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1962-03-23 第40回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十三日(金曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 岡本  茂君 理事 齋藤 憲三君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 中村 重光君       浦野 幸男君    海部 俊樹君       藏内 修治君    小泉 純也君       澁谷 直藏君    白浜 仁吉君       中村 幸八君    濱田 正信君       井手 以誠君    田中 武夫君       滝井 義高君    松井 政吉君       渡辺 惣蔵君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (石炭局長)  今井  博君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      八谷 芳裕君  委員外出席者         通商産業事務官         (石炭局炭政課         長)      井上  亮君         通商産業事務官         (鉱山保安局管         理課長)    小林 健夫君     ————————————— 三月二十三日  委員周東英雄君及び舘林三喜男君辞  任につき、その補欠として海部俊樹君及び浦野  幸男君が議長の指名委員に選任された。 同日  委員浦野幸男君及び海部俊樹君辞任につき、そ  の補欠として舘林三喜男君及び周東英雄君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  産炭地域振興事業団法案内閣提出第七七号)  鉱山保安法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二四号)      ————◇—————
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出鉱山保安法の一部を改正する法律案議題として、質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 鉱山保案法の一部改正法律案について御質問いたします。  相次ぐ炭鉱災害によりまして、かねて通産大臣並びに鉱山保安局長より保安法抜本的改正を行なうということが言明されてきたわけであります。ようやく保安法の一部改正案が出されたわけでありますが、その改正案内容を見てみますと、中央保安協議会中間報告である、その中間報告に基づいて改正案を提案した、こういうことでありますけれども中間報告であるといたしましても、きわめて簡単な法律案になっておるわけです。私どもといたしましては、保安の非常な重要性ということから考えてみまして、保安局長が今日までこの協議会に対してどのような態度をもって折衝に当たっておったのか、抜本的改正というものを当然今度の国会においては出すべきではなかったか、これが中間報告であるといたしますと、抜本的改正というものはいつごろ大体出す予定か、また、どういったような構想で進められておるのか、それらの点に対して一応お尋ねしてみたいと思います。
  4. 八谷芳裕

    八谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の中にありましたように、保安法改正につきましては、中央鉱山保安協議会通産大臣からいかなる点について保安法抜本的改正をはかるか、こういう諮問をしたわけでございます。それにつきまして、この中間答申が出て参ったわけでございます。しかし抜本的改正と申しましても、鉱業法とそれから保案法と両面にわたらなければ真の意味の抜本的改正ではないわけでございまして、そういう面からいたしますと、まだ鉱業法改正が行なわれる段取りに達していないという点で、この保安法だけで参りますと、ちょうど一年前の三月末に国会で議決されました抜本的改正という点には十分に沿わないような面があるようにも見受けられますけれども、実はこの中央保安協議会に諮問いたしまして、それからさらに改正委員会経営者労働者中立委員それぞれ三名ずつからの委員で設けまして、前後八回にわたりまして審議をしたわけでございます。審議する過程におきまして各関係経営者側団体及び労働組合団体、七団体からいろいろな改正をすべき点の意見を全部まとめまして、この意見に基づいて審議をして、その過程におきまして、保安監督の当事者といたしましても一つ意見を申し出しまして、その結果の一つの現われといたしまして中間答申になったわけでございます。  そこで、これは鉱業法との関連を抜きにいたしまして、これだけでは何か抜本的というのにはふさわしくないというお考えもあるようにも見受けられますけれども、この中に盛られていますのは、今までと相当考え方を改めておりまして、第一番目には、保安委員会というような自主的な管理の面を非常に強めていくという点が取り上げられているわけであります。中間答申におきましても、法律化する段階ではこの保安委員会に対する通産大臣または鉱山監督局長あるいは監督部長が行ないました処分通知義務を課しているわけでございますが、こういう保安委員会に対する処分通知義務、そして保安委員会労使双方が積極的に改善対策議題として、相協力しながら保安確保をはかる、こういう面を考えているわけでございますが、それ以外に中間答申では、保安技術関係管理者関係の問題にさらに触れております。一つ保安監督員の問題、それから鉱山保安管理者の問題でございますが、鉱山保安管理者は現在百十人以上のところに置かれるようになっておりますけれども、さらにこれをできるなら全鉱山保安管理者を置いていく、こういう姿に持っていってしかるべきだという答申一つ出ているわけでございます。さらに保安監督員につきましては、この監督員と申しますのは現在千名以上の鉱山に置くように義務づけられておりますけれども、これも考え方といたしましては、さらに中小鉱山にまでこういう監督員制度を普及いたしまして、自主的に監督をはかっていく、こういう面が第一点でございます。  次には請負組夫の問題でございますが、鉱業権者が直接に使用いたします以外の者を鉱山の作業に従事させる場合には届出制度実施させまして、そして必要ある場合にはその管理あるいは教育面におきまして変更命令ができる、こういう形を新しく請負制度に手そつけたという問題が第二点でございます。  さらに、第三点といたしましては、罰則の強化でございます。特に今まで保安法には全然考え方として入っておりませんでした制裁規定を新たに持ち込みまして、反復しあるいは態様の悪質と認められるような鉱業権者には鉱業停止を命ずる、こういう制裁規定というような新しい姿のものを保安法に持ち込んできたわけでございます。主としてこういう三つの点であろうかと思いますが、こういう点から見ますと、保安法改正といたしましては、今までよりも非常に進んだ形がとられるのじゃないかと考えるわけでございます。  さらに鉱業法改正につきましては、鉱業法改正審議会の方で現在案が練られつつありますが、きょうが審議会としては最終日だったかと思います。しかしその過程におきましても、私どもといたしましては、保安関係のものを極力この中に織り込んでもらう、こういう形で保安法とからめまして、鉱業法の中でなじみやすい点は鉱山災害防止措置といたしまして鉱業法改正していく、こういう姿をとっているわけでございます。現在鉱業法の方で討議されまして、そしてこういう方向で進むのじゃないかと思われる重要な点を申し上げますと、一つは、鉱業法とかあるいは鉱山保安法規定に違反しまして一定以上の刑罰を受ける、こういうふうな鉱業権者あるいは租鉱権者は、そういうことで鉱業権とか租鉱権を取り消された者には、一定期間租鉱権あるいは鉱業権取得を認めないようなことを一つ考えられております。さらに、石炭とか亜炭とかいうような災害の多いところにつきましては、一定以上の資金とか能力を有する者のみに権利を与える。また、その鉱業権取得段階においてこういう能力主義を持ち込みますが、さらに施業案の認可の際、施業実施の際にさらにこまかく経理的な基礎とか事業的能力を見まして、真に危害の防止ができ、あるいは鉱害の防止ができるような鉱業権者にのみ、その申し込んできました施業を許す、こういう点が第二でございます。  さらには、鉱業権あるいは租鉱権設定の際には、鉱山災害防止の見地からもこれは十分に精査することは今申し上げた通りでありますが、災害防止が非常に困難であるというような点が認められたようなときには、権利設定の全部または一部を拒否する、こういう形のものが鉱業出願許可基準として考えるべきではなかろうか、こういう点でございます。それから、鉱山災害防止することが著しく困難であろうと思われる鉱業権に対しましては、今まで以上に積極的にその取り消しまたは減区を行なう、あるいは必要があれば事業停止を行なう、こういう方向検討が行なわれています。  それから、鉱山保安法に違反して重大な鉱山災害を起こした場合には、その悪質なものにつきましては制裁として鉱業権または租鉱権を取り消していく、こういう面が一つ検討されております。それからまた、よく論議されます鉱区調整の点につきましても、鉱山保安関係から鉱区調整命令をすることができる、こういう点も考えておるわけでございます。  以上のような点で、鉱業法とあわせますと、この保安法改正は、中間答申だけの面ではございますが、相当に抜本的なものであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 改正案内容につきましては、ずっと逐条的にお尋ねしていくつもりでございますが、お尋ねいたしましたのは、この保安法抜本的改正ということは、さきの国会における保安関係決議もあり、たまその後石炭委員会等におきまして、すみやかに抜本的な改正を行なうべしということが絶えず要求されてきたわけであります。それに基づきまして今回の保安法の一部改正、こういう形になってきたわけでございまして、その改正内容に対しましては、もちろん前進的なことが盛られておるということは認めるわけであります。しかしながら、中央保安協議会中間答申である、こういう形において改正案がなされた。そうしますと、最終的な、いわゆる抜本的な改正というものはいつごろ出すのか、またどのような構想で進められておるのか、こういうことを私はお尋ねをしたわけであります。ただいま後段の御答弁の中で、一応お尋ねいたした点は盛られておるとは思うわけであります。しかしながら、この保安の面におきまして、保安監督行政、さらに監督員処遇といったようないろいろな問題というのはきわめて重要であり、またこれらに取り組んで、すみやかにいろいろと前進的な形において改正を行なっていかなければならない、まだそれらの点に対して非常におくれておるというような感じを持っておるわけであります。従いましてそれらの点に対しましても、ずっと逐条的にお尋ねをして参りたい、このように考えておるわけであります。  具体的な問題に対しましてお尋ねをしてみたいと思いますが、この保安監督官人員増加であるとか、あるいは待遇改善であるとかいうことは強く要望されておるところでございますが、これらの点に対しては、今年度どういったようなことになるのか。それらの点に対しまして、保安当局といたしましては、強く要求されて参りましたいわゆる保安監督官身分を保障していくとか、あるいは待遇改善するといったようなことに対しては、十分であるというように考えておるのか、まずそれらの点に対してお尋ねしてみたいと思います。
  6. 八谷芳裕

    八谷政府委員 監督行政を行ないます監督官処遇の問題についてでございますが、これは昨年の大災害以来再三問題にもなっておりますが、第一番目に、人的な充実でございますけれども、昨年の七月に四十名の監督官増員が認められまして現在増員をしたわけでございますが、この増員は平と宇部の一名ずつを除きまして、すべて九北の監督部にこれを配置しまして、しかもその監督部に配置したものは、これはあげて、現在派遣班と申しておりますが、九州に五カ所、飯塚、田川、直方、佐賀、佐世保でございます。北海道に夕張、滝川、岩見沢、釧路、こういう九つの派遣班がございますが、この四十名から二名を除きました三十八名につきましてはこの派遣班に配置するということで、現在家の完成を待ちまして、また訓練が終わり次第、現地に赴任させる段取りをいたしております。それからさらに来年度の予算で、二十名の監督官増員をお願いいたしております。去年の七月以前には、監督官といたしまして二百二十五名だったわけでございますが、四十名増で二百六十五名になり、さらに予算が通過いたしますと、二百六十五名から二十名ふえまして二百八十五名の監督官になるわけでございます。人的には、昨年の七月以降、今度の予算がお認め願えますと、六十名の人員増加ができ、約三割弱の人員増加になるわけでございますが、それも単に人員をふやしただけでは十分な巡回監督ができないわけでございますので、炭田中心にこれをただいま申しました九北九カ所に配属いたしまして監督効率化をはかりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  次に、鉱務監督官待遇の問題でございますが、鉱務監督官災害の直後、あるいは日常の巡回監督におきましても、安全なところはあまり見て回る必要はないわけでございまして、より危険な個所を監督するわけでございますが、そういう点からいたしまして非常に危険業務に携わる、こういうことが考えられるわけでございます。これにつきましては、第一番目には、入坑手当増額を考えたわけでございます。入坑手当につきましては、従来は、巡回の場合でたとえて申しますと、一時間八円だったのでございます。かりに一日に八時間としますと六十四円でございますが、これを二百三十円というふうに去年の七月から増額をいたすことにしたわけでございます。災害調査も、従来一日八時間換算で百九十二円であったのを六百九十円と、約三倍ないし四倍程度増額をいたしました。しかし、これもいろいろな災害調査業務その他の危険からすると、決して十分というわけではないと思いますけれども、従来から見ますと、この程度でも相当増額になったわけでございます。  それから、監督行政機関といたしましては、九州北海道災害の非常に多いところは、ただいま提案して御審議をお願いいたしておりますように、九州北海道監督部を昇格いたしまして鉱山監督局にする。昨年の七月から増額をお願いし、さらに来年度予算増額、また監督部から監督局への昇格、こういう面をやっていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 保安の万全を期するために、前向きの態度でもっていろいろと取り組んでおるということは十分うかがわれるわけであります。監督官増員をするということはもちろん必要でありますが、監督官事務処理をやらしておる。こういうことで、監督官相当ふえてくるが、現場に行って保安監督をやる、現場活動をやるということになりますと、事務的な処理のために相当食われて、肝心の現場監督というものがおろそかになるという面から改善措置を要求されておったわけでありますが、これらの点がどういうことになったのか。さらにまた、今までの現場保安監督とというようなことに対して改善の必要ありとしていろいろと要求されておった点が、具体的にはどういうように改善されてきたのか。一つ具体的な例として申し上げますと、監督官は一名で監督をしておる。その点で、いろいろな面において危険も非常に伴っている。これは二名以上の監督でなければならない。しかもその監督は、三カ月に一回というような巡回監督しかできない。こういうことではいけないのであって、少なくとも月に一回ぐらいは各山を回って保安の状況を見なければならぬというようなこと等が、強く要求されておったのでありますが、それらの点に対してどのように改善されておるのか、そういう具体的なことを一つお答え願いたいと思います。
  8. 八谷芳裕

    八谷政府委員 ただいま第一点としまして、人員増過程におきまして、事務職員の問題の御指摘がございました。実情は、相当そういう面が配慮されないと真の監督業務に携われないわけであります。人員問題は非常にむずかしい問題もございます。しかし、来年度は会計係関担当者として九北に一名ずつということで、事務関係のものはそれだけが一応認められまして、ただいま予算にかかっているわけでございます。そういう面の改善も必要でございますけれども、今後現地派遣班を、たとえば監督署というふうに拡充をいたし、大きいところには多少の事務職員をつけるというようなことをしまして、事務職員の配置に気をつけ、足らざる人員十分活用をはかりまして目的に沿いたい、こういうふうに考えているわけでございます。巡回の頻度につきましては、三十五年度の実績では、石炭鉱山坑口別にいたしまして二・八ということになりました。従いまして、四カ月に一度程度しか回れなかったわけでありますが、人員増加によりまして、来年度の計画としては、保安のよいところも悪いところも、全部平均して二カ月に一回、しかし、甲種炭坑、あいは水が多いとか、ガスが多いとかいうような特定の炭坑につきましては、毎月回る、来年度の予算におきましてはその辺まで進み得ると考えております。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの答弁によると、来年の予算では巡回の万全を期すことができるということでありますが、炭鉱災害が頻発して、国会においては、保安の万全を期するための決議も行なわれてきた。そういうことから保安の面に対していろいろと配慮してきたということが、ただいまの答弁の中からうかがわれるわけでありますけれども巡回監督を十分やっていくということに対して、来年度の予算は私どもとして非常に不満に思うのであります。監督官から、身分を保障してもらわなければ安心して巡回監督もできないと強く要望され、これらのことが決議の中にも盛られている。それから暴力からの危険を排除してもらいたいということも要求されておったのでありますが、これらに対する改善はどういうことになっておりますか。
  10. 八谷芳裕

    八谷政府委員 暴力の問題につきましては、以前こういう問題が国会でも取り上げられまして、これは警察関係の方でも数人の者を検挙するというようなことになったわけでありますが、その結果現在は、従来非常に心配されておったようなことは考えられません。特に十月末、保安臨時措置法が通過いたしまして、現在廃止勧告をやってきておるわけでございますが、第一回としましては十二炭鉱廃止勧告をやりました。しかし、これは単に十二の廃止勧告をやったという問題よりも、この廃止勧告があるということによりまして、非常に保安の面も改善されていって、従来行なわれましたような妙なやり方をとっておると、廃止勧告に向かう、こういうふうな態勢が、直接鉱業廃止するかどうかという問題よりも、さらに大きく九州の方には反映いたしまして、現在は監督官の威令が従来に増して相当によく行なわれるようになっておると私は推察しておる次第でございます。従来心配されましたような暴力行為というものが完全にそういう根が断たれているかどうかということには問題があるかと思いますけれども、現在私どもはこういう行為は行なわれていない、こういうふうに考えております。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 保安教育のことについてお尋ねしてみたいと思いますが、保安監督官であるとか、あるいは技術員であるとか、鉱業権者であるとか、労働者に対しての保安教育、具体的には教育センターを作れ、特に保安思想の高揚ということを私どもは強調して参ったわけであります。これらに基づいてどのような保安教育、まあ再教育ということにもなると思いますが、きめのこまかい教育をやってきておるか、また、それが一つの成果として現われたものがあろうかと思いますが、それらの点に対してお答えを願います。
  12. 八谷芳裕

    八谷政府委員 この保安教育と申しますのは、坑内保安確保する上に一番重要なことでございますけれども、また、この保安教育がどの程度行なわれているかということを具体的に現わしますことも、非常に困難な面があるわけであります。と申しますのは、新たに入坑する際には、保安法でも規定したように、保安教育を行なえということになっておりまして、これには各鉱業権者等も一週間あるいは十日というふうに新たに教育を行ないまして入坑させる。しかし、実際はそういう当初に行ないます教育よりも、日々の業務の中で教育を行なう、こういうことが一番適切でもあるし、また反復教育ということが重要なことでもございます。こういう点につきましては、現在教育が必要であるということが言われながら、まだ十分に教育の面が山元においても行なわれていないんじゃないか。と申しますのは、一つは現在の相当人員減、そういうことから昼休み、食事中に教育を行なうとか、あるいは夜行なうとかいうようなことをやりましても、なかなかそれが思うようにいかない、こういう点もあるわけでございます。しかし、教育の面を怠りましてほんとうに災害防止ができるはずはないわけでございます。保安法改正委員会におきましても、中間答申には教育の面に触れておりませんけれども、今後は第一番目に保安教育の面を取り上げまして、いかにこの保安教育の面をやるか、それに保安法等改正が必要ならば、保安法改正にこれを移していく。それから、省令で足りれば省令改正を行なう。あるいはまた法律政省令関係としては改正の要はないならば、この予算措置としてどういうふうな運営でやればいいか、こういう面をこの四月以降の委員会につきましては第一番目に取り上げるということで、委員会としては話し合っているわけでございます。  それから監督官研修につきましては、新しく入りました者は半年間の速成研修をやっております。しかし単にこういう研修だけではいけませんので、これも先ほどお話がございましたように、二人で組んでいくという中に新しいものを一人入れまして、実際の教育、日々の監督の中から事実教育を行なう、こういう面で教育をやっております。しかし、形といたしまして保安センターとか、こういう面は今後の検討事項にしていって、必要があればぜひ何らかの形でこういう保安教育というものの制度をまとめていく必要があるのではないかと思っておるわけでございます。ただ私どもが実際の面でこれをやります際に、実施に非常に困難性が感じられておりますのは、一番教育の必要な中小炭鉱等におきまして、長期にわたってその人たち教育機関にほうり込んでくれと言うた場合に、あとに残った人たち保安確保ができるであろうか、生産をスロー・ダウンさせないでそういう人たち相当長期にわたりまして、整然とした保安教育を行ない得るであろうか、こういう面が、むしろ保安教育が、特に係員でございますけれども、より必要性の薄いところはそういう者を供出しやすくて、必要性の多い中小炭鉱からこれを引っぱってきて一定保安教育を施すというようなことが現状においては非常にむずかしい、こういう点が一番心配される点でございますが、こういう点もあわせまして、今後できるだけ早く検討を進めていきたいと考えております。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 保安局長答弁が率直でありますので、私は特別にそれを非難しようとは考えないのですが、私どもが今の時代で非常に物足りないというように感じますのは、——現場において毎日仕事のかたわら、あるいは仕事に伴って監督教育をやっていかなければならぬ、それは当然であると思う。しかし、かっての上清炭鉱災害であるとか、あるいは大辻炭鉱災害、そうしたなまなましい災害の現状の中から、私どもはいかに保安教育というものが不徹底であるか、おろそかにされておるかということを痛感しておるわけであります。たとえば大辻炭鉱におきましては、火災が起こった、ところが火災の訓練は炭鉱においてはほとんど行なわれていない。また指揮命令系統が少しも確立されていない、それらのことが、あのような災害を起こした原因であり、誘因であるというように考えられておるわけなんです。そのようなことから、保安教育は重視していかなければならぬということが強く要求されて参りました。ただいま御答弁のように、いろいろの問題点はあろう、隘路もあるということはよくわかります。しかしながら、人命尊重ということから考えてみますと、それらの問題を排除し克服していく、そうして保安教育の徹底をはかっていかなければならないのじゃないか、かように私どもは考えておるわけであります。ただいまの御答弁からうかがえることは、特別に保安教育の形としてこうしたことが現実に行なわれてきたのだ、そのことが大きな成果となって現われておるというような答弁を、実は聞くことができないわけであります。それであってはならないのじゃないか。将来の問題として何か考えていかなければならぬ。そういうことでは私どもは安心できません。あのように、いろいろな炭鉱災害が次から次へと発生してきておる。これについては、過去においてはこれらの点がまずかったの、だからこのような保安教育の徹底をはかっていく、訓練をやっていく、こういうことでなければならないのじゃないか、そのように考えるわけでありますが、そうしたことに対しては取り組んでおられないのですか。
  14. 八谷芳裕

    八谷政府委員 ただいま中村先生からお話しの通りでございまして、保安教育なくして保安確保はできないわけでございます。従来の災害はすべて、保安教育が徹底していたならばこういう大きな災害にならなかったのではないかという点が、私どもとしても痛切に感じられるわけでございます。ただいま御指摘もありましたように、今後はこの保安教育につきまして、単に法律の面だけでなくて、取り組んでいたきいということで、この前の、十六日の保安法改正委員会におきましても、こういう面につきましては一つ至急に進めていこうということで諮っておりますので、今後とも労使双方の知恵をしぼりまして、また当然私どもは職務といたしましても、りっぱな保安教育制度ができるように努めなければならぬわけでございまして、できるだけ早くこういう制度が確立されるように努力していきたいと考えます。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、あのような災害が起こって、これに対しては常に、防火訓練なんというものの不徹底、指揮命令が確立されておらぬということが問題点として指摘され、すみやかにこれらの面に対処していかなくてはならぬということが要求されておるわけなんです。これに対しては、火災訓練をやり、指揮命令を確立ということを各山々に徹底させていく、これに対処する方法というものを具体的に何かとられていないのですか。
  16. 八谷芳裕

    八谷政府委員 もちろんこの訓練につきましては、鉱業権者並びにその保安の当事者を十分指導しておるわけでございますが、単に訓練だけでなくて、かりに訓練の未熟な者でもいざ災害といったときには逃げ得るというような措置は、保安省令でも、昨年の七月に改正しまして、警報装置を必要がある個所には置いて、一カ所で災害が起きた場合には全坑内に知らせる、いずれからでもこれを知らせ合うことができるようにする、それからさらに自己救命器を設置させる、こういうことで省令改正いたしまして、これには五〇%の補助金もつけておるわけでございます。自己救命器につきましては、製作能力がいろいろな事情で若干落ちまして、現在までに十分当初計画の通りに運んでおりませんけれども、この補助金はすべて、これ以外のものも含めまして約七千四百万円でございますが、この補助金の中から特に自己救命器、これはいざ災害といったときにかぶって逃げる、あるいは災害が起きましたら直ちに全坑内の重要作業個所にはお互いに知らせ合う、こういうことも行なっておるわけでございます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 保安設備の点についてお尋ねいたしますが、特別保安施設あるいは救護隊の訓練であるとか、あるいはまた救護の際の補償の問題であるとか、これらのことが強く要求されてきておるわけです。ただいまの御答弁で、いろいろ装備の点に対しては留意しているということはわかるわけですが、まず、これらの救護作業といったような点がやはり大きな問題点として指摘されておった。これらの点に対してどのような配慮が行なわれておりますか。
  18. 八谷芳裕

    八谷政府委員 救護隊の問題は、特に問題がございますのは中小炭鉱の救護隊であろうかと思うわけでございます。大きい炭鉱でも当然、救護隊を完備しまして、日常これを訓練していくということは重要でございますが、現在一番抜けています面は、中小の救護隊でございます。これは中小の方でも大きいところでないと救護隊がいないということなのでございまして、従いましてこれに対処するため、昨年の七月に省令改正しまして、救護隊の基準を若干下げ、共同救護隊ということで、二以上の炭鉱で共同して救護隊を持つ、この共同して救護隊を持つのについても五〇%補助を行なうということで進めて参りまして、今漸次設置が行なわれてきておる次第でございます。ただ今後の問題としましては、単にこの補助金をもらって設置したということでなく、実際の災害の際にこれを十分に使いこなしていくという訓練が必要であろうかと思いますので、これは九州北海道等に救護連盟というものがありまして、救護連盟の方でも十分にこれを共同して訓練をし合うというような態勢を固めておりますが、さらにこれを強力に進めていきたいと考えております。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 炭鉱災害が相次いだ際に、国会決議、それに伴ってのいろいろな施設、あるいは訓練その他いろいろな配慮が行なわれておったと思うのでありますが、その後保安監督官から、保安関係に対するいろいろな装備の面、ただいまお話のありました救難作業、いろいろな面に対しての勧告であるとかいうものが行なわれてきたと思います。それらのことに対して、鉱業権者がそれをよく守っておる、あるいは守らなかったということに対して何か注意というものが特に行なわれてきておるというような事例があろうかと思うのでありますが、過去における状況、それからその後そうしたいろいろな配慮が行なわれてきたということに対しての、その後の状況というものについてお聞かせ願いたいと思います。
  20. 八谷芳裕

    八谷政府委員 監督官が回りまして、監督官は巡視しましたら直ちに坑内から上がってきまして、そこの状況を監督表というものに記載をいたしまして、口頭でもどこが悪い、ここが悪いということで説明をしまして、直ちにこれを直すように言うてくるわけでございますが、さらにそのうちで重要なものにつきましては、監督部長が文書で、これを改善するように注意を促すわけでございます。これを私ども通達書と呼んでおりますが、こういう通達によりまして改善を行なう監督部長通達でございます。さらにこの監督部長通達が聞き入れられないような場合には、この保安法の二十五条によりまして改善命令を行なうということになっております。従来監督部長の通達は、石炭鉱山関係では、三十五年、三十六年も二千件弱の通達を行なっておるわけでございます。そのうち、大てい通達で直っておりますが、通達で直らなかったものにつきましては、さらに二十五条の改善命令を行なうということにいたしておりますが、改善命令につきましては、二十五年には約三十件だったと思っております。それから三十六年は、一月から十二月の間に約二十件程度だったと考えておりますが、こういうふうな状況からいたしますと、非常に最近は通達を聞き入れてきておるというふうに考えられるわけでございます。ただあの通達の聞き入れ方が非常におそいというようなことになりまして、その切羽がすでに済んでおった、こういう事例も出てきまして、結果的に集計すると、通達はさも守っておったかのごとき状態を呈しまして、真の意味の監督がそれによって成果を結んだかどうかということも、いろいろ問題があるわけでございます。こういう面につきまして、今度の保安法改正では、こういう処分の命令につきましては、保安委員会の方に通知をして、労使双方でこれの改善検討を行なう。そうしまして、その監督官といたしましては、そういう結果の議事録等を見まして、ほんとうに直ちに、この次に行くまでの間でなくて、すぐに改善が行なわれたかどうか、こういうことを十分に追跡していきたい、こういうふうに考えております。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 私が今までいろいろとお尋ねをいたしましたのは、えてして、事故が起こりますと、刺激され、緊張する。国会決議しました保安思想の高揚というものが、それらの際にはよく注意され守られていく。しかし、事故がとだえるということになって参りますと、何というのか、災害というようなものに対する注意を怠ってくるということが普通であるわけであります。それらの点から、どのような注意が行なわれ、また保安に対するところのいろいろな監督行政といったような面が強く行なわれ、配慮されておるかというようなことを伺いたいためにお尋ねをしたわけであったのであります。  提案された条文に基づきまして、いろいろとこれから質問をしてみたいと思うのであります。労働省との関係もありますが、一応政務次官にお尋ねいたしますが、遺族に対する給付の問題であるわけであります。あの水没事故によりまして六十七人の尊い生命を失いました豊州炭鉱の犠牲者の遺体でありますが、これは遺体引き揚げの作業を放棄したというように伝えられておるわけであります。これらのことに対して国会に報告されたのかどうか、まずその点を伺ってみたいと思います。
  22. 森清

    ○森(清)政府委員 豊州炭鉱事件の処理は、ちょうど私が政務次官になりました直後に私が手がけまして、当時社長の社長になりますか会長になりますか、上田清次郎氏とも、再三にわたってその善処方をいろいろと相談いたしました。その結果、一応の解決は見るに至りましたけれども、そのことを国会には報告してないと記憶しておりますが……。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 それは、政府のことであるから、委員会にはそれを報告する必要はない、また委員会に報告しなくとも当然知っておるであろうし、また質問をするであろう、そういったような一つ考え方というものも出てくると思うのであります。また、そこまでいろいろと考えて報告されなかったというようには思わないわけであります。しかしながら、豊州炭鉱の水没事故、この犠牲者の遺体が引き揚げられるであろうかどうかということは、国会におきましてもこれが相当憂慮され、このことに対して注意を持っておったわけであります。従いまして、この水没事故による犠牲者の遺体が引き揚げられなかった、このことに対しては少なくとも委員会にこれを報告し、この遺族に対してはどのような救護の措置をとるのか、これらのことに対しましては十分な配慮というものがあってしかるべきではなかったのか、私はこう思うわけであります。この引き揚げを打ち切った、こういうことになったといたしますと、この犠牲者の遺族に対するいろいろな措置というものが——これは豊州炭鉱だけでなく、ほかの炭鉱災害においても同じでありますけれども、何か特に配慮されたことがあろうかと思うのでありますが、それらの経緯について伺ってみたいと思います。
  24. 森清

    ○森(清)政府委員 まことにお言葉の通りでございまして、私どもといたしましても、当時何とかして御遺族に対しましても遺体を引き揚げて、たまたま訪れましたあのお盆に遭遇いたしましたので、そのみたまをお祭りしたいということで、鋭意そのためにいろいろと努力もし、また同時に、関係者やあるいは学術経験者等の御意見もお聞きいたしましたけれども、どうしても、遺体を引き揚げるということはさらに鉱害を続発するおそれもあることであるから、涙をのんでこれは水没する以外に仕方がないじゃないかというふうな結論になりましたので、やむなくその結論に従ったわけでありまして、当時九州大学その他の学者の御意見も慎重に聴取いたしまして、そういう形にしたのであります。
  25. 田中武夫

    ○田中(武)委員 関連して。ただいまの次官の答弁に関連してですが、次官は今、涙をのんで引き揚げの作業を中止し水没せしめた、——次官は涙をのんだか知らないが、遺族の方はより多くの涙を出したと思うのです。割り切れぬものがあろうと思うのです。そういうことに対してどういうように措置をせられたかということ、それから、ともかく死んだであろうということは推定せられるわけであります。しかし、遺体は確認していないわけです。そうした場合に、本人が死亡ということによって起こるいろいろな関係についてはどういうように処理するか、たとえば労災保険についての支給、これは警察か何かの証明によってやれるんじゃないかと思うのですが、労災保険についての支給の問題、それから相続開始の問題、これは本人が死んだというどこかの証明によって相続開始ができるのかどうか、それとも民法による失踪宣言を受けなければならないのか、その失踪宣言の場合は、一般的失踪の七年か、それとも特別失踪の三年であるのか、そういうような点についてはどのように考えておられますか。
  26. 森清

    ○森(清)政府委員 もちろん私どもも、涙をのむと同時に、御遺族の方々の心中を察するときに、全く同情の言葉もないほどの気持でございますが、当時私どもといたしましては、われわれとしてできる限りのことをいたし、同時に鉱山主としてもでき得る限りのことをするように要請もいたしました。なおこまかいことにつきましては、局長から御答弁さしていただきます。
  27. 八谷芳裕

    八谷政府委員 当時の事情を若干日時を申し上げて振り返ってみますと、遺族手当につきまして完全に遺族団と経営者側との話がつきましたのが、去年の九月の十日でございます。それ以前に、八月の十八日に、引き揚げについて中止方は万やむを得ないのじゃあるまいかということで、通産当局といたしましては意思表示をいたしましたが、九月の十日に遺族手当につきまして妥結が行なわれ、九月の十七日に合同葬が行なわれたわけでございます。そうして、それから十二日たちまして、九月の二十九日に遺族団は解散しました。十月の六日には、労災保険を除きまして遺族補償金は全額支払われるということになっております。この遺体の補償につきましては、先ほど申し上げましたように、九月の十日に交渉が成立いたしまして、遺族の弔慰金は一人当たり六十万円となっております。そのほかに退職手当、これは一〇〇%でありますが、平均三万五千円になったようでございます。これは操業当時の組合との協定によっておりますが、そのほかに帰郷族費といたしまして一世帯当たり、非常に近い郡内は二千円、県内は三千円、県外は四千円、こういうふうな支給を行なっております。さらにその後残ります人たちにつきましては、社宅、水道、電気等もこれを利用させておるわけでございます。それから遺体の確認につきましては、たしか警察の証明によって死亡を確認した、こういうふうに記憶いたしております。当時現場の方ではたしかそういうふうに行なわれたと思います。
  28. 田中武夫

    ○田中(武)委員 今あなたのおっしゃった退職金だとか遺族手当とかという、労使間においてやられる問題は話がつきます。しかし、法律上行なわねばならない問題——今あなたの答弁の中にも労災はまだ残っておる、こういうことです。作業上死亡して遺体が出なかった場合に、死亡の確認は警察の証明書によってやるのだ、そういうことによって労災保険は出るだろうと思う。労災保険の方はやり方があるだろうと思う。それじゃ相続の場合はどうか。死体が出なかったら、戸籍は死亡になりますかどうですか。戸籍は警察のそういう証明で消せますか。やはり民法の三十条による失踪の宣告を受けなくちゃならぬと思う。その失踪宣告の場合に、一項でいくのか二項でいくのか。すなわち、七年という一般失踪になるのか、あるいは二項の特別失踪になるのか、そういう点はどうなんですか。失踪になるのかどうか。あなた方が許可をしなければ、水没という措置はとらぬでしょう。それは先ほど次官がおっしゃったように、ともかくこれ以上遺体引き揚げをやるというより大きな災害が出るであろうと判断をして、涙をのんで遺体をそのまま水没せしめたのです。そのときあなた方は、やむを得ないだろうと判断をしてその許可を与えた。そのときにその死んだ人といいますか、行方不明というのがほんとうだろうと思うのですが、その人の死後のあらゆる問題の法律関係をどう考えておったのかお答え願います。
  29. 八谷芳裕

    八谷政府委員 労災保険につきましては、鉱山保安法関係の点につきましては、その直後労働省の方から現地監督部に問い合わせになっております。これはこちらの方で労働省とも話しまして、当時の事情も正式に回答しまして、一日も早く労災保険が出るように、保安法上の立場では御説明したわけでございます。
  30. 田中武夫

    ○田中(武)委員 まだ出ていないでしょう。
  31. 八谷芳裕

    八谷政府委員 もうおそらく出ていると思いますが、さっそく調査いたしまして御報告申し上げます。
  32. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は関連質問で、中村委員の質問を聞いておって感じたことをお聞きしたわけです。それで、まだ出ておるかおらないか。これは労働省との関係もあるけれども、あなた方の考え方によって認可を与えた、そうすれば、労災保険はどうして出るのかということ。なお、民法上のいろいろな問題についてどう処理するのか。今日まで水没のまま遺体を引き揚げなかったのがたくさんあると思うのです。そういうのはどうしておるのか。これは民法上から失踪宣告がなければできないと思うが、その許可を与えることについて考えたことがあるのか。考えていないでしょう。今ここで言ってもわからぬはずですから、あらためて勉強して、書面をもって回答して下さい。
  33. 八谷芳裕

    八谷政府委員 労働省の関係もございますので、調査いたしまして書面で御報告申し上げます。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 今の豊州炭鉱の水没事故に対して、田中委員の関連質問に対して、労災保険がまだ出ておるか出ておらぬかわからぬというようなことを伺って、意外というか憤りというか言い知れないものを感じます。今もあそこへかきをしているかどうか知りませんが、水没事故の跡始末をよく見、またテレビでも見たのです。板でかきをつくってあって、そこへつい最近小さな子供さんが行って、お父さんがここにいるのだ、お父さん、お父さんと言って呼んでいる、その姿をテレビを通じて見まして、ほんとうに涙が出ました。労災保険の問題等は労働省の関係になるかもしれませんが、通産省の保安監督の最高責任者である保安局長が、労災保険が支給されておるかどうかまだ知らないといったようなことでは、あまりにも無責任だという感じがいたすのであります。このような事故により多くの犠牲者が出て、その犠牲者の遺族がどのように苦しい生活をしているであろうか、どのような悲しみの中に嘆いておるであろうかという深い思いやりがない。保安をおろそかにし、そういう無責任な態度の中に、次から次に炭鉱事故が発生する原因と誘因がある、そういった感じを深くいたします。田中委員の今の質問に対してよく勉強してといったようなことでありますが、今わずかの時間これらの問題に対して行なわれた質疑の中から、どのような自責の念といいますか、あなたの気持の中に何かがあるだろうと思うのでありますが、今あなたはどのような心境でおられますか。労働省の関係であるから労災保険の支給の直接の責任を負うものでない、そのようなお気持ちでやむを得なかったというような感じですか、どうなんです。
  35. 八谷芳裕

    八谷政府委員 労災保険が労働省の関係とはいえ、こういう災害を引き起こしました監督の責任者といたしまして、当時、一日も早く労災保険の方も支給ができるよう、現地監督部長の方にその回答案等十分打ち合せをしたわけでございますが、その後の追跡が十分でなかったために、いつ幾日行なわれたということの御答弁ができなかったことは非常に申しわけなく考えておりますが、こういう点につきましては、御指摘のような方向で進んでいきたいと思います。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 政府は、国会決議であるとか、委員会等で附帯決議が行なわれた際には、その決議の趣旨に沿って十分努力するといったような答弁をよくされております。ところが、その場限りで、附帯決議の尊重、国会決議の尊重ということに対しては、あまり留意しない。それが普通であると私は申し上げても差しつかえないと思う。国会決議の中に、労災保険の引き上げ、労働基準法の改正、こういったことが強く要求されております。これは特に炭鉱災害に端を発して、そういうことが強く望まれて参った。これらの法律の制定当時と今日の状況というものは、あらゆる面について大きく変わってきたのだから、実情に即してこの改正をしなければならぬということが要求されておるのでありますが、通産当局としては、これらの改正に対してはどのように関係当局との間に折衝し、これを督促をしておるのか、またその見通しはどうなのか、それらの点に対してお答えを願います。
  37. 八谷芳裕

    八谷政府委員 この労災保険その他の問題につきましては、総理府の中に設けられております産業災害防止対策審議会の中でもいろいろ議論が出ておりますけれども、私どもといたしまして、ただいま御質問のありました、どういうふうにこれを運んでもらいたいという具体的な話し合いは、まだ十分に進めていないわけでございますが、全体といたしまして、本日まだ労働省の方もお見えになっておりませんので、私どもといたしましても、この程度しかお答えできないわけでございます。
  38. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私はできるだけあまりいじめまいと思ってやっておるのだ。ところが、今のあなたのそういう答弁じゃだめですよ。そんなことだったら、労働省、それから法務省を呼んでもらって、私の言っていることを明らかにしましょう。あなたがいまだに労災保険について強い意思表示をやっていない、こういうことは、労災保険は労働省の管轄だからわしは知らないんだ、これでは済まされぬと思うんですよ。あなた方が判断を下して閉鎖せしめたのでしょう。通産省が閉鎖を許可しなければ、閉鎖しないのです。そうするならば、まだ遺体が全部揚がるまで作業を続けなければいけないと思うんです。しかし、大局的見地から見て、作業を続けるということは時間の空費ではないかというので、涙をのんで閉鎖を承認したのでしょう。そのときに、そのことによって起こる遺族を中心としたいろいろな法律関係あるいは補償関係、こういうことについて、当然打つべき手を先に打つべきなんですよ。それを打っていない。今こうして僕が質問したら、その点わかりませんと言うようなことじゃ、あなた、閉山を認可する、こういうことをしたのは私は行き過ぎだと思うんですよ。その前にちゃんと、事後起こるべきあらゆる問題について打つべき手は打ってやるのが、ほんとうの遺族に対する道じゃないでしょうか。
  39. 八谷芳裕

    八谷政府委員 豊州問題の労災保険につきましては、労働省とよく話しておるわけでございますが、ただいま申しましたのは、労災保険等の全般の問題としまして、具体的に労働省の方といろいろこういう問題の改善方についての全般的な話し合いをいたしておりますけれども、具体的にこれをどういうふうにするというふうなことが、ただいまちょっと御答弁できかねるというふうに申し上げたわけであります。
  40. 田中武夫

    ○田中(武)委員 あなたは基準法ないし労災保険法を知っていますか。労災法、その基礎は基準法にあるのですが、それを御承知ですか。死んでから何カ月たっていますか。去年の、森さんが次官になった当初でしょう。その間労災保険の問題一つ解決せずに、遺族のその後の措置が十分行なわれておると考えますか。鉱山保安局長鉱山保安法その他だけを知っておったらいいんじゃないのです。それに関連するすべてを勉強しなさい。労働法を勉強しておきなさい。この次に私はあなたに労働法で尋ねますから。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 豊州炭鉱の問題また国会決議に伴っての労災法等の関係を、今保安局長は知らない、こういうような無責任な態度では審議は進められません。労働省関係一つ呼んでいただきたい。それから審議を進めたいと思います。
  42. 有田喜一

    有田委員長 田中武夫君。
  43. 田中武夫

    ○田中(武)委員 保安法について一言お聞きしたいのですが、昨年三月三十日に炭鉱災害防止に関する決議が本院において行なわれたことは御承知の通りです。その三号に「鉱業法鉱山保安法抜本的改正」とうたってある。そこで今度の改正を見ましたら、その決議に沿った改正かと思ったら、そうではなくて、何か五点ばかり改正が出ておるのですが、保安委員会にどうするとか、あるいは、いわゆる請負作業のものは届け出なければいかぬとか、あるいは罰則を強化するとか、あるいは鉱山保安協議会を改組するとか、こういういわばこうやくばりの改正なんです。従って、この改正が去年の三月三十日本院において行なわれた抜本的改正、この決議に沿っておるつもりかどうかということ。さらに抜本的というか、そういうのはどういう方向で今後考えていくのか。この法は御承知のように、昭和二十四年五月十六日、法第七十号で実施せられておるわけです。その後何回かの改正はあったと思うが、二十四年から今日まで基本的なものは変わっていない。ところが二十四年から今日まで十数年間に、いろいろな面において技術その他は変わってきておる。それに即応するような抜本的改正が必要だと思うのです。従って、相次ぐ炭鉱災害に関連をいたしまして、去年三月三十日、本院が決議をやりました。ところが、その抜本的改正の線に沿っての改正案をなぜ出さないのか、今度の改正案はその抜本的改正だといえない。こうやくばりです。この程度改正で、鉱山保安の完璧が期せられるかどうか。もちろん法律をいかに整備し、いかに法体系を整備いたしましても、心得とか安全教育とか、そういうものが徹底しなければ何にもならぬと思うのです。しかしそのための抜本的改正が必要だ。これは抜本的改正ですか。抜本的改正はいつどういうようにやるつもりでおるのですか。
  44. 八谷芳裕

    八谷政府委員 先ほど中村先生からの御質問にもお答えした通りでございますが、鉱業法とこの鉱山保安法と両方の点についての改正が必要なわけでございまして、鉱業法につきしては、先ほども御説明申しました通りでございます。ただ鉱山保安法につきましては、ただいままで改正を要する点につきまして、一応私ども考え方だけでなくて、関係の七つの団体からもいろいろ説正の点を聞きまして、こういうものを中心として改正中間答申をいただいて、こういうふうに取りまとめたわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この中で、保安委員会への通知とか、あるいは請負作業員の届出制度を課しまして、さらにこれを変更命令ができるというふうにした点並びに制裁規定、こういう点は、私どもといたしましては抜本的改正という要望に沿うのじやないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  45. 田中武夫

    ○田中(武)委員 抜本的改正の要望に沿うと、あなたは言うのですか。あなたが今おっしゃったように、中央保安協議会中間答申に基づいて今度の改正をやったのだ、こういうことでしょう。中央保安協議会中間報告なのです。だから、中間的な措置としてこれを提出したというなら了解しましょう。しかし、これをもって抜本的改正に沿うと言うのはもってのほかです。ほんとうにそうあなたは思っているのですか。
  46. 八谷芳裕

    八谷政府委員 もちろんこれは提案の理由の説明の際にも御説明申し上げておりますように、中間答申でございまして、さらに教育制度の問題その他につきまして、今後中央保安協議会といたしまして審議を続けていくわけでございますから、全部がこれで終了したと、こういうふうに申し上げているわけではございませんので、ただいま提案いたしておりますものも、抜本的改正一つである、こういうふうに考える次第でございます。さらに次の改正が必要ある場合には、保安協議会からの答申をもらいますけれども、それによりまして必要な改正を行ないたい、こういうふうに考えております。
  47. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これはあくまで中間答申だから、それに基づいてさしあたり改正するのだ、そういうことなら了解しましよう。これをもって抜本的改正の線に沿ったのだということなら、われわれ了解できない。あくまで、こういう事件が起こったから、やかましい間はこうだ、こういう答申があったからこうだということで、この改正は破れかけた風船を目張りしているようなものだ。そういうことで保安が全うできるかというと、そうじゃないと思う。しかも、何回かこうやくを張ったけれども、二十四年にできたままなんです。法律それ自体の背筋を直していくという改正、これが抜本的改正なんです。破れかかって空気が出かけたからといって、のり張りをするのが抜本的改正ではありません。従ってあなたが、これはあくまで中間答申に基づいた中間的改正でありますというなら、われわれ了解しましょう。しかし抜本的改正の線に沿っているのだというなら、了解できません。どこに抜本的改正があるのです。罰則の強化だとか、あるいは協議会の改組だとか、請負作業についての届出だとか、こういうことで鉱山保安法抜本的改正と言えますか。
  48. 八谷芳裕

    八谷政府委員 抜本的改正と申しましても、ここにあげましたものの全部、改正をしますものの全部合わせまして、その結果抜本的というのではないと思います。現在六項目にわたりまして改正点を出しておりますものも、全体の一つではないか、こういうふうに考える次第でございまして、今後もさらに必要なものは改正を行なっていきたい、こういうふうに考えております。
  49. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これは観念論になると思うからこれ以上言いませんが、必要に応じて変えていくのだということは、あくまでこうやくばりなんだ。抜本的改正ということは、その法律の持つ背骨自体を変えることです。昭和二十四年にできた法律を、時々刻々技術は改良せられ、いろいろな面において変わっておる、それをそのままにやるということは抜本的じゃないのです。これはあくまで、破れかかったからそこをつくろうのだという程度改正なんです。そういうことであるなら私は了解しょう、こう言うのです。しかしこれ以上は観念論になりますからやめますが、次官に一言言っておきます。次官はどういうふうに考えておられますか。これで抜本的改正と言えますか。
  50. 森清

    ○森(清)政府委員 私はただいまの局長の答弁を聞いておりまして、いささか言葉の足らなかったところがあって誤解を招いたのじゃないかと思いますが、あくまでもこれは、何べんか局長も申し上げておりますように、中央保安協議会において出ました答申の中間のものでございまして、まだまだこれから引き続き協議会においては慎重な審議を重ねていくのでありまして、いわゆる抜本的改正ではございません。あくまでも私どもは完全な保安行政ができるように、今後も努力を続けていきたいと考えております。
  51. 八谷芳裕

    八谷政府委員 先ほどの御質問についてお答え申し上げますが、労災補償は昨年の九月に全額四千二百六十一万円が支給されております。それから死亡は、戸籍法の八十九条の規定によりまして、警察の認定によって戸籍も抹殺されております。
  52. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは民法三十条との関係はなしに行なわれるわけですね。
  53. 八谷芳裕

    八谷政府委員 認定死亡は別でございまして、戸籍法の八十九条の規定によって抹殺されております。
  54. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは相続関係等はどうなるのですか。やはりそれで相続開始になるのですか。
  55. 八谷芳裕

    八谷政府委員 ただいまわかりました点はこれだけでございまして、あとは書類で……。      ————◇—————
  56. 有田喜一

    有田委員長 次に、内閣提出産炭地域振興事業団法案議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
  57. 田中武夫

    ○田中(武)委員 この前に御質問をして十分な答弁をいただけなかったので、きょうは最終的な質問になろう、採決の予定もあるようですから、その点だけを一つ明らかにしておきたい、こう思って再度、質問をいたします。  それは罰則の三十五条の関係ですが、この三十五条のきめていることは、大きくいって広義の公務執行妨害だと思うんです。そうすると刑法九十五条との関係において三十五条をどう読んだらいいのか、こういうことなんです。そこでここに五つの条件をあげておるわけです。報告をせず、虚偽の報告、それから検査を拒み、妨げもしくは忌避、この五つの事項をあげてある。このうち報告を忌遅、これは一応わからぬことはないのです。しかし拒み、妨げるという行為、御承知のように刑法九十五条は「暴行又ハ脅迫」をもってということが構成要件になっております。そうすると、この三十五条と刑法九十五条との関係を見た場合に、いわゆる暴行、脅迫にならない程度の「拒み、妨げ」だと思うんです。それじゃ一体具体的にどの程度行為が三十五条で考えられるのか、このことをお伺いしているわけなんです。
  58. 今井博

    ○今井(博)政府委員 この前にも田中先生から御質問いただきまして、はなはだ不勉強で申しわけなかった次第でございますが、法務省その他とも今いろいろ打ち合わせをやっておるところでございまして、ただいま御質問になりましたこの三十五条と刑法九十五条との関係は、実際の場合は、私は大半は先生御指摘のように、九十五条の暴行ないし脅迫による検査の妨害という事例であろうと思います。ただ今言われましたように、暴行、脅迫に至らない検査の妨害ということでこういう規定を置いたわけでございますが、そういうものは一体具体的にどういうことがあるのかという御質問でございまして、これはそれ以外いろんな例を、軽微な例が主でございますが、いろいろ事例は今ここにも考えて持っておるわけでございます。この事例につきましては、われわれの部内でもまだ多少検討を要する点が残っております。私自身もまだ納得し得ない点も一、二ございますので、この点は一つ軽微な問題ばかりでございますので、いずれ私これはもう少し腹に入れてから書面にいたしまして御説明または御相談に参りたいと思いますので、御了承を願いたいと思います。
  59. 田中武夫

    ○田中(武)委員 今の局長の答弁、そういうことなら一応了承しておきたいと思うのです。しかし、これは少なくとも人を罰する規定なんです。従って具体的にこういう場合がある、あるいはこういうことが予想される、こういうことでなければあまり罰則規定なんというものを簡単につけてもらっては困る、こういう考え方なんです。  引き続き三十六条関係ですが、ここには一号から五号まであげられておって、「その違反行為をした事業団の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。」ということなんです。ところが役員は一応わかります。職員について一体考えられるかということなんです。まず第一号を見た場合に、「この法律規定により通商産業大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。」こうあるのです。この法律によって必要とする場合は通産大臣の認可又は承認を得るわけです。抜き書きしてみますと、まず四条の増資の場合、十四条の役員の兼職禁止の場合、二十一条の業務方法書の作成、二十三条の予算等の認可、二十四条の財務諸表の作成、二十八条の給与及び退職手当の支給の基準の作成、ほかにあるかもしれませんが、大体こういうところなんです。この今読みました許可、認可を必要とする場合、たとえば増資の場合、役員の兼職、業務方法書、以下ずっと見ましても、役員はやらなければならないが、職員として犯す可能性があり得るかということなんです。この法律によって義務を負わされているのは、事業団という法人である。それの執行機関たる、意思機関たる役員がそれをきめて、そうして行なうわけなんです。ところが職員がはたしてこういう場合に、今あげたような事例で、もし——それでは、こういう場合には職員があり得るのだということがあったら一つ聞かしてもらいたいと思います。それから二号を見ますと、「第五条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。」こうある。そして登記については、本法第五条に規定があって、この法律が通れば、これに基づいて出るところの産炭地域振興事業団登記令というのがある。その七条に、登記申請人は理事長とすると、あなたはもうちゃんと政令まで用意しておられるわけです。そうすると登記は、法律によっては事業団に課せられたる義務である、しかもその申請人は理事長である、この場合に職員が違反する余地があるのかどうか。たとえば登記所へこの書類を持っていけ、こう言われたやつを途中でサボった、こういう場合がこれに当たるのか当たらないのか、私はこういう場合は当たらない、むしろそれは内部的な職務関係だと思います。さらに第三号ですね。「第十九条第一項及び第二項に規定する業務以外の業務を行なったとき。」こういうのがある。これはあり得るかもしれない。しかしこれも突き進めていくならば、役員はともかくとして、職員の場合は、やはり内部の業務命令関係もしくは背任罪といったようなことに発展していくものではないか、従って具体的にこんな行為をしたとき、こういうことが出てこないわけです。三号の場合は比較的、こじつければあり得るかもしれない。それから四号ですね。「第二十七条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。」これも職員について余裕金を運用するということがあり得るか、もしありとするならば、これは横領罪を構成する問題である、あるいは背任罪を構成する問題であって、ここにいうものではなかろうと思うのです。さらに五号ですね。「第三十条第二項の規定による通商産業大臣の命令に違反したとき。」こういうのがあるのですが、これは三十条によって通産大臣事業団に命じた命令なんです。それを執行すべきは役員、理事である。そう考えてきた場合、こじつければ一、二はあるかもしれないが、一から五まではたして具体的に職員として違反する事項はこれだ、こういうことがある、そういうことがあったら示していただきたい。ちょっと考えられないわけです。  そこで、私が問題にするのは、そういうことではなくて、これと同じ規定が、あらゆるこの種事業団あるいは基金特殊法人にあるわけなんです。これはむしろ原局の石炭局長に詰め寄るべき問題でなく、内閣法制局に対して言うべきではなかろうかと思うのですが、ともかく前にこういう罰則の一つの型があるわけです。それをすべての特殊法人のときに持ってくるわけです。少なくとも人を罰するのです。たとえ過料にしろ、三万円以下にしろ、罰するのです。それを一々検討もせず、前にあるやつをここにくっつける、ここにもくっつける、こうやっておる。ごらんなさい、特殊法人にはみな同じ規定があるのです。そういうことで法律を作られては困るじゃないか、少なくとも人を罰するのだから。しかも刑法上の罪刑法定主義からいけば、法律ができて初めて罰することができる。その罰則をそういう無感覚でやられては困る、こういうのが私の質問というか、感じなんです。そこで石炭局長に、三十六条一号から五号まで、職員としてこういう場合があり得るということがあるなら、一つ聞かしてもらいたい。  それから、通産大臣がおられないから政務次官に伺うが、これはあえて通産省だけじゃありません、あらゆる特殊法人に対して、同じ格好のものを無意識に入れておる。これは法制局に対して私はかって文句を言ったことがあるのだが、今後はこの種罰則については、そのつど一つ検討して、尋ねられたらしかるべく、それはこういう場合があります、こういうことが予想せられますというようなものを検討して、入れてもらいたい。ただこういう法令があるからこっちへ持ってきたということではどうも承知できない、こういうことなんです。いかがでしょう。
  60. 森清

    ○森(清)政府委員 非常にりっぱな御意見を拝聴いたしましたが、私たちといたしましても慎重に検討いたしたいと思います。
  61. 今井博

    ○今井(博)政府委員 御指摘のように例文的な規定ということで、われわれもその点は十二分の検討を怠ったという点は確かでございます。ただいま御指摘になりました三十六条全体の一つ一つについてここで申し上げる具体例を持っておりませんが、職員が罰せられる場合は、やはり内部で、いろいろ会社の中で仕事をする場合に、専決規定を設けまして、こういう事項は総務部長とか総務課長が専決でやれというふうな場合を予想して、実は規定を設けておるわけでございます。たとえば認可、承認を受けなければならぬ事項ということで、今御指摘になりました四つばかりの事項について、そういう承認ないし申請の手続行為は総務部長が専決でやれ、こういうふうな専決事項を設けました場合に、その承認ないし認可を得ないで、認可の手続を担当者である総務部長が怠っておる、こういう場合を実は予想いたしたわけでございます。ただその場合に、その認可手続をする使者に立った単なる使者、これは御意見の通り、罰せられないわけでございまして、やはりその場合は、その専決事項ということできまっておる責任者である総務部長とかあるいは総務課長というものが責任をとらなければいかぬ。従って、そういう場合に職員の罰則もあり得る、こういうことで規定を設けたわけであります。しかしそういう事例は過去においてもほとんどございませんし、従って実際問題としますと、御指摘のように、ないのじゃないかと言われますと、まことに言葉に窮するわけでありますが、そういうことも一応理論的には考え得るわけでございまして、専決事項をどういうふうに定めるかということによって、場合々々が違ってくると思いますが、この辺の専決事項のきめ方等に際しまして、もう少し具体例をよく考えて、これも三十五条の問題と同様でございますが、いずれまれ御説のようにやって参りたいと思います。御了承をお願いいたします。
  62. 田中武夫

    ○田中(武)委員 今の答弁なら、ますますおかしくなるのですよ。ということは、たとえば内部事務分担において、承認申請する書類を作る責任者が総務課長であった場合、これが適用せられるんだと、こういうような説明だが、そうじゃないですよ。これを見てごらんなさいよ。ともかく法律によって許可、認可を受けなくていけない義務のあるのは、事業団という法人なんです。その内部において仕事の書類を作るのは職員かもしれない。しかしそれを申請するのはやはり理事長であり、その代理者である。しかも、そのことをきめるのは理事会なんです。だから、あとでまたゆっくりと説明をするということだから、これ以上言いませんが、これはあくまで形式を言っているのじゃないのですよ。罰則なんですからね。そういうことは、先ほど言っているように、職務の怠慢ないし違反だと思うのです。この各号に来る問題じゃないと思う。しかし、これも、これ以上はまたあらためてなにすることにしておきますけれども、今のあなたの考え方なら間違いです。  そこで、大臣、こんなこまかいことは知らぬかもわからぬが、ちょっと申し上げますと、この事業団法の三十五条、三十六条の罰則規定なんですよ。これは今まで、大臣を待つ時間、局長なり政務次官相手にやっておったのですが、こういう違反があり得るかということ、実際予想できないのですよ。結局特殊法人を作る場合に、これは通産省だけじゃない、どこでも同じ規定を置いておるのですよ。これは法制局の一つの型があって、そこへぱっとほうり込んだと思う。従って、実際に即さない罰則ができ上がるのですよ。これはむしろ法制局のマンネリズムというか、それにも僕は異論があるのですが、ただ、少なくとも人を罰するんですから、所管の法律のときには一つ目を通して、こういうことに——たとえば三十五条の「検査を拒み、妨げ、」ということが、刊法九十五条の公務執行妨害の場合との接点がどこか、どういうことが考えられるかということを、実際の事業団活動と照らし合わせて、罰則の項目も考えてもらいたい。あらゆる特殊法人の法律に、同じ罰則が同じように入っておるのですよ。そういうことを今言っておったところなんです。
  63. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 御意見、十分伺うことができませんでしたが、この種の罰則規定、これはいろいろ基本的にも御意見があると思います。そういう条項でございますだけに、運用にあたりましてはもちろん慎重を期さなければならない、かように思います。成立いたしました暁におきましては、そういう意味で十分気つけて参るつもりでございます。基本的問題は基本的問題として、お預かりをいたしておくつもりでございます。
  64. 田中武夫

    ○田中(武)委員 運用にあたって気をつけてもらうことは当然なんです。当然というか、これによって罰せられるときはあり得ないというぐらいに私は思うのです。そうでなしに、罰則を設けるときには、単に一つの型を持ってきてそこにはめていくということでなく、十分検討してもらいたい、こう言っている。
  65. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいまお答えした、基本的な問題は基本的な問題としてお預かりいたしますということは、そういう意味でございます。よく法制局にも皆様の御意向を伝えまして、またこういうケース等もいろいろ考えてみたいと思いますので、十分基本的な問題が——御意見のあること、これは肝に銘じております。そういう意味でよく検討することにいたします。
  66. 有田喜一

  67. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 産炭地域振興事業団法については、同僚各位からそれぞれ相当突つ込んで質問されてあると思いますから、大事な要点三、四点だけを質問いたします。  産炭地振興事業団の事業は、やはり産炭地に起こすわけですから、石炭を原料、燃料としての事業を起こす、これが一応考えられる問題であります。たとえば産炭地に火力発電所を建設するということについては、大臣もかなり熱意を込めてその建設のことを言われておったようでありますが、その後電力会社から、産炭地に作ることは反対だ、揚地に作らなければならぬという強い圧力がかけられてきて、産炭地に作るということがあいまいになってしまったように聞いておりますが、この点について大臣は、産炭地に火力発電所を作るという初志については、変わっておられないかどうか。さらに、産炭地に石炭を原料、燃料としてそれぞれの事業を起こすということについて、大臣または通産省として計画があれば、それらの点もあわせて一つお聞かせ願いたい。
  68. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 石炭産業といたしましては、石炭をできるだけ使うということ、これが第一であります。御指摘の通り、これは完全に意見が一致いたしております。その意味におきまして、火力発電を起こすというのは、これは望ましいことであります。火力発電所を産炭地にするとか揚地にするとかの議論が出ておりますが、私の考え方ではその議論はちょっと末の議論のように思っております。まず第一は火力発電で使うことだ、そして山元で使うことが最も能率が上がるのだから、山元で十分その発電計画を進めていただきたい。また相当遠隔の地でございましても、火力発電をする場合、これはむしろ揚地発電ということにならざるを得ないかと思いますが、そういうように電力のロスのないようなことも実は工夫していただきたいのであります。いわゆる産炭地で火力発電をして、遠隔の地までこれを送電するということは必ずしも望ましいことではない。この点を一つお考えをいただきたい。だから私はまず第一は、産炭地で火力発電を起こすことがいいんだ、しかしながら産炭地に限らない、揚地においても火力発電として石炭を使っていただくこと、これを望むのが本来の建前じゃないか、かように思います。また産炭地域においての事業は、できるだけあらゆる事業を誘致する、そして産炭地域の振興に資したいと思います。そういう意味の工場誘致等、いわゆる工業の地方分散計画だとか、あるいは地方開発計画、こういうものもあわせて考え、そういう場合にできるだけ石炭を使うという方向をとってほしいと思います。二、三の会社につきましては、少し立ち入ったことでございますが、通産省自身が、産炭地に近くできる会社だからできるだけ石炭を使え、こういう指示をいたしております。その要望に沿うつもりでございます。
  69. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大臣も御存じであると思いますが、たとえば福岡県の若松市に大きな火力発電所を作ります。これは御存じのように、その石炭は従来低品位で使用できなかった三千カロリーそこそこのもの、従来はボタとしてボタ山に捨ててあったものを原料としてやるというのでございます。従いまして、こういう低品位のものを長距離に運ぶことは、全く運賃倒れになる。最近は火力発電にそういう石炭の使用方法が発見されてきておるわけですから、そういう見地からしても、私は産炭地域においてこういうものを活用するということが最も国家的、効率的だと思いますから、そういう点を一つ十分お考えになるように要請しておきます。これは答弁は要りません。  それから産炭地振興事業国が事業を計画しましても、たとえば工場団地を作る、住宅団地を作る、そういう場合に一番問題になるのは、鉱害が完全に復旧されてなければ、地盤が保証されてなければ、これらに団地を建設することはできない。従って、まず鉱害の完全復旧を早く完成さして、工場団地、住宅団地に適応できるようにするということについての十分な計画、見通しを持ってやられておるかどうかという問題、それからいま一つは、昨日も問題になって、大臣に質問した点でありますが、これらの工場、住宅に対する工業用水、飲料用水が十分でない、御存じのように石炭を掘ってしまっておりますから、地下水をとるわけにもいかない、大きな川はほとんど濁ってしまっておるという点などから考えまして、やはり工業用水、飲料用水をそれぞれ十分に備えるだけの用意、準備をする必要がある。これらについてどういうようにお考えになって、事業団にそういう用意、準備を指示してやらせようとしておられるのか。あるいは鉱害復旧事業団との関係などの上においても、そういう点を十分計画されてやられようとしておられるかどうか。これは根本的な条件の問題でありますから、この点について一つお伺いしておきたい。
  70. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 鉱害復旧、これが基本であること、これはもう御指摘の通りでございます。御承知のように、石炭鉱害対策審議会というものを設けて、いろいろ対策を審議いたしておりますが、これが都合よくいけば本日、いずれにいたしましても近いうちに審議会答申があるはずでございます。この審議会は、今回は、ただいま御指摘になりますように、産炭地振興その他の観点に立って思い切った答申をするやに漏れ承っておりますので、その審議会答申を得ますれば、ただいま御指摘になりましたような点がさらに明確化するだろう、かように思います。いずれにいたしましても、私どももこの鉱害復旧が地方としての基本的な条件整備上絶対に必要なことだ、かように考えますので、積極的に対策を立てるつもりでおります。
  71. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 昨日も御答弁を伺ったわけでありますが、なお一つ念を押しておきたいと思いますのは、今申し上げました産炭地区における工場の工業用水あるいは飲料水については、大臣は、できるだけ地方自治体に負担をかけないようにしてやってやるという意味のことを答弁せられたと思っておりますが、われわれとしてはまことに喜ばしいことであります。その考え方間違いない、信用してよろしゅうございますか。
  72. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 とにかく工業用水の確保並びに飲料水の確保、これは絶対に必要なことでございまして、そういう意味で水を確保しなければならない。これは前提は御了承いただいておる。その後の問題として、これらの負担はいかにあるべきか、特に疲弊しておる産炭地域の自治体等に負担をかけることは非常に困難であるという御指摘があったのでございますので、事業遂行にあたりまして、十分工夫して、在来の例もあることでございますが、いろいろの例等をも参考にいたしまして、十分負担が軽くなるようにできるだけの道を講じて参りたいというふうに考えております。
  73. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 産炭地振興事業団が炭田地区に事業を起こすという場合には、いろいろありましょうけれども、特に福岡県の筑豊炭田地区というか、田川炭田地区というか、そういう地区に工業を起こします場合には、当然、北九州に膨大な工場、工業があるわけでありますが、これらとの関連を持つことが私は一番手っとり早いことではなかろうかと思います。そこで、北九州の大工場の現状を見ますと、その大工場の大きな修理はほとんど関西地方に出しております。これはたとえば輸送力の面においても、またその料金の上から見ても、北九州のものを関西地やはりこの法案をもっていたしましては不十分であるわけであります。従いまして、完璧を期するためにこの法案の修正を行なう必要があると存ずるのであります。従いまして、修正案を提案いたすのでございます。  案文を朗読いたします。   炭産地域振興事業団法案に対する修正案  産炭地域振興事業団法案の一部を次のように修正する。  第一条中「図るため、当該地域における鉱工業等の振興」を「図り、あわせて当該地域における雇用の増大に寄与するため、当該地域における鉱工業等の振興及び雇用の増大」に改める。  第十九条第一項第一号中「及びこれと関連を有する工作物を建設し」を「工業用水道を設置し、及びこれらと関連を有する施設を建設し」に改め、同項第三号中「前二号」を「前三号」に改め、同号を同項第四号とし、同項第二号の次に次の一号を加える。  三 第一号に規定する地域において、雇用の増大又は石炭需要の拡大に資するための事業を経営し、又はこれらの事業に対し投資すること。 以上の通りであります。  全会一致の御賛成をお願いいたします。     —————————————
  74. 有田喜一

    有田委員長 これより本案及び本案に対する修正案を一括して、討論に付します。  別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、本案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  75. 有田喜一

    有田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。  次に、原案について採決いたします。  本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  76. 有田喜一

    有田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  77. 有田喜一

    有田委員長 ただいま議決いたしました産炭地域振興事業団法案に対して、始関伊平君から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者にその趣旨説明を求めます。始関伊平君。
  78. 始関伊平

    始関委員 私は自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表いたしまして、ただいま可決せられました産炭地域振興事業団法案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたしたいと思います。  まず、案文を朗読いたします。   産炭地域振興事業団法案に対する附帯決議(案)  産炭地域の経済は、石炭鉱業に対する依存度が極めて高く、従って石炭産業の危機が産炭地域に及ぼす影響は頗る深刻なものがある。  政府はかかる見地に立って、本法の施行に当り、次の諸点について特に配慮すべきである。 一、産炭地域を疲弊より救い、炭鉱従業員の雇用安定及び職場転換を円滑にするため、積極的に産炭地域における新たな産業の誘致及び育成を行い、雇用の増大、石炭需要の確保に努めること。 二、産炭地域振興事業団の資金を大巾に増額するとともに、雇用の増大と石炭需要の拡大に資する企業の経営及び投資並びに工業用水道の建設等、事業団の業務の範囲を更に拡充するよう速かに措置すること。  きわめて簡単に御説明を申し上げます。  産炭地域振興事業団というものに対しましては、いわゆる疲弊の著しい産炭地域がきわめて大きな期待を寄せておるのでございまして、こういうことにもかんがみて、本事業団がすみやかにその業務を開始して、その設立の目的とするところを有効適切に実現せられたいと思うのであります。特に本事業団によって設備資金の貸付を受ける鉱工業の振興が、現地において当面緊急の課題であります雇用の増大と石炭需要の確保とに資するように配慮せられたいのであります。  また、いわゆる鉱工業の誘致、外部からの誘致のほかに、現地における石炭業者その他による鉱工業の造成、その育成にも力をいたされたいのであります。  次に、本事業団の資金量は、その目的に照らしまして少なきに失すると思われますので、今後これを大幅に増額するようにしていただきたいのであります。また、本事業団の業務範囲もその目的から考えまして狭きに失すると思われるので、石炭需要の拡大に特に資する企業、たとえば産炭地発電のごときでありますが、こういったようなものも、情勢の推移、情勢の変化いかんによっては、自分で経営できるように、それからさらに鉱工業の振興に不可欠の条件であります工業用水道のごときも、場合によってはみずからの手で建設し得るように、その業務の範囲を拡充しておくように特に配慮せられたいのであります。産炭地振興に関する事業を本事業団で一から十までやるということでなしに、地方公共団体あるいは既存の各種機関の協力を求めることはもちろんでありますが、この程度にまで事業団の業務範囲を拡げることは、その目的から見まして妥当であると思いますので、こういう附帯決議案を提出いたしました次第であります。  以上をもって説明を終わります。御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
  79. 有田喜一

    有田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  これより本動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  80. 有田喜一

    有田委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  ただいまの附帯決議に関しまして、この際政府の所見を求めます。佐藤通商産業大臣
  81. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま当委員会におきまして、全会一致でこの附帯決議の議決を見ました。もちろん、政府といたしましては、皆様方のこの決議の趣旨を尊重して対策をとることは当然であります。  特に、第一点につきましては、もちろん私どももこの種の事柄を強く推進したい、かように考えておるわけでございます。ただ、第二項の業務範囲の拡大につきましては、ただいままでの審議の経過でもおわかりのごとく、関係省との関連も多分にありますし、なお問題点もありますので、直ちにこの通りいたしますというお返事をいたしかねますけれども、通産省といたしましては、責任ある官庁でございます、当然この決議の御趣旨に沿うよう努力いたすことはもちろんでありますが、積極的に関係省との懸案の問題等も妥結するように一そう善処していく、こういう考えでおりますことをこの機会に明確にいたしておきます。     —————————————
  82. 有田喜一

    有田委員長 ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 有田喜一

    有田委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会      ————◇—————