○滝井
委員 浅くて、業者が小さいだけに、実をいうと被害は大きいのです。それは総体の金額は小さいけれ
ども、被害は大きいのです。従って租鉱権者にとっては大へんな負担になる。租鉱権者の方は鉱業権者より、もっとやれないのです。結局これは無資力とかなんとかいうことになるだろうと思いますけれ
ども、無資力や何かになったときは、これは大へんなんです。
今井さんのところへお百度を踏まなければなかなかできないことになるわけです。だから、撤退作戦をおやりになるとするならば、もう少し親心のある政策を打し
出してもらわないと納得ができない。
それから、合理化法の三十三条では、金銭の支払いを受ける資格というのは、「買収の日以前三月以上引き続き従事していた鉱山
労働者であって、その買収の日後二月以内に解雇されたもの」で、三十日分の離職資金を出すわけですね。この買収の日というのが非常に問題になって、はなはだしいのは、買収の日というものがずっと二年も三年もきまらないのですから、従って、この離職金の恩典を受ける
労働者が非常に少なかった。
指摘したように、大手のごときでも、閉山をして全部の
労働者を解雇しておいて、次に
田口さんの方に買ってくれと出すのですから、そこには
労働者はいないわけです。
労働者は、山は炭がなくなったから閉山するといっても、まさか合理化にかけようとは思っていなかったのに、
労働者の首を切った
あとに、閉山だ、買い上げてくれ、こういうのが出てきた。そこでわれわれは、けしからぬ、前にさかのぼって離職金を支払いなさいと言ったが、法律が買収の日となっているからどうにもならない。それを今度は三十五条の七で、「売渡しの申込みの日又はその交付金の交付の申請の日前三月以上引き続き従事していた鉱山
労働者であって、その売渡しの申込みの日又はその交付金の交付の申請の日以後当該買収の日又は当該交付金の交付の決定の日後二月を経過した日までに解雇されたものに対し」離職金をやる、こういうことになっております。そうしますと、これは前よりか幾分弾力が出たような感じがするのですけれ
ども、大して変わらないですね。これは今までの方式では困るということでないわけです。さいぜん言ったように、閉山をして、炭はありませんといって
労働者を首切ってしまって、その
あとでいつの間にか売ってしまう。そうすると、お見舞金よりか少ない金をやればいいはずなのに、あにはからんや、トン当たり千三百円で買うのですから、こういうふうに鉱業権者のためには至れり尽くせりの手を打ってやるが、被害者のためには何の救済の手も打ってやらないのが、
政府の政策ですよ。だから私は、これではいけませんというのです。今度、保安のことになるとますますむずかしくなる。保安の
調査に行くと、これは大へんだというので、
労働者が右往左往するわけでしょう。こちらの方は、あまりきちっとしたあれがないわけですね。保安の十六条の方は、「鉱業を廃止したことにより解雇されたものに対し、」こういうことになるわけです。だから、この線の引き方を一体どうするかということです。できるだけ
労働者に有利にしてもらわぬと困る、こういうことになる。この合理化にかかるためには、山がとにかく歩いておかなければだめなんです。現在
田口さんの方に申し込んで、ポンプ・アップをしておる山は、二百万トンくらいでしょう。これは歩いておかなければ、ポンプ・アップしておかなければ、もう閉山をしてしまったようなことになって、買い上げてくれないことになるわけでしょう。ポンプ・アップしておるわけです。そうすると、去年かおととし申し込んで、ポンプで水だけ揚げているというところには、もう
労働者はいないわけです。ところが、申請は一年も二年も前にしているのです。ところがこれは三カ月と二カ月だから、そんなものは空文になってしまったわけです。そして、一体これはだれがもらえるかというと、組夫です。組を作っておる何々組というのがきて、ポンプで水を揚げていますよ。A鉱業株式
会社の
労働者じゃないのです。A鉱業株式
会社がやめるときに、今度はB直営組というようなのを作って、その
労働者にポンプ・アップその他、保安というのですか、撤退作戦をやる仕事をやらせるわけです。そうすると、もともとその山の
労働者ではなくて、全く違ったものが、その閉山をする時点においては、前三カ月、
あと二カ月のときにはおるわけです。その株式
会社の本来の
炭鉱の
労働者でない人が、今度はこの離職金を受けることになるのです。こういう矛盾が出てきているのです。だから私は、こういう抜け道を防ぐためには、何か手を講じなければいかぬと思うのです。少なくとも、この山は終掘いたしましたと言って、閉山をしたときにおった
労働者、その前三カ月あるいは
あと二カ月におった
労働者とか、何とかこうして閉山をしたときの山の
労働者に恩典を浴させなければ、とてもこれではいかぬのです。これは何回も
指摘をしたのですが、まだ変えてないわけですね。これは問題がありますよと
指摘をしたのです。私は福岡のあれに行って、一ぺん大げんかしたことがあるのです。
労働者はみんなもらえない。もらえるのは、
あとから入った組夫だけだ。こんなばかなことはない。それは大手ですよ。だから、
田口さんの方に旧方式で申し込んでおった
炭鉱が、今度の新しい方式にみんな変わり始めたんです。今、新しい方式に変わるという意向を示しておるものが、百万トンくらいありますよ。旧方式で百八十万トンくらい申し込んでいたもののうち百万トンくらい、もう新方式に入りたいということなんです。そうすると、何ということはない、そこに働いておった
労働者というものは、この恩典に浴さないのです。こういう盲点がこれにはあるのです。これは労働基準法だから、当然
福永さんの方に
関係があるわけですよ。こういう状態ですよ。だからもう少し
福永さんの方も、合理化による閉山の未払い
賃金、退職金、離職金の問題については、目を光らせてもらわぬと困るわけです。通産省が
石炭業者となれ合いとは言いませんけれ
ども、あなたの方が目を光らせておると、通産省もここらあたりをもう少しうまくやることになるのです。離職金だけはもらえると思って、みんな待ちに待ち望んでいた。ところが、いよいよ山を買い上げられてみると、君らだめだ、この法律によってもらえないというので、みんな泣いておるのですよ。こういう買い上げられるような
炭鉱で、未払い
賃金その他があるのですから、一カ月分というと、一人について二万、三万の
賃金なんです。大きいわけですよ。だから五百人も六百人もおりますと、何百万という金が出るわけです。だから、
労働者は待望しておるのです。ところがいよいよ買い上げられてみたらもらえないというので、われわれが食ってかかられる。何を
先生たちぼやぼやしておった、こうなるのです。だから、われわれは苦い経験をあまりにも持ち過ぎておるので、あつものにこりてなますを吹くような辛らつな
質問をせざるを得ないようなことになるのです。ここらあたりだって、もう少し弾力的にやってもらわぬことには困るわけです。