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1962-04-12 第40回国会 衆議院 商工委員会地方行政委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十二日(木曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員  商工委員会    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    海部 俊樹君       始関 伊平君    首藤 新八君       田中 龍夫君    中垣 國男君       中川 俊思君    原田  憲君       藤井 勝志君    村上  勇君       岡田 利春君    久保田 豊君  地方行政委員会    委員長 園田  直君    理事 纐纈 彌三君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    小澤 太郎君       川村 継義君    村山 喜一君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       菅  太郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         通商産業事務官         (企業局長)  佐橋  滋君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         自治政務次官  大上  司君  委員外出席者         議     員 井手 以誠君         議     員 阪上安太郎君         通商産業事務官         (企業局立地指         導課長)    柄越將兵衛君         建設技官         (計画局地域計         画課長)    池田 廸弘君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      大村 襄治君         自治事務官         (行政局振興課         長)      山本  明君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 曽根  隆君     ————————————— 本日の会議に付した案件  新産業都市建設促進法案内閣提出第五五号)  産業雇用適正配置に関する法律案井手以  誠君外十八名提出衆法第一五号)   ────◇─────   〔早稻田商工委員長委員長席に着く〕
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより商工委員会地方行政委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出、新産業都市建設促進法案及び井手以誠君外十八名提出産業雇用適正配置に関する法律案を議題として審査を行ないます。  井手以誠君外十八名提出産業雇用適正配置に関する法律案について、提出者提案理由説明を求めます。井手以誠君
  3. 井手以誠

    井手議員 産業雇用適正配置に関する法律案について、提案理由と、その概要を御説明申し上げます。  東京にわが国人口の一割以上も集まり、南九州所得全国平均の半ばにすぎないということは異常の事態といわねばなりません。数年前から対策を迫られておりました過大都市地域格差の問題は、高度成長政策によってさらに大都市とその周辺産業人口が集中し、その生産面生活面の隘路を開く公共投資は総額の七割近くに達するという悪循環を招き、交通地獄に代表される多くの弊害を引き起こしております。一方それ以外の地域における公共施設はますます立ちおくれ、人口は減り、地域格差はいよいよ拡大してきました。  従いまして、この際、奇形児のような経済不均衡を正すには、思い切った国の措置が必要でありまして、過大都市抑制から進んで解消に努め、同時に全国数カ所一大工業地域を造成するとともに、全国各地開発都市建設を行ない、産業適正配置と、その地域における雇用の安定をはかること、端的に申しますと、通勤できる都道府県内数カ所工業地帯ができるよう、現実に効果の上がる施策を強力に集中し、経済の均衡ある発展をはかることが今日最も緊急であり、お互いの務めと存じ、ここに本法律案提出した次第であります。  今、この法律案概要を申し上げますと、第一に、内閣総理大臣は、国土総合開発計画に適合する開発拠点地区指定して開発基本計画を作り、国が全額出資する産業設備公団の手で、土地確保工場その他の施設整備賃貸を行ない、新たに広域経済圏中核となる地域を作ろうとするものであります。なお、この指定には、その経済圏労働力の需給ができ、雇用が安定するよう配慮することにしました。  第二に、内閣総理大臣は、知事申請により数カ市町村にわたる経済圏開発中核とすることができる開発拠点地区指定して開発基本計画を立て、その周辺労働力によって大いに産業開発しようとするものであります。また、著しい変動による産業不況地域には、その再開発について特別の対策をとらねばならないよう配慮しました。  第三に、知事は、関係市町村長申請により、農産物、林産物、畜産物または水産物の加工業開発に適するところを開発小拠点指定して開発基本計画を作り、その地域開発と、農山漁村加工業への進出、所得の増加、就業の増大をはかろうとするものであります。  第四に、右の中拠点地区、小拠点地区開発には、国と都道府県が出資する開発公社を設立して、その都道府県における産業開発を総合的に行なわせ、開発に必要な土地確保工場その他の施設整備賃貸等をすることにしました。なお、この開発公社都道府県の一元的な開発機関になるよう考えております。  第五は、既成の大工業都市へさらに産業人口が集中しないよう、大規模工場新設や増設を制限する工業制限区域指定することができることにしました。また進んで過大都市解消する積極的対策として、工業制限区域内の工場開発地域に移転するときは、工場新設、労務者の移転等に特別の措置を講ずることにしました。  第六は、国や地方公共団体は、開発計画を達成するため、用地、水道、輸送、教育、厚生その他の施設整備就業上必要な教育または職業訓練施設整備を急ぎ、許可その他の処分、国有財産の譲渡、貸付に便宜をはかり、工場建設に必要な資金の確保に努め、国は地方公共団体の行なう事業費補助地方債に特別の配慮をするものといたしました。  第七に、電気料金は、製造原価への影響が大きく、その低料金工場誘致のきめ手の一つでもあります。しかも今日低開発地域ほど料金は高い傾向にありますので、開発計画に沿う工場電気料金は、一般よりも低減されるよう特に法律措置することにしました。  第八は、工場地帯建設のため、最近地方公共団体負担が加重され、また地方税減免する等のため、一般行政が圧縮されるおそれがあります。この法律は、国が多くの負担画期的開発をやろうとするものでありますから、特に一項を設け、補助を行なうときは、その行政水準が低下しないよう考慮することにし、地方税減免は行なわせない方針であります。  最後に、開発に関する重要事項調査審議するため、総理府産業雇用適正配置審議会を、都道府県産業雇用適正配置協議会を設けることにしております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  4. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上をもって提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次いで両案に対する質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。村山喜一君。
  6. 村山喜一

    村山委員 私は、今まで商工委員会やあるいはその他の連合審査委員会で論議されましたものを速記録等を拝見をいたしまして、できるだけ重複をしないように質問をして参りたいと思います。  そこで、まず第一点といたしましてお尋ねをいたしたいことは、今回政府提出をされましたこの新産業都市建設促進法案性格についてでございます。通産省は、日本産業構造といいまするか、これからの輸出産業というものに重点を置いていく必要性を強調いたしまして、徹底した産業政策でなければならないということを申しているのでありますが、その際社会政策であるとかあるいは雇用政策であるとか、あるいは国防上の政策であるとかいうようなものについて考えるゆとりはないのだ、こういうようなことを工場適正配置構想の中で述べていることは御承知通りでございます。そこで、この新産業都市建設促進法案性格は、そういうような意味産業政策として打ち出されたものであるかどうかということでございます。その場合考えなければならないのは、現在過大都市の問題がございますが、これに対しまして藤山長官は、この新産業都市建設促進法は消極的に過大都市抑制を考えているのであって、それらの過大都市規制については別途の法律によるべきである、こういうようなお説であります。さらに後進地域開発の問題についてはさきの国会制定をされました低開発地域工業開発促進法によって振興をはかっていくのだというようなことをおっしゃっているわけでございます。  そこで、そういうふうに考えて参りますと、今度の新産業都市建設促進法案性格は、国土総合開発計画に基づいて各経済圏ブロックごとに分けて、そのブロック経済圏の中における拠点を作り上げていくのだという構想のように伺うのでありますが、今日まで制定されて参りました総合開発関係のあります法律、並びに審議会の数を考えてみますと、十二の審議会を数えておる。こういうような中にあって、この新産業都市建設促進法案がかり国会を通過いたしましても、一体実効性のあるものが期待できるだろうかどうかというような点が非常にあいまいなものとして受け取れるわけでございます。この際お尋ねをいたしておきたいのは、この前の国会で通過いたしました低開発地域工業開発促進法に基づくところの地域指定と三十七年度の予算関係はどういうふうになっているかということでございます。それと、この法案の実施に必要なところの予算的な見積もりは、どういうふうになされているのかという点もお答えを願いたいと思うのであります。  それと、国土総合開発計画が四月一日には発表できるであろう、こういうようなことも今まで答弁の中に出ておりますが、一向にその開発計画なるものがわれわれの前に示されて参りません。その草案が出されましたときに、国土総合開発審議会意見というものが出されております。国土総合開発審議会がきわめて適切な意見を表明いたしておりましたが、この法案を作成するにあたりまして、どういう程度までその審議会意見をお取り上げになってこられたかという点もお答えを願いたいと思うわけであります。  それと同時に、第三十九回の国会内閣に設定されました地域経済問題調査会、これは地域経済の基本問題の解明と対策を講ずるものとして非常に期待をされて作られたわけでございますが、この地域経済問題調査会は今日までどの程度活躍をいたしているのか、われわれには何らわかりませんので、この新産業都市建設促進法案性格をめぐりまして、以上をまず第一点として御質問申し上げてみたいと思うわけです。
  7. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今回提出いたしました新産業都市建設促進法案は、むろん制定までにいろいろないきさつがございましたことは事実でございますし、また通産省等が、産業都市計画あるいは自治省方面地方都市計画その他諸般の計画がございましたのを総合いたしたものであることは申すまでもないことでございまして、従いまして、今御指摘のようなこの法律が、ただ単に産業都市だけを作って、何か社会福祉施設であるとか、あるいは雇用の条件というようなことを無視してでき上がっておるものでないことは申すまでもないのでございます。同時に、人口の過度の集中ということは今日解決しなければならぬ重要な問題でございますが、当然新しい都市ができまして、工場がその方面に集中して参りますことは、過大都市化防止には役立つのでございますが、しかし、この法律自身が現在の過大都市を何らかの規制をするということではないのでございまして、それを積極的にいたします法律というものは他の法律によらざるを得ないので、ここに書き込んで一元化することは、相当な重複、あるいは運営の上において適当ではないと私ども考えておるのでございます。そこで、国土総合開発計画というものが四月一日ごろには草案が確定的な審議会の議を経て決定案になるだろうということも申して参りましたが、若干委員会の日付がおくれておりますので、詳細については事務当局から御説明申し上げさせますけれども、近くそれが策定されますことは申すまでもございませんし、また地域開発に関する各種の審議会等が十二もあるというようなお話もございました。今日までの地方開発のいろいろな実情から申しますと、この点は国土総合開発計画というものがおくれた関係もございまして、その点は企画庁としても相済まぬことでございますけれども、そういうような関係で、地方開発のそれぞれの独立立法もできております。それに伴います審議会等も作られておるわけでございまして、将来はこれらの審議会というものを、可能ならば国土総合開発審議会のあるいは部会等にして、総合的な運営をする方が適当ではないかというふうな検討もただいまいたしておるわけであります。今度総合開発計画を中心にして、その拠点構想としての新産業都市、また地方開発等の面から申しまして、低開発地域工業開発促進法によりますいわゆる低開発地域都市の確立をはかっていく、こういうような関連を持って全体的に運営をして参りたい、こういうふうに考えておるのでございます。なお、こまかい点等につきましては、事務当局から御説明をいたさせます。
  8. 曾田忠

    ○曾田政府委員 補足してお答え申し上げます。  第一に、全国総合開発計画の策定の問題でございますが、御承知通り、昨年七月に草案が発表されたわけでございまして、過去十年余にわたり空白期間がございましたが、非常にむずかしい問題がございまして、いろいろ各方面意見を伺って参ったわけでございます。財界方面とか、あるいは各都道府県というものの御意見も集まって参りまして、大体のおもなる意見を申し上げますと、拠点開発方式具体化本格化という問題、あるいは地域区分経済圏の問題、農林漁業発展方向明確化、あるいは観光資源開発の具体的な方策、それから公共投資地域配分の再検討、あるいは地域別生産所得検討というような非常にむずかしい、また重要な御意見も出て参ったわけでございまして、これらの意見に基づきまして、われわれ事務当局といたしましてはいろいろ案を策定いたしまして、今まで二回にわたりまして、全国開発総合審議会全国部会に御意見を御審議していただいたわけであります。なお、あと二回程度全国部会の御審議をお願いいたしまして、できましたならば、今月の末に全国開発総合審議会の総会を開いて御審議をいただきたいというつもりで準備を進めておるわけであります。おくれてまことに申しわけありませんけれども、いろいろむずかしい問題がございまして、なおわれわれとしては努力しなければならぬと思います。  それからもう一点でございますが、昨年の国会におきまして成立を見ました低開発地域工業開発促進法に基づきまする事業進捗状況でございますが、これもこの法律に基づく地域指定の基準の政令等も公布を見まして、また審議会も一回開いておりますが、現任は各都道府県指定地域候補地申請をお願いしております。われわれといたしましては、三月一ぱいに各都道府県から申請があるものと期待しておりましたけれども、何分にも初めての制度である関係上、各都道府県におきましてもいろいろな準備がある関係で、大体今月の中旬には全部の各都道府県申請書が集まってくるのではないかと思いますが、それを審査いたしまして、大体五月中には第一回の低開先地域工業開発地区指定をいたしたいというふうに考えておるわけであります。  それから、この低開発地域工業開先構想と、いわゆる新産業都市建設構想というものの関係を若干申し上げますと、低開発地域工業開発地区といたしましては、今まで非常に工業開発がおくれた地域重点に考えております。従って、小都市という程度地帯を考えておりまして、これらの地域につきまして軽工業地場産業、たとえば食品加工工業というものの開発促進をいたしまして、地域格差是正あるいは農業の近代化にもあわせて資するということがおもな目的でございます。そういうことによりまして、それらの地域がいわゆる中都市並みの地位に上がっていくということをわれわれは期待しておるわけであります。  一方、この新産業都市につきましては、地方中核的な大規模都市を作るわけでありまして、これらの大規模産業都市と、いわゆる中都市あるいは低開発地域工業開発地区という三者が、相互に依存し合い、関連し合いまして、当該地方産業開発促進という意味においてこれらの構想を持っておるわけであります。  もう一つお尋ね予算関係でございますが、新産業都市といたしましては、経済企画庁あるいは各省に具体的な調査がまだ相当残っております関係上、そういう調査費用を三十七年度の予算で計上しておるわけであります。企画庁といたしましては、新産業都市関係調査あるいはその他の地域経済関係調査というものを含めまして、五千万円の調査費が計上されておるわけであります。  それからもう一つお尋ね地域問題の調査会の運用の問題でございますが、これも実は私の所管でございませんけれども、要するに国土の均衡ある発展、あるいは地域格差是正というものを考えます場合におきまして、まだ基本的に検討すべき問題がいろいろございますので、そういう問題を現在この調査会部会を設けて検討している最中でございます。大体今後二年間でいろいろの基礎的な問題の調査検討を終わるということに相なっているわけでございます。
  9. 村山喜一

    村山委員 単なる産業政策でもない、また社会政策あるいは雇用対策、そういうようなもろもろの政策を含めた総合された立法である、こういうふうに藤山長官お答えを願ったわけでありますが、この内容をしさいに検討してみますと、やはり新産業都市建設促進するというところにほんとうのねらいがありまして、その結果、国民経済発展に資するのだ、こういうような立場に立つ目的を第一条にうたっているところから見て参りますと、これはやはり産業政策一つとして打ち出したものである、そして今日の所得倍増計画の中においてゆがみがきている日本経済を立て直していく、その姿においてとらえたものである、こういうふうに明解に割り切った答弁をされるのが私は正しいのではないかと思うのですが、もう一回その点についてお尋ねをしておきたいと思います。  それと同時に、社会党提案者の方にお尋ねをいたしますが、社会党案目的を見てみますと、その中核になる地区を定めるということは同じようにうたっておりますが、法律案内容から見て参りますと、産業政策と同時に社会政策なりあるいは雇用対策という面に重点を置いている、こういうような点が特徴的なものであろうと考えるわけであります。その点については、一体どういうような性格としてとらえればよろしいかということをお答えを願いたいと思うわけであります。  それと、低開発工業開発促進法に基づく地域指定は、五月中に指定をやりたいという曾田開発局長の御説明でございました。この問題につきましては、その工場を誘致いたしました市町村固定資産税等を負けた場合には、それに見合うところのいわゆる交付税措置をするというような地方財政計画との関係があるわけでございますので、そういうような上においてどの程度のものを自治省の方としては見込んでおられるのかを、地方財政計画の上から承っておきたいと思うのであります。
  10. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御質問の要点のように、地域格差是正して総合的な日本の国力を発展させるという立場をとりますれば、法律の題名であります産業都市建設することが主体であることはむろんございますが、しかし、産業都市を作ること自体、今後のことを考えて参りますと、学校配置でありますとか、あるいは環境衛生でありますとか、そういうものを整備した産業都市を作らなければならないのじゃないかという観点に立ちまして、先ほど申し上げましたようなお答えを申し上げたわけであります。ただ、今日問題になっておりますように、地方開発方式として、産業都市ばかりでなく、学園都市を作るとか、あるいは政治官庁都市を作るとかいうような問題も考えられるわけでございまして、そういうような問題については、必ずしもこれによっておらぬのでございますが、将来はあるいはそういう方面からの都市形成というものも、日本国土総合開発の上では必要な場合があるのではないか、また現に官庁街集団的移動などいうことも、都会の疎開という意味においては考えられておるわけでございます。でありますから、そういう意味から申せば、重点的に産業都市を作るということであることは、これは申すまでもございません。
  11. 井手以誠

    井手議員 私ども提案いたしました産業雇用適正配置に関する法律案は、法律案名称のように、産業雇用という両面から私ども考えておるのでありまして、この私ども法律案は、地域間の経済的格差是正というのが大きなねらいでありまして、そのためには、新たに大拠点、中拠点、小拠点開発地区を設定して、国の施策を集中していこうというのでありますが、同時にまた産業雇用はうらはらの問題でございまして、たとえば九州学校を卒業する者のほとんどは、今日名古屋阪神地区に就職いたしておるのであります。その名古屋大阪周辺における雇用の状態あるいは住宅関係、道路の関係等々を考えて参りますと、やはりそこに雇用というものを考えなくてはならぬのであります。従って、大拠点は、全国に大体十カ所前後、中拠点は各都道府県に、その開発内容にもよりますけれども、三カ所ないし五カ所の中拠点を設けて、なるべくその周辺労働力産業を興していこう、そうしなければ、ほんとう地域格差是正あるいは雇用の安定ということも成り立たないと考えておるわけであります。同時に、過大都市解消にいたしましても、大都市から開発地域工場を移転しようという場合は、やはり雇用関係をきわめて重視いたしまして、工場新設はもちろんでありますけれども住宅建設等についても、政府は特別の援助をしなければならぬという一項も設けておるわけであります。
  12. 松島五郎

    松島説明員 ただいまお尋ねのございました低開発地域工業開発促進法によって指定を受けました関係市町村においてどの程度の税の減免が行なわれるか、またそれに対する財政計画上の措置はどうなっておるかというお尋ねでございますが、指定がまだ具体的に進んでおりませんし、指定されましても当該地域工場建設されなければ減免の問題も起こらないわけでございます。従いまして、現段階において的確な予想をいたすことはなかなか困難でございます。ただ、過去の実績等から推定をして考える以外にないのではないかというふうに考えております。昭和三十六年度で町村が工場誘致関係で税の減免をどの程度しているかというのでございますが、これは一応とりました資料で——予想でとっておりますので、必ずしも正確でございませんが、市町村分は一億七千万程度減免をしておるという報告が参っております。これは、御承知通り市町村税全部についての調査でございますが、御承知通り、低開発地域工業開発促進法では、市町村分としては固定資産税だけでございますので、金額はこれよりかなり下回るのではなかろうか、こういうふうに考えておるのであります。従いまして、この程度減免でございますならば、現在の財政計画において十分消化をしていくことが可能であろう、こういう見通しを立てておるような次第でございます。
  13. 村山喜一

    村山委員 もちろん低開発地域工業開発促進法に基づく市町村減免措置の分は、固定資産税だけであります。そこで三十七年度の地方財政計画の中で措置してある分はどの程度あるのか、その数字を、後ほどでよろしゅうございますから、明らかにしておいていただきたいと思います。  次に進んで参りたいと思いますが、所得倍増政策との関係でございます。先般の委員会質問に対しまして、経済企画庁の総合計画局の向坂さんが、三十一年から三十三年までの平均実績を既成工業地域とベルト工業地域開発地域、その他の地域に分けまして、所得倍増計画の前期三十六年から四十年度までの公共投資計画数をパーセントで示されておりますが、それによりますと、既成工業地域は三十一年から三十三年までの実績は三四・七%であります。それを三十六年から四十年に対しましては二八・八%に減らしていくんだ、ベルト地帯は三〇・二%を約一〇%引き上げまして四〇・八%にやっていくんだ、開発地域、その他の地域——後進地域になるだろうと思いますが、開発地域はほとんど異同がありませんで、その他の地域は二四・三%から一九・五%に減らしていくんだ、こういうような所得倍増政策の前期の五カ年計画が示されているわけでございます。  そこで、私がお尋ねして参りたいのは、昭和三十年から三十五年までの行政投資の実績は、地方資金を含めましてどういうふうになっているのか。これは自治省の財政局長あるいは財政課の方で把握をしておいでになるだろうと思いますので、その既成工業地域、ベルト地域開発地域あるいはその他の地域に分けまして、すでに実績が出ているはずでありますから、その数字を示していただきたいと思うわけです。  それから、これはやはり数字的な問題でおそれ入りますが、政府の直轄事業補助金、政府関係機関の公共事業等のいわゆる国家資金の投入額というものはどういうふうになっているのか。これは経済企画庁計画局で押えておいでになるだろうと思いますので、その数字を示していただきたいと思います。  それに、道路整備五カ年計画によるところの地域別配分はどういうふうになっているか。この点ももうすでに地域別配分の計画は立っているだろうと思いますので、それらの点をこの際数字としてお示しを願っておきたい。  以上資料の要求をいたします。
  14. 松島五郎

    松島説明員 ただいまお尋ねのございました地域別公共投資の実態でございますが、従来私どもどちらかと申しますと、府県市町村単位に考えていろいろ財源措置等も考えて参っております関係上、そういう地域別等には資料はただいま持ち合わせておりませんが、必要を生じておりますので、ただいま三十六年度について調査をいたしております。まとまりましたならば、御報告させていただきたいと思います。
  15. 曾田忠

    ○曾田政府委員 行政投資の問題でございますが、これは先生御指摘のように総合計画局で所管しておりますので、今手元に資料がございませんで申しわけない次第でございますが、三十五年度までの行政投資につきましては、国民所得倍増計画の数字をとって申し上げますが、三十三年度が、全部の行政投資でございますが、六千七百十四億円、三十四年度が七千九百十一億円、三十五年度が九千三百七十億円、これは国費も地方負担も、それから監督事業も全部入っておる数字でございます。
  16. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまお尋ねの道路投資の状況でございますが、昭和三十六年度におきまする道路街路投資の地域別の状況をかいつまんで申し上げますと、既成工業地帯におきましては八百五十億円程度でございます。ベルト地域におきましては六百八十三億、その他の地域が八百二十億円というのが、三十六年度の地域別の配分の状況でございまして、道路整備五カ年計画におきましては、各道路の種別に従いまして、その投資の目標を示しておりますが、経済の情勢等もございますので、地域別に確定された目標を示しておるわけではございませんが、大体の傾向といたしましては、全国計画なり、ただいま申し上げましたような傾向を、今後四十年までの方向として推移していくというふうに御理解願いたいと思います。
  17. 村山喜一

    村山委員 やはり産業政策であるとするならば、当然日本所得倍増政策との関係が出て参りまするし、今日までの地域格差是正ということをとらえていくものであるならば、今日国家が果たしつつある、あるいは地方公共団体が果たしつつあるところの行政投資の実績というものがどういうような実情にあるのか、こういうようなことを把握した上で産業政策というものを立てていかなければ、ただ統計的な数字に基づかないで、日本産業構造というものを合理的なものに持っていくのだというのでは、筋が通らないと思う。そういうような点から、私はやはり政府が今日まで行政投資をそういうような既成工業地域にどの程度行なって、あるいは太平洋ベルト地帯といわれるようなところにどういうふうに行なっているか、そして今後の需要をどういうふうに見込んでいかなければならないかということを、計画を作って一つの目標を立てて開発計画というものが立てられなければならないと思うわけです。そういうような点から、今度の所得倍増計画の中で前期五カ年計画が出ている、その各割合を調べて参りますと、やはり太平洋ベルト地帯といわれるようなところに公共投資重点的に行なうんだというのが、はっきり打ち出されているわけです。そこで道路整備計画の前期五カ年間におけるところの計画をずっとしさいに調べて参りますと、主要地方道にいたしましても、これは都道府県知事が管理をすることになっているけれども、実際は国の補助政策というものによって、建設大臣がこの地方道に対する改修計画あるいは補修計画等については実権を握っているとさえ、財政的には言えると思うのであります。そういうような意味において、道路政策の上においては、私は地方公共団体は一割しか財源的には自分の手によってコントロールできないのじゃないか、九割までは建設大臣が握っているとさえ言っていいと思うので、そういうような点から、これをこの前発表されました建設省の道路整備計画の前期五カ年計画をながめてみますと、地域別配分がどういうふうになったか、私もまだ知らないわけでありますが、やはり大都市中心、あるいは太平洋ベルト中心の考え方というものがはっきりと打ち出されていく方向に今後は行なわれていくであろう、すでに四大工業地域とベルト地域に対して六五%というもののそういうような割当をしているというふうに承っておりますが、先ほど数字として出されましたのは、その他の地域に三分の一、既成工業地域とベルト地域に三十六年度において三分の二以上、大体三分の二程度出しておりますので、この四大工業地域、ベルト地帯というところに六五%程度は持っていくのだという前期五カ年計画というものがあるのだというふうにわれわれは見て差しつかえないと思うのですが、その点は建設省としてはどうですか。
  18. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 高速道路とか、そういうような近代的な四大工業地域を結ぶ大幹線道路も、これは既定の計画で進めますことは御承知通りでございます。一般的には、今回の五カ年計画におきましては、一級国道というものは昭和四十年までに舗装まで全部完了する。全国を縦断し横断しておりますところの約九千八百キロ余りにわたりますところの一級国道というものは、今後はいわゆる地域格差といいますか、従来の道路整備のおくれておりました地域格差の多い地帯の工事が中心になりまして、国の幹線が整備されるわけでございますから、昭和四十年までの一級国道の投資額というものは、むしろそういうような方面地域重点が指向される。その他二級国道につきましては、まだ現在の道路整備規模の問題もございますが、十カ年で整備を完了するということが五カ年計画の幹線についての一つ重点になっております。  なお、地方道なりその他につきましても、産業開発でありますとか、あるいは観光上、特に地域開発上の重要な路線につきましてその整備促進をはかるということになっておりますので、昭和三十六年以降の幹線、一級国道等につきましては、だんだんと地方の方の整備重点が置かれる、こういう傾向であるということを御承知願いたいと思います。
  19. 村山喜一

    村山委員 そこで、今日の公共事業というものを見てみますと、これは一般財源から公共事業の財源の裏づけをするという方式がだんだん受益者負担に転嫁し、さらにまた公共料金に財源を移譲いたしまして、収益事業化して、公共設備というものが資本としての擬制をとりつつあるという姿が今日の状況ではないかと思うのであります。特に四大工業地域においては、そういうような収益事業を伴うところの公共事業というものが、全国平均の二倍以上を示している。こういうような格好の中で、いわゆる財政投資による公共事業というものが、大都市においては非常に大きくなってきておる。こういうような格好の中で、この公共事業政策というものが一本の柱として打ち立てられてきたのが今日までの姿であります。ところが、今度新産業都市建設するということになって参りますと、そういうようなブロックごとに今度は経済中核を作って、それを中核体にいたして、その周辺に連鎖反応的にその経済効果を及ぼしていって、そこに一つの自給体制ができるようなそういう方向におて経済の姿を考えていくんだ、こういうようなことが拠点開発方式として経済企画庁では言われているわけですが、そうなって参りますと、考え方の問題といたしましては、今日まで過大都市におけるところのいろいろな隘路というような問題を解消をしていくために進めて参りました公共事業の投資政策というものが、今度は百八十度の転換をして、新しい新産業都市建設という方向に走り出していくんだと、こういうようなとらえ方もできると思うのでありますが、そういうようなとらえ方をすべきであるのかどうかということについて、長官はどういうふうにこの問題を考えておられるのかを明らかにしていただきたい。
  20. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市ができました場合における公共投資、特に道路等のあり方のお話だと思いますが、むろん今日過大都市あるいは太平洋ベルト地帯等の地域におきます輸送関係の輻湊、従って、道路の改善ということは、これは現在の経済力を高度に活用しますためにはぜひともやらなければならぬ仕事であることは申すまでもないのでありまして、決してこれをないがしろにいたす考え方はございません。従って、百八十度転換するという考え方はございません。しかし、それではそれだけでいいかといえば、新産業都市を作ります場合に、一番の要件というものは、やはり交通輸送の関係であることは申すまでもないのでありますから、従って、今日までの道路整備計画等におきましてできるだけ新小拠点を中心にした新しい道路の計画と、あるいは従来の幹線国道その他に対する連携、あるいはその付近、周囲の問題等に関係して、それを活用していくという新しい県道なりあるいはその他の格上げというような問題も、これは当然起こってくるわけでございまして、そういう面については力を入れていくこと申すまでもないのであります。百八十度の転換とは申しかねますが、両々相待って完璧を期していきたいというような考え方でおるわけでございます。
  21. 村山喜一

    村山委員 まあ度数にして何度かわかりませんが、考え方の問題としては、今日までそういうような既成工業地帯に生じた隘路、悪条件の解消という問題を克服するというのが公共投資の主体であったわけです。それを国土総合開発計画というものは、国土を大体七・八あるいは九つの経済圏に分けて、その経済圏に一ないし二の拠点を作り上げて、そこで新産業都市建設するという、そういうような考え方ですから、これはやはり考え方の方向としては百八十度の転換ではないかと思うのですが、まあ大臣は九十度くらいに考えておられるのかどうかわかりませんけれども、その問題はあとでまたただして参りたいと思います。この所得倍増計画で十六兆一千三百億の公共投資計画があるわけであります。この内容を調べて参りますと、これはやはり道路であり、港湾あるいは農林水産、さらに住宅環境衛生、厚生福祉、治山治水、災害復旧その他と書いてあります。そこで、その他の中には、文教関係が、総額その他で五兆二千八百億円のうち一兆一千億円は、これは文教関係施設整備費に使うことになっておりますから、残りが四兆一千八百億円ということになると思うのであります。その中で、やはり都市建設費というものが、この内容その他の中に当然入っていなければならない。もちろん過大都市解消関係のものも含めて、われわれが承るところでは、五千億あるいは七千億というものがこの原資として資金が見込まれているのだというふうにかねがね聞いているのでありますが、そういうような都市建設費というものが所得倍増計画の中でどの程度見込まれているのか。そうするならば、当然新産業都市建設の資金的なめどというものがこの所得倍増計画の中から生まれてこなければならないはずであります。従いまして、幾らの金が要るかということは、この法律が通ったあとでなければわからないというようなことではなくて、十カ年間の日本所得倍増計画を池田内閣で作られたのでありますから、当然それに対しては公共投資の中においてこの程度のものを見込んでいるのだという一応の見込みの数字というものがなければならない、この点はいかがでございますか。
  22. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お尋ねのように、いわゆる、新産業都市建設促進のためには、相当大きな行政投資の必要があることは当然だと考えております。今お尋ねの、この所得倍増計画におきまする十六兆一千三百億、その中において、いわゆる大規模工業地帯の育成のための産業立地の調整費といたしまして、例項目に五千億計上されております。その他の欄の中に含まれておるのではありません。これは所得倍増計画説明にもありますように、大規模工業地帯の育成あるいは新都市造成のためのいろいろな検討、そういう各事業にまたがります産業立地調整資金というふうに考えられております。
  23. 村山喜一

    村山委員 そういたしますと、所得倍増計画の中では、別項目になっている産業立地調整費五千億というものが、これは新産業都市建設のすべてに使い得る金ではないといたしましても、まあその金が一応の目安として考えられる、こういうことに考えてよろしいわけですね。
  24. 曾田忠

    ○曾田政府委員 行政投資で一応考えておりますものは、道路、港湾、住宅といろいろございますが、当然すでに与えられておりますワクの中からも相当部分は新産業都市建設促進に充てられるというふうに考えておりますが、なお将来のいろいろ計画具体化等に伴いまして、相当の調整費を確保しておく必要がある、そういうための産業立地調整費というように考えておるわけでありまして、この産業立地調整費の五千億円だけで新産業都市建設促進するというのではないのであります。相当の部分はこの道路、港湾等の既存のワク内でまかなわれるのではないかというふうに考えております。
  25. 村山喜一

    村山委員 もちろん所得倍増計画の中で道路、港湾の行政投資の金額として示されておりますものから新産業都市へ流れてくるものはあるでありましょう。しかし、新しい都市を作っていくための主体的な予算の見積もりというものは、この産業立地調整費というものに求めなければならない。こういうふうに考えて参りますと、道路は四大工業地域間を結ぶ大幹線道路に重点を注ぐのだという建設省の考え方であります。だから、新産業都市地域内におけるところの道路建設というものはどの程度になるのか、そこら辺はまだ今後の道路整備五カ年計画の中で詳細に検討されなければならない点であろうと思うのであります。建設省の地域開発の方向を見てみますと、既成四大都市地域、これは再開発によって都市近代化をはかる、周辺都市開発をやる、既成四大都市地域間を結ぶ大幹線交通網の整備をやる、それから中間地域、低開発地域、こういうような三つに分けておりますが、先ほどの建設省の説明は、四大都市地域間を結ぶ大幹線交通網の整備というものに前期五カ年計画の中では重点を置いてやるというような話がございました。もちろん、それは所得倍増計画の前期の公共投資の割合を見てみますればそういうようなことになっておりますし、建設省が打ち出しました前期五カ年間の整備計画の大綱を見ましても、やはりそういうようなことが言えると思うのでありますが、一本建設省の方としては、新産業都市が幾つできるかわかりませんけれども、これらのものに建設省所管関係でどの程度の見積もりを立てておいでになるか、そういうようなものがあるのかないのか、あるとすれば幾らになるのか、その点はいかがでありますか。
  26. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、建設省といたしましては、今いろいろ御指摘がありましたが、国土計画を主管いたしておりますので、全国のいわゆる重要都市につきましての整備のために必要な調査をいたしておるわけでございます。その一端が広域都市計画調査ということで、ただいまお話に出ましたのも、そのことに関連してのお尋ねかと思っております。この広域都市調査は三十六年度から実施いたしておりまして、地方広域都市とそれからもう一つは既成のいわゆる四大工業地域の中の部分について、二つに分れるわけでございますが、今回のお尋ねの点に限局して申し上げますと、いわゆる広域都市の、地方地域内の土地に根づいた施設のマスター・プランを目下作成中でございます。従いまして、その結果から、今ここでお尋ねのような数字を申し上げる段階にまだなっておりませんが、既定の五カ年計画なりあるいは既定の倍増計画等において実施すべきものと、それから新たに土地利用の計画が、相当広範にわたりまして整備しければならない地域内の道路なり、あるいは地域相互間を結ぶ幹線等の新規の問題もございますので、この問題については目下調査を進めておる段階でございます。従いまして、ある程度、現在の計画の中に含まれていない部分について相当な部分が出ることが予想されますので、ただいま前段にお尋ねのありましたような方向で、その達成の方向について検討をいたさなければならなぬというふうに考えております。
  27. 村山喜一

    村山委員 そこで建設省の考えております広域都市建設、これが経済企画庁が考えております新産業都市と一致していくのであるならば問題はないわけですが、実はきのう岡山県の方から陳情がありました。岡山県の南広域都市計画の基本構想、この中身を拝見いたしてみますと、建設省が指導しておられるわけであります。これは岡山県の水島地区のいわゆる太平洋ベルト地帯におけるところの新しい広域都市を作り上げていこう、こういうような構想であります。  そこで、これは後ほどお尋ねをいたしてみたいと思いますが、いわゆる新しい、広い地方における基幹都市といいますか、土地を作っていくのだという構想をお持ちになって、調査費も盛っておられる。その方向と、経済企画庁が考えております各拠点がブロックの拠点になるような新しい新産業都市、これと一致していくのであるならば問題はないわけですが、聞いておりますと、建設省は建設省、経済企画庁経済企画庁通産省通産省という方向で、どうも馬が走り出してしまったのを藤山さんがたづなを引き締めて、ようやくこの法案を出した。法案は出したけれども、新産業都市というものの性格がどうもはっきりいたしませんので、やはり勝手に六頭だての馬でありますか、これが走り出していくのだというような姿が私どもの頭の中に残って、建設省は建設省、自治省自治省通産省通産省で進められていくということになりますと、国土総合開発の中におけるところの総合的な、一元的な行政指導というものがなされないのではないか、こういうようなことを考えるのですが、その点建設省はいかがでございますか。
  28. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいま企画庁におきましては、全国計画を策定中でございまして、前段にいろいろお話がございましたように、全国計画構想を受けましたいわゆる都市配置方針というものがその中にも出てくるわけでございます。従って、その都市性格づけの中で、今回は、ここで取り上げられております法律案につきましては、新産業都市という産業を中心とした拠点都市を作ろうという部面の関係のものでございます。従って、全体といたしまして、全国計画構想によりまする法律目的にも掲げておりまする都市配置規模という問題がやはり今回の全国総合開発計画から出て参りますので、その観点におきましては、建設省も、企画庁の方針に従いまして、目下その都市問題について調査を進めておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  29. 村山喜一

    村山委員 それは承っておきます。  そこで、私は具体的な問題を一つ出して参りたいと思いますが、通産省工業立地調査によりましても明らかになっておりますように、三十七年の二月に出されました「わが国工業立地の現状」という本がございますが、その中の二十一ページに、「鉄鋼、石油、化学等の重化学工業がコンビナートを形成し大型の立地条件の備わる立地を求める傾向」があって、それはほとんど太平洋ベルト地帯に集中をしている、こういうような表現がございます。  そこで、この目標年次におけるところの、全国総合開発計画草案の中にございますが、生産の伸び率を四・三%に押えた場合に、昭和三十三年を基準にいたしまして、昭和四十五年の伸び率を打ち出しているのが表として示されております。その中で、近畿臨海地区、これは昭和三十三年においては二二・一%の工業の構成比を持っている。これを将来は一六%にしていくのだということが打ち出されておりますが、その伸び率は、全国平均四・三%に対しまして、三・〇ということになっておる。ところが、このコンビナートの問題でありますが、御承知のように、大阪の場合、堺の臨海工業地域の造成事業、これは四百六十七万坪、三百七十五億五千万円、四十一年に完成して坪二万円で売り渡す。この堺の臨海工業地域は、もうそこに移ってくる工場がどんどんきまっている。これはどんどん進出する状況でありますので、すでに申し込みは飽和状態に達しておる。そういうようなことで、大阪の企業局では新しく泉州沿岸臨海工業地帯二百六十七億円の事業計画をもって、三井グループですが、これに進出をしてくる予定になっている。あるいは大阪市の場合には南港の臨海工業地域、これはアラビア石油の百二万坪、十五社の重化学工業関係に百十二万坪、こういうものを譲渡する予定で百五十五億の事業計画で埋め立てをやっている。この方は予算の四分の一を土地造成に使って、すでに国会で満場一致で承認されました西ドイツの借款で事業をやっている。こういうのが工業立地の趨勢といいますか、状況ではないかと思う。そういたしますと、新しくできましたそういう企業地に対して公共投資をやらないわけには参らない。こういうことになって参りますと、過大都市解消という問題がそこにおいて大きく取り上げられていって、いやがおうでも、そういうような地域に新しい工場ができていくとすれば、この経済企画庁が打ち出しております遠心的産業構造論に基づいたブロック経済中核体を形成していくという考え方からいきますと、大阪や東京の周辺に新しいベルト地帯が生まれていき、それに対して公共投資がなされていくということは、今日まで日本産業がたどって参りました求心的な産業構造をさらに深めていくという方向に発展をしていくものとして受け取った場合に矛盾するのではないか。そういう点をどういうふうにして抑制をし、調整をはかっていこうとお考えになっているか。一体、予算もなければ権限もない経済企画庁がそれをはたして御し得るであろうか。藤山さんの政治力をもってすればやっていかれるかもしれませんが、その事業費も持たない。そうして、権限も持たない。これは新産業都市建設をやるというアドバルーンは上げたけれども、はたして法律実効性というものが期待できるだろうかという点を考えますと、現実の太平洋ベルト地帯におけるコンビナートの形成というものは、全国総合開発計画に基づく拠点総合開発計画方式とは相反する方向にあるのではないか。こういうようなとらえ方をして差しつかえないのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  30. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいままでの現状から申せば、いわゆる総合開発計画、あるいは今御審議を願っておりますような新産業都市建設というようなものが具現化してきておりませんので、勢い太平洋工業ベルト地帯等現状における便宜な場所に工場が移動し、あるいは誘致されるというようなことになりがちであったのが現在までの実情だと思います。しかし、そういうことをそのまま放置しておけば、いわゆる過大都市が東京、大阪あるいは中京以外にも続出してくるわけで、そういうことでは相ならぬということが今世論にもなってきておりますし、また、経済開発の真の目的にも合ってこないということになっております。従って、各省それぞれ地方開発の問題をとらえて検討をいたし始めたわけでございます。そういうものを総合いたしまして、そうして、新たに産業方面開発としてこの法律案ができたわけでございます。従って、そういうことを背景にして、むろん各方面が考えて参って、そうして過大都市の防止ばかりでなく、将来過大都市化しようとするところも防止していって、新しい地域開発にも貢献していく、こういうことに相なるわけでありますから、この点については、政府各省とも同じような考え方であることは申すまでもないのであります。単に経済企画庁長官の政治力とかなんとかという問題でなしに、国民全体の要望に沿って、そこに政府施策が行くことだと思っております。
  31. 村山喜一

    村山委員 私は、藤山長官のそのお気持はよくわかるわけですが、各省がとらえております地域開発の方向性というものをよく検討をしてみますと、どうもそういうふうに政府内部が完全に一致して、そしてやろうじゃないかということになっていないように受け取れるのです。たとえば、通産省はこういうような考え方を立地政策としては持っております。「わが国工業立地の現状」、昭和三十六年のその本の中の九十九ページに、資本の蓄積が少ない、生産コストの上昇を押えて、今後の産業というものは、いわゆる輸出産業でなければならない、これはよくわかります。そこで、外国のように、雇用対策であるとか社会政策的、国防的なものへ持っていく余裕というものは日本にはないんだ、だから、徹底したところの産業政策でなければならない、そういうようなことで、基本的なかまえというものがあるわけですが、さらに百二ページを見てみますと、工業適正配置構想のところには、企業の消費地立地傾向、既成工業地帯及び周辺工業の集中する形勢から見て、必ずしも工業地方分散に疑問がないわけではない、こういうようなとらえ方を通産省としてはいたしておる。そして、今後のいわゆる工業適正配置構想というものはどうするのかということになって参りすると、工業の過度集中の防止、工業集積の限界の算定をやって、今日行き詰まった過大都市の状態を解消するといいますか、そしてその次に工業地方分散は企業の合理性に背反しない範囲内で、第一に重化学工業大コンビナート地帯、これを地方開発中核地帯と呼ぶ、次に適地工業集積地帯、これが地方開発地帯であります。次に衛星工業地帯、これは衛星開発地帯と呼んで、四大工業地帯周辺に置くのだ、この三種類をいわゆる産業の後進地に適正配置をするんだというかまえであります。そうなって参りますと、今日、太平洋ベルト地帯に十八のコンビナートの形成が予定をされておる中で、完成に近いのが三つ、決定をされたのが七つ、残りはまだいろいろな問題が残っているようであります。そういうようないわゆる重化学工業大コンビナート地帯といえば、当然太平洋ベルト地帯に中心がある、それをもって地方開発中核地帯と呼ぶんだという構想であります。これに対して経済企画庁の方は、ブロック中核工業地帯というものを作っていくんだ、数個の経済圏に分けて、そのおのおのに、自立的発展が可能なように、経済構造と規模を持たせる、中核となるべき工業地帯を育成をして、これを拠点として中小規模工業地帯を形成し、連鎖反応的に発展をさせる、拠点間及びその周辺に輸送施設を設け、経済的、時間的な距離の短縮をはかる、こういうような考え方であります。そうなりますと、通産省は太平洋ベルト地帯が中心だ、ところが経済企画庁は太平洋ベルト地帯にない、たとえば北海道、東北、こういうようなところも、そこには中心を設定してやっていくのだ、こういうことになりますと、私は、この新産業都市法案の中に出されております経済企画庁の主張と、かねがね通産省工業適正配置構想というもののもとに工場配置の指導をしておられる、こういうような産業政策とは矛盾点が出てきているのではないかと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  32. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 各省がそれぞれその省の目的を達成するために十分な御検討をなすっておられることは、これは当然でもございますし、またそうなければならぬと私は思います。が同時に、それを総合して今日の時代に適応するような方向に調整いたしていくということも、これまた必要なことでございまして、従って、それぞれの省の御意見等も十分承りながら、それらのものを総合調整していくということが企画庁の建前でなければならぬと思います。でありますから、産業立地の問題につきましても、今日の時代において通産省がある程度今までの経過から見れば太平洋ベルト地帯に相当な重点が置かれるということを考えられることも、むろん通産省のお立場としては当然であるとわれわれ信じております。しかし、それらのものを国土総合開発計画とどういうふうに調節していくかという、そこに残された問題があるわけでございます。御承知通り、立地条件と申しましても、今後の経済発展の状況から申しまして、また科学技術の進歩という点から申しまして、必ずしも従来のような観点だけにとらわれる必要はないんじゃないか。御承知通り、港湾というものは、過去においては河川港であるとかあるいは天然自然の港湾というもの以外には考えられなかったわけでございますけれども、今日では、たとえば苫小牧において人工的な港をあの砂丘を掘さくして作っていく、新潟においても同じような計画が行なわれておるのでございまして、こうした科学技術の進歩が新しい港湾の形成というものに対して一つの示唆を与えておるわけでございます。また最近御承知通り、大きな船が入らなければならぬ、石油のタンカーにいたしましても、あるいは鉄鋼専用船というようなものを作れば、非常に大きなトン数、タンカーのごときは十万トン以上のようなタンカーが入ってくるということになって参りますと、既設の港湾、過去の観点における港湾だけが必ずしも有効に利用されるとも考えられないわけでありまして、御承知のように、アラビヤ石油が一応計画して取りやめになりましたけれども、沼津湾のあの水深を利用して十万トン以上の船を入れよう、しかし、あそこには工業のいわゆる適地としての平野がない、しかし、あの静浦湾からトンネルをくりぬいて神奈川沿岸に持ってくれば、あそこに工場適地がある。ところがトンネルを掘さくする技術というものは近ごろはそんなにむずかしい技術ではなく、また経費からいいましても大した大きな問題ではなくなってくると、そういう面から新しい工業立地というものは当然考えられなければならぬし、また考えていくべきだと思います。ですから、そういう総合的な国土開発と今日の科学技術の進歩ということを考えて参りますと、従来不適地であったところという概念が、新しい技術によって適地化し得ることも必ずしも考えられないわけではないのでございまして、そういう面もあわせ考えて、企画庁としては、各省庁の御主張またその所管事業が円滑に発展するような方向を取り入れながら、総合的に問題の解決をはかっていく、そして国土の総合的な開発を策定していくのが企画庁の任務ではないかと思うのでございまして、いろいろの御意見があることむろんでございますが、そういう点についてわれわれは努力をして参りたい、こういうふうに考えております。
  33. 村山喜一

    村山委員 今、長官がお話しになったように、コンビナート型の装置工業といいますか、こういうようなものに対しましては、一千万平方メートルの埋立地、あるいは五百万から一千万平方メートルの後背地、一日五十万トンの工業用水、水深が十二ないし十六メートルの港湾、こういうようなものが必要になってくると思うのでありますが、今いろいろと十八のコンビナート地区が太平洋ベルト地帯に設けられていく。その中で川崎、四日市、岩国などはほほ完成に近づいている。ところが決定を見たのは七つだ、こういうようなことを聞くのでありますが、このコンビナート作りというものは、もちろん企業の要請が一番大きなものであろうと思う、それを受けて立つ地方公共団体、こういうようなものが一つの新しい産業都市を作っていく。こういうことになって参りますと、新産業都市というものは一体どういうふうに考えればいいのかということが問題になってくると思うのであります。二月の十六日に、政務次官の菅太郎さんは、社会党の久保田氏の発言に対して、こう答えておられます。「将来においては数十の産業都市建設が見込まれる」とか、コンビナート中心の新産業都市、こういう言葉も使っておいでになるわけです。これはやはり通産省の考え方が経済企画庁の政務次官をしておられる菅太郎さんの考え方の中に入っている。それに対して長官は、曾田政府委員と同様に、ブロックに一つで、何十とできていくのだということでないことだけは、十分なる御理解を願いたいと思います、そういうようにそのあとで岡本さんの質問に対してお答えになっている。そういたしますと、同じ経済企画庁の大臣と政務次官が、片一方においては、太平洋ベルト地域のコンビナート方式産業都市を考え、片一方においては大臣はそういうような産業の遠心的構造論に基づく一つの新しい構想としてのブロック中心の産業都市をお考えになるということでは、一体全体これはどういうような格好になって収拾がつくのだろうかと、私は速記録を見ながら考えているのでありますが、この点はいかがでございますか、どういうようにその後調整されましたか。
  34. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 政務次官と私と調整するまでもなく、別に意見が違っておらぬのでございますから、調整をする必要はないと思っております。私ども考えておりますのは、むろん太平洋ベルト地帯においてコンビナート形式のある程度工業都市建設されるということは、今日までの現状から見てもその通りでございまして、それを妨げるものでもございませんし、あるいはそれを将来の新産業都市一つとして指定していくことも、これからの発達の場合に必要だと思います。しかし、同時に、必ずしもそれにとらわれることはないのでございまして、やはり総合開発計画拠点構想としての都市形成というものをつけ加えて参らなければならぬのでございまして、その意味においては、お話しの太平洋工業地帯、いわゆるベルト地帯の中におけるコンビナート形式の都市がすでに都市として十分な力を持っておりますれば、必ずしもそれを新産業都市として指定して整備をしなくともいいものもあるわけでございます。そういう意味からいえば、新しく土地造成をし、あるいは新しい産業都市としての条件を勘案しながら、地方開発拠点としてそれぞれ分散していくことも必要なのでございまして、その両方をあわせ考えながら取り行なっていくということでございまして、特に政務次官と私と食い違っている考え方でも何でもないわけでございます。
  35. 村山喜一

    村山委員 その答弁では私は納得できません。これは私だけが納得できないのじゃなくて、みんなが納得できない。というのは、国土総合開発計画に基づいて地域格差をなくしていく、こういうような雄大な構想に基づいて、ブロック中心の拠点開発方式というものがとられるわけです。その国土総合開発計画国土総合開発法に基づいて作られていくのは、当然そういうような後進地域産業開発重点を置くのだということが、私は経済企画庁の長官としての立場であり、そういうような意味から発言をされた答弁が正しいと思う。だけれども、政務次官の答弁は、新産業都市という名前が悪ければ、産業都市という言葉も、というふうに受け取れるような解釈でございますけれども、いわゆる太平洋ベルト地帯に新しい工場地帯ができていくというのは、そういうような産業の自然の傾向である、これをある程度抑制をしながら、日本国土総合開発をはかっていかなければならないということで、あの開発計画草案の中に出たように、三%にそういうような伸び率を押えて、ほかの地域の伸び率をもっとふやしていくのだというのが、私は開発計画ほんとうの眼目でなければならないと思うのです。そういうような考え方からするならば、太平洋ベルト地帯におけるところの新しいコンビナート方式工場がどんどんできていくというのは、全国総合開発計画の方向と相反する方向にあるのではないかと私は思うのですが、その点はいかがでございますか。
  36. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 もちろん国土総合開発計画をいたします場合に、地方のブロックを中心にして問題を考えていくことは当然です。ただ地方のブロックというものが、過去の府県を単位にしたブロックとだけは考えないで、経済圏的な考え方を持つべきだと私は思っておりますけれども、そういう意味において、国土総合開発計画あるいは地域格差是正というような観点から参りますれば、むろんそういう点を考慮していくわけであるのでありまして、基本的にはその点が私どもの考え方であって、政務次官もその点に別に異存があるわけでもございませんし、異説を唱えておるわけでもないのであります。ただ、そういうことを考えても、それでは太平洋ベルト地帯の中に一つもそういうものが指定されないかといえば、指定し得るような地域があるということ、これまた事実でございまして、そういう面から申して、あるいは言葉が足りなくて、そういう点を強調した点があろうかと思いますけれども、そういうふうに私どもとしては解釈いたしております。
  37. 村山喜一

    村山委員 もちろんそういうようなコンビナートの形成によって、新しく新産業都市として指定をされる都市もあるでありましょう。そういうようなのが部分的に入ることは私は問題ではないと思う。ただ、そういうようなものがあたかも中心であるかのように言われるのは、法案の趣旨と違うのではないか。それで少なくとも九ないし十一ですか、あるいは七つともいいますが、そういうような経済圏というものを設定をして、その中において中核になる新産業都市を作っていくのだということになりますと、当然そこには公共投資の割合も重点的に行なわなければ、そういうものは生まれてこないと思う。そうなって参りますと、今日まで果たして参りました公共投資の役割というものから考えて参りますと、過大都市解消とか、あるいはそれに伴う太平洋ベルト地帯建設であるとか、こういうようなものに重点が注がれて、その企業のしりぬぐいを政府あるいは地方公共団体がして回って、ようやく社会資本を充実していく、こういうような方式が今後においても幾十となく産業都市を作るのだという構想につながりますと、それがやはり今後において残っていくのじゃないか、こういうように考えますので、私は誤解を与えるような表現のところは政務次官の方から答弁を願いまして、訂正をしておいていただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  38. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私と政務次官との意見が違っているわけではございませんから、適当な機会に政務次官の発言について申し上げる機会があろうかと思います。お話しのように、国土総合開発計画というものをやって参りまして、すべての経済的な、地方のブロックを中心にいたしました新しい経済圏拠点を作っていくというのが総合開発計画のねらいでございますし、また新産業都市がその拠点地区となるということは、これはもう動かせない一つの大きな事実でございます。従って、それを幾つ指定するかということは、今日いまだ申し上げかねるけれども、そのような方針のもとに指定して参りますと同時に、それの育成と申しますか、それに伴います道路その他の問題については、十分既設の道路関係その他との利用あるいは連絡等を十分に考慮に入れまして、問題の解決をはかって参りたいと存じております。
  39. 村山喜一

    村山委員 これは三月の二十六日の東京新聞ですが、「七経済圏に百万都市全国総合開発計画来月中旬に答申」、こういうような一つ予想記事が出ている。その中身を見ますと、大体当を得たようなものが予想として構想が示されておるわけです。北海道の場合は拠点は札幌、東北は仙台、関東は東京、東海は名古屋、近畿は大阪、中国は広島、この広島には四国も含まれております。九州は福岡、こういうような記事が出ている。これはいわゆる過大都市解消といいますか、そういうようなものと新産業都市のそのブロックの中核帯の新しい都市形成、こういうようなものと太平洋ベルト地帯のそのコンビナート方式による新しい産業都市、こういうようなものとチャンポンに突き合わせたような拠点がこの地域の名前として出ておるのではないかと私は思うのです。東京であるとか、大阪であるとか、こういうようなところは新産業都市としては、新たにその過大都市解消をはかるのは別の法律に譲ることとして、積極的にそういうような過大都市解消をはかるというのではないのだから、新しいところに新しい土地を作っていくのだという構想だからということになるならば、東京、大阪、福岡、こういうようなのは四大工業地域の中心になるわけですので、当然該当をしない、こういうように考えて差しつかえないのですか。
  40. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この新産業都市指定されます都市というものは、東京でありますとか、大阪、福岡であるとか、そういうものを考えてはおりません。
  41. 村山喜一

    村山委員 次に、地方行財政との問題についてお尋ねをいたします。法案の十九条によりまして、地方債について特別な配慮をする。資金の確保については二十条で配慮をする。二十一条では企業に対する税法上の優遇措置が講ぜられようといたしております。この特別の配慮をするというのはどういうような程度のものをされるわけですか。一応これは制限規定というふうに承っておいて差しつかえないのでありますか。この資金の確保ということになりますと、これはどういうような程度までお考えになっているのか、そのめどを一応お考えになった上で法案というものが出されているのかということをまず第一点として承っておきたいと思います。
  42. 大上司

    ○大上政府委員 ただいまの件につきましては、具体的な案または件数等につきましては事務当局から説明いたさせますが、要点といたしましては、たとえば不動産の取得であるとか、あるいはこれによる固定資産とかいうような税種別のものをあげまして、いろいろな面でわれわれとしてはその線にのっとっていきたい、このように考えております。従いまして、なおさらに細部的な問題についてはそれぞれの所管関係事務当局より説明させます。
  43. 松島五郎

    松島説明員 第十九条に規定しております地方債についての配慮の問題でございますが、地方債につきましては、御承知通り地方財政法の規定がございまして、それぞれ地方債を起こし得る事業、起こし得る場合が規定されているわけでございます。しかし、御承知通り地方債のワクには国全体の資金の関係上おのずから制限がございます。そこで、その具体的な配分をどういうようにしていくかという問題が限られたものの中でやらなければならないわけでございます。その場合において、この新産業都市建設して参ります場合は、地方の団体が必要といたします経費に充てます地方債については優先的に考慮を払う、こういう考え方でございます。
  44. 村山喜一

    村山委員 地域開発の成功をはかるためには、地域住民の協力なくしては私は不可能であろうと思う。そういうような面において地方公共団体が積極的に工場誘致条例等を設置をいたしましてやっているのが現状であります。ところが、中には非常に行き過ぎが出てきて、福島県の勿来市ですか、これは財政規模としては三億円ぐらいしかないのに、一工場二億円の減税措置をやって、それを二工場誘致したために四億円、一年間の財政規模を上回るところの減税措置をやっておる。そのために市の財政が行き詰まってしまって、再建団体としての指定を受けておる。こういうようなことで、いろんなことを私は知っている。過去において、市町村固定資産税だけでなくて、電気ガス税まで減免をすると言って、条例違反に問われて、いろいろ問題を起こした例も知っているのでありますが、そういうような地方公共団体の行き過ぎといいますか、それに対しましてどういうような考え方を国としてしなければならないか、私はこれは重要な問題であろうと思います。特に自治省は企業誘致等の問題について地方債について特別の配慮をする。地方債ですから、やがては返さなければならない。もちろんそういうような土地がりっぱに造成をされて、企業が進出をしてきて、それに適正な値段で売って収支がとんとんになりまして、地方自治団体が負担をしないでよろしい、こういうことになればよろしいでしょうけれども、ただ地方公共団体工場誘致条例等によって、都道府県がしばらくの期間不動産取得税あるいは事業税等を減税をし、あるいは免税をするというようなことをやりまして誘致をします。誘致をしますが、それに伴って、企業誘致をすることによって当然社会資本の投下をはからなければならぬ、こういうようなものか二律背反的な性格として生まれて参ることは事実であります。そうなって参りますと、工場誘致条例によって——今全国で誘致条例がない府県はたしか八府県だけだと思います。残りは全部工場誘致条例を作って企業の優遇措置を講じている。こういうふうになって参りますと、今でさえもそういうような状態にあるのに、今回いわゆる地方税法の第六条の措置について、この法案の中において改正をしていこうとすることによって、さらにまたそういうような企業に対する地方公共団体の奉仕というものが促進をされていく方向になるのではないか、この点を非常に危惧するものでございますが、それに対する自治省の指導はどういうふうになされようとしておられるのか。これは今日までの工場誘致条例の制定あるいは地方財政の現状を考えないで企業に対する優遇措置をやって、みずからは再建団体にまでなってしまったような例が幾多あるわけです。こういうようなものに対して、今日までどのような適正な指導をしておいでになったのかを承っておきたいと思います。   〔早稻田商工委員長退席、中村(幸)商工委員長代理着席〕
  45. 松島五郎

    松島説明員 過去については、工場誘致に関連をいたしまして、御指摘のような事例が絶無であったとは申せないわけでございますけれども、私どもといたしましては、この問題について極端なものにつきましては、関係地方公共団体並びに相手方であります会社との間に入りまして、条件の改定等をお願いしたりした事例もございます。また従来までの私ども一般的な指導方針といたしましては、税金を減免いたしましても、従来の交付税法の建前から申しますと、その分は交付税の算定上何ら考慮されないことになっております。従いまして、地方交付税を計算いたします場合には、実際には減免していって税収入が入らないけれども、入ったものとみなして交付税の計算をいたすことになっておりますので、それだけのいわば歳入欠陥を生ずるわけでございます。御承知通り交付税の収入計算をいたします場合は、三割を留保いたしまして七割を基準財政収入額に算定をいたします。そこで七割相当額は取っても取らなくても、とにもかくにもその団体の交付税の減となって現われるわけでございますので、従来の指導といたしましては、減免をする場合にも交付税の計算上差しつかえはない範囲内において、すなわち三割の範囲内において減免をするようにという指導を一面においてはいたしております。また一面においては、税を直接減免するという形でございますと、条例を制定いたしますと自動的に減免になるというような形になり、その額がどれだけになっているかということが市町村議会等の審議を通じて問題にされる機会が少なくなってくるということにもかんがみまして、同じようなことをするならば、むしろ当該工場等に関係のある公共的な施設整備する支出をするという形でもって処理をする方が、その額が幾らであるかというようなことが予算に計上され、それが市町村議会の審議を通じていろいろと批判をされ得るということが、おのずから行き過ぎをチェックすることにもなるであろうというような考え方から、なるべくそういうような方法をとるように指導いたしてきておるわけでございます。過去のことはそういうふうにやってきておりますけれども、残念ながら御指摘のような事例もあったわけでありまして、今後の問題といたしましては、この法律にも規定してございますように、税目が限定をされ、そしてその条件が規定をされて参りますならば、おのずからこれが一つの基準となって行き過ぎが起きないであろうという、あるいはどの程度まで減免すべきかというような一つのめどが立てられるわけでございまして、そういう意味から従来の単にこのようにせよというような指導から、むしろ限界のはっきりした形になってくるのではないか、またそういう形に指導をして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  46. 村山喜一

    村山委員 私は今日の地方自治体というのは、高度成長の旗振をするだけの力を持っていないと思います。そのひずみを直すのに狂奔しているといういますか、精一ぱいであろうと思います。不交付団体であるところの大阪あたりにおいては四分の一の財政資金を使いまして、土地造成をやる。そういうような余裕のあるところにおいてでさえも、やはり地方住民の福祉行政というものに対してはそれだけしわ寄せがされる、こういうようなことが結果的には私はいやおうなしに出てこざるを得ないと思います。そのときにあたって、ここに自治省一つのめどを与えるのだ、こういうことになって、それから規制の指導をやっていくのだという考え方も出しておられますが、大体地方交付税の金というのは、これは財源は地方自治団体のものでなければならないのであって、その中から基準財政需要額の計算をする場合において、それだけは政令で定めるところによって規制をされるわけでございますけれども、その収入はなかったものとして、支出をした分については国の方で財政的な措置を特別に講じてあげましょう、こういうふうなことになって参りますと、地方行政に対する今日までの自治省行政指導の方向というものと、この法案に現われました方向というものは明らかに食い違いが出てくるのじゃないか、こういうふうにも受け取っておるわけでございますが、そうでなくてこれは一つのめどを与えるものである、だからこれは理論的にも正しいのだという説明があるのであるならば、それをもう一回お尋ねいたしておきたいと思うのであります。この、地方にそういうような新しい企業が誘致されるということは、それに伴って事業税その他固定資産税等が府県やあるいは市町村のものに将来税源として還付されるのである。しかし今の誘致条例等によってやって参りますと、十年、二十年、社会資本の投下まで入れて計算をいたしますと、二十年くらいたたなければ目的を取り出せないというのが地方自治団体の姿ではないか、こういうふうに、地方自治団体の責任においてその地域開発をはかっていくというのは、今日まではそういうような措置がとられたけれども、これから先はやはり国が責任を持ってそういうような新しい立地政策というものを立てていくべきではないか。このことは通産省工場立地政策の中でも、地方立地のためには外国のように国の助成が必要である、こういうことをいっております。あるいは地方に分散する企業に対する直接的助成の道を考慮する段階に来ている、通産省はこういうふうにいっておるわけであります。これに対して法案として出されましたものは、国の方はただ資金のあっせんをするだけで、あとは地方公共団体の財源で適当に措置をする。そうして、起債でめんどうは見てあげますが、あとはお返ししなさい、こういうような形でやられた日には、一体国の産業立地政策はいずこにありやということを言わなければならないような法律案と考えるのですが、通産省が考えておりますようなところまでなぜこの法律案はいかなかったか。  また、社会党提案者お尋ねをいたしますが、社会党の考え方は、当然そういうような高度成長政策のにない手は国でなければならないので、国の立地政策というものの上に立って、地方公共団体はそれを補完をするといいますか、可能な限りにおいてやらなければならない。まず第一に地方住氏の福祉というものを重点に考えていかなければならないという考え方に基づいていると思うのでございますが、その国と地方公共団体との財源関係、特にこの立地政策におけるところの財源の問題についての政策というものはどうなければならないかを、基本的な問題としてお尋ねをしておきたいと思う。
  47. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知通りに、この法律は、新産業都市を作ります基本的な条件をきめた法律でございまして、産業、それに伴います具体的な施策については、各省庁のそれぞれの——道路にいたしましても、あるいは住宅にいたしましても、あるいは工場誘致の問題にいたしましても、それぞれの限りにおきまして仕事を強力にやっていただく関係になっておるわけでございます。でありますから、今お話しのような点をこまごまとこういう法律の中に入れますことは、法律性格上から申しても不可能だと思います。基本的な条件の整備だけが一応法律には盛られておるわけであります。でありますから、たとえば、工場の集団移動というような問題について、別個の考え方から、その集団移動される方々に対する助成をどうするかというような問題については、その限りにおいて、通産省として将来そういう問題が起こりましたときに考えられましょうし、あるいはそれに伴います、たとえば労務者の住宅等の問題については、建設省あるいは労働省等におきまして、それぞれこれらの基本的な計画の上に立っての施策を処理していかれるわけであります。今出しておる法律は、基本的な条件の整備だけにとどめてあるわけでございます。
  48. 阪上安太郎

    ○阪上議員 わが党案の産業雇用適正配置によりますと、主として大拠点におけるところの基幹産業を中心とした開発計画、この部分につきましては、全額国費でもってやるべきだという考え方に立っております。その他の中小拠点につきましては、これまた地方開発公団を作りまして、地方自治体の投資によってやる、こういう考え方に立っております。  そこで、問題になりますのは、先ほどもお話がございましたように、政府原案によりますると、二十一条等で、地方自治体が工場等を誘致いたしました場合に、条例を作りまして、税の減免をやります。この場合に、地方交付税でもって減収補てんをやるという形をとっております。これは先に通りましたところの低開発地域工業開発促進においても同様な措置がとられております。私どもは、これに対しまして、そういうやり方は不当である、こういうふうに考えております。先ほどもお説がございました通りであります。従って、この交付税で見るというものの考え方は、一つは、地方交付税はかりに増額されたといたしましても、これは地方自治体の一般財源である、こういう観点に立っております。従って、国の責任で当然やるべきものを地方の財源でもってやるということは、地方に対して大きなしわ寄せになる、こういう考え方をとっているわけであります。  いま一つ地方交付税性格から言いましても、地方自治体の調整財源である関係をもってこのような建設資金に充てていくという考え方自体、地方交付税そのものを否定してしまっているではないか。こういう観点に立っておりますので、そういう措置はとらない、こういう立場でやっているわけでございます。
  49. 村山喜一

    村山委員 自治省の方は、今お話がありましたように、交付税地方自治団体の自主財源、一般財源である、そうして、調整財源として府県の不均等な行政効果が生まれないように、行政の均一化を期するためにそういう制度があるのだということでありますが、その中で、特に都道府県の場合には不動産取得税、市町村の場合には固定資産税というふうに限ってやることによって、国の限界線というものはこういうようなところに置いたのだから、地方自治団体で工場誘致条例を作る場合には、その範囲内においてやるようにする、行政指導のめどをここに置くのだという話をさっき松島さんはいたしたわけでありますが、そういうようなふうに今後工場誘致条例を改正させるような指導をされるつもりがあるかどうか、その点を大上さんにお尋ねいたしておきたいと思うのであります。というのは、低開発地域ほど、工場に来てもらって、そこに工業生産を起こすことによって、地方住民の生活を向上させ、あるいは地方公共団体の財源を豊富にしていく、こういうようなことで、後進地域工場誘致条例を作って、なけなしの金をはたいて工場に来てもらうという気持はよくわかります。私の県などは東京の三分の一しか県民所得がないのでありますから、そういうようなところが条例を作って来てもらいたいということを考えるのは、考え方の問題としてはうなずけるわけであります。全国のうち八府県しか残さないで、残りは全部工場誘致条例を作って、企業としてはどこに行ってもいい、と言っても過言でないように至れり尽くせり、こういうようなことになって参りますと、もう今日においてはそういう府県あるいは市町村工場誘致条例というものは必要ないのではないか、私はこういうように考えるわけです。これを廃止せしめていくような方向において国が責任を持って道を開くとするならば——その行政指導はそこらまで立ち至らなければならないと思うのでありますが、そこら辺自治省としてはどういうふうに指導をおやりになるか、この際承っておきたいと思います。
  50. 大上司

    ○大上政府委員 ただいまの御質問につきまして、提出して御審議願っております法案の全体的な体系からは、今、経企長官がおっしゃった通りでございまして、いろいろ具体的な問題を盛り込むことは法案性格等から見て至難だ。従って、具体的には各省庁がいろいろな事業等をなし、これを協議の上さらに推進するという問題にかかっております。そうすれば、具体的に出て参りましたような問題で私の方の所管にかかる、すなわち、自治省の方の立場で、本法案の十七条ですか十八条ですか、並びに十九条等々にも織り込んでおりますが、これについて、お説の通り、各地方公共団体の条例等によっていろいろな問題が起きているのではないか、につきましては、ただいま松島課長が御説明した通りですが、さてそこで、ではわれわれの方としてどの程度にそういうふうにいたしていくかという問題ですが、もちろんこの法案の通過の暁に、われわれ自治省がこれの先達を申し上げるというか、あるいはただいまの御質問の中にございました通産省の考え、これを先行してわれわれがやるというような方向で、運営は非常に至難かとも思います。ということは、地方公共団体はいわゆる財源なりあるいはその行き方というのがおのずから規制せられておるのでございます。従いまして、この問題では、第十九条、第二十一条に言われておる不動産収得税あるいは固定資産税等減免とか、あるいは地方債において特別な配慮をする、こういうふうなことに考えております。かといって、いわゆる地方債も無限大にわれわれが配慮するわけにもいかぬ。これもおのずから規制がございます。こういう立場で、われわれは、地方公共団体のいわゆる財政的な健全な行き方というものをにらみ合わせてやっていくべきである、このように考え、またこのような行政指導をいたしております。なおさらにこれに付属いたしまして、ただいま御質問の中にございましたいわゆる工場誘致による非課税の問題も、確かに行き過ぎのところがございます。従いまして、一例を申し上げますと、三十五年度においては約十五億円あまりございましたが、もちろんこれは総体的に見て、これまたお説がございましたように、いわゆる不交付団体と交付団体とがございますが、そのうち特に交付団体というようなものでは、たしか四、五億円のものがあったように思います。そういう建前から、われわれとしては、いわゆる地方公共団体が負うべき当然の、この法案を推進するについての限度というものをよくわきまえて、そしてこれを逸脱しないような行政指導をしていきたい、このように考えております。
  51. 村山喜一

    村山委員 第十一条に基本計画内容が例示してございます。そこで私はこれを見ましてどうもはっきりわからないのでありますが、こういうようないわゆる新産業都市建設をしていく場合においては、全体の事業計画というものの構想が、その新しい産業都市性格を規定づけるわけでありますし、造成地に入りますところの企業の具体的な生産計画というものを把握しないでおるということは、この基本計画からはずされていることになっているようでありますが、この基本計画の中でそういう造成地に入るところの企業の具体的生産計画を把握させるために、雇用計画なりあいは設備計画、生産計画、こういうようなものをはっきりととらえて、そして日本全体の産業構造の上から、生産過剰の問題に当面をしない、そういうようないわゆる指導性といいますか、こういうようなものを把握することが必要であろうし、その新産業都市地域内におけるところの中小企業の整理というような問題に結びつかないような意味においてコントロールできるような一つの生産計画等は当然把握をする必要があるのではないか、そういうような点をこの基本計画の中に当然打ち出しておかなければならないのではないかと思うのでありますが、この基本計画の中にはそういうものがないようであります。この点は一体どうしてそういうようなものが省かれたのか、これは入っているとするならば、どこに入っているか、その点を明らかしておいていただきたいと思うわけです。
  52. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知通り、今回の新産業都市を作って参ります場合に、先ほどお話がございましたように、単に石油化学系統のコンビナートを作るというだけではないのでありまして、その都市工業開発の目標が一つ立てられるわけでございます。従って、これに基づきまして、その新産業都市のある程度性格がきまって参る。その性格の上に立ちませんと、今お話しのようなどういう種類の産業の生産力がどうなるか、あるいはそれに伴います雇用の状況がどうなるかということはきまって参りません。従って、指定して参ります場合の基本的な条件としては、その土地における工業開発の目標をまず定め、そうしてそういうものが定まって参りますと、今お話しのような具体的内容を伴います計画がそれに付随してできてくるということでございまして、当然将来これだけの都市を作ります場合における労働力の問題、あるいはそれに伴います住宅の問題等を考えますと、非常に労働力を要する産業都市となるのか、あるいは非常に労働力を必要としない石油化学のようなものになるのかといったようなことによって、今お話しのような点が変わって参りますので、そこいらの点は目標をきめ、その都市指定した後の問題になろうかと思います。
  53. 村山喜一

    村山委員 先ほど私は、資金の問題であるとか、あるいは地方債についての問題であるとかいうようなことに関連をいたしまして、国の助成策、いわゆる企業に対する税法上の優遇策を地方公共団体だけにまかしておるのではなくて、当然国としてそういうようなものを考えていかなければならないのじゃないかということを申し上げたときに、大臣は、この法案は基本的なものを打ち出しておるのであって、そういうような工場集団化等に伴う集団移動等に対しては、別個にその進行の状態にかんがみて措置をしていくのだというようなことをお話しになったようであります。しかし、これはこの法案性格から見た場合に、そういうような考え方があるならば、当然そのようなものを宣言的な規定としてでもこの法案の中に初めから打ち出しておくべきじゃないか、こういうふうに考えるわけです。そうでなければ、一体、新産業都市建設促進法といいながら、国はみずからの責任をはっきりしないでおいて、ただ計画調整、資金のあっせん、その程度にとどめて、あとの金は地方公共団体にまかしていくというのでは、積極的な都市作りというものは生まれてこないのじゃないかという考え方を持っておりますので、その点は意見として申し上げておきたいと思います。  そこで、アメリカのニュー・ディール政策の中で今日まで地域開発の問題と取り組んで参りましたリリエンソールの教訓というのをちょっと読んでみたのですが、この中で、アメリカのあの政治形態の中で総合開発を進めていく場合において、一番問題に取り上げられているのは、民衆の協力をいかにして得るかという点が第一の問題である。そしてその次に、ほしいままの考え方というものを持っている私的企業の反対をいかにして押えて、強力な統一的行政機関を必要とするか、この二つがなければ効果的な地域開発、そういうような総合開発は進まないということを、アメリカの経験から言っているようであります。私たちがこの法案を見まして、共産党の諸君は、この新産業都市建設促進法というのは独占資本に奉仕する政策であり、アメリカの一つの帝国主義政策に奉仕するものであるという割り切り方をいたしますが、われわれ社会党としては、とにかくこういうような産業政策というものが必要である。必要であるけれども、それにはやはりそこに住む人間の問題が第一に考えられなければならぬ。産業振興の前に、人間の生活という問題を考えなければいけないんじゃないか。その点から、この問題の最低の必要条件というものは、何といっても産業公害の防止である。公害をいかにして防止するかという積極的な施策というものが第一に確立をされなければ、新産業都市というものは生まれないのじゃないか。そしてまた地域住民の生命の安全を保障するものでなければならない。そして三番目に最低生活の水準の維持向上に役立つ地域開発でなければならぬ。私たちの最低の要求として、その問題が解決されないような都市作りの法案であるならば、これは問題があろうかと思う。  そこで、そういうようないわゆる地域住民の声というものをこの新産業都市建設促進法案の中でどのようにとらえていかれるかを見てみますると、地方のいわゆる学識経験のある者のうち、都道府県知事の任命をする者のみがこの地域開発の問題に取り組んでいくような、参加していくような形の中でこの問題が処理されようとしているわけでありますが、そういうようないわゆる地域住民の声をいろんな階層別に反映さしていくために、そしてその地域の住民に積極的に協力をさしていくための方策というものをこの法案の中でどこでお考えになっているか、この点を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  54. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話しのように、こうした都市がりっぱに成長して参りますためには、地域住民の方々の協力がなければできないわけでございます。従って、これを指定する場合におきましても、地方長官及び県の方面の御意向が重要に関係してくると思いますし、それらの問題等につきましては、審議会等を作りまして、学識経験者の御意見も聞いた上で協力していくということにいたしておるわけであります。御説のような関係については十分留意をいたしたつもりでございます。特に同じ府県内におきましても、ある意味から言えば、若干指定地域等について違った意見が道府県内にもあり得ると考えられます。そこらが一体になりましてやっていただかなければ、あるいは府県を越えてもそうでありますが、同一府県内においてもある場合にはそういうことが起こり得ると思います。従って、そういうことで協力関係が得られなければならぬのでございます。そういう意味から最大の注意をして参りたいと思います。学識経験者とこういう点についてはよくいわれますが、その他の表現を用いますことは困難なことでございます。学識経験者は単に学者ということだけでなく、地方の各界各層の住民の方々の代表を意味するわけでございまして、その点については地方長官が善処せられることは当然のことだと私は思っております。
  55. 村山喜一

    村山委員 あまり時間が長くなり過ぎましたので最後にお尋ねして私はやめたいと思いますが、この新産業都市建設促進法案を見てみまして、私が考えますことは、この法案では大拠点開発方式というものはなるほどこれによって満たされるでありましょう。しかしながらそれと別個の形の中で、また太平洋ベルト地帯のそういうコンビナート方式都市もどんどん建設されていく。そしてまた片一方においては、建設省が言うように地方の広域都市というようなものが作られていくでありましょう。こういうふうになって参りますと、全体の総合的な調整というものをやっていく場合においては、そういうブロックの中において一大拠点を作って、その経済の自立的な運営ができるような方向を考えていくのが正しい方向であると思いますが、それと同時に、中拠点なり小拠点という国土総合開発法との関係におけるものも、この中においてとらえていくことが必要ではないかという気持を持つわけであります。それと同時に、過大都市の集中排除の問題であるとかいうようなことについては、別の法律に規定するということでありますけれども、新産業都市との関連におけるものも当然出てこなければならない。さらに資金計画の問題も都市建設の調整費五千億円というものが所得倍増計画の中には一応出て参りましたけれども、どれだけをどういうふうにしていくのだという詳細な固まったものはまだないようであります。そういうようないわゆる資金計画の全体計画の中における新産業都市建設の位置づけというものを明確にする必要があるのではないか。さらにまたこの建設にあたりまして、国の責任性というものを、最も明確にしていく基本法であるならば、一つの宣言法とも言えるわけでありますので、そういうものがこの法案の中には入れられてしかるべきではないか、またさらに都市整備の問題については、一応基本計画の中でいろいろ下水溝の問題であるとか、住宅の問題であるとかいうふうなものは打ち出してありますが、ややともすれば、地方住民の福祉よりも資本の優先というものが先走っていくような方向において、今日その実体論からいいまして、そういうようなものが出ている。そうなった場合においてそれを行政的にどういうふうに解決していくかということがまた大きな問題であろうと思うのであります。  さらにまた先ほど申し上げましたようにも実施機構の問題でありますが、地方公共団体が実施の中心になっていくというような格好でありますけれども、これを指導されるところの、いわゆる中央の関係官庁と申せば、やはり六頭立ての馬が走っているような格好になっていくのではないか。そういうようないわゆる総花的な中央におけるところの統制、それと地域主義とが結び合い、結合いたしまして、開発が進められて参りますと、資金の非効率化の問題が出て参りますし、一部の独占物になってしまうおそれがあるのではないか、こういうようなものも全体的な国土総合開発計画と一体的なものであるとするならば、やはり次元を高めて国土総合開発法の中においてこの問題の方向づけを打ち出しているわけでありますから、それらとの関係をもっと明確にしながら、この法案内容について再検討をする必要があるのではないかと私は考えるわけであります。それに対して御意見がございましたらお聞かせを願いたい。
  56. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この法案を策定いたしました経過から申しましても、今日の日本の時代におきまして総合的な国土開発計画の一環としての必要性をもってこれらの都市建設を考えたわけでございまして、従ってその基本的な、先ほど来申しておりますような条件等を整備するということに法案自体は主体を置いているわけであります。従って、新しい都市建設すると申しますれば、単に工場を誘致するばかりでなく、住民の生活環境を整備し、そうして先ほどもお話がございましたような公害等の防止というようなものも考えて参らなければなりませんが それらのものは必ずしも新産業都市だけに起こる問題ではなくて、全国都市に共通する問題でございますから、おのずからそういう他の法体系においてそういうものが整備されてこなければならぬのでございまして、これにすべてを書き込みますことは、いたずらに混乱を起こし、あるいはその運用において適当でないと思います。従って、そういう意味においてこの法案を策定いたしたのでございますが、しかし、これだけの大きな仕事をして参ることでございますから、実際この法律が施行されまして実行して参ります上においてはいろいろ新しい支障も出て参りましょうし、あるいは訂正をしなければならぬ場合も出て参ろうと思います。これらのものは十分この目的が達成できますように今後の運営に際して考慮し、あるいはつけ加えていくものはつけ加えていく、あるいは削除すべきものは削除するということを考えていかなければならぬことは当然でございまして、そうしてりっぱな国作りの道を開いていくという考え方で私ども進めておるわけでございます。
  57. 村山喜一

    村山委員 私は後進県の鹿児島から出てきておりますが、この新産業都市建設促進法案が通ることによって、なるほどそのブロック経済中核はこれによってさらによくなるであろう。そしてまた片一方においては、所得倍増政策の一環として打ち出されました太平洋ベルト地帯における新しいコンビナート方式工場開発、こういうようなものも進んで参る。ところが、そういうような中進地域と申しますか。先進地域ではなくて、中進地域は、これから日の目を見るであろう、合理的な発展がこれによって約束されるであろうということはある程度言えると思うのでありますが、しかしながら後進地域はこれによっては救われない。まだもっと国土総合開発計画の中において——先ほど低開発地域工業開発促進法が生まれましたけれども、まだまだ遅々として歩みがおそいわけです。そういうような点から、地方財政計画の中においてさえも十分に見られていない、予算もついていない、これからの問題だということになっておる。こういうような状況から言いますれば、この新産業都市建設法案が通る前に、その最も骨組みとなるべき全国総合開発計画がわれわれの前に示されて、後進地域もこういうふうによくなるのだ、こういうふうに国としては考えるのだということが提示されてしかるべきではなかったかと思って、その点につきましては、今後積極的に取り組んでいただくことを希望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  58. 中村幸八

    ○中村(幸)委員長代理 次は宇野宗佑君。
  59. 宇野宗佑

    ○宇野委員 きょうは主として社会党提案者に御質問をいたしたいと思います。この委員会が始まりましてから相当長時間にわたりまして、すでに質疑が尽くされておりますが、ただ単に政府の新産業都市法案に対しましての質問でしたのですが、私はまず阪上先生を中心として野党の方がこういうふうな法律案をお出しになったことに対しましては、その御努力に対しては敬意を表するものであります。そこでまずお尋ねをいたしておきたいと思いますが、政府案と比較いたしますに、およそ性格も違うでございましょう。また雇用適正配置というふうな文言もここに付せられておりますので、その趣旨も違うと私は思います。しかし、大拠点、中拠点、小拠点にお分けになっておるのですが、大体この大中小の拠点人口規模並びにその拠点を作っていくについての事業費並びにそれらの拠点内におけるところの産業、——政府案の方では重化学工業を中心とするのだというふうな話ですが、またその重工業を中心とした工場の用地には五百万坪というものを想定しておるというのですが、たとえばそういう工場用地に対しては大中小拠点はどのような規模を想定なさっておるのか、その点についてまずお聞かせ願いたい。
  60. 阪上安太郎

    ○阪上議員 大拠点におきましては、設置すべき工業としては主として基幹産業的なものを考えております。場所といたしましてもほぼ臨海工業地帯を考えております。人口規模でございますけれども、これにつきましてはわれわれこの法案作成の段階でいろいろと論議をいたしたわけなのであります。しかし、あながちここで人口段階で規模をきめることは適当じゃないという考え方を持ったわけなのであります。ことに政府原案のように百万都市というようなものの考え方が背景にあるということでありますと、これはおのずから開発地域を考えていかなければならぬ、たとえば青森県におきまして百四十万の人口であれば、かりに百万都市拠点として開発していくということになりますと、これは論が成り立たない。従って、そういう人口段階ではっきりきめてしまうことはどうかという考え方を持っております。しかしながら、大拠点につきましてはおおむね四、五十万というものが考えられるのじゃないかというふうに考えております。  それから中拠点につきましては、大体において府県で二、三カ所というものの考え方に立っております。それは大拠点の背後の地域を考えております。しかも政府原案のような合併を前提としたものの考え方に立っていない。従って、地域その他におきましても、いわゆる都市圏というものの考え方に立っております。中拠点におきましては主として軽工業を持っていきたいという考え方でございます。軽工業になりますと、どこへでも持っていける可能性がありますので、そういう考え方に立っておる。人口段階でもやはり二十万程度に将来伸びていくものを考えております。先刻申し上げましたように、人口段階ですべてを区切ってしまうという考え方には立っていない。  それから小拠点につきましては、第一次産業に付随いたしますところの地場産業、そういったものを持っていきたい。農村でございますのでいろいろ考え方がございますけれども、やはり一番経済成長率の高いのは工業だと思います。しかもそれが農業に密接するようなあるいは漁業に密接するようなものを持っていくということが一番適当じゃなかろうか、こういう考え方で、人口段階別に考えまして、四、五万のようなものを考えておるということなのであります。  それから所要資金であります。これは先刻からもだいぶ問題になっておったようでありますけれども、われわれといたしましても、正直に申し上げまして、十二分に作業するところの機関を持っておりません。そこで、私どもが取り上げましたこの法案の形態は拠点開発方式でありますが、主としてこれは経済企画庁が立てましたところの所得倍増計画の立案の際における工場立地小委員会——先ほども話が出ておりましたこれの資金計画というようなものを大体頭に置いております。従って、十六兆三千億円程度のものを十年間にぶつけていく、そして設備投資と公共投資の比率をやはりあれと同じように二対一くらいに見ている。そういたしますと年間どのくらいぶつけていくかというと、設備投資では一兆一千億円程度のものじゃなかろうか、公共投資では大体五千五百億程度のものであろう、こういうように見ておるわけなのであります。政府案によりますと、そのほかに五千億というものを新産業都市にぶつけていく考えであります。われわれは全体的なものを考えております。そして公共事業が大体毎年四千三百億から四百億程度のものだと思いますので、新たに継ぎ足す分としては大体毎年一千億くらいのものを公共投資にぶつけていく、そしてこの法案にありますように、産業設備公団政府出資で五百億、地方開発公団関係で二百億、それから国、地方を通じますところの公共事業費の増として約三百億くらいを毎年つけていく。先刻申し上げましたように交付税方式によるような方式をとらずに、こういったものでカバーしていく。これは非常に大ざっぱでありますけれども、大体その辺のところを法案としては考えております。
  61. 宇野宗佑

    ○宇野委員 私はこの法案を見て、大拠点、中拠点、小拠点、三つの相関性を感じたのですが、今の御説明を承っておりますと、あるいは別々の地域に大拠点があって、また別の地域に完全に分離された中拠点がある、こういうようにも受け取れますし、今の御説明では大体そういうふうな御説明に承りました。しかし、考えようによりましては、遠心的に、大拠点があって、その中に中拠点があって、小拠点があるのだ、こういう考え方もあろうかと思いますが、大体その構想はどうなんですか、相関性は……。
  62. 阪上安太郎

    ○阪上議員 やはり後者の方の御質問にありましたような考え方で、別々にあるという場合もあります。ということは、大拠点を設置できない場所がある。従って、その大拠点というのは、理屈から言えば非常に広い範囲内で数府県にまたがっているという考え方に立つ場合に、やはり大拠点というものがあって、その背後に中拠点があり、小拠点がある。しかしそれは同一の県内にあるというものの考え方ではないのであります。
  63. 宇野宗佑

    ○宇野委員 そういうふうに考えて参りますと、私はそこに一つ考えていただきたい点があるのです。というのは、大拠点指定に関しましては、内閣総理大臣がする。政府がこの地力に必要なんだということによって一方的に指定することができる。中拠点は名都道府県知事申請に基づいて指定する。今のように大拠点の中に中拠点がある、小拠点があるという御構想からするならば、当然中拠点の中にも、二府県にまたがって、政府としてはぜひとも大拠点の育成も中拠点の育成もしなければならない。中拠点の育成という地盤があって大拠点ができるのだ。こう考えて参りますと、やはり都道府県知事申請なき場所においてもこれは中拠点として必要であるという場所があると思うのです。その点に関してこの法文の中には何らの規定もないわけです。政府案におきましては、藤山さんにその点をお尋ねいたしましたが、第二条において一応知事申請することになっていますが、第四条においては、そういう申請なき場合においても行政大臣の協議によりこれを指定するというふうに書かれております。この場合、つまり二つの都道府県にまたがる場合、こういう場合も当然想定されておりますが、これは法案上どういうように考慮されておりますか。
  64. 阪上安太郎

    ○阪上議員 その点われわれの考え方が十分に盛られてないといううらみがございます。しかし、われわれの構想といたしましては、数府県の中にまたがる場合、大体考え方として地域的に考えた場合には、水系を中心にしてものを考えておったわけです。従って、今御指摘のありましたような点についても当然配慮がなされていなければならなかったと私は思いますが、この考え方といたしまして、数府県にまたがる場合は、その数府県の知事の共同の申請に基づく、こういうものの考え方をとっておるわけであります。くどいようでありますが、滋賀県その他におきまして、琵琶湖開発その他をめぐりまして数府県間の争いがある。ああいったものも、こういった法律によって、こういった新産業地域開発によって、まず土地利用から先に進めていって水資源等の調整をやる、そういう役割もこの法律で果たしていく。しかし、なるほど条文上御指摘のように不備な点がある、こう考えております。
  65. 宇野宗佑

    ○宇野委員 これはその開発の大拠点、中拠点、小拠点について、それぞれ指定を受ける要件というものが書かれておりまするが、もちろん大でございまするから、たとえば今水系というものを中心として考える。もちろん工業用水というものが非常に重要視されるでございましょうが、それのためには、大には多量の工業用水、中だから相当量の工業用水、小の場合にはこれは全然書いておらぬ。小の拠点につきまして私はお尋ねいたしておきたいのですが、先ほどの御説明によりますと、第一次産業というものを工業化していこう、あるいは農村に工場を進出せしめようという御趣旨のもとに作られた条文であるということは納得できるわけでございまするが、これを一つここにおいて「加工業開発に適する立地条件」、加工業というふうに限定されたゆえんはどこにあるのだろうか、こういうふうに考えるのであります。
  66. 阪上安太郎

    ○阪上議員 この小拠点というものは、中拠点等に比べまして農山漁村といったものを考えております。そこで、こういった地区にも、現在あります弱電工業のようなものを持っていくことは可能であろうと思いますけれども、しかしながら、いろいろな農村開発という観点に立ちますので、あまり大きな近代工業というものをいきなり連れてきてバランスのとれない状態に置きたくないという考え方と、それからやはり農村そのものを育てていこうという考え方に立ちますので、特にいわゆる近代的な工業というものを頭に置かずに、地場産業を大体中心にして考えていくという考え方になっております。
  67. 宇野宗佑

    ○宇野委員 その点私どもは多少不満を感ずるわけです。ものの考え方としてはそういうふうになるかもしれませんが、ただ単に第一次産業地帯のこれからの開発というものは加工産業だけではない。大きな問題でありまするけれども、現に今日は欧州共同体、EECを中心として国際分業は非常に盛んになっておる。だから日本も将来そういう面において国際分業という一つの仲間に入らなければならぬ、その場合に日本一つの問題は、農村の人口が過剰である、だからそれをどこへ持っていくかということも必要でしょうけれども、それがためには農村に一つの機械化工業を与えよう、農機具を作らしてもいいではないかというような問題であるわけです。そうなって参りますと、やはりこの法案自体が一つ産業の育成であり、あるいは地域格差是正であるということから考えますと、これは社会党さんにしてはあまりにも狭量な条文ではないか。もう少し大きくお書きになっておった力がいいのではないか。加工業だけに限定されたのでは少しく狭量ではなかったか、私はこういうふうに感ずるわけであります。  そこで次にお尋ねいたしたいことは、先ほどの御説明にもありました通り、これは雇用適正配置に関する法律として政府案には見られないところの雇用適正配置——おそらく阪上先生も英国におけるところのローカル・エンプロイメント・アクトというものを中心にいろいろとお考えになったのだろうと思いますけれども雇用適正配置に関する法律といたしましては、この条文を一読さしていただきますと、非常に抽象的な文句が多い。大拠点あるいは中拠点に関しましては、政府雇用適正配置のために考慮をしなくてはならぬという程度のことであります。具体的にどうするのか、どうした方がいいのかということを考えてみますると、第十八条において、「国及び地方公共団体は、」「就業上必要な教育又は職業訓練を行なうための施設整備促進に努めなければならない。」、そのようなことがやや具体的に書かれておりますけれども、その点もう少しくこの法案の名前に適したような条文というものがなかったのだろうかと思うのであります。  そこでこの点に関しまして具体的にお尋ねいたしたいのですが、大拠点と中拠点というものに関しましては、一応雇用適正配置ということに関して、大拠点の場合は第三条、中拠点の場合は第五条でございますか、そこにおいて一応はっきりと、「労働力の需給が均衡を保ち、雇用が安定するように配慮しなければならない。」と、条文自体は抽象的であるけれども、うたわれておる。しかるに小拠点の場合にはうたわれておらないというのは、どういう理屈からでございましょうか。
  68. 阪上安太郎

    ○阪上議員 最初の、社会党としては小拠点開発加工業というものに限られておるということについて非常に狭量ではなかろうかという点でございます。先ほどちょっと説明が不十分だったのでありますが、中拠点の中に農村部門というものが含まれていくわけです。そしてその中拠点開発に乗らないところのものをという考え方で加工業というものを限定しておる、こういうことでありますが、いろいろ御議論はあるでしょう。  それから雇用の再配置適正配置をうたっておるが、こういう御質問でございます。これは三条、十八条に今御指摘のように載っておりますけれども、十一条に政府原案と非常に違っている点があるのであります。それはその二号に、「開発すべき工業の業種及びその規模」、こううたってございます。これは決してただ漫然と何の背景もなくこれをうたったものではないのでございまして、われわれといたしましては、もともと工業の種類、立地さすべき工業指定をやるべきだという考え方を実は持っておったのであります。法制局等と話をいたしましたところが、どうもそれでは憲法違反の疑いが出てくるというような問題もございまして、ここで計画を立案する場合の基本的な問題として「開発すべき工業の業種」ということを特にうたったのは、一つ雇用の安定策からものを考えたわけです。従って、政府案にありますようなコンビナート方式というものは、われわれとしては大拠点以外には考えていない、こういうことでありますが、大拠点には石油のコンビナートであるとかあるいは鉄鋼のコンビナートであるとかいうような一つの系列だけのコンビナートを考えない。そこであらゆる業種をあんばいいたしまして、多角的に配置いたしまして、そして一つの業種ががさっと不況に入ったという場合にも、他の業種によって雇用の安定というものが維持される、こういうことがきわめて必要な措置じゃなかろうか、産炭地の場合を考えても、あるいは大阪の泉州あたりの機織り業の状態をながめてみましても、一つの企業だけを誘致いたしまして、その企業に依存いたしておりますると、その地域雇用というものが安定しない、そういうものの考え方に立って、特にここで工業の業種ということを実はうたったわけでございます。それと、先ほどありました公害防止対策につきましても、この中で何とか調整を加えていく、こういう考え方でございます。  そこでお尋ねの点でございますが、そういうことを一つお考えいただきまして、小拠点においては雇用の安定対策というものはないじゃないか、こういうことでございますが、こういった開発すべき工業の業種として十一条にございますので、やはりこれはそういった意味雇用安定策というものが考えられる、こういうふうにわれわれは解釈しておるわけです。
  69. 宇野宗佑

    ○宇野委員 雇用の話になりましたので、事のついでにお尋ねをいたしておきますが、非常にこの問題は政府の方にも手抜かりがあると私は思うのです。その点指摘されたことはさすがだと思いますけれども、事実上の問題として考慮しなければならぬ、こういうふうに条文にはうたわれますが、しからばこれを出されました提案者としては、おれならこういう方法によってがっちりした労働力適正配置ができるのだという具体的方策があるのかないのか、これは一つぜひとも尋ねておきたいと思うのです。なぜかならば、私の県の例を考えてみましても、ちっぽけな八十六万の滋賀県ですが、最近は御承知通り工場が非常にふえて、県民所得もふえたのですが、そのあべこべに、人口は一昨年の国勢調査によりますと約二万減っております。従いまして、最近私帰りまして、あっちこっち調査に訪れさしていただきますと、極端な場合、小さな村でございますが、社会党が御指摘されておりますように、第一次産業加工業に適するようなところなんでございます。適するようなところでございますけれども、中学卒業生八十六名のうちに、村にとどまる者はわずか三名、あとの八十三名は全部外に出てしまった。こういう形跡が見られるわけです。私は、小拠点もしくは中拠点につきましても同様なことが言えると思いますが、なかなか口では言いやすくして、この青年たちというものは、新しい産業に従事しようという人たちは、今までは郷土に踏みとどまったでしょうけれども、最近は都会の方に執着と言いますか、一つの理想を描いて飛び出していくということが多いわけです。これはどういうわけでとどまらぬのか、あるいはどういう政策、どういう行政指導をもってとどめていくのだということについて考えてみますと、非常にむずかしい問題があるのじゃないかと私は思います。従いまして、一応そういうふうなことを考慮されてこういうものをお出しになったのですから、おれならこういうふうな具体案を考えておるのだという具体案があるのならば、この際私は参考になることだろうと思いますので、一つお聞かせを願いたいと思います。
  70. 阪上安太郎

    ○阪上議員 非常にむずかしい問題で、いきなり何か法律の条文によって他に流れていくところの雇用者を押えていくということは非常に困難だと思います。これはくつの底から足の裏をかくようなことになるかもしれませんが、一つの考え方として、この法律案で、一方において大都市の集中排除ということを考えまして、そして工場立地規制をいたしておるのであります。これは全くくつの底から足の裏をかくようなもので、必ずしも今言ったような趣旨に沿うような政策にはならぬと思いますが、一応そういうことは一つある、こういうことでございます。それからいま一つの考え方として御指摘がございましたように、十八条にございますように、再教育をしていきたいという考え方を持っておりまして、それが現在の職業訓練所というような程度のものでは適当じゃなかろうじゃないかという考え方を持っております。従って、諸外国にございますように、国民職業学校というようなものを義務づけた形において建設していくという考え方を一つ持っております。しかし、これはあくまでも再教育の考え方、こういうことでございます。しかし、どんどん開発されて参ります場合に、そういった施設を持たないでいくということは手落ちだと思いますし、そういう措置を考えております。  いま一つは、雇用審議会の答申が最近出ておりまして、人の何とかで相撲をとるような格好になりますけれども、私どもはやはりまじめにこういった答申案を尊重していきたい。この法律の中でも政策としてそういうもの持つ。従って、労働力地域間の流動性の増進とか、地域的な雇用機会の拡大とか、多少抽象的でありますが、あるいは中高年層の離職者対策の強化、あるいは季節的労働対策、こういった答申案に基づきまして、その具体策として職業紹介の能率化をはかっていきたい。それから職業訓練の充実、先ほど言いましたような義務教育的な国民職業学校まではなかなか持っていけないと思いますけれども、できるだけそれに近いような訓練施設の充実をはかっていく。中高年層の就業に対するところの企業の協力、そのためにまた企業も立地させる、こういうことであります。  それから、いま一つ大事なことは住居の確保でございます。与野さんも御承知のように、諸外国の新都市建設なり、あるいは農村地方開発なり、いろんなものを見て参りましても、職場と住居を分離して考えられているという政策はないのであります。従いまして、われわれといたしましても、いろんな点がございますけれども、住居の確保という問題については、やはりまず思い切った施策をぶつけていかなければいけない、こういうふうに考えております。非常に不十分ですが、大体その程度の考え方であります。
  71. 宇野宗佑

    ○宇野委員 今雇用の問題から住居に関連する問題が出ました。私も当然さようだと思います。また雇用の問題に関しましては、阪上先生の御答弁を承りましても、お互いに考えていることは一致しておるのでございますが、実際それをどういうふうに実施していくかということになりますと、非常にむずかしい問題だろう。だから、条文でお答えになることはけっこうでしょうけれども、実際上の問題としては、それがかなうかかなわないかということは今後の問題で、お互いに研究していきたい問題だろうと思います。  そこで、住民という問題が出ましたので、それに多少関連いたしますが、第二十四条で産業設備公団というものを新設されまして、この公団が大拠点にかかわる開発基本計画を達成するために必要な土地確保をする、工場その他の施設整備あるいは賃貸を行なわしめる、こう書いております。そこで私は、政府案に関しましても同等の質問をしたのでございますが、たとえば政府案におきましては、工場用地を新産業都市として約五百万坪予定しているのだということでございます。大拠点、中拠点いずれも同様ではございましょうけれども開発公社は中拠点以下に同様の仕事をやられるわけですが、その場合に、ただ単に工場用地だけの確保であっては——今、阪上先生が申されました通り工場というものと住宅というものは密接不可分の関係にある、欧米諸国においてはそのような取り扱いをしておる、これは全く同感だと思うのです。しからば、たとえば政府案で五百万坪というものを必要とする場合には、それに付帯するところの住宅用地であるとか、あるいはその工場を中心とするところの第三次産業用地であるとか、あるいはまた付帯道路であるとか、そういった幾つかの布石というものはどうしても必要だろうと思うのであります。そういうものは、ただ産業設備公団は単にここにうたわれているだけのことであって、もちろんそのほか住宅公団もあるし、あるいは道路公団もあるし、そのほかもろもろの公共事業があるからいいというようなものの、やはり相関的に考えた場合には、ここに私は一つの矛盾点というものがあるのじゃなかろうかと思います。それが第一点であります。  第二点は、産業設備公団に関しまして、資本金は幾ばくのものを持つのか。これは別に法律で定めるということになっていますが、全額国が負担すべしということがすでにこれでうたわれておりますから、一体資本金は幾ばくのものを予定されておるのか、この点に関しましても一つ構想を承って、並びにその規模等に関しましても構想を承っておきたいと思います。  時間がございませんから、事のついでに一緒に質問してしまいますから、どうぞ一つ分けて要領よく御答弁を賜わりたいと思いますが、第三点といたしましては、いわゆるこれからの新産業都市なり、こうした大拠点、中拠点において格差をなくそう、それがためには工場建設しなければならぬということになって参りますと、問題はやはり土地の価格で、地価の高騰をいかにして抑圧していくかということが必要なのであります。この間もある雑誌か何かに書いておりましたが、住宅公団の総裁が、ちょっと全国のどこかを視察しようかと思うと、視察しようとするだけでもすでにその土地が上がっておるので困る、うかうかと歩くわけには参りませんと、こういうふうな偽らざる述懐をいたしております。こういうことから考えますと、産業設備公団そのもの自体は、あるいはお作りになるというふうな構想に対しましては、私はあえて反対をするものではございませんけれども、しかし、こういうものができるということになりまして、ここは大拠点、ここは中拠点ということになって、設備公団の総裁がそこら辺をうろうろすると、たちまち地価が上がってしまうというようなことが起こるのではないか。今日の経済は信用インフレの時代がやってきた、こういうふうにいわれております。信用インフレは、設備投資をとめどもなく繰り返して、結局わが国の経済危機を招いておる、こういうふうな悪循環があるということがいわれておるわけであります。従いまして、今私が申し上げました通り一つ産業設備公団と他の公団との関連性、二番目は産業設備公団の資本金を中心としたところの構想、三番目は土地の高騰についての抑圧策を社会党としてもお持ちであるかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  72. 阪上安太郎

    ○阪上議員 最初の設備公団あるいは地方開発公団の中に住居という問題が準備されておるというふうに考えるかどうかということでございますが、これはその他の施設整備ということで一応逃げておるわけでございます。しかしながら、われわれ、基本的な考え方としては、住居と職場と離してはいけない。新しいすべての地域開発計画の中に、それがどこでも、諸外国にもあるのでありまして、この中に住居が入っておる、こういうふうにお考えいただきたいと思います。  それから設備公団の資本金でございますが、先刻ちょっと申し上げましたように、ああいったような小委員会所得倍増計画に基づく素案となったものから逆算してものを考えていっているのであります。その結果、産業設備公団については年間約五百億程度の設備出資が必要であろう、こういうふうに考えております。産業設備公団のやるべき仕事等につきましては別にわれわれ計画しておりますが、この法律の大体目的、十一条等にございますようないろいろな事業をやっていこう、こういう考え方でございます。  それから地方開発公団につきましては、全国でどれくらいの程度のものが設置されるかということでありますが、大体都道府県単位でございますので、四十五、六カ所ということになります。大体地方自治体から出していくところの額については二百億ぐらいのものが考えられる、こういうことでございます。先行投資の関係もありますので、民間からももちろん入ってくるという考え方に立っております。  それから最後のお尋ね土地の値上がりでございますが、これを防止する対策、これはなかなかむずかしいのでありまして、これを抑制する方法というものは当然国全体として考えなければならないと思っております。いろいろな小さな、その場限りの方策というものが考えられないこともございませんけれども、これはやはりもっと大きな観点に立って、単独立法抑制していかなければならないのじゃないかというところまでしか考えておりません。
  73. 宇野宗佑

    ○宇野委員 もちろん公団と同様の性格でございますが、地力に関する公社に関しまして、今のような御答弁が大体当てはまると私は思いますが、この公社の場合には第二十五条においてはっきりとうたわれておりますが、公社が一応こうしたことをやっていく、産業開発を総合的に行なわしめるということになって参りますと、各府県において、たとえば中拠点を一府県に二、三カ所作るのだと仰せになっておる。これは知事が自分の府県の事情を勘案して必要だと思えばこそ申請する、こうなって参りますけれども、多分に公社というものが知事の権限を無視し、あるいはまた侵害するおそれがあるんじゃないかというふうな危惧を抱くのであります。その点に関しましてはどういうふうにお考えでしょうか。
  74. 阪上安太郎

    ○阪上議員 御承知のように最近地方公社、公団というものが非常に乱立しております。観光関係のものもございますが、主として地域開発的な公団というようなものができ上がっておる。ところがこれの経営状態等を見ましても、監査等の関係から見ましても、全くそれが、出資いたしております地方公共団体の住民の意思をそんたくしてこれを運営しておるという形にはなっていないように思うのであります。しかしながら、現実にあるというこの事実も、われわれ見のがすわけにいかなかったわけであります。当然これは規制を加えなければいけないと思います。幸いに今回の地方自治法の一部改正の中には、地方公社、公団等に対するところのある程度の、御承知のような規制が加えられてきておりまして、少なくとも今おっしゃったように、知事なりの意思というものは十二分に取り入れられ、しかも知事が主導権を握っていくというような形に、これはやはりある程度規制を加える必要があるんじゃないか。従って、一応地方自治法の一部改正の公社、公団に対するところの今回のあの規制程度のものを、この際期待いたしておる。しかし、全面的にこれを否定するわけにもいかない、こういう立場に立ってものを考えたわけでございます。
  75. 宇野宗佑

    ○宇野委員 最後に一つ地方税の問題についてお伺いいたしておきたいと思います。  この提案理由の趣旨説明によりますと、地方税減免は行なわない方針であります、こういうことであります。このことは条文上うたわれておりますか、はっきりしておるのですか。
  76. 阪上安太郎

    ○阪上議員 われわれの方では、これは地方税減免は行なわないという方針であります。
  77. 宇野宗佑

    ○宇野委員 条文上にはうたわれていないのですか。
  78. 阪上安太郎

    ○阪上議員 うたわれてないので、従って行なわない方針、こういうことなのであります。
  79. 宇野宗佑

    ○宇野委員 その点に関して、先ほど村山さんがいろいろと御質問せられましたあのお考えに対して、私は全面的に反対するものではございませんが、事実上の問題として、やはり地域格差をなくしよう、中拠点を作ろう、小拠点を作ろうということになってくれば、当然やはり工場誘致という相も変わらぬところのお題目は、各市町村が唱うべきであり、都道府県が唱うべきだと思うのです。その場合には、誘致しようといっておりましても、誘致される工場の側にも立ってみなければならぬ。従いまして、現在ただいまとしては、立地条件として整っておらないところに、その立地条件を十二分に整えさして、環境の整備もさして、そうして優秀な工場を引っぱってこようということになって参りますと、どうしても減免ということは市町村の誘致条例の中にはうたわれるでございましょうし、それが一つの条件ではなかろうか。将来それはいろいろと考えていかなくちゃなりませんが、今日ただいまの問題としては、これは急に何らかの方策によって打ち切られるものじゃない、一応その面も肯定せざるを得ないのではないか、こう思うのです。従いまして、すでに低開発地域工業促進法によりまして、この面においてははっきりとうたわれておるという事実があるのならば現在、この法案が幸いにして通った場合には、低開発は生きておるのですから、低開発法律に載っておるところの幾つかの地方税に関する優遇条例といいますか、優遇条文というものは、当然将来小拠点にも適用されるだろうし、中拠点にも適用されていくだろうと思うのであります。この場合に、この法案のみによって、行なわない方針である——方針であればけっこうでございましょうけれども政府の案としてすでに成立しておる法律があるならば、その法律の改正をすればよろしい、といえばそれでおしまいでございましょうけれども、やはりこの点は無視し得ない問題じゃなかろうか。この法案をお出しになった以上は、関連法案一つの低開発等も、ただ単に審議会の面でお考えになるのじゃなくて、こういう地方税の問題についても一応の考察があってしかるべきじゃないか、私はこう思いますので、その点に関する御感想を承っておきます。
  80. 阪上安太郎

    ○阪上議員 なるほど政府原案の建前からいたしますと、低開発地域工業開発促進法減免が認められておる、それに対して、交付税で補てんができるこの法律と矛盾するような方向であっては、政府原案としてはいけないのじゃないか。私どもは実はあの法律に非常にふがいないものを感じておるわけです。従って、これを出して、私どもの方では、小拠点、中拠点を入れてきたわけです。ああいうふうな方式ではまだまだ——税の減免程度の問題では、とてもじゃないが、中拠点、小拠点に対して、コマーシャル・ベースに乗らないところの企業というものが擬制的に出てくるということにはならぬじゃないかという考え方から、実はわれわれの法律案では、むしろああいった法律解消してという考え方を頭に置いて、全面的に同時に発足すべきだという考え方で出てきておる。衆議院にあの法律を一応出して、内容がどうであろうと、とにもかくにも一応ああいったものを作った。従って、その点で欠けておるのは、大拠点に対するところの新産業都市建設がおくれておるから、それに合わしていこう、こういうふうに考えられておる。そこにわれわれとの間に考え方の違いが出てきたのじゃないかと思うわけであります。最近の工場誘致の状態を見まして、はたして税の減免工場が立地してくるだろうか、私どもも大阪の近辺においてここ数年来工場誘致をやってきた経験を持っておりますが、最近では税の減免程度ではやってこない。ことに利潤の上がっておりますところの企業におきましては、税を減免されたからといって、直ちにそれが会社にとって、工場にとってその分だけ直ちに減っていくという格好にはならずして、あるいは利益に加算されて課税されていくという方向が出て参るわけなのです。われわれとしては、むしろああいうのは本筋ではない。従って、でき得べくんば先ほど自治省の財政課長からも話がありましたように、財政需要額に乗るような事業工場のためにやってやって、そうしてこの問題を解決していくべきではなかろうか、こういう考え方を持っているわけです。
  81. 宇野宗佑

    ○宇野委員 簡単ではございますが、以上をもちまして提案者に対する質問は終わっておきたいと思います。ただ、政府案に関してこの間聞き漏らしておりましたので、もう一度念を入れておきたいと思います。三点ございますが、明確なる御答弁を承っておきたいと思います。  第一点は曾田さんにお伺いしたいのですが、五百万坪という新産業都市工場用地の問題でございますが、この五百万坪というのは一カ所に固まって五百万坪というのか、あるいは連檐的にと申しますか、連檐で五百万坪あればいいのかという問題なのであります。  第二点は、もちろん協議会が発足いたしまして指定された以上は、いろいろとその協議会において運営がなされていくわけでございますが、あの法案にもございました通りに、合併がなされないという前提に立った場合に、それぞれの各市町村におきましては、依然として従来のままの市町村の形態を持っておるわけでありますから、その市町村の内部において、すでに都市計画なんかが実施されておるといった場合に、その都市計画自体は、今後の市町村との関連性というものをどこで指導していくのだろうか、あるいはそれに対する予算措置等はもちろん各市町村単位で計画をし、あるいは実施をしておるわけでございますけれども、新産業都市として合併以前の形のままで進めるとするならば、この都市計画についてどのような構想でやっていかれるかということをお伺いいたしておきたいと思います。  第三点といたしましては、すでに藤山大臣からいろいろと御答弁がござましたので、およそのことは察知いたしておりますけれども、もう一つ念のために申し上げますならば、新産業都市建設しようというのは太平洋ベルト地帯に限らないということも承っておりまするけれども、その太平洋ベルト地帯を無視するわけにも参りません、というようなことで、まだ場所はきめておりませんということですが、一応臨海工業、内陸工業と分けた場合に、内陸工業についてもこの新産業都市というものの設定をされるのかされないのか。  この三点について最後にもう一度当局の御答弁を承っておきたいと思う次第でございます。
  82. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。  この前申し上げましたうちの工場敷地の五百万坪といいますのは、ある仮定を置きまして申し上げた数字でございます。お尋ねは、一カ所にまとまって五百万坪要るのかという御質問でございますが、これもいろいろ地域の条件によって変わっておると思いますけれども、必ずしも一カ所に固まる必要はない、あるいは連檐する場合もありましょうし、特に臨海ということになりますと、ある距離を置いて設定されることがあるかと思います。  それから都市計画の問題は、建設省の方から御答弁いただきます。  それから、第三点の新産業都市の大体の区域の考え方でございますが、これも必ずしも臨海地域に限定されないというふうに考えております。
  83. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 都市計画法の適用でございますが、これは市につきましては、都市計画法の適用がございますが、町村につきましては、単独で都市計画区域として適用しておる場合と、特定地区と合わせまして一つ都市計画区域として適用して計画を実施しておるというやり方と、二つございます。地方の広域にわたりました地域計画を立てる必要性全国各所に現われましたので、広域都市調査として、われわれ今マスター・プランを調製いたしておるわけでございますが、現実の都市計画内容建設大臣が定めますので、現行の都市計画区域は、場所によりましては町村ごとの、いわゆる臨接した広域の地域について、今後広域にわたる都市計画を施行していかなければなりませんので、この点は法律の現行制度の範囲内におきまして、ごく根幹的なものにつきましては矛盾することのないように指導をいたして参りたいと思っております。
  84. 中村幸八

    ○中村(幸)委員長代理 これにて商工委員会地方行政委員会連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後一時三十七分散会