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谷川政府委員 今回
専売制度を
廃止するにあたりまして、
法律案の中に交付金の規定がございますが、これは
専売法を
廃止することによって直接損害を受ける方々に対しまして、将来の
しよう脳の
生産のことを
考えまして、政策的に支出をしようとする
意味の交付金でございます。元来
専売制度を
廃止した場合におきましては、
専売制度のもとにおいて
生産事業を続けてこられた方々に
法律上当然に何らかの補償をすることの必要はないわけであります。と申しますのは、
専売制度のもとにおいて保護され、いろいろな恩典を受けて参ったのが、
専売法を
廃止する場合におきまして、事業の
経営が自由になるということがありまして、新たに義務を課すとかあるいは権利を剥奪するというようなことではないわけでございますので、
専売法を
廃止したからといって、
法律上当然に補償
措置を講ずるという必要はないわけでございますが、現在の
しよう脳の
生産者の実情から、あるいは日本における
しよう脳事業というのが、将来とも年三千トン
程度は必要であろうという
見通しもございますので、それに対する
生産対策という
意味からいたしまして、政策的に交付金を交付する。もちろん
しよう脳専売法が
廃止になりますと、引き続き
生産を継続する方もございましょうが、またこの際やめたいという方もございましょう。その場合には、それらの方々の持っておりまする
設備は、
しよう脳生産以外には通常転用できないような
設備でございますので、そういう
設備の損失を補てんする、あるいは従業員がやめる場合の退職
手当の引当金という
意味において特別な支出が要る。また
生産を継続する方々は、自由競争に入るわけでございますので、今後は相互の間に競争が起こり、コストの引き下げをしなければいけない。
合理化をする必要が起こる。これは
しよう脳専売法が
廃止されたことを直接原因としてそういう資金の支出が必要になるわけでございますので、そういう
意味におきまして、政策的に交付金を交付しようということでございます。たとえば
専売制度のもとにおいて従来やめた方々は終戦直後からも
相当おられるわけでございまして、三十五
年度末において百二十名の方がやめられましたけれ
ども、それ以前の年におきましても、たとえば
昭和二十九年には百四十一名、三十年には八十四名、三十一年以降におきましても五十名以上の方々がやめております。これは現在の
専売法のもとにおきましては、一ぺんやめましても翌年また割当の申請を行なうことができるわけでございまして、やめたつどかりにいろいろなお金を出すといたしましても、その翌
年度また割当の申請が
法律上当然できるわけでございます。そしてまたやめる。これは廃業したからといって何も損失を与えたことにならないわけでございますので、
専売制度のもとにおきましては、廃業に伴って何も交付金を出す必要はない、こういうふうに
考えております。