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1962-03-02 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二日(金曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君       足立 篤郎君    伊藤 五郎君       岡田 修一君    金子 一平君       高見 三郎君    藤井 勝志君       坊  秀男君    吉田 重延君       岡  良一君    久保田鶴松君       佐藤觀次郎君    田原 春次君       芳賀  貢君    広瀬 秀吉君       武藤 山治君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君  委員外出席者         専  門  員 拔井 光三君     ————————————— 三月二日  委員竹下登君辞任につき、その補欠として田澤  吉郎君が議長の氏名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第七八号)      ————◇—————
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますこれを許します。広瀬秀吉君。
  3. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 主税局長租税特別措置法関係の問題について質問をいたしたいと思います。  申すまでもなくこの租税特別措置は、同一経済条件にあるものには同一の負担という、税における最大の原則である公平の原則から見れば、少なくともそういう公平の原則というものを犠牲にして特定の経済政策目標を達成しよう、こういうものであることは先刻御案内の通りでありますが、しかもこれについて臨時税制調査会等も含めまして、数次にわたって税制調査会あるいはそういう機関においてこれをできるだけすみやかに整理改廃方向というものをとるべきだ、こういう勧告がなされておるわけです。しかもその中で期限を切っておるものが、ほとんど期限通りに解消するという例というのは非常に少ない。それがおおむねやられたのは生活協同組合あるいは農協等の問題くらいで、非常にむしろ大衆に恩恵の及ぶものがまっ先に切られているというようなことにもなっておるわけであります。しかもこの点はもうすでに大企業集中するということも明白な事実でありますし、それだけにそれがもう既得権化してしまっているというようなこともあって、非常に今日問題になっているわけです。私どもとしては、こういう点がやはり高度経済成長というようなものの行き過ぎ、民間設備投資の行き過ぎというような事態とも非常に大きな関係があるのじゃないかとすら思れるわけであります。そういった点からこの問題を私どもは非常に重視するわけでありますが、一体二十六年以降に——もちろんそれ以前にも若干の特別措置はありましたが、シャウプ勧告が出まして、租税特別措置が急激にふやされた二十六年からの数字でけっこうですけれども一体この租税特別措置による減免額というものが逐年どういうような経過をたどってきているか、どのくらい減税が行なわれてきたかということを、一つ逐年別に出していただきたいと思います。
  4. 村山達雄

    村山政府委員 三十一年から申し上げます。  三十一年八百八十五億、三十二年六百九十三億、三十三年八百七億、三十四年千三億、三十五年千四百七億、三十六年千四百九十五億、それから今年度が千六百九十五億になる見込みでございます。
  5. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 二十六、二十七、二十八、二十九、三十と、この年次についてはわかりませんか。もし年次別にわからなければ、大体二十六年から三十年まででどのくらいという大よそに近いところでけっこうです。
  6. 村山達雄

    村山政府委員 二十六年五十五億、それから二十七年二百七十八億二十八年五百四十九億、二十九年六百五十八億、三十年八百八十五億であります。
  7. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この数字を大体足してみましても、租税特別措置によるものは計算すればわかるわけですが、減税額が大体八千億をこえておると思います。いわゆる一般減税も、戦後税調資料等によりましても大体八千九百億くらいと積算されるわけでありますが、大体そんなものですか。
  8. 村山達雄

    村山政府委員 その通りでございますが、ベースが違います。減税額の方は、その年に減税をやったものが出ているわけでございます。それから租税特別措置の方は整理をしたりあるいは拡充したりしますが、その結果それぞれの年度累積額が出ているわけでございます。ですから、同じような比較をしようと思うならば、どちらかを換算しなくちゃならぬと思います。われわれが言っております減税額を単純合計いたしますと、約八千億であるということには違いありません。ただこのベースに直すならば、同じようにその減税累積計算しないと出て参らぬわけでございます。たとえば二十五年に減税をやったものは、三十七年までその減税の効果は及んでいるわけでございまして、それぞれの経済規模の拡大でずっと伸びているので、二十六年にやったものはその次に出て参ります。そういうふうに計算をしたものを比較をしないと、単純なる計算で大きいとか少ないとかいうことにはならないと思います。
  9. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういうようなこともわかるわけですが、大体今まで新規に増設したものあるいは廃止をしてきたもの、こういうものの差引勘定では約六百億くらい廃止をした分に入ると思うのですが、大体そんなものですか、六百二十億くらいですか。
  10. 村山達雄

    村山政府委員 整理拡充差引増減で三十一年から三十六年までの累積額、これは単年度ごとのものをそのまま単純にプラスしたものでございますが、その合計で六百五十八億でございます。
  11. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今、主税局長がおっしゃった単純に比較をしてはいけないということでありますが、それでは単純に比較しないで、あなたがおっしゃる通り計算をして、大体一般減税累積額はこれこれだ、租税特別措置法によるものはこれこれだという数字を、公平をはかるんだという見地から私どももものを言っているわけでありますから、そういう角度からそういうものに答えるつもりで、私どもそういう差引計算をこまかくやるだけの資料がないのですけれども、そういうことについて素直な数字をお示し願いたいと思う。
  12. 村山達雄

    村山政府委員 今の租税特別措置は、減税の方に合わすのでございましたら、その毎年々々における租税特別措置改正による増減収を差し引きしまして、拡充要因幾ら、それから整理要因幾ら差引どれだけ制度上拡大したか、それがちょうど今の毎年の減税額に見合っているわけでございます。その合計と毎年の減税額、これもネットで出しまして、それで合計をして累積してどうか、これはぴしゃっとベースとして合うわけでございます。それを出したいと思います。
  13. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう資料一つ二十六年からほしいと思うのです。約十カ年ということになりますが、二十六年から年次別項目別減免額をいうものを出していただきたいと思います。  それから三十三年と三十四年について私の調べた数字と食い違いがあるのです。三十三年は八百七十億と私ども記憶しておるし、それから三十四年は九百九十億と思っていたのですが、これが千三億にふえておる。これは実績でございますか。予定減免額年度当初に資料として提出するものに対する実績でございますか。
  14. 村山達雄

    村山政府委員 これはいずれも当初予算に出しました数字の平年度ベースでございます。実績ではございません。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 先ほどの資料実績一つお願いしたいのです。実績はわからないのですか。計算上の数字だけで、実績というものはとっていないのですか。
  16. 村山達雄

    村山政府委員 これは、実績は普通の場合に比べてどうかという数字でございますものですから、なかなかとりにくいのであります。予算数字でごしんぼうを願いたいのでございますが、そのかわり減税の方も実績がなくて、これも実際のことを言いますと、減税幾らあったかということは、非常にむずかしい計算になると思いますし、的確なものは出ないかと思うのであります。どちらもこれは予算予算比較していただきたい、 こう思います。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 主税局で作られた表で、この予算と税収の実績の対比がパーセンテージでずっと出ておりますが、あれと同じようなものも租税特別措置の場合にはつかみにくいわけですか。そういう数字がとっていないのですか。
  18. 村山達雄

    村山政府委員 全体の租税収入予算額とそれから実績、これはすぐわかるわけでございます。ただ問題は、たとえば今の減税の方にしましても、減税をして予算を立てますが、そのうち実績がどうなったかというのは非常に推定が入るわけでございます。そういう意味ほんとう推定しないとわからないわけでございまして、単純な計算をすれば、実績予算の違いを比率でかけるということも考えられますけれども、これじゃほとんど意味がないわけでございます。ですから、おそらく租税特別措置にいたしましても、そんなことをやらざるを得ないのだと思います。そういたしますと、その当該税目予算実績比率でそれぞれ減税もそれから租税特別措置のことも伸ばすということにしていきませんと、出してみても比較意味では大したことはないと思いますので、もう少し研究するまで予算ベースでお願いいたしたいと思います。
  19. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 租税特別措置というものが大企業や大法人集中をしておるのだ、これは税制調査会の答中にも明確に出されておるところですが、今まででも減免予算を立てられるときに、大体資本金一千万以上というのが大企業だといわれる時代はもう現在では過ぎておりますけれども、一応そういうところにめどを置いて、これをそれ以上のものとそれ以下のものに、大体どれくらいずつ減免になるだろうかというような見通しは、予算の際に大よその計算は出ておりますか。
  20. 村山達雄

    村山政府委員 規模別には計算がなかなかむずかしゅうございまして、やってございません。
  21. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この問題が、税制面において中小企業と大企業との格差というものが、この税制を通じて相当な問題点になるだろういとうことを重視するわけであります。これはいろいろ非常に抽象的な、パーセントや何かの——大体大法人の場合に、総体の所得課税所得との間にどのくらいの差があるかということからパーセンテージを算定していくというような、そういう数字は私どもも大企業集中しているのだということがはっきりわかるわけでありますが、そういった点でなく、ネット金額などの数字というものがほしいわけでありますが、ないとおっしゃるので、その点は保留をいたしておきますが、できれば資本金階層別集中割合というのを一覧表にできぬかということでありますが、できませんか、それは。
  22. 村山達雄

    村山政府委員 それはおそらく非常に困難でできないのではないかと思います。ただ、大企業集中しているであろうというととは容易に想像がつくのでございまして、かつてわれわれは三十一年当時の税法がそのまま施行になった場合と、それから現行法でもって、これはその後整理してやっておりますが現行法を適用した場合と大会社についてずっとそれを当てはめてみました。その当時の税法では一体幾らになる、今日の税法では幾らになる、こういういうものはサンプル調査ではできます。それによりますと、大会社は現在の負担の方が当時の税法の約倍になっております。ということは、租税特別措置がいかに圧縮されてきたかということが出ているわけでございます。それに対しまして、やはり同じサンプル調査でございますが、中小事業場、これもせいぜい十社くらいのランダムでございますと、当時の税法負担に比べて今日の税法では七、八割、大法人は当時の税法に比べて今日の税法では負担が倍になっておる、そういうことはサンプル調査でわかります。そのことからもってしましても、いかに租税特別措置減収が大企業に傾いているかということは逆に推定はできるわけであります。
  23. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それでは次に角度を変えまして、この租税特別措置税調も指摘するように、静常に長期化したり、あるいは既得権化するということについて税制調査会でも非常におそれているわけでありますが、今日の段階ではもうこれが非常に長期化し、また既得権化している。これは企業の考え方としてはもうそういうものをこういう措置が永遠に続くのだというような気持で、すべて経営のやり方というようなものもその上に立ってすべて計画を立てていくという、こういうところまで来ているのではないか。これはやはり依然として大きな問題だと思うのです。そういうようなことだからこそ、今日非常に何回も調査会等からこれを早期に改廃せよということを言われながらも、先ほどの質問に対しても、大体整理をした分が六百五十八億ばかりであるという数字も出たわけでありますけれども、しかしそれにしても、年々歳々この減免数字というものは相当な比率をもって、むしろ国民経済伸びよりももっと大きい伸び率をもって、この減免額がふえている、減免の額が伸びているということすら言えると思うのです。そういうようなことから、これを改廃するというようなことが既得権だということから非常に困難になります。むしろそういう点で非常に圧力プレッシャーがかかっていると思うのです。そういう事態に対して、一体主税局長はどういう見解をお持ちですか。
  24. 村山達雄

    村山政府委員 これはもう毎々申し上げておるように、こういう措置につきましては、税の上からは十分検討されねばならぬ問題がたくさん含まれておりますので、特に政策的な考慮に基づいてやっておりますので、絶えずこの政策はどうしてもとらねばならぬ措置であるかどうかということをそのつど検討して参り、この改廃整理に努めて参りたいと思っておるわけでございます。  ただ一つ非常にむずかしい問題は、このうちには何ほどか損金性に属する部分がおそらくあるだろうと思うわけでありまして、それが分離できるなら、そういうものとして、通常の恒久法に乗っけてしまう、そしていわば租税特別措置にかかるほんとう理由のない部分と、そうでないところとはっきり分けていって、そして今の租税特別措置のうちほんとう損金性のないものは、それはそれとして整理した上で、もう一ぺん見直す必要があるのではないか、ですから現在の制度はそれはそれとして問題にいたしまして、それの機動的な改廃に努めるという問題と、それから現在の制度自体を組みかえができないか、こういう問題と両方われわれは考えておるわけでございます。しかしいずれも去年の百六十五億ばかり整理いたした際にいろいろ検討したわけでございまして、必要以上に恩典になっている部分は、切り捨てたつもりでございますが、その際でもその問題は非常にむずかしかったという記憶がございます。来たるべき国会ではいろいろいろ法人税所得税についても全面的に検討しますと思いますが、その際にできればそういった問題も一つ研究して、もし結果が出ましたら今の特別措置制度的にももう少しすっきりした形にしたいというのがわれわれの念願であります。
  25. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 初めてそこまでの御発言があったわけですが、私どもそれを去年も要求してきましたし、また税制調査会でもそういうことは前から言っておられるのですから、何と言いましても、基本税制に対してこの特別措置というものが、これに匹敵するほど膨大なものになり、いつでも一般減税規模を上回ってこの特別措置に基づく減税額が最近ではいつでも巨額に上っているこういうようなことから言いましても、やはり基本税制そのものが非常にゆがめられた形になっているわけですから、今、主税局長もこの租税特別描法制度的な大きな改廃ということをやるような御発言でありますが、ほんとうに必要なもの、損金に当然御入しなければならぬ、真にこれは公平の原則からいっても必要なんだというようなものは、そういう部分についてはやはり基本税制の中に織り込んで、そうして特別措置というのはほんとうに時限的な、非常に短期的なもの、それから政策目的がきわだってこれによってはっきり現われるのだというような確信のあるもの、そういうようなものをしかもこれが国民に広く納得され得るというような、そういうものに限ってだけ租税特別措置として残していく、大部分基本税制の中に取り込んでしまう。たとえは大法人内部留保というような問題が非常に問題になっておるわけでありますが、こういうようなものなんかも、あるいは基本税制における法人税率の問題などとも関係してくると思います。そういうようなものを考慮しながら、やはりそういう点のほんとうに抜本的な改正というものをそういう基本税制の中に取り入れるべきものは取り入れていくんだ、そういう立場、それからほんとう租税特別措置として置くものは、あるいはまた将来そういう必要がある場合に入れていくものはきわめて限定されたものだ、そういうような方向に進めると理解していいわけですか。
  26. 村山達雄

    村山政府委員 心がまとえしてはおっしゃる通りのことをねらっておるわけであります。ただ申し上げておりますのは、この租税特別措置の中には相当実際問題として損金性を持つものもあるわけでございます。きのう御指定がありましたような退職給与引出金というような制度は最も債務性の強いものであります。そのうちこの全額が租税特別措置であるということには相当の検討を要する問題かと思うのでございます。しかし区分してみようがございませんので、これは租税特別措置と言っているわけです。たとえば貸し倒れ準備金にいたしましてもそうでございます。これをもし将来基本税制として損金に見るのだということになりますと、その差額がここに上がるべき性質のもであろうと思うのです。その辺の損益理論がまだ詰まっていないということでございます。これはおそらくどこの国でもみんなその辺が悩みの種だろうと思いますが、どの問題一つとらまえましてもそういう問題がございます。そういう意味でわれわれは、現在特別措置として扱われているもののうち、基本税制としてもし打ち立てるとしたら、この分野についてどういうことになるか、その検討がまず積まれなければいかぬ。残るところが特別措置になるわけでございます。そういたしますと、この金額というものもだいぶ洗い直されていくのじゃないかという感じが一つあるわけでございます。そういう方向で今後ともわれわれは検討して参りたい。そういう結論が出れば、その線に従って整理をするということもある、こう申し上げておるわけでございます。
  27. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 基本的には私の意見に賛成だと言われるわけでありますが、その困難性を今述べられたわけであります。とりあえずそういった角度から、私どもそういう方向に進む第一段階としては、やはり期限の付されたものについては、たとえば、利子課税の問題にいたしましても、これは三十七年三月三十一日ということでもうすでに一回延ばされてきた。これをまた三年ぐらい延ばそうという、貯蓄奨励ということは永久に続くだろう。しかも特殊な事情というのはここのところまだまだ続きそうであります。日本の経済はまだ安定いたしておりません。非常に変動いたしておりますから、去年は国際金利水準にさや寄せする必要があるので利率を下げたんだからということで一年延ばす、ことしは金詰まりだから一年延ばす、来年は自由化対策だから一年延ばす、幾らでもその理由をくっつければ何ぼでも無制限に延ばしていけることです。そういうような問題については、やはりそういうことを税制でやるべきではないということを言われている段階ですし、配当の問題についてもそうであります。三十七年の三月三十一日という期限の切られておったものは利子配当、それから新築貸家特別償却重要機械輸入関税の免除の問題、あるいは新設住宅登録税の問題、三十八年では国産技術使用料所得課税の特例、それから航空機の通行税の軽減、こういうようなものがあるわけです。三十九年には五つばかりあるわけなんです。そういうようなものがまたぞろ延ばされていくわけですが、こういう期限を切った、そして税制調査会でも非常に慎重に検討をした上で、あるいはその中では経済見通し等も十分立てた上でこういう期限を切っている。もうこれくらいやれば政策目的はいいんだということで切ったやつをすら切らない。一年々々とそうやって新しい理屈をくっつけて持っていくということの中に、私は今、村山さんが言った技術的に相当むずかしい面、それから理論的にもう少し詰め方が足りないという以上に、やはり先ほども申し上げたように、これが非常に既得権化している面からのプレッシャーがそういうことを妨げている方がむしろ大きいのじゃないか。むしろ税務当局の純粋な税務理論といいますか、税制論といいますか、そういうようなものでやりたいことも、非常にそういう面からの圧力によってゆがめられているのじゃないかということを重視するわけです。そういう点はいかがでしょう。これは天野政務次官から一つそういう面についてお答えいただきたいと思うのです。
  28. 天野公義

    天野政府委員 今度延している点につきましては、税制調査会答申にも出ておりますように、答申を尊重してやりましたし、いろいろな観点からやっておるわけでございます。
  29. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 天野政務次官に申し上げますが、どうも最近の傾向というのは、この税の問題についてある程度税務当局は、大きな政治の、圧力といいますか、そういうようなことから来るものを、税制調査会というものをむしろ隠れみののような形にして、あそこでそういうものを出してもらうことによって、本格的な税制改正租税特別措置改廃というようなものを、むしろ引き延ばしたり、あるいはぼかしたりというようなことが行なわれているような気がしてならないわけですよ。だから、税制調査会の議を経てといいますけれども税制調査会はもう期限を切って出す。それをまた何らかの圧力で、これはもうあと一年くらいどうしてもこうしてもらわなければ困りますよというような形で入っていって、じゃもう一年間という形で答申をしてもらっていく。むしろあれを逆用するといいますか、税制調査会は基本的にはわれわれが納得のいくようなことを出しておきながら、現実の面では相当妥協してしまう。そこのところは、これは大蔵省なり税務当局決意政府全体の決意というものを出していってこういうことでいかがでしょうかという方向というものがとられなければ、これはいつでもそういう疑惑というものが出てござるを得ない。だから、あなたの答弁はそういう面から私は不満なんですが、もう一ぺんその点についての政府の、この場合についての政府の、この場合についてどういう方向をとっていくのかという——税制調査会にかけますということだけでは答えにならないと思う。そういうことを私は申し上げたのですから、そういうことでなしに、こういう方向でいきたいという、そういう決意を示していただくことが、私はこの問題では非常に必要なことだ、こう思うわけです。
  30. 天野公義

    天野政府委員 税制調査会の決定は、大体委員各位が独自な立場でいろいろと意見を述べられ、また合同会議で研究するわけでございまして、別にそう外から圧力がかかって結論が出るというふうには考えておらぬわけであります。またこの特別措置の問題につきましては、必要にしてしかもやむを得ざるものについてこれを認めるという立場でおるようなわけであります。必要がなくなり、また不合理な面がどんどん出て参りました場合には、これは整理することにやぶさかではないわけであります。
  31. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あなたも政府代表で出ておられるわけですから、今御答弁になったことをしっかりやっていただかなければ困ると思います。先ほど主税局長も、制度的にもこれをそう持っていかなければならぬ、そういう気持でおるんだということを言われたわけでありますから、あまりにも政治的な配慮を加え過ぎないように願いたい。これは非常に残念なことに、与党に対する政治献金の度合いが、これを存続するかあるいは廃止するかということのある種の基準みたいなものになっているといううわさすらあるわけであります。そういうことを私ども信ずるわけではありませんけれども、しかしそういう疑惑というものがやはりこの問題をめぐって出てくるというようなことも考えられたら、もっと真剣に政府としてこの問題は取り組んでいただかなければならぬと思うわけであります。その点特に政務次官には要望しておきたいと思うわけであります。  それから私は先ほどもちょっと触れたんですが、こういう特別措置が長い期間にわたって行なわれてきた。これが企業内部留保を進めた役割というのは非常に大きいものがある、こういうように思うわけでありまして、金額にしてどのくらいになるかということについては、まだ主税局長おいても正確な数字を示し得ないと思うのですが、私どもはこれは非常に大ざっぱではありますけれども、大体目の子勘定をいたしましても、六千億はこえているのではないかというような感じがするわけであります。そういうようなことをやっておりながら、それだけ自己資本の充実のために、内部留保の充実のために、税制がこれだけサービスをしておきながら、日本の自己資本の割合というものが非常に低いわけであります。戦前には六〇・七対三九・三%という六、四の割合で他人資本の方が少なかった。これが三十五年度——この点三・六、七と設備投資等が急激に進んだときとでは若干の変化はあると思いますが、三十五年度数字にいたしましても大体自己資本が三〇%、他人資本が七〇%、大体そんなところだと思うのです。これだけ税制内部留保に尽くしてきたといいながらこういう現状だ。しかもこれはどうやら二十九年あたりからずっと数字を見ましても、自己資本率というものは逐年低下している。これこそまさに私はこういう税制恩典になれ過ぎて、これがむしろあだになってこういう結果になっていはしないかということをおそれるのです。ですから資本市場における正規のルートを通じた自己資本の充実という面が怠られている、株式市場等を通ずる増資という面が非常に怠られて、税制における内部留保を通じてだけ内部資本の充実をやっていこうというような根性、長いなれ過ぎた税制の中から、企業マインドがそんなところにあるのではないかということをおそれるわけです。これはしかし主税局長も責任があるわけでありますから、そういう点についてどんなふうにお考えなのか。私はどうもこのあたりが、あまりにも長い期間にわたってこういうことが行なわれていることが、むしろこのことに拍車をかけているのではないかという推論をいたすわけですが、これについての政府の考え方を承りたいと思います。
  32. 村山達雄

    村山政府委員 お話のように、現在会社の自己資本比率が、戦前に比べまして逆転してしまった。戦前は六、四くらいの割合が、今日は逆に七、三くらいになっている、最近の統計では三割を割っておるということはわれわれも承知しております。昨年この問題を税制上対処するために、配当に対する税金をいかに扱うべきかというのがその中心の課題であったわけであります。調査会の検討では、大きな要素として考えられますのは、何分にも日本の経済の成長のテンポが早過ぎる、とてもこのテンポでは自己資本でまかない切れぬという要因が第一だと思います。他人資本に依存するという問題、第二には、何といっても日本は今まで近代経済が始まって以来、やはり銀行の貸し出しにたよるという環境になっておった。やはり資本市場が日本は総体的におくれている、これが第二の原因ではなかろうか。第三の原因として考えられるのは、もし税制上あるとすれば、今まで税制で二重課税の排除の方法を受け取り法人側でやっておる、ここに問題があるのではないか。それを支払い法人側でその点を調整すれば、その点は配当負担が相当軽くなる。問題は借入金の資金コストと配当負担が非常に違っていくところにある。従ってそこは支払い法人側で二重課税を調整すべきである。それならばもっと自己資本の比率はよくなるのではないか、こういうところが去年中心課題になりまして、御案内のような配当軽課を行なったわけであります。その際これではいかぬから、損金算入までいくべきであるという議論と、そうなると、投資家が、非常に激変がくるので、日本の経済に混乱がくるという両方の意見がございまして、配当軽課法をとったのであります。ですから税制上もわれわれはなお検討を要すると思うわけでありますが、ことしはそれによって増資が促進されるという点がまだはっきりわからないわけでございます。この前もちょっと御報告申し上げたと思いますが、アンケートを出していろいろ調べましたら、今配当軽課の現状はもう当分の間続けるべきである、こういう意見が圧倒的でありましたので、今回は前年の改正通り据えおいた、こういういきさつでございます。
  33. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 銀行局長に聞くのも適当ではないから理財局長あたりかと思いますが、今の問題、銀行局長としての見解を一つ述べていただきたい。
  34. 大月高

    ○大月政府委員 自己資本充実の問題は、従来から大きく申し上げれば、戦前からの日本経済全体の悩みであったと思います。戦争で資本金が吹っ飛んでしまって、しかも急速な再建をやらなければいけないということから、今のように主として金融にたよりまして、経済の拡大が出ているわけであります。これをどうかして是正したいということで、むしろわれわれ金融行政をやっている上からの問題もございまして、いろいろそういう関係では御協力申し上げているわけでございますけれども主税局長からお話がありましたように、日本の一般の国民感覚としまして、株を持つとか社債を持つとかいうようなことよりも、一般に郵便貯金をするとか銀行預金をするとかいうような、非常に庶民として近づきやすい方式による貯蓄形態が一般的でございます。これは明治時代からでございまして、何とかして証券の貯蓄関係に関心を向けたいという努力を一般にいたしておりますけれども、なかなか直らない、そういうことで、とかく金融機関の方に金が回る。そういたしますと、それが結局貸し出しの格好で出ていくということで、今のような格好になっているわけでございます。それで資本蓄積の方法といたしましては、今お話がありましたように株式配当に対する課税上の優遇、その他税の面でも非常に努力しているわけでございます。また一方、しかしそれでは預貯金の方をずっと押えていいかということになりますと、やはり金銭形態による預貯金、それから株式による資本、これはいずれも国としてふやさなくちゃいかぬ、こういうことでやはり預貯金の優遇政策もあわせてとっているわけでございまして、大きな意味から申しますれば、証券の方の貯金も金銭形態による貯蓄も、ともにふやさなくちゃならぬ、こういうことで、税務当局の方には預貯金に対する優遇措置をいろいろお願いしております。そこでバランスをとりながら、税法上のいろいろな特別な措置をとっているということでございます。それでただバランスをできるだけ有価証券の方に有利にしたいという気持はございますので、先般の配当課税に対しましても、一歩一歩前進いたしている、それから今度の貯蓄組合法の改正におきましても、たとえばボンド・オープンを対象にすることができるというふうに、逐次その対策を講じているわけであります。何分基本的に一般の国民の考え方というものがございまして、一朝一夕にいかない。それともう一つは、基本問題といたしまして、今の金融の姿が正常でないと、いわゆる正常化という問題というものが全体としてあるわけでございます。これは財政的にも関係がございますし、証券市場対策にも関係がある、預貯金の貯蓄政策にも関係がある、それから経済の成長と安定とをどういうようにかみ合わせていったらいいかという問題もございますので、金融制度調査会で、そういう問題を全部ひっくるめて今御検討願っている、こういう意味で、主観的には自己資本充実をどうしてもはかりたいという方向で、あらゆる方面で検討しておるという段階でございます。
  35. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 きょうはあまり時間もありませんので、この問題はいずれまた論争の機会があろうかと思いますから、次に問題を移したいと思います。  これは直接国税の面では関係ないわけでありますが、地方税においても、この租税特別措置法が今までははね返りですか、また去年の制度改正以後は、厳密に言えば国においてこういうことをやっておることが地方税の面においても大部分受け継がれておる、こういう状態になっておると思うのですけれども、この間の関係について、国税における租税特別措置と地方税における租税特別措置と、現状はどうなっておるのか。これについて具体的な現状と、それから国税と地方税との関係というような観点からとらえて、この点をどうお考えになっておられるのか、まずお伺いしておきたいと思います。
  36. 村山達雄

    村山政府委員 地方税におきましても、課税標準はおおむね国税に準じてやっておりますので、課税標準に関する特例がございますと、地方税の方は自動的にやはり減収になるのが多うございます。課税標準上の特例ではなくて、税額とかなんとかいうことになりますと、これは全然関係がございません。そういうので見ますと、たとえば三十六年度でございますが、国税の面で千四百九十五億が減収になっておりましたが、この場合地方税へのはね返りは四百三十四億ございます。合計いたしますと千九百二十九億というふうになるわけでございます。もちろん地方税独自の、一種の特別措置的なものは、経過的なものがあると思います。それはまた別の問題であります。
  37. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 実は前の臨時税制調査会ですか、井藤半彌先生がやっておられましたね。井藤先生は、たしか昭和三十五年において、おそらく地方税における租税特別措置のはね返りによって当時のベースで七百億くらいはあるのじゃないかという推論を立てておられたと思うのですが、今、主税局長が言われた四百三十四億とは非常に違うわけなんですが、この点いかがでしょうか。これは先生が書いた書物の中にあるわけなんです。
  38. 村山達雄

    村山政府委員 それはおそらく今の国税の特別措置のはね返り分と地方税プロパーのもの、今その数字がわかっておりますので申し上げますと、三十五年でございますが、国税はね返り分が四百四億、これに対しまして地方税独自の分が三百三十億、ですからちょうど七百三十四億になるわけでございます。
  39. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これは自治省をあとで呼んで聞きたいと思うのですけれども、地方税においてもやはり同じような問題が相当提起されておるわけでありまして、これを国税の方でこれから相当改廃方向をとろうじゃないかという際に、今まで改廃をやってきたものがほとんどそのまま向こうにはね返ってその通りやられておりますか、それとも独自でやっておる問題について、税務当局として税の公平というような見地、その他の政策目的等に照らして適切であるものないもの、いろいろ取りまぜてあるのじゃないかと思うのですが、こういう点について、税務当局として一番かなめになっておるところにすわっておる主税局長に、これは所管外かもしれませんけれども、全般的な見解を一つ承っておきたいと思います。
  40. 村山達雄

    村山政府委員 これは地方税につきましても、国税がネットで三十一年以来六百数十億整理いたしました。これは現在規模に直すと約千五百億でございます。その分は自動的に整理になっておる。それから地方税プロパーのいわば特別措置でございますが、これも年々自治省の方では検討しておりまして、税制調査会にそのことをかけてございます。その上で毎年毎年地方税法改正案として出しておるわけでございます。
  41. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう措置をされる場合には、主税局等も相当突っ込んだ協議といいますか、そういうものをなされておるのですか。
  42. 村山達雄

    村山政府委員 実際には、今まで税制調査会というのがありますので、あの税制調査会の場面で、国税の方でも、いろいろ国税の特別措置整理改廃について論じまして、地方の側でも、いろいろ意見を述べるわけであります。そこできまっておる。地方税プロパーの問題でも、地方税でもっていろいろ自治省が中心になって問題を提起しまして、委員の方々の御意見を聞いておるということでございまして、一緒になってやっておるという形でございます。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 きょうは租税特別措置法のいわば総論的な部分ということで、以上で大体質問を終わりたいと思いますが、最後に、これは租税特別措置法とはちょっと違いますけれども資料を要求いたしておきたいと思います。  国税、地方税を合算したもので計算をいたしまして、所得の分位別で五分位になっておりますが、これの租税負担率というか、そういうものができるのではないかと思いますが、これがもしできればお出し願いたいと思います。
  44. 村山達雄

    村山政府委員 今考えてみまして、できるという自信のあるものだけ申し上げますと、おそらく時間の関係もありますので、一年くらいに区切っていただいて、しかもその所得階級は五分位ではなくて——五分位でもって換算するのはとても大へんでございますので、われわれの持っております所得階級で、しかもそれは所得課税、所得に対する国税、地方税というものでありますれば、できると思います。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 所得税だけでは資料要求の意味がないので、これは直接税も間接税も地方税の負担も全部所得分位別に——この分位のとり方はけっこうです。しかし、その第一分位は大体給料年収何ぼくらいということを入れていただいて、八分位になっても、九分位になっても、十分位になっても、かまいませんが、そういうので全部合わせた資料はありませんか。
  46. 村山達雄

    村山政府委員 これはわれわれの方はあまり自信のある統計ではございませんが、家計調査から出しました分で、給与所得者月収一万円とか出ております。それは家計調査でございますので、大体おもに聞き取りでございます。それは各税についてずっと聞いておるわけであります。税が幾ら負担されておるということではなくて、あなたのところはこういうものを月にどのくらいお買いになったかと言って聞いて、それから税負担推定したものでございますが、そういうものであればできると思います。それで各税種全部並べて出しておりますが、そういうものであればできると思います。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 予算委員会の公述人から、この問題についてこういう数字が出ておるわけです。月給一万円の階層で、これは標準世帯でございます。標準世帯で大体二二%の租税負担率になっている。それから、今度ずっと上位に上がっていくに従ってこれがむしろ下がっていく、四、四万円のところで若干上がって、十万円のところで大体一四%という租税負担率である、こういう数字が述べられておるわけであります。そうしますと、これは大へんなことだと思うのです。月給一万円の人が一三%、月給十万円の人がやはり一四%。一%の違いしかない。こういうのが現在の日本の税制の姿だという形になってくるわけです。一万円の人が一三%負担する苦しみと、十万円の人が一四%負担する苦しみというのは、これはまさに重大な問題であります。これは国税、地方税を通じて、また間接税を含んでの負担ということで、そういうことになっておるという数字が述べられておるわけなんです。だから、それを明らかにすることは、やはりこの租税特別措置の優遇の問題とも関連をいたしてくるわけでありまして、そういう今日における全般的な租税負担率というものを、所得階層別に資料として提出されることが非常に必要だ、税制全体に対してわれわれが討議をするにあたって、ぜひそういう資料一つ出していただきたい、こういうように思うわけです。その点で要求をいたしておるわけです。そういう趣旨にかなうような資料を作っていただきたいと思います。
  48. 村山達雄

    村山政府委員 今度の答申に、所得階級別、各税目ごとで、所得に対してどれくらいの比率になって、それで直接税合計幾ら、間接税合計幾らというのが出ていると思いますが、今度の最終答申の八十八ページをごらんいただきたいと思います。そこに、これは家計調査からやったものでございますから、われわれから見まして所得税負担がどうもこういうことになるはずはないんだがと思われる節がございますがあまり作為いたしますとわかりませんので、そのまま出してございます。
  49. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それじゃけっこうです。  それじゃ、もうこれで終わりますけれども天野政務次官に最後に伺っておきたいことは、現在行なわれております租税特別措置法というものに対して、私どもは、先ほどから申し上げておるように、租税の大原則である負担の公平という原則を非常に大きく侵しておる、しかもその政策甘的というようなことに名をかりて、非常に既得権化し、長期化してきている、こういうことでありますが、あなたはこの問題について、公平を害しているのだという現実をはっきり認められるべきだと思うのですがその点だけ一つ政府を代表して、あなたの考えを聞かしておいていただきたい、こう思うのです。
  50. 天野公義

    天野政府委員 現在の租税特別措置に含まれている問題は、いろいろな観点からいたしまして必要やむを得ないものである、このように考えておるわけでございますが、将来につきましては、先ほど申し上げましたようにいろいろな点からして不必要であるというような場合には、これを改廃するにやぶさかではない、かように考えておるわけであります。
  51. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 必要であるかどうかということを聞いているのじゃないのです。租税の大原則を、今日の租税特別措置法はある程度必要があるにしても著しく公平を害しておるのたということを認めるかどうかということを聞いているのですよ。
  52. 天野公義

    天野政府委員 公平を害しているとは認められないのでありまして、この程度のものは、やはり日本の現状からして必要であろう、こういう考え方に立っているわけでございます。
  53. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これは大へんな認識の違いで、あなたがそういうことを言うから、それじゃ私はもうこれは時間も何もかまっちゃおられない。あなたは一体今日の税制調査会答申を読んだことがあるのですか。そこでは明確に指摘されているのですよ。しかも審議会の答申は尊重しながら税制をやっているということで、差っ引き増減で六百何十億も消してきている。必要性というものは確かにある而もある。しかしながら現に税制における公平の原則というものを、多かれ少なかれ犠牲にしながら、政策目的に公平の原則が屈服をしている姿なんだということを税調でもその点をはっきり指摘したわけです。それを今やむを得ないことなんだから、必要なんだから公平だと思うのだという理屈にはならないわけです。そこには論理の飛躍があるわけです。不公平だけれどもやむを得ず今のところはやりているのだ、こういうことならばある程度わかる。しかし公平なんだということでは、私は断じて承服できない。あなたはそういう立場でこれからもやられるつもりですか。それならばさっきの御答弁とまるっきり違う。必要だと思うなら、あくまで私はやります、どこまでも推進しますということを言いなさいよ。これはおかしいですよ。さっきの答弁と矛盾しませんか。
  54. 天野公義

    天野政府委員 さっきの答弁と少しも矛盾しないわけでございまして、私の考え方は先ほど申し上げた通りでございます。
  55. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私の問いに最後に一言答えてもらいたい。この租税特別措置法は公平の原則という見地から見れば、これは公平を害しておりますということを言えないですか。必要性という問題を問うているのじゃないのです。
  56. 天野公義

    天野政府委員 別にそう公平の原則を害しているというところまでちょっと極論できないと思います。そこにはニュアンスの違いがありまして、なかなかむずかしい点でございます。
  57. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その点を答えられないのじゃ、これからの租税特別措置法をどうしていくのだという政府の態度が、まるっきり方向が違ってくるのですよ。その点もう一回答えて下さい。公平を害してないのですか。
  58. 天野公義

    天野政府委員 公平を害するというところまではいってないと思っております。
  59. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 税制調査会答申について尊重するという立場政府はとっておられるわけです。そこではっきり害しているのだということを認めているのです。しかしながら政策目的があるのである程度やむを得ずやっているのだ。だから早いところ改廃整理、縮小の方向をとりなさいということを明確に答申されているじゃないですか。それすらも認めないのですか。それだったら、われわれは政府のやることに対して信頼できないですよ。
  60. 天野公義

    天野政府委員 先ほど申し上げておりますように、必要性がなくなったり、また著しく公平を害するというようなものがありました場合には、これを改廃するにやぶさかではないわけであります。いろいろな点から検討いたしまして、現段階ではこの程度は必要であるという考え方に立っているわけであります。
  61. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あなた、どうしてその答弁をためらわれるのですか。著しく公平を害しているとは思わないという、それだったらある程度は公平を害しているということくらいは認めたっていいじゃないですか。それくらいあなた、答えなさいよ。
  62. 天野公義

    天野政府委員 そこまでは考えておらないわけでございまして、先ほどから申し上げる通りでございます。何べんお尋ね下さいましても、先ほどから申し上げておる通りのことを申し上げるだけでございます。
  63. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これ以上押し問答しても仕方がありませんから、いずれまた大臣にこの問題は質問いたしたいと思います。天野政務次官のおっしゃったことは、私は、政府を代表しているとはきょうは認めない。大蔵大臣にいずれこの問題について黒白をつけたい、こう思うわけでありまして、本日は約束の時間でございまするので、これで質問を終ります。
  64. 小川平二

    小川委員長 次回は来たる六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会