運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-15 第40回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十五日(木曜日)    午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 岡本  茂君 理事 神田  博君    理事 齋藤 憲三君 理事 始関 伊平君    理事 中川 俊思君 理事 岡田 利春君    理事 多賀谷真稔君 理事 中村 重光君       藏内 修治君    白浜 仁吉君       濱田 正信君    滝井 義高君       渡辺 惣蔵君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (石炭局長)  今井  博君         通 商 産 業         鉱務監督官         (鉱山保安局         長)      八谷 芳裕君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局資金         課長)     鈴木 喜治君         通商産業技官         (大臣官房審         議官)     久良知章悟君         通商産業事務官         (石炭局炭政         課長)     井上  亮君         中小企業金融公庫         副  総  裁 中野 哲夫君         日本開発銀行         総務部次長   上野  茂君     ————————————— 三月十四日  産炭地域振興関係法等の整備に関する請願(藏  内修治紹介)(第二四七六号)  産炭地域振興事業団法案に関する請願藏内修  治君紹介)(第二四七七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第七六号)  産炭地域振興事業団法案内閣提出第七七号)      ————◇—————
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興事業団法案を課題として、前会に引き続き質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 産炭地域振興事業団法関連して二、三質問をしたいと思います。それは石炭鉱業合理化計画が急速に進行をしていきますと、その地域石炭関連産業が急激に衰退をしてくるし、離職者が発生をして、今の状態では急速な広域職業紹介というものが必ずしも順当にいくとは考えられない。なぜならば広域職業紹介をやる速度よりか、合理化速度の方が速いわけです。従って急激な離職者の滞溜というものが起こってきているわけです。それから合理化進行は、残炭を急激に取らなければいかぬということで、やがてこの山を合理化計画に乗せようとすれば、その鉱業権者は非常に乱掘をやるわけです。そういうところから最近非常な保安の大きな問題が起こってきているわけですが、その結果、地表には鉱害が急激に増加をしてくるわけです。そうなりますと、自治体財政というものが急速な窮乏化をたどってくる。破産を宣言した田川市、なんというのが週刊文春に出る、こういう形が出てくるわけであります。すなわち地方財政の急激な窮迫が起こってくるわけです。こういう状態に対して産炭地域振興臨時措置法というものは、その地域の滞溜する労働者に職を与える、雇用を与えるというために、産炭地域における鉱工業の急速な計画的な発展をはかり、同時に石炭需要の安定というのは、これはその地域でも石炭需要を起こすだろうし、同時に産炭地以外でも需要を起こすことになると思うのですが、その場合に、今度できる事業団というものは、これらの合理化進行過程で起こってくる、今私の述べましたような石炭関連産業衰退離職者の滞溜、鉱害の拡大、地方財政窮迫という四つのものに具体的にこたえていけるものでなければならぬと思うわけです。ところが今までの説明なり、法案の内容を読んでみますと、単にその用地を作り、あるいは金を幾分貸すというくらいで、どうも積極的な意欲が法案に見られないわけです。まあ法案出して一応客観情勢を見ながら、その上で第二のステップを踏もう、とりあえず第一歩を踏むんだ、こういう形であるいはお出しになっておるのかもしれぬけれども、こういう合理化進行過程で出てくる四つのものに政府事業団で対応するのには、あまりにも事業団は脆弱だと思うのだけれども、事業団のほかに何か考えておられるのかどうか。これは大臣に質問した方がいいのかもしれませんけれども、大臣来ておりませんから、まず局長から先に御答弁願っておいて、それから大臣が来たらまたあと大臣に重ねてお尋ねをするのですが、先に一つ局長にお願いしたい。
  4. 今井博

    今井(博)政府委員 産炭地に現在起こっております大きな現象として、今滝井先生四つおあげになりましたが、まさにこれはいずれも産炭地の重要問題だと思います。この産炭地振興問題を政府として取り上げましたのは、もちろんそういう点に重点を置いているわけでございますが、たとえば自治体の問題とか財政窮迫の問題とかいうことになりますと、これは産炭地振興法というワク内だけではなかなか片づかない問題、あるいは自治省のいろいろな財政操作、そういった財政補助操作とかいった問題も関係いたしますし、それから鉱害問題等は、これは産炭地振興法とは直接関係を持つこともなかなか困難でございまして、やはり鉱害対策審議会鉱害そのものをどうするかという方向で考えなければいかぬと思います。しかし産炭地振興法は、そういった問題も考えまして、できるだけ広くいろいろな問題を取り上げたいと思いまして、振興法では非常に前広いいろいろな振興問題を考えて、これに関する振興計画一つ作っていこうということを考えておるわけでございます。事業団の方は、この産炭地振興法で考えておりまする問題を全部これが引き受けるということはとてもできませんので、やはりそのうちの事業団が引き受けるのに適当な仕事、これを各府県自治体と協力して分担してやっていくということよりいたし方ないかと思います。御説の通り事業団の今回の事業は、もちろんこれはワン・ステップでございまして、当初この程度から出発していくということが現在の情勢ではまあぎりぎりのところじゃないかというふうに実は考えておりますが、もちろんこれは逐次事業範囲あるいは業務範囲等につきましては、産炭地振興の進捗に応じまして、できるだけ一つ拡大していきたい、こう考えております。
  5. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、事業団の引き受ける適当な仕事というものを分担をしてやっていくということでございますが、産炭地振興しようとすれば、やはり総合的な政策が必要になってくるわけです。従って、たとえば筑豊で例をとってみまするならば、約八十万の人口がそこに住んでおるわけですが、これは北九州のヒンターランドとして、今北九州石炭を供給し、あるいは関西に供給するという、重要な太平洋ベルト地帯の広い意味背後地であるとともに、北九州自体の直接の背後地にもなっておるわけですが、これを振興しようとすれば、総合的な政策が必要になる。事業団というものが、その総合的政策一環をになうとすれば、事業団というものの総合的計画の中における位置づけというものはどういうことになるのか、やはりこういう問題になってくると思うのです。そうしますと、産炭地全体の、たとえば一番衰退の激しい筑豊炭田を例にとってみれば、筑豊炭田全体の振興計画というものを政府ではお立てになって、そうしてその中で分相応に、事業団というものはこういうものをやり得るのだ、こういう形がなければならぬと思うのです。そこで産炭地全体の総合的な振興計画というのは、前の産炭地域振興臨時措置法で、産炭地域振興審議会意見を聞いてお作りになることになっているわけですね。その具体的な全貌は出ないにしても、概要というものを作っておかないと、事業団位置づけというもの、仕事分担というものがはっきりしてこないことになるわけです。従って、おそらく用地とか金を貸すくらいのことになって、工作物を作るということくらいになってしまうのではないかと思うのですが、振興計画というか、基本計画実施計画二つあるわけですが、何かあなたの方の、具体的な、全貌じゃなくて概要でけっこうですが、そういうものは何か少し目鼻がついておりますか。
  6. 今井博

    今井(博)政府委員 振興計画につきましては、御承知のように、昨年か審議会中心に今調査を各方面に依頼しておるわけでございますが、現在はまだ調査段階でございまして、各県及び自治体からいろいろなヒヤリングをやりまして、その振興計画の材料を今集めておる、こういう段階でございます。それでこの夏から秋くらいにかけまして、この産炭地域振興審議会で、そう精細なものはなかなかできませんが、一応骨組みになるものは大体できるのじゃないか、こう思っております。この事業団を作ります場合には、むしろそういうものができてから、それから事業団を作ったらいいじゃないかという議論も、政府部内で相当ございましたけれども、そういうものを急ぐ一方におきまして、やはりこの事業団を作って、そういう振興計画を樹立するに際しましても、やはりこの事業団がそういうものの推進の中核体というふうな格好でいろいろ推進していくことが必要だろうということで、むしろ振興計画ができない前に事業団を作るという格好になっておりますが、やはり事業団業務を開始する時期には、そういった振興計画は少なくとも大ざっぱなものでも早くまとめたい、こう思いまして、その中で事業団が担当することが確かに適当だ、一番それが適切であるというふうなものがさらに出て参りましたら、事業団業務の中に逐次つけ加えていくというふうな考え方で進めていくことが妥当だと考えております。
  7. 滝井義高

    滝井委員 振興実施計画はとにかくとして、やはり大あらまし振興基本計画というものは、今ごろはできておらなければならぬと思うのです。というのは、三十八年までには五千五百万トン、千二百円引き下げの基本方針とういものを政府は変えないということを、再々にわたってここで佐藤さんが言明をされておるわけなんですよ。そうしますと、もう日々合理化進行して、どんどん首を切られていく労働者が出てくるわけですから、その出てくる過程の中で、さいぜん申しましたような四つ事態というものが進行してきておるわけですね。そうしますと、その地域の住民というのは干ぼしにするわけにはいかぬわけですから、やはりこの際基本計画の大あらましというものを——夏まで待てということになると、夏までには相当の進行があるわけですよ。もうここ半年ばかりのうちには、相当の進行がある。それは御存じ通り、もう筑豊炭田大手炭鉱というものは撤退作戦を、来年の三月くらいだと言っておったのを、ことしの秋から夏に繰り上げ始めておるわけです。これはあなたも御存じ通りです。ほとんど繰り上げておるわけです。そうしますと、片一方合理化が今までよりか半年なり六カ月、ことしの十月の自由化を控えて、やはり早く油と対決する形を作ろうとして合理化を繰り上げておる。そうすれば、政府の方も産炭地振興基本計画というものも、夏を待たずして、やはりこれは少なくとも春くらいまでには繰り上げて、大ざっぱなものを作り上げるという方向になってこないと、話にならぬと思うのです。まだその大ワクしか出ておらぬ、今ようやくヒヤリングをやっているところだ、これでは何ぞ進行のおそきやということを言わなければならぬことになるのですが、何かもう少し基本計画の大ワク——農地なんかは審議会意見を聞かずして二十億円の金をお出しになる内閣なんですから、こういうのは——片一方臨終なんですよ。農地の方は臨終じゃないのですから、やはり臨終の方から応急手当をやるのが名医ですよ。この前は胃ガンの話が出まして、きょうは臨終ですけれども、臨終の方を先にやらなければならぬ。それにはやはりカンフルが必要なんですから、そのカンフル的な大ワクというものは示さなければいかぬと思うのですがね。
  8. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 滝井さんはさすがにお医者さんですから、みな病気の例を引っぱられる。しかし私はただいま言われることに、やはり少し——事態について私も憂慮しておる一人でございますが、滝井さんの憂慮しておられるように、はたしてそんなに急速に臨終あるいは墓場というようなところまで進むのか、もう少し産業そのものとすれば時間がかかるのじゃないか、かように実は私は思います。その時間をかけることがいい場合もあるし、またまずい場合もあるし、いろいろな批判はございますが、やはり今の山の撤退作戦というお話が出ましたけれども、それもきめたからあしたからというものでも実はないように思うのです。そこにやはり生きている人の問題でございますから、もう少し時間がかかりはしないか、これが一つです。  それからもう一つ、そうは申しましても、行きつく先は大体の見当はつくのでございますから、そういう意味でこの事業団が必要だろうというわけです。その事業団のそういう意味必要性はわかるが、いざ今度は具体的な対策を立てるとなると、やはり正確なデータによって進めていくということが実は望ましいのだと思います。従いまして、非常に追っかけた、また追いやったお気持お尋ねの中に出ておりますが、もう少し時間がかかるというか、そういう感じがしてならないのでございます。私たち、おくれてどうこうということではなくして、事態の推移に対応した適正な具体的処置をとらない、かように思いますと、もう少し余裕がありはしないか、かように実は思っておりますので、その間に十分な対策を立てたい、かように存じております。
  9. 滝井義高

    滝井委員 大臣あとから見えたので、あなたの今の答弁はわれわれの議論のポイントをちょっとはずれているのですが、私の言わんとしているのは、産炭地振興という政策総合政策でなければならぬ、その場合に、この事業団というものは総合政策のその一環をになうのだ、ここまでははっきりしているのです。そこで、その一環をになうのだが、その一環をになう場合には、具体的な実施計画というものができなければいかぬのだ。ところが、具体的な実施計画というものはなかなかすぐできない。大あらましの、産炭地振興臨時措置法でいっている基本計画というものは一つ作っておかなければいかぬ、その基本計画というものは、どうですか、大あらましできておりますかと言ったら、今ヒヤリングをやっているので、夏ごろでなければできないという御答弁があった。夏ごろということになりますと、筑豊炭田では、来年の三月につぶすと言っておった山が、すでにことしの秋には、あるいは夏にはもうつぶしますよ。半年の繰り上げがあった。これはやはり十月には自由化があるので、貿易の自由化が九〇%進行するということになれば、そういうことも考慮して炭鉱経営者というものはそういう措置をとってきているのだ。そうすると、そういう基本計画を夏までに聞いて作るというのではおそい。相手方が繰り上げてきたのだから、官庁の方もこれは計画を繰り上げる必要がありはしないか。この繰り上げというものをもし他の方が——他の方というのは産炭地域振興審議会の方ですが、ここでぐずぐずして出さないとするならば、この際政府の考えくらいは、農地の方では二十億の措置を先におやりになる内閣だから政府としてはこのくらいのことはやりたいと思うが、さらに詳細は審議会意見を待ちますというように先手を打ってやる必要がある、その大ざっぱなところぐらいは発表できないのか、こういうことなんです。
  10. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 滝井さんのお尋ねは、しごくごもっともだと思いますが、どうも審議会を作って、審議会意見を徴さないで事前に意見を発表することは、あまり評判がよくございません。ただいまの具体的な問題をどうするかとお尋ねになるのですが、この法律ができたら、幸いにして議決を得ましたら、できるだけ早目に審議会を開いて、そうしてこの審議会における各界権威者意見を聞く、こういう処置をとることにいたしましょう。ただいま言われますように、夏になるだろうとかなんとかいうことでは滝井さんのお気持にも合わないようでありますし、また私どもの気持にも合わないように思いますので、できるだけ早目にそういう処置をとるということで一つ御了承いただきたいと思います。
  11. 滝井義高

    滝井委員 実はこの法律のほかに、先に産炭地域振興臨時措置法が通っておるわけです。その臨時措置法で、基本計画を定めなければならぬということもきまっていて、すでにそれはヒヤリング進行中ですから、この基本計画というものができると、大体の大ワクができてくると思うのです。そうすると、その中で具体的にどれとどれとを産炭地振興のための優先的な事業としてやっていくか、こういうことになる。そのやる事業の中で、今度は事業団とこれをどういう具合にかみ合わして位置づけするか、こういうことが具体的になってくると思うのですよ。そこらの道行きを、これは速急にやらないと、もう筑豊炭田撤退作戦をやるということは既成の事実で、しかもそれは、この法律が通る通らぬにかかわらず、現実に進行し、具体的にいろいろな問題が出てきておるところなんですから、ぜひ一つ速急に法案通り次第やって、基本計画の大ワクお作りになったならば、そのワクに基づく事業団の役割というものを一つ明白にしていただきたいと思います。  次に「石炭鉱業不況により特に疲弊の著しい産炭地域」と、上にこういう形容詞がついておるのです。「不況により特に疲弊の著しい産炭地域」というこの表現の問題ですが、この前の臨時措置法の方も、「疲弊の著しい石炭産出地域」となっていたが、今度は「特に」というのが二字ついたのですよ。こまかいことを言うようになるけれども、これは今井さんの理事会での答弁なんか聞いても、これは苦心の作だということで、僕もなかなか苦心が表われておると感心して、つき合わして読んでみたのですが、特にとしなければならぬところに、ある程度事業団の性格が浮き彫りされてきているわけです。これはどこへでも行ってやるというわけにはいかない、特に著しいところにやるぞ、こうなっておるわけですから、この特にということのついた苦心の作のものさしというものは、どういう範囲にこの事業団の運営が行なわれていくのですか。
  12. 今井博

    今井(博)政府委員 ここで「特に」と書きましたのは、そう特に意味があるわけではありません。やはり、気持出しておるわけであります。これは府県なり自治体がいろいろなこういう振興事業をやるということが普通の筋道だと思いますが、やはり政府が直接金を出して、こういう特別のものを作って、いろいろな振興に必要なる事業をやるという、そういう意味からいいますと、特に疲弊しておる地域重点的にやるということがやはりぴったりするわけでございますから、そういう気持でここに書いてあるのでありまして、従って、これでその地域を特に限定するというふうには考えておりません。
  13. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この事業団というものは、石炭山が終わってしまって、そうしてもう特に著しい疲弊の起こったところに事業団仕事を持っていくよりか、その資金効率を考えるならば、もう二年の後にはあの地区は確実に特に著しい疲弊地域になるのだということを——今確実な見通しがつきますね。増強群とそれから維持群、新鉱群、スクラップになる非能率群、こう四つの群がありましたね。そうすると、大体非能率群の多い地域というものは、特に疲弊の著しい地域になることは確実です。そういう地域に、これは病気になってから治療するよりか、病気になる前に予防的な措置を講ずることが、これまた名医なんですね。医者のことばかり言って失礼ですけれども、そういうわかりやすい言葉で言わぬとどうもわかりにくい。もう筑豊炭田というものは、二年の後には特に疲弊の著しい地域になるということは、大体あなたの方はおわかりになっておる。だからわれわれがこの前、非能率炭鉱維持群の中からそういう繰り上げてやるものを一つ出して下さいと言ったのは、そういう点があるわけです。そういうところに事業団が前もって仕事を興す準備計画を着々とやって、二年たって炭鉱が閉鎖したら、直ちにその方に切りかわっていたというような移行形態、ちょうどにじが赤からだんだんとこう並んでいるように、その移行形態があるような工合に、知らず知らずのうちに移行していっておる、石炭山がつぶれたときには他の産業がそこに動いているという形態が一番いいのです。そういう形態が、この今度の法律ではとれますか。これはどうも今度の法律ではとれないような感じがするのですが、とってもらわぬと意味がないと思うのですよ。特に著しい疲弊をしたところだけにやるというのでなくて、もう一年か二年後には明らかにその地域疲弊をするというところにも事業団が動いて、前もって予防的に、知らず知らずのうちにそこのいんしんな状態が保たれておる、炭鉱が終わってももとのまま、さっそくそこには炭鉱にかわって他の産業がある、こういう形にすることが私は一番いいのだと思うのですが、そういうことはできますか。
  14. 今井博

    今井(博)政府委員 これは法律の問題と実際問題とに分かれておりまして、法律的に見ますと、もちろんそういうふうな場合にも、これはやってはいかぬということにはなっておりませんので、別に差しつかえないと思いますが、ただ実際問題といたしますと、これは資金量とも関連いたしますので、最初は数少ない資金の中で、できるだけ有効に使っていこうということになりますと、やはり疲弊が現に著しい地域というところに重点を置くということにならざるを得ないかと思いますが、できるだけ資金の量をふやして、今言われたような予防的な措置をも兼ね備えるようなところまで育成していきたい、こう考えておるわけでございます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、そういう予防的な——もうその運命が二年後には明らかだというようなところにも、これはできると理解して差しつかえないですね。
  16. 今井博

    今井(博)政府委員 差しつかえございません。
  17. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今度の事業団法産炭地域というのは、従って特にというのがついたという意味ではなくて、大体非常に苦心の作ですから、その産炭地域というものは非常に限局されたものになってくる。どこと比較して限局されたものになってくるかというと、産炭地域は非常に範囲が広い。石炭産業不況疲弊の著しくなった地域と、それから隣接地と、さらにその石炭鉱業振興関係のある地域と、いわば三段がまえになっております。中心部とその隣、それから関連のある比較的近いところだと思うのですが、こうなっているわけです。これを全部で産炭地域と、広かったわけです。ところで今度の法案は、そういう広いところまでこの解釈は適用していきますか、それとも中心部だけと限ることになるのですか。
  18. 今井博

    今井(博)政府委員 特に中心部だけに限るということを考えておりません。従って事業団仕事をやる範囲の広さということからいいますと、産炭地域振興法でいう産炭地域と一致するわけであります。従ってそこまではやっていいわけでございますが、ただ実際問題とすると、そこまでどれもこれもやるということになりますと、非常に資金量も膨大になりますし、実際問題とするとやはり重点的に仕事を効率的にやっていくということになりますれば、やはり中心部あるいはそれの隣接地区というところから仕事を始めていくということが、実際として適切ではないか、こう思っております。
  19. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、産炭地域振興臨時措置法とこの事業団法産炭地域とは一応原則的には一致をする、しかし資金重点的なつぎ込みという点から考えると、やはり中心部が優先をしてくる、こういう考え方である、それはわかりました。  次は、事業団事業をおやりになる場合に、自治体に委託をしますね。二十条の業務の委託で「事業団は、通商産業大臣の認可を受けて、石炭鉱業合理化事業団その他通商産業省令で定める者に対し、その業務の一部を委託することができる。」と書いているわけですね。この場合にまず第一に、事業団事業を委託しますね、この事業団に委託をする事業というのは、一体どういうものを事業団に委託することになるのか。  それからもう一つ。通商産業省令で定める産炭地域振興事業団がその業務の一部を委託することができる者は、石炭鉱業合理化事業団のほかに、都道府県その他の地方公共団体と工場立地センター、こう三つになっておるわけです。従ってまず第一に、今考え得る、石炭合理化事業団に、委託する業務というものは一体どういうものがあるか、それから地方自治体すなわち都道府県その他の地方公共団体に委託するもの、それから工場立地センターとは一体何ものか、そうしてそれに委託する業務とは一体どういうものか、この三点について一つ御説明願いたいと思います。
  20. 今井博

    今井(博)政府委員 合理化事業団に委託する仕事といたしましては、この産炭地域振興事業団が造成いたしました土地の管理を委託したらどうか、こういうふうに予定しておるわけでございます。それから工場立地センターにつきましては、これは事業団はいろいろな調査をやるわけでございますので、その調査業務をそういうものに委託する、そういう考え方でございます。
  21. 滝井義高

    滝井委員 その工場立地センターというものは、一体どういうものなんですか。その機構とか構成とかというものを……。ちょっと工場立地センターというものがよくわからないのですが、この法律にそれがないものですから……。どういう人格を持っておるのですか。
  22. 今井博

    今井(博)政府委員 これは財団法人でございまして、通産省の企業局で実際めんどうを見ている日本工業立地センターというのがございます。これは工業立地について相当専門的な調査をやっておりますので、そういうものに委託するということが適当な場合はそこに委託するということでございます。
  23. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この産炭地域振興事業団法の施行規則案の中に出てくる「委託の相手方」の第一条の工場立地センターというのは、こういうような団体なら委託をしてよろしい、たとえば日本工業立地センターのごときものだ、そういうことで、別にこれは特定のものではないわけですか。
  24. 今井博

    今井(博)政府委員 特定のものでございません。たとえばそういうものを考えております。
  25. 滝井義高

    滝井委員 次は、自治体に委託をするのが答弁がなかったのですが、都道府県その他……。
  26. 今井博

    今井(博)政府委員 これは、自治体にどういうことの業務を委託するかという点については、いろいろあると思いますが、一応今われわれの考えておりますのは、土地の造成等に関しましてやはり必要な調査を委託したらどうか、あるいは土地を売りました場合の販売代金の徴収とか、あるいはいろいろな工作物の管理とかいうものを自治体仕事として委託する、そういう程度でございます。
  27. 滝井義高

    滝井委員 合理化事業団や工場立地センターあるいは自治体等の業務というのは、大した業務じゃないようでございますね。そうしますと、この事業団政府出資五億と、それから運用部資金から出す五億の具体的な使用法、それをちょっと御説明願いたい。ことしはどういう方面に具体的に使うか。
  28. 今井博

    今井(博)政府委員 合計十億の中で、ただいま考えておりますのは土地の造成、これはいろいろな関連工作物も含めまして土地の造成に約七億、正確に申しますと六億八千九百万というものを予定いたしております。それから産炭地域振興貸付金といたしましては、二億五千万を予定いたしております。その他が一般管理費とか初度の設備でございます。合計いたしまして十億になるわけでございますが、これは一応予算の算出の根拠でございまして、実際にはこれは事業団が成立いたしまして、事業団の首脳部でもって、この貸付金あるいは事業初度資金の割り振りの問題については、やはりもう少し実際問題とにらみ合わせてやる。この点については、実施計画としてはまた別の数字になってくるかもしれませんが、一応これは予算の算出根拠である、こういうふうに一つお考え願いたいと思います。
  29. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、土地の造成六億八千九百万と、資金の貸付の二億五千万円、その他が六千百万円くらいになりますか、管理費、初度設備等が六千百万円ぐらい。私は今局長さんが、これは全く予算要求のときの計数だから、それを一つ了承してくれということをつけ加えたところに、一つ意味があると思うのです。というのは、さいぜん私が冒頭に御指摘申し上げましたように、まだ産炭地域振興基本計画がきまっていないわけですね。基本計画がきまらず、実施計画がきまってないときに、六億八千九百万円で、土地を造成するといったって、そんな土地は、まさか運動場を作るわけじゃないからね。何かやはりこの基本計画ができてないと、それだけの土地が必要だということにはなってこないと思うのです。そこで私の言いたいのは、こういう十億の予算がついて事業団ができるということになれば、やはりどうしてもそこに基本計画なり実施計画というものがある程度浮き彫りされてこないと、つじつまが合わぬことになると思うのです。そういう点がどうもあまりに机上プランになり過ぎているという感じがしないわけでもないのだが、とにかく約七億程度の土地の造成をおやりになる。予算の基礎だというならば、この七億の土地造成というものは一体どういうところにお作りになるかというおよそのものが、予算の要求のときにあるわけですか。
  30. 今井博

    今井(博)政府委員 予算は七カ所要求いたしましたが、これは総額で削られて参っておりますので、そのうちからやはり重点的に選択をしなければならぬというふうに考えております。特にある程度具体的に、ここは企業誘致も相当可能である、早急に可能である、あるいはいろいろな関連施設等につきましても、相当これは県自体の計画も進んでおるというふうなところを、具体的にこの七カ所のうちからさらにしぼって選択する、こういうつもりでおります。
  31. 滝井義高

    滝井委員 ちょっとその七カ所を言えますか。
  32. 今井博

    今井(博)政府委員 これは各府県との関係もいろいろございますので、具体的な地点についてはごかんべん願いたいと思います。
  33. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、七カ所あるその中から選択しなければならぬそうですから、これ以上は聞きますまい。  二億五千万円の資金の貸付というのは、一体どういう方面をお考えになっおてるのですか。
  34. 今井博

    今井(博)政府委員 これは、金額が少ない関係もございますが、やはり大企業は御遠慮願いたいと思っております。それと、やはり振興計画で必要な事業というものの範囲に限る。それから貸し付ける場合には、離職者を極力吸収するというような見地から、一定の離職者及びその子弟というものの雇用を一つの条件にしていく、こういう考え方でおるわけであります。
  35. 滝井義高

    滝井委員 では、まだ具体的に事業がはっきりしておらぬようでありますが、この事業団のお金は炭鉱に貸しますか。
  36. 今井博

    今井(博)政府委員 炭鉱も、先ほど申しました産炭地振興に必要な事業を営む、しかもそれが離職者の吸収に非常に効果的である、こういう場合には、一種の産業転換でございますので、これはもちろんその対象としていくわけであります。
  37. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、その炭鉱が自分の炭鉱離職者のために別に産業をやるという場合にはお貸しになる、こういうことですか。こういう場合はこの産炭地振興に入るのかどうかということですが、これは鉱工業等の急速かつ計画的な発展、こうなっておるわけです。鉱工業と書いてあるので、金へんの方の鉱も入っておるわけですね。炭鉱は鉱業になるわけです。そうしますと、合理化事業団が持っている鉱区と隣接した鉱区を持っている、そうして、合理化事業団の持っている鉱区の中に、相当深部にいいものがある、自分の持っている鉱区からこれをとれば非常にいいんだというような場合もあり得ると思うのですよ。その場合に、五百人首を切らなければならぬのだけれども、事業団の鉱区をもらってその深部開発さえできれば、五百人の首を切らなくてもいいんだということになれば、そういう意味では、これは鉱業の振興になるわけですね。こういう場合に、炭鉱は対象になるのかどうかということです。
  38. 今井博

    今井(博)政府委員 これは鉱工業ということからいえば、概念としては入るわけでございますが、実際の運用としては、そういうものはやはり別途の資金ソースから考えるということで事業団の対象とは考えないつもりでございます。
  39. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、石炭山は、産炭地振興の中に入らぬということでいいですか、そういう考え方で……。
  40. 今井博

    今井(博)政府委員 そうお考え願いたいと思います。
  41. 滝井義高

    滝井委員 産炭地振興するというのは、私はまず第一に石炭山振興だと思うのです。それは近代化資金なりその他を貸しましょうということだと思うのだが、しかしそれは一定のワクがある。そうすると、一番早いのは他の鉱工業を持ってくるよりか、その石炭山振興さした方が一番早いことになると思うのですが、どうもそこらあたりに問題があると思うのです。というのは、この前議論をしたことにまた返るのですが、炭鉱で七万人首を切った、ところが実際は、四万人は首を切った炭鉱労働者をまた雇っておる、こういう実態がある。その雇った人には奨励金はくれません、こういうことなんですね。しかし炭鉱振興しなければならぬのだというと、どうも矛盾をしておる感じがするのです。なぜ鉱工業と書いてあるのに炭鉱だけをどけるか、それじゃ、炭鉱を除く、こう書かなければいかぬ。筑豊炭田で一村早いのは、炭鉱をやるということが一番早い。なぜならば、炭鉱労働者は今言ったように、七万人首を切られても四万人はまた炭鉱に入る。そうするとその政策に、この前から言っているけれども何か矛盾があると思います。そこで今度社会党が出しておる案は、この首を切るということを労働大臣に許しを受けても、それは確実な配置転換その他ができない限りは許してはいかぬ、しかしその許してはいかぬ間は、その炭鉱に決算で赤字が出たら賃金を補給してやりなさい、こうなっておるのです。これは、それでもいい。よそに連れていってその雇った人に奨励金を四分の一、三万円までは上げます、こういうことになるのですから、よそで上げるものならばその現地でお金をやった方がいい。同じなんですからね、使う金は。ところが何か炭鉱だけは一切の政策は例外だと言いながら、産炭地振興すると言っておるのだから、何か根本的に一つ歯車が狂っておりはせぬかと思うのです。
  42. 今井博

    今井(博)政府委員 これは根本の考え方産炭地振興という場合に、やはり大きく言えば一つ産業転換という考え方があるわけでございまして、産炭地で山がつぶれていく、あるいは縮小していく、そういう場合にできるだけそれにわかる鉱工業を急速に誘致したい、そういう考え方一つの基本をなしておるわけでございます。そういう考え方からいたしますと、石炭鉱業振興するという問題はむしろこの事業団の本来の目的にすべきでないのじゃないか。法律的にはもちろん鉱工業の中に石炭は入りますけれども、先ほど申しました基本的な考え方から、むしろ石炭鉱業そのものを振興するという場合は、これは御承知のように、近代化資金なり開発銀行の資金なり、あるいは中小公庫の資金なり、そういった別途の金融のルートがあるわけでございますから、それについては政府も相当の力を入れているわけでござますので、それはそれで、その本筋でむしろ振興していく、産炭地振興事業団の融資の対象としましては、やはりそれ以外の、それにかわる鉱工業の育成というものに力を入れていくということが一番妥当なんじゃないか、こう思うわけでありまして、歯車が狂っておるというふうには考えておりません。
  43. 滝井義高

    滝井委員 産炭地振興するという一番早い方法は、石炭産業振興することが一番早いと思うのです。そうでしょう。石炭産業振興することが一番早い。ただ石炭を掘るのに幾分経費がよけいかかるということのために、今やめておるわけでしょう。ところが、石炭を掘るために幾分経費がよけいにかかるという分、そのよけいにかかる経費をどうしておるかというと、国が税金を出して、今度はそこの労働者を東京とか大阪で雇った者には雇用奨励金を出しておるのですから、その出しておる奨励金をそこへつぎ込んだって同じことです。振興するためにそこにつぎ込んだって同じです。どこで雇用させようと同じでしょう。住宅があるのだから、その分だけ得するわけです。企業というものは、そういうものだと思うんですよ。たとえば今厚生年金の問題が起こっていますが、企業は厚生年金をかけるよりか、内部留保で企業年金をやった方が得だということをいっておるわけですよ。それと同じで、企業にしてみれば、とにかく金を出さぬようにさえ考えればいいのですから、そして労働者も生活が安定したらいいということになれば、何もよその大阪まで持っていかなくても、ふるさとの筑豊炭田において金をやって振興したらいい。それが一番いい。それが私はまず第一だと思う。ところが、そこに政府が金を入れずに、顧みて他を言っておるところに問題がある。能率が悪いからというけれども、能率が悪くたって、その金をここへつぎ込んでおれば、能率の悪い炭鉱だって石炭が出る。ただ赤字になるから困るという。ところが、企業から見れば赤字かもしれぬけれども、国の経理から見れば、今度はよそに出ていく人に金をつぎ込んでおるのだから、その金を現地につぎ込めば、住宅も要らぬし、移住資金も要らぬし、国の経理からいってもずいぶんもうかるということになる可能性があると思うんです。ところが産炭地振興といいながらも、石炭の山についてはそんな金は一文も出しませんぞ、近代化資金だけだということが私は問題だと思うんですよ。だから、今度社会党の出している案というものは、簡単にいうと、その矛盾をついたわけです。よそできちんとした、食えるだけのものをするならいいけれども、そうでないならば、首を切ってはいけませんよ。その金をこっちにつぎ込みなさい。これはあなた方の歯車の狂っているところを直したものだと思うんですよ。盲点をついているのだと思うんです。しかし、一年だけれども、行ったやつは、悪かったら次から次に帰ってくるのだから、帰ってくればまた軌道に乗るのです。今、行ったのがまた帰ってきているのですよ。みんな、悪くて、約束が違うといって帰ってきている。この前も私はパイプ・ハウスのことを言いましたけれども、その企業に行ってみたら、賃金が違う。ところが、これを出ようとすると、パイプ・ハウスはその事業主の所有というか、権利になっておるから、お前がおれの企業をやめるのならば、君は出ていきたまえ、こう言われる。そうすると、泣く泣く、いわば体のいい奴隷労働に従事しなければならぬことになる。出ていけと言われる。住居がなくなる。まさか歎呼の声で送られたわけではないが、みんなと別れをして神奈川県にやってきた。ところが前の条件とは違うので、隣にりっぱな企業ができたから、私はそこに行きます、そこの方が賃金を高くくれるからと言うと、じゃ君、パイプ・ハウスを出なさい。そうすると住居権を奪われるから、泣く泣くそこに勤めざるを得ないという手紙がきているということを私はこの前話したのですが、そういう形になっておるのです。だからこれは田川なら田川から来ておっても、今度は田川に帰らないで、飯塚に帰ってしまう。飯塚に帰ってどこに入るかというと、この前佐藤さんが見てくれて、わしが見たら直さなければ恥だという、あいている住宅に入ってしまう。こういう形になるわけです。だからあの住宅を見てごらんなさい。入れかわり立ちかわり入っている。いつも満員です。かつて炭鉱関係なかった人が入ってきて、今度は炭鉱に従事する。あるいは一般失対に出ていくという形になって、だんだん滞留してくるのです。中小の山でも何でも、保安を厳重にして、きちんとした形でやるという形になれば、やはり石炭は出ていっている。何とかかんとか、出ないようなものが出てくるでしょう。私はそういうものを奨励するわけじゃないけれども、産炭地石炭山を第一に置かずに、顧みて他を言っているところに問題があるのじゃないか。そこが政府石炭政策が軌道に乗らぬ一つの原因にもなっておるという感じが私はするのです。筑豊炭田で、来年でやめるというものを今年に繰り上げしたでしよう、繰り上げたものを、来年まで計画通りやりなさい、こう言えば、これは赤字が出るから企業としては大へんだ。だから、その分だけは補給をしてやるから来年までやれ、こういう話はできると思うのです。これは一つの、積極的な振興ではないけれども、消極的な振興ですよ。たとえば大峰だとか三井の六鉱というものは、政府がその分の肩を入れてやる、そうするとそれは来年までいくわけです。それは何十億という赤字が出るのではないのです。そこの千人なり千五百人なりの労働者を東京や大阪に持っていこうとしても、簡単にはできない。これをやるためには、莫大な企業の負担と政府の負担が要る。その分をその山につぎ込んでやれば、住宅も水道もみんなあるのですから、賃金だけ考えてやればいい。こういう政策政府が考えなければならない段階にきていると思う。しかも遅々として産炭地事業団も進まないし、そのほかのものも進まないというならば、産炭地振興事業団がおできになるときに、あるいは合理化事業団がいろいろな政策をやるときに、そういう政策をもう一回お考えになる時期が私はきたと思うのです。政府政策が右から左にきちっといっておればいいのですよ。たとえば田川で、大峰なり峰地で、千人以上の失業者が出れば、そんなものを受け入れる職業訓練所はないですから、滞溜せざるを得ない。失業保険で六カ月食っている間に、労働意欲がだんだん減退をしていく。そして失業の期間が長ければ長いほど、次に就職したときの賃金は、前の賃金よりはずっと低いところにみないっている。失業期間が短ければ短いほど、前の賃金に近い賃金で雇われている。こういうように、日本の低賃金の構造を再生産する形を作ることを奨励しているようなものになっている。石炭山振興ということが、ただ近代化、合理化ということで、ビルド・アップという面だけで強調せられて、スクラップになる面について、何かこれをもうちょっと手を入れて伸ばしてみたならば、石炭山で何とかいかぬだろうかという検討が、私は足りないような感じがするのですがね、その点に対して……。
  44. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これは、基本的な問題の考え方の相違だと思います。言葉の上から申せば、産炭地振興といえば、産炭地で一番手っとり早い仕事は炭を掘ることだ、だから、石炭産業さえ振興しておれば産炭地振興だ。それはその通りになる。しかし産炭地振興がどうしてできないのか。いわゆる合理化なり、あるいは近代化なり、それらのものをつぎ込んで、そして経済性のあるような山にするのが実は私どもの考え方です。ところが、産炭地で炭が掘れなくなる。いわゆる経済性がない。経済性がないならば、一体それをどうするのか。そうすると、やはり事業を変えていかなければならないのじゃないか、こういうことが私どもの考え方です。  今の滝井さんのお話を聞けば、産炭地に経済性がないと言っているけれども、現に国庫では金を出しているじゃないか。労働者が他に移転する場合においては、ちゃんとパイプ・ハウスを作るとか、あるいは再就職についての資金的なものを出しているじゃないか。それを新しいものに出さないで、山で使うならば、ちゃんとそこにくぎづけというか、労働者もとめることができるし、事業の経営もできるじゃないか、そうすれば、本来の産炭地振興はできるじゃないか、こういう御議論のように思いますが、ただいま指摘いたしましたように、前者と後者では基本的に考え方が相違しておる。いわゆる経済性のないものに対して、国が補助してそれをやることが適当なのかどうなのか。あるいは補助金政策、別な表現をすれば竹馬政策を炭の場合にとることが望ましいのかどうかという、実はその一点にかかっておるのではないかと思います。私どもはただいまのところ、そういう石炭について、合理化資金ももちろん補助のうちでございますけれども、そういう意味においての将来性のある補助ならばこれをいたしますけれども、ただいま表現された消極的意味の補助、これは本来の経済から見まして望ましい姿ではない、かように実は考えますがゆえに、そういうような処置はとれない。この相違が出ておるのだと思います。この点は、これは両党の主張の相違かと思いますが、ただ時間的な問題で、この急激な処置がとれるのかとれないのかという問題があろうかと思います。ただいまいろいろ合理化を進めていく、近代化を進めていく、その機械的な施設ではない、あるいはこれが一つの組織あるいは経営形態の問題だ、こういうようなことも指摘されておると思います。これは組合側で絶対に賛成されないかもしれない、私どもも望ましい姿だとは思いませんが、今の、国の積極的な補助がないという場合に、経営自身が今度は経営の姿を変えていく、そしてその事業を継続していくということを一面経営者が行なっておる。これが今議論の点になり、ぶつかっておるわけであります。これに反対することは、一体どういうことなのか。私どもも、いわゆる第二会社ができることに賛成ではごいせまん。ただ、これはやむを得ない経済上の状態としてそれが出てきているんだ、かように実は理解しておる。だからこそ、これは経営者だけの一方的な処置では解決しない問題だ、その土地における労使双方の話し合いで、初めてその道が開かれておるというのが現状だと思います。これはいいことではございませんし、いろいろ弊害もございますから、私どもは極力そういうことを避けて参りたいと思いますけれども、ただいま申し上げますように、急激な変動ということでなしに、やはり時期的にこれを遷延さすという方向を見ますと、労使双方の歩み寄りがそういう意味において行なわれておる、かように私は理解しておる次第であります。
  45. 滝井義高

    滝井委員 経済性の問題を議論すれば、日本の石炭鉱業のほとんど七割ぐらいは、私はもう石油との太刀打ちができない状態だと思うんです。経済性でいえば、日本の石炭山というものは七割、八割はつぶさなければならぬということになる。現状維持なんていうものはほとんどだめなんです、経済性の問題からいえば。だから電力会社も補給金をトン当たり五百円やった方がいいんだという、萩原さんもそれをもらう方がいいという。補給金、竹馬、経済でやろうとするならば、これは全部合理性がないわけです。そういう合理性がないことはある程度わかっておる。しかし、これは中川君等も言うように、やはり国内の重要な地下資源である。いざ鎌倉というときには、これを石油に切りかえておったら、日本産業自体がアップアップ言わなければならぬのだからという点もあるわけです。そういう大所高所に立てば、政治というものは、今起こった問題を今直ちに解決できないとすれば、これをいかにうまく摩擦なく先に延ばしていくかという政治をやるのが優秀な政治家だということを、だれかわれわれに教えてくれたことがあるのですが、その意味で何も行きたくないという東京、大阪に無理やりに、何かパイプ・ハウスというようなものを作って行かせるよりは、そのお金があるならば、あるいは出ていった先に賃金を払うものがあるならば、半年くらいのものを計画通り先におやりになるという、こういう政策をおやりになったらどうか、これは一つ産炭地振興じゃないかという意味です。私は何も変な保安の悪い山まで金をつぎ込んでやれという意味じゃない。たとえば典型的には、大手で来年の三月にやめるというようなものを、全面的に撤退作戦で繰り上げてきていることは御存じ通りです。そういうところにはわが党の出しているようなあの案の考え方というものを織り込んでいっても、これはそれが消極的な意味であるにせよ、産炭地振興であることは間違いない。産炭地はそれでとにかくやめたときよりも、残されただけ依然として、殷盛ではないけれども、今の姿が保てる、これは消極的な意味振興だと思うんですよ。積極的な意味振興もあれば、消極的な意味振興もある。その六カ月の間に何か肩がわりのものができていく、こういうことでないと問題にならぬのじゃないか。それは資本主義の社会ですから、その冷酷な資本の目的が資本自体によって貫徹されていくということもよく知っております。知っているけれども、そこにはやはり政治があるわけなんだから、その政治というものは日本全体から考えたら、石炭産業というものは一もうほんとうは石油をどんどん入れた方が、松永安左衛門さんじゃないけれども、これがいいのだ、石炭なんか政府が言うのもおかしいという論も一方にある。しかしあえて政府がその論をとらずして、何とかかんとか無利子の金でも出していこうというのは、竹馬経済をただ大きな観点でやっているだけです。それを私は小さい局地の産炭地というところを言っているだけの違いだと思います。佐藤さん、そういう意味で私は何かそこに、東京、大阪に行く者にだけ金を出すよりか、現地で金を出す道をこの際一ぺん考えてもらう必要があるという意味です。
  46. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今私が申し述べました経済性、また経済性という言葉から滝井さんがさらに敷衍されて非常に厳格な意味の経済性を主張されておりますが、私どもはいわゆる経済学者ではございません。だから経済性ということを申しましても、通俗の意味にお考えを願えばいいわけであります。そういう意味の経済性のある産業を育成していくというのが、実は私どもの考え方であります。だから問題は、やはり滝井さんとそう私根本的に違っているとは思いません。ただその具体的な問題として提示されたような処置まで私どもが踏み切れるかというと、私はそれは少し本筋が違いはしないか、こういうことを実は申し上げているわけであります。どうかさように御了承いただきたいと思います。
  47. 滝井義高

    滝井委員 根本的な点では、政府のとっている政策もやはり石炭の保護政策です。保護するということは、その産業が自由競争ではなかなか立ち行かぬということです。だから一種の竹馬です。そういう意味で、電力会社や萩原さんたちから補給金でという意見も出てくる。経営者自体から出てきているから、経営者が手を上げた証拠です。そうしますと、この問題に私こだわってもしょうがないが、これはまたわが党の案も出ておりますから、もう一ぺん論議するとして、次にもう一つ産炭地振興をやる場合に、産炭地域というものを、たとえば筑豊炭田なら筑豊炭田全体として考えてこの振興をはかろうという場合には八十万の人口のあるこの筑豊の中小の都市を再編成するということになるわけです。そのためにはもう石炭山振興というものは入らぬのだから、従って他のもので振興しなければならぬ、そうすると、今商工委員会に新産業都市建設促進法案というものがかかっているわけですが、一体この筑豊炭田をこの新産業都市の建設ということで、たとえば福岡県の議会が議決をし、それからその地域の市町村の議会が議決をして、そして、そういうものを作ろう、そういうものにしよう、こうなった場合の、この産炭地域事業団なり産炭地域振興臨時措置法との関係ですね、この両者がかみ合うことができるのかどうかということです。産炭地域の指定も受けている、それから同時に新産業都市の建設の地域指定も受ける、こういうかみ合わせができるかどうか。
  48. 今井博

    今井(博)政府委員 可能でございます。
  49. 滝井義高

    滝井委員 うそなりますと、その場合に、産炭地振興事業団でできるのは用地工作物、それから資金の貸付ですね、そのくらいしかできない。ところがこの産業都市の建設の方では、これは基本計画の中には用地から住宅から、住宅用地、工業用水道、道路、鉄道、港湾等の輸送施設、水道及び下水道その他の施設の整備促進に努めなければならない云々とこう書いてあるわけですね。こういうことについては地方債もつけるし、資金の確保もしてくれることになるわけですが、こういう新産業都市建設促進法案の工業用水とか道路とかいろいろなもの、住宅とかも出てくるのですが、こういうものを今度事業団はやれぬことになるわけですよ。事業団用地を作るだけ、あるいは工作物をやるだけだ、こうなりますと、重なるといってはおるけれども、実際にそこにやる主体というものは、国及び地方団体もやりますけれども、やはり事業団がこういうことをやれないと、何かおかしくなる。事業団仕事というものは、地方公共団体に委託もできる、こういう関係があるわけでしょう。そうすると、事業団のやる仕事範囲があまりにも狭いために、実際には振興の役割を事業団は果たせないということになるわけです。重ねるけれども、国なり地方公共団体というものは——筑豊地帯も貧しくてなかなかうまくいかぬ。起債の配慮をしてくれるとか、資金の確保をしてくれるとかいったって、こんなものに書いている資金の確保や起債というものは、この前の臨時措置法に書いてある起債の確保でも、これは書いてもらっておけば、幾分かおれたちの方も考慮がしいいというのが、安井自治大臣のこの前私の質問に対する答弁だった。これは書いてもらっておけば、特別な配慮をすると書いてあるから、何ぼかわれわれはやりいいんだということでは、もう荒廃に瀕した地域振興というものはできないということになるわけですね。やはり産炭地域の中核で働かんとする事業団事業というものは、あまり範囲が狭いと話にならぬことになる。そうすると、ここに書いてあるような住宅、工業用水道、道路、鉄道——鉄道は引込線でやるとおっしゃるから、これは引込線でいいと思うのです。それから港湾は、あの辺は苅田や戸畑、若松あたりと思いますが、港湾等の輸送施設、水道、下水道というようなものまでこれがやはり仕事をやるということでないと、問題じゃないでしょうか。
  50. 今井博

    今井(博)政府委員 産炭地振興法並びに新産業都市建設促進法、それぞれ資金の確保であるとか、地方債についての配慮とか、いろいろ規定がございます。これはやはり私は相当効果があると思います。実際問題としても、自治省におきましても、あるいは建設省におかれても、実際に、できるだけ産炭地振興という方向に沿って協力するという意向を伺っておりますから、これは急速にどうということにはならぬかもしれませんが、私はこれは相当効果がある規定だと思っております。やはり第一段としましては、産炭地振興というのは点と線だけでつかまえる考え方ではなくて、ある程度幅広く地域をつかまえていかなければならぬという問題になりますので、事業団が何から何までやるというふうな考え方よりは、やはりこれは各方面、各省が力を合わせて、実施計画に基づいて、それぞれもちはもち屋で、できるだけその方向に向かって協力する、事業団はその中で、やはりそれではなかなか実現しにくいというものを重点的に逐次拾っていくということでいった方が、これは一種の総力戦でございますから、その方がほんとうは効果が上がると私は考えておりまして、事業団業務範囲としましてはまことに貧弱だというおしかりの言葉もございますが、これは各方面の協力を得る意味におきまして、ひとまずこれでスタートいたしまして、その上で逐次予算をふやすなり、仕事範囲をふやすなり、そういったことで、その辺は多少時間がかかるかもしれませんが、その方がむしろ有終の美をなすのじゃないかというふうに私は考えております。
  51. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、合理化計画が確実に進行をしていく。すでにあなた方は六百二十万トンの新方式、あれは三十九年までですか、三十九年までには六百二十万トン買い上げるということがはっきりしてきているわけですね。その六百二十万トンの買い上げ、それから保安が四十五万トンですか、これは毎年どの程度になるか知りませんけれども、二十万か三十万くらいずつずっといくでしょう。そうすると三十九年までぐらいには、筑豊炭田なり佐賀、長崎炭田を中心にして相当の合理化進行していく。それに見合って衰微をしていくのですから、一方においては新しい産業振興しなければならぬ、そうすると、現在十億で発足しているわけですが、この十億の資金というものは、合理化のテンポに合わして一体三十九年までにどの程度増加をしていくことになりますか。
  52. 今井博

    今井(博)政府委員 その点は全体のそういう計画を立てておりませんので、これは極力ふやしていくというふうにお考え願いたいと思います。
  53. 滝井義高

    滝井委員 大臣、だからこういうところに、合理化というのはやはり問題があるのです。この前私は石炭鉱業合理化計画というのは炭価は幾ら、それから一人当たりの出炭量は幾らなんだという、こういう石炭に関することをこまかく尋ねたけれども、じゃ一体そこの労働者はどうなるんだという人間の計画がない。同時に今度は、今言ったように六百二十万トン、三十九年までには買い上げますと言ったとすれば、その買い上げたあとにはボタ山とレンコン掘りしか残らぬことは確実ですから、ボタ山とレンコン掘りしか残らぬ地域に、六百二十万トンの買い上げに並行しながら、どういう工合に資金をつぎ込んで産炭地振興——振興というより、現状維持といった方がいいと思うのですが、現状維持をするかということは、同時に今度は、事業団資金面でもこう、人の面でもこうと並行していかなければならぬ、そういうところが抜けてしまっておるのですよ。これはやはり通帰省で資金計画を、三十九年までに六百二十万トン買い上げる、しかし、こちらの資金はこうなりますよ、三十九年度までには百億の金は必ずいきますよ、こうならないと企業だって、資本主義ですから、あの筑豊炭田なり佐賀炭田、長崎炭田に行って、一体政府はどの程度の金をくれるか、この見通しもつかぬと、企業というものはなかなか腰を上げない。しかし、これがあそこに行けば二百億の金がこれから五カ年なら五カ年の間に出るんだ、そうすると福岡県には大体八十億くらいくるだろう、そうするとその中からこれくらいの金が借りられるとなれば、一つ来年はおれはあそこで仕事をやってみよう、こういう、企業としては資本主義で営利主義なんですから、もうけようとするについては金を借りなければならぬという計画が出てくると思うのです。ところが全然政府が手のうちを示さぬで、産炭地振興振興と言っても、これは話にならぬと思うのですが、その点もう少し具体的に……。
  54. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この筑豊なら筑豊に限って考えてみると、滝井さん御承知のように、北九州五都市、これはなかなか工業の盛んなところでございます。また最近は、福岡を中心にしての工業もなかなか見るべきものがある。新しい工場等もできております。そうしてその間に位置する筑豊、私は事業家ではございませんから、ここに問題があるわけでございますが、もしこれに目をつければ、あの土地で利用価値が十分あるだろうと思います。そういう点が、いわゆる権威者の審議会の議を経て具体的なものを考えたいということにもなるわけであります。かつては小さいながらもあるいは工作所があったり、坑木ですか、あるいは直方自身が在来からも炭鉱相手の機械工作、中小のものでございますが、そういったものがあったりする。これは一部石炭自身が下降するとはいいながら、やはり動力源としての石炭はある程度は今後も出てくる。過去のような殷盛は望めないが、また北九州の素材も使える、こういうことを考えますと、この地域必ずしもそう悲観したものじゃないと思います。そういう地域でございますから、各界の権威の方からいい名案を授けていただく、その場合にこの事業団自身の貸付の資金ワクが小さい、こういうことでございますれば、これは財政投融資の関係でございますから、金額をふやすことは必ずしも困難ではないのであります。いろいろものの考え方があると思いますが、ただスタートしておるのは十億じゃないか、予算的な措置等から見ると、十億が二十億になるのは三年もかかるだろうというような決算をしていたら、新しい事業など起こりっこございません。だから、審議会でみな納得のできるような、そして無理のかからない計画、これはおそらく立ち得るのじゃないか、かように私は思います。また、ただいまの地方産業都市振興というようなものと結びつけて考えたときに、おそらく筑豊だけじゃございません、福岡、北九州全般に、工業用水が非常に不足しておりますが、積極的にまず水から解決していくというようなこととも取り組まれるでしょうから、そうすると、土地は容易に得られる地域だ、かように考えますので、必要な事業が起こるということになれば、それに対応する必要な資金を、政府はもちろん確保するだけの決意、これは御披露して差しつかえないところであります。今回十億でスタートするから非常に限られるだろう、こう考えないで、審議会ではもっと活発に計画を立てていただく、こういうようにし、そして積極的に事業を起こすように私どももいたしたいものと、かように考えております。
  55. 滝井義高

    滝井委員 積極的に一つやってもらわぬと、どうにもならぬのです。しからば、この事業団は、民間の会社と合弁事業というか、そういうものをやるることができますか。
  56. 今井博

    今井(博)政府委員 直接自分でそういう企業をやることは考えておりません。
  57. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、民間の会社と一緒に会社を起こすことはできますか。
  58. 今井博

    今井(博)政府委員 それは、一種の投資という御質問かと思いますが、一応これは融資に限定いたしております。従って、投資は考えておりません。
  59. 滝井義高

    滝井委員 次は、少し金融の問題をお尋ねすることになるのです。この産炭地振興事業団ができるまでには、実際にこの法律が通っても、すぐにはなかなか動きがとれない。業務方針その他いろいろ各省との打ち合わせもございますし、今井さんは夏ごろだと言われましたけれども、大臣はできるだけ早く、法案が通れば直ちにというような御発言がありましたが、やはりこの事業団が実質的に動くには、資金の貸付や用地の造成等にかかるのには、夏から秋になると見なければいかぬと思うのです。現在、いろいろ仕事をやりたい、貸付を要望をしておる企業が、相当産炭地域にはあるわけです。と申しますのは、炭鉱がやめますと、広い用地がぽかっとあいてくるわけです。それから、炭住もあくわけです。従って、労働力はあるわけですから、何か仕事をやりたいというものが、特に中小企業を中心として起こってくることになるのです。その場合に、中小企業金融公庫なり開発銀行がある程度金を貸してもらわぬと、事業団ができるまで待ってくれということになれば、企業にも計画がありますから、もう産炭地域ではやるまい、もっと便利のいい安い土地が、山陽線なり東海道線の沿線に見つかったということで、逃げてしまうおそれもある。従って、やはり政府がこういう産炭地域振興をお出しになったならば、開発銀行なり中小企業金融公庫というものは、この事業団が動き出す以前において、積極的に協力をしてもらう必要があると思うのですが、そういうものに対する中小企業金融公庫なり開発銀行の考え方は一体どうなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  60. 中野哲夫

    ○中野説明員 中小公庫におきましては、発足以来、中小炭鉱合理化を進めたい、こう思いまして、本店におきましては常時石炭局と連絡を、また関係支店におきましては、所在の通産局と連絡を密にいたし、また業界団体などの御要望等も聞きまして、地下資源でございますし、ことに中小炭鉱になりますと、一般金融機関は、言葉は悪いのですが、うしろ向きになりやすい。われわれは、政府金融機関としてそれじゃいけないのであって、前向きの考え方で進みたい、かように考えて貸付をやって参ったのでございます。この際簡単にその数字を申し上げますと、この二月末の貸付残高におきまして、石炭鉱業に約二十二億五千万円ほどの貸付残高を見ております。しかも昭和三十二年の不況の際も、中小炭鉱の維持、振興について閣議決定等が行なわれまして、自来石炭鉱業につきましては、六分五厘の特別低利の貸付をいたしております。公庫の一般金利は年九分でございますので、二分五厘も金利を安くして貸し付けておる、こういうことでございます。また、昨年の下半期以来の金融引き締めによりまして、九州、北海道その他の中小炭鉱がかなりの不円滑を来たしまして、あたら将来性のある中小炭鉱も、当面のそういう資金不足のために経営が苦しくなる、こういうことで、これまた閣議決定の線に沿いまして、昨年の暮れ中小公庫で十億、商工中金で五億、合計十五億の金額を、政府からの追加借り入れの中にそれを含めて仕事を始めたわけでございます。その貸付は、最近までの統計によりますと、意外に仕事も進みまして、ただいまのところ石炭鉱業の緊急融資が約十三億ほどに上っておりまして、政府から寄託された十億目標を三億ほどオーバーして、その分は自己資金の方からまかなった、こういうような状況でございます。今後も合理化資金あるいは企業安定のための貸付については、積極的な気持で努力して参りたいと思います。  それから、ただいま御質問の、本日御審議の産炭地振興につきまして、実はけさほど福岡県庁の係官の来訪を受けまして、私三十分ほどいろいろお話を伺ったのでございます。県庁側の御要望は、こういう法律も御審議を願い、国全体として大きな政策を立てているので、新しい中小企業の導入、融資等については、先立つものは資金であるから、公庫も十分考慮を払って貸してほしい、こういうお話でございました。いろいろお話を聞きまして、私の方は中小企業、特に製造工業等の合理化資金、設備資金重点を置いて運営をいたしておりますので、お話の趣旨には積極的な気持で臨みたいと思います。ただ、長い間石炭鉱業に従事しておる方が新しい産業に転換するというような場合に、その企業の企画をどうするか、あるいは運営をどうするか、経理をどうするか、商品の売り先はどうするかというようなことで、なかなかむずかしい問題もあると思いまするので、私の方の福岡支店を中心といたしまして、県庁なり通産局なり関係方面と十分連絡をとりまして、しっかりした計画をお立て願いたい、そういう計画に基づいて私の方も進んでお貸ししょう、努力いたしましょう、こうお答えしておったのでございます。ただいまお話しのように、法律の発足あるいは審議会等のことを待たずして、適切なる起業の計画がございましたら、私の方はただいま申し上げたような気持で融資を進めて参りたい、かように考えております。
  61. 上野茂

    ○上野説明員 御指摘の点につきまして結論的にお答え申し上げます。現在、御指摘の点につきましては、うちの銀行におきましても内部的に検討いたしまして、産炭地域からの融資の申し出がありますものにつきましては、私どもは、現在取り扱っておりまする地方開発融資額で、大体その地域は低開発地域に相当いたしますので、その資金個々の業種につき、通産当局と連絡の上、先行的に融資をはかりたいと考えております。  それから石炭一般融資につきましては、合理化資金といたしまして、昨年、ことし大体八十億のワクをもって融資いたしております。なお産炭地域における振興事業といたしまして、火力の西日本火力、常磐共同火力につきましてはすでに融資をいたしております。以上でございます。
  62. 滝井義高

    滝井委員 今、中小企業金融公庫と開発銀行の方から御説明いただきましたが、中小企業金融公庫の方で石炭山の利子は、公庫は九分だけれども特に六分五厘、こういう御指摘がございました。これは今度産炭地域でいろいろと鉱工業を振興する事業についても、六分五厘でやってもらえるのかどうかという点が、やはり重要な点だと思うのです。それから開発銀行の方も、これに進出する企業というのは、これは大企業は少ないと思うのです。もう大企業は撤退作戦をやっておるわけですから、やはり中小企業だ。だから、通産省のさいぜんの御説明のように、この産炭地域振興事業団の対象も主として中小企業になってくるわけです。この事業団が具体的に貸付を開始、発足するまでは、開発銀行なり中小企業金融公庫でやっていただかなければならぬが、その場合に、両者とも六分五厘でやってくれるのかどうかということです。これを九分とかなんとかということになると、もうとても、立地条件が必ずしも有利でないわけですから、資金コストを安くしないと来ない。用地も、地方公共団体なり事業団が作って提供しましょう、こういうときに、金融機関だけが、金利は他よりか高くとるのだということでは、話にならないと思うのです。そこで六分五厘で石炭山に貸しておったと同じように、石炭山にかわってそれができるのですから、その通りの六分五厘でやっていけるのかどうかということです。
  63. 中野哲夫

    ○中野説明員 産炭地域の従来中小炭鉱のものが他の業種に転換した、あるいは他の地方から産炭地に工場立地を求めて石炭鉱業以外の事業をやるというような場合には、ただいまの定められておりまする業務方法書によりますると、やはり九分の貸付に相なると思います。しかしながら、この金利の問題につきましては、おそらく今回の法律に基づく審議会等、あるいは政府方面においていろいろ御検討に相なるものと存じまするので、ただいまのところ、私の方は六分五分に下げるということはきめておりませんが、政府御当局その他の御検討に待つ、こういうことに相なろうかと存じます。
  64. 上野茂

    ○上野説明員 金利の点につきましては、開発銀行といたしましても、現在地方開発として預かっております金利が八分七厘でございますので、一応今のところは八分七厘で取り扱っております。ただいま中小企業金融公庫の副総裁も仰せの通り、その点六分五厘にするかどうかの点につきましては、各方面の御審議によりまして今後検討していきたいと思っております。
  65. 滝井義高

    滝井委員 これは今後ではいかぬことになるわけです。というのは、私の今質問したい点は、事業団が発足するまで待てないといって、もう企業はどんどんやりたいという申し出をしてきているわけです。そうするとそれを政府の方針がきまってからということになると、事業団と同じことになってしまう。そこで先に事業団のことを尋ねますが、この事業団が貸し付ける金利は幾らになるのですか。金利は要らぬのですか。
  66. 今井博

    今井(博)政府委員 六分五厘でございます。
  67. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今度は、これは佐藤大臣にお願いしなければならぬことになるのですが、これは政府の方針がきまらなければ、中小企業金融公庫の中野副総裁さんも、日本開発銀行の上野総務部次長さんも、片や九分、片や八分七厘でやらなければならぬということになるわけですが、現在すでに内職がからんだものが十六で、四千人の申し出が福岡県にある。それから、非常に急ぐというものが、七百人くらいの雇用を持つものが八つある。レナウンというのは繊維か何か作る工場です。それからモリヤマ綿業というようなものがある。もう一つはタキイ、私と同じ名前だが、これは編物をやるところです。私と関係があるわけではないのですが、名前がたまたま同じです。こういうのがある。急ぐのが八つくらいある。そうすると、事業団が六分五厘でおやりになるとすれば、まずとりあえず開発銀行なり中小企業金融公庫なりで金を借りて発足する、そうして事業を軌道に乗せてからお宅の方へ借りかえてもいいと思うのです。ところがその場合に、向こうのものを利子を六分五厘にしておいてもらわないと、多々ますます弁ずるで、産炭地に優先的に事業を起こそうとするのですから、これは無理をしてやってもらわなければならぬ。事業団の方は六分五厘だけれども、他の方も、産炭地域に限って特例として、これは五年も十年もという必要はない。五年間でいいと思う。産炭地振興法の五年ならば五年を限って、これを六分五厘にしますというような特例をして、やはり先行さしてもらう必要があると思う。そうしないと、今のように金融引き締めが激しくて、金を貸さないというようなときに、筑豊炭田のような、うんと炭鉱がひっかけたところに今度新しく事業を起こすというものに、優先的に貸すという市中銀行はとてもないですよ。そうするとやはり、あそこにいって仕事をすれば六分五厘だという、これが一つの魅力になってくると思うのです。これは一つ佐藤さんの政治力で、開発銀行と中小企業金融公庫に、ぜひことしの四月一日からやるという御言明をいただきたいと思うのですがね。
  68. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 滝井さんのお尋ねは大へん巧妙ですが、なかなかむずかしいことなんです。御承知のように、各種、各地域においての開発資金というものをそれぞれみな用意しておりますけれども、その開発資金が、北海道、東北にいたしましても、あるいは奄美大島にいたしましても、金利としては特例はなかなかないのでございます。農林漁業関係の特別金利、これは産業の特殊性からきております。今回のこの事業団の金利は、特に安い。今御指摘になりますように、そういう地域に進出するのだから政府は優遇しろというお気持は非常によくわかります。大へん少ない資金ではありますが、この事業団資金をやはり抱き合わせをして融資することが望ましいことではないか。ただいまおあげになりましたように、進出したいという工場がもうすでにあるということ、そういうことを考えますと、産炭地振興は必ずしも夢ではない、私どもの力の入れ方一つだと思います。最近、一つは、昨年来の金融引き締めということ、これも短期間の金融界の変調ではございますが、そういうものも出ておりますから、そういう意味では幾分かお役に立つかと思います。金利そのものも一般金利から見れば必ずしも高い金利じゃないのでございますので、事業団の金利と抱き合わせといいますか、資金を抱き合わせて進出がより容易になるように、ただいままでのところでは考えて参っております。しかし、なおこの金利の問題は重大な問題でございますので、全部の金利のあり方等についても検討しなければならぬときでありますし、ことに産炭地振興と銘打つ、疲弊地方に産業を起こしたいという非常に強い要望でもありますので、今までの建前を一切変えない、こういうわけでもございませんので、さらによく検討してみることにいたしたいと思います。
  69. 滝井義高

    滝井委員 炭鉱に貸す金は、特例で六分五厘にしておるわけですよ。この事業団のやる地域というのは最初に言ったように、ある程度狭く考え得るわけです。だから、特に疲弊の著しい地域だけに限ってもいいと思うのです。この地域を指定されて、そしてその指定された地域に、炭鉱にかわって事業を起こすのですから、その分については六分五厘でいくんだ、こういう形にしてもらうと非常にいいと思うのです。  それから、この事業団のお金を借りた人は、その借りたお金でやる事業というのは、土地の造成とか工作物とかに限らず、これは何をやってもいいわけでしょう。その資金の使途というのは、これはきちっとした何かひもがついておるのですか。こういうものにしか貸付にならないという。この法文を読んでみると「当該地域振興に必要な鉱工業等を営む者に対し、その事業の用に供する設備の新設又は増設に必要な資金」と書いてあるのですが、別に何か資金には使用のワクというものがあるのですか。
  70. 今井博

    今井(博)政府委員 これは別にございません。いわゆる設備資金——運転資金は考えておりませんけれども、一応設備資金の概念の中に入るものはいいと思います。
  71. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この金との抱き合わせということも、目的が産炭地域振興という目的にかなっておればいいことになるのですが、そうなりますとやはり、これができるまでは抱き合わせというわけにもいきませんから、現実にもうすでにやりたいのがたくさんきておるのですから、そうすると、銀行から金を借りるといったって、なかなか金を貸してくれる様相もないし、とすれば開発銀行なり中小企業金融公庫以外にない。だから、これはぜひ佐藤さんの方で直ちに大蔵大臣と御相談していただいて、そういうところの企業——これは不健全なものでは困りますが、計画その他が健全で、発展の可能性ありというものについては、早急に貸し出しをやっていただく、そして御無理でしょうけれども、地域を限ってでもいいですから、それは六分五厘にする、こういう形にしてもらいたいと思うのです。  実は、私はこういう考え方一つ持っておるのです。というのは、国民年金なり厚生年金の積立金というのが、今莫大に上りつつあるわけです。そして炭鉱労働者は厚生年金を長く積み立ててきた、ところが今どんどん首を切られておるのですから、これは通算はできますけれども、これはよそに行ってしまえば、国民年金にかわりますから、すぐに厚生年金をもらうということにもならぬしするから、できればこの事業団に厚生年金なり国民年金の積立金を入れてもらうわけです。これならば六分五厘で、年金福祉事業団や何かと同じように貸せるわけですから、こういう金を今度は福祉に、たとえば住宅や何かもこの金でどしどし産炭地域に建てて、起こす事業には住宅を提供していくというふうな工合に、資金コストの安いものをもらう方向をやはりこの際考えてみる必要があるんじゃないかと思うのです。そうしていただかないと、十億くらいの金で、二億くらい貸すのだというのでは、これから先は、さいぜん佐藤大臣の言明で、これは合理化進行過程で相当この金はとるというような御答弁もあったのですけれども、そういう努力をしていただくとともに、現実の問題としてはどうしてもやはり六分五厘を実現していただきたいと思うのです。期限を限ってもいいのです。五年が長ければ、三年ぐらいでもいいと思う。三年ぐらいすれば、三十九年のいわゆる六百二十万トンの目鼻もつきますから、そういう期限を切り、地域を限ったものでもいいと思うのです。何かそういう、事業団資金コストを安くし、豊富な資金量にすることとともに、あわせて現実の問題としては、金融公庫なり開発銀行の貸し出しを直ちにやり、利子を六分五厘にすることも、期限を限り、地域を限ってもいいですが、やってもらいたいと思うのですが、再度御答弁を願いたいと思います。
  72. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのように、安い資金を確保しようという、また、ことに滝井さんが最も専門にしておられる方からも、そこには資金があるというお話でございます。ただいままでのところ、なかなか総合的運用がいたしかねております。しかし厚生省なりあるいは労働省なりのそれぞれの所管の資金運用、これに対して私どもも、あえて当方へ資金を回してくれなくとも、その方の貸し出し方法にも産炭地振興についての特別な留意が払われれば、それで目的は達するわけでございます。そういう意味の構想、ただいま御指摘になりました点、これは大へんしあわせなことだと思います。いわゆる貸し出しの基本的な率の範囲でただいま言われますような方法がとれるかどうか、よく一つ検討させていただきたいと思います。私もそういう意味関係大臣の協力を積極的に求める、こういう態度でございますことをはっきりさせておきたいと思います。
  73. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 関連。今の点ですが、実は大臣、失業保険金が大体一千億から余っておる。失業保険というのは大体短期ですね。失業保険の性格というのは、長期のものでないのです。ですから本来は眠らせておく必要はないのですから、政府としては、労働省としては、八十億本年度において資金源として確保して、まず第一は職場の造成すなわち失業地域における新しい工場の誘致、第二には福利施設、第三に労働者の住宅、こういうことを要求したわけなんですけれども、肝心な職場の造成には資金を使ってはならぬということになったわけです、これは他のものと競合するという形において。ですから、需要地における労働者の住宅、これはけっこう、福利施設もけっこうですが、問題は、職場がなくて福利施設だけ作るというわけにいかないのです。ですからむしろ、失業保険の性格というのは雇用の増大にあるのですから、雇用の増大をされれば失業保険は余ってもけっこうなんですよ。これは厚生年金とかその他の長期給付の年金と違って、短期に給付される性格のものですから、これはやはり余った場合には、ことに失業と雇用というのは隣合わせなんですから雇用の増大をすれば失業救済になる、こういう意味において、大もとの職場造成にぜひ使うように大臣から御努力を願いたい。本委員会におきましても、実は先般かかりました炭鉱離職者臨時措置法の場合に、かなり論議になったわけですけれども、何さま労働大臣孤立で応援者があまりなかったと見えて、ついに成功しなかったわけですから、これは福利施設の前の職場造成に使えるように御努力願いたいと思います。
  74. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 それぞれみんな非常に積極的な御意見でございますから、これは政府としてもよほど考えなければならぬことだと思います。しかしただいままでのところは、すでに御承知のように、雇用促進事業団、これには住宅あるいは厚生施設というようなものに、ただいま御指摘になりました資金を回すことになっておるようでございます。これは一通りつくと思いますが、さらにもとの事業資金といいますか、こういうものが特別資金から出てくれば、事業の設備資金は金額としては小さくなるわけでございますから、そういう意味では役立っておると思いますけれども、さらに積極性を持ってその資金を使えということであります。まだなかなか事務当局の話し合いでは、そこまでの結論を得ておらないのであります。しかし皆さん方の御意見等もございますし、これも円滑な運用ができるようにすべきだと思いますので、関係大臣相互に一つよく話し合ってみたいと思います。
  75. 滝井義高

    滝井委員 これで終わりますが、産炭地域振興事業団という銘を打っておりますけれども、この事業団仕事というのが非常に限局をされたもので、やはり総合的な立場というのが欠けているような感じがするわけです。ぜひ一つ、私はこの際、六百二十万トンの石炭の山を買い上げて三十九年までにつぶしていかれようとするならば、そのあとをやはり総合的な観点から振興をしていくということで、資金についても、あるいは計画についても、大所高所から、佐藤さんが中心になって関係閣僚とも十分懇談をして、何か産炭地振興の閣僚懇談会というようなものでもお作りになって、総合的にやっていただかなけいばいかぬと思うのです。そしてその資金等もきちっと動員をして、三十九年までに六百二十万トンの山をつぶすのだが、そのあとにはこういう状態になるのだという青写真ぐらいは、夏を待たずに、国会が終わるころまでには示せるぐらいに勉強していただいて、審議会を督励をしてもらわなければいかぬと思うのです。そういうことをお願いをして質問を終わります。
  76. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 国会中その他で大へんおくれておりまして、申しわけないのでございますが、ぜひとも近いうちに石炭関係閣僚懇談会を開きまして、早急に決定すべき事項なり、あるいは将来についての構想なりを相談するようにいたしたいと思います。ただ私どもが予定した時期よりもおくれておりますけれども、近くそういう会議を持つつもりでございますので、御了承いただきたいと思います。
  77. 有田喜一

    有田委員長 次会は来たる二十二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十四分散会