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田中(武)
委員 もう時間もだいぶたっておりますから、簡単にお伺いいたしたいのです。いろいうの面につきましては、すでに専門家の各
委員から
質問があったと思いますので、私はそういう点でなく、今までだれも
質問していないような点をお伺いしたいと思います。
実は私、不勉強で、
産炭地域振興事業団法というのは、今ここへ来て見たのが初めてなんです。ちょっと目を通してみますと、きのう商工
委員会において
審議をいたしました国民生活研究所法と、その
目的と
業務以外は全部同じような規定になっておるのです。これは特殊法人に対して
一つのタイプがあって、それをそのまま写しておられると思うのでございますが、罰則まで一緒なんです。しかし罰則なんというようなものは、人を罰するのですから、やはりそのときそのときにあたって検討すべきだと思う。それを、これはむしろ原局よりか
法制局かもしれませんが、きのう
法制局にも、ともかく
一つのタイプをそのまま写してくる、こういうのがいわゆる
法制局の
法律制定上のマンネリズムだと僕は申し上げたのですが、ここにもあるのです。たとえば三十五条と六条、ここに罰則がありますが、まず前段の虚偽の報告はいいといたしまして、それから「若しくは」の先の忌避は一応
考えられるとしてのけまして、あとに残る「検査を拒み、妨げ、」という行為と、刑法九十五条の公務執行妨害との
関係はどうなるのか。すなわち、刑法の公務執行妨害は暴行、脅迫ということが要件になっております。それでは暴行、脅迫に至らなかった「拒み、妨げ」を言うのだと、こう
答弁するだろうと思うのです。そうするならば、それに至らない「拒み、妨げ」というのは一体どんな行為なのか。いわゆる三十五条も、大きく解するならば
一つの公務執行の妨害なんです。あるいは忌避なんです。そこで刑法の九十五条との
関係及び何によって九十五条にいくのか、あるいは本法三十五条になるのかという限界をお伺いいたします。
さらに三十六条、三十五条もそうですが、これには「役員又は
職員」となっておる。一号から五号にわたっての行為があった場合には、役員または
職員を処罰すると、こうなっておる。しかしこの
法律をよく検討してごらんになりますとわかると思うのですが、まず一号は、いわゆる通産大臣の認可を受けなければならない場合に認可を受けずにやった、こういうことにおける処罰なんです。通産大臣の認可を受けるべきものは、この
法律をずっと見まして、まず十条の役員の任命です。十三条二項の役員の解任です。十四条の役員の兼職禁止です。それから十九条三項の
業務の
範囲、二十一条の
業務方法書の作成、二十四条の財務諸表の作成及び二十八条の給与及び退職手当の設定ですよ。これ以外には本条でいう通産大臣の認可を受ける事項はないのです。この場合に、
職員が違反を犯すようなことがあり得るかどうか。どんな場合を想定されておるのか。さらに第二号、これは登記なんです。本法五条において、登記はこの
事業団すなわち法人に課せられた義務なんです。そして
産炭地域振興事業団登記令の第七条によって、その登記の申請人は
理事長となっておるのです。ここにおいて
職員の違反というような事態が起こる可能性があるのかどうか。さらに次の三号は、無理に
解釈すればあるかもわからぬ。たとえば四号、いわゆる余裕金の運用なんですが、こういうことに対して、これまた
職員の犯すような場合が想像できるかどうか。もしあるとするなら、それは本法でいう問題でなくして、
職員が勝手に金を使ったとかいうことは、背任もしくは横領、そういうものにかかってくると思うのです。人を罰する罰則でございますので、前にこういう規定があったからこれにも入れましたでは、通らぬと思うのです。いかがでございましょう。