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1962-02-20 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十日(火曜日)    午前十時十八分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君       大久保武雄君    岡田 修一君       正示啓次郎君    田澤 吉郎君       高見 三郎君    濱田 幸雄君       藤井 勝志君    古川 丈吉君       坊  秀男君    吉田 重延君       岡  良一君    久保田鶴松君       田原 春次君    芳賀  貢君       広瀬 秀吉君    春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    佐竹  浩君         大蔵事務官         (理財局次長) 吉岡 英一君         日本電信電話公         社副総裁    横田 信夫君         日本電信電話公         社経理局次長  奥田 孝一君     ————————————— 二月十六日  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第七九号)  物品税法案内閣提出第八八号) 二月十九日  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇〇号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第七九号)  物品税法案内閣提出第八八号)  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇〇号)(予)  金融に関する件  証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。春日一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 まず最初に、証券政策についてお伺いをいたします。  これらの諸問題につきましては、私は、昨年の十月二十七日の衆議院本会議におきまして、株価対策に関する緊急質問の中で、証券業者誇大広告の取り締まり、それから証券業者職能分離の問題、それから売買仕法、特にバイカイ是正に関する問題、それから証券金融強化に関する問題、それから第五には、証券取引審議会改組すべきであるという問題、第六には、証券行政機構強化する問題、大体この六つの当面する重要とおぼしき問題について、政府見解をただしました。当時、総理大臣並びに大蔵大臣は、これに対してそれぞれ善処を約し、あるものについては検討し、これを改善するように努力したいと答弁されておるところであります。  しかるところ、その後の推移をうかがいますに、今次国会にわずかに大蔵省理財局証券部設置するやの大蔵省設置法改正案が上程されるようでありますが、この問題といえども、社会党の平岡君は、これは金融庁とか証券庁とかいうものを設置しろ、私どもはさらにこれを小さくしぼった要望といたしましても、業界意見を総合して判断するならば、これまた少なくとも証券局設置は当面必要にして欠くべからざるところの規模であろうと指摘して参ったところでございますが、今回の証券部の創設のごときも、言うなれば、わずかに事務的な機構をいじるの域を脱しておりませんので、全般的に見るならば、ほとんどが未解決、これが放置されておるといっても過言ではないと思うのであります。私はこの際、特にこういう問題について大臣のいらっしゃらないところで深く検討いたしたいと思いますることは、これは単なる概念的な論議ではなくして、証券行政の真髄に触れて、理論的に、また実際的に、いかにあるべきかということを国家的な立場から十分論じ合いたいということで、特に事務当局の御出席を求めて、本問題を論ぜんといたしておる次第でありますが、こういうような問題、すなわち、私が詳細に本会議で論じ、総理並びに大蔵大臣から善処方を約された諸問題について、本日まで大蔵当局に対して問題解決のために何らかの連絡あるいは指示というものがありましたか。ありとするならば、その際指摘された問題点について、その問題解決のために、どのように研究立案が進められておるのであるか、支障のない限り、この際その中間的な報告を願いたいと存ずるのであります。
  4. 吉岡英一

    吉岡説明員 この前本会議で、春日先生から御質問がございました六項目について、その後どういうふうなことをしておるかといろお尋ねに対して、お答え申し上げます。  第一の証券会社の行なう誇大な広告宣伝を十分取り締まるようにというお話は、そのとき大臣も、ごもっともであって、われわれとしてもかねてそういうふうな注意をいたしておりますし、業者自身の自主的な規制もやっておる点で、今後とも十分指導をしたいという答弁をいたしておりますが、大臣答弁通りに、その後いろいろな個々の業者広告等につきまして、かなり行政的な指導と申しますか、誇大な広告宣伝をしないような指導をいたしております。  第二の証券業者職能分離につきましては、これも大臣が、理論的にはいろいろ利害得失があると思うけれども、いろいろな業界の歴史、慣習その他からいって急にはなかなか分離できないと思う、ただ今後も十分に検討したいという発言をいたしておりますが、これは春日先生十分御承知通りの非常に大きな問題でありまして、われわれといたしましても、かねてから研究はいたしておりますし、その後も検討を続けております。御質問通り、今直ちに実現をするところまではいっておりませんが、なお十分に検討を続けていきたいと考えております。  第三の売買仕法の問題、特にバイカイ是正につきましては、これも大臣が、非常に問題の多い点であることは確かであるけれども、これを直ちにいけないということは必ずしも現実的ではないようである、従ってバイカイが不正常な形で行なわれないように十分気をつけながら、このバイカイの根本問題についてなお検討を進めたいという答弁をいたしておりますが、大臣答弁通り、私どもといたしましても、バイカイの問題は、売買仕法の問題として非常に大きな問題、といって今直ちにやめるというわけにはいかないと思いますので、その点いろいろ業界なりあるいは証券取引審議会なりのお知恵を拝借しながら検討していきたいと考えております。  第四の証券金融強化の問題につきましては、お話通り戦前等に比べまして、証券金融が十分に参っておりません。戦前銀行の貸し出しの中で三〇数%が証券担保金融であった、そのうちでも二〇数%が株式担保金融であったわけでありますが、現在はそういう情勢にないわけであります。そういう情勢にない原因はいろいろあると思うのでありますが、その原因検討いたしますとともに、証券金融を何らかの形でもっと強化すべきだという御意見は、われわれもその通り考えております。ただなかなか実際に行なわれておらない問題をどういうふうに打開していくか、今後も検討したいと考えております。特に最近は、株式担保金融よりはむしろ公社債証券金融につきまして、大臣からも御下命を受けて、われわれも検討を進めている段階でございます。  それから第五番目に、証券取引審議会改組したらどうかというお話があったように伺っておりますが、この点は、大臣の御説明いたしましたように、証券取引審議会はかなり各界の代表を集めており、しかも官庁にある審議会としては、かなり活動と申しますか、御勉強を願っており、しかもその審議会答申は、大蔵省としても極力尊重して実施に移している審議会であります。御承知のように、再開後最初に、社債前場育成の問題について答申がありました。次に、自己資本の充実のための増資促進のための答申がございました。その次に、当委員会でも論議のありました店頭市場組織化の問題について答申がございました。そういう意味で、当面の大きな緊急を要する問題について次々と審議を願い、答申をしていただきまして、その線に沿って行政運用をしておりますので、大臣が御答弁申しました通り、これを改組しないでむしろ十分に活用していきたいというふうに考えております。  それから第六番目の証券行政機構の問題につきましては、今お話のありました通り証券部設置ということで御審議を願っているわけであります。一挙に局にする、あるいは金融庁にするという問題もお話がございまして、十分検討いたしましたが、やはりさしあたりの段階としては部として、部長の責任体制を明らかにするところから始めたいということで、証券部設置ということにしておるわけでございます。  以上簡単に御答弁申し上げます。
  5. 春日一幸

    春日委員 とにかく株式市場に対しまする、また証券取引に対しまする当面の問題としては、大体当時指摘ふたしましたこの六つの問題に大きく集約できるかと思うのでございます。特に重大な問題は、第二の証券業者職能分離、それから売買仕法、特にバイカイ是正の問題で、この二つの問題は、それぞれ利害が相対立して錯綜いたしますために容易に踏み切ることが困難であるという実情はよくわかります。しかし何らかの欠陥がある点も指摘をいたしておるのでありまするから、そのように欠陥があると認めながら、そのままそれを見のがしておるということは、それが積弊積悪となって累積いたしますことによって、それは大きな障害となって現われ、わが国経済そのものに対する大きな機能障害を来たす心配がはなはだ大きいのでございます。でありますから、完全にして何ら欠点がないというのであるならば、確信を持ってそれを推し進めるにためらってはなりません。けれども大臣も、そのように緊急を要する問題である。ただ東西さまざま錯綜しておるので、にわかに断定的にこれを踏み切れないというような問題は、大いに事務当局立案をされて、あなた方は一つの科学者的な立場に立って、純論理的な立場に立って、この問題を——欧米においては、現にそれぞれの合理的な進歩的ななされ方をしておる。しこうして、日本においては、そのものと比べて欠陥指摘されておることをも十分判断されまして、勇気を持ってその改善のために努力されるということは、公僕として必要にして欠くべからざる義務であろうと思うのでございます。そういうような意味合いにおいて、政治家はいろいろな立場があります。しかしあなた方行政官吏というものは、やはり良心それから論理、公僕という立場から私は純理を打ち立てて、そうしてこのような国会論議にさらして、これを世論にアッピールしていく、これだけの勇気がなければならぬと存ずるのであります。特にこの第二、第三の問題はこれから論じていきたいと思うのでありますが、今第五にあなたが述べられました証券取引審議会改組の問題でありますけれども、われわれはこれを非難しておるのではありません。これはこれとして大いに貢献することが大ではあるけれども、その機能が足らないことを指摘いたしておるのであります。わずかにその諮問に答えるというだけではだめなんだから、従ってこれは業界に対して、市場に対して勧告のできる、大臣に対して献策もできるという、このような建設的な前向きの機能をこれに加えろということを指摘いたして参ったのでございます。だからそういう意味で、私どもは現在の証券取引審議会が持っておりまする機能は、これは十全のものとは断じがたいのであります。足らざるところをさらに加えてこれを強化して、これらの学識経験者たちわが国証券行政の全般的な問題について、足らざるところ勇気をもって指摘し、これを勧告し、献策し得る、こういうふうに直していけ、こういうことを言っておるのでございます。二、三の問題はこれから論ずるといたしまして、証券取引審議会改組の問題というのは、強化的改組発展的強化、このことは当時私は論述の中でも指摘した通りでありますが、単なる諮問に答えるというだけのことではなくして、彼らが刻々起きてくる市場実態取引形態等からながめて、これはかくあるべしと判断したならば、勧告したり献策したりすることのできるようにこれを改組しろと本員は指摘いたしておるのであります。これについて行政当局見解はいかがでありますか。
  6. 吉岡英一

    吉岡説明員 証券取引審議会は、御承知だと思いますが、大蔵大臣諮問に答えて、いろいろ証券取引等の重要な事項について審議をいたす機関になっておりますが、ただ私どもとしては運営の方法といたしまして、われわれの都合のいいと申しますか、勝手な問題を諮問をいたす格好にいたしまして、それだけを論じていただくというような運営は実はいたしておりません。先ほど申し上げましたように社債の問題、次いで株式発行市場の問題を取り上げていただきましたあと、流通市場の問題に入ったわけでありますが、その際に、われわれとしては流通市場全般についていろいろな問題のある点を全部出しまして、この中で緊急性と申しますか、重要性があるものから論議をしていただきたいというような格好運営をいたしております。従って審議会自主性なしにただあてがわれたものだけをというような感じではございませんで、むしろ非常にたくさんの流通市場の問題がある中で、当面緊急なものあるいは重要なものを審議会として審議すべきだという観点から審議をしていただいておる実情であります。
  7. 春日一幸

    春日委員 官制、機構制度としてはどういうふうになっておりますか。
  8. 吉岡英一

    吉岡説明員 証券取引法の第百六十五条に証券取引審議会設置の規定がございまして、「有価証券発行及び売買その他の取引に関する重要事項に関し調査審議させるため、大蔵省附属機関として、証券取引審議会を置く。」ということになっております。
  9. 春日一幸

    春日委員 当時の私の本会議論述をお聞き取りいただいておるかもしれませんが、われわれはこういうことを指摘しております。すなわち、現在の審議会は、大蔵大臣諮問があって初めて動く受け身のもので、最も肝心なる要務、すなわち、常に証券界動向を注視し、積極的に意見政府に建議するような自動的権能を持っておらぬ。現にわが国証券界には、なお幾多の難問題が山積しておる。これが事に当たるべき現在の証券取引審議会は、あたかも、大蔵省証券業界の、ただ温良なる御用機関になりましていることは、これははなはだ遺憾である。従って、政府は、この際この証券取引審議会機能組織について想を改め、これを強力なブレーンたる第三者機関たらしめるために、これを根本的に改組するの必要があると思うが、これに対する政府見解はどうか。こういうことを言っておるのでありますよ。だから単に、彼らが差しつかえのない範囲内において研究したところをこっそり行政当局連絡をするというのではなくして、権威ある第三者機関たらしめて、そうして言うならば、わが国証券界には幾つかの問題がある。当面しぼっても六つの大きな問題がある。その他細分化すれば幾多の問題が山積しておる。これらの問題は、しょせんは証券取引審議会が専門的に検討して、何らかの改善是正の策を立てていただかなければならぬ。そういうような、単なる諮問に答えてその意見を述べるというようなことでなくて、こういうような動向を注視しながら建議、献策できるという自動的な権能を持たしてはどうか、こう言っておる、それに対して御答弁を願いたいと思う。
  10. 吉岡英一

    吉岡説明員 今ありました御質問に対しまして、当時大蔵大臣は、今できている審議会は十分活用いたしまして、審議会答申はことごとくこれを実施しているという形で尊重しておりますが、今後さらに審議会機能を伸ばすようにいたしたい。という答弁をいたしております。そういう意味審議会機能をおっしゃるような方面に十分に働いていただくように今後の運営はやって参りたいと考えております。
  11. 春日一幸

    春日委員 運営ではありません。私が言っておるのはそうではない。あなたが事なかれ主義の答弁をされるならば、私は質問をやめます。それでは意味をなさない。そういうような押し問答をしたり、観念論議をするというなら実際は大臣とやります。ただ行政当局と誠実にそれらの問題の患部に触れて、お互いに真相を確かめ合っていく、そうして悪い点があるならば、このような論述を通じて改善の方向へ政務次官一つ努力をしていただく。ここに本日の国政調査の意義があるわけなんです。だから大臣がその機能を伸ばすということは、単にその運営によって伸ばし得るものではございません。すべてそれらの政府機関というものは、法律範囲内においてのみなし得る。あなた方が運営の妙味を発揮していくというのは、それは限界もあるでありましょうけれども証券取引法の中で、証券取引審議会の権限というものは制限列挙されておる。だから単なる諮問に答えるというのではなくして、強力なブレーンたらしめて、そうして権威ある第三者的機関たらしめて、時々刻々に起きてくるいろいろな問題、あるいは現在そこになお未解決のままに放置されておるそれらの諸問題について、意見をまとめて政府献策をする、こういうことのできるようにしろ、ただ諮問に答えるだけではなく、そういう形にしろ、そういう意味において、答えて大臣は、機能強化のために善処したいと言っておるとするならば、当然それは運営範囲にとどめらるべき問題じゃありません。法の改正を伴って参る問題であると考えるのでありますが、この点いかがでありますか。天野政務次官から御答弁を願います。
  12. 天野公義

    天野政府委員 おっしゃることもよくわかるわけでございますが、また高度な政治的な見解からいろいろと大臣とも相談をいたしまして、証券行政がうまくいくように今後努力をしたいと思います。
  13. 春日一幸

    春日委員 それでよろしい。要するにお互いにその現状になずんではならないということなんですね。なお建設途上にあって、そうしてなお問題がいろいろあるのですから、従って悪いと思ったことは直していかなければならない。欧米においては、それぞれわが国証券取引やり方が違っておるのです。経済的にわが国と同じようなボリュームを持っておる。そういう国々の証券取引日本のそれとは違っておるのだから、そういうようないいところは取り入れて、そうしてわが国のそれを改善していかなければならぬが、そのためにはまず証券取引審議会なるものの機能をさらに拡充強化をして、もっぱらこのことに当たらしめていくということが大きな一つの要因となっておるのです。われわれはこのことを強く指摘しておるのです。従って必要であるならば法の改正を行なって強化していくという、こういう努力がなされてしかるべきであり、私はおそらく大蔵大臣もその趣旨で答弁されておると思う。ところが年末の予算編成、それから通常国会予算委員会その他私は忙しいと思うので、いまだそのことが運んではいないとこれは見るべきである。従ってこの問題は懸案事項として、ただいま天野君の答弁されたがごとく、これは大いに高度の政治的の立場から十分に一つ判断を願って、わが国の産業、経済の大きなきめ手となるところ証券行政をして、あやまつところなからしめるという、こういう意味で、まずもって証券取引審議会機構強化する、こういう方面事務当局としても十分御研究を進められるよう強く要望いたしておきます。  次に、証券取引業者職能分離の問題について、具体的にいろいろ質問をいたして参りたいと思っておりまするが、これはすでに数カ年間私どもが本委員会で、それは時をおいてではありますけれども、強く強調してやまないところでございます。しこうして、業界においても、また学識経験者においても、また本委員会昭和三十二年と昨昭和三十六年の二回にわたって欧米証券市場を視察いたしました。その結果報告に徴しましても、現在のこの職能分離の問題は、わが国証券行政として何事をも差しおいてまず第一番に着手し、断行しなければならない筋合いの事柄になると思われるのであります。すなわち現行法証券業者のうち有力なものは引き受け業務販売業務委託売買業務自己売買業務、こういうような証券業者固有業務のほかに、運用預り業務累積投資業務、言うなれば金融機関類似業務、こういうものが兼営を許されておって、言うなれば大きなものはオールマイティです。百貨店方式の経営が行なわれておる。しこうしてその上に投信業務は形式上分離されはしたものの、その実態証券業者委託会社株式一〇〇%を保有することによって依然として証券業者がそのまま親会社の地位を確保しておるのであります。こういうような証券業者あり方については、わが国証券市場の再建と、その育成を必要とした過程の中においてはそれはさまざまな功罪が山積しておるのであります。これは前にも指摘した通り、大きく功献したところがあるけれども、そこに欠陥があれば長い間捨てておけば積悪積弊となって累積して大きな病根になってくるのですね。だから少なくとも今日においては、ある程度証券市場が、このように再建された、完成された、そういうようなときにはもはやこのような証券業者あり方、すなわち、こういうようなオールマイティやり方というものが現在においては四大証券、いわば市場の過当的な独占支配、それから第二には、企業の著しい格差を生じてきておる。これはもう佐藤大臣のときに申しましたけれども、マンモスとネズミです。こんな関係になってきて、自由なる競争の条件というものをなくしてしまっておる。さらにおびただしき不祥事件が続発しておるとは言いませんけれども、それが次々と起きておる。このことが証券業界の当面するところの大きな何と言いましょうか、大欠陥、こういう形になっておるのであります。この職能分離の問題全体として、このことをどういうふうにお考えになっておるのであるか、私は大臣答弁はその必要ありと認めるけれども、なかなか現実の問題としてはむずかしいと言っておる。むずかしいといっても諸外国でやっていることなんです。アメリカのような、イギリスのような、ああいう経済の高度に成長しておるところでやっているのですから、日本においてそれがなし得ないというはずはない。職能分離を断行しなければならぬと技術的にお考えになっておりませんか、行政当局の印象、これを一つ伺いたいと思う。
  14. 吉岡英一

    吉岡説明員 お説のように、証券業者がブローカー、ディーラー、あるいはアンダーライターというようないろいろな業務兼営いたしておるわけであります。これについて御指摘のようないろいろな難点があるわけでありますが、大臣も申しておりますように、これにかわるべきと申しますか、兼営分離いたしまして、おのおの専業にいたしましたときの利害得失がまたあると思うのであります。従って、今の制度が悪い点だけであって、専業にしたときにはいい点だけだというふうになかなか参らないという感じがいたすのであります。両方利害得失があって、それを比較考量してということかと思いますが、さしあたりいろいろな習慣なり何なりで発達をして参っておりますそれを理論的にもしいいということになりました際に分離をしていくかというような問題は、実は非常にむずかしい問題だと思います。われわれとしても、おっしゃるような点十分考慮いたしまして、今後検討をいたしたいと思っております。まだ今の段階では必ず分離する方に踏み切った方がいいというところまでの踏み切りがつかないのでございます。
  15. 春日一幸

    春日委員 それでは現に四大証券公社債引き受けの八〇%、それから株式売買の七〇%、累積投資の九〇%を独占しておると資料はこれを明示いたしておる。それからまた東京証券取引所加盟業者一社の中で六十五社が四大証券の系列傘下に組み入れられて、四大証券が事実上圧倒的に証券界に君臨しておる。大蔵当局はこのような事実関係を何と見ておられるか、これを一つ答弁願いたいと思う。
  16. 吉岡英一

    吉岡説明員 お話の点はちょうど一年ほど前当委員会春日委員からの御質問がございました際に、私ども申し上げたと思うのでありますが、自由営業の建前でおりますところに資金信用の強いものがどうも信用が強くなっていく傾向があることは事実でございます。ただ私どもといたしましては証券取引という性格から、少数のものが非常に大きくなることは必ずしも好ましいことではないというように考えております。従って、いろいろな営業規模の問題あるいは営業所の問題その他の点から、やはり四大証券というものがだんだん大きくなっていくにしまして毛、モデレートの格好で大きくなっていくというようなことを考えていろいろな施策をいたしておるわけであります。御指摘のように六割以上のものを四大証券が占めておるということでございますが、数字で申し上げますと、三十三年には全国の売買高で四社の占める割合は六七%でございました。三十四年に六五%、三十五年に六四%、三十六年五八%、最近の十月以降の比率を言いますと、十月が五四%、十一月が五五%、十二月が五三%、必ずしもこの傾向でいくと断言はできませんが、四社がどんどん大きくなって、ほかの四社以外の証券会社の営業範囲がどんどん狭まっていくというような事情にはあるようでございます。
  17. 春日一幸

    春日委員 それは四大証券の直接名義によるところ売買商とか、取り扱い高というものはあるいはそういうことになるかもしれませんが、ただいま私が指摘いたしました通り、事実上百社中六十何社というようなものを資本的、人的にその傘下に組み入れることによって、この比率というものは圧倒的なパーセンテージを占めておるのであります。こういうような形ではたして大衆投資家の利益を保護し得るものと考えておるか、これで証券市場の公正なる運営が確保されて、その公共的な機能というものが完全に果たし得ておるとお思いになりますか。たとえば資本主義のもとにおいて証券と同じような使命、性格を持つ金融、これは都市銀行あり、地方銀行あり、信用金庫、相互銀行、ずっと職能分化の形でそれぞれその職をなしておる。みな分に応じてそれぞれの使命、機能が果たし得ておるんですね。ところがこの証券取引所というようなものは、株式の相場を値づけするという公共的なマル公をつけるところの大きな国家的な使命をになっておる、そんな大きな使命をしょうものが四大証券−実質的に四社によってこれが幾つかの仕事を兼営せしめられておることによって、圧倒的な寡頭独占というか、少数支配と申しますか、そんなことで公正なる証券市場というものが国民の負託にこたえて運営でき得るとお考えになっておりますか。天野さん、この点は一つあなたの政治的な判断ですね、あなたはなかなか良心的な人だから、ほんとうに悪いと思ったら、あなたが副大臣をやっておるうちに、自分でこのくらいのことは一つ手がけて荒療治をやってみたらどうですか。実際小乗的なことではできない。だれかが身を尽してこの問題と取り組まなければ、あるときには暴騰し、あるときには暴落し、そのために大衆の利益というものがはなはだしく刺激されておる。そうしてマンモスのように果てしなく四大証券というものが膨張して、一端は肥大し、一端は萎縮する。ほんとうに小さな中小証券というものは、系列の傘下に入るのでなければ存立することができ得ない。ずっと戦後登録した証券会社がどんどんやめていくという事態がそれを立証しておる。何と判断されますか。このよって来たるところ原因は何であるか。それはすべてのことの兼営が許されておるという、このオールマイティー式なやり方というもの。自由にして公正な競争だから強いものが勝つというか、すぐれたものが勝つのはいいだろうけれども、強いものが弱いものを食ってしまう、すなわち自由競争と弱肉強食というものは異質のものなんですよ。従って現在の証券行政証券市場というものは弱肉強食が横行濶歩している。スポーツマンのように、すぐれたものが競争によって勝つというのではない。これを何と見るか。
  18. 天野公義

    天野政府委員 四大証券が非常に大きくなり、またいろいろな系列会社を傘下におさめていろいろとやっておるということは前から知っておりますし、またいろいろな弊害の生まれておるというようなことも耳にいたしておるわけでございます。しからばその悪いのをどうするかということになりますと、いろいろ日本証券界の歴史的な流れもありますし、現在の段階でそれならばこうするという具体的な方針もまだきまっておらないようでありますし、また私個人で考えましてもなかなかその方策が考えられないわけでございます。これは重大な問題でございますので、今後よく研究をさしていただきたいと思うわけでございます。
  19. 春日一幸

    春日委員 問題の焦点がぼやけないように、一つの問題に集約して問題点を明らかにいたしたいと思うのでありますが、この多くの業務の中で、特に委託業務自己売買業務兼営するということについて、その弊害を指摘いたして御判断を得たいと思います。  それは自己のためにする業務とお客のためにする業務と、すなわち全く利害相反する業務を同一人格によって行なわしめておる、そういうことになりますね。これは私がすでに何回か論じております通り、民法第百八条にあります双方代理禁止の原則に反する。民法が禁止しておる違法の行為であります。これは投資家保護のための行政責任に背反するの最もはなはだしいものではないかと思います。すなわち証券業者は自分の手持株を一銭でも高く売りたい。買う人は一銭でも安く買いたい。少しでも高く売りたい人と少しでも安く買いたい人、これを同一人格でなさしめるというようなことは、少なくとも民法第百八条が禁止しておる双方代理禁止の原則に反しておる。民法の原則に違反をするところ取引行為がこの証券行政の中においては許されておるのですね。私はこの二つの事柄に集約しても、幾つかの兼営業務の中でそれをどういう工合に分離するか、問題点はさまざまあらんが、しかし少なくともこの委託売買業務自己売買業務、これだけは民法によって禁止されておる事柄でありますから、当然証券行政の中においてもその精神を敷衍して、これは分離してしかるべきものと思うが、いかがでありますか。こんな問題は私は明確だと思う。少しでも高く売りたい人のところに、少しでも安く買いたい人が委託する、それを同一人格によってなさしめる、こんなことは許されてはならないことである。そのことをあえて許しておるということは、これは今まで証券業界が生成再建の過程にあって、十分なる権勢者の力を揚顕せしめなければならぬという行政的な必要があった。その功績は認めるが、もはや今日の段階においては、その弊害の面からこれを是正することは当然のことじゃありませんか。いろいろと研究しなければならぬであろうが、こういうような法律の文言の上において明確な問題は明確な面から踏み切って、逐次これを改善していかなければならぬと思いますが、この点いかがですか。
  20. 吉岡英一

    吉岡説明員 お話の今の委託の業務と自己売買業務、つまりディーラーの業務とブローカーの業務を兼ねておることによっていろいろな不都合が生ずるのではないかということであります。もちろん法律論的には省略いたしますが、いろいろな法律論で一応違法ではないということになっておっても、実質的にそういう利害相対立する業務を行なっておることは不当ではないかというお話だと思いますが、いろいろ御指摘のような問題があることは事実だと存じます。ただ現在のように大規模な株式売買が行なわれます場合に、委託売買をいたしますについて、ある程度の手持ちの商品と申しますか、そういうものを持っておる必要があるということは一方にあるわけであります。つまりディーラー業務を全然なしに、ブローカー業務というものが、今の取引所その他を前提にして、十分円滑につながれて株式売買ができるかどうかということが一方にあるわけであります。そういう点もあわせ考えまして、先ほど申し上げましたように、非常に大きな問題でありますので難点はあるが、そこで分離したときに全然欠点はないかというと、これも問題がありまして、両方を十分に検討させていただきたいと思います。
  21. 春日一幸

    春日委員 アメリカはどうしておりますか。
  22. 吉岡英一

    吉岡説明員 アメリカは沿革的にと申しますか、ブローカーとディーラーとが分離しておるのが実情のようであります。アメリカの場合は、御承知のように株式取引数から申しますと、日本に比べてはるかに小さな取引でございます。従って、今のような大量の売買を行なう場合に、取引所にブローカー業務だけをつないでできるかどうかという問題が、日本の場合の取引実情とかなり違う点があるように存じております。
  23. 春日一幸

    春日委員 とにかくアメリカは取引量が少ないといったところで、その取引アマウントその他から考えて、この経済規模は実際問額として日本のそれに比べてはるかに大きいと思う。そこにおいて論理の上からこういうことは許されてはならぬということで、そういう分離が行なわれておるのです。だからやはり日本でも論理というものを尊重しなければならぬ。民法第百八条はその論理に基づいて双方代理禁止の原則を厳重にきめておる。だからこの際私は尋ねてみるが、大蔵当局は、この兼営が認めらておるために往々にして不祥事件が発生し、投資家が損害をこうむった事実はないと断言できますか。断言するならば、私は今までスキャンダルだとか、そういう問題については一つもここで発言をしていないけれども、あなたの方は当然行政当局として投資家の利益を保護しなければならぬ立場において、そういうような事態については当然調査をなさっておるべきものだと思う。兼営が認められておる結果、往々にして不祥事件が起きて、投資家に損害が与えられたような事実はなかったかどうか、この点について、その事実関係をつまびらかにされたいと思います。
  24. 吉岡英一

    吉岡説明員 証券会社にときどき不祥事件が起こっておりますことは遺憾ながらおっしゃる通りでありまして、ただ不祥事件の起こりました原因等を調べてみますと、まあいろいろな場合があるわけであります。小さなところから申しますと、外務員の非常に個人的な不正から始まっていろいろな不正があるわけでありますが、おっしゃるような業務兼営しておるために非常に不祥事件が起こる。今のように自己売買のために穴をあけまして、結果的にブローカー業務にまで支障を及ぼすような事件があったことは事実でありますけれども、それが非常な重大な原因かどうかは、いろいろ場合によって違うように存じております。
  25. 春日一幸

    春日委員 この証券界の仕組みと言いましょうか、これが非常に複雑でかつ高度のものでありまするだけに、要するに委託者たちはなかなかその実態が捕捉しがたい。それだから多くの場合これが泣き寝入りになっていると思います。それからまた、こういうような業務大蔵省によって認められておるから、検察当局においても、こういうような問題を取り扱う場合、なかなかその問題が簡明に結論づけられない点があろうと思います。ただここで明らかなことは、少なくともこういうような特別法というものは、すべて基本法の精神を十分尊重して、それに恪順して制定されなければなりません。国家賠償法というものを調べてみますと、第一条には「国又は公共團髀の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共團體が、これを賠償する責に任ずる。」とかなんとか、いろいろあるのだけれども、この第百八条双方代理の禁止の原則に違反をした証券取引を行なうことによって、安く買えるものを高く売りつけられた、こういうような事態が起きて、そのもの自体が損害を受けたときには、私はここに国家賠償の責任があるとは言いませんけれども、理論としては、そういうやり方を認めていること自体によって、一般投資家大衆にそういう損害が与えられること、そういう状態を政府自体が作っておいた、だから当然国家賠償の責任もこのような論理からいってくれば、私は出てきていいと思う。いずれにしても、少なくとも今天野次官が述べられた通り、幾つかの業務をどのように分離するかということについては、これはなかなか大きな問題で、長い慣習のある問題をいきなり一刀両断に切りがたいとは思うけれども、諸外国がやっていることであり、また他の法律に照らして、明確な問題だけは手がけていってもいいと思う。みんなわからないから、何もやらぬということでこのまま過ぎて行っては、現状になずむことだと思う。私はそういうことがあってはならぬと思う。だから少なくとも、このブローカー業務、ディーラー業務というものは、これは民法で明らかなのです。そして取引上実害が出ておる。また論理上出得る状態のものです。これはすみやかに改善すべきものであると思うが、少なくともディーラーとブローカーだけの業務分離、これはなさなければならぬと思う。この点について政務次官はどう考えますか。
  26. 天野公義

    天野政府委員 先ほど申し上げましたように、なかなか重大な問題でございます。おっしゃる点もよくわかるわけでございますが、いろいろ影響するところ非常に大きいものでございます。よく研究をさせていただきたいと思います。
  27. 春日一幸

    春日委員 私は、影響が大きいからこそ、それをなさなければならぬと思うのです。影響のないようなことをやる必要はありません。われわれはそういうような改善的ないい効果というものを期待して、そしてその分離のことを迫っておる。これは今日突然のことではありません。数年来迫っており、業界の要望もそこにある。学識経験者の問題の指摘もその点にあります。どうか本委員会が何回にもわたって欧米市場をくまなく調査してきて、世界の各先進国においてなされておる事例を十分判断の上、この所論をなしておるのでありますから、一つ積極的に御検討の上、懸案解決に踏み切られますように要望いたしておきます。  それから次は、ちょっと問題を変えまして、四大証券の自己売買高は証券業者全体の自己売買高の七〇%強、今吉岡さんの述べられたところだと率はもっと低くなるようでありまするが、しかし傘下のものを加えれば、はるかに高くなりましょう。従って、四大証券のものは常に多額の株式を手持ちしておると思うが、当局の調査の結果はどうなっておりますか。  それからあわせて四大証券公社債引き受けが、その全体の八〇%を占めておる。かつ公社債投信が当面はなはだしい不振であることに徴しまして、すなわち、大証券公社債手持ちも今や相当多額に達しておると思うが、事実関係はどうなっていますか。
  28. 吉岡英一

    吉岡説明員 大体の数字を申し上げます。  第一の手持ちの株式につきましては、四社系で昨年十二月末で約千百億でございます。  それから三番目だったと思いますが、公社債の手持ちがどの程度あるかというお話でございますが、公社債の手持ちは公債、国債、地方債を合わせまして、四社約十億、それから特殊債、割引金融債、利付金融債、電電債その他を合わせまして八十九億、そのほかに一般の事業債が約百六億、合計約二百億でございます。
  29. 春日一幸

    春日委員 そうしますと、証券が一千億ですか、そして公社債がかれこれ三百億、いずれにしても、この四大証券のこのような株式公社債の多額な手持ちですね。これは今言われたような相当大きな資金というものが特に必要であると思うが、大体この四大証券はそういうような資金調達をどういう形でやっておりますか。
  30. 吉岡英一

    吉岡説明員 今申し上げましたように株式を約千百億、その他の公社債約二百億を持っておるわけでありますが、これに対しまして十二月のコールをとっておる数字が約千億をちょっとこした数字になっております。従って大部分コールでまかなっておるということになります。
  31. 春日一幸

    春日委員 四大証券が一千億になんなんとするコールを引き出しておる。どこからそれをとっておりますか。
  32. 吉岡英一

    吉岡説明員 形式的にはコール市場からとっておることは十分御承知のことと思いますが、お尋ねの趣旨は、おそらく、投資信託で相当のコールを放出しておる、それがひもつきと申しますか、そういう意味証券業者に入っておるのではないかというお尋ねかと思いますが、これは証券会社が常時千億くらいのコールをとっておりますし、片一方投資信託はだんだん規模が大きくなって参りましたにつれまして、その支払い準備的な意味でのコールを放出しておりますから、従って形としては両々相対応しておる格好になっておりますが、御承知のように、形式的には全然別の話でございます。投資信託の方はいつでも引き揚げられるという意味での無条件もので出しておるわけでございます。
  33. 春日一幸

    春日委員 この問題については先般堀君からも質問されておりますけれども、そもそも投信のコール資金は一体何のために設けられておるものであるか、これを一つお伺いをいたしたい。
  34. 吉岡英一

    吉岡説明員 投資信託の資産の中身の運用割合等については、株式投資についてワクというようなものは実はございません。従って各委託会社が運用の判断といたしまして、どの程度はコールに回している、どの程度は社債に回している、主力の株式はどの程度にしておくということを判断いたしておるわけであります。
  35. 春日一幸

    春日委員 ワクはなくてもよろしい。かりに一千億なら一千億、それは使命、用途、性格は一体何であるか。ただ漫然とそういうものを按分的に区分けしてそこに蓄積したものではないでありましょう。何らかの用途にこれを充てるという一つの意図というものがなければならぬ。それは何のためであるか。
  36. 吉岡英一

    吉岡説明員 株式投信につきまして申し上げますと、だんだん規模がふくれてきてはおりますけれども、やはり常時償還なり解約なりというものがあるわけであります。従って現金で支払いをする必要が起こってくるわけであります。そういう意味で起こり得る現金需要に対処するために、結果的な数字でありますが、大体総資産の一割程度のものをコールに運用しておるというのが実情でございます。
  37. 春日一幸

    春日委員 今お述べになった通り、投信自体がやはり投資家保護のために、すなわち投信の適正な運営を確保していくことのための必要上、こういうコールが制度として設けられておる。これが四大証券が自分で株式を多額に保有するあるいは公社債を相当額保有する、保有すればその金がなくなる、金がなくなるからこれをコールから引き出してくる、その引き出してくる補てんが、コール市場からそれを引き出さないで、言うならばひもつきにしかも自分の支配下にあるところの投信からその金を吸い上げておる。それは株式を百パーセント持っており、重役が全面的な同一人格でありますから、その金をこっちに回せと言えば、ツーと言えばカーと言う同一人格でありますから、そうなってくれば、投信の適正なる運営を確保することのために設定されたこのコール資金というものは、自分の親会社の方にくぎづけにされてしまって、投信自体としては適正なる運営を欠くことになりはしないか、この点いかがですか。
  38. 吉岡英一

    吉岡説明員 形式的にはお話しいたしました通り全然別な話でありますが、実質的に投信の放出するコールを証券会社がとっておって、投信としていざ必要という場合に、証券業者自体の金繰り上引き揚げられることができないのではないかという御質問かと思います。実際上いろいろなコールをとるについて株式業者等に影響力があることは事実かと思いますが、投信自体として今無条件で出しておるコールが引き揚げられないでどうこうするというようなことはないものだと考えております。また現にそういうことが起こって何か問題が起こったということはございません。
  39. 春日一幸

    春日委員 その形式分離の問題は後に論ずるといたしましても、そういったところで実際軍役は同一人である、また資本は一〇〇パーセント親会社が保有しておる。それで、そこに遊んでおる金、コール資金というものをここによこせと言ったら、優先的に天引き的にそこへ持っていかれてしまう。ほかに投信の運営のためにこの資金が必要であるから返してくれというたところで、そのときどう判断するかですね。もちろん投信はつぶれてもいいというようなことは親会社は考えられない。困ってしまってやり切れないという死活の問題のときは別でありましょうけれども、そこのところまでも濃縮されていないような場合においては、やはり親会社の便宜というものが優先的にその子会社であるところの投信のコールに影響力を与えていくことは、これは理の当然である。そういう意味でコール市場というものが自由市場であるとするならば、それはやはり何らかの制約を受けて、すなわち行政指導とか監督とかいうものがあって、自分の子会社のコール資金を親会社がそのような形で長期にわたってくぎづけ的に独占していくことは不当なことである、いけないことであるということは、あなたの方から言わなければならぬ問題の筋合いだと思うが、この点どうですか。大体コールの資金というものの性格は、翌日払いであるとか、少なくとも超短期の問題でなければならぬ。コールの性格からいって、こんな長期にまたがってその子会社の金を親会社が二銭四厘の安いレートで独占していくというようなことは不当なことです。これはこの間堀君も指摘しておりましたけれども、こんなことは許されてはならぬことなのです。自分が有利にある立場を利用して相手に不利な取引をしいるの行為なんというものは不公正取引である。独禁法の精神だってこんなことは許していないと思う。コール資金の性格の本質から判断をして、このようなコールのやりとりというものは不公正なやりとりである、正常なやりとりではない。私は形式の問題を論じてはおりません。実質が許されてはならぬ事柄だと思う。このことのために投信の大衆投資家が損害を受ける面が、私は現実に調査すれば少なくはないと思う。そういう取引自体は粛正されなければならぬと思うが、政務次官何か御判断ありませんか。
  40. 天野公義

    天野政府委員 先ほど事務当局から答弁いたしましたように、形としては別でございます。それから二銭四厘というのは自粛レートでございますから、これもある程度守っていただかなければならぬという公的な性格もあるわけでございます。ただひもつきでそれをとるというようなことは好ましくないことであるということは当然でございます。従いまして、形式的には先ほど申し上げた通りでございますが、なるべくそういうことのないようにしなければならないと思います。それからもう一つは、証券業者の内容をもう少し充実させて、そう無理のないような形に指導していくことも大切なことでございまして、そういう点につきましてはいろいろと指導いたしておるようなわけでございます。
  41. 春日一幸

    春日委員 私は問題点が二つ、三つあると思うのだが、大体コールに充てるための金というものは、投信の適正なる運営ということのために確保されていかなければならぬ金なのだ。それからコールというものは翌日払いとか、少なくとも超短期の支払い資金としてこれは出したり入れたりするものなのですね。それを長い期間にまたがって、自分の支配関係にあるところの子会社から、親会社が、しかも一千億という膨大な金を長期にわたって拘束していくということは、一方においては投信の適切なる運営を阻害する、一方においてはそれは不公正な取引である。形式分離にしろ、分離に踏み切るということは、分離しなければならぬから踏み切ったのです。だとすれば、今、天野政務次官も述べられておる通り、これは適当なやり方でないとすれば、不適当なやり方をやっておることについて、あなた方がそれに対して何ら指導を行なわない、勧告をなさらないということはけしからぬじゃないですか。なぜやらないか。このことはいかぬ、適当でないと思うのなら、適当でないことをなぜやらせるのか。すみやかにそれを戻して一般コール市場にこれを開放したらどうですか。
  42. 吉岡英一

    吉岡説明員 お尋ねの点は、投資信託が出しておりますコールと、それから証券会社がとっておりますコールが、ひもつきと申しますか、質的に両方が非常に関係があるという前提のお話でございますが、たびたび申し上げますように、投資信託としては、最も投資信託の受益者の保護をはかるために、いざというときの必要資金となるようにということでコール市場に放出するわけであります。そこで、一方、証券会社がコールをとっておりますが、投資信託がとったコールが証券会社に入っている、そういう性質のものでないことは十分御承知通りであります。だから、投資信託が出しましたコールにはひもはついておらないのでございます。ただわれわれ考えておりますのは、証券業者がこういう約千億の手持ちを持っておるのに対しまして、その大部分と申しますか、その資金をコールという格好で千億の資金を調達しておる、これは必ずしもいいことではないと考えております。常時それだけの運転資金が要るものであれば、おっしゃるようにコールという非常に短い期間の金でやるべきではないのでありまして、あるいは春日先生がしょっちゅうおっしゃる株式担保金融あるいは証券担保金融が十分に円滑にいっていない結果かと思いますが、やはりもう少し、常時要る資金は長い資金で調達すべきであると考えております。ただいろいろな情勢で、そうはいいましても、なかなか急激に参りませんので、われわれとしては常に証券の手持ちをまず減らすことが大事でありますが、次いで、コールという短期の資金で資金調達をいたさないよう指導をいたしておるわけでございます。
  43. 春日一幸

    春日委員 これは行政当局もよく御理解を願いたいのだが、私が言っておるのは、単なる、そういうような末梢的なことでなく、局部的なことを指摘して言っているのではない。そのことだけを解決したところでだめなんです。たとえばそのコール資金を特に証券業者が必要とする根源は何か。すなわち自分の資金が足りないからである。その資金の足らないのは、今言われたような手貸し金融であるとか、金融機関の結びつきとか、そういうような方法等もあるでありましょうけれども、また別の角度から考えるならば、これらの四大証券オールマイティで、しかも現在はブローカー業務、ディーラー業務兼営されていることによって相当の株式を手持ちしていたいというそれがあるのだ。だから、手持ちするためには、今あなたが述べられた通り一千数百億の手持ちをしている、自分で思惑で持っている。そうして買いに来た人にそれを高値で売りつけようという魂胆で、そういうようなことが制度としてなされている。だから、この問題は職能分離という問題とあわせて考えていかなければならぬ。証券金融の問題もあわせて考えていかなければならぬが、いずれにしても関連する事項をすべて総合的に判断して、たとえばそのような膨大な手持ちを証券会社が持っておる、持っておるから金がほしいのだ。金はほしいが金融の道がつかない。だから、コール資金の本質を没却して、長期にまたがって、自分の支配関係にあるところの投信の金を、しかも二銭四厘——自粛レートと言っているけれども、自粛レートというものは何ですか。違反したら何か処罰があるのですか。何にもありはしない。そんなものは有権的なものを言ってみただけのしゃれなんだ。だから、そんなものをしさいありげに言ったところで効果が上がらない。効果の上がる制度を作らなければだめだと言っているのです。だから、私は、コールの問題は——コールの問題一つ取り上げてみても、そのよって来たるところの病根というものはいろいろなところから発しておる。すなわち、多くのオールマイティの権益が容認されておることであるとか、あるいは投信の形式分離というものが何ら行政指導が行なわれないで、そのままほうっておかれておるという問題や、スペキュレーションというものが容認されておって、何ら監督、指導が行なわれておらない、そういういろいろな問題が含まれておる。一つの悪いことがあるとそれが波及して、一つの悪が百の悪、二百の悪を実際問題として生んできている。だから、私は、この問題なんかも十分御判断を願って、コール資金というものの本質に照らして、少なくとも投信とコールが、親会社の下請の関係はいかにあるべきか。あるいは親会社がそういうようなコールを長期にわたって必要とするのであれば、その金融の道をいかに開いてやるべきであるか。あるいはそういうような状態を来たさざるようないわゆる取引市場取引方法というものがあり得るであろう、こういうところを総合的に判断されて、必要なる面についての是正をしてもらいたいということなんです。こういう問題については天野次官もおわかりいただけたと思うが、研究して改善の方向に努力される気がありますか、御答弁が願いたい。
  44. 天野公義

    天野政府委員 おっしゃることもよくわかります。また、証券業界もいろいろな問題につきまして悪いと思われる点もあるわけであります。よく研究をいたしまして、証券業界がよくなるように努力したいと思います。
  45. 春日一幸

    春日委員 ぜひとも一つ努力を願いたいと思います。ちょうど、今度の国会はさして大きな問題もないようだし、いわば平穏な国会でありますから、こういったきめのこまかい経済問題、政策問題を真剣に本委員会が論じて、そうして積年の積悪是正することは非常に意義深いことだと思われます。どうか、そういう意味で次官の精力的な御奮闘を特にお願いいたしたいと思います。  そこで、これもやはり多年の懸案事項でありますが、投信業務の完全分離、これは佐藤さんのときに形式分離ということで、五年後には完全分離に踏み切るということで、ああいう現在の制度ができました。けれども、この形式分離にいたしましても将来は完全分離にするのだ、こういうことで形式分離にしたわけでありますから、すなわち形式的にも分離をしなければならぬ、将来は完全分離にしなければならぬという政策意図、これは十分御認識のあるところであります。だとすれば、その政策意図に基づいて、すでに二カ年間、三年になるかな、とにかく形式分離の形でやってこられたと思うのです。そうすれば、そのターミナルの目標に向かって、過渡的な期間の中においても何らかの行政指導というものがなされなければならぬと思う。たとえば、今一つの事例を言うならば、コール資金の運用の問題もその一つでありましょうし、役員なんかも漸を追って別個の者に切りかえていくとか——五年間はそのままうっちゃっておいて、五年過きたら完全分離をそのときに考えようということでは、過渡的な便法としてこの形式分離を容認した意味をなさぬ。当時公取をここへ呼んで、なぜ五カ年間その過渡的な便法を講ぜしめたのか、これは独禁法の精神にも違反するのではないかといろいろ論じたが、その間において地ならしをして完全分離にして、大きな変動を与えないでその改善をずっと累積していって、と言うのだが、二年間たちました。この間、完全分離を必要とする政策意図に基づいていかなる行政指導改善を行なってきておるか、その実績について御報告を願います。
  46. 吉岡英一

    吉岡説明員 投信と証券業を形式的に分離をいたしまして、五年以内に実質的にも分離をしたいということで進んでいることはお話通りであります。ただ、投信の委託会社につきまして、証券会社を排除いたしました場合に、さて一体、資本的と申しますか、株主をいかなるものにすれば妥当であるか。十分御承知のように、一兆をこす運用資産を持っておる委託会社であります。そこの株主が何ものになるかによりまして非常に大きな影響を及ぼすわけであります。そういう意味で、委託会社の資本構成をどういうふうにするか、その辺非常にむずかしい問題があろうかと思います。昨年であったと思いますが、投信の業界がアメリカなりヨーロッパなりの事情を視察に参りました。大蔵省といたしましても、その辺の外国の事情を調べる意味で人を派遣いたしまして、いろいろ外国の事情等も調べておりますが、外国では必ずしも証券業者と完全に分離してないような実情もあるようであります。その辺をどういうふうに考えますか、われわれとして今後検討していきたいと思っておりますが、遺憾ながら、お話のように、今その案が固まってこういうふうにしておるということまでお答えできない段階にございます。
  47. 春日一幸

    春日委員 それはあなたも御承知だと思うが、本委員会は、昭和三十二年のときにも、世界の証券市場視察のために欧米市場、アメリカのニューヨークからパリからロンドンからずっと見てきておるのですね。そうして、この投信の完全分離の問題は激しく論ぜられて、その必要あるべしということで踏み切った。踏み切るについては、過渡的な便法として、変動を少なからしめるために形式的にやった。その間にいろいろな改善を累積していって、完全分離に踏み切った場合業界に与えるところの衝動を少なからしめる、こういうことで一回やったのですよ。やっておいて、その問題についてはもうすでに結論がついている、討論終結の問題なんです。今あなたの答弁によると、研究するというのですか。これから完全分離とか、形式分離とかいうことを、もう一ぺん白紙に戻すことも含めて研究するというのですか。
  48. 吉岡英一

    吉岡説明員 お尋ねのように、完全分離に踏み切りまして、今後五年間に実質的にも分離をするという方向でいっていることは全然変更ございません。ただ、具体的にどういう格好にすることが完全分離格好として一番適当であるかというような点について、なお、検討を要する点があると申し上げておるわけであります。
  49. 春日一幸

    春日委員 今伺いましたことはわかりました。完全分離に踏み切る方向に向かって研究しておるというのだとすれば——しかもあの当時非常に問題になって、公取の坂根君その他公取の委員長等にも出てもらって激しく論じ合った。こういうことは独禁法違反ではないかとか、その他いろいろな問題を論じました。だとすれば、すでに二カ年間たったのだから、この間においてその終点を目標とした過程的な改善が累積されていく必要があるだろう。なし得ることから完全分離の方向へ向かって、その政策意図に基づいて政策の具現というものがあってしかるべきだと思うのですね。何かあったか、何かやったか、それとも何にもやってないかというのです。手をこまぬいて等閑に付しておるのかどうか、この点はいかがですか。
  50. 吉岡英一

    吉岡説明員 証券業から投信委託会社分離いたしました当時は、何といってもまだ一緒だった当時の気分が抜けませんで、いろいろな問題があったわけでありますが、その後ただいまの資本の問題、株式の問題について、まだはっきり具体案を申し上げるまでには至っておりませんが、その他いろいろな面で実質的に分離を実現するように、たとえば重役の問題等にいたしましても、ときどき交替してまた証券業の人が入るようなことが起こりかねないわけでありますが、そういう場合になるべく実質的に分離の方に持っていく、あるいは投信の証券業者との間の取引について昔の一体的な感じのようなものを是正していき、行政面で実質分離に近づけるような意味指導はいろいろいたしております。
  51. 春日一幸

    春日委員 たとえば四大証券の中で錯綜的な取引をさしていくとか、また、今御指摘になったような人事の面であるとか、資産運用の面であるとか、いろいろな、面で実質的にやっていってもらわなければ——要するに地ならしというものが必要であろうと思う。だから、完全分離の方向に向かって鋭意努力を積み重ねて現実的な成果を表わしていってもらいたい。そうして、本委員会が強く論じて参りました国民の要望にこたえてもらいたい。証券業者のいろいろな行きがかりもありましょうし、そのような受信事業については、変革のもたらす影響の大きいこともよくわかっておりますけれども、さればこそ五年間という時限的な準備期間があるのであります。半ばまさになりなんとしているので、すみやかにそういう方向に向かって改善努力を積み重ねてもらいたい。  次は、社債流通市場の確立について政府の方針をただしたいと思う。公社債投信は、社債流通市場が確立されていないのに、当時十分の配慮なしにスタートいたしまして一年、今では何となく先細りというか、何か行き詰まったような状況が見受けられるのであります。このことは、大蔵省が今までやっておられた証券行政が常に行き当たりばったりで、確固たる定見を持っておらなかった、そうして、業界の要求のみに押されて動いておった、こういうことにこれは基因するのではないかと思われるのであります。現にこの経過を見てみますと、公社債投信は、昨年四月の預金金利や長期金利の引き下げ、その直前の一月これが実施されましたから、当時としては爆発的な人気を呼んだと思うのです。一月は四百六十億、二月は三百四十億、三月は三百二億、四月は二百七億、五月は二百二十億、六月になりましてから激減をいたしまして百八十七億、かくのごとくに萎縮いたし、その後はさらに減少いたしまして、十一月には六十億、こんなところに落ち込んでいるのです。そうして、六月以降は国際収支の逆調、金融の梗塞と相待って解約が続出したのです。そうして、結局三十六年中の設定額が三千四百四十五億、解約が八百八十五億、残存が千五百六十億にとどまった。こういう推移を見て、一体この公社債流通市場を何とかしなければならぬとは考えないか。所見はいかがでありますか。
  52. 吉岡英一

    吉岡説明員 公社債投信についてのいろいろなお話お話しの通りでありまして、最近解約が新規設定額を上回る状況になっております。従って、証券会社にある程度の公社債の手持ちあるいは受益証券の手持ちが生じておりまして、それを何とかしなければならないという問題があることはお話しの通りであります。同時に、株式投信におきましてもかなりの公社債を組み入れております。これはかつて春日委員からも御指摘がありましたように、株式投資は株が高い時代に株ばかり組み入れていることは非常に危険であるので、安全性、防御部面と申しますか、そういう意味公社債の組み入れをしたりいたしました。その結果、千五百億程度の社債株式投信自体が持っております。それが御承知のように昨年の夏以降株式市況が変化いたしました際に、これの流通市場がないと申しますか、流動化の道がないためにいろいろな問題が起こったことは御承知通りであります。そういう意味で、要するに、社債全体といたしますと金融機関の保有しております分が一番多いわけでありますが、金融機関の方につきましては、何とか日本銀行の貸し出しの担保になるというようなことで、ある意味での資金化、流動化ができるわけでありますが、いわゆる金融機関以外の保有しております、たとえば株式投信、公社債投信、あるいは保険会社というようなものの持っております社債は、流動化の道が十分にないということは御指摘通りでありまして、そういう意味社債流通市場と申しますか、流動化と申しますか、資金化と申しますか、そういうことについていろいろな問題があり、これについて大臣からも検討を命ぜられておることは先ほども申し上げた通りであります。
  53. 春日一幸

    春日委員 このような公社債投信の不況でありますが、この不振の影響が反映をいたしまして、起債市場もまたはなはだ不健全な起伏を見せているのであります。すなわち、昨年一月は六百六十五億、二月九百十三億、三月九百二十五億、こういうような空前の起債規模であったものが、その後は火の消えたような文字通り消沈のありさまであります。大蔵当局は起債市場がこのように凸凹の激しい、そうしてまた脆弱なものであってはならぬということは今お答えになったのだが、だとすれば、この起債市場の持つ使命、性格からして、検討しておるということでは私は済まぬと思う。この問題は、私どもが今ここでにわかに論じておるのではないのです。これはずっと前から論じておる。起債市場流通市場というものを確立しなければならぬ。これはやはり産業資金調達の使命をになうものとしては、大使命を持つものだから、すみやかにこの市場の確立をはかれということは三十二年来強く強調しておるのに、なお検討しておる検討しておると言って何にもやっておらない、そうしてその無準備なままに公社債投信を始めて、爆発的であったものがずっと減ってしまった。十一月六十億、本年一月、二月、三月だって大したことはないと思う、大体六十億くらいじゃありませんか。そういう状態で、これは準備もなさないで無定見にただ業界の要望に押されて、それならばそれならばということで、何でもあなた方は手がけていく。たとえば木を植えて育てようと思うと、まず地面を用意する、地面を用意したらそれを耕やさなければならぬ。あなた方は業界がこうしたらいいと言うと、ふっと思いついたらそれをふわっと植えてそのままにしておく。いかに耕やすべきか、いかに肥料を与えるべきかと尋ねると、これについて研究しておると言う。これはあなた方の責任は重いのですよ。産業資金調達の大きな使命をになうところの起債市場の流通が円滑に行なわれるために必要なる機関というものを設置するということは、当然のことではありませんか。わが国の産業界が高度成長の過程において強くこのことを要望しておる、研究しておるというだけでは済まぬと思うが、一体、この点天野さんどう思うか。
  54. 天野公義

    天野政府委員 起債市場を作るということは、産業資金調達の上において非常に重要なことであります。そういう考え方のもとに研究をいたしておるわけでございます。
  55. 春日一幸

    春日委員 くどくは申しませんけれども、これらの問題は何と言ってもわが国経済が高度に発展する過程であるし、それから産業資金が金融に依存しておるというこの変則的なあり方、これを正常化しなければなりませんので、そのためには長期産業資金は社債あるいは株式発行、そうしてその短期運転資金を金融に依存する、こういう画然たる分野の分担、もって金融の正常化をはかり、わが国経済の均衡ある発展をはかっていくことのためにも、今起債市場あるいは公社債市場というものを相当規模において確立することが最も緊急の事柄であると思われますので、どうか一つ積極的な御検討の上、すみやかにこれを実現していただきたいことを強く要望しておきます。  時間が迫って参りましたから、ちょっと断片的に伺いますが、今、証券金融強化のために、たとえば戦前に行なわれたような銀行機能を活用した証券担保による手貸し金融を復活する意思はないかということを本会議でも質問いたしましたし、今もちょっと次長から触れて述べられたと思いますが、これは具体的にどんな検討が進められておりますか、大体その方向をお示し願いたいと思います。
  56. 吉岡英一

    吉岡説明員 証券担保金融の問題あるいは公社債の流動化の問題につきましては、いろいろな考えられる方法があろうかと思います。今お話しの銀行による証券担保金融というのもその中の一つの方法かと存じます。これまた一つ一つについて利害得失がございまして、大へん遺憾でありますが、今どの方向で考えておるというところまで割り切ったという段階に至っておりません。ただ問題は、決してのんびりした問題でないことは十分承知をいたしております。最近の機会に関係方面といろいろ意見を調整いたしまして案を決定いたしたいというふうに考えております。
  57. 春日一幸

    春日委員 大衆投資家の保護ということを強く要請されておるのでありますが、これは当然誇大な宣伝、誇大な広告、これを抑制してもらう。特に株は買えばもうかるのだというような印象をなくして買って損をするときもあるのだぞという印象を、やはりその事実関係を明らかにし、啓蒙してもらうことは、これは政府の任務だろうと思うのです。  そこでもう一つ、これをやったらいいということを申し上げておきたいと思うのだが、取引所は公的使命を打っておるのであるから、その公的使命にかんがみて、毎日の株高、株安の原因取引所の日報でこれを論評するあるいは解説する、それから次には売買の出来高、これを一般大衆が一見してわかるようにこれを明らかにしていく、ということは、株の取引高は一部であって圧倒的多数は売買というものが占めておる実情にかんがみて、取引高だけではなくして、やはり売買の出来高、これを一般大衆がわかるように、そうしてその株価の動向、それらの資料を具体的に、詳細に、取引所をしてこれを大衆にわかるよう発表せしめる、こういうことをやる必要があると思うのですが、あなたの方はそれを指導してやらしめる意思はありませんか。
  58. 吉岡英一

    吉岡説明員 お話のように大衆投資家の保護という観点から、取引実情をなるべく一般にわかりやすく知らせるということはけっこうなことだと考えます。御提案の取引所について、株高あるいは下落の論評をしたりあるいはそのほかのいろいろな具体案については、御趣旨は、われわれといたしましてもけっこうなことだと存じますので、十分に相談をさしていただきたいと思います。
  59. 春日一幸

    春日委員 資本への大衆参加というものが、最近こういう大きなウエートを占めて参りましたのにかんがみて、私はやはり大衆投資家がその実相を知るということ、これは取引折がその公的な機関であることにかんがみて当然の事柄であると思う。なぜ株が高いのですか、なぜ安いのですか、それを解説する。それから取引の出来高はこれだけあるのだが、実際の売買の高はこれだけできておるのだという実態を大衆に知らしめていく、いろいろな資料を提供して、大衆の判断を求めていく、これは私は当然にして必要なことだと思いますが、ぜひとも一つそれを実現に移されるように強く要望いたしておきます。  次に、電電公社が参られておるそうでありますから、電話債について電電公社にお伺いをいたしますが、現在の電話債券の発行残高並びに銘柄別の公社からの引き渡し価格とその現在の相場及びその平均利回りはいかほどか、あるいはその流通状況、これを一つ説明されたい。
  60. 横田信夫

    ○横田説明員 現在の加入者電信電話債券の発行残高は、ただいまは約二千百億、うち利付債は、正確な数字はあとで調べますが約八百億、そのほかが割引債、利率は利付債が七分二厘、割引債は七分一厘六毛、これは御承知のように税はかかっておりません。
  61. 春日一幸

    春日委員 聞いた通りのことを答えなければだめだ。
  62. 横田信夫

    ○横田説明員 今のでお答えになっていると思いますが……。
  63. 春日一幸

    春日委員 平均利回りは。
  64. 横田信夫

    ○横田説明員 平均利回りはただいまの値段が利付債で七十五円、割引債で三十五円六十銭になっておりますので、約一割三分くらいになると思います。
  65. 春日一幸

    春日委員 大蔵省に尋ねますが、現在の社債の平均利回りはいかほどか、金融債の利回りはどのくらいか、なかんづく一流事業債の利回りはどの程度になっておりますか。お答え願います。
  66. 吉岡英一

    吉岡説明員 一流社債の利回りが、正確には後ほど御答弁申し上げますが、大体七分四厘見当だと思います。割引金融債の一年もので六分二厘見当でございます。
  67. 春日一幸

    春日委員 一般社債の平均利回りは。
  68. 吉岡英一

    吉岡説明員 七分四厘から七分五、六厘までの幅だと思います。
  69. 春日一幸

    春日委員 この利回りから判断されます通り、事業債ですら七分四厘かれこれですね。ところが公共事業体、半ば政府機関である電電債が一割五分の利回り、これはおそるべき暴落であります。少なくとも電電公社のような信用度の高い公共事業体が発行した電話債券がこのように相場が暴落した原因はどこにあるか。公社はこれを何と理解しておるか。お答えを願います。
  70. 横田信夫

    ○横田説明員 この社債の問題につきましては、結局需要供給のバランスの問題がこの値段に影響するわけであります。ただいま先生御指摘のように、利回りとしては非常に有利でありますが、これについての売買の調整というものが理想的にいっていないというところに一番の原因があるかと思います。この問題は、いろいろな面からわれわれとしても努力しなければならない問題で、今までも月賦金融制度の拡充とか、債券の併合とか、あるいは証券業者の方へいろいろお願いするとか、債券の取引所への上場とか、こういうことはできて参ったわけでありますが、なおこれでも不十分でありまして、ただいま債券の保護預かりについては、来年度じゅうに何とかこれを実現したいと思っております。そのほかいろいろな方策が今後講ぜられて、その流通市場が円滑にいくように、いろいろな方法が講ぜられることが必要だろうと考えております。
  71. 春日一幸

    春日委員 私は、電電債については、あの拡充法が一昨々年でありましたか制定されたときに、附帯決議がされておったと思う。それは電電債券の価格の安定、債券引受人の利益の擁護、電電公社はこれのために必要な措置をとるべき旨の附帯決議がされておったと思うが、事実関係はどうでありますか。これは私は委員でないからわからぬが、どういう決議がなされておりますか。
  72. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいま先生御指摘のありましたように、この債券価格の維持安定について格段の努力をするようにという附帯決議がついておったわけであります。
  73. 春日一幸

    春日委員 私は、そのような附帯決議は、少なくとも国会が国権の最高機関であることにかんがみて、これは単なる電電公社だけに義務づけるべきものでなく、大蔵省を含めて国全体として、すなわち、電電公社債の価格の維持、引受人の利益の擁護に必要な措置をとらなければならぬと思うが、少なくとも今日このような事業債よりも——利回りが一割五分に当たるような大暴落をしているのは、必要な措置をとっていないからではないか。価格の安定と、それから引受人の利益を擁護することのためには、かくあるべしということを今副総裁が述べられた。すなわち、流通性を拡充していくとか、その他必要なことをするとか、なぜそれをやらぬか、やらなかった理由を述べられたい。
  74. 横田信夫

    ○横田説明員 先ほど申し上げましたように、月賦金融制度の施行とか、債券の併合、証券業者にいろいろ力を入れてもらうようにお願いする、証券取引所への上場等は実現できたわけですが、債券の保護預かり等はこれからやりたいと思っております。なおこれでは不十分でありまして、たとえば日銀担保適格債に指定願う、あるいは公示催告制度についての法律改正してもらう、こういうようなことにつきましても関係方面にお願いしているわけでありますが、まだそれが実現に至らない、こういうようなことであります。
  75. 春日一幸

    春日委員 今、二千何百億と言われましたけれども、私は、大法人はすでに電話というものが相当充足していると思う。来年度の予算書を見ると六百五十億の発行予定である。三十八年度は一千億、ずっと続くようであります。間もなく一兆円になんなんとする国民の財産、一兆円になんなんとするその膨大な電電債に対する対策、あれもやってみたい、これもやってみたいと思っているけれども、というようなことでは、私は怠慢のそしりを免れがたいと思う。附帯決議が出たら、そのようなことを予見してなぜ直ちにそのととをやりませんか。そのなさねばならぬということを、二年たった今日まで少なくとも価格が大暴落するまで等閑に付しておくということがありますか。国会の決議を何と心得ているか。御答弁願いたい。
  76. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいま先生からおしかりを受けましたように、まさにその点についてはわれわれの力が足らぬところでありまして、従来われわれのでき得ることにつきましては努力して参ったつもりであります。また買い入れ償却等につきましても、予算上認められた点につきましては、できるだけやって参ったわけでありますが、何せこういういろいろな大きな問題につきまして、私どもの力だけでは足りないところが多々あるわけでありまして、今後よろしく御協力願いたいと思います。
  77. 春日一幸

    春日委員 そこで問題は大蔵省にあると思う。国会の決議というものは電電公社だけを対象として決議されたものではありません。当然国、行政機関全体を対象としている。従って、大蔵省はこのような国会の附帯決議にこたえて、当然電電公社債について、行政を通じてその趣旨の顕現のために必要な措置はとられなければならぬ。今まで何を協力してきましたか。国会の決議は政府全体を対象としているから、少なくとも公社債の流通、その行政は大蔵省の所管にある、従って、その価格の維持と引受人の利益擁護のために、政府は必要な措置をとれと言っている。だとすれば、必要な措置を公社に対してとり協力するの義務がある。何かやったか、何もやらなかったか、あるいはやりたいといってもそれを抑えたか、事実関係を明らかにしてもらいたい。
  78. 吉岡英一

    吉岡説明員 お尋ねの点につきましては、御承知のように電電公社の債券は、従来店頭市場で気配相場の交換をやっておったわけでありますが、昨年の秋、市場第二部が発足いたすにあたりまして、多少そこにごたごたが起こりまして、第二部の発足とともに上場ができなかった事態があったことは御承知通りであります。本委員会でも論議がありまして、取引所に上場するようにいたして今日に至っておるわけであります。私、理財局でございますので、理財局といたしましては、そういう意味流通市場をはっきりする、公正な取引をさせるという意味で御協力を申し上げておるわけであります。あと本体のお尋ねの価格の問題その他につきましては、あるいは主計局の問題かとも思いますが、どうも私どものあれでないもので御答弁できかねます。
  79. 春日一幸

    春日委員 巷間にこういうことが言われておる。電話債はこれは本人が持っておるべきものだ。そいつを売るというようなことは、値段が安くても当然自業自得だ、むしろ値段は暴落した方がいい、暴落したら、そいつを電電公社が買いたたいて買って、それで償却すればそれだけ得じゃないか。こういうような意見が——意見といってはなんだろうが、底流が公社と政府、主として大蔵省の間にあって、故意に値段を暴落せしめて安くしておいて買って償還に充てて、そうして楽をしようというような悪い魂胆ではないか。こういうようなことが巷間言われておる。事実このように暴落をしてきても、公社もそれに対して必要な措置をとらない。大蔵省はあの気配取引のときだって、また第二市場に上場するときだって、これをいじめたんだ、第二市場に上場しなかった。予算委員会において何だといって質問して、それが研究中だ、いつやるんだ、一週間くらいでやるということでこれは上場された経緯にかんがみても、打たねばならぬ手を打ってはいない。ということは、このような事実にかんがみて、まあ火のないところに煙は立たぬというけれども、そういうような、あの法律が通ったらそれであとの附帯決議、すなわち加入者の利益の擁護とか、価格の維持とかいうような問題は、今のところ全然何もやらない、やろうと思っておると言ったところで、そんなのは一つの、女学生が物思いにふけっておる程度だ。何も国会の決議にこたえたわけでも、努力したわけでもない。けしからぬではないか。天野政務次官、次官会議なんかで問題にすべきではないか。これは今は二千数百億であるというが、本年度は六百五十億、来年、再来年一千億、一兆円に間もなくなるのです。一兆円という国民の財産がえらい暴落している、しかも発行者が電電公社だ、一般事業債の倍の利回りになるというこの状態を、ほかっておるということがありますか。そういう事柄として大蔵省はみずから乗り出して公社に協力し、そうして電話債の流通を確保することのために、円滑なる流通をはかることのために、必要とあるならばその価格調整機関であるとか何らかのそういう機関設置して価格維持に努むべきではないか。なぜそれをやらない。何もやらぬということは変じゃないですか。そういうようなうわさが流れておることを裏書きするといってもそれは言い過ぎではないと思う。それらの引受人が電話が引きたい、ところがその債券を買わなければならぬから引き受ける。しかもその債券については国会が保証しておってくれる。価格の安定、引受者の利益というものは保護されておる性質のものである。かくのごとき信頼感の上に立って電話加入者たちはその電話債券を引き受けておる。国会はそういう工合に附帯決議を付してその責任をあなた方に負わしておる。あなた方はそのことをなさない。この額は——今や国民の財産は一兆円にもなんなんとしておる。現在でも二千数百億、膨大なものですよ。こんなことでほかっておいていいと思いますか、政務次官
  80. 天野公義

    天野政府委員 なかなかむずかしい問題でございまして、先ほど事務当局から申し上げましたように第二市場取引するようになりまして、一応公正なる取引ということになっておるわけでございます。ただ私の個人的な感じでございますけれども、ほんとうに電話を引きたい人は債券を買う金なんかどうでもいいのだというような考え方で、すぐ幾らでもいいからといって放出するというところにも、電話債券が安い原因もあるのではないかというような感じもいたすわけであります。価格の問題につきましては、今後よく研究をいたします。先ほどは私の個人的な感じを申し上げたのであります。
  81. 春日一幸

    春日委員 公社にお伺いをしますが、現在の公社法で判断をしてみると、あなた方が電電債について価格調整のための必要なる措置をやろうとしても、なかなか法律の制約があってできないのではないかと思う。できる限界とできない限界があると思う。私は三百億や五百億ならばこれは何らかの理解ができると思うけれども、二千数百億になり、やがて数千億になろうとするときには、この責任はあなた方、事実上重いですよ。だとすれば、公社法においてあなた方がなし得ないとするならば、時と場合によっては公社法を改正せなければならぬ。やってその責任を果たさなければならない。でなければあなた方はこの附帯決議にこたえることはできない。できるようにしてやらなければならぬと思うのです。私は少なくともその価格の維持をはかるためには何らかの形で債券の売買あっせん、それから発行者の立場として債券の市場価格による投資利回りの有利性についてこれを宣伝してもいいと思う。事業債をお買いになれば七分四厘だから、電話債を今お買いになっておけばこれは一割五分に当たるのだというような大宣伝をする。そうして一般投資家に積極的に購入するようにこれを勧奨することによって、その価格安定維持のために相当の効果的な働きかけができると思う。そういうことはやりたいと思いませんか。
  82. 横田信夫

    ○横田説明員 先ほど先生から御指摘がありましたが、電電公社の方では値が下がったのを買いたたいて、それで安く償却しようと思う気持は毛頭ないことをここで断言申し上げます。  それからただいま御指摘のような、今後電信電話債券がだんだん大きくなるのでありますから、この価格安定についてなお一そういろいろな方法を講じなければならぬということにつきましては御指摘通りでありまして、私もそう考えております。現在の公社法の幅の中でできることは、電信電話公社といたしまして予算で買い上げ、償却を認められた幅で買い上げ償却をするというような程度でありますので、これはごくわずかのもので、ただいま先生の御指摘のようにこれから大きくなっていく電信電話債券の価格維持にはとうてい不十分であります。その意味におきまして先生の御指摘のような方法はわれわれとして必要だと思います。望ましいと思います。こういう点につきましては、ただいまも政府の方で御研究願っておるはずであります。
  83. 春日一幸

    春日委員 今のその債務償還費というものはたしか予算では二十億——どのくらい計上されておりますか、ちょっとお伺いします。
  84. 横田信夫

    ○横田説明員 本年度二十億であります。
  85. 春日一幸

    春日委員 少なくともその膨大な発行額を対象としてそのような微細なもので、しかもそれはなかなか運営がうまくいかないのでございましょう。そういう金の運営の仕方についても公社法の中できびしい制約があって、なかなかそういうことはできない。今、御指摘申し上げたような問題について、あなたはやりたいとおっしゃるが、制度の問題としてやれないとするならば、当然これは政府全体としてそういうことがなし得るように少なくともその減債基金の積み立て、それから価格調整機関設置、これは少なくとも電話債を対象として、その発行高の膨大さにかんがみて、私はこの二つのことは同時並行的になされなければならぬと思う。これについて公社の見解はいかがでありますか。
  86. 横田信夫

    ○横田説明員 私は先生と同意見でありますが、その点につきましては法律改正されなければできないわけでございまして、なお政府の中で御検討を願っておるはずであります。
  87. 春日一幸

    春日委員 これは現実の問題として、今零細な中小企業者を中心として大衆が政府国会を信頼してその電話債を引き受けておる事態にかんがみまして、価格の維持をはかるということは、私は行政府の責任だと思うのです。だから今電電公社がそういうことをやるにあらざれば価格の維持は期しがたい。引受者の利益というものは保護することが困難であるといっておる。従って大蔵省は、こういう問題について、証券行政全体の立場として、あるいはまた電電公社の予算編成の中において、当然これは容認していかなければならない問題だと思うが、天野政務次官大蔵当局を代表して、これについて見解を述べられたい。
  88. 天野公義

    天野政府委員 電電債は先ほどちょっと私見で申し上げたわけでございますが、債券を買いたいから買うのではなくて、電話を引きたいから仕方なしに買うというところで、価格の問題で普通の債券の問題とちょっと性格が違うところがあるのじゃないかと感ぜられるわけでございます。(春日委員国会の決議なんだ」と呼ぶ)しかしながら国会の決議もございますし、また価格の維持ということは重要な問題でございますので、今後よく研究をいたしまして努力をいたしたいと思っております。
  89. 春日一幸

    春日委員 それでは電話債券の問題は以上でございますから、今申し上げましたような附帯決議というものは動かしがたいものです。引受人は附帯決議を信頼しておる。そのことにもかんがみまして、一つ価格を維持するということ、少なくとも電電公社が発行したところの電話債というものが一般商事会社が発行したところの事業債に比べて倍も利回りがあるというような状態、しかもその証券取引所の電電債の取引高なんというものは私はおかしいと思う。これは一つ事務当局に伺っておきたいのだが、昔、第二市場に上場される前の気配取引、あのときに月額四、五十億あったと思うのです。今は、第二市場に上場されております取引高はどのくらいありますか。
  90. 吉岡英一

    吉岡説明員 数字を申し上げます。市場第二部ができまして以来、電電債を上場しました後の一日の平均売買高は、十月が二千百万円、十一月が三千八百万円、十二月が四千二百万円、一月が三千三百万円となっております。そのほかに電電債券はこの市場でできました値段を基準といたしまして市場外の店頭でも売買をいたしております。その店頭売買の数字ははっきりいたしておりません。
  91. 春日一幸

    春日委員 だからその前はどのくらいありましたか。去年の十月ですか……。
  92. 吉岡英一

    吉岡説明員 ちょっと今数字を持っておりませんので……。
  93. 春日一幸

    春日委員 電電公社はわかりませんか。
  94. 横田信夫

    ○横田説明員 はっきり覚えておりませんが、たしか三十数億円あったと思います。
  95. 春日一幸

    春日委員 このところにも問題があると思うのです。少なくとも前は大体四十億程度のものがありました。それが今度は第二市場に上場されて店頭取引をされる額は今言われた十分の一ですね、四億か五億、そうして大部分のものが店頭売買されている。しかもその上場されるのは代表銘柄だけである。個々の銘柄は上場されない。だから、個々の銘柄については値段がわからない。わからないところにつけ込んで店頭売買で買いたたかれるという大衆がはなはだ不利益を受けておるのです。だから、こういうような点を是正することのためにも、やはり取引所が基準価格を発表して、上場されたものはこれだから、これから推算するとこれはこういうふうになるのだというふうなものを発表すれば、私はその店頭売買において引受者の利益というものはそこでなお保護される面があると思うのです。代表銘柄だけが上場されて値つけされている。ほかのものは値つけされていないからやみ相場だ。だから、しろうと衆はそこで買いたたかれて勢い不利をしいられる形にもなっておる。また現実に取引高というものが片一方において四、五億。ただ形式的に取引されるだけで、四、五億の取引をしておるが、大部分のものは店頭で四大証券が自我独尊の形で取引をする。そこで買いたたきというような形が現われてきて、公正なる取引がなされていない。なし得ないという実情がそこにもある。私はこの問題についても大いに検討されて改善してもらいたい。これは電話債自体がほんとうにやむにやまれず、泣く泣く引き受けたところのものであることにかんがみて、私は少なくともこれは電電公社の名誉のために、少なくとも国会の権威を確保することのためにも、その暴落を食いとめる、価格の安定をはかることのために、一方において減債基金を積む、あるいは価格調整機関を作る。同時に取引仕法の中においてもこれは十分一つ研究をされて、そうしてその多くの大衆引き受けをされた諸君の利益が保護されるようにお願いしたいと思うのです。  次はコール市場の問題についてお伺いをしたい。——あとはコール市場をめぐる諸問題について質問いたしたいと準備いたしておりましたが、政府側の出席がないようてありますから次会に譲りまして、私の質問は以上で終わります。      ————◇—————
  96. 小川平二

    小川委員長 物品税法案関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  政府より提案理由の説明を聴取いたします。天野大蔵政務次官。     —————————————
  97. 天野公義

    天野政府委員 ただいま議題となりました物品税法案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  政府は、昭和三十七年度における税制改正の一環として、さきに提案いたしました通行税法の一部を改正する法律案等に引き続き、この法律案提出いたす次第であります。  以下この法律案について、その概要を申し上げます。  この法律案は、最近における物品税負担の状況等に顧み、その軽減合理化をはかるとともに、税体系の整備合理化を行なうため、物品税法の全文を改正しようとするものであります。  第一に、税負担の軽減合理化について申し上げます。まず、現行課税物品は七十品目に上っておりますが、これらの課税物品のうちには、最近における消費の態様や企業規模の零細性等から見て、課税することが必ずしも適当でないと認められるものもありますので、この際、紙・セロファン等十六の品目について課税を廃止することとしております。  なお、飾り物及び玩具につきましては、製造者の規模がきわめて零細で、税務執行上の難点もありますので、課税最低限を大幅に引き上げた上、これを製造場課税から小売課税に移行することとしております。  次に、税率につきましては、現在製造従価課税の税率が三%から五〇%までの八段階にわたっておりますが、これを二〇%を基本税率とし、その上下に四〇%及び三〇%の加重税率と一〇%及び五%の軽減税率を設けて、税率構造の整備をはかることとし、これに伴い、最近における消費の態様等に応じて、電気冷蔵庫等二十一品目について、それぞれ軽減を行なうこととしております。  なお、以上のほか、政令におきまして課税最低限の制度を設けておりますが、これにつきましても、最近における消費水準の向上や企業の零細性等を十分考慮いたしまして、引き上げを行なうことを予定いたしております。  第二に、このような税負担の軽減合理化に伴いまして、同種の課税物品に比べて物品税を課さないことが著しく不均衡になると認められるパッケージ型のルーム・クーラー、カー・クーラー等若干の物品につきましては、これを新たに課税対象に取り入れることとしております。なおこの点につきましては、関係業界に及ぼす影響等を考慮いたしまして、その適用の時期等につき所要の配慮をいたしております。  第三に、課税体系の整備につきましては、納税方法を申告納税制度に改める等のほか、課税済物品を輸出したような場合には新たに物品税を輸出業者に還付することができる道を開くとともに、現行の物品税法にはかなりの不備も見受けられますので、物品税法の全文を書き改め、税法の簡易平明化をはかることとしております。  なお、この改正案は本年四月一日から施行することとしておりますが、以上申し述べました軽減措置による減収額は、昭和三十七年度において約百七十二億円、平年度において二百二億円を見込んでおります。  以上、物品税法案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。  次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  現行関税率表は、昨年全面改正されたものでありますが、その後、貿易自由化の繰り上げに伴い、主として自由化の繰り上げが予定された品目を中心として、関税率について所要の調整を行なう必要が生じたのであります。このため、政府は、昨年十月に関税率審議会諮問し、同年十二月十四日、その答申を得ましたので、これに基づきまして、関税定率法及び関税暫定措置法につき、改正を行なうことといたした次第であります。  関税率の改正を行なった品目は、関税定率法及び関税暫定措置法を通じ、百三十八品目でありまして、その内訳は、税率を引き上げる品目六十九、引き下げる品目三十二、従価税率から従量税率に切りかえる品目二、税率を実質的に引き上げて従量税率に切りかえる品目十、従量従価の選択方式による品目九、従量従価の併課方式による品目一、関税割当制度を採用する品目十四及び季節関税による品目一となっております。  関税率の調整にあたりましては、単に自由化の衝撃から国内産業を保護するのみでなく、需要産業、一般消費者等に及ぼす影響をも十分に考慮し、広くわが国経済強化という観点から検討を加えたのであります。  また、自由化の国内産業に及ぼす影響について必ずしも見通しが容易でない場合及び国内産業の合理化予定を自由化の繰り上げに応じて早めることが困難な場合等につきましては、関税暫定措置法において、所要の期間を限り、暫定税率を定めることといたしますとともに、基本税率の引き上げを行なった品目中二十一品目については、自由化の実施までの間、需要者の立場をも考慮し、従前の税率を据え置く措置を講じております。  このほか、本年三月三十一日で適用期限の到来する重要機械類、給食用脱脂粉乳、農林漁業用の重油、肥料製造用原油及びガス製造用原油の暫定免税並びに関税暫定措置法の品目の暫定税率中、国民経済上、継続の必要があると認められるものの適用期限を、それぞれ一年間延長することといたしております。  製油用原油につきましては、現在、関税暫定措置法により、一キロリットル当たり三百二十円の暫定軽減税率が適用されておりますが、石油と競合するエネルギー源としての石炭産業に対する諸施策が緊急を要することにかんがみ、この際、軽減税率を廃止し、一キロリットル当たり五百三十円の基本税率に復することとし、これにより石油と石炭の価格差を縮小し、もって石炭産業の安定に資することといたしました。ただし、石炭の長期引取契約を行なう電力、製鉄等については、この税率の引き上げにより過重な負担をこうむることとなる面もありますので、これらの業者が消費する重油については、今回の引き上げによる負担増分に見合う金額を還付することとしたのであります。  また、わが国において最近著しい発展を遂げつつある石油化学工業については、その原料について諸外国ともおおむね減免税を行なっており、石炭との競合の懸念もありませんので、輸入原油から精製した揮発油及びガスで石油化学製品の原料となるものにかかる原油の関税を全額還付することといたしました。  このほか、関税定率法及び関税暫定措置法の別表の品名の表現等につき、所要の規定の整備を行なうことといたしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。  最後に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びにその概要を御説明申し上げます。  近年、世界主要国の通貨がほとんど交換性を回復するに至りました結果、短期資本の国際的移動は大幅に自由になって参りました。これがため、これら主要国は、短期資本の流出により国際収支の安定を脅かされるという問題に当面しております。かかる現状にかんがみ、国際通貨制度の維持を目的とする国際通貨基金の資金的基礎を充実し、その機能を一そう強化する必要性が痛感されるに至り、このための具体的方法として、国際通貨基金協定第七条第二項(1)に規定する資金補充のための借り入れに関する一般的取りきめが、本年一月五日の国際通貨基金理事会で決議されたのであります。  この取りきめは、わが国を含む主要工業国十カ国が、国際通貨制度の安定を維持するため国際通貨基金の資金補充が必要と考えられる場合には、直ちに一定金額を限度として各国の自国通貨を国際通貨基金に貸し付けることを約束するということを骨子とし、その貸付の諸条件を定めたものであり、貸付限度額の総額は、六十億ドル相当額となっております。  わが国といたしましても、主要工業国十カ国の一つとして、九百億円を限度として、この取りきめに参加することが期待されているのでありますが、この期待にこたえまして取りきめに参加することの意義はまことに大なるものがあると申さねばなりません。すなわち、欧米の主要工業国と並んでこの取りきめに参加いたしますことが、国際経済社会におけるわが国の地位を一そう高め、これら諸国との関係をより密接なものとすることに資するのみならず、この取りきめにより国際通貨制度の安定が維持され、特に取りきめに基づく補足資金は参加国だけが利用できるとされていることは、わが国にとっても利益があると考えられるのであります。また、この取りきめの運用にあたっては、参加国の国際収支事情は十分考慮されることとなっておりますので、この取りきめに参加してもわが国の外貨準備に過重な負担が加わるおそれはないのであります。  このような諸般の見地から、わが国としてもこれに参加することが望ましいと考え、そのための国内措置として本法案を提出いたした次第であります。  本法案におきましては、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律に、大蔵大臣国際通貨基金に対して国際通貨基金協定第七条第二項(1)に規定する貸付を行なうことができる旨の規定を設けますとともに、外国為替資金特別会計法に、外国為替資金に属する円資金をこの貸付に充てることができる旨の規定を設けることとし、その他これに伴って必要な規定の整備をすることとしているのであります。  以上、物品税法案外二法律案につきまして、提案の理由並びにその概要を申し上げました。  何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。
  98. 小川平二

    小川委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  次会は明二十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会