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1962-04-06 第40回国会 衆議院 商工委員会金属鉱山に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月六日(金曜日)    午後二時五十六分開議  出席小委員   小委員長 中村 幸八君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       齋藤 憲三君    始関 伊平君       多賀谷真稔君    田中 武夫君       松平 忠久君    伊藤卯四郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君  小委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   田代 一正君         大蔵事務官         (主税局総務課         長)      吉國 二郎君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    細見  卓君         通商産業技官         (鉱山局鉱業課         長)      大木  恒君         通商産業技官         (工業技術院地         質調査所鉱床部         長)      高畠  彰君         参  考  人         (古河電気工業         株式会社副社         長)      山崎 善雄君         参  考  人         (日本伸銅協会         専務理事)   和田 忠朝君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月六日  小委員石山權作君三月二十七日委員  辞任につき、その補欠として松平忠  久君が委員長指名で小委員に選任  された。 同日  小委員伊藤卯四郎君三月二十八日委  員辞任につき、その補欠として伊藤  卯四郎君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金属鉱山に関する件      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより金属鉱山に関する小委員会を開会いたします。  金属鉱山に関する件について調査を進めます。  本日は、本件調査のため、参考人として、古河電気工業株式会社副社長の山崎善雄君及び日本伸銅協会専務理事和田忠朝君の両君が御出席になっております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ、当委員会の希望をおいれ下さって御出席をいただき、まことにありがとう存じます。申すまでもなく、来たる十月に貿易の自由化を控え、金属鉱山の受ける影響ははなはだ大なるものがあると考えられ、その需要者におきましても、種々の配慮がなされるべきときと存じます。本日は、金属需要面における業界方々の御意見を承り、しこうして本件調査参考に資したいと存ずる次第であります  何とぞ御忌憚のない御意見をお述べいただくことを希望いたします。ただ時間の関係もございますので、最初御意見をお述べ願う時間は、お一人約十五分程度にお願いいたしたいと存じます。  それでは、まず山崎参考人にお願いいたします。
  3. 山崎善雄

    山崎参考人 山崎でございます。どうぞよろしく。  電線工業は、わが国経済発展とともに、ときに消長はありましたが、おおむね順調な成長を遂げて今日に至っております。しかしながら、わが国の他の産業と同様、電線工業も、多数企業乱立による過当競争なり少量多品種生産に伴うコスト高あるいは原材料国際価格に比して割高なることなど、幾多の困難な問題を包蔵しておるのでございます。本日は、非鉄金属、特に銅、鉛の需要者あるいは消費者としての立場から意見を申し述べるのが趣旨と存じますので、主として電線工業非鉄金属との関連におきまして御説明申し上げまして、その他の諸問題につきましては、御質問等でも承れば、私の承知しておる範囲におきましてお答えすることにいたしたい、さように考えております。  まず、電線工業の現在の概況を少しく申し上げたいと思います。  電線は、電力事業通信事業等関連いたしまして、近代社会の動脈と神経の役目を果たす一方、電気機器、運輸、住宅建築産業等の重要な要素をなしておるほか、あらゆる産業に奉仕をいたしております。  まず生産高でございますが、電線生産高を見ますと、お手元に差し上げております資料の第1をごらん願いますと、これは三十五年の統計でございますが、そのグラフあるいは数字でごらん願いますと、年間約千七百五十億円でありまして、電線と同じように銅の大口消費先であります伸銅工業生産額が約千億円でありますから、これを合算いたしますと、二千七百五十億円の巨額に達するのでございます。これを国際的に見ますと、その次の資料の2でございますが、その下の方に——二つありまして、下の方でございますが、ごらん願いますと、わが国電線生産量アメリカに次ぎ世界第二位となり、英国西独を凌駕しておるのでございます。  次に、非鉄金属消費者としての電線工業は、これは資料の3をごらん願いますと、電気銅の全消費量が、昭和三十六年、まあ数年間書いてありますが、最後の年の三十六年を見ますと、全体の消費量が三十七万五千トンに対しまして約二十六万トン、すなわち七割を消費しておるのでございます。鉛地金につきましては、これはここに資料はございませんが、約四万トンを消費しておりまして、電池工業及び鉛管板工業と並びまして、国内需給総量をほぼ三等分しておりまして、電線はその主位を占めております。  第三は、電線工業従業員数を見まするに、現在約五万一千名でありまして、伸銅工業を合算しますと、約七万二千名に達するのでございます。従業員一人当たり生産量は、一カ月〇・四六トンでありまして、残念ながら英独よりもその生産性は若干下位にあります。  さらに、電線輸出を見まするに、戦前のわが国はその生産量のほぼ二〇%程度輸出しておりまして、イギリス、ドイツと並んで世界三大電線輸出国でありましたが、戦後は情勢が一変しまして、最近数年間を見ますと、その次の資料の第4でございますが、ここに数量とグラフとを示しておりまして、グラフはその比率を出しておりますが、全生産量の三ないし五%程度にすぎないのでございます。  以上、簡単に電線工業現状を申し上げましたが、次に電線工業問題点について、御説明を申し上げたいと存じます。  まず第一に、原材料価格影響でございます。電線工業におきましては、その製品コストは、その次の資料の5にグラフで示しておりますが、これは三十五年度の統計でございますが、製品コストの七〇%が原材料でありまして、銅、鉛だけで見ますと、製品コストの五〇%が銅、鉛で占めている。それだけ原材料価格の高低というのが電線工業にとって最大の問題であることはおわかり願えるかと存じます。  わが国電気銅価格は、その次の資料の6をごらん願いますとおわかり願えます通り、これは昭和三十三年から三十六年一ぱいまで書いております。一番下の細い線がロンドン相場でございまして、その次の点線で書いてありますのはニューヨーク建値であります。その上の太いのはわれわれが輸入した場合の輸入税込み輸入価格であります。一番上にあります細い実線が、日本建値であります。これでごらん願います通り、最近数年間の推移を見ましても、国際価格と遊離し、かつきわめて割高に置かれておるのでございます。たとえば昨年末現在このグラフで一番右の端っこになるわけでありますが、それを見ましても、ロンドン相場を一〇〇%としますと、ニューヨーク相場は一〇七%、わが国電気銅建値は一二六%にも達しておるのであります。この影響は当然電線価格に反映しまして、これがためにわが国電線価格国際価格に比較いたしましてきわめて割高になっておりますここは、その次の資料の7をごらん願いますと——資料の7の表には、一番左の欄に電線の代表的な品種を六つ選んでおります。それからその最後の方に単価がありますが、国産品のわれわれの値段と、それから同じもので外国から入ってきた輸入品値段CIFジャパンでありますが、その国産品輸入品との比率が右の端のAとBであって、この数字の一々は御説明申し上げませんが、この割高の比率をごらん願いますと、品種によって多少の差はありますけれども、大体三割ないし五割も高いのであります。もっとも電線価格の割高の要因は、必ずしも全部が全部電気銅鉛等原材料価格のみに基因しないのではありますけれども、先ほど申し上げました通り原材料原価構成の七割を占めておる、そういった事実から判断し、そして原材料価格が国際的に見て割高であるということがその最大要因である、日本品輸入品に比して高い最大要因であるということは、容易に御推察願えることと存じます。電線価格の割高は、ひいては電気機械通信機器はもとより、自動車であろうが、あるいは造船、産業機械等、あらゆる産業に波及いたしまして、さらに電力事業通信事業等にも直接間接に反映し、その影響はけだしはかるべからざるものがあると存ずるのであります。  次に、問題点の第二としましては、電線工業が直面しております自由化問題について、御説明を申し上げたいと存じます。  他の産業と同様、電線工業におきましても、自由化が当面の重要な問題でありますことは、すでに御高承の通りでありますが、お手元に、資料とは別冊に、昨年の七月三十一日付で日本電線工業会の会長から関係当局に提出しました「電線自由化に関する要望書」というのがございますが、それでごらんの通り電線工業といたしましては、第一ページに要点を書いてありますが、基本要請としまして、まず第一に、電線自由化は必ず主原料である銅地金自由化後に実施されたいということを要望しております。先ほども申し上げました通りわが国電気銅価格は、国際価格に比して割高でありまして、かような国際的に見て不利な原料事情のもとで電線工業のみ自由化実施するにおいては、外国電線わが国市場への流入は必至と考えられ、電線工業は大きな打撃をこうむるばかりでなく、関連業界国際競争力を著しく脆弱ならしめるものと存じます。従いまして、われわれは、電線自由化にあたっては、銅地金自由化が先行されるべきことを要請したのであります。  第二に、輸入地金輸入関税は、わが国競争相手国たる西欧と同様、基本的には無税をお願いしたい。そして地金製品との関税差西欧並みに一〇ないし二〇%を確保するよう要請したのであります。さっきの資料の8をごらん願いますと、西欧各国の、イギリスにしても、西独にしても、フランスにしても、イタリアにしても、フリーフリー無税であることを示しております。私ども銅地金輸入関税につきましては、ただいま申しました通り、基本的には西欧並み無税を希望したのであります。しかしながら、わが国産銅事業現状から見まして、一挙に無税を期待することは実情に沿わないことと存じまして、せめて現行関税一〇%以下、せいぜい五%くらいに引き下げられるよう強く要請したのでございますけれども関係当局より、暫定税率前期二カ年半がトン当たり三万円、後期二カ年がトン当たり二万七千円の御裁定を受けたのであります。輸入関税トン当たり三万円と申しますと、たとえばロンドン相場二百三十四ポンド、大体現在がその程度でありますが、それに対しまして約一三%弱といった高率関税となりまして、少なくとも現行関税率一〇%よりも引き下げを願いたいとしたわれわれの要望から見れば、著しくかけ離れておるのでありますが、われわれといたしましては、電線を素材とする最終製品が逐次自由化され、電線自体自由化もまた必至の情勢下において、じんぜん日を重ねて銅地金自由化がおくれるようなことに相なっては、先ほど申し述べました通りひとり電線工業のみならず、わが国関連業界の損失甚大なることを憂慮いたしまして、銅地金自由化がすべてに優先する最大の関心事たることにかんがみまして、あえてトン当たり三万円並びにトン当たり二万七千円という高率な暫定税率もやむを得ざるものと考えまして、将来暫定期間終了後には関税が見直される、その際には基本税率を基準として、国際水準との格差を漸減せられるよう強く要請したのであります。  かような経緯をたどりまして決定された関税定率法改正案は、去る三月末に国会において可決され、四月一日から施行の運びになっておりますが、電線製品関税につきましては、対外的にはガット交渉を目前に控えて、われわれは一日もすみやかにガット交渉の成功を念願しておるのでございます。  なお、自由化関連して、電線業界としましては、ただいま申しました基本要請のほかに、幾つかの関連要請がございまして、それは、先ほどの電線工業会から出されました要望書の第二ページに、六項目にわたって記載しておりますが、これを申し上げておると時間もかかりますので、省略させていただきまして、御質問でもございましたら、お答えさせていただきたいと存じます。  その次に、電線工業問題点としまして、電線輸出増強について触れたいと存じます。先ほど申し上げました通り電線輸出は、現在全生産量の三%ないし五%にすぎないのであります。これを、わが国とほとんど同じように原材料輸入し、加工輸出しております西欧諸国と比較してみますと、英国西独、ベルギー、オランダはいずれも全生産量の二〇ないし四〇%、フランスといえども七%を輸出いたしておるのであります。輸出重要性につきましては、今さら多言を要しないところでありまして、ことにわが国輸出あり方は、在来の繊維、雑貨類等の軽工業品から漸次機械類中心とした重工業品に指向さるべきものと考えられ、特に低開発国通信網整備計画なり電源開発計画を考えますと、ますます電線輸出増大が期待されるのであります。先ほど申し上げました通り電気銅鉛等主要原材料国内価格は、国際価格に比較してきわめて割高でありますので、国産原材料をもってしては、残念ながら一メートルの電線輸出できないのでありますから、勢いわれわれは輸出品に対する原材料はこれを輸入に仰ぎ、これを保税扱いにして海外市場に進出しておるのであります。もしかりに、われわれが原材料西欧メーカー同一価格、言いかえれば、海外写真相場で入手し得るとすれば、わが国電線輸出は飛躍的に増大いたしまして、現在の輸出量を倍増するくらいは容易ならんかと推察いたしております。しかしながら、われわれとしては、かような窮屈な悪条件下においても輸出増強をはかるべく、従来ともあらゆる施策を検討し、業界自体においてとるべき施策はすみやかに実施に移し、政府要望すべき事項は最高輸出会議を通じまして建議しておるのでございますが、その詳しいことはこれも時間の関係上省略をいたします。  次に、中小企業の問題に触れたいと思います。わが国産業構造におきまして、中小企業の問題が重要なことは申し上げるまでもありません。電線工業におきましても、資料の9をごらん願いたいと思いますが、企業総数四百二十一社でありまして、これはグラフが二つありまして、上が日本の方で、下が英国の方であります。上の方をごらん願いますと、四百二十一企業グラフのまん中に書いてございます。企業総数は四百二十一社でありまして、そのうち九五%以上は中小企業の範疇に入ります。これを、わが国とほぼ同一程度生産を上げております英国に比較いたしますと、企業総数においては、日本の四百二十一社に対し英国は四十二社でございまして、数においては日本英国の十倍でありまして、冒頭に申し上げました通り、明らかに企業乱立に陥っておるのであります。しかも、従業員数千人以上の大企業は、日本の七社に対しまして英国は九社で、大孝ございませんが、従業員五十人未満の中小企業となりますと、これはこのグラフの上の方でごらん願いますとおわかりの通り英国が四社しかないのに対して、日本は三百八社の大きに達しておるのであります。従いまして、その次の資料の10にあります通り、一企業体当たり生産量は、日本英国の十分の一、アメリカの四分の一というような実情でありまして、この点からも国際競争上はなはだしく不利であるばかりでなく、これら中小企業自由化実施によって大きな影響を受けるのではないかと憂慮いたしております。  最後に、長期の見通しと原料材の対策について触れたいと思います。  電線工業の今後の需要の予想を推測いたしますと、その次の資料の11に示します通り電気機械電力通信土木建築等わが国基幹産業需要増大が期待せられ、これらを総合するに、その次の12の資料に示しております通りわが国電線工業日本経済発展に伴いまして伸長し、昭和四十五年度におきましては六十万トン以上に達するものと見られております。これに伸銅工業需要量を加算いたしますと、電気銅において七十ないし八十万トン、故銅を含めました銅分といたしましては実に百五十万トンにも達するものと予想されます。かような膨大なる銅需要量を、しかも国際価格に遊離せざる妥当な価格において入手いたしますためには、われわれといたしましては、国内産銅業の健全なる発展を念願するとともに、広く海外市場にその供給を仰ぎ、われわれとして必要な時期に必要な量を、有利に確保するよう対処すべきものと考えておりますので、この上とも関係当局の御指導、あるいは関連業界との緊密なる連携をお願い申し上げたいと存じております。  なお、しばしば申し上げました通り電線工業は銅、鉛等非鉄金属と深く関連を有し、歴史的にも唇歯輔車の関係にありますので、われわれとしましても、わが国産銅業の健全なる発展を念願するものでありますから、目下関係各位において御審議中と承っております金属鉱山に対する減耗控除制なり、探鉱開発等中心とした保護助成措置は、今後とも御推進願いたいと存じます。しかしながら、関税措置のみに依存し、高率関税の障壁を設けまして鉱山業を保護するがごときは、しょせんは需要者あるいは消費者たる電線工業なり伸銅工業の負担となるばかりではなく、わが国産業に、はかるべからざる大きな損失を招く結果となりますことは先ほど申し述べました通りでありまして、私ども絶対に反対せざるを得ないのであります。  時間が長くなりまして恐縮でございましたが、以上の通りでございます。
  4. 中村幸八

    中村委員長 ありがとうございました。  次に、和田参考人にお願いいたします。
  5. 和田忠朝

    和田参考人 日本伸銅協会専務理事和田でございます。本日ここに国会におきまして、初めて伸銅工業実情につきまして所見を申し述べる機会をお与え下さいましたことを、委員長初め委員の諸先生方に衷心より感謝申し上げます。  伸銅工業は圧延、押し出し、抽伸等によって、銅及び銅合金の板、条、管、棒、線を作る工業であります。現在主として作っております銅合金亜鉛との合金であります黄銅、すず、燐との合金であります、燐青銅、ニッケル、亜鉛との合金であります洋白等、それらの伸銅品完成品として使用されるものはきわめて少なく、ほとんど他の製品を作る材料として加工して使われております。伸銅品展延性切削性耐蝕性導電性熱交換性がよく、しかも色がきわめて美しい特徴を持っております。銅のこれらの特徴のうち、導電性のよいことを利用して電気を伝える用途に使われておるものに電線がありますが、最近は伸銅品も直接間接電気機器関係に大量に使われ、その使用量伸銅品の全需要量の約四〇%ぐらいになるのではないかと思われます。このほか最近は自動車生活用品等にもだいぶ伸びております。また雑貨工業に使用される伸銅品の量も少なくありません。雑貨工業は御承知の通りそのほとんどが中小零細企業でありますが、その製品は多量に輸出され外貨の獲得に大いに貢献しております。このほかいろいろな方面に使われておりまして、金属材料としては鉄に次いで大量に使われております。  もともと、わが国伸銅工業は古代より非常に古い歴史を持っておりますが、明治初年以前はいわゆる手打ち伸銅時代であり、明治三十七、八年の日露戦争を契機として、近代的な機械化伸銅時代に入りました。その後わが国発展、軍備の拡充に伴って軍需物資として次第にその生産を拡大しまして、昭和二十年の終戦を迎えたのであります。その間の最高生産昭和十九年の十二万九千七百七十八トンであります。終戦によって、それまでの軍需一辺倒であった伸銅工業需要面において全く壊滅的な打撃を受けました。しかし、昭和三十六年の暦年においては、三十一万五千四百三十三トンの生産を上げ、世界第四位となったのであります。そしてこれは昭和十九年に比べて二・五倍に当たるのであります。これには軍需品はほとんど含まれておりません。その全部が一般産業生活用品等に使われておるのであります。全く昔軍需今民需ということであります。今日の伸銅品需要がこのように一変しておるということは、終戦までの軍部、つまり国家資金による国家目的のための生産消費と比べまして、今日の銅価格あり方を考える場合に重要なポイントであると思います。  現在わが国伸銅メーカーの数は百七十社でありまして、そのほとんどが中小企業であり、三百人以下の企業数は百五十二社で、全体の約九割を占めております。従業員数は二万七百十人であります。工場は東京、埼玉、大阪、京都に特に多く、そのほか全国に散在しております。  次に、競合品との関係であります。最近の銅の競合品伸び方には目をみはるべきものがあります。すなわちアルミニウム、ステンレス、合成樹脂等価格が安く、しかも技術的進歩が著しいために急速に大量に生産、普及されつつあります。銅を主体とする製品競合品との競争に最も多くさらされているのが伸銅品であります。  次に伸銅品コストでございますが、伸銅品は銅、亜鉛並びに銅及び銅合金スクラップを溶解してまず鋳塊を作り、それを圧延加工して所定の製品寸度に仕上げるのでありますが、でき上がったものは地金のままのまる裸であります。従ってコストの中に占める原料費の割合はきわめて高く、最も生産量が多くかつ製造メーカーの多い黄銅棒において八四%を占めており、銅板八〇%、加工度の比較的高い銅管においても七三%を占めております。従って伸銅品需要増大をはかり、かつ競合品との競争に打ち勝つためには、何よりも価格の安いことが要請されるのであります。価格を安くするのには、加工費の低減をはかることはもちろんでございますが、何といっても原価の約八〇%を占める原料費が安くならなければどうにもしようがありません。かりに原価の八〇%が原料費、二〇%が加工費の場合においては、原価の二〇%を占める加工費を一割下げましても、全体の原価ではわずかに二%下がるだけであります。これが原料費が一割下がれば、全体のコストが八%安くなるのであります。従って、今後わが国伸銅工業が生きていけるかどうか、またさらに発展するかどうかの重大なキー・ポイントを握るものは、原料価格であるといっても過言ではないと思います。  次に、伸銅品流通機構でありますが、メーカー生産した伸銅品の約七割は、伸銅品問屋を経由して売られております。伸銅品問屋全国にまたがっており、その数は問屋組合加盟以外のものを合わせますと、約一千店に及ぶものと思われます。また、伸銅メーカー原料として使用するスクラップ——スクラップの大部分は伸銅メーカーが消費するのでありますが、そのスクラップを扱う故銅問屋の数は約一千店あります。このほかに集荷、建場等を入れますと、約一万店を数えるのではないかと思われます。これらの製品、故銅問屋は、そのほとんどが中小零細企業であり、これらの問屋は、伸銅メーカーを中核として、日々の営業活動を行なっておるのであります。従って、これらの問屋は、伸銅工業浮沈盛衰によって大きな影響を受けるのでありまして、それらの方々生活の安定をはかることも、また重要なことではないかと思います。  以上、伸銅工業に関する概要を申し上げましたが、次に自由化の問題について少し申し上げてみたいと思います。  今日の世界情勢において、国内自給自足的なアウタルキー経済をとるべきでないことは、明らかであります。特に国際商品である銅、亜鉛等においてしかりであります。たといそれがいかに物として存在していても、経済性を伴わないものは、しょせん商品と呼ぶことはできないのであります。それは単なる物にすぎないということは、経済社会の常識であります。そのために経済性のすぐれた商品が各国間に輸出または輸入され、各国互いにそれぞれ長所を発揮して、産業、文化の進展に貢献し、それによって人類の発展向上があることは、今さら私が申し上げるまでもないことであります。  銅、亜鉛等の資源は世界的に幾分偏在するとはいえ、今日の世界需要に対しては十分な供給力を持っております。  また、今日わが国における銅の需要は、もっぱら民需で、軍事目的を持つ軍需はゼロであります。従って、銅の価格わが国産業経済の発展、国民生活の向上のために、できるだけ安いことが必要であります。また世界には膨大な銅資源を持ち、しかも民度の低い低開発国があるということは、この際わが国の銅政策を考える上において、銘記すべきことであると思われます。  次に、わが国の最近の銅の需給状況でございますが、昭和三十六年度の銅の需給計画を見ますと、電気銅輸入量九万五千トン、輸入鉱石によって国内で生産される電気銅の量が十一万八千トン、これに輸入スクラップによると思われる電気銅生産を加えますと、輸入による電気銅は約二十五万トンになり、電気銅需要量三十八万トンに対して、実に六六%の多きに達するのであります。このほかに銅くずの輸入量一万トン、銅合金くずの輸入量が、銅分で約九万トンありますので、それらの輸入電気銅、鉱石、くずを合わせますと、銅分輸入しているものは約三十五万トンの多きに達するのであります。これは三十六年度におけるわが国の全銅分需要量の約五二%に当たります。この場合の国内鉱石による電気銅の割合は、わずかに一三%にすぎないのであります。この事実は、今日のわが国がいかに大きな銅の輸入国であるかということを雄弁に物語っており、今日わが国がいかに銅を安く外国より買う必要があるかということを示しているものであります。  さて、銅の価格の点でありますが、今日銅の国際相場のおもなものは、米国大手三社の建値、ロンドン金物取引所相場、すなわちLME相場とE&MJの発表するもの、米国買鉱製錬業者の価格等であります。そうしてこれらの価格は互いに密接な関連を持っております。このうち米国大手三社の銅は、米国内においてほとんど売りさばかれておりますので、フリー・マーケットで取引される銅価格の基準は、LME相場と買鉱製錬業者価格であります。  今日米国に次ぐ大手の電線伸銅品生産国である英国西独は、主としてこれらの価格を基準として銅を購入しております。そうして両国とも電気銅スクラップに対する輸入関税無税でありますので、電線、伸銅業者の入手価格は、わが国に比べて大幅に下回っておるのが実情であります。それらの安い銅によって製造された電線伸銅品は、さらに電気機械器具、自動車、機械、生活用品等価格を有利に形成しておるのであります。英国西独とは、わが国の伸銅、電線のみならず、銅を使用した製品においても競合関係にあるのであります。原料無税で、しかも合理化された優秀な機械で、わが国より大量に生産しておる英国西独等を相手として国際競争場裏に立たされるわが国伸銅メーカーとしては、少なくとも電気銅スクラップ関税は、英国西独並み、すなわち無税にしていただきたいと衷心より切望する次第であります。  また、わが国の国内銅価格が、国際価格に比べて高く維持されることは、輸入スクラップ価格もまたそれにつれて割高に買わされることになり、現に海外においては、フォー・ジャパン・プライスというありがたくない相場が作られております。そのために無益に海外に流失する外貨は、昭和三十六年度において約一千万ドルの多きに達するものと思われます。  このような国内価格が高いための貴重な外貨の流出は、戦後わが国スクラップ輸入を始めてより今日まで続いており、わが国銅価格をすみやかに国際価格にさや寄せする必要が痛感されるのであります。またさらに不利な買付を助長している電気銅等のFA制を改め、すみやかに自由化することの必要もまた痛感されるのであります。このことは銅のみならず、亜鉛についても同様であります。  現在のように、国内において採鉱、製錬された銅の価格が、国際価格に比較して高い限り、それを海外輸出することは不可能であります。また精銅はそのままでは原料としてしか使えませんので、それを加工して、電線伸銅品、鋳物にし、伸銅品の場合には、これを材料としてさらに加工して、初めて完成品となるのであります。従って、銅の価格が高いということは、これら関連産業製品コストをすべて高くする結果になり、銅を使用した商品が自由化された暁においては、その影響するところは、はなはだ大きいのであります。従って、電線伸銅品並びにそれを使用した製品が、海外において、また国内において、銅価格の割高のためた海外品との競争に敗れ、あるいは国内の他の競合品に置きかえられたならば、わが国の鉱山はたちまち、その需要先を失い、存立が危機に見舞われることは、火を見るよりも明らかであります。よって、わが国鉱山の維持、発展をはかるためには、銅を使用する産業海外との競争、国内の競合品との競争に負けないように、銅の価格を設定することが、ぜひとも必要であります。このことはまた伸銅品電線のみならず、二次、三次製品輸出増大をはかるべきわが国にとって大きな問題であります。国破れて山河ありと言いますが、わが国産銅業においては、需要家滅びて産銅業なしということであります。わが国の銅コストの高いのを国がめんどうを見られることはけっこうでありますが、それをわれわれ需要家が負担させられることは絶対に困るのであります。  私は門外漢でありますので、よくはわかりませんが、いわゆる産銅業といわれる鉱山、製錬業はその生産過程等より大別して採鉱、製錬に分けて考えるのが至当ではないかと思われます。  まず製錬でありますが、わが国の製錬技術は、関係者の熱心なる研究努力によって世界的水準に達し、きわめて優秀であり、また製錬能力も年を追って向上し、コスト海外と大差なきまでに合理化されつつあるやに仄聞しております。  次に、採鉱、すなわち鉱山でありますが、これはわが国の資源の賦存度が低く、量も少なく、また品位もあまり高くないようでありますので、この点がわが国の銅コストを高からしめ、海外との競争自由化に際してのネックになっておるのではないかと思われます。  横道にそれますが、これに比べて本来銅の国際価格が基準である輸入鉱石による電気銅コストは安いはずであり、今の銅の価格はおかしいのではないかと思われるのであります。  さて、海外の割安な鉱石に対して、国としてどうしても国内鉱山を守り、しかも電気銅価格を上げないためには、国内鉱山が稼行できるように国家が保護を加えるべきであろうと思います。それを行なわないで、需要者にその割高分をしわ寄せし、負担を転嫁することは、大切であるべき需要家に逆に不当な圧迫を加えるものであり、妥当な措置とは申せないのであります。また少なくとも今後新しく内外で開発される鉱山、製錬所等については、必ず国際価格を基準としてこれに見合うようにやっていただくことを希望いたします。  また今日のわが国の製錬業の実態は、国内鉱出三二%、輸入鉱、スクラップ出六八%に達し、買鉱製錬業者的色彩がきわめて濃厚であり、今後もこの傾向はある程度続くものと思われます。これは国内で自分で鉱山を持って稼行している鉱山業者と立場が非常に違うのであります。今日全体の銅需要量に対して、わずか二二%の供給源にしかすぎなくなった国内鉱石のために、国内価格を高く設定し、それによってさらにスクラップを含めたわが国全体の銅価格を高くすることは、国民経済上大きな不利益をもたらすものであり、国としてとるべき方策ではないと思います。そのためには銅の関税無税もしくはきわめて低率に抑え、経済性のない国内鉱に対しては別途国において十分保護対策を講じていただくことが、結局国民経済上利益であり、また国内銅価格の割高による貴重な外貨の流出を防ぐことにもなるのであります。この辺のことを十分お考え願いたいと思います。  次に、自由化の時期についてでありますが、最初に今回国会に提出されております地金輸入関税の決定するまでのいきさつについて申し上げてみたいと思います。今回の自由化にあたって、電気銅亜鉛について山側から出されました輸入税額、及び暫定期間等はわれわれ伸銅メーカーにとっては実情よりしてとうてい認めがたいものでありましたが、今後次第に国際価格にさや寄せし、その格差を縮めていくことを強く要望いたしまして、涙をのんで了承した次第であります。またその税率、暫定期間ともに山側の当初出されましたものそのままをのんだのであります。  さて自由化の時期でありますが、私ども伸銅メーカーとしては、伸銅品を使用したものは逐次自由化され、本年十月にはその大部分が自由化される予定になっておりますので、今日の状態はまことに困ったものであります。地金伸銅品等の自由化の時期については、かねてより過渡的な混乱を避け、スムーズに自由化に移行するために、伸銅品自由化より少なくとも半年以前に地金自由化されるように当初より当局にも要望しておったのであります。さらに望ましいのは、伸銅品を使用した製品自由化は、伸銅品自由化よりも、後にずらしてもらいたいと考えていたのでありますが、現実は御承知のような状況で、完成品からの自由化が進みつつあるのであります。従って、今日においては、電気銅亜鉛自由化はぜひとも本年十月からやっていただくことを切望してやみません。今後は海外より安い銅を使った伸銅品並びに二次、三次製品輸入されたり、またはオファーがくることは明らかであります。その場合に、原料自由化されておらなければ、ますます原料高の製品安となり、われわれは自由化以前において赤字経営による倒産のやむなきに立ち至ることを心からおそれている次第であります。この点からも、電気銅亜鉛自由化はぜひ本年十月にお願いいたしたいと思います。  なお、電気銅等の自由化以前において伸銅品自由化するなどのことがあれば、暴挙この上もないことであります。  また現在のFA制のもとでは、伸銅品輸出は、諸外国に比べて幾多の不利に立たされ、輸出が阻害されておりますので、輸出の増進のためにも早期自由化がぜひ望ましいのであります。  以上伸銅工業の概要並びに今回の自由化について所見の一端を申し上げたのでありますが、もう一言申し述べさしていただきたいと思います。  私どもは、国内で採鉱や製錬が行なわれることには少しも反対するものではありません。しかし、率直に申し上げまして、今日の現状では、われわれ需要家にとってそれがどれだけ役に立っておるかということについては、少なからず疑問を持たざるを得ないのであります。つまり需要家に対してうしろ向きのことがたくさん行なわれておると思うのであります。こんなことでは、いっそわが国に山がなければよいとさえしばしば感じさせられるのであります。口には出しませんが、こんな気持は需要家のだれもが心に持っている偽わらざる気持ではないかと思います。それを海外の銅の供給は不安定で、国内の山が安定供給者であるとか、鉱石で買えば外貨が節約されるとか、電線、伸銅を初め、関連産業の健全な発展を期するためには、われわれの手でコントロールできる供給地金を確保する以外に道がないとか言われますと、それでは終戦後ストのなかった年が一体何年あったのか、銅価格が高いために輸入スクラップをどれだけ高く買わされたか、それによる貴重な外貨の流出がどれだけあったか。別に山でコントロールされる地金を確保していただかなくとも、幾らでも入手の道はありますと言わざるを得ないのであります。そこで山があることによるプラスよりも、山の値段が高いために、伸銅品はもちろん二次、三次製品まで輸出が阻害されておるのであります。伸銅品生産の伸びにブレーキがかけられている、競合品との競争に不利な立場に立たされている、山を保護するためにFA制がとられ、そのため入手の不便を煩瑣な手続にわずらわされております。そのために今まで申し上げましたようなことを言いたくなってくるのでありますが、そうしてこういうことでは、山は需要者の犠牲の上にあぐらをかいておられるのではないかとさえ感じられるのであります。これは何も山があることが悪いということではなくて、今までのやり方が悪いのでありまして、あしたからでも国際価格並みで銅を売っていただけるなら、こんな不平は一ぺんに吹っ飛んでしまいます。つまり価格の高いことがすべて原因であります。そのためには、関税の引き上げによらないで、画期的な国内鉱山の保護策を講じていただくことがぜひとも必要であると思います。  なおローデシア・セレクション・トラストのプレイ会長が最近世界の銅生産者が買手に売り渡す生産者の価格と一九七五年までの銅の需給と価格の見通しについて興味のある発表をしておりますので、簡単にそれを要約して申し上げますと、世界の銅生産高の約五〇%のコストは十七セント半ないし二十セント、つまり十四万円から十六万円である。全体の平均コストは約十九セント半、つまり十五万六千円である。次に一九七五年までの銅の長期見通しは明るい。消費の増加と同一歩調で供給が増加することは間違いないと確信しておる。銅の価格が三十セントの場合には需要が伸びるが、三十五セントの場合には成長率のいかんにかかわらず需要は減退する。銅の価格と消費成長率の関係については、銅価格生産量消費量を左右する。国連推定の三・五%の成長率では、一九七五年まで需給はバランスを保つであろう。三十五セントの場合には、消費成長率のいかんにかかわらず、供給過剰となるであろう。また政情不安定な地域では、生産は増加しないという前提で見通しを策定することは非現実的である。消費成長率は三・五%ないし五%の中間と思われる。将来の銅価格は三十セントから三十五セントの中間を予想しておる。IMEが一九五三年八月再開以来一九六二年一月までの平均価格は三十二セントであったというようなことを言っております。あるいは御参考になろうかと思いまして申し上げた次第でございます。  また今さら申し上げるまでもないのでありますが、銅産業は鉱山だけでは成り立たないのでありまして、それを使う需要業界があって初めて成り立つのであります。従って、採鉱、製錬の面のみならず、われわれ需要業界のことも、少なくとも同等に考えてやっていただきたいのであります。幾ら山で電気銅などを作っても、特にわが国の場合には、現状では、電気銅海外輸出することは、価格的に不可能でありますので、国内需要家あっての鉱山であるということを十分にお考えいただきたいのであります。その需要業界海外より割高のために伸びなかったり、あるいはつぶれたら、幾ら日本で銅を作っても、一体だれに売るのかということであります。私どもは今日まではいたしかたなく高い銅を買ってきたのでありますが、ほとんどの製品自由化された暁には、いつまでもそうはいかないのであります。その辺のところを十二分にお考えいただいて、十分な施策をとっていただきたいと思います。  また私ども伸銅メーカーのほとんどが中小企業でありますので、特に中小鉱山の苦衷はよくわかろうかと思います。私ども中小鉱山がつぶれることを決して望んでいるものではありません。ともに生きていくのにはどうすればよいかを日夜考えておる次第であります。しかし、また、われわれ伸銅メーカーにも、自由化のきびしさはひしひしと身に迫っておるのでありまして、山を救うことには賛成でありますが、それを需要者の負担においてやることは、われわれにとってとうてい耐えられません。山のことについては、国民経済上必要な限度において国が十分めんどうを見ていただくことを切望いたします。  最後に、電気銅亜鉛自由化はぜひとも本年十月からやっていただきたいということをお願いいたしまして、私の話を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  6. 中村幸八

    中村委員長 ありがとうございました。  以上で両参考人の方の一応の意見の開陳は終わりました。     —————————————
  7. 中村幸八

    中村委員長 委員から質疑の申し出がありますので、順次これを許します。始関伊平君。
  8. 始関伊平

    始関委員 ただいまお二人の参考人から大へん率直な御意見を拝聴しました。伸銅の方は、これは加工銅はきわめて少ないようでございますからしばらく除外をいたしまして、電線について一つお尋ねをいたします。  電線は、申し上げるまでもなく、銅、鉛という物資左基礎にして、その上に乗っかった一つの加工業でございますね。いろいろお話がございましたが、私どもわきから見ておりますと、今日原始産業というものは非常に悪い。それに乗っかった加工業というものは、電線がどうかよく知りませんが、傾向として非常によろしい。これは非鉄金属非鉄金属工業との関係だけではないので、たとえば原始産業として石炭は非常に悪い。それからエネルギー革命といいますが、革命の場合の攻め手の方の石油精製業の方も非常に悪い。鉱山局長説明によると、かなりの赤字を出している。さらにこの二つをささえている電力事業というものも赤字で、償却ができない。その上に乗っている加工産業というものは、高度成長で一応繁栄を謳歌している。ところが原始産業というものは非常に悪い。いじめられておるような格好になっておると思いますが、山崎さんのお立場から見て、今申したような点についてどうお考えでございますか。
  9. 山崎善雄

    山崎参考人 今、始関先生のお話しの、電線というのは加工業である、その点は私も同感でございまして、私ども原料を買い付けて、それに加工して売るのでありますから、私ども工業としましては、原料による損得というようなことではなく、加工費をかせぐというのが本筋であります。しかし、先ほど申しました通り、また資料の5にあります通り、その製品コストに占めます原材料費というのは、七割を占めている。そうしますと、われわれは三割の中で働かねばならない。その三割の中に人件費が約一割、一般経費もまた一割、そのほかにまた償却その他があるのでありまして、従いまして、とにかく七割はもうわれわれの手の及ばない先にある。そして残る三割を節約して利益を上げていかねばならないわけでありますが、そのうち人件費がまず一割——この資料5の図を見ていただきますと、一般経費が一割、その残った一割でかせいでいかなければならない。幸いにもここ数年間は非常に生産が伸びましたので、増産によって一般経費を吸収していきますから、若干の利益は上げておりますけれども——もっとも私、電線工業界全体のことはわかりませんが、平均して、売上高に対する利益率というのは、たしか三%くらいじゃないかと思います。だから、ほかの原始産業よりいいじゃないかというお話はわからぬではないのでございますが、他の産業、たとえば電気機器産業とか、あるいは通信機の産業とか、あるいは自動車産業というようなもの、そういうものから比べますと、電線の三%——あるいは平均から言いますともう少し下かと思いますが、私ちょっと自信がないので、何でしたら電気工業会に頼んでお聞きいたしますが、かりに三%といたしましても、他の産業から見ると、ずっとずっと低率な産業ではないか、実は私どもはやはりもう少し利益を上げたい、かように思っております。
  10. 始関伊平

    始関委員 山崎さんのお出しになりました計算に疑義を差しはさんでは恐縮ですが、私がある方面から聞いておりますところでは、銅鉛が電線の中で、綿糸とか、ああいうものは別として、四割見当じゃないかといわれておりますが、あなたの方は五〇%になっておりますな。これは、電線の総売り上げが幾らで、銅鉛を何トン使うのか、おっしゃって下さい、あとでちょっと計算しますから。
  11. 山崎善雄

    山崎参考人 今綿糸その他の原料のお話がありましたが、これは実は電線品種によりましてえらく違うのであります。だから、実は平均値で申し上げるのも少しおかしいのでございますけれども、ここで申し上げるとき、綿絶縁電線はどうだ、何々電線はどうだということを申し上げても話がこまかくなり過ぎるものですから、ここへ出しましたグラフの5はほんとうの総平均であります。総平均でいいますことに若干のニュアンスの違いはあるかと思いますけれども、綿糸ならば、始関先生のおっしゃった、三割はちょっとないと思いますけれども、これ自体は私は間違いないと思っております。ただし、これは私が作ったものじゃございません。電線工業会で作ってもらったのでございますが、これ身体は間違っておらぬと思います。  それから総生産量は、おっしゃったのは資料の一ページにございます。年度も出ておりますが、千七百四十三億円という数字、それから電気銅使用量はそこに出しております資料の4でございましたか、それを一つごらん願います。また何か間違っている点がありましたら私どもも調べさしていただきます。
  12. 始関伊平

    始関委員 先ほど和田さんが非常に率直な御意見を明快にお述べになったのですが、一体関連の深い産業ほどお互いに相手がいなければいい——あなたは日本鉱山業がなくなればいいとおっしゃったが、同じような考え方がある。石炭がなければいいという考え方がある。伸銅を使う業界の考え方からいえば、日本の伸銅がなければいい、電線を使う業界からいえば電線業もなければいい、山の方からいえば鉱山機械を作るメーカーがいなければいい、こういうことになってしまうので、そういうことをいっておったのでは、お話の御趣旨はわかりますが、私はどうもにしようがないと思うんですな。  和田さんの御意見は非常によくわかりましたが、山崎さんの電線業界でも、日本電気銅がなければいいというような考え方があるのじゃないですか、ちょっと聞かせて下さい。
  13. 山崎善雄

    山崎参考人 日本に銅がなければいいなんという考え方はございません。ただ先ほど伸銅の方の話にありましたように、私どもはやはり国際製品に近い価格で入手し得るようなことでなければいかぬということは、もう伸銅と電線とを問わないわけです。それは、やはりあった方がいいと思います。ただ、経済性を伴わない山は困るということであると思うのです。だから、あったらいい、なければいいということはおかしい。従いまして、経済性を伴わなければ因る。そのしわ寄せが自由化へ来るのは困る。和田さんが言ったのもそういうことじゃないかと思いますけれども、同感でございます。
  14. 始関伊平

    始関委員 そこで、山崎さん、和田さんともに関税について非常に御不満がおありでしたが、私は自由化ということは、大体昭和十二、三年以前の状態に返せばいいので、何も世界電気銅無税のところがあるからといってそれをまねしなければいかぬということはないと思う。これは戦前の鉱山局からもらった調査ですが、銅鉛の関税率、当時は従量税ですが、従価に換算いたしますと、日本が準戦時体制に入る前は大体一割七分、あるいは二割三分とか、最高が昭和七年で三二%、その後ずっと二割代の計算になっております。まあ日本の山は、さっきのお話のように、輸入については保税倉庫でやるとおっしゃれば、それはそれでいいんだが、そう関税を目のかたきにされることはあるまい。それくらい耐えなければいけませんね。この点は今三万円は一割代になりましょう。その程度関税はずっとついたってしようがないんじゃございませんか、どうです。
  15. 山崎善雄

    山崎参考人 戦前のことは私も調べてはおりまして、今、始関先生のおっしゃった数字になっておるだろうと思います。しかし、私どもが現在自由化いたします場合、たとえば現在自由化になったと仮定いたしますと、外国電線が入ってくる、競争相手というのはやはり西欧だろうと考えます。アメリカではないと思う。従って、競争相手と同じくらいの条件でなくては太刀打ちがやはり困難なので、ドイツやイギリス以上に合理化もし、あるいは生産高も上げるということは、もちろんわれわれは企業努力としてもしなければいかぬと思いますけれども、遺憾ながら現状におきましては、先ほど生産性について少し申し上げておきましたけれども日本は少量多品種ということから、われわれの方の生産性は低いのであります。そうしますと、やはり七割から占めている原料に対して西欧と差をつけられます。そのハンディキャップはとても今の企業努力だけでは取り返しはつかぬ、こう思います。だから基本的には無税で、——無税ということは結局西欧並みにお願いしたいという意味です。無税々々と声を大にして言っておりますが、西欧並みにお願いしたい、こういっているわけです。だから西欧が一割五分だったら一割五分でいいんじゃないか、これは思いつきですけれども、それでいいんじゃないかと思います。しかし、西欧無税であってそれと競争しようというのですから、やはり同じくらいの条件でないとやれないんじゃないかと心配いたしております。
  16. 始関伊平

    始関委員 ですから、国際的にガットか何かの認める範囲で少し上げたらいいと思うのだな。これはしようがないですよ。  それからこれは参考のために伺っておきたいのですが、古河電工といえばすぐ古河鉱業を思い出しますな。住友金属鉱業と住友電工の関係もございますね。これはむろん同じ財閥の下にあって親類といいますか、あるいは兄弟といいますか、そういう関係だった。私は昔の鉱山業というものは立場を非常に強くしていたと思いますが、今日はこの関係はどうなっておりますか。経済的合理性の原則にのっとって、どこで買っても同じ程度だとおっしゃる場合には、昔の親類筋から買ってやろうということであるのか、それとも、政府国産品を優先的に買い上げろということを奨励しているわけですが、やはり一番関係の近いものは優先的に買おう、場合によっては相場の変動が少しくらいあっても進んで買ってやろうというのか、その辺はいかがですか。
  17. 山崎善雄

    山崎参考人 始関先生から古河の家庭の事情までお聞き願って恐縮なのですが、古河鉱業との関係は戦後財閥解体によりまして資本の関係も切れましたが、戦前ほどの資本的なつながりはございません。しかし、私の方の大株主が古河鉱業さんであり、私もまた古河鉱業の、大株主かどうか知らないが、やはり有力株主であります。それから古河鉱業の新海現会長は私どもの非常勤取締役をしていらっしゃいますから、切っても切れない仲でもあるといえるわけです。向こうの会長さんが私の方の平取締役という事情ではありますけれども、私の方はやはり経済性を無視してはどうにもならないものですから、それこそ先ほど先生のおっしゃった通り、同じ値段なら古河鉱業から買う。実際は今古河鉱業さんからと三菱鉱業さんとが、私どもの一番買う大きい——あと日本鉱業さんからもお願いしておりますし、同和鉱業さんからもお願いいたしておりますし、大日本鉱業さんからもお願いをいたしております。  それから、先ほど先生がちょっとお触れになりました、少しくらい高くても、国内のを買うのかという御質問がございましたが、私はこう思うのでございます。私ども自由化後に心配されます——いや皆さんが心配されておりますように、外国地金がどんどん入ってくるというようなこと、しかし、われわれといえども、同じような値段であれば、何を好んで外国銅地金を買うか、輸入することはあり得ないと思います。すれすれであれば、少なくとも、もちろん国内の産銅業者から買わしていただいた方が、ドルの節約になり、手続の簡素化になりますから、やはり要は、われわれが外国から買うのも日本で買うのも同じくらい——少しぐらい高いのはどうだと言われると少しむずかしくなりまして、ちょっとお返事に困難になりますが、とにかく同じくらいの値段であれば、これはもう外国から買うことは毛頭ないと思います。
  18. 始関伊平

    始関委員 先ほど和田さんが非常に、これはわれわれが聞いてもしようがないのですが、鉱山業者、鉱山の労働者でも聞いておったら、非常に参考になりそうなお話をされておったのですが、二十四年になりますな、世界市場と遮断されて、いわば温室生活をしておったわけです。これは皆さんとも同じだと思いますがね。それで、非常に、さっきからお話のように、電線業あるいは伸銅業から見て、鉱山業がどうあるかということは、死活的な、人ごとじゃないわけですね。そういう点からいって、やはりそういう温室生活が長いから、企業努力に欠けているとか、あるいは労働者は能率の増進がないのにむやみに賃金をやるとか、こういう点が目につきますか。これで私の質問は終わります。
  19. 和田忠朝

    和田参考人 今のお話でございますが、戦前の状況とだいぶ変わっておるのが事実だと思います。日本でも非常に生産がふえておりますし、メーカー数もふえております。それで、そのすべてが生産性の高い工場だけではございませんで、特に先ほど申し上げましたように、われわれの方では、百七十社の中で百五十二社というのが中小企業でございます。また、そういう点で、西欧に比べまして合理化がおくれておるということは事実でありますが、生産性は次第に上がってきております。  それから、賃金の点でございますが、賃金は、最近、伸銅関係でもだんだん高くなってきております。われわれの方の大手の方が以前は、大手と中小とは非常に離れておったのでありますが、これの格差は漸次縮まっております。そういうのが実情でございます。  それから、なお、先ほど私申し上げましたことで、あるいはちょっと始関先生に誤解があったかと思いますが、私の言い方が悪かったかもしれませんか、私は、何も山があることが悪いのではなくて、今までのやり方が悪い。結局、それは何かというと、銅の価格が高いのだ、高いことがすべて悪いので、だれも悪い人はないのだ、私はこういうふうに思っております。ただ、その高いのをわれわれの方にしわ寄せされることが——特に最近の海外の市場等で輸出競争している面から見ましても、先ほど山崎さんからもお話がありましたように、英国西独、イタリアあるいは豪州等、かなり安い値段を出しておる。そうしてその伸銅品日本輸出をしようと考えておるのじゃないかというふうに、われわれ心配いたしておるわけでございます。そういうことでございますので、私は、山があるということが悪いのではないけれども、今までのやり方が悪くて、銅の値段が高いことがいかぬのだ、そのほかだれも悪くない、こういうふうに思うのであります。
  20. 中村幸八

    中村委員長 松平忠久君。
  21. 松平忠久

    松平委員 山崎さんにちょっとお伺いしたいのですが、国際銅相場ですね、ロンドン相場とかニューヨーク相場資料がここに出ておりますけれども、かなりいろいろなフラクチュエーションがあるわけですが、この国際の銅相場というものは、何か国際的に銅のカルテルか何かありまして、そういうところである程度操作をするとか、あるいは何か特別の原因、どういうところに一番——この国際相場の不安定というか、上がり下がりがしておる。三十三年ごろ下がっておったが、現在だんだんこう上がってきて、最近はちょっと上がってきたという格好なんですが、これは一体どういうところに一番大きい原因がございますか。
  22. 山崎善雄

    山崎参考人 松平先生の御質問でございますが、私は実はそちらの、なぜ変動するかという研究は専門でもございませんのでよくわかりませんが、私の想像をもってすれば、やはり基本的には、世界的な需給が一番大きいのではないだろうか。ただ、需給の問題が大きいのでありますけれども、やはりその間、これはもちろん日本じゃなく、外国のあるたとえばそういった業者の操作というようなことがあるのではないかと想像いたします。しかし、これは私専門じゃございませんものですから、想像だけで申し上げております。
  23. 松平忠久

    松平委員 それから、その次に伺いたいことは、今、始関君からもお話が出ましたけれども、ここに電線関係の年間の総売上高というか、そういうものがございますが、現在この電線関係の投下資本というのは一体どの程度なのか。それから、配当は、各社によって違うだろうと思うのですけれども、無配というような状態であるかどうか、あるいは平均して——平均というか、何割くらいの配当をしているかということですね。そういうことをちょっとお伺いしたい。
  24. 山崎善雄

    山崎参考人 私実は投下資本の総額を知りませんので、お許しを得れば、電線工業会の方がきょうこの傍聴者におられますから、お聞きしてお返事をしてよろしければ、後ほどお返事さしていただきたいと思います。  それから、平均配当も、私ちょっとどのくらいになっているか明確にはわかりません。ただ、無配という会社もあるかといえば、これはたくさんございます。欠損を出している会社も相当ありますし、おそらく配当している会社と配当していない会社との数は、相半ばしているのじゃないだろうかと思います。
  25. 松平忠久

    松平委員 それからもう一つ、これは変な質問かもしれませんが、この電線というものは、ほかの何か代替品というようなものが将来出てきて、だんだんそういう方にかわるというような傾向はございますか。つまり、そういうことを非常に研究しておられるかどうか。また、研究した成果というものが実際に実用品として上ってきているかどうか、このことをお伺いいたします。
  26. 山崎善雄

    山崎参考人 電線の代替品でございますけれども、先ほどの伸銅と違いまして、代替品は将来とも少ないのじゃないかとまず思います。とにかく電気を通すのでございますから、とにかく通すものは要るんだろうとまず思います。しかし、これはやはり、私技術的にはしろうとでありますから、よくわかりませんが、広い意味においては、一部かわるべきものはあるのではないか。たとえば通信を見ますと、従来同軸ケーブルというようなもので多重通信をしております。それをまた一方、マイクロウエーブというようなもので、例のこういうパラボラ・アンテナというやつですが、あれで無線でやるわけですから、この場合だと電線が要らないわけでございますね。そのほかにもこれに似た例はあるかもしれないと思います。将来、たとえば今人工衛星通信なんというものも、これはやはり人工衛星に電波を送ってその反射を利用しての通信でございますから、電線は要らないわけでございますね。しかし、そういうものはやはりむしろ特殊でございまして、有線と無線とが並行していくだろうと考えられますことと、それから電力に対しては、どうも今の技術の常識では、電線のない電力送電というのは困難ではないのだろうかと想像いたしております。
  27. 松平忠久

    松平委員 その次にお伺いしたいのですが、これは自由化関連するのですが、今のお話で、電気銅をやるならまず自由化していく、その場合に今の状態で電線自由化されたという場合には、やはり関税操作か何かしなくちゃならぬと思うのですが、そういうような場合には、関税率というものはどの程度上げれば外国品と日本品競争できるのですか。
  28. 山崎善雄

    山崎参考人 今の松平先生のお話でございますけれども、私どもは先ほどもちょっと申し上げましたように、地金自由化を離れて、電線だけ自由化というのはまずもって絶対に困ると考えております。従いまして、その際の関税というのを考えたこともないのであります。
  29. 松平忠久

    松平委員 それから、この自由化に対する要望書の中に、第五項に、「電線工業合理化のための特別立法を行なうこと」というか、そういうものをしてもらいたいということがございます。それから第四に、「電気用品に対し取締制度を強化すること」ということがございます。五のことは自由化の対策としてわかるのですけれども、まずお伺いしたいのは、四の電気用品に対して取り締まり制度を強化するということと自由化ということはどういうような関係があるのか、その内容にちょっと触れていただきたいと思うのです。
  30. 山崎善雄

    山崎参考人 自由化いたしまして、われわれ一番こわいのは、外国電線が入ってくるということ、それを防止したいわけであります。それで、御承知の通り、私も、法律の名前はちょっと忘れましたが、電気事業法でございましたか、名前はちょっと失念いたしましたが、前には電気用品取締規則というものがございました。それには、要するに製造免許と家屋に使います電線については一々型式番号というのがございます。その製造免許と型式番号をとっておらないと一メートルも売ってもいかない、製造してもいかないという規則になっておりました。その規則の概要は今も変わっておりません。ただ罰則等が少し強化されました。これはやはり強化していただいて、そして外国電線に対してもそれを厳重に適用してもらいたい。そうして、その面からも外国電線が——こちらはえらい製造免許と型式番号だといってやっておるのに、外国製品が大手を振って入ってきては困るという意味で要請いたしました。
  31. 松平忠久

    松平委員 それからその次に五の電線工業の合理化ということの特別立法の要望がございますけれども自由化をされた場合に、これはかりに今のような状態で従量で三万円で入ってくるというようなことになった場合、相当程度電線加工の会社というものは特別の合理化の措置というものをしていかぬと、なかなか太刀打ちできない、こういうことになるのじゃなかろうかと思うのですが、これはたとえばどういうようなことをすれは一番いいのかということがあるだろうと思うのですが、そういうことについて概略お話し願いたい。
  32. 山崎善雄

    山崎参考人 私どもこれを要請いたしましたとき考えましたことは、自由化に対処してとにかく業界として各企業体が努力をします、合理化に努力をする、あるいは体質改善をするというのはあたりまえでありますが、業界としてもたとえばいきなり自主調整とまではいきませんが、自主調整のことを考えたり、あるいは資材の共同購入を考え、あるいは適正な販売価格を設定したり、それが現在の独禁法のもとでは法律的にもできないわけでございます。それでたとえば機械工業振興法に電線を加えていただくというようなこと、特別立法とここに書いておりますけれども、これは言葉は悪かったかもしれませんが、たとえば機械工業振興法、電線工業振興法というようなものかお願いできれば、われわれとしては大っぴらにそういうことがやりやすいというようなことをねらっておりました。
  33. 松平忠久

    松平委員 和田さんにお伺いしたいのですが、関税を引き上げてやるような現在の国内の鉱山関係あり方ではどうも困る。そこで何か画期的な施策というものをやはり鉱山に対してはやらなくちゃならぬ、こういう御意見であったわけです。われわれも実はそういうことを考えているわけです。どうしてもそういうふうにしなくちゃならぬだろうと思っておりますけれども、しからばその画期的な施策というものをどういうふうにしたらいいか、これはなかなか大へんなんです。そこで加工しておられる伸銅あるいはこれは山崎さんにもあとで御意見を伺いたいのですが、そちらの方から見て現在の日本における皆さん方の関係の銅山なら銅山というものは、一体生産なり、流通機構なり、あるいは価格なり、それを政治の力でどういうふうにしていったならば画期的な施策としてこれがうまくいくのかということを皆さんの方の側から御意見があったらぜひ一つ聞かしていただきたいと思う。
  34. 和田忠朝

    和田参考人 今松平先生からお話のありました点、私ども平素考えておることでありまして、これは原料品の割合が非常に高いわけでございますので、従って、先ほどからあるいは少し言い過ぎたかもしれませんが、やはり原料代が死命を制するということで、われわれはわれわれなりにいろいろ今まで考えてみたのでございます。私は、これは私だけの考えでございますが、日本の山がやっていけないということは、先ほどから申し上げました通り、やはり資源の賦存度が低い、品位が低い、量が少ない、そうして複雑鉱であるとか、いろいろな点が外国に比べて非常に劣っているのじゃないか、その点が私は一番劣っているのじゃないか、それはもうすでに経済以前の問題ではないか。従って、私は国ということを申し上げましたのは、しかし、それにもかかわらず、これに従事しておられる方は非常にたくさんあるというふうな点を考えますと、そのしわをわれわれ需要家に持ってくる。われわれは外国の結局無税といいますか、とにかく関税をかけていない国と競争していかなければならぬ。そのためにいろいろ関税が高くなると障害が起こる。だからどこかわれわれの手に入るまでにそれを国として何かお考えを願える方法はないか、実は基本的にはそういう考え方を持っておるわけでございます。具体的な方法としてそれじゃ一体どうすればいいかということなんでございますが、これにつきまして、私は、一口で、じゃ、こうすればいいと思いますということは、ちょっと今申し上げかねますけれども、たとえば私は国内の日本独自の実情を十分お調べいただきまして、そうしてしかるべくやはり採鉱するのに非常に金がかかるということでは、これは収穫逓減の法則に従う産業でございますので、そういう面に対して、私は、国として一般的にできるものはもちろんでありますが、特別な措置を何か講じていただけないか、そういうふうに考えております。そのためには、探鉱の奨励金の増額とか、あるいは新しく開発するために、そうして開発したものを国際ベースで売れるというところまで乗せるまでのごめんどうを国の方で一つ見ていただけないか、こういうふうに私は思っております。じゃ、はっきりした、こうこうこうやればいいというようなことは、なかなかむずかしいと思いますので、その辺は十分実情に沿うように、あるいは非常に中小鉱山等がございまして、数が多いわけでございますから、きめのこまかい手もあわせて打っていただくというふうなことで、日本外国に比べて非常に条件が悪いのをカバーしていただきたい、そういうふうに考えております。
  35. 松平忠久

    松平委員 今のお話を聞きますと、結局国がもっと予算を出して、国際ベースに成り立つような方法をいろいろ考えてみたらどうかということに尽きるのじゃなかろうかと思うんです。その場合に、昔だったら補給金制度もあったでしょう。しかし現在は、そういうことでもなかなかおいそれとできないかもしれません。従って、今お話がありましたように、探鉱奨励金というか、あるいは探鉱の特別な会社でも作って、全額国庫でもって——石油資源開発株式会社には損をしながら半額国で出しているのですから、探鉱していくというような会社を作ることも一つの方法でしょう。それから減耗控除みたいな税制の措置もとらなければならぬだろうし、あるいは鉱山の合理化資金というか特別の——これはもうからない第一次産業なんだから、普通の銀行ベースではだめなんだ、だから特別の開発銀行みたいな、鉱山の開発のための特別な金融機関みたいなものを作って、長期低利の金を貸す、たとえば南イタリアの開発金庫は、三十年の長期、年三分の金を貸しているというような例がございますが、そういったような方法を考えなくちゃならぬじゃないかというふうにわれわれも考えているわけです。  そこでお伺いしたいのは、今、日本で銅山、そういう会社がたくさんございますね。皆さんが見て、なかなかよくやっている、それは品位が第一条件かもしれませんけれども、それを考慮に入れても、しかしこれはなかなかよくやっている銅山だ、もうかっているのじゃないか、こう思われるようなところがありましたら、一、二あげて下さい。
  36. 和田忠朝

    和田参考人 私は伸銅屋でございまして、どうも山の方のことはよくわかりませんので、一、二あげろとおっしゃいましても、実際わかりません。われわれ伸銅メーカーのところで、どこがもうかっているか、もうかっておらぬかということでございましたら大体わかりますけれども、山の方のことについてはちょっとわかりかねます。
  37. 松平忠久

    松平委員 山崎さん、どうですか。私が今言いました鉱山の合理化ということ、あるいは、要するに国でどういうところに一番力を入れればいいかということを皆さん業者側からお聞きしたい。
  38. 山崎善雄

    山崎参考人 やはり私もそっちの方はしろうとでございまして、要望するだけは要望しておりますけれども、鉱山の合理化なり銅価を下げられる方策がどういうのがいいかということは、実はわかりません。しかし、諸先生に御審議願っておりますことは、やはり減耗控除制にしましても、あるいは助成金のような措置にしましても、有効な措置だと考えております。御推進願うことが望ましいのじゃないかということでございまして、私自身もこんなきめ手がいいのだろうなんという大それたことを考えたことはございません。
  39. 中村幸八

    中村委員長 他に参考人に対する質疑はございませんか。——それではこれをもって参考人に対する質疑は終わります。  この際、参考人方々に一言お礼を申し上げます。  長時間にわたって率直に貴重な御意見をお漏らしいただき、まことにありがとうございました。     —————————————
  40. 中村幸八

    中村委員長 引き続き政府委員に対する質疑を行ないます。始関伊平君。
  41. 始関伊平

    始関委員 田代さんに先に伺いますが、さっきからお聞きのような工合に、自由化に備えて、金属鉱山に対する政策をどうするかということを、当委員会でいろいろやっておるわけです。それで、鉱業政策と申しましても、大体国家助成の問題ですが、この問題については、ワクはおのずから一定の限界があるわけです。その限界の中でどういう政策をやっていくかということを、われわれ研究しておるわけですが、こういった場合には、いわゆる自由主義のほかの国でやっている政策というものが一つの重要なる参考資料になるのじゃないかと思っております。ただ、限界があるといっても、その限界は必ずしも確固不動のものじゃなくて、そのときどきの経済の発展段階とか、あるいは経済情勢とか、いろいろなことで変わってくると思います。そこで、差しあたりの政策のねらいとしては、やはり自由化に対処し得るような態勢、国内の需要者にあまり迷惑をかけないような、あるいはきらわれないような条件を整えることが必要だと思うのです。  そこで、そういうような考え方に基づいていろいろお尋ねしたいのですが、今の金属鉱山というものは民営企業でやっておりますね。ですから、技術経営でなければいかぬ。従って、補助金とか奨励金とか、名目のいかんを問わず、私企業に対して国が金を出す場合は、厳格な基準というものがなければいかぬだろうと私は思います。その辺まではあなたと意見の違うはずはないと思うのだが、ただ、その基準があるとは言いながら、一ぺん出すときめた以上、そうけちけちせぬで、目的に合うように一つやってもらわなければいかぬと思うのですが、その辺から一つお答えいただきたい。
  42. 田代一正

    ○田代説明員 ただいま始関先生からお話がございましたように、今般の金属鉱山のあれに対しまして、国が自由主義社会の中においていかなる関与をすべきかというようなことだろうと思います。これは非常にむずかしい問題でありまして、私実は三年もこういうことをやっておりますが、国内の社会保障とか何とかいう問題ですと、簡単に、国の考え方ですが、出て参りまして、それに対していかほど金を投下するかという量的な問題になることが多いわけでありますが、事通産行政で、特にフリー企業ということを前提にたしました場合におきまして、どういった形で、またいかほどの金をということが非常にむずかしいわけです。特に資源産業、石炭、油、金属鉱山と申しますか、これはまた非常に各種各様でございます。個々の自由企業中心にいたしました国におきましても、またいろいろなやり方をやっておりまして、どうもこうであるということはなかなかむずかしい。特に問題になっております金属鉱山にいたしましても、これは日本金属鉱山の現況と申しますか、資源の状況、あるいは企業形態、あるいはそれに続きましたいろいろな事業体、関連から申しまして非常にむずかしいわけであります。とりあえず私どもといたしましては、通産省その他ともいろいろ御相談しました結果、今年の施策といたしましては、自由化対質として探鉱奨励金をふやすということが一つの問題でございます。それから、なおこれは予算面にははっきり出ていないのでございますが、通産省といたしましては、かねがね大手の金属鉱山中心になりまして、海外に進出したいという御希望もございまして、目下海外資源開発株式会社というものを作るという準備中と聞いております。そういたしますと、輸銀になりますか経済協力基金になりますか知りませんが、そういったものからまた金が出てくるということになると思います。そういった形で自由化に対処するというかまえが、ことしとしましてはできているのであります。
  43. 始関伊平

    始関委員 そこで、これは済んだ話でありますし、通産省と合意のしでおやりになったのだから、何か変な意味でお聞きをするのじゃないので、ただ考え方を伺いたいのですが、新鉱床探査奨励金というのが一億円から一億一千万円になり、それから三億になって、だんだんふやしていただいてけっこうだったと思いますが、いわゆる大手六社には出さない。もっともこれは、出さないというのは鉱山局長が出さないでよろしいと言ったから出さないということになったようですが、そうしなければ、あなたの方はふやすのは認めないというようなことで、結局あなたの方の御意向も加わってこうなってきたと思うのです。いい悪いとは申しませんが、これは一体どういうふうな考え方なんですか。
  44. 田代一正

    ○田代説明員 ただいまの御質問は、通産省がおきめになりました産銅六社につきまして探鉱奨励金を出さないという決定をどう思うかという御意見だと思いますが……。
  45. 始関伊平

    始関委員 どういうわけでそうしたのですか。
  46. 田代一正

    ○田代説明員 それにつきましては、探鉱奨励金を出しましても、これは財政援助の一つの形でございます。そこでまず考えなければならぬことは、今般自由化を行なわれる、行なわれた場合にどういった形の影響を受け、どこに最も大きな衝撃があるかということを考えなければいかぬ。そういたしますと、何と申しましても産銅六社は、自分で製錬所を持っている、あるいは資金的に幾ら苦しいとはおっしゃっても、現に一割二分見当の配当利率でやっておられるということもありますし、そういった点を見れば、資金的な制約という点から申しますと相当隔たりがある。さらに、技術的な問題から申しましても、相当隔たりがあるということで、そこは一つ分界を設けてもいいのじゃないかという考えが出てくる。  それから、その次の問題は、やはり一種の財政援助でございます。そういたしますると、一般会計の予算のみならず、その他の一般的な財政援助の中でどういうことになっているかということも考えなければいかぬ。それにつきましては、産銅六社は現に海外でスポット物を買っているとか、あるいは海外で一部探鉱をやるとかいうことで、すでに輸出入銀行から若干の融資も行なわれて、金利も安いということもございます。また、さっき申しましたように、産銅六社が中心になって海外の鉱物資源の開発に当たる、それにつきましても、やはり経済協力基金なりあるいは輸銀なり、そういった政府の金を使うという利便に浴する点も非常に多いということから考えまして、この六社を別に切り離すということは妥当じゃないかと思っております。
  47. 始関伊平

    始関委員 探鉱奨励金ですね。これは大体やってみても当たる場合もあるし当たらぬ場合もある。危険率がきわめて大きいものですね。だから、それ自体としては金融の対象になりにくい。ですから内部にある金で利益その他の留保されたものでこれに充てることが望ましい。そして税金もごっそり持っていかれると困るということで、これはあとで主税局の方にいろいろお尋ねしたいのですが、そういう問題が一つ起こって参ります。危険率が大きいという意味からいえば、私はそこに探鉱奨励金というものを出す本来の意味があると思うわけですが、今あなたのお話だと、産銅六社については、相当の利益配当もあげているし、自分でやれる余力があるからそうだ、こういうふうに了解いたしましたが、そうすると、状況のいかんによって産銅六社も、自分の手ではやれなくなるというような場合には、必ずしも除外せぬでいい、こういうことになりますな。
  48. 田代一正

    ○田代説明員 先生のおっしゃったことは、私が申し上げたことの一つのポイントだと思う。ただ私が後段に申しましたように、やはり海外開発株式会社、これはどういう工合にお話を承っているか存じませんが、当初はたしか十億の資金で、半分は経済協力基金から出資を仰ぐことになっておると思うのです。やはりそういったことも頭に置いていただかぬといかぬと思います。
  49. 始関伊平

    始関委員 そこで私のお話しした趣旨もある程度御了解になっているようですから、ちょっとお尋ねしますが、自由化ということできようは需要業界から高いという非常な反撃があった、あなたもお聞きになっていると思う。鉱山業界の方はどうなるだろうかということも、実は非常な不安を持っている。結局あなたのおっしゃることで自由化のしわ寄せがどこへいくかというと、利益が少なくなるわけですね。それからまつ先にくるのは、探鉱奨励金のようなものだと思うのですが、今あなたお急ぎのようだからちょっと途中ではさんで恐縮ですが、鉱山局の方に伺いますが、自由化後の六社の収益の予想はどういうふうに変わるかということと、それからもう一つ、現在まで新鉱床探査費というものを六社はどの程度出しているか、これが自由化になった場合にはどういうふうになるだろうかという見通しを一つお話しして下さい。
  50. 大木恒

    ○大木説明員 現在の鉱山の収益状況でございますが、これは三十五年度の実績をとりますと六十六億二千万というふうな数字が計上されております。これは課税、配当、差引前の金額でございます。これが自由化した場合の想定損益ということに相なるわけでございますが、自由化した場合の海外相場によっていろいろ計算できるわけでございますが、かりに三十五年度の世界の市況をとりまして計算いたしてみますると、先ほどの六十六億が三十億六千万円になります。また三十五年度の市況というのは、現在の市況から比べますと、銅、鉛、亜鉛、みな海外相場が高いわけであります。平均的な市況と申しますか、大体これくらいがモデレートなフライスじゃないかというようなところで計算してみますと、これをほかの条件が全く同一ということでやってみますると、十四億というのが出て参りました。これはやはり課税並びに配当差引前の金額ということでございます。第二の御質問の探鉱費でございますが、三十五年から三十六年度の六社の探鉱に使いました金は、おおむね三十二億円でございます。この中には新鉱床探査、営業探鉱、両方含まれておるわけでございます。三十七年度はおおむね三十二億円の支出を予定しておるわけでございます。
  51. 松平忠久

    松平委員 今六社のことを言われたのですけれども、私ども聞いておるところによりますと、これは川出君にちょっとお聞きしたいのですが、たとえは銅の値段が二十八万というようなことであって、そして三万の従量税関税をかけるという場合においても、二十八万を割ってしまうことも——二十七万かあるいは二十六万五千ぐらいになるか、そういうことになってしまう。鉛、亜鉛はもっとひどくなるということになって、そうして、今ここで資料で提出されました三十三年ぐらいの銅相場ということになると大へんなことになる。そこで、特別関税というか、緊急関税というか、これをかけるということなんだけれども、しかし、それはなかなか間に合わないのじゃないかと私は思う。そして十月一日から自由化されるということになると、大体半年以内に六割はつぶれてしまう、こういうことをわれわれは聞いておるわけです。  それで、現在炭鉱の労働者が約十四万人、家族を含めまして五十万人ある。これが小さいところはほとんどつぶれてしまうということになって、かりに労働者の場合におきましては、五割くらい減ってしまうのじゃないかということを聞くのですが、われわれの聞いておる情報というかそういうものは、当局から見てどういうふうにお考えになっていますか。
  52. 川出千速

    ○川出政府委員 その辺は、自由化になってみないとわからない要素もあるかと存じますが、現在の銅を例にとりますと、そして現在の海外相場で自由化をした場合、はたしてCIFでどのくらいの値段で銅の地金輸入されるかということでございます。その際は従量税が、先ほどお話が出ておりましたように、二年半の間はトン三万円、現在の相場で入ってきますのが大体二十四万円から二十四万円ちょっとくらいのところではないかと思っておりますが、それに三万円の関税がかかる。さらにそれが国内に入ってからの輸送賃とか、あるいはマージンとか、そういうものが含まれておりませんので、これをかりに数千円ということにいたしますと、二十八万円には達しないけれども、二十七万数千円ということではないかと思っております。  それから一方、輸入鉱石——先ほど参考人からいろいろ御説明がございましたが、輸入鉱石を三十六年度は十一、二万トン輸入しております。三十七年もそのくらいの輸入が期待されるわけであります。この輸入鉱石の方は品位がいい、値段が安いわけでございます。日本は国内の建値が高いために相当高く買い付けておるという国際的な非難はございますけれども、それでも国内の建値から比べると相当安い鉱石を十一、二万トン入れておる。それに国内鉱から出ている銅地金は九万トン前後でございます。それをプールしておる。従って、そういう点から考えますと、二十八万円以上のコストの山も、それは確かにあるかと思いますが、先ほどお話がありましたように、半分以上の山がつぶれるというようなことは絶対に私はないと思います。もっと非常に少ないのじゃないかというふうに考えます。  それから、山はほかの工業と多少違う点があるかと思いますが、品位の上下によってコストはきわめて敏感に上がったり下がったりするわけであります。従来、戦前自由化であった時代は、不況の際には、探鉱を豊富にしてたくさんの鉱量を確保しておった。好況になれば、低い品位のものを掘るということで、好況、不況に対応することができたということを聞いておりますけれども、そういうことで、自由化になりましても、当分の間はそういうことがある程度の弾力性は持っていると思います。現在は二十八万円なり二十八万八千円の建値で引き合う品位をやっておるわけであります。そういう点がございますけれども、これは長期的に見れば、どうしても品位を上げるということが何よりも大切なことであるというふうに考えております。
  53. 始関伊平

    始関委員 鉱業課長、あれですか、いろいろ条件が変わってくるでしょうが、今予想されるいろいろな価格その他の条件からいうと、今私が六社だけを問題にしておるのは、六社はとりあえず、補助金の対象になっていないということと、国内鉱に限ればあそこに八割程度が集まっておるという点で問題にしておるわけですが、六社の探鉱費として支出し得る額というものはかなり減ってくるのですか、どういう見通しですか。
  54. 大木恒

    ○大木説明員 自由化後におきます体質改善のために六社が必要といたします探鉱費、これを大体どのくらいに見積もるかということでございますが、自由化された暁の所要探鉱費というものを六社から聞いてみたわけでございます。そういたしますと、大体六十二、三億の金が年間に要る。これは探鉱費だけでございますが、それだけの金が要る。ところが、現在まで六社は大体三十三億程度の金を自己の負担でもって探鉱費につき込んでおったわけでございます。それから比べますと、相当の金が新たに体質改善のために必要になってくるわけでございます。そういう金が会社側として調達できません場合は、どうしても現在の経理状況から見ますと配当を落とす、あるいは償却を繰り延べるとか、そういうような内部操作もあると思いますが、やはり基本的には探鉱費を削減していくというような方向に向かっていくのじゃないかということを考えております。
  55. 始関伊平

    始関委員 それで田代さん、探鉱ができないと品位が下がったり経営の基礎があぶなくなったり、これがよくなるか悪くなるかの分かれ道のわけです。  そこで一つ伺いたいのです。石炭の場合ですが、これは重油関税をこの間上げましたね。その場合に、関税審議会で附帯決議もあったようですが、増徴分あるいは増徴前の全額というような意見もあったようですが、それを石炭対策費に振り向けろということがあって、あなたの方でも大体忠実にその処置をおやりになったと思います。しかし、今度銅について関税が上がりますね。この場合は、遺憾ながら関税審議会の際にそういう意見が述べられたというような印象もなさそうだし、あるいはそういう決議もなかったようですが、しかし、考え方としてこういう新しい財源があるのだから、全額とは申しませんが、そんなような相当大きな部分をこちらの方に振り向ける、大蔵省の建前は一々そういうものをあれしてはいかぬのだ、これはわれわれ十分了承しておりますが、実質的な意味で相当顧慮していいのじゃなかろうかと思うのですが、いかがですか。
  56. 田代一正

    ○田代説明員 石炭の例をおあげになったのですが、石炭に関連いたしまして油の関税を引き上げたわけであります。と申しますのは、関税審議会その他では、たしか先生のおっしゃったような御意見もあったかと思います。しかし、ああいう引き上げ方をしたということは、必ずしも石炭対策のための財源を確保するためのいわゆる財政還元的な感覚ではなくて、どちらかというと、今でさえコスト、特に一般単価が上がるというような競合関係から申しまして、何とかささえなければいかぬという角度で関税を上げた、結果的には……。
  57. 始関伊平

    始関委員 保護関税……。
  58. 田代一正

    ○田代説明員 という工合に私は聞いておりますし、また予算のふえ方も、たまたま数字が、石油関税がたしか五十億くらいの増徴ですか、そういたしまして労働対策並びに通産側のいろいろな鉱業対策、締めて五十五億円たしかふえていると思います。たまたま数字がやや近いものですから、そうじゃないかと思われるかもしれませんが、数字が五億の差で、これは必ずしもこれを見てびたっとはめたということではない。ただ石油関税を増徴したということもありまして、普通の労務対策ではとれない、たとえば雇用奨励費、あれは従来労務対策としてはとっておりませんが、それをやったということはあると思いますが、しかし、必ずしもそれを見合いにやったということではございません。今度鉱山関係につきましても若干関税を上げるのですけれども、若干出ると思いますが、山をどうするかという角度でものを考えて、関税が上がったからその金を全部使うという角度で考えるべきではないという工合に私は考えております。
  59. 松平忠久

    松平委員 今のはちょっと違いはせぬか。私の聞いたのは、関税審議会で説明があったそうですが、そのときに古河鉱業だったか、あるいは住友さんだったかの社長さんが、たしか関税審議会の委員をやっておるはずだと思う。その人から直接私聞いた話ですが、それによりますと、関税審議会のときに、たしか石油関税を今度二百四十億ですか、その中でもって百十億を石炭に振り向ける、目的関税みたいな工合のものである。説明も、従来の説明とは違って、率直に言って大蔵省の関税関係の人は非常に若しいような説明をなさったそうですよ、従来の建前を目的関税なんというのはまずいということがあったのでしょう、それをくずすわけですから。しかしながら、そのときに、説明の裏々では、結局これは目的関税に実質上なったような結論に説明がなされたように審議会の委員は聞いたそうです。そこで、その鉱業関係から出ておられる関税審議会委員の方は、そのときに、これは目的関税になっているのではありませんか、そして、われわれの方の鉱山関係も、今度の関税の改定によりまして非常に政府の収入が上がるわけだから、それをやはり同様に、石炭と同じように、われわれの方へ一つくれないかということを、関税審議会でそのときに述べたそうです。そうしたら、そとの大蔵省の担当の人は、非常に困ったような顔をして、口をもぐもぐさせて、それでうやむやなような返事をしたということを私は聞いておるのですが、そういう事実は御存じございませんか。
  60. 田代一正

    ○田代説明員 ただいま松平先生からお話がありました。私の聞いたのは、石炭関係で今度原油を上げるというときには、かなりそういったことは御議論があったということは聞いておりますが、本件の場合についてそういう話があったということは、関税局の担当の方からは全然聞いておりません。
  61. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 関連して。ちょっとおくれまして参考人の御高見を拝聴することができませんでしたが、結局銅を原料とするメーカーの方では、国際価格並みに日本の銅を引き下げてくれ、日本中小鉱山の現状では、よほど国策をもってあんばいを加えないと、世界市価に平均するわけには参らない。実はきょうも私の出身地の秋田県知事が参りまして、中小鉱山の現状というものは、将来非常な不安が醸成されておるために、早く国策を決定してもらわなければならぬ、金属鉱山委員会に、来週か再来週資料を持って陳情に来たいということがあったのでございますが、私の観点から参りますと、これは日本の国策が大きく展開をいたしておる。すなわち、貿易の自由化というものを断行するという建前から、現在の日本中小鉱山の不安というものが醸成されておるわけでありますので、これに対しましては、われわれも同様でございますが、政府当局は、いわゆる抜本策を樹立いたしまして、この中小鉱山の不安を除去するということが、私は政治であると思うのであります。そういう点から鉱山局は、いろいろな立場に立って貿易の自由化に対処すべく、三十七年度の予算編成をやったようでございますが、大蔵当局がここにおられますが、どうそれを了解しておられるのか、ようやく八億という探鉱奨励金の線を出すと、これを三億に切ってしまう、こういうことは平時においては私はいいと思う。しかし、こういう大きな国策転換に際して、その業務を担当する通産省の鉱山局が、八億あればやれるという線を出しておるのに、三億に切って、そしていたずらに中小鉱山の将来に対して不安を醸成するということは、これは私はいなけいことじゃないかと思うのであります。でありますから、三十七年度の予算に対して今ここで文句を言うても、これは死児のよわいを数えるにひとしいから私は言いませんけれども、われわれは、午前三時まで本会議をやって、そして一寝入りして国会にやってきて、今まで時間をかけて金属鉱山のために一生懸命になって努力しているということは、何とか貿易の自由化に対処する中小鉱山の前途に対して不安なからしめたいということで一生懸命やっておるのでありますから、大蔵当局におかれましても、そういう事態を一つよくお考え願って、少なくとも三十八年度の予算編成に際しては、国会の意思というものも尊重し、また通産当局から、これならば貿易の自由化に対処して日本中小鉱山を救えるという結論が出たら、これを器用に予算の上に盛って、そして中小鉱山というものの前途に不安なからしめるということ、これは一時的でもいい、一時的に不安というものを除去して、さらにその恒久対策を考えるという余地を残してもらわなければならぬと思う。すべてのものに対して恒久対策と緊急対策がある。やはり緊急対策というものは、金がないために困っているときは金をやる。それが探鉱奨励金の形でも、あるいはいかなる形でも、格差の補給でもいいし、何らかの措置を講じて、一度中小鉱山というものの不安を除去しておいて合理化をやるとか、あるいは格差補給金の制度をきめるとか、国策的な探鉱政策を設立するとか、あるいは買い取り機関を設けるとかいろいろな方法はあるだろうと思いますけれども、もう目の前に貿易の自由化というものが押し迫ってきておるのでありますから、三十八年度の予算というものは、まず恒久対策というものの一段階の足がかりになるかもしれないけれども、大部分は緊急対策によってこの中小鉱山の前途というものを一応救わなければならぬのではないか。日本の山があってもいいとか、なくてもいいとかいうことは、われわれ政治を担当している者に対しては、これは論外なんです。あくまでも日本の山というものは守って、そこに働いておるところの労働者には安定した職域というものを与えていかなければならぬ、こう思っておる。何か、さっきから伺っていると、どうもそういうところが、大蔵当局においては非常に思いやりがないのではないかというふうに私には感ぜられたのであります。これは大蔵大臣に聞くのが本筋でありますけれども、将来大蔵大臣になるであろうところの大蔵当局に、一つそのような観点から御高見を拝聴いたしたいと思います。
  62. 田代一正

    ○田代説明員 齋藤先生にはかねがね御教示にあずかっておりまして、本日もまた御教示にあずかりました。私も三年やりまして、先生にいろいろ叱吃激励されまして、ようよう今日まで至ったわけであります。特に金属鉱山の問題につきましては、かねがね勉強はいたしておりましたが、われわれといたしましても、昨年は二、三カ月かけまして、主計局の中でも甲論乙駁、いろいろ議論をしたものであります。その結果が三十七年度になりまして、先ほどから先生方にそういった措置は手ぬるいではないかという御意見があったのであります。今後とも私どもといたしましては、金属鉱山対策につきまして、石油、石炭と相並びまして十分研究いたしたいと思っております。
  63. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 まあ一つ、三十八年度の予算は特別に考慮を払って、中小鉱山のために不安を除去していただきたいと思うのでありますが、もう一点だけ伺っておきたいのは、通産省が今海外鉱物資源開発株式会社の構想を持っておるわけでありまして、今あなたも政府の金が五億出て、民間から五億出て、合わせて十億、これは輸銀から出るのか、海外経済協力基金から出るのかわからぬというお話があったのでありますが、大蔵当局としては、こういう構想が成り立って、海外鉱物資源の開発を日本がやろうという態勢が一般業界からも盛り上がって、この会社を設立しようというときには、快く海外経済協力基金ないしは輸銀から五億の金を出してやろうというようなお考えに立っておられるかどうか、これを一つ承っておきたいと思います。
  64. 田代一正

    ○田代説明員 海外経済協力基金並びに輸銀と申しましたけれども、これはやはり別の機関でございます。それで総裁がおりますので総裁がおきめになる問題だと思います。私から申し上げますと、非常に僭越になりますので、確定ということを申し上げることは控えたいと思いますが、私個人の資格で申しますれば、海外経済協力に関します案件もいろいろあると思います。そういった案件の中でも、現在通産省でお考えになっております案件は、非常にいい案件ではないか、こういうふうに思っております。
  65. 始関伊平

    始関委員 先ほど田代君から原油の四%相当額引き上げの意味について話があったのですが、あれは大蔵省の公式見解か、あるいは田代主計官の個人の見解か知りませんが、あなたのおっしゃったことは、私の持論なんです。いろいろ違ったエネルギーが各個ばらばらではどうしても混乱するというのは、あなたの持論と同じでありますが、それでいくなら、そういった千五百円か二千円なり相当やらなければ意味がない。あなたはああおっしゃったが、石炭対策費に充当するということを主目的にして、関税審議会あたりではとったと私は了承しております。その点はどうでもいいのですが、今度の場合税額が幾らになるか知りませんが、おそらく何十億ということになるだろう。それから関連させると、あなたはここで言質をとられると困るので、非常に用心深い発言だろうと思いますが、これはお答えを求めませんが、こういった方策を進めなければいかぬということは、今の事情からいってどうしてもやむを得ない、一方財源もあるということで、ぜひ考えていただきたいと思います。  それから実はこの程度の問題は、私も役所におりましたので様子がわかるのですが、大蔵省では大臣や局長に話すよりも、あなたによくお話ししてやってもらう方がいいと思うので、私は申し上げますが、ことにアメリカという国は、実は産業政策的に非常にあっさりした国で、十年ばかり前にワシントンへ行って、あそこの鉱山局長に会っていろいろお話をしてきたが、そのときに、向こうでは何にもやらぬ、石炭が六億数千万トンから四億数千万トンになって二億トン減産になったが、その間政府は何にもやらなかった。やったのはディプレスト・エアリ ア・アクトを作り、失業救済事業をやっただけだ。アメリカでは鉱山の助成は行なわず、やっているのは鉱山保安と鉱業統計を作ることだけだ、私もそう思ったのですが、最近はだいぶ様子が変わってきたようです。鉱物資源探査開発取得に関する法律というのができて、外務省にそのための特別の局が設置されておる。日本語に訳すと、鉱物資源探査局という名前になるかと思いますが、そういうものができておる。これか一九五九会計年度で四百万ドル、日本金に直すと百四十四億円くらいになる。一件当たりの助成の限度は二十五万ドル、あなたのお考えのように、大鉱山だからということで差別待遇はしておらない。ただほかで金融がつかないという証明がないといかぬということになっておるのですが、そういったようなことをやっておる。それからその目的は、元来は国防上の目的だったのだが、最近は貧困地域、これは日本の言葉でいえば後進地域ということになりますが、これの開発、不足物資の開発というようなことのためにこういうような措置を講じておる。私の立場からいうと、アメリカですら、と申しますのは、鉱物資源の埋蔵量あるいは賦存状況、品位、こういうものが日本とは比較にならないアメリカですら、こういったようなことをやっておるわけですから、その他カナダあたりのやり方は少し強過ぎて、私自身日本でやることは反対ですが、これは相当参考にしていいのじゃないかと思います。かたがた、さっき申し上げたように財源も相当たっぷりあるので、いかがですか。
  66. 田代一正

    ○田代説明員 ただいまわが国と同じような社会制度にあるアメリカが、かなり思い切った探鉱奨励をやっておる、それをすみやかに研究したらどうかという御意見だと思いますが、私、この点につきまして通産省から伺っておる範囲では、アメリカ、フィリピン、いろいろなデータがあるようであります。ただ非常に不勉強でございまして、その程度説明しか受けておりませんし、アメリカという国がどういった思惑でこれをやったのか、その深い真意も実は十分知らぬので、明確な御答弁はできないかと思いますが、ただ一般的に言えますことは、職掌柄いつも問題になる点で、国立試験研究所に対する助成という問題が、常に問題になるわけであります。この場合も、過去の予算比較をいたしまして、よその国に比べて日本が少ないということがちょいちょい指摘されるという例があります。しかし、その場合に考えなければならぬことは、やはり何と申しましても国の置かれておるポジションと申しますか、国防上のセキュリティということであり、どの程度らウエートを置いてものを考えるかということであります。従いまして、国防的な感覚から申しますと、金に糸目をつけずにうんと試験研究もやらなければならぬし、あるいは世界でも非常に希少価値のある金属鉱山に対して、相当助成もやらなければならぬというような意見があるのであります。そういったことが、今の段階では想像もつかぬくらいの大きなウエートがかかっているのではないかという気がいたします。従いまして、一がいにアメリカがやっておるから日本もやったらどうかということは、今の段階では簡単に割り切ることはできないではないかというような工合に考えます。
  67. 始関伊平

    始関委員 アメリカの政策がどうして変わったか、あるいはその真意はどうかということが必ずしもはっきりしない、その点、私も同感です。これは通産省なり、鉱業協会にでもよく調べてもらって御連絡を願いたいと思いますが、ナショナル・セキュリティという考えから出発したのであるけれども、それだけではなく、地域開発とか、資源探査開発の助成とかいう意味もあわせて持っているのであって、この法律の適用品目も多く、銅、鉛、亜鉛ども含んでいるのであって、これは終局本来の意味における鉱業政策の意味が多いと思いますので、鉱山局の方とよく研究されまして、私も実はそういう疑問を持っておるので、御連絡を願いたいと思います。  次に、今度もし金属鉱山対策として新しい政策を打ち出すとすれば、一番可能性があって有望なのは、業界にもそういう構想があって、通産省は大蔵省まで持ち出さなかったようですが、探鉱事業団というような構想です。これは今研究機関といいますか、お話がございましたが、先に地質調査所に伺いますが、地質調査所の地質調査というのは、メタル・マイニングの開発に対して、どの程度に、またどんなふうに役立つような調査をやっておるかという点と、もう一つは、地質調査所のカルテといいますか、あれを見ますと、資源調査と地質調査がある。ここで資源調査ということをいっておるのは何か、これは地質調査と並べて書いてあるので、埋蔵量調査でなければならぬと思いますが、その辺をどうやっておるかということをお聞きしたいと思います。
  68. 高畠彰

    ○高畠説明員 地質調査所長が今出張しておりますので、私かわって申し上げます。  今私の方でやっております鉱床調査につきまして、どういうところまでやっておるかという意味の問題かと考えますが、それにつきましては、私たちの方でまず一番問題にしておりますのは、いろいろな鉱区を持っておりますから、各鉱山は鉱区内の調査をやつておりますが、私どもは、地域的に見て輻湊しておるようなところを主としてやっております。それから資源のポテンシャリティという面からやっております。それから一つずつの鉱山調査ということにつきましては手も及びませんけれども、大体大きな鉱山は技術者もいるということで、そういう面を主としてねらっておる。それからもちろん資源の中には、現在使われておるもののほかに、未利用資源というものがありますが、そういうものにつきましては、とにかく全国的にシラミつぶしに調査をしてやっておるというような現状であります。それから今の地質調査と鉱床調査の問題ですが、私どもの言っております地質調査は、大体図幅地質調査と国土調査とを申します。国土調査とは、国土の開発、たとえば工場地帯の地盤調査とか地下水の調査、そういうものを地質調査と単純に申しております。資源調査は、いわゆる金属、非金属、燃料、そういうものを大体考えております。そういうことでございます。
  69. 始関伊平

    始関委員 そうすると、あなたの方の調査は、基本的な調査で、いろいろ大きな意味があるものと思うけれども、開発の前提としての調査、従って経済性といいますか、稼行価値があるかないかというところの調査まではなかなかいきにくい、こういうことなんですね。
  70. 高畠彰

    ○高畠説明員 実は先ほど申し上げました未利用資源につきましては、個々の鉱床なり地域の稼行価値があるかないかというところまで結論を与えるわけであります。それから現在やっております銅、鉛、亜鉛とか鉄とかいう鉱床につきましては、先ほど申し上げましたように、手も足りませんので、大体業界でおやりになっているということで、われわれはその資料をもとにしまして、国として資源はどういうものがあるということを把握しているということにとどまるわけであります。
  71. 始関伊平

    始関委員 そこで、田代さん、こういう問題なんですがね。地質調査所では、資源開発の前提となるような内容を持った調査にはなかなか入れない。一方各鉱山会社というものは、資金の関係その他で、資源探査の事業が必ずしも思うようにいかぬ。そこで詳しい内容は、もし必要ならば鉱山局から説明してもらえばいいのですが、各会社共同で人を集め、金を集めて、政府にも出資をしてもらって、国策会社的な探鉱事業団というものを設けるという構想があるんですね。これは先ほどの奨励金と見合いになる問題なんですが、新しい政策を取り上げるとすれば、経営者あるいは組合側の方々からいろんな案が出てきておりますが、こういった構想は、その中で一番有望なのじゃなかろうかと思うのです。とれについてすぐイエス、ノーということはおっしゃれないだろうし、そういう答弁をここで要求するつもりはありませんが、考え方としてどうでございますか。簡単な考え方でけっこうです。
  72. 田代一正

    ○田代説明員 今のお話は探鉱以前——探鉱以前かどうか知りませんけれども、非常にぎりぎりの問題で、一種の探鉱以前までの、その辺のことをやる総合的な会社を作って、そこに資源の探査とかなんとかをやらしたらいいじゃないかというお話だと思いますが、これにつきましては、ここにおられます齋藤先生にそういうことを言うとおこられると思うのですが、実は石油資源に一つの近い例があると思うのです。ところが、何と申しますか、その前提としまして、国内に相当有望な、国際競争力のある程度ありそうな山が相当見つかるというような角度がないと、いたずらに掘ってみても、今よりさらに品位の低い山ばかりしか見つからぬということでは意味がないと思いますし、それにそういう問題をやるにつきましては、現在やっている営業探鉱のほかに、新鉱床探査という形で業界がやっておられるし、それに対して探鉱奨励金も出ているわけであります。そういう形でやった方がいいのか、そこをもう少ししさいに分析してみぬと、どちらがいいということは言えないと思います。
  73. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 始関委員の御質問について、簡単に関連質問をいたしたいと思います。  鉱山局長が試掘権を許可するときには、現在のやり方は、大体その地区に鉱物があってしかるべきだということで試掘権は登録するわけですね。ところが採掘転願の場合は、「採掘権の設定を受けようとする者は、前条第一項の規定による出願と同時に、出願の区域について目的とする鉱物の鉱床の位置、走向、傾斜、厚さその他鉱床の状態を記述した鉱床説明書を提出しなければならない。」これは現状においては厳密に行なわれていないのですね。そういうものが提出されるか知らぬけれども、それが実際ほんとうに現存するかどうかということの調査は、なかなか厳密に行なわれておらないわけなんです。そこで始関委員の御質問関連をするのですが、地質調査所の機能ですね。地質調査所というものは「地質及び地下資源の調査並びにこれに関する研究、技術指導その他これらに附帯する業務を行う。」こうなっている。それから鉱山局が採掘転願の採掘権を許可するときには、この鉱脈の走向その他一切の書類を受け付けたときに、それの確認をどこでやるかというと、これは地質調査所でやる以外に今行政庁としては機能がないわけなんですが、この機能を地質調査所には持たしていない。やらしていない。なぜやらしていないかというと、ちゃんとこういうふうにやり得るような官制にありながらやれないということは、地質調査所の機能を現在のような小さな機能に置いておくからやれないので、これにたくさん予算をつけてやって機能を拡大して、採掘転願をやるときには、その山はほんとうに採掘に値するかどうかということを一ぺん国家機関が調査して、そうしておやりなさいといって永久的な採掘権を与えたら、それに必要な金のあんばいもしてやるし、これを育成強化してやるということをしなければ、いわゆる日本の鉱業行政というものは場当たり鉱業行政というものになって、それを育成する永久的な政策にならないと思うのですが、私の言うていることが、間違いなら間違い、正しいなら正しいと、地質調査所と鉱山局の答弁を簡単に願いたい。間違いなら、この次にまた論戦をやりますが、どうなんですか。
  74. 高畠彰

    ○高畠説明員 ただいまの先生の御意見、私たちは年来そう思っているのでございますが、いろいろの事情がございまして、それ以上のことは私たちにはわかりませんので、——事実そうすべきだとは私たちも思っております。
  75. 川出千速

    ○川出政府委員 私も先生の御意見が映りであるというふうには考えておりません。
  76. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 正しいと思っておりますか。
  77. 川出千速

    ○川出政府委員 それはいろいろの事情がありまして、なかなか急に理想を実現することはむずかしいと思いますけれども、そういうことができれば非常にけっこうなことだと思います。
  78. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 鉱山局長と地質調査所の意見を、大蔵省は一つよく心得ておいていただきたい。
  79. 始関伊平

    始関委員 田代君に対する質問はこれで最後ですが、探鉱事業団といっておりますのは、石油資源のように自分で最終的な経営をやって、それで自主生産をやるという目的のものではなくて、探鉱だけをやって、そこに今までのあれによれば、資源探査奨励金のようなものをつぎ込んで、うまくいった場合には探鉱業者に実費で売り渡してやる、こういうところのものだと思うのです。問題が大きいですから、これ以上の御答弁は要求いたしませんが、田代君もだいぶ好意的のようだし、予算編成期にならぬ前に打ち合わしていただきたいと思います。  それでは、大へんお待たせしてなんでしたが、主税局の税制課長にお尋ねをいたします。  実はきょうここでお尋ねしたいのは、金属鉱山に関する税制の問題なんですが、十年ばかり前に、この商工委員会に当時の主税局長渡辺君に来てもらいまして、この問題で論議をしてみたことがあるんです。それで当時渡辺君は、一応わかったから検討してみようと言ったか、考慮してみようと言ったか、あまりすげない返事じゃなかったのですが、その後進展しておらぬように思います。それで、外国では減耗控除とか、あるいは鉱床補てん積立金というような制度がございますね、これはあなた専門家だからよく御承知だろうと思いますから、この趣旨はあらためて申し上げるまでもございませんが、メタル・マイニングは稼行を続ける限り、それに比例して埋蔵資源がだんだんとなくなる。その点は、原料の供給を外部から仰ぐ一般工業とは、大へん違うわけです。それから、さっきから言っておりますように、やってみても当たるか、当たらぬかわからぬ、危険率が大きい。千三つと言っておりますが、千三つかどうか知りませんけれども、とにかくわからない。そこで探鉱に必要な資金というものは、金融では調達が困難だ、内部に留保された金でないとこれは困るわけなんですが、それをごっそり税金で持っていかれたのじゃ困る、こういう問題になるわけです。もう一つ鉱山の場合には、これから自由化になると、ますますはなはだしくなると思いますが、好況のときが少なくて、不況のときが長いですから、好況のときに、ある程度の利益の中から留保金を認めてもらうことが非常に望ましいわけなんです。もう一つ言いたいことは、諸外国ではほとんど例外なしにこの制度をやっておりまして、大体鉱業政策の一番大きな柱をなしているような感があります。最初にお伺いしたいのですが、この問題がいつから始まったかは別として、私が最初に取り上げてからもう十年になるわけですが、今日までの経緯ですね、税制審議会なんかで論議されたことがあるのか、ないのか。論議されたけれども、結局だめだということになったのか。とすればその理由。こういう点を一つ最初にお聞かせ願いたい。
  80. 細見卓

    ○細見説明員 十年間を全部よく知っておるというわけではございませんが、先ほどお話がございました点で、われわれの方は、その後、いろいろ税制の上で鉱山関係につきましては特別措置をかなり拡大して参っております。従いまして、現行の税制は、金属鉱山につきまして、事業を大いに伸張、発展さしていかれる点にできるだけのことをいたしておるとわれわれは考えておるわけであります。なお、減耗控除その他につきましては、これは税制調査会でもたびたび論議いたしておりますが、税制としてはとることができないという結論に、そのつどなっております。
  81. 始関伊平

    始関委員 ここに資料があるのですが、外国の例を見ますと、減耗控除をやっております国は、アメリカ、チリ、ボリビア、ペルー、コロンビア、カナダ、オーストラリア、南ローデシア、スエーデン、フィリピン、こういう国がやっておりますね。それからほとんど内容は同じだと思いますが、鉱床補てん準備金制度というのはフランスがやっておる。私は外国でやっておるから日本でもやれるだろうとは言いませんが、とれだけ多くの国でやっておるということは、それだけ客観的な妥当性あるいは合理性があるということを意味しておると思うのですが、日本ではできないというのは、一体とういうわけなんですか。
  82. 細見卓

    ○細見説明員 釈迦に説法になろうかと思いますが、アメリカで減耗控除のあることは確かにございますが、御承知のように、大体アメリカ国会が開会中に、この減耗控除をやめろという議員提案が、普通一会期に五つか六つ提案になるというのが事実でございます。しかし、御承知のようにテキサスもあり、いろいろ鉱物関係の力も強いと言うと語弊がございましょうが、いろんな事情がありまして、成立は見ておりませんが、大体五つか六つの議員提案があるように承知いたしております。  なお、日本でそういうことをなぜいたしませんかというお話でございますが、これは税の建前といたしまして、投下された資本の回収ということは、当然税の上で考えるわけでございまして、それを自由化とか、あるいは企業のいろいろな事情を考えまして、早期償却ということにつきましては、今特別措置その他でいろいろ考えておるわけであります。利益がありますときに留保いたしまして、それを不況のときに使えというお話でございますと、実は私ども大蔵委員会では、特別措置をたくさん作っておるということでいつもしかられるわけでありますが、ほかの委員会へ参りますと、たとえば勤労者が住宅を建てるために金を積むのをなぜ課税するか、あるいは中小企業が体質改善をするために積み立てをするのをなぜ課税するか、あるいはもっとはなはだしいのになりますと、土地を持っておられる人が、いろいろ公共事業その他で土地をとられるときに、お前たちが税金をかけるから、公共事業が思わしく進捗しないのだというようなお話がございまして、皆さんの御要望を聞いておりますと、おそらく税金のとれるところはどこにもないというくらいなことになるのじゃないかと、かように思います。
  83. 始関伊平

    始関委員 どうも、これは非常に手ごわいようですな。特別償却の制度は、御承知の通り日本でもやっていただいておるのですね。しかし、外国のやり方は、減耗控除と特別償却というものとを並行してやっているわけですね。そして今いろいろおっしゃいましたが、合理的でないもの、あるいは望ましくないもの、それから外国にも実例のないようなもの、そういうのはお断わりになったらいいと思うのです。外国でもやっておるし、日本でも、これは鉱山の立場からいえば望ましいことはわかり切っているのですがね。ただあなたの方で、日本の税の組織、制度になじまぬとかなんとか言われると、こっちはしろうとですからちょっと困るわけですけれども、こういったような性格のものは、ちょっとほかに見当たらぬですがね。しかも、探すのに非常に骨が折れるというものですから、私は、ほかに拒絶していいいろいろな要望があるから、合理的な望ましいものまでけ飛ばしてしまえというふうに伺って、大へん遺憾ですが、もう一ぺん一つ。
  84. 細見卓

    ○細見説明員 若いものですから大へん失礼な言い方を申したかもわかりませんが、たとえば自由化を控えまして、中小企業が近代化していかなければならない。中小企業の場合、もうかるときは非常にもうかりますが、もうからないときは、それこそ倒産に近いところまでだめになってしまうということで、もうかったときに、その金を機械設備の購入のために置いといてくれ、こういうお話が中小企業関係にあり、現に基本法の方にもそういうことを入れたいという御要望がありまして、それは困りますということでがんばっておるわけであります。なお、同じような例ではございませんが、同種の要望を申し上げてみますと、たとえば海外市場開拓のために、全く海のものとも山のものともわからない、たとえばアフリカのいろいろな未開発の国に出ていく、はたしてその商売が成功するかどうかわからない、まして、金属鉱山にもそういう事例があろうかとは思いますが、中小の商社が出ていきまして、せっかく市場を開拓して、これからそこから収益が上がっていこうというときになると、大商社が出てきてごっそりさらってしまう。従って、こういうようなものは初めから経費にしておいてくれ。それを、主税局のように、あとでもうかるじゃないかという話では間に合わぬのだというような議論、数え上げますと、同種の事例はたくさんございますので、ここでほかのものを持ってきてどうこうと言うことはない。むしろ私どもは、今特別措置でやっておりますことを逐一申し上げましたらおわかり願えるかとも思いますので、あるいはくどくなろうかと思いますが、その点申し上げてみたいと思います。  第一番に、探鉱費用の関係でありますが、御承知のように、機械その他を購入いたしますと、普通の税制でありますと、そのときには経費になりません。たとえば五年なり十年なりを耐用年数として持ちまして、その期間に割り振っていくことになっておるわけでありますが、にもかかわりませず、探鉱用の機械設備につきましては、新鉱床用の探鉱の用に供しましたときは、いわゆる試錐機だとか、あるいはロード・ローラーというものを九割最初の年に経費として落としていただいてけっこうです、こういうふうにいたしております。  それから先ほど始関委員からお話がございましたように、金属鉱業は、だんだん探鉱費その他がかさんでいくことだと思いますので、そういうことを考えまして、基準年度を二十九年から三十一年までの平均にとりまして、その探鉱費をこえたときにつきましては、既存の鉱業権につきましても、そのこえる部分に相当する金額で割増し償却をする、こういうことにいたしております。  それから鉱業用坑道につきましては、生産維持のために取得いたしますいわゆる坑内坑道、あるいは坑内に敷設されますレール、動力機、動力線というようなものにつきまして、車両も含めて、初年度において全額損金にしてけっこうです、こういうふうにいたしております。運搬坑道に転用されることのない通気坑道あるいは排水坑道につきましては、三割増しの特別償却を年々認めていく、こういうことにしております。  それからこの一月でありますが、金属鉱山の坑道につきましては、特別償却に特に指定をいたしております。御承知のように、これにつきましても、今設備投資の過大ということで、一部には特別償却を全部やめてしまえという議論もあったのでありますが、金属鉱山の特殊性にかんがみまして、一般坑道についてあらためて特別償却に指定するというところまで、初年度三分の一別ワクでその分だけ償却できるということにいたしておるわけで、われわれといたしまして、金属鉱山については、現行税制が許します範囲で考えられるだけの措置をいたしておる。  なお、申し忘れましたが、探鉱の結果、それが失敗に終わったときには、経費になることは当然でございます。ですから、投下資本の回収という意味では、現行税制のワク内で、おそらくこれだけめんどうを見ておるところはございません。鉄鋼といえども、ここまではやっておりません。
  85. 始関伊平

    始関委員 お話はよくわかりましたが、投下する資本があったときに、その特別償却という意味で認めてもらっているということはわかりますけれども、問題は投下する資本があるかないかの問題ですね。それは、利益を生ずるということは、全般に及ぶというお話で、その点は幾らかわかるような気もいたしますけれども、それではもう一ぺん伺いたいけれども、今アメリカの話がありましたね。ほかの方とのつり合い上困るということだと思いますが、ほかの国は、そういうものを一体やっておるのか。ほかとの均衡上困るという問題さっきずっとあげましたように、もしそういうお調べがあったら、知らせていただいて、それでおしまいにしましょう。
  86. 細見卓

    ○細見説明員 外国の世論のことでございますから、十分資料はございませんが、やはり減耗控除にいたします場合に、どういたしましても、投下資本を上回る回収ということになるわけでございます。成功した場合には、投下資本を上回る滅耗控除を年々していくわけでありますから、埋蔵鉱産物が、予定以上に多いときには、投下資本をはるかに上回るものが出てくる。私自身の見聞でありますので、あるいは間違いがあるかと思いますが、アメリカなどの場合、鉱業権がさらに分割されていきますと、現実に金属鉱山なりそうしたものに携わって、開発なりに当たっておられる人以外の人にわたっていくこともありまして、そうした人が、つまりテキサスの石油と何と関係もないボストンの住民が、減耗控除を受けるというようなことも起こるわけであります。問題は、鉱山権を売却すれば同様の問題が起こりますが、これが本来鉱山の減耗のためにインセンティブであるという意味からはかなり離れた、やはり独特の、長い時期の間に、それが一つの権利化していきまして、それぞれの権利が移転していって、そうして当初考えたものよりはやや違ったものになっておる面もあるやに聞いております。
  87. 松平忠久

    松平委員 ちょっと委員長に希望を申し上げます。  参考人の方の意見も聞いたし、事務当局意見も聞きました。これで、この問題は解決するということはありません。  そこでお願いしたいのですが、十月一日に自由化という方向になるならば、きわめて深刻な事態が、この金属鉱山のみならず、これは電線関係あるいは伸銅関係にもあると思います。そこで、この問題をどうやって解決していかなければならぬかというのが、われわれの委員会の任務でなかろうかと思います。そこで、次回は、この委員会なりあるいは懇談会の形式か、いずれにしても通産大臣に来てもらって、腹を割って話をして、どうするんだということを、われわれが腹を割って話をし、さらに、その上に立って大蔵大臣を呼んで、ほんとうに腹を割って話をして、九月三十日までの間に、ほんとうの根本的な、抜本的な対策を講ずる、そういう方向にこの委員会を運営していってもらいたい、これを委員長に希望しておきます。
  88. 中村幸八

    中村委員長 委員長におきましても、今、松平委員から申されたように、事態は非常に深刻であることを痛感しておるものであります。従いまして、でき得ればこの国会中に強力なる対策を樹立すべく、今、松平委員の言われるような方法により、あるいは大臣を呼んでくるなり、その他の方々も来ていただいて、十分懇談をいたして結論を出したいと、かように思っております。  次会は、来たる四月十日、火曜日、本会議散会後に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十八分散会