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1962-01-26 第40回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年一月二十六日(金曜日) 午後三時三十五分
開議
出席委員
委員長
有田
喜一君
理事
始関
伊平君
理事
岡田 利春君
理事
多
賀谷真稔
君
理事
松井 政吉君
井原
岸高
君 藏内 修治君 澁谷 直藏君
中村
幸八君 南 好雄君 田中 武夫君 滝井 義高君
中村
重光君 渡辺
惣蔵
君
出席国務大臣
通商産業大臣
佐藤
榮作君 労 働 大 臣
福永
健司君
出席政府委員
通商産業政務次
官 森 清君
通商産業事務官
(
大臣官房長
) 塚本 敏夫君
通商産業事務官
(
石炭局長
) 今井 博君
通商産業鉱務監
督官
(
鉱山保安局
長) 八谷 芳裕君
労働事務官
(
職業安定局
長) 堀 秀夫君
労働事務官
(
職業訓練局
長) 三治 重信君 ――
―――――――――――
一月二十六日
委員濱田正信
君
辞任
につき、その
補欠
として井
原岸高
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員井原岸高
君
辞任
につき、その
補欠
として濱
田正信
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
一月二十二日
炭鉱離職者臨時措置法等
の一部を改正する
法律
案(
内閣提出
第六号) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
一月十九日
石炭産業安定対策確立
に関する
陳情書
(第一〇三号)
石炭産業振興対策確立
に関する
陳情書
(第一五六号) は本
委員会
に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
炭鉱離職者臨時措置法等
の一部を改正する
法律
案(
内閣提出
第六号)
石炭対策
に関する件 ――――◇―――――
有田喜一
1
○
有田委員長
これより
会議
を開きます。 まず、
石炭対策
の
基本施策
について、
通商産業大臣
から所信を承ることといたします。
佐藤通商産業大臣
。
佐藤榮作
2
○
佐藤国務大臣
ここに第四十回
国会
の
休会明け
にあたりまして、
所管大臣
として
石炭対策
について
一言所見
を申し述べたいと思います。
わが国経済
の成長と
国民生活
の向上のためには、
経済活動
の基礎となる
エネルギー
を合理的かつ安定的に供給することが肝要であります。
エネルギー産業
に対する
施策
は、この見地に立って総合的に
実施
することが適切であるので、
政府
においては、
学識経験者
の意見を徴するなど慎重な
検討
を行ない、
対策
の
樹立
及びその
推進
をはかりたいと考えております。 次に、
国産エネルギー
の大宗である
石炭鉱業
の問題でございますが、
エネルギー革命
の進行に対応して、
石炭鉱業
の
構造的不況
を克服するため、従来から高
能率炭鉱
の
造成
と非
能率炭鉱
の
整備
による
石炭
の
生産構造
の再編成に
重点
を置いて、その
合理化
を積極的に
推進
して参ったのでありますが、炭価の千二百円引き下げ及び五千五百万トンの
石炭需要
の
確保
という
石炭鉱業
の
基本路線
は、
大口需要業界
との関連においても、今後とも極力維持さるべきものであり、
石炭鉱業合理化
の
促進
は絶対の要請であります。特に、
石油輸入
の
自由化
を本年十月に控えて、その
必要性
は一そう大となっております。このため、
政府
としましては、
さき
に
内閣
に
石炭対策関係閣僚会議
を設置し、鋭意
対策
の
樹立
に努め、昨年末までに
緊急対策
として
離職者対策
、
中小炭鉱対策等
について
措置
を講じたのでありますが、その後恒久的な
石炭対策
について
検討
を進め、これを特段に
強化
することとし、三十七
年度
においては、三十六
年度予算
の約九割増に当たる約百十億円の
石炭対策費
(
労働省所管
の
離職者対策費
を含む)を
一般会計
において計上するとともに、百億円の
石炭鉱業向け
の
財政投融資
を行なうこととし、次のような
合理化対策
を
中心
とした
石炭対策
の充実をはかり、
石炭鉱業
を
安定産業
たらしめるための基盤をつちかいたいと存ずるものであります。 三十七
年度
の
石炭政策
の
重点
は、まず高
能率炭鉱
の
造成
と非
能率炭鉱
の
整備
の
促進
に置きたいと考えております。高
能率炭鉱
の
造成
をはかるためには、
炭鉱
の
近代化資金
を本
年度
より六億円
増加
して二十八億四千万円にするとともに、非
能率炭鉱
の閉鎖を
促進
するため、従来の
買収計画
に加えて三十七
年度
から三カ年
計画
で六百二十万トンを新たに整理することとし、
国庫補助
を大幅に増額することにいたしました。 また、
炭鉱
の
整備
に要する
退職金
、
鉱害処理資金
の円滑な
調達
をはかり、
合理化
の
達成
に支障を生ずることがないよう
措置
するため、最近
実施
に移されました
炭鉱整備保証基金制度
をさらに
強化
するとともに、これらの
長期運転資金
を
合理化事業団
を通じて直接
融資
する
制度
を新設し、その原資として十五億円を
予定
しております。
生産面
における
合理化
とあわせて、
流通面
においても大幅な
合理化
を行なう必要があり、このため
石炭専用船
の建造を助成するため、三億七千万円の
近代化資金
を計上いたしました。
炭鉱離職者対策
につきましては、昨年末すでに一部緊急を要する
事業
の繰り上げ
実施
をはかることといたしましたが、今後特に
中高年令層
に
重点
を置いて
施策
を
強化
することとし、
雇用奨励金
、
技能習得手当等
の
制度
を新設し、これら
特別対策
のための
予算
十九億円(
労働省所管
)を計上しております。 さらに、
石炭需要
の
安定的確保
をはかるため、従来
通り
産
炭地
及び揚地における
石炭専焼火力発電所
の建設を
推進
するとともに、電力、
鉄鋼等
の
需要業界
との
長期引取体制
の拡大をはかるよう指導していく考えであります。
石炭不況
による疲弊の著しい
産炭地域
については、その
経済
の
安定的発展
をはかるため、同
地域
に
産業
を導入し、その育成に努める必要があり、三十七
年度
においては、
政府出資
五億円、
財政投融資
五億円による
産炭地域振興事業団
を設立いたしまして、これを
中心
に
重点
的な
産炭地域振興対策
を
推進
して参りたいと存じます。 また、昨年来の
金融逼迫
の際は、特に
中小炭鉱
におきまして、その
合理化達成
に必要な
資金
の
調達
が困難な状態に至りましたので、特に
緊急融資
の道を講じ、かなりの成果を得ましたが、今後上述の
石炭対策
を
実施
するに当たっては、
中小炭鉱
について、
資金面
に対する配慮、
企業合理化
の
指導等
において特に留意して参りたいと思います。 このほか、
石炭鉱山
の
保安
の
確保
に万全を期するため、
諸般
の
対策
を拡充し、
石炭鉱害
については、その社会問題としての性格にもかんがみ、
復旧事業費
を増額して、
対策
の
強化
をはかることといたしております。 なお、これら
施策
を
実施
していくための
法律
上の
措置
として、
石炭鉱業合理化臨時措置法
の一部を改正する
法律案
及び
産炭地域振興事業団法案
を本
国会
に提出すべく現在準備を進めております。 以上、簡単でありますが、
エネルギー対策
とりわけ
石炭政策
の
重点
について考え方を申し述べましたが、
政府
といたしましては、これらの
施策
をすみやかに
実施
し、
石炭鉱業
の安定を実現したいと存じますが、本
委員会
におかれましても、今後とも一そうの御協力をお願いいたす次第でございます。 ————◇—————
有田喜一
3
○
有田委員長
次に、去る二十二日付託になりました
内閣提出
、
炭鉱離職者臨時措置法等
の一部を改正する
法律案
を議題として、まず
政府
に
提案理由
の
説明
を求めます。
福永労働大臣
。 —————————————
福永健司
4
○
福永
国務大臣
炭鉱離職者臨時措置法等
の一部を改正する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。 最近の
わが国
の
雇用失業情勢
は、全般的には
改善
の傾向を示しておりますが、その中にあって、
工業地帯
では
若年労働者
及び
技能労働者
の著しい不足が見られるのに反し、
産炭地域
や
後進地域
では
炭鉱離職者
を
中心
とする
失業者
の滞留や
労働力
の過剰の事態が存在しており、また、全国的に
中高年令層
の
就職
は困難な事情にあります。 なかんずく
石炭産業
では、
エネルギー消費構造
の変革に伴い、抜本的な
体質改善
が要請されており、
合理化対策
の進捗とともに
特定地域
に
中高年令層
を
中心
とする大量の
離職者
が滞留し、今後におきましてもなお
離職者
の発生が見込まれるのであります。 このような現下の
雇用失業
の趨勢に対処し、
政府
といたしましては、当面最も
緊急事
である
炭鉱離職者
の
援護措置
について、昨秋以来
内閣
に設置いたしました
石炭対策関係閣僚会議
において、
諸般
の
情勢
とともに、
さき
の第三十九回
臨時国会
での本問題についての御
審議
の
内容等
をも十分考慮
検討
いたしました結果、従来の
施策
にとどまらず、新たな
観点
より
離職者対策
について思い切った
拡充強化
をはかることといたしました。これと並行して、
労働市場
において全般的に見られる
労働力需給
の不均衡を調整するための
融資制度
を創設することとし、これらの
施策
によって
炭鉱離職者
を初めとする
労働力
の
流動化
を積極的に
推進
することといたしたのであります。本
法案
は、以上に述べました
炭鉱離職者
に対する
特別対策
と
雇用促進
のための
融資
を
雇用促進事業団
の
業務
として行なわせることを
内容
としたものであります。 次に、
法案
の
内容
について、その
概要
を御
説明
申し上げます。 第一に、
炭鉱離職者
の再
就職
を
促進
し、その
生活
を安定きせるため、
炭鉱離職者臨時措置法
の一部を改正することといたしました。すなわち、まず、
雇用促進事業団
の行なら
援護業務
として、新たに、
公共職業安定所
の
紹介
により
炭鉱離職者
を雇い入れる
事業主
に対して、
雇用奨励金
を
支給
する
業務
を
規定
するとともに、
雇用奨励金
及び
職業訓練
を受ける者に対する
手当
の
支給
について、これらの
制度
が最も効率的に運用されるようにその
支給要件
を定め、また、これにあわせて必要な条文の
整備
をはかることといたしたことであります。 第二に、
労働力流動化対策
の一環として、
雇用促進事業団
に
労働者
の
雇用
を
促進
するための
融資
を行なわせるため、
雇用促進事業団法
を改正することといたしました。まず、
雇用促進事業団
が従来行なっている
業務
に加えて、新たに、
移転就職者
を雇い入れる
事業主
その他の
事業主
に、その
雇用
する
労働者
のための
労働者住宅
その他の政令で定める
福祉施設
の設置または
整備
に必要な
資金
の
貸付業務
を行なうことを
規定
するとともに、
事業団
はこの
貸付業務
の
資金
に充てるため、新たに
長期借り入れ
または
雇用促進債券
の発行をすることもできること、
事業団
は、
労働大臣
の認可を受けて、
金融機関
に対し
貸付業務
の一部を委託できること及び
金融機関
は他の
法律
の
規定
にかかわらず
事業団
の行なう
貸付業務
を受託することができることといたしました。 なお、以上のほか、本
改正案
の附則におきまして、第一には、
炭鉱離職者対策
の
拡充強化
に関する
規定
は、その
緊急性
にかんがみ、この
法律公布
の日から施行し、本年一月一日にさかのぼって適用することとし、また
雇用促進
のための
融資
に関する
規定
は、本年四月一日から施行することといたしました。また第二には、これら
流動化対策
の円滑な
推進
を期するため、現在
炭鉱離職者
その他の
離職者
が多数滞留し、その再
就職
がきわめて困難な
北九州
に、現行の
職業安定法
の
規定
に基づき
北九州職業安定事務所
を設置し、これら
離職者
の
就職
の
促進
をはかることといたしております。 以上、この
法律案
の
提案理由
及びその要旨について御
説明
申し上げました。何とぞ御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
有田喜一
5
○
有田委員長
次に、
本案
の
補足説明
を求めます。
堀職業安定局長
。
堀秀夫
6
○
堀政府委員
ただいま
労働大臣
から御
説明
申し上げました
通り
、最近における
石炭鉱業
の状況及びこれに伴う
離職者対策
の
緊急性
にかんがみまして、新たな
観点
から、従来の
施策
に加えて、
雇用奨励金
の
支給
その他の
施策
を実行することといたしたのでありますが、これら
炭鉱離職者対策
の裏づけとなる
予算
の
内容等
について御
説明
を申し上げます。 すなわち、三十七
年度
におきましては、従来から行なってきました諸
施策
を大幅に
拡充強化
する一方、新たに講ずる
特別対策
に要する経費を加えて、
総額
六十七億五千万円を計上いたしております。これは本
年度予算
四十億二千万円に比べ、二十七億三千万円の
増加
であります。これを従来から行なって参りました
一般対策
と新たに講ずることとしました
特別対策
に分けて御
説明
いたします。 まず
一般対策
につきましては、国において行なう
広域職業紹介
、
職業訓練
、
緊急就労対策事業
、
鉱害復旧事業等
について、三十七
年度
では
総額
三十四億二千五百万円、
対象人員
六万一千五百二十人を計上しております。すなわち本
年度
の二十九億一千七百万円、
対策人員
三万三千五百二十六人に比べ五億九百万円、
対策人員
にいたしまして二万七千九百九十四人の
増加
となっておるのであります。また、
雇用促進事業団
の行なう
援護業務
につきましては、三十七
年度
には十四億円を計上いたしました。本
年度
の十一億円に比べ、三億円の
増加
となっております。増額のおもなものは、一つは、
緊急就労対策事業
の単価一人当たり千五十円を千二百五十円に引き上げたこと、それと同時に、
移住資金
につきまして、
対象人員
を
増加
させたことであります。
移住資金
につきましては、本
年度
の一万三千人分、六億四千五百万円に対しまして、三十七
年度
においては一万七千人分、十一億八千二百万円を計上いたしております。 次に、新たに講ずる
特別対策
について申し上げます。
雇用奨励金
は十億二千八百万円、二万人分であります。
住宅
は八億二百万円、五千二百人分を
予定
しております。前
年度
は千八百人分でありました。次に、
別居手当
は千九百万円、八百九十六人分、
技能習得手当
は五千五百万円、五千百三十人分を計上し、
総額
で十九億二千万円を計上いたしております。これらの新たな
奨励金
と
手当
の基準及び
内容
につきましては、
雇用促進事業団
の
業務方法書等
において
内容
を
規定
する
予定
でありますが、その考えておりますおもな
内容
について御
説明
を申し上げます。 この
雇用奨励金
は、
昭和
三十七年一月一日以降、
炭鉱離職者
を常用的に
雇用
する
事業主
に対して支払うことになっております。
事業主
が支払うべき
賃金月額
が二万円以上を
原則
といたしております。ただし、
女子
または
身体障害者
の場合は、一万四千円以上といたすことになっております。また、
雇用
される
炭鉱離職者
の年令は、三十五才以上を
原則
といたしました。ただし、別に定める事由に基づく、
買い上げ等
に基づく
全面終閉山等
の場合におきましては、三十才以上であることにいたしました。次に、その
支給額
は、支払われるべき
賃金額
の四分の一程度といたしました。最低は男子の場合に五千円、
女子
の場合及び
身体障害者
の場合におきましては三千五百円、最高は
離職者
一人につき七千五百円を限度といたしております。この
雇用奨励金
は一年間
事業主
に
支給
することに相なっております。 次に
別居手当
につきましては、
扶養家族
と別居いたしまして
職業訓練所宿泊施設
に収容されるところの
炭鉱離職者
に対しまして
支給
する
予定
でありまして、その額は一カ月三千六百円を
予定
しております。また
技能習得手当
は、
公共職業訓練
を受けております
失業保険
の
受給者
に対して
支給
することを
予定
しております。大体一日、平均いたしまして七十円と
予定
しております。 次に、
特別対策
のうち、ただいまの
雇用奨励金
、
別居手当
、
技能習得手当等
の
支給
につきまして、三十七年の一月以降
実施
することとしております
関係
上、本
年度
の第二次
補正予算案
において八千二百万円、すなわち
雇用奨励金
は五千人分、
別居手当
は四百三十二人分、
技能習得手当
千九百人分を計上いたしております。
政府
といたしましては、以上申し上げました諸
対策
によりまして、
炭鉱離職者
の
職業
と
生活
の安定に努めて参る所存でございます。
有田喜一
7
○
有田委員長
本案
に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
次会
は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十六分散会