一番高利に回っているのは、名前を言っては何ですが、ある放送会社は一割八分ですね。それから一割五分ないし二割というのも少なくないのです。社内貯金をそれだけしておっても、企業というものは外から金を借りるよりもうかるということなんです。私がちょっと調べただけで、昭和三十二年の三月から——これは最近の新しい統計がいろいろ調べたけれども見つからぬので大月さんにお聞きするのですが、三十二年の三月から三十四年の九月までの二年半で、おもな九十八社の社内貯金が百六十六億から三百八十億、二・三倍伸びておるのです。これは非常な伸び方です。ここ一、二年の社内貯金は、貯蓄組合分だけで推定していくよりしようがないと思うのですが、その伸びの三十三年、三十四年、三十五年、三十六年ぐらいの推移をずっと御説明願いたいと思います。
  85. 大月高

    ○大月政府委員 手元に占い数字がございませんが、三十六年三月の数字は先ほど申し上げました四千七十八億、三十五年三月の数字が三千四百十五億でございますから、その間に約六百億ほどふえておる計算になります。この伸び率から申しますと、今お話しになりましたような計数からいきますとどの程度になりますか、特に職域、つまり勤務先預け金の損金が急増しておるというようにも見ておりませんから、今の程度のペースでは全体の貯蓄組合預金に対する比率は三十六年三月で八・七%、三一五年三月で九・四%というような数字になっておりまして、三十六年三月の方がウエートとしては下がっておる、こういうことでございますから、急激に伸びておるとも考えません。
  86. 滝井義高

    滝井委員 やはり四、五百億ぐらいを基準にして伸びていっているというのは確実ですね。
  87. 大月高

    ○大月政府委員 三十五年三月から三十六年三月が六百億でございますから、それより若干下回る数字でふえてきておるのではなかろうかと思います。
  88. 滝井義高

    滝井委員 今後ベース・アップその他給与総額がふえてくれば、この額そのものは六百億を上回った額になる可能性は十分あるわけですね。  そこで問題は、社内預金が五、六百億の割合でふえるということと、企業年金が今度は五、六百億でふえてくるのです。社内の引当金の留保分として、減税を受けるたまり分ですね、それがこの前の説明でも三千七、八百億になって、そして伸びは五、六百億伸びておった。大体ちょうど同じ程度に来ている。私も実は同じ程度に伸びるのではないかと推定をしておったのですが、問題はこの二つなんですよ、私が言いたいのは。やはり日本の労働運動が民主的な発展をしようとするならば、企業の中にみずからの——池田さんは、おれに経済をまかせるだけではなくて生命、財産を預けろとおっしゃったけれども、労働者は企業に命を預けていなくても、自分の老後と自分の貯金の相当部分を預けることになるわけです。もうこの二つだけ見ても大体結論が出てくるのですが、これでは外の厚生年金に対する意欲がわいてこないんです。これはもうわいてこないことが人情になってくるわけです。これだけの背景ができれば本論に入れるわけですから、今度は本論に入っていきます。  そこで、この法律の二条の二項の「命令で定める要件を備えた退職年金に関する信託又は保険の契約に基づき」という、命令で定める要件ですね、これを一つわかりやすく重要な点だけを説明をしていただきたいと思います。
  89. 村山達雄

    ○村山政府委員 これは目下銀行局ともいろいろ相談いたしまして、今後政令で定める予定でございますが、何分にも従業員の長年にわたる勤労の結果である退職年金原資を預かるものでございますので、最初はその運用について間違いがないように相当厳格な方針でやったらどうかというふうに一般的には考えてございます。  まず受け入れ側といたしては、今のところ信託と保険に限ってはどうであろうかという点がございます。それから一ぺん、預けたものにつきまして、これは税法上の措置を講じて損金といたしますので、それが再び企業の利益になることのないように、それを取り戻すとか途中で契約者の立場でそれを勝手に解約できるとかいうことのないようにしたいという点、その他その掛金と年金支給額あるいは保険金額との間において、合理的な保険数理なり年金数理が確立されておるということも必要な要件であろうと思います。それからさらに諸外国の制度にもありますように、従業員に対して差別待遇をしないということ、こういうことは予想されませんけれども、当然のことながらそういうことをうたっていく、それからその対象者は、これは重役とかそういうものは企業年金という事柄の性質からいたしましてはずさざるを得ないであろう、そんなことをいろいろ考えているわけでございますが、具体的にはさらにこれを施行のときまでに銀行局の方とも十分打ち合わして、遺憾のないような適格要件をきめて参りたい、かように考えております。
  90. 滝井義高

    滝井委員 生命保険なり信託に限った条件というものは、この前も長期のものをこういうものが扱っておるのだからというお話でございました。そうすると、今のような条件を備えたものをお認めになるそうですか、今度社内留保分との食い違いというのはどういころに出てくるのですか、社内留保の条件ですね。これはどういう必須の条件がなければなりませんか。
  91. 村山達雄

    ○村山政府委員 社内留保でございますので、、その限度、いかなるものを損金に算入できるかという点は、これは根本的に違います。累積限度額もございます。そういう計算上の問題でこれは損益に関する理論でございますので、当然違って参ります。ただその運用につきましては、現在ではそのうち四分の一を特定預金に運用しなければならぬということだけを縛ってございまして、それ以上のことはございません。それから課税の問題につきましては、先般お話しいたしましたように、運用益に対しましては普通の法人税がかかって参りますので、地方税を入れますと最高四九・二二という税率になって参ります。これに対してこの前お話しいたしましたように、今度の企業年金の場合は運用益に対して千分の十二、百分の一・二プラスそれの一三・五%の法人、住民税がかかるわけでございます。百分の一・三幾らになるだろうと思います。
  92. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、企業外に預ける社外基金の点については、これは非常に安定性ができるわけですね。しかし社内留保の分については四分の一は特定預金しか安定性がないわけです。同じ企業年金で社内、社外とこう置かせるからには、やはり社内のものについてもセキュリティというのですか、そういうものを相当確保してもらなわければいかぬと思うのです。この場合に、労働者側からいえば、その企業とある程度運命をともにしなければならぬのだけれども、できるだけ少なくしてもらいたいということになれば、この四分の一特定預金を二分の一に上げてもらったら、幾分安定してくるわけですね。要支給額の二分の一の四分の一という形になるのですから、計算でいえば、八分の一になる。ところが、それを四分の一を二分の一、二割五分を五割にしてもらうと四分の一になるわけですから、幾分確実になってくるのです。立法にあたってそこらの配慮を主税当局としてはなぜやらなかったのかということですね。わざわざ新しく立法をして社外基金というものまで作って、老後の安定をしてあげますよという御親切があるならば、その御親切を社外に及ぼす前にまず社内留保分について確保していただくということが私は先決だと思う。しかし、これをよけいに全部積みなさいと言っても、今までの慣行がありますから、なかなか御無理だと思うのです。総領の二割五分は積んでもそう企業には——どうせこれは退職金として労働者に差し上げる金なんだからということを考えると、老後の安定を考えてわざわざ法律の中に社外基金をお作りになるならば、まず社内、隗より始めよ、足元から先に固めていくことが先決じゃなかろうかと思うのです。ここらあたりがちょっと上手の手から水が漏れているような感じがするのです。この改正をおやりになるのが先決じゃなかったかと思うのですが、それをどうしておやりにならなかったのですか。
  93. 村山達雄

    ○村山政府委員 実は退職給与引当金制度を起こすときに、これは政令できめているわけでございますが、そのときになっていろいろ過去のことを調べ返したわけでございます。政令でございますので、実はその点を聞かれたそうでございます。その当時、政府は三分の一ぐらいはどうであろうかということを言ったのだそうでございますが、国会で二分の一と縛るのは一体どんなものであろうかと逆に出まして、せいぜい四分の一くらいではなかろうかというような強い御希望がありまして四分の一にきまったという経緯があるそうでございます。現在の段階で、おっしゃるように、従業者の年金原資を確実に運営するという立場から言えば、なるほどこの比率は高ければ高いほどいいわけでございます。従いまして、同じような思想で、中小企業退職年金については、御案内の通り全部拠出させて、そしてこれも預金で全部運用しているような状況でございます。ただ、小さいものはそこにいく、比較的大きなものは退職年金にいくというようなことで、そこまで縛らなかったと思っておるわけでございますが、一方考てみますと、なるほど安全という道からいえば高い方がよろしい。しかし、同時に会社の利益がだんだん上がっていって、初めて全体の退職給与引当金も確保されるのだ。基盤が確実でなければならぬということからいいますと、運用利益についても相当程度任意にさせるというのも一つの方法じゃないか、その辺はかね合いの問題だと思います。単純に全部縛るというのもどんなものであろうか。しかも、考えてみますと、退職給与引当金というのは現在の租税特別措置のうち最も損金性の強い制度であるわけでございます。もともと労働協約そのものが労働者と経営者の協約でできているわけでございます。従って、その安全なる難用ということについて当然当事者間に相当関心があるものと思っております。かたがたやっておるものも相当規模の大企業でありますし、それから年金原資の基盤を確立するという面からいいますと、単純に引き上げるというのもこの際どんなものであろうか。考えとしては両方の考えがあり得る。過去におきまして、創設当時そういういきさつがありましたということだけ申し上げておきます。
  94. 滝井義高

    滝井委員 租税特別措置法をお作りになるときには、企業年金あるいは退職一時金が有期年金にまで発展をするというような客観情勢というものはきわめて少なかったわけなんです。しかし、最近は、その退職一時金というもの、すなわち、退職条件であった退職一時金というものが、老後を保障する企業年金というように、ものの考え方が非常に拡大をした方向に進められつつある、こういう客観情勢の変化があるわけです。もちろん、企業の利益は同時にそこで働く労働者の利益にも通じているところが相当にあると思うのです。しかし、客観情勢が変われば、河野農林大臣も、四千七百万ドルの朝鮮への日本の債権は当然アメリカに要求すべきだと言っておったが、閣内に入ったら君子豹変をした。ここらあたりで、企業外に基金を作って労働者の老後を保障しようというならば、企業内のものまではいかなくとも、その半分か四分の一くらいの確実さというものは持たせるのが当然ではないかと思う。国会もここらあたりで君子豹変してよい客観情勢がきていると思うのです。これは村山さんも大体お認めになったようですから、ありがたく言質としていただいておきます。  次は、きょうは一つ一つあなたと少し議論をするつもりでやってきておりますが、その点については、政府としては二分の一でどうだと言ったが、国会が四分の一でいいと言った。今度は国会が君子豹変して、あなた方の御意見に賛成して二分の一にしたらよい、こういうことで、これは法律でなく政令でできることですから、国会の意思で変わり得るものだと確信しております。  問題は、そうしますと、この前も少し論争をして決着点がついていないが、私の方の意見としては、なるほど社外基金というもので年金の確実を期そうとした。一方には現実に社内留保というものも残しておく。退職給与引当金でこれをカバーしていくという制度を残す。その上に、税のバランス上からいくと、有期の年金で退職給与引当の制度を適用するならば、同時に終身のものもやはりそこまで拡大することが、税の均衡論からいっても——退職年金をもらう資格のできた人にやるというこの終身年金というものはもっと債務性が強いという点は私も全く同感です。しかし、政策的に見たときに、その終身年金を今の段階で拡大することがよいか悪いかという京の意見はあなたの方と並行線になっております。この並行線は並行線にしておいて、社外基金というものをお作りになった現段階で、大蔵当局としては、社外基金が今後増加をして社内基金は増加しないだろうという御見解のように受け取っておったのですが、大体そう受け取ってよいですか。
  95. 村山達雄

    ○村山政府委員 実際のことを申しますと、この制度を設けてどういうふうに発達するであろうかということは、正確には読み通せません。しかし、全体の大勢から申しまして、漸次経営者も従業員も経営の成績の範囲内におきましておよそ見通しまして、こういう年金制度、社外へ拠出して一方においては従業員の年金の原資を確実に担保する、それから年金でございますから、その掛金率も大体平準化して参る方向に大勢としてはだんだん進んでいくんじゃなかろうかということは考えられるわけでございます。しかし、この一、二年急速に伸びるかどうかということになると、まだまだ経済界、労働界ともに準備の段階ではなかろうかというふうに、これは私の個人的な観測でございますが、伸びるとしても、三年、四年たったあとで相当伸びていくのじゃなかろうかというような感じがいたします。
  96. 滝井義高

    滝井委員 この退職給与引き当ての内部留保の金というものは、全部で現在まで三千七百九十八億円で、三十四年が三百三十億で、三十五年が四百五十四億、三十六年が五百九十億、ウナギ登りに上っていっていますね。この伸び率は、おそらくさいぜん大月さんから御答弁いただいた社内貯金の伸びよりか急だと私は思うのです。テンポとしては急送に伸びていくのじゃないかと思うのです。この伸びが、社外貯金ができることによって相当鈍化をするというあなた方のこの前の御答弁があったのです。私は、幾分の鈍化はあるかと思いますが、ここでは、客観的な経済情勢なり、事業家なり労働者の意向によって、これは相当動くと思うのです。力関係も左右すると思いますが、純粋に計算をした場合に、たとえば一億円の金をAという会社とBという会社が、同じ千人なら千人の従業員を持っておって、そしてAは社内留保した、Bは社外基金にした、こういう例で、あなた方の計算では——これはこの前細見さんと私とだいぶ議論をして議論別れになっておるところなんです。私は社内が有利だと言うし、細見さんは社外が有利だという論で別かれておるのですが、そのうちあなたの方もだいぶ御横付になったと思うのです。これを一つ純粋の、いろいろの条件を入れずに——銀行屋さんというのは、信託屋さんでもあるいは生命保険屋さんでも同じですが、やはり先に純粋の計算でものを考えていくわけですよ。そして計算をした上で、客観的な人間現象がどうこれに加わってくるか、経済現象がどう加わってくるかということを、今度は付加して考えてくると思うのです。やはりまず基礎になるのは計算だと思うのです。そうすると、あなたの方で、純粋の計算でやった場合どっちが得かということをお示しになっていただけば、われわれは非常に判断がしやすくなる。この前、そこまでの議論だったのです。
  97. 村山達雄

    ○村山政府委員 これは税制上どっちが有利になってどの程度有利になるかという計算でございます。税制上だけに限られておりますので、その点、御了解願いたいわけですが、社外留保にいたしましても、それから社外積み立てにいたしましても、社外に拠出するにいたしましても、最終的に支払うときには、いずれこれは損金に認められるものでございます。あらかじめ積んでおる、それを損金にする、金利の計算でいいますと、損金の方でいいますと、それに対する金利が実はもうかっておるわけでございます。それから今度は、片やその資金を練られるという関係が出てくるわけです。その積み立てるやつは、外部から借り入れた資金で充てたとすれば一体幾らの金利を払わなければならぬのか、早くかけ込むのは、これは社外の方が早くかけ込まなければいかぬわけです。今の社内でございますと、定期年金ですと、これは受給資格が生じたときでございます。たとえば二一五年在職した者から認めるということになると、その人について、二一六年目からその半分が秘めるということでございますので、そこから掛金が要る。それで縛られるのはその四分の一でございます。こういう計算でございます。それについて、たとえば八分の金利を払っております。しかし八分の金利というのは、まるまる税制上の損ではなくて、税は五〇%しかかけませんから——先ほども申しましたように、実効税率で四九・二二でございますが、五〇%で計算しますと、金利の計算では四分の負担になります。こういう計算になります。一方運用利益が出て参ります。運用利益につきましては、社内でございますと、今の特定預金が出て参るわけでございまして、特定預金について運用利益が出て参ります。これに対して、定期でございますから、大体六分くらいございますが、税法しのメリットはその半分ございまして、三%でございます。それから外部拠出でございますと、これは予定利率をどう見るかという問題でございます。予定利率は、もちろん千分の十二を引いたところで予定利率がきまるはずございます。ですから、その辺、そこは差引計算になるわけです。かりに今世間で言われているところの最低をとって五分という計算をやってみる、こういう前提、それから全体の受納資格なり受け取るときの条件は、この両君を同一として見る。たとえば二十五年間在職した者について受給資格が双方とも生じます。やめたときがそれぞれ三十五年目でございまして、それが六十才でございます。こういう同一条件を想定してみる。その場合、平均余命は十五年と計算いたしましょう。そのときに退職給与引当金でもってその退職金の年金現価で計算した場合を千万円といたしましょう。その場合、外部拠出した場合には同じ十五年のときの幾らになりましょうかという問題があるわけでございます。退職給与引当金の方でございますと、自己都合でやめたときのベースでもって現在組んでございますので、それは千万円といたしますと、大体三割増しくらいでございますので、そのときの現在価値は千三百万円とバランス上いたしましょう。この辺が前提でございます。そういたしまして、ずっと掛金を見て参ります。  ここまでが前提でございますが、それで計算してみますと、かようなことになっているわけです。  外部拠出の方は、一年目から、その人が入社したときから二十五年までずっとかけていくわけでございます。そこで全部年金支払いは済んでしまいます。三十五年のときに年金現価で千三百万円もらうとすれば、その二十五年間で実額三百九十七万円払い込めばよろしゅうございます。二十五年現在では、そのときにその利子がございますが、予定利率が複利で計算いたしますと七百九十八万円になります。三十五年で同じく計算いたしますと千三百万になります。ここで千万円と合わせているのでございます。その平均余命が十五年でございますので、この三十五年当時年金現価額千三百万円のものを元利均等償還みたいにしていくわけでございます。十五年間でずっとなしくずしていく、その十五年間の支払い総額は幾らになるかというと千八百七十五万円ということに相なるわけでございます。これに対しまして内部留保でございますと、一年から二十五年までは積めません。二十六年から三十五年、退職時までずっと積んでいくわけであります。それで最初の年に一挙に支払額の二分の一まで積んでしまうわけであります。あとは給与が上がるに従いまして、四%ずつ上がるとすれば、それに応じて積み増ししていく、均等割よりも若干少しずつ上がっていくという計算でございますが、それで見ますと、二十六年から三十五年の十年間で払い込み総額七百二十二万円程度積み込まなければいかぬ。そういたしますと、三十五年の一時金でもらう場合にいたしますと千万円払えることになりましょう。それをやはり自後十年間払い込みますと、今の元利均等償還のような計算でございまして千四百四十五万円払えることになりましょう。つまり掛金の額は実額は三百九十七万円と七百二十二万円、こういうことになります。  そこで先ほど言った三つの要素の計算が始まるわけでございます。一体課税留保によってどれだけの金利を得をすることにそれぞれがなるのか、これは実際何も手当をしない場合、つまり払ったときに初めて損金に見を場合に比べて、金利としてどれだけ得をしているかという計算になるわけでございます。それと今の片やそいつを借入金の利子でもって借り入れをするという利子負担、税引き後の利子負担の計算と、運用利益に対する課税上の恩典と、この三者を総合するわけでございます。結論から申しますと、先ほどのような退職年金の場合利子額をずっと今の複利で計算して参りますと、何にも措置をしない場合に比べまして、外部で拠出した場合には、千三百万円につきまして六百十九万円、約六百万でございます。こまかい計算をもうちょっとやらなければいけませんが、六百万円程度の無利子の利子を、課税留保によりまして受けたという結果になりましょう。一方は同じ場合、内部留保の場合千万円でございますが、百二十万程度の無利子の利子を税制の措置によって受けたという結果になろうか。従いまして、その間相当差があるというととが通常の退職年金の累計からいたしまして推計できるわけでございます。詳しいことはまたいずれいろいろな資料をもちまして御説明を申し上げたいと思いますが、大まかに申しますとそんなことになります。
  98. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、結論的には、外部留保の方が六百十九万の無利子の利子というのはよくわからぬけれども、税金のかからない利子をやるという意味ですか。片一方は百二十万の無利子の利子……。
  99. 村山達雄

    ○村山政府委員 外部拠出、今度の新しい企業年金の方が約六百万、それから内部留保の方が存二十万くらいでございます。その課税留保をしたことによりまして、それだけの利子補給を受けたという観念でございましょうか……。
  100. 滝井義高

    滝井委員 どうもこれは高等数字をおそらくやらなければならぬのだろうと思うから、わかりかねるんですが、私が少しくやってもらったのでは、A、Bという会社があって、それぞれ一億円なら一億円を社内、社外に積み立てる。社外はその全額が某金化されることになる。社内はその半額に対して四九%の税負担がかかることになる。その積み立ての段階で二四・五%分だけ社外の方が有利になっております。しかし二四・五%という格差は、その後の運用利回りの差で逐次食いつぶされて、ついには逆転して社内が有利になる。年金の積み立て期間は、初回積み立てから初回支払いまで少なくとも三十年は予想されるから、結論としては社外は不利になるということになるのですが、社外の不利になるのはいつごろかというと、十一年目くらいに社外が不利になり、社内が有利に転換する。一億円ずつ毎年積むとすると十七年になる、ここでいろいろ議論をしておっても、私、これは専門家に少しやってもらったのですが、今の大蔵省のやり方と少し違うようでありますから、これはお互いになかなか議論のあるところだと思うのです。時間ももう一時半になりますからやめますけれども、ともかく政策論的に見てもこれは非常に問題のあるところなんです。それから厚生省当局も、厚生年金の改正を、きょう明白になったように、非常に意欲的に次の通常国会でお出しになろう、こういうことなんですよね。厚生年金に非常に大きな影響を及ぼす、こういう法人税法改正というものは、結論として申し上げれば、やはり厚生年金がきちっとしてからおやりになった方がいい。これは一棟の付加給付なんです。だからやはり根幹を確立せずして、枝葉の方が先に太くなってくると、風が吹くと幹が倒れることになる。やはり幹がしっかりしたその上に枝もたわわな実をならせることはけっこうだと思います。そういう意味で、どうもここらあたりではちょっと納得がいかないところがあるわけなんです。  これで終わりますが、最後にちょっと技術的なことをお聞きしたいのですが、生命保険ですね。この前私、生命保険と比較をして、今回のこの企業年金の掛金というものは、税額から控除されないじゃないかという質問をいたしましたら、いや生命保険は租税特別措置でやっておるのだからという言い分だった。私は引当金制度自体が租税特別措置じゃないかという反論を一応しておいたんです。この生命保険は掛金をかけるときに一応かけた額を税額から控除されますね。それから、その生命保険を満期でいただくときも税額から控除されるのでしょう。掛金だけを控除されるのじゃないですか。こういう疑問がある。それはそうじゃないですか。
  101. 村山達雄

    ○村山政府委員 おっしゃるように、一時金をもらった場合も控除されますが、税額控除ではなくて、収入金から掛金分だけ引いて残りを所得にしまして、所得控除の方式によっております。
  102. 滝井義高

    滝井委員 とにかくもらう金から掛金を引いてもらえるわけです。そうしますと、厚生年金の方は保険料は税額から控除してもらえますよ。われわれみんな控除してもらっている。ところが受け取るときに給与所得になるけれども、これは掛金引いてくれないでしょう。今度の企業年金も税額から掛金は引いてくれない。今度の場合予算で言ったように、私は引いて下さいと言ったのだけれども、引いてくれない。生命保険は租税特別措置だから引いてくれる。しかし、企業年金はもらうときにはその掛金分は引いてくれるのです。このように三つを比較すると、生命保険が一番優遇されているのですね。次は厚生年金で、月の掛金をかけるときに引いてもらうのが一番いいです。かけた額をその年のうちに引いてくれるのが一番いい。企業年金は一番最後になって待遇が悪い。これは当然かもしれませんが、そういう形になっている。生命保険が非常に優遇されているというのはどういう理由でこういうことになったのですか。租税特別措置だからというのもおかしい。最近のように老後を保障する年金制度というものを国の政策としてずっとおやりになろうとするならば、民間のものも、国のおやりになる厚生年金も、それから今度の企業年金も、税法上バランス論から言えば私は均衡をとる方がいいような感じがするのですがね。こういう点村山さんの方でどうお考えに  なりますか。
  103. 村山達雄

    ○村山政府委員 今の三者の制度の違いを今大体おっしゃいましたが、ちょっと誤解もあるといけませんので申し上げておきますと、社会保険料の方は掛けたものは金額に制限なく全額所得控除になり、もらいましたときはそのかわりに掛金分は引きません。引かないで年金であればその年の給与所得として普通に課税いたします。一時金でございますと、退職所得といたしまして例の二十万引いて半分にして分離課税いたします。こういうやり方でございます。生命保険の方は、これは限度がきまっておりまして所得控除でございます。一時金をもらいます。死亡退職ですと相続税の方に行きますけれども、そのときは掛金を引きます。掛金を引いて残ったものを一時所得として一瞬所得の課税をするわけでございます。二十万引いて半分にしてその他の所得を合算して累進課税で課税いたす、こういうことに相なるわけでございます。今度の企業年金の場合はもちろん企業主負担分については問題はございませんが、自分のかけたものについては、これは控除いたしません。いたさないで、そのかわり、もらうときにその自分のかけ込んだ分は引いて、給与所得として課税いたします。その場合たとえば選択で一時金でもらったような場合には、退職所得といたしまして、やはり掛金分相当額を引いた残りに対して課税していく、こういうことでございます。それをずっと貫いていいますと、ややはみ出しているのが、おっしゃるように生命保険料の控除でございます。限度を置いたとは言いながら、一方で引きながら向こうで課税のときまた引くじゃないか、いわゆる二重控除という問題ではないかという御指摘だろうと思うわけでございます。この点はしばしば論議されているところでございます。なるほど税制の基本的な理論からいいますと、二重控除というのは、損益の理論からいうと、ないわけです。ただ生命保険料控除というのは、たしか戦前古くから控除の制度があるわけでございまして、当時はおそらく今の社会保障制度その他があまり発達してなかったときに、せめて勤労者なり中小企業者の老後の保障というのは保険料であろう、その年々の保険料というのは、現実的にはその年の所得から払うんだから、現金会計からいえば担税力をそれだけ減殺しているんだ、だからそれくらい引いたらどうかということでスタートしたのだろうと思うわけであります。戦後もその制度がずっと続いておるということでございまして、ですから税法の体系からいいますと、これはややはみ出しておる。その意味で租税特別措置だと申し上げているわけでございます。違う点は御指摘の通りでございます。
  104. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今度の所得税法改正でも、生命保険の限度額引き上げが行なわれるのでしょう。はみ出しておる上にもう一ぺん優遇があるわけです。私が言いたいのは、今度この企業年金というのは生命保険会社にやらせるわけです。あるいは俗話会社にやらせるわけでね。問題はこの場合、一応生命保険会社だけに限って議論をすれば、その生命保険会社に生命保険として加入をするときには優遇を受けるけれども、これが今度企業年金として生命保険会社に預けられるときには、生命保険と同じ優遇を受けないというのは、理論的に筋が通らないことになるわけです。同じ老後を保障するものなのですから、片一方は死んだときにもらうものになるかもしれませんけれども、とにかく同じ生命保険会社に預ける、しかもそれは労働者の掛金であるという点については、保険料という点に区切っていえば、大体似たり寄ったりのものなんですね。こういう点についてやはりここらあたりにも理論的な混乱が現われつつあると思うのです。だからこういう点で、今後の社会保険は、社会保障をやって老後を保障する、あるいは病気になった場合の医療を保障するという制度が国によって確立されようとする段階が来たのですから、民間でやるものにそんなに大きな優遇を与えを段階は過ぎたと思う。やはりこれは強制的に国が保険料をとってやる、こういう制度を中心にして、一体他の制度をどうするか、こういう排列になるのが、私はものの考え方としては当然だと思うのです。  そういう意味で、今私が御指摘申し上げましたような生命保険料の問題とか厚生年金の問題、企業年金の掛金の問題というものを少しく税務当局で総合的な御検討をいただいて、そして税制におけるその配置というもの、優遇の仕方をもう一ぺん検討してもらう時期が来ておるのじゃないかという感じがするのです。どうもこういうしろうとですけれども、案外しろうとの見るところが、専門家はいつも見ていてなれになっておって、気づかない点も出てくるのじゃないかという感じがするわけです。こういう点、御検討いただけますか。
  105. 村山達雄

    ○村山政府委員 さっきの問題でちょっと忘れましたが、もう一つ税制上は運用利益に対する課税がどうなっているかというのも、これは年金原資の問題でございますので、重要な問題でございます。それで申しますと、社会保険が一番有利でございまして、これは運用利益非課税でございます。それから今度の企業年金は、御案内のようにその運用利益のたまりの部分については、国税の方でございますと千分の十二でございます。生命保険会社の方は、運用利益は、普通の法人税それから事業税、みんなかかりますので、もし課税所得が出れば百分の四十九・二二がかかる。これは逆用利益の面では若干違ってくるわけなんです。その点をちょっと最初に追加さしていただきます。  それから今のお話のアンバランスの問題でございます。われわれ税制としては、アンバランスは考えておるわけでございますが、そこを同じ生命保険だから、一方は単独に個人が契約した場合は引くが、こっちは引かないというのはおかしいじゃないか、またそういう見方もあるかと思うのであります。ただこの制度を考えてみますと、一つは、考え方でございますが、一人の人が厚生年金にも入っております。しかしその上に企業が私的年金にもある程度入れてやっておる。それは企業の成績によって違いましょう。それに入っておる。その上に冬個人が余力があれば、生命保険にも入るであろう。これは社会保険に入った人でも、今の企業年金を積み立ててもらった人でもだれでも可能なわけでございます。ですから、人ごとに考えてみますと、だれしもそれは均霑し得る、こういう問題がございます。ただ制度対制度で見ますと、少しはみ出ておる、こういう問題がございます。それから今の同じ生命保険の掛金であっても、こういうところが今言いましたように、それが少しはみ出しておるという問題と、それから現実的な考慮からいたしまして、おそらくこの企業年金というものは、当分の間大企業がいけるのじゃなかろうか、大企業の従業員が比較的利用率が多い制度に当分はなるであろう。しかもその場合、もしそういう今度の企業年金の自己負担分の掛金を引くということになりますと、おのずから信託についても同じ理屈であろう、信託分についての掛金も引かなければそこのところは合わないわけでございます。そうしますと、今の生命保険料控除が企業年金に伴う信託上の掛金についても引くという問題まで発展し、そのことは現実的なあれから見ますと、従業員の一部の人に限られてくる、しかも大企業に限られてくるという問題、それからもともとこの生命保険料の控除そのものが、先ほど申しましたように、制度としてははみ出しておる、現在残っておるものにはいろいろな過去のいきさつもあり、それなりの理由もありましょうけれども、税制上からいえば、ややはみ出しておる、こういう点を考慮いたしまして、引かないことにいたしてあるわけでございます。ただ、同じ生命保険であるのだが、こういう断面で押えますと、先生のおっしゃるようなことも一つの問題点であろうか、かように考えております。
  106. 滝井義高

    滝井委員 これで終わります。  それで結局私が言いたいのは、現在の厚生年金が改革をされようとしておる。特にフラッ卜部分の二千円を相当程度引き上げが要望され、それを一応仮定で倍の四千円程度に引き上げると、事業主の負担というものは百六十億ぐらい増加するであろう。今の日本の経済の伸びの状態から考えて、百六十億ぐらいの金を出すことは何でもないような感じがしますけれども、この百六十億の出した金を厚生年金なりの積立金として運用していく場合には、企業は再びこれを借りて、利子を払って使わなければならぬという問題がある。ところが一方この百六十億は出さずに、現在五、六百億程度伸びていく企業内部に留保すれば、利子が要らずして、みずからこれを使うことができる。もしこのフラッ卜部分を四千円にすることも賛成をし、今伸びる機運にある企業内の年金をも伸ばしていくということになれば、企業の負担というものも五、六百億程度の伸びにプラス百六十億——これは最低百六十億程度だろうと思うのですが、百六十億を足さなければならぬ、こういう形が出てくるわけです。この百六十億というのは、内で自由になる金じゃなくて、外に出していく金ですから、これは借入金か何かをしなければ、あるいは自分の利益の中から出さなければ出ない——経費になるのでしょうけれども、出ない金になる。現金を現実に出さなければならないことになる。そういう形をからみ合わせて考えてみますれば、これはやはり相当大きな問題である。ここ一日、二日、総評その他の労働組合はこういう客観情勢に非常に驚いて、何か内閣か厚生省かに申し入れをしたようにも聞いておるのです。従って、今のところ企業内が有利か企業外が有利かという結論は、私の勉強不足、高等数学を忘れておるものですから、ここできちっと勝負をつけることはできませんが、この質疑応答の中で一応結論として私が明白に得たものは、今あなた方が通牒か何かでおやりになろうとする終身年金というものはやはりやるべきではないという確信を実は持っておる。というのは、退職一時金というものは退職条件であるし、終身年金というものはむしろ社会保障の段階で、今までやっていなかったからといって、この際税法でまで延ばす必要はないだろう。これは理論的に議論してみてもそう私は負けていない。それから内部留保の四分の一、二割五分について特定預金をしなければならぬというのは、君子豹変で二分の一にしてもそう悪くないだろう。こういうことだけは私の主張はそう間違っていないとの一応の確信を主税局長とのいろいろの議論の中から私はくみ取ることができた。それからもう一つ私が指摘しておる問題は、千分の十二の生命保険会社なり信託会社に社外基金を預けた場合に、その生命保険会社あるいは信託会社からとる法人税については、これも百分の十五、上積み税率の問題についてはなお議論の余地があるし、それから延滞利子七分についても必ずしも七分でなくとも、日歩一銭でも一銭五厘でもいいのじゃないか。外国を調べてみますと、こういう外に預けた基金に税金をとっておるという例は寡聞にしてちょっと見当たらぬようです。そうしてみると、千分の十二についてもせっかく大蔵省が原案をお出しになっておるんだから、それをゼロにするというわけにもいかぬだろうが、これを相当下げ得る余地がある弾力のあるものだという議論の中から、そういう感じを結論としては得たわけです。ただ一点、残念ながら企業内外のいずれが有利かという点については、これはもう少し勉強させてもらってあれしたいと思いますけれども、大体私きょうと先週の討議の中から、私は私なりのそういう結論をくみ出したことをここにつけ加えて、きょうはこれで質問を終わります。
  107. 小川半次

    小川委員長 次会は明七日午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十四分散会