○田中(武)
委員 今の局長の
答弁、そういうことなら一応了承しておきたいと思うのです。しかし、これは少なくとも人を罰する
規定なんです。従って具体的にこういう場合がある、あるいはこういうことが予想される、こういうことでなければあまり罰則
規定なんというものを簡単につけてもらっては困る、こういう
考え方なんです。
引き続き三十六条
関係ですが、ここには一号から五号まであげられておって、「その違反
行為をした
事業団の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。」ということなんです。ところが役員は一応わかります。職員について一体考えられるかということなんです。まず第一号を見た場合に、「この
法律の
規定により
通商産業大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。」こうあるのです。この
法律によって必要とする場合は
通産大臣の認可又は承認を得るわけです。抜き書きしてみますと、まず四条の増資の場合、十四条の役員の兼職禁止の場合、二十一条の
業務方法書の作成、二十三条の
予算等の認可、二十四条の財務諸表の作成、二十八条の給与及び退職手当の支給の基準の作成、ほかにあるかもしれませんが、大体こういうところなんです。この今読みました許可、認可を必要とする場合、たとえば増資の場合、役員の兼職、
業務方法書、以下ずっと見ましても、役員はやらなければならないが、職員として犯す可能性があり得るかということなんです。この
法律によって義務を負わされているのは、
事業団という法人である。それの執行機関たる、意思機関たる役員がそれをきめて、そうして行なうわけなんです。ところが職員がはたしてこういう場合に、今あげたような事例で、もし——それでは、こういう場合には職員があり得るのだということがあったら
一つ聞かしてもらいたいと思います。それから二号を見ますと、「第五条第一項の
規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。」こうある。そして登記については、本法第五条に
規定があって、この
法律が通れば、これに基づいて出るところの産炭地域振興
事業団登記令というのがある。その七条に、登記申請人は
理事長とすると、あなたはもうちゃんと政令まで用意しておられるわけです。そうすると登記は、
法律によっては
事業団に課せられたる義務である、しかもその申請人は
理事長である、この場合に職員が違反する余地があるのかどうか。たとえば登記所へこの書類を持っていけ、こう言われたやつを途中でサボった、こういう場合がこれに当たるのか当たらないのか、私はこういう場合は当たらない、むしろそれは内部的な職務
関係だと思います。さらに第三号ですね。「第十九条第一項及び第二項に
規定する
業務以外の
業務を行なったとき。」こういうのがある。これはあり得るかもしれない。しかしこれも突き進めていくならば、役員はともかくとして、職員の場合は、やはり内部の
業務命令
関係もしくは背任罪といったようなことに発展していくものではないか、従って具体的にこんな
行為をしたとき、こういうことが出てこないわけです。三号の場合は比較的、こじつければあり得るかもしれない。それから四号ですね。「第二十七条の
規定に違反して
業務上の余裕金を運用したとき。」これも職員について余裕金を運用するということがあり得るか、もしありとするならば、これは横領罪を構成する問題である、あるいは背任罪を構成する問題であって、ここにいうものではなかろうと思うのです。さらに五号ですね。「第三十条第二項の
規定による
通商産業大臣の命令に違反したとき。」こういうのがあるのですが、これは三十条によって
通産大臣が
事業団に命じた命令なんです。それを執行すべきは役員、
理事である。そう考えてきた場合、こじつければ一、二はあるかもしれないが、一から五まではたして具体的に職員として違反する事項はこれだ、こういうことがある、そういうことがあったら示していただきたい。ちょっと考えられないわけです。
そこで、私が問題にするのは、そういうことではなくて、これと同じ
規定が、あらゆるこの種
事業団あるいは基金特殊法人にあるわけなんです。これはむしろ原局の
石炭局長に詰め寄るべき問題でなく、内閣法制局に対して言うべきではなかろうかと思うのですが、ともかく前にこういう罰則の
一つの型があるわけです。それをすべての特殊法人のときに持ってくるわけです。少なくとも人を罰するのです。たとえ過料にしろ、三万円以下にしろ、罰するのです。それを一々
検討もせず、前にあるやつをここにくっつける、ここにもくっつける、こうやっておる。ごらんなさい、特殊法人にはみな同じ
規定があるのです。そういうことで
法律を作られては困るじゃないか、少なくとも人を罰するのだから。しかも刑法上の罪刑法定主義からいけば、
法律ができて初めて罰することができる。その罰則をそういう無感覚でやられては困る、こういうのが私の質問というか、感じなんです。そこで
石炭局長に、三十六条一号から五号まで、職員としてこういう場合があり得るということがあるなら、
一つ聞かしてもらいたい。
それから、
通産大臣がおられないから政務次官に伺うが、これはあえて通産省だけじゃありません、あらゆる特殊法人に対して、同じ格好のものを無意識に入れておる。これは法制局に対して私はかって文句を言ったことがあるのだが、今後はこの種罰則については、そのつど
一つ検討して、尋ねられたらしかるべく、それはこういう場合があります、こういうことが予想せられますというようなものを
検討して、入れてもらいたい。ただこういう法令があるからこっちへ持ってきたということではどうも承知できない、こういうことなんです。いかがでしょう。