○井堀委員 軽視しているとは一向言っていないのです。しかし、こういう
法律を作って、それがこういう
法律のしんでなければならぬじゃないかということを聞いておる。だから、
産業というのをどういうふうにお考えになっておるのでしょうか。ただ重視しているということじゃなくて、この
法律はそうしたいということのための
法律であってはならぬ。ただしたいということなら、何も
法律にしなくてもいいですよ。それから、今ただかすかに言ったのは、既存の
住宅政策をになっておる機構や機関をフルに動かすというだけなのです。冗談でしょう。今の公団でも
住宅金融公庫でも、今日の勤労者の
住宅要求に対してははるかに及ばない現状じゃないですか。新しい
産業都市を作って、新しい
企画でしょう。そんなものに問に合うはずがありませんよ。言いのがれもそういうものは通らない。だから、問題は、過度の
人口を、すなわち
産業を分散するということは、
一つには
工場の分散もありましょうけれども、おもな
目的は要するに
人口の配分の問題だと思うのです。その問題をここで規定しない。これが全部抽象論ならいいですよ。
政府の施政
方針を述べるというならいいですけれども、いやしくも
法律にして、しかもさっきから何回も繰り返し言っておりますように、企業のためには格段の便宜をはかりますということをわざわざ書いてあるじゃないですか。あなたに伺いますが、あなたのお
考え方は、企業というものは経営者と
工場設備さえすれば、それで労働者は自然に集まってくる、そして
住宅も何とかなるというお考えですか。そうだとするならば、私がこういう理屈を言うまでもなく御存じだと思う。たとえば西ドイツのような例を引いてみましても、
工場を建てる前に
住宅を建てておるじゃありませんか。しかも、
日本の
住宅公団の問題は別に論ずるとして、今の公団
住宅は、こういうものに対応できる姿じゃないということも言いたいのであります。それから労働者自身が金を借りて
住宅を建てるなんということは、夢を求めるようなものです。何人か例外はあるかもしれません。そういうことがあるなら、ほったらかしておいても、何もあんなすし詰めの列車に押し込まれ、へし込まれして通わなくても、適当な家を建てて、適当な時間で通勤しますよ。これは自然発生的な現象の中では、絶えず大きな圧力を受け、あるいは漸次後退をしているという事実が、要するに、この
法律でも、あなたの
提案理由の
説明にも言っておるように、過度の
都市の
人口集中じゃありませんか。しかも、あなたは各省ということを言っておられましたけれども、各省の中で、だれかも
質問しておられましたが、こういう重要なものは、私は、労働省であるとか、厚生省だとか、あるいは労働者のこういう問題に対して
関係の深い役所が、一番先にこういうものを出してくるだろうと思ったのでありますが、その名前が出てないからどうこう言うのではありません。各省でいいのかもしれません。こういうところにも、この
法案に対する
考え方のずさんさがよく現われていると思う。そうむずかしいことじゃないでしょう。だから、労働者が他の
地域に行くが、その
地域が一番好ましいという状態を作り上げてこそ、この
法律の
目的は達せられるといっても言い過ぎではないと思う。それはここでも言うておる。何にもそんなことを言っていない。そしてあなたはあとからと言うけれども、これはあとではいけません。しかし、大きな障害がある。隘路があるのです。
地方庁が、私はこの通りにぜひ新しい
産業都市を作りたいというので、一番先に大きくはだかって出てくるのは、
住宅の
用地だと思う。安くくればいいけれども、需要供給の
関係でどんどんつり上がっている現状からいいましても、地価のつり上げを起こす作用しかしません。それをチェックするものがどこにもないんです、これは。それとも、この場合は
地方債をどしどし認可され、あるいはこの分の値上がりによる
格差を国庫で
負担するという資金の面で何かあれば、これは少ないとか多いという議論になってくるけれども、全然ないのです。さっきから次官も一生懸命
答弁をされておりますけれども、何もないということを繰り返しておるだけです。そうしたいということだけです。したいということは、これは必然の要求でもある。これはどうなさいますか。今からでもおそくありませんが、ただ重視するというだけでは動きますまい。それとも長官、ここでそういうことにいたしますと言うのには、あなたとしては
住宅公団をもう少し資金をふやして、特別のワクを与えて——今の
住宅公団では、入居制限は御案内の通りで、低
所得者は入れませんよ。それとも
産業労働者の賃金は三万以上の月収が保障されるという高賃金の
産業だけを
中心にしておやりになるなら、
住宅公団でも間に合うかもしれません。
住宅公団は家を建てることに成功したって、入れないような低
所得者をある程度
雇用しなければやっていけぬような現状ですから、この問題の隘路を解決しないでこんなことを言ったって、
国民は納得しないのみでなくて、何かこれはこういうことをして、
地方の
都市の値上がりや、あるいはそういうことによって利権をあさる人々のためにこの
法律ができたんじゃないかという疑いを持たせる以外の何ものでもなくなってくる。画龍点睛というならば、その
一つを欠く。この問題だけでも、われわれはこれを
審議する価値を認めぬくらいです。
社会党に聞けば、そう考えますかどうか、
社会党のやつはうらはらに持ってきたのだけれども、
住宅のことを
一つも触れていない。もっとも、これから警告をすればいい
立場でございましょうから、あとでお伺いをいたしますけれども、問題は、私はそうむずかしいことじゃないと思う。西ドイツでは、ノイエ・ハイマイトという労働団体や
生活協同組合の投資になるものでありますけれども、大がかりな労働者
住宅に成功しております。ああいうものが一方にあって、そういうものが普及されておるときに、この
法案が出てきたというのならばまあまあですけれども、さっきあなたは苦しまぎれに
住宅金融公庫と言ったけれども、あんなものは何の役に立つものですか。何も役に立ちませんよ。立つなら、
一つ説明を伺いましょう。