運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-27 第40回国会 衆議院 商工委員会金属鉱山に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十七日(火曜日)     午後三時三十一分開議  出席小委員    小委員長 中村 幸八君       浦野 幸男君    齋藤 憲三君       始関 伊平君    石山 權作君       多賀谷真稔君    田中 武夫君  出席政府委員         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君  小委員外出席者         通商産業技官         (鉱山局鉱業課         長)      大木  恒君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局鉱         山課長)    飛田 一夫君         日本国有鉄道参         事         (営業局貨物課         長)      白崎 正義君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十七日  小委員小沢辰男君及び多賀谷真稔君同月二十六  日委員辞任につき、その補欠として小沢辰男君  及び多賀谷真稔君が委員長指名で小委員に選  任された。 同日  小委員松平忠久君同日委員辞任につき、その補  欠として石山權作君委員長指名で小委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金属鉱山に関する件      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより商工委員会金属鉱山に関する小委員会を開会いたします。  金属鉱山に関する件について調査を進めます。質疑のお申し出がありますので、順次これを許します。石山權作君
  3. 石山權作

    石山委員 先ごろ東京で国連アジア極東経済委員会が開かれて、アジア方面に対していろいろ経済に関心を持つ有能な人たちがたくさん日本を訪れたわけです。その中で、いろいろ言われているうちで、特に注目される話の中でこういうのがございました。日本経済の成長はまことにすばらしいものがある、しかし日本経済には安定性が非常にないという欠点がある、その安定性の欠けている時期に今際会しているんだ、こういう場合に自由化あらしの中に日本経済をさらすことがはたして利益なのかどうか、こういうふうな言い分です。私はそういうふうな意味日本経済全般の話を進めるつもりではなくして、不安定の時期に今際会しておる、そうした場合において、いわゆる農産物に次いで非力だといわれている鉱産物その他を、いわゆる無条件で自由化あらしにさらすことが利益かどうかというふうに、問題をこっちへ向けて質問したいわけでございます。私どもの方で今継続審議をお願いしている法案金属鉱産物価格安定臨時措置法というのも、この不安定な中で自由化をされようとする鉱産物に対して、われわれは一定の安定感を与えてやりたい——局長は私とも社会党が出した法案に目を通していますか。局長は目を通すひまがなかったら担当課長さん目を通しておりますか。社会党の出している法案一体何をねらっているか。私ども社会党は、先ほど言いました国連の有能な方々、エカフェに集まりました人々言葉をやはり私どもは分析をして、そしてこの法案を前の国会から出しているわけでございまするが、自由化あらし日本鉱産物をどういう格好で対処さしていくか。大きな項目でよろしゅうございます。たとえば例を銅なら銅というふうな一番輸入鉱石の多いものを対象にしてもよろしゅうございますが、それに対して第一次にはどういう格好でこれに対処させるか、第二次、第三次というふうにどういう方向でこれを安定をさせるか、その方法論一つ説明していただきたいと思います。
  4. 川出千速

    川出政府委員 自由化の問題は、これは鉱山だけではなくて、あらゆる種類のものに適用される一般的な問題であろうかと思います。鉱山につきましても、日本の国は鉱物資源見本国であるといわれているぐらいに非常に数が多うございます。鉱業法上の法定鉱物だけでも四十をこえておろうかというふうに考えます。従って、同じ日本金属鉱山あるいは貴金属鉱山につきましても、自由化によって受けるショックの度合いあるいはこれによる影響という問題は、いろいろ鉱種によって異なるところがあるかと思います。従いまして、政府の方でもその鉱種に合うような−必ずしも一律の対策をとっておるわけではございませんが、それを要約して申し上げますと、自由化に備えては、まず関税一つの問題ではないかというふうに思います。  関税も、これも鉱種によって異なりまして、たとえば、輸入依存度の非常に高いタングステンでありますとか、モリブデンでありますとかあるいは水銀でありますとか、アンチモニーでありますとか、その他まだあると思いますが、そういうものにつきましては、タリフ・クォータ制度、いわゆる関税割当制度を適用いたす方針でございます。これはいわば国内需要を確保いたしまして、不足する輸入につきましては関税割当をする。しかも、その割当分については、関税の率をゼロかあるいは非常に低いものにしておいて、需要業界の方から見て安い原料が入るような措置をするということを考えております。  それから、日本鉱山で一番ウエートが大きいのは、銅、鉛、亜鉛であろうかと思いますが、銅、鉛、亜鉛につきましては、需要業界からは、少しでも原材料の価格が安い方がいいという非常に強い要望もありますけれども、また他面、国内資源の保護、安定供給あるいは雇用の面、外貨節約の面からしまして、これを保護しなければならないという非常に強い国家要請もございます。いろいろ過去長いこと調整をいたしましたが、関税を暫定的に引き上げるという方針をとりまして、例を銅にとりますと、自由化後二年半の間従量税としてトン当たり三万円、そのあとの二年間について二万七千円という暫定的な引き上げをすることにいたしまして、現在関税法改正案として国会審議中と聞いております。  それから自給度のきわめて高い、一〇〇%自給いたしております硫黄それから硫化鉱等につきましては、これはハード・コア・ウェーバーをガット上とるということで交渉をする予定になっております。  そのほかの鉱種につきましても、関税引き上げ、あるいは先ほど申し上げました関税割当制度等考えておりますが、自由化した場合に、それでも関税障壁を乗り越えて非常に安いものが大量に国内に流入するような緊急事態が生じました場合には、現在の関税法にあります緊急関税制度を弾力的に活用しよう、こういうふうに考えておるわけでございます。  関税制度でございますが、何にいたしましても、関税障壁はありますが、長期的には、やはり日本鉱山の一コストを低くしていく方が望ましい、つまり計画的な合理化を進めるということになると思います。それにつきましては、金属鉱山の特色は、探鉱を豊富にして、品位を高めるということが先決ではないかというふうに考えまして、私どもとしては、三十七年度予算にも努力をいたしました。これはまだ額として十分なものと考えておるわけではございませんが、今後ますますその点には力を尽くしたいというふうに考えます。  それから、探鉱につきましては、これは国の財政的補助でございますけれども融資面につきましても、それぞれの政府機関金融機関の機能を活用いたしまして、鉱山関係に従来にも増して力をいたすように考えておるわけでございます。  それから、自給度の点を先ほど申し上げましたけれども、銅を例にとりますと、日本銅地金需要というものは、年とともに増加して参りました。それでも、世界的に見ますと、一人当たりの銅の使用量というものは、日本は、ほかの進んだ工業国に比べますと、まだ低いわけでございまして、それから判断しましても、銅地金需要というものはふえる一方であろうと思います。従って、これに対処するためには、やはり海外を開発して——これは経済協力にも結びつくと思いますけれども海外鉱物資源を開発していくということも、長期的に見ると非常に大切なことではないかと思います。これを怠っておりますと、国内の生産では当然まかなえないわけでございますので、日本は銅の消費国になってしまう。ほとんど大部分のものを輸入しなければならないということになると思いますので、そういう点もあわせて考えなければいけないというように考えております。
  5. 石山權作

    石山委員 今度の新探鉱調査費が約三倍近くになったというのは、これは関税収入を見合いにした数字でございますか。それは全然考慮に入れないで、在来の実績を加味した数字であるということなのか。それから今政府部内で行なわれているこの関税徴収は、鉱山合理化でも何でもかまいません、ただ鉱山関係に使用する意図を持ちながら、関税方式関税数字考えているのか、その点を御説明いただきたいと思います。
  6. 川出千速

    川出政府委員 関税収入をもって新鉱床の補助金に充てたかどうかという御質問だろうと思いますが、その点は目的的に結びつけて考えていないわけでございます。目的関税というのは、私専門でございませんのでよくわかりませんけれども、税制上非常にむずかしいというふうに聞いておりますので、それとは別に、必要なものは必要なもので国が出すべきであるという方向考えておるわけでございます。
  7. 石山權作

    石山委員 たとえば、銅の業界の中では、二十八万円が赤信号、二十九万円はだいだい色だ、三十万円は青信号で通過可能だ、こういう言葉があるわけです。去年の暮れ、私ども鉱山労働者諸君通産省へ参りまして佐藤大臣に会ったとき、二十八万五千円とかなんとかけちけち言わないで、三十万円ぐらいをおれは考えているんだ、こういうことをみんなの前でおっしゃっていたわけなんですね。それと今鉱山局調整している二十八万円——二十八万八千円だかのを二十八万円に下げたというような記憶があるんだが、二十八万円をやや妥当なりとしていろいろな操作を行なっている。大臣の言っていることと鉱山局調整を行なおうとしていること、二十八万円で大体よかろうということは、一体どこからそういう数字の隔たりが来ているのでしょうか。大臣は勘でものを言っているわけでしょうか。陳情者に対し甘い言葉をかけておけば、一時間いるものを十五分くらいで帰るからというような、そういうものの考え方で三十万円くらいやらなければ鉱山は大へんだろうと言ったのでしょうか。一体どこが真意でしょうか。大臣がいればなおさら聞きたいのですが、二十八万円でやや可なりというその鉱山局意見は、一体何を根底にして出てきているのですか。
  8. 川出千速

    川出政府委員 大臣のおっしゃいましたことにつきましては、私どういうお考えであったかわかりませんですが、現在は建値は二十八万円でございます。長いこと二十八万八千円でございましたが、これは海外相場の変動によって、過去三十万をこえた建値のときもあったと思います。また逆に二十八万円を割っておった建値のときもあったかと思います。最近ではいろいろ経済の引き締めと申しますか、そういう影響を受けまして、銅の需要が当初見ておりましたよりも多少締まりぎみといいますか、需要伸びが従来よりも伸びなくなったというような状況がございまして、市況が今までよりも強くないものですから、むしろこれは鉱山側の方から二十八万円にした方がいいということで、二十八万八千円を二十八万円に下げたわけでございます。山の中には、二十八万円以上のコストの山もあると存じます。また逆に二十八万円よりもずっと低いコストの山も相当あるわけでございまして、この辺は自由化になりました際にどのくらいの建値になるかということは、今のところでは海外相場のこともありますので、はっきり断言できませんが、この前、国会で御質問がありましたときには、山側の意見は大体二十八万円弱くらいのところであろうという見方をしておるということを申し上げた次第でございます。
  9. 石山權作

    石山委員 二十八万円よりも安く仕上がる、うんと安く仕上がればもうけが多いということでしょう。それはいいです。いいですけれども、二十八万円よりも高い採算をしている鉱山は皆無でございましょうか。今現実において……。
  10. 川出千速

    川出政府委員 ただいま申しましたように、二十八万円よりも高い山はあると思います。三十万円台の山もあるというふうに聞いております。これはやはり探鉱を進めて、品位を向上し、コストを下げるように努力しなければならないというふうに考えております。
  11. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 関連して——二十八万円を境にして、二十八万円以上の山と、それから二十八万円以下の山との割合はどのくらいになりますか。
  12. 川出千速

    川出政府委員 ただいまちょっと資料を持っておりませんのですが、それは二十八万円以下の方が私はずっと多いのじゃないかと思っておりますけれども、詳細なことは、調べた上で御返事申し上げたいと思います。
  13. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 やはり政策を立案する場合に、個々の山の状態あるいは各社の経営状態は要りませんけれども通産省の方で把握されているうちで、二十八万円以上のコストの山が大体何%くらいあるか、これは電気銅の量でけっこうですからお調へ願いたい。それから以下がどれくらいあるか、これを至急お調べ願いたい。
  14. 川出千速

    川出政府委員 さっそく調べまして、お答えいたしたいと思います。
  15. 石山權作

    石山委員 二十八万円よりも高くつく山、その山は新しく探鉱して品位のあるものを探し出せ、そうすれば問に合うだろうというが、探し出すお金がなかったらどうします。それはつぶれろという理屈になるわけですか。何だかそういうふうに聞こえるのです。二十八万円より高い山はつぶれてもやむを得ないというふうに聞こえるのですが、そうではないのでございますか。
  16. 川出千速

    川出政府委員 つぶれていいということを申し上げているわけではございません。これは政府努力をし、山の方も努力して、そういうことにならないようにしていきたいということを申し上げておるわけでございます。
  17. 石山權作

    石山委員 先ごろ私ども社会党が出した金属鉱産物価格安定臨時措置法をお読みなすっていただいているのでしょうかと申し上げているのです。局長さんは忙しくて読めなくても、担当課長さんぐらいは読んだだろう。読んで見るとわかるのだ。皆さんの方がいかにルーズなやり方鉱山開発をやっていられるか、価格安定をやっていられるか、初めてわかる。おれたちの方が決していいとは申し上げておりませんけれども、いわゆる価格安定そのものに関しては、かなりに的を得たものの考え方だと思っております。特に鉱山局で前に予算案を求める場合に、いろいろなことをわれわれ聞いているわけですが、あの態度と、このわれわれの今出している法律の態度というものは、そんなに違っていないと思うのです。それがいつの間にか姿勢をくずして、どうも在来のようなやり方でずるずるやって、三十万円以上になったやつはしようがないからつぶしてしまえという。一体三十万円以上になっている山に対しては、どういう目のかけ方をするのですか。そして二十七万五千円あるいは二十七万円に下げさしてみせるという方法論は、一体どこにあるのですか。三十万円以上の山があるとあなたは言っているでしょう。三十万円以上の山があるならば、その山を二十七万円にしてみせるには、どういう方法論をもって該当鉱山に対して対処しようとしているのか。局長さんができなければ、課長さんでもいい。一体何を持っていてやってあげるというのですか。ないじゃありませんか、今までの答弁では。
  18. 川出千速

    川出政府委員 お答えする前に、需要業界要望海外の銅の価格について一言だけ言わしていただきますと、海外工業国のおもなところ、たとえばアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアというような銅を多量に消費する国々は、銅の地金につきまして関税をかけておりません。従って、銅地金価格は、おそらく私の想像では二十三万円、少なくとも二十四万円以下であろうと思います。日本に運賃をかけて持ってきた値段が二十四万円くらいでございますので、現地ではもう少し下ではないかというふうに思います。これを主材としていろいろな工業製品を作っておるわけでございます。日本も、そういう工業製品に対抗するためには、銅の価格をそれと同じくらいにしてもらいたいというのが、需要業界としての偽りのない要望でございます。しかし、これも先ほど私が申し上げましたように、そういう要望要望としてわかるけれども国内鉱山の安定、雇用の問題もあるし、外貨節約の問題もあります。それとの調整をはからなければいけないということで、関税措置をとったわけでございます。  それから今の三十万をこえる——これは数は私は少ないと思いますけれども、ある場合はそれではどうなるかということでございますが、銅につきましては、御承知のように、石炭と違いまして、製錬所を経由しないと製品にならないわけであります。従って、製錬所を持たない中小鉱山から生産されたものは、製錬所を必ず経由する。製錬所を持っているところに売鉱するという段階がある。製錬所を持っている鉱山は、これは大小さまざまな鉱山国内に持っておると思いますが、同時に海外からもコストが安い鉱石輸入しておる。そこでプールをして結局地金となって出てくるわけでございまして、従って、三十万円以上のコスト山がかりにありましても、そのために直ちにつぶれてしまうということはもちろんない。プールの計算の中に入る。しかし、政府としては、探鉱奨励金を、これは額は必ずしも十分でなかったかもしれませんが、従来に比べますと相当ふやしております。今後ますますこういう点には力を入れなければならないと思います。それからもう一つ鉱業審議会、これはただいま内閣委員会設置法改正として審議中でございますけれども鉱山に関するいろいろな諸問題が残っておると思いますので、鉱業審議会国会を通りましたら、そこにいろいろな問題を諮りまして、十分検討したいと実は考えている次第でございます。
  19. 石山權作

    石山委員 製錬所を持っているのは大手、大企業であります。私は、たまたま三十万円という問題は銅の値段に直して言っているわけですけれども、製錬所を持たないで、自分の採算コストより安く製錬所に買いたたかれる山、逆にそっちを見ていけば、そういう山があるだろうと思う。そういう山に皆さんはお気づきにならぬわけですか。
  20. 川出千速

    川出政府委員 その点が、鉱山は少しほかの産業と違う点でございまして、いわゆる大企業中小企業との対立関係と申しますか、そういう競争関係にはむしろないわけでございます。製錬所を持っておりますいわば大企業は、買鉱条件として、過去におきまして——現在でもそうですけれども建値より少し高く買って保護しているという関係にございます。
  21. 石山權作

    石山委員 そうすると、私の心配杞憂にすぎないということだろうと思いますが、そうですが。
  22. 川出千速

    川出政府委員 全然心配がないというふうに私は申し上げているわけじゃございません。
  23. 石山權作

    石山委員 局長かなり自信を持っていられるということは、私いいことだと思う。よく、戦争その他でなくても、銅の需要伸びということがその国の産業一つのバロメーターになるとか、大切なものだとか、重要なものだとか、いろいろな美辞麗句を並べて言っているわけです。しかし、実際の状態からいって、鉱山状態を知っている人がどれくらいいるかというと、銅の製品そのものが非常に大切だとか、重要視しなければならぬと言っている人々にも、そんなにいない。僕らの心配は、そういうところにあるわけです。国にとって非常に大切なものを生産しているのだけれども、実際その中身をあまりよく知らないで言っているから、ともすれば実際の内容をば伏せられた形で問題が処理されていく傾向が多いだろうというふうに心配しているわけなんです。ですから、私の言うことなどは杞憂にすぎないような格好で処理されているとすれば、これは大へんよろしい。それと同時に、中小企業と大企業との関係が、助けつ助けられつ、持ちつ持たれつの関係だという。それはそれでいい。そうすと、今度、たとえば合理化が行なわれる。この合理化採算面だけで見ていけば、これはいろいろなことがあるだろう。特に採算面だけで見ていけば、いわゆる労働慣行などはかなり無視された形で、かなり奥地の、普通の世俗の意味で言えば、都会地から遮断されておるところに行なわれる合理化というものは、人の目につきにくい。思い切ってやれば、経営者かなり強硬手段をもってやってもわからぬでしまうような場合があるのではないか。そういう点は、皆さんの方で見ていられるのか。ただ一方的に値段だけ見ているのか。鉱山保安に連なっている労働者人権等から見て、経営者が二十八万という建値で大体よかろう、この辺でよかろうというような格好になっているのか。つまり経済的に見ても、そこに働く労働者の立場に立って見ても、この数字は妥当なものだというふうなお考えでございますか。
  24. 川出千速

    川出政府委員 非常にむずかしい御質問で、私どういうふうにお答えしたらいいかよくわからないのですが、鉱山実情と申しますか、そういう点は、政府としては伝統的に現場をよく把握している部類ではないかと思います。古くは鉱山監督局以来、現在は通産局の鉱山部になっておりますけれども、ほかの諸工業に比べますと、鉱山関係は比較的接触が密接であるわけでございます。その点、私ははなはだ申しわけないのですが、どういう実情になっているか今存じませんけれども随時鉱山部長会議あるいは通産局長会議も開いておりますので、今後十分気をつけていきたいというふうに存じております。
  25. 石山權作

    石山委員 建値二十八万円は、業者から言われたから、その通りでよかろうというふうなのでは、やはり勉強不足のような気がします。つまり鉱山労働組合方々が、一生懸命働いて、一体一カ月に握る金はどのくらいか。これに類似したような他の産業では、一カ月働いて握る金はどのくらいか。今社宅というものが大へんはやっている。昔は鉱山の場合には、六軒とか八軒というような長いハーモニカ長屋だった。とれと最近のいわゆるコンビナートあたりで建てられている社宅との比較、あるいはもっと言うならば、そこで使用される水等の問題もあると思う。山ですから、金けのある水で、おいしくないお茶ばかりがぶ飲みしている。それらと見合ってみて、初めて二十八万円という対象が私は結論づけられるものだと思うのです。業者の言う二十八万円ということをうのみにして——それは業者を指導する鉱山局ではいいでしょう。それはそれでいいかもしれませんけれども建値を容認するからには、建値を容認した形で行政指導を行なうからには、建値に積み重なってきている労働者の賃金あるいは厚生福利施設等を、やはり見てみる必要があると思います。これは今までやったことがおありですか。
  26. 川出千速

    川出政府委員 今先生のおっしゃるような意味でこまかくやったことは、実は遺憾ながらないかと思っております。
  27. 石山權作

    石山委員 建値を大体容認されるとすれば、そういう積み重ね方式もあるものだということを、私は担当課長さんたちに記憶していただきたいと思うのです。そうでないと、非常に強  い合理化が行なわれて、その値段が生まれてきたのかもしれません、何といったって離れているものですから。だから、その出る産物が大切であればあるほど、そういうふうな大切だという目で、建値の積み重なってくるもと、そこをたまに見ていただきたいのです。そうでないと、ほんと6の行政指導にならないのではないか。中小企業の場合は、大会社と持ちつ持たれつだということで私は安心しているわけですが、建値を決定されるのに、もし強力な合理化が行なわれているという前提のもとで経営者が線を二十八万円に出してきたとすれば、やはり考えさせられるところがあるわけなんです。こういう点は、二つの課でまた何でもかんでもやれなんて言う方も無理でしょうけれども、これは労働省等統計、総理府の統計等を見ながらにらめは、大体浮かんでくるだろうと思う。あるいは労働組合諸君から住宅の問題などを聞けば、大ざっぱなことは浮かんでくるだろう。そうしてこれを比較して見た場合に、他の産業よりもそこにいる労働者の取る給金あるいは福利厚生施設がぐんと劣っているというふうになれば、この二十八万の建値は、これは赤だ。二十九万がだいだいだ。三十万にしなければ労働者にとっては不幸だというふうになる。だから、あるいは大臣が言っている三十万というものが本命かもしれません。大臣がよくいろいろなことを見ているのかもしれません、三十万円は青だというのですから……。そういう点で私は、今後とも鉱山の指導をしていただかなければへんぱなものになりかねない。労働組合なんか、強硬な労働組合があるから、われわれが心配する必要もないと思いますけれども行政指導をなさる責任者としては、そのくらいのお考えを持ってこれから見ていただいて、建値というものをにらみ合わせて見る必要があるのではないかというふうに考えております。  国産の問題は一応それで打ち切って、次に輸入鉱の開発の関係について少しく説明を承りたいわけですが、今度の予算にも、開発会社を作りまして、政府も多大の投資をする、こういうふうになっているのですが、構想はやや承っているわけです。その構想は、実際上業者と話し合いを進め、業者の金もきまり、どういう格好で運行しているか、動いているかということの説明を承りたい。
  28. 川出千速

    川出政府委員 実は、海外の開発の会社の件でございますが、これは当初特殊法人にいたしまして、政府がみずから予算を取って出資をするという構想でスタートをいたしましたが、予算交渉の過程で方針を変えまして、現在海外経済協力基金という政府出資の基金がございますので、特殊法人としてではなく、民間会社としまして、政府はこの基金を通じて出資をする、民間は協力をしてその会社に出資をするということで、実質的には私は大きな差異はないと思いますが、法律に基づく海外開発会社ではなくして、一般の法人としまして、現在のもくろみでは資本金を十億と一応いたしまして、その半分を民間から、半分を政府からということで、現在鉱山の団体であります日本鉱業協会が中心になりまして、その準備について相談を進めておるところでございます。
  29. 石山權作

    石山委員 この前には、海外開発の場合には、おおむね大企業、大手会社に独占される懸念があるのではないかというふうに一部から声もあったわけでありますが、皆さんの説明を承ると、そうではないのだ、優秀な技術があれば中小企業の参加も認める。こういう方針は、大手企業方々からも深い理解を得た上で進められているわけですか。
  30. 川出千速

    川出政府委員 そのように考えます。従って、大手だけではなくて、中小鉱山の技術なり、まあ資金の点は無理な点があるかと思いますけれども、そういう問題も協力していただくという格好で進んでおります。
  31. 石山權作

    石山委員 お金と技術になるわけですが、技術はやはり出すわけでしょう。お金とともに技術開発ですか。
  32. 川出千速

    川出政府委員 開発をする場合には、海外の相手国の状況によっていろいろな態様があろうかと思います。海外開発会社が、直接向こうの権利を取得しまして自分でやる場合も考えられますし、あるいは向こうの方で合弁会社にしてもらいたいという場合も、国によってはあるかと思います。その国情に応じて、適宜適切な方法で進出をするのが適当ではないか、そういうふうに思っております。従って、資金と技術とを並行していく場合が多いだろうというふうに考えます。
  33. 石山權作

    石山委員 まあ私もそうだと思います。大がいおそらく資金と技術がついていかなければ、東南アジア方面でございましょうから、そうでなければならぬと思いますが、さて、それについて人はどうですか。開発のために人も同行しませんか。これは石炭などは、技術というよりも、お金というよりも、ただ人ということになる。まあ坑夫の方々も、技術を持っていることは確かでございますけれども、石炭の場合は、西ドイツは、労力として輸出された格好でしょう。こういう点はどうでしょう。優秀な、いわゆる地下産業人としての人手をば要求するというふうな傾向はございませんですか。
  34. 飛田一夫

    ○飛田説明員 炭鉱の場合、西独に対しまして炭鉱労働者が出て参りましたけれども金属鉱山の場合、ただいま局長から御説明のありましたように、準備段階でございまして、まだどこの国のどの山をやるかという点について、検討中でございます。現在十数鉱山が候補に上っておりまして、その中から適当な鉱山を選択中でございますが、その相手の国によっては、あるいは鉱山労働者の受け入れということも考えられるかと存じますが、たとえば豪州のように、非常に白豪主義をとっておりますところは、非常に無理ではないかという感じがしておりますが、技術屋として海外に参りまして、向こうの会社と一緒に仕事をするというようなことは、これは当然考えられる、こう考えております。
  35. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 関連して——石山委員海外資源開発会社の御質問に関連をしてちょっとお伺いしておきたいのですが、今、局長は、最初は特殊法人で、いわゆる政府出資でということを考えておった。ところが、予算の段階において方針が変わった、こう言っておられるが、実際は、一般会計から金が出なかったので、特殊法人構想が消えて、そして商法上の株式会社にならざるを得なかった、その出資はいわゆる海外協力基金から五億出すのだ、そういうことだと思うのですが、そうすると、この海外協力基金というのも、これは一つの法人なんだが、結局これが海外資源開発の株主になるのですか。  それからもう一つは、先ほどの答弁で少しはっきりしなかったが、海外鉱物資源開発株式会社、まあ仮称ですが、これができる。それが現地へ行ってそれぞれ資源開発をやる。そうした場合、現地の事情によって、あるいは現地と一緒になって合弁で、こういうことだったと思うのです。そうすると、また行った際に、いわゆる海外鉱物資源開発株式会社、仮称ですが、この出資と現地の政府なり民間なりの出資とで、また別な会社ができる、こういう構想なんですか。
  36. 川出千速

    川出政府委員 最初の御質問の、協力基金が株主になるかという点でございますが、これは現在北スマトラ石油協力会社というのがございます。これは協力基金が出資をしております。従って、株主になっておるわけでございます。それと同様な関係になろうかと思います。  それからなお、私、民間が五割、協力金が五割というふうに申し上げましたが、これはまだきまっておるわけではございませんので、それを期待をしておるということでございます。  それから、海外に参ります際には、やはり相手国との関係も、これは南米なり東南アジアが多いと思うのですけれども、ございますので、場合によりますと、合弁会社の方が都合がいい場合もあり得るのではないかということで申し上げたわけでございます。
  37. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 いや、その通りなんだが、あなたの答弁の通りとするならば、たとえばA地ならA地でまたもう一つ会社をこしらえる、こういう格好になるのかと聞いておるのです。合弁の方がいいというのなら、そうしてもいいということなら、別個にこしらえるのかどうかということです。  それからもう一つ、これは海外協力基金とれ自体が法人ですから、これは一株主になり得ることは当然ですが、この株は、いわゆる普通株であるのか、いわゆる議決権を持つ株なのかどうか。  それから、特殊法人の場合は、やはり民間出資との関係において、その比率が五対五とか、少なくとも民間よりか政府の方がウエートが大きいといったようなのが、むしろ特殊法人になってくる。しかし、一般株式会社になるならば、これは政府と民間とのなには、今五対五と言ったが、そういう見込みであってはっきりしないということですが、方針としてはどちらに出資のウエートを持たすつもりなのか。そういう点、ちょっと補足して下さい。
  38. 川出千速

    川出政府委員 最初の合弁会社の場合にどういうことになるかということでございますが、それは海外開発がさらに出資をするという格好になるかと思います。
  39. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 別の会社ができるのですか。
  40. 川出千速

    川出政府委員 現地法人と申しますか、そういう格好になるのではないかというふうに考えます。これはしかし、実際の実例に当たってみないとわからないわけでございます。今後の問題であろうと思います。  それから、もう一つの問題でございますが、これは途中で方針が変わりましたと申し上げたわけでございますけれども、これは政府の出資という点では、直接であるのと間接であるのとの違いでございまして、政府の資金が出ておるという点では同一ではないかと思います。むしろ逆に、民間の会社の方が、必要以上のコントロールを受けないで自由に事業を進め得るという利点もあるかというふうに考えた次第でございます。
  41. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 特殊法人がいいのか、一般会社法に基づく株式会社がいいのか。これは今局長が言ったように、民間会社であれば自由にやれるという点もあろうと思います。しかし、海外資源開発ということに対する国の力の入れ方といいますか、国の施策、こういう点から見れば、やはり最初の構想がよかったのじゃないか。これはまあ局長としては、言いにくいから言わないのだろうが、結局は一般予算が取れなかった、こういうことだろうと思うのです。特殊法人なら、国の施策というものがそこに直接入っていくと思うわけです。一般であると、これは海外協力基金ももちろん国の金なんだ。だから、国の金が出ることには違いがないとおっしゃるが、そうすると、直接政府が出資した場合の特殊法人とは、だいぶ変わってくるわけです。  そこで、先ほど尋ねた点になるのだが、五億出す。これは十億になるんなら、半分の株を持つことになるのだが、このいわゆる特殊法人である海外協力基金が株主になるわけで、この株はやはり権利株なのかとうかということなんです。
  42. 川出千速

    川出政府委員 私、法律の問題はどうも詳しくないのでございますが、同じく議決権を持つものだそうでございます。
  43. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 今の海外経済協力基金ですが、これは局長よほど勉強してここで答弁してもらわぬと、所管は経済企画庁にあるので、あなたがここで答弁して、あとでもって問題が起きるようだといけないから、老婆心ではないけれども一つ慎重を期してもらいたいと思うのです。今の御答弁だと、海外経済協力基金を五億持ってくるんだ、一体どういう会社を建てれば五億くれるのかというようなことは、はっきりした線を出さなければ、だれも共同出資に応ずる人はないわけです。ところが、従来までの海外経済協力基金の使途を見ると——今度は政府提案でもって海外経済協力基金法の一部改正法律案が出てくるのだが、そういう金の使い方というものに対してはきわめて不明確な線があり、まだ解決されていないと思っています。第一あの法律を見ると、輸銀ベースに乗らないもの、他の一切の金融ベースに乗らないもの、そういうようなことが書かれてあるのですから、共同出資を得るときに、もうこの線は大丈夫、五億の金が海外経済協力基金から出てくるという確証がないと、会社成立はできないと私は思うのです。そういうようなことを聞いていると、ほんとうに核心をつかんでやっているのかやっていないのか、私はそこの点が非常にあいまいもこたるものがあると思うのです。だから、海外経済協力基金法というものを、もう一ぺん改正法律案が出てきたときに、この委員会においてみんなでもって立法の精神を政府から説明を求めて、その上でそういう線でいけば、必ず五億の海外経済協力基金が出るというのなら、それはあなたの説に賛成するのですけれども、そのような見通しがほんとうについているのかついていないのか、局長が職を張ってやるというなら別問題だけれども、そういうところは一体見込みはついておるのですか。
  44. 川出千速

    川出政府委員 協力基金というのは政府機関でございますけれども政府の監督のもとにおいて自主性を持って活動するわけでございます。現在は、民間の会社が準備委員会を設けまして、協力基金と交渉を始めておりますけれども、その前提となりますのは、ただいま先生の御指摘になりましたように、会社の将来の構想であります。具体的には、どこの地点のどういう鉱山を、さしあたってどういうふうに開発をしていくかというようなもくろみがはっきりしないと、協力基金の方としても話に乗りにくいという点もございますので、現在はそれについて各鉱山会社が集まりまして相談をしている段階でございます。もう少ししたら、だんだん具体的に計画が固まってきます。
  45. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 そこなんです。海外経済協力基金の政府提案の改正法律案を見ますと、「確実」という言葉を「見込み」というふうに訂正したいということなんです。ですから、もしその法案が通れば少しはゆるくなるかもしれぬけれども海外の開発を、従来のような法律で、輸銀ベースにも乗らないもの、他の金融ベースにも乗らないものを開発して、しかも確実なというような、そんなものは私は世の中にあろうはずはないと思うのです。だから、われわれとしては、そういうふうな実行不可能な法律を作って、基金を山と積んだって、これは使えないから、もっとゆるめてもらわなければならぬと思うのです。そういう点で慎重を期してもらわないと、今の話のように、一般会計から金が出なかったから今度は基金でやるのだ、基金をもらっても会社としてはうまくいかなかったのだということになると、対外的に見ても一種の国威を失墜する原因になりますから、やるならよほど慎重を期して、海外経済協力基金というものは、どういうラインでやれば出資可能であるという線をはっきりつかんでやってもらわないと、私は困ると思います。
  46. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 今ここで私鉱山局長と法律論をもって戦おうとは思わないのですが、海外経済協力基金法の目的と、それから業務の範囲等をずっと見ていくと、貸付とかなんとかいうものはあっても、そういうものに出資ということがないのですよ。ここには条文がないのです。抜粋だけしかないのですが、おそらく一般予算においてやろうとしたところができないから、窮余の一策だと思います。いずれにしてもやるという意欲は多としたいと思いますが、それはありますか。
  47. 川出千速

    川出政府委員 協力基金法の二十条の二号であります。
  48. 石山權作

    石山委員 最近、皆さんの方からもらった資料を見ますと、銅鉱石輸入が昭和二十四、五年ころまでは皆無であったが、三十五年度にも、銅の国内鉱石が四七%、輸入鉱石が五三%というふうに、大へんな変化が現われておるわけですが、これは海外を開発するうま味がうんとあるのだと思います。うんとうま味があるから、こういうふうに急に買鉱がふえたのだろうと思います。ここで心配なのは、これは貿易の話でもそうですが、内需が非常にふえると貿易じりが赤になるという心配があると同じで、外国のうま味のあるものを野放しにしておくと、内地の貧鉱を本気になって探求するという意欲が失われてくるのじゃないか、特に中小企業が大企業と持ちつ持たれつでやっておるような場合において、海外のうま味があれば、中小企業にあまりあいきょうを振りまけないというような場面も出るのではないかというような心配も起こるわけです。その場合に、海外から出るわれわれの手で開発した鉱石、こういうものに対して規制を考えておるのかどうか。何ぼでも入れるという考え方で今開発会社を指導なさろうとしておるのか。それと、内地のいわゆる親会社がなければやっていけないような中小企業との見合いを、一つ御説明いただきたいと思います。
  49. 川出千速

    川出政府委員 国内資源の開発と海外の開発とはどちらも大切でございます。一方だけに重点を置くというわけにはいかないというふうにわれわれは考えております。従って、海外の開発にのみ狂奔して国内資源の開発を怠るというようなことは、政策としてもまずいことですし、そういうような行政指導はしないつもりでございます。現に鉱山は両方を並行してやろうという考えで進んでおります。なお、海外の開発というものは相当の時間を要しますので、その量が多過ぎて困るというようなことは実際にはないと考えております。
  50. 石山權作

    石山委員 おそらく今考えられておる輸入の数量というものと、わが国の産業発展の傾向というものとを比べれば、多いということはないだろうという意見だと思います。しかし、多くなるという心配はやはり出るだろうと思う。ということは、輸入鉱には非常にうま味もあるものですから、やはりどんどん開発されていく可能性がある。そして今のような関係中小企業の発展を望むのは、少しく私は無理だろうと思う。そこにはもっと近代的な合理化が行なわれなければならぬですが、そのための資金あるいは税制の問題等、親会社にたよらなければならぬというふうな採算ではいかぬと思うんです。それはやはり独立した形で国が指導して、独立した形で採算割れをしないような企業に仕向けていかなければいかぬ。この輸入鉱の場合といわゆる銅、地金として入ってくるものとの競合、あるいは外国の銅は常に非常に不安定なのでございますが、日本の場合、そういう不安定の中に、それらをあまりうずの中に巻き込ませないように工夫していくのも、政治指導の一つの理念だと思う。それと同時に、私は、国内中小企業を育成するためには、親企業にまかせておいてはいかぬということなんです。親企業にまかせておけば、苦しい場合には、やはり今世上に行なわれているように、たとえば手形が九十日であったものを百二十日にしてしまう。今までめんどうを見ていた部分が、めんどうを見てあげないということが出てくるわけですね。それではいかぬ。中小企業の場合は特に不安定になるのでございますから、私どもとしては、これをいわゆる国策の地下資源開発等による一つの開発の助成と同時に、税制等をば改正をして、恒久的な面を見てあげる、こういうふうにしないと、輸入鉱に押されていくのではないか。当面一年、二年、来年もいいでしょうが、三年目になったら、どうしたって出てきますよ。こういうことを十分考えながら、一つ指導していただきたいというふうに思っております。  それから、せんだって私の方に設置法がかかったとき、ぜひともお聞きしょうと思っていたわけですが、昨年の五月でございますが、日本労働協会で藤林敬三慶大教授が全金属鉱業の労使関係について研究の結果を発表されておりますが、それを要約しますと、国の基本的な政策を確立するため、公益代表を含めた三者構成による金属鉱業対策審議会を設置するのが望ましいというふうに述べているわけなんです。今度通産省設置法が通ったわけですが、あの中に石炭も含めて、二十五名でございましたか、鉱山審議会二十五名になるわけですが、こういう意見も参照されて、藤林敬三慶大教授等の意見も参照しまして、委員を選定される場合には、広い視野に立って、そうして各層の人たちから意見を聞く、私はそういうふうな審議会にしていただきたいというふうに思っております。  この任免権については通産大臣からお伺いするのがほんとうだと思いますが、実際に手を染められるあなたに一つ意向を——私の意向はそんなに間違っているとは思わぬが、大体趣旨においては賛成していただけるかどうか。機会があればまた大臣委員会で正式に承りますけれども、残念なことですが、せんだって機会を逸しまして、きょうはあらためて聞くわけですが、それについての御答弁をいただきたいと思います。
  51. 川出千速

    川出政府委員 近く国会を通過します鉱業審議会委員の人選についての御質問でございますが、との審議会に学識経験者という表現をとっておりまして、各層からの学識経験者、具体的にいえばいわゆる学者とか評論家とかそういう一般的な学識者、それから鉱山業界需要業界というような各層から人選をしたいと存じておりますが、先ほどの石山委員からのお話も、人選にあたりましては参考にしたいというふうに考えます。なお、この点は大臣から御答弁すべきがほんとうではないかということでありますが、結局広く各層から学識経験者の範疇で慎重に人選をするということでございます。
  52. 石山權作

    石山委員 大へん御理解をいただきましてありがとうございましたが、この例は、前に科学技術庁で放射能に関する審議会を作られた場合にも、学識経験者という熟語を、在来の学者という意味でなく、経験という言葉を非常に高く評価していただいて、各階層の中の一人をたくさんの従業員の中から指名していただいた経緯もございますので、下ごしらえはあなたたちがなさるのでありますから、下ごしらえの中に入っていないのではとても話になりませんので、この点は十分慎重にお考えいただきまして、私たちの意のあるところを乗っけてくれるように努力していただくことをあえて希望申し上げまして、私の質問をこれで終わります。
  53. 中村幸八

    中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後四時三十七分散会