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1961-12-19 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十六年十二月九)(土曜 日)(午前零時現在)におけるは、次の通りであ る。    委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 辻原 弘市君    理事 平岡忠次郎君 理事 横山 利秋君       足立 篤郎君    伊藤 五郎君       宇都宮徳馬君    大久保武雄君       岡田 修一君    金子 一平君       久保田藤麿君    藏内 修治君       篠田 弘作君    正示啓次郎君       田澤 吉郎君    高見 三郎君       竹下  登君    舘林三喜男君       津雲 國利君    永田 亮一君       濱田 幸雄君    藤井 勝志君       古川 丈吉君    坊  秀男君       吉田 重延君    有馬 輝武君       石村 英雄君    佐藤觀次郎君       田原 春次君    広瀬 秀吉君       藤原豊次郎君    堀  昌雄君       武藤 山治君    安井 吉典君       春日 一幸君 ————————————————————— 昭和三十六年十二月十九日(火曜日)     午前十時十三分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 細田 義安君    理事 毛利 松平君 理事 平岡忠次郎君    理事 横山 利秋君       足立 篤郎君    岡田 修一君       久保田藤麿君    田澤 吉郎君       藤井 勝志君    坊  秀男君       吉田 重延君    有馬 輝武君       久保田鶴松君    佐藤觀次郎君       田原 春次君    芳賀  貢君       広瀬 秀吉君    武藤 山治君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      谷川  宏君         日本専売公社副         総裁      石田 吉男君         日本専売公社理         事         (生産部長)  坂口  精君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 十二月十六日  委員石村英雄君、辻原弘市君及び安井吉典君辞  任につき、その補欠として岡良一君、芳賀貢君  及び久保田鶴松君が議長指名委員に選任さ  れた。 同月十九日  委員田澤吉郎君及び藤井勝志辞任につき、そ  の補欠として岸本義廣君及び一萬田尚登君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員岸本義廣君及び一萬田尚登辞任につき、  その補欠として田澤吉郎君及び藤井勝志君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 十二月九日  昭和三十六年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案石田宥全君外十四名提出、  第三十九回国会衆法第一二号)本委員会に付託  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  専売事業に関する件      ————◇—————
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本会期中、国政に関する調査を行なうため、議長に対し、国の会計に関する事項税制に関する事項金融に関する事項証券取引に関する事項外国為替に関する事項国有財産に関する事項専売事業に関する事項印刷事業に関する事項及び造幣事業に関する事項の各事項について国政調査承認要求を行なうこととし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小川平二

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議長に対し手続をとりますから、そのまま暫時お待ち下さい。      ————◇—————
  4. 小川平二

    小川委員長 去る十一月、本委員会におきましては、各地に委員を派遣し、税制及び金融等実情調査いたしたのでありますが、その報告書が各派遣委員より提出されております。これを本日の会議録参考として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小川平二

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。      ————◇—————
  6. 小川平二

    小川委員長 専売事業に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。広瀬秀吉君。
  7. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 きょうはたばこ耕作審議会の会長をなさっておる川野先生も一緒にお呼びして、参考人としていろいろ御意見を伺いたかったのですが、またその御意見が非常に重要なものであると考えておったわけでありますが、都合が悪くて来られないようですので、私の方の質問予定も変更いたしまして、やむなく公社の副総裁にお伺いをしたいと思うわけであります。  まず第一に、公社葉たばこ増反体制を現在とっているわけでありますが、五カ年計画と称しまして、大体昭和四十年までにどういう具体的な増反計画あるいは増産計画というものをお持ちなのか、これをまず明らかにしてもらいたいと思うわけであります。
  8. 坂口精

    坂口説明員 大体ただいま考えております増産計画は、昭和四十年までに各種類の合計におきまして八万ヘクタールのたばこ耕作を実施いたしたい、これは製造たばこ消費からこういった計算をしておるのでありまして、現在製造たばこ消費は、本年あたりは大体数量において八%程度伸びておりますけれども長期的に考えます場合に、いろいろな方向から検討しまして、大体年率六%程度伸びがあるのではないかということを計算いたしているわけでございまして、この製品を製造いたして参りますために必要な葉たばこの主席を考えますときに、大体ただいまから年々五千ないし六千ヘクタールずつ増反いたしまして、昭和四十年に大体八方ヘクタール程度、こういう計画を立てております。
  9. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 現在の傾向というのは、公社増反計画にもかかわらず、昭和二十九年から今日までの傾向を見ましても、耕作人員において二十九年に四十三万二千二百人を数えたわけでありますが、これがおそらく三十五年では三十二万七千八百人と減少いたしております。さらにおそらく三十六年度はこれよりも約一万人ぐらい減っているのじゃないかと思います。これは私の推定でありますが、現在それがどのくらいになっているかをお伺いしたいわけであります。  それからもう一つは、耕作面掛の方も昭和二十九年に六万九千四百二十ヘクタール、三十五年ではもう五万八千九百七十三ヘクタール、さらにこれが昭和三十六年度では五万六千九百ヘクタール程度にずっと減反をいたしてきておるわけであります。これは一体公社としてはこのような減反傾向というものが何に起因するものであるか、このことを一つ明確に公社の分析をお聞きいたしたいと思うわけであります。
  10. 坂口精

    坂口説明員 耕作人員は御説の通り非常に大幅に減って参っております。三十五年の三十二万七千百九人、三十六年が二十九万三千五百三十人、こういうことに減って参っておりますが、この内容を申し上げますと、一人当たり耕作面積が非常に増加しております。これは主として労働関係でございますが、労働事情の比較的悪い耕作者で小反別耕作者の方からたばこをやめていく人が多い、こういう結果一人当たり面積は相当大幅にふえているわけであります。  なお反別がこういうふうに減って参ったのはどういうわけか、こういう御質問でございますが、実は昭和三十五年までは減反をして参ったわけでございます。これは主として技術向上によります単位面積当たりの飛躍的な増加消費伸びの鈍化と申しますか、これらから相当過剰在庫を持ちまして三十二年後四年間減反をして参ったのでございますが、その計画的な減反の上、ごく最近に至りまして非常に農村労働事情が悪化して参りまして、比較的労力多投を必要といたします葉たばこ耕作が困難になってきたという耕作者が出て参りまして、私ども計画いたしました減反以上に面積が減って参った、こういう事情にあるわけでございます。
  11. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それは答えにならないのでありまして、こういうような、今坂口生産部長お答えによりますと、一人当たり面積はかえってふえているのだ、これは私の手元の資料でも二十九年には十六・一アールのものが三十五年には十八アールになっているということはわかっておるわけです。しかしこれは非常に小さい幅で、総体の面積といたしましては絶対的に減少をしている傾向というものははっきり現われているわけであります。しかも実際の耕作人員数字を聞きますと、三十六年には二十九万台にも落ち込んでいるという実情、しかも一人当たり耕作面積がそれにもかかわらずふえたということは、これは小さいものがこぼれたのだ、小さいものはとてもタバコではやっていけないのだということをはっきり物語っていると思うのです。しかも皆さんの推定によりましても、葉たばこ消費量というようなものは昭和二十五年からこの十年の間に約六八%ふえているはずであります。そういう中で手持ちが幾らあったと申しましても、そういうような増勢をたどっておる。それにもかかわらずこういうような傾向を示しておるということに対して、もう少し公社として真剣に、なぜそういう状態になったのかということについて反省があってしかるべきだと思うのです。今、急遽五カ年計画を立てて八万ヘクタールまで増反をしよう、あるいは二億一千万キロですか、このくらいまで昭和四十年までに収量を持っていこう、こういうような計画を立てて、五、六千町歩ずつこれをふやしていこう、こういう計画を急遽立てられておる。こういうような点について、なぜそういう状態になったのかということについて、もう一度お答えをいただきたいと思うのです。
  12. 坂口精

    坂口説明員 先ほど申し上げましたように、過剰在庫をかかえましたために、たばこは適正な在庫が必要でございますけれども長期間貯蔵いたしますと、腐敗とか発黴とか、こういったことで非常に品質を落としますので、非常な在庫で悩んだわけでございまして、それで減反計画を立てて四年間減反いたしました結果、現在では大体各種類を通じまして正常の在庫になって参ってきておるわけでございます。ところが長期的に将来を見て参りますと、現在は大体正常在庫でございますけれども、現在の消費伸びから考えますと、将来増反していかなければいかぬ、こういうことで長期計画でそういった増反計画しておるのでありまして、この減って参りました原因は、さっき申し上げましたように、計画的な減反のしに、最近の農村構造変化と申しますか、労働事情の悪化からきておるというふうに考えておるわけでございます。
  13. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私が先ほど申し上げたように、二十五年からこの十年間において六八%の葉たばこ使用量はふえておるわけです。そうだとすれば、いわゆるMSAたばこというようなアメリカから押しつけられた葉たばこ、これの在庫というものを理由にして減反計画を立てて、減反のしりを農民に対してたたいた。こういうようなことでこのMSAたばこを食いつぶしてしまって、もはや絶対的な量の不足ということによって、さらにまた需要伸びというようなこともあって増反計画に踏み切られたわけでありますが、その大半を輸入によって減反農民に押しつける。さらにそういうような割合外葉在庫が多いというようなことから、その期間においては農民にきわめて低廉な価格をもって収納をさせる。収納価格のいわゆる買いたたきというようなものを通じて、非常に激しい形でこのような減反傾向というものが起こってきたのではないか、このことを私は率直に認めるべきだということを申し上げたいわけなんですが、その点いかがですか。
  14. 石田吉男

    石田説明員 先ほど原料使用高お話がございましたが、原料使用高昭和二十九年に約一億キロでございます。それが三十五年では一億二千六、百万キロ、三十六年度の予定が一億三千四百万キロ、三十六年で三十年と比べますと、約三四%くらいの増加になっておるわけであります。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 二十五年から十年間のことを言っているわけです。
  16. 石田吉男

    石田説明員 二十五年は七千七百万キロです。もっともこの間は、二十五年から二十九年くらいまでは、ずっと増反をやっておりました。平常時に復したときと申しますと、大体現在三十年くらいから比較した力がよろしいのかと思います。  それからただいま輸入お話がございましたが、輸入は現在は主として味つけに必要なものを買っておりますので、お話のようにだんだん輸入量はふえておりますが、三十六年の予定では千三百万キロくらい入れております。しかし現在の輸入葉たばこを入れております製品需要から見ますと、輸入葉たばこ在庫が十八カ月に足りないくらいでございまして、平常在庫として大体二十四カ月分ということを目標にしておりますので、外国葉たばこにつきましては、現在の製品需要から見ますと、まだ不足状況であります。従いまして、輸入によって国内生産を圧迫するというふうなことはございません。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私が聞いたことに対して率直にすなおに答えていただきたいのですが、この減反計画をやったことが、減反傾向というものを結果したものだ、こういうふうにお答えになるから、減反をやっておって、しかも使用量というものはずっと伸びておるわけです。この期間減反をやりながら、しかも使用量伸びておる。こういう時点の中でMSAたばこというものがあったはずです。これはやはり減反と必ず関連があって結びつけられ、それが外業がたくさんあるので減反農民に押しつけるという、きわめて便宜主義的な、農民立場耕作農民経営状況というようなものを犠牲にしながら、そういう形で公社経営というものを押し進めてきた。こういうことが一点あるだろうということをお聞きいたしておるわけです。  さらに今度は第二点でお伺いしたいことは、このような急遽増反計画に転換せざるを得ない、この対策としてあなた方が専売公社の将来の経営についての、長期計画なるものを出されたようでありますが、この中で葉たばこ増産を推進するということでどのようなことが考えられておるかということをちょっと見たのでありますが、農民立場に立って、農民が最も欲しておるものに対しては、何らの対策が書かれていない。たとえば農業構造変化に即応いたしまして、労力多投を抜本的に改めるということが一つあります。さらに品種の改良を通じて多収穫あるいは大量性のものを導入するのだ、あるいは耕作、乾燥、収納方法簡易化機械化共同化、こういうような方針だけが出されておって、農民が最も増反に喜んで協力しようというために、何を欲しているかというならば、これは言わぬでもおわかりだと思いますが、収納価格をもっともっと引き上げて、ほんとうに喜んでたばこ耕作が続けられる、そうしてそれが引き合うものである、農家経営を向上させ耕作農民の暮らしを豊かにしていく、こういうような問題に対しては何らの対策がない。全専売労働組合から質問を受けて、ようやくその問題に触れるかのごとき回答を出したにすぎない。しかもそれも価格を引き上げていきたいということを言うのでなしに、非常に低廉にすぎた従来のものを昭和三十六年度から若干の引き上げをやった、その結果を今見守っているんだ、こういうような非常に消極的な態度、農民の求めているものに対して何らの回答にならないような回答しか出してない。こういうことで増反がはたしてスムーズにできるかどうか、私はこの点が一番大きな問題点だろうと思うのです。その点についても答えていただきたいし、さらに専売公社長期計画を策定するにあたっての立場として、非常に経済高度成長ということが予想される、従って財政資金需要というものも非常に多くなるだろう、従って租税収入及びそれとほとんど同質のものである専売納付金というようなものに対する国家財政需要の増大ということが期待をされるんだということから、その長期計画のすべてが立てられておる。耕作農民立場を尊重し、また実際に百億本以上毎年製造たばこをふやしていこう、こういうような立場と完全に表裏の関係として耕作農民収入をもっともっと上げていこうというような配慮がほとんどなされない、そういう公社経営あり方というものは、あくまで専売益金をふやすんだ、そのためには労働者耕作農民、こういうものに犠牲を負わせるんだというようなことがきわめて端的に出ておるのでありますが、それらの点について、公社経営あり方というものについて、一つ基本的な考えを聞かしていただきたいと思うのです。
  18. 石田吉男

    石田説明員 最初のMSAたばこ輸入お話余剰農産物資金で貰ったたばこお話だと思いますが、これはだいぶ前のことでございまして、当時は私どもが正常な外貨割当を受けて、製品原料用として買いたいたばこが、外貨割当が非常に窮屈でありまして十分にとれませんでした。そこへたまたまアメリカでああいう法律ができまして、それに基づいて外貨を使わずに円で買えるということで、私どもピースその他上級のたばこに入れる原料としてアメリカの葉がほしいと思っておりましたので、余剰農産物資金による円資金輸入できるものを輸入したわけであります。従いまして、当時としましてはむしろそういうたばこを私どもはもっとほしい、従って、買いました葉たばこアメリカ葉たばこだけでございまして、それによっていろいろ製品品質を上げることができたというふうな事情にございます。当時は減反その他のことも計画をしていない時代でありまして、むしろ国内原料としてもやはり増産が必要であるというふうな状況のときであります。そういうことでございまして、決して余剰農産物輸入して国内葉たばこを云々するというふうなことはございません。なお、葉たばこ値段からいいましても、アメリカの葉は日本の葉と比べますと非常に高いのでございまして、アメリカの葉を安く入れて、日本の葉を入れているものをそれに置きかえるというわけには参りません。アメリカの葉のコストが非常に高くなるものですから、製品に米はを入れますと非常に漸くなりますので、日本の葉の代用に使うというようなことはとうていできないことでございます。当時の余剰農産物というものは、決してよけいなものを輸入して国内生産を圧迫したというふうなことはないのでございます。  それから今後の増産問題、増反問題につきましては、今いろいろの増反奨励方策等をおあげになりましたが、そういうものももちろん私ども考えております。お話のように、何と申しましても、やはり収納価格が適正であるということが一番増反に必要であると考えております。増産のための一番基本的な方策としては適正な収納価格を定めていきたい、かように考えております。  それから、専売益金葉たばこ収納価格関係でございますが、長期計画を立てますときも、これは御承知のように、専売益金というものは毎年々々予算がきまるたびにきまって参るわけであります。その場合に、その益金見積もり方が適正であるかどうかということが問題になるのでありまして、長期計画におきましては、たとえば国内経済成長率とか、あるいは国民所得増加とか、そういうものと見合って、大体現状と同じような割合でスライドしていくと益金はどのくらいになるであろうかという算定はいたしておりますが、それだけの益金を出そうというふうな計画ではございません。と申しますのは、長期にわたりまして専売益金の金額を算定いたしますには、やはり製品コストがどのくらいかかるかということが問題になるわけであります。その中には葉たばこ値段も重要な問題でありますし、そのほかにいろいろ物価その他も、五年もたてば相当変わって参ります。あるいは公社の中で働いております人の給与も変わって参ります。従って、そういうものを見通してやるわけには参りませんので、そういうコストに影響する面は現状と変更なきものというふうなもので一応の試算はいたしております。その長期計画によって、これだけの益金を出すためにどういう施策をとるのだというふうな、そういう立て方ではございません。従いまして、益金をよけい出すために収納価格を押えるというふうな、そういう考え方は持っておりません。
  19. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 昭和四十年に大体三千億の専売益金をあげようということをこの長期計画ではいわれておるわけです。大体昭和三十六年度で、たしか国庫の納付金約手五百億、地方の消費税として約六百四十億程度ですか、合わせますと二千百六十億、これを三千億まで持っていこうということになりますと、五五%以上になると思われます。こういうようなことをやはりきちっと計画を立てておられる。しからば葉たばこ耕作者収納代金をどのくらいあげようかということについては何らの計画をお持ちにならないのか、長期的な計画をお持ちにならないのか、これは一体どういうわけですか。今の副総裁お答えからすればそういうつもりはないのだというけれども長期計画の中には何も出てこない。これはまさにあなたが今おっしゃったことと違う考えというものがあるんじゃないかということをわれわれに疑わせるものである。この点は一体どういうようにお考えなんですか。
  20. 石田吉男

    石田説明員 私の方で作りました長期計画の一番基本になっておりますのは、毎年政府で作ります長期にわたる経済計画をもとにいたしております。それに従いまして日本経済がどのくらい成長するか、それに伴って国民所得がどの程度ふえるかというふうなことから試算をいたしております。御承知のように政府経済計画も毎年変わるわけでありますが、それによりまして私ども計画も毎年変えていかなければならぬというふうに考えております。一例を申し上げますと、たとえばたばこ需要伸びがどのくらいになるかというものは一応五年先までの見通しはつけておりますけれども、その計算基礎になっておりますのはやはり政府経済計画基礎にしております。従いまして、政府経済計画が変わるたびにその需要予測というものもある程度変えていかなければならぬ、そういう程度のものでございまして、計画自体をその通り、その数字がそのまま実行されるというふうには私ども考えておりません。長期的にある程度見通しをつけ、それによって運営一つ考え方といいますか、基本的な方針といいますか、そういうものをそこから生み出すための一つ試算であるというふうに考えております。ただいま申し上げましたように、その中で一番問題になります物価の変動とかそういうふうなことは、五年も先のことはとうてい見通しがつきませんので、物価その他は現状において動かないものと仮定しての計算でございます。現に、たとえば給与問題等につきましても、先般私どもが五カ年先を見通し計画を作りましても、すでにその計画ができ上がったときには給与ベースが変わっている。それに応じてもちろん物価も変わって参ります。そういうことでございますので、葉たばこ価格等につきましても、給与あるいは物価経済事情がいろいろ変わって参りますので、それを織り込んで五年先の見通しをつけるということは非常に困難でもあり、かりに作りましても、一つのペーパー・プランみたいなものになりますので、全体の基本方針をきめる、運営基本的な政策をきめる一つ考え方を出すための資料というふうにごらんいただけばと思います。計画ということで少しかたい名前になっておりますので、いささかそういう点で誤解を与えるおそれもあろうかと思いますが、私ども長期経営計画で作っております数字は、そういうふうな意味でいっておりますので、御了承願います。
  21. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういうお答えで、計画というものが、まあ言葉にはないわけですけれども一つの目安程度にすぎないのだというお答えのようですが、これはあたかも、高度経済成長政策というものが、これは実は計画ではないのだ、単なる構想にすぎない、その次には、今度は目安にすぎないというようなことと符節を合わせるようなお答えなんです。しかし、総体としては五カ年計画昭和四十年には三千億程度専売益金というものは確保しなければならぬだろうということは、これはまあ大体そういうところに置いている。そうしますと、その中で今度はその益金をあげるための原料生産する、この原料生産というものがやはり伴わなければ、その三千億をあげるということも、目安としての価値も実はなくなると思うのです。ところが、その方については一向に考慮を払わない。生産者の増反意欲を刺激するだけの、農民が喜んで増反に協力をしようというようなことについては、何らの目安すらもないということになるのであります。だとすれば、やはり専売公社立場というのは、あくまで国家財政の期待にこたえるということが至上目的であって、その原料生産する農民をどういう工合に確保していくか、生産原料をどうやって具体的に確保していくかということについては、これはもう、どんな体制を専売公社がとっても農民はついてくるものだ、こういう農民を非常にばかにしたといいますか、農民をなめてかかっている態度というものは、そういう中にも私はうかがわれると思う。これは今のお答えの中でも、いや、そういうことはいろいろ経済情勢の変化あるいは賃金上昇がどのくらいになるかということはわからない、そういうことを一方において言いながら、国家財政の方の期待というものは具体的な明確な数字をとって、とにかくきちっとした動きのとれない計画というような強いものではないと言いながらも、ちゃんと数字をあげておられる。こういう矛盾というものに、あなたお気づきにならないわけですか。その点一つお伺いしたい。
  22. 石田吉男

    石田説明員 私ども長期経営計画を発表いたしますときは、ただいまお話しの益金の額というものは発表していないのであります。と申しますのは、これは計画を作りますときにもいろいろ議論がございまして、いろいろなベースの基礎事情が変わっていくのに、益金額だけを算出するということは非常に誤解を招くのではないかというふうなことから、私どもがあそこで試算をいたしておりますのは、現在の益金率で、その四十年ごろの売り上げその他からかけ合わせて試算をしてみると、こういう程度数字が出るということでございまして、私どもとしてその益金だけは計画において試算した数字をぜひ達成したいとか、そういうふうに考えているのではございません。ただ全体の計画を作りますときに、たばこ専売事業というものは、やはり財政専売でございますから、計画はどんどんいったけれども、最後に締めてみたところが、現在よりもずっと益金が減ってしまうのだというようなことでは事業運営の責任がとれませんので、一応の試算をしてみて、まあまあ現在程度益金率で推移ができるのじゃないか、そういうほんとうのただ見当をつけるための試算でございます。従いまして、これもただいま申し上げましたように毎年々々経済事情が違って参ります。現実に販売の金額といえども、私ども試算したものよりあるいは伸びるかもしらぬ、あるいは減るかもしらぬ。そういうこともございますし、益金額を一番左右するものは販売の伸びがどの程度かというようなことが一番大きいと思うんですが、五カ年先までその点をはっきり見通すことができませんから、従いまして益金額というものを国民所得とかあるいは現在の益金率とか、そういうものから試算はいたしましたけれども、決して五年後にはどうしてもそれだけを達成しなければならないというふうには考えておらないのでございます。
  23. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その専売益金昭和四十年に三千億程度と予想しておるということについては、そういう意味だというようにお答えがあったわけでありますが、しかしこの長期計画によりまして、あまりにも生産者に対する配慮というものがおざなりであって、生産者が求めているものについてこたえていないということについて、私は重大な耕作農民全体の不満があると思うのであります。しかも最も肝心な生産農民の最大の要求である引き合う収納価格というものを少なくとも生産費及び所得補償方式、こういうようなものを確立してもらうことによって、耕作農民増反にも協力しましょう、さらにこの三千億というなら三千億にも協力しましょう、しかしながらそういうことなしに、やはり非常に当面を糊塗するようなやり方ではこれはだめなんだ、今の専売法の非民主的な性格というものを幸いなことにして、あるいはまた耕作組合がいわば今日専売公社の御用組合的な性格を多分に持ちつつある。そういうようなものを利用して、単に増反計画しさえすればこれが達成できるのだというような甘い考えをお持ちだとすれば、これは重大なあやまちだと私は指摘せざるを得ないわけであります。これは公社の当局がいろいろな計画を立てましても、あなた方がそういう角度を改めない限り、これが完全に達成されないのじゃないかということを、私ども専売事業がやはり財政専売としてその機能をりっぱに発揮していくという角度からとらえましても、そういう体制の中ではそういう計画も達成できないのじゃないかということを警告をこの際いたしておきたいと思うんです。  ところで今申し上げましたように、全国のこの財政専売の原料生産者である葉たばこ耕作農民、これが何よりも今要求しておるのは、今まで非常に葉たばこ収納価格というものが低過ぎて、減反計画というようなものが先ほどもお答えがあったように行なわれていた。こういうような情勢の中では、これは著しく今回の経済の常識からいって、減反計画が行なわれているというような場合に著しくこれが低位に据え置かれるということはもうはっきりした事実であり、現実の数字もこれを証明しており、しかも専売公社で昨年行なった生産調査によっても、生産費すら償なわない価格収納させられておったという厳粛な数字もあるわけであります。そういうようなことから、昭和三十六年度分については二回にわたって約一一%、対前年度比一一%ぐらいの引き上げが行なわれたわけでございますが、こういうようなことをやりましても、今日やはり耕作農民と私どもが会っていろいろ話をしてみましても、これが喜んで受け入れられていないわけであります。そういうことではまだまだとても私どもたばこ増反しようというような意欲は起きません。それでも急激に転換をするわけにもいきませんから、引き合わないことはわかっておっても、しようがないからたばこを作っておるのだということであって、また最近の耕作審議会一における答申、そうして二、三日後の公示ということで、たしか十四口に公示されたと思いますが、去年上げたものに対して、さらに一〇・一九%上げるというような告示がなされたわけでありますが、とれをもってしても、審議会の中におられた耕作者の代表といわれる人たちはなるほど了解をしたかもしれませんけれども、現実に耕作農民は今日もなお全国代表者大会というようなものに結集をいたしまして、こういうことではとてもわれわれは不満足なんだ、満足できないのだ、どうしても生産費及び所得補償方式を通じて、少なくとも耕作農民の労賃というものが都市労働者並みにならなければいけない、こういうような主張を強くいたしておるわけであります。こういう方式が確立されて初めて専売公社の、先ほど大へん遠慮して実は気持とは違うのじゃないかと思いますが、昭和四十年に三千億の専売益金を確保しようというようなことの計画もそういう生産費及び所得補償方式というようなことで耕作農民経営と生活というものを完全に安定をさせる、しかももう心配なしに耕作できる、こういう条件を与えてやって初めてそういうことが可能になるだろう。この点について一体そういう当面を糊塗するやり方、しかもその方式には幾多の欠陥があるわけであります。従って今度の答申の中でも生産費を取り入れたということについてはけっこうである。しかしながら算定方式そのものについてはやはりこれが理想的なものだとは決して言っていないわけです。おおむね妥当なものだ、これは審議機関でありますから非常に公社にも気がねをした言い方だと思うわけでありまして、おおむね妥当だ、その妥当という方にばかりウエートを置いて受け取られないで、おおむね妥当なんだという程度のことであって、この点についてはやはり根本的に耕作農民の生活と耕作農民経営というものを安定さした上において財政専売の機能というものをしっかり軌道に乗せていく、こういう態度が今こそ打ち立てられるべきだ、かように私ども考えるのですが、副総裁のお考えはいかがでございましょうか。
  24. 石田吉男

    石田説明員 たばこ専売事業原料生産部門を担当といいますか、やっておられます耕作者に対しての基本的な考え方というのはただいまお話になった御意見と私ども全く同意見でございます。と申しますのは、専売事業を円滑に運営して参りまして、財政専売の趣旨を達するというには、やはり製品需要伸びればそれに応じただけの原料生産していただきまして、それによってたばこ事業が円滑に運営できるということが根本だと思います。そうなると単に権力を用いたり、あるいは統制力を用いたり、そういうことで原料生産というものは円滑にいくものではありませんので、やはり耕作者の方々一人々々が満足して原料生産していただけるということでなければ、この事業を長期にわたって円滑に運営していくということは参らないと思います。そういう意味合いにおきまして耕作者の方々の満足できるやり方によって原料生産をしていただくという、そういう基本的な考え方につきましては、ただいまるるお話ございましたそういう方向と全く同意見でございます。ただ現実に、はたして、たとえば本年度の葉たばこ収納価格をどうきめるか、あるいは翌年度の葉たばこ収納価格をどうきめるかという問題になりますときに、基本的にはそうでありましても、どういう指数をとるか、あるいはどういう計算の方法をとるかというふうなことがいろいろ問題になるわけであります。それにつきましては、従来は御承知のように、こういう耕作審議会というふうな第三社機関的なものもございませんで、専売公社、その前は政府機関、政府の部局の一つであったわけでありますが、そういうところで一方的にきめておった。しかし、そういうことでは考え方も進歩がないのじゃないか、また耕作者意見も十分聞けないのじゃないかというふうなことから耕作審議会というものが法律上設けられまして、公社の原案に対して耕作審議会が年産者代表も入れて審議していただく、それによって公正妥当な値段がきめられる、こういう仕組みになったものと了解しております。従いまして、今回の場合も、私どもが五・何がしの値上げというふうな原案を出しましたところが、生産者の代表の方々あるいは学識経験委員の方々がいろいろそれを検討されまして、結局私ども生産費の調べ方、それからその調べた生産費をもとにいたしまして、これは来年度の価格をきめるのでございますから、今まで調べた生産費から来年度に伸ばすのに、どういうふうな伸ばし方をするかというふうなことが問題の焦点になりまして、そこで私どもの原案と審議会の方々の御意見が違ったわけであります。それで私どもの見方を修正されたわけであります。そういうような経緯を経て今度の三十七年産の収納価格の決定を見たわけであります。そういうことで、現実の問題としますと、どういう方式を用いるのが適当であるか、あるいはどういう指数をとったらいいかというふうなことになります。それらの点につきましては、なお私ども十分今後も検討を加えていきたいと思っております。
  25. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 専売法の第五条には、生産費及び物価その他の経済事情等を参酌いたしまして、農民に適正な収益を符させることをもって価格決起の目的とするのだ、ということがきちっと書かれておるわけです。生産費あるいは物価その他の経済事情、こういうものを参酌する、これは参酌であります。最大の目的というのは適正な収益を農民に得させるということであります。その適正な収益とは一体どういう価格算定の方式をとり、どういう価格であったならば、そういう収益を得させるという目的にかなうものであるかということを、この前谷川監理官にも私はたしか五月の二十四日でありましたか、お伺いしたわけであります。その際に谷川監理官は、農民が喜んで耕作を続けようという意欲が出るような価格であろう、こういうようにお答えしていいんじゃないかということを答弁されたわけであります。これは速記録にも残っておるわけでありますが、はたしてしからば、そういう価格は何によって、どういう算定方式をとられたならば、農民がほんとうに適正な収益を得られたと喜ぶような、そしてたばこ耕作することを喜びとするようなそういう方式であるかということは、これはやはり実際に毎日泥にまみれながら苦労をしておる農民が要求する生産費及び所得補償方式にあるととは、私は間違いない事実だろうと思うのです。従って、たばこ耕作組合自体でも、そういう方式が望ましいということで、はっきりそういう線も出ておるわけであります。さらに茨城県のごときは、県議会においても、たばこ耕作農民の要望を入れまして、それが最もいい方法だということで、県議会の議決まで得ておるようでございます。栃木県でもおそらくきのうあたり県議会でそういう趣旨の議決が行なわれて、専売公社にもそのうち請願、陳情がされる段取りになると思うのでありますが、こういうものであるならば、当然この際——今副総裁も私の意見と同じような気持でございます、同感でございますという賛意を表されたからには、もはやその方向に踏み切らるべき段階だ、こう思うのですけれども、その点一つお答えをいただきたいと思うわけであります。この点は谷川監理官からもお答えをいただきたいと思います。
  26. 石田吉男

    石田説明員 耕作者の方々から、生産費及び所得補償方式をとってほしいというお話は、ここ一、二年からずっと私ども承っているわけでありますが、この生産費及び所得補償方式をたばこに適用する場合に、どういうふうな考え方でいくべきか、あるいはたばこに適用する場合の生産費及び所得補償方式とはどういうものであるかということは、私どもいろいろ研究いたしておりますが、まだこれによるべきだという自信を得るところまで参っておりません。これは理論的にもいろいろ問題があろうかと思います。  生産費及び所得補償方式という問題になりますと、一日当たりの労働報酬がどうであるかということとも結びつくように思うのでありますが、たとえば土地、資本その他の利子といいますか、地代とか資本の利子とか、そういうものを一日当たりの労働報酬の中に見るべきかどうか、あるいはどういう算定の仕方をしたらいいかというような、いろいろな問題がございまして、実は今度の方式で生産費主義をとったというのも今までなかったわけであります。少し古いことを申し上げますと、一番古い専売局時代には、やはり生産費調べをやっておりまして、生産費をもとにしてきめたというふうに聞いております。その後生産費の調査方法などもだんだん進歩して参るということもありましたが、ところが、戦争が終わりましたあとだと思いますが、そのころ生産費主義でいくと、かえって何だかちぐはぐな、変な格好のものが出るということで、当時やはりたばこが足らなくて、増産をしてほしいという時代であったようでありますが、そのころには出席費主義というものをやめて、パリティをとってたばこ収納価格をきめたことがございます。その後、パリティでは今度また適正な価格が出ないということで、ほかの農産物との均衡をとるということでやって参りました。その間に、黄色種が非常にほしいんだ、在来種はあまり要らないんだというように、製品の嗜好が変わるにつれまして、必要な葉たばこ種類にも変化があるということで、その後生産費主義にしなければいかぬじゃないかという皆さんの御要望もありました。そういうことで、私どもも現在の状況においてできるだけ正確な生産費の調査をやろうということでいろいろ苦労いたしまして、現在の生産費の調査がまとまってきたわけであります。そういう私どもとすると、的確な資料が使える生産調査ができたということで、今度は生産費をベースにいたしまして、それを来年に伸ばすにはどうやって伸ばしたらいいか、このねらいは、少なくとも私どもの方で調査いたしました生産費によって赤字になるようなことはいかぬじゃないかということから、そういうふうに踏み切ったわけであります。  ただいま申し上げました葉たばこ収納価格の決定の経緯につきましては、そういういろいろな周囲の事情あるいはこちらの調査、こういうものと相待って、最も適正な価格が出るようにいろいろ苦心しているわけでありますが、そういうような過去の例を見ましても、やはり生産費及び所得補償方式というものにつきまして、私どもはこれがいいのだというふうな自信がなかなか得られませんので、なお研究を続けさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 谷川宏

    ○谷川説明員 葉たばこ収納価格の算定方式につきましては、生産者の代表の方々の御要望、あるいは専売公社において従来とって参りました方法がいいかどうか、また自民党の政調会の方からもいろいろな御意見、御要望が出ておるわけでございますが、技術的にも理論的にもなかなかむずかしい問題がございますので、私どもといたしましては、たばこ専売法の第五条の第三項にありますように「生産費及び物価その他の経済事情を参酌して、耕作者に適正な収益を得させることを旨として」価格を定めるというためには、どういう方式が一番適当であろうかということを中心にして検討をして参っておるわけでございます。結論的に申し上げますと、今回のたばこ耕作審議会において、生産者の代表及び学識経験委員、全会一致した意見といたしまして、公社総裁に対しまして建議されておりますように、葉たばこ収納価格算定に関するいわゆる生産費及び所得補償方式については、農作物価格政策の基本事項関係するところが多いと認められるので、農政全般を審議するしかるべき機関において根本的に研究されることが望ましいというふうに、全会一致そういう意向が表明されておりますところにおいても明らかでございますように、葉たばこ価格についてこの方式をとることがいいかどうか。これは農政全般に関係するところが多いと考えられますので、今後慎重に検討して参りたいと思うわけでございますが、先般もお答え申し上げましたように、適正な収益を、ということの内容といたしましては、生産費を償うということと同時に、単位当たり、すなわち十アール当たりの収益がどうであろうかということも重要な要素になるわけでございまして、三十四年産の農作物について考えますと、葉たばこの場合には十アール当たり六万八百十円でございますが、水稲の場合には二万八千六百九十五円ということで、たばこは一反歩作りますと水稲の二倍以上の収益が上がっておるということも事実でございますので、この点はほかの農作物をずっと見ておりましても、たばこが一番収益が多いわけでございます。こういう点も同時に考え、また生産費を十分に償うようにしていかなければいけない、こう考えるわけでございます。耕作者の方々が希望を持って作るということは、単に価格の問題だけではなくて、その耕作の方法等につきましてもいろいろ問題がございますので、価格を含めて、ほかのいろいろな問題を総合勘案して、耕作者公社が希望する数量だけ作っていただく。主観的な問題もいろいろ入って参りますが、今回一〇・一九%上げることによりまして、従来よりも一そう耕作者生産に励んでいただけるものであると期待しておるわけでございます。生産費及び所得補償方式という考え方につきましても、私どもいろいろ検討したわけでございますが、現在の段階では、葉たばこ収納価格にこの方式をとることは適当でないと考えておるわけでございますが、米の価格にこの方式がとり入れられましたのも、三十年、米価審議会の米価算定小委員会でこの方式が答申され、以来毎年検討を加えられ、三十四年に初めてこの方式がある程度考慮されたという事情もございますので、私どもはこの前のたばこ耕作審議会で全会一致で意見が出されましたように、今後この方式をどう考えるかということについて慎重に検討を続けて参りたいと考えます。
  28. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今専売公社と大蔵省と両方からこの点についての見解が述べられたわけでありますが、特に大蔵省の方からは単位当たりの収益の問題を持ち出されて、たばこは反当たり六万八百十円になる、水稲は二万八千六百九十五円にしかならない。これは当たりまえの話で、投下労働量がまるきり違うわけであります。この点を無視して、こういうような数字のつらだけを並べてこれを比較して、あたかもたばこは十分だと言うかのごとき発言をなさり、しかもこういうようなことで検討はいたしますけれども、現在のような形でいって耕作者が希望するだけ作ってもらえばいいのだ、こういう考え——まさにそのように速記録にも残っていると思いますが、そういうお考え専売公社の方ではこれはやはり増反計画を立てて、今何とか増反をしてくれませんかと言って、今まで出したこともない折詰などまで出して、それで大いに増反計画に協力してほしい、こう言って今農民に盛んに勧誘しておるわけです。長期計画の中にも、今の指導員でありますか、こういう人たちに日当程度の謝金を出して、そうして勧誘にかけ回ってもらおう、こういう計画まで持っておられる。今谷川さんのおっしゃることだと、農民が現在のような価格状況下において希望者に作っていただきましょうというようなことでは、これは今やっていることと大蔵省の立場とにまさに大きなギャップがある。これはどういうことですか。大蔵省はあくまで専売益金だけ確保すればいい、こういうことだけを至上命令にして、原料価格などは低ければ低いほどいいという、そういう気持でおられることがはっきり証明されたと思う。立場によってそういう違いが出るのかもしれませんけれども、大蔵省がやはりそういうことを考えておるから、専売公社生産費所得補償方式というものが、専売事業を発展させるためにも、そうして耕作農民に喜んで増反計画にも協力してもらうためにも必要なんだということは、専売公社はおそらく七、八分通り認めておると思うけれども、大蔵省のそういう壁があるから、私はやはり専売公社もそこまでいききらぬ、こういうふうに思うのですが、専売公社の方の立場と今私が指摘した立場と大蔵省の考え方を、もう一ぺんその点について聞かしてもらいたい。
  29. 谷川宏

    ○谷川説明員 ただいまの御質問でございますが、先ほど来私が申し上げておりますのは、葉たばこ収納価格耕作者に適正な収益を得させることを目標としてきめるけれども生産費であるとか物価その他の経済事情を十分参酌しながら、また十アール当たりの粗収入がどの程度であるかということもあわせて総合勘案して適正にきめるべきであるということを申したわけでございます。そうすることによりまして、耕作者も希望を持って耕作していただく。もちろんこれは御承知通りたばこ専売法によりまして許可を申請して、そうして耕作をするわけでございますが、公社が希望する数量だけ耕作者耕作してもらうということを申したのでございまして、耕作者の方で要るだけ耕作すればそれでいい、多くても少なくてもいいということは決して先ほど申し上げていないわけでありまして、公社が希望する数量を計画的に作る場合に、価格という問題も耕作者にとっては重要な問題でございますから、赤字を生ぜしめるような価格ではなしに、またそうかといってほかの農作物との関係もございますので、そういう点も十分考えながらきめていく。今回の一〇・一九%上がったところの価格を中心に考えますと、平均いたしまして一日当たりの労働報酬は五百円を若干こえることになるわけでございます。米は三食でございますので特別といたしまして、ほかの農作物等を勘案いたしますると、決して一日当たりの労働報酬としては不当に低いということにはなっておりません。もちろん耕作名にとっては一日当たりの労働報酬がますます多いということを御希望になっていることは十分わかりますが、この問題は今後算定方式を検討すると同じに、この労働報酬の金額につきましても、十分にこの点に力を入れて検討を続けて参りたい、こういうことでございます。
  30. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今の答弁で、先ほどのは間違いだということでありますから、その点ことさらに問題にしようとは思いません。しかしながら、今日行なわれている価格算定の方式というものは、昨年のちょうど十二月十四日の耕作審議会においては二・五%というものをお出しになった。ところが、耕作審議会の方ではいろいろと検討をした結果、五%を下らざるようにしろということで、これは倍になったわけであります。ちょっとその見方を変えれば、倍の答申が出る。今度の場合も五・三程度で、五・三%くらい引き上げればいいのだということで、専売公社が用いられている算式によっては、そのくらいしか出ないわけです。ところが、それにも非常に致命的な欠陥がいろいろあるのだということが今度の答申でもはっきりしたわけであります。それはやはり五・三から一〇・一九という約倍の答申が出されざるを得ない。そういうように非常に不安定な、そしてその算定の要素になるものがどうにでも動くような、そういうものが今日行なわれているということを、この諮問と答申との関係の中ではっきり見ることができるわけです。しかも今度の五・三のものに対して時期のとり方、算定の要素になるものの値上がりの状況、労賃であるとか、あるいは農産物の価格の推移というようなものをどういう時点でとるかというようなことについても、これは安定した何ものもない。一月から六月をとれば、五・三だ。七月から九月までをとればその倍にもなる。もちろんこれだけが修正の要素ではありませんけれども、さらに黄色積の夜間作業、これに対して二五%の割り増しをつける形で労賃を算定する。あるいはまかない費を米の労賃でいくか、あるいはそれをはずしたネットの労賃の推移を見るか、そういうようなことを勘案すれば倍にもなる。倍のパーセントの答申が出なければならぬ。こういうようなことで、今日一体専売公社がどういう立場で、農民の生活とそれから葉たばこ耕作者経営というものをどういう工合に考えて本気になってやってくれているかというようなことは、全くこれは農民の不信の材料になるようなものであることが、今度の答申を通じても去年の答申を通じてもはっきり語られておると思うのです。農民がこういう算式を使ってくれるならば、われわれはもう安心して文句を言わず、専売公社を百パーセント信頼して、増反にも協力し、しかも十分それが引き合う値段なんだというところまでいかなければ、こういういよいよ農民の不信を増大するような繰り返しをやるにすぎない、こういうことで、先ごろ、全国の耕作農民あるいはたばこ耕作中央会も、この生産費及び所得補償方式が正しいのだ、望ましいのだということを言われている。さらに地方議会等の動き等についても言ったわけでありますが、谷川さんからも今発言があったように、与党の自民党ですらやはりこの問題については、生産費及び所得補償方式が望ましいのだということを言っているわけであります。しかもそれについての自家労賃の評価というようなものも、米価算定に用いられた都市均衡労賃を用いた場合には七百三円、これは私どもの見解からだいぶ違うわけであります。七百三円どころではない。米価の場合には一日少なくとも九面円程度になるだろう、こういうふうに私どもは見ているわけです。さらに、これは自民党の方針として政調会から大蔵大臣、専売公社総裁に申し入れられたものでありますが、こういう数字が出ている。政府価格決定に関与している農産物グループの一日当たり家族労働報酬を用いて計算すると六百三十九円、あるいは反当たり家族労働報酬の多い農産物グループの一日当たり家族労働報酬を用いた算定、これが六百八十二円、ただこと対抗性のある農産物グループの一日当たり家族労働報酬を用いた算定、これが六百三円、全重要農産物の日当たり家族労働報酬を用いた算定、これが六百四十四円、こういう工合になっているわけであります。与党の自民党ですらこういうような方向でなければもはや耕作農民に対して納得をさせることができない。こういう方法を用いてたばこ耕作農民の労賃というものを適正に評価して、価格の中にこれを明確に余すところなく織り込んでいく、こういうような方向というものが出ない限りは、ほんとうに安定した、専売法上に誓うところの適正な収益を上げさせるということを旨として定める、このことも達成されないのじゃないか、こういうふうに思うわけでありまして、しかも米は、そこまでこぎつけるためにはもうすでに長い年月を要したわけでありますけれども、米は御承知のように、きわめて重要な主食だ。しかも農家収入の五割近く、あるいはそれ以上も占める——米麦収入で大体五二%ぐらいでありますから、米がそのうちのどのくらいになるかはっきりした数字はわかりませんけれども、そういう、重要な主食だ。しかもこれが全部政府の買い上げの対象になっている。それで、たばこと私は似ていると思うのでありますが、たばこも国家の独占事業として全部政府が許可をして栽培させる。しかも専売法の各条項を見れば、まさに完全な国家独占の形における許可栽培という形になっておるわけであります。そういうものについて、米の次はやはりたばこだ、生産費及び所得補償方式を導入していくのはたばこだと私は思う。こういうような立場からもこの際、公社としては、あるいはまた大蔵省でもとやかくあまりめんどうくさいことを言わずに、そういう方向というものに価格算定の方式というものを安定さして、そして安定させると同時に、これが農民にとっても、いわゆる今自民党の評価をあげましたけれども、あるいはまた都市労働者の賃金というものと全く同じ労働報酬というものが補償されるということになれば、これはもう増反計画を立てて、かね太鼓でやるというようなことなしに、公社の希望するだけの耕作面積の確保、収量の確保、原料葉たばこの確保というようなものが完全にスムーズに私はできると思う。そういった見地から、もうこの段階では、今私がるる申し上げたような形の中で踏み切られる用意があるかどうか。これは三十七年度に私どもとしてはやっていただきたいと思っておりますが、これがかりにできないとしても大よそのめどをつけて、ここ二、三年計画ぐらいでそこまで行こうじゃないか、こういうような決意なり考え方というものをお持ちであるかどうか、この点公社と大蔵省と両方から一つ考えをいただきたい。
  31. 石田吉男

    石田説明員 いろいろ御意見がありました御趣旨は十分わかるのでありますが、耕作審議会におきましても、これはかなり価格決定に関する基本的な問題であるから、十分に審議するようにという建議が、ございまして、私どももその耕作審議会の建議のございました関係もあり、十分今後取り急いで検討を進めたいと思いますが、たとえば二年、三年の間にどうかというような時期的なことは、十分な検討を経た上でないとちょっと申し上げかねますが、ただいまいろいろ御意見がありました御趣旨は十分のみ込んだつもりでございます。そういう意味合いにおいて十分検討して参りたい、かように考えております。
  32. 谷川宏

    ○谷川説明員 年産費及び所得補償方式と申しますのは、一方におきまして生産費を補償し、一方において生産費の中における自家労賃を都市均衡労賃に組みかえまして、農村の所得と都市の所得との均衡をはかるという方式であると思いますが、米の場合には、農家の大半の、また大部分の収入が米作に依存しておるということからいたしまして、また農業問題基本調査会の考え方等を考慮して、そして米を中心にして都市、農村の所得の均衡をはかる、こういうことに相なっていると理解しておるのでございます。ところで葉たばこ耕作者の数は、先ほど来質疑がありましたように、三十万人程度でございまして、必ずしも全国的に考えた場合に米の産地と同じような分布状況になってはおらないわけでございまして、葉たばこについて生産費及び所得補償方式をとるということは、ただいまのところ私どもは適当ではないと考えるわけでございます。先ほど御質疑の中で数字が出たわけでございますが、同じ資料によりまして御説明を申し上げますると、政府価格決定に関与している作物の一日当たりの家族労働報酬平均で六百三十九円とお述べになりましたが、この資料を使いまして、米を除きまするとどうなるかと申しますと、六百三十九円が二百八十四円になるわけでございます。米のウエートが非常に高いのです。たとえば麦、小麦は二百二十五円、はだか麦は九十四円というようなことになるわけでございまして、米以外の総平均が二百八十四円、それでは麦はあまり低いからこれを除く。麦とビートとを除きますと、カンショ、バレイショ、大豆、菜種、繭、たばこになるわけでございますが、この平均が三百五十三円ということになるわけでございます。また農林省の統計の示すところによりますると、その統計に現われている数字、農業臨時雇賃金は三十六年九月で男女平均四百三十二円と相なっておるわけでございます。また先ほどお述べになられました反当家族労働報酬の多い作物、この中にはスイカ、ミカン、夏ミカンというような果実も入っておりますので、こういう果実を除きますと五百円程度、あるいは反当労働時間の多い作物につきましても、ナシ、ブドウ、ミカン等を除きますと、やはり五百円程度、またたばこと対抗性のある作物二十品目あがっておりますが、この中からスイカとかリンゴ、ブドウ、ミカン、夏ミカン等を除きますと、四百九円ということになりまして、こういうような点から考えましても、一〇・一九%上がりました来年産の葉たばこ価格において、一日当たり家族労働報酬が全平均で五百四円、たとえば第二黄色種等は五百四十八円ということになるわけでございまして、生産費及び所得補償方式と申しましても、目標はその一日当たりの家族労働報酬をいかに適正に見積もるかということでございますので、現在の方式においてもその点は十分目標が達せられておる、かように考えております。
  33. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今数字をあげて反駁をされたおけですが、現在たばこはとにもかくにも最も労働を多用する作物で、これはおそらく最大のものだと思うのです。そういう性質のものだし、しかも非常に炎天の中で、あるいはまたやにだらけになって働くというような特殊な環境というものも当然あるわけであります。しかも今監理官がおっしゃったようなことについても、私どもとしてもこれは反駁の資料というものを持つわけでありまするけれども、しかし大蔵省としては、今申されたような数字基礎にして、これがけしからぬ、これはとるべきじゃないというような見解を持たれておる。専売公社は、やはりこれは現実の事態に直面し、増反を達成していくというような立場から、十分検討をしたい、こういうことを言っているわけです。しかも今までほとんど生産費及び所得補償方式というものについて耕作審議会、これは少なくとも専売法に基づいて、どうしても価格決定についてその議を経なければならないとされている唯一の機関でありますが、その権威ある審議会が、とにもかくにも耕作農民の要望に従って、要望のある程度、少なくとも妥当性を認めて——きょうはその点で川野会長を参考人として十分聞きただしたかったわけでありますが、それができないので残念でありますけれども、そういう形の中で今回とにもかくにも生産費及び所得補償方式というものについて建議を行なったという経緯もあるわけであります。大蔵省はこの建議に対して一顧も与えないという態度が今表明されたわけであります。専売公社総裁が、これはあくまで価格の決定について実は権限を持つわけであります。もちろん、これは大蔵省の了解をとりつけるという段階もあるでありましょうけれども、そういうことで、審議会の議を経て、これは大蔵大臣と協議して公示をするという段階になるわけでありますが、その耕作審議会で建議という形ではあるけれども、それについてはやはり十分検討して、実現の方向に持っていく必要があるのだということを認められたからこそ、私は建議という形になったと思う。しかも、この建議というのは、やはり法律上にも建議を行なうことができるということがちゃんと書いてあるわけであります。これは無視すべきものではないと思う。もし、それを完全に無視するとすれば、これはやはり大蔵省の越権であり、法律無視であり、専売法無視であると私は申さなければならぬと思う。そういった角度から、今副総裁は十分検討をされるということを言ったわけでありますが、この点について、農産物価格の全般に触れる基本的な重要な問題であるということは言いながらも、しかるべき機関においてこれを審議されることが望ましいということは、少なくともその方向性において妥当なものを認めたから、いろいろ条件はあるけれども、その方向に進べきだということが文脈の中に語られていると了解していいと思う。これについて専売公社としては、「然るべき機関」というのは、これはいろいろ受け取り方にニュアンスはあるだろうと思いますけれども、私どもすなおに文章を読んで、これはやはり耕作審議会そのものが、この問題の審議をするにあたって、一番適当な機関ではないか。一応審議会が建議をして、しかるべき機関と言っているのだからこれはそれ以外のものをさすのだ、こう考えられる必要は私はないと思う。そうだとすれば、検討するという内容において、これは専売公社生産費及び所得補償方式について諮問をするということは、私は法律上もこれは当然のことである。それは決して法律の趣旨に反するものではない、また建議の趣旨にも反しないということを考えるわけであります。また専売公社それ自身が検討をするということを求めておると解釈することも私はできると思うのです。他の農産物価格関係というようなものは、専売公社も今まで農林の関係のいろいろな統計、その他農業政策全般とのからみ合いにおいて、いろいろとの耕作農民に対する対処の仕方というものもやってこられた経験を豊富に持っておられると思うのです。そうでなければこれはおかしいわけでありまして、そういうことは現実の問題としてそうだったと思う。そうだとすれば、これは専売公社がこのことについて検討をし、専売公社の中にしかるべき機関を設けるなり、あるいは耕作審議会なりという形と矛盾をしていないと思うのですが、専売公社としてはこの点について、今副総裁も十分な検討をしたいということをおっしゃっているわけでありますが、この点についてどのようにこの建議を受けて、具体的にこれを前進させる方途というものを考えられておるか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  34. 石田吉男

    石田説明員 耕作審議会の建議にあります「然るべき機関」というのは、私ども必ずしも既存の機関に限るという意味ではないだろうと思います。それで、ここにありますように、「国の農産物価格政策の基本事項関係するところが多いと認められるので、」建議の内容に、そういうことがございますが、はなはだ申しわけないのでありますが、どういう機関に研究してもらったらいいかというふうなことにつきましても、いろいろの角度から考えまして、今後取り急ぎ研究をさしていただきたいと思っております。
  35. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういうその場のがれのような答えについて非常に不満でありますが、専売公社自身で何らかこの検討の機関というものを設けられるなり、耕作審議会に対して、この生産費・所得補償の方式というものについての検討をしてもらいたいという諮問をすることが絶対にいけないものであるかどうか、逆な聞き方をしますが、その点について御意見を伺いたいと思います。
  36. 石田吉男

    石田説明員 耕作審議会からこういう建議が出て参りますと、一応耕作審議会の内部において、自分のところでなしに、ほかにもっと農政全般を見られるような機関で研究してもらいたい、こういう趣旨だと了解しております。大体耕作審議会につきましては、専売公社総裁が、ある諮問の案といいますか、そういうものをもって、それでこれについての意見はどうだろうかというふうな聞き方をするのが本筋であろうと思いまして、公社が態度をきめないで、いきなり耕作審議会に、この方式はどうかというふうな諮問をしたのでは、耕作審議会としても、やはり責任のある答申が出せないのじゃないかというふうに考えております。別に、かりに公社生産費及び所得補償方式をとるという心がまえをもって、その方針に基づいた算式を耕作審議会に示すということは一向差しつかえないことだと思いますが、現段階において、すぐ耕作審議会にそういうような形で諮問をするかどうかというふうな、前にこの建議でいっておりますことは、そういう方式をとること自体についてのいろいろな議論、いろいろな角度からの検討をしなさい、こういうふうに思われますので、私どもとしても、なるべくこの趣旨にのっとったような適当な機関を考えて、そこで検討していきたい、抽象的でございますが、今のところ、そういうふうに考えております。具体的に公社自体がやるのかというふうなお話になりますと、まだ研究が十分行き届いておりませんので、現在の段階についてはちょっとお答いたしかねるような次第でございます。
  37. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今の答弁の中での前進としては、一つはっきりした点は、公社がその気になって諮問をすることについては一向差しつかえないことだ、このことは一つ確認をしておきたいと思います。答申を受けられ、その建議事項の内容について、わけのわからぬものを公社が受けたということになるわけであります。しかるべき機関というのは、一体耕作審議会としては、どういう論議をして、どういうものを予想をしておられたのか。これは当然質問をされ、確認をされる時間は今日までにあったと思うのです。そのことについてはやっておりましたか。
  38. 石田吉男

    石田説明員 こういう建議の趣旨につきましては、もちろんお伺いしておるわけでありますが、それにつきましても、これはなかなか重大な問題であるし、米についてもこういう方式をとるまでには相当長い期間かかっておる。従って十分ほかの場において研究をしてほしい、こういう御説明を受けております。
  39. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう説明を受けて、それ以上は、何も突っ込んだ——具体的にこれについてはどういう段取りで、そういうものを探し当てて、そうしてまた現存のものでやるのか、あるいはこれから作るものでやるのか、こういうようなことについてはどうなんでしょうか。
  40. 石田吉男

    石田説明員 具体的に何かお考えがありますかということを伺いましたところ、いや具体的にどうこうということを、どの機関ということをいっているのではない一、こういうお答えであったわけであります。
  41. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうだとすれば、やはり耕作審議会としても非常に無責任な建議をしたものだと言わざるを得ないわけであります。まあ川野先生に来てもらえないので、その点を追及するわけにもまた直接聞くわけにも参りませんけれども公社としてはそれじゃどうされるのかということについては、私どもも検討したい、これだけではどうも押し問答をするだけでちっとも前進がないわけであります。これは一体いつごろまでにそういう方向について一これを全く無視してしまうということには参らぬと私は思うのですが、いつになりましたら、大体どういう機関で検討をしてもらうというような結論が出ますか。その点承っておきたいと思います。
  42. 石田吉男

    石田説明員 この答申なり建議なりが出ましたのは、今月の十一日でございます。その後私どもも、年末に迫っていろいろほかのことでも忙しいことがあるものですから、従ってこの建議についてすぐどうこうという検討に入るいとまを持たないのでございます。できるだけ早く研究をいたしまして、何分の気持を固めたい、かように考えております。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その点これ以上押し問答をここでいたしても、時間の関係もありますのでいたしませんが、そのうちまたこれはすみやかに一つ公社としても責任を持って検討をしていただきたい。しかもずるずるべったりに延ばすのでなしに、やはり明確なめどを立てて、どういう方向でどういう機関でやるかということについての意思統一というものを公社公社なりに、何も大蔵省に遠慮する必要はないと私は思います。先ほど副総裁も誓われたように、公社がその気になれば、そのことを答申して一向差しつかえないわけであります。建議の内容というようなことをめぐってそういうお答えもあったわけでありますから、どうか一つめどをつけてこれを推進していただきたい、かように強く要望をしておきたいと思います。  さらに次の点は、今度の引き上げが一応一〇・一九%なされた。そこで、今監理官の説明によりますと、一日当たりの労賃というのは五百四円になった。第二黄色種は玉百四十八円になった、こう言われておりますが、たとえば第三在来種に例をとりまして、大体この労賃分というのは、一体十アール当たりの労賃がどれだけ必要であり、そして五百四円をそれにかけてみると大体どのくらいになるのか、この点を一つ示していただきたいと思うのです。
  44. 坂口精

    坂口説明員 第三在来種では三十七年度に実現されるであろうと推定されます一日当たりの労働報酬が五百十一円になっています。労働日数は九十四日ということになります。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうしますと、大体労働報酬はそれだけだとして、同じものに限定をいたしまして、物財費等はどのくらいに見ておるのですか。物財費その他その生産費の中に入る資本利子だとかあるいは公租公課であるとかそういうようなものについて……。
  46. 坂口精

    坂口説明員 生産費の調査は御承知通り三子五年の調査が最も新しいものでございます。そこで今度の価格算定には三十三年から三十五年までの生産調査に基づきまして、現時点までに、労賃の値上がりとか、物財費値上がり等でスライドしておるわけでございまして、正確なことはここでは出て参りませんが、生産費中の労働費を除きます生産費は、第三在来種では大体二万七千五百五十二円という数字が出  ております。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう数字の説明を受けましても、この産地の耕作農民は自家労賃がそのように評価されておるとはちっとも思わないわけです。これは一極の数字の魔術だ、現実に十アール当たりでいろいろ合わせますと約七万七千円くらいに反収ならなければ生産費に追っつかない、こういうことになるわけでありますが、今年あたりでも反収七万七千円なんというのはほとんど数少ない。ほんとうに少数のものしかそんなものにはなりません。一般的には昭和三十五年の平均が五万七千円から五万八千円というところであります。そういう状態の中でこういう算式を用いられて自家労賃をこれだけに見ておるんだ、こう言われても、これは何ともぴんとこない数字になっておる。このことがまず一つであります。さらに、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、たとえば今の方式でいきまして、大体黄色種の場合には夜間作業の分について二五%の割増しをやった、そういう問題が連続して一週間も続く、こういうことになります。これだって問題はあるわけであります。それだけ見たのは確かに前進であります。これは専売公社としても一種の審議会を通じての価格問題における一つの前進だとは思います。しかしながら、労働者は二十四時間勤務をすれば翌日は全然仕事をしないでちゃんと賃金はもらえるのであります。非番という制度はちゃんとあるわけであります。そういうものについては何ら考慮されてないはずであります。そういうようなことを考えれば、この一口当たりの労働報酬の算定の方式は非常に矛盾のある数字のごまかし、数字の魔術といわざるを得ないわけですし、五百十一円になったんだと言われても、これは現に耕作をしており、そして収納所にたばこを運んで現金を受け取る農民立場からは、五百十一円なんかとても当たっておるはずはない、こういうようなことで納得をされない数字だと思うのです。これは現実の問題として一体ほんとうに五百十一円になっておるのか、あるいは平均で五百四円になっておるのか、ここらについては非常に大きな疑問を持たなければならないと私は考えるわけです。こういうような労賃の評価がなされておるわけですが、しかも先ほど申し上げたように、農作物中労働を一番多用する作物である。しかも先ほど生産部長が言いましたように、今日小規模の経営者がどんどん脱落をしていくというような傾向は、この資料をとった三十三年−三十五年という時点と今日の時点においては労働事情は全く一変をいたしておると思います。農村においても地方開発の波に乗ってどんどん工場が誘致をされる、あるいはまた都市の賃金がいいというのでどんどん農村の労働力がたばこ耕作地帯も例外ではありません。むしろそういうようなところからよけいに労働力が流出をいたしております。しかもそれは都市労賃と農村の労賃における体験からきた格差というものをはっきり身をもって感じ取ってそういうように流れていくわけであります。そういうような事情というものは今非常にきびしくなっている一わけです。こういうようなことで五百十一円になったということも、大体ほかの臨時雇用員は四百三十四円だというような農林省の統計も、やはりこれは一種の数字の魔術が行なわれて、現実にはこんな安い賃金で雇えるというようなことはないわけでありまして、もうこれよりも少なくとも百円程度は値上がりをしているのが現実です。こういう現実から見て、労働事情が一年前とは一変しておる今日の段階に当てはめて妥当性を主張すると言われても、これは全く無理な数字であります。そういうようなことでなしに、現実に農村から労働力がどんどん流出している。しかも一期に第三在来種でも九十四日という数字は、葉のしをもう省略したので三十口ばかり節約をしたということからこの九十四日というのも出しているわけですけれども、しかしいずれにいたしましても、この労働力がどんどん都市に流出をする。こういうようなことから、この増反計画というようなものも、若い良質の労働力というものはどんどん出ていってしまって、おじいさんやおばあさんやあるいは子供たちの手によってたばこが細々と作られる。専売公社考えておられるような、兵同化あるいは機械化、あるいはその他の品種改良をやって多収穫をはかるとか、あるいは乾燥の合理化をはかるとか、こういうようなことに適応しない労働人口がたばこ耕作に当たるというようなことになって、計画それ自身がやはりそごを来たすのじゃないか。こういうような点についてほんとうに私どもはこの数字を信頼できない立場にあるわけなんです。この点もう少しこまかく一つ説明してほしいと思うのです。  それから今日そういう労働力の農村からの流出の状況というものをどのように把握しておられるか、この点をお聞きしたいと思う。
  48. 坂口精

    坂口説明員 五百十一円は、先ほど申し上げましたように、今回の新しい価格によりまして平年を推定いたしました一日当たりの労働報酬であります。先ほどもお話に出ましたように、葉のしを省略いたしまして、非常に飛躍的に一日当たりの労働報酬が上がっておりますので、五百十一円とは高過ぎるじゃないかというようなことでございますが、三十五年が第三在来種が三百十円、三十六年は今収納中でございまして推定になるわけでございますが、三百八十三円、三十七年は、今度できました価格で参りますと、葉のしをいたしませんので、一日当たりの労働報酬が五百十一円、こういう計算が出て参ります。その他数字につきましては非常にこまかくなりますので省略さしていただきたいと思います。
  49. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 こまかいのをちょっと聞かして下さい。
  50. 坂口精

    坂口説明員 御承知のように、生産調査は六年ももちろんございませんし、七年もあるわけではございません。三年から五年までの生市費調査を、物財費、は経営パリティで延ばしますし、労働費は労賃の値上がりによって延ばして推定しているわけでございますので、十アール当たりの家族労働報酬は、三十五年が三万六千百五十三円、三十六年が推定で四万四千七百七円、三十七年で実現されるであろうと思われますのが四万八千四十六円、こういう数字が出て参ります。
  51. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 労働力流出の状況一つ
  52. 坂口精

    坂口説明員 これはたばこに限りませず、農業一般について地すべり的といったようなことも言われているくらい、最近労働力が都市へ流れているというふうに見ております。たばこ耕作者は、他作物よりも非常に労働力を多く要しますので農家の一戸の全体の労働力を考えますと、大体一定の週期をもちまして労働力の非常に大きな変動があると思います。年とって農作業につけなくなったとか、あるいは新しく農業に従事する若い人ができたとか、最近はそれが非常に減って参っておるわけでありますが、そういうことで一家の労働力は一定の週期をもちまして非常に変動があるわけでございます。たばこ耕作に当たられる耕作農民は、従来非常に耕作の希望の旺盛な当時、反別の増減がない時代でも、大体二%ないし四%の耕作者は新陳代謝が行なわれておったわけでございます。これは非常に耕作希望が旺盛でずいぶん希望を断わっておった時代ですら、反別の壊滅のないときでも、三、四%の新陳代謝はあったわけでございまして、こういったことがそれを証明しているのではないかと思います。その当時は都市の方へ労働力が流れ出すというようなことはない時代でございますけれども、やはり相当労働事情のいいときに、たばこというものは経営に取り入れられる作物である、こういうことが、言えるのではないかと思います。それで三十二年から三十五年までの四年間在庫過剰で減反いたしたのであります。市来種はほとんど減反計画的にはいたしておりませんが、黄色種において四%ないし八%程度減反をしたのでありますが、そのときの減反のいたし方が、これは大へん御質問からそれますけれども、できるだけ従来の耕作者犠牲をかけることを少なく減反いたしたいということから、新しく耕作に参加される方にまずお待ち下さい、従来の方々が意に反して減らさなければならぬということがなるべくないように、自然に希望でおやめになる方が三、四%あるわけですから、なるべくその自然の希望でやめられる方で計画的に減反をやっていきたいということから、新しく参加される方を拒んだと申しますか、新規耕作者の参加をその間は一時お断わりしたわけであります。そういうことで、やはり従来からたばこを作っておいでになる方は、乾燥室その他の設備がございますので、そういう方に御迷惑をかけるのはまずいということから、そういう方策をとったわけでありますけれども、そのことが農村労力不足たばこ耕作の方に非常に強く影響しておる一つの原因をなしておるというふうにも私どもは見ているわけでございます。やはり週期的に二月の労働事情が変わって参りますところへ新しく参加される方をやはり拒まざるを得なかったということは、新しく参加される方は、いわば耕作者としては青年期にあるわけであります。労働事情がだんだん好転してくる農家の方々でございまして、その方々は将来増反をするとかいう要素があるわけであります。その成長期にあるその耕作者の方をしばらくの間参加を拒んだというのがちょうどこの農業構造変化のときに際会いたしまして、その影響がかなり現われているのではないかというふうに見ておるわけでございます。
  53. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 生産部長もだいぶその点苦しい答弁をなさっておるようでありますが、実はことしの夏でありましたが、那須で栃木県の農村青年の研修大会が開かれまして約二千人の農村青年が集まりました。ここへだいぶ農村の女子青年も集まったわけでありますが、たばこの問題の分科会が一つできた。その中ではこぞってたばこ耕作地帯には私どもは絶対にお嫁には行きません。従ってもうそこに割り当てられた農村の女子青年の人たちは、たばこの問題では私どもはもう聞くだけでたくさんですからということで、そこへ参加した人は皆帰ってしまって別の分科会に行ってしまった。そういうようなきびしい現実というものが今日たばこ耕作地帯にあるわけであります。谷川さんは先ほどいろいろ数字をあげられて、しかも農林統計を引用された。その限りにおいては現われた数字は確かにそれは正しい、掛け値なしのことを言っているのだと思います。しかしその数字調査の仕方、それから時期的なずれ、こういうようなものをやはり無視されているという誤りを犯していると思うのです。現実にはしかもそれがあくまで今一番苦しい、貧しい農村の中の低賃金というものを前提にしてたばこ耕作者を合わしてみて、たばこの方がむしろいいのだいいのだ、こういうことではちっとも今の高度経済成長政策あるいは所得倍増計画、こういうようなものは一体何のために作られておるのか。これは農村と都市労働者間における格差を解消しようということがこの計画の重要な柱になっておる。そういう問題については何ら前進的な見解を示されない。そうして今日まで非常に低賃金に置かれてきた。そういうものを基準にしてたばこ耕作農民の労賃というものを比較されているわけであります。これはちっとも耕作農民に対して夢を与えるような、そうしてまた希望を与えるような芽というものは何らそこからうかがえないわけで、こういう格差を解消するのだ、こういうようなことから、これは当然そういう角度からものを見ていただかなければ、大蔵省の立場というものはもうきわめて冷酷な、単に専売益金を上げさえすればいいのだ、耕作農民についてはほとんどあたたかい配慮というものは何らなされていないという大蔵省の立場があるだろうと思う。そういうものをやはり打ち破る形というものが出なければ、これは高度経済成長政策がそういう面から専売のこの事業についても露呈されてくるのではないかと考えるわけであります。都市労働賃金とこの五百十四円というものを比較するということになりましたら、これは明らかに差があるし、また米を生産しておる農民の一日当たりの手取り賃金とを比較いたしましても明確な差があるわけであります。ことしの米の算定に用いられますものも、確かに九十八円二十八銭かそこらになっていると思います。こういうような時間給というようなものと関係をつけてみましても、はなはだしい差がまだあるわけであります。たとえば五百十四円というものをかりにそのまま信用いたすといたしましても、都市労働賃金との格差は依然として大きな格差がある。しかも米作農民の一口当たりの労働報酬との間に大きな格差がある。この点ははっきり認められただろうと思うのです。このことを解消していくという立場に立ってやはりたばこ耕作の場合もこの点についてのギャップを埋めていく、こういう積極的なかまえが大蔵省にあるのか、また公社は今度上げたのでこれだけになったと大へん満足されておるような見解を示されておるようですが、それでいいのかその点を耕作農民の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。
  54. 谷川宏

    ○谷川説明員 農業政策の基本的な方向としては、農業所得を都市の所得にだんだん近づけていこうということが政府のとっているところであろうと思いますが、具体的に個々の農作物につきましてどういう形でそういう方向に持っていくかということについては、相互の関係あるいは農業全体をどう扱うかという基本的な問題と非常に密接な関連がございまするので、葉たばこについて一挙に部市と均衡をとった労賃まで持っていくということを今直ちに実行するわけには参らないわけでありまして、そういう農業全体のあり方、その中において葉たばこ耕作者をどういうふうに位置づけて見るかということを慎重に研究して参りたい。ただ葉たばこ収納価格につきましては、再々申し上げておりますように、たばこ専売法の規定しておりますように生産費はもちろん重要視いたしますけれども物価その他の、需給関係その他の事情も十分考慮しながら粗収入がどの程度あるか、あるいはほかの農作物との関連において粗収入がどうであるかということもあわせて重要な要素として考えながら総合的にきめていく。そのためには理想的な算定方式はどういうものであるかということを慎重に今後とも検討して参りたい、こう思っております。
  55. 石田吉男

    石田説明員 ただいまの御質問は非常に端的な御質問でございまして、結局、葉たばこ収納価格をきめる場合に部市労働賃金をとったらどうか、こういう御意見だろうと思います。私ども生産費・所得補償方式をとれという御要望もそういう意味合いに受け取って考えておるのですが、結局どういう方式をとって収納価格をきめたらいいかということと同じ問題でありまして、その点だけを取り上げてどうだと言われましても、非常にお答え申し上げかねるわけであります。先ほど来申し上げております収納価格計算のやり方等について、どういう方式をとり、どういう計算をやったらいいかということを今後十分検討して参りたいと思っております。その検討に従っておのずから対策も出てくるだろうというふうに考えておる次第であります。
  56. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あと武藤委員有馬委員からもこれらの問題をめぐって質問がありますので、私そろそろやめたいと思うのでありますが、これはあくまでたばこ耕作農民の所得、そうしてその生活の程度、こういうようなものを他産業の労働者との格差をなくする、こういう建前から、しかも国家的な高度成長政策という建前から立てられておる。こういう中でやはりこの問題も解決していかなければならぬと思うわけでありまして、そういう点で最も適当なものは生産費及び所得補償方式である。まさに今総裁が言われたその通りであります。そういう点で大蔵省あたりも、今までのような生産費・所得補償の方式は奪う困難なんだ、今の農産物価格体系からいって、なかなかむずかしいんだ、これ一点張りでなしに、もっと柔軟な態度で、そういう大きな国家政策というものの中で、これは当然そういう方向に進むべきであるということははっきりしている事実なんですから、しかもそういう政府を今現に政府はやっているのですから、それをたばこの問題では全然抜きにして、価格問題を論ずるということは、本末転倒もはなはだしいわけです。そういう立場から、この点をできるだけ早い機会に、生産費・所得補償の方式に移行をいたしまして、いつでも農民が喜んで増産に協力できるような、また農民がその生活水準において他産業に劣らないようなところまで引き上げる。しかもそれは米の次はやはりたばこから始めなければならない。理由は先ほど述べたわけであります。そういう立場からも、国家独占の事業の中でそういう問題を解決していくということにまず手をつけられることが一番必要だ、こういうところだろうと思いまするので、その点を強く要望いたしまして、一応私の質問は、その他の問題については次回に譲りまして、あと武藤委員有馬委員質問に移っていただくようにお願いしたと思うわけであります。  以上で私の質問は終わります。
  57. 小川平二

  58. 武藤山治

    武藤委員 もう時すでに十二時半になんなんとしておりまして、十二時から一つ会合を予定しておりますので、意を尽した質問はできませんから、資料提出の要求をいたしておいて、後ほど親切な具体的な資料を提出願いたいと存じます。  そこで簡単に尋ねておきますが、今谷川参事官やさらに生産部長たばこ価格はやや妥当な収納価格だというようなことをしきりに弁解これ努めておるようでありますが、私ども調査によると、大へん不満足な、非常に欠陥の多い算定ではなかろうかと思うのであります。  そこで一つ資料として提出願いたいのは、過般の審議会に提出されたたばこ耕作審議会資料の最後から二枚目のページに、昭和三十五年度の農産物の収益性の比較が出ております。これを見ますると、たばこの場合には、農林省調べによっても、十アール当たり、一反当たり、マイナス四千六百二十円、第一在来種がマイナス一万九千百八十五円、第二在来種がマイナス七千三百一円、第三在来種がマイナス三千八百三十五円。純利益の出ておるのは、第一黄色種、第二黄色種、これが五千百七十五円、五千五百五十八円、黒字になっておる。他のたばこは赤字生産ということにこの資料にはなっておる。これも専売法に規定する正当な収益を得させる目的で栽培をさせておるのかどうかという疑問が出て参ります。そこで、いや三十六年度は引き上げをしたから、かなり今度は純利益も出ておるんだ、おそらくこう反論をすると思いまするから、三十六年度の引き上げによって、これと同じようなデータに作った場合には、どの程度の反当たりの純利益が出るのか、この点をはっきりお示しをいただきたいと存じます。  それから一番問題になるのは、どういう農家を公社が抽出しているかということに大きな論争点があろうと私は思うのです。皆さんの方から出した資料は絶対間違いないといっても、たばこ耕作者全体から生産費なりその金利なり固定資産税なりの基礎を算出しているものではないのであるから、この抽出の仕方、対象の農家によってかなりこの基本的な数理に私は違いが出てくると思います。その点についてどういう農家を抽出しているかということも、審議会提出の資料にはほとんど書いてありませんから、これももっと具体的にわれわれに示してほしい。  それから第三に、この間の審議会でいろいろ要望されております中で、葉たばこ乾燥室建設費の増額、乾燥バーナー施設に対する助成、近代化のための資金の低融資、指導体制の充実、増反拡大に要する経費の増額、こういう項目が五つ要望として出されておりますが、今予算編成の途上で大蔵省は徹夜で審議をいたしておるようでありますから、公社としても当然予算要求をいたしたと思います。この点について今ここでこの項目について大体どんなことを考えておるのか。金額にしてどのくらいのものを大蔵省に要求しておるか。そういう公社側のはっきりした見通し、予算要求の内容をまずここで御回答いただきたいと思います。それによってさらに資料要求をいたします。
  59. 石田吉男

    石田説明員 各項目につきましてただいま予算要求をいたしておるわけでございますが、ここに持って参っておりませんめで、金額につきましてはちょっと申し上げかねるのでございます。
  60. 武藤山治

    武藤委員 金額について言えないというならば、もっと大まかでよろしいから、直接耕作農家に手渡ると思われるような予算額、たとえば収納金額も入れ、こういう補助金も全部入れて、三十六年度と七年度を比較した場合に、どのくらいの増額要求をしているか。
  61. 坂口精

    坂口説明員 収納価格の点では、三十六年度と七年度の値上げによりまして約四十九億円ふえるということで、要求いたしております。そのほかの乾燥室の補助金とか、また委託費として、耕作者の方々にいろいろ公社が仕事を委託してそれをお支払いをするわけでありまして、これらの金額につきましては、ただいまこちらに数字を持ち合わせておりません。
  62. 武藤山治

    武藤委員 数字を持ち合わせておらぬというけれども、あなたは当覇者であり、最高の責任者が、昨年の要求と比較してどのくらい増額要求しておるかわからないという話はないと私は思う。決して秘密のことじゃないんだから、その程度のことはこの委員会質問によってお等えしても、決してあなたの成績にさわるようなことはないと思いますから、そういう点も明らかに指摘してもらいたい。どうしてもできないというのならば、けっこうでございますから……。  次に三十七年度の耕作面積の計、画でございますが、農民の実績を見ましても、皆さんが計画した目標は大へん事実に反する計画であって、七・二%も目標が達成されていない。マイナス四千四百二十八ヘクタールも計画未達成となっておる。しかるに来年度の増反計画はさらに一一・七%の増反計画を審議会できめております。マイナス七・二%も目標を達成できなかったのに、本年は一一・七%の膨大な目標が達成できるのかどうか。本年度大幅に収納率を一一・何%も引き上げたら、農家はみな公社の言うことを聞いて増反に協力するんだ、そういう甘い感じでこのような増反計画が達成できるかどうか、私はその点についてかなりの疑問を持っております。おそらく増反計画も全国的な趨勢はやや把握できたと思うので、この点の目標は何%くらい実現できると思っておるか、この点の生産部長の見解はどうですか。
  63. 坂口精

    坂口説明員 昨年公示面積に対しまして七・二%の不充実があったということでございましたが、これはそうでございますが、今回の二・七%の増反をいたしましたのは、今年の実反別に対してでございます。それですから公示と公示とを比べますと、三十六年度と七年度は約二千ヘクタール、六万一千三百六十五に対して六万三千五百八十であって、公示は六年と七年では約二千ヘクタールしかふえていない、こういうことでございまして、検査面積に比べまして二・七%、公示はわずかな増ということになるわけでございます。  それから三十七年度の面積拡充の見通しでございますが、先般現地の担当者を集めまして会議をいたしたのでございますが、黄色極、在来種、バーレー種、三種類のうち、黄色種は大体計画面積をやや上回る希望がある、在来種の方は多少の困難はあっても大体計画面積は埋まるであろう、バーレー種の方においてはやや計画面積を埋めかねるのじゃないか。まだ三十七年度の価格の決定を見ない前の会議でございますが、出張所ごとに精細に調べて、そういう結果を得ておりますので、大体その後価格の引き上げもいたしておりますし、公社といたしましては来年度の六万三千五百八十ヘクタール、これは全種数を通じての六万三千五百八十ヘクタールは十分拡充ができるというふうな見通しをただいまのところは持っておるわけでございます。
  64. 武藤山治

    武藤委員 その計画が達成できるかどうかは、もう少し推移を見ればはっきりした答えが出るわけでございますから、それはここで論争をしてもいたし方ありません。私はこの審議会の資料をこまかに一項目ずつ生産部長と二日間がかりで一緒に検討しないと、どこに実際の農家の要求点と公社考えておる点とズレがあるかということが皆さんに認識できないと思うんです。ただ抽象的な論議を展開したのでは、なるほど公社考え方はここを変更しなければならぬなという認識を皆さんにさせることができないので、日をあらためてゆっくり項目別に全部にわたって一応この基礎を知りたい、こう私は考えている。  ただ一つ参考までに伺っておきたいのは、この収納価格決定の基本方針昭和三十三年、三十四年、三十五年、この三カ年度を大体基準にしてスライドした算定方式でありますが、こんなに古い、三十三年ごろの事情を——あまり長くとればそれだけ農民の方には不利なんですよ。これを三十四年、三十五年、三十六年の九月なら九月まで、こういう計算にしますと、引き上げ率はもっと多くなるはずであります。もっと現実に近づいた率が出てくるはずであります。従って、私はこの三士二年を基準の中に入れるという考え方をやめて計算をしてみてもらう、昭和三十四年、三十五年と三十六年、本年の九月までくらいを基準にしてとってみる、そうなるとパリティ指数や何かにもかなりの動き、違いがありますから、私は引き上げ率がもっと多くなるような気がする。その点を三カ年間でなければならぬというおきては別にないのでありますから、そういう点で一つ生産部長の方で計算をし直してみて、それでいくとこういう工合になりますというその資料一つお示しを願いたい。これが第三の資料の要求であります。  それから固定資産税とかあるいは利子、こういうようなものの計算の基準も、全国的な趨勢を見ると、たとえば本年固定資産税の評価額が三%の引き上げになっておる。そういうものが見込まれておらないわけです。そういう点でももうかなり指数に変化があるわけです。さらに農機具の取り上げ方などもたばこに使う農機県はこの範囲までだということで、たとえばカルチベーターの償却を十年もみておるというような償却の仕方では、これはとても百姓の立場から見たら、がまんのならぬ数字の取り方なんで、そういう点の論議をじっくり聞かせてもらわぬことには、みなさんがこの算式はいいんだ、公社のはやや妥当な収益を得させておるのだといっても、農民はぴんとこない、われわれもぴんとこない、こない理由はそういうところにあると思う。きょうは十二時半までで、もうすでに十二時半でありますから、そういう問題について公社の親切な回答を聞くわけに参りませんが、一つただいま申し上げましたような三つの資料を文書にしてお示しを願いたいと思います。それに基づいて副総裁生産部長に、二日間ぐらいみっちり一つ一つ資料について御質問をいたしたいと存じます。  それから谷川監理官がいらっしゃいますから、通告しておりませんが、ちょっとお尋ねしておきたいのでありますが、ショウノウの専売の問題であります。前に委員会で、私この問題で質問いたしましたときに、自民党と社会党の議員の意見が一致しまして、ショウノウの問題はなるほど今日再検討する必要がある、こういうことの意見が一致したわけであります。決議もしようということに相なったわけでありますが、休会になってそのままになっております。そこでもう検討済みで、公社側なり大蔵省側でショウノウの問題をどう処理しようとしておるかという、やや判断ができておると思いますので、その点を谷川さんにお伺いしておきたいと思います。
  65. 谷川宏

    ○谷川説明員 ショウノウの専売制度をどうするかという問題は、なかなか影響するところも大きい問題でございますが、三十七年度予算編成につきまして自由民主党の政調会長から大蔵大臣に対して、いろいろな問題の中の一つといたしまして、ショウノウの専売制度廃止を検討すべきであるということのお申し出があったわけでございまするので、ショウノウ専売制度を廃止する場合において、どういう措置を講じたらいいか、どういう法律の形にしたらいいかということにつきまして、目下慎重に検討を加えておるわけでございまするが、一番大きい問題は、何と申しましても廃止した場合に、生産者に対してどういう援護措置を講ずるかという問題と、廃止した場合にショウノウの生産ががた落ちになっては、日本の産業として困る面が出て参るわけでございます。と申しますのは、現在におきましてもショウノウの需要は決して減っておらないわけでございますので、あくまで生産を確保しながら専売制度以外の方法で生産をするにはどういうことにしたらよろしいかということなとにつきまして、目下慎重に検討を加えておりまして、今ここで申し上げるまでの段階に至っておりませんので、さよう御了承いただきたいと思います。
  66. 武藤山治

    武藤委員 まだここで内容については御答弁を伺いたいことは思いませんが、この通常国会中に法案を出そうという姿勢で現在事務を進めておるのか、それとももっと先へ延びてもいいというかまえで検討しておるのか、その点はいかがでございますか。
  67. 谷川宏

    ○谷川説明員 今の問題につきましても、政府として今度の国会に出すかどうか、目下検討を加えておりまして、与党、自由民主党の政調会とも十分連絡をとりまして、自由民主党の方から社会党の方にもおそらく御相談があると思いますけれども政府として検討を加えると同時に、自由民主党側の御意向も十分お聞きいたしまして、どうすべきかを措置したいと思っております。できるだけその御要望に沿ってやりたいと思いますので、今度の通常国会に出した方がよろしいという御意向であれば、そのようにしたいと考えております。
  68. 武藤山治

    武藤委員 そこで私は谷川さんに一つ要望しておきたいのでありますが、御承知のようにショウノウの第二次加工会社に、与党の代議士の非常な近親者が社長をやっておったり、組合長をやっておったり、いろいろそういうコネがあるわけです、私たちの調べでは。従ってこの補償の問題をめぐって何か政治的な動きが強くなって、その補償金が正当に業者に渡らぬという危険を私たちは感ずるのです。ですからそういう点を十分考慮して補償金の額の算定、さらにそれの支給の方法、そういうような問題に対しては政治的な汚職のにおいなどが決して起こらぬという、一つ保証のある立場で検討願いたい。そういう点を十分御考慮願いたいということを要望して、以上質問を終わりたいと思います。
  69. 坂口精

    坂口説明員 さっき武藤先生の、三十六年度の生産費を計算した場合と、こう資料を御要求になったわけでございますけれども、三十六年度収納が三月一ぱいで終わりまして、生産費がまとまりますのが三十七年の六月ごろになるわけでございます。それでやむを得ず、まとまった新しいものが三十五年ということでやっておりますので、三十六年の分で試算するという分はちょっといたしかねますので、三十六年の生産費で試算をしたらどうなるか、こういう資料を出せとおっしゃったのですが、六年の生産費は七年の六月ごろにならないとまとまらぬ……。
  70. 武藤山治

    武藤委員 そうじゃないのだ、僕が言っておるのは、現時点でわかる範囲といえば、三十六年の九月なら九月まで、あるいは十月なら十月までの資料がみな集まれば、なるべく三十三年というものは切り捨てて、四年、五年、六年のできるだけ近時年を取り上げて計算をすると大へん率が変わってくるということを言っておるわけです。だからわかっている範囲でいいんですよ。あなたが作成する資料を一月の二十日ごろまでに僕の手元に渡るようにしたいというのだったら、十月までしかわからぬ、あるいは十一月までわかっておる、その数字を取り上げたという一番近い、把握し得る数字基礎にして算式を出してもらいたい、そういうことであります。
  71. 小川平二

    小川委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会