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滝井委員 何に使ってもよろしいということは、
——企業の運転
資金に使うわけです。ここが重要なところなんですよ。そうしますと、あなたの今の議論をそのまま借用すれば、
労働者の
老後を
保障するために、当然支払わなければならぬと債務が確定しておるのです。そうでしょう。その確定をしておるものを
企業は自由に使うわけですよ。そうしますと、これはアメリカでも
日本でもパニックが一九二〇年から三十年に起こった。このときに一体アメリカの
私的年金はどういう運命をたどったかということです。あるいは
日本の
厚生年金は、国が保証しておったにもかかわらず、どういう状態になったかということ、これを考えなければいかぬのです。これを
税制で、
退職給与引当金ということで
終身年金が今度は拡大をするような形をとっていくということになれば、これは
増加をする。二割五分ですから、その四分の一はなるほど社外に特定預金として持っていっておりますけれども、残りは自由に使われるわけです。そうしますと、スライドを一体確実に認めてくれるのかどうか、それから
企業が倒れたときにだれが保証するのか、こういう点から見て債務の確定しておるもので、しかも
恩典として
税法上の
損金算入を一部認めるというような、こういうものを奨励をすることがいいかどうかということです。今のこの
日本の脆弱な動揺ただならざる経済のもとでいいのかどうかというこです。当然こういうことをやる前に、そういう金をどしどし税金でとらなければいかぬと思うのです。どしどし税金で取って、今度はそれを国の
厚生年金の国庫
負担に回すのです。今国庫
負担は一割五分しか出ていない。零細
企業を中心として、平均したら一
事業の
従業員の数が二十五人以下の
企業の
労働者が、あそこに千万集まっております。そういうところにこれを税金で取って回すべきだと思うのです。年間二百何十億の金が集まるのですからね。今の
日本の段階では、こういうところに
恩典を浴させる必要はないのです。ところがこういうものが先行し、まかり通って、そうして零細な
中小企業の層にはちっとも行かぬのです。ここでまた
岩尾さんにお尋ねすることになるわけですが、今零細
企業のために
中小企業の
退職金共済
制度というものができて、
中小企業の
退職金事業団というものができているわけです。そうしてこれはたぶん一口千円きざみで、二百円以上、二口以上千円までで
事業主がそれに見合った
掛金を積むと、
労働者がやめたときにその
退職金をくれることになるわけです。これだってわずかしか国が出しておらぬわけです。いわゆるバランス論からいけば
——何も
税法上だけのバランスが問題じゃないのです。
日本国全体のバランスがどうなんだということです。池田
内閣が
所得格差をなくそうという政策をおとりになるからには、こういう
厚生年金とか
中小企業退職金共済
制度というものが先行されなければならぬ。その先行するための財源はどこから持ってくるかということ、こういうところの
企業から税金を取り上げる以外に
日本には方法がないのです。ところがこれが税のバランス論だけで、狭い
範囲のいわゆる井蛙の見ですよ。井戸の中から天井をのぞくような見解で、バランスだけでやっておったら、とてもこういう
岩尾さんの方のそういう政策を進める財源なんか出ないのです。ふえやしないのでしょう。これは社会
保障を担当する
主計官として、こういう
制度が一体まかり通っていいのかどうかということです。これは大蔵省の
内部問題だから、まず井戸の中で先に見解を統一してもらう必要があるのです。こちらは局長さんだし、向こうは
主計官ですから、なかなか心に思って口まで出ておっても言えぬと思うのですが、そういう立場がある。そこでどうせこれは大臣に一ぺん来てもらわなければならぬのです。本の
社会保障制度の根本論ですから、大臣に来てもらわなければならぬので、ちょっと
岩尾さんに
答弁を求めるのは気の毒だと思います。そこで
積立金の
現状というものはウナギ登りに
増加をしてきているわけですね。ここで今度関連が出てくるのは、しからばこういうようにウナギ登りに上っておるということは、それだけ
退職金を
企業内部では積まなければならぬという事態が起ってきているということを
意味するわけです。積まなければならぬけれども、今度は
岩尾さんの方の所管の
厚生年金の
保険料率を上げると、ここの金がこれに回ることになるのですね。ここの金が回ることになることは
経営者にとっては一大苦痛なんです。なぜならばこっちに回ったんでは自分の
企業の
内部でこの金を使うことができない。使うことができないばかりでなくて、
厚生年金に
積立金が回ると
——今
企業はこの金を借りております。この金を借りて、
企業の住宅を建てたり病院を建てようとすると、六分なり六分五厘の利子を払わなければならぬ。ところがこれを社内に留保さえしておけば、利子を払わなくて自分で自由に使えるのですから、大蔵省や
厚生省に頭を下げなくていいんですよ。天下泰平ですよ。この
制度の中にはこういうからくりがあるのです。ここまでみな気がついていない。こういうからくりが単なる
税法の中の一行か二行でまかり通ったら大へんですよ。いかにそれは、日経連が力が強い、あるいは自由民主党を力で押えつけるといったって、こんなことがまかり通られたら大へんなことですよ。だから私はこれはやめてもらわなければならぬ。社会党は断然これは削除だというのですよ。私は党内で強硬な主張をします。削除しなければいかぬ。こんなものを許しておったら大へんですよ。
そこで今度
岩尾さんにお聞きすることになる。今の
厚生年金の
掛金の中で、比例
部分と
定額部分と家族
付加給付部分がありますね。これは遺族
年金その他をやりますから。この
厚生年金の
保険料の中で、比例
部分のパーセンテージが幾らで、
定額部分が幾らで、
付加給付部分が幾らであるということをお
調べになったことがありますか。これはあなた方が
保険料の想定をなさる場合には当然これが基礎になるのですよ。そうしなければ
年金のあれが出てこないのですから。