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村山委員 先ほど私は、資金の問題であるとか、あるいは
地方債についての問題であるとかいうようなことに関連をいたしまして、国の助成策、いわゆる企業に対する税法上の優遇策を
地方公共団体だけにまかしておるのではなくて、当然国としてそういうようなものを考えていかなければならないのじゃないかということを申し上げたときに、大臣は、この
法案は基本的なものを打ち出しておるのであって、そういうような
工場集団化等に伴う集団移動等に対しては、別個にその進行の状態にかんがみて
措置をしていくのだというようなことをお話しになったようであります。しかし、これはこの
法案の
性格から見た場合に、そういうような考え方があるならば、当然そのようなものを宣言的な規定としてでもこの
法案の中に初めから打ち出しておくべきじゃないか、こういうふうに考えるわけです。そうでなければ、一体、新
産業都市建設促進法といいながら、国はみずからの責任をはっきりしないでおいて、ただ
計画調整、資金のあっせん、その
程度にとどめて、あとの金は
地方公共団体にまかしていくというのでは、積極的な
都市作りというものは生まれてこないのじゃないかという考え方を持っておりますので、その点は
意見として申し上げておきたいと思います。
そこで、アメリカのニュー・ディール
政策の中で今日まで
地域開発の問題と取り組んで参りましたリリエンソールの教訓というのをちょっと読んでみたのですが、この中で、アメリカのあの政治形態の中で
総合開発を進めていく場合において、一番問題に取り上げられているのは、民衆の協力をいかにして得るかという点が第一の問題である。そしてその次に、ほしいままの考え方というものを持っている私的企業の反対をいかにして押えて、強力な統一的
行政機関を必要とするか、この二つがなければ効果的な
地域開発、そういうような
総合開発は進まないということを、アメリカの経験から言っているようであります。私たちがこの
法案を見まして、共産党の諸君は、この新
産業都市建設促進法というのは独占資本に奉仕する
政策であり、アメリカの
一つの帝国主義
政策に奉仕するものであるという割り切り方をいたしますが、われわれ
社会党としては、とにかくこういうような
産業政策というものが必要である。必要であるけれ
ども、それにはやはりそこに住む人間の問題が第一に考えられなければならぬ。
産業の
振興の前に、人間の生活という問題を考えなければいけないんじゃないか。その点から、この問題の最低の必要条件というものは、何といっても
産業公害の防止である。公害をいかにして防止するかという積極的な
施策というものが第一に確立をされなければ、新
産業都市というものは生まれないのじゃないか。そしてまた
地域住民の生命の安全を保障するものでなければならない。そして三番目に最低生活の水準の維持向上に役立つ
地域開発でなければならぬ。私たちの最低の要求として、その問題が解決されないような
都市作りの
法案であるならば、これは問題があろうかと思う。
そこで、そういうようないわゆる
地域住民の声というものをこの新
産業都市建設促進法案の中でどのようにとらえていかれるかを見てみますると、
地方のいわゆる学識経験のある者のうち、
都道府県知事の任命をする者のみがこの
地域開発の問題に取り組んでいくような、参加していくような形の中でこの問題が処理されようとしているわけでありますが、そういうようないわゆる
地域住民の声をいろんな階層別に反映さしていくために、そしてその
地域の住民に積極的に協力をさしていくための方策というものをこの
法案の中でどこでお考えになっているか、この点を明らかにしていただきたいと思うわけであります。